JP2016046002A - ショートアーク型放電ランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】所望のエミッション性能を保持しつつ、トリウムの使用量を低減することが可能であり、更に、簡単な構成で機械的強度と所定のランプ特性を確保することができる陰極を備えたショートアーク型放電ランプを提供する。
【解決手段】放電管の中心軸線が略垂直に設置されるように構成されたショートアーク型放電ランプにおいて、前記陰極は、トリエーテッドタングステン(トリタン)製の頭部310とタングステン製の基体320の2つの部材を含み、前記基体320は凸部323を有し、前記頭部310は凹部313を有し、前記凸部323を前記凹部313に係合させることによって、一体的に組み立てられて前記陰極が構成され、前記頭部310及び前記基体320の外径をD1、前記基体の凸部の外径をD2、前記陰極の体積に対する前記頭部の体積の比をkとするとき、0.3≦D2/D1≦0.7、0.10≦k≦0.18である。
【選択図】図3B

Description

本発明は、紫外線を発光する高圧水銀ランプに関し、特に、アーク長が比較的短いショートアーク型放電ランプに関する。本発明は、特に、ショートアーク型放電ランプの電極に関する。
高圧水銀ランプのうち、アーク長が比較的短い構造のランプはショートアーク型放電ランプと称される。ショートアーク型放電ランプは、高輝度の光を放射することができるため広い分野で用いられる。特に、中心発光波長が365nmのi線ランプや436nmのg線ランプは、半導体、液晶、プリント基板等の製造工程における露光用光源として用いられる。
ショートアーク型放電ランプの電極は通常タングステン製である。しかしながら、従来、製造工程で用いられる露光用ランプでは、エミッション性能を向上させるために、トリエーテッドタングステン製の電極が用いられる。トリエーテッドタングステン(以下、トリタン)はタングステンにトリウムを添加したものである。トリタン製の電極では、トリウムがエミッタとなる。
特許文献1には、陰極のエミッタとしてトリウムを使用する放電ランプの例が記載されている。陰極はタングステン製の本体とトリタン製のトリタン部から構成される。特許文献2には、放電ランプにおいて、電極を2つの部材より構成し、2つの部材をネジで接合することにより一体化する例が記載されている。特許文献3には、放電ランプの製造方法として、電極芯棒と電極先端部を機械的に接合する方法の例が記載されている。
特開2011−154927号公報(特許第5316436号) 特開2010−15792号公報(特許第4591563号) 特開2007−188802号公報
トリウムは、エミッタとして優れた物質であるが、放射性物質であるため、環境負荷物質と見做され、近年、その使用について法規上の規制が設けられている。そこでトリウムの代替物質が探究されている。例えば、ランタン、イリジウム等が候補として挙げられている。しかしながら、トリウムに代わり得るエミッタ物質を見つけるのは困難である。そこで、現時点ではトリウムの使用量を軽減する要請がある。
本発明の目的は、所望のエミッション性能を保持しつつ、トリウムの使用量を低減することが可能であり、更に、簡単な構成で機械的強度と所定のランプ特性を確保することができる陰極を備えたショートアーク型放電ランプを提供することにある。
環境負荷の低減の要請からトリウムの使用量を低減する必要があるが、陰極のトリウムの使用量を低減しすぎると、トリウムによるエミッション性能の利点が損なわれる。トリウムの使用による利点を享受すると同時に環境負荷を低減する必要がある。そこで、本願の発明者は、所望のエミッション性能を保持しつつ、トリウムの使用量をできるだけ低減するための陰極の条件を検討した。本願の発明者は、更に、簡単な構成で機械的強度と所定のランプ特性を確保することができる陰極について鋭意検討した。尚、ランプ特性として、アーク安定性、及び、ランプ寿命を検討した。
本発明によると、放電管と、前記放電管の内部にて互いに対向して配置した陰極及び陽極と、を有し、前記放電管の中心軸線が略垂直に設置されるように構成されたショートアーク型放電ランプにおいて、
前記陰極は、トリエーテッドタングステン(トリタン)製の頭部とタングステン製の基体の2つの部材を含み、前記基体は軸線方向に延びる凸部を有し、前記頭部は軸線方向に延びる凹部を有し、前記凸部を前記凹部に係合させることによって、前記頭部と前記基体が一体的に組み立てられて前記陰極が構成され、
前記頭部及び前記基体の外径をD1、前記基体の凸部の外径をD2、前記陰極の体積に対する前記頭部の体積の比をkとするとき、
0.3≦D2/D1≦0.7
0.10≦k≦0.18
である。
本発明の実施の形態によると、前記ショートアーク型放電ランプにおいて、前記頭部と前記基体の間の係合部において、前記基体の接合部の表面積をS、ランプ電流をIとするとき、I/S≦2.0である、としてよい。
本発明の実施の形態によると、前記ショートアーク型放電ランプにおいて、前記基体の凸部及び前記頭部の凹部の軸線方向の寸法は4〜10mmである、としてよい。
本発明によると、所望のエミッション性能を保持しつつ、トリウムの使用量を低減することが可能であり、更に、簡単な構成で機械的強度と所定のランプ特性を確保することができる陰極を備えたショートアーク型放電ランプを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプの概略構成を示すための簡略化した断面図である。 図2Aは、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプのシール管部の拡大断面図である。 図2Bは、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプのシール管部の電極マウントにおける電気的接続方法を説明する図である。 図3Aは、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプの陰極の外観を説明する図である。 図3Bは、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプの陰極の構造を説明する図である。 図4は、本願の発明者が行った実験の結果を示す図である。 図5は、本願の発明者が行った実験の結果を示す図である。
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプを説明する。なお、全図において、各部材の厚さ、長さ、形状、部材同士の間隔、隙間等は、理解の容易のために、適宜、拡大・縮小・変形・簡略化等をしている。図の説明の際の上下・左右の表現は、その図を鉛直面内に置いた状態でのその図面の面に沿った方向を表すものとする。
図1は、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプ10の概略構造を示すための簡略化した断面図である。ショートアーク型放電ランプ10は、球状の発光部1Aとその両側の管状のシール管部1B、1Cからなる放電管1を有する。放電管1は石英ガラスによって形成される。放電管1の発光部1Aにはチップオフ1dが形成されている。ランプの製造時に、チップオフ1dの位置に取り付けられた排気管から放電管1内に、水銀、不活性ガスを単独またはそれらの混合ガスの形で封入する。
ショートアーク型放電ランプ10は、陽極2と陰極3を有する。陽極2は電極先端部2Aと電極芯棒2Bを含む。陰極3は電極先端部3Aと電極芯棒3Bを含む。発光部1Aの内部の空間1aには、電極先端部2A、3Aが対向して配置されている。本実施形態のショートアーク型放電ランプ10は、垂直点灯型であり、陽極2が下側に陰極3が上側となるように、ランプの中心軸線が略垂直となるように設置される。
シール管部1B、1Cには、それぞれ電極マウント9が装着されている。電極マウント9の外端からそれぞれリード線6が突出している。電極マウント9は、電極芯棒2B、3B及びリード線6を支持すると同時に放電管1の内部を密閉する機能を有する。電極マウント9は、このような機能を備えればどのような構造であってもよく、特に限定されるものではない。電極マウント9の例は、図2A及び図2Bを参照して説明する。電極芯棒2B、3Bには、放電管1の封入後もその中に残った不純物や点灯時に発生する不純物を除去するためにゲッター材11が装着されている。
シール管部1B、1Cの電極側端部には、電極マウント9の内端面9aを底面とする円形の凹部1b、1cがそれぞれ形成されている。このような凹部1b、1cを設けるのは、電極マウント9をシール管部1B、1Cに溶着するためにシール管部1B、1Cをバーナ等で加熱するときに、その熱が発光部1Aに伝わってその発光部1Aが変形することを防ぐためである。
本実施形態のショートアーク型放電ランプ10は、1〜10kW、好ましくは、1.5〜4.5kWのランプ電力を有し、中心発光波長が436nmの紫外線を出力するg線ランプ、又は、中心発光波長が365nmのi線ランプである。放電管1の発光部1Aの最大外径は、発光出力の大きさに応じて異なり、50〜150mmであり、例えば50〜70mmであってよい。発光部1Aの軸線方向の長さは70〜180mmであり、例えば70〜90mmであってよい。陽極2と陰極3の冷間時先端部間の距離は、1.0〜15.0mmであり、例えば3.0〜5.0mmであってよい。
本実施形態では、放電管1内には、3〜75mg/cm3の水銀、例えば、4〜40mg/cm3の水銀が封入されてよい。更に、放電管1内には、キセノン(Xe)、アルゴン(Ar)及びクリプトン(Kr)の中の少なくとも1つの希ガスが封入される。ただし、1つの希ガスに代えて、混合ガス、例えばKr及びArの混合ガスを用いてもよい。希ガスの封入圧は、封入されたガスの種類によっても異なるが、概略0.05〜0.6MPaであり、例えば0.08〜0.3MPaであってよい、ランプ点灯時には、放電管1内の圧力は1.0〜4.0MPa程度になる。
図2Aを参照してショートアーク型放電ランプ10の陰極側のシール管部1Bの構造の例を説明する。尚、陽極側のシール管部1Cの構造は、陰極側のシール管部1Bの構造と同様である。シール管部1Bの内部には、電極マウント9が溶着されており、それによって放電管1の気密性が保たれている。シール管部1Bの外端には口金28が装着される。図示のように、電極マウント9の軸線方向の寸法はシール管部1Bの軸線方向の寸法より短い。
電極マウント9の構造として様々な構造が知られている。ここでは、その1例を説明する。本実施形態の電極マウント9は、第1のシール部材21、第2のシール部材22及び第3のシール部材23を有する。電極マウント9は、更に、第1のシール部材21と第2のシール部材22の間に介装された第1の集電円盤31と第2のシール部材22と第3のシール部材23の間に介装された第2の集電円盤32を有する。これらのシール部材21、22及び23は、石英ガラス製の円柱部材によって形成されている。集電円盤31、32は、電導性材料からなる円板状部材によって形成される。
第1のシール部材21及び第1の集電円盤31には貫通孔が形成されている。これらの貫通孔に、電極芯棒3Bが挿入されている。こうして、電極芯棒3Bは、第1の集電円盤31に電気的に接続され、且つ、第1のシール部材21に固定される。なお、第1の集電円盤31には貫通孔を形成しないで、電極芯棒3Bの端部を第1の集電円盤31に当接させることによって、電極芯棒3Bを、第1の集電円盤31に電気的に接続してもよい。
また、第3のシール部材23及び第2の集電円盤32には貫通孔が形成されている。これらの貫通孔に、リード線6が挿入されている。こうして、リード線6は、第2の集電円盤32に電気的に接続され、且つ、第2及び第3のシール部材22、23に固定される。なお、第2のシール部材22に孔を形成し、この孔にリード線6を挿入してもよい。
図2Bを参照して第1の集電円盤31と第2の集電円盤32とを電気的に接続する方法を説明する。図示のように、第1の集電円盤31の両端面に、円形のモリブデン製の緩衝箔26a、26bがそれぞれ配置されている。第2の集電円盤32の両端面に、円形のモリブデン製の緩衝箔26a、26bがそれぞれ配置されている。第1の集電円盤31と第2のシール部材22を全周覆うように、第1の緩衝箔24aが装着されている。第1の緩衝箔24aは、第1の集電円盤31と、それに隣接する緩衝箔26bと、それに隣接する第2のシール部材22の一部を全周覆うように配置されている。
第2の集電円盤32と第2のシール部材22、及び、第2の集電円盤32と第3のシール部材23を全周覆うように、第2の緩衝箔24bが装着されている。第2の緩衝箔24bは、第2の集電円盤32と、その両側の緩衝箔26a、26bと、それに隣接する第2のシール部材22及び第3のシール部材23の一部をそれぞれ全周覆うように配置されている。
また、第2のシール部材22の外周面には、軸線方向に沿って、複数の短冊状のモリブデン製のシール箔25(実線と破線のハッチングで示す)が、間隔を置いて配置されている。シール箔25によって、第1の集電円盤31と第2の集電円盤32とが電気的に接続される。その結果、電極芯棒3Bとリード線6とが電気的に接続される。一方、リード線6は口金28に接続される。従って、口金28及びリード線6を経由して外部の電源から陽極2に電力が供給される。
図3A及び図3Bを参照して、陰極3の構造を説明する。図3Aは陰極3の外観図であり、図3Bは陰極3の組立図である。図3Aに示すように、陰極3は、電極先端部3Aと電極芯棒3Bを含む。陰極3は、頭部310と基体320の2つの部材を組み立てることによって形成される。頭部310はトリエーテッドタングステン(トリタン)によって形成される。トリタンは酸化トリウムを含有するタングスタンである。酸化トリウムの含有率は通常2wt%程度である。本実施形態では、エミッタとしてトリウムを用いる。頭部310は、酸化トリウム粉末とタングステン粉末の混合物を金型にてプレス成形し、それを焼結させることによって1次成形体を形成し、更に、この1次成形体を熱間加工することによって形成される。基体320は、純度99.9wt%以上のタングステンによって構成される。
図3Bに示すように、頭部310は、円柱部311と円錐頂部312からなり、一体物として形成される。円錐頂部312の先端は完全に尖っている必要はなく、小さな円形の端面が形成されてよい。円柱部311の端面311Aに軸線方向に延びる円筒状の凹部313が形成されている。一方、基体320は、円柱状の棒状部321と円柱状の凸部323からなり、一体物として形成される。凸部323は棒状部321の円形端面321Aより軸線方向に突出しており、凸部323の外径は棒状部321の外径より小さい。従って、両者の間に段差が形成されている。棒状部321には括れ部325が形成されてよい。頭部310の円柱部311と基体320の外径は等しい。
基体320の凸部323の外径及び軸線方向の寸法は、頭部310の凹部313の内径及び軸線方向の寸法に対応する。基体320の凸部323を頭部310の凹部313に係合させることによって、頭部310と基体320が一体化し、陰極3が形成される。
基体320の凸部323の端面の周縁にはテーパ323aが形成されてよい。一方、頭部310の凹部313の底面には円錐状のテーパ面313aが形成されてよい。この場合には、基体320の凸部323を頭部310の凹部313に係合させる。
尚、ここでは図示しないが、実際には、基体320の凸部323と頭部310の凹部313の間に頭部310の抜けを防止するためにモリブデン箔が挿入される。モリブデン箔は、基体320の凸部323の円筒状側面と、頭部310の凹部313の円筒状の内面の間に挿入されてよい。
次に、頭部310と基体320の寸法について説明する。頭部310の軸線方向の寸法をL、円柱部311の軸線方向の寸法をL1、円錐頂部312の軸線方向の寸法をL2、とする。基体320の凸部323の軸線方向の寸法をL3、とする。頭部310の円柱部311、及び、基体320の外径を共にD1、基体320の凸部323の外径をD2、とする。
陰極全体の体積に対する頭部310の体積の比を考察する。頭部310の体積をVA、基体320の体積をVBとする。陰極全体の体積に対する頭部310の体積VAの比をkとする。頭部の体積比kは次の式によって表される。
k=VA/(VB+VA) 式1
A=V1−V2 式2
B=V3+V4 式3
ここに、V1は凹部313が無いと仮定した頭部310の体積、V2は凹部313の体積、V3は基体320の凸部323の体積、V4は棒状部321の体積、である。
頭部310と基体320の間の係合部の構造について考察する。ここでは、基体320の凸部323の端面の周縁にテーパ323aが形成されていないとする。更に、頭部310の凹部313の底面には円錐状のテーパ面313aが形成されていないとする。頭部310と基体320の間の係合部は、基体320の凸部323と頭部310の凹部313の接合によって構成される。そこで係合部の構造的な特徴を表すパラメータとして、基体320の接合部の表面積を用いる。
基体320の凸部323の円筒状の側面の面積をS1とする。基体320の凸部323の円形端面と基体320の棒状部321の環状の端面321Aの面積の合計をS2とする。基体320の接合部の表面積をSとすると、次の式によって表される。
S=S1+S2=π×(D2×L3+D1 2/4) 式4
以下に、本願の発明者が行った実験を説明する。上述のように環境負荷を低減するには、トリウムの使用量を低減する必要がある。トリウムの使用量を低減するには、頭部310を小さくすればよい、即ち、式1に示す頭部の体積比kを小さくすればよい。しかしながら、トリウムの使用量を低減しすぎると、トリウムによるエミッション性能の利点が損なわれる。従って、トリウムによるエミッション性能の利点を享受することができ且つトリウムの使用量を低減させる必要がある。
本実施形態の陰極は図3A及び図3Bに示すように頭部310と基体320を係合させることによって形成される。そこで、本願の発明者は、陰極の機械的強度及びランプ特性が損なわれないことが必要であると考えた。尚、ランプ特性として、アーク安定性、及び、ランプ寿命を考慮した。
先ず本実施形態の陰極の機械的強度について説明する。本願の発明者は、基体320の外径D1、及び、基体320の凸部323の外径D2が互いに異なる複数の実験例を作成し、その機械的強度を検討した。その結果を表1に示す。
Figure 2016046002
表1に示すように、基体320の外径に対する基体320の凸部323の外径の比D2/D1が0.3より小さいと、即ち、基体320の凸部323が細すぎると、折れやすくなることが判った。逆に、この外径比D2/D1が0.7より大きいと、即ち、基体320の凸部323が太すぎると、頭部310の凹部313の壁が薄くなり、その縁が破損し易くなることが判った。そこで、本実施形態では、外径比をD2/D1=0.3〜0.7とする。こうして本実施形態では、簡単な構成で陰極の機械的強度を確保することができる。以下に説明する実験では、外径比をD2/D1=0.3〜0.7として実験例を作成した。
以下に説明する実験に使用したショートアーク型放電ランプ10は、中心発光波長が365nmのi線ランプである。放電管1の発光部1Aの最大外径は54mm、軸線方向の寸法は74mmである。シール管部1Bの軸線方向の長さは76mm、シール管部1Bの電極側端部における外径は25mm、内径は18〜19mmである。電極マウント9の外径は18mmである。また、陽極2の外径は約18mm、冷間時電極間距離は約4.6mmである。
更に、以下に説明する実験に使用したショートアーク型放電ランプ10では、入力電力は1.5〜4.5kWであり、頭部の凹部及び基体320の凸部323の軸線方向の寸法L3は、4〜10mmである。
図4を参照して本願の発明者が行った第1の実験及びその結果を説明する。この実験の目的はアーク安定性を検討することである。本願の発明者が行った実験では、点灯初期と2000時間点灯後のアークの揺れ(フリッカ)を観察した。アークから1000mm離れた場所に設置した照度計により照度の変動を測定した。
図4は、式1に示す頭部の体積比kとアーク安定性の関係を表すグラフを示す。縦軸は、照度変動率(単位:%)、横軸は式1に示す頭部の体積比kである。この実験では、基体320の凸部323の外径D2が異なる複数の実験例を用意した。即ち、式1に示す頭部の体積比kが異なる複数の実験例を用意した。但し、頭部の体積比kの最小値は0.03であり、最大値はk=1である。k=1は、陰極をすべてトリタンによって構成した場合、即ち、トリタン製の一体的な陰極である。以下に、これを対照例(コントロール)と称する。
図4の上側のグラフ(四角の点)は、各実験例及び対照例について2000時間点灯後の照度変動率を示し、図4の下側のグラフ(菱形の点)は、各実験例及び対照例について点灯初期の照度変動率を示す。これらのグラフから、点灯初期と2000時間点灯後のいずれの場合も、頭部の体積比kが0.10より小さいと照度変動率は大きいが、頭部の体積比kが0.10以上では照度変動率の変化は比較的小さいことが判る。頭部の体積比kが0.10以上の場合、点灯初期の照度変動率は略1.0%であるが、2000時間点灯後の照度変動率は略1.8%である。本願の発明者は、本実施形態における頭部の体積比kの範囲を0.10〜0.18に設定した。
頭部の体積比kの下限を0.10とした理由を説明する。ショートアーク型放電ランプを露光用光源として用いる場合、通常、紫外光を集光ミラーによって集光し、照射対象に効率的に照射する。このような光学系では、ショートアーク型放電ランプは集光ミラーの焦点の位置に配置される。従って、照度変動が大きいと、露光対象の仕上がりに影響する。そこで、実用的な照度変動率の許容限度は2%程度である。頭部の体積比kが0.10の場合、2000時間点灯後の照度変動率は1.8%である。従って頭部の体積比kが0.10以上であれば、照度変動率の許容限度を超えることはない。
更に、本願の発明者が行った実験から、頭部の体積比kが0.10より小さい場合には、エミッション性能が悪く、且つ、黒化現象が著しくなることが判った。一方、頭部の体積比kが0.10以上であれば、所望のエミッション特性を確保することができる。
次に、頭部の体積比kの上限を0.18とした理由を説明する。環境負荷を低減させるために、トリウムの使用量をできるだけ低減することが本発明の目的である。そこで、頭部の体積比kの上限を0.18とした。頭部の体積比kが0.18以下であれば、法規上の規制の観点からトリウムの使用量が多いとは言えない。本実施形態によると、頭部の体積比kの範囲を0.10〜0.18に設定することにより、所望のエミッション性能を保持しつつ、トリウムの使用量を低減し、更に、所定のランプ特性を確保することが可能となる。
図5を参照して本願の発明者が行った第2の実験及びその結果を説明する。この実験の目的はランプ寿命を検討することである。ランプ寿命を表す指標として照度維持率を測定した。この実験では、基体320の外径はD1=6mm、ランプ電圧は26V、ランプ電流は67.3A、ランプ定格電力は1.75kWとした。基体320の凸部323の外径D2が異なる複数の実験例と対照例(基準)を用意した。即ち、式1に示す頭部の体積比kが異なる複数の実験例と対照例を用意した。上述のように対照例は、体積比k=1の場合であり、トリタン製の一体的な陰極である。これを判定基準とした。
図5は、点灯後の照度維持率の変化を表すグラフを示す。縦軸は照度維持率(単位:%)、横軸はランプ点灯時間(単位:時間)である。照度維持率は、ランプ点灯直後の照度を100%として、所定時間経過後の照度を百分率で表したものである。実線の3つのグラフはk=0.13、k=0.16、k=0.18の実験例1の場合であり、破線の2つのグラフは、kが0.1未満の実験例2の場合である。一点鎖線の2つのグラフは、k=1.00の対照例(基準)の場合である。
図示のように、対照例の場合、2500時間経過後も照度維持率は90%を超えている。一方、頭部の体積比kが0.1未満の実験例2の場合、比較的短時間で、即ち、800時間程度で、照度維持率は90%以下となる。k=0.13、k=0.16、k=0.18の実験例1の場合、2000時間経過後も照度維持率は90%を超える。上述のように第1の実験結果から本実施形態では、頭部の体積比kを0.10〜0.18に設定した。しかしながら、この第2の実験結果から、頭部の体積比kを0.13〜0.18とすることにより、より好ましい照度維持率が得られることが判る。
次に、本願の発明者が行った第3の実験及びその結果を説明する。この実験の目的はランプ寿命を検討することである。ここではランプ寿命を表す指標として陰極の動作温度に着目した。陰極の動作温度を規定する要因として、陰極に流れる電流に着目した。本願の発明者は、式4の基体320の接合部の表面積Sが異なる複数の実験例を用意し、ランプ電流を変化させて、動作温度及び照度維持率を測定した。
表2は、本願の発明者が行った第3の実験の結果を示す。この表は、式4の基体320の接合部の表面積Sに対するランプ電流の比I/Sと陰極動作温度の関係を示す。ここで、基体320の接合部の表面積Sに対するランプ電流の比I/Sは、単に、基体320の接合部の表面積Sとランプ電流Iの比を意味し、基体320の接合部の表面積Sにおける電流密度を表すものではない。陰極動作温度は、安定点灯時において、陰極先端から中心軸線に沿って3mm下方における表面温度を赤外線サーモグラフィーで測定したものである。基準となる対照例の場合と同等の温度を100%として各実験例を百分率で表した。
Figure 2016046002
表2によると、比I/Sが0.5〜2.0では、陰極動作温度は100%であり、基準となる対照例と同様な陰極動作温度となる。比I/Sが2.5〜4.0では、陰極動作温度は100%を超え、基準となる対照例より高い陰極動作温度となる。陰極動作温度が対照例の場合よりも高くなるのは好ましくない。従ってこの表2から、比I/S=0.5〜2.0とするのがよい。
次に、本願の発明者が行った第4の実験及びその結果を説明する。この実験の目的はランプ寿命を検討することである。表3は、比I/Sと照度維持率の関係を示す。照度維持率は、点灯後1000時間経過後の照度を測定し、対照例の場合を100%として各実験例の場合の測定結果を百分率で表した。I/S>2.5の場合には、照度維持率は共に100%未満となった。即ち、基準となる対照例のレベルを得ることはできなかった。従ってこの表3から、比はI/S≦2.0とするのがよい。こうして本実施形態では、比をI/S≦2.0とすることによって所望のランプ特性を確保することができる。
Figure 2016046002
以上、本発明の一実施形態に係るショートアーク型放電ランプについて説明したが、本発明は上記の実施形態に拘束されるものではなく、当業者が容易になしえる追加、削除、改変等は、本発明に含まれるものであり、また、本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められることを承知されたい。
1…放電管、1A…発光部、1B、1C…シール管部、1b、1c…凹部、1d…チップオフ、2…陽極、2A…電極先端部、2B…電極芯棒、3…陰極、3A…電極先端部、3B…電極芯棒、6…リード線、9…電極マウント、10…ショートアーク型放電ランプ、11…ゲッター材、14…凹部、15…金属部材、16…空間、21…第1のシール部材、22…第2のシール部材、23…第3のシール部材、24a、24b…緩衝箔、25…シール箔、26a、26b…緩衝箔、28…口金、31…第1の集電円盤、32…第2の集電円盤、310…頭部、311…円柱部、311A…端面、312…円錐頂部、313…凹部、313a…テーパ面、320…基体、321…棒状部、321A…端面、323…凸部、323…テーパ面、325…括れ部

Claims (3)

  1. 放電管と、前記放電管の内部にて互いに対向して配置した陰極及び陽極と、を有し、前記放電管の中心軸線が略垂直に設置されるように構成されたショートアーク型放電ランプにおいて、
    前記陰極は、トリエーテッドタングステン(トリタン)製の頭部とタングステン製の基体の2つの部材を含み、前記基体は軸線方向に延びる凸部を有し、前記頭部は軸線方向に延びる凹部を有し、前記凸部を前記凹部に係合させることによって、前記頭部と前記基体が一体的に組み立てられて前記陰極が構成され、
    前記頭部及び前記基体の外径をD1、前記基体の凸部の外径をD2、前記陰極の体積に対する前記頭部の体積の比をkとするとき、
    0.3≦D2/D1≦0.7
    0.10≦k≦0.18
    である、ショートアーク型放電ランプ。
  2. 請求項1のショートアーク型放電ランプにおいて、
    前記頭部と前記基体の間の係合部において、前記基体の接合部の表面積をS、ランプ電流をIとするとき、
    I/S≦2.0
    である、ショートアーク型放電ランプ。
  3. 請求項1又は2のショートアーク型放電ランプにおいて、
    前記基体の凸部及び前記頭部の凹部の軸線方向の寸法は4〜10mmである、ショートアーク型放電ランプ。
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