JP2016045459A - ハロゲン化銀乳剤の製造方法、ハロゲン化銀感光材料の製造方法、及び導電フィルムの製造方法 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤の製造方法、ハロゲン化銀感光材料の製造方法、及び導電フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ゼラチンを全く使用しない又は殆ど使用しないでハロゲン化銀乳剤を効率よく形成する製造方法、及び当該ハロゲン化銀乳剤の製造方法を用いた、抵抗値が改善された導電フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】総窒素原子含有量が4質量%以下の水溶性ポリマー(A)の存在下で、水溶性銀塩と水溶性ハロゲン化物とを混合することにより、ハロゲン化銀粒子を形成する粒子形成工程と、
総窒素原子含有量が4質量%以下の、カルボキシル基を有する水溶性ポリマー(B)の存在下で、前記ハロゲン化銀粒子を含有する液をpH4以下に下げて、前記ハロゲン化銀粒子を凝集させることにより、脱塩する脱塩工程とを有する、ハロゲン化銀乳剤の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハロゲン化銀乳剤の製造方法、及び、前記ハロゲン化銀乳剤の製造方法を用いたハロゲン化銀感光材料の製造方法、並びに、前記ハロゲン化銀感光材料の製造方法を用いた導電フィルムの製造方法に関する。
電子機器などに利用される導電フィルムには種々のものが知られている。導電フィルムを得る方法の一つとして、ハロゲン化銀写真感光を利用し、ハロゲン化銀感光材料に、メッシュ状の細線露光を施してメッシュ状の銀パターンを形成する方法がある(例えば特許文献1〜5)。この方法は、写真感光材料の製造方式を活用するものであり、塗布乾燥、露光、現像処理などを連続的に高速で行うことができ、高生産性で導電フィルムを製造することができる。ハロゲン化銀感光材料は、通常、ハロゲン化銀及びバインダーを含み増感された感光性ハロゲン化銀乳剤を含有する感光層を支持体上に備える。一方で、このような導電フィルムの製造に用いられるハロゲン化銀感光材料は、現像処理を行う際に用いられるアルカリ浴や、水洗に耐え得る皮膜強度が要求され、また、物理現像の際には、ウェット状態での皮膜強度が要求される。そのため、ハロゲン化銀感光材料に用いられるバインダーとしては、一般的に、硬膜性が十分得られるゼラチンが使用されており、ゼラチンの含有量は、通常、銀1gあたり0.5〜5g程度である。
特開2000−149773号公報 特許第4704627号公報 特許第4847938号公報 特許第4974307号公報 特許第5065465号公報
日本写真学会編、「改訂 写真工学の基礎−銀塩写真編−」、コロナ社発行、1998年、p.159 日本写真学会編、「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、コロナ社発行、1979年、p.290〜298
しかしながら、本発明者は、従来のハロゲン化銀感光材料を用いて得られる導電フィルムは、銀メッシュ表面の抵抗値として1000Ω/□以下のものはほとんど得られず、抵抗値が十分に下がらないことを知見した。例えば特許文献4には、銀のバインダーに対する体積比を1/3以上にする、すなわち、バインダーの含有割合を下げることで抵抗値を下げる旨が記載されている。しかし、バインダーの含有割合を下げると、圧力や乾燥時の膜収縮時の応力によるカブリが生じやすく、また、膜の脆弱性に問題があった。
本発明者は、更に鋭意検討を行い、感光性ハロゲン化銀乳剤層に用いられるバインダーの種類に着目し、ゼラチンバインダー中にハロゲン化銀を分散したハロゲン化銀感光材料を現像して得られる導電フィルムにおいて、抵抗値が十分に下がらないことを見出した。これは、ゼラチン中の窒素原子が現像銀に吸着しやすく、電流の流れを抑制しているためではないかと推定された。
しかし、ハロゲン化銀乳剤の製造においてゼラチンは広い役割を果たしている(例えば、非特許文献1)。中でも、ハロゲン化銀粒子形成後の不要な可溶性無機塩の脱塩時には、ゼラチンは、ハロゲン化銀粒子に対する保護コロイド性を維持しつつ、凝集させて沈降させ、上澄み液を排水することで、当該可溶性無機塩を除去可能にするという重要な役割を果たしている。ゼラチンを実質的に使用しないでハロゲン化銀乳剤を効率よく形成する方法は十分よく検討されていない。ポリビニルアルコール系ポリマーでハロゲン化銀乳剤を形成する方法については、非特許文献2に記載されているが、ここに記載されている凍結を要する脱塩方法では、ゲル化させた状態でヌードル細断して水洗して脱塩する方法となり、長時間を要するだけでなく脱塩後の無機塩濃度もばらつきが生じやすく、化学増感に悪影響を与えやすい。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、ゼラチンを全く使用しない又は殆ど使用しないでハロゲン化銀乳剤を効率よく形成する製造方法、当該製造方法を用いたハロゲン化銀感光材料の製造方法、及び、抵抗値が改善された導電フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤の製造方法は、
総窒素原子含有量が4質量%以下の水溶性ポリマー(A)の存在下で、水溶性銀塩と水溶性ハロゲン化物とを混合することにより、ハロゲン化銀粒子を形成する粒子形成工程と、
総窒素原子含有量が4質量%以下の、カルボキシル基を有する水溶性ポリマー(B)の存在下で、前記ハロゲン化銀粒子を含有する液をpH4以下に下げて、前記ハロゲン化銀粒子を凝集させることにより、脱塩する脱塩工程とを有することを特徴とする。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤の製造方法においては、前記水溶性ポリマー(A)は、窒素原子を含有しない水溶性ポリマー(A1)を含有し、前記窒素原子を含有しない水溶性ポリマー(A1)が、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリアルキレンオキシド系ポリマー、水溶性セルロース系ポリマー、並びにヒドロキシル基、スルホン酸基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する水溶性ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種であることが、得られるハロゲン化銀感光材料のカブリの抑制及び膜物性を良好にする点から好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤の製造方法においては、前記カルボキシル基を有する水溶性ポリマー(B)は、カルボキシル基を有し且つ窒素原子を有しない水溶性ポリマー(B1)を含有し、前記カルボキシル基を有し且つ窒素原子を含有しない水溶性ポリマー(B1)が、(メタ)アクリル酸エステル系化合物、オレフィン系化合物、及び芳香族ビニル化合物から選択される疎水性モノマー由来の構成単位と、カルボキシル基を有するモノマー由来の構成単位とを含む共重合体、及びカルボキシメチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種であることが、脱塩効率が高く、ハロゲン化銀乳剤を効率よく形成することが可能な点から好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀感光材料の製造方法は、前記本発明のハロゲン化銀乳剤の製造方法を用いて、感光性ハロゲン化銀乳剤を調製する工程と、
得られた感光性ハロゲン化銀乳剤を含む塗布液を、支持体の少なくとも一方の面に塗布することにより感光性ハロゲン化銀乳剤層を形成する工程とを有する。
本発明に係るハロゲン化銀感光材料の製造方法においては、前記感光性ハロゲン化銀乳剤を含む塗布液が、アセトアセチル基を有する水溶性ポリマー及び紅藻類に由来する天然高分子多糖類の少なくとも1種を含有することが、感光性ハロゲン化銀乳剤層を効率よく形成する点から好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀感光材料の製造方法は、導電フィルム用ハロゲン化銀感光材料の製造方法として好適に用いられる。
本発明に係る導電フィルムの製造方法は、支持体の少なくとも一方の面に導電部を有する導電フィルムの製造方法であって、
前記本発明に係るハロゲン化銀感光材料の製造方法を用いて、ハロゲン化銀感光材料を調製する工程と、
得られたハロゲン化銀感光材料に、パターン露光、及び現像処理を行うことにより、メッシュパターン状の導電部を形成する導電部形成工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、ゼラチンを全く使用しない又は殆ど使用しないでハロゲン化銀乳剤を効率よく形成する製造方法、当該製造方法を用いたハロゲン化銀感光材料の製造方法、及び、抵抗値が改善された導電フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法により得られるハロゲン化銀感光材料の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の製造方法により得られる導電フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
I.ハロゲン化銀乳剤の製造方法
本発明に係るハロゲン化銀乳剤の製造方法は、総窒素原子含有量が4質量%以下の水溶性ポリマー(A)の存在下で、水溶性銀塩と水溶性ハロゲン化物とを混合することにより、ハロゲン化銀粒子を形成する粒子形成工程と、
総窒素原子含有量が4質量%以下の、カルボキシル基を有する水溶性ポリマー(B)の存在下で、前記ハロゲン化銀粒子を含有する液をpH4以下に下げて、前記ハロゲン化銀粒子を凝集させることにより、脱塩する脱塩工程とを有することを特徴とする。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤の製造方法においては、ゼラチンのような窒素原子を有する水溶性ポリマーが含まれない又は特定値以下の少量で含まれる、総窒素原子含有量が4質量%以下の水溶性ポリマー(A)の存在下で、ハロゲン化銀粒子を形成し、且つ、同様に総窒素原子含有量が4質量%以下のカルボキシル基を有する水溶性ポリマー(B)の存在下でpHを特定値以下に下げて、前記水溶性ポリマー(B)が不溶化する際にハロゲン化銀粒子を凝集させる工程を有することから、ゼラチンを全く使用しない又は殆ど使用しないでハロゲン化銀乳剤を効率よく形成することができる。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤の製造方法においては、ゼラチンを全く使用しない又は殆ど使用しないでハロゲン化銀乳剤を効率よく形成することができることから、当該製造方法で得られたハロゲン化銀乳剤を用いると、ハロゲン化銀粒子の周囲に存在するバインダー中に窒素原子が含まれない又は窒素原子の含有量が低減された感光性ハロゲン化銀乳剤層を備えたハロゲン化銀感光材料を効率よく製造することができる。このようなハロゲン化銀粒子の周囲に存在するバインダー中に窒素原子が含まれない又は窒素原子の含有量が低減された感光性ハロゲン化銀乳剤層を備えたハロゲン化銀感光材料を用いて金属銀部を製造すると、バインダーの現像銀に対する吸着が抑制されて電流の流れが良好になり、十分に低い抵抗値が得られる。
抵抗値が改善された金属銀部を製造可能なことから、本発明に係るハロゲン化銀乳剤の製造方法は、より低い抵抗値が求められる金属銀部を製造する用途に適しており、導電フィルム用途、透明導電フィルム用途に特に好適に用いられる。
<粒子形成工程>
本発明における粒子形成工程は、前記特定の水溶性ポリマー(A)の存在下で、水溶性銀塩と水溶性ハロゲン化物とを混合することにより、ハロゲン化銀粒子を形成する工程である。
水溶性銀塩としては、例えば、硝酸銀等が挙げられ、公知の水溶性銀塩を用いればよい。
水溶性ハロゲン化物としては、例えば、臭化カリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のアルカリ金属のハロゲン化物など公知の水溶性ハロゲン化物を適宜選択して用いればよい。水溶性ハロゲン化物は、製造したいハロゲン化銀粒子の態様に合わせて、適宜混合して用いても良い。水溶性銀塩も、水溶性ハロゲン化物も、通常、水溶液として用いられる。
いわゆる保護コロイドポリマーとして粒子形成工程で用いられる水溶性ポリマー(A)は、水溶性ポリマー(A)全量中に総窒素原子含有量が4質量%以下となるように、窒素原子を含有しない水溶性ポリマー(A1)を含有する。窒素原子を有する水溶性ポリマーを用いても良いが、水溶性ポリマー(A)全量中に総窒素原子含有量が4質量%以下となるように用いる。抵抗値が改善された金属銀部を製造可能な点からは、水溶性ポリマー(A)全量中の総窒素原子含有量は、3.5質量%以下であることが好ましく、更に3質量%以下であることが好ましく、より更に2質量%以下であることが好ましく、より更に1質量%以下であることが好ましく、特に窒素原子が含まれないことが好ましい。
なお、本発明において、水溶性ポリマーとは、23℃でpH7において、水に対する溶解度が0.1g/水100g以上のポリマーをいう。この溶解度は、水溶性ポリマー0.1gの粉末を23℃の水100gに添加してその温度で完全に溶解し得る場合だけでなく、室温の水100gに混合乃至膨潤させただけでは溶解しないが、加温(60〜100℃)して溶解させた後に、23℃に冷却しても析出しないポリマーも含まれる。
水溶性ポリマー(A)に用いられる、窒素原子を有しない水溶性ポリマー(A1)としては、上記溶解度を有し、且つ窒素原子を有しなければ、特に限定されることなく用いることができる。
このような窒素原子を含有しない水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリアルキレンオキシド系ポリマー、高分子多糖類、水溶性セルロース系ポリマー、並びにヒドロキシル基、スルホン酸基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する水溶性ポリマー等が挙げられる。なお、窒素原子を有しない水溶性ポリマー(A1)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
ポリビニルアルコール系ポリマーとしては、中でも、平均重合度が200〜6000であるものが好ましく、300〜4000であるものがより好ましい。また、ポリビニルアルコール系ポリマーとしては、中でも、水溶性が高くハンドリング性がよいことや他の水溶性ポリマーとの相溶性の点から、ケン化度が80%〜100%のものが好ましい。また、ポリビニルアルコール系ポリマーとしては、一部修飾されたポリビニルアルコール類も用いられ、例えば、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スルホン酸基含有ポリビニルアルコール、架橋性ポリビニルアルコール等が挙げられる。中でも例えば特許第5436637号公報に記載されたアセトアセチル変性ポリビニルアルコールは活性メチレン基を分子中に有し、常温付近で架橋剤と架橋反応が進行することから特に好ましく用いられる。
ポリアルキレンオキシド系ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレン−プロピレンオキシド類等が挙げられる。
高分子多糖類としては、特に硬藻類に由来する天然高分子多糖類が好ましく、具体的には例えば、寒天、カラーギーナン(κ−、ι−、λ−等)等が挙げられる。
水溶性セルロース系ポリマーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
ヒドロキシル基、スルホン酸基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する水溶性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、スチレンスルホン酸、ビニル安息香酸、マレイン酸等の単量体の単独重合体又は共重合体、及び前記単量体とは別の窒素を含有しない単量体との共重合体等が挙げられる。また、これらの酸は、ナトリウム塩のようなアルカリ金属塩になっていても良い。なお、本発明において用いられる共重合体は、特に定めない限り、構成単位の配列は限定されず、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
前記単量体とは別の窒素を含有しない単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系化合物、イソブテン、ビニルシクロへキサン、プロペン等のオレフィン系化合物、スチレン等の芳香族ビニル化合物、シクロへキセン等の環状オレフィン系化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ヒドロキシル基、スルホン酸基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸とメチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸とエチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸とスチレンの共重合体、マレイン酸とスチレンの共重合体、マレイン酸とイソブテンの共重合体、マレイン酸と(メタ)アクリル酸の共重合体、マレイン酸とメチルメタクリレートの共重合体、マレイン酸とエチルメタクリレートの共重合体、ポリビニル安息香酸、ビニル安息香酸と(メタ)アクリル酸の共重合体、ビニル安息香酸とビニルシクロヘキサンの共重合体、マレイン酸とスチレンとエチル(メタ)アクリレートの共重合体、ポリスチレンスルホン酸、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレートの共重合体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記共重合体において、ヒドロキシル基、スルホン酸基及びカルボキシル基を有する単量体の共重合割合は、30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることが好ましい。前記共重合体において、ヒドロキシル基、スルホン酸基及びカルボキシル基を有する単量体は2種以上混合して用いても良いし、前記単量体とは別の窒素を含有しない単量体も2種以上混合して用いても良い。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートはメタクリレート及びアクリレートの各々を表し、(メタ)アクリル酸はメタクリル酸及びアクリル酸の各々を表す。
前記窒素原子を含有しない水溶性ポリマー(A1)としては、中でも、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリアルキレンオキシド系ポリマー、水溶性セルロース系ポリマー、並びにヒドロキシル基、スルホン酸基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する水溶性ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種であることが、得られるハロゲン化銀感光材料のカブリの抑制及び膜物性を良好にする点から好ましい。中でも、導電フィルム用途等、より低い抵抗値が求められる金属銀部が必要な用途に用いる場合に、より低い抵抗値を実現しやすい点から、前記窒素原子を含有しない水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール系ポリマーまたはポリアルキレンオキシド系ポリマーの少なくとも1種を用いることがより好ましく、特に、ハロゲン化銀粒子の保護コロイド性を高めハロゲン化銀粒子形成時の凝集を軽減する観点からは、ポリビニルアルコール系ポリマーの少なくとも1種を用いることがより好ましい。
水溶性ポリマー(A)の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、5,000〜500,000であることが好ましく、更に、10,000〜300,000であることが好ましく、更に10,000〜100,000であることが好ましい。水溶性ポリマー(A)の重量平均分子量が5,000以上であると、保護コロイドポリマーとしての機能が向上しやすい。一方、水溶性ポリマー(B)の重量平均分子量が500,000以下であると、液の粘度が高くなりすぎることを抑制できる。なお、ここでの重量平均分子量は、ゲルパーミエーション(GPC)測定によるポリスチレン換算値をいう。
窒素原子を有しない水溶性ポリマー(A1)は、粒子形成工程で用いられる水溶性ポリマー(A)全量中に総窒素原子含有量が4質量%以下となるように用いられることから、通常、水溶性ポリマー(A)全量中に70質量%以上で用いられる。中でも、導電フィルム用途等、より低い抵抗値が求められる金属銀部が必要な用途に用いる場合には、80質量%以上であることが好ましく、更に90質量%以上であることが好ましく、特に100質量%であることが好ましい。
また、窒素原子を有する水溶性ポリマーは、水溶性ポリマー(A)全量中に、総窒素原子含有量が4質量%以下となるように用いられていても良い。窒素原子を有する水溶性ポリマーとしては、例えば、アクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール及びそれらの誘導体モノマー、並びに、前記窒素原子を含まない単量体の誘導体でアミノ基、イミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、含窒素複素環基などの窒素原子を有する置換基を有する単量体の単独重合体または共重合体等が挙げられる。
窒素原子を有する水溶性ポリマーは、通常、水溶性ポリマー(A)全量中に30質量%以下で用いられるが、中でも、導電フィルム用途等、より低い抵抗値が求められる金属銀部が必要な用途に用いる場合には、20質量%以下であることが好ましく、更に10質量%以下であることが好ましく、特に含まれないことが好ましい。
水溶性ポリマー(A)の存在下で、水溶性銀塩と水溶性ハロゲン化物とを混合する工程は、公知の混合法により行うことができる。溶媒は水を用いることが好ましい。例えば、特開平5−2231号に記載の液中混合法による粒子形成装置を用いて、例えば銀塩水溶液と、ハロゲン化物水溶液とを、銀電位や必要に応じてpHなどを制御した条件下で、水溶性ポリマー(A)の存在下で同時混合する。
前記水溶性ポリマー(A)の使用量はハロゲン化銀1モル当り1〜50g、好ましくは2〜30gである。水溶性ポリマー(A)の使用量が前記下限値以上であることにより、ハロゲン化銀粒子形成段階での粒子同士の凝集が抑制される。また、水溶性ポリマー(A)の使用量が前記上限値以下であることにより、次の脱塩工程での凝集阻害を抑制しやすい。
なお、前記水溶性ポリマー(A)は、ハロゲン化銀粒子形成の段階で、粒子径が増大してくるいわゆる粒子成長の段階で追加しても良いし、ハロゲン化物水溶液中に添加しておいて、硝酸銀水溶液やハロゲン化物水溶液の添加するにしたがってポリマー濃度の減少を部分的に補っても良い。
この粒子形成工程の水溶液の温度は20〜70℃、好ましくは30〜60℃で行う。また、pHは水溶性ポリマー(A)が凝集しない条件であれば特に限定されないが、好ましくは2〜8の酸性から中性領域で行われる。
銀電位は、銀塩化銀電極の比較電極に対して−100〜+200mVの範囲で行うのが好ましい。
また、この粒子形成工程ではIr、Rh、Feなどの金属錯体化合物を添加することが、階調コントロールや、好ましい相反則不軌特性を確保する点から好ましい。前記金属錯体化合物は、特に限定はされないが、例えば、銀1モルに対して0.001〜0.1ミリモルの範囲で用いられる。
<脱塩工程>
本発明における脱塩工程は、前記総窒素原子含有量が4質量%以下の、カルボキシル基を有する水溶性ポリマー(B)の存在下で、前記ハロゲン化銀粒子を含有する液をpH4以下に下げて、前記ハロゲン化銀粒子を凝集させることにより、脱塩する工程である。
水溶性ポリマー(B)の水に対する溶解度を低下させて凝集を起こさせ、形成されたハロゲン化銀粒子を静止沈降させて、上澄み液を排水することで不要な可溶性無機塩類を除去する。この工程により、ハロゲン化銀の粒子形成後、過剰の硝酸カリウムなどが除去される。
前記カルボキシル基を有する水溶性ポリマー(B)は、23℃でpH4以下において、水に対する溶解度が0.01g/水100g以下のものを選択して用いることが好ましい。カルボキシル基を有する水溶性ポリマーは2種以上混合して用いられても良い。カルボキシル基を有する水溶性ポリマーを2種以上混合して用いる場合にも、カルボキシル基を有する水溶性ポリマー(B)全体として、23℃でpH4以下において、水に対する溶解度が0.01g/水100g以下となるように選択して用いればよい。
前記カルボキシル基を有する水溶性ポリマー(B)の存在下で、前記ハロゲン化銀粒子を含有する液をpH4以下に下げて、前記ハロゲン化銀粒子を凝集させて、脱塩する工程を有することにより、ゼラチンを全く使用しない又は殆ど使用しないで、凍結法も用いることなく、ハロゲン化銀乳剤を効率よく形成することができる。
なお、前記水溶性ポリマー(A)がカルボキシル基を有する水溶性ポリマーである場合など、前記粒子形成工程を経て得られた前記ハロゲン化銀粒子を含有する液に、既にカルボキシル基を有する水溶性ポリマーが含まれている場合には、当該脱塩工程時に新たにカルボキシル基を有する水溶性ポリマーを追加しなくても良い。或いは、前記水溶性ポリマー(A)がカルボキシル基を有する水溶性ポリマーを含む場合であっても、当該脱塩工程で、更にカルボキシル基を有する水溶性ポリマーを追加しても良い。
当該脱塩工程に用いられる水溶性ポリマー(B)は、カルボキシル基を有する水溶性ポリマーから構成され、総窒素原子含有量が4質量%以下である。
当該脱塩工程に用いられる水溶性ポリマー(B)は、水溶性ポリマー(B)全量中に総窒素原子含有量が4質量%以下となるように、カルボキシル基を有し窒素原子を含有しない水溶性ポリマー(B1)を含有する。カルボキシル基を有し窒素原子を有する水溶性ポリマーを用いても良いが、水溶性ポリマー(B)全量中に総窒素原子含有量が4質量%以下となるように用いる。抵抗値が改善された金属銀部を製造可能な点からは、水溶性ポリマー(B)全量中の総窒素原子含有量は、3.5質量%以下であることが好ましく、更に3質量%以下であることが好ましく、より更に2質量%以下であることが好ましく、より更に1質量%以下であることが好ましく、特に窒素原子が含まれないことが好ましい。
水溶性ポリマー(B)に用いられる、カルボキシル基を有し且つ窒素原子を含有しない水溶性ポリマー(B1)としては、前記窒素原子を有しない水溶性ポリマー(A1)のうち、カルボキシル基を有するポリマーを適宜選択して用いることができる。
例えば、カルボキシメチルセルロースのような水溶性セルロース系ポリマー、及び(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸等のカルボキシル基を有する単量体と、前記単量体とは別の窒素を含有しない単量体との共重合体などが挙げられる。前記水溶性ポリマー(B)を、23℃でpH4以下において、水に対する溶解度が0.01g/水100g以下とし易いことから、前記共重合体としては、親水性基を有しない単量体と、カルボキシル基を有する単量体との共重合体が好適に用いられる。前記親水性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミド基、及びスルファモイル基から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
当該ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミド基、及びスルファモイル基から選ばれる少なくとも1種の親水性基を有しない単量体としては、疎水性単量体が好適に用いられる。当該疎水性単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、等の(メタ)アクリル酸エステル系化合物、イソブテン、ビニルシクロへキサン等のオレフィン系化合物、スチレン等の芳香族ビニル化合物、シクロへキセン等の環状オレフィン系化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記親水性基を有しない単量体乃至疎水性単量体と、カルボキシル基を有する単量体との共重合体において、前記親水性基を有しない単量体乃至疎水性単量体と、カルボキシル基を有する単量体との共重合割合(モル比)は、2/8〜8/2であることが好ましく、更に3/7〜7/3であることが好ましい。
脱塩効率が高く、ハロゲン化銀乳剤を効率よく形成することが可能な点から、前記カルボキシル基を有し且つ窒素原子を有しない水溶性ポリマー(B1)としては、(メタ)アクリル酸エステル系化合物、オレフィン系化合物、及び芳香族ビニル化合物から選択される疎水性モノマー由来の構成単位と、カルボキシル基を有するモノマー由来の構成単位とを含む共重合体、及びカルボキシメチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。中でも特に、脱塩効率が高く、ハロゲン化銀乳剤を効率よく形成することが可能な点から、(メタ)アクリル酸エステル系化合物、オレフィン系化合物、及び芳香族ビニル化合物から選択される疎水性モノマー由来の構成単位と、カルボキシル基を有するモノマー由来の構成単位とを含む共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。一方、導電フィルム用途等、より低い抵抗値が求められる金属銀部が必要な用途に用いる場合には、カルボキシメチルセルロースが、抵抗値がより低くなる傾向があることから、好適に用いられる。
カルボキシル基を有し且つ窒素原子を有しない水溶性ポリマー(B1)は、通常、水溶性ポリマー(B)全量中に75質量%以上で用いられるが、中でも、導電フィルム用途等、より低い抵抗値が求められる金属銀部が必要な用途に用いる場合には、80質量%以上であることが好ましく、更に90質量%以上であることが好ましく、特に100質量%であることが好ましい。
また、水溶性ポリマー(B)全量中に窒素原子含有量が4質量%以下となるように、カルボキシル基を有し窒素原子を有する水溶性ポリマーを用いても良い。カルボキシル基を有し窒素原子を有する水溶性ポリマーとしては、例えば、アクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール及びそれらの誘導体モノマー、並びに、前記窒素原子を含まない単量体の誘導体で置換基の中に窒素原子を含む単量体と、カルボキシル基を有する単量体との共重合体、ゼラチン等が挙げられる。
このようなカルボキシル基を有し窒素原子を有する水溶性ポリマーは、通常、水溶性ポリマー(B)全量中に25質量%以下で用いられるが、中でも、導電フィルム用途等、より低い抵抗値が求められる金属銀部が必要な用途に用いる場合には、20質量%以下であることが好ましく、更に10質量%以下であることが好ましく、特に含まれないことが好ましい。
水溶性ポリマー(B)の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、5,000〜500,000であることが好ましく、更に、10,000〜300,000であることが好ましい。水溶性ポリマー(B)の重量平均分子量が5,000以上であると、十分な凝集性が得られやすい。一方、水溶性ポリマー(B)の重量平均分子量が500,000以下であると、脱塩時に局所的な凝集が発生したり、液の粘度が高すぎて脱塩終了後の再分散が不十分になり難い。
脱塩工程における、前記カルボキシル基を有する水溶性ポリマー(B)の使用量は、ハロゲン化銀1モル当り、2〜30gであることが好ましい。前記水溶性ポリマー(A)においてカルボキシル基を有する水溶性ポリマーが含まれる場合には、脱塩工程時に、更にカルボキシル基を有する水溶性ポリマーを添加しなくても、或いは更に添加しても、pH4以下に下げる際に、上記使用量になるように用いることが好ましい。
pH4以下とするが、最適なpHは、水溶性ポリマーの種類、濃度、ハロゲン化銀粒子径、密度によっても異なるため、適宜選択すればよい。pHは3以下とすることが好ましく、2.5以下とすることが特に好ましい。下限は概ね1である。pHを十分下げても、十分な凝集性が得られない場合、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化カルシウムなどの多価金属の水溶性化合物を併用してイオン強度を上げて、凝集性を促進改善しても良い。
pH4以下とするには、硫酸、硝酸、クエン酸などの水溶液が用いられる。
ハロゲン化銀粒子を含有する液をpH4以下に下げて、前記水溶性ポリマー(B)を凝集させて、ハロゲン化銀粒子を静置沈降させて上澄み液を排水することで、可溶性塩類を脱塩する操作は、通常繰り返し行われる。
1回目の排水後、通常、再度イオン交換水などを加水、及び、水溶性ポリマー水溶液を添加して、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液等でpHを6.0以上に上げてハロゲン化銀粒子を再分散した後、再度pHを4以下に下げて、前記水溶性ポリマー(B)を凝集させて、ハロゲン化銀粒子を静置沈降させて排水する(第2排水)。当該操作は必要に応じてさらに繰り返される。必要な回数は、排水量の比率や元々の過剰塩濃度などで適宜決定すればよい。当該可溶性塩類を脱塩する操作は、可溶性塩類の濃度が、粒子形成直後の1/10〜1/100になる範囲で行われることが好ましい。
このような凝集、沈降させて上澄み液を排水する方法は、排水量がコントロールできるので残留する過剰塩の濃度がコントロールしやすい点から好ましい。
なお、当該脱塩工程の温度は、20〜50℃で行うことが好ましい。
<その他の工程>
本発明に係るハロゲン化銀乳剤の製造方法においては、更に、公知のその他の工程を含んでいても良い。特に感光性ハロゲン化銀乳剤として用いる場合には、増感の目的で、通常、増感処理工程が行われる。
増感処理としては、最適な感度・階調を得るために、適宜公知の方法を選択して用いればよく、特に限定されるものではない。例えば、チオ硫酸ナトリウムなどによる硫黄増感、セレン化合物によるセレン増感、金錯体による金増感などの増感処理が挙げられる。
また、パターン露光する光の波長が、ハロゲン化銀の固有増感域を超える場合には、それに応じた増感色素を使用することも可能である。増感色素は写真業界で公知の多数の増感色素の中から適宜選択される。
また、パターン露光する光の波長が、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層に含まれる感光性ハロゲン化銀の固有増感域を超える場合には、感光性ハロゲン化銀乳剤層は、それに応じた増感色素を添加することができる。増感色素は、例えば、写真業界で公知の多数の増感色素の中から適宜選択して用いることができる。
また、ハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀感光材料の感光性ハロゲン化銀乳剤層を形成する前および層形成後のプロセスでのカブリ抑制や感光性ハロゲン化銀の安定化のために安定剤が好ましく用いられる。安定剤としては、水溶性ハロゲン化物、含窒素複素環化合物、メルカプト化合物など、ハロゲン化銀乳剤の関連技術で公知の化合物を適宜選択して用いることができる。中でも好ましい安定剤は、メルカプト基を有する含窒素複素環化合物である。これらの安定剤は2種類以上を組み合わせて用いることもできる。安定剤の例を下記に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2016045459
安定剤は、化学増感終了後のハロゲン化銀乳剤に添加するのが一般的であるが、ハロゲン化銀粒子形成時、粒子形成後、後述するハロゲン化銀乳剤含有塗布液を調製段階に用いても良い。
安定剤の使用量は、安定剤の種類、ハロゲン化銀の組成、粒子径、および使用する工程で大きく変わるため、適宜選択して用いればよいが、ハロゲン化銀1モルあたり、概ね0.01〜50ミリモルである。特に化学増感終了後に用いる場合は、通常、ハロゲン化銀1モルに対して、0.2〜20ミリモルで用いられる。
このようにして得られる本発明のハロゲン化銀乳剤のハロゲン化銀としては、例えば、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀等が挙げられる。
前記ハロゲン化銀粒子の平均粒径は、特に限定はされないが、粒子を形成し易い点から、0.01μm以上であることが好ましく、0.02μm以上であることがより好ましい。また、前記ハロゲン化銀粒子の平均粒径は、導電フィルム用途等、より低い抵抗値が求められる金属銀部が必要な用途に用いる場合に、抵抗値が十分に低くなり易い点から、0.20μm以下であることが好ましく、0.10μm以下であることがより好ましい。
なお、本発明において、ハロゲン化銀粒子の平均粒径は、走査型又は透過型電子顕微鏡により観察し、投影面積(平板状粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円に換算したときの直径の平均(平均球円相当径)をいう。本明細書中に記載の粒子サイズは、走査型又は透過型電子顕微鏡を用いて粒子を観察して測定した前記直径の1000個を平均した値を用いている。
抵抗値が改善された金属銀部を製造可能な点からは、本発明のハロゲン化銀乳剤の製造方法において、前記水溶性ポリマー(A)及び前記水溶性ポリマー(B)の合計量に対して、前記水溶性ポリマー(A)及び前記水溶性ポリマー(B)が含有する総窒素原子含有量が4質量%以下であることが好ましく、更に2質量%以下であることが好ましく、より更に1質量%以下であることが好ましく、窒素原子が含まれないことが、好ましい。
また、本発明のハロゲン化銀乳剤の製造方法において、前記水溶性ポリマー(A)及び前記水溶性ポリマー(B)の他に、更に添加するポリマーがある場合においても、ハロゲン化銀乳剤中に含まれるポリマー全量に対して、総窒素原子含有量が4質量%以下となるように用いることが好ましい。中でも、更に添加するポリマーにおいても、総窒素原子含有量が4質量%以下の水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
本発明で製造されるハロゲン化銀乳剤中に含まれるポリマー全量に対して、総窒素原子含有量が4質量%以下であることが好ましく、更に2質量%以下であることが好ましく、より更に1質量%以下であることが好ましく、窒素原子が含まれないことが、抵抗値が改善された金属銀部を製造可能な点から好ましい。
II.ハロゲン化銀感光材料の製造方法
本発明に係るハロゲン化銀感光材料の製造方法は、前記本発明に係るハロゲン化銀乳剤の製造方法を用いて、感光性ハロゲン化銀乳剤を調製する工程と、
得られた感光性ハロゲン化銀乳剤を含む塗布液を、支持体の少なくとも一方の面に塗布することにより感光性ハロゲン化銀乳剤層を形成する工程とを有することを特徴とする。
本発明に係るハロゲン化銀感光材料の製造方法においては、前記本発明に係るハロゲン化銀乳剤の製造方法によりハロゲン化銀乳剤を調製することから、ハロゲン化銀粒子の周囲に存在するバインダー中に窒素原子が含まれない又は窒素原子の含有量が低減された感光性ハロゲン化銀乳剤層を備えたハロゲン化銀感光材料を効率よく製造することができる。このような感光性ハロゲン化銀粒子の周囲に存在するバインダー中に窒素原子が含まれない又は窒素原子の含有量が低減された感光性ハロゲン化銀乳剤層を備えたハロゲン化銀感光材料を用いて金属銀部を製造すると、バインダーの現像銀に対する吸着が抑制されて電流の流れが良好になり、十分に低い抵抗値が得られる。
抵抗値が改善された金属銀部を製造可能なことから、本発明に係るハロゲン化銀感光材料の製造方法は、より低い抵抗値が求められる金属銀部を製造する用途に特に適しており、導電フィルム用途、透明導電フィルム用途に好適に用いられる。
本発明に係る製造方法により得られるハロゲン化銀感光材料の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1は、本発明に係る製造方法により得られるハロゲン化銀感光材料の一例を模式的に示す断面図である。図1に示すハロゲン化銀感光材料10は、支持体11の一方の面に、感光性ハロゲン化銀乳剤層12を有する。
なお、本発明に係るハロゲン化銀感光材料の製造方法において、前記感光性ハロゲン化銀乳剤を調製する工程は、前記本発明に係るハロゲン化銀乳剤の製造方法と同様にして行うことができるのでここでの説明を省略する。前記感光性ハロゲン化銀乳剤を調製する工程においては、前記増感処理工程を含めることが好ましい。
<感光性ハロゲン化銀乳剤層を形成する工程>
(感光性ハロゲン化銀乳剤を含む塗布液調製工程)
まず、前記感光性ハロゲン化銀乳剤を調製する工程で得られた感光性ハロゲン化銀乳剤を含む塗布液を調製する。
当該塗布液中には、感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子の保持、成膜性のために、上記ハロゲン化銀乳剤が含有する以外の水溶性ポリマーを更に含有することができる。そのような水溶性ポリマーとしては、前記した水溶性ポリマーから適宜選択して用いればよい。更に追加するポリマーにおいても、塗布液中に含まれるポリマー全量に対して、総窒素原子含有量が4質量%以下となるように、用いることが好ましい。中でも、更に追加するポリマーにおいても、総窒素原子含有量が4質量%以下の水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
中でもアセトアセチル基を有する水溶性ポリマー及び紅藻類に由来する天然高分子多糖類の少なくとも1種を含有することが、感光性ハロゲン化銀乳剤層を効率よく形成する点から好ましい。
特許公報5436637号公報に記載されたアセトアセチル変性ポリビニルアルコールや米国特許3904418号に記載されたアセトセチル基を有する水溶性ポリマーなどは、感光性ハロゲン化銀乳剤層を効率的に架橋できる点から特に好ましく用いられる。
また、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層を形成する際には、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層形成用塗布液をいったん冷却してセット(ゲル化)させることが好ましい。本発明において、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層を形成する際に、塗布液をゲル化させる場合には、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層が低温セット性を付与するポリマーを含有することが好ましい。ここで、低温セット性とは、冷却することによりセット(ゲル化)する性能をいう。本発明においては、低温セット性を有するゼラチンを全く用いず又は少量しか用いずに感光材料を製造することが好ましいことから、中でも、塗布液中に紅藻類に由来する天然高分子多糖類を含有させることが好ましい。前記紅藻類に由来する天然高分子多糖類は、塗布液を低温でゲル化させる作用があり、ゼラチン同様に層を高速乾燥させるのに適しているからである。
前記紅藻類に由来する天然高分子多糖類は、ゼラチンよりも低濃度でゾルゲル変換し、塗布液全量に対して1質量%以下でもセットが可能である。感光性ハロゲン化銀乳剤層形成用塗布液全量に対する前記天然高分子多糖類の含有量は、連続塗布の安定性に優れ、塗布液の不要なゲル化を抑制し、感光材料の生産安定性に優れる点から、0.15〜0.6質量%であることが好ましく、0.2〜0.5質量%であることがより好ましい。前記天然高分子多糖類の塗布液中の含有量が前記下限値以上であることにより、塗布液を冷却した際のゲル強度に優れ、低温セット性が十分になり、乾燥ムラが抑制される。前記上限値以下であることにより、塗布液の粘度が良好になり、局所的な冷却でゲル状物質が出やすくなったり、筋ムラが発生するなどの不具合を抑制する。
塗布液を冷却セットしたときの層表面の増粘性は、概ね15℃で5000mPa・s以上であることが、乾燥ムラが抑制される点から好ましい。ここで、15℃という温度は、乾燥初期に塗膜に低湿の乾燥風を当てたときに、水分蒸発による気化熱による温度低下から、塗膜表面の温度が概ねこの付近になることが多いためである。
紅藻類に由来する天然高分子多糖類を含有する塗布液においては、塗布液1LあたりK、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Co2+、Ni2+からなる群から選ばれるカチオンの総量を10ミリモル以上含有することが、低温セット性の点から好ましい。このような金属イオンを添加しておくと、より低い天然高分子多糖類の濃度でも目的とする低温ゲル化性が得られる。また、これらの金属イオンの含有量は、200ミリモル以下であることが好ましく、100ミリモル以下であることがより好ましい。これらの金属イオンの含有量が前記上限値以下であることにより、低温増粘性の低下及びポリマー混合物の凝集が抑制される。
また、低温セット性を有する塗布液としては、ポリビニルアルコールと、シリカ、アルミナ水酸化物等の表面に水酸基を有する無機微粒子と、ホウ酸とを含有する塗布液を挙げることもできる。
感光性ハロゲン化銀乳剤層において、水溶性ポリマーの総量は、銀1モル当り、概ね10〜50gであることが好ましい。そのため、塗布液においても、水溶性ポリマーの総量は、銀1モル当り、概ね10〜50gとすることが好ましい。
10g未満の場合、ハロゲン化銀に対する保護コロイド性が低下して皮膜脆弱性が低下し、製造工程やハンドリング中に皮膜が折れやすくなったり、粒子同士の作用でカブリが生じて当該感光材料を用いた導電フィルムの透過率が下がったりしやすい。50gを超えると導電フィルムの抵抗値上昇が増大しやすい。水溶性ポリマーの総量は、銀1モル当り、15〜30gであることが更に好ましい。
塗布液中には、前記水溶性ポリマー以外に疎水性ポリマーを一部含有することもできる。そのような疎水性ポリマーは、前記水溶性ポリマーと混合性の観点から、好ましくは疎水性モノマーを乳化重合して得られるラテックスエマルジョンが挙げられる。そのような疎水性ポリマーの含有量は、現像処理速度の観点から、前記水溶性ポリマーに対して50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
塗布液中には、必要に応じて架橋剤を含有していてもよい。なお、本発明において用いられる架橋剤には、写真感光材料の分野において硬膜剤と呼ばれるものが含まれる。前記架橋剤は、使用するバインダー成分に応じて適宜選択して用いることができ、特に限定はされないが、例えば、アルデヒド系、N−メチロール系、ビニルスルホン系、アクリロイル系、エポキシ系、ジクロロトリアジン系、エチレンイミノ系、カルボジイミド系、グリオキシルエステル系等の架橋剤が挙げられる。また、バインダー成分としてヒドロキシル基含有ポリマーを用いる場合は、アルデヒド系架橋剤、エポキシ系架橋剤を好ましく用いることができる。
好ましい架橋剤としては、具体的には例えば、下記式H−1〜H−15で表されるものを挙げることができる。なお、下記式H−15で表される化合物としては、中でも、R、Rが各々独立に炭素数1〜10のアルキル基であり、Rが水素である化合物が好ましい。
Figure 2016045459
Figure 2016045459
前記架橋剤の含有量は、塗布液に含まれるポリマーの種類によって適宜調整され、特に限定はされないが、塗布液に含まれるポリマー全量に対して、2〜20質量%であることが好ましい。中でも、前記架橋剤の種類及び含有量は、本発明で製造されるハロゲン化銀感光材料の膨潤度が0.8〜3の範囲内となるように調整することが好ましい。ここで膨潤度とは、本発明で製造されるハロゲン化銀感光材料を25℃の純水に1分間浸漬したときの吸水量(質量)を支持体に対して感光性ハロゲン化銀乳剤層側に含まれるポリマー(合計質量)で割ったものである。
また、塗布液中には、光吸収性能を有する染料及び/又は顔料を含有することができる。形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層が、光吸収性能を有する染料及び/又は顔料を含有する場合には、パターン露光をする際に、感光性ハロゲン化銀乳剤層中で支持体から反射してくる光によるハレーションが生じることを防止することができる。そのような染料及び顔料としては、後述する光吸収層が含有し得るものと同様のものを用いることができる。
また、塗布液中には、形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層自体のイラディエーションを抑制する染料を含有してもよい。
(前記塗布液を支持体の少なくとも一方の面に塗布する工程)
本発明に用いられる支持体としては、用途に応じて適宜選択したものを用いることができ、可視光領域における透過率が80%以上の透明支持体であってもよいし、80%未満の半透明又は不透明の支持体であってもよい。
透明支持体の材料としては、具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ガラスなどを挙げることができる。
半透明又は不透明の支持体としては、例えば、紙、白色フィルム(白色ポリエチレンテレフタレートなどの白色顔料や気泡を含有する各種フィルム等)、薄膜金属、紙や金属フィルムと樹脂をラミネートした支持体等が挙げられる。
前記支持体の厚みは、特に限定はされないが、10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは20〜100μmである。
前記支持体の含水量は、特に限定はされないが、好ましくは0.01〜2質量%であり、より好ましくは0.05〜1質量%である。支持体の含水量が前記下限値以上であることにより、後述する架橋剤による架橋反応の反応性が向上し、前記上限値以下であることにより、感光材料をロール状に巻き取って保管した場合に感光材料中の含水率が極端に高くなることを抑制し、裏面との付着を抑制できる。
支持体の表面には、乳剤層やその他の親水性層との間に、乾燥時や液処理時の膜付きを確保するためにコロナ放電、グロー放電、プラズマ処理、火炎処理などの表面処理を施したり、さらに表面処理した上に接着層(下引き層)を設けてもよい。下引き層は2層以上であってもよく、支持体に接する側には比較的疎水性の高いラテックス層を設け、感光性ハロゲン化銀乳剤層側には、架橋性ポリマー層を設けることが好ましい。
下引き層の合計厚みは、特に限定されないが、例えば、0.05〜0.3μmとすることができる。
なお、下引き層は支持体の両面に設けることもできる。
支持体の少なくとも一方の面に塗布する方法としては、公知の塗布法を適宜選択して用いることができる。塗布方法としては、例えば、カーテン塗布、エアーナイフ塗布、ディップ塗布、リバースロール塗布、ビード塗布、押し出し塗布等が挙げられ、中でも、スライドビード塗布、スライドカーテン塗布が高生産性の観点から好ましい。
塗布速度は、特に限定されないが、一般に10〜1000m/mであり、好ましくは20〜500m/mである。
(感光性ハロゲン化銀乳剤層の形成工程)
前記塗布液を塗布する工程を経て、得られた塗膜は、必要に応じて冷却してセット(ゲル化)させ、加熱して乾燥することにより、感光性ハロゲン化銀乳剤層を形成することができる。中でも、塗布液を塗布した後、得られた塗膜をいったん冷却してセット(ゲル化)させ、塗膜表面を非接触で搬送しながら乾燥する方式が、高生産性の観点で好ましい。なお、塗膜をゲル化させるためには、低温セット性を有する塗布液を用いる。
塗布液をゲル化させる際の温度、及び乾燥する際の温度は、塗布液に含有するポリマーの種類に応じて適宜調整される。塗布液が低温セット性を有しない場合、塗膜表面にムラを発生させないために低風量の乾燥で行うが、塗布液が低温セット性を有する場合には、塗布液の乾燥は、風による塗膜表面のムラが大きく軽減するために大きな風量で乾燥することができる。
このようにして得られる感光性ハロゲン化銀乳剤層は、少なくとも感光性ハロゲン化銀粒子と、水溶性ポリマーとを含有し、必要に応じて、添加剤を含有する。
感光性ハロゲン化銀乳剤層において、前記感光性ハロゲン化銀粒子の含有量は、特に限定はされないが、銀に換算して、感光性ハロゲン化銀乳剤層1mあたり、0.5〜10gであることが好ましく、より好ましくは1〜5gである。
このようにして得られる本発明に係る感光性ハロゲン化銀乳剤層は、感光性ハロゲン化銀乳剤層に含まれるポリマー全量に対して総窒素原子含有量が4質量%以下であり、且つ、前記バインダー成分の合計含有量が銀1g当たり0.2g〜1.0gであるようにすることが、好ましい。特にゼラチンは窒素原子含有量が多いことから、ゼラチンを用いた場合であっても、感光性ハロゲン化銀乳剤層におけるゼラチンの含有量が、銀1gあたり0.1g以下とすることが好ましい。
本発明においては、ハロゲン化銀乳剤の製造時にゼラチンを全く使用しない又は殆ど使用しないでハロゲン化銀乳剤を効率よく形成する製造方法を用いることから、バインダー成分を十分に含有させても、抵抗値が改善された、導電フィルム、透明導電フィルムを得ることができる。従来のハロゲン化銀感光材料を用いて得られる導電フィルムは、抵抗値を低くするためにバインダー含有量を減らすとカブリや膜が脆弱になり、カブリや膜の脆弱性の観点からバインダーの含有量を調整すると、抵抗値が十分に下がらないという問題があったが、本発明で製造されるハロゲン化銀感光材料は、バインダー成分の合計含有量を上記所定の範囲内とすることができ、これにより、抵抗値が改善された導電フィルムを形成可能でありながら、カブリが生じ難く、且つ膜物性が良好になる。なお、カブリとは、光の吸収によらずに現像中心が形成され、未露光部分が現像することにより黒化することをいう。
このように、抵抗値が改善された金属銀部を製造可能なことから、本発明に係るハロゲン化銀感光材料の製造方法は、より低い抵抗値が求められる金属銀部を製造する用途に特に適しており、導電フィルム用途に好適に用いられる。また、カブリが生じ難く透過率が高くなることから、透明導電フィルム用途としても特に好適に用いられる。
<その他の層>
本発明で製造されるハロゲン化銀感光材料は、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層を支持体上に少なくとも1層有するものであり、この感光性ハロゲン化銀乳剤層は2層以上あっても良い。2層以上の感光性ハロゲン化銀乳剤層を有する場合、それぞれの感光性ハロゲン化銀乳剤層が含有する成分は同じであってもよく異なっていても良い。また、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層は支持体の両側に設けることもできる。
また、本発明で製造されるハロゲン化銀感光材料は、支持体及び感光性ハロゲン化銀乳剤層の他に、例えば光吸収層、保護層、非感光性銀乳剤層等の別の層を任意に設けることができる。本発明において、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層以外の層は、当該層を形成するための塗布液を塗布し、必要に応じて、当該塗布液を冷却してセット(ゲル化)させ、加熱して乾燥することにより形成することができる。塗布方法としては、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層を形成する際の塗布方法と同様の方法を用いることができる。また、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層以外の層用の塗布液は、1層ずつ塗布しても良いし、複数層を同時に塗布することもできる。前記感光性ハロゲン化銀乳剤層用の塗布液と、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層以外の層用の塗布液とを同時に塗布してもよい。
当該任意の層を更に設ける方法としては、上記方法に限定されず、適宜公知の方法を選択して用いればよい。
(光吸収層)
光吸収層は、パターン露光する際に用いられる光を吸収する層であり、例えば、支持体(下引き層を設けた場合には下引き層)と感光性ハロゲン化銀乳剤層との間に設けることができる。これにより、パターン露光をする際に支持体から反射してくる光を抑制して、画像の鮮鋭性を改善することができる。
前記光吸収層は、光学濃度が0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。なおここで、光学濃度とは、パターン露光する際の露光の主波長光における光学透過濃度をいう。例えば、パターン露光する際に、主波長365nmの紫外線を照射した場合は、前記光学濃度は、波長が365nmの光における光吸収層の光学透過濃度である。
光吸収層は、例えば、パターン露光する際の露光波長の光を吸収するフィルター染料もしくは顔料、バインダー成分及び各種添加剤を含有するものとすることができる。光吸収層に含まれるフィルター染料もしくは顔料としては、パターン露光する光が紫外線である場合には、紫外線吸収性の染料もしくは顔料を用いることが好ましい。光吸収層に用いられるバインダー成分としては、例えば、ゼラチン、並びにポリビニルアルコール、ポリアルキレンポキシド等の前記感光性ハロゲン化銀乳剤層に用いられる非ゼラチン系水溶性ポリマー、ビニルピロリドン、アクリルアミド、ビニルイミダゾール及びこれらの誘導体モノマーの単独重合体や、窒素原子非含有モノマーとの共重合体等の窒素原子を含有する疎水性ポリマー等が挙げられる。
なお、光吸収層に用いられるバインダー成分は、水溶性ポリマーの含有量がバインダー成分合計量の50質量%以上であることが好ましい。
また、光吸収層に含まれるバインダー成分は、ゼラチンを銀1gあたり0.1g超過で含有してもよく、また、バインダー成分中の総窒素原子含有量が4質量%超過であってもよい。
(保護層)
保護層は、例えば、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層の支持体とは反対側の面に設けることができる。保護層は、バインダー成分及び各種添加剤を含有する層とすることができる。本発明においては、保護層を設けることにより、導電フィルムの圧力カブリを軽減することができる。保護層は、例えば0.01g/m〜1g/mとなる厚さにすることができる。また、保護層に含まれるバインダー成分としては、前記光吸収層で用いられるバインダー成分と同様のものを用いることができる。
(非感光性銀乳剤層)
非感光性銀乳剤層は、例えば、支持体(下引き層を設けた場合には下引き層)と感光性ハロゲン化銀乳剤層との間に設けることができ、現像処理時に銀の一部が可溶化して拡散し、感光性ハロゲン化銀乳剤層で形成された銀に物理現像として沈積させることにより、抵抗値をより低くすることができる。なお、本発明で製造されるハロゲン化銀感光材料が前記光吸収層を有する場合は、支持体側から、光吸収層、非感光性銀乳剤層、感光性ハロゲン化銀乳剤層の順に各層を有することが、前記各層により発揮される性能に優れる点から好ましい。
非感光性銀乳剤層は、例えば、非感光性銀塩及びバインダー成分を含有する層とすることができる。非感光性銀塩としては、例えば、パターン露光する際の光では感光しない、べヘン酸銀、ベンゾトリアゾール銀等の有機銀塩、減感色素により減感処理されたハロゲン化銀等が挙げられる。非感光性銀乳剤層に含まれるバインダー成分としては、前記光吸収層で用いられるバインダー成分と同様のものを用いることができる。
本発明で製造されるハロゲン化銀感光材料は、露光を施し現像処理して得られる、露光量の常用対数に対する光学濃度の特性曲線において、光学濃度0.5の点と最大濃度−0.5の点の傾きが2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。これにより、硬調な階調となり、画像滲みを軽減することができる。
また、前記特性曲線を得る際に行われる露光として、光楔露光を行うことができる。光楔露光は、例えば、写真光学の基礎―銀塩写真編―375〜380頁((株)コロナ社発行 昭和54年1月30日発行)に記載されているような露光装置を用いて行うことができる。
また、本発明において、前記特性曲線で硬調な階調を得るためには、感光性ハロゲン化銀粒子の粒子径分布を狭くしたいわゆる単分散乳剤にする方法、粒子形成過程で、RhやIrなどの金属錯体化合物を極微量存在させる方法、化学増感を粒子表面に吸着する含窒素複素環化合物の存在下で行う方法など、種々の方法を適宜選択ないし組み合わせること等を行うことができる。前記単分散乳剤にする方法として、具体的には粒子形成中の銀電位や温度、添加パターンをコントロールする方法が挙げられる。
(添加剤)
本発明で製造されるハロゲン化銀感光材料を構成する各層は、必要に応じて、添加剤を含有することができる。添加剤としては、従来用いられている公知のものを使用することができ、例えば、安定剤、染料、顔料、増感色素、界面活性剤及び硬調化剤等が挙げられる。
安定剤は、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層の他、前記保護層、前記非感光性銀乳剤層等にも含有することができ、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層に用いられる安定剤と同様のものを用いることができる。
界面活性剤としては、分散性を向上する目的、及び塗布液の表面張力を調整する目的で、従来公知のものの中から適宜選択することができる。
硬調化剤としては、例えば、特開昭52−18317号公報等に記載のテトラゾリウム塩、特開昭60−83028号公報等に記載されたヒドラジウム塩等が挙げられる。
III.導電フィルムの製造方法
本発明に係る導電フィルムの製造方法は、支持体の少なくとも一方の面に導電部を有する導電フィルムの製造方法であって、
前記本発明に係るハロゲン化銀感光材料の製造方法を用いて、ハロゲン化銀感光材料を調製する工程と、
得られたハロゲン化銀感光材料に、パターン露光、及び現像処理を行うことにより、メッシュパターン状の導電部を形成する導電部形成工程を有することを特徴とする。
本発明に係る製造方法で得られる導電フィルムは、支持体の少なくとも一方の面に導電部を有する。
本発明に係る製造方法で得られる導電フィルムは、前記本発明に係る製造方法で得られるハロゲン化銀感光材料を用いて製造されるものであるため、抵抗値が改善されたものである。また、前記本発明に係る製造方法で得られるハロゲン化銀感光材料は、上述のように、カブリが生じ難いため透過率が高くなり、透明導電フィルムに適している。
図2は、本発明に係る製造方法で得られる導電フィルムの一例を模式的に示す断面図である。図2に示す導電フィルム20は、支持体21の一方の面に、パターン状の導電部22及び光透過性を有する非導電部23を有する。例えば、本発明に係るハロゲン化銀感光材料にパターン露光をする際に露光された部位が導電部22となり、露光されていない部位が非導電部23となる。
(パターン露光)
本発明に係る導電フィルムの製造方法において、パターン露光は、例えば、予め所定のメッシュパターンに作成されたマスクフィルムを、本発明で製造されるハロゲン化銀感光材料の感光性ハロゲン化銀乳剤層側表面に密着させ、露光することにより行われる。
前記メッシュパターンを構成する線幅は、特に限定はされないが、導電フィルムの透明性及び導電性の点から、1〜50μmであることが好ましく、3〜20μmであることがより好ましい。メッシュ間隔(ピッチ)は50〜1000μmであることが好ましく、80〜500μmであることがより好ましい。なお、メッシュ間隔(ピッチ)とは、メッシュパターンを構成する線と隣の線との間隔のことをいう。
また、パターン露光をする際には、露光に使用する光源を、本発明に係るハロゲン化銀感光材料に対して極力垂直方向になるようにすることが好ましい。
なお、前記パターン露光においては、例えば紫外線を照射することができ、光源としては、例えば高圧水銀ランプ、紫外線ランプ、レーザー等が挙げられる。また、照射エネルギーは、一般的には、0.001〜10mJ/cmであることが好ましく、0.01〜5mJ/cmであることがより好ましい。
(現像処理)
本発明に係る導電フィルムの製造方法において、パターン露光を行ったハロゲン化銀感光材料には、現像処理が施されて銀メッシュ像が得られる。現像処理は基本的に、(1)現像工程、(2)定着工程、(3)水洗工程、(4)乾燥工程の4つの工程からなる。(1)現像工程と(2)定着工程の間にはさらに、酢酸などの弱酸性水溶液への浸漬による停止、水洗工程等を、必要に応じて設けることができる。(3)水洗工程は、(1)現像工程と(2)定着工程で使用された処理液添加剤など、ハロゲン化銀感光材料に残留する薬品を洗い流す工程である。
本発明に用いられる現像液としては、従来公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、アルカリ(例えば炭酸カリウムなど)、現像主薬(例えばN―メチルーp−アミノフェノール、ハイドロキノン、1−フェニルー3−ピラゾリドンなど)、現像調整剤(例えば臭化カリウム、ベンゾトリアゾールなど)、保恒剤(例えば亜硫酸ナトリウムなど)を含む現像液を使用することができる。
(4)乾燥工程は、約40〜120℃の雰囲気で行われる。乾燥時間は通常30秒〜10分程度である。
(後処理)
前記導電部形成工程においては、前記現像処理後に、必要に応じて後処理を行ってもよい。後処理としては、導電部側表面の抵抗値を下げるために行われる、カレンダー処理、高温高湿条件での保管、物理現像、めっき処理等、並びに、非導電部の透明性を向上させるために行われる、カブリ銀を取り除くための酸化処理等が挙げられる。
本発明の製造方法により得られる導電フィルムは、例えば、ディスプレイ、タッチパネル、電磁波シールドフィルムなどに用いられる。本発明の製造方法により得られる導電フィルムは、各種電極(例えばタッチパネル用電極、無機EL素子用電極、有機EL素子用電極又は太陽電池用電極)、発熱シート、及びプリント配線基板などとしても使用することができる。
以下に本発明の実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りがない限り、「%」は「質量%」を意味する。
[実施例1]
1.ハロゲン化銀乳剤の製造
(1)粒子形成
下記A〜D液をそれぞれ調製した。
A液:イオン交換水2000mlに、臭化カリウム0.8g、ポリビ二ルアルコール((株)クラレ製、PVA235、平均重合度 3500、ケン化度 88%)14g、消泡剤(下記式により表される化合物−1)10ml、を添加溶解し、イオン交換水を加えて2800mlにした(pH=6.0)。
B液:420gの硝酸銀を含有する水溶液1360ml
C液:288gの臭化カリウムと、0.01g六塩化イリジウム(IV)カリウム、及び0.007gの六塩化ロジウム(III)ナトリウム塩を含有する水溶液1360ml
D液:1規定濃度の臭化カリウム水溶液
Figure 2016045459

(式中、l、mは各構成単位のモル比を表し、l:mは20:80である。)
特開平5−2231号公報に記載の液中混合法による粒子形成装置を用い、35℃に保温した前記A液中に攪拌下、前記B液と前記C液を20分かけて一定流量で同時混合し、臭化銀微粒子乳剤を形成した。粒子作成中の温度は35±1℃とし、銀電位が銀塩化銀電極の比較電極に対して10±5mVになるように、前記D液を添加して制御した。
得られた臭化銀粒子の平均粒径は0.05μmであった。なお、臭化銀粒子の粒径は、投影面積(平板状粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円に換算したときの直径の平均(平均球円相当径)として求め、透過型電子顕微鏡を用いて粒子を観察して測定した前記直径の1000個を平均した値とした。
(2)脱塩
前記で得られた混合液を40℃に昇温し、下記式で表されるポリマー1(重量平均分子量60,000)の水溶液(5質量%)を280ml添加し、10質量%硫酸水溶液を添加して混合液のpHを1.8に下げた。粒子が凝集し、静置後上澄み液を排水し、温水を加えて40℃にして攪拌後、再度、10質量%硫酸水溶液を添加して混合液のpHを1.8に下げ、静置して上澄み液を排水した。更にイオン交換水を添加、撹拌後、再度10質量%硫酸水溶液を添加してpHを1.8に調整してから静置後、上澄み液を排水した。
これに変性ポリビニルアルコール(日本合成株式会社製、ゴーセノールGZ−410)の5%水溶液420mlを添加した後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを6.0に上げてから、50℃で攪拌再分散を行い、イオン交換水を加えて全量を2240mlにすることにより、臭化銀乳剤を得た。
Figure 2016045459
(3)化学増感
得られた臭化銀乳剤に1%チオ硫酸ナトリウム水溶液を9ml、1%の4塩化金酸水溶液を2ml、1%チオシアン酸アンモニウム水溶液の5mlを添加し、55℃で180分化学熟成を行って最適感度点まで増感したのち、前記ST−13の0.5%水溶液140mlを安定剤として添加し、イオン交換水を加えて全量を2660mlにすることにより、化学増感を施した臭化銀乳剤(ハロゲン化銀乳剤1)を得た。
得られた化学増感を施した臭化銀乳剤中のポリマー含有量は、ポリビニルアルコール:2.4g、ポリマー1:13.5g、変性ポリビニルアルコール21.0gで、銀の含有量は263g、カリウムイオン0.12モルであった。
2.ハロゲン化銀感光材料の製造
(1)感光性ハロゲン化銀乳剤層用塗布液1の調製
前記で得られた化学増感を施した臭化銀乳剤380mlに、下記の添加剤を45℃下で加えることにより、感光性ハロゲン化銀乳剤層用塗布液を得た。
・κ−カラギーナン(東京化成株式会社製) 1%水溶液 240ml
・架橋剤−1(日本合成株式会社製 Safelink SPM−01)の3%水溶液 20ml
・下記界面活性剤−1の5%溶液 10ml
・イオン交換水 120ml(全量で770ml)
得られた感光性ハロゲン化銀乳剤層用塗布液1の粘度は45℃で34mPa・s、15℃で15,000mPa・sであった。
Figure 2016045459
(2)バック層及び非感光性層の形成
下引き加工を施した厚さ100μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム支持体(含水率0.2質量%)上に、塗布液1Lあたり、アルカリ処理ゼラチン50g、水溶性紫外線吸収剤−1 10g、下記水溶性染料−2 12g、前記界面活性剤−1 5g、前記架橋剤H−7 3g を含有するバック層用塗布液をウェット膜厚が80μmになる用に塗布した後、5℃に冷却セットした後、30〜50℃で2分間で乾燥させてバック層を設けた。
前記PETフィルムのバック層が設けられた面とは反対側の面に、塗布液1L当り、アルカリ処理ゼラチン70g、水溶性紫外線吸収剤−1 10g、下記水溶性染料15g、下記紫外線吸収剤−2 22g(界面活性剤−1とゼラチンで乳化分散して添加)、前記界面活性剤−1 6g、下記界面活性剤−2 1g、前記架橋剤H−5 1.5gを含有する非感光性層用塗布液をウェット膜厚100μmで塗布し、バック層と同様に塗布乾燥した。
Figure 2016045459
Figure 2016045459
(3)感光性ハロゲン化銀乳剤層の形成
前記非感光性層の上に、上記で調製した感光性ハロゲン化銀乳剤層用塗布液1と保護層用塗布液(塗布液1L当り、ゼラチン15g、前記界面活性剤−2 0.5g、前記架橋剤 H−5 0.75g)をそれぞれウェット膜厚がそれぞれ85μm、10μmでスライドビード塗布方式により塗布し、5℃で冷却後、30〜50℃で2分間乾燥して、感光性ハロゲン化銀乳剤層及び保護層を形成した。乾燥終了後、45℃で2日間保存して硬膜させ、実施例1のハロゲン化銀感光材料を得た。
得られた感光材料の塗布銀量を原子吸光法で測定したところ、4.1g/mであった。
3.導電フィルムの製造方法
線幅が12μm、メッシュ間隔が300μm(開口率92%)のフォトマスクフィルムに、得られたハロゲン化銀感光材料の感光性ハロゲン化銀乳剤層側の面を密着させて、水銀ランプ(紫外線主波長365nm)を光源として、照射エネルギー0.1mJ/cmで、パターン露光を施し、下記条件で現像処理を行って、メッシュパターン状の導電部を有する導電フィルムを得た。
得られた導電フィルムの表面抵抗値と透過率を求めた。表面抵抗値は、三菱化学アナリテック株式会社製、ロレスタAX MCP−T370により測定した。
(現像処理の条件)
現像 25℃ 2分
停止 室温
定着 室温
水洗 流水で2分
乾燥 90℃で3分
(現像液)
下記の各成分に、イオン交換水を加えて1Lにした後、硫酸または水酸化カリウム水溶液でpH=10.2に調整することにより、現像液を得た。
イオン交換水 950ml
臭化カリウム 2.0g
亜硫酸カリウム 55g
ハイドロキノン 15g
N−メチル−p−アミノフェノール 2g
炭酸カリウム 55g
(停止液)
5%酢酸水溶液
(定着液)
下記の各成分に水を加えて1000mlにすることにより、定着液を得た。
水 600 ml
チオ硫酸ナトリウム 150g
亜硫酸ナトリウム 15g
酢酸(28%) 40ml
カリミョウバン 10g
[実施例2〜11]
実施例1において、粒子形成工程で使用した水溶性ポリマー(A)および、脱塩工程で使用した水溶性ポリマー(B)を、表1に示すように変更した以外は実施例1のハロゲン化銀乳剤1と同様にして、実施例2〜11のハロゲン化銀乳剤2〜11を製造した。実施例7においては、粒子形成工程で使用する水溶性ポリマー(A)としてカルボキシル基を有するポリマー1を使用し、脱塩時には追加のポリマーを添加することなく、カルボキシル基を有するポリマー1を水溶性ポリマー(B)としても用いた。実施例1のハロゲン化銀乳剤1と同様に、各乳剤に対して最適点まで化学増感を施した。
得られたハロゲン化銀乳剤2〜11を用いて、実施例1と同様にして、ハロゲン化銀感光材料2〜11を製造した。
また、得られたハロゲン化銀感光材料2〜11を用いて、実施例1と同様にして、導電フィルム2〜11を得た。実施例1と同様にして評価した表面抵抗値と透過率を、併せて表1に示す。
[比較例1〜3]
実施例1において、粒子形成工程で使用した水溶性ポリマー(A)および、脱塩工程で使用した水溶性ポリマー(B)を、表1に示すように変更した以外は実施例1のハロゲン化銀乳剤1と同様にして、比較例1〜3の比較ハロゲン化銀乳剤1〜3を製造した。
比較例1においては、脱塩時に水溶性ポリマー(B)を未使用で単にpHを2.2に低下させて製造した。実施例1のハロゲン化銀乳剤1と同様に、各乳剤に対して最適点まで化学増感を施した。
得られた比較ハロゲン化銀乳剤1〜3を用いて、実施例1と同様にして、比較ハロゲン化銀感光材料1〜3を製造した。
また、得られた比較ハロゲン化銀感光材料1〜3を用いて、実施例1と同様にして、比較導電フィルム1〜3を得た。実施例1と同様にして評価した表面抵抗値と透過率を、併せて表1に示す。
[比較例4]
実施例1において、臭化銀粒子形成後、脱塩工程前の液を−20℃で一晩放置して凍結させた後、10℃で解凍してゲルを得た。これを5mm角のヌードル状に断裁した後、10〜15℃の流水で3時間水洗した。このヌードルを再度加熱して均一溶液にした。このようにして得られた臭化銀乳剤に、実施例1と同様に1%チオ硫酸ナトリウム水溶液を9ml、1%の4塩化金酸水溶液を2ml、1%チオシアン酸アンモニウム水溶液の5mlを添加し、55℃で110分化学熟成を行って最適感度点まで増感したのち、前記ST−13の0.5%水溶液140mlを安定剤として添加し、微量のイオン交換水を加えて全量を5180mlにすることにより、化学増感を施した比較ハロゲン化銀乳剤4を得た。
実施例1と同様にして比較ハロゲン化銀乳剤4の740ml(この量は実施例1のハロゲン化銀乳剤1の380mlと同量の銀を含む)に、下記の添加剤を45℃下で加えることにより、比較感光性ハロゲン化銀乳剤層用塗布液4を得た。
・κ−カラギーナン(東京化成株式会社製) 1%水溶液 380ml
・アセトアセチル変成ポリビニルアルコール(日本合成株式会社製;Z−410)の5%水溶液 60ml
・架橋剤−1(日本合成株式会社製 Safelink SPM−01)の3%水溶液 20ml
・界面活性剤−1の5%溶液 12ml
・イオン交換水 20ml(全量で1232ml。実施例1は770ml)
得られた比較感光性ハロゲン化銀乳剤層用塗布液4の粘度は45℃で60mPa・s、15℃で8,000mPa・sであった。
実施例1と同様にしてバック層と非感光性層を塗布した基材の上に、実施例1と同様にして感光性ハロゲン化銀乳剤層と保護層を同時塗布した。感光性ハロゲン化銀乳剤層のウェット膜厚は実施例1の85μmを136μmに上げて、実施例1と同じ銀量となるようにして比較ハロゲン化銀感光材料4を作製した。塗膜面は弱い乾燥ムラが発生したが実施例1と同様に評価して、表1に示す結果を得た。
[比較例5]
比較例4と同様にして、比較感光性ハロゲン化銀乳剤層用塗布液5を得た。得られた比較感光性ハロゲン化銀乳剤層用塗布液5の粘度は、45℃で27mPa・s、15℃で2,000mPa・sであった。比較感光性ハロゲン化銀乳剤層用塗布液5は塗布後、冷却しても十分なセット性が得られず、乾燥工程で激しい乾燥ムラが発生し性能の評価が不能であった。
比較例4及び比較例5のハロゲン化銀乳剤の製造方法においては、ヌードル水洗で脱塩を行ったため、脱塩過程でのポリビニルアルコールや無機塩の残留量がばらついて塗布液粘度が大きく変化したものと考えられる。
Figure 2016045459

また、表1において、略号は以下の通りである。
PVA235:ポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA235、平均重合度 3500、ケン化度 88%)
アセトアセチル変性PVA:アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(日本合成株式会社製;Z−410
PEO:ポリエチレンオキシド(関東化学株式会社製、重量平均分子量20万)
κ−カラギーナン:東京化成株式会社製
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム:東ソー有機化学株式会社製 PS−5
CMC:カルボキシメチルセルロース(東京化成株式会社製)
PVP:ポリビニルピロリドン(東京化成株式会社製 K−90)
なお、使用したPVP中の総窒素原子含有量は12.6質量%であり、フタル化ゼラチン中の総窒素原子含有量は16.1質量%であった。
Figure 2016045459
本発明に係る実施例1〜11においては、ゼラチンを全く使用しないで、短時間で効率よくハロゲン化銀乳剤を製造することができた。本発明の製造方法で得られたハロゲン化銀乳剤を用いて製造されたハロゲン化銀感光材料を用いて導電フィルムを製造すると、抵抗値が25〜34Ω/□と顕著に低く、透過率が高い導電フィルムが得られることが明らかにされた。本発明の製造方法で得られたハロゲン化銀感光材料は、カブリが生じ難く、且つ膜物性が良好であったことから、透過率が高い導電フィルムが製造できた。
一方、粒子形成時に水溶性ポリマーとして、フタル化ゼラチンを使用し、脱塩時に単にpHを2.2に低下させて作成した乳剤を使用した比較例1では、抵抗値が2700Ω/□と高い値を示した。ゼラチンは使用しないが、窒素原子を有するポリマーであるポリビニルピロリドン(PVP)を水溶性ポリマー(A)中に100質量%で使用し、脱塩時は実施例1と同様の水溶性ポリマー(ポリマー1)を使用した比較例2でも、ゼラチンを使用したほどではないが、抵抗値が1200Ω/□と、1000Ω/□以上の高い値を示した。ゼラチンは、ポリマー中の窒素原子含有量が高いため、特に銀に吸着しやすく、電流の流れを阻害していることが推定された。また、粒子形成を実施例1と同様にPVA235を用いて行い、脱塩時にフタル化ゼラチンを使用した比較例3も、粒子形成時及び脱塩時の水溶性ポリマーとして100%ゼラチンを使用した比較例1ほどではないが、抵抗値が1800Ω/□と高い値を示した。
また、脱塩時に凝集法によらず、PVAのヌードル法によった比較例4では、抵抗値がやや高かった。解析の結果、これはセンシトメトメトリー評価および銀量分析の結果、最大露光域での現像銀量が低下しているためと考えられた。また、透過率が低い結果が得られたが、カブリが若干高く、これは脱塩時のハンドリング過程または、塗布乾燥時の圧力カブリ起因と推定された。比較例4及び5から、脱塩時に凝集法によらず、PVAのヌードル法によると、同じ操作を行っても、脱塩過程でのポリビニルアルコールや無機塩の残留量がばらついて、塗布液粘度が大きく変化しやすいことも明らかにされた。
[実施例12〜18、及び 比較例6〜7]
実施例1において、粒子形成工程で使用した水溶性ポリマー(A)および、脱塩工程で使用した水溶性ポリマー(B)を、表2に示すように変更した以外は実施例1のハロゲン化銀乳剤1と同様にして、実施例12〜18のハロゲン化銀乳剤12〜18、及び比較例6〜7の比較ハロゲン化銀乳剤6〜7を製造した。なお、使用したゼラチンの総窒素原子含有量は15.4質量%であった。
得られたハロゲン化銀乳剤12〜18、及び比較ハロゲン化銀乳剤6〜7を用いて、実施例1と同様にして、ハロゲン化銀感光材料12〜18、及び比較ハロゲン化銀感光材料6〜7を製造した。
また、得られたハロゲン化銀感光材料12〜18、及び比較ハロゲン化銀感光材料6〜7を用いて、実施例1と同様にして、導電フィルム12〜18、及び比較導電フィルム6〜7を得た。実施例1と同様にして評価した表面抵抗値と透過率を、併せて表2に示す。
Figure 2016045459

表中、窒素含有率は、各工程で用いられた水溶性ポリマー中の総窒素原子含有率を表す。
表2の結果から、粒子形成時のPVPや脱塩時のゼラチンを増量して水溶性ポリマー中の総窒素原子含有量を増量すると徐々に抵抗が増加する。しかしながら、水溶性ポリマー中の総窒素原子含有量が4質量%以内であれば大きな抵抗値の増加は抑制できることがわかる。
10 ハロゲン化銀感光材料
11 支持体
12 感光性ハロゲン化銀乳剤層
20 導電フィルム
21 支持体
22 導電部
23 非導電部

Claims (7)

  1. 総窒素原子含有量が4質量%以下の水溶性ポリマー(A)の存在下で、水溶性銀塩と水溶性ハロゲン化物とを混合することにより、ハロゲン化銀粒子を形成する粒子形成工程と、
    総窒素原子含有量が4質量%以下の、カルボキシル基を有する水溶性ポリマー(B)の存在下で、前記ハロゲン化銀粒子を含有する液をpH4以下に下げて、前記ハロゲン化銀粒子を凝集させることにより、脱塩する脱塩工程とを有する、ハロゲン化銀乳剤の製造方法。
  2. 前記水溶性ポリマー(A)は、窒素原子を含有しない水溶性ポリマー(A1)を含有し、前記窒素原子を含有しない水溶性ポリマー(A1)が、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリアルキレンオキシド系ポリマー、水溶性セルロース系ポリマー、並びにヒドロキシル基、スルホン酸基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する水溶性ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
  3. 前記カルボキシル基を有する水溶性ポリマー(B)は、カルボキシル基を有し且つ窒素原子を有しない水溶性ポリマー(B1)を含有し、前記カルボキシル基を有し且つ窒素原子を含有しない水溶性ポリマー(B1)が、(メタ)アクリル酸エステル系化合物、オレフィン系化合物、及び芳香族ビニル化合物から選択される疎水性モノマー由来の構成単位と、カルボキシル基を有するモノマー由来の構成単位とを含む共重合体、及びカルボキシメチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
  4. 前記請求項1〜3のいずれか一項に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法を用いて、感光性ハロゲン化銀乳剤を調製する工程と、
    得られた感光性ハロゲン化銀乳剤を含む塗布液を、支持体の少なくとも一方の面に塗布することにより感光性ハロゲン化銀乳剤層を形成する工程とを有する、ハロゲン化銀感光材料の製造方法。
  5. 前記感光性ハロゲン化銀乳剤を含む塗布液が、アセトアセチル基を有する水溶性ポリマー及び紅藻類に由来する天然高分子多糖類の少なくとも1種を含有する、請求項4に記載のハロゲン化銀感光材料の製造方法。
  6. ハロゲン化銀感光材料が導電フィルム用である、請求項請求項4又は5に記載のハロゲン化銀感光材料の製造方法。
  7. 支持体の少なくとも一方の面に導電部を有する導電フィルムの製造方法であって、
    前記請求項4〜6のいずれか一項に記載のハロゲン化銀感光材料の製造方法を用いて、ハロゲン化銀感光材料を調製する工程と、
    得られたハロゲン化銀感光材料に、パターン露光、及び現像処理を行うことにより、メッシュパターン状の導電部を形成する導電部形成工程を有することを特徴とする、導電フィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110274991A (zh) * 2019-03-15 2019-09-24 暨南大学 温室大棚蔬菜吸收邻苯二甲酸酯的评价方法及其在人体健康风险预测中的应用

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