JP2016045372A - 赤外光吸収剤、赤外光カットフィルタ、固体撮像素子及び撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】撮像性能を低下させることなく、モジュールを薄型化することが可能な赤外光吸収剤、赤外光カットフィルタ、固体撮像素子及び撮像装置を提供する。【解決手段】600〜1500nmの波長域に存在する主励起状態に起因する第1吸収をBII、400〜600nmの波長域における第1吸収と分子振動との間の振電相互作用に関する吸収をBI、第1吸収と振動相互作用する分子振動のエネルギーを<φ(BI)|H^v|φ(BII)>としたとき、第1吸収強度と振電相互作用による吸収強度の比f(BI)/f(BII)が0.01以下(0を含む)であり、かつ、400〜600nmの波長域における一電子励起状態に起因する吸収の吸光度が、第1吸収の吸光度の0.01倍以下であるスクアリリウム分子を用いる。【選択図】図1
Description
本技術は、赤外光吸収剤、赤外光カットフィルタ、固体撮像素子及び撮像装置に関する。より詳しくは、固体撮像素子等における撮像特性改善技術に関する。
一般に、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の撮像装置には、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)構造の固体撮像素子(イメージセンサ)が搭載されている。一方、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサは、近紫外波長帯域から近赤外波長帯域に対しても感度を有しているが、撮像装置においては、人の視感度(波長400〜700nm程度)以外の波長帯域の光信号はノイズ成分となり、画像品質を低下させる原因となる。
このため、従来の撮像装置では、検出波長を人の視感度に近づけて色再現性を高めるために、固体撮像素子の手前に赤外光カットフィルタを配置し、近赤外波長帯域の光を除去している。赤外光カットフィルタには、赤外帯域を吸収する材料を用いた吸収型と、多層膜の干渉を利用した反射型があり、例えば特許文献1には、スクアリリウム色素を含有する樹脂製基板を用いた吸収型の近赤外光カットフィルタが開示されている。
また、近年、撮像装置の小型化や撮像光学系の薄型化が進められており、前述した赤外光カットフィルタの代わりに、チップ内に赤外光を吸収する機構を設けた撮像素子も提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の固体撮像素子では、半導体基板のフォトダイオードが形成された領域に対応する領域の全面に、赤外光カットフィルタ層を形成している。
赤外光吸収材料を用いた従来の赤外光カットフィルタや赤外光カット層は、十分な赤外光吸収能を得るためには、多量の赤外光吸収材を含有させる必要があるが、赤外光吸収材料の含有量を増やすと可視光の透過量が減少するという課題がある。例えば、特許文献1に記載の赤外光カットフィルタで用いられているスクアリリウム色素の場合、近赤外波長帯域の吸収特性は優れているが、可視光の透過率が低く、また、可視域に不要な吸収ピークがある。このため、スクアリリウム色素は、高感度の撮像素子には用いることができず、フラズマディスプレイ等の表示装置用途でも、輝度を確保するために大きな電力が必要となるため、用途が限定されている。
そこで、本開示は、撮像性能を低下させることなく、モジュールを薄型化することが可能な赤外光吸収剤、赤外光カットフィルタ、固体撮像素子及び撮像装置を提供することを主目的とする。
本開示に係る赤外光吸収剤は、下記化学式(A)で表される骨格構造を有し、600〜1500nmの波長域に存在する主励起状態に起因する第1吸収をBII、400〜600nmの波長域における前記第1吸収と分子振動との間の振電相互作用に関する吸収をBI、前記第1吸収と振動相互作用する分子振動のエネルギーを<φ(BI)|H^v|φ(BII)>としたとき、下記数式(i)により算出される前記第1吸収強度と前記振電相互作用による吸収強度の比f(BI)/f(BII)が0.01以下(0を含む)であり、かつ、400〜600nmの波長域における一電子励起状態に起因する吸収の吸光度が、前記第1吸収の吸光度の0.01倍以下であるスクアリリウム分子を含有する。なお、下記化学式(A)におけるA及びBは、任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。また、下記数式(I)におけるE(BI)及びE(BII)は各吸収のエネルギーを表し、f(BI)及びf(BII)は吸収強度を表す。
前記スクアリリウム分子は、例えば共役系を構成しない炭素に1以上の水素原子が結合している構造のものである。
また、前記スクアリリウム分子は、4級炭素原子を含まないものでもよい。
また、前記スクアリリウム分子は、4級炭素原子を含まないものでもよい。
本開示に係る赤外光カットフィルタは、前述した赤外光吸収剤を含有する赤外光吸収層を備えるものである。
前記赤外光吸収層は、更に、前記スクアリリウム分子とは第1吸収のピーク波長が異なる1又は2種以上の色素を含有していてもよい。
また、前記赤外光吸収層は、前記スクアリリウム分子を含有する第1吸収層と、前記スクアリリウム分子とは分光特性が異なる1又は2以上の色素を含有する第2吸収層とが積層された構成とすることもできる。
前記赤外光吸収層は、更に、前記スクアリリウム分子とは第1吸収のピーク波長が異なる1又は2種以上の色素を含有していてもよい。
また、前記赤外光吸収層は、前記スクアリリウム分子を含有する第1吸収層と、前記スクアリリウム分子とは分光特性が異なる1又は2以上の色素を含有する第2吸収層とが積層された構成とすることもできる。
本開示に係る固体撮像素子は、オンチップレンズと、前記オンチップレンズ上に形成された平坦化層と、前記平坦化層よりも上層に設けられ、前述した赤外光吸収剤を含有する赤外光吸収層と、を有する。
前記赤外光吸収層は、更に、前記スクアリリウム分子とは第1吸収のピーク波長が異なる1又は2種以上の色素を含有していてもよい。
また、前記赤外光吸収層は、前記スクアリリウム分子を含有する第1吸収層と、前記スクアリリウム分子とは分光特性が異なる1又は2以上の色素を含有する第2吸収層とが積層された構成とすることもできる。
前記赤外光吸収層の厚さは、例えば0.5〜200μmである。
前記赤外光吸収層は、更に、前記スクアリリウム分子とは第1吸収のピーク波長が異なる1又は2種以上の色素を含有していてもよい。
また、前記赤外光吸収層は、前記スクアリリウム分子を含有する第1吸収層と、前記スクアリリウム分子とは分光特性が異なる1又は2以上の色素を含有する第2吸収層とが積層された構成とすることもできる。
前記赤外光吸収層の厚さは、例えば0.5〜200μmである。
本開示に係る撮像装置は、前述した固体撮像素子を備えるものである。
この撮像装置は、前記固体撮像素子の光電変換層に入射光を集光する撮像光学系を備え、前記撮像光学系の中又は前記固体撮像素子と前記撮像光学系との間に、赤外光を吸収又は反射する赤外光カットフィルタが設けられていてもよい。
その場合、前記赤外光カットフィルタとして、前述した赤外光カットフィルタを用いてもよい。
この撮像装置は、前記固体撮像素子の光電変換層に入射光を集光する撮像光学系を備え、前記撮像光学系の中又は前記固体撮像素子と前記撮像光学系との間に、赤外光を吸収又は反射する赤外光カットフィルタが設けられていてもよい。
その場合、前記赤外光カットフィルタとして、前述した赤外光カットフィルタを用いてもよい。
本開示に係る赤外光カットフィルタは、上記化学式(A)で表される骨格構造を有し、600〜1500nmの波長域に存在する主励起状態に起因する第1吸収をBII、400〜600nmの波長域における前記第1吸収と分子振動との間の振電相互作用に関する吸収をBI、前記第1吸収と振動相互作用による分子振動のエネルギーを<φ(BI)|H^v|φ(BII)>としたとき、上記数式(i)により算出される前記第1吸収強度と前記振電相互作用する吸収強度の比f(BI)/f(BII)が0.01以下(0を含む)であり、かつ、400〜600nmの波長域における一電子励起状態に起因する吸収の吸光度が、前記第1吸収の吸光度の0.01倍以下である
スクアリリウム分子を含有する。
スクアリリウム分子を含有する。
本開示に係る固体撮像素子は、オンチップレンズと、前記オンチップレンズ上に形成された平坦化層と、前記平坦化層よりも上層に設けられた赤外光吸収層と、を有し、前記赤外光吸収層は、上記化学式(A)で表される骨格構造を有し、600〜1500nmの波長域に存在する主励起状態に起因する第1吸収をBII、400〜600nmの波長域における前記第1吸収と分子振動との間の振電相互作用に関する吸収をBI、前記第1吸収と振動相互作用による分子振動のエネルギーを<φ(BI)|H^v|φ(BII)>としたとき、上記数式(i)により算出される前記第1吸収強度と前記振電相互作用する吸収強度の比f(BI)/f(BII)が0.01以下(0を含む)であり、かつ、400〜600nmの波長域における一電子励起状態に起因する吸収の吸光度が、前記第1吸収の吸光度の0.01倍以下であるスクアリリウム分子を含有する。
本開示によれば、特定構造のスクアリリウム分子を用いているため、赤外光透過率が低く、かつ可視光の透過率が高い赤外光吸収剤や赤外光吸収層を実現することができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
以下、本開示を実施するための形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す各実施形態に限定されるものではない。また、説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施形態
(スクアリリウム分子を用いた赤外光吸収剤の例)
2.第2の実施形態
(第1の実施形態の赤外光吸収剤を用いた赤外光カットフィルタの例)
3.第3の実施形態
(第1の実施形態の赤外光吸収剤を用いた固体撮像素子の例)
4.第4の実施形態
(第3の実施形態の固体撮像素子を用いた撮像装置の例)
1.第1の実施形態
(スクアリリウム分子を用いた赤外光吸収剤の例)
2.第2の実施形態
(第1の実施形態の赤外光吸収剤を用いた赤外光カットフィルタの例)
3.第3の実施形態
(第1の実施形態の赤外光吸収剤を用いた固体撮像素子の例)
4.第4の実施形態
(第3の実施形態の固体撮像素子を用いた撮像装置の例)
(第1の実施形態)
先ず、本開示の第1の実施形態に係る赤外光吸収剤について説明する。本実施形態の赤外光吸収剤は、下記化学式(A)で表される骨格構造を有するスクアリリウム分子を含有する。なお、下記化学式(A)におけるA及びBは、任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。
先ず、本開示の第1の実施形態に係る赤外光吸収剤について説明する。本実施形態の赤外光吸収剤は、下記化学式(A)で表される骨格構造を有するスクアリリウム分子を含有する。なお、下記化学式(A)におけるA及びBは、任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。
本実施形態の赤外光吸収剤に用いられるスクアリリウム分子は、600〜1500nmの波長域に存在する主励起状態に起因する第1吸収をBII、400〜600nmの波長域における第1吸収と分子振動との間の振電相互作用に関する吸収をBI、第1吸収と振動相互作用する分子振動のエネルギーを<φ(BI)|H^v|φ(BII)>としたとき、下記数式(i)により算出される第1吸収強度と振電相互作用による吸収強度の比f(BI)/f(BII)が0.01以下(0を含む)である。なお、下記数式(i)におけるE(BI)及びE(BII)は各吸収のエネルギーを表し、f(BI)及びf(BII)は吸収強度を表す。
そして、本実施形態の赤外光吸収剤に用いられるスクアリリウム分子は、400〜600nmの波長域における一電子励起状態に起因する吸収の吸光度が、第1吸収の吸光度の0.01倍以下である。
本発明者は、前述した課題を解決するために、鋭意実験検討を行った結果、以下に示す知見を得た。可視光の透過率が低い及び可視域に吸収ピークがある等の特性は、スクアリリウムの第1吸収ピークを与える1電子励起状態と分子振動が振電相互作用を起こし、それによって生じた振電状態が可視部に吸収ピークを持つことが原因であった。ここで、振電相互作用とは、分子振動と電子励起の相互作用であり、ある1電子励起状態が、分子振動と結合して新たな状態を作り、そこへ振動子強度を貸し与える現象である。
図1Aは振電相互作用がないときの吸収スペクトルであり、図1Bは振電相互作用があるときの吸収スペクトルである。図1A,Bに示すように、振電相互作用があると、振電相互作用がない場合に比べて、1電子励起状態に由来する吸収ピークが減少し、振電状態に由来するピークが生じる。そして、スクアリリウム分子では、4級炭素原子に結合する3つの炭素の変角振動と主励起状態が振電相互作用を起こすことがわかった。
そこで、本実施形態の赤外光吸収剤では、4級炭素原子を含有しないスクアリリウム色素、即ち、共役系を構成しない炭素には1以上の水素原子が結合しているスクアリリウム分子を用いる。これにより、振電相互作用を抑制し、可視光の透過率を向上させることができる。
本実施形態の赤外光吸収剤に含有されるスクアリリウム分子としては、例えば下記化学式(B)で表される構造のものが挙げられる。ここで、下記化学式(B)におけるR1〜R10は、共役系を構成しない炭素に1以上の水素原子が結合している任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。
また、下記化学式(C)で表される構造のスクアリリウム分子を用いることもできる。ここで、下記化学式(C)におけるR1〜R14は、共役系を構成しない炭素に1以上の水素原子が結合している任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。
また、下記化学式(D)で表される構造のスクアリリウム分子を用いることもできる。ここで、下記化学式(D)におけるR1〜R18は、共役系を構成しない炭素に1以上の水素原子が結合している任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。
更に、下記化学式(E)で表される構造のスクアリリウム分子を用いてもよい。ここで、下記化学式(E)におけるR1,R2は、共役系を構成しない炭素に1以上の水素原子が結合している任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。また、下記化学式(E)におけるX,Yは、共役系を構成しない炭素に1以上の水素原子が結合している任意の環状構造であり、同一でも異なっていてもよい。
上記化学式(E)で表されるスクアリリウム分子の具体例としては、例えば下記化学式(F)で表される構造のものがある。ここで、下記化学式(F)におけるR1,R2は、水素又は炭素数が1〜18の直鎖状アルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。
上記化学式(F)で表されるスクアリリウム分子は合成しやすいことから、本実施形態の赤外光吸収剤として好適であり、合成しやすさの観点から、下記化学式(F)におけるR1,R2が、水素、メチル基、エチル基であるものが特に好適である。
本実施形態の赤外光吸収剤に用いられるスクアリリウム分子は、振電相互作用に起因する吸収が可視域(380〜700nm)に存在しないか、又は、存在する場合でも、第1吸収の強度に対して振電相互作用に起因する吸収の強度が0.01倍以下である。この振電相互作用に起因する吸収の強度が、第1吸収の強度に対して0.01倍を超えると、可視光の透過量が減少し、撮像装置等に用いた場合に十分な撮像性能が得られない。
ここで、第1吸収と振電相互作用する分子振動のエネルギーは、下記数式(i)により算出できる。なお、下記数式(i)におけるBIは振電相互作用による吸収を、BIIは第1吸収を、それぞれ示す。また、下記数式(i)におけるE(BI)及びE(BII)は各吸収のエネルギー(波長)を表し、f(BI)及びf(BII)は吸収強度を表す。従って、吸収強度比はf(BI)/f(BII)で表される。
上記数式(i)における各数値は、電子励起状態計算及びUV−VISスペクトル測定値から求められる。また、分子振動エネルギーは、分子の振動計算、IRスペクトル測定値及びラマンスペクトル測定値から直接的に求めることができる。そして、直接的に求めた分子振動エネルギーと、上記数式(i)で算出された分子振動エネルギーとを比較することにより、吸収BIが振電相互作用によるものか、否かを確認することが可能である。
本実施形態の赤外光吸収剤に含有させるスクアリリウム分子は、可視域に存在する振電状態(振電相互作用)に起因するピークの高さが、赤外域に存在する主励起状態に起因するピークの高さの0.01倍以下であることが好ましい。具体的には、400〜600nmの範囲の吸収極大波長におけるモル吸光係数と、600〜1500nmの範囲の吸収極大波長におけるモル吸光係数との比が、0.01以下のものを使用することが好ましい。
例えば、振電状態に起因する可視域のピークと主励起状態に起因する赤外域のピークの比が0.01倍の場合、近赤外波長帯域の吸収率を100%(透過率0%)としたときの可視域の吸収率は1%(透過率99%)となる。この値は、健常者のコントラスト感度である100:1(空間周波数3.5〜5cycle/degree)に相当する。従って、振電状態に起因する可視域のピークと主励起状態に起因する赤外域のピークの比が0.01倍以下のスクアリリウム分子を用いることにより、赤外光吸収剤における可視光の透過率を向上させることができる。
以上詳述したように、本実施形態の赤外光吸収剤は、特定構造のスクアリリウム分子を用いているため、従来の色素を用いたものよりも、可視光の透過率を向上させることができる。その結果。赤外光透過率が低く、かつ可視光の透過率が高い赤外光吸収剤を実現することができる。
(第2の実施形態)
次に、本開示の第2の実施形態に係る赤外光カットフィルタについて説明する。本実施形態の赤外光カットフィルタは、固体撮像素子に入射する光や表示装置から出射される光から赤外光成分を除去するものであり、前述した第1の実施形態の赤外光吸収剤を含有する赤外光吸収層を備える。
次に、本開示の第2の実施形態に係る赤外光カットフィルタについて説明する。本実施形態の赤外光カットフィルタは、固体撮像素子に入射する光や表示装置から出射される光から赤外光成分を除去するものであり、前述した第1の実施形態の赤外光吸収剤を含有する赤外光吸収層を備える。
[赤外光吸収層]
赤外光吸収層は、例えば、前述したスクアリリウム分子と、バインダー樹脂とを含有する樹脂組成物により形成することができる。赤外光吸収層に用いるバインダー樹脂は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂及び光硬化型樹脂等、各種樹脂を使用することができる。
赤外光吸収層は、例えば、前述したスクアリリウム分子と、バインダー樹脂とを含有する樹脂組成物により形成することができる。赤外光吸収層に用いるバインダー樹脂は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂及び光硬化型樹脂等、各種樹脂を使用することができる。
赤外光吸収層を形成する樹脂組成物には、前述したスクアリリウム分子とは第1吸収のピーク波長が異なる1又は2種以上の色素を含有していてもよい。また、赤外光吸収層が、前述したスクアリリウム分子を含有する第1吸収層と、前述したスクアリリウム分子とは第1吸収のピーク波長が異なる色素を含有する第2吸収層とが積層された構成とすることもできる。このように、第1吸収のピーク波長が異なる複数の色素を併用することにより、スクアリリウム分子では吸収率が低い波長の赤外光も吸収することが可能となり、撮像装置に用いた場合の撮像性能を更に高めることができる。
[撮像装置]
本実施形態の赤外光カットフィルタは、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の撮像装置において、固体撮像素子の手前、即ち光入射面側に入りされる。例えば、固体撮像素子の光電変換層に入射光を集光する撮像光学系を備える場合は、撮像光学系の中又は固体撮像素子と撮像光学系との間に配置される。これにより、ノイズ成分となる近赤外波長帯域の光を除去し、画像品質を向上させることができる。
本実施形態の赤外光カットフィルタは、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の撮像装置において、固体撮像素子の手前、即ち光入射面側に入りされる。例えば、固体撮像素子の光電変換層に入射光を集光する撮像光学系を備える場合は、撮像光学系の中又は固体撮像素子と撮像光学系との間に配置される。これにより、ノイズ成分となる近赤外波長帯域の光を除去し、画像品質を向上させることができる。
本実施形態の赤外光カットフィルタは、特定構造のスクアリリウム分子を用いているため、優れた赤外光除去性能を維持しつつ、可視光の透過率を高めることができる。その結果、高感度の固体撮像素子や各種表示装置にも適用可能な赤外光カットフィルタを実現できる。また、この赤外光カットフィルタを撮像装置に適用することにより、その撮像性能を向上させることも可能となる。
(第3の実施形態)
次に、本開示の第3の実施形態に係る固体撮像素子について説明する。図2は本実施形態の固体撮像素子の構成を模式的に示す断面図である。本実施形態の固体撮像素子10は、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の撮像装置に搭載されるものであり、図2に示すように、オンチップレンズ3、平坦化層4及び赤外光吸収層5等を備えている。具体的には、本実施形態の固体撮像素子10は、光電変換層1の上に、カラーフィルタ層2、オンチップレンズ3、平坦化層4及び赤外光吸収層5が、この順に形成されている。
次に、本開示の第3の実施形態に係る固体撮像素子について説明する。図2は本実施形態の固体撮像素子の構成を模式的に示す断面図である。本実施形態の固体撮像素子10は、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の撮像装置に搭載されるものであり、図2に示すように、オンチップレンズ3、平坦化層4及び赤外光吸収層5等を備えている。具体的には、本実施形態の固体撮像素子10は、光電変換層1の上に、カラーフィルタ層2、オンチップレンズ3、平坦化層4及び赤外光吸収層5が、この順に形成されている。
[光電変換層1]
光電変換層1は、入射した光を電気信号として検出するものであり、例えばシリコン等の基板11に、複数の光電変換素子12が形成されている。光電変換層1の構造は、特に限定されるものではなく、CCDやCMOS構造等を採用することができる。また、光電変換層1は、光電変換素子12が2次元的(行列状)に配置されたイメージセンサであってもよく、光電変換素子12が1次元的(線状)に配置されたラインセンサであってもよい。
光電変換層1は、入射した光を電気信号として検出するものであり、例えばシリコン等の基板11に、複数の光電変換素子12が形成されている。光電変換層1の構造は、特に限定されるものではなく、CCDやCMOS構造等を採用することができる。また、光電変換層1は、光電変換素子12が2次元的(行列状)に配置されたイメージセンサであってもよく、光電変換素子12が1次元的(線状)に配置されたラインセンサであってもよい。
[カラーフィルタ層2]
カラーフィルタ層2は、例えば赤色波長帯域を透過させる赤色カラーフィルタ2R、緑色波長帯域を透過させる緑色カラーフィルタ2G及び青色波長帯域を透過させる青色カラーフィルタ2Bの3色のカラーフィルタにより構成されている。なお、カラーフィルタ層2を構成する各カラーフィルタの透過波長は、前述した赤色、緑色及び青色の3色に限定されるものではなく、固体撮像素子の仕様等に応じて適宜選択することができる。また、各カラーフィルタを形成する材料も、特に限定されるものではなく、公知の材料を用いることができる。
カラーフィルタ層2は、例えば赤色波長帯域を透過させる赤色カラーフィルタ2R、緑色波長帯域を透過させる緑色カラーフィルタ2G及び青色波長帯域を透過させる青色カラーフィルタ2Bの3色のカラーフィルタにより構成されている。なお、カラーフィルタ層2を構成する各カラーフィルタの透過波長は、前述した赤色、緑色及び青色の3色に限定されるものではなく、固体撮像素子の仕様等に応じて適宜選択することができる。また、各カラーフィルタを形成する材料も、特に限定されるものではなく、公知の材料を用いることができる。
赤色カラーフィルタ2R、緑色カラーフィルタ2G及び青色カラーフィルタ2Bは、それぞれ対応する光電変換素子12上に配置されている。これにより、各光電変換素子12には、その上に配置されたカラーフィルタ2R、2B、2Bを透過した特定波長帯域の光が入射することとなり、各光電変換素子12の出力は、カラーフィルタ2R、2B、2Bを透過した波長帯域の光の強度とすることが可能となる。
また、カラーフィルタ層2は、600〜1500nmに極大吸収波長を有していてもよい。このように、後述する赤外光吸収層5に加えて、カラーフィルタ層2に赤外線吸収能を付与することにより、赤外光除去性能を更に向上させることができる。カラーフィルタ層2に赤外光吸収能を付与するには、例えば各カラーフィルタ2R、2B、2Bに、赤外光を吸収する材料を含有させればよい。
ここで、カラーフィルタ2R、2B、2Bに含有させる赤外光吸収材料としては、例えばKCuPO4、酸化鉄及び酸化タングステン等の周期表の第四周期の遷移金属を含有する化合物、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性酸化物、スクアリリウム化合物、ジイモニウム等のイミニウム誘導体、アントラキノン化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、アゾ錯体、Ni錯体、Co錯体、Cu錯体、Fe錯体、ピロロピロール化合物、クオタリレン化合物、ジピロメテン誘導体、ポルフィリン誘導体、クロコニウム化合物、テトラチアフルバレン化合物、ヘテロキノリド化合物、ヘキサアザトリフェニレン化合物、ピリリウム化合物、トリフェニルイミン、チオ尿素化合物及びアセチレンポリマーが挙げられる。これらの赤外光吸収材料の中でも、特に、耐熱性の観点から、遷移金属を含有する化合物、導電性酸化物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、アゾ錯体、Ni錯体、Co錯体、Cu錯体、Fe錯体、ピロロピロール化合物が好適である。
なお、カラーフィルタ層2は、必要に応じて設けられるものであり、例えば各光電変換素子12の出力からモノクロ画像を得る場合は、カラーフィルタ層2は不要である。カラーフィルタ層2を設けない場合、オンチップレンズ3は、光電変換層1上に直接積層してもよいが、何らかの層を介して積層することもできる。
[オンチップレンズ3]
オンチップレンズ3は、入射光を光電変換素子12に集光するものであり、例えば光透過性を有し、屈折率が1.5よりも高い高屈折率材料で形成されている。オンチップレンズ3を形成する高屈折率材料としては、例えばSiN等の高屈折率の無機材料が挙げられるが、エピスルフィド系樹脂、チエタン化合物やその樹脂等の高屈折率の有機材料を用いることもできる。
オンチップレンズ3は、入射光を光電変換素子12に集光するものであり、例えば光透過性を有し、屈折率が1.5よりも高い高屈折率材料で形成されている。オンチップレンズ3を形成する高屈折率材料としては、例えばSiN等の高屈折率の無機材料が挙げられるが、エピスルフィド系樹脂、チエタン化合物やその樹脂等の高屈折率の有機材料を用いることもできる。
また、特開2003−139449号公報に記載されているような金属チエタン化合物やそれを含む重合性組成物を用いることにより、オンチップレンズ3の屈折率を更に高めることができる。更に、これらの樹脂に、TiO2、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、ZnO及びSi3N4等の屈折率が2〜2.5程度の酸化物や窒化物を添加することにより、より高屈折率の材料が得られる。
更に、オンチップレンズ3も、600〜1500nmに極大吸収波長を有していてもよい。後述する赤外光吸収層5に加えて、オンチップレンズ3にも赤外線吸収能を付与することにより、赤外光除去性能を更に向上させることができる。オンチップレンズ3に赤外光吸収能を付与するには、例えば赤外光を吸収する材料を含有させればよい。
オンチップレンズ3の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、レンズ材膜上にレンズ形状のレジスト膜を形成後、エッチバック処理を実施することで形成することができる。その他、オンチップレンズ3は、感光性樹脂膜をフォトリソグラフィ技術でパターン加工した後に、リフロー処理でレンズ形状に変形させることで形成してもよく、また、変形させることで形成してもよい。
オンチップレンズ3の形状は、特に限定されるものではなく、半球形状や半円筒状等の各種レンズ形状を採用することができる。オンチップレンズ3は、図1に示すように、光電変換素子12毎に設けてもよいが、複数の光電変換素子12毎に1つのオンチップレンズ3を設けることもできる。
[平坦化層4]
平坦化層4は、オンチップレンズ3のレンズ形状を吸収し、表面を平坦化するものであり、例えば光透過性を有し、オンチップレンズ3よりも屈折率が小さい低屈折率材料により形成することができる。そして、平坦化層4からオンチップレンズ3に入射した光は、平坦化層4とオンチップレンズ3の界面において屈折し、各オンチップレンズ3に対応する光電変換素子12に集光される。
平坦化層4は、オンチップレンズ3のレンズ形状を吸収し、表面を平坦化するものであり、例えば光透過性を有し、オンチップレンズ3よりも屈折率が小さい低屈折率材料により形成することができる。そして、平坦化層4からオンチップレンズ3に入射した光は、平坦化層4とオンチップレンズ3の界面において屈折し、各オンチップレンズ3に対応する光電変換素子12に集光される。
平坦化層4の屈折率は、オンチップレンズ3よりも小さければよいが、オンチップレンズ3によるレンズ効果向上の観点から、平坦化層4とオンチップレンズ3の屈折率の差は大きいほど好ましい。この平坦化層を形成する低屈折率材料としては、例えは多孔質シリカ(屈折率n≦1.2)、MgF等のフッ素化合物(屈折率n≦1.2)及びシリコーン系樹脂(屈折率n=1.3〜1.4)が挙げられる。平坦化層4の厚さは、例えば10nm〜2μm程度であるが、この範囲に限定されるものではなく、より薄いほうが好ましい。
なお、平坦化層4は、600〜1500nmに極大吸収波長を有していてもよい。このように、後述する赤外光吸収層5に加えて、平坦化層4にも赤外線吸収能を付与することにより、赤外光除去性能を更に向上させることができる。平坦化層4に赤外光吸収能を付与するには、例えば赤外光を吸収する材料を含有させればよい。
[赤外光吸収層5]
赤外光吸収層5は、固体撮像素子10への入射光から赤外光成分を除去するものであり、例えば平坦化層4上に形成されている。この赤外光吸収層5は、前述した第1の実施形態の赤外光カットフィルタと同様に、前述した第1の実施形態の赤外光吸収剤を含有する。赤外光吸収層5は、例えば、前述したスクアリリウム分子と、バインダー樹脂とを含有する樹脂組成物により形成することができる。なお、バインダー樹脂は必須の成分ではなく、バインダー樹脂を用いずに赤外光吸収層5を形成することもできる。
赤外光吸収層5は、固体撮像素子10への入射光から赤外光成分を除去するものであり、例えば平坦化層4上に形成されている。この赤外光吸収層5は、前述した第1の実施形態の赤外光カットフィルタと同様に、前述した第1の実施形態の赤外光吸収剤を含有する。赤外光吸収層5は、例えば、前述したスクアリリウム分子と、バインダー樹脂とを含有する樹脂組成物により形成することができる。なお、バインダー樹脂は必須の成分ではなく、バインダー樹脂を用いずに赤外光吸収層5を形成することもできる。
赤外光吸収層5に用いるバインダー樹脂は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂及び光硬化型樹脂等、各種樹脂を使用することができる。ただし、耐熱性及び撮像性能の観点から、バインダー樹脂には、ガラス転移点Tgが150℃以上のものが好ましく、より好ましくは融点も150℃以上のもの、特に好ましくは加熱黄変温度が150℃以上のものである。
具体的には、バインダー樹脂としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン(シロキサン)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂及びポリエチレン系樹脂等を使用することができる。これらの樹脂の中でも、特に、400〜600nmに吸収極大波長を有しない熱硬化型又は光硬化型樹脂を使用することが好ましい。
なお、樹脂組成物におけるスクアリリウム分子の分散状態は、特に限定されるものではなく、分子分散状態でもよいが、耐熱性向上の観点から、バインダー樹脂にスクアリリウム分子が微粒子状態で分散している粒子分散状態とすることが好ましい。このとき、スクアリリウム分子の粒径は、光散乱の影響を抑えるため、100nm以下であることが好ましい。
赤外光吸収層5を形成する樹脂組成物には、前述したスクアリリウム分子及びバインダー樹脂に加えて、バインダー樹脂を硬化させるための硬化剤や硬化助剤等が添加されていてもよい。これらの硬化剤や硬化助剤は、バインダー樹脂に含まれるモノマーによって適宜選択することができるが、400〜600nm(可視光波長帯域)に吸収極大波長を有さないものを使用することが好ましい。
赤外光吸収層5を形成する樹脂組成物には、前述したスクアリリウム分子とは第1吸収のピーク波長が異なる1又は2種以上の色素を含有していてもよい。また、赤外光吸収層が、前述したスクアリリウム分子を含有する第1吸収層と、前述したスクアリリウム分子とは第1吸収のピーク波長が異なる色素を含有する第2吸収層とが積層された構成とすることもできる。このように、第1吸収のピーク波長が異なる複数の色素を併用することにより、スクアリリウム分子では吸収率が低い波長の赤外光も吸収することが可能となり、撮像素子の撮像性能を更に高めることができる。
更に、赤外光吸収層5を形成する樹脂組成物には、前述した各成分の他に、耐熱性を向上させるための酸化物微粒子、レべリング剤、界面活性剤等の分散剤、酸化防止剤、色素の安定化剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。
赤外光吸収層5の厚さは、素子の薄型化の観点から、0.5〜200μmとすることが好ましい。実施形態の撮像素子10は、オンチップレンズ3上に平坦化層4が設けられているため、オンチップレンズ3の形状に関わらず、赤外光吸収層5を一定の厚さで形成することができる。また、本実施形態の撮像素子10は、赤外光吸収層5の厚さがオンチップレンズ3と光電変換素子12の距離に影響しないため、赤外光吸収層5を赤外光成分を十分除去できる厚さに設定することが可能となる。
前述した赤外光吸収層5は、例えば前述したスクアリリウム分子及びバインダー樹脂等を含有する樹脂組成物を、スピンコート、ダイコート、スリットコート及びディスペンス等の方法で平坦化層4上に塗布することにより形成することができる。
[撮像素子10の動作]
次に、本実施形態の撮像素子10の動作について説明する。図3は本実施形態の固体撮像素子10の動作を示す概念図である。図3に示すように、本実施形態の固体撮像素子10に入射した光(入射光L)は、赤外光吸収層5により赤外光成分が除去される。その後、赤外光成分が除去された入射光Lは、平坦化層4とオンチップレンズ5との界面で屈折し、カラーフィルタ層2の各カラーフィルタ2R、2G、2Bによって、所定波長帯域以外の成分が除去された後、光電変換素子12に集光される。そして、各光電変換素子12に入射した光は、光電変換され、電気信号として出力される。
次に、本実施形態の撮像素子10の動作について説明する。図3は本実施形態の固体撮像素子10の動作を示す概念図である。図3に示すように、本実施形態の固体撮像素子10に入射した光(入射光L)は、赤外光吸収層5により赤外光成分が除去される。その後、赤外光成分が除去された入射光Lは、平坦化層4とオンチップレンズ5との界面で屈折し、カラーフィルタ層2の各カラーフィルタ2R、2G、2Bによって、所定波長帯域以外の成分が除去された後、光電変換素子12に集光される。そして、各光電変換素子12に入射した光は、光電変換され、電気信号として出力される。
以上詳述したように、本実施形態の固体撮像素子は、内部に赤外光吸収層を備えているため、別部材として赤外線カットフィルタを実装する必要がない。これにより、モジュールの薄型化が可能となる。また、赤外光吸収層が、オンチップレンズよりも上層に形成されているため、赤外光吸収層の厚さが、オンチップレンズと光電変換素子の距離に影響しない。このため、入射光が隣接する光電変換素子に入射することによる分解能の低下の問題は生じない。
更に、本実施形態の固体撮像素子は、赤外光吸収層が4級炭素原子を含まないスクアリリウム分子を含有しているため、従来の撮像素子に比べて、可視光の透過率を高めることができる。これにより、赤外光透過率が低く、かつ可視光の透過率が高い赤外光吸収層を実現することができ、撮像性能を低下させることなく、モジュールを薄型化することが可能となる。
なお、本実施形態の固体撮像素子10には、前述した各構成に加えて、保護膜や反射防止層が設けられていてもよい。
(第4の実施形態)
次に、本開示の第4の実施形態に係る撮像装置について説明する。本実施形態の撮像装置は、前述した第3の実施形態の固体撮像素子と、固体撮像素子の光電変換層に入射光を集光する撮像光学系などを備えている。本実施形態の撮像装置は、赤外光吸収層を備える固体撮像素子を用いているため、別途赤外光カットフィルタを設けなくても、入射光に含まれる赤外光を除去することが可能であり、撮像装置の小型化や撮像光学系の薄型化を実現することができる。
次に、本開示の第4の実施形態に係る撮像装置について説明する。本実施形態の撮像装置は、前述した第3の実施形態の固体撮像素子と、固体撮像素子の光電変換層に入射光を集光する撮像光学系などを備えている。本実施形態の撮像装置は、赤外光吸収層を備える固体撮像素子を用いているため、別途赤外光カットフィルタを設けなくても、入射光に含まれる赤外光を除去することが可能であり、撮像装置の小型化や撮像光学系の薄型化を実現することができる。
なお、本開示は、赤外光カットフィルタの配設を排除するものではなく、例えば薄型化よりも撮像性能の向上を重視する場合などは、前述した第3の実施形態の固体撮像素子と、赤外光カットフィルタとを併用することができる。その際、赤外光カットフィルタには、赤外光を吸収又は反射する従来の赤外光カットフィルタを用いてもよいが、第2の実施形態の赤外光カットフィルタを用いることにより、可視光透過率の低下を抑制しつつ、赤外光除去性能を更に向上させることができる。
本実施形態の撮像装置は、内部に赤外光吸収層を備えた固体撮像素子を用いているため、撮像性能を低下させることなく、薄型化することが可能となる。また、素子により近い位置に赤外光吸収層が配置されているため、ゴーストを抑制する効果もある。更に、界面反射を減らすことができるので、可視光の透過率を向上させることもできる。
本開示は、以下のような構成をとることもできる。
(1)
下記化学式(A)で表される骨格構造を有し、
600〜1500nmの波長域に存在する主励起状態に起因する第1吸収をBII、400〜600nmの波長域における前記第1吸収と分子振動との間の振電相互作用に関する吸収をBI、前記第1吸収と振動相互作用する分子振動のエネルギーを<φ(BI)|H^v|φ(BII)>としたとき、下記数式(i)により算出される前記第1吸収強度と前記振電相互作用による吸収強度の比f(BI)/f(BII)が0.01以下(0を含む)であり、
かつ、400〜600nmの波長域における一電子励起状態に起因する吸収の吸光度が、前記第1吸収の吸光度の0.01倍以下である
スクアリリウム分子を含有する赤外光吸収剤。
(A及びBは、任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。)
(上記数式(i)におけるE(BI)及びE(BII)は各吸収のエネルギーを表し、f(BI)及びf(BII)は吸収強度を表す。)
(2)
前記スクアリリウム分子は、共役系を構成しない炭素に1以上の水素原子が結合している(1)に記載の赤外光吸収剤。
(3)
前記スクアリリウム分子は、4級炭素原子を含まない(1)又は(2)に記載の赤外光吸収剤。
(4)
(1)〜(3)のいずれかに記載の赤外光吸収剤を含有する赤外光吸収層を備える赤外光カットフィルタ。
(5)
前記赤外光吸収層は、更に、前記スクアリリウム分子とは第1吸収のピーク波長が異なる1又は2種以上の色素を含有する(4)に記載の赤外光カットフィルタ。
(6)
前記赤外光吸収層は、前記スクアリリウム分子を含有する第1吸収層と、前記スクアリリウム分子とは分光特性が異なる1又は2以上の色素を含有する第2吸収層とが積層されて構成されている(4)に記載の赤外光カットフィルタ。
(7)
オンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に形成された平坦化層と、
前記平坦化層よりも上層に設けられ、(1)〜(3)のいずれかに記載の赤外光吸収剤を含有する赤外光吸収層と、
を有する固体撮像素子。
(8)
前記赤外光吸収層は、更に、前記スクアリリウム分子とは第1吸収のピーク波長が異なる1又は2種以上の色素を含有する(7)に記載の固体撮像素子。
(9)
前記赤外光吸収層は、前記スクアリリウム分子を含有する第1吸収層と、前記スクアリリウム分子とは分光特性が異なる1又は2以上の色素を含有する第2吸収層とが積層されて構成されている(7)に記載の固体撮像素子。
(10)
前記赤外光吸収層は、厚さが0.5〜200μmである(7)〜(9)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(11)
(7)〜(10)のいずれかに記載の固体撮像素子を備える撮像装置。
(12)
前記固体撮像素子の光電変換層に入射光を集光する撮像光学系を備え、
前記撮像光学系の中又は前記固体撮像素子と前記撮像光学系との間に、赤外光を吸収又は反射する赤外光カットフィルタが設けられている(11)に記載の撮像装置。
(13)
前記赤外光カットフィルタが(4)〜(6)のいずれかに記載の赤外光カットフィルタである(12)に記載の撮像装置。
(14)
下記化学式(A)で表される骨格構造を有し、
600〜1500nmの波長域に存在する主励起状態に起因する第1吸収をBII、400〜600nmの波長域における前記第1吸収と分子振動との間の振電相互作用に関する吸収をBI、前記第1吸収と振動相互作用する分子振動のエネルギーを<φ(BI)|H^v|φ(BII)>としたとき、下記数式(i)により算出される前記第1吸収強度と前記振電相互作用による吸収強度の比f(BI)/f(BII)が0.01以下(0を含む)であり、
かつ、400〜600nmの波長域における一電子励起状態に起因する吸収の吸光度が、前記第1吸収の吸光度の0.01倍以下である
スクアリリウム分子を含有する赤外光吸収層を備える赤外光カットフィルタ。
(A及びBは、任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。)
(上記数式(i)におけるE(BI)及びE(BII)は各吸収のエネルギーを表し、f(BI)及びf(BII)は吸収強度を表す。)
(15)
オンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に形成された平坦化層と、
前記平坦化層よりも上層に設けられた赤外光吸収層と、
を有し、
前記赤外光吸収層は、下記化学式(A)で表される骨格構造を有し、
600〜1500nmの波長域に存在する主励起状態に起因する第1吸収をBII、400〜600nmの波長域における前記第1吸収と分子振動との間の振電相互作用に関する吸収をBI、前記第1吸収と振動相互作用する分子振動のエネルギーを<φ(BI)|H^v|φ(BII)>としたとき、下記数式(i)により算出される前記第1吸収強度と前記振電相互作用による吸収強度の比f(BI)/f(BII)が0.01以下(0を含む)であり、
かつ、400〜600nmの波長域における一電子励起状態に起因する吸収の吸光度が、前記第1吸収の吸光度の0.01倍以下である
スクアリリウム分子を含有する
固体撮像素子。
(A及びBは、任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。)
(上記数式(i)におけるE(BI)及びE(BII)は各吸収のエネルギーを表し、f(BI)及びf(BII)は吸収強度を表す。)
(1)
下記化学式(A)で表される骨格構造を有し、
600〜1500nmの波長域に存在する主励起状態に起因する第1吸収をBII、400〜600nmの波長域における前記第1吸収と分子振動との間の振電相互作用に関する吸収をBI、前記第1吸収と振動相互作用する分子振動のエネルギーを<φ(BI)|H^v|φ(BII)>としたとき、下記数式(i)により算出される前記第1吸収強度と前記振電相互作用による吸収強度の比f(BI)/f(BII)が0.01以下(0を含む)であり、
かつ、400〜600nmの波長域における一電子励起状態に起因する吸収の吸光度が、前記第1吸収の吸光度の0.01倍以下である
スクアリリウム分子を含有する赤外光吸収剤。
(A及びBは、任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。)
(上記数式(i)におけるE(BI)及びE(BII)は各吸収のエネルギーを表し、f(BI)及びf(BII)は吸収強度を表す。)
(2)
前記スクアリリウム分子は、共役系を構成しない炭素に1以上の水素原子が結合している(1)に記載の赤外光吸収剤。
(3)
前記スクアリリウム分子は、4級炭素原子を含まない(1)又は(2)に記載の赤外光吸収剤。
(4)
(1)〜(3)のいずれかに記載の赤外光吸収剤を含有する赤外光吸収層を備える赤外光カットフィルタ。
(5)
前記赤外光吸収層は、更に、前記スクアリリウム分子とは第1吸収のピーク波長が異なる1又は2種以上の色素を含有する(4)に記載の赤外光カットフィルタ。
(6)
前記赤外光吸収層は、前記スクアリリウム分子を含有する第1吸収層と、前記スクアリリウム分子とは分光特性が異なる1又は2以上の色素を含有する第2吸収層とが積層されて構成されている(4)に記載の赤外光カットフィルタ。
(7)
オンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に形成された平坦化層と、
前記平坦化層よりも上層に設けられ、(1)〜(3)のいずれかに記載の赤外光吸収剤を含有する赤外光吸収層と、
を有する固体撮像素子。
(8)
前記赤外光吸収層は、更に、前記スクアリリウム分子とは第1吸収のピーク波長が異なる1又は2種以上の色素を含有する(7)に記載の固体撮像素子。
(9)
前記赤外光吸収層は、前記スクアリリウム分子を含有する第1吸収層と、前記スクアリリウム分子とは分光特性が異なる1又は2以上の色素を含有する第2吸収層とが積層されて構成されている(7)に記載の固体撮像素子。
(10)
前記赤外光吸収層は、厚さが0.5〜200μmである(7)〜(9)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(11)
(7)〜(10)のいずれかに記載の固体撮像素子を備える撮像装置。
(12)
前記固体撮像素子の光電変換層に入射光を集光する撮像光学系を備え、
前記撮像光学系の中又は前記固体撮像素子と前記撮像光学系との間に、赤外光を吸収又は反射する赤外光カットフィルタが設けられている(11)に記載の撮像装置。
(13)
前記赤外光カットフィルタが(4)〜(6)のいずれかに記載の赤外光カットフィルタである(12)に記載の撮像装置。
(14)
下記化学式(A)で表される骨格構造を有し、
600〜1500nmの波長域に存在する主励起状態に起因する第1吸収をBII、400〜600nmの波長域における前記第1吸収と分子振動との間の振電相互作用に関する吸収をBI、前記第1吸収と振動相互作用する分子振動のエネルギーを<φ(BI)|H^v|φ(BII)>としたとき、下記数式(i)により算出される前記第1吸収強度と前記振電相互作用による吸収強度の比f(BI)/f(BII)が0.01以下(0を含む)であり、
かつ、400〜600nmの波長域における一電子励起状態に起因する吸収の吸光度が、前記第1吸収の吸光度の0.01倍以下である
スクアリリウム分子を含有する赤外光吸収層を備える赤外光カットフィルタ。
(A及びBは、任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。)
(上記数式(i)におけるE(BI)及びE(BII)は各吸収のエネルギーを表し、f(BI)及びf(BII)は吸収強度を表す。)
(15)
オンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に形成された平坦化層と、
前記平坦化層よりも上層に設けられた赤外光吸収層と、
を有し、
前記赤外光吸収層は、下記化学式(A)で表される骨格構造を有し、
600〜1500nmの波長域に存在する主励起状態に起因する第1吸収をBII、400〜600nmの波長域における前記第1吸収と分子振動との間の振電相互作用に関する吸収をBI、前記第1吸収と振動相互作用する分子振動のエネルギーを<φ(BI)|H^v|φ(BII)>としたとき、下記数式(i)により算出される前記第1吸収強度と前記振電相互作用による吸収強度の比f(BI)/f(BII)が0.01以下(0を含む)であり、
かつ、400〜600nmの波長域における一電子励起状態に起因する吸収の吸光度が、前記第1吸収の吸光度の0.01倍以下である
スクアリリウム分子を含有する
固体撮像素子。
(A及びBは、任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。)
(上記数式(i)におけるE(BI)及びE(BII)は各吸収のエネルギーを表し、f(BI)及びf(BII)は吸収強度を表す。)
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
以下、本開示の実施例及び比較例を挙げて、本開示の効果について具体的に説明する。本実施例においては、下記化学式7〜10に示す構造のスクアリリウ分子について、計算により吸収ピークの帰属を調べた。なお、下記化学式7,8はそれぞれ比較例1,2のスクアリリウム色素、下記化学式9,10はそれぞれ実施例1,2のスクアリリウム色素である。
<振電相互作用の計算式>
振電状態をBI、第1吸収をBIIとすると、振電相互作用を引き起こす分子振動モードのエネルギーは、下記数式(i)により算出される。なお、下記数式(i)におけるEは励起状態エネルギーであり、fは振動子強度である。
振電状態をBI、第1吸収をBIIとすると、振電相互作用を引き起こす分子振動モードのエネルギーは、下記数式(i)により算出される。なお、下記数式(i)におけるEは励起状態エネルギーであり、fは振動子強度である。
<各変数の計算方法>
E(BI)、f(BI)、E(BII)、f(BII)は、分子の励起状態計算及び吸収スペクトル測定値から求めた。振動モード(左辺)は、振動計算、IRスペクトル測定、ラマンスペクトル測定により求めた。
E(BI)、f(BI)、E(BII)、f(BII)は、分子の励起状態計算及び吸収スペクトル測定値から求めた。振動モード(左辺)は、振動計算、IRスペクトル測定、ラマンスペクトル測定により求めた。
<励起状態計算>
振動計算はGaussian09を使用し、以下の条件で行った。
手法:半経験的量子化学計算 ZINDO/S
振動計算はGaussian09を使用し、以下の条件で行った。
手法:半経験的量子化学計算 ZINDO/S
<振動計算>
振動計算はGaussian09を使用し、以下の条件で行った。
手法:密度汎関数法
汎関数:B3LYP
基底関数:6−31+G(d,p)
振動計算はGaussian09を使用し、以下の条件で行った。
手法:密度汎関数法
汎関数:B3LYP
基底関数:6−31+G(d,p)
[比較例1]
図4は横軸に波長、縦軸に吸光度をとって、比較例1のスクアリリウム分子の吸収スペクトルを示す図である。なお、吸光度の測定は、溶媒にクロロホルムを用いて、色素濃度を20μmol/Lとして行った。また、図4に示す太線は一電子励起状態の計算値である。更に、図4に示す各ピークの高さは、メインピークの高さで規格化している。
図4は横軸に波長、縦軸に吸光度をとって、比較例1のスクアリリウム分子の吸収スペクトルを示す図である。なお、吸光度の測定は、溶媒にクロロホルムを用いて、色素濃度を20μmol/Lとして行った。また、図4に示す太線は一電子励起状態の計算値である。更に、図4に示す各ピークの高さは、メインピークの高さで規格化している。
図4に示すように、480nm付近にある吸収ピークは1電子励起状態計算からは帰属できなかった。そこで、実験値のピーク位置とピーク比から、振電相互作用計算式を用いて振動モードのエネルギーを計算したところ、777.6cm−1であった。そして、この分子の振動計算を行ったところ、777.1cm−1に、図5A,Bに示す振動モードが存在した。ここで、この振動モードはt-ブチル基のCC−stretching振動と、ピラン環のCCC−bending振動であり、図5Aはこの分子振動を分子面に垂直に見たものであり、図5Bは分子面に平行に見たものである。
図6は比較例1のスクアリリウム色素のIRスペクトルを示す図であり、図7は比較例1のスクアリリウム色素のラマンスペクトルを示す図である。図6,7に示すように、比較例1のスクアリリウム色素は、788.55cm−1、787.4cm−1にモードが存在した。
前述した振動計算と、IRスペクトル及びラマンスペクトルの結果から、振電相互作用計算式に従って求めた振動モードに相当するモードが確認された。この吸収は、振電相互作用によるものであり、このピークの存在により可視部の透明性が損なわれていたと考えられる。
[比較例2]
図8は横軸に波長、縦軸に吸光度をとって、比較例2のスクアリリウム分子の吸収スペクトルを示す図である。なお、吸光度の測定は、溶媒にクロロホルムを用いて、色素濃度を20μmol/Lとして行った。また、図8に示す太線は一電子励起状態の計算値である。更に、図8に示す各ピークの高さは、メインピークの高さで規格化している。
[比較例2]
図8は横軸に波長、縦軸に吸光度をとって、比較例2のスクアリリウム分子の吸収スペクトルを示す図である。なお、吸光度の測定は、溶媒にクロロホルムを用いて、色素濃度を20μmol/Lとして行った。また、図8に示す太線は一電子励起状態の計算値である。更に、図8に示す各ピークの高さは、メインピークの高さで規格化している。
図8に示すように、540nm付近にある吸収ピークは一電子励起状態計算からは帰属できなかった。そこで、実験値のピーク位置とピーク比から、振電相互作用計算式を用いて振動モードのエネルギーを計算したところ、885.0cm−1であった。そして、この分子の振動計算を行ったところ、881.2cm−1に、図9に示す振動モードが存在した。ここで、図9はアダマンタンの振動モードであり、このモードはIR活性である。
図10は比較例2のスクアリリウム分子のIRスペクトルを示す図である。図10に示すように、比較例2のスクアリリウム分子は、計算値によって求めた振動モードに相当する振動が885.8cm−1に確認された。この吸収は、振電相互作用によるものであり、このピークの存在により可視部の透明性が損なわれていたと考えられる。
[実施例1]
図11A,Bは横軸に波長、縦軸に吸光度をとって、実施例1のスクアリリウム分子の吸収スペクトルを示す図である。なお、吸光度の測定は、溶媒にクロロホルムを用いて、色素濃度を2.0×10−3mmol/L及び5.0×10−3mmol/Lとして行った。また、図11に示す太線は一電子励起状態の計算値である。
図11A,Bは横軸に波長、縦軸に吸光度をとって、実施例1のスクアリリウム分子の吸収スペクトルを示す図である。なお、吸光度の測定は、溶媒にクロロホルムを用いて、色素濃度を2.0×10−3mmol/L及び5.0×10−3mmol/Lとして行った。また、図11に示す太線は一電子励起状態の計算値である。
図11に示すように、実施例1のスクアリリウム分子は、可視域に、振電相互作用によって引き起こされた振電モードに起因する吸収ピークは発生しなかった。このスペクトルは一電子励起状態計算によって得られたスペクトルによって、ほぼ完全に説明される。振電相互作用による可視部のピークが存在しない要因は、この分子がt-Buthylとピラン環を持たない構造であるからである。そして、このスクアリリウム分子を用いた赤外光吸収層は可視部がきわめて透明となる。
[実施例2]
図12A,Bは横軸に波長、縦軸に吸光度をとって、実施例2のスクアリリウム分子の吸収スペクトルを示す図である。なお、吸光度の測定は、溶媒にクロロホルムを用いて、色素濃度を2.0×10−3mmol/L及び5.0×10−3mmol/Lとして行った。また、図12に示す太線は一電子励起状態の計算値である。
図12A,Bは横軸に波長、縦軸に吸光度をとって、実施例2のスクアリリウム分子の吸収スペクトルを示す図である。なお、吸光度の測定は、溶媒にクロロホルムを用いて、色素濃度を2.0×10−3mmol/L及び5.0×10−3mmol/Lとして行った。また、図12に示す太線は一電子励起状態の計算値である。
図12に示すように、実施例2のスクアリリウム分子は、可視域に、振電相互作用によって引き起こされた振電モードに起因する吸収ピークは発生しなかった。このスペクトルは一電子励起状態計算によって得られたスペクトルによって、ほぼ完全に説明される。振電相互作用による可視部のピークが存在しない要因は、この分子がt-Buthylとピラン環を持たない構造であるからである。そして、このスクアリリウム分子を用いた赤外光吸収層は可視部がきわめて透明となる。
1 光電変換層
2 カラーフィルタ層
3 オンチップレンズ
4 平坦化層
5 赤外光吸収層
10 固体撮像素子
2 カラーフィルタ層
3 オンチップレンズ
4 平坦化層
5 赤外光吸収層
10 固体撮像素子
Claims (15)
- 下記化学式(A)で表される骨格構造を有し、
600〜1500nmの波長域に存在する主励起状態に起因する第1吸収をBII、400〜600nmの波長域における前記第1吸収と分子振動との間の振電相互作用に関する吸収をBI、前記第1吸収と振動相互作用する分子振動のエネルギーを<φ(BI)|H^v|φ(BII)>としたとき、下記数式(i)により算出される前記第1吸収強度と前記振電相互作用による吸収強度の比f(BI)/f(BII)が0.01以下(0を含む)であり、
かつ、400〜600nmの波長域における一電子励起状態に起因する吸収の吸光度が、前記第1吸収の吸光度の0.01倍以下である
スクアリリウム分子を含有する赤外光吸収剤。
(A及びBは、任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。)
(上記数式(i)におけるE(BI)及びE(BII)は各吸収のエネルギーを表し、f(BI)及びf(BII)は吸収強度を表す。) - 前記スクアリリウム分子は、共役系を構成しない炭素に1以上の水素原子が結合している請求項1に記載の赤外光吸収剤。
- 前記スクアリリウム分子は、4級炭素原子を含まない請求項1に記載の赤外光吸収剤。
- 請求項1に記載の赤外光吸収剤を含有する赤外光吸収層を備える赤外光カットフィルタ。
- 前記赤外光吸収層は、更に、前記スクアリリウム分子とは第1吸収のピーク波長が異なる1又は2種以上の色素を含有する請求項4に記載の赤外光カットフィルタ。
- 前記赤外光吸収層は、前記スクアリリウム分子を含有する第1吸収層と、前記スクアリリウム分子とは分光特性が異なる1又は2以上の色素を含有する第2吸収層とが積層されて構成されている請求項4に記載の赤外光カットフィルタ。
- オンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に形成された平坦化層と、
前記平坦化層よりも上層に設けられ、請求項1に記載の赤外光吸収剤を含有する赤外光吸収層と、
を有する固体撮像素子。 - 前記赤外光吸収層は、更に、前記スクアリリウム分子とは第1吸収のピーク波長が異なる1又は2種以上の色素を含有する請求項7に記載の固体撮像素子。
- 前記赤外光吸収層は、前記スクアリリウム分子を含有する第1吸収層と、前記スクアリリウム分子とは分光特性が異なる1又は2以上の色素を含有する第2吸収層とが積層されて構成されている請求項7に記載の固体撮像素子。
- 前記赤外光吸収層は、厚さが0.5〜200μmである請求項7に記載の固体撮像素子。
- 請求項7に記載の固体撮像素子を備える撮像装置。
- 前記固体撮像素子の光電変換層に入射光を集光する撮像光学系を備え、
前記撮像光学系の中又は前記固体撮像素子と前記撮像光学系との間に、赤外光を吸収又は反射する赤外光カットフィルタが設けられている請求項11に記載の撮像装置。 - 前記赤外光カットフィルタが請求項4に記載の赤外光カットフィルタである請求項12に記載の撮像装置。
- 下記化学式(A)で表される骨格構造を有し、
600〜1500nmの波長域に存在する主励起状態に起因する第1吸収をBII、400〜600nmの波長域における前記第1吸収と分子振動との間の振電相互作用に関する吸収をBI、前記第1吸収と振動相互作用する分子振動のエネルギーを<φ(BI)|H^v|φ(BII)>としたとき、下記数式(i)により算出される前記第1吸収強度と前記振電相互作用による吸収強度の比f(BI)/f(BII)が0.01以下(0を含む)であり、
かつ、400〜600nmの波長域における一電子励起状態に起因する吸収の吸光度が、前記第1吸収の吸光度の0.01倍以下である
スクアリリウム分子を含有する赤外光吸収層を備える赤外光カットフィルタ。
(A及びBは、任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。)
(上記数式(i)におけるE(BI)及びE(BII)は各吸収のエネルギーを表し、f(BI)及びf(BII)は吸収強度を表す。) - オンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に形成された平坦化層と、
前記平坦化層よりも上層に設けられた赤外光吸収層と、
を有し、
前記赤外光吸収層は、下記化学式(A)で表される骨格構造を有し、
600〜1500nmの波長域に存在する主励起状態に起因する第1吸収をBII、400〜600nmの波長域における前記第1吸収と分子振動との間の振電相互作用に関する吸収をBI、前記第1吸収と振動相互作用する分子振動のエネルギーを<φ(BI)|H^v|φ(BII)>としたとき、下記数式(i)により算出される前記第1吸収強度と前記振電相互作用による吸収強度の比f(BI)/f(BII)が0.01以下(0を含む)であり、
かつ、400〜600nmの波長域における一電子励起状態に起因する吸収の吸光度が、前記第1吸収の吸光度の0.01倍以下である
スクアリリウム分子を含有する
固体撮像素子。
(A及びBは、任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。)
(上記数式(i)におけるE(BI)及びE(BII)は各吸収のエネルギーを表し、f(BI)及びf(BII)は吸収強度を表す。)
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WO2016186050A1 (ja) * | 2015-05-20 | 2016-11-24 | 富士フイルム株式会社 | 赤外線吸収組成物、赤外線カットフィルタ、積層体、パターン形成方法、および固体撮像素子 |
JP2020075959A (ja) * | 2018-11-05 | 2020-05-21 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | スクアリリウム色素、及びその用途 |
JP7459709B2 (ja) | 2020-07-29 | 2024-04-02 | Agc株式会社 | 光学フィルタ |
-
2014
- 2014-08-22 JP JP2014169782A patent/JP2016045372A/ja active Pending
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