JP2016044737A - ボールジョイント - Google Patents
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Abstract
【課題】ダストカバーの膜部が強く引っ張られても良好なシール性を維持できると共に、ボールスタッドの材料費や加工費の上昇を抑制したボールジョイントを提供する。
【解決手段】スタッド部及び球頭部を設けたボールスタッドと、開口部を有するソケットと、小径開口部42を設け弾性を有したダストカバー38とを備えるボールジョイントにおいて、ボールスタッドは、スタッド部に鍔部を設け、ダストカバー38は、小径開口部42に、スタッド部の外周面に嵌合するガイド部44と、鍔部の上面に軸方向に係合する係合部50と、ガイド部44と係合部50とを連結する補強環52とを設け、補強環52は、下端が鍔部に臨む筒状部54と、内周面がガイド部44に臨む第1鍔状部56と、下面が係合部50を形成する第2鍔状部58とを設ける。
【選択図】図3
【解決手段】スタッド部及び球頭部を設けたボールスタッドと、開口部を有するソケットと、小径開口部42を設け弾性を有したダストカバー38とを備えるボールジョイントにおいて、ボールスタッドは、スタッド部に鍔部を設け、ダストカバー38は、小径開口部42に、スタッド部の外周面に嵌合するガイド部44と、鍔部の上面に軸方向に係合する係合部50と、ガイド部44と係合部50とを連結する補強環52とを設け、補強環52は、下端が鍔部に臨む筒状部54と、内周面がガイド部44に臨む第1鍔状部56と、下面が係合部50を形成する第2鍔状部58とを設ける。
【選択図】図3
Description
本発明は、主として車両用リンク機構の連結装置として使用されるボールジョイントに係り、特に、ダストカバーのシール性が低下しないボールジョイントに関する。
従来、車両のサスペンション機構やステアリング機構に使用されるボールジョイント用ダストカバーとしては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。このダストカバーは、ゴム状弾性体からなり、ボールスタッドの外周面に嵌合される小径開口部、ソケットの外周面に嵌合される大径開口部及びその間を繋ぐ膜部で形成され、小径開口部には、補強環が埋設されている。
補強環には、補強環本体の内周側にボールスタッドの外周面に対して径方向の遊びを持たない寸法の鍔部が設けられ、補強環の鍔部よりも上方、すなわち小径開口部の開口端側の内周面には、ボールスタッドの外周面に密接するゴム状弾性体のシール部が設けられている。
しかしながら、低温環境下ではゴム等の弾性体は硬化するため、低温環境下でボールスタッドが揺動すると、ダストカバーの大径開口部と小径開口部の距離が長くなる側、すなわち張力が作用しダストカバーの膜部が伸びる側は、硬化した膜部によってダストカバーの小径開口部がソケット側方向に、常温環境下に比べ大きな力で引っ張られる。
そのため、このような従来のボールジョイント用ダストカバーにあっては、小径開口部の円周上の一部分に膜部からの張力が作用して、小径開口部がボールスタッドの外周面に対して傾くと、傾きを規制する唯一の部位である補強環の鍔部よりも上方に位置するシール部は、張力が作用した側がボールスタッドの外周面から離れる方向に大きく変位するため、シール部の密接を維持できなくなる。
また、膜部からの張力がさらに増大すると、ボールスタッドの外周面に対して遊びを持たないように設定された補強環の鍔部の内周面がこじられてボールスタッドに固着するため、ボールスタッドがその中心軸回りに回転作動(摺動)すると、ボールスタッドと共に小径開口部も回転してしまい、膜部が過大に捩じられ、最悪の場合は破損する。
従って、特許文献1に記載されたボールジョイント用ダストカバーの構造では、ボールジョイントが使用される全環境において、ダストカバーの良好なシール性を発揮できないという問題がある。
このような問題に対し、図8に示すようなボールジョイントが特許文献2により提案されている。図8に示すボールジョイント110では、ダストカバー138の小径開口部142をボールスタッド112に装着して組み付け対象のナックルアーム100に固定する際に、スタッド部114の外周面126と鍔部120とで補強環152を埋設した小径開口部142の径方向及び軸方向の位置を規制することで、小径開口部142が膜部140に引っ張られても小径開口部142の傾きを抑制してシール部146の密接を維持できるようにしている。
しかしながら、図8に示すような構造を採用する場合、ボールスタッド112に設ける鍔部120の外径を補強環152の外周面近傍まで大きく設定しなければならず、ボールスタッドの112材料費や加工費が上昇してしまうという問題がある。
本発明は、ダストカバーの小径開口部が膜部によって引っ張られても良好なシール性を維持できると共に、ボールスタッドの鍔部の外径を小さくすることで材料費や加工費の上昇を抑制したボールジョイントを提供することを目的とする。
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。まず本発明は、スタッド部の下端に球頭部を設けたボールスタッドと、球頭部を回動可能に収容し、上端にスタッド部が突出する開口部を設けたソケットと、スタッド部に装着する小径開口部及びソケットに装着する大径開口部を設け弾性を有したダストカバーとを備えるボールジョイントを対象とする。
このようなボールジョイントにおいて、ボールスタッドは、スタッド部に鍔部を設け、ダストカバーは、小径開口部の内周側に、スタッド部の外周部に径方向の微小隙間を有して嵌合するガイド部と、小径開口部の下端側に、鍔部の上面に軸方向に当接して係合する係合部と、ガイド部と係合部とを高い剛性で連結する補強環とを設け、補強環は、軸方向の下端が鍔部に臨む筒状部と、筒状部の上端側に、径方向内向きに突出して内周面がガイド部に臨む第1鍔状部と、筒状部の下端側に、径方向内向きに突出して下面が係合部を形成する第2鍔状部と、を設けたことを特徴とする。
ここで、ダストカバーは、小径開口部の内周側で第1鍔状部の下方且つ第2鍔状部の上方に、スタッド部の外周部に径方向の締め代により密接するシール部を設ける。
補強環は、筒状部の下端に筒状部の内周面と外周面とを連通する溝部を設け、第2鍔状部を溝部の設置部位を除いた形状とする。
また、補強環は、第2鍔状部を周方向に複数に分割して設け、第1鍔状部を複数に分割した第2鍔状部の軸方向投影部位を除いた形状とする。
また、補強環は、第2鍔状部の内周面を第1鍔状部の内周面径方向外側に位置する形状とする。
ここで、補強環は、第1鍔状部を第2鍔状部と同数に分割して設ける。
また、補強環は、第1鍔状部の内周面及び第2鍔状部の内周面を円弧形状とする。
本発明によれば、ダストカバーの小径開口部をボールスタッドのスタッド部に組み付ける際に、高剛性体の補強環で連結したガイド部及び係合部とスタッド部の外周面及び鍔部の上面とで、小径開口部の径方向位置及び軸方向位置を規制したことで、小径開口部が膜部に引っ張られても小径開口部の傾きを抑制できるため、シール部の密接を維持してダストカバーの良好なシール性を維持できるボールジョイントを提供することができる。
また、補強環の上端側に径方向内向きの第1鍔状部を設けて内周面をガイド部とすると共に、下端側に径方向内向きの第2鍔状部を設けて下端面を係合部としたことで、係合部が当接するボールスタッドの鍔部の外径を小さくできるため、ボールスタッドの材料費や加工費を低減することができる。
また、第1鍔状部と第2鍔状部との間の範囲にシール部を設けたことで、シール部の径方向の厚みを大きく取ることができるため、小径開口部が傾いた場合でも有効な密接状態とする弾性を確保してシール部の密接を良好な状態に維持することができる。
また、補強環の筒状部の下端に、筒状部の内周面と外周面とを連通する溝部を設けたことで、ダストカバーの成形時にゴム等の弾性材料を流動させる通路を十分に確保できるため、第2鍔状部を設けた補強環をインサートしたダストカバーの製造を容易にすることができる。
また、第2鍔状部を周方向に複数に分割して設け、第1鍔状部を第2鍔状部の軸方向投影部位を除いた形状としたことで、補強環の成形時にアンダーカットとなる部位をなくすことができるため、補強環を合成樹脂製とする場合の射出成型や金属製とする場合の金型鋳造を容易にするとことができ、更に、型の無理抜きによる歪や変形を防止して補強環の製造を高精度にすることができる。
また、第2鍔状部の内周面を第1鍔状部の内周面より径方向外側に位置する形状とし、更に、第1鍔状部の内周面及び第2鍔状部の内周面を円弧形状としたことで、小径開口部が傾いた場合でも小径開口部の内周下端部やガイド部とスタッド部の外周面との抉りを防止でき、ダストカバーの良好なシール性を維持できる。
以下に、本発明に係るボールジョイントの実施形態について、その構成等を示す図面を参照して説明する。なお、本願において使用している「上端」及び「下端」、「上面」及び「下面」、「上方」及び「下方」等の呼称は、図示状態での方向(上下関係)を表しており、本発明に係るボールジョイントを天地逆や横倒しで配置した場合には、これらの方向に関する呼称は、配置方向に対応させることになる。
図1は、本発明に係るボールジョイントの実施形態を示す説明図である。図1において、ボールジョイント10は、ボールスタッド12、ボールシート30、ソケット32、プラグ34、ダストカバー38、クランプ70で構成され、組み付け対象のナックルアーム100にナット102で固定されている。
ボールジョイント10は、ボールスタッド12の下端に形成した球頭部16を、ボールシート30を介してソケット32に組み込み、プラグ34をカシメ成形で閉塞してボールスタッド12を揺動及び摺動自在に支持している。また、ボールスタッド12とソケット32の間には、開口部36から内部に水や埃が侵入するのを防止するダストカバー38を装着している。
図2は、図1のダストカバー38とボールスタッド12の各々を分離して示す説明図であり、図2(A)はダストカバー38の断面、図2(B)はボールスタッド12を示している。
図2(A)において、ゴム等の弾性材で形成されたダストカバー38は、膜部40の上端に小径開口部42、下端には大径開口部62を有し、小径開口部42には合成樹脂等で形成された補強環52を埋め込み、大径開口部62にはクランプ70を装着するクランプ溝66を備えた周縁部64が設けられている。
図2(B)において、ボールスタッド12は、スタッド部14の下端に球頭部16を設け、スタッド部14には、球頭部16側から順に頚部18、鍔部20、軸部22、ネジ部24を設けている。また、軸部22には、鍔部20側に外周面26、ネジ部24側にテーパ面28が形成されている。
本実施形態においては、大径開口部62の周縁部64をソケット32の外周上部に設けられた溝に嵌め、クランプ溝66に金属製のクランプ70を嵌めて、ダストカバー38をソケット32に固定しているが、ダストカバー38のソケット32側への取り付けは他の形態でも構わない。
また、ダストカバー38のボールスタッド12側への取り付けは、ソケット32に固定されたダストカバー38をボールスタッド12と共にナックルアーム100に組み付け、ナット102でネジ部24を締め上げてテーパ面28を圧入状態とし、ボールスタッド12を固定することで、小径開口部43の内周側を軸部22の外周面26に嵌め合わせ、小径開口部42の軸方向を鍔部20とナックルアーム100で押さえ込むことで行っているが、同様の構成になれば他の固定方法でも構わない。
また、ネジ部24を、組み付け対象の部品としてナックルアーム100にナット102で固定しているが、ボールジョイント10の組み付け対象は任意であり他の部品でも構わない。更に、膜部40の形状は、図2(A)に示すように未装着状態で中間部が膨らんだ太鼓状となっているが、この形状に限定されるものではなく他の形状、例えば、蛇腹状等でも構わない。
図3は、図2のダストカバー38の小径開口部42を拡大して示す断面図であり、図2(A)に示す小径開口部42の右側部分を抜き出している。図3において、小径開口部42は、内周側にガイド部44及びシール部46、上端側にリップ部48、下端側に係合部50を設け、内部には補強環52を埋め込んでいる。
本実施形態では、シール部46として、溝を1本設けた形状(峰を2列設けた形状)を挙げているが、溝無しの形状や、他の周知のものでも良く、シール部の形状はシール性を損なわない限り任意である。
補強環52には、筒状部54、第1鍔状部56及び第2鍔状部58が形成され、本実施形態では、第1鍔状部56の内周面56a及び第2鍔状部58の内周面58aを、ダストカバー38を形成するゴム等の弾性材から露出させずに、筒状部54の下端面54b及び第2鍔状部58の下端面58bを露出させて配置し、第1鍔状部56の内周面56aがガイド部44に臨み、第2鍔状部58の下端面58bが係合部50を構成している。
合成樹脂や金属等の部品をゴム等の製品にインサート成形する際には、成形性等の理由によりインサート部品の表面を露出させるのが困難な場合があり、本実施形態は、インサート部品となる補強環52の、第1鍔状部56の内周面56a及び第2鍔状部58の内周面58aがゴム等の弾性体の薄い膜で被覆され、内周面56a側の被覆の表面がガイド部44を構成する場合を示している。
なお、この被覆の厚さは、成形条件や設計条件によって任意であるが、ガイド部44の連結剛性を高めるためには、薄い方が望ましい。なお、連結剛性のためには、補強環は露出している方がより望ましい。
また、ダストカバー38の上端側には、ダストカバー38の成形時に金型内で補強環52を保持するための位置決めピンの痕跡が、補強環52の上方向にピン穴68となって残っているため、筒状部54の上端面は、このピン穴68の部分だけがゴム等の弾性材から露出することになるが、このピン穴68は、機能上特に必要なものではない。
ガイド部44は、ボールスタッド12の軸部22の外周面26に径方向の微小隙間を有して嵌合し、係合部50は、ボールスタッド12の鍔部20の上面に軸方向に当接して係合する。シール部46は、径方向の締め代により軸部22の外周面26に密接し、小径開口部42のシール性を確保している。
リップ部48は、弾性によりナックルアーム100の下面に密接し、小径開口部42のシール性を補強しているが、リップ部48の設定の有無は、組み付け対象の部品形状の都合等により任意であり、リップ部48を設定しない場合もある。
このように、高剛性体の補強環52で連結したガイド部44と係合部50の両部位で、スタッド部14に対する小径開口部42の径方向及び軸方向の位置を規制したことで、小径開口部42が膜部40に引っ張られても小径開口部42の傾きを抑制できるため、シール部46の密接を維持することができ、また、軸部22の外周面26とガイド部44とに微小隙間を設けたことで、ガイド部44が抉られることを防止できる。
また、シール部46をガイド部44よりも下方(ガイド部44と係合部50との間)に設けたことで、ガイド部44と係合部50の両方の位置規制部間の距離を長く設定することができるため、スタッド部14とガイド部44の微小隙間に対する小径開口部42の傾きをより小さく抑えることができる。
更に、シール部46がガイド部44よりも上方にある場合、例えば、特許文献1の構造と比べ、小径開口部42の傾きに対するシール部46の径方向変位をより小さく抑えことができる。
また、第1鍔状部56と第2鍔状部58との間の範囲Aにシール部46を設けたことで、シール部46の径方向の厚みBを大きく取ることができるため、小径開口部42が傾いた場合でも有効な密接状態とする弾性を確保してシール部46の密接を良好な状態に維持することができる。
また、第2鍔状部58の内周面58aを第1鍔状部56の内周面56aより、径方向外側(半径差C)に位置する形状としたことで、小径開口部42が傾いた場合でも小径開口部42の内周下端部やガイド部44とスタッド部14の外周面26との抉りを防止でき、ダストカバー38の良好なシール性を維持できる。
次に、スタッド部14とガイド部44の嵌合部に微小隙間を設ける理由を説明する。ボールジョイント10が作動する際に、ボールスタッド12は、ソケット32に対して揺動及び摺動することになる。ここで、揺動は、ボールスタッド12が球頭部16の中心点回りに傾斜する動作を、摺動は、ボールスタッド12がスタッド部14の中心軸回りに回転する動作を意味する。
ダストカバー38は、小径開口部42をボールスタッド12に、大径開口部62をソケット32に装着するため、ボールスタッド12の摺動によるダストカバー38の膜部40の捩れ破損を防ぐには、小径開口部42は、ボールスタッド12に対して摺動自在に密接させる必要がある。
従って、膜部40の捩れ破損の防止には、高剛性の補強環52が近接また露出するガイド部44と、軸部22の外周面26との間には隙間を設けておくこと、すなわち、ガイド部44とスタッド部14の嵌合に遊びを設けることが有効である。
なお、シール部46は、ゴム弾性により変形するため、締め代があっても小径開口部42の摺動自在性は確保できる。
図4は、図3の補強環52を詳細に示す説明図であり、図4(A)は補強環52の上側平面、図4(B)は補強環52の縦断面、図4(C)は補強環52の下側平面を示している。
図4(A)(B)(C)において、補強環52は、合成樹脂等で筒状部54と第1鍔状部56及び第2鍔状部58が形成され、筒状部54の下端面54bには、ダストカバー38の成形時にゴム等の弾性材料を流動させるための径方向溝60が設けられている。
ここで、径方向溝60の深さ(下端面54bからの高さ)は、第2鍔状部58の厚さと同等かそれ以上としているため、径方向溝60を設けた部位(径方向溝60の幅)には第2鍔状部58は存在していない。
補強環52は、ダストカバー38としてインサート成形された際に、第1鍔状部56の内周面56aがガイド部44、第2鍔状58の下端面58bが係合部50を構成し、ダストカバー38の弾性部分に用いられるゴム等の材料よりも充分に高い剛性を有した合成樹脂等の材料を用いで形成されているため、ガイド部44と係合部50とは、高い剛性で連結される。
図5は、ボールスタッドの鍔部を本発明と従来例とで比較して示す説明図であり、図5(A)が本発明、図5(B)が従来例である。図5(A)では、補強環52の第2鍔部58の下端面58bがボールスタッド12の鍔部20の上面に係合し、図5(B)では、補強環152の筒状部154の下端面154bがボールスタッド112の鍔部120の上面に係合した状態で、図5(A)の鍔部20の外径D1と図5(B)の鍔部120の外径D2との関係が「D1<D2」となっている。
このように、補強環52の下端側に径方向内向きの第2鍔状部58を設けて下端面58bを係合部50としたことで、係合部50が当接するボールスタッド12の鍔部20の外径D1を従来の外径D2に比べて小さくできるため、ボールスタッド12の材料費や加工費を低減することができる。
また、ボールスタッド12をソケット32に組み付ける際に、鍔部20が通過するソケット32の開口部36の内径を小さくできるため、ソケット32及びソケット内収容部品を小型化でき、小型、軽量、安価なボールジョイントを提供できる。
図6は、補強環の他の実施形態を示す説明図であり、図6(A)は補強環の上側平面、図6(B)は図6(A)に示す補強環のE−E矢視断面、図6(C)は補強環の下側平面を示している。
図6(A)(B)(C)において、補強環72は、合成樹脂等で筒状部74と第1鍔状部76及び第2鍔状部78が形成され、筒状部74の下端部74bには、ダストカバー38の成形時にゴム等の弾性材料を流動させるための径方向溝80を、第2鍔状部78が存在していない4個所の部位毎に設けている。
ここで、補強環72は、第2鍔状部78を周方向に4分割して形成し、第1鍔状部76は、第2鍔状部78の軸方向投影部位を除いた形状となるように4分割して形成しており、この点で図4に示す補強環52とは異なる。
補強環72は、ダストカバー38としてインサート成形された際に、第1鍔状部76の内周面76aがガイド部44、第2鍔状部78の下端面78bが係合部50を構成し、ダストカバー38の弾性部分に用いられるゴム等の材料よりも充分に高い剛性を有した合成樹脂等の材料を用いで形成されているため、ガイド部44と係合部50とは、高い剛性で連結される。
また、第1鍔状部76及び第2鍔状部78を図6に示すような4分割した形状とすることで、補強環72の成形時にアンダーカットとなる部位をなくすことができるため、補強環72を合成樹脂製とする場合の射出成型や金属製とする場合の金型鋳造を容易にするとことができ、更に、型の無理抜きによる歪や変形を防止して補強環72の製造を高精度にすることができる。
本実施形態においては、第1鍔状部76及び第2鍔状部78を各々4分割した形状としているが、分割数は任意であり、設計仕様等により適宜設定される。
図7は、補強環の他の実施形態を示す説明図であり、図7(A)は補強環の上側平面、図7(B)は図7(A)に示す補強環のF−F矢視断面、図7(C)は補強環の下側平面を示している。
図7(A)(B)(C)において、補強環82は、合成樹脂等で筒状部84と第1鍔状部86及び第2鍔状部88が形成され、筒状部84の下端部84bには、ダストカバー38の成形時にゴム等の弾性材料を流動させるための径方向溝90を、第2鍔状部88が存在していない部位の4箇所に設けている。
ここで、補強環82は、図6に示す補強環72と同様に、第2鍔状部88を周方向に4分割して形成しているが、第1鍔状部86は、分割せずに第2鍔状部88の軸方向投影部位を除いた形状として形成しており、この点で図6に示す補強環72とは異なる。
補強環82は、ダストカバー38としてインサート成形された際に、第1鍔状部86の内周面86aがガイド部44、第2鍔状88の下端面88bが係合部50を構成し、ダストカバー38の弾性部分に用いられるゴム等の材料よりも充分に高い剛性を有した合成樹脂等の材料を用いで形成されているため、ガイド部44と係合部50とは、高い剛性で連結される。
また、第2鍔状部88を図7に示すような4分割した形状とし、第1鍔状部86は、内周面86aを分割せずに第2鍔状部88の軸方向投影部位を除いた(中抜き部86b)形状とすることで、補強環82の成形時にアンダーカットとなる部位をなくすことができるため、補強環82を合成樹脂製とする場合の射出成型や金属製とする場合の金型鋳造を容易にするとことができ、更に、型の無理抜きによる歪や変形を防止して補強環82の製造を高精度にすることができる。
本実施形態においては、第2鍔状部88を4分割した形状としているが、分割数は任意であり、設計仕様等により適宜設定される。また、第2鍔状部88の4分割された各々の形状は略半円形であるが、その形状も任意であり、設計仕様等により適宜設定される。
本発明は、車両用リンク機構の連結装置として用いられるボールジョイントに限らず、ダストカバーを備えたあらゆるボールジョイントに適用可能であり、また上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含む。
10、110:ボールジョイント
12、112:ボールスタッド
14、114:スタッド部
16:球頭部
18:頚部
20、120:鍔部
22:軸部
24:ネジ部
26、126:外周面
28:テーパ面
30:ボールシート
32:ソケット
34:プラグ
36:開口部
38、138:ダストカバー
40、140:膜部
42、142:小径開口部
44:ガイド部
46、146:シール部
48:リップ部
50:係合部
52、72、82、152:補強環
54、74、84、154:筒状部
56、76、86:第1鍔状部
58、78、88:第2鍔状部
60、80、90:径方向溝
62:大径開口部
64:周縁部
66:クランプ溝
68:ピン穴
70:クランプ
100:ナックルアーム
102:ナット
12、112:ボールスタッド
14、114:スタッド部
16:球頭部
18:頚部
20、120:鍔部
22:軸部
24:ネジ部
26、126:外周面
28:テーパ面
30:ボールシート
32:ソケット
34:プラグ
36:開口部
38、138:ダストカバー
40、140:膜部
42、142:小径開口部
44:ガイド部
46、146:シール部
48:リップ部
50:係合部
52、72、82、152:補強環
54、74、84、154:筒状部
56、76、86:第1鍔状部
58、78、88:第2鍔状部
60、80、90:径方向溝
62:大径開口部
64:周縁部
66:クランプ溝
68:ピン穴
70:クランプ
100:ナックルアーム
102:ナット
Claims (7)
- スタッド部の下端に球頭部を設けたボールスタッドと、
前記球頭部を回動可能に収容し、上端にスタッド部が突出する開口部を設けたソケットと、
前記スタッド部に装着する小径開口部及び前記ソケットに装着する大径開口部を設け弾性を有したダストカバーと、
を備えるボールジョイントにおいて、
前記ボールスタッドは、前記スタッド部に鍔部を設け、
前記ダストカバーは、
前記小径開口部の内周側に、前記スタッド部の外周部に径方向の微小隙間を有して嵌合するガイド部と、
前記小径開口部の下端部に、前記鍔部の上面に軸方向に当接して係合する係合部と、
前記ガイド部と前記係合部とを高い剛性で連結する補強環と、
を設け、
前記補強環は、
軸方向の下端が前記鍔部に臨む筒状部と、
前記筒状部の上端側に、径方向内向きに突出して内周面が前記ガイド部に臨む第1鍔状部と、
前記筒状部の下端側に、径方向内向きに突出して下面が前記係合部を形成する第2鍔状部と、
を設けたことを特徴とするボールジョイント。
- 請求項1記載のボールジョイントにおいて、前記ダストカバーは、前記小径開口部の内周側で前記第1鍔状部の下方且つ前記第2鍔状部の上方に、前記スタッド部の外周部に径方向の締め代により密接するシール部を設けたことを特徴とするボールジョイント。
- 請求項1又は2記載のボールジョイントにおいて、前記補強環は、
前記筒状部の下端に前記筒状部の内周面と外周面とを連通する溝部を設け、
前記第2鍔状部を前記溝部の設置部位を除いた形状としたことを特徴とするボールジョイント。
- 請求項1乃至3の何れかに記載のボールジョイントにおいて、前記補強環は、
前記第2鍔状部を周方向に複数に分割して設け、
前記第1鍔状部を前記複数に分割した第2鍔状部の軸方向投影部位を除いた形状としたことを特徴とするボールジョイント。
- 請求項1乃至4の何れかに記載のボールジョイントにおいて、前記補強環は、前記第2鍔状部の内周面を前記第1鍔状部の内周面より径方向外側に位置する形状としたことを特徴とするボールジョイント。
- 請求項4又は5記載のボールジョイントにおいて、前記補強環は、前記第1鍔状部を前記第2鍔状部と同数に分割して設けたことを特徴とするボールジョイント。
- 請求項1又は2記載のボールジョイントにおいて、前記補強環は、前記第1鍔状部の内周面及び第2鍔状部の内周面を円弧形状としたことを特徴とするボールジョイント。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2014168995A JP2016044737A (ja) | 2014-08-22 | 2014-08-22 | ボールジョイント |
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JP2014168995A JP2016044737A (ja) | 2014-08-22 | 2014-08-22 | ボールジョイント |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2014
- 2014-08-22 JP JP2014168995A patent/JP2016044737A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018097119A1 (ja) * | 2016-11-28 | 2018-05-31 | Nok株式会社 | ダストシール |
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