JP2016044436A - トンネル、トンネル構築方法、及びトンネルのひび割れ抑制方法 - Google Patents

トンネル、トンネル構築方法、及びトンネルのひび割れ抑制方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016044436A
JP2016044436A JP2014168361A JP2014168361A JP2016044436A JP 2016044436 A JP2016044436 A JP 2016044436A JP 2014168361 A JP2014168361 A JP 2014168361A JP 2014168361 A JP2014168361 A JP 2014168361A JP 2016044436 A JP2016044436 A JP 2016044436A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tunnel
glass fiber
concrete
fiber sheet
yarn
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014168361A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6373123B2 (ja
Inventor
永造 竹下
Eizo Takeshita
永造 竹下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiheiyo Materials Corp
Original Assignee
Taiheiyo Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiheiyo Materials Corp filed Critical Taiheiyo Materials Corp
Priority to JP2014168361A priority Critical patent/JP6373123B2/ja
Publication of JP2016044436A publication Critical patent/JP2016044436A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6373123B2 publication Critical patent/JP6373123B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Lining And Supports For Tunnels (AREA)

Abstract

【課題】トンネルの二次覆工コンクリートにおけるひび割れが、経済的、かつ、効率的な抑制可能な技術を提案する。【解決手段】トンネル表面層を構成するコンクリート層にガラス繊維製シート1,2が設けられ、ガラス繊維製シート1,2は、前記トンネルの周方向に沿って設けられてなると共に、前記周方向に交差する方向に沿って設けられてなる。ガラス繊維製シート1,2は前記コンクリート層中に埋設される。また、ガラス繊維製シート1,2は前記コンクリート層中の鉄筋に掛止されてなる。【選択図】図1

Description

本発明はトンネルに関する。
トンネルの2次覆工コンクリート(表面コンクリート層)におけるひび割れには、(1) 地圧等の力を受けることによって生じる応力的なひび割れ、(2) コールドジョイント等の構造的に生じるひび割れ、(3) 乾燥収縮などによるひび割れが知られている。前記(1)(2)のひび割れは、現在、施工時点において、対策が採られている。そして、維持管理の段階では余り問題にはなっていない。一方、(3)のひび割れは、コンクリート硬化時の乾燥収縮や水和熱による温度収縮などにより、コンクリート表面に無数に生じる。但し、(3)のひび割れは、トンネルの力学的機能には、大きな影響を及ぼすものでないと考えられている。しかし、列車や自動車などがトンネル(例えば、鉄道トンネルや道路トンネル)内を通行(走行)することから、トンネルの2次覆工コンクリートのひび割れが抑制されることは大きな意味が有る。ひび割れが多く発生した場合、コンクリート片の剥落や漏水などが引き起こされる。コンクリート片の剥落や漏水などはトンネル内を走行する列車や自動車の安全走行に危険を引き起こすことは容易に推察できるであろう。
トンネルに必要とされる要求性能や設計指針などを満たす為に許容されるひび割れには限界が有る。許容値を越えたひび割れが発生した場合には、その発生要因を推定し、補修を行う必要が有る。トンネルの2次覆工コンクリートに許容されるひび割れの基準は、例えばNEXCOの指針「設計要領 第三集 トンネル編」に記載されている。ひび割れ密度の基準値(表−1参照)が、性能項目に合わせて、設定されている。これによれば、ひび割れ密度は、好ましくは、20cm/m以下である。多くても、30cm/m以下であることが好ましいであろう。
表−1
ひび割れや剥落について次の抑制方法が提案されている。ひび割れ発生の主な原因として寒冷地での施工、背面地山の拘束が挙げられている。ひび割れ抑制方法として、(1)「一次覆工コンクリートとの縁切り(アイソレーション)」、(2)「コンクリートの品質改良」、(3)「ひび割れ誘発目地の設置」が挙げられている。
前記(1)に関して、「山岳トンネルの新しい防水工(土木学会関東支部技術研究発表会講演概要集、Vol.31-6巻、2004年、pp.9-10)」は、一次覆工コンクリートの凹凸やロックボルトの凹凸が防水層に影響を及ぼし、この影響で、2次覆工コンクリートにひび割れが発生し易くなったことを報告している。このような問題を解決する為、上記論文は、充填材を使用し、接着防水シートを使用した工法を提案している。特許5132599号公報は、防水層を必要としない工法を提案している。特開2001−262987号公報は、弾性体である発泡ウレタンによるアイソレーションレイヤーを設けることを提案している。しかし、前記方法は、一次覆工コンクリートの施工による凹凸度が毎回異なると非常に大変なこと、かつ、特殊な工法とならざるを得ず、一般的な工事において誰もが使用できる工法とは謂い難く、更に特殊な材料を用いる必要性がある為、経済的・実用的では無い。
前記(2)に関して、日本コンクリート工学協会(コンクリートの収縮問題検討委員会報告書、pp.94、表6-2)は、コンクリートから水分が逸散することによる乾燥作用により、コンクリートが収縮(乾燥収縮)し、ひび割れが発生することから、これを防止する方法として、コンクリート材料に膨張材を用い、予め、コンクリートに膨張を付与する方法、コンクリート材料に収縮低減剤を用い、コンクリート中からの水分逸散速度を小さくする方法を提案している。前記方法は、ひび割れの発生を防止する方法として広く用いられている。しかし、コンクリート全体を対象としており、ひび割れが発生しないと予想される部分にも施工することになり、経済的ではない。更に、完全にひび割れの発生を許容しない工法であり、材料的には対応可能としても、ひび割れを許容する設計に比較して経済的負担が大き過ぎる。
前記(3)に関して、特許5524875号公報は、ひび割れが発生する箇所を予め設け、ひび割れ発生後に補修することを前提とした工法を提案している。この方法は、ひび割れが発生することを前提としている為、ひび割れを許容しない工法に比べて、維持管理は容易である。この方法は、ひび割れの発生を許容する。ひび割れ幅を制御する(有害とされるひび割れ幅以下にする)方法として、最近、用いられることが多い。しかし、誘発目地の設計通りにはひび割れが発生し難い。誘発目地にひび割れを発生させる機械的技術において課題が多く、今後の技術の進展が望まれているのが現状である。更に、施工工程上、工程が増えることが予想され、工期が長期化する懸念が有る。
土木学会関東支部技術研究発表会講演概要集、Vol.31-6巻、2004年、pp.9-10) 日本コンクリート工学協会:コンクリートの収縮問題検討委員会報告書、pp.94、表6-2
特許5132599号公報 特開2001−262987号公報 特許5524875号公報
本発明は前記問題点を解決することを目的とする。例えば、トンネルの二次覆工コンクリートにおけるひび割れが、経済的、かつ、効率的な抑制可能な技術を提案することを目的とする。
本発明は、
トンネル表面層を構成するコンクリート層にガラス繊維製シートが設けられてなるトンネルであって、
前記ガラス繊維製シートは、
前記トンネルの周方向に沿って設けられてなると共に、
前記周方向に交差する方向に沿って設けられてなる
ことを特徴とするトンネルを提案する。
本発明は、前記トンネルであって、前記周方向に交差する方向のガラス繊維製シートは複数設けられてなり、前記ガラス繊維製シートと前記ガラス繊維製シートとの間隔が60cm以下であることを特徴とするトンネルを提案する。
本発明は、前記トンネルであって、前記周方向のガラス繊維製シートは複数設けられてなり、前記ガラス繊維製シートと前記ガラス繊維製シートとの間隔が250cm以下であることを特徴とするトンネルを提案する。
本発明は、前記トンネルであって、前記ガラス繊維製シートは、その幅が10〜50cmであることを特徴とするトンネルを提案する。
本発明は、前記トンネルであって、前記ガラス繊維シートは、第1の糸と該第1の糸より長さが短い第2の糸とがネット状に組み合わさってなり、(前記第1の糸の引張剛性)/(前記第2の糸の引張剛性)が1.5〜30であることを特徴とするトンネルを提案する。
本発明は、前記トンネルであって、前記ガラス繊維製シートは前記コンクリート層中に埋設されてなることを特徴とするトンネルを提案する。
本発明は、前記トンネルであって、前記ガラス繊維製シートは前記コンクリート層中の鉄筋に掛止されてなることを特徴とするトンネルを提案する。
本発明は、
トンネルの構築方法であって、
トンネル基層を構成するコンクリート基層上に、前記トンネルの周方向に沿って、ガラス繊維製シートを設ける工程と、
トンネル基層を構成するコンクリート基層上に、前記トンネルの周方向に交差する方向に沿って、ガラス繊維製シートを設ける工程と、
前記ガラス繊維シートが設けられた後、前記コンクリート基層上にトンネル表面層を構成するコンクリート層を設ける工程
とを具備することを特徴とするトンネル構築方法を提案する。
本発明は、前記トンネルの構築方法であることを特徴とする前記トンネル構築方法を提案する。
本発明は、
トンネルを構成するコンクリートにおける表面コンクリート層のひび割れを抑制する方法であって、
前記表面コンクリート層中に、前記トンネルの周方向に沿って、かつ、前記周方向に交差する方向に沿って、ガラス繊維製シートを設ける
ことを特徴とするトンネルのひび割れを抑制する方法を提案する。
本発明は、前記トンネルを構成するコンクリートにおける表面コンクリート層のひび割れを抑制する方法であることを特徴とするトンネルのひび割れを抑制する方法を提案する。
ひび割れが抑制されたトンネルが提供される。
トンネルの2次覆工コンクリートに埋設されるガラス繊維製シートの配置形態の概略図
本発明の実施形態が、以下、説明される。
第1の本発明はトンネル(トンネル構造体)である。前記トンネルは、トンネル表面層を構成するコンクリート層(好ましくは、コンクリート層中)に、ガラス繊維製シートを具備する。前記トンネル表面層を構成するコンクリートは、例えば2次覆工コンクリートである。前記トンネルの周方向に沿って、前記ガラス繊維製シートは、設けられている。前記周方向に交差する方向に沿って、前記ガラス繊維製シートは、設けられている。前記ガラス繊維は、好ましくは、前記コンクリート層中の鉄筋に掛止して、設けられている。
前記周方向に交差する方向のガラス繊維製シートは、好ましくは、複数、設けられている。前記複数設けられたガラス繊維製シートにおける前記ガラス繊維製シートと前記ガラス繊維製シートとの間隔(H)は、好ましくは、60cm以下であった。更に好ましくは、55cm以下であった。好ましくは、前記Hが30cm以上の場合であった。更に好ましくは、前記Hが40cm以上の場合であった。もっと好ましくは、前記Hが45cm以上の場合であった。前記周方向に交差する方向とは、例えばトンネルの長手方向(トンネルの長さは、通常、トンネル断面が円弧であるとした場合の該円の直径よりも長い。前記長手方向はトンネルの垂直断面に垂直な方向:走行方向)である。
前記周方向のガラス繊維製シートは、好ましくは、複数、設けられている。前記複数設けられたガラス繊維製シートにおける前記ガラス繊維製シートと前記ガラス繊維製シートとの間隔(L)は、好ましくは、250cm以下であった。更に好ましくは、230cm以下であった。もっと好ましくは、220cm以下の場合であった。好ましくは、前記Lが150cm以上の場合であった。更に好ましくは、前記Lが180cm以上の場合であった。前記周方向とは、例えばトンネルの円周方向(前記長手方向に直交する面における周方向)である。
前記ガラス繊維製シートは、好ましくは、トンネル表面層を構成するコンクリート層中に、埋設されている。その埋設深さは、好ましくは、トンネル表面層を構成するコンクリート層の厚さの約3/4〜1/4の深さであった。更に好ましくは約1/2〜1/4の深さであった。
前記ガラス繊維製シートは、好ましくは、その幅が10〜50cmであった。より好ましくは15cm以上であった。より好ましくは25cm以下であった。
前記ガラス繊維シートは、好ましくは、第1の糸と該第1の糸より長さが短い第2の糸とが組み合わさったネット状(網状)のものであった。前記シートは、少なくとも二つの方向に存する糸(単に、糸と称しているが、これは、繊維そのものであったり、複数本の繊維が撚られたものであったり、或いは複数本の繊維が撚られたものが更に撚られたものであったり、或いは紐や幅狭なシート状のものであったりする。)が交差した網状のものである。交差点において、第1の糸と第2の糸とが接着されたものであっても良い。この交差点(交点)によって囲まれる形状(開口部形状:窓部の形状)は、例えば正方形、菱形、或いは長方形である。勿論、前記の如きの四角形のみならず、その他の多角形であっても良いが、四角形以外の形状のものとなるネットを作製しようとすると、コストが高くなることから、好ましくは開口部形状が四角形(正方形または長方形。特に、長方形)のものである。前記シートにおける二つの方向に存する糸の第1の方向に存する糸(第1の糸)と第2の方向に存する糸(第2の糸:第1の糸より長さが短い第2の糸)とは、好ましくは、次の関係を持つものであった。二つの方向とは、例えば縦方向と横方向とである。ネットを作製しようとした場合、一般的には、長手方向の糸が縦糸であり、短手方向の糸が横糸である。好ましくは、(第1の糸(例えば、縦方向の糸:縦糸)の引張剛性)/(第2の糸(例えば、横方向の糸:横糸)の引張剛性)=1.5〜30であった。より好ましくは、該値が1.8以上であった。更に好ましくは、該値が5以上であった。より好ましくは、該値が25以下であった。更に好ましくは、該値が20以下であった。すなわち、(第1の糸の引張剛性)/(第2の糸の引張剛性)が上記値となるように構成させたネットによる表面コンクリート層のひび割れ抑制効果は大きかった。しかも、糸量も少なくて済む。糸の引張剛性は(糸の弾性係数)×(糸の断面積)で求められる。数本の繊維が撚られて糸が出来ている場合、断面を取った場合、該断面には繊維間に隙間が有ることから、本来ならば、断面積には斯かる隙間を除外しなければならないが、(縦糸の引張剛性)/(横糸の引張剛性)にあっては、糸の断面積において前記隙間を無視しても殆ど差し支えがなかった。従って、糸の断面積は、断面における外形によって決まる面積で求めた値である。前記シートにおける(第1の糸の引張剛性)/(第2の糸の引張剛性)が上記値となるように構成させる為には、引張剛性比が上記値となるような糸を各々選定することでも達成できるが、同等な糸を用いる場合にあっては、糸の幅や糸の本数を考慮することによって達成できる。例えば、実質上同じ糸を用いる場合には、第1の糸を複数本用いることで達成できる。すなわち、第2の糸1本に対して第1の糸をN(Nは2以上の整数)本の割合で用いてネットに編むことで達成できる。
ひび割れ抑制効果の点から、前記シートは、好ましくは、(ネット状シートにおける開口部の中の縦10mm以上で横10mm以上の大きさの開口部の全面積)/(ネット体の全面積)が0.2〜0.9であった。更に好ましくは該値が0.4以上のものであった。該値が0.8以下のものであった。縦10mm以上で横10mm以上の開口部の大きさ(矩形換算面積)が、好ましくは100mm〜10000mmであった。特に、長方形状に換算した場合、その長辺が、好ましくは10mm以上であった。400mm以下であった。更に好ましくは15mm以上であった。300mm以下であった。特に好ましくは20mm以上であった。200mm以下であった。ひび割れ抑制効果の点から、前記ネット状シートは、好ましくは、第1の糸と第2の糸との交点が10cm四方当たり四つ以上有るものであった。更に好ましくは、20以上であった。500以下であった。特に好ましくは、40以上であった。300以下であった。これは、開口部が上記のような大きさの場合に、コンクリート等の充填に悪影響を及ぼし難いからによる。好ましくは、糸の幅が0.1〜30mm程度のものであった。更に好ましくは1mm以上であった。10mm以下であった。すなわち、幅が小さ過ぎる糸では強度がそれだけ乏しくなることから、逆に、幅が大き過ぎる糸では、これによって前記シートの両側に位置するコンクリートの一体性がそれだけ乏しくなることから、上記寸法の幅の糸が好ましいものであった。交点において、長さが短い第2の糸(横糸)を波打たせるようにして、長さが長い第1の糸(縦糸)の上下に位置させることから、又、第1の糸(縦糸)の中を通すようにすることから、第1の糸(縦糸)の厚みを第2の糸(横糸)の厚みより厚くしている方が好ましい。又、第1の糸(縦糸)の幅を第2の糸(横糸)の幅より広くしている方が好ましい。
前記シートは、例えばアラミド繊維などの合成繊維や炭素繊維で構成することも出来る。しかし、セメントとの親和性やコストを鑑みると、ガラス繊維製の糸を用いて構成されたシートが好ましかった。中でも、耐アルカリ性のガラス繊維製シートが好ましかった。例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)を14質量%以上含有する耐アルカリ性ガラス繊維製シートが挙げられる。
第2の本発明はトンネル(トンネル構造体)の構築方法である。特に、前記構造のトンネル(トンネル構造体)の構築方法である。前記方法は、トンネル基層を構成するコンクリート基層(例えば、一次覆工コンクリート)上に、前記トンネルの周方向に沿って、ガラス繊維製シートを設ける工程を具備する。前記方法は、トンネル基層を構成するコンクリート基層上に、前記トンネルの周方向に交差する方向に沿って、ガラス繊維製シートを設ける工程を具備する。前記方法は、前記ガラス繊維シートが設けられた後、前記コンクリート基層上にトンネル表面層(例えば、二次覆工コンクリート)を構成するコンクリート層を設ける工程を具備する。
第3の本発明はひび割れ抑制方法である。前記方法は、トンネルを構成するコンクリートにおける表面コンクリート層(例えば、二次覆工コンクリート)のひび割れを抑制する方法である。前記方法は、特に、前記トンネルを構成するコンクリートにおける表面コンクリート層のひび割れを抑制する方法である。前記方法は、前記表面コンクリート層中に、前記トンネルの周方向に沿って、かつ、前記周方向に交差する方向に沿って、ガラス繊維製シートを設ける方法である。
前記発明によれば、ひび割れが抑制されたトンネル(トンネル構造体)が得られた。耐アルカリ性ガラス繊維シートを適切な枚数・適切な間隔でトンネルの二次覆工コンクリートに設置(埋設)する方法は、コンクリート打設前に鉄筋に設置(掛止)しておけば良く、打設後に工程を増やす問題点は起きない。ガラス繊維シートを鉄筋に結束(掛止)する作業は、特殊作業等では無く、誰でも簡単に行える。作業効率的に優れている。更には、特殊なコンクリートを使用しなくても済む。経済的である。費用対効果が高い。ひび割れが発生しても、補修が必要なひび割れ密度以下に抑えることが可能である。鉄筋が過密になるのを防げ、過剰な設計をしないで済む。
以下、具体的な実施例が挙げられる。但し、本発明は以下の実施例にのみ限定されない。本発明の特長が大きく損なわれない限り、各種の変形例や応用例も本発明に含まれる。
図1は、トンネル表面層を構成するコンクリート層(2次覆工コンクリート)に埋設されたガラス繊維製シートの概略図である。
一次覆工コンクリートおよび二次覆工コンクリートによって、トンネルは構成される。このような点に関しては周知であるから、詳細な説明は省略される。ガラス繊維製シートが、二次覆工コンクリート中に埋設、特に、特定の方向に沿って、二次覆工コンクリート中に埋設されたことが、本発明の最大の特徴である。ガラス繊維製シートは前記特徴を有するガラス繊維製シートが特に好ましいものであった。以下では、ガラス繊維製シートの埋設形態を主眼にして説明される。
幅が21cmの耐アルカリ性ガラス繊維製シート1,2が用意された。このシート1,2は、(長手方向の糸の引張剛性)/(短手方向(幅方向)の糸の引張剛性)が4であった。
耐アルカリ性ガラス繊維製シート1が、トンネル長手方向(走行方向)に沿って、かつ、シート端縁は水平ラインに沿って存在するよう、更にシート1端縁とシート1端縁との間隔(H)が所定の値であるように、しかも耐アルカリ性ガラス繊維製シート1のシート面が2次覆工コンクリートのコンクリート面に対して略平行であるように、一次覆工コンクリート(図示せず)上に打設される二次覆工コンクリート(図示せず)の鉄筋(図示せず)に取り付けられた(図1参照)。図1においては、耐アルカリ性ガラス繊維製シート1は、三枚しか描かれていない。しかし、耐アルカリ性ガラス繊維製シート1は円弧の一端側から円弧の他端側に間隔(H)を以って同様に設けられている。間隔Hは、全てが同一でも、異なるものが有っても良い。
耐アルカリ性ガラス繊維製シート2が、トンネル周方向に沿った円弧状に存在するよう、かつ、シート2端縁とシート2端縁との間隔(L)が所定の値であるように、更に耐アルカリ性ガラス繊維製シート2のシート面が2次覆工コンクリートのコンクリート面に対して略平行であるように、一次覆工コンクリート(図示せず)上に打設される二次覆工コンクリート(図示せず)の鉄筋(図示せず)に取り付けられた(図1参照)。図1においては、耐アルカリ性ガラス繊維製シート2がトンネル端部(入口部および出口部)近傍に存在していないように描かれているが、図1はトンネルの一部しか図示されていないからである。耐アルカリ性ガラス繊維製シート2は、実際は、トンネルの一端部(入口)近傍の位置からトンネルの他端部(出口)近傍の位置に掛けて間隔(L)を以って設けられている。間隔Lは、全てが同一でも、異なるものが有っても良い。
耐アルカリ性ガラス繊維製シート1,2は二次覆工コンクリートの鉄筋に対して取り付けられていることから、耐アルカリ性ガラス繊維製シート1,2は表面(トンネル表面:大気と接している側の表面)から約3cmの位置(二次覆工コンクリートの厚さの1/2の深さの位置)に埋設されている。
前記L,Hが表−2,−3のパターンのトンネルのひび割れ密度が調べられた。他にも、施工性、コンクリート充填性、経済性なども調べられた。その結果が、表−2及び表−3に示される。表−2にあっては、L≒200cmで以って、耐アルカリ性ガラス繊維製シート2が設けられた例である。表−3にあっては、H≒50cmで以って、耐アルカリ性ガラス繊維製シート1が設けられた例である。
表−2
H(cm) 施工性 充填性 経済性 ひび割れ密度(cm/m
30 × × × 20以下
40 × ○ × 20以下
50 ○ ○ ○ 20以下
60 ○ ○ ○ 20〜30
*(比較例) 40〜50
表−2における*欄は、耐アルカリ性ガラス繊維製シート2は、200cm間隔で以って、設けられている。しかし、表−2における*欄は、耐アルカリ性ガラス繊維製シート1が設けられて無い。この意味において、*欄は比較例である。
表−3
L(cm) 施工性 充填性 経済性 ひび割れ密度(cm/m
100 × × × 20以下
150 ○ ○ × 20以下
200 ○ ○ ○ 20以下
250 ○ ○ ○ 20〜30
*(比較例) 40〜50
表−3における*欄は、耐アルカリ性ガラス繊維製シート1は、50cm間隔で以って、設けられている。しかし、表−3における*欄は、耐アルカリ性ガラス繊維製シート2が設けられて無い。この意味において、*欄は比較例である。
表−2,−3から、次のことが判る。ガラス繊維製シートが、トンネルの周方向に沿って(円弧状に)、かつ、周方向に交差する方向(トンネル長手方向(走行方向))に沿って設けられていると、ひび割れ抑制効果は大きい。
1,2 耐アルカリ性ガラス繊維製シート

Claims (11)

  1. トンネル表面層を構成するコンクリート層にガラス繊維製シートが設けられてなるトンネルであって、
    前記ガラス繊維製シートは、
    前記トンネルの周方向に沿って設けられてなると共に、
    前記周方向に交差する方向に沿って設けられてなる
    ことを特徴とするトンネル。
  2. 前記周方向に交差する方向のガラス繊維製シートは複数設けられてなり、
    前記ガラス繊維製シートと前記ガラス繊維製シートとの間隔が60cm以下である
    ことを特徴とする請求項1のトンネル。
  3. 前記周方向のガラス繊維製シートは複数設けられてなり、
    前記ガラス繊維製シートと前記ガラス繊維製シートとの間隔が250cm以下である
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2のトンネル。
  4. 前記ガラス繊維製シートは、その幅が10〜50cmである
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかのトンネル。
  5. 前記ガラス繊維シートは、
    第1の糸と該第1の糸より長さが短い第2の糸とがネット状に組み合わさってなり、
    (前記第1の糸の引張剛性)/(前記第2の糸の引張剛性)が1.5〜30である
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかのトンネル。
  6. 前記ガラス繊維製シートは前記コンクリート層中に埋設されてなる
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5いずれかのトンネル。
  7. 前記ガラス繊維製シートは前記コンクリート層中の鉄筋に掛止されてなる
    ことを特徴とする請求項1〜請求項6いずれかのトンネル。
  8. トンネルの構築方法であって、
    トンネル基層を構成するコンクリート基層上に、前記トンネルの周方向に沿って、ガラス繊維製シートを設ける工程と、
    トンネル基層を構成するコンクリート基層上に、前記トンネルの周方向に交差する方向に沿って、ガラス繊維製シートを設ける工程と、
    前記ガラス繊維シートが設けられた後、前記コンクリート基層上にトンネル表面層を構成するコンクリート層を設ける工程
    とを具備することを特徴とするトンネル構築方法。
  9. 請求項1〜請求項7いずれかのトンネルの構築方法である
    ことを特徴とする請求項8のトンネル構築方法。
  10. トンネルを構成するコンクリートにおける表面コンクリート層のひび割れを抑制する方法であって、
    前記表面コンクリート層中に、前記トンネルの周方向に沿って、かつ、前記周方向に交差する方向に沿って、ガラス繊維製シートを設ける
    ことを特徴とするトンネルのひび割れを抑制する方法。
  11. 請求項1〜請求項7いずれかのトンネルを構成するコンクリートにおける表面コンクリート層のひび割れを抑制する方法である
    ことを特徴とする請求項10のトンネルのひび割れを抑制する方法。

JP2014168361A 2014-08-21 2014-08-21 トンネル、トンネル構築方法、及びトンネルのひび割れ抑制方法 Active JP6373123B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014168361A JP6373123B2 (ja) 2014-08-21 2014-08-21 トンネル、トンネル構築方法、及びトンネルのひび割れ抑制方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014168361A JP6373123B2 (ja) 2014-08-21 2014-08-21 トンネル、トンネル構築方法、及びトンネルのひび割れ抑制方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016044436A true JP2016044436A (ja) 2016-04-04
JP6373123B2 JP6373123B2 (ja) 2018-08-15

Family

ID=55635259

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014168361A Active JP6373123B2 (ja) 2014-08-21 2014-08-21 トンネル、トンネル構築方法、及びトンネルのひび割れ抑制方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6373123B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107246272A (zh) * 2017-07-23 2017-10-13 山东斯福特实业有限公司 一种盾构隧道衬砌玻璃纤维筋混凝土管片及制作方法
CN108868826A (zh) * 2018-07-06 2018-11-23 中铁二院工程集团有限责任公司 隧道涌水段带肋初期支护构造及施工方法
CN110005443A (zh) * 2019-04-30 2019-07-12 中铁八局集团第三工程有限公司 一种营业线隧道增设套衬的施工方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02125096A (ja) * 1988-10-31 1990-05-14 Electric Power Dev Co Ltd コンクリートによる地山面の補強方法
JP2003193685A (ja) * 2000-06-29 2003-07-09 Shimizu Corp コンクリート構造物の補強方法に用いる緩衝材
JP2009138516A (ja) * 2007-12-19 2009-06-25 Sato Kogyo Co Ltd 覆工コンクリート構造物及びその施工方法
JP2010144377A (ja) * 2008-12-17 2010-07-01 Taiheiyo Materials Corp 被覆構造および被覆方法
WO2011098747A2 (en) * 2010-02-11 2011-08-18 Charles Philip Richardson Structural reinforcement device
JP2012167512A (ja) * 2011-02-16 2012-09-06 Toda Constr Co Ltd 補強材、構造物の補強構造及び構造物の補強方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02125096A (ja) * 1988-10-31 1990-05-14 Electric Power Dev Co Ltd コンクリートによる地山面の補強方法
JP2003193685A (ja) * 2000-06-29 2003-07-09 Shimizu Corp コンクリート構造物の補強方法に用いる緩衝材
JP2009138516A (ja) * 2007-12-19 2009-06-25 Sato Kogyo Co Ltd 覆工コンクリート構造物及びその施工方法
JP2010144377A (ja) * 2008-12-17 2010-07-01 Taiheiyo Materials Corp 被覆構造および被覆方法
WO2011098747A2 (en) * 2010-02-11 2011-08-18 Charles Philip Richardson Structural reinforcement device
JP2012167512A (ja) * 2011-02-16 2012-09-06 Toda Constr Co Ltd 補強材、構造物の補強構造及び構造物の補強方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107246272A (zh) * 2017-07-23 2017-10-13 山东斯福特实业有限公司 一种盾构隧道衬砌玻璃纤维筋混凝土管片及制作方法
CN108868826A (zh) * 2018-07-06 2018-11-23 中铁二院工程集团有限责任公司 隧道涌水段带肋初期支护构造及施工方法
CN108868826B (zh) * 2018-07-06 2023-11-17 中铁二院工程集团有限责任公司 隧道涌水段带肋初期支护构造的施工方法
CN110005443A (zh) * 2019-04-30 2019-07-12 中铁八局集团第三工程有限公司 一种营业线隧道增设套衬的施工方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6373123B2 (ja) 2018-08-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6373123B2 (ja) トンネル、トンネル構築方法、及びトンネルのひび割れ抑制方法
KR101851183B1 (ko) 경사 방향의 인장력이 보강된 현장 수화 콘크리트 매트
JP2008240427A (ja) 既設rc部材の補強方法及び既設rc部材の補強用パネル
JP4836614B2 (ja) コンクリート構造物の補強方法
JP5370980B2 (ja) セメント硬化体のひび割れ抑制材、セメント硬化体、及びセメント硬化体の製造方法
JP2017115485A (ja) 道路橋防護柵及びその設置工法
KR102286554B1 (ko) 슬립과 균열 발생을 억제하기 위한 텍스타일 보강 시멘트 복합체 및 그 제조방법
JP2013036303A (ja) スラブ軌道の補強方法および突起代替構造
KR101013088B1 (ko) 콘크리트 구조물의 휨과 전단 동시 보강공법
KR100950717B1 (ko) 신축이음장치 및 교량 받침부의 콘크리트층을 보수하는 방법
JP3749449B2 (ja) 壁面の補修工法
JP2013119722A (ja) 鉄筋コンクリート梁のせん断耐力向上方法
JP5682913B2 (ja) マスコンクリート体、ひび割れ抑制方法、及び構築方法
JP2006083612A (ja) 橋脚の補強工法
JP5166837B2 (ja) 壁構造物の補強方法および補強構造
CN103291000A (zh) 工具式钢筋支架及其悬挂楼板负弯矩钢筋的施工方法
JP2012202039A (ja) 構造壁のひびわれ抑制構造
KR102262786B1 (ko) 철선망이 내장된 콘크리트 구조물
KR101593943B1 (ko) 콘크리트 구조물의 보수보강 및 내진보강 공법
KR102187564B1 (ko) 고내화성 내진보강유닛 및 이를 이용한 내진보강공법
KR101578348B1 (ko) 보강용 몰탈층, 이를 이용한 콘크리트 구조물의 보강구조 및 보강공법
JP5578543B2 (ja) セメント系硬化体ひび割れ抑制構造
JP5652820B2 (ja) 無筋コンクリート、ひび割れ抑制方法、及び構築方法
JP6449115B2 (ja) 耐震構造および耐震化方法
JP2006274629A (ja) トンネル覆工コンクリートの内面補強工法及びその構造物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170609

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180322

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180411

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180516

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180704

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180717

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6373123

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250