JP2016044121A - 肥料の生産方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】下水汚泥溶融スラグはリンを多く含むため、リン酸質肥料としての利用が期待されているが、肥料公定規格(肥料取締法に基いて定められた肥料の成分や性状などの品質基準)に適合する肥料の生産方法は未確立である。下水汚泥溶融スラグの利用率向上により、社会的要請でもある下水処理施設から発生する廃棄物の処理問題を解決でき、肥料公定規格に適合する肥料の生産方法について提案する。
【解決手段】下水汚泥を溶融して生成されるスラグから金属類を除去することにより、ク溶性リン酸の含有量が肥料公定規格に適合したリン酸質肥料の生産方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、下水汚泥溶融スラグから肥料を生産する方法に関する。
下水処理における排出物である下水汚泥は、下水道の普及に伴い年々増加しており、その有効利用が望まれている。下水汚泥は、最終処理形態として、例えば脱水汚泥、乾燥汚泥、焼却灰、溶融スラグ等の形態に処理された後、様々な用途に利用されている。このうち、下水汚泥溶融スラグの発生量は、下水汚泥発生量(濃縮汚泥に換算して)の一割近くに達しているため、利用率の向上が望まれている最終処理形態の一つとなっている。下水汚泥溶融スラグの現在の主な用途は建築資材であるが、利用率の向上という点では、建築資材は耐用年数が長く、コンスタントな需要が望めないという問題がある。
とくに、下水汚泥溶融スラグはリンを多く含むため、リン酸質肥料としての利用が期待されているが、最終処理形態としての下水汚泥溶融スラグを原料として、肥料公定規格(肥料取締法に基いて定められた肥料の成分や性状などの品質基準)に適合するように肥料を生産する方法については未だ確立されていない。
一方、リン酸質肥料の出発原料であるリン鉱石は、枯渇が懸念される資源であることから、下水汚泥溶融スラグをリン酸質肥料として利用することは、今後世界人口の増加によって増大する食糧需要を満足させなければならないという重要課題に対して非常に有益である。
従って、下水汚泥溶融スラグのリン酸質肥料としての利用は、下水処理施設における大量廃棄物の問題を解決する点においても、天然資源であるリン鉱石の枯渇問題を解決する点においても、非常に重要な技術であると言える。
そこで、発明者らは、下水汚泥溶融スラグを原料として肥料公定規格に適合するような肥料の生産方法を確立することが急務であると考え、下記のような検証を行った。
まず、下水処理施設(A・B)で採取された下水汚泥から生産された下水汚泥溶融スラグの山(下水処理時期が異なる下水汚泥から生産された下水汚泥溶融スラグが蓄積されたもの)から4検体を採取し(それぞれ異なる箇所から採取)、ク溶性リン酸含有量を調べた。その結果を表1に示す。
表1によって、下水汚泥溶融スラグの採取箇所及び下水汚泥を採取した下水処理施設の違いによってク溶性リン酸含有量に差があることがわかった。なお、採取箇所(同じ下水処理施設の下水汚泥由来の下水汚泥溶融スラグの異なる検体間)によって、ク溶性リン酸含有量に差が生じたのは、下水汚泥から処理された時期がそれぞれ異なるためとであると考えられる。
Figure 2016044121
また、発明者らが、下水汚泥溶融スラグを精査したところ、明らかに下水汚泥溶融スラグではない金属類と思われる異物が含まれていることを発見した。この異物は球形に近い形状であり、あるものは表面が金属光沢を呈し、あるものは表面が赤褐色の錆び色を呈していた。
発明者らは、この金属類と思われる異物を含んだままの状態の下水汚泥溶融スラグの試料を作成し、該試料に対して磁石を近付けてみたところ、該試料に含まれている異物を全て磁着させることができ、その結果、下水汚泥溶融スラグを、金属類と思われる異物と下水汚泥溶融スラグとに分離する方法として磁着操作が有効な方法の一つであることが判った。
しかし、下水汚泥溶融スラグを肥料原料として使用する際、金属類と思われる異物を含んだままの状態では、肥料取締法上、不適切であると判断されるおそれがある。そこで、発明者らは、4検体のうちの1検体に対して、下水汚泥溶融スラグ中に含まれている金属類と思われる異物を磁石によって磁着分離した下水汚泥溶融スラグについて、ク溶性リン酸含有量を再分析した。その結果を表2に示す。この結果から、発明者らは、異物の磁着分離によってク溶性リン酸含有量が向上することを見出し、より高い品質の肥料を生産するためには、金属類と思われる異物を除去する工程の導入が有効であることに想到した。
Figure 2016044121
ところで、リン酸質肥料において、リンが植物に長期にわたって有効に利用されるためには、肥料中にク溶性リン酸として含有されていることが望ましく、このため、ク溶性リン酸を保証成分として記載して販売されるリン酸質肥料の需要が高い。しかし、肥料公定規格においては、保証しようとする成分項目の最小含有量が定められており、ク溶性リン酸を保証成分とする肥料の場合、その最小含有量を満たさないものは、ク溶性リン酸を保証成分とする肥料として販売することができないとされている。
また従来、下水汚泥溶融スラグは、下水処理施設における最終処理形態として発生し、主に建材や埋め戻し材等として利用されている。しかしながら、表1に示したとおり、下水処理施設と下水処理時期により得られる下水汚泥溶融スラグの成分が異なることから、発明者らは、下水処理施設と下水処理時期による下水汚泥溶融スラグの成分変動の実態を把握するため、長期間にわたって追跡調査を実施した。その結果を、表3に下水処理施設(A・B)における下水処理時期と、リン酸全量、ク溶性リン酸含有量及びク溶性リン酸率の変動状況として示す。
Figure 2016044121
なお、表3の検証試験において、下水汚泥溶融スラグは、株式会社クボタ製の回転式表面溶融炉から発生したものである。また、下水汚泥溶融スラグの各月のサンプルは、各月の下一桁が1と6の付く日(ただし31日は除く)に、下水汚泥溶融スラグを10kgずつ採取し、円錐四分法により個別に縮分し、複数の縮分サンプルを混合して一つにした後、乾燥させ、さらに金属及び/または金属化合物を除去して調製した。
リン酸全量は蛍光X線分析で得られた結果を示した数値であり、ク溶性リン酸含有量は、肥料分析法に基づいて得られた結果である。
また、下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸率は以下の式で求めた。
Figure 2016044121
なお、リン酸全量とク溶性リン酸含有量の分析方法が異なるため、ク溶性リン酸率は下水汚泥溶融スラグのリン酸質肥料としての肥効性能を表す参考指標とした。
表3の結果により、ク溶性リン酸含有量は、下水汚泥が発生する下水処理施設及び下水処理時期によってかなり異なり、リン酸全量に比べてク溶性リン酸含有量が著しく低くなる場合があることがわかった。
従って、下水処理施設と下水処理時期によっては、今後も、得られる下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸の含有量が十分でない場合が生じることが予想されるとともに、当該処理施設と同様の下水処理方式を導入している他の処理施設についても同様のことが予想される。上記したように、ク溶性リン酸を保証成分とする肥料を生産する場合においては、下水汚泥溶融スラグ中のク溶性リン酸含有量が公定規格の最少量に満たないと、肥料として利用することができないため、下水汚泥溶融スラグが大量の廃棄物となるおそれがある。
このようなリン酸質肥料におけるク溶性リン酸含有量の問題を解決するため、特許文献1には下水汚泥溶融スラグの製造時に骨格調整剤を添加することによりリン酸全量に対するク溶性リン酸含有量の比率を高める技術が開示されている。
特開2012−232864号公報
しかしながら、特許文献1の発明は、下水汚泥溶融スラグに含まれるリン酸全量のうちの、ク溶性リン酸含有量の割合を増加させるための技術である。そのため、下水汚泥溶融スラグに含まれるリン酸全量が低い場合は、ク溶性リン酸含有量を高めることができない。従って、最終的にク溶性リン酸含有量が基準に満たない下水汚泥溶融スラグについてはリン酸質肥料として利用することができず、大量の廃棄物を生じる結果となる。
また、下水の最終処理形態の一つとして発生する下水汚泥溶融スラグの用途については、主に建材や埋め戻し材等として利用されてきた。しかし、建材や埋め戻し材のような建築資材は、耐用年数が長く、下水汚泥溶融スラグの発生量に見合ったコンスタントな需要が望めないという問題が残されている。また、コンスタントな需要が望めそうな用途のひとつとして肥料化が考えられるが、下水処理施設や下水汚泥の発生時期によって生成する下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量が異なるなどの問題点があり、肥料公定規格に適合するような肥料を常に提供することができず、未だ肥料化には至っていないのが実情である。
これらの問題に対して、本発明は、下水汚泥溶融スラグから、ク溶性リン酸の含有量が肥料公定規格に適合したリン酸質肥料を生産することにより、下水汚泥溶融スラグの利用率を向上させることができ、その結果、非常に強い社会的要請でもある下水処理施設から発生する廃棄物の処理問題をも解決することのできる肥料の生産方法について提案することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、下水汚泥を溶融し生成するスラグを用いた肥料の製造方法において、前記スラグから金属類を除去することを特徴とする肥料の生産方法を提供する。
本発明の肥料の生産方法については、前記金属類の除去工程の前に、前記スラグに衝撃を加えることが、より好ましい解決手段となる。
本発明の肥料の生産方法によれば、下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量を向上させることができ、下水汚泥溶融スラグのリン酸質肥料としての利用性をさらに高めることができる。
一方、本発明においては、副産物としてリン化鉄を回収することができる。また、前記除去工程が、衝撃処理によってスラグと金属類を分離する工程を含む場合は、回収されるリン化鉄の純度を高めることができる。
なお、リン化鉄は、鉄系焼結合金の耐熱・耐磨耗性向上のための添加剤、製鋼スラグ冷却時の相転移による粉化を防止するための添加剤、軟磁性薄帯のリン源など、多様な用途に利用することができるため、副産物としてリン化鉄を得られることは非常に有意義である。
本発明の肥料の生産方法の一実施態様を示すフローチャート(個別ロット貯蔵管理法)である。 本発明の肥料の生産方法の一実施態様を示すフローチャート(統合ロット貯蔵管理法)である。 下水汚泥溶融スラグ(処理施設A)のX線回折チャートである。 本発明の肥料の生産方法の一実施態様に使用されるロールクラッシャー式衝撃処理装置を示す模式図である。 本発明の肥料の生産方法の一実施態様に使用されるホイールローダー式衝撃処理装置を示す模式図である。 本発明の肥料の生産方法の一実施態様に使用される選別装置(旋回分散式選別法)を示す模式図である(斜め上方向からのイメージ図)。 本発明の肥料の生産方法の一実施態様に使用される選別装置(旋回分散式選別法)を示す模式図である(横方向からのイメージ図)。 本発明の肥料の生産方法の一実施態様に使用される選別装置(振動分散式選別法)を示す模式図である(斜め上方向からのイメージ図)。 本発明の肥料の生産方法の一実施態様に使用される選別装置(振動分散式選別法)を示す模式図である(横方向からのイメージ図)。 本発明の肥料の生産方法の一実施態様に使用される選別装置(振動偏析式選別法)を示す模式図である(横方向からのイメージ図)。
本発明の肥料の生産方法の一実施態様を図面に基づいて説明するが、本発明の肥料の生産方法は、該実施態様に限定されない。図1は、本発明の肥料の生産方法の一実施態様を示すフローチャートである。
図1に示される方法は、下水汚泥溶融スラグの受け入れ工程、乾燥工程、均質化工程、分析工程、分析によって判明したク溶性リン酸含有量に応じて、個別ロットで貯蔵管理する工程、生産すべき肥料が保証しようとするク溶性リン酸含有量を達成するために、前記個別ロットの中から下水汚泥溶融スラグを取り出すべき一または複数の個別ロットを決定するとともに、取り出す下水汚泥溶融スラグの量を決定する工程(図示せず)、取り出された下水汚泥溶融スラグの混合工程、混合された下水汚泥溶融スラグの粉砕工程及び篩い分け工程を含む。
なお、上記方法においては、まず、下水汚泥溶融スラグを受け入れ専用施設に受け入れ、乾燥した後、均質化し、均質化された下水汚泥溶融スラグを分析し、分析によって判明したク溶性リン酸含有量に応じて個別ロットで貯蔵管理する。その後、生産すべき肥料が保証しようとするク溶性リン酸含有量を達成するために、貯蔵管理していた個別ロットの中から下水汚泥溶融スラグを取り出すべき一または複数の個別ロットを決定するとともに、取り出す下水汚泥溶融スラグの量を決定し、取り出された下水汚泥溶融スラグを均質になるように混合する。この時、他種肥料、肥料原料、土改材(土壌改良材)等を添加して成分調整を行っても良い。混合した後、粉砕装置によって粉砕し、粉砕された下水汚泥溶融スラグが所望の粒径以下になるように篩い分けることによって生産すべき肥料を得る。
なお、本発明の肥料の生産方法は、下水汚泥溶融スラグの受け入れ工程から貯蔵工程までの下水汚泥溶融スラグを、ク溶性リン酸含有量に応じて個別ロットとして貯蔵していく工程と、その後の下水汚泥溶融スラグを取り出すべき一または複数の個別ロットを選定し、該個別ロットから取り出す下水汚泥溶融スラグの量を決定し、取り出した下水汚泥溶融スラグを混合し、粉砕し、篩い分ける工程との二つに分けて捉えることができ、両者は平行して進めて行くことができる。
以下、各工程について詳細に説明する。
まず、受け入れ工程であるが、各下水処理施設で発生した下水汚泥溶融スラグを専用ヤードに受け入れる工程である。以降の工程は、売れ入れ工程で受入れたロット毎に進める。本発明で受け入れる下水汚泥溶融スラグは、同一の下水処理施設から発生した下水汚泥溶融スラグであっても、異なる下水処理施設から発生した下水汚泥溶融スラグであってもよい。
次に、乾燥工程であるが、受入れた下水汚泥溶融スラグを専用ヤードに展開し、太陽光照射によって乾燥する工程である。また、太陽光照射以外の乾燥方法として、ロータリードライヤー式や流動床式等の装置を用いてもよく、水分は0.0%に近づけることが望ましく、1.0%未満とすることが好ましい。なお、受け入れたスラグが乾燥状態にある場合は、該乾燥工程を省略できる。
また、本発明で使用する下水汚泥溶融スラグは、乾燥汚泥を溶融して水砕する方法により発生したものであっても、下水汚泥焼却灰を溶融して水砕する方法により製造したものであってもよい。
また、本発明で使用する下水汚泥溶融スラグは発生過程や製法を問わない。例えば、上記特許文献1に示す溶融スラグの製法のように、溶融時に溶融金属をスラグと分離しない方法であってもよく、また、溶融時に添加剤として鉄等の金属を添加するものであってもよい。
次に、乾燥工程から送られてきた下水汚泥溶融スラグは、ホイールローダー、コンクリートミキサー、回転ドラム等の撹拌手段により均質化される(均質化工程)。これは、次工程で行う分析値の信頼性を高めるために行うものである。該分析値に基づき、後工程においてスラグを混合し、所望のク溶性リン酸含有量の肥料を生産するため、分析値がロット毎に管理されるスラグを代表する値となっているか否かは、生産される肥料の品質の保証精度に通ずる。なお、受け入れる下水汚泥熔融スラグが、ある程度均質化されていることが事前に判明している場合、あるいは、生産する肥料に許容される誤差等によっては、該均質化工程は省略することができる。
分析工程においては、均質化処理を施した下水汚泥溶融スラグからサンプルを採取し、肥料分析法等により各種成分、特にク溶性リン酸含有量等を分析する。なお、分析は、例えば、2%クエン酸溶液で抽出した試料液に対してキノリン重量法、キノリン容量法、バナドモリブデン酸アンモニウム法等により行うことができる。
次に、ク溶性リン酸の分析結果に基づいて、下水汚泥溶融スラグを個別ロットで貯蔵管理する(個別ロット貯蔵管理工程)。例えば、図1に示したように、個別ロットで貯蔵管理する場合は、分析結果に基づくク溶性リン酸含有量数値で貯蔵管理する。
本発明の肥料の生産方法において、前記個別ロットのうち下水汚泥溶融スラグを取り出すべき個別ロット及び個別ロットから取り出す下水汚泥溶融スラグの量を決定する工程(以下、「演算工程」という。図示せず。)は、演算手段により行われる。
なお、該演算手段は、生産すべき肥料のク溶性リン酸含有量及び生産すべき量の数値データ、並びに各個別ロットに貯蔵された下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量の実測値から、下水汚泥溶融スラグを取り出すべき個別ロットと、該個別ロットから取り出す溶融スラグの量または比率を、生産される肥料が所定のク溶性リン酸含有量を達成するように決定するものであり、これによれば、常に肥料公定規格の所定値(品質保証値)を上回る肥料を生産することができる。
下水汚泥溶融スラグを取り出す個別ロット及び、取り出す下水汚泥溶融スラグの量は、生産すべき肥料のク溶性リン酸含有量、生産すべき肥料の量、各個別ロットに貯蔵されている下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量、各個別ロットの在庫量等の各種データに基づいて決定することができる。例えば、個別ロットの数が少なくなるように決定すれば、貯蔵場所を節約することができる。
また、本発明の方法においては、上記演算手段で決定された結果を表示手段により表示する工程、及び/または上記結果に基づき、各個別ロットからの下水汚泥溶融スラグの取り出しを自動で行う制御工程を含んでいてもよい。
上記演算工程で決定された個別ロットから取り出された下水汚泥溶融スラグは、混合設備において混合され(以下、「混合工程」という。)、これにより所定のク溶性リン酸含有量を有する肥料が生産される。このように本発明によれば、下水汚泥溶融スラグを個別ロットとして一時的に保管し、その後、上記演算手段等に基づいて個別ロットから取り出して混合することにより、下水汚泥溶融スラグの発生場所や発生時期等によるク溶性リン酸含有量の変動(表3参照)を取り除くことができ、肥料公定規格に適合したリン酸質肥料を提供することができる。また、個別ロット毎に貯蔵管理し、混合処理することにより、所望のク溶性リン酸含有量の肥料を生産することができ、最も無駄なくスラグを肥料として活用できる。
本発明の生産方法において、一または複数の個別ロットから取り出した下水汚泥溶融スラグの混合工程は、例えば、回転式混合機、攪拌式混合機、振動混合機等の混合設備を使用して行うことができる。
<貯蔵管理における別の態様>
図1の方法では、下水汚泥溶融スラグを個別ロットで貯蔵管理したが、貯蔵管理の別の態様として、ク溶性リン酸含有量の数値範囲ごとに貯蔵管理することができる(以下、「統合ロット貯蔵管理」という。)。すなわち、例えばク溶性リン酸含有量の数値範囲を0.0〜5.0mass%,5.1〜10.0mass%,…,30.0〜35.0mass%のように7つの数値範囲に設定し、受入れた下水汚泥熔融スラグをク溶性リン酸含有率の分析値に基づき、該7つの数値範囲毎(以下、「統合ロット」という。)に一括りに振り分けて貯蔵管理する。この時、十分な広さの屋内ヤードがあれば、統合ロットの一山を作成するだけで良く、特にタンク、ホッパー、擁壁で隔てられた土間等を使用しなくてもよい。ク溶性リン酸含有量の数値範囲は、上記したように例えば0.0超〜5.0mass%、5.1〜10.0mass%、10.1〜15.0mass%、15.1〜20.0mass%、20.1〜25.0mass%、25.1〜30.0mass%、30.1〜35.0mass%の7区分とすることができるが、区分数はこれに限定されず、例えば3区分、5区分、10区分、20区分等に分けてもよい。なお、上記のク溶性リン酸含有量の区分については、各区分の数値範囲を5.0mass%ごとに分けて設定しているが、これに限定されるものではない。このように、受け入れた下水汚泥溶融スラグは、分析工程設備において測定された値に相当する統合ロットとして貯蔵されることになる。
なお、異なる下水処理施設から発生した下水汚泥溶融スラグを受け入れ時に混合して用いた場合には、表3に示すような下水汚泥溶融スラグの発生場所(下水処理場)によるク溶性リン酸含有量の相違の影響を減少させることができるので、ク溶性リン酸含有量の分布範囲が狭まり、統合ロットによる貯蔵管理工程において、下水汚泥溶融スラグの貯蔵設備の区分数の削減、あるいは区分間隔の細分化を図ることが可能となる。
本発明の肥料の生産方法において、各統合ロットのうち下水汚泥溶融スラグを取り出すべき統合ロット及び統合ロットから取り出す下水汚泥溶融スラグの量を決定する工程は、個別ロット貯蔵管理の場合と同様に演算手段により行われる。
なお、統合ロット貯蔵管理の場合、該演算手段は、生産すべき肥料のク溶性リン酸含有量及び生産すべき量の数値データ、並びに各統合ロットに貯蔵された下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量の実測値または数値範囲の最小値から、下水汚泥溶融スラグを取り出すべき一または複数の統合ロットと、該統合ロットから取り出す溶融スラグの量または比率を、生産される肥料が所定のク溶性リン酸含有量を達成するように決定するものであり、これによれば、常に肥料公定規格の所定値(品質保証値)を上回る肥料を生産することができる。
下水汚泥溶融スラグを取り出す統合ロット及び、取り出す下水汚泥溶融スラグの量は、生産すべき肥料のク溶性リン酸含有量、生産すべき肥料の量、各統合ロットに貯蔵されている下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量、各統合ロットの在庫量等の各種データに基づいて決定することができる。
例えば、下水汚泥溶融スラグを取り出す統合ロットは、各統合ロットの在庫量を考慮し、各統合ロットに備蓄されている下水汚泥溶融スラグを極力均等に消費する方法や、ク溶性リン酸含有量の最高値と最低値の統合ロットから消費していく方法、生産計画や注文などに基づいて決められた量の肥料を生産する行為が終了する毎に各統合ロットの残量が均等になるように消費していく方法、これまでの統計に基づき、発生頻度の高いク溶性リン酸含有量の数値範囲として貯蔵管理されている統合ロットを優先的に使用する方法等によって決定し、計画的に生産を行うことができる。なお、このような決定方法は個別ロット管理においても有効である。
なお、演算手段において適用される数値を、ク溶性リン酸含有量数値範囲の最小値とすると、設計成分と実際の製品成分との乖離の最大幅は、ク溶性リン酸含有量の数値範囲の最小値と最大値の差ということになる。本発明では、ク溶性リン酸含有量の高い下水汚泥溶融スラグを、単独では肥料公定規格に適合し得ない下水汚泥溶融スラグと混合することによって、より多くの下水汚泥溶融スラグを肥料化することができ、下水汚泥溶融スラグ全体の利用率を高めることができる。したがって、ク溶性リン酸含有量の高い下水汚泥溶融スラグの節約的使用は重要であり、統合ロットを貯蔵管理する際のク溶性リン酸含有量の数値範囲の設定については、好ましくは0.5〜5mass%間隔、より好ましくは0.5〜2.5mass%間隔が望ましい。
以上のように、下水汚泥熔融スラグを数値範囲毎に統合ロット貯蔵管理することにより、個別ロット貯蔵管理に比べ、定められた一定の貯蔵スペースで安定的に肥料を生産することが可能となる。
なお、統合ロット貯蔵管理において、各統合ロットに新たに貯蔵される下水汚泥熔融スラグのク溶性リン酸含有量、スラグ量と、既貯蔵済みの下水汚泥熔融スラグのク溶性リン酸含有量、スラグ量に基づき、新たな下水汚泥熔融スラグを加えた後の正確な該統合ロットの下水汚泥熔融スラグのク溶性リン酸含有量、スラグ量を数値計算により求め、その後の演算処理工程において、前述の最小値に代え、該数値計算値を用いれば、最小値を用いることによる無駄を省くことができる。ただし、この場合、新たな下水汚泥熔融スラグと既貯蔵済みスラグとの均質化を行うことが好ましい。
<下水汚泥熔融スラグに金属類が含まれる場合の工程>
処理施設A及びBで発生した下水汚泥溶融スラグに、乾燥処理を施したのち、観察したところ、金属類と思われる異物が含まれていることが判明し、主にリン化鉄(FeP,FeP等)を主成分としていることがわかった(以下、このリン化鉄を主成分とする金属類を「リン含有金属類」と言う。)。
図3は、下水汚泥溶融スラグに含まれていた金属類と思われる異物がリン化鉄を主成分として含んでいることを示すX線回折による解析チャートである。
さらに、リン含有金属類中のク溶性リン酸含有量を、リン含有金属類を蛍光X線で解析して求めたリン含有金属類中のリン全量を基に、リン酸として換算して求めたリン酸全量と、肥料分析法によって得られたク溶性リン酸含有量とから、リン酸全量に占めるク溶性リン酸含有量の割合(ク溶性リン酸率)を求めた。その結果、表4に示すように、リン含有金属類のク溶性リン酸率が著しく低いことが判った。従って、生産される肥料のク溶性リン酸含有量を上げるためには、リン含有金属類を除去することが好ましい。
Figure 2016044121
そこで、本発明ではさらに、前記乾燥工程後の下水汚泥溶融スラグから、金属類、特に鉄、リン化鉄等の金属類を除去するため、均質化工程の前段において選別工程を設けることが好適である。
また、発明者らが、上記選別工程後に取り分けたリン含有金属類を良く観察したところ、単独状態のリン含有金属類だけでなく、リン含有金属類と下水汚泥溶融スラグとが融着した状態のものが混在していることがわかった。
そこで、リン含有金属類と下水汚泥溶融スラグとが融着した状態のものに対して衝撃を加えてみたところ、単独状態のリン含有金属類と下水汚泥溶融スラグとに分離することができることを見出した。この原理を用いて、下水処理施設(A・B)の下水汚泥から生産した下水汚泥溶融スラグを、衝撃処理せずに磁力選別した場合と、衝撃処理を施してから磁力選別した場合との磁着物の量(mass%)及び下水汚泥溶融スラグの回収率(mass%)を調べた。その結果を表5に示す。
Figure 2016044121
表5の結果により、衝撃処理を加えて融着状態にある下水汚泥溶融スラグと金属類を分離することによって、下水汚泥溶融スラグの回収率を高められることがわかった。
従って、本発明では、前記選別工程より前に、下水汚泥溶融スラグに対して衝撃処理を加えて融着状態にある下水汚泥溶融スラグと金属類を分離して単独状態の下水汚泥溶融スラグの回収率を高めるための分離工程(以下、「分離工程」という。)を含んでいてもよい。
分離工程は、例えば図4に示したロールクラッシャー式衝撃処理装置かあるいは図5に示したホイールローダー式衝撃処理装置が用いられる。
ロールクラッシャー式衝撃処理装置は、二本のローラーが平行に取り付けられており、両側から中央に向かって荷重圧力が加わっており、投入した下水汚泥溶融スラグがローラーの間を通過する際に、ローラーの荷重圧力による衝撃を受けて、融着状態にある下水汚泥溶融スラグと金属類を、単独状態の下水汚泥溶融スラグと金属類に分離する。ホイールローダー式衝撃装置は、荷重圧力の源がホイールローダー自身の車重によるもので、乾燥処理のために、下水汚泥溶融スラグをヤード展開する際にホイールローダーのような大型車両を使用する場合においては、衝撃処理効果を得ることができるため、乾燥工程のためのヤード展開作業が分離工程を兼ねることができる。
なお、その他の衝撃処理装置としては、ボールミル、トップグラインダー、ジョークラッシャー、マーラーミル、竪型ミル等を用いることができる。
選別工程としては、磁力、風力、浮力、波長識別、磁束密度変化識別等のいずれか1つ又は複数の選別方法を用いることが好ましく、これは、下水汚泥溶融スラグ中に含まれる異物(高密度物)として、前記金属等の磁着物以外にも、非磁着物が含まれる場合があり、上記風力等の選別方法によれば、非磁着物も効果的に除去できるからである。
例えば磁力選別の例については、図6及び図7に旋回分散式選別法を、図8及び図9に振動分散式選別法を、図10に振動偏析式選別法を示した。
まず、図6及び図7に示した旋回分散式選別法について説明する。旋回分散式選別法では、旋回駆動手段により旋回可能な、傾斜して設けられた旋回ボードと該旋回ボードの下端部分の上方に配置された磁気プーリー等の選別機からなる選別装置を用いることができる。この選別装置においては、傾斜した旋回ボードの上端部分の基板上に、ベルトコンベア等の移送手段により下水汚泥溶融スラグを供給した後、旋回ボードを旋回させながら下水汚泥溶融スラグを下端側へ落としていく。この時、下水汚泥溶融スラグが旋回ボード上に薄く広がるため、選別効率が高くなる。また、磁気プーリーにて磁着された単独状態のリン含有金属類は、襞(ひだ)状やキャタピラー状の突起をベルト表面に有するベルトコンベアにより系外へ搬送される。なお、前記搬送機構が有するベルト表面の突起により、磁気プーリーの磁力による磁着物の引き戻し滞留堆積を防ぐことができる。旋回ボードの下端に達した下水汚泥溶融スラグはコンベア等により均質化工程に移送される。
次に、図8及び図9に示した振動分散式選別法について説明する。この選別法は駆動手段が振動であることを除けば旋回分散式選別法と同様の機構である。
次に、図10に示した振動偏析式選別法について説明する。振動偏析式選別法では、本体となるベルトコンベアと、本体となるベルトコンベアの送り出し側先端部位のプーリーとして配置された磁気プーリーと、搬送途中の部位においてベルト越しに配置された振動駆動により振動可能な振動ボードからなる選別装置を用いることができる。この選別装置においては、本体となるベルトコンベアの導入部に、ベルトコンベア等の移送手段により下水汚泥溶融スラグを供給した後、搬送途中の部位においてベルト越しに配置された振動ボードを駆動させ、本体となるベルトコンベアのベルトをフィードさせて下水汚泥溶融スラグを送り出し側へ送っていく。この時、本体となるベルトコンベアの搬送途中の部位において下水汚泥溶融スラグに振動が伝えられ、下水汚泥溶融スラグよりも比重の大きい金属類が振動によって下層へ偏析する。また、振動ボードに磁石板を採用するか、磁石板を取り付けることにより金属類の下層への偏析を促進させることができる。下水汚泥溶融スラグは下層に金属類を偏析させた状態を保ちながら送り出し側先端部位に送られ、下層に偏析した金属類は、その部位に配置されている磁気プーリーの磁力によってベルト越しに磁着保持される。本体となるベルトコンベアのベルトは送り出し側先端に到達すると反転して戻っていく。この時、下水汚泥溶融スラグは非磁性のため、反転傾斜によってベルトから落下し、ベルトコンベア等の手段により均質化工程に移送される。一方、金属類は磁気プーリーの磁力範囲を脱したところで落下し、ベルトコンベア等により系外へ排出される。なお、前記搬送機構が有するベルト表面の突起により、磁気プーリーの磁力による磁着物の引き戻し滞留堆積を防ぐことができる。
また、磁力選別を行うための選別装置の他の例としては、下水汚泥溶融スラグを搬送するベルトコンベアの下流側の上方に板状の磁選機が配置されているものを使用してもよい。この時、コンベアは、振動または揺動可能であることがさらに好ましい。
また、本発明の生産方法において、上記受け入れ工程、乾燥工程、分離工程、選別工程、均質化工程、貯蔵工程、混合工程、粉砕工程、篩い分け工程等の設備間での下水汚泥溶融スラグの移送は、ベルトコンベア、スクリューコンベア、フローコンベア、チェーンコンベア、バイブローフィーダー、バケットエレベーター等の移送手段を使用して行うことができる。
なお、本発明は、下水汚泥溶融スラグの受け入れ設備と、該下水汚泥溶融スラグを乾燥する設備と、該下水汚泥溶融スラグを均質化する設備と、該下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量を分析する設備と、該下水汚泥溶融スラグを個別ロットとして貯蔵する設備もしくは、ク溶性リン酸含有量に応じて複数設けた数値範囲ごとに統合ロットとして貯蔵する設備と、該貯蔵工程から複数の個別ロットもしくは、統合ロットとして貯蔵された下水汚泥溶融スラグを所定の割合で混合する設備と、混合された該下水汚泥溶融スラグを粉砕する設備と、粉砕した該下水汚泥溶融スラグを所定の粒径に整える篩い分け設備と、を備えた肥料の生産システムをも提供する。
ここで、受け入れ設備、乾燥設備、均質化設備、貯蔵設備、混合設備は、例えば前記で説明したものである。また、分析設備は、例えば前記分析工程で説明した分析方法によりク溶性リン酸含有量を測定するものである。
該肥料の生産システムは、前記で説明した選別工程を行うための選別設備、例えば前記磁力選別を行うための磁選装置を備えていてもよい。
さらに該肥料の生産システムは、前記演算手段を備えていてもよい。
上記実施態様の生産方法により、異なる下水処理施設及び異なる下水処理時期に発生する下水汚泥溶融スラグを貯蔵し、貯蔵された下水汚泥溶融スラグを一定の割合で混合する方法について、表3で示した下水処理施設(A,B)の下水汚泥溶融スラグの分析結果を用いた数値上のシミュレーションを以下に示す。例えば、副産りん酸肥料は公定規格上、ク溶性リン酸含有量が15.0mass%以上であることが必要であることから、生産される肥料が15.0mass%以上のク溶性リン酸含有量となるように混合割合を決定した。
シミュレーション1:
下水処理施設Aの10月の下水汚泥溶融スラグ(スラグa,ク溶性リン酸含有量5.90mass%)の個別ロットを貯蔵場所(舗装床)に個別ロット貯蔵管理し、下水処理施設Bの8月の下水汚泥溶融スラグ(スラグb,ク溶性リン酸含有量26.2mass%)の個別ロットを同様に個別ロット貯蔵管理する。なお、このシミュレーションにおいて、前記貯蔵場所には、スラグa、スラグbのみがそれぞれ貯蔵されている。スラグa,bを54:46の重量比で混合すれば、生産される肥料のク溶性リン酸含有量は15.2mass%となる。このように、本発明は、そのままではク溶性リン酸含有量が規定値を満たさないために肥料として利用できない下水汚泥熔融スラグaを、肥料化することが可能となる。
シミュレーション2:
下水処理施設Aの10月の下水汚泥溶融スラグ(スラグa,ク溶性リン酸含有量5.90mass%)の個別ロットを、図2中のク溶性リン酸含有量の数値範囲にある5.1〜10.0の統合ロットとして貯蔵場所(舗装床)に貯蔵し、下水処理施設Bの8月の下水汚泥溶融スラグ(スラグb,ク溶性リン酸含有量26.2mass%)の個別ロットを、図2中のク溶性リン酸含有量の数値範囲にある25.1〜30.0の統合ロットとして貯蔵場所(舗装床)に貯蔵する。なお、このシミュレーションにおいて、前記貯蔵場所には、スラグa、スラグbのみがそれぞれ貯蔵されている。スラグa,bを1:1の重量比で混合する。各枠の最小値に基づいた計算では、生産される肥料のク溶性リン酸含有量は15.1mass%となる。また、実際成分のク溶性リン酸含有量に基づく計算では、生産される肥料のク溶性リン酸含有量は16.05mass%となる。従って、ク溶性リン酸含有量の数値範囲の設定を5.0mass%間隔とし該数値範囲の最小値に基づいて演算することにより、下水汚泥溶融スラグを取り出す統合ロット及び下水汚泥溶融スラグの混合比を求めた場合でも、規格に適合した肥料を生産し得ることがわかる。
シミュレーション3:
下水処理施設Aの9月の下水汚泥溶融スラグ(スラグc、ク溶性リン酸含有量12.8mass%)の個別ロットを、図2中のク溶性リン酸含有量の数値範囲にある10.1〜15.0の統合ロットとして貯蔵場所(舗装床)に貯蔵し、下水処理施設Aの7月の下水汚泥溶融スラグ(スラグd、ク溶性リン酸含有量9.30mass%)の個別ロットを図2中のク溶性リン酸含有量の数値範囲にある5.1〜10.0の統合ロットとして貯蔵場所(舗装床)に貯蔵し、下水処理施設Bの8月の下水汚泥溶融スラグ(スラグe、ク溶性リン酸含有量26.2mass%)の個別ロットを図1中のク溶性リン酸含有量の数値範囲にある25.1〜30.0の統合ロットとして貯蔵場所(舗装床)に貯蔵する。スラグc,d,eを1:1:2の重量比で混合する。各枠の最小値に基づいた計算結果では、生産される肥料のク溶性リン酸含有量の試算値は16.35mass%となる。また、実際のク溶性リン酸含有量に基づく計算結果では、生産される肥料のク溶性リン酸含有量の試算値は18.625mass%となる。従って、ク溶性リン酸含有量の数値範囲の設定を5.0mass%間隔とし該数値範囲の最小値に基づいて演算することにより、下水汚泥溶融スラグを取り出す貯蔵設備及び下水汚泥溶融スラグの混合比を求めた場合でも、規格に適合した肥料を生産し得ることがわかる。
実施例1:
A,B二カ所の下水処理施設の下水汚泥から生産した下水汚泥溶融スラグに、上記の乾燥処理、分離処理、選別処理を施し、選別処理前後のリン酸全量及びク溶性リン酸含有量を分析した。結果を表6に示す。
Figure 2016044121
表6からわかるように、選別設備及び選別工程を含む実施態様において、ク溶性リン酸含有量の向上した肥料を生産できる。
実施例2:
下水処理施設A及びBにおいて2010年8〜10月及び2011年1〜7月に、株式会社クボタ製の回転式表面溶融炉から発生した下水汚泥溶融スラグを用いた。各月の代表サンプルは、各月の下一桁が1と6の付く日(ただし31日は除く)に下水汚泥溶融スラグを10kgずつ採取し、これを円錐四分法にて個別に縮分し、複数の縮分サンプルを混合して一つにした後、乾燥して作成した。各代表サンプルを平らな容器に広げ、磁石を近づけて金属及び/または金属化合物を回収し、これを衝撃による分離処理のない場合のデータとした。
一方、前述と同様の代表サンプルをステンレス球と共に磁製ポットミルに充填し、回転させながら衝撃を加え、融着している金属類と下水汚泥溶融スラグを分離させ、再び磁石を近づけて金属類を回収した結果を、衝撃による分離処理のある場合のデータとした。
分離処理の有無に伴う磁着物の量、下水汚泥溶融スラグの量を測定し、下水汚泥溶融スラグの回収率、金属類の回収率を計算した。なお、分離処理の有無に係わらず、磁着により金属類を除去した後の下水汚泥溶融スラグには金属類が含まれていないことから、これを下水汚泥溶融スラグとして測定した。結果を表7に示す。
Figure 2016044121
表7より、分離処理を施すことにより、下水汚泥溶融スラグの回収率が向上することがわかる。
1 融着状態にある下水汚泥溶融スラグと金属類
2 単独状態の下水汚泥溶融スラグ
3 単独状態の金属類
4 ローラー
5 ローラー加圧部
6 ホイールローダーのタイヤ
7 ホイールローダー
8 舗装床
9 ベルトコンベア
10 旋回ボード
11 磁気プーリー
12 突起を有するベルト
13 旋回駆動装置
14 振動ボード
15 振動駆動装置
16 振動板
17 振動駆動装置

Claims (4)

  1. 下水汚泥を溶融し生成するスラグを用いた肥料の製造方法において、
    前記スラグから金属類を除去することを特徴とする肥料の生産方法。
  2. 前記肥料はリン酸質肥料であることを特徴とする請求項1に記載の肥料の生産方法。
  3. 前記金属類は、鉄及び/またはリン化鉄を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の肥料の生産方法。
  4. 前記金属類の除去工程の前に、前記スラグに衝撃を加えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の肥料の生産方法。
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