JP5594707B1 - 肥料の生産方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】下水汚泥溶融スラグから、ク溶性リン酸の含有量が肥料公定規格に適合したリン酸質肥料を生産することにより、下水汚泥溶融スラグの利用率を向上させ、下水処理施設から発生する廃棄物の処理問題をも解決することのできる肥料の生産方法について提案すること。
【解決手段】下水汚泥溶融スラグを受け入れる工程と、該下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量を分析する工程と、該下水汚泥溶融スラグを、分析されたク溶性リン酸含有量に応じて、ク溶性リン酸含有量の数値範囲ごとに設けた複数の貯蔵設備から選択された一の設備に貯蔵する工程と、生産すべき肥料のク溶性リン酸含有量に応じて、前記複数の貯蔵設備のうち、下水汚泥溶融スラグを取り出すべき一または複数の貯蔵設備と、該貯蔵設備から取り出す下水汚泥溶融スラグの量とを決定する工程と、取り出された下水汚泥溶融スラグを混合する工程と、を含むことを特徴とする肥料の生産方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、下水汚泥溶融スラグから肥料を生産する方法に関する。
下水処理における排出物である下水汚泥は、下水道の普及に伴い年々増加しており、その有効利用が望まれている。下水汚泥は、最終処理形態として、例えば脱水汚泥、乾燥汚泥、焼却灰、溶融スラグ等の形態に処理された後、様々な用途に利用されている。このうち、下水汚泥溶融スラグの発生量は、下水汚泥発生量(濃縮汚泥に換算して)の一割近くに達しているため、利用率の向上が望まれている最終処理形態の一つとなっている。下水汚泥溶融スラグの現在の主な用途は建築資材であるが、利用率の向上という点では、建築資材は耐用年数が長く、コンスタントな需要が望めないという問題がある。
とくに、下水汚泥溶融スラグはリンを多く含むため、リン酸質肥料としての利用が期待されているが、最終処理形態としての下水汚泥溶融スラグを原料として、肥料公定規格(肥料取締法に基いて定められた肥料の成分や性状などの品質基準)に適合するように肥料を生産する方法については未だ確立されていない。
一方、リン酸質肥料の出発原料であるリン鉱石は、枯渇が懸念される資源であることから、下水汚泥溶融スラグをリン酸質肥料として利用することは、今後世界人口の増加によって増大する食糧需要を満足させなければならないという重要課題に対して非常に有益である。
従って、下水汚泥溶融スラグのリン酸質肥料としての利用は、下水処理施設における大量廃棄物の問題を解決する点においても、天然資源であるリン鉱石の枯渇問題を解決する点においても、非常に重要な技術であると言える。
そこで、発明者らは、下水汚泥溶融スラグを原料として肥料公定規格に適合するような肥料の生産方法を確立することが急務であると考え、下記のような検証を行った。
まず、下水処理施設(A・B)で採取された下水汚泥から生産された下水汚泥溶融スラグの山(下水処理時期が異なる下水汚泥から生産された下水汚泥溶融スラグが蓄積されたもの)から4検体を採取し(それぞれ異なる箇所から採取)、ク溶性リン酸含有量を調べた。その結果を表1に示す。
表1によって、下水汚泥溶融スラグの採取箇所及び下水汚泥を採取した下水処理施設の違いによってク溶性リン酸含有量に差があることがわかった。なお、採取箇所(同じ下水処理施設の下水汚泥由来の下水汚泥溶融スラグの異なる検体間)によって、ク溶性リン酸含有量に差が生じたのは、下水汚泥から処理された時期がそれぞれ異なるためとであると考えられる。
Figure 0005594707
また、発明者らが、下水汚泥溶融スラグを精査したところ、明らかに下水汚泥溶融スラグではない金属類と思われる異物が含まれていることを発見した。この異物は球形に近い形状であり、あるものは表面が金属光沢を呈し、あるものは表面が赤褐色の錆び色を呈していた。
発明者らは、この金属類と思われる異物を含んだままの状態の下水汚泥溶融スラグの試料を作成し、該試料に対して磁石を近付けてみたところ、該試料に含まれている異物を全て磁着させることができ、その結果、下水汚泥溶融スラグを、金属類と思われる異物と下水汚泥溶融スラグとに分離する方法として磁着操作が有効な方法の一つであることが判った。
しかし、下水汚泥溶融スラグを肥料原料として使用する際、金属類と思われる異物を含んだままの状態では、肥料取締法上、不適切であると判断されるおそれがある。そこで、発明者らは、4検体のうちの1検体に対して、下水汚泥溶融スラグ中に含まれている金属類と思われる異物を磁石によって磁着分離した下水汚泥溶融スラグについて、ク溶性リン酸含有量を再分析した。その結果を表2に示す。この結果から、発明者らは、異物の磁着分離によってク溶性リン酸含有量が向上することを見出し、より高い品質の肥料を生産するためには、金属類と思われる異物を除去する工程の導入が有効であることに想到した。
Figure 0005594707
ところで、リン酸質肥料において、リンが植物に長期にわたって有効に利用されるためには、肥料中にク溶性リン酸として含有されていることが望ましく、このため、ク溶性リン酸を保証成分として記載して販売されるリン酸質肥料の需要が高い。しかし、肥料公定規格においては、保証しようとする成分項目の最小含有量が定められており、ク溶性リン酸を保証成分とする肥料の場合、その最小含有量を満たさないものは、ク溶性リン酸を保証成分とする肥料として販売することができないとされている。
また従来、下水汚泥溶融スラグは、下水処理施設における最終処理形態として発生し、主に建材や埋め戻し材等として利用されている。しかしながら、表1に示したとおり、下水処理施設と下水処理時期により得られる下水汚泥溶融スラグの成分が異なることから、発明者らは、下水処理施設と下水処理時期による下水汚泥溶融スラグの成分変動の実態を把握するため、長期間にわたって追跡調査を実施した。その結果を、表3に下水処理施設(A・B)における下水処理時期と、リン酸全量、ク溶性リン酸含有量及びク溶性リン酸率の変動状況として示す。
Figure 0005594707
なお、表3の検証試験において、下水汚泥溶融スラグは、株式会社クボタ製の回転式表面溶融炉から発生したものである。また、下水汚泥溶融スラグの各月のサンプルは、各月の下一桁が1と6の付く日(ただし31日は除く)に、下水汚泥溶融スラグを10kgずつ採取し、円錐四分法により個別に縮分し、複数の縮分サンプルを混合して一つにした後、乾燥させ、さらに金属及び/または金属化合物を除去して調製した。
リン酸全量は蛍光X線分析で得られた結果を示した数値であり、ク溶性リン酸含有量は、肥料分析法に基づいて得られた結果である。
また、下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸率は以下の式で求めた。
Figure 0005594707
なお、リン酸全量とク溶性リン酸含有量の分析方法が異なるため、ク溶性リン酸率は下水汚泥溶融スラグのリン酸質肥料としての肥効性能を表す参考指標とした。
表3の結果により、ク溶性リン酸含有量は、下水汚泥が発生する下水処理施設及び下水処理時期によってかなり異なり、リン酸全量に比べてク溶性リン酸含有量が著しく低くなる場合があることがわかった。
従って、下水処理施設と下水処理時期によっては、今後も、得られる下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸の含有量が十分でない場合が生じることが予想されるとともに、当該処理施設と同様の下水処理方式を導入している他の処理施設についても同様のことが予想される。上記したように、ク溶性リン酸を保証成分とする肥料を生産する場合においては、下水汚泥溶融スラグ中のク溶性リン酸含有量が公定規格の最少量に満たないと、肥料として利用することができないため、下水汚泥溶融スラグが大量の廃棄物となるおそれがある。
このようなリン酸質肥料におけるク溶性リン酸含有量の問題を解決するため、特許文献1には下水汚泥溶融スラグの製造時に骨格調整剤を添加することによりリン酸全量に対するク溶性リン酸含有量の比率を高める技術が開示されている。
特開2012−232864号公報
しかしながら、特許文献1の発明は、下水汚泥溶融スラグに含まれるリン酸全量のうちの、ク溶性リン酸含有量の割合を増加させるための技術である。そのため、下水汚泥溶融スラグに含まれるリン酸全量が低い場合は、ク溶性リン酸含有量を高めることができない。従って、最終的にク溶性リン酸含有量が基準に満たない下水汚泥溶融スラグについてはリン酸質肥料として利用することができず、大量の廃棄物を生じる結果となる。
また、下水の最終処理形態の一つとして発生する下水汚泥溶融スラグの用途については、主に建材や埋め戻し材等として利用されてきた。しかし、建材や埋め戻し材のような建築資材は、耐用年数が長く、下水汚泥溶融スラグの発生量に見合ったコンスタントな需要が望めないという問題が残されている。また、コンスタントな需要が望めそうな用途の一つとして肥料化が考えられるが、下水処理施設や下水汚泥の発生時期によって生成する下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量が異なるなどの問題点があり、肥料公定規格に適合するような肥料を常に提供することができず、未だ肥料化には至っていないのが実情である。
これらの問題に対して、本発明は、下水汚泥溶融スラグから、ク溶性リン酸の含有量が肥料公定規格に適合したリン酸質肥料を生産することにより、下水汚泥溶融スラグの利用率を向上させることができ、その結果、非常に強い社会的要請でもある下水処理施設から発生する廃棄物の処理問題をも解決することのできる肥料の生産方法について提案することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、下水汚泥溶融スラグを受け入れる工程(以下、「受け入れ工程」とも言う。)、該下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量を分析する工程(以下、「分析工程」とも言う。)、該下水汚泥溶融スラグを、分析されたク溶性リン酸含有量に応じて、ク溶性リン酸含有量の数値範囲ごとに設けた複数の貯蔵設備から選択された一の設備に貯蔵する工程(以下、「貯蔵工程」とも言う。)、生産すべき肥料のク溶性リン酸含有量(ク溶性リン酸保証成分値等)に応じて、前記複数の貯蔵設備のうち、下水汚泥溶融スラグを取り出すべき一または複数の貯蔵設備と、その貯蔵設備から取り出す下水汚泥溶融スラグの量とを決定する工程、取り出された下水汚泥溶融スラグを混合する工程(以下、「混合工程」とも言う。)を含む肥料の生産方法を提供する。
本発明の肥料の生産方法においては、
(1)前記下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量を分析する工程より前に、金属及び/または金属化合物を除去するための選別工程を設けること、
(2)前記選別工程が、前記下水汚泥溶融スラグから金属及び/または金属化合物を除去する一次選別工程と、該一次選別工程で除去された金属及び/または金属化合物を衝撃処理する工程と、該衝撃処理工程後に金属及び/または金属化合物を除去する二次選別工程とを含むこと、
(3)前記下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量を分析する工程より前に、粒径が所定の数値より大きい下水汚泥溶融スラグを除去する工程、並びに該工程において除去された下水汚泥溶融スラグを破砕する工程を含むこと、
(4)前記選別工程は、磁力、風力、浮力、波長識別及び磁束密度変化識別のいずれか1または複数の選別方法を用いること、
(5)前記金属及び/または金属化合物は、鉄及び/またはリン化鉄を含むこと、
(6)前記下水汚泥溶融スラグは、同一または異なる下水処理施設の下水汚泥から生成したものであること、
(7)異なる下水処理施設の下水汚泥から生成した下水汚泥溶融スラグが、前記受け入れ工程において同時に受け入れられること、
(8)前記下水汚泥溶融スラグを取り出すべき一または複数の貯蔵設備及び該貯蔵設備から取り出す下水汚泥溶融スラグの量を、各貯蔵設備のク溶性リン酸含有量の数値範囲の最小値に基づいて決定すること、
がより好ましい解決手段となる。
本発明の肥料の生産方法によれば、下水処理施設における大量の廃棄物となるおそれのある下水汚泥溶融スラグを肥料として有効に利用することができる。とくに、下水処理施設や下水汚泥の発生時期などによるク溶性リン酸含有量の変動の影響を受けることなく、常に肥料公定規格の品質保証値を上回る肥料を提供することができる。また、ク溶性リン酸含有量が、肥料公定規格を満たさない下水汚泥溶融スラグについても、リン酸質肥料の原料として有効に利用することが可能になる。さらに、本発明の肥料の生産方法において、選別工程を含む場合、下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量を向上させることができ、下水汚泥溶融スラグのリン酸質肥料としての利用性をさらに高めることができる。
一方、本発明において、前記選別工程を含む場合には、副産物としてリン化鉄を回収することができる。また、前記選別工程が、一次選別工程、衝撃処理工程及び二次選別工程を含む場合は、回収されるリン化鉄の純度を高めることができる。
なお、リン化鉄は、鉄系焼結合金の耐熱・耐磨耗性向上のための添加剤、製鋼スラグ冷却時の相転移による粉化を防止するための添加剤、軟磁性薄帯のリン源など、多様な用途に利用することができるため、副産物としてリン化鉄を得られることは非常に有意義である。
このように、本発明は、下水汚泥溶融スラグを余すことなく有効利用することのできるリサイクル率の高いシステムであり、その社会的意義は非常に大きい。
本発明の肥料の生産方法の一実施態様を示すフローチャートである。 下水汚泥溶融スラグのX線回折チャートである。 本発明の肥料の生産方法の一実施態様に使用される一次選別装置を示す模式図である。 本発明の肥料の生産方法の一実施態様に使用される篩い分け装置を示す模式図である。 本発明の肥料の生産方法の一実施態様に使用される衝撃処理装置を示す模式図である。 本発明の肥料の生産方法の一実施態様に使用される二次選別装置を示す模式図である。
本発明の肥料の生産方法の一実施態様を図面に基づいて説明するが、本発明の肥料の生産方法は、該実施態様に限定されない。図1は、本発明の肥料の生産方法の一実施態様を示すフローチャートである。
図1に示される方法は、下水汚泥溶融スラグの受け入れ工程、均質化工程、乾燥工程、一次選別工程、衝撃処理工程、篩い分け工程、二次選別工程、分析工程、貯蔵工程、下水汚泥溶融スラグを取り出すべき一または複数の貯蔵設備及び、該貯蔵設備から取り出す下水汚泥溶融スラグの量を決定する工程(図示せず)及び混合工程を含む。
なお、上記方法においては、まず、下水汚泥溶融スラグを受け入れ設備に受け入れ、均質化処理を行い、乾燥処理を行った後、一次選別処理により下水汚泥溶融スラグと金属類(リン化鉄等)を分け、下水汚泥溶融スラグについては篩い分けにより粒径2mm以下の下水汚泥溶融スラグを回収し、金属類及び前記篩い分けにより除去された粒径が2mmを超える下水汚泥溶融スラグ(図中、サイズ上品)については衝撃処理を行い、さらに二次選別により金属類を除去し、得られた下水汚泥溶融スラグを再度篩い分けすることにより粒径2mm以下の下水汚泥溶融スラグを回収する。ここで粒径が2mmを超える下水汚泥溶融スラグには再度、衝撃処理を行う。その後、下水汚泥溶融スラグから採取したサンプルを分析し、分析結果に応じて、対応するク溶性リン酸含有量区分の貯蔵設備に下水汚泥溶融スラグを貯蔵する。肥料の生産は、生産すべき肥料のク溶性リン酸含有量に応じて下水汚泥溶融スラグを取り出すべき貯蔵設備と、該貯蔵設備から取り出す下水汚泥溶融スラグ量を決定し、取り出された下水汚泥溶融スラグを混合することにより行われる(図中の混合工程)。この時、他の肥料や肥料原料、土壌改良材等を添加して成分調整を行ってもよい。
なお、本発明の肥料の生産方法は、下水汚泥溶融スラグの受け入れ工程から貯蔵工程までの下水汚泥溶融スラグを、ク溶性リン酸含有量に応じた区分で貯蔵していく工程と、その後の下水汚泥溶融スラグを取り出すべき一または複数の貯蔵設備を選定し、該貯蔵設備から取り出す下水汚泥溶融スラグの量を決定する工程及び混合工程との二つに分けて捉えることができ、両者は平行して進めて行くことができる。
以下、各工程について詳細に説明する。
まず、受け入れ工程において、ホッパー、タンク等の受け入れ設備に受け入れた下水汚泥溶融スラグを、ホイールローダー、回転ドラム等の均質化手段により攪拌し、均質化する(均質化工程)。
本発明で受け入れる下水汚泥溶融スラグは、同一の下水処理施設から発生した下水汚泥溶融スラグであっても、異なる下水処理施設から発生した下水汚泥溶融スラグであってもよく、また、異なる下水処理施設から発生した下水汚泥溶融スラグを混合して本発明の方法による処理を行うこともできる。なお、このように異なる下水処理施設から発生した下水汚泥溶融スラグを混合して用いた場合には、表3に示すような下水汚泥溶融スラグの発生場所(下水処理場)や発生時期による下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量の変動の影響を減少させることができ、ク溶性リン酸含有量の分布範囲が狭まり、後述する、下水汚泥溶融スラグの貯蔵設備の区分数の削減、あるいは区分間隔の細分化を図ることができる。
また、本発明で使用する下水汚泥溶融スラグは、乾燥汚泥を溶融して水砕する方法により発生したものであっても、下水汚泥焼却灰を溶融して水砕する方法により製造したものであってもよい。
また、本発明で使用する下水汚泥溶融スラグは発生過程や製法を問わない。例えば、上記特許文献1に示す溶融スラグの製法のように、溶融時に溶融金属をスラグと分離しない方法であってもよく、また、溶融時に添加剤として鉄等の金属を添加するものであってもよい。
なお、受け入れた下水汚泥溶融スラグの粒度に大きなばらつきがある場合や、粒度が著しく大きな塊状の下水汚泥溶融スラグが存在する場合には、均質化処理前に、粗破砕処理、篩い分け処理などにより、下水汚泥溶融スラグの粒度を所定の大きさ以下とすることが好ましい。ここでいう所定の大きさとは、例えば図3に示すような磁選設備を使用する場合にあっては、磁気プーリー3と旋回ボード2との離間距離未満の大きさをいう。下水汚泥溶融スラグを、粗破砕処理により所定の大きさ以下、例えば、15mm以下とすることで、磁気プーリー3と旋回ボード2の間に下水汚泥溶融スラグが挟持されることを防止できる。また、2mm以下に設定すれば、図1に記すその後の篩い分け工程、衝撃処理工程、二次選別工程を省略することができる。
上記均質化処理後、下水汚泥溶融スラグを乾燥する(乾燥工程)。乾燥は、例えば、ロータリードライヤー式、流動床式等の乾燥手段により、好ましくは水分を限りなく0.0%に近づけることが望ましい。なお、乾燥工程は、受け入れ工程後に設けてもよい。
なお、処理施設A及びBで発生した下水汚泥溶融スラグに、上記のように処理を施したのち、観察したところ、金属類と思われる異物が含まれていることが判明し、主にリン化鉄(FeP,FeP等)を主成分としていることがわかった。(以下、このリン化鉄を主成分とする金属類を「リン含有金属類」と言う。)
図2は下水汚泥溶融スラグに含まれていた金属類と思われる異物がリン化鉄を主成分として含んでいることを示すX線回折による解析チャートである。
さらに、リン含有金属類中のク溶性リン酸含有量を、リン含有金属類を蛍光X線で解析して求めたリン含有金属類中のリン全量を基に、リン酸として換算して求めたリン酸全量と、肥料分析法によって得られたク溶性リン酸含有量とから、リン酸全量に占めるク溶性リン酸含有量の割合(ク溶性リン酸率)を求めた。その結果、表4に示すように、リン含有金属類のク溶性リン酸率が著しく低いことが判った。従って、生産される肥料のク溶性リン酸含有量を上げるためには、リン含有金属類を除去することが好ましい。
Figure 0005594707
そこで、本発明ではさらに、前記乾燥工程後の下水汚泥溶融スラグから、金属及び/または金属化合物、特に鉄、リン化鉄等の金属類を除去するため、選別工程を設けることが好適である。
また、発明者らが、上記選別工程後の分離したリン含有金属類を良く観察したところ、単独状態のリン含有金属類だけでなく、リン含有金属類と下水汚泥溶融スラグとが融着した状態のものが混在していることがわかった。
そこで、リン含有金属類と下水汚泥溶融スラグとが融着した状態のものに対して衝撃を加えてみたところ、リン含有金属類と下水汚泥溶融スラグとに分離することができることを見出した。そして、下水処理施設(A・B)の下水汚泥から生産した下水汚泥溶融スラグに、磁着処理(一次選別処理)を行った後、得られた磁着物に衝撃処理後、さらに磁着処理(二次選別処理)を行い、選別前、一次選別処理後、二次選別処理後の磁着物の量(mass%)及び下水汚泥溶融スラグの回収率(mass%)を調べた。その結果を表5に示す。
Figure 0005594707
表5の結果により、二次選別によってさらに下水汚泥溶融スラグを回収することができることがわかる。
従って、本発明では、前記選別工程が、二回の選別工程(一次選別工程、二次選別工程)と、その間の衝撃処理工程を含んでいてもよく、即ち、前記選別工程が、下水汚泥溶融スラグから金属及び/または金属化合物を除去する一次選別工程と、該一次選別工程で除去された金属及び/または金属化合物を衝撃処理する工程と、該衝撃処理工程後に金属及び/または金属化合物を除去する二次選別工程とを含むことが好ましい。
選別工程としては、磁力、風力、浮力、波長識別、磁束密度変化識別等のいずれか1つ又は複数の選別方法を用いることが好ましく、これは、下水汚泥溶融スラグ中に含まれる異物(高密度物)として、前記金属等の磁着物以外にも、非磁着物が含まれる場合があり、上記風力等の選別方法によれば、非磁着物も効果的に除去できるからである。
例えば磁力選別の一例として、図3に示すように、旋回駆動手段により旋回可能な、傾斜して設けられた旋回ボード2と該旋回ボードの下端部分の上方に配置された磁気プーリー3等の選別機からなる選別装置1を用いることができる。この選別装置1においては、傾斜した旋回ボード2の上端部分の基板上に、ベルトコンベア4等の移送手段により下水汚泥溶融スラグを供給した後、旋回ボード2を旋回させながら下水汚泥溶融スラグを下端側へ落としていく。この時、下水汚泥溶融スラグが旋回ボード上に薄く広がるため、選別効率が高くなる。また、磁気プーリーにて選別された単独状態のリン含有金属類と、下水汚泥溶融スラグと融着した状態のリン含有金属類及びその他の金属類磁着物は、襞(ひだ)状やキャタピラー状の突起をベルト表面に有するベルトコンベアにより衝撃処理工程へ搬送される。なお、磁着物は、前記搬送機構が有するベルト表面の突起により、磁気プーリーの磁力による引き戻し滞留堆積を防ぐことができる。旋回ボードの下端に達した下水汚泥溶融スラグはコンベア等により篩い分け設備に移送される。
また、磁力選別を行うための選別装置の他の例としては、下水汚泥溶融スラグを搬送するベルトコンベアのロールが磁選機となっているもの、下水汚泥溶融スラグを搬送するベルトコンベアの下流側の上方に磁選機が配置されているものを使用してもよい。この時、コンベアは、振動または揺動可能であることがさらに好ましい。
篩い分け工程では、篩い分け装置として、所定の粒径、例えば、粒径2mm以下の下水汚泥溶融スラグを篩過し、回収し得る旋回、振動及び/または揺動可能な篩等を用いることができる。例えば、図4(a)の傾斜して設けられた旋回可能な開き目2mmの金網からなる傾斜型篩装置5により行われる。傾斜型篩装置5において、コンベア6により一次選別工程から移送されてきた下水汚泥溶融スラグが、図4(b)に示すように傾斜して設けられた開き目2mmの旋回金網7の上端部分に供給され、旋回金網の旋回に伴って、粒径2mm以下の下水汚泥溶融スラグが篩過されてボード21上に回収される。回収された粒径2mm以下の下水汚泥溶融スラグは分析工程において分析された後に、ク溶性リン酸含有量に応じた貯蔵設備に移送され貯蔵される。2mmを超える下水汚泥溶融スラグは、金網上を下端側へ下降していき、その後、コンベア等の移送手段により衝撃処理装置へ運ばれる。
衝撃処理工程は、例えば図5の衝撃処理装置(インパクトブレーカー8)を用いて行われる。インパクトブレーカー8は、ハウジング10内に設けられた回転する打撃板11と反発板12を備えている。選別工程で磁着された下水汚泥溶融スラグ15と融着した状態のリン含有金属類14を含む磁着物は、インパクトブレーカー8のホッパー9から投入される。また、篩い分け設備において篩い分けされた所定の粒径、例えば2mmを超える下水汚泥溶融スラグ16もホッパー9から投入することができる。そして、打撃板11と反発板12との衝撃により、上記磁着物中の下水汚泥溶融スラグ15と融着した状態のリン含有金属類14等から、該下水汚泥溶融スラグ15が剥離されると共に、粒径の大きな下水汚泥溶融スラグ16は破砕されることになる。その後、リン含有金属類14、剥離された下水汚泥溶融スラグ、破砕された下水汚泥溶融スラグ等は、排出口13から排出され、コンベアにより、図6に示す二次選別装置へと移送される。ここで、リン含有金属類14等を磁着させて除去することにより、剥離された下水汚泥溶融スラグ及び破砕された下水汚泥溶融スラグを回収することができる。
なお、衝撃処理装置としては、その他、ボールミル、グラインダー、ジョークラッシャー等を用いることができる。
上記衝撃処理装置8は、図5に示すように粒径が所定の数値より大きい粗大な下水汚泥溶融スラグ16の破砕のための装置を兼ねることもでき、一次選別装置において除去された下水汚泥溶融スラグが融着した金属及び/または金属化合物と前記粗大な下水汚泥溶融スラグとを平行して前記衝撃処理装置で処理することもできる。
二次選別工程は、例えば図6に示す磁選装置17により行われる。該磁選装置17は、上記磁選装置1と同様の装置であり、傾斜した旋回ボード19の上端側に、ベルトコンベア18等の移送手段により、リン含有金属類及び剥離されたまたは破砕された下水汚泥溶融スラグを供給した後、旋回ボード19を旋回させながら該下水汚泥溶融スラグ等を下端側へ落としていき、該旋回ボード19下端部上方に設けられた磁気プーリー20によりリン含有金属類等が磁着される。この時、下水汚泥溶融スラグ等が旋回ボード上に薄く広がるため、磁選効率が高くなる。その後、下水汚泥溶融スラグは、必要に応じてさらに篩い分けされた後、分析工程で分析され、ク溶性リン酸含有量に応じた貯蔵設備に移送され貯蔵される。なお、分析工程の前に、前記篩い分け工程及び二次選別工程で回収された下水汚泥溶融スラグに均質化処理を行う第二の均質化工程を含んでいてもよい。第二の均質化工程は前記の均質化工程で示したのと同様の均質化手段により行うことができる。また、二次選別工程は、一次選別工程と同様に、磁選装置以外にも風力、浮力等を利用した選別装置を使用することができる。
分析工程においては、好ましくは均質化処理、乾燥処理、選別処理等の各処理を施した下水汚泥溶融スラグからサンプルを採取し、肥料分析法等により各種成分、特にク溶性リン酸含有量等を分析する。なお、分析は、例えば、2%クエン酸溶液で抽出した試料液に対してキノリン重量法、キノリン容量法、バナドモリブデン酸アンモニウム法等により行うことができる。この分析結果に基づいて、下水汚泥溶融スラグが複数の貯蔵設備(例えば、図1に示したように、ク溶性リン酸含有量が0.0超〜5.0mass%、5.1〜10.0mass%、10.1〜15.0mass%、15.1〜20.0mass%、20.1〜25.0mass%、25.1〜30.0mass%、30.1〜35.0mass%の7区分の貯蔵設備)に振り分けられて貯蔵される。
なお、上記実施態様において、選別工程は乾燥工程の後に行われているが、本発明では、分析工程より前であれば、受け入れ工程後、均質化工程後、乾燥工程後等のいずれにおいて行われてもよい。
前記複数の貯蔵設備は、例えば貯蔵される下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量の範囲が段階的になるように分けられた、すなわちク溶性リン酸含有量の水準区分ごとに分けられた複数のタンク、ホッパー、擁壁で隔てられた土間、コンクリート床等からなる。ク溶性リン酸含有量の水準区分は、上記したように例えば0.0超〜5.0mass%、5.1〜10.0mass%、10.1〜15.0mass%、15.1〜20.0mass%、20.1〜25.0mass%、25.1〜30.0mass%、30.1〜35.0mass%の7区分とすることができるが、区分数はこれに限定されず、例えば3〜20区分、5〜10区分に分けてもよい。なお、上記のク溶性リン酸含有量の区分については、各区分の数値範囲を5.0mass%ごとに分けて設定しているが、これに限定されるものではない。従って、受け入れた下水汚泥溶融スラグは、分析設備において測定された値に相当する貯蔵設備に貯蔵されることになる。
本発明の肥料の生産方法において、前記複数の貯蔵設備のうち下水汚泥溶融スラグを取り出すべき一または複数の貯蔵設備及び該貯蔵設備から取り出す下水汚泥溶融スラグの量を決定する工程は、演算手段により行われてもよい。
なお、該演算手段は、生産すべき肥料のク溶性リン酸含有量及び生産すべき量の数値データ、並びに各貯蔵設備に貯蔵された下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量の実測値または数値範囲の最小値から、下水汚泥溶融スラグを取り出すべき一または複数の貯蔵設備と、該貯蔵設備から取り出す溶融スラグの量または比率を、生産される肥料が所定のク溶性リン酸含有量を達成するように決定するものであり、これによれば、常に肥料公定規格の所定値(品質保証値)を上回る肥料を生成することができる。
下水汚泥溶融スラグを取り出す貯蔵設備、及び取り出す下水汚泥溶融スラグの量は、生産すべき肥料のク溶性リン酸含有量、生産すべき肥料の量、各貯蔵設備に貯蔵されている下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量、各貯蔵設備の在庫量等の各種データに基づいて決定することができる。
例えば、下水汚泥溶融スラグを取り出す貯蔵設備は、各貯蔵設備の在庫量を考慮し、各貯蔵設備に備蓄されている下水汚泥溶融スラグを極力均等に消費する方法や、ク溶性リン酸含有量の最高値と最低値の貯蔵設備から消費していく方法、生産ロットが終了する毎に各貯蔵設備の残量が均等になるように消費していく方法、これまでの統計に基づき、発生頻度の高いク溶性リン酸含有量水準の下水汚泥溶融スラグ貯蔵設備を優先的に使用する方法等によって決定し、計画的に生産を行うことができる。
なお、上記演算手段において、貯蔵設備の在庫量は、手動入力してもよく、または該貯蔵設備にセンサーを設けて該センサーから送信されたデータを自動入力してもよい。
なお、演算手段において適用される数値を、ク溶性リン酸含有量水準枠の最小値とすると、設計成分と実際の製品成分との乖離の幅は、最大でク溶性リン酸含有量水準枠の最小値と最大値の差ということになる。本発明では、ク溶性リン酸含有量の高い下水汚泥溶融スラグを、単独では肥料公定規格に適合し得ない下水汚泥溶融スラグと混合することによって、より多くの下水汚泥溶融スラグを肥料化することができ、下水汚泥溶融スラグ全体の利用率を高めることができる。したがって、ク溶性リン酸含有量の高い下水汚泥溶融スラグの節約的使用は重要であり、貯蔵設備のク溶性リン酸含有量水準枠の設定については、好ましくは0.5〜5mass%間隔、より好ましくは1〜2.5mass%間隔で管理することが望ましい。
また、本発明の方法においては、上記演算手段で決定された結果を表示手段により表示する工程、及び/または上記結果に基づき、各貯蔵設備からの下水汚泥溶融スラグの取り出しを自動で行う制御工程を含んでいてもよい。
上記工程で決定された貯蔵設備から取り出された下水汚泥溶融スラグは、混合設備において混合され、これにより所定のク溶性リン酸含有量を有する肥料が生産される。このような本発明によれば、下水汚泥溶融スラグを貯蔵設備に一時的に保管し、その後、上記演算手段等に基づいて貯蔵設備から取り出して混合することにより、下水汚泥溶融スラグの発生場所や発生時期等によるク溶性リン酸含有量の変動(表3参照)を取り除くことができ、肥料公定規格に適合したリン酸質肥料を提供することができる。
本発明の生産方法において、一または複数の貯蔵設備から取り出した下水汚泥溶融スラグの混合工程は、例えば、回転式混合機、攪拌式混合機、振動混合機等の混合設備を使用して行うことができる。
また、本発明の生産方法において、上記受け入れ設備、乾燥手段、選別設備、衝撃処理手段、篩い分け手段、貯蔵設備、混合設備等の設備間での下水汚泥溶融スラグの移送は、ベルトコンベア、スクリューコンベア、フローコンベア、チェーンコンベア、バイブローフィーダー、バケットエレベーター等の移送手段を使用して行うことができる。
なお、本発明は、下水汚泥溶融スラグの受け入れ設備と、該下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量を測定するための分析設備と、該下水汚泥溶融スラグをク溶性リン酸含有量の数値範囲別に貯蔵するための複数の貯蔵設備と、該複数の貯蔵設備に貯蔵された下水汚泥溶融スラグを所定の割合で混合する混合設備と、を備えた肥料の生産システムをも提供する。
ここで、受け入れ設備、貯蔵設備、混合設備は、例えば前記で説明したものである。また、分析設備は、例えば前記分析工程で説明した分析方法によりク溶性リン酸含有量を測定するものである。
該肥料の生産システムは、前記で説明した選別工程を行うための選別設備、例えば前記磁力選別を行うための磁選装置を備えていてもよい。
さらに該肥料の生産システムは、前記演算手段を備えていてもよい。
上記実施態様の生産方法により、異なる下水処理施設及び異なる下水処理時期に発生する下水汚泥溶融スラグを貯蔵し、貯蔵された下水汚泥溶融スラグを一定の割合で混合する方法について、表1で示した下水処理施設(A,B)の下水汚泥溶融スラグの分析結果を用いた数値上のシミュレーションを以下に示す。例えば、副生りん酸肥料は公定規格上、ク溶性リン酸含有量が15.0mass%以上であることが必要であることから、生産される肥料が15.0mass%以上のク溶性リン酸含有量となるように混合割合を決定した。
シミュレーション1:
下水処理施設Aの10月の下水汚泥溶融スラグ(スラグa,ク溶性リン酸含有量5.90mass%)を、図1中のク溶性リン酸含有量水準別貯蔵設備での貯蔵場所5.1〜10.0枠に貯蔵し、下水処理施設Bの8月の下水汚泥溶融スラグ(スラグb,ク溶性リン酸含有量26.2mass%)を、図1中のク溶性リン酸含有量水準別貯蔵設備での貯蔵場所25.1〜30.0枠に貯蔵する。なお、このシミュレーションにおいて、前記貯蔵場所には、スラグa、スラグbのみがそれぞれ貯蔵されている。スラグa,bを1:1の重量比で混合する。各枠の最小値に基づいた計算では、生産される肥料のク溶性リン酸含有量は15.1mass%となる。また、実際成分のク溶性リン酸含有量に基づく計算では、生産される肥料のク溶性リン酸含有量は16.05mass%となる。従って、区分の設定を5.0mass%間隔とし該区分の最小値に基づいて演算することにより、下水汚泥溶融スラグを取り出す貯蔵設備及び下水汚泥溶融スラグの混合比を求めた場合でも、規格に適合した肥料を生産し得ることがわかる。
シミュレーション2:
下水処理施設Aの9月の下水汚泥溶融スラグ(スラグc、ク溶性リン酸含有量12.8mass%)を、図1中のク溶性リン酸含有量水準別貯蔵設備での貯蔵場所10.1〜15.0枠に貯蔵し、下水処理施設Aの7月の下水汚泥溶融スラグ(スラグd、ク溶性リン酸含有量9.30mass%)を図1中のク溶性リン酸含有量水準別貯蔵設備での貯蔵場所5.1〜10.0枠に貯蔵し、下水処理施設Bの8月の下水汚泥溶融スラグ(スラグe、ク溶性リン酸含有量26.2mass%)を図1中のク溶性リン酸含有量水準別貯蔵設備での貯蔵場所25.1〜30.0枠に貯蔵する。スラグc,d,eを1:1:2の重量比で混合する。各枠の最小値に基づいた計算結果では、生産される肥料のク溶性リン酸含有量の試算値は16.35mass%となる。また、実際成分のク溶性リン酸含有量に基づく計算結果では、生産される肥料のク溶性リン酸含有量の試算値は18.625mass%となる。従って、区分の設定を5.0mass%間隔とし該区分の最小値に基づいて演算することにより、下水汚泥溶融スラグを取り出す貯蔵設備及び下水汚泥溶融スラグの混合比を求めた場合でも、規格に適合した肥料を生産し得ることがわかる。
実施例1:
A,B二カ所の下水処理施設の下水汚泥から生産した下水汚泥溶融スラグに、上記の一次磁選装置、衝撃処理装置及び二次磁選装置を用いて、一次選別、衝撃処理、二次選別からなる選別処理を行い、選別処理前後のリン酸全量及びク溶性リン酸含有量を分析した。結果を表6に示す。
Figure 0005594707
表6からわかるように、各選別設備及び選別工程を含む実施態様において、ク溶性リン酸含有量の向上した肥料を生産できた。
実施例2:
下水処理施設A及びBにおいて2010年8〜10月及び2011年1〜7月に、株式会社クボタ製の回転式表面溶融炉から発生した下水汚泥溶融スラグを用いた。各月の代表サンプルは、各月の下一桁が1と6の付く日(ただし31日は除く)に下水汚泥溶融スラグを10kgずつ採取し、これを円錐四分法にて個別に縮分し、複数の縮分サンプルを混合して一つにした後、乾燥して作成した。各代表サンプルを平らな容器に広げ、磁石を近づけて金属及び/または金属化合物(以下、場合により金属類と記載する)を回収し、これを一次磁着物とした。
二次選別では、一次磁着物をステンレス球と共に磁製ポットミルに充填し、回転させながら衝撃を加え、融着している金属類と下水汚泥溶融スラグを分離させ、再び磁石を近づけて金属類を回収し、これを二次磁着物とした。
一次選別後及び二次選別後の磁着物の量、下水汚泥溶融スラグの量を測定し、下水汚泥溶融スラグの回収率、金属類の回収率を計算した。なお、一次選別、二次選別共に、磁着により金属類を除去した後の下水汚泥溶融スラグには金属類が含まれていないことから、これを下水汚泥溶融スラグとして測定した。結果を表7に示す。
Figure 0005594707
表7より、衝撃処理及び二次選別を行うことにより、下水汚泥溶融スラグの回収率が向上することがわかる。
1 選別装置
2 旋回ボード
3 磁気プーリー
4 ベルトコンベア
5 傾斜型篩装置
6 コンベア
7 旋回金網
8 衝撃処理装置(インパクトブレーカー)
9 ホッパー
10 ハウジング
11 打撃板
12 反発板
13 排出口
14 リン含有金属類
15 磁着物
16 下水汚泥溶融スラグ
17 磁選装置
18 ベルトコンベア
19 旋回ボード
20 磁気プーリー
21 ボード

Claims (9)

  1. 下水汚泥溶融スラグを受け入れる工程と、
    該下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量を分析する工程と、
    該下水汚泥溶融スラグを、分析されたク溶性リン酸含有量に応じて、ク溶性リン酸含有量の数値範囲ごとに設けた複数の貯蔵設備から選択された一の設備に貯蔵する工程と、
    生産すべき肥料のク溶性リン酸含有量に応じて、前記複数の貯蔵設備のうち、下水汚泥溶融スラグを取り出すべき一または複数の貯蔵設備と、該貯蔵設備から取り出す下水汚泥溶融スラグの量とを決定する工程と、
    取り出された下水汚泥溶融スラグを混合する工程と、
    を含むことを特徴とする肥料の生産方法。
  2. 前記下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量を分析する工程より前に、金属及び/または金属化合物を除去するための選別工程を設けることを特徴とする請求項1に記載の肥料の生産方法。
  3. 前記選別工程が、
    前記下水汚泥溶融スラグから金属及び/または金属化合物を除去する一次選別工程と、
    該一次選別工程で除去された金属及び/または金属化合物を衝撃処理する工程と、
    該衝撃処理工程後に金属及び/または金属化合物を除去する二次選別工程とを含むことを特徴とする請求項2に記載の肥料の生産方法。
  4. 前記下水汚泥溶融スラグのク溶性リン酸含有量を分析する工程より前に、粒径が所定の数値より大きい下水汚泥溶融スラグを除去する工程、並びに該工程において除去された下水汚泥溶融スラグを破砕する工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の肥料の生産方法。
  5. 前記選別工程は、磁力、風力、浮力、波長識別及び磁束密度変化識別のいずれか1または複数の選別方法を用いることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の肥料の生産方法。
  6. 前記金属及び/または金属化合物は、鉄及び/またはリン化鉄を含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の肥料の生産方法。
  7. 前記下水汚泥溶融スラグは、同一または異なる下水処理施設の下水汚泥から生成したものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の肥料の生産方法。
  8. 異なる下水処理施設の下水汚泥から生成した下水汚泥溶融スラグが、前記受け入れ工程において同時に受け入れられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の肥料の生産方法。
  9. 前記下水汚泥溶融スラグを取り出すべき一または複数の貯蔵設備及び該貯蔵設備から取り出す下水汚泥溶融スラグの量を、各貯蔵設備のク溶性リン酸含有量の数値範囲の最小値に基づいて決定することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の肥料の生産方法。
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