JP2016041952A - セラミックスころの製造方法およびグリーン体成形装置 - Google Patents

セラミックスころの製造方法およびグリーン体成形装置 Download PDF

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則秀 佐藤
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Abstract

【課題】製造コストの低減を可能とするセラミックころの製造方法およびグリーン体成形装置を提供する。【解決手段】セラミックスの原料粉末を成形してグリーン体を得る工程(S30)と、グリーン体を焼結する工程(S40)と、焼結する工程(S40)により得られた焼結体を研磨する工程(S50)とを備える。上記グリーン体を得る工程(S30)では、対向する第1および第2の端面と第1および第2の端面の間をつなぐ外周面とを有し、外周面が外側に凸となっているグリーン体が成形される。外周面の形状は、焼結する工程(S40)におけるグリーン体から焼結体へ焼結されるときの形状変化を考慮して決定される。【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックスころの製造方法およびグリーン体成形装置に関し、特に、セラミックころの製造コストの低減を可能とするセラミックころの製造方法およびグリーン体成形装置に関する。
一般に、転がり軸受の転動体などに使用されるセラミックス製のころ(セラミックころ)は、以下のように製造される。すなわち、窒化珪素などのセラミック粉末を主原料とする原料粉末を成形して未焼結のころであるグリーン体を作製し、これを焼結した後、転走面となる外周面に研磨処理を行なうことにより所望の寸法、精度を有するセラミックころに仕上げる。より具体的には、原料粉末の混合、造粒、成形、冷間等方圧加圧法(CIP)処理、脱脂、焼成(焼結)、研磨のプロセスを経てセラミックころは製造される。上述した研磨プロセスでは、焼結後のころに対しては、センタレス研磨機による外径研磨加工が実施される(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。
特開平7−100743号公報 特開2005−118926号公報
しかし、何ら対策を講じない場合、焼成後のころは円筒度が低い。これは、一般にプレス成形などにより円柱形状に成形されたグリーン体はその軸方向においてグリーン体を構成する造粒粉の粗密が生じており、成形後のグリーン体を焼成したときに造粒粉の粗部は密部よりも収縮するためである。そのため、焼結後のころでは安定した回転や砥石との接触が得られず加工し難いばかりでなく、加工取り代が大きくなる。また、セラミックころは硬度が非常に高い。その結果、研磨加工に長時間を要する。また、粗研磨砥石の摩耗も大きくなる。そのため、製造コストが高くなることが、セラミックころの製造において問題となっている。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものである。本発明の主たる目的は、製造コストの低減を可能とするセラミックころの製造方法およびグリーン体成形装置を提供することにある。
本発明に係るセラミックスころの製造方法は、セラミックスの原料粉末を成形してグリーン体を得る工程と、グリーン体を焼結する工程と、焼結する工程により得られた焼結体を研磨する工程とを備える。上記グリーン体を得る工程では、対向する第1および第2の端面と第1および第2の端面の間をつなぐ外周面とを有し、外周面が外側に凸となっているグリーン体が成形される。外周面の形状は、焼結する工程におけるグリーン体から焼結体へ焼結されるときの形状変化を考慮して決定される。
このようにすれば、グリーン体がその軸方向において造粒粉の粗密を有していても、当該粗部における外周面を当該密部における外周面に対して凸状とすることにより、上記焼結する工程においてグリーン体を外周面の凸状が緩和するように収縮させることができる。つまり、グリーン体を得る工程において、焼結体の形状をセラミックスころの仕上がり形状と同等程度となるように焼結する工程での収縮を考慮してグリーン体を成形しておくことにより、上記焼結する工程により得られる焼結体はセラミックスころの仕上がり形状と同等程度となる。その結果、上記焼結体を研磨する工程における研磨量を低減することができ、セラミックスころの製造コストを低減することができる。
上記グリーン体を得る工程において、グリーン体は、第1の端面から第2の端面に向かう軸が延びる方向における中央部での幅が第1および第2の端面での幅より大きくなるように成形されてもよい。このようにすれば、上記グリーン体を得る工程において得られるグリーン体を焼結にすることにより、円筒状または樽状の焼結体を容易に得ることができる。
上記グリーン体を焼結する工程では円筒状の焼結体を得ることができる。上記グリーン体を焼結する工程では樽状の焼結体を得ることができる。つまり、焼結する工程におけるグリーン体の収縮量を予め見積もっておき、上記グリーン体を得る工程において円筒状あるいは略円筒状、または樽状の焼結体が得られるようなグリーン体を成形することができる。その結果、上記焼結体を研磨する工程における研磨量を低減することができ、セラミックスころの製造コストを低減することができる。
本発明に係るグリーン体成形装置は、セラミックスの原料粉末がころ状に成形されたグリーン体の外周面を第1加工面および第2加工面により成形するグリーン体成形装置であって、円環状の内周側面に沿って形成された第1加工面を有する第1部材と、第1加工面の内側において対向する第2加工面を有する第2部材とを備える。第1加工面に対して第2加工面が相対的に周方向に回転するように、第1加工面および第2加工面の少なくともいずれか一方が周方向に回転可能となっており、円環状の内周側面の径方向に沿った第1加工面の断面形状は外周側に向けて凹んだ凹形状になっており、径方向に沿った第2加工面の断面形状は内周側に向けて凹んだ凹形状になっている。第1加工面および第2加工面の断面形状は、グリーン体成形装置により成形されたグリーン体を焼結したときの形状変化を考慮して決定される。
このようなグリーン体成形装置によれば、グリーン体はその軸方向(グリーン体が第1加工面と第2加工面とに接触して回転するときの回転軸の方向)において造粒粉の粗密を有することになるものの、当該粗部(たとえば軸方向の中央部)における外周面を当該密部(たとえば軸方向の端面部)における外周面に対して凸状となるようにグリーン体を成形することができる。このようにして得られたグリーン体は、焼結されると外周面の凸状を緩和するように収縮する。つまり、上記グリーン体成形装置は、焼結体の形状がセラミックスころの仕上がり形状と同等程度となるようにグリーン体を成形することができる。その結果、上記焼結体を研磨する工程における研磨量を低減することができ、セラミックスころの製造コストを低減することができる。
上記第1部材および第2部材の周方向および径方向に垂直な軸方向において、第1加工面および第2加工面の中央部での第1加工面と第2加工面との間の距離が、第1加工面および第2加工面の端部での第1加工面と第2加工面との間の距離より大きくなっていてもよい。このようにすれば、上記グリーン体成形装置を用いて得られるグリーン体を焼結にすることにより、円筒状あるいは略円筒状、または樽状の焼結体を容易に得ることができる。
本発明によれば、製造コストの低減を可能とするセラミックころの製造方法およびグリーン体成形装置を提供することができる。
セラミックころの製造工程の概略を示すフローチャートである。 グリーン体成形装置の構造を示す概略図である。 図2のグリーン体成形装置の構造の一部を示す概略断面図である。 図3中の線分IV−IVから見た概略断面図である。 グリーン体の加工装置の構造の他の一例を示す概略図である。 図5のグリーン体の加工装置の構造の一部を示す概略断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
まず、本発明の一実施の形態である実施の形態1について説明する。図1を参照して、本実施の形態におけるセラミックころの製造方法では、まず工程(S10)としてグリーン体準備工程が実施される。この工程(S10)では、窒化珪素、酸化アルミニウム、サイアロン、炭化珪素などのセラミックスの原料粉末が準備され、造粒、成形、脱脂などのプロセスを経て、セラミックころの概略形状に成形されたグリーン体が準備される。
次に、グリーン体供給工程(S20)、グリーン体を得る工程(S30)としてグリーン体の外周面加工工程を含むグリーン体の加工プロセスが実施される。このグリーン体の加工プロセスについては、後述する。
次に、グリーン体を焼結する工程(S40)が実施される。この工程(S40)では、外周面が外側に凸状に加工されているグリーン体に対して、HIP(Hot Isostatic Press)などの加圧焼結、あるいは常圧焼結が実施される。これにより、円筒状あるいは略円筒状のセラミックころが得られる。
次に、工程(S50)として仕上げ工程が実施される。この工程(S50)では、工程(S40)における焼結により得られたセラミックころに対して仕上げ研磨が実施される。たとえば、センタレス研磨機による外径研磨加工が実施される。このとき、セラミックころは硬度が極めて高く、その研磨には長時間を要するが、以下に説明するように本実施の形態では硬度の低いグリーン体の段階において樽状に加工されていることにより、円筒状または略円筒状の焼結体を得ることができ、円筒状のセラミックスころに仕上げるための研磨を短時間で完了することができる。また、粗研磨のプロセスにおいて被加工物であるセラミックころのばたつき偏荷重が抑制され、粗研磨用砥石の摩耗や割れの発生を抑えることができる。以上の工程により、本実施の形態におけるセラミックころは完成する。
次に、上記グリーン体の加工プロセスについて詳細に説明する。まず、グリーン体成形装置について説明する。図2を参照して、グリーン体成形装置1は、第1部材としての外方部材10と、第2部材としての内方部材20とを備えている。
外方部材10には、その内周側面に沿って第1加工面11が形成されている。第1加工面11は、外方部材10の周方向αに沿って円環状に形成されているとともに、周方向αに対して垂直な外方部材10および内方部材20の軸方向に沿って凹状に形成されている。外方部材10は、円環状の内周側面に沿って形成された第1加工面11を有している。
内方部材20には、その外周側面に沿って第1加工面11に対向する第2加工面23が形成されている。具体的には、内方部材20は、その軸方向から見て扇形の形状を有するベース部材21と、軸方向から見て扇形の形状を有し、ベース部材21に比べて外周側面が径方向外側に突出した加工部材22とを含んでいる。ベース部材21と加工部材22とは周方向において交互に配置されている。第2加工面23は、加工部材22の外周側面上に形成されている。第2加工面23は、内方部材20の周方向αに沿って円環状に形成されているとともに、周方向αに対して垂直な外方部材10および内方部材20の軸方向に沿って凹状に形成されている。
つまり、外方部材10の内周側面の径方向に沿った第1加工面11の断面形状は外周側に向けて凹んだ凹形状になっており、内方部材20の径方向に沿った第2加工面23の断面形状は内周側に向けて凹んだ凹形状になっている。言い換えると、第1加工面11と第2加工面23とは、外方部材10および内方部材20の軸方向の中央部よりも軸方向の端面において近接するように形成されている。第1加工面11と第2加工面23とが対向する領域は、周方向αに垂直であって内方部材20の径方向に沿った断面の形状が樽状となるように設けられている。
第1加工面11に対して第2加工面23が相対的に周方向に回転するように、第1加工面11および第2加工面23の少なくともいずれか一方が周方向に回転可能となっている。
また、環状の外方部材10と円盤状の内方部材20との間に形成される環状空間の軸方向一端を閉じるように、端面保持部材30(下側定盤)が配置されている。端面保持部材30の表面31は、グリーン体90の端面を保持する機能を有している。
図3および図4を参照して、加工部材22の外周側面である第2加工面23を含む領域には、グリーン体90を加工するための加工層22Aが配置されている。一方、外方部材10の内周側面である第1加工面11を含む領域には、グリーン体90を加工するための加工層10Aが配置されている。加工層10Aおよび加工層22Aは、必ずしも両方必要なものではなく、たとえば加工層10Aは省略されてもよい。すなわち、外方部材10の内周側面である第1加工面11は、グリーン体90を加工する機能は有さず、グリーン体90を保持する機能を有するものであってもよい。内側の加工層22Aは省略されていてもよい。すなわち、内方部材20の外周側面である第2加工面23は、グリーン体90を加工する機能は有さず、グリーン体90を保持する機能を有するものであってもよい。
加工層10Aおよび加工層22Aは、グリーン体90の外周面91に接触することにより当該外周面91を削り取ることにより加工できるものであれば、特にその構造等は限定されないが、たとえばステンレス鋼製のメッシュを加工層10Aおよび加工層22Aとして使用することができる。なお、加工層10Aおよび加工層22Aは、たとえば均一な厚みを有しており、外方部材10の内周側面や内方部材20の外周側面に沿って形成されていることにより、それぞれ第1加工面11および第2加工面23を成していてもよい。
次に、グリーン体成形装置1を用いたグリーン体90の加工について説明する。図1を参照して、グリーン体90の加工においては、まず、工程(S20)としてグリーン体供給工程が実施される。この工程(S20)では、図2に示すように、外方部材10と内方部材20との間にグリーン体90が配置される。このとき、グリーン体90は、軸方向が外方部材10および内方部材20の軸方向に一致するように配置される。これにより、グリーン体90の一方の端面は、端面保持部材30の表面31において保持される。また、グリーン体90の外周面は、第1加工面11および第2加工面23に対向する。
次に、工程(S30)として外周面加工工程が実施される。この工程(S30)では、工程(S20)において外方部材10と内方部材20との間に供給されたグリーン体90の外周面が加工される。具体的には、図2を参照して、外方部材10が矢印αに沿って周方向に回転する。一方、内方部材20は、矢印βに沿って、外方部材10とは反対向きの周方向に回転する。その結果、図3を参照して、グリーン体90は矢印Bに沿って自転しつつ、外方部材10と内方部材20との間の領域を矢印Aに沿って公転する。このとき、外方部材10と加工部材22との間に位置するグリーン体90は、その外周面91が第1加工面11および第2加工面23に接触する。その結果、第1加工面11および第2加工面23の形状に沿って、グリーン体90の外周面91が加工される。つまり、グリーン体90は、樽状に形成される。一方、外方部材10とベース部材21との間に位置するグリーン体90は、内方部材20に接触することなく第1加工面11上を転動する。このように、第2加工面23に接触することにより外周面91が加工される第2加工面接触工程(S31)と、内方部材20に接触することなく第1加工面11上を転動する空転工程(S32)とがグリーン体90に対して交互に実施されることにより(図1参照)、外周面91が凸状に加工され、グリーン体90が樽状に成形される。
このとき、予め次工程のグリーン体90を焼結する工程(S40)でのグリーン体90の収縮量を見積もっておき、収縮後に円筒状あるいは略円筒状の焼結体が得られるように、当該収縮量に応じて凸状に形成されている。そのため、所定の樽形状を有するグリーン体90が達成される時間だけ工程(S30)が実施されたところで外方部材10および内方部材20の回転が停止され、工程(S30)が完了する。
上記工程(S20)および工程(S30)を含む本実施の形態におけるグリーン体90の加工方法では、グリーン体90を自転および公転させつつ、相対的に周方向に回転する第1加工面11および第2加工面23に外周面91を接触させてグリーン体90を加工する。第1加工面11および第2加工面23は図4に示すように、凹形状になっている。そのため、グリーン体90を樽状に形成することができる。つまり、グリーン体90は、その軸方向の端面部の直径が当該軸方向の中央部の直径よりも短い。このとき、グリーン体90には、その軸方向においてグリーン体90を構成する造粒粉に粗密が生じている。具体的には、グリーン体90の軸方向の上記端面部は上記中央部と比べて造粒粉が密に存在している。当該グリーン体90を焼結処理することにより、粗部である上記中央部は密部である上記端面部よりも大きく収縮するが、上記端面部の直径が上記中央部の直径よりも小さく形成されているため、すなわちグリーン体90が樽状に形成されているため、当該グリーン体90を焼結処理して得られる焼結体の円筒度を向上させることができる。さらにその結果、焼結体の外周面の研磨加工を短時間で完了させることが可能となり、セラミックころの製造コストを抑制することができる。
また、第2加工面23は1つであってもよいが、上記実施の形態のように互いに間隔をおいて周方向に複数配置されることにより、グリーン体90の外周面91は第2加工面23と断続的に接触することとなる。これにより、グリーン体90を効率よく樽状に成形することができる。また、複数の第2加工面23は、周方向にランダムに配置されてもよいが、上記実施の形態のように周方向において等間隔に配置されることにより、グリーン体90を一層効率よく樽状に成形することができる。
さらに、図2に示すように、外方部材10と内方部材20との回転軸は一致しており、第2加工面23は第1加工面11の内周側に位置する円周面に沿って配置されることが好ましい。これにより、グリーン体90を一層有効に樽状に成形することができる。
また、図2を参照して、第2加工面23が径方向外側に移動しつつ、グリーン体90の外周面91が加工されることが好ましい。より具体的には、加工部材22は、グリーン体90の加工の進行に伴って矢印γに沿って径方向に移動することが好ましい。このようにするより、グリーン体90の外周面91と第2加工面23との接触を維持し、効率よくグリーン体90の加工を進行させることができる。また、ベース部材21は径方向に小さく出入りしながら、すなわち径方向に揺動しつつ徐々に矢印γに沿って移動することが望ましい。
なお、グリーン体成形装置1において、第1加工面11と第2加工面23との距離は、外方部材10および内方部材20の軸方向の中央部よりも軸方向の端面においてさらに短くなるように形成されていてもよい。このようなグリーン体成形装置1によれば、その軸方向の端面の直径がその軸方向の中央部の直径よりも十分に小さくなり、外周面が外側に大きく凸となっている樽状のグリーン体90を得ることができる。これにより、当該グリーン体90を焼成することによって樽状の焼結体を得ることができる、そのため、たとえば自動調心ころ軸受に用いられる樽状のセラミックスころをより低コストで得ることができる。すなわち、焼結後に行われるセンタレス研磨機などによる仕上げ研磨加工による加工取代を低減することができ、低コストで樽状のセラミックスころを得ることができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の他の実施の形態である実施の形態2について説明する。実施の形態2におけるセラミックスころの製造方法およびグリーン体成形装置は、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態2におけるグリーン体成形装置は、加工部材22の形状等において異なる構成を有している。その結果、実施の形態2におけるセラミックスころの製造方法では、グリーン体の外周面だけでなく端面も加工される点において、実施の形態1とは異なっている。
図5および図2を参照して、実施の形態2におけるグリーン体成形装置1は、加工部材22の端面が径方向に延長されることによりつば部24となっている点において、実施の形態1のグリーン体成形装置1とは異なっている。図6を参照して、このつば部24において端面保持部材30に対向する側の面は、第3加工面25となっている。この第3加工面25を含む領域には、グリーン体90の端面を加工するための加工層24Aが配置されている。一方、端面保持部材30の表面は、第4加工面31となっている。この第4加工面31を含む領域には、グリーン体90の端面を加工するための加工層30Aが配置されている。加工層24Aおよび加工層30Aは、必ずしも両方必要なものではなく、一方が省略されてもよい。加工層24Aおよび加工層30Aは、グリーン体90の端面92に接触することにより当該端面92を削り取ることにより加工できるものであれば、特にその構造等は限定されないが、たとえばステンレス鋼製のメッシュを加工層24Aおよび加工層30Aとして使用することができる。
次に、実施の形態2におけるグリーン体成形装置1を用いたグリーン体90の加工について説明する。上述のように、実施の形態2におけるグリーン体90の加工は、外周面91と同時に端面92が加工される点において、実施の形態1の場合とは異なっている。すなわち、実施の形態1の場合と同様にグリーン体90がグリーン体成形装置1内に供給され、外方部材10および内方部材20が回転すると、実施の形態1の場合と同様にグリーン体90の外周面91が加工される。このとき、実施の形態2においては、グリーン体90の一方の端面92が第3加工面25と接触し、他方の端面92が第4加工面31と接触することにより、端面92が加工される。これにより、グリーン体90の外周面91と同時に端面92が加工される。
本発明のグリーン体加工の効果を確認する実験を行なった。実験の手順は以下の通りである。
<実施例1>
上記実施の形態1において説明したグリーン体成形装置1と同様の構造を有し、内径φ300mmの外方部材を備えたグリーン体成形装置を準備した。そして、外方部材と内方部材との間に直径φ24.65mm(焼結後の狙い寸法:直径φ20mm、長さL20mm)の窒化珪素のグリーン体を30個配置した。加工部材は、第2加工面が周方向において等間隔となるように配置した。そして、外方部材および内方部材を周方向に回転させることにより、グリーン体の外周面を加工した。加工の進行に従って、加工部材の第2加工面を径方向外側に徐々に移動させた。内方部材の回転速度は100rpmとした。グリーン体に対する加工の完了後、グリーン体を焼結処理した。さらに、焼結体に対し、センタレス加工機により仕上げ研磨を行い、端面部および中央部の直径が20mm、軸方向の長さが20mmの円筒状のセラミックころを得た(実施例1)。
一方、比較のため、従来のセラミックスころの製造方法と同様の方法でグリーン体の加工を行い円筒状のグリーン体を成形、焼結処理を実施した。さらに、焼結体に対し、センタレス加工機により仕上げ研磨を行い、端面部および中央部の直径が20mm、軸方向の長さが20mmのセラミックころを得た(比較例1)。
そして、上記実施例および比較例の加工後のグリーン体の寸法(グリーン体の軸方向における端面部および中央部の直径)、焼結体の寸法(焼結体の軸方向における端面部および中央部の直径)、およびセンタレス加工での加工取代を測定し、両者を比較した。実験結果を表1に示す。
Figure 2016041952
比較例1のプロセスでは、円筒状のグリーン体が形成されるが、該グリーン体を焼結することによって、軸方向における端面部の直径が中央部の直径よりも長い、すなわち鼓状の焼結体が形成された。これに対し、実施例1のプロセスでは、樽状のグリーン体が形成されるが、該グリーン体を焼結することによって、軸方向における端面部と中央部とがほぼ等しい径を有している円筒状(円柱状)の焼結体を得ることができた。その結果、実施例1のプロセスでは、円筒状のセラミックスころの仕上がり形状を得るためのセンタレス加工の取代は、比較例1のプロセスでの加工取代の半分以下であり、十分に低減することができることが確認できた。
<実施例2>
上記実施の形態1において説明したグリーン体成形装置1であって、実施例1で使用したグリーン体成形装置と比べて、第1加工面と第2加工面との距離が方部材および内方部材の軸方向の中央部よりも軸方向の端面においてより短くなるように形成されている外方部材および内方部材とを備えたグリーン体成形装置を準備した。外方部材は内径φ300mmとした。そして、外方部材と内方部材との間に直径φ12.65mm(焼結後の狙い寸法:直径φ10mm、長さL10mm)の窒化珪素のグリーン体を30個配置した。加工部材は、第2加工面が周方向において等間隔となるように配置した。そして、外方部材および内方部材を周方向に回転させることにより、グリーン体の外周面を加工した。加工の進行に従って、加工部材の第2加工面を径方向外側に徐々に移動させた。内方部材の回転速度は100rpmとした。グリーン体に対する加工の完了後、グリーン体を焼結処理した。さらに、焼結体に対し、センタレス加工機により外径加工を実施し、端面部の直径が8.74mm、中央部の直径が10.00mm、軸方向の長さが15.00mmのスフェリカルころに仕上げた(実施例2)。
一方、比較のため、従来のセラミックスころの製造方法と同様の方法でグリーン体の加工を行い円筒状のグリーン体を成形、焼結処理を実施した。さらに、焼結体に対し、センタレス加工機により端面部の直径が8.74mm、中央部の直径が10.00mm、軸方向の長さが15.00mmのセラミックころに仕上げるプロセスも実施した(比較例2)。
そして、上記実施例および比較例のグリーン体の寸法(グリーン体の軸方向における端面部および中央部の直径)、焼結体の寸法(焼結体の軸方向における端面部および中央部の直径)およびセンタレス加工での加工取代を測定し、両者を比較した。実験結果を表2に示す。
Figure 2016041952
比較例2のプロセスでは、円筒状のグリーン体が形成されるが、該グリーン体を焼結することによって、軸方向における端面部の直径が中央部の直径よりも長い、すなわち鼓状の焼結体が形成された。これに対し、実施例2のプロセスでは、実施例1で得られるグリーン体よりも外周面がより凸状である樽状のグリーン体が形成されるが、該グリーン体を焼結することによって、軸方向の端面部における直径が中央部における直径よりもより短い樽状の焼結体を得ることができた。その結果、実施例2のプロセスでは、樽状のセラミックスころ(スフェリカルころ)の仕上がり形状を得るためのセンタレス加工の取代は、比較例2のプロセスでの加工取代の7分の1以下であり、十分に低減することができることが確認できた。つまり、樽状のセラミックスころを得るには、比較例2の従来プロセスでは鼓状の焼結体を樽状に加工するため円筒状のセラミックスころを得るよりもよりさらに製造コストが高かった。しかし、実施の形態1に係るセラミックスころの製造方法およびグリーン体成形装置1を用いることにより、樽状のセラミックスころを低コストで得ることができる。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲のすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のセラミックころの製造方法およびグリーン体加工装置は、製造コストの低減が求められるセラミックころの製造方法およびセラミックころの製造方法に用いられるグリーン体加工装置に、特に有利に適用され得る。
1 グリーン体成形装置、10 外方部材、10A,22A,24A,30A 加工層、11 第1加工面、20 内方部材、21 ベース部材、22 加工部材、23 第2加工面、24 つば部、25 第3加工面、30 端面保持部材、31 第4加工面、90 グリーン体、91 外周面、92 端面。

Claims (6)

  1. セラミックスの原料粉末を成形してグリーン体を得る工程と、
    前記グリーン体を焼結する工程と、
    前記焼結する工程により得られた焼結体を研磨する工程とを備え、
    前記グリーン体を得る工程では、対向する第1および第2の端面と前記第1および第2の端面の間をつなぐ外周面とを有し、前記外周面が外側に凸となっている前記グリーン体が成形され、
    前記外周面の形状は、前記焼結する工程における前記グリーン体から前記焼結体へ焼結されるときの形状変化を考慮して決定される、セラミックスころの製造方法。
  2. 前記グリーン体を得る工程において、前記グリーン体は、前記第1の端面から前記第2の端面に向かう軸が延びる方向における中央部での幅が、前記第1および第2の端面での前記幅より大きくなるように成形される、請求項1に記載のセラミックスころの製造方法。
  3. 前記グリーン体を焼結する工程では円筒状の前記焼結体を得る、請求項1または請求項2に記載のセラミックスころの製造方法。
  4. 前記グリーン体を焼結する工程では樽状の前記焼結体を得る、請求項1または請求項2に記載のセラミックスころの製造方法。
  5. セラミックスの原料粉末がころ状に成形されたグリーン体の外周面を第1加工面および第2加工面により成形するグリーン体成形装置であって、
    円環状の内周側面に沿って形成された前記第1加工面を有する第1部材と、
    前記第1加工面の内側において対向する前記第2加工面を有する第2部材とを備え、
    前記第1加工面に対して前記第2加工面が相対的に周方向に回転するように、前記第1加工面および前記第2加工面の少なくともいずれか一方が周方向に回転可能となっており、
    前記内周側面の径方向に沿った前記第1加工面の断面形状は外周側に向けて凹んだ凹形状になっており、前記径方向に沿った前記第2加工面の断面形状は内周側に向けて凹んだ凹形状になっており、
    前記第1加工面および前記第2加工面の断面形状は、前記グリーン体成形装置により成形された前記グリーン体を焼結したときの形状変化を考慮して決定される、グリーン体成形装置。
  6. 前記第1部材および前記第2部材の前記周方向および前記径方向に垂直な軸方向において、前記第1加工面および前記第2加工面の中央部での前記第1加工面と前記第2加工面との間の距離が、前記第1加工面および前記第2加工面の端部での前記第1加工面と前記第2加工面との間の距離より大きい、請求項5に記載のグリーン体成形装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107150264A (zh) * 2017-05-24 2017-09-12 上海市轴承技术研究所 喷涂陶瓷后的球面精密加工方法
CN109176857A (zh) * 2018-08-31 2019-01-11 萍乡市金刚科技工业园有限公司 一种陶瓷辊棒坯管的自动出管设备和出管方法
WO2023231316A1 (zh) * 2022-06-02 2023-12-07 上海市轴承技术研究所有限公司 回转曲面硬质合金涂层的超精加工方法

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