JP2016040866A - 支持スタンド - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的大きいサイズの表示装置のような被支持物を上下動可能かつ回転可能に支持する支持スタンドにおいて回転時の干渉を自動的に防止することができる支持スタンドを提供する。【解決手段】ほぼ四角形の正面形状を有する被支持物をほぼ直立した状態で支持する支持スタンドは、被支持物を上下動可能に支持する上下動支持機構と、被支持物を、その正面に垂直な軸を中心に少なくとも90?回転可能に支持する回転支持機構とを備える。回転支持機構は、被支持物が0?から90?へ回転する際、被支持物の現在の上下方向位置に応じて、被支持物の回転に伴って被支持物を上昇させる干渉防止手段を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、ほぼ四角形の正面形状を有する被支持物をほぼ直立した状態で支持する支持スタンドに関する。
テレビジョン受像機(単にテレビと略す)の表示画面のサイズは小から大まで様々であり、近年では70インチを超える大サイズのものも販売されている。
また、テレビの視聴スタイルも、個人や家庭によって多種多様である。例えば、イスに座って視聴するスタイル、ソファーに座って視聴するスタイル、コタツに入って視聴するスタイル、等によって、好ましい画面の高さは変わりうる。さらに、ソファーや床に横になって視聴するスタイルも考慮すると、画面の高さは広範囲で調整できることが望まれる。
このような広範囲の画面の高さ調整は、テレビを支持する支持スタンドの一機能として提供することが可能である。
一方、テレビの画面は通常、長方形の形状を有する。横長(ランドスケープ)で使用される場合が一般的であるが、縦長(ポートレート)でも使用できるように、画面を90°回転できれば好ましい。
しかし、テレビを横長状態から縦長状態に回転させるとき、テレビの外縁部がスタンドや設置面等に衝突するおそれがある。これに対して、縦長状態に回転させても衝突が生じないように、横長状態での高さを所定の高さより低くならないようにすることも考えられるが、その場合、低い画面の要望に応えることができない。
このような問題に関して、特許文献1には、液晶ディスプレイ装置やプラズマディスプレイ装置等、画面の縦横切替時の床等への干渉防止機能を有する薄型表示装置が開示されている。
この従来技術では、表示装置本体の背面部に、画面中心位置で背面に垂直に固定された固定ピンと、この固定ピンの近傍において本体縦方向に伸びる縦向き溝とを設け、表示装置本体の背面部に面して表示装置本体を支持するスタンドの面板部に、前記固定ピンをスライド可能に嵌入させる上下方向の固定ピンガイド溝と、この固定ピンガイド溝と平行な平行溝部と固定ピンガイド溝の上端を中心とする円弧溝部とからなる可動ピンガイド溝とを設け、表示装置本体側の縦向き溝とスタンド側の可動ピンガイド溝との両方にスライド可能に嵌入する可動ピンを設けた構成により、横長状態(横長画面)と縦長状態(縦長画面)との切り替えを容易に行おうとするものである。これにより、縦横の切り替えのために表示装置本体を回転させる際に、表示装置本体の対角線方向の角部が床等に干渉することが防止される。また、表示装置本体を回転させて縦長状態とした後にも、表示装置本体を下降させることができるから、縦長画面として使用する時に画面位置が高すぎるという問題は解消され、縦長時にも見やすい画面の薄型表示装置を得ることができる。
特開平11−7250号公報
上記特許文献1に記載の従来技術では、画面を横長状態から縦長状態へ切り換えるとき、ユーザが表示装置本体を両手で持ち上げて90°回転させて降ろすという一連の動作、すなわち、「上昇」「回転」「下降」という3つの動作を行う必要がある。このような動作はユーザにとって煩雑であるばかりでなく、重量が10kgから数10kgにも達する大型のテレビでは実際上、一般のユーザが操作することが困難である。特に近年、4:3から16:9へとより横長のアスペクト比に切り替わった大型のテレビでは縦方向の長さと横方向の長さの差が大きくなっており、操作はより一層困難となっている。
このような観点から当該従来技術を大サイズの実製品に採用することは現実的でない。
本発明はこのような背景においてなされたものであり、比較的大きいサイズの表示装置のような被支持物を上下動可能かつ回転可能に支持する支持スタンドにおいて回転時の干渉を自動的に防止することができる支持スタンドを提供するものである。
本発明による支持スタンドは、ほぼ四角形の正面形状を有する被支持物をほぼ直立した状態で支持する支持スタンドであって、前記被支持物を上下動可能に支持する上下動支持機構と、前記被支持物を、その正面に垂直な軸を中心に少なくとも90°回転可能に支持する回転支持機構とを備える。前記回転支持機構は、前記被支持物が0°から90°へ回転する際、前記被支持物の現在の上下方向位置に応じて、前記被支持物の回転に伴って前記被支持物を上昇させる干渉防止手段を有する。
前記上下動支持機構は、好ましくは、予め定められた上下方向位置範囲内で、外力に応じて前記被支持物を任意の位置へ移動させるとともに、外力を受けないとき前記被支持物の現在の上下方向位置を維持する上下方向位置維持手段を備える。
前記干渉防止手段は、より具体的には、前記被支持物が0°から90°回転する際、前記被支持物の現在の上下方向位置に応じて、前記被支持物の回転中心からの最遠端が設置面等と干渉することが予想されるとき、前記被支持物の回転に伴って、前記最遠端の干渉を回避するように前記被支持物を上昇させる。そのような最遠端は、通常、画面のほぼ対角線上の下側角部である。
前記干渉防止手段は、前記被支持物が最下位置において0°から90°回転する際、回転を開始した後、前記最遠端が前記回転中心から下方に伸ばした鉛直線上に達するまでの間、前記被支持物の上昇動作を継続する。
前記干渉防止手段は、前記被支持物が前記最下位置より所定量高い位置において、0°から回転を開始した際、前記所定量に応じた回転角度(x°)だけ回転した後、前記表示装置の上昇を開始し、前記最遠端が前記回転中心から下方に伸ばした鉛直線上に達するまでの間、前記被支持物の上昇動作を継続する。
一形態として、前記上下動支持機構は、ほぼ鉛直方向に沿って上下動可能に支持された基部を有し、前記回転支持機構は、前記被支持物に固定され、前記基部に設定された回転軸を中心に、前記被支持物の回転とともに前記基部に対して回転する回転部材を有する。この場合、前記干渉防止手段は、前記基部に一端が直接的または間接的に固定され、複数のプーリを経由して張架されたワイヤと、前記ワイヤの他端に取り付けられ、前記被支持物の上下方向移動に応じて移動し、予め設定された移動停止位置までの可動量が変化する干渉防止用錘部材と、前記基部に対する前記回転部材の回転に応じて前記ワイヤの一部分を湾曲させることにより前記ワイヤの実効的な長さを変化させるワイヤ駆動手段とを有し、前記ワイヤ駆動手段による前記ワイヤの湾曲量の増加により前記干渉防止用錘部材が前記移動停止位置に達した後は前記ワイヤの湾曲量の更なる増加により基部が上昇することにより前記被支持物が上方へ移動することができる。
前記ワイヤ駆動手段は、例えば、前記回転板とともに回転するカム部材と、前記カム部材と連動するワイヤ駆動部とを有する。前記ワイヤ駆動部は、前記回転板の回転とともに前記複数のプーリ間に張られた前記ワイヤの部分に当接進入する。この場合、前記被支持物が0°から90°回転する際、前記カム部材の回転開始から前記被支持物の最遠端がほぼ鉛直方向下方に達するまでの期間、前記ワイヤ駆動部を前進させ、前記最遠端がほぼ鉛直下方からほぼ90°まで回転する間、前記ワイヤ駆動部を静止させるよう、前記カム部材が構成されている。
他の形態として、前記上下動支持機構は、ほぼ鉛直方向に沿って上下動可能に支持された基部を有し、前記回転支持機構は、前記被支持物に固定され、前記基部に設定された回転軸を中心に、前記被支持物の回転とともに前記基部に対して回転する回転部材を有する。この場合、前記干渉防止手段は、前記回転部材の回転軸を中心として回動するカム部材と、前記カム部材と連動して上下方向に移動するピニオンギヤと、前記基部に対して固定され、前記ピニオンギヤに噛み合う、上下方向に沿って直線状の歯列を有する第1のラック部材と、前記ピニオンギヤを挟んで前記第1のラック部材に対向し、前記ピニオンギヤに噛み合う第2のラック部材と、前記第2のラック部材の下方の延長線上の予め設定された位置に配置されたストッパとを有し、前記被支持物が0°から90°回転する際、前記カム部材の回転開始から前記被支持物の最遠端がほぼ鉛直方向下方に達するまでの期間、前記従動節部材を下方へ継続して移動させるよう前記カム部材が構成され、前記従動節部材の下方への移動により、前記ピニオンギヤを前記第1のラック部材上で下方へ所定量移動させるとともに、この移動に伴う前記ピニオンギヤの回転により前記第2のラック部材を下方へ移動させる。なお、前記最遠端がほぼ鉛直下方からほぼ90°まで回転する間は、前記第1のラックを静止させるかまたは所定量上方へ戻すよう前記カム部材を構成することができる。
本発明による支持スタンドは、他の見地によれば、ほぼ四角形の正面形状を有する被支持物をほぼ直立した状態で支持する支持スタンドであって、前記被支持物を上下動可能に支持する上下動支持機構と、前記被支持物を、その正面に垂直な軸を中心に少なくとも90°回転可能に支持する回転支持機構とを備え、前記回転支持機構は、前記被支持物の現在の上下方向位置に応じて、前記被支持物の回転時の干渉防止の必要性を検出し、かつ、検出時に干渉防止機能を有効化する手段と、前記干渉防止機能が有効化されたとき、前記被支持物が0°から90°へ回転する際、前記被支持物の現在の上下方向位置に応じて、前記被支持物の回転に伴って前記被支持物を上昇させる手段とを有するものである。
前記被支持物は、一例として、長方形の表示画面を有する表示装置であり、前記回転支持機構は、前記表示装置を横長・縦長間回転可能に支持する。
本発明によれば、比較的大きいサイズの表示装置のような被支持物を上下動可能かつ回転可能に支持する支持スタンドにおいて、ユーザは、現在の表示装置の高さや回転角度を意識することなく、回転時の干渉を自動的に防止することができる。
本発明の実施の形態による支持スタンドに表示装置を装着した状態を示す正面図である。 本発明の実施の形態による支持スタンドの支持機構の第1の構成例の正面図である。 図2に示した第1の構成例の干渉防止手段の要部の斜視図である。 本発明の実施の形態における横長状態(0°)の表示装置が最下位置にあるとき、縦長状態へ切り替わる際の支持機構の遷移を説明するための図である。 本発明の実施の形態において表示装置が最上位置にある場合の横長状態(0°)と縦長状態(90°)での支持機構の様子を示す図である。 本発明の実施の形態において表示装置が最下位置の近傍にある場合の0°および0°超58°未満の回転角度x°の状態での支持機構の様子を示す図である。 (a)表示装置が最下位置にある場合、(b)最下位置近傍にある場合、および(c)より高い位置(最上位置を含む)にある場合、の各場合の0°から90°までの回転角度の変化に応じた干渉防止用錘の可動量Dの変化、表示装置の高さ方向の移動量ΔHの変化、および表示装置の高さHの変化を表したグラフである。 第1の構成例における回転板の側辺において、取付部として断面L字状のラグ部材を設けた構成を示す図である。 本発明の実施の形態による支持スタンドの支持機構の第2の構成例における横長状態(0°)での干渉防止手段を構成する要部の機構の状態を示す図である。 本発明の実施の形態による支持スタンドの支持機構の第2の構成例における臨界状態(58°)での干渉防止手段を構成する要部の機構の状態を示す図である。 本発明の実施の形態による支持スタンドの支持機構の第2の構成例における縦長状態(90°)での干渉防止手段を構成する要部の機構の状態を示す図である。 第2の構成例における(a)表示装置が最下位置にある場合、(b)最下位置近傍にある場合、および(c)より高い位置(最上位置を含む)にある場合、の各場合の0°から90°までの回転角度の変化に応じたラック部材の下端浮き上がり量Fの変化、表示装置の高さ方向の移動量ΔHの変化、および表示装置の高さHの変化を表すグラフである。
以下、本発明の支持スタンドの実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態では、支持スタンドとして、四角形の表示画面を有する表示装置をほぼ直立した状態で支持する支持スタンドを例として説明する。「表示装置」は、典型的にはテレビジョン受像機であるが、映像モニタ、コンピュータ用画像モニタ、投射用スクリーン等、表示画面を有する任意の表示装置を包含する。但し、本発明は上下動可能な被支持物の回転時の干渉を防止することに主眼があり、被支持物は必ずしも表示装置である必要はない。被支持物は、例えば、白板、黒板、掲示板等であってもよい。以下では、被支持物として、大型テレビのような表示装置について説明する。
図1は、本実施の形態による支持スタンド100に表示装置200を装着した状態を示す正面図である。この図の支持スタンド100は概略の構成を示す。その詳細な構成については別の図で後述する。
支持スタンド100は、床等の設置面上に載置される台座101と、この台座101からほぼ鉛直上方へ直立した支柱102とを備える。この支柱102に、後述する上下動支持機構および回転支持機構からなる支持機構が備えられる。この支持機構は、接続箇所201において、表示装置200の背面に接続される。この例では、表示装置200は、長方形の表示画面を有する液晶やプラズマ、有機EL等の薄型のテレビジョン受像機としての表示装置を想定している。
上下動支持機構は、被支持物である表示装置を上下動可能に支持する。この上下動支持機構の働きにより、図1(a)(b)に示すように、上下方向(すなわちほぼ鉛直方向)に表示装置200の高さをユーザが手動で連続的に調整することができる。また、回転支持機構により、図1(a)から図1(c)のように画面を横長状態(0°)から縦長状態(90°)へ回転させることができる。この際、干渉防止手段が働く。すなわち、表示装置200の周縁の(対角線上の)角部(回転軸からの最遠部)が台座101または設置面に衝突することが予想される場合に、未然に、表示装置の回転に応じて、その最遠端が上下方向の所定位置より下側へ越えることのないように、表示装置の位置を上昇させる。このようにして衝突等の不具合なく、図1(d)に示すように、画面が90°すなわち縦長状態に切り替えられる。
このような干渉防止機能が働くかどうかは、表示装置200が横長状態から縦長状態へ移行する際、表示装置200のその時点の上下方向位置(すなわち高さ)に応じて決まる。すなわち、表示装置200の現在の上下方向位置において、回転中心からの最遠端が設置面等(台座を含む)と干渉することが予想されるとき(または、予め設定された上下方向所定位置より低い位置へ移動することが予想されるとき)、干渉防止機能が働く。本実施の形態の場合、表示装置200の上下方向可動範囲内の最下位置およびその近傍のみで、干渉防止機能が働く。換言すれば、近傍とは、干渉防止機能が働いたときに表示装置が上昇して達する上下方向位置より低い位置範囲である。この範囲より高い位置にある場合には、表示装置200を横長状態から縦長状態へ変化させても、干渉のおそれはないので、干渉防止機能は働かない。
このような具体的な動作およびそのための構成については後述する。
図2は、本実施の形態による支持スタンドの支持機構の第1の構成例の正面図を表している。このような支持機構は、好ましくは、その全体または一部が支柱102内に収容される。
上下動支持機構は、ほぼ鉛直方向に沿って上下動可能に支持された基部10と、この基部10の上端背面に設けられたプーリ13と、支柱102の上端部に設けられたプーリ63と、これらのプーリに懸架されるワイヤ62と、バランス用錘64とにより構成される。基部10を上下動可能に案内するための手段はレール等の既存の手段を利用可能であり、特に図示しない。
ワイヤ62の一端は支柱102の上端の支持部61に固定され、下方へ伸びてプーリ13の下側に巻回されて上方へ戻り、プーリ63の上側に巻回されて下方に伸び、他端にバランス用錘64が固定される。定滑車としてのプーリ63と、動滑車としてのプーリ13の組み合わせた滑車システムにより、バランス用錘64はその重量の2倍の重量と均衡をとることができる。バランス用錘64と均衡をとる対象物は表示装置および上下動支持機構の合計重量である。バランス用錘64の重量は表示装置の重量に応じて、変更する。なお、プーリ13を省略し、ワイヤ62のバランス用錘64の他端を基部10に直接固定する構成であってもよい。この場合、バランス用錘64の重量は表示装置と上下動支持機構の合計の重量とほぼ同じとする。
このような上下動支持機構の構成は、後述する予め定められた上下方向位置範囲内で、外力(手動操作)に応じて表示装置を任意の位置へ移動させるとともに、外力を受けないとき表示装置の現在の上下方向位置を維持する上下方向位置維持手段として機能する。
なお、比重は小さいが、後述する干渉防止用錘74も重量の均衡に寄与するので、必要に応じて、バランス用錘64の重量の決定に干渉防止用錘74の重量も考慮する。
回転支持機構は、被支持物である表示装置を、画面のほぼ中心において、ほぼその正面に垂直な軸を中心に少なくとも90°回転可能に支持する機構である。そのために、基部10に対して回転軸11の箇所で固定されたワイヤ支持板30と、基部10およびワイヤ支持板30に対して、回転軸11を中心として回転可能に支持された回転板(回転部材)20と、この回転板20の一隅に重ねて配置されたカム板40(原動節であるカム部材)と、ワイヤ支持板30の一隅に設けられた回転軸51を中心にして、カム板40と連携して回転するワイヤ駆動部50(従動節)とを有する。回転板20は表示装置の所定の箇所(例えば背面部)に固定され、表示装置の回転に伴って、回転軸11の回りを少なくとも0°〜90°の範囲で回転する。回転範囲の制約は図示しない既知のストッパにより実現可能である。
この第1の構成例では、干渉防止手段は、ワイヤ支持板30、カム板40、ワイヤ駆動部50、ワイヤ72、プーリ73および干渉防止用錘74により構成される。ワイヤ支持板30には、プーリ31、プーリ32、固定軸33が同面上に直立して配置されている。ワイヤ72の一端はワイヤ支持板30の固定軸33に固定され、プーリ32およびプーリ31の下側を巻回して上方へ伸び、プーリ73の上側を巻回して下降し、ストッパ83を通過(貫通)して、他端が干渉防止用錘74に固定される。この場合、ワイヤ72の一端はワイヤ支持板30を介して間接的に基部10に固定されていると解される。ストッパ83は支柱102に固定され、予め設定された移動停止位置として、ワイヤ72が基部10の側から引っ張られても、干渉防止用錘74がこの位置より上方へ移動しないように規制する。干渉防止用錘74がストッパ83に達しない場合でも、干渉防止用錘74の重量により、ワイヤ72は常時張力をもった状態を張られているので、たわんだり、はみ出したりして、邪魔になることはない。
本実施の形態において、便宜上、表示装置の高さHはストッパ81から表示装置の回転中心(すなわち回転軸11の中心)までの距離とする。また、表示装置の回転に伴って生じる表示装置の高さの変化量をΔHとする。
図3に第1の構成例の干渉防止手段の要部の斜視図を示す。この図は図2に対応し、基部10が最下位置にあり、回転板20は0°(横長)の状態にある。
図2に戻り、他の1組のストッパ81,82は支柱102の上方と下方の所定の位置に配置され、基部10の上下方向の移動範囲、ひいては表示装置の上下方向の移動範囲を画定する。
カム板40は、本実施の形態に特有の形状のカム溝41を有するいわゆる溝カムを構成している。カム溝41には、ワイヤ駆動部50の回転軸51から所定の距離だけ離れた位置に直立したピン(軸)53が係合している。表示装置が回転する際、回転板20とワイヤ駆動部50とは共に同方向に回転する。但し、回転板20の回転中心(回転軸11)と、ワイヤ駆動部50の回転中心(回転軸51)とが異なっているため、表示装置の回転に伴って、回転軸53がカム溝41に沿ってその一端から他端へ向かってスライドしながら移動していく。カム溝41はほぼ「く」の字状に中間部で曲折している。回転軸53がカム溝41の一端をスタートして、本例では所定の回転角度の位置で、カム溝41の「く」の字の中間点(曲折点)へ達する。このときの回転角度は、表示装置が横長状態から縦長状態へ移行する際、その移行の途中の時点で表示装置の最遠端が回転中心から下方に伸ばした鉛直線上に達する角度である。このような角度において、表示装置と他の部材との干渉が最も生じやすいので、本明細書ではこの角度を臨界角度と呼び、表示装置のこの状態を臨界状態と呼ぶ。臨界角度は表示装置の機種によって異なる。
回転角度が0°から臨界角度に達するまでの間、ワイヤ駆動部50は回転軸51を中心として反時計方向に回転する。回転軸51から回転軸53までの距離とほぼ同じ半径で円弧状に湾曲した指状部55の先端に配置されたプーリ(先端部)57がワイヤ72に接した状態で、プーリ31とプーリ32の間の空間に進入していく。これにより、ワイヤ駆動部50がプーリ31とプーリ32の間に張られたワイヤ72に当接してその部分を略上方へ押し上げる。その結果、ワイヤ72の当該部分が逆U字(または逆V字)状に湾曲する。
干渉防止用錘74がストッパ83に当接した状態でこのようなワイヤ72に対するワイヤ駆動部50による駆動が行われると、ワイヤ72の実効的な長さ(実効長)が変化する(この場合、短くなる)。このような干渉防止用錘74がストッパ83に当接した状態は、「回転中心からの最遠端が設置面等と干渉することが予想されるとき」に該当する。すなわち、このような作用は、回転支持機構が、本発明の「前記被支持物の現在の上下方向位置に応じて、前記被支持物の回転時の干渉防止の必要性を検出し、かつ、検出時に干渉防止機能を有効化する手段と、前記干渉防止機能が有効化されたとき、前記被支持物が0°から90°へ回転する際、前記被支持物の現在の上下方向位置に応じて、前記被支持物の回転に伴って前記被支持物を上昇させる手段」を構成していることを意味する。すなわち、ワイヤ駆動手段によるワイヤ72の湾曲量の増加により干渉防止用錘74が移動停止位置であるストッパ83に達した後は、ワイヤ72の湾曲量の更なる増加により基部10が引き上げられ、上昇する。これに伴って、表示装置が同量だけ上昇する。
表示装置の重量はバランス用錘64を用いた上下動支持機構の滑車システムで打ち消されているので、ワイヤ72による比較的小さい上昇力で表示装置は上方へ移動する。また、ワイヤ72による上昇力の消滅時に表示装置の上方への移動を停止し、以後、その位置を維持する。
図示のように横長状態(0°)の表示装置の最下位置で基部10はストッパ81に当接し、基部10がこれ以上下方へ移動することが阻止される。この状態でワイヤ72の自由端に固定された干渉防止用錘74はストッパ83に当接した状態となるように、ワイヤ72の長さ(実効長)が初期設定される。ワイヤ72には干渉防止用錘74により初期的に(ワイヤ駆動手段による駆動がないとき)、一定の張力が維持されている。表示装置とともに基部10が上昇すると、その上昇分だけ干渉防止用錘74が降下する。すなわち、干渉防止用錘74は、表示装置の上下方向移動に応じて移動し、ストッパ83までの可動量D(図2参照)が変化する。
この干渉防止手段は、表示装置が横長状態から縦長状態へ移行する際、その移行の途中の時点で表示装置の最遠端が上下方向所定位置に達した(すなわち、干渉防止用錘74がストッパ83に達した)後、最遠端が前記回転中心から下方に伸ばした鉛直線上に達するまでの間、表示装置の上昇動作を継続し、鉛直線上に達した後は上昇動作を停止するよう機能する。
次に、支持機構の第1の構成例の動作について説明する。
まず、図4(a)(b)(c)により、横長状態(0°)の表示装置が最下位置にあるとき、縦長状態へ切り替わる際の支持機構の遷移を説明する。
図4(a)の横長状態は回転角度0°の状態であり、図2で説明したとおりである。この状態から、表示装置が反時計回りの回転を開始すると、カム板40によるカムの働きによりワイヤ駆動部50が軸51を中心にしてワイヤ支持板30に対して回転する。これにより、ワイヤ駆動部50の指状部55の先端がプーリ31,32間に進入し、当該ワイヤ72部分を湾曲させることにより、その実効的な長さを短縮させる。このときワイヤ72の自由端側の干渉防止用錘74はストッパ83に当接しているので、ワイヤ72の湾曲分は、プーリ73とプーリ31との間のワイヤ72の長さから回収するより他なくなる。すなわち、プーリ73からプーリ31までの距離が短くなるように、基部10ひいては表示装置がその分上昇する。この上昇分は、最遠端が回転中心(回転軸11)から下方に伸ばした鉛直線上に達する臨界角度(この例では58°:図4(b)参照)に達する時点で最大値Δh1となる。なお、図4および他の図において、ワイヤ72の実効的な長さの増減量と、干渉防止用錘の可動量Dの変化、表示装置の高さ方向の移動量ΔHの変化、および表示装置の高さHの変化には所定の関係があるが、図上では便宜上、必ずしも長さの関係が厳密に表されていないことに留意されたい。
この臨界角度から表示装置がさらに90°(図4(c)参照)まで回転する間、回転軸53は「く」の字状のカム溝41の中間部から他端部まで移動する。しかし、この間、ワイヤ駆動部50は静止したまま最大の進入量が維持されるので、ワイヤ72の湾曲量は変わらない。よって、表示装置の位置は変化しない。
このようにして、横長状態の表示装置が最下位置で縦長状態へ移行する際に、表示装置の回転に伴って自動的に表示装置の高さが上昇するので、表示装置の最遠端が支持スタンドや設置面と干渉することが自動的に回避される。
次に、横長状態の表示装置を縦長状態へ回転させてもスタンドや設置面との干渉が生じないような比較的高い位置にある場合について説明する。図5(a)(b)は、それぞれ、その典型的な例として表示装置が最上位置にある場合の横長状態(0°)と縦長状態(90°)での支持機構の様子を示している。
図5(a)に示すように、表示装置が高い位置にある場合、干渉防止用錘74のストッパ83までの可動量Dは十分な大きさd2を有している。したがって、表示装置の回転によって、ワイヤ駆動部50によりワイヤ72の実効的な長さが短縮されても、その短縮量は可動量d2で補われる。すなわち、干渉防止用錘74がその短縮量分だけ上昇し、基部10ひいては表示装置の高さは変化しない。表示装置が最上位置にある場合でも、図5(b)に示すように、90°回転後にもまだ干渉防止用錘74の可動量は残存する。したがって、縦状態(90°)の表示装置を手動で下方へ移動させることができる。
本実施の形態において表示装置の高さは、原則的に、必要や好みに応じてユーザの意思によってのみ変化するものであり、必要のないときにユーザの意思によらずに変化するのは好ましくない。図5の動作はこのような原則に沿うものである。
図6(a)(b)は、表示装置が最下位置ではないが、最下位置の近傍にある場合の0°および0°超58°未満の或る回転角度x°の状態での支持機構の様子を示している。この場合、表示装置が横長状態から回転を開始した時点では干渉防止用錘74はストッパ83に当接しておらず、若干の可動量D=d1を有している。しかし、図6(b)に示すように、回転角度が58°に到達する前の角度x°で、回転開始とともに上昇を開始した干渉防止用錘74がストッパ83に到達する(D=0となる)。この時点から回転角度が58°に到達するまでの間、ワイヤ駆動部50の指状部55のプーリ57が進入を継続する。これによって短縮したワイヤ72の実効的な長さ分だけ基部10の位置が上昇する。その結果、回転角度58°の状態は図6(b)に示したとおりとなる。その後、回転角度90°までの経過および90°の状態は図4に示したと同様である。
図7(a1)〜(a3),図7(b1)〜(b3),図7(c1)〜(c3)に、それぞれ、(a)表示装置が最下位置にある場合、(b)最下位置近傍にある場合、および(c)より高い位置(最上位置を含む)にある場合、の各場合の0°から90°までの回転角度の変化に応じた干渉防止用錘74の可動量Dの変化、表示装置の高さ方向の移動量ΔHの変化、および表示装置の高さHの変化をグラフで表す。
図7(a1)〜(a3)の3つのグラフは図4に対応している。干渉防止用錘74の可動量Dは0°から90°まで0のまま変化しない。表示装置の高さ方向の移動量ΔHは0°から58°まではほぼ直線的に値Δh1まで増加し、その後、90°まではその値を維持する。表示装置の高さHは、0°から58°までの間に当初の高さh0からΔh1だけ増加する。その後、90°まではその値を維持する。
図7(b1)〜(b3)の3つのグラフは図6の場合に対応している。干渉防止用錘74の可動量Dは0°で値−d1であり、58°の手前の角度x°までの間にほぼ直線的に増加していき、角度x°で0に達する。以後、90°まで0のまま変化しない。表示装置の高さ方向の移動量ΔHは0°からx°までは0のまま変化しない。x°から58°まではほぼ直線的に値Δh2まで増加し、その後90°まではその値を維持する。表示装置の高さHは、0°で高さh0+Δh1−Δh2であり、x°まではそのまま変化しない。x°から58°までの間にほぼ直線的にΔh2だけ増加し、高さh0+Δh1に達する。その後、90°まではその値を維持する。
図7(c1)〜(c3)の3つのグラフは図5の場合に対応している。干渉防止用錘74の可動量Dは0°で値−d2であり、90°までの間にほぼ直線的に増加していく。90°で0または負の値に達する。表示装置の高さ方向の移動量ΔHは0°から90°までの間、値0のまま変化しない。表示装置の高さHは、0°から90°までの間、所定の高さh3のまま変化しない。
表示装置を90°から0°に戻すとき、既に干渉が回避される高さにあるので、干渉なく0°に戻る。このとき表示装置の高さは変化しない。
図3に示した斜視図から推測されるように、回転板20を表示装置の例えば背面に接続する場合、回転板20の前面に配置された部品が障害となりうる。そこで、図8に示すように、回転板20の側辺、図の例では対向する短辺において、取付部として断面L字状のラグ部材22,24を設ける。この場合、ラグ部材22,24のネジ孔を通して、ネジやボルト等の締め具で表示装置の背面に回転板20が固定される。このラグ部材22,24の深さ(足部の幅)はワイヤ駆動部50が表示装置の背面と干渉しないような値とする。また、回転板20が回転する際にラグ部材24がワイヤ72と干渉しないように、図3でプーリ31から上方へ伸びていたワイヤ72をプーリ34,35等を介して、回転軸11の開口および回転板20および基部10の対応する開口(図示せず)を通過して基部10の背後で上方に伸びるようにする。この代わりに、ワイヤ72は回転板20と基部10の間の空間を上方へ伸びるようにしてもよい。
ラグ部材22,24は回転板20がワイヤ72と干渉することなく、表示装置に接続するための一例であり、これに限るものではない。例えば、ラグ部材22,24に代えてまたは加えて、回転板20の長辺にラグ部材を設けてもよい。また、ラグ部材に代えて、回転板20にポストのような介在部材を設けてもよい。あるいは、回転板20を、その表面の部品を収納するボックスの一部として形成し、ボックスを表示装置に固定するようにしてもよい。
次に、本実施の形態の支持機構の第2の構成例について説明する。第1の構成例は、干渉防止のための機構としてカム機構とワイヤの組み合わせを利用したものとして説明した。これに対して、第2の構成例では、いわゆるラック&ピニオン機構を利用する。
図9、図10、図11に、それぞれ、第2の構成例における横長状態(0°)、臨界状態(58°)、縦長状態(90°)での干渉防止手段を構成する要部の機構の状態変化を示す。便宜上、図11にのみ、正面図(b)に加えて左側面図(a)を示す。
第2の構成例における干渉防止手段では、第1の構成例におけるカム板40、ワイヤ駆動部50、ワイヤ支持板30、支持部61、ワイヤ72、干渉防止用錘74は削除される。代わりに、カム板91(原動節であるカム部材)、ローラ93、従動部材94、ピニオンギヤ95、ラック部材97、ラック部材98、ストッパ99が設けられる。
カム板91は、回転板20の背後に固定され、回転軸11を中心として回転する周縁カムの原動節である。この代わりに、カム板91は、周縁と同一形状のカム溝を有する溝カムであってもよい。
従動部材94は、ここではクランク部材である。従動部材94は図示しない案内手段により、上下方向にスライド可能に支持されている。また、従動部材94は、その一端に従動節の一部であるローラ93を有し、ローラ93がカム板91の周縁に常時当接するように付勢されて、従動節部材を構成する。付勢手段は特に図示しないがバネ等の既存の弾性部材により構成することができる。溝カムである場合には、ローラ93に代わる軸がその溝に係合する。
従動部材94の他端にはピニオンギヤ95が回転可能に配置される。ピニオンギヤ95は自由回転する比較的小径の歯車である。
ラック部材97は基部10に固定され、その下端において下方に突出して配置され、ピニオンギヤ95と係合する。
ラック部材98は、ピニオンギヤ95を挟んで、ラック部材97に平行に対向して上下動可能に配置され、ピニオンギヤ95と係合する。ラック部材98を上下動可能に案内する手段は既存の任意の手段を利用可能なので特に説明は省ほぼする。
ストッパ99は、第1の構成例におけるストッパ81に代わるものであり、ラック部材98の下端が当接することにより、この支持機構がそれ以上下方へ移動することを阻止する。そのために、ストッパ99は支柱102または台座101に固定されている。図9は、表示装置が最下位置にある場合を示している。
図9に示したストッパ99以外の要素の組は一体となって、上下動する。上述したバランス用錘64を用いた滑車システムを備えた上下動支持機構は第2の構成例においても共通に使用される。
図9の状態で、回転板20が反時計回りに回転を開始すると、ローラ93がカム板91の周縁によって下方に押し下げられるようにカム形状が設定されている。その押し下げられた分だけ従動部材94が下方へ移動する。これによりピニオンギヤ95は基部10に固定されたラック部材97に沿って図の反時計回りに回転しながら、基部10に対して下方へ移動する。
ラック部材97に対向して上下方向に移動可能なラック部材98は、ピニオンギヤ95の回転に応じてラック部材97に対して下方へ移動しようとする。しかし、この図の例では、ラック部材98の下端はストッパ99に当接しているので、これ以上下方へ移動することができない。その結果、ラック部材97および基部10の方が上方へ移動する。ラック部材97とラック部材98の歯の間隔が同じであれば、ラック部材98に移動量はラック部材97の移動量の二倍となる。このラック&ピニオン機構を用いることにより、カム板91で得られる上下方向の移動量を倍増してラック部材98に伝達することが可能になる。これにより、カム板91のサイズを比較的小型にすることができる。
図10は臨界角度である回転角度58°の状態を示している。ローラ93は、当接するカム板91の周縁においてこの時点で回転軸11から最遠点に到達する。この時点で、ラック部材98の下方への伸長量が最大となる。このときのラック部材98の下端位置から表示装置の回転中心までの距離は、回転時に干渉が防止される必要最小限の大きさ(好ましくはこれに若干の余裕分を加算した大きさ)に設定しておく。
結局、第2の構成例においては、ラック部材98がストッパ99に当接している状態(ラック部材98が最大に伸長している状態を除く)が、「回転中心からの最遠端が設置面等と干渉することが予想されるとき」に該当する。すなわち、このような作用は、回転支持機構が、本発明の「前記被支持物の現在の上下方向位置に応じて、前記被支持物の回転時の干渉防止の必要性を検出し、かつ、検出時に干渉防止機能を有効化する手段と、前記干渉防止機能が有効化されたとき、前記被支持物が0°から90°へ回転する際、前記被支持物の現在の上下方向位置に応じて、前記被支持物の回転に伴って前記被支持物を上昇させる手段」を構成していることを意味する。
臨界角度から90°までの間はカム板91の周縁は回転軸11から等距離を維持するか、または若干量、回転軸11側へ後退する。図示の例では、このような若干量後退するカム形状としているので、図11に示した90°の状態では、ラック部材98がストッパ99から若干量f3だけ浮き上がっている。この浮き上がった分はユーザが手動で表示装置を下げることも可能である。
表示装置を90°から0°に戻すときには、ローラ93はカム板40の周縁を逆向きに辿って移動する。そのため、上記最遠点で表示装置は干渉が生じない位置にまで上方へ押し上げられることが保証される。0°に戻ったときには、表示装置の高さは押し上げられた位置に維持される。この場合も、ラック部材98はストッパ99から浮き上がった位置にあるが、ユーザは手動で、表示装置を横長状態での最下位置にまで下げることが可能である。
次に、支持機構の第2の構成例について、図12(a1)〜(a3),図12(b1)〜(b3),図12(c1)〜(c3)に、それぞれ、(a)表示装置が最下位置にある場合、(b)最下位置近傍にある場合、および(c)より高い位置(最上位置を含む)にある場合、の各場合の0°から90°までの回転角度の変化に応じたラック部材98の下端浮き上がり量Fの変化、表示装置の高さ方向の移動量ΔHの変化、および表示装置の高さHの変化を表している。
図12(a1)〜(a3)の3つのグラフは図9に対応している。ラック部材98の浮き上がり量Fは0°から58°までは0のまま変化しない。この例では58°から90°までは若干量f3だけ増加している。この代わりに、58°から90°までの間もF=0としてもよい。表示装置の高さ方向の移動量ΔHは0°から58°まではほぼ直線的に値Δh1まで増加し、その後90°まではその値を維持する。表示装置の高さHは、0°から58°までの間に当初の高さh0からΔh1だけ増加する。その後、90°まではその値を維持する。
図12(b1)〜(b3)の3つのグラフは図10の場合に対応している。ラック部材98の浮き上がり量Fは0°で値f1であり、58°の手前の角度x°までの間にほぼ直線的に減少していき、角度x°で0に達する。以後、58°までは0を維持し、その後、90°までの間に若干量f3だけ増加する。表示装置の高さ方向の移動量ΔHは0°からx°までは0のまま変化しない。x°から58°まではほぼ直線的に値Δh2まで増加し、その後90°まではその値を維持する。表示装置の高さHは、0°で高さh0+Δh2であり、x°まではそのまま変化しない。x°から58°までの間にほぼ直線的に増加し、高さh0+Δh1に達する。その後、90°まではその値を維持する。
図12(c1)〜(c3)の3つのグラフは図11の場合に対応している。ラック部材98の浮き上がり量Fは0°で値f2であり、90°までの間にほぼ直線的に減少していく。90°でもまだ正の値を維持している。表示装置の高さ方向の移動量ΔHは0°から90°までの間、値0のまま変化しない。表示装置の高さHは、0°から90°までの間、所定の高さh3のまま変化しない。
なお、図7、図12のグラフにおいて、回転角度に対する値H、値ΔH、値Dの変化はほぼリニア(直線的)である場合を想定したが、必ずしもリニアである必要はない。例えば、回転角度の増加に応じて凸状に変化するような関係、あるいは逆に凹状に変化するような関係であってもよい。このような変形はカム板のカム溝の形状の変更、あるいはカム板の周縁形状の変更により実現可能である。
第2の構成例については、回転板20を表示装置の例えば背面に接続するのに障害となる部品は存在しないが、取付の容易化のため、図8に示したと同様のラグ部材等を採用してもよい。
以下、支持機構の第1および第2の構成例の共通的な特徴および相違点についてまとめると次のとおりである。
(1)共通点
(a)上下動支持機構の働きにより基部10は上下方向の可動範囲内で任意の位置に維持される。
(b)回転支持機構の働きにより、回転板20は、ユーザによる手動操作により、基部10に対して少なくとも0°から90°の範囲内で回転可能である。
(c)回転支持機構に備えられた干渉防止手段の働きにより、回転板20が0°から90°へ回転する際、表示装置の現在の上下方向位置に応じて、その回転中心からの最遠端が設置面等と干渉することが予想されるとき、表示装置の回転に応じて、最遠端の干渉を回避するように表示装置を自動的に上昇させる。
(2)相違点
(a)第1の構成例と第2の構成例とは干渉防止手段の具体的な構成および作用が異なる。第1の構成例の干渉防止手段は、カム機構およびワイヤを用いて、一端を基部10に固定したワイヤ72の他端に設けた干渉防止用錘74の可動量が表示装置の上下方向位置に応じて変化することを利用して可動量が0となったことにより、自動的に、表示装置の回転時に干渉防止機能が有効となる。この場合、表示装置の回転に応じてワイヤの実効的な長さを短縮することにより基部ひいては表示装置を引き上げる。その結果として、表示装置の位置が上昇する。
これに対して、第2の構成例の干渉防止手段は、カムおよびラック&ピニオン機構を用いて、表示装置の回転量をラックの下方向への伸長量に変換する。ラックが下側のストッパ99に接触することにより、自動的に、表示装置の回転時に干渉防止機能が有効となる。ラックの下端がストッパ99に当接した状態で、表示装置の回転に伴ってラックを伸長することにより、基部10を下から持ち上げる。その結果、表示装置の位置が上昇する。
本実施の形態によれば、いずれの構成においても、手動操作により容易に表示装置の上下動および回転の操作が可能であり、特に動力源は必要としない。但し、本発明の支持スタンドにモータなどの動力源を適用して、上下動および/または回転の操作を操作パネルリモートコントローラにより指示操作することも可能である。本発明はこのような構成を排除するものではない。
また、本実施の形態の支持スタンドは、表示装置の画面の上下方向位置を変更できるとともに縦長(ポートレート)でも使用できることから次のような種々の有用な用途が考えられる。例えば、表示装置をモニタとして使用する場合、スチールカメラやビデオカメラの縦長撮影の映像として、立っている人の全身を、有効画面上に画面一杯に無駄なく表示することができる。具体的には、ゴルフや野球などのスポーツにおいて、ユーザの全身を撮影した動画表示、自分自身のフォームチェック、ファッションショーのウォークスルー動画表示、等に利用できる。また、60インチや70インチの大型画面の表示装置では、縦長状態で地面に近い高さで表示できるので、小さな子供やペットが被写体の場合に、全身撮影モードで、地面に立っている全身があたかも鏡に映っているように、違和感なく臨場感をもって表示することができる。また、アパレルの店舗での利用も考えられる。例えば、カメラと仮想現実ソフトウェアの組み合わせにより、あたかもユーザが鏡に向かっているように仮想現実のソフトウェアで作成した衣服や衣装、装身具を、自動で着せ替えたり、全身を映す鏡のように機能するソフトウェアと連動させて、ユーザの身長や目線に合わせて上下高さが調節できる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。
例えば、各種機構の部品の形状、サイズ、寸法比、配置、組み合わせ等は、説明のための例示であり、本発明は上記の具体的な例に限定されるものではない。
第1の構成例におけるバランス用錘64は、表示装置の重量に応じて変更することが好ましい。その場合、表示装置の重量に応じて、バランス用錘64を基本重量の要素と加減可能な単位重量の複数の要素から構成するようにしてもよい。
第1の構成例におけるワイヤ72の長さは表示装置のサイズに応じて変更することが好ましい。その場合、ワイヤ72に対する干渉防止用錘74の取付位置を変更する。あるいは、干渉防止用錘74とストッパ83との間でワイヤ72に装着可能な長さの異なるスペーサを用意しておき、表示装置のサイズに応じて、スペーサを交換したり、加減したりするようにしてもよい。
第2の構成例におけるラック&ピニオン機構は、回転に伴うラック部材(第1および第2のラック部材)の伸長量が異なる複数の機構を用意しておき、表示装置のサイズに応じて、使用する機構を変更する。
画面(正面形状)の縦長、横長は画面が長方形の場合に意味があるが、正方形の正面形状を有する被支持物であっても回転時に対角線上の角部が突出して設置面等に干渉しうる。したがって、本発明の被支持物の正面形状は長方形に限るものではない。
支持スタンドは、台座と支柱を組み合わせたものとしたが、台座がなく、支柱が家屋の壁面や柱等に固着されるものであってもよい。
11…回転軸
13…プーリ
20…回転板(回転部材)
22,24…ラグ部材
30…ワイヤ支持板
31,32…プーリ
33…固定軸
34,35…プーリ
40…カム板(原動節であるカム部材)
41…カム溝
50…ワイヤ駆動部
51…回転軸
53…ピン(または軸)
55…指状部
57…プーリ(先端部)
61…支持部
62…ワイヤ
63…プーリ
64…バランス用錘
72…ワイヤ
73…プーリ
74…干渉防止用錘
81,82,83…ストッパ
91…カム板(原動節であるカム部材)
93…ローラ(従動節の一部)
94…従動部材(従動節)
95…ピニオンギヤ
97,98…ラック部材
99…ストッパ
100…支持スタンド
101…台座
102…支柱
200…表示装置
201…接続箇所

Claims (11)

  1. ほぼ四角形の正面形状を有する被支持物をほぼ直立した状態で支持する支持スタンドであって、
    前記被支持物を上下動可能に支持する上下動支持機構と、
    前記被支持物を、その正面に垂直な軸を中心に少なくとも90°回転可能に支持する回転支持機構とを備え、
    前記回転支持機構は、
    前記被支持物が0°から90°へ回転する際、前記被支持物の現在の上下方向位置に応じて、前記被支持物の回転に伴って前記被支持物を上昇させる干渉防止手段を有する
    支持スタンド。
  2. 前記上下動支持機構は、予め定められた上下方向位置範囲内で、外力に応じて前記被支持物を任意の位置へ移動させるとともに、外力を受けないとき前記被支持物の現在の上下方向位置を維持する上下方向位置維持手段を備える請求項1に記載の支持スタンド。
  3. 前記干渉防止手段は、
    前記被支持物が0°から90°回転する際、前記被支持物の現在の上下方向位置に応じて、前記被支持物の回転中心からの最遠端が設置面等と干渉することが予想されるとき、前記被支持物の回転に伴って、前記最遠端の干渉を回避するように前記被支持物を上昇させる
    請求項1または2に記載の支持スタンド。
  4. 前記干渉防止手段は、前記被支持物が最下位置において0°から90°回転する際、回転を開始した後、前記最遠端が前記回転中心から下方に伸ばした鉛直線上に達するまでの間、前記被支持物の上昇動作を継続する請求項3に記載の支持スタンド。
  5. 前記干渉防止手段は、前記被支持物が前記最下位置より所定量高い位置において、0°から回転を開始した際、前記所定量に応じた回転角度(x°)だけ回転した後、前記表示装置の上昇を開始し、前記最遠端が前記回転中心から下方に伸ばした鉛直線上に達するまでの間、前記被支持物の上昇動作を継続する請求項3に記載の支持スタンド。
  6. 前記上下動支持機構は、ほぼ鉛直方向に沿って上下動可能に支持された基部を有し、
    前記回転支持機構は、前記被支持物に固定され、前記基部に設定された回転軸を中心に、前記被支持物の回転とともに前記基部に対して回転する回転部材を有し、
    前記干渉防止手段は、
    前記基部に一端が直接的または間接的に固定され、複数のプーリを経由して張架されたワイヤと、
    前記ワイヤの他端に取り付けられ、前記被支持物の上下方向移動に応じて移動し、予め設定された移動停止位置までの可動量が変化する干渉防止用錘部材と、
    前記基部に対する前記回転部材の回転に応じて前記ワイヤの一部分を湾曲させることにより前記ワイヤの実効的な長さを変化させるワイヤ駆動手段とを有し、
    前記ワイヤ駆動手段による前記ワイヤの湾曲量の増加により前記干渉防止用錘部材が前記移動停止位置に達した後は前記ワイヤの湾曲量の更なる増加により基部が上昇することにより前記被支持物が上方へ移動する
    請求項3〜5のいずれかに記載の支持スタンド。
  7. 前記ワイヤ駆動手段は、
    前記回転板とともに回転するカム部材と、
    前記カム部材と連動し、前記回転板の回転とともに前記複数のプーリ間に張られた前記ワイヤの部分に当接進入するワイヤ駆動部とを有し、
    前記被支持物が0°から90°回転する際、前記カム部材の回転開始から前記被支持物の最遠端がほぼ鉛直方向下方に達するまでの期間、前記ワイヤ駆動部を前進させ、前記最遠端がほぼ鉛直下方からほぼ90°まで回転する間、前記ワイヤ駆動部を静止させるよう、前記カム部材が構成されている
    請求項6に記載の支持スタンド。
  8. 前記上下動支持機構は、ほぼ鉛直方向に沿って上下動可能に支持された基部を有し、
    前記回転支持機構は、前記被支持物に固定され、前記基部に設定された回転軸を中心に、前記被支持物の回転とともに前記基部に対して回転する回転部材を有し、
    前記干渉防止手段は、
    前記回転部材の回転軸を中心として回動するカム部材と、
    前記カム部材と連動して上下方向に移動するピニオンギヤと、
    前記基部に対して固定され、前記ピニオンギヤに噛み合う、上下方向に沿って直線状の歯列を有する第1のラック部材と、
    前記ピニオンギヤを挟んで前記第1のラック部材に対向し、前記ピニオンギヤに噛み合う第2のラック部材と、
    前記第2のラック部材の下方の延長線上の予め設定された位置に配置されたストッパとを有し、
    前記被支持物が0°から90°回転する際、前記カム部材の回転開始から前記被支持物の最遠端がほぼ鉛直方向下方に達するまでの期間、前記従動節部材を下方へ継続して移動させるよう前記カム部材が構成され、前記従動節部材の下方への移動により、前記ピニオンギヤを前記第1のラック部材上で下方へ所定量移動させるとともに、この移動に伴う前記ピニオンギヤの回転により前記第2のラック部材を下方へ移動させる
    請求項3〜5のいずれかに記載の支持スタンド。
  9. 前記カム部材は、前記最遠端がほぼ鉛直下方からほぼ90°まで回転する間、前記第1のラックを静止させるかまたは所定量上方へ戻すよう、前記カム部材が構成されている請求項8に記載の支持スタンド。
  10. ほぼ四角形の正面形状を有する被支持物をほぼ直立した状態で支持する支持スタンドであって、
    前記被支持物を上下動可能に支持する上下動支持機構と、
    前記被支持物を、その正面に垂直な軸を中心に少なくとも90°回転可能に支持する回転支持機構とを備え、
    前記回転支持機構は、
    前記被支持物の現在の上下方向位置に応じて、前記被支持物の回転時の干渉防止の必要性を検出し、かつ、検出時に干渉防止機能を有効化する手段と、
    前記干渉防止機能が有効化されたとき、前記被支持物が0°から90°へ回転する際、前記被支持物の現在の上下方向位置に応じて、前記被支持物の回転に伴って前記被支持物を上昇させる手段と
    を有する支持スタンド。
  11. 前記被支持物は長方形の表示画面を有する表示装置であり、
    前記回転支持機構は、前記表示装置を横長・縦長間回転可能に支持する
    請求項1〜10のいずれかに記載の支持スタンド。
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