JP2016039835A - ビールテイスト発酵飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ビールテイスト発酵飲料の保存中に生じる香味の劣化を防止又は緩和するための手段を提供することを課題とする。
【解決手段】ビールテイスト発酵飲料中の2−メチル酪酸エチル及びリナロールの含有量を特定の範囲とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ビールテイスト発酵飲料、より詳細には、特定量の2−メチル酪酸エチル及びリナロールを含有し、保存安定性が優れたビールテイスト発酵飲料に関する。
ビール、発泡酒、リキュール等のビールテイスト発酵飲料には、保存中に香味が徐々に劣化し、それらの飲料が新鮮な状態にあるときに有する本来の香味が損なわれるという課題があることが知られている。このような課題を解決するため、多くの試みが行われてきた。
例えば、特許文献1には、保存容器に閉じ込められた空気を低減し、ビールのような炭酸飲料の味が酸素によって劣化されてしまうことを回避又は抑制することが記載されている。
また、特許文献2には、発酵麦芽飲料中の劣化臭原因物質(トランス−2−ノネナールの前駆体)の含有量を低減することで、劣化臭を抑制することが記載されている。
特開2005−162273号公報 特開2010−124748号公報
本発明は、ビールテイスト発酵飲料の保存中に生じる香味の劣化を防止又は緩和して、その保存安定性を高めるための新たな手段を提供することを課題とする。
本発明者は、かかる課題について鋭意検討した結果、ビールテイスト発酵飲料中の2−メチル酪酸エチル及びリナロールの含有量を特定の範囲に調整すると、保存安定性が優れたビールテイスト発酵飲料を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のものに関するが、これらに限定されない。
1.下記(A)及び(B)を満たすことを特徴とするビールテイスト発酵飲料。
(A)2−メチル酪酸エチルの含有量:0.5〜10.0ppb
(B)リナロールの含有量:15〜100ppb
2.酵母が除去されてなる、1に記載のビールテイスト発酵飲料。
3.加熱殺菌されていない、1又は2に記載のビールテイスト発酵飲料。
4.ビールテイスト発酵飲料の製造方法であって、下記(A)及び(B)を満たすように、当該飲料中の2−メチル酪酸エチル及びリナロールの含有量を調整することを特徴とする、前記製造方法。
(A)2−メチル酪酸エチルの含有量:0.5〜10ppb
(B)リナロールの含有量:15〜100ppb
5.ビールテイスト発酵飲料の保存安定性を高めるための方法であって、下記(A)及び(B)を満たすように、当該飲料中の2−メチル酪酸エチル及びリナロールの含有量を調整することを特徴とする、前記方法。
(A)2−メチル酪酸エチルの含有量:0.5〜10ppb
(B)リナロールの含有量:15〜100ppb
本発明は、保存安定性が優れたビールテイスト発酵飲料を提供することができる。ビールテイスト発酵飲料は、それが新鮮な状態にあるときには優れた香味及び香味バランスを有し得るが、本発明は、それらが保存中に損なわれることを防止又は緩和することができる。
特に断りがない限り、本明細書において用いられる「ppb」は、重量/容量(w/v)のppbを意味する。
(2−メチル酪酸エチル)
本発明のビールテイスト発酵飲料に含まれる成分の一つは、2−メチル酪酸エチルである。2−メチル酪酸エチルは、Ethyl 2−methylbutanoate、Ethyl 2−methylbutyrateとも呼ばれる。この化合物には不斉中心があるため、2種類の光学異性体が存在するが、本願発明に関連して「2−メチル酪酸エチル」との用語を用いる場合には、それらの異性体の両方が含まれる。
本発明においては、ビールテイスト発酵飲料における2−メチル酪酸エチルの含有量は、0.5〜10.0ppbである。本発明においては、2−メチル酪酸エチルの含有量は、その2つの光学異性体の総量を意味する。当該成分の含有量が前記範囲を下回ると、本願発明の効果が得られないことがあり、前記範囲を上回ると、一例として当該成分が飲料の香味バランスを損なわせる等、香味に影響を及ぼす可能性がある。
2−メチル酪酸エチルの含有量の下限値の例は、0.5ppb、0.6ppb、0.7ppb、0.8ppb、0.9ppb、1.0ppb、1.1ppbである。一方、その上限値の例は、1.5ppb、2.0ppb、3.0ppb、4.0ppb、5.0ppb、6.0ppb、7.0ppb、8.0ppb、9.0ppb、10.0ppbである。本発明においては、これらの上限値及び下限値を有する数値範囲は全て採用し得る。例えば、ビールテイスト発酵飲料における2−メチル酪酸エチルの含有量は、0.5〜1.5ppb、0.5〜2.0ppb、0.5〜3.0ppb、0.5〜4.0ppb、0.5〜5.0ppb、0.5〜6.0ppb、0.5〜7.0ppb、0.5〜8.0ppb、0.5〜9.0ppb、0.5〜10.0ppb;0.6〜1.5ppb、0.6〜2.0ppb、0.6〜3.0ppb、0.6〜4.0ppb、0.6〜5.0ppb、0.6〜6.0ppb、0.6〜7.0ppb、0.6〜8.0ppb、0.6〜9.0ppb、0.6〜10.0ppb;0.7〜1.5ppb、0.7〜2.0ppb、0.7〜3.0ppb、0.7〜4.0ppb、0.7〜5.0ppb、0.7〜6.0ppb、0.7〜7.0ppb、0.7〜8.0ppb、0.7〜9.0ppb、0.7〜10.0ppb;0.8〜1.5ppb、0.8〜2.0ppb、0.8〜3.0ppb、0.8〜4.0ppb、0.8〜5.0ppb、0.8〜6.0ppb、0.8〜7.0ppb、0.8〜8.0ppb、0.8〜9.0ppb、0.8〜10.0ppb;0.9〜1.5ppb、0.9〜2.0ppb、0.9〜3.0ppb、0.9〜4.0ppb、0.9〜5.0ppb、0.9〜6.0ppb、0.9〜7.0ppb、0.9〜8.0ppb、0.9〜9.0ppb、0.9〜10.0ppb;1.0〜1.5ppb、1.0〜2.0ppb、1.0〜3.0ppb、1.0〜4.0ppb、1.0〜5.0ppb、1.0〜6.0ppb、1.0〜7.0ppb、1.0〜8.0ppb、1.0〜9.0ppb、1.0〜10.0ppb;1.1〜1.5ppb、1.1〜2.0ppb、1.1〜3.0ppb、1.1〜4.0ppb、1.1〜5.0ppb、1.1〜6.0ppb、1.1〜7.0ppb、1.1〜8.0ppb、1.1〜9.0ppb、1
.1〜10.0ppbとなり得る。
本発明においては、得られた飲料中の2−メチル酪酸エチルの含有量が所望の範囲内にありさえすればよく、2−メチル酪酸エチルの含有量を調整する方法は、特に限定されない。先ず、製造条件が適切であれば、製造の途中で2−メチル酪酸エチルの含有量を調整する工程を追加する必要はない。例えば、原料の量や種類や仕込条件、発酵条件を制御すると、2−メチル酪酸エチルの含有量を調整することができる。例えば、2−メチル酪酸エチルを比較的多く生成することのできる酵母を選択すればよい。この点、ビール酵母の内、上面ビール酵母は、2−メチル酪酸エチルのようなエステル類を多く生成することが知られている。また、発酵原料に糖類を加えることで2−メチル酪酸エチルのようなエステル類が多く生成することも知られている。また、2−メチル酪酸エチルの含有量を当該範囲内にするために必要であれば、2−メチル酪酸エチルの含有量を、飲料の製造の途中で調整してもよい。例えば、2−メチル酪酸エチルを飲料中に添加することができる。
また、2−メチル酪酸エチルの含有量は、HPLC等の公知の方法のいずれかで測定することができる。
(リナロール)
本発明のビールテイスト発酵飲料に含まれる他の成分は、リナロールである。リナロールには、2つの光学異性体、(S)体であるコリアンドロールと、(R)体であるリカレオールとが存在する。本願発明に関連して「リナロール」との用語を用いる場合には、それらの異性体の両方が含まれる。
本発明においては、ビールテイスト発酵飲料におけるリナロールの含有量は、15〜100ppbである。本発明においては、リナロールの含有量は、その2つの光学異性体の総量を意味する。当該成分の含有量が前記範囲を下回ると、本願発明の効果が得られないことがあり、前記範囲を上回ると、一例として、当該成分が飲料の香味バランスを損なわせる等、香味に影響を及ぼす可能性がある。
リナロールの含有量の下限値の例は、15ppb、20ppb、25ppb、30ppb、35ppb、40ppbである。一方、その上限値の例は、45ppb、50ppb、60ppb、70ppb、80ppb、90ppb、100ppbである。本発明においては、これらの上限値及び下限値を有する数値範囲は全て採用し得る。例えば、ビールテイスト発酵飲料におけるリナロールの含有量は、15〜45ppb、15〜50ppb、15〜60ppb、15〜70ppb、15〜80ppb、15〜90ppb、15〜100ppb;20〜45ppb、20〜50ppb、20〜60ppb、20〜70ppb、20〜80ppb、20〜90ppb、20〜100ppb;25〜45ppb、25〜50ppb、25〜60ppb、25〜70ppb、25〜80ppb、25〜90ppb、25〜100ppb;30〜45ppb、30〜50ppb、30〜60ppb、30〜70ppb、30〜80ppb、30〜90ppb、30〜100ppb;35〜45ppb、35〜50ppb、35〜60ppb、35〜70ppb、35〜80ppb、35〜90ppb、35〜100ppb;40〜45ppb、40〜50ppb、40〜60ppb、40〜70ppb、40〜80ppb、40〜90ppb、40〜100ppbである。
本発明においては、得られた飲料中のリナロールの含有量が所望の範囲内にありさえすればよく、リナロールの含有量を調整する方法は、特に限定されない。先ず、製造条件が適切であれば、製造の途中でリナロールの含有量を調整する工程を追加する必要は、必ずしもない。例えば、ホップなどのリナロールを含む原料の量や添加時期を制御すると、リナロールの含有量を調整することができる。また、リナロールの含有量を当該範囲内にす
るために必要であれば、リナロールを飲料中に添加することができる。
リナロールの含有量は、HPLC等の公知の方法のいずれかで測定することができる。
(ビールテイスト発酵飲料)
本明細書で用いられる「ビールテイスト発酵飲料」との用語は、炭素源、窒素源、ホップ類などを原料とし、酵母で発酵させた飲料であって、ビールの風味又はビールのような風味を有するものを意味する。ビールテイスト発酵飲料は、日本における酒税法上の酒類の分類上、ビール、発泡酒、リキュール類、スピリッツ類等に分類され得る。ビールテイスト発酵飲料の典型例は、ビールである。
本明細書における「炭素源」とは、発酵の際酵母が利用しうる炭素源となる原料をいう。例えば、糖化工程を経ることで炭素源となる麦(麦芽を含む)、米、とうもろこしといった穀類原料が挙げられる。また、糖化工程を経ないでも酵母が資化可能な原料である糖化デンプン、糖シロップなども炭素源である。本明細書でいう麦とは、ビールや発泡酒の製造において一般的に用いられる、外見が類似するイネ科の穀物(通常は、その実である)及びその加工品を意味する。前記麦として、例えば、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦等が挙げられ、好ましくは大麦を用いる。上記の麦は、発芽した麦、未発芽の麦のいずれでもよいが、本発明においては発芽した麦が好ましい。当該発芽した麦のうち麦芽がさらに好ましい。本明細書でいう麦芽とは、発芽した麦を乾燥し、除根したものをいう。炭素源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を複数組合わせて用いてもよい。
本明細書における「窒素源」とは、発酵の際酵母が利用しうる窒素源となる原料をいう。この窒素源は、酵母発酵により資化されるアミノ酸源となるものであり、発酵によりフルーティなフレーバーを付与させる酢酸イソアミル等を豊富に生じさせる。窒素源としては麦や麦芽がよく用いられるが、それ以外の植物由来のタンパク質もしくはその加水分解物を利用してもよい。例えば、大豆、えんどう豆、又はトウモロコシ由来の蛋白質分解物を用いることができる。窒素源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を複数組合わせて用いてもよい。
本発明のビールテイスト発酵飲料は、ホップを含んでも含まなくてもよい。しかしながら、ホップはリナロールを含むため、これを原料として用いると、リナロールの量を調整することができる。ホップはビール等の製造に使用する通常のペレットホップ、粉末ホップ、ホップエキスを、所望の香味に応じて適宜選択使用することができる。さらに、イソ化ホップ、ヘキサホップ、テトラホップなどのホップ加工品を用いることもできる。また、ホップの添加量は特に限定されないが、典型的には、飲料全量に対して0.0001重量%以上、1重量%以下程度である。
本発明が提供するビールテイスト発酵飲料のアルコール濃度は、特に限定されないが、1〜15%(v/v)であることが望ましい。特に、ビールや発泡酒といった発酵飲料として消費者に好んで飲用されるアルコール濃度、すなわち、3〜8%(v/v)の範囲であることが望ましい。
本発明の飲料のアルコール濃度は、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。具体的には、飲料から濾過又は超音波によって炭酸ガスを抜いた試料を調製し、そして、その試料を直火蒸留し、得られた留液の15℃における密度を測定し、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算して求めることができる。アルコール濃度
が1.0%未満の低濃度の場合は、市販のアルコール測定装置や、ガスクロマトグラフィーを用いても良い。
本発明のビールテイスト発酵飲料は、通常、炭酸ガスを含有する。当該飲料に含まれる炭酸ガスの量は、飲料の炭酸ガス圧によって表され、これは、本発明の効果を妨げない限り、特に限定されない。典型的には、飲料の炭酸ガス圧は、0.2kg/cm〜4.0kg/cm、0.2kg/cm〜3.4kg/cm、0.9kg/cm〜2.8kg/cm、又は1.5kg/cm〜2.8kg/cmであってよい。本明細書におけるガス圧とは、特別な場合を除き、容器内におけるガス圧をいう。圧力の測定は、当業者によく知られた方法、例えば20℃にした試料をガス内圧計に固定した後、一度ガス内圧計の活栓を開いてガスを抜き、再び活栓を閉じ、ガス内圧計を振り動かして指針が一定の位置に達したときの値を読み取る方法を用いて、または市販のガス圧測定装置(例えば、京都電子工業株式会社[ガスボリューム測定装置 GVA−500A]等)を用いて測定することができる。
本発明のビールテイスト発酵飲料は、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、通常の麦芽発酵飲料において良く用いられる他の成分、例えば、甘味料、酸味料、香料、酵母エキス、カラメル色素などの着色料、大豆サポニンやキラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーンや大豆などの植物タンパク質およびペプチド含有物、ウシ血清アルブミン等のタンパク質系物質、食物繊維やアミノ酸などの調味料、アスコルビン酸等の酸化防止剤、各種酸味料を含有してもよい。
確認のために記載するが、本発明のビールテイスト発酵飲料の範囲は、その製造方法によって限定されない。例えば、あるビールテイスト発酵飲料を製造した際に、その2−メチル酪酸エチル及びリナロールの成分の含有量を、意図的に調整しなかったにも拘らず、当該含有量が上記で定義された範囲内に入ることもあり得る。そのような飲料も、本発明のビールテイスト発酵飲料の範囲に含まれる。このような考え方は、2−メチル酪酸エチル及びリナロール以外の成分にも適用されるべきである。
(酵母)
ビールテイスト発酵飲料の製造に用いる酵母は、製造すべき発酵飲料の種類、目的とする香味や発酵条件などを考慮して自由に選択することができる。典型的には、ビール酵母を用いる。例えば、市販のビール醸造用酵母を用いることができる。
ビール酵母には、上面ビール酵母及び下面ビール酵母が含まれる。本発明においては、2−メチル酪酸エチルのようなエステル類を多く生成することが知られている上面ビール酵母を用いることが好ましい。上面ビール酵母は、エールタイプのビール醸造に用いられる酵母として知られている。上面ビール酵母は、主としてサッカロミセス・セレビシアエ(S.cerevisiae)に分類される。例えば、Weihenstephan−165株、Weihenstephan−184株、Weihenstephan−197株などが挙げられる。下面ビール酵母は、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)とサッカロミセス・バヤナス(S.bayanus)との交雑体であってサッカロミセス・パストリアヌス(S.pastorianus)に分類されるという見解が一般的となっている。従って、サッカロミセス・パストリアヌス(S.pastorianus)に分類されるビール醸造に用いられる酵母を用いることができる。例えば、Weihenstephan−34株を用いることができる。
製造されたビールテイスト発酵飲料に酵母が存在すると、その香味は変化してしまう。このため、濾過や遠心分離などの方法でビールテイスト発酵飲料から酵母を除去してから出荷することが良く行われる。一方で、ビールテイスト発酵飲料の香味の劣化には酸素が
関与し、酵母はその酸素を消費して香味の劣化をある程度抑制することができると考えられる。そのような酵母が除去され、酵母を含有しないビールテイスト発酵飲料では、保存安定性を高める本発明の必要性が高い。従って、本発明のビールテイスト発酵飲料の好ましい態様の一つは、酵母が除去された、又は酵母を含有しないビールテイスト発酵飲料である。
一方で、上記の通り、酵母はビールテイスト発酵飲料の香味の劣化をある程度抑制すると考えられるため、本発明の別の好ましい態様では、ビールテイスト発酵飲料は、酵母を含有してもよい。典型的には、当該飲料中の酵母数は、1×10菌/ml以下である。この態様のビールテイスト発酵飲料は、チルド保存をするか、又は冷暗所で保存することが好ましい。
チルド保存をする場合には、風味を維持するために、酵母発酵をしない条件下で保存することが好ましい。ここで、「酵母発酵をしない条件」とは、酵母発酵が全くしないか、したとしても通常の保存期間、例えば1ヶ月で、酵母発酵によるアルコール度数の上昇が0.1w/w%未満となる条件をいう。具体的には0〜10℃の温度が好ましく、0〜5℃の温度がより好ましい。また、保存期間としては、酵母による発酵が抑制される期間は、保存が可能である。具体的には、9ヶ月程度まで保存が可能である。なお、チルド保存は、温度が上記の条件に維持される限りにおいては、格別の制限はなく、公知の方法を用いることが可能である。
(加熱殺菌)
本発明のビールテイスト発酵飲料の好ましい態様の一つは、加熱殺菌されていないビールテイスト発酵飲料である。ここで、「加熱殺菌」とは、酵母発酵後に行われる殺菌工程をいい、パストリゼーションともよばれる。その条件は、当業者であれば容易に特定することができる。一例として、パストライザー中で、ビールテイスト発酵飲料が詰められた容器に、60℃の温水を5〜20分浴びせる方法がある。
(ビールテイスト発酵飲料の製造方法、及びビールテイスト発酵飲料の保存安定性を高めるための方法)
本発明のビールテイスト発酵飲料は、本明細書の記載及び当業者に知られる通常の方法に基づいて製造することができる。
ビールテイスト発酵飲料の製造のための典型的な方法においては、炭素源と、必要に応じて、追加の窒素源と、苦味料、又は着色料などの原料を、仕込釜又は仕込槽に投入し、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加し、糊化、糖化を行なわせ、濾過し、必要に応じてホップなどを加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパクなどの固形分を取り除く。糖化工程、煮沸工程、固形分除去工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。次いで酵母を添加して発酵を行なわせ、濾過機などで酵母を取り除いて製造することができる。酵母は、発酵後に取り除かずに飲料中に残すこともできる。発酵条件は、知られている条件を用いればよい。更に、貯酒、必要により炭酸添加、濾過、殺菌の工程を経て、ビールテイスト発酵飲料を得ることができる。
本発明のビールテイスト発酵飲料の製造方法においては、当該飲料が、2−メチル酪酸エチルを0.5〜10ppb、リナロールを15〜100ppb含有するように、当該飲料中の2−メチル酪酸エチル及びリナロールの含有量を調整することが重要である。当該飲料中の2−メチル酪酸エチル及びリナロールの含有量を調整する方法は、当該飲料に関して上記した通りである。また、その調整のタイミングは限定されない。例えば、両者の量を同時に調整してもよいし、別々に調整してもよい。最終的にこれらの成分が飲料中に必要量含まれていればよい。また、これらの成分の好ましい量は、ビールテイスト発酵飲
料に関して上記した通りである。
また、他の成分の具体例や量、加熱殺菌の有無は、ビールテイスト発酵飲料に関して上記した通りである。
本発明のビールテイスト発酵飲料の製造方法は、ビールテイスト発酵飲料の保存安定性を高めることができる。従って、当該製造方法は、別の側面では、ビールテイスト発酵飲料の保存安定性を高める方法である。
(容器詰飲料)
本発明のビールテイスト発酵飲料は、容器詰めとすることができる。容器の形態は何ら制限されず、ビン、缶、樽、またはペットボトル等の密封容器に充填して、容器入り飲料とすることができる。
(数値範囲)
明確化のために記載すると、本明細書において下限値と上限値によって表されている数値範囲、即ち「下限値〜上限値」は、それら下限値及び上限値を含む。例えば、「1〜2」により表される範囲は、1及び2を含む。
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜5、比較例1、2
麦芽30kgを適当な粒度に粉砕し、これを仕込槽に入れた後、120Lの温水を加えて、約50℃のマッシュを作った。一部は100℃まで昇温して煮沸し、残りは糖化を行った。糖化が完了したマッシュを78℃まで昇温後、麦汁濾過槽に移し、濾過を行って濾液を得た。
得られた濾液の一部をとり、ホップを添加してから80分間煮沸を行って調整麦汁を得た。なお、ホップは煮沸開始後も必要に応じて添加した。これら調整麦汁を同一条件下で、上面ビール酵母を添加して約20℃にて約10日間発酵を行って貯酒ビールを得た。次いで、貯酒ビールを加熱処理することなく、ろ過して酵母を除去し、各成分量の異なる飲料(実施例1〜5及び比較例1及び2)を製造した。得られた飲料には酵母が含まれなかった。尚、2−メチル酪酸エチルの量は、上面酵母株の中でも適切な酵母株を使用することにより調整し、リナロールの量は、ホップの添加時期と各添加時期における添加量を制御することにより調整した。
得られたビールの香味を、官能試験によって評価した。良く訓練された官能評価者5名が、「フレッシュ感」の有無について、5点満点で評価した。
「とても感じる」を5点、「感じる」を4点、「やや感じる」を3点、「わずかに感じる」を2点、「感じない」を1点として、評価点の平均点を算出し、平均点に応じて下記基準に従って評価を行なった。結果を表1に示す。尚、フレッシュ感とは、ビールが劣化した際に生じる「ビール劣化臭」や「苦味質の悪化」が少ないことを意味する。
<評価点の基準>
×:平均値1.0以上〜2.0未満
△:平均値2.0以上〜3.0未満
○:平均値3.0以上〜4.0未満
◎:平均値4.0以上〜5.0以下

Claims (5)

  1. 下記(A)及び(B)を満たすことを特徴とするビールテイスト発酵飲料。
    (A)2−メチル酪酸エチルの含有量:0.5〜10.0ppb
    (B)リナロールの含有量:15〜100ppb
  2. 酵母が除去されてなる、請求項1に記載のビールテイスト発酵飲料。
  3. 加熱殺菌されていない、請求項1又は2に記載のビールテイスト発酵飲料。
  4. ビールテイスト発酵飲料の製造方法であって、下記(A)及び(B)を満たすように、当該飲料中の2−メチル酪酸エチル及びリナロールの含有量を調整することを特徴とする、前記製造方法。
    (A)2−メチル酪酸エチルの含有量:0.5〜10ppb
    (B)リナロールの含有量:15〜100ppb
  5. ビールテイスト発酵飲料の保存安定性を高めるための方法であって、下記(A)及び(B)を満たすように、当該飲料中の2−メチル酪酸エチル及びリナロールの含有量を調整することを特徴とする、前記方法。
    (A)2−メチル酪酸エチルの含有量:0.5〜10ppb
    (B)リナロールの含有量:15〜100ppb
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