JP2016039645A - 回転電機の製造方法、治具、及び回転電機の製造システム - Google Patents

回転電機の製造方法、治具、及び回転電機の製造システム Download PDF

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【課題】固定子に対して重ね巻き方式でのコイルの挿入を容易にする。【解決手段】回転電機の製造方法は、次の工程を含む。コイルが挿入される隙間を有して円弧状に配置された複数本の櫛歯を有する分離体に、コイルの一方側の端部を櫛歯の途中部分の位置に保持することが可能な保持手段を装着した状態で、複数のコイルを、保持手段に保持されるコイルから順に一方向へ配置する工程。コイルが配置された2つ以上の前記分離体を組み合わせて前記各櫛歯を円状に配置するとともに、隣接する分離体のうち一方の分離体に装着された保持手段によって保持されたコイルの下方に、他方の分離体に配置された保持手段によって保持されていないコイルを配置することで各コイルを重ね巻き方式で配置する工程。治具に配置されたコイルを重ね巻き状態で固定子のスロットに挿入する工程。コイルが挿入された固定子と固定子に対応する回転子とを組み合わせる工程。【選択図】図3

Description

本発明の実施形態は、回転電機の製造方法、治具、及び回転電機の製造システムに関する。
回転電機の固定子コイルの巻き方として、同心巻き方式と、重ね巻き方式とがある。同心巻き方式では、各極のコイルが、挿入されるスロットを所定ピッチずらしながら同相毎に同心円状に配置される。これに対し、重ね巻き方式では、各相各極のコイルが、スロットを所定ピッチずらしながら固定子の径方向に重なるようにして配置される。
重ね巻き方式では、固定子の中心からの各コイルまでの距離が均等になるため、モータ特性の安定性の向上が図られる。しかしながら、この重ね巻き方式において、例えばあるコイルについて見ると、そのコイルの一端は、固定子の周方向の一方側に隣接する他のコイルに対して、固定子の径方向の内側に配置される。これに対し、そのあるコイルの他方側は、固定子の周方向の他方側に隣接する別の他のコイルに対して、固定子の径方向の外側つまり外周側に配置される。
このように、重ね巻き方式において、各コイルは、一端側が他のコイルに対して内側となり、他端側が別の他のコイルに対して外周側となるように、いわゆるらせん状に相互に重ね合わせるようにして配置される。したがって、重ね巻き方式では、スロットに挿入される各コイルのうち、最初に挿入されるコイルと最後に挿入されるコイルとを重ね合わせるための処理を行う必要がある。この場合、その処理を行うためにコイルを無理矢理動かしたりすると、コイルに傷が付き易くなる。そのため、その処理は、ほとんど手作業によって慎重に行われており、例えばコイル挿入の自動化が困難という事情があった。
特開2011−254680号公報
そこで、固定子に対して重ね巻き方式でのコイルの挿入を容易にすることができる回転電機の製造方法、治具、及び回転電気の製造システムを提供する。
実施形態の回転電機の製造方法は、次の工程を含む。コイルが挿入される隙間を有して円弧状に配置された複数本の櫛歯を有する分離体に、前記コイルの一方側の端部を前記櫛歯の途中部分の位置に保持することが可能な保持手段を装着した状態で、複数の前記コイルを、前記保持手段に保持されるコイルから順に一方向へ配置する工程。前記コイルが配置された2つ以上の前記分離体を組み合わせて前記各櫛歯を円状に配置するとともに、隣接する前記分離体のうち一方の前記分離体に装着された前記保持手段によって保持された前記コイルの下方に、他方の前記分離体に配置された保持手段によって保持されていないコイルを配置することで前記各コイルを重ね巻き方式で配置する工程。前記治具に配置されたコイルを重ね巻き状態で固定子のスロットに挿入する工程。前記コイルが挿入された前記固定子と前記固定子に対応する回転子とを組み合わせる工程。
実施形態の治具は、コイルを固定子のスロットに挿入するための治具である。前記治具は、コイルが挿入される隙間を有して円弧状に配置された複数本の櫛歯を有し、2つ以上を組み合わせることで前記櫛歯を円状に配置することができる分離体と、前記分離体に着脱可能であって、隣接する2つの前記分離体に跨がって配置される前記コイルにおいて、一方の前記分離体側の端部を前記櫛歯の途中部分の位置に保持することが可能な保持手段と、を備える。
実施形態の回転電機の製造システムは、コイルを製造するコイル製造装置と、固定子のスロットに挿入するための治具に前記コイルを配置するコイル配置装置と、前記治具に配置された前記コイルを前記スロットに挿入するコイル挿入装置と、を備える。前記治具は、2以上の分離体に分離可能である。前記治具は、ベース部と、前記ベース部に円状に配置され前記コイルが挿入される隙間を形成する複数本の櫛歯と、前記分離体に着脱可能であって、隣接する2つの前記分離体に跨がって配置される前記コイルにおいて、一方の前記分離体側の端部を前記櫛歯の途中部分の位置に保持することが可能な保持手段と、を有している。
第1実施形態による回転電機の概略構成の一例を示す平面図 回転電機の製造システムの概略構成の一例を示す図 コイル移送治具の一例を示す斜視図 コイル移送治具の平面図 コイル移送治具の分離体を示す平面図 コイル移送治具の斜視図 外層櫛歯を示す図 外層櫛歯を示す斜視図 内層櫛歯を示す図 内層櫛歯を示す斜視図 図9のX11方向から見た内層櫛歯を拡大して示す図 コイル移送治具の分離体にコイルを挿入する際の手順を示す図(その1) コイル移送治具の分離体にコイルを挿入する際の手順を示す図(その2) コイルが配置されたコイル移送治具の分離体を合体する際の手順を示す図(その1) コイルが配置されたコイル移送治具の分離体を合体する際の手順を示す図(その2) コイルが配置されたコイル移送治具の分離体を合体する際の手順を示す図(その3) コイル挿入治具の一例を示す斜視図 コイル移送治具に配置されたコイルをコイル挿入治具に移送する際の手順を示す図(その1) コイル移送治具に配置されたコイルをコイル挿入治具に移送する際の手順を示す図(その2) コイル移送治具に配置されたコイルをコイル挿入治具に移送する際の手順を示す図(その3) コイル挿入治具から固定子鉄心にコイルを挿入する際の手順を示す図(その1) コイル挿入治具から固定子鉄心にコイルを挿入する際の手順を示す図(その2) コイル挿入治具から固定子鉄心にコイルを挿入する際の手順を示す図(その3) コイル挿入治具から固定子鉄心にコイルを挿入する際のスロット周辺の構成を拡大して示す図 コイルが挿入された状態の固定子の一例を示す斜視図 第2実施形態による治具の一例を示す斜視図 治具の平面図 治具の分離体を示す斜視図 保持部材の一例を示す平面図 図29のX30−X30線に沿って示す断面図
以下、複数の実施形態による回転電機の製造方法、治具、及び回転電機の製造システムについて、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
[回転電機]
まず、本実施形態の回転電機10の構成について説明する。図1に示す回転電機10は、インナロータ型の3相4極の回転電機である。回転電機10は、回転子20及び固定子30を備えている。回転子20は、回転子鉄心21、及び複数(この場合4個)の永久磁石22を有している。回転子20は、例えば電磁鋼板をプレスで打ち抜いて円環状に形成された鉄心片を、複数枚積層して一体的に構成されている。回転子20の中心部に形成された穴部23には、図示しない回転軸が設けられる。永久磁石22は、回転子20の周方向に沿って等間隔に設けられている。永久磁石22は、回転子20の周方向において互いに極性の異なる磁極すなわちN極またはS極が交互となるように配置されている。
固定子30は、固定子鉄心31と複数(この場合24個)のコイル40とを有している。固定子鉄心31は、例えば電磁鋼板をプレスで打ち抜いて円環状に形成された鉄心片を、複数枚積層して一体的に構成されている。固定子鉄心31は、複数(この場合48個)のティース32と、隣接するティース32の間に形成された複数(この場合48個)のスロット33と、を有している。各スロット33は、等間隔に配置されており、中心側が開口して固定子鉄心31の径方向の外周側へ向けて窪んだ溝形状に形成されている。
本実施形態の場合、U相、V相、及びW相の各極を構成するコイル40は、10スロットピッチで、各スロット33内に収納されている。各相の各極は、それぞれ1スロットピッチずらして配置された隣接する2個のコイル40によって形成されている。そして、2個で1組となる各相各極のコイル40が、それぞれ4スロットピッチずらしながら配置されている。なお、本実施形態の説明において、スロットピッチとは、基準となるスロット33から対象とするスロット33までのスロット33の個数を意味する。例えば、コイル40が10スロットピッチで配置されているとは、コイル40の一端が挿入されているスロット33の次のスロット33から数えて10個目のスロットに当該コイル40の他端が挿入されていることを意味する。
各コイル40は次のように配置されている。ここで、図1に示すように、各スロット33のある位置を第1スロットとし、この第1スロットから時計回り方向へ向かってN個離れた位置にあるスロット33を第Nスロット33とする。各コイル40は次のように配置されている。なお、Nには、1から48の整数が入る。
U相のコイル40は、図1に太い実線で示している。U相のコイル40は、第2スロットと第12スロット、第3スロットと第13スロット、第14スロットと第24スロット、第15スロットと第25スロット、第26スロットと第36スロット、第27スロットと第37スロット、第38スロットと第48スロット、及び第39スロットと第1スロットに挿入されている。
V相のコイル40は、図1に太い破線で示している。V相のコイル40は、第6スロットと第16スロット、第7スロットと第17スロット、第18スロットと第28スロット、第19スロットと第29スロット、第30スロットと第40スロット、第31スロットと第41スロット、第42スロットと第4スロット、及び第43スロットと第5スロットに挿入されている。
W相のコイル40は、図1に太い一点鎖線で示している。W相のコイル40は、第10スロットと第20スロット、第11スロットと第21スロット、第22スロットと第32スロット、第23スロットと第33スロット、第34スロットと第44スロット、第35スロットと第45スロット、第46スロットと第8スロット、及び第47スロットと第9スロットに挿入されている。
各コイル40は、重ね巻き方式で、固定子30に配置されている。この場合、各コイル40の時計回り側の端部は、時計回り側に隣接する他のコイル40に対して固定子30の径方向の内側に位置している。また、各コイル40の反時計回り側の端部は、反時計回り側に隣接する他のコイル40に対して固定子30の径方向の外周側に位置している。
[回転電機製造システム]
次に、回転電機10を製造するための回転電機の製造システム50の構成及び製造工程の概略について説明する。図2に示す回転電機の製造システム50は、コイル製造装置51、コイル配置装置52、コイル移送装置53、コイル挿入装置54、コイル移送治具60、及びコイル挿入治具70を備えている。回転電機の製造工程は、白抜き矢印A1〜A3の流れに沿って実行される。コイル移送治具60及びコイル挿入治具70は、回転電機10の製造に用いられる治具の一例である。すなわち、コイル移送治具60及びコイル挿入治具70は、コイル40を固定子30のスロット33に挿入するための治具の一例である。
コイル製造装置51、コイル配置装置52、及びコイル移送装置53では、コイル挿入治具70にコイル40を配置する配置工程が行われる。コイル挿入装置54では、コイル挿入治具70に配置されたコイル40を、固定子鉄心31のスロット33に挿入する挿入工程が行われる。具体的には、まず、コイル製造装置51において、空芯のコイル40を製造する。次に、コイル製造装置51で製造されたコイル40は、矢印A1で示すように、コイル配置装置52に搬送される。コイル配置装置52は、コイル製造装置51で製造された複数のコイル40を、コイル移送治具60の適切な位置に配置する。そして、コイル40が配置されたコイル移送治具60は、矢印A2で示すように、コイル移送装置53に搬送される。
コイル移送装置53は、コイル移送治具60に配置されているコイル40を、コイル挿入治具70の適切な位置に移し替える。そして、コイル40が配置されたコイル挿入治具70は、矢印A3で示すように、コイル挿入装置54に搬送される。コイル挿入装置54は、コイル挿入治具70に配置されたコイル40を、固定子鉄心31の各スロット33に挿入する。これにより、コイル40を有する固定子30が完成する。その後、図示しない装置によって、固定子30と回転子20とが組合わされて、回転電機10が完成する。
次に、各装置及び各治具について説明する。
[コイル製造装置]
コイル製造装置51は、例えば、回転可能でかつ上下方向へ移動可能な駆動部511と、駆動部511の回転軸に対して直角方向に開閉可能な保持部512を有している。コイル製造装置51は、保持部512に保持された銅線を、駆動部511が回転して巻き取ることで、中空となった空芯のコイル40を製造する。そして、コイル製造装置51は、所定巻数のコイル40を形成すると、保持部512を閉じて、コイル40を保持部512から落下させる。
[コイル移送治具]
コイル移送治具60は、図3及び図4に示すように、ベース部61と、16本の可動外層櫛歯62と、32本の固定外層櫛歯63と、20本の内層櫛歯64と、を有している。なお、可動外層櫛歯62及び固定外層櫛歯63を総称する場合は、単に外層櫛歯62、63とする。ベース部61は、全体として円環状の板状に形成されている。外層櫛歯62、63及び内層櫛歯64は、全体として回転子20の回転軸方向へ延びる円柱状に構成されている。各外層櫛歯62、63は、回転子20の内径よりも若干小さい径の円周上に等間隔に配置されている。また、内層櫛歯64は、外層櫛歯62、63が配置される円周の内側に配置されている。隣接する外層櫛歯62、63間には、コイル40の一端が挿入することが可能な程度の隙間65が形成されている。本実施形態の場合、各隙間65は、各スロット33に対応している。また、隣接する外層櫛歯62、63の間には、コイル40の一端が挿入することが可能な程度の隙間66が形成されている。
以下の説明では、各外層櫛歯62、63間の隙間65の任意の位置を第1隙間65とし、この第1隙間65から時計回りにN個離れた隙間65を第N隙間65とする。また、第N隙間65の内側に対応する隙間66を、第N隙間66とする。なお、Nには、1から48の整数が入る。そして、この第N隙間65は、固定子30の第Nスロットに対応するものとする。図4では、理解を容易にするため、隙間65の番号Nを当該隙間65の外側に付している。
各外層櫛歯62、63は、回転子20の回転軸方向へ延びている。そのため、コイル移送治具60は、図3に示すように、外層櫛歯62、63を周壁とし、ベース部61を底部とする全体として円筒状に構成されている。16本の可動外層櫛歯62と32本の固定外層櫛歯63とは、それぞれ同一円周上に配置されている。16本の可動外層櫛歯62は、8本で1組を構成している。すなわち、コイル移送治具60は、8本で1組の可動外層櫛歯62を2組有している。2組の可動外層櫛歯62は、それぞれベース部61の中心に対して対象に配置されている。この場合、一方の組の可動外層櫛歯62は、第1隙間65の時計回り側、第2〜第8隙間65、及び第9隙間65の反時計回り側を形成するように配置されている。他方の組の可動外層櫛歯62は、第25隙間65の時計回り側、第26〜第32隙間65、及び第33隙間65の反時計回り側を形成するように配置されている。
可動外層櫛歯62は、それぞれベース部61に対して移動可能に構成されている。可動外層櫛歯62は、回転子20の軸方向つまりコイル移送治具60の円筒状の軸方向に移動可能である。すなわち、可動外層櫛歯62は、当該可動外層櫛歯62の長手方向に移動可能である。この場合、ベース部61には、各可動外層櫛歯62に対応して、各可動外層櫛歯62の外径よりも若干大きい図示しない穴が形成されている。そして、この図示しない穴に可動外層櫛歯62が通されることにより、可動外層櫛歯62は、ベース部61に対して移動可能となる。
可動外層櫛歯62の基端部は、図3に示すように、扇状の板状に形成された連結部材671に固定されている。このため、8本の可動外層櫛歯62は、それぞれ連結部材671によって連結される。これにより、8本の可動外層櫛歯62と連結部材671とを含んだ外層櫛歯移動体68が構成される。すなわち、コイル移送治具60は、2個の外層櫛歯移動体68を有している。そして、外層櫛歯移動体68は、それぞれ8本の可動外層櫛歯62が一体となって、ベース部61に対して移動可能になる。
外層櫛歯移動体68は、図示しない抜け止め部を有している。そして、その抜け止め部が、例えばベース部61に係止することにより、外層櫛歯移動体68は、ベース部61から抜け落ちないようになっている。ここで、ベース部61の表面から可動外層櫛歯62の先端部までの距離を、可動外層櫛歯62の突出高さと定義する。そして、可動外層櫛歯62の図示しない抜け止め部がベース部61に係止した状態を初期状態とし、その初期状態における可動外層櫛歯62の突出高さはLである。
32本の固定外層櫛歯63は、16本で1組を構成している。すなわち、コイル移送治具60は、16本で1組の固定外層櫛歯63を2組有している。2組の固定外層櫛歯63は、図4に示すように、それぞれベース部61の中心に対して対象に配置されている。この場合、一方の組の固定外層櫛歯63は、第9隙間65の時計回り側、第10〜第24隙間65、及び第25隙間65の反時計回り側を形成するように配置されている。他方の組の固定外層櫛歯63は、第33隙間65の時計回り側、第34〜第48隙間65、及び第1隙間65の反時計回り側を形成するように配置されている。
内層櫛歯64は、それぞれベース部61に対して着脱可能かつ移動可能に構成されている。また、20本の内層櫛歯64は、それぞれ外層櫛歯62が配置されている円に対して外層櫛歯62の内側に配置されている。内層櫛歯64は、回転子20の軸方向つまりコイル移送治具60の円筒状の軸方向に移動可能である。すなわち、内層櫛歯64は、当該内層櫛歯64の長手方向に移動可能である。この場合、ベース部61には、各内層櫛歯64に対応して、各内層櫛歯64の外径よりも若干大きい図示しない穴が形成されている。そして、この図示しない穴に内層櫛歯64が通されることにより、内層櫛歯64は、ベース部61に対して着脱可能かつ移動可能に構成される。
20本の内層櫛歯64は、10本で1組を構成している。すなわち、コイル移送治具60は、10本で1組の内層櫛歯64を2組有している。2組の内層櫛歯64は、それぞれ可動外層櫛歯62の内側に配置されている。各組の内層櫛歯64は、それぞれ組を構成する8本の可動外層櫛歯62及びその可動外層櫛歯62の両側に隣接する2本の固定外層櫛歯63に対応している。そして、各内層櫛歯64は、それぞれ対応する可動外層櫛歯62及び固定外層櫛歯63に対して、外層櫛歯62、63が配置された円の径方向の内側に配置されている。
内層櫛歯64の基端部は、図4及び図5に示すように、外層櫛歯移動体68と同様に、例えば扇状の板状に形成された連結部材672に固定されている。このため、10本の内層櫛歯64は、それぞれ連結部材672によって連結される。これにより、10本の内層櫛歯64と連結部材672とを含んだ内層櫛歯移動体69が構成される。すなわち、コイル移送治具60は、2個の内層櫛歯移動体69を有している。そして、内層櫛歯移動体69は、それぞれ10本の内層櫛歯64が一体となって、ベース部61に着脱可能かつ移動可能になる。外層櫛歯移動体68及び内層櫛歯移動体69が最大限移動して、可動外層櫛歯62と内層櫛歯64との突出量が最大となった状態では、可動外層櫛歯62及び内層櫛歯64の突出量は、固定外層櫛歯63の突出量と略同一となる。
また、コイル移送治具60は、複数(この場合2つ)に分割された部品を組み合わせて構成されている。すなわち、コイル移送治具60は、図5及び図6に示すように、2つの分離体601、601に分離可能に構成されており、これら2つの分離体601、601を組み合わせて構成されている。2つの分離体601は、それぞれ分割ベース部611と、外層櫛歯移動体68と、内層櫛歯移動体69と、を含んで構成されている。
ベース部61は、2つの分割ベース部611に分割されている。一方の分割ベース部611には、第1隙間65の時計回り側、第2〜第24隙間65、及び第25隙間65の反時計側を形成する外層櫛歯62、63と、第25隙間66〜第33隙間66を形成する内層櫛歯64が設けられている。また、他方の分割ベース部611には、第25隙間65の時計回り側、第26〜第48隙間65、及び第1隙間65の時計回り側を形成する外層櫛歯62、63と、第1〜第9隙間66を形成する内層櫛歯64が設けられている。この場合、分割ベース部611は、外層櫛歯62、63が設けられる半円環状の外側領域612と、外側領域612の内側にある半円環状の内側領域613とを有している。そして、これら外側領域612と内側領域613とは、半円状の外側領域612の両端部と、半円状の内側領域613の両端部とが、90°ずれたような形状になっている。
ここで、固定子30の全スロット数をm、コイル移送治具60の分割数をD、コイル40スロットピッチをLとすると、一の分離体601は、(L−2)本の可動外層櫛歯62と、(m/D)−(L−2)本の固定外層櫛歯63と、L本の内層櫛歯64と、を有することになる。
次に、外層櫛歯62、63、及び内層櫛歯64の具体的構成について図7〜図11を参照して説明する。なお、外層櫛歯62、63の構成は、長手方向の寸法等を除いて同一であるため、以下の説明では、可動外層櫛歯62について説明し、外層櫛歯63についての説明は省略する。外層櫛歯62は、図7及び図8に示すように、主体部621及び圧入部622を有している。主体部621は、全体として円柱の棒状に構成されている。主体部621の周囲には、主体部621の長手方向に沿った平面形状となる平面部623が形成されている。主体部621の先端部624は、先端へ向けて細くなるように面取りがされている。
圧入部622は、主体部621の基端部側に設けられている。圧入部622は、主体部621よりも小さい径の円柱状に形成されている。主体部621の外径と圧入部622の外径との差によって、段差部625が形成されている。可動外層櫛歯62の圧入部622は、連結部材671に形成された図示しない穴に圧入される。これにより、可動外層櫛歯62は、連結部材671に固定される。可動外層櫛歯62が連結部材671に取り付けられた際、段差部625の高さ位置は、連結部材671の表面の高さ位置と略一致する。また、図示はしないが、固定外層櫛歯63の圧入部632は、ベース部61に形成された穴に圧入される。これにより、固定外層櫛歯63は、ベース部61に固定される。固定外層櫛歯63がベース部61に取り付けられた際、段差部635の高さ位置は、ベース部61の表面の高さ位置と略一致する。
内層櫛歯64は、コイル40の一端部を、内層櫛歯64の長手方向の途中部分で保持することが可能な保持手段の一例である。内層櫛歯64は、図9〜図11に示すように、主体部641、圧入部642、平面部643、先端部644、段差部645、及び突出部646を有している。主体部641、圧入部642、平面部643、先端部644、及び段差部645の構成は、外層櫛歯62の主体部621、圧入部622、平面部623、先端部624、及び段差部625と同様である。内層櫛歯64の圧入部642は、連結部材672に形成された図示しない穴に圧入される。これにより、内層櫛歯64は、連結部材672に固定される。
突出部646は、平面部643に設けられている。突出部646は、主体部621の径方向の外側へ向かって突出している。この場合、突出部646の突出量は、隣接する他の内層櫛歯64と接触しない程度である。段差部645から突出部646における内層櫛歯64の先端部側部分までの距離は、可動外層櫛歯62の初期状態における突出高さLにベース部61の厚み寸法を加えた距離よりも大きい。
すなわち、内層櫛歯64がベース部61に装着された状態において、ベース部61の表面から突出部646における内層櫛歯64の先端部側部分までの距離を、突出部646の高さと定義する。この場合、図6に示すように、内層櫛歯64が当該内層櫛歯64の長手方向の先端部側へ最大限移動した状態、つまり、内層櫛歯64が移動端にある状態における突出部646の高さはHである。そして、この突出部646の高さHは、可動外層櫛歯62の初期状態における突出高さLよりも大きい。
[コイル配置装置]
コイル配置装置52は、図2に示すように、例えば回転可能なテーブル521を有している。コイル移送治具60は、2つの分離体601に分割され、それぞれコイル製造装置51の駆動部511に対して位置決めされた状態で、テーブル521に配置される。そして、コイル配置装置52は、コイル製造装置51と協働して、コイル製造装置51によって形成されたコイル40を、分離体601の隙間65又は隙間66に挿入する。コイル40を隙間65、66に挿入する際、内層櫛歯移動体69は、図6に示すように、分離体601の分割ベース部611に装着されている。そして、このとき、内層櫛歯64の突出量は最大となっている。すなわち、コイル40を隙間65、66に挿入する際、内層櫛歯64の突出部646の高さはHとなっている。また、この場合、外層櫛歯移動体68は、初期状態となっている。すなわち、この場合、可動外層櫛歯62の突出高さはLとなっている。
コイル製造装置51は、形成したコイル40を、例えば保持部512による保持を解放して自然落下させるか、又は駆動部511を下方に移動させて、隙間65又は隙間66に挿入する。そして、コイル配置装置52は、1つのコイル40を分離体601の隙間65又は隙間66に挿入すると、テーブル521を所定角度回転させて、次の隙間65又は隙間66にコイル40を挿入する。
コイル40の挿入順序は、次の通りである。コイル配置装置52は、図5に示す分離体601において、内層櫛歯64の時計回り方向の外側端にある隙間66から反時計回り方向へ向かって一方向へ順に、コイル40を配置する。すなわち、コイル配置装置52は、図12に示すように、まず、1番目のコイル40を、第9隙間66と第47隙間65に挿入する。次に、コイル配置装置52は、テーブル521を、時計回り方向へ1スロットピッチ分回転させた後、2番目のコイル40を、第8隙間66と第46隙間65に挿入する。これにより、1相1極分(この場合W相の1極分)を構成する2つのコイル40が、コイル移送治具60の分離体601に配置される。
次に、コイル配置装置52は、テーブル521を時計回り方向へ3スロットピッチ分回転させた後、3番目のコイル40を、第5隙間66と第43隙間65に挿入する。次にコイル配置装置52は、テーブル521を時計回り方向へ1スロットピッチ分回転させた後、4番目のコイル40を、第4隙間66と第42隙間65に挿入する。これにより、1相1極分(この場合U相の1極分)を構成する2つのコイル40が、コイル移送治具60の分離体601に配置される。
同様に、コイル配置装置52は、テーブル521を時計回り方向へ3スロットピッチ分回転させた後、5番目のコイル40を、第1隙間66と第39隙間65に挿入する。次に、コイル配置装置52は、テーブル521を時計回り方向へ1スロットピッチ分回転させた後、6番目のコイル40を、第48隙間65と第38隙間65に挿入する。これにより、1相1極分(この場合V相の1極分)を構成する2つのコイル40が、コイル移送治具60の分離体601に配置される。そして、さらに同様に、コイル配置装置52は、各相各極のコイル40を、各隙間65に挿入して行く。
このようにして、コイル配置装置52は、コイル移送治具60の分割個数に対応した数のコイル40を、分離体601に配置する。本実施形態の回転電機10は、3相4極であり、2個のコイル40で1相の1極を構成している。そのため、回転電機10は、全部で24個のコイル40を有している。そして、本実施形態のコイル移送治具60は、2つの分離体601に分割されている。したがって、1つの分離体601には、図13に示すように、12個のコイル40が配置される。
上述のように、各コイル40は、時計回りの端側から、半時計回り側へ順に配置される。そのため、隣接するコイル40において、半時計回り側に配置されているコイル40は、時計回り側に配置されているコイル40に対して上側に位置する。また、分離体601に配置されているコイル40のうち、一端側が内層櫛歯64間の隙間66に挿入されているコイル40は、他の分離体601と組合わされた際に、これら2つの分離体601に跨がって配置される。この場合、2つの分離体601に跨がって配置されるコイル40において、内層櫛歯64間の隙間66に挿入された端部は、内層櫛歯64の突出部646に係止される。そのため、内層櫛歯64間の隙間66に挿入されたコイル40の端部は、ベース部61の表面からの高さが、所定の高さすなわち突出部646の高さHで保持される。
1つの分離体601に12個のコイル40を配置し終わると、コイル40が配置された分離体601は、コイル配置装置52から排出される。そして、新たな分離体601が、コイル配置装置52のテーブル521に投入される。この場合、分離体601の投入及び排出は、機械的に自動で行っても良いし、作業者の手作業により行っても良い。
なお、コイル移送治具60を構成する一方の分離体601と他方の分離体601において、一方の分離体601は、第9〜第1の隙間66、及び第48〜第26隙間65にコイル40が挿入され、他方の分離体601は、第33〜第25隙間66、及び第25〜第1隙間65にコイル40が挿入される。しかし、一方の分離体601と他方の分離体601とは、ベース部61の中心に対していずれか一方の分離体601を180°回転させた形状であるため、同一形状及び同一構成である。そのため、一方の分離体601にコイル40を配置する工程と、他方の分離体601にコイル40を配置する工程とは、実質的に同内容の工程である。
すなわち、コイル配置装置52は、分離体601にコイル40を配置する工程を、同一形状の2つの分離体601に対して繰り返すことで、一方の分離体601と他方の分離体601との両方にコイル40を配置することができる。換言すれば、コイル配置装置52は、一方の分離体601と他方の分離体601とに対して、同一内容の工程によって、コイル40を配置することができる。このため、コイル配置装置52は、一方の分離体601と他方の分離体601とに対して、コイル40を配置するための工程を、異なる内容のものにする必要がない。
[分離体の合体]
コイル配置装置52によって所定数のコイル40が配置された2つの分離体601、601は、図14〜図16に示すように、組合わされて合体する。その際、両方の分離体601に配置されている複数のコイル40について見ると、可動外層櫛歯62によって形成された隙間65に挿入されているコイル40の可動外層櫛歯62側の端部が、他方の分離体601の内層櫛歯64によって形成された隙間66に挿入されているコイル40の下方に入り込む。そして、図15及び図16に示すように、外層櫛歯移動体68を移動させて各可動外層櫛歯62を突出させるとともに、内層櫛歯移動体69を移動させて各内層櫛歯64をベース部61から抜き外す。すると、内層櫛歯64による隙間66に挿入されていたコイル40が、可動外層櫛歯62によって形成された隙間65に入れ替わるようにして挿入される。
これにより、コイル移送治具60には、各コイル40が、反時計回り側へ順に重なるようにして配置される。すなわち、コイル移送治具60に配置された各コイル40は、時計回り側の端部が他のコイル40の上方に位置し、反時計回り側の端部が他のコイル40の下方に位置するようになる。このようにして、コイル挿入治具70に最初に配置されるコイル40と最後に挿入されるコイル40とが重ね合わされる。
[コイル挿入治具]
コイル挿入治具70は、図17に示す複数本のブレード71と、図22に示すブレードホルダ72、及び押圧体73を有している。ブレード71の本数は、固定子鉄心31が有するスロット33の数すなわちティース32の数と同数である。ブレード71は、固定子鉄心31の軸方向へ長い半円柱状に構成されている。ブレードホルダ72は、図22に示すように、中心部に穴部721が形成された円環の板状に形成されている。ブレード71の基端部は、ブレードホルダ72の外周に沿って円形状に配置され、ブレードホルダ72に固定されている。これにより、複数のブレード71は、全体として円筒状になるように配置されている。隣接するブレード71間には、コイル40の端部が挿入できる程度の隙間74が形成されている。ブレード71の半円柱状の平面側は、図24に示すように、円筒形状の外方を向いている。ブレード71の外周側となる平面部の一部には、矩形の溝形状のガイド部711が形成されている。ガイド部711は、スロット33を形成するティース32の端部と嵌合する。
図22に示すように、押圧体73は、ブレード71で構成された円筒状の内側に配置されている。押圧体73は、ブレードホルダ72と反対側へ向かって細くなる略円錐台形に形成されている。押圧体73の外周部には、図24に示すように、各ブレード71に勘合する溝731が形成されている。押圧体73は、溝731がブレード71に沿って摺動することで、各ブレード71で形成された円筒状の内側をブレード71に沿って移動することができる。また、押圧体73の外径は、ブレードホルダ72の穴部721の内径よりも大きい。このため、押圧体73は、ブレードホルダ72から、図22で紙面下方側へ抜けないようになっている。
[コイル移送装置]
コイル移送装置53は、図2に示すように、載置部531及び姿勢変更部532を有している。載置部531には、コイル挿入治具70が、例えばブレード71の先端部が上方を向いた姿勢で載置される。姿勢変更部532は、コイル移送装置53に投入されたコイル移送治具60を保持するとともに、そのコイル移送治具60の姿勢を変更する。例えば、コイル移送装置53には、コイル移送治具60が、外層櫛歯62、63の先端部が上方を向いた姿勢で投入される。そして、姿勢変更部532は、コイル移送治具60を保持し、当初の姿勢から180°反転させて、外層櫛歯62、63の先端部が下方を向いた姿勢に変更する。
コイル移送装置53は、図18に示すように、コイル移送治具60の外層櫛歯62、63の先端部と、コイル挿入治具70のブレード71の先端部とを突き合わせ、互いの先端部を嵌合させる。これにより、コイル移送治具60の隙間65とコイル挿入治具70の隙間74とを直線的に連通させる。次に、コイル移送装置53は、コイル移送治具60に配置されている各コイル40を、図示しないコイル移送部によってコイル挿入治具70側この場合下方へ押し込む。これにより、コイル40は、図20に示すように、コイル移送治具60からコイル挿入治具70へ移送される。その後、コイル40が配置されたコイル挿入治具70は、コイル移送装置53から排出され、コイル挿入装置54に投入される。また、コイル40が取り外されたコイル移送治具60は、コイル移送装置53から排出され、再度、コイル配置装置52に投入される。
[コイル挿入装置]
コイル挿入装置54は、図2に示すように、鉄心保持部541、載置部542、及びシャフト部543を有している。鉄心保持部541は、コイル挿入装置54に投入された固定子鉄心31を保持する。この場合、鉄心保持部541は、固定子鉄心31の軸が上下方向を向くように、固定子鉄心31を保持する。コイル挿入治具70は、例えばブレード71の先端部が上方を向いた姿勢で、載置部542に載置される。載置部542にコイル挿入治具70が載置されると、載置部542は、鉄心保持部541側へ固定子鉄心31を移動させる。この場合、載置部542は、上昇する。そして、図21及び図24に示すように、コイル挿入治具70のブレード71のガイド部711が、固定子30のティース32に嵌合し、コイル挿入治具70のブレード71が、固定子30の内側に挿入される。
シャフト部543は、図2に示すように、載置部542の内側に配置されている。シャフト部543は、円柱状であって、図22及び図23に示すように、ブレードホルダ72の穴部721に連通可能である。シャフト部543は、コイル挿入治具70の円筒状の軸方向、すなわち押圧体73の移動方向と同じ方向へ移動可能である。この場合、シャフト部543は、上下方向へ移動可能である。コイル挿入装置54は、コイル挿入治具70のブレード71を固定子鉄心31の内側に挿入した後、シャフト部543を上昇させる。すると、押圧体73は、シャフト部543に押されて上昇する。このとき、コイル挿入治具70に配置されている各コイル40は、図24に示すように、押圧体73に押し出されて、適切なスロット33内に挿入される。そして、押圧体73が固定子鉄心31の端部この場合上端部まで移動すると、コイル40は、図25に示すように、スロット33から固定子鉄心31の上端部側へ露出して、固定子鉄心31の上端部にコイルエンドが形成される。このようにして、各コイル40は、重ね巻き式で固定子鉄心31に配置される。
コイル40がスロット33に挿入されると、コイル挿入装置54は、シャフト部543及び載置部542を下降させて、固定子鉄心31からコイル挿入治具70を抜く。その後、コイル40が取り外されたコイル挿入治具70は、コイル挿入装置54から排出され、再度、コイル移送装置53に投入される。また、コイル40が配置された固定子鉄心31は、固定子30としてコイル移送装置53から排出される。そして、この固定子30は、次の工程において回転子20と組合わされ、これにより回転電機10が完成する。
以上の実施形態によれば、コイル移送治具60は、複数この場合2つの分離体601、601に分離可能である。各コイル40は、分離体601が分離された状態で、当該分離体601に配置される。そして、コイル40が配置された2つの分離体601は、相互に組み合わされる。その後、可動外層櫛歯62が突出されるとともに内層櫛歯64がベース部61から抜き外される。すると、内層櫛歯64による隙間66に挿入されたコイル40の端部を、可動外層櫛歯62による隙間65に挿入される。これにより、各コイル40が、反時計回り側へ順に重なるようにして配置される。このようなコイル移送治具60によれば、コイル挿入治具70に最初に配置されるコイル40と、最後に挿入されるコイル40とを、コイル40の取り回し等の複雑な工程を行うことなく、容易に重ね合わせることができる。その結果、固定子鉄心31に対して重ね巻き方式でのコイル40の挿入を容易にすることができ、ひいてはコイル40の挿入の自動化も容易となる。
また、これによれば、隣接するコイル40を重ねた状態で治具60に配置するために、コイル40を無理矢理動かしたりする必要がない。そのため、コイル40の無理な取り扱いが抑制され、その結果、コイル40に傷が付くことを抑制することができる。
なお、コイル移送治具60は、2分割に限られず、2以上に分割される構成でも良い。
コイル移送治具60とコイル挿入治具70とを一体に構成しても良い。この場合、コイル40は、コイル移送治具60とコイル挿入治具70とが一体になった治具に配置された後、当該治具を用いて固定子鉄心31のスロット33に挿入される構成でも良い。
固定子鉄心31のスロット33の数及び各相の極数は、上記実施形態のものに限られず、適宜変更することができる。この場合、コイル移送治具60の櫛歯62、63、64の数や、コイル挿入治具70のブレード71の数は、スロット33の数や各相の極数に合わせて適宜変更することができる。
各装置51、52、53、54における工程や、各治具60、70の移動は、機械によって自動で行われても良いし、作業者による手作業で行われても良い。
また、コイル移送治具60に配置されるコイル40のコイルピッチと、コイル挿入治具70に配置されるコイル40のコイルピッチとを異なるものとしても良い。この場合、コイル移送治具60からコイル挿入治具70へコイル40を移送する際に、コイルピッチを調整すれば良い。
本実施形態では、回転電機を永久磁石モータに適用した例について説明したが、これに限られず、例えば誘導電動機など他の形成の電動機であっても良い。また、回転電機は、インナロータ型に限られず、アウタロータ型でも良い。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図26〜図30を参照して説明する。
図26に示す治具80は、コイル40を、3相2極の図示しない固定子のスロットに挿入するための治具の一例である。治具80は、例えば作業者の手作業によって、コイル40が配置されるものである。図示しない固定子は、12個のスロットを有している。6個のコイル40は、それぞれ図示しない固定子に2スロットピッチで配置される。治具80は、ベース部81と、図示しない固定子のスロット数と同数の櫛歯82と、2個の保持部材83と、を有している。この場合、治具80は、12本の櫛歯82を有している。ベース部81は、図27に示すように、全体として円環状に形成されている。櫛歯82は、円柱状であって、ベース部81に対して円状に等間隔に配置されている。隣接する2個の櫛歯82の間に隙間84が形成されている。櫛歯82は、ベース部81の面に対して直角方向すなわち図示しない回転子の軸方向へ向けて設けられている。櫛歯82の基端部は、ベース部81に固定されている。コイル40は、一端部が隙間84に挿入されて、治具80に配置される。
ベース部81は、円環状を複数、例えば2分割した2個の分割ベース部811から構成されている。そして、2つの分割ベース部811には、それぞれ6本の櫛歯82が設けられている。この場合、1個の分割ベース部811と、6本の櫛歯82によって、1の分離体801が構成されている。そして、2個の分離体801を組み合わせることによって、治具80が構成される。
保持部材83は、コイル40の一端部を、櫛歯82の長手方向の途中部分で保持することが可能な保持手段の一例である。治具80は、ベース部81の分割数と同数の保持部材83を有している。保持部材83は、図29及び図30に示すように、円筒部831、半円筒部832、接続部833、及び保持部834を一体に有している。円筒部831は、櫛歯82の長手方向へ延びた円筒状に形成されている。円筒部831の内側には、櫛歯82が挿入可能である。半円筒部832は、円筒部831を、長手方向に半分に切断したような形状であり、一方側が開放されている。これら円筒部831及び半円筒部832の長手方向の寸法は、櫛歯82の長手方向の寸法の半分程度である。なお、円筒部831と半円筒部832の配置を逆にしても良い。
接続部833は、例えば円弧状の板状に形成されている。接続部833は、円筒部831と半円筒部832とを、1スロットピッチ分離間させた状態で接続している。接続部833には、第1穴部835及び第2穴部836が形成されている。第1穴部835は、接続部833を円形に貫いて、円筒部831の内側に連通している。第2穴部836は、接続部833を略半円形に貫いて、円筒部831の内側に連通している。第2穴部836は、接続部833の円弧の径方向の内側へ向かって、すなわちベース部81の径方向の内側へ向かって開放している。なお、第2穴部836は、ベース部81の外側へ向かって開放していても良い。
保持部834は、半円筒部832側の接続部833から延びるようにて、例えば円弧状の板状に形成されている。保持部834は、半円筒部832に対して接続部833と反対側に設けられている。円筒部831及び半円筒部832が、治具80の櫛歯82に挿入された状態において、保持部834は、櫛歯82から離間するようになっている。
次に、コイル40を治具80に配置する際の手順について説明する。ここで、図27に示すように、2つの分割ベース部811の繋ぎ目部分に形成される2つの隙間84のうち一の隙間84を第1隙間84とし、この第1隙間84から反時計回り方向へ向かってN個目にある隙間84を第N隙間84とする。同様に、第1隙間84を形成する2つの櫛歯82のうち、反時計回り側に位置する櫛歯82を第1櫛歯82とし、この第1櫛歯82から反時計回り方向へ向かってN本目にある櫛歯82を、第N櫛歯82とする。なお、Nには、1から12の整数が入る。この場合、図27において、隙間84についての番号Nは、一点鎖線よりも外側に付している。また、櫛歯82についての番号Nは、一点鎖線よりも内側に付している。
コイル40を治具80に配置する際、まず、作業者は、治具80を2つの分離体801に分割する。そして、作業者は、図28に示すように、分離体801に、保持部材83を装着する。保持部材83を装着する際、円筒部831には、分割ベース部811の円弧状の時計回り側の端部側にある櫛歯82が挿入される。この場合、各保持部材83の円筒部831には、それぞれ第1櫛歯82と第7櫛歯82が挿入される。
保持部材83が分離体801に装着された状態において、半円筒部832及び保持部834は、平面視で分割ベース部811と重ならない位置にある。また、保持部834は、櫛歯82の長手方向の途中部分に位置している。この場合、分割ベース部811の表面から保持部834までの高さは、櫛歯82の長手方向の半分程度の高さである。保持部材83の円筒部831と半円筒部832との間は、2つの分離体801が組合わされた際に第1隙間84となる部分である。また、半円筒部832に対して第1隙間84と反対側、つまり保持部834側は、2つの分離体801が組合わされた際に第2隙間84となる部分である。
次に、作業者は、各コイル40を、分離体801の時計回りの端側から反時計回り方向へ向かって一方向へ順に配置する。この場合、まず、作業者は、図28に示すように、最初に配置するコイル40つまり1番目のコイル40の一端部を、半円筒部832の外側に掛けるとともに、他端部を第11隙間84に挿入する。すなわち、作業者は、1番目のコイル40の一端部を、半円筒部832に対して第1隙間84と反対側の位置、つまり将来的に第2隙間84になる位置に配置する。この際、1番目のコイル40の前記端部は、保持部834に係止される。そのため、1番目のコイル40の当該端部は、櫛歯82の長手方向の途中部分に保持される。その後、作業者は、2番目のコイル40、3番目のコイル40を、それぞれ前に配置されたコイル40の上に重なるようにして、反時計回り側へ順に配置する。
作業者は、分離体801に各コイル40が配置されると、図26に示すように、2つの分離体801を組み合わせる。その際、作業者は、一方の分離体801の分割ベース部811の端側に位置する2本の櫛歯82のうち、保持部材83が装着されていない櫛歯82を、他方の分離体801に装着されている保持部材83の半円筒部832に挿入する。このとき、半円筒部832が挿入された櫛歯82に掛けられているコイル40は、保持部材83の保持部834によって保持されているコイル40の下方に配置される。
次に、作業者は、図示しない止め具によって、2つの分離体801を合体させた状態で固定する。そして、作業者は、保持部材83を、例えば円筒部831を中心に回転させて櫛歯82から半円筒部832を外し、その後、円筒部831を櫛歯82から抜くようにして外す。これにより、治具80には、各コイル40が、反時計回り側へ向かって順に重なるように配置される。そして、コイル40が配置された治具80を用いて、図示しない固定子にコイル40を挿入する。これにより、コイル40が重ね巻き式に配置された固定子が得られる。
これによれば、上記第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
また、保持部材83は、作業者によって容易に着脱することができる構成である。すなわち、保持部材83の着脱に複雑な作業を必要としない。そのため、作業性が容易となり、作業効率の向上が図られる。
また、従来、コイル40を治具に手作業により重ね巻き方式で配置する際は、隣接するコイル40を無理矢理動かして重ね合わせなければならず、作業性が悪いとともに、コイル40を動かす際にコイル40に傷が付くおそれもあった。しかし、本実施形態では、作業者は、2つの分離体801を合体させた後に保持部材83を治具80から取り外すことで、コイル40を重ねて配置することができる。そのため、コイル40の無理な取り扱いが抑制され、その結果、コイル40に傷が付くことを抑制することができる。
以上の実施形態によれば、容易に、コイルを、治具に対して円周方向の一方向へ向かって順に重なるようにして配置することができる。したがって、この治具を用いてコイルを固定子に挿入することで、重ね巻き方式によって配置される各コイルのうち、スロットに最初に挿入されるコイルと最後に挿入されるコイルを重ね合わせる際の作業が容易になる。その結果、固定子に対して重ね巻き方式でのコイルの挿入を容易にすることができる。
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図面中、10は回転電機、30は固定子、33はスロット、40はコイル、50は回転電機の製造システム、51はコイル製造装置、52はコイル配置装置、54はコイル挿入装置、60はコイル移送治具(治具)、601は分離体、61はベース部、62は可動外層櫛歯(櫛歯)、63は固定外層櫛歯(櫛歯)、64は内層櫛歯(保持手段)、644は突出部、70はコイル挿入治具(治具)、80は治具、801は分離体、81はベース部、83は保持部材(保持手段)、831は円筒部、834は保持部を示す。

Claims (5)

  1. コイルが挿入される隙間を有して円弧状に配置された複数本の櫛歯を有する分離体に、前記コイルの一方側の端部を前記櫛歯の途中部分の位置に保持することが可能な保持手段を装着した状態で、複数の前記コイルを、前記保持手段に保持されるコイルから順に一方向へ配置する工程と、
    前記コイルが配置された2つ以上の前記分離体を組み合わせて前記各櫛歯を円状に配置するとともに、隣接する前記分離体のうち一方の前記分離体に装着された前記保持手段によって保持された前記コイルの下方に、他方の前記分離体に配置された保持手段によって保持されていないコイルを配置することで前記各コイルを重ね巻き方式で配置する工程と、
    前記治具に配置されたコイルを重ね巻き状態で固定子のスロットに挿入する工程と、
    前記コイルが挿入された前記固定子と前記固定子に対応する回転子とを組み合わせる工程と、
    を含む回転電機の製造方法。
  2. コイルを固定子のスロットに挿入するための治具であって、 コイルが挿入される隙間を有して円弧状に配置された複数本の櫛歯を有し、2つ以上を組み合わせることで前記櫛歯を円状に配置することができる分離体と、
    前記分離体に着脱可能であって、隣接する2つの前記分離体に跨がって配置される前記コイルにおいて、一方の前記分離体側の端部を前記櫛歯の途中部分の位置に保持することが可能な保持手段と、を備える治具。
  3. 前記櫛歯は、
    前記ベース部に着脱可能でかつ長手方向へ移動可能に構成された可動外層櫛歯と、
    前記可動外層櫛歯と同一円周上に配置され、前記ベース部に固定された固定外層櫛歯と、を有し、
    前記保持手段は、前記可動外層櫛歯に対応し、前記可動外層櫛歯に対して前記可動外層櫛歯が配置された円の内側に配置され、前記ベース部に着脱可能でかつ長手方向へ移動可能に構成された内層櫛歯であって、
    前記内層櫛歯は、当該内層櫛歯の長手方向の途中部分に前記ベース部と平行方向へ突出する突出部を有している請求項2に記載の治具。
  4. 前記保持手段は、
    前記櫛歯が挿入される円筒部と、
    前記円筒部が前記櫛歯に挿入された状態において、前記櫛歯の長手方向の途中部分の位置で前記コイルを保持することが可能な保持部と、
    を有している請求項2に記載の治具。
  5. コイルを製造するコイル製造装置と、
    固定子のスロットに挿入するための治具に前記コイルを配置するコイル配置装置と、
    前記治具に配置された前記コイルを前記スロットに挿入するコイル挿入装置と、
    を備え、
    前記治具は、
    2以上の分離体に分離可能であって、
    ベース部と、
    前記ベース部に円状に配置され前記コイルが挿入される隙間を形成する複数本の櫛歯と、
    前記分離体に着脱可能であって、隣接する2つの前記分離体に跨がって配置される前記コイルにおいて、一方の前記分離体側の端部を前記櫛歯の途中部分の位置に保持することが可能な保持手段と、を有している回転電機の製造システム。
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