JP2016039331A - 軟磁性複合材料とその製造方法、軟磁性複合材料を使用した磁性コア、リアクトル、リアクトルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軟磁性複合材料は、軟磁性粉末と樹脂を混合したものである。軟磁性粉末が、第1粉末と第2粉末を含む混合粉末であり、第1粉末の平均粒子径が第2粉末の平均粒子径よりも大きい。混合粉末における第1粉末の添加量が60〜80wt%、第2粉末の添加量が20〜40wt%であり、第1粉末と第2粉末の平均円形度が、0.895以上である。所定の容器内に混合粉末を充填し、容器を振動させ、容器内に充填された混合粉末に対して樹脂を含浸させて硬化させる。
【選択図】図1
Description
(1) 軟磁性粉末と樹脂を混合したものである。
(2) 前記軟磁性粉末が、第1粉末と第2粉末を含む混合粉末である。
(3) 前記第1粉末の平均粒子径が第2粉末の平均粒子径よりも大きい。
(4) 前記混合粉末における第1粉末の添加量が60〜80wt%、第2粉末の添加量が20〜40wt%である。
(5) 前記第1粉末と第2粉末の平均円形度が、0.895以上である。
(1) 平均円形度が、0.895以上である軟磁性粉末からなる第1粉末を60〜80wt%と、平均円形度が0.895以上である軟磁性粉末からなり、前記第1粉末よりも平均粒子径が小さい第2粉末を20〜40wt%とを混合して、混合粉末を作製する。
(2) 所定の容器内に前記混合粉末を充填し、容器を振動させる。
(3) 前記容器内に充填された前記混合粉末に対して、樹脂を含浸させる。
この場合、前記容器を振動させる回数が、90回以上であると良い。前記混合粉末への含浸時における前記樹脂の粘度が、3350mPa・s以下であると良い。
(1) 平均円形度が、0.895以上である軟磁性粉末からなる第1粉末を60〜80wt%と、平均円形度が0.895以上である軟磁性粉末からなり、前記第1粉末よりも平均粒子径が小さい第2粉末を20〜40wt%とを混合して、混合粉末を作製する。
(2) 所定の容器内にコイルを配置する。
(3) 前記容器内に、前記混合粉末を充填し、容器を振動させる。
(4) 容器内に充填された前記混合粉末に対して、樹脂を含浸させ、含浸した樹脂を硬化させることで構成された磁性コアと前記コイルとを一体化する。
以下、本発明の軟磁性複合材料の構成要素について説明する。
第1粉末としては、Fe−6.5Siが好ましいが、その他の軟磁性粉末、例えば、純鉄、Fe−Si、Fe−Ni、Fe−Al、Fe−Co、Fe−Cr、Fe−N、Fe−C、Fe−B、Fe−P、Fe−Al−SiなどのFe基合金粉末、あるいは希土類金属粉末、非晶質金属粉末、フェライト粉末などが利用できる。
第2粉末としては、第1粉末と同一の材料を使用することができるが、異なる材料としても良い。第2粉末の平均粒子径は、第1粉末のところで述べたように、第1粉末の平均粒子径に対する第2粉末の平均粒子径の比が、0.025〜0.12であることが好ましく、第1粉末の平均粒子径に対する前記第2粉末の平均粒子径の比が、0.04〜0.10であることがより好ましい。
樹脂は、第1粉末と第2粉末を均質に混合した状態で保持するものである。この樹脂としては、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が使用できる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂などが使用できる。紫外線硬化性樹脂としては、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系の樹脂を使用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリイミドやフッ素樹脂などの耐熱性に優れた樹脂を使用することが好ましい。硬化剤を添加することにより硬化するエポキシ樹脂は、硬化剤の添加量などによってその粘度を調整できることから、本発明に適している。熱可塑性のアクリル樹脂やシリコーン樹脂も使用可能である。
容器としては、その内部にコイルを収容できる形状のものを使用する。一般的には、上方からコイルを挿入でき、また樹脂を充填できるように、上面開口型の箱形や皿形の容器を使用する。容器は、その全部または一部を樹脂成型品によって構成することが好ましい。樹脂成型品の主材料としては、例えば、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、BMC(バルクモールディングコンパウンド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等を用いることができる。容器の全部または一部に、アルミニウムやマグネシウムなどの熱伝導性の高い金属を使用することができる。これらの金属と容器内の軟磁性複合材料とを直接接触させることで、放熱性の向上を図ることができる。
コイルは、銅線などの導体に絶縁被覆を形成したものを使用する。導体としては、丸線や平角線などの表面にポリイミド樹脂などの絶縁ワニスを形成したものを使用することが好ましい。コイルは、シリコーン樹脂などの絶縁樹脂内に予め埋設したものを使用しても良いし、外装ケース内部にコイルケースを収納し、このコイルケース内にコイルを配置した状態で、コイルの周囲に絶縁樹脂を注入・固化したものでも良い。コイルを絶縁樹脂で被覆する場合には、導体の表面に絶縁ワニスなどをコーティングしなくても良い。
本発明のリアクトルの製造方法の実施形態を、図面に従って説明する。本実施形態の容器は、リアクトルの外装ケース3としてそのまま使用可能なものである。
本実施形態は、予め絶縁樹脂の成型品15に埋設したコイル1を使用する製造方法である。
図1に示すように、本実施形態のコイル1は、導体である銅線の表面に絶縁ワニスをコーティングした平角線を、4回×2層分巻回したもので、中心にリアクトルのリム部となる開口部11が形成されている。コイル1の両端部12,13は、コイル1の一方の短辺側に、コイル1の最外周部分を延長する方向に引き出されている。コイル1の両端部12,13は、リアクトルに設ける端子2と接続するものであり、そのため、コイル1の巻回部分との間に段部14が設けられている。
図2に示すように、本発明の容器に相当する外装ケース3は、その内部にコイル1を配置することができる大きさと形状を有する直方体の部材で、上面と下面が開口した枠状の樹脂部31と、その下面の開口部を塞ぐ放熱板32とから構成されている。放熱板32は、枠状の樹脂部31に固定されている。この場合、樹脂部31と放熱板32との接合部分を一体成型することにより、外装ケース3内に充填した混合粉末7や含浸する樹脂が接合部分から洩れ出ないようになっている。なお、樹脂部31と放熱版32の接着には一体成型に限らず、接着剤を塗布するなどして行っても良い。
本実施形態のリアクトルを製造するには、まず、第1粉末と第2粉末を混合して、混合粉末7を作製しておく。そして、図3に示すように、外装ケース3内に、絶縁樹脂の成型品15内に埋設したコイル1を配置する。その後、図4に示すように、外装ケース3の上面開口部から、外装ケース3と絶縁樹脂の成型品15との隙間に、予め用意した混合粉末7を充填する。この場合、混合粉末7は、外装ケース3の上縁部から、外装ケース3の樹脂部31の表面高さよりもやや高い程度の位置まで充填する。容器内に混合粉末7を充填した後は、容器全体を振動させることで、容器内の混合粉末7の密度を高める。振動の方法としては、容器全体をモータやカムなどを利用して上下または/及び前後左右に振動させたり、タッピングしたり、容器をハンマー状の部材で細かく叩く方法でも良い。容器全体を超音波振動子で振動させても良い。
本実施形態では、外装ケース3内に充填した混合粉末7を振動させることで、平均粒子径の大きな第1粉末の隙間に、平均粒子径の小さな第2粉末を確実に送り込むことができ、軟磁性粉末を容器内に高密度で充填することができる。また、粘度の小さな樹脂8を使用することで、密度が高い混合粉末の狭い隙間にも樹脂8を円滑に浸透させることができ、使用する樹脂量を削減することができ、その点でも軟磁性粉末の密度の向上に繋がる。
本実施形態は、外装ケース3内にコイルケース6を配置して、コイル1を絶縁樹脂の成型品15に埋設する製造方法である。
本実施形態のコイル1は、図6に示すように、前記第1実施形態のコイル1と同様なものを使用するが、絶縁樹脂の成型品15内に埋設していない単体を使用する。コイル1の両端部12,13に、端子2を予め溶接することもない。本実施形態の外装ケース3、混合粉末7及び樹脂8は、第1実施形態と同一のものを使用する。
本実施形態では、図6に示すように、外装ケース3内部に装着するコイルケース6を使用する。コイルケース6は、コイル1を外形に沿った上面開口型の箱形または皿形をした直方体の部材で、外装ケース3と同様な素材で作製されている。コイルケース6の中央部にはコイル1の内周に設けられた開口部11に合わせて、リアクトルのリム部となる開口部61が形成されている。コイルケース6の一方の短辺側には、両端部12,13の位置に合わせて凹部62が一体に設けられている。コイルケース6の対向する長辺には、それぞれ一対の位置決め用の突起63が設けられている。位置決め用の突起63の位置は、長辺に限らず、他の部分でも良い。この位置決め用の突起63は、第1実施形態において成型品15に設けた位置決め用の突起151に相当するもので、その形状や外装ケース3との関係は第1実施形態に述べた通りである。また、外装ケース3の樹脂部31に、第1実施形態のような外れ止め機構を設けることも可能である。
図7に示すように、上面が開口した外装ケース3内に、コイルケース6を配置する。この場合、コイルケース6に設けた位置決め用の突起63を樹脂部31の長辺の内面に当接させると共に、外装ケース3の凹部313内にコイルケース6の凹部62を嵌め込むことで、コイルケース6を外装ケース3内の適正な位置に保持させる。次いで、図8に示すように、コイルケース6内にコイル1単体を嵌め込む。この場合、コイル1の両端部12,13を、コイルケース6の凹部62内に嵌め込むと共に、コイル1の開口部11の内側にコイルケース6の開口部61を嵌め込むことで、コイルケース6内でのコイル1の位置決めを行う。
第1実施形態と同様に、第1粉末や第2粉末の平均粒子径及び平均円形度を適切に選択し、これらに含浸する樹脂の粘度、添加量を適切に選択したので、高密度及び高透磁率を達成することができる。コイル1の絶縁樹脂の周囲に、コイルケース6や蓋64が設けられているので、絶縁樹脂の成型品15の肉厚を少なくしても、十分な絶縁性能を確保できる。
第1粉末及び第2粉末として、下記の表1に記載の粒度と円形度を有するFe6.5Si合金粉末を使用し、表2に示す混合時要件の下で、混合粉末に含浸する樹脂として、表3に記載のものを使用した。容器内に混合粉末を充填した後に、容器を180回打撃(タップ)することで、振動を与えた。混合粉末に表3の樹脂A(アクリル系樹脂)を含浸させた後は、120℃で2時間乾燥させて、軟磁性複合材料を硬化させた。測定条件は、周波数20kHz、最大磁束密度30mTである。
同様な条件で、表3の樹脂C(エポキシ系樹脂)を含浸させた場合の透磁率と損失は、下記の表5及び図13に示すとおりである。すなわち、樹脂の種類を変えても同様の傾向が確認された。
同様にして、前記表1の条件1において、表3に示す各樹脂について、第2粉末の添加量と透磁率の関係を確認した。その結果は、表6及び図14に示すとおりである。すなわち、樹脂の種類を変えても同様の傾向が確認された。
表7に示すように、粉末A:粉末B=70wt%:30wt%の添加量で、粘度の異なる樹脂が、混合粉末にどのように含浸していくかを確認した。その結果は、表7及び図15に示すとおりである。表4や及び図15に示すように、粘度が3350mPa・s以上の樹脂を使用することも可能であるが、混合粉末に対する浸透時間が長すぎると、樹脂の浸透が完了する前に樹脂が硬化することが考えられるので、粘度は3350mPa・s以下が良い。ただ、より厚みが小さい低背のコアを作製する場合など、樹脂が硬化する前に浸透するようであれば、粘度が3350mPa・s以上の樹脂を使用することも可能である。更に、浸透時間を考慮すると、100mPa・s以下が良い。樹脂の粘度が低くさらさらし過ぎるよりは、ある程度の粘度がある樹脂の方が接着力が高いものが多いことから、20〜100mPa・sの樹脂が良い。
容器内に充填した混合粉末に対して、どの程度の振動を与えるのが適切かを、表7の粉末A:粉末B=70wt%:30wt%によって確認した。その結果は、表8および図16のとおりである。これらの結果から分かるように、90回程度以上の打撃を加えることで、混合粉末の密度が上限値に近くなることが確認された。従って、製造するリアクトルの寸法形状にもよるが、90回程度以上の打撃を加えて振動することで、高密度の軟磁性複合材料を得ることができる。
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。以上の実施形態は例として提示したものであって、その他の様々な形態で実施されることが可能である。発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲、要旨、その均等の範囲に含まれる。
11…開口部
12,13…端部
14…段部
15…絶縁樹脂の成型品
151…位置決め用の突起
152…開口部
153…端部の被覆部
2…端子
21…ねじ止め部
22…溶接部
24…ねじ
3…外装ケース
31…樹脂部
311…端子台
312…ナット
313…凹部
32…放熱板
5…保護層
6…コイルケース
61…開口部
62…凹部
63…位置決め用の突起
64…蓋
7…混合粉末
8…樹脂
Claims (17)
- 軟磁性粉末と樹脂を混合して成る軟磁性複合材料であって、
前記軟磁性粉末が、第1粉末と第2粉末を含む混合粉末であり、
前記第1粉末の平均粒子径が第2粉末の平均粒子径よりも大きいものであり、
前記混合粉末における第1粉末の添加量が60〜80wt%、第2粉末の添加量が20〜40wt%であり、
前記第1粉末と第2粉末の平均円形度が、0.895以上である軟磁性複合材料。 - 前記第1粉末の平均粒子径に対する前記第2粉末の平均粒子径の比が、0.025〜0.12である請求項1に記載の軟磁性複合材料。
- 前記第1粉末の平均粒子径に対する前記第2粉末の平均粒子径の比が、0.04〜0.10である請求項2に記載の軟磁性複合材料。
- 前記混合粉末に対する前記樹脂の添加量が、5wt%以上である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の軟磁性複合材料。
- 前記混合粉末への含浸時における前記樹脂の粘度が、3350mPa・s以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の軟磁性複合材料。
- 前記樹脂がエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂のいずれか1つである請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の軟磁性複合材料。
- 前記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の軟磁性複合材料によって構成された磁性コア。
- 前記磁性コアの表面に形成される保護層が、前記軟磁性複合材料に添加する樹脂と同一の樹脂で形成されている請求項7に記載の磁性コア。
- 前記磁性コアは、前記軟磁性複合材料を圧縮成型して形成されたものである請求項7に記載の磁性コア。
- 前記第1粉末と前記第2粉末とが均質に分散している請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の磁性コア。
- 前記請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の磁性コアと、コイルを備えるリアクトル。
- 平均円形度が0.895以上である軟磁性粉末からなる第1粉末を60〜80wt%と、平均円形度が0.895以上である軟磁性粉末からなり、前記第1粉末よりも平均粒子径が小さい第2粉末を20〜40wt%とを混合して、混合粉末を作製し、
所定の容器内に前記混合粉末を充填し、容器を振動させ、
前記容器内に充填された前記混合粉末に対して、樹脂を含浸させる軟磁性複合材料の製造方法。 - 前記容器を振動させる回数が、90回以上である請求項12に記載の軟磁性複合材料の製造方法。
- 前記混合粉末への含浸時における前記樹脂の粘度が、3350mPa・s以下である請求項12または請求項13に記載の軟磁性複合材料の製造方法。
- 平均円形度が0.895以上である軟磁性粉末からなる第1粉末を60〜80wt%と、平均円形度が0.895以上である軟磁性粉末からなり、前記第1粉末よりも平均粒子径が小さい第2粉末を20〜40wt%とを混合して、混合粉末を作製し、
所定の容器内にコイルを配置し、
前記容器内に、前記混合粉末を充填し、その容器を振動させ、
容器内に充填された前記混合粉末に対して、樹脂を含浸させ、含浸した樹脂を硬化させることで構成された磁性コアと、前記コイルとを一体化するリアクトルの製造方法。 - 前記コイルを予め絶縁樹脂内に埋設し、絶縁樹脂内に埋設したコイルを、前記容器内に配置する請求項15に記載のリアクトルの製造方法。
- 前記容器内にコイルケースを配置し、前記コイルケース内部にコイルを配置した後、コイルケース内に絶縁樹脂を注入・固化してコイルを絶縁樹脂内に埋設し、その後、前記容器内に混合粉末を充填する請求項15に記載のリアクトルの製造方法。
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