JP2016038528A - 偏光顕微鏡および偏光顕微鏡制御装置、並びに円偏光観察方法 - Google Patents
偏光顕微鏡および偏光顕微鏡制御装置、並びに円偏光観察方法 Download PDFInfo
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【課題】円偏光観察時におけるコントラストを向上させることができるようにする。【解決手段】光源31からの光は、右円偏光素子35を有する照明光学系22により標本12に照射され、これにより標本12から発せられた光は、左円偏光素子42を有する結像光学系23により結像位置FP11に集光される。また、結像光学系23には、標本12のコントラストを調整するためのコンペンセータ41が設けられており、コンペンセータ41は、回転駆動機構46により回転される。この回転駆動機構46により、標本12の円偏光観察時において、標本12を回転させることなく標本12とコンペンセータ41の方位合わせを行い、コントラストを向上させることができる。本発明は、透過型偏光顕微鏡に適用することができる。【選択図】図1
Description
本発明は、円偏光観察時におけるコントラストを向上させることができるようにした偏光顕微鏡および偏光顕微鏡制御装置、並びに円偏光観察方法に関する。
従来、顕微鏡において円偏光素子を利用して標本を観察する円偏光観察が知られている。円偏光観察では、右円偏光素子と左円偏光素子の組み合わせにより、標本の明るさが、標本の偏光の方位に関係なく標本の有するリターデーションに応じた明るさとなる。
例えば、仮に標本に偏光特性がない場合、すなわち標本のリターデーション量がゼロである場合、観察側は暗黒の状態となる。これは一般の直線偏光を利用した偏光観察における場合と同様である。
このような顕微鏡として、顕微鏡の透過観察光学系において、円偏光素子を照明側と観察側に配置することで、円偏光観察を実現するものがある(例えば、特許文献1参照)。
ところで、例えば円偏光観察される生物標本の例として、培養細胞、臓器や筋肉の切片、単細胞生物、線虫のような微小生物がある。そして、それらの生物標本のなかの観察される部位は、細胞内の微小な構造、細胞膜形状、繊毛等であり、サイズが数ミクロンからサブミクロンといった小さな構造である。加えて、各構造体の持つ複屈折率が低いため、円偏光観察のコントラストを左右するリターデーション量は1/4波長以下という小さい値となる。
このように生物標本では、リターデーション量が小さいことから円偏光観察で得られる偏光観察画像は、標本部分が僅かに周囲より明るいという低いコントラストの画像となる。そのため、円偏光観察時に標本のコントラストを調整する技術が必要とされている。
なお、円偏光観察の標本とされるものには、上述した生物標本以外にも、アスベスト等の鉱物標本や、樹脂、セラミックス等の工業材料などにおいて、その形状が細い場合や薄い場合に生物標本と同様にコントラストの低いものがある。
しかしながら、上述した技術では、標本の偏光コントラストを向上させることはできなかった。
例えば、直線偏光素子を利用している偏光顕微鏡では、偏光素子とコンペンセータの方位が予め決められており、標本が偏光素子の方位に合わせて回転調整される。偏光顕微鏡では、このように標本を所定の回転方位に調整した後、コンペンセータを偏光顕微鏡の光路に挿入することでコントラストを向上させることができる。
ところが、円偏光を利用した円偏光観察の場合には、標本の方位に関係なく偏光観察が可能であるという特徴がある一方で、標本の方位が不明である。そのため、コントラストを調整するコンペンセータを、直線偏光観察時のように予め決められた方位で光路に挿入したとしても期待するコントラスト向上の効果を得ることができない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、円偏光観察時におけるコントラストを向上させることができるようにするものである。
本発明の偏光顕微鏡は、第1の円偏光素子を有し、標本に光を照射する照明光学系と、第2の円偏光素子を有し、前記標本からの光の像を結像させる結像光学系と、前記照明光学系と前記結像光学系の光路における前記第1の円偏光素子と前記第2の円偏光素子の間に配置されたコンペンセータと、前記光路と平行な直線を回転軸として前記コンペンセータを回転させる回転駆動機構とを備えることを特徴とする。
本発明の偏光顕微鏡制御装置は、第1の偏光板および第1の1/4波長板からなる第1の円偏光素子を有し、標本に光を照射する照明光学系と、第2の偏光板および第2の1/4波長板からなる第2の円偏光素子を有し、前記標本からの光の像を結像させる結像光学系との光路における、前記第1の円偏光素子と前記第2の円偏光素子の間に配置されたコンペンセータを、前記光路と平行な直線を回転軸として回転させるコンペンセータ回転制御部と、前記光路に対する前記コンペンセータの挿脱を制御するコンペンセータ挿脱部と、前記光路に対する前記第1の1/4波長板の挿脱を制御する第1の1/4波長板挿脱部と、前記光路に対する前記第2の1/4波長板の挿脱を制御する第2の1/4波長板挿脱部と、前記標本が載置されたステージの回転を制御するステージ回転制御部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、円偏光観察時におけるコントラストを向上させることができる。
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。
〈第1の実施の形態〉
〈透過型偏光顕微鏡の構成例〉
図1は、本発明を適用した透過型偏光顕微鏡の一実施の形態の構成例を示す図である。
〈透過型偏光顕微鏡の構成例〉
図1は、本発明を適用した透過型偏光顕微鏡の一実施の形態の構成例を示す図である。
透過型偏光顕微鏡11は、偏光特性を有する標本12を円偏光観察するための透過型の偏光顕微鏡であり、観察対象となる標本12は透過型偏光顕微鏡11のステージ21上に載置される。
例えばステージ21は、標本12を照明するための照明光学系22と、標本12を観察するための結像光学系23との光軸OA11に対して垂直な方向に移動することで、光軸OA11に対する標本12の位置を調整する。なお、ステージ21は、光軸OA11を中心に標本12を回転させる機構が設けられた回転ステージとされてもよい。
また、透過型偏光顕微鏡11に設けられた光学系は透過型の光学系であるため、透過型偏光顕微鏡11には、光学系として標本12を挟むようにして照明光学系22と結像光学系23とが設けられている。
照明光学系22は照明光を標本12に照射し、結像光学系23は、照明光を標本12に照射することで標本12から発せられた観察光の像を結像させる。
すなわち、光源31から発せられた照明光としての自然光は、コレクタレンズ32、視野絞り33、およびリレーレンズ34を通って、右円偏光素子35に入射する。
右円偏光素子35は、直線偏光素子である偏光板36と、1/4波長板37とにより構成されており、リレーレンズ34から入射した自然光を右円偏光の光に変換する。すなわち、リレーレンズ34からの自然光は偏光板36により直線偏光の光に変換され、さらにこの直線偏光の光は1/4波長板37により右円偏光の光に変換されて開口絞り38に入射する。
また、右円偏光素子35から開口絞り38に入射した右円偏光の光は、開口絞り38を通ってコンデンサレンズ39により集光され、標本12に照射される。
照明光学系22は、このようにして光源31からの照明光により標本12を照明するコレクタレンズ32乃至コンデンサレンズ39から構成される。
また、照明光学系22により標本12に照明光が照射され、これにより標本12から発せられる光は観察光となって対物レンズ40に入射する。そして、標本12から対物レンズ40に入射した光は対物レンズ40により集光され、コンペンセータ41を通って左円偏光素子42に入射する。
コンペンセータ41は、例えばリターデーション量が1/4波長以下である1/4波長板などからなり、結像光学系23の光路に挿脱可能に設けられている。この例では、コンペンセータ41は観察側、つまり結像光学系23側の左円偏光素子42と、対物レンズ40との間に設けられている。特に、標本12のリターデーション量が小さい場合には、コンペンセータ41のリターデーション量を1/4波長以下とすると、コントラストの向上に有効である。
左円偏光素子42は、1/4波長板43と、直線偏光素子である偏光板44とにより構成されており、コンペンセータ41から入射した光を直線偏光の光に変換する。すなわち、コンペンセータ41からの光は1/4波長板43により直線偏光の光に変換され、さらにこの直線偏光の光は偏光板44を通って第二対物レンズ45に入射する。
第二対物レンズ45は、左円偏光素子42から入射した光の像を所定の結像位置FP11に結像させる。標本12からの光が結像位置FP11で結像されると、観察者は、その像を接眼レンズを介して観察したり、結像位置FP11で結像された像を撮像することで得られた偏光観察画像上で標本12を観察したりすることができるようになる。
結像光学系23は、このようにして標本12からの光を結像させる対物レンズ40乃至第二対物レンズ45から構成される。
また、透過型偏光顕微鏡11には、照明光学系22と結像光学系23の光軸OA11を回転軸として、光軸OA11を中心に矢印B11の方向にコンペンセータ41を回転させる回転駆動機構46も設けられている。この回転駆動機構46は透過型偏光顕微鏡11の内部または外部に設けられてもよいし、コンペンセータ41に設けられるようにしてもよい。また、コンペンセータ41は、光軸OA11、つまり結像光学系23の光路と平行な直線を軸として回転されてもよい。
なお、円偏光による標本12の観察は、右円偏光と左円偏光を組み合わせればよいので、照明光学系22側に左円偏光素子を設け、結像光学系23側に右円偏光素子を設ける構成としてもよい。
例えば、左円偏光素子42の偏光板44と1/4波長板43が、図2に示す偏光板36と1/4波長板37の方位関係を有し、右円偏光素子35の偏光板36と1/4波長板37が、図2に示す偏光板44と1/4波長板43の方位関係を有するようにしてもよい。
ここで、図2に右円偏光素子35を構成する偏光板36と1/4波長板37の方位関係、および左円偏光素子42を構成する1/4波長板43と偏光板44の方位関係を示す。なお、図2において、図1における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
図2の左側には、光軸OA11と垂直な方向から見た右円偏光素子35と左円偏光素子42が示されている。また、図中、右側には矢印A11に示す方向、つまり観察者側である第二対物レンズ45側から光軸OA11と平行な方向に右円偏光素子35と左円偏光素子42を見た場合における偏光板36、1/4波長板37、1/4波長板43、および偏光板44が示されている。
図中、右側に示すように偏光板36の偏光の方位は矢印AX11に示す方向とされ、1/4波長板37の進相軸は矢印AX12に示す方向とされる。矢印AX12に示される1/4波長板37の進相軸の方向は、矢印AX11に示す偏光板36の偏光の方位(方向)を、図中、反時計回りの方向に45度だけ回転させた方向となっている。
また、1/4波長板43の進相軸は矢印AX13に示す方向とされ、偏光板44の偏光の方位は矢印AX14に示す方向とされる。ここで、矢印AX14に示す偏光板44の偏光の方位は、矢印AX11に示す偏光板36の偏光の方位と垂直な方向とされている。さらに、矢印AX13に示される1/4波長板43の進相軸の方向は、矢印AX14に示す偏光板44の偏光の方位を、図中、反時計回りの方向に45度だけ回転させた方向となっている。
右円偏光素子35と左円偏光素子42を構成する各素子の方位関係が図2に示す関係となるように、右円偏光素子35と左円偏光素子42を配置することで、透過型偏光顕微鏡11では標本12の円偏光観察が可能となる。
なお、図2は、右円偏光素子35または左円偏光素子42を構成する偏光板と1/4波長板の方位関係を示すものであり、右円偏光素子35と左円偏光素子42の方位関係は関係なく円偏光観察が可能である。
また、図2に示した状態において、さらに図3の矢印Q11に示すように、右円偏光素子35の方位を図2および図3における、反時計回りの方向に45度回転させた位置にすると、1/4波長板37の方位が図3中、上下方向となる。なお、図3は、図2の右側における場合と同様に、第二対物レンズ45側から光軸OA11と平行な方向に右円偏光素子35を見た場合における偏光板36と1/4波長板37を示している。また、図3において図2における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
図3の矢印Q11に示す例では、右円偏光素子35の方位を図2に示した状態から、図3中、反時計回りの方向に45度回転させることで、偏光板36の偏光の方位は矢印AX21に示す方向とされる。また、1/4波長板37の進相軸は矢印AX22に示す方向とされる。
矢印Q11に示す状態から、さらに矢印Q12に示すように偏光板36の偏光の方位が図中、左右方向、つまり矢印AX23に示す方向となるように偏光板36を回転させると、偏光の原理から、1/4波長板37を図中、左右方向の直線偏光がそのまま透過することになる。つまり、1/4波長板37が光路に挿入されたままの状態で、通常の偏光顕微鏡のポラライザと同じ方位の直線偏光が得られるという効果が得られる。
また、ここでは右円偏光素子35や左円偏光素子42が、偏光素子と1/4波長板から構成される例について説明したが、右円偏光素子35や左円偏光素子42を、偏光素子と1/4波長板を一体化した円偏光板としてもよい。
そのような場合、円偏光素子を構成する偏光素子と1/4波長板が別の素子となっている場合と比べて、円偏光板をより薄くすることができるだけでなく、透過型偏光顕微鏡11の光軸OA11への円偏光板の挿脱を一度に行なうことが可能となる。
〈標本の円偏光観察について〉
以上のように透過型偏光顕微鏡11の光学系は、円偏光による光学系とされているため、標本12の構造による偏光方向を考えることなく、ステージ21上に任意の方向で標本12を置いて円偏光観察を行なうことができる。
以上のように透過型偏光顕微鏡11の光学系は、円偏光による光学系とされているため、標本12の構造による偏光方向を考えることなく、ステージ21上に任意の方向で標本12を置いて円偏光観察を行なうことができる。
例えば、標本12が生物標本である場合、標本12のリターデーション量は小さく、観察される標本12のコントラストは低くなる。そこで、観察者は結像光学系23の光路中にコンペンセータ41を挿入し、標本12のコントラストを向上させる。
すなわち、観察者は透過型偏光顕微鏡11を操作して、回転駆動機構46により光軸OA11を中心としてコンペンセータ41を回転させることで、標本12とコンペンセータ41の方位合わせを行い、標本12のコントラストが最適なものとなるように調整する。
例えば観察者は、図示せぬモニタに表示された偏光観察画像を確認しながらコンペンセータ41を回転させ、偏光観察画像上の標本12のコントラストを調整する。このとき、標本12を通るより速度の速い光波の振動方向(以下、振動方向X’と称する)と、コンペンセータ41を通るより速度の速い光波の振動方向X’とが一致すると、標本12のコントラストは最も強くなる。
このように透過型偏光顕微鏡11では、コンペンセータ41を回転させることで、標本12内部の異なった方位の構造体に合わせてコントラストを変えることができるので、標本12を回転させずに任意の構造体を強調して観察することができる。
標本12を回転させずに各構造体を観察することができれば、標本12全体を走査して特定の物質を探したり、微小な欠陥を見つけ出したりする場合に、標本12の各観察部位を透過型偏光顕微鏡11の視野内に移動させる度に標本12を回転させずに済む。これにより、標本12の走査の時間を短縮することができる。
例えば、空気中のアスベストをフィルタで捉えて顕微鏡用に標本化し、標本全体からアスベストを見つけ出す場合、つまりスクリーニングを行う場合、通常の直線偏光による観察では観察視野を移動させる度に標本を90度以上回転しなければアスベストを見落としてしまう。これに対して、透過型偏光顕微鏡11では、方位に関係なく観察を可能とする右円偏光素子35や左円偏光素子42と、回転可能なコンペンセータ41とを有しているので、標本12の回転が不要であり、最適なコントラストでアスベストを見つけ出すことが可能となる。
また、観察時に標本12を回転させる必要がないので、透過型偏光顕微鏡11を構成するステージ21として、回転ステージよりも安価な、直交方向に移動するXYステージを利用することが可能である。
その他、観察時に標本12を回転させてしまうと、回転中にピント位置がずれたり、観察視野内での移動を起こしたりすることがあり、その修正に手間がかかってしまうが、透過型偏光顕微鏡11では、そのような修正が不要であり、使い勝手を向上させることができる。
さらに、従来の円偏光観察が可能な顕微鏡では、標本のリターデーション量を概測することができなかったが、透過型偏光顕微鏡11では、標本12のリターデーション(複屈折の量)を測定することができる。
標本12のリターデーションの測定時には、右円偏光素子35と左円偏光素子42の方位関係を図2に示した関係とし、さらに標本12およびコンペンセータ41の方位を、偏光板36または偏光板44の方位、つまり消光位に合わせる必要がある。ここで消光位とは、直線偏光素子である偏光板36と偏光板44をクロスニコルの状態で配置し、偏光板36と偏光板44の間に標本12とコンペンセータ41を配置したときに観察側が暗くなる方位である。
標本12とコンペンセータ41が消光位となるように方位調整が行なわれると、続いて測定用コンペンセータの手順に従った操作が行なわれ、リターデーションが測定される。
例えば、コンペンセータ41がセナルモン・コンペンセータである場合、セナルモン・コンペンセータによる標本12のリターデーション測定の手順概要は次のようになる。
すなわち、まずコンペンセータ41が消光位となっている状態のまま光路から一度外される。
次に、例えば回転ステージからなるステージ21により標本12が消光位から光軸OA11を中心として45度だけ回転されて対角位とされ、一度光路から外されたコンペンセータ41が再び光路に入れられる。
さらに、アナライザにあたる偏光板44が回転されて標本観察像が暗い方位となる角度が読み取られる。このようにして読み取られた角度が、照明基準波長に対する標本12のリターデーションとなる。
なお、ここでは、標本12のリターデーションの測定の例として、セナルモン・コンペンセータを利用する場合について説明したが、他のコンペンセータが用いられる場合にも、リターデーションの測定が可能である。
例えば、1/10波長以下という小さなリターデーション量を測定するブレースケーラ・コンペンセータをコンペンセータ41として用いる場合にも、上述したセナルモン・コンペンセータにおける場合と同様の手順でリターデーションを測定することができる。
さらに、透過型偏光顕微鏡11によれば、標本12の形態とリターデーションの関係を見出すことができる。そのような場合、コンペンセータ41として、予め方位が分かっているコンペンセータ、特にリターデーション量が530nmである鋭敏色板と呼ばれるコンペンセータが利用される。
この場合、上述したように回転駆動機構46によりコンペンセータ41を回転可能とすることで、標本12を回転させることなく、コンペンセータ41を回転させて標本12の形態とリターデーションの関係を見出すことができる。すなわち、観察者は、回転駆動機構46によりコンペンセータ41を回転させることで、コンペンセータ41と標本12との方位を合致させ、鋭敏色と呼ばれる赤紫色からの色の変化により標本12の形態とリターデーションの関係を見出すことができる。ここで、標本12の形態とは、例えば標本12の伸長方向などの形状である。
例えば、鋭敏色板と呼ばれるリターデーションが530nmであるコンペンセータが、直交する直線偏光フィルタ間に置かれているとする。そして方位関係において、鋭敏色板の結晶の光波の速い振動方向X’(または光波の遅い振動方向Z’)が、直線偏光フィルタによる光波の振動方向に対して45度の角度をなす位置になると、鋭敏色板は赤紫色を呈する。
このような状態で、直線偏光フィルタ間にリターデーションが200nm以下である標本を入れて回転させ、標本の振動方向X’を鋭敏色板の振動方向X’に合致させると、これまで観察されていた赤紫色が、青色または青色がかった色に変化する。仮に、標本の振動方向X’を鋭敏色板の振動方向Z’と合致させると、これまで観察されていた赤紫色は、黄色または黄色がかった色に変化する。
このような相加、相減と呼ばれる現象を利用すれば、標本の光学性とおおよそのリターデーションを知ることができる。
これに対して、円偏光フィルタの間に鋭敏色板を入れると、鋭敏色板の回転方向に関係なく鋭敏色板は赤紫色を呈する。すなわち、図1において右円偏光素子35と左円偏光素子42の間にコンペンセータ41として鋭敏色板を配置すると、回転駆動機構46によるコンペンセータ41の回転角度に関係なく、観察側からは赤紫色が観察される。
この状態で、標本12としてリターデーションが200nm以下である標本12を透過型偏光顕微鏡11の光路上に置いてコンペンセータ41(鋭敏色板)を回転させたとする。このとき、標本12の振動方向X’とコンペンセータ41の振動方向X’とが合致すると、観察される標本12は青色または青色がかった色に変化する。観察者は、標本12の色と、干渉色チャートとから、標本12のおおよそのリターデーションを知ることができる。
また、コンペンセータ41を回転させ、標本12の振動方向X’と、コンペンセータ41の光波の遅い振動方向Z’とが合致すると、観察される標本12は黄色または黄色がかった色に変化する。
このように円偏光フィルタである右円偏光素子35や左円偏光素子42と、鋭敏色板であるコンペンセータ41とを利用し、コンペンセータ41を回転可能とすれば、標本12を回転せずに、標本12の光学性とおおよそのリターデーションを知ることができる。
例えば、標本12がアスベストである場合、アスベストの種類によって、細長い結晶の長い方向が振動方向X’であるか、または振動方向Z’であるかが異なっていることが知られている。上述したように透過型偏光顕微鏡11では、円偏光フィルタである右円偏光素子35や左円偏光素子42を利用して、標本12としてのアスベストの回転方向に関係なく標本12を観察することができる。さらに、透過型偏光顕微鏡11では、鋭敏色板をコンペンセータ41として利用し、回転可能とすることで、アスベストの種類の判定や、アスベストのリターデーションの概測が可能となる。
また、透過型偏光顕微鏡11のコンペンセータ41としてくさび形検板(くさび形コンペンセータ)を用いれば、標本12のリターデーション量を概測することができる。
そのような場合、まずコンペンセータ41としてのくさび形検板が透過型偏光顕微鏡11に挿入され、コンペンセータ41の方位が標本12の方位と合致するように、回転駆動機構46によりコンペンセータ41が回転されて、方位合わせが行なわれる。より詳細には、コンペンセータ41と標本12の方位が、偏光板36と偏光板44に対して対角位となるように、コンペンセータ41と標本12の偏光の方位が調整される。
さらに、コンペンセータ41が、その長手方向、すなわち例えば図1中、左右方向等の不図示の動作の光軸に直角な方向にスライドされて、コンペンセータ41のリターデーション量が変更される。そして、コンペンセータ41の位置が、標本12のリターデーションとコンペンセータ41のリターデーションとが打ち消し合う位置となったとき、コンペンセータ41にあるリターデーション量の目盛が読み取られる。この読み取られた目盛の値から標本12のリターデーション量が分かる。
但し、くさび形検板の目盛は1λ単位と粗いため、リターデーション量の精密な測定はできない。つまり、リターデーション量の概測ができるだけである。
〈第1の実施の形態の変形例〉
〈透過型偏光顕微鏡の構成例〉
また、以上においては、コンペンセータ41が観察側、つまり結像光学系23に設けられる例について説明したが、コンペンセータ41が照明側、つまり照明光学系22に設けられるようにしてもよい。
〈透過型偏光顕微鏡の構成例〉
また、以上においては、コンペンセータ41が観察側、つまり結像光学系23に設けられる例について説明したが、コンペンセータ41が照明側、つまり照明光学系22に設けられるようにしてもよい。
そのような場合、透過型偏光顕微鏡11は、例えば図4に示すように構成される。なお、図4において、図1における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
図4に示す透過型偏光顕微鏡11では、コンペンセータ41は照明側の右円偏光素子35とコンデンサレンズ39の間に設けられており、回転駆動機構46により矢印B11の方向に回転される。また、結像光学系23は、対物レンズ40、左円偏光素子42、および第二対物レンズ45からなり、結像光学系23にはコンペンセータは設けられていない。
このような透過型偏光顕微鏡11では、光源31から発せられた照明光は、コレクタレンズ32、視野絞り33、リレーレンズ34、右円偏光素子35、コンペンセータ41、開口絞り38、およびコンデンサレンズ39を通って標本12に照射される。
そして、これにより標本12から発せられた光は、対物レンズ40、左円偏光素子42、および第二対物レンズ45を通って結像位置FP11で結像する。
このような円偏光観察時には、回転駆動機構46によりコンペンセータ41が回転され、コントラストの調整等が行なわれる。
〈第2の実施の形態〉
〈透過型偏光顕微鏡の構成例〉
さらに、透過型偏光顕微鏡11にコンペンセータ41を傾斜させる機構を設けることで、コントラスト調整量を増加させるようにしてもよい。
〈透過型偏光顕微鏡の構成例〉
さらに、透過型偏光顕微鏡11にコンペンセータ41を傾斜させる機構を設けることで、コントラスト調整量を増加させるようにしてもよい。
そのような場合、透過型偏光顕微鏡11は例えば図5に示すように構成される。なお、図5において図1における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は省略する。
図5に示す透過型偏光顕微鏡11では、図1に示した透過型偏光顕微鏡11に対してさらに傾斜機構71が設けられている。
傾斜機構71は、例えば光軸OA11と垂直な直線を回転軸としてコンペンセータ41を回転させることで、コンペンセータ41を傾斜させる。これにより、例えばコンペンセータ41の面が光軸OA11と直交している状態から、コンペンセータ41の面の法線と光軸OA11とが所定の角度をなす状態となるように、コンペンセータ41が傾けられる。
このようにコンペンセータ41を傾斜させることで、コンペンセータ41のリターデーション量を増加させることができる。その結果、観察者により観察される標本12の像や、偏光観察画像上の標本12のコントラストの調整量を増加させることができるようになる。
〈第3の実施の形態〉
〈コントラストを調整するシステムの構成例〉
また、標本12の円偏光観察時に、観察者が偏光観察画像を見ながらコンペンセータ41を回転させてコントラストを調整するようにしてもよいが、自動制御によりコントラスト調整がされるようにしてもよい。
〈コントラストを調整するシステムの構成例〉
また、標本12の円偏光観察時に、観察者が偏光観察画像を見ながらコンペンセータ41を回転させてコントラストを調整するようにしてもよいが、自動制御によりコントラスト調整がされるようにしてもよい。
以下では、観察側からみた標本12の画像である偏光観察画像をテレビジョンカメラで撮影するときに、偏光観察画像のコントラストを自動的に制御する例について説明する。
そのような場合、標本12のコントラストを調整するシステムは、図6に示すように構成される。なお、図6において図1における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
図6では、透過型偏光顕微鏡111を構成する図示せぬステージ21に標本12が載置される。透過型偏光顕微鏡111には、図1に示した照明光学系22と結像光学系23とが設けられており、結像光学系23における左円偏光素子42と対物レンズ40の間には、結像光学系23に対して挿脱可能なコンペンセータ41が配置されている。
また、コンペンセータ41には回転駆動機構112が設けられており、コンペンセータ41は回転駆動機構112により駆動され、図示せぬ光軸OA11を中心として回転する。
さらに、透過型偏光顕微鏡111における結像位置FP11には、標本12の画像をとらえるテレビジョンカメラである撮影部113が取り付けられている。撮影部113は、第二対物レンズ45から入射した光を光電変換し、得られた画像信号をCCU(camera control unit)114(カメラコントロールユニット)に供給する。
撮影部113の制御はCCU114により行なわれ、撮影部113で得られた画像信号は、CCU114によりモニタ115に供給される。モニタ115は、CCU114からの画像信号に基づいて偏光観察画像を表示する。
また、撮影部113で得られた画像信号は、CCU114により制御装置116にも供給される。制御装置116は、CCU114からの画像信号に基づいて回転駆動機構112によるコンペンセータ41の回転や、回転ステージからなるステージ21の回転を制御する。
次に、回転駆動機構112の制御について説明する。
例えば、標本12がアスベストなどの1本の繊維状の標本であり、その標本12の長手方向に直角な方向の画像信号を得るとする。すなわち、標本12の長手方向と垂直な方向から標本12の撮影を行い、偏光観察画像の画像信号を得るものとする。
そのような場合に透過型偏光顕微鏡111において、光源31からの光が照明光学系22、標本12、および結像光学系23を通って撮影部113に入射し、撮影部113による光電変換によって図7に示す画像信号が得られたとする。
なお、図7において横軸は光軸OA11と垂直な方向の各検出位置、つまり偏光観察画像における標本12の長手方向の各位置を示しており、縦軸は偏光観察画像の画像信号の各位置における信号強度を示している。
例えば、図中、上側に示す偏光観察画像の画像信号SG11では、画像信号SG11の信号強度が他の位置よりも高い領域SA11の部分が、標本12の領域となっている。画像信号SG11は、領域SA11における信号強度が予め定められた閾値TH11よりも低くなっており、周囲の信号強度と同様に標本12の部分である領域SA11の信号強度が低い状態となっている。つまり、偏光観察画像では標本12のコントラストが低い状態となっている。
一方、図中、下側に示す偏光観察画像の画像信号SG12は、標本12の部分が閾値TH11以上の高い信号強度となり、十分なコントラストとなった状態を示している。
すなわち、画像信号SG12において、信号強度が他の位置よりも高い領域SA12の部分が標本12の領域であり、領域SA12の信号強度は閾値TH11以上の強度となっている。また、画像信号SG12の領域SA12以外の部分の信号強度は閾値TH11未満の値となっている。したがって、画像信号SG12が得られる状態では、偏光観察画像上の標本12のコントラストは十分高い状態となっている。
例えば、制御装置116は、CCU114から供給された画像信号の各検出位置の信号強度が図7中、上側に示した画像信号SG11のように閾値TH11未満である場合、回転駆動機構112を制御してコンペンセータ41を回転させる。このとき、制御装置116は、図7中、下側に示した画像信号SG12のように、所定の検出位置における信号強度が閾値TH11以上となるように、コンペンセータ41を回転させる。
このようなコンペンセータ41の回転制御を行なえば、標本12の円偏光観察時において、観察者は特に何も操作することなく適切なコントラストの偏光観察画像を得ることができる。
また、図6に示した構成では、第1の実施の形態で説明したセナルモン・コンペンセータを利用した標本12のリターデーション測定を行うことができる。
そのような場合、クロスニコルの配置とされた偏光板36と偏光板44に対して、標本12とコンペンセータ41が消光位となっている状態から、ステージ21としての回転ステージを45度回転させるのに制御装置116が利用される。
すなわち、制御装置116は、CCU114から供給される画像信号に基づいてステージ21を制御し、標本12が最も明るい方位である対角位となるようにステージ21を回転させ、方位調整を行なう。
偏光観察画像における標本12の明るさが最も明るくなるように標本12の位置(方位)を調整するのには、人の目よりもテレビジョンカメラなどの撮影部113や制御装置116などからなる検出機構の方が適している。したがって、制御装置116による回転制御を利用すれば、より高精度なリターデーション測定を実現することができる。
また、上述した閾値TH11は、予め定められた値とされてもよいし、標本12ごとに動的に設定された値、つまり可変値とされるようにしてもよい。
例えば、観察者が偏光観察画像における標本12の観察すべき位置を指定した場合、制御装置116は、観察者により指定された位置の画像信号と同じ信号強度を有する偏光観察画像上の領域を観察領域とする。そして、制御装置116は、観察領域の信号強度と、偏光観察画像の観察領域とは異なる領域(以下、ノイズ領域とも称する)の信号強度とに基づいて、閾値TH11を算出する。具体的には、例えば観察領域の信号強度とノイズ領域の信号強度との中間の値が、閾値TH11とされる。
また、観察者が観察領域を指定する場合について説明したが、制御装置116が観察領域を決定するようにしてもよい。そのような場合、例えば制御装置116は、予め観察領域となる標本12の画像や形状などを保持しておき、画像認識や形状認識などにより、偏光観察画像から観察領域を抽出する。
なお、目的となる観察領域を検出するためには、観察領域の信号強度は、ノイズ領域の信号強度の幅に対して5倍以上の差があることが好ましい。そこで、ノイズ領域の信号強度の幅、例えばノイズ領域における信号強度の最大値と最小値の差の5倍の値が閾値TH11とされるようにしてもよい。
また、この場合、観察領域の信号強度が、ノイズ領域の信号強度の幅の5倍以上とならないときには、手動により閾値TH11が設定されたり、標本12とノイズの信号強度差が大きくなるように、偏光観察画像に画像処理が施されたりするようにしてもよい。画像処理においては、画像信号の信号強度が大きい部分や小さい部分、つまり明るい部分や暗い部分よりも、信号強度が中程度である部分が強調されるようにすればよい。
さらに、図6におけるシステムにおいて回転駆動機構112を、図示せぬ直線駆動機構に置き換え、コンペンセータ41としてくさび形検板(くさび形コンペンセータ)や、ベレック・コンペンセータなどを用いれば、標本12のリターデーション量を測定することができる。
そのような場合、第1の実施の形態で説明したように、観察者はクロスニコルの配置とされた偏光板36と偏光板44に対して、標本12とコンペンセータ41が消光位となるように、標本12とコンペンセータ41を配置する。さらに、標本12とコンペンセータ41が対角位となるように方位調整が行なわれる。
そして、制御装置116は、CCU114から供給される画像信号に基づいて直線駆動機構を制御することで、画像信号における標本12の部分の信号強度が最小となるように、コンペンセータ41を駆動する。
つまり、画像信号における標本12の部分、例えば図7に示した領域SA11の部分の信号強度が、標本12のない周囲の部分の信号強度と同じレベルとなるように、コンペンセータ41が直線駆動機構により駆動される。
そして、画像信号における標本12の部分の信号強度が最小となる状態とされると、観察者は、コンペンセータ41にある目盛を読み取って、読み取った数値を標本12のリターデーション量とする。
〈第4の実施の形態〉
〈透過型偏光顕微鏡の構成例〉
また、透過型偏光顕微鏡において、コンペンセータ41や他の光学素子を光路に対して挿脱したり、他の光学素子を回転駆動させたりする機構がさらに設けられるようにしてもよい。そのような場合、透過型偏光顕微鏡は、例えば図8に示すように構成される。なお、図8において、図1における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
〈透過型偏光顕微鏡の構成例〉
また、透過型偏光顕微鏡において、コンペンセータ41や他の光学素子を光路に対して挿脱したり、他の光学素子を回転駆動させたりする機構がさらに設けられるようにしてもよい。そのような場合、透過型偏光顕微鏡は、例えば図8に示すように構成される。なお、図8において、図1における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
図8に示す透過型偏光顕微鏡151には、ステージ21を挟むようにして照明光学系22と結像光学系23とが設けられている。
また、透過型偏光顕微鏡151には、照明光学系22に対して1/4波長板37を挿脱する挿脱機構171、結像光学系23に対してコンペンセータ41を挿脱する挿脱機構172、および結像光学系23に対して1/4波長板43を挿脱する挿脱機構173が設けられている。
さらに、透過型偏光顕微鏡151には、光軸OA11を回転軸として偏光板44を回転させる回転機構174が設けられている。
なお、透過型偏光顕微鏡151では、コンペンセータ41は、セナルモン・コンペンセータから構成され、ステージ21は電動の回転ステージから構成されるものとする。また、照明光学系22における光源31と右円偏光素子35との間には、図示せぬ干渉フィルタが設けられているものとし、干渉フィルタの基準波長は546nmであるとする。さらに、1/4波長板43および1/4波長板37の基準波長も546nmであるものとする。
〈顕微鏡システムの構成例〉
このような透過型偏光顕微鏡151の各部の駆動を図示せぬコントローラにより制御すれば、より簡単に標本12のリターデーション量を測定することが可能となる。
このような透過型偏光顕微鏡151の各部の駆動を図示せぬコントローラにより制御すれば、より簡単に標本12のリターデーション量を測定することが可能となる。
例えば、透過型偏光顕微鏡151で観察される標本12のリターデーション量を測定する顕微鏡システムは、図9に示す構成とすることができる。すなわち、図9に示す顕微鏡システムは、透過型偏光顕微鏡151、撮影装置201、コントローラ202、およびモニタ203から構成される。
透過型偏光顕微鏡151に装着された撮影装置201は、コントローラ202の制御に応じて、第二対物レンズ45から入射した光を光電変換し、得られた偏光観察画像の画像信号をコントローラ202に供給する。この撮影装置201は、透過型偏光顕微鏡151の結像位置FP11に配置される。
コントローラ202は、撮影装置201から供給された偏光観察画像をモニタ203に供給して表示させたり、透過型偏光顕微鏡151の各素子の光路への挿脱や回転駆動を制御したりする。
すなわち、コントローラ202の入力部211は、例えばマウスやボタンなどからなり、観察者の入力操作に応じた信号を制御部213に供給する。また、記録部212は、各種の画像やプログラムを記録する。
制御部213は、入力部211からの信号に応じて、コントローラ202全体の動作を制御する。例えば、制御部213は、撮影された偏光観察画像をモニタ203に供給して表示させる。1/4波長板挿脱部214は、制御部213の指示に従って透過型偏光顕微鏡151の挿脱機構171の駆動を制御する。ステージ制御部215は、制御部213の指示に従ってステージ21の駆動を制御する。
コンペンセータ挿脱部216は、制御部213の指示に従って挿脱機構172の駆動を制御し、コンペンセータ回転部217は、制御部213の指示に従って回転駆動機構46の駆動を制御する。
1/4波長板挿脱部218は、制御部213の指示に従って挿脱機構173の駆動を制御する。偏光板回転部219は、制御部213の指示に従って回転機構174の駆動を制御する。撮影制御部220は、制御部213の指示に従って撮影装置201による画像の撮影を制御したり、撮影された画像を制御部213に供給したりする。
このようなコントローラ202によれば、図6を参照して説明した例と同様に、コンペンセータ回転部217が、撮影装置201で得られた偏光観察画像に基づいて回転駆動機構46を制御し、コンペンセータ41を回転させることで、標本12のコントラスト調整を行なうことができる。
〈リターデーション測定処理の説明〉
次に、図9に示した顕微鏡システムの動作について説明する。
次に、図9に示した顕微鏡システムの動作について説明する。
例えば観察者により標本12のリターデーション量の測定開始が指示されると、コントローラ202はリターデーション測定処理を開始して、標本12のリターデーションを測定する。このとき、コントローラ202は、透過型偏光顕微鏡151に1/4波長板37、コンペンセータ41、および1/4波長板43が挿入されていない状態とさせる。
すなわち、制御部213は、1/4波長板挿脱部214、コンペンセータ挿脱部216、および1/4波長板挿脱部218に対して、光学素子の光路からの取り外し(抜去)を指示する。すると、1/4波長板挿脱部214は、制御部213の指示に応じて挿脱機構171を駆動させ、1/4波長板37が照明光学系22から外された状態とさせる。同様に、1/4波長板挿脱部218は、制御部213の指示に応じて挿脱機構173を駆動させ、1/4波長板43が結像光学系23から外された状態とさせる。また、コンペンセータ挿脱部216は、制御部213の指示に応じて挿脱機構172を駆動させ、コンペンセータ41が結像光学系23から外された状態とさせる。
このような状態となると、コントローラ202はリターデーション測定処理を行なって、標本12のリターデーションを測定する。以下、図10のフローチャートを参照して、コントローラ202によるリターデーション測定処理について説明する。
ステップS11において、撮影制御部220は、撮影装置201を制御して偏光観察画像の撮影を開始する。撮影制御部220は、撮影装置201による撮影により得られた偏光観察画像を撮影装置201から取得して、制御部213に供給する。制御部213は、撮影制御部220からの偏光観察画像をモニタ203に供給して表示させる。
なお、この時点において、ステージ21上の標本12は、その標本12内の観察対象物から外れた透明な部分を観察位置としている。このとき、観察に十分なサイズの透明な部分がない場合には、透明部分を持つ他の標本12に交換される。また、この時点では、偏光板36と偏光板44とがクロスニコルの状態で配置されている。
ステップS12において、コンペンセータ挿脱部216は、挿脱機構172を駆動させ、コンペンセータ41を結像光学系23の光路に挿入させる。
ステップS13において、コンペンセータ回転部217は、制御部213を介して撮影制御部220から供給された偏光観察画像に基づいて回転駆動機構46を駆動させ、偏光観察画像が暗くなるようにコンペンセータ41を回転させる。例えば、偏光観察画像全体の信号強度が最小となるようにコンペンセータ41が回転される。これにより、コンペンセータ41の方位が、偏光板36と偏光板44の方位に対して消光位となるように方位調整される。
ステップS14において、コンペンセータ挿脱部216は、挿脱機構172を駆動させ、コンペンセータ41を結像光学系23の光路から外させる。
このようにしてコンペンセータ41の方位調整が行なわれると、観察者は標本12内にある観察対象物を観察位置に移動させ、透過型偏光顕微鏡151の観察視野内で標本12の目的とする部位が観察されるように、必要に応じて透過型偏光顕微鏡151に対する操作を行なう。例えば、観察者は入力部211を操作して、ステージ制御部215にステージ21を水平方向に移動させる。
ステップS15において、ステージ制御部215は、制御部213を介して撮影制御部220から供給された偏光観察画像に基づいて、偏光観察画像が暗くなるようにステージ21を回転させる。例えば、偏光観察画像全体の信号強度が最小となるようにステージ21が回転される。これにより、標本12の方位が、偏光板36と偏光板44の方位に対して消光位となるように方位調整される。
ステップS16において、ステージ制御部215は、ステージ21を45度だけ回転させる。これにより、標本12の方位が、偏光板36と偏光板44の方位に対して対角位となるように方位調整され、偏光観察画像が最も明るい状態となる。
ステップS17において、コンペンセータ挿脱部216は、挿脱機構172を駆動させ、標本12がステージ21上に置かれている状態でコンペンセータ41を結像光学系23の光路に挿入させる。
ステップS18において、偏光板回転部219は、制御部213を介して撮影制御部220から供給された偏光観察画像に基づいて回転機構174を駆動させ、偏光観察画像が暗くなるように偏光板44を回転させることで、偏光板44の方位を変化させる。例えば、偏光観察画像全体の信号強度が最小となるように偏光板44が回転される。
そして、偏光板回転部219は偏光板44を回転させた角度θを回転機構174から取得し、制御部213に供給する。
なお、偏光板回転部219は、偏光板44を回転させた結果、偏光観察画像が暗くならない場合、つまり明るくなる場合には、偏光板44をその時点において回転させている方向とは逆方向に回転させる。
ステップS19において、制御部213は、偏光板回転部219から供給された角度θに基づいて次式(1)を計算し、標本12のリターデーションReを算出する。
なお、式(1)において、θは偏光板44の回転角度を示しており、回転角度であるθ度に乗算される定数「546」は、光源31と右円偏光素子35の間に配置されている干渉フィルタの中心波長(=コンペンセータの基準波長)を示している。
制御部213は、算出した標本12のリターデーションReを必要に応じてモニタ203に供給して表示させ、リターデーション測定処理は終了する。
以上のようにしてコントローラ202は、撮影装置201により撮影された偏光観察画像を適宜利用して各素子の方位調整等を行い、標本12のリターデーションを算出する。このように、偏光観察画像を利用して各素子の方位調整を行なうことで、観察者に難しい操作をさせることなく簡単かつ高精度にリターデーションを求めることができる。
また、このようにしてリターデーションを測定した標本12について、観察者が引き続き標本12の他の部分を目的とする部分として観察し、その部分のリターデーションの測定を行なう場合がある。
そのような場合、例えば標本12が、アスベストなど標本の形状と偏光特性の方位が一致している結晶等であるときには、1/4波長板37と1/4波長板43が透過型偏光顕微鏡151の光路に挿入された状態のまま、以降のリターデーション測定を行うことができる。つまり、円偏光観察を行なっている状態でリターデーションを測定することができる。
例えば標本12の例として、アスベストの結晶は針のように細長く、アスベストの種類によりその細長い方向と各々が有する偏光特性の方位によって決まった角度関係がある。換言すれば、標本12としてのアスベストは、そのアスベストの形態(形状)に対して方位が定まっている。
このように、標本12の一部のリターデーションを測定した後、他の部分のリターデーションを測定する場合、コントローラ202は、次のようなリターデーション測定処理を行なう。すなわち以下、図11のフローチャートを参照して、このような場合にコントローラ202により行なわれるリターデーション測定処理について説明する。
なお、このリターデーション測定処理が開始される時点では、偏光板36と偏光板44とがクロスニコルの状態で透過型偏光顕微鏡151の光路に配置されている。また、1/4波長板37、1/4波長板43、およびコンペンセータ41は透過型偏光顕微鏡151の光路から外された状態となっている。
ステップS51において、撮影制御部220は、撮影装置201を制御して、現時点においてステージ21に置かれている標本12の偏光観察画像を、目標物画像として撮影させ、撮影装置201から供給された目標物画像を制御部213に供給する。制御部213は、撮影制御部220から供給された目標物画像を、必要に応じて記録部212に供給して記録させる。
この目標物画像は、これまで観察していた標本12の部分、つまり図10のフローチャートを参照して説明した1回目のリターデーション測定処理で観察対象とされた標本12の画像である。
目標物画像では、標本12の偏光の方位が、偏光板36と偏光板44の方位に対して対角位となっている。したがって、標本12の形状と偏光特性が一致している場合、これから観察しようとするステージ21上の標本12の部分と、目標物画像上の標本12とを重ね合わせれば、ステージ21上の標本12の方位は、偏光板36と偏光板44の方位に対して対角位となる。
ステップS52において、1/4波長板挿脱部214および1/4波長板挿脱部218は、挿脱機構171および挿脱機構173を駆動させ、1/4波長板37および1/4波長板43を、照明光学系22および結像光学系23の光路に挿入させる。
1/4波長板37と1/4波長板43が透過型偏光顕微鏡151の光路上に配置されると、観察者は撮影装置201で撮影され、モニタ203に表示される偏光観察画像を見ることで、標本12を円偏光観察することができるようになる。
観察者は、このような状態で、例えば入力部211を操作してステージ制御部215にステージ21を水平方向に移動させ、標本12のこれから観察しようとする部分が、透過型偏光顕微鏡151の観察視野内で観察されるようにする。
ステップS53において、制御部213は、ステップS51の処理で撮影制御部220から供給された目標物画像をモニタ203に供給して表示させる。これにより、モニタ203には、ステージ21上の標本12の偏光観察画像と目標物画像とが重畳されて表示される。
ステップS54において、ステージ制御部215は、制御部213から目標物画像と偏光観察画像を取得して、それらの目標物画像と偏光観察画像に基づいてステージ21を回転させ、目標物画像上の標本12と偏光観察画像上の標本12とを重ね合わせる。すなわち、目標物画像と偏光観察画像から得られる標本12の形態情報に基づいて、ステージ21上の観察対象としている標本12の方位が、偏光板36と偏光板44の方位に対して対角位となるように方位調整が行なわれる。
例えば標本12としてアスベスト結晶を観察する場合、目標物画像上のアスベストの輪郭と、偏光観察画像上のアスベストの輪郭とが重なるように、必要に応じてステージ21が回転されたり、ステージ21が光軸OA11とほぼ垂直な方向に平行移動されたりする。
なお、ここでは標本12の方位調整がコントローラ202により行なわれると説明したが、観察者が手動で方位調整を行なうようにしてもよい。そのような場合、観察者は、例えばモニタ203に重畳表示された目標物画像と偏光観察画像を見ながら入力部211を操作して、ステージ21を回転させたり平行移動させたりする。
このような方位調整が行なわれると、その後、ステップS55乃至ステップS57の処理が行なわれてリターデーション測定処理は終了するが、これらの処理は図10のステップS17乃至ステップS19の処理と同様であるので、その説明は省略する。なお、ステップS55の処理では、コンペンセータ41の方位が、偏光板36と偏光板44の方位に対して消光位となっている状態で、コンペンセータ41の結像光学系23の光路への挿入が行なわれる。
以上のようにしてコントローラ202は、予め撮影しておいた目標物画像を利用して標本12の方位調整を行い、標本12のリターデーションを算出する。このように、目標物画像を利用して標本12の方位調整を行なうことで、観察者に難しい操作をさせることなく簡単かつ高精度にリターデーションを求めることができる。
〈第4の実施の形態の変形例1〉
〈透過型偏光顕微鏡の構成例〉
また、図8に示した透過型偏光顕微鏡151に対して、さらに偏光板36を回転させる機構を設けることで、図3を参照して説明した機能を実現することができる。そのような場合、透過型偏光顕微鏡151は、例えば図12に示すように構成される。なお、図12において、図8における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
〈透過型偏光顕微鏡の構成例〉
また、図8に示した透過型偏光顕微鏡151に対して、さらに偏光板36を回転させる機構を設けることで、図3を参照して説明した機能を実現することができる。そのような場合、透過型偏光顕微鏡151は、例えば図12に示すように構成される。なお、図12において、図8における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
図8に示した透過型偏光顕微鏡151では、右円偏光素子35において、照明光学系22に対して1/4波長板37を挿脱する挿脱機構171が設けられた構成とされていた。これに対して、図12に示す透過型偏光顕微鏡151では、右円偏光素子35において、挿脱機構171が設けられておらず、光軸OA11を回転軸として偏光板36を回転させる回転機構231が設けられている。
このように回転機構231を設けて偏光板36を回転させ、偏光板36の偏光の方位と1/4波長板37の進相軸との関係が図3の矢印Q11に示した位置関係となるようにすれば、図8に示した透過型偏光顕微鏡151の光路に1/4波長板37と1/4波長板43が挿入された状態と同じ状態にすることができる。
また、回転機構231を設けて偏光板36を回転させ、偏光板36の偏光の方位と1/4波長板37の進相軸との関係が図3の矢印Q12に示した位置関係となるようにすれば、図8に示した透過型偏光顕微鏡151の光路に1/4波長板37と1/4波長板43が挿入されていない状態と同じ状態にすることができる。
〈第5の実施の形態〉
〈透過型偏光顕微鏡の構成例〉
なお、以上においては、コンペンセータ41がセナルモン・コンペンセータである場合に、コントローラによる制御によって、各光学素子を挿脱したり、回転駆動させたりする例について説明したが、コンペンセータ41は他のどのようなコンペンセータであってもよい。以下では、コンペンセータ41がくさび形検板である場合に、コントローラによる制御によって、各光学素子を駆動させる例について説明する。
〈透過型偏光顕微鏡の構成例〉
なお、以上においては、コンペンセータ41がセナルモン・コンペンセータである場合に、コントローラによる制御によって、各光学素子を挿脱したり、回転駆動させたりする例について説明したが、コンペンセータ41は他のどのようなコンペンセータであってもよい。以下では、コンペンセータ41がくさび形検板である場合に、コントローラによる制御によって、各光学素子を駆動させる例について説明する。
そのような場合、透過型偏光顕微鏡は、例えば図13に示すように構成される。なお、図13において、図8における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
図13に示す透過型偏光顕微鏡251には、ステージ21を挟むようにして照明光学系22と結像光学系23とが設けられている。
また、透過型偏光顕微鏡251には、1/4波長板37を挿脱する挿脱機構171、コンペンセータ41を挿脱する挿脱機構172、および1/4波長板43を挿脱する挿脱機構173が設けられている。
さらに、透過型偏光顕微鏡251には、コンペンセータ41としてのくさび形検板を構成するくさび形状の板を、光軸OA11と垂直な方向に平行移動させることで、くさび形検板のリターデーションを連続的に変化させる直線駆動機構261が設けられている。
なお、以下において、直線駆動機構261がくさび形検板のリターデーションを変化させるために、くさび形検板を構成するくさび形状の板を平行移動(スライド)させることを、単にコンペンセータ41を平行移動(スライド)させるとも称する。
また、透過型偏光顕微鏡251では、ステージ21は電動の回転ステージから構成されるものとする。さらに、光源31からは白色光が射出されるようになされており、光源31と右円偏光素子35との間には、上述した干渉フィルタは設けられていない。
〈顕微鏡システムの構成例〉
このような透過型偏光顕微鏡251の各部の駆動を図示せぬコントローラにより制御すれば、より簡単に標本12のリターデーション量を概測することが可能となる。
このような透過型偏光顕微鏡251の各部の駆動を図示せぬコントローラにより制御すれば、より簡単に標本12のリターデーション量を概測することが可能となる。
例えば、透過型偏光顕微鏡251で観察される標本12のリターデーション量を概測する顕微鏡システムは、図14に示す構成とすることができる。すなわち、図14に示す顕微鏡システムは、透過型偏光顕微鏡251、撮影装置201、コントローラ291、およびモニタ203から構成される。
なお、図14において、図9における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
透過型偏光顕微鏡251に装着された撮影装置201は、コントローラ291の制御に応じて、第二対物レンズ45から入射した光を光電変換し、得られた偏光観察画像の画像信号をコントローラ291に供給する。
コントローラ291は、撮影装置201から供給された偏光観察画像をモニタ203に供給して表示させたり、透過型偏光顕微鏡251の各素子の光路への挿脱や回転駆動を制御したりする。
コントローラ291には、入力部211、記録部212、制御部301、1/4波長板挿脱部214乃至1/4波長板挿脱部218、コンペンセータスライド部302、および撮影制御部220から構成される。
制御部301は、入力部211からの信号に応じて、コントローラ291全体の動作を制御する。コンペンセータスライド部302は、制御部301の指示に従って透過型偏光顕微鏡251の直線駆動機構261の駆動を制御し、コンペンセータ41をスライドさせるとともに、そのスライド量を直線駆動機構261から取得して制御部301に供給する。
〈リターデーション測定処理の説明〉
次に、図14に示した顕微鏡システムの動作について説明する。
次に、図14に示した顕微鏡システムの動作について説明する。
例えば観察者により標本12のリターデーション量の測定開始が指示されると、コントローラ291はリターデーション測定処理を開始して、標本12のリターデーションの概測を行う。このとき、コントローラ291は、透過型偏光顕微鏡251に1/4波長板37、コンペンセータ41、および1/4波長板43が挿入されていない状態とさせる。
このような状態となると、コントローラ291はリターデーション測定処理を行なって、標本12のリターデーションを測定する。以下、図15のフローチャートを参照して、コントローラ291によるリターデーション測定処理について説明する。
ステップS81において、撮影制御部220は、撮影装置201を制御して偏光観察画像の撮影を開始する。撮影制御部220は、撮影装置201による撮影により得られた偏光観察画像を撮影装置201から取得して、制御部301に供給する。制御部301は、撮影制御部220からの偏光観察画像をモニタ203に供給して表示させる。
なお、この時点においては、ステージ21上の標本12は、その標本12内の観察対象物から外れた透明な部分を観察位置としている。このとき、観察に十分なサイズの透明な部分がない場合には、透明部分を持つ他の標本12に交換される。また、この時点では、偏光板36と偏光板44とがクロスニコルの状態で配置されている。
ステップS82において、コンペンセータ挿脱部216は、挿脱機構172を駆動させ、コンペンセータ41を結像光学系23の光路に挿入させる。
ステップS83において、コンペンセータ回転部217は、制御部301を介して撮影制御部220から供給された偏光観察画像に基づいて回転駆動機構46を駆動させ、偏光観察画像が暗くなるようにコンペンセータ41を回転させる。すなわち、コンペンセータ41の方位が、偏光板36と偏光板44の方位に対して消光位となるように方位調整される。
ステップS84において、コンペンセータ回転部217は回転駆動機構46を駆動させ、コンペンセータ41を45度だけ回転させる。これにより、偏光観察画像が明るくなり、コンペンセータ41の方位が、偏光板36と偏光板44の方位に対して対角位となる。
ステップS85において、コンペンセータ挿脱部216は、挿脱機構172を駆動させ、コンペンセータ41を結像光学系23の光路から外させる。
このようにしてコンペンセータ41の方位調整が行なわれると、標本12内にある観察対象物を観察位置に移動させ、透過型偏光顕微鏡251の観察視野内で標本12の目的とする部位が観察されるように、必要に応じて透過型偏光顕微鏡251に対する操作を行なう。
ステップS86において、ステージ制御部215は、制御部301を介して撮影制御部220から供給された偏光観察画像に基づいて、偏光観察画像が暗くなるようにステージ21を回転させる。すなわち、標本12の方位が、偏光板36と偏光板44の方位に対して消光位となるように方位調整される。
ステップS87において、ステージ制御部215は、ステージ21を45度だけ回転させる。これにより、標本12の方位が、偏光板36と偏光板44の方位に対して対角位となるように方位調整され、偏光観察画像が最も明るい状態となる。
ステップS88において、コンペンセータ挿脱部216は、挿脱機構172を駆動させ、標本12がステージ21上に置かれている状態でコンペンセータ41を結像光学系23の光路に挿入させる。
ステップS89において、コンペンセータスライド部302は、制御部301を介して撮影制御部220から供給された偏光観察画像に基づいて直線駆動機構261を駆動させ、コンペンセータ41をスライドさせる。
例えば、コンペンセータスライド部302は、偏光観察画像上の標本12の部分に黒い縞が重なった状態となるように、コンペンセータ41が結像光学系23に挿入される方向にスライドさせる。
なお、偏光観察画像上に現れる黒い縞は、偏光観察画像の各領域の輝度値、つまり信号強度から特定することができる。
また、コンペンセータ41をスライドさせても偏光観察画像に黒い縞模様が発生しない場合には、ステージ制御部215はステージ21を90度回転させる。この回転方向は、時計回りの方向でもよいし、反時計回りの方向でもよい。
ステップS90において、制御部301は標本12のリターデーションを求め、リターデーション測定処理は終了する。すなわち、制御部301は、コンペンセータスライド部302を介して直線駆動機構261から、コンペンセータ41のスライド量を取得して、そのスライド量に基づいて標本12のリターデーションを求める。
なお、観察者がコンペンセータ41の上面にある目盛りを読み取って、その読み取られた数値が標本12のリターデーションとされるようにしてもよい。コンペンセータ41としてのくさび形検板では、1λ乃至6λという数値と、それらの数値の半分の位置にリターデーションの目盛り線が刻まれているだけであるので、正確な数値を読み取ることはできない。そのため、くさび形検板を用いて得られるリターデーションは概測値となる。
以上のようにしてコントローラ291は、撮影装置201により撮影された偏光観察画像を適宜利用して各素子の方位調整等を行い、標本12のリターデーションを算出する。このように、偏光観察画像を利用して各素子の方位調整を行なうことで、観察者に難しい操作をさせることなく簡単にリターデーションを求めることができる。
また、このようにしてリターデーションを測定した標本12について、観察者が引き続き標本12の他の部分を目的とする部分として観察し、その部分のリターデーションの測定を行なう場合には、次のようなリターデーション測定処理が行なわれる。但し、この場合、標本12がアスベストなど、標本12の形状と偏光特性に一定の方位関係を持つ結晶等である必要がある。
以下、図16のフローチャートを参照して、このような場合にコントローラ291により行なわれるリターデーション測定処理について説明する。
なお、このリターデーション測定処理が開始される時点では、偏光板36と偏光板44とがクロスニコルの状態で透過型偏光顕微鏡251の光路に配置されている。また、1/4波長板37、1/4波長板43、およびコンペンセータ41は透過型偏光顕微鏡251の光路から外された状態となっている。
さらに、ステップS121乃至ステップS124の処理は、図11のステップS51乃至ステップS54の処理と同様であるので、その説明は省略する。これらの処理では、標本12が円偏光観察されている状態でステージ21が回転され、標本12の方位が偏光板36と偏光板44の方位に対して対角位となるように方位調整が行なわれる。
ステップS125において、コンペンセータ挿脱部216は、挿脱機構172を駆動させ、標本12がステージ21上に置かれている状態でコンペンセータ41を結像光学系23の光路に挿入させる。すなわち、コンペンセータ41は、偏光板36と偏光板44の方位に対して対角位となっている状態で、結像光学系23の光路に挿入される。
コンペンセータ41が結像光学系23に挿入されると、その後、ステップS126およびステップS127の処理が行なわれてリターデーション測定処理は終了するが、これらの処理は図15のステップS89およびステップS90の処理と同様であるので、その説明は省略する。
以上のようにしてコントローラ291は、予め撮影しておいた目標物画像を利用して標本12の方位調整を行い、標本12のリターデーションを求める。このように、目標物画像を利用して標本12の方位調整を行なうことで、観察者に難しい操作をさせることなく簡単にリターデーションを求めることができる。
また、コントローラ291では、図15のステップS84で方位調整が行なわれたコンペンセータ41が一度、光路から外された後、図16のステップS122で1/4波長板が光路に挿入されて、ステップS124で標本12の方位調整が行なわれる。そして、その後、方位調整済みのコンペンセータ41が再び光路に挿入される。
このように、少なくともコンペンセータ41と1/4波長板を光路に対して挿脱する機構、コンペンセータ41を回転させる機構、およびステージ21を回転させる機構を設ければ、コンペンセータ41と標本12の方位調整を簡単に行なうことができる。これにより、標本12を円偏光観察する場合でも、十分に標本12のコントラストを向上させることができる。
なお、以上においては、コンペンセータ41として1/4波長板や、セナルモン・コンペンセータ、鋭敏色板、くさび形検板などを例として説明したが、他のコンペンセータについても、上述したように回転機構を設け、透過型偏光顕微鏡に挿脱可能とすることで、同様の効果を得ることができる。すなわち、標本12の円偏光観察において、標本12を回転せずにコンペンセータ41を利用することが可能になる。
例えば、比較的大きなリターデーション量を持つ10λ板や、20λ板などのコンペンセータをコンペンセータ41として用いるようにしてもよい。
また、本技術を透過型偏光顕微鏡に適用する場合を例として説明したが、反射型の偏光顕微鏡に本技術を適用することも勿論可能である。この場合、偏光顕微鏡において、照明光学系が標本に対して結像光学系と同じ側に設けられ、照明光学系と結像光学系の一部は共通の光学系を有することになる。
さらに、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、例えばコントローラ202やコントローラ291により記録媒体から読み出されて記録される。そして、記録されたプログラムが、コントローラ202やコントローラ291により実行され、リターデーション測定処理等が行われる。
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
11 透過型偏光顕微鏡, 22 照明光学系, 23 結像光学系, 35 右円偏光素子, 36 偏光板, 37 1/4波長板, 39 コンデンサレンズ, 40 対物レンズ, 41 コンペンセータ, 42 左円偏光素子, 43 1/4波長板, 44 偏光板, 46 回転駆動機構, 71 傾斜機構, 112 回転駆動機構, 113 撮影部, 116 制御装置, 214 1/4波長板挿脱部, 215 ステージ制御部, 216 コンペンセータ挿脱部, 217 コンペンセータ回転部, 218 1/4波長板挿脱部, 219 偏光板回転部, 302 コンペンセータスライド部
Claims (13)
- 第1の円偏光素子を有し、標本に光を照射する照明光学系と、
第2の円偏光素子を有し、前記標本からの光の像を結像させる結像光学系と、
前記照明光学系と前記結像光学系の光路における前記第1の円偏光素子と前記第2の円偏光素子の間に配置されたコンペンセータと、
前記光路と平行な直線を回転軸として前記コンペンセータを回転させる回転駆動機構と
を備える偏光顕微鏡。 - 前記コンペンセータは前記光路に対して挿脱可能である
請求項1に記載の偏光顕微鏡。 - 前記コンペンセータは、前記結像光学系における前記第2の円偏光素子と対物レンズの間に配置されている
請求項1または請求項2に記載の偏光顕微鏡。 - 前記コンペンセータは、前記照明光学系における前記第1の円偏光素子とコンデンサレンズの間に配置されている
請求項1または請求項2に記載の偏光顕微鏡。 - 前記コンペンセータのリターデーション量が1/4波長以下である
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の偏光顕微鏡。 - 前記コンペンセータのリターデーション量が530nmである
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の偏光顕微鏡。 - 前記コンペンセータはくさび形検板である
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の偏光顕微鏡。 - 前記コンペンセータを傾斜させる傾斜機構をさらに備える
請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の偏光顕微鏡。 - 前記標本の観察画像の画像信号に基づいて、前記回転駆動機構による前記コンペンセータの回転を制御する制御部をさらに備える
請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の偏光顕微鏡。 - 第1の偏光板および第1の1/4波長板からなる第1の円偏光素子を有し、標本に光を照射する照明光学系と、第2の偏光板および第2の1/4波長板からなる第2の円偏光素子を有し、前記標本からの光の像を結像させる結像光学系との光路における、前記第1の円偏光素子と前記第2の円偏光素子の間に配置されたコンペンセータを、前記光路と平行な直線を回転軸として回転させるコンペンセータ回転制御部と、
前記光路に対する前記コンペンセータの挿脱を制御するコンペンセータ挿脱部と、
前記光路に対する前記第1の1/4波長板の挿脱を制御する第1の1/4波長板挿脱部と、
前記光路に対する前記第2の1/4波長板の挿脱を制御する第2の1/4波長板挿脱部と、
前記標本が載置されたステージの回転を制御するステージ回転制御部と
を備える偏光顕微鏡制御装置。 - 前記標本の方位は、前記標本の形態に対して定まっており、
前記ステージ回転制御部は、予め用意された、方位調整が行なわれた前記標本の目標物画像と、前記ステージに載置された前記標本の観察画像とに基づいて前記ステージを回転させ、前記標本の方位調整を行なう
請求項10に記載の偏光顕微鏡制御装置。 - 前記コンペンセータ回転制御部は、前記ステージに載置された前記標本の観察画像に基づいて前記コンペンセータを回転させ、前記コンペンセータの方位調整を行なう
請求項10または請求項11に記載の偏光顕微鏡制御装置。 - 第1の偏光板および第1の1/4波長板からなる第1の円偏光素子を有し、標本に光を照射する照明光学系と、第2の偏光板および第2の1/4波長板からなる第2の円偏光素子を有し、前記標本からの光の像を結像させる結像光学系との光路において、前記第1の1/4波長板と前記第2の1/4波長板が配置されていない状態で、前記第1の円偏光素子と前記第2の円偏光素子の間に配置されたコンペンセータを、前記光路と平行な直線を回転軸として回転させるコンペンセータ回転制御ステップと、
前記光路から前記コンペンセータが外された状態で、前記第1の1/4波長板および前記第2の1/4波長板を前記光路に挿入する1/4波長板挿入ステップと、
形態に対して方位が定まっているステージ上の前記標本の観察画像と、予め用意された、方位調整が行なわれた前記標本の目標物画像とに基づいて前記ステージを回転させるステージ回転制御ステップと、
前記光路に前記コンペンセータを挿入するコンペンセータ挿入ステップと
を含む円偏光観察方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014163335A JP2016038528A (ja) | 2014-08-11 | 2014-08-11 | 偏光顕微鏡および偏光顕微鏡制御装置、並びに円偏光観察方法 |
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ID=55529627
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017099755A1 (en) * | 2015-12-09 | 2017-06-15 | Board Of Regents, The University Of Texas System | Spectrally-encoded high-extinction polarization microscope and methods of use |
JP2017181608A (ja) * | 2016-03-28 | 2017-10-05 | オリンパス株式会社 | 層板骨観察用顕微鏡 |
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JP2020160211A (ja) * | 2019-03-26 | 2020-10-01 | オリンパス株式会社 | 顕微鏡、及び、リタデーション補償方法 |
-
2014
- 2014-08-11 JP JP2014163335A patent/JP2016038528A/ja active Pending
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