JP2016038280A - シンチレータパネルおよびこれを備えた放射線検出器 - Google Patents

シンチレータパネルおよびこれを備えた放射線検出器 Download PDF

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Abstract

【課題】可撓性基板上に形成され蛍光体層と、蛍光体層を覆う防湿保護膜を備えるシンチレータパネルにおいて、防湿保護膜の破断箇所が十分に薄くなり、防湿保護膜の破断を行った際にシンチレータパネルに外力が加わらず破損することを防止できるシンチレータパネルを提供する。【解決手段】可撓性基板20上に形成した蛍光体層24と、蛍光体層24の表面から可撓性基板20の蛍光体層24の形成面に対向する面まで覆う防湿保護膜28とを備えるシンチレータパネルで、可撓性基板20上において防湿保護膜28の被覆部と非被覆部との境界位置の防湿保護膜28の膜厚をaμm、境界位置から可撓性基板20の外周側へ1mm離れた位置の防湿保護膜28の膜厚をbμm、蛍光体層24表面の防湿保護膜28の膜厚をcμmとしたときに、b−a>c?0.5を満たすことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、医療診断や非破壊検査などに用いられる放射線検出器およびこの放射線検出器に用いられるシンチレータパネルに関する。
従来、エックス線画像のような放射線画像は医療現場において病状の診断に広く用いられている。近年ではデジタルの放射線画像が直接得られるフラットパネル型放射線検出器(flat panel detector:FPD)に代表されるデジタル方式の放射線検出器が登場している。
デジタル方式は、デジタルの放射線画像が得られ、陰極管や液晶パネル等の画像表示装置に画像を表示することが可能なので、必ずしも写真フィルム上への画像形成を必要としない。その結果、これらのデジタル方式の放射線検出器は、銀塩写真方式による画像形成の必要性を低減させ、病院や診療所での診断作業の利便性を大幅に向上させている。
フラットパネル型放射線検出器(FPD)には、Gd22SやCsIなどのシンチレータによって放射線を光に変換後、フォトダイオードにより電荷へ変換するシンチレータ方式を採用したものがあり、このようなシンチレータ方式のFPDは、基板上に蛍光体層が形成されたシンチレータパネルと、薄膜トランジスタおよび電荷結合素子による光電変換素子部材と、を組み合わせて成るものである。
ところで、このようなFPDに用いられるシンチレータパネルは、基板上に形成された蛍光体層が吸湿性を有するため、蛍光体層に水分が到達して劣化してしまわないよう、基板と蛍光体層とを覆うように防湿保護膜が設けられている。
このような防湿保護膜は、図12に示すように、蒸着装置120の回転台112上の平板状の保持台108に、基板102及び蛍光体層104からなるシンチレータパネル100を載置した状態で、例えば、CVD法を用いて蒸着により形成される。なお、符号114は、防湿保護膜106の基となる蒸着源である。
しかしながら、このように防湿保護膜106を形成した場合、シンチレータパネル100と保持台108とに纏めて、防湿保護膜106が形成されることになる。
このため、シンチレータパネル100を保持台108から取り上げる際、防湿保護膜106を破断してシンチレータパネル100のみを剥がし取る必要があるが、この時に、シンチレータパネル100にも外力が加わることになるため、シンチレータパネル100が破損してしまったり、もしくは、蒸着により形成した防湿保護膜106がシンチレータパネル100から剥がれてしまったりすることがある。
このため、特許文献1に開示されるように、シンチレータパネルを3点以上の微少な点で支持した状態で、防湿保護膜を形成する方法や、図13に示すように、保持台108とシンチレータパネル100の間にスペーサー110を配置して、保持台108とシンチレータパネル100とに隙間116を設けることで、隙間116に形成される防湿保護膜106が外周部から中心に向かうにつれて徐々に薄くなるように形成する方法が用いられている。
特許文献1に開示される方法では、保持台とシンチレータパネルとの接点を小さくすることで、防湿保護膜を形成した後でも保持台からシンチレータパネルを剥がしやすくすることができる。
一方で、図13に示される方法では、防湿保護膜106が徐々に薄膜化されており、防湿保護膜106の破断箇所が十分に薄くなっているため、容易に破断することができ、防湿保護膜106の破断時にシンチレータパネル100に外力が加わることなく、スペーサー110からシンチレータパネル100を剥がし取ることができる。
特開2006−38870号公報 特開2010−32298号公報
シンチレータパネルの基板として軽量化やX線透過率の観点より、可撓性基板が用いられる場合がある。このような可撓性基板を用いたシンチレータパネルに、図13に示す方法により防湿保護膜を形成すると、シンチレータパネルが反っていたり、シンチレータパネルをスペーサー110に載置した際に自重で変形してしまったりすると、隙間116が不均一となり防湿保護膜106が均一に薄膜化されない場合がある。
さらには、可撓性基板としてポリイミドなどの樹脂を用いる場合、防湿保護膜106が徐々に薄くなると、可撓性基板から透湿し、蛍光体層が吸湿劣化してしまうことがある。
また、例えば、口腔内用などの比較的小さいシンチレータパネルを製造する場合、スペーサー110を用いて防湿保護膜106を徐々に薄くする方法では、防湿保護膜106の破断箇所が十分に薄くならない場合がある。
本発明はこのような現状に鑑みなされたものであって、可撓性基板を用いた場合であっても防湿保護膜の破断箇所が十分に薄くなり、防湿保護膜の破断を行った際にシンチレータパネルに外力が加わらず、シンチレータパネルが破損することを防止でき、歩留まりに優れたシンチレータパネルおよびこれを備えた放射線検出器を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
(1)可撓性基板と、前記可撓性基板上に形成され、放射線を可視光に変換する蛍光体層と、前記蛍光体層の表面から前記可撓性基板の前記蛍光体層形成面に対向する面の一部までを覆うように形成された防湿保護膜とを少なくとも備えるシンチレータパネルであって、前記可撓性基板において、前記防湿保護膜により覆われている被覆部と前記防湿保護膜により覆われていない非被覆部との境界位置の前記防湿保護膜の膜厚をaμm、前記境界位置から前記可撓性基板の外周側へ1mm離れた位置の前記防湿保護膜の膜厚をbμm、前記蛍光体層表面の前記防湿保護膜の膜厚をcμmとしたときに、b−a>c×0.5を満たすことを特徴とするシンチレータパネル。
(2)前記可撓性基板が、樹脂基板であることを特徴とする(1)に記載のシンチレータパネル。
(3)前記可撓性基板の蛍光体形成面に対向する面において、前記被覆部の面積をMmm2、前記非被覆部の面積をNmm2としたときに、M≧Nを満たすことを特徴とする(1)または(2)に記載のシンチレータパネル。
(4)前記非被覆部の形状が、線形状もしくは線形状の組み合わせであることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のシンチレータパネル。
(5)前記非被覆部が、長辺方向の長さと短辺方向の長さの比が5以上であることを特徴とする(4)に記載のシンチレータパネル。
(6)(1)から(5)のいずれかに記載のシンチレータパネルと、前記シンチレータパネルの前記蛍光体層側に貼り付けられ、光電変換素子を二次元的に配列してなる光電変換素子部材とを少なくとも備えることを特徴とする放射線検出器。
本発明によれば、可撓性基板を用いたシンチレータパネルや小さいシンチレータパネルであっても、防湿保護膜が均一に薄膜化され、防湿保護膜の破断箇所が十分に薄くなっているため、防湿保護膜の破断を行った際にシンチレータパネルに外力が加わらず、シンチレータパネルが破損することを防止でき、歩留まりに優れたシンチレータパネルおよびこれを用いた放射線検出器を提供することができる。
さらに本発明によれば、可撓性基板の広い範囲に防湿保護膜を形成することができるため、可撓性基板からの透湿を抑制し、シンチレータパネルの蛍光体層が吸湿劣化することが防止できるシンチレータパネルおよびこれを用いた放射線検出器を提供することができる。
図1は、本発明の放射線検出器の一実施形態における概略断面図である。 図2は、本発明のシンチレータパネルの一実施形態における概略断面図である。 図3は、図2のシンチレータパネルの概略平面図である。 図4は、図2のシンチレータパネルの製造工程を説明するための工程図である。 図5は、図2のシンチレータパネルの製造工程を説明するための工程図である。 図6は、図2のシンチレータパネルの製造に用いられる蒸着装置を説明するための概略拡大断面図である。 図7は、図2のシンチレータパネルの製造に用いられる蒸着装置の保持台を説明するための概略平面図である。 図8は、図7の保持台の変更例を説明するための概略平面図である。 図9は、図7の保持台の変更例を説明するための概略平面図である。 図10は、図7の保持台の変更例を説明するための概略平面図である。 図11は、本実施例のシンチレータパネルの防湿保護膜の厚みを測定した結果を示すグラフである。 図12は、従来のシンチレータパネルの製造方法を説明するための概略構成図である。 図13は、従来のシンチレータパネルの別の製造方法を説明するための概略構成図である。
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
本発明の放射線検出器およびこの放射線検出器に用いられるシンチレータパネルは、医療診断や非破壊検査などに用いられるものである。
<<放射線検出器60>>
図1に示したように、本実施例における放射線検出器60は、大きく分けて、シンチレータパネル10と、このシンチレータパネル10の蛍光体層24側に貼り付けられ、光電変換素子を二次元的に配列してなる光電変換素子部材50とからなり、シンチレータパネル10の蛍光体層24によって放射線を光に変換した後、この光を光電変換素子部材50で電荷へ変換し、デジタルの放射線画像を得るようになっている。
本発明においては、特にシンチレータパネル10が防湿効果を高めた特徴的な構成を有するため、以下、シンチレータパネル10について詳しく説明する。
<<シンチレータパネル10>>
図2に示したように、本発明のシンチレータパネル10は、可撓性基板20と、この可撓性基板20上に形成された反射層22と、反射層22上に、放射線を可視光に変換する蛍光体層24とが設けられている。
そして、蛍光体層24の表面から可撓性基板20の蛍光体層形成面に対向する面の一部までを覆うように、防湿保護膜28が設けられている。
なお、可撓性基板20には、後述するように、防湿保護膜28が設けられている部分(以下、「被覆部30」と言う)と、防湿保護膜28が設けられていない部分(以下、「非被覆部32」と言う)とがある。
なお、可撓性基板20上に形成された反射層22は、光電変換素子部材50と貼り合わされた際に、放射線から変換された光を、効率的に光電変換素子部材50側に届けるためのものであり、必須の構成では無いものであるが、あった方がより好ましいものである。
各構成の具体的な材質等については以下のとおりである。
<可撓性基板20>
可撓性基板20は、放射線透過性を有し、蛍光体層24を担持可能な可撓性基板20であれば特に限定されないものである。
このような可撓性基板20としては、厚さ10〜1000μm、更には30μm〜500μmの高分子フィルムであることが好ましい。本明細書において「可撓性」とは、可撓性基板20を構成する4辺のうち1辺を固定したときに、固定辺より10cm離れた点で、可撓性基板20の自重による重力で、可撓性基板20が固定辺の位置に対して2mm以上垂れ下がる性質のことである。
このような可撓性基板20としては、特にポリイミドまたはポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが、ヨウ化セシウムを原材料として気相堆積法にて柱状結晶の蛍光体層24を形成するのに好適である。
可撓性基板20の具体例としては、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどからなる樹脂基板や、ガラス基板などが挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、積層あるいは混合して用いてもよい。中でも、上述のように、ポリイミドまたはポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが特に好ましい。
<反射層22>
次いで反射層22としては、金属薄膜や白色顔料を樹脂中に分散含有させた顔料層が好ましく、これにより感度を向上させることができる。金属薄膜はAgやAl、Ni、Cr等の金属を蒸着、スパッタ法により可撓性基板20上に形成させることができる。
顔料層は、例えば白色顔料を樹脂中に分散含有させたものが用いられ、腐食等が無く耐久性の観点で好ましい。
反射層22の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
1.有機溶剤中に樹脂及び白色顔料を分散させ、可撓性基板20上に塗布して乾燥させ、反射層22とする。
2.溶融樹脂中に白色顔料を分散させ、可撓性基板20用の樹脂とともに共押し出しによりフィルム状に圧延かつもしくは延伸することで、可撓性基板20上に顔料を分散させて反射層22とする。
これら可撓性基板20上に顔料を分散させて反射層22とする方法の詳細に関しては、特開平6−226894号に示されているとおりである。
また白色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。中でも酸化チタン、炭酸カルシウムが好ましい。
顔料を分散する樹脂としては、例えばポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、塩化ビニル共重合体(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体等)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。中でもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースが好ましい。
これらのうちでも、前記1の方法では、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー及びポリエステル系熱可塑性エラストマーが好ましい。
前記2の方法では、共押し出しのため可撓性基板20と同じ樹脂であることが望ましく、中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。また反り防止、剥離防止のため、可撓性基板20の両面に顔料分散層(図示せず)を設けてもよい。
また、反射層22として多数の気泡を含有する発泡性の樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート)を可撓性基板20として用い、可撓性基板20と反射層22を同時に兼ねた構造としてもよい。
その他には、可撓性基板20と反射層22あるいは蛍光体層24との結合を強化するため、可撓性基板20表面にポリエステル又はゼラチンなどの高分子物質を塗布して接着性を付与する下塗り層(図示せず)を設けたり、カーボンブラックなどの光吸収物質からなる光吸収層(図示せず)などが設けられていてもよい。
それらの構成は、目的や用途などに応じて任意に選択することができる。
なお、反射層22の反射率を変えることは、感度を所望の特性に調整できるため好ましい。
反射率の調整としては着色された顔料を使用する方法が提案されているが、経時での色素の退色が発生しやすく好ましい手法ではない。
反射率の安定的な制御としては、白色顔料とカーボンブラック等の配合比率により調整する方法や反射率の低い可撓性基板20板と白色顔料による反射層22の膜厚を調整する方法が好ましい。
反射層22の厚みによる反射率調整としては、ポリイミド基板等、光を吸収する可撓性基板20と、顔料層の膜厚を調整することで均一な反射率調整が可能となる。
なお反射層22の分光反射率は、市販の分光反射率測定装置、例えば日立自記分光光度計U−3210、同分光光度計U−4000型等を用いて測定することができる。
<蛍光体層24>
蛍光体層24は、種々の公知の蛍光体材料によって形成することができるが、X線から可視光に対する変換率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成できるため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、蛍光体層24の厚さを厚くすることが可能であることから、ヨウ化セシウム(CsI)によって形成することが好ましい。
ただし、CsIのみでは発光効率が低いため、各種の賦活剤を添加することが好ましい。例えば特公昭54−35060号公報に開示されるように、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものが挙げられる。
また例えば特開2001−59899号公報に開示されるように、インジウム(In)、タリウム(Tl)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)などの賦活物質を含有するCsIを蒸着することで蛍光体層24を形成することもできる。
さらに、タリウムを含有するCsIの蛍光体層24を形成するための母剤としては、賦活剤として1種類以上のタリウム化合物とヨウ化セシウムが好ましく用いられる。タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)は、400〜750nmまでの広い発光波長を有し、光電変換素子部材50とのマッチングが良いことから好ましい。
なお、賦活剤である1種類以上のタリウム化合物は、種々のタリウム化合物(+Iと+IIIの酸化数の化合物)を使用することができる。好ましいタリウム化合物は、ヨウ化タリウム(TlI)、臭化タリウム(TlBr)、塩化タリウム(TlCl)、またはフッ化タリウム(TlF,TlF3)などである。
また、タリウム化合物の常温常圧下における融点は、発光効率の面から、400〜700℃の範囲内にあることが好ましい。また、タリウム化合物の分子量は、206〜300の範囲内にあることが好ましい。
蛍光体層24において、賦活剤の含有量は目的・性能等に応じて、最適量とすることが望ましいが、ヨウ化セシウムの含有量に対して、0.001mol%〜50mol%、さらには、0.1mol%〜10.0mol%であることが好ましい。
なお、蛍光体層24を形成するための母剤としては、上記したCsI:Tl以外にも各種のものが利用可能で有り、一例としては、下記一般式(1)で表されるアルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体を含有することが好ましい。
1X・aM2X’2・bM3X’’3:eA ・・・(1)
上記式において、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X’、X’’はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子であり、AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、eはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e≦0.2の範囲の数値を表す。
また、M1としては、少なくともCsを含んでいることが好ましく、Xとしては、少なくともIを含んでいることが好ましく、Aとしては、特にTlまたはNaであることが好ましい。また、eは1×10-4≦e≦0.1の範囲内の数値であることが好ましい。
また、下記一般式(2)で表される希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系蛍光体も、蛍光体層24を形成するための原材料として好ましい。
4FX:zLn ・・・(2)
上記式において、M4はBa、Sr及びCaの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属であり、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbの各原子から選ばれる少なくとも1種の希土類元素を表す。Xは、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲンを表す。また、zは、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。
なお、M4としては、Baが半分以上を占めることが好ましい。Lnとしては、特にEuまたはCeであることが好ましい。
また、蛍光体層24を形成するための原材料としては、他に、LnTaO4:(Nb,Gd)系、Ln2SiO5:Ce系、LnOX:Tm系(Lnは希土類元素である)、Gd22S:Tb、Gd22S:Pr,Ce、ZnWO4、LuAlO3:Ce、Gd3Ga512:Cr,Ce、HfO2などを挙げることができる。
なお、気相堆積法としては、例えば、蒸着法、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、イオンプレーティング法など種々の方法を用いることができるが、特に蒸着法が好ましい。
このような蛍光体層24の平均膜厚は、シンチレータパネル10の使用目的によって、または蛍光体物質の種類により異なるが、100〜700μmであることが好ましい。
<防湿保護膜28>
防湿保護膜28は、例えば蒸着法、スパッタリング法などにより、SiC、SiO2、SiN、Al23などの無機物質を積層して形成してもよいし、CVD法によりポリパラキシリレン膜を形成してもよい。本発明においては、CVD法によりポリパラキシリレン膜を形成することが好ましい。
ポリパラキシリレン膜としては、ポリパラキシリレンの他、ポリモノクロロパラキシリレン、ポリジクロロパラキシリレン、ポリテトラクロロパラキシリレン、ポリフルオロパラキシリレン、ポリジメチルパラキシリレン、ポリジエチルパラキシリレンなどが含まれる。
防湿保護膜28の厚さは、蛍光体層24の耐湿保護性、鮮鋭性、防湿性、作業性等を考慮し、3〜50μmが好ましく、さらには5〜20μmが好ましい。
また防湿保護膜28のヘイズ率は、鮮鋭性、放射線画像ムラ、製造安定性、作業性等を考慮し、3〜40%であることが好ましく、3〜10%であることがより好ましい。なお、ヘイズ率は、日本電色工業株式会社NDH 5000Wにより測定した値を示す。
また防湿保護膜28の光透過率は、光電変換効率、蛍光体発光波長などを考慮し、550nmで70%以上であることが好ましい。
防湿保護膜28の透湿度は、蛍光体層24の保護性、潮解性等を考慮し、50g/m2・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定。以下同様。)以下が好ましく、さらには10g/m2・day(40℃・90%RH)以下が好ましい。
このようなシンチレータパネル10では、図2に示すように、可撓性基板20の被覆部30と非被覆部32との境界位置Aの防湿保護膜28の膜厚をaμm、境界位置Aから可撓性基板20の外周側へ1mm離れた位置Bの防湿保護膜28の膜厚をbμm、蛍光体層24表面の防湿保護膜28の膜厚をcμmとしたときに、b−a>c×0.5となっている。
また、可撓性基板20の被覆部30の面積をMmm2、可撓性基板20の非被覆部32の面積をNmm2としたときに、M≧Nとなっている。
このように構成することによって、防湿保護膜が均一に薄膜化され、防湿保護膜の破断箇所を十分に薄くすることができる。
さらに、可撓性基板の広い範囲に防湿保護膜を形成することができるため、可撓性基板からの透湿を抑制し、シンチレータパネルの蛍光体層が劣化することが防止できる。
また、非被覆部32は図3に示すように線形状もしくは線形状の組み合わせであることが好ましい。このように構成することで、非被覆部32の面積をなるべく小さくすることができ、可撓性基板20からの透湿を抑制することができる。
なお、このように非被覆部32を線形状とする場合には、非被覆部32の長辺方向の長さと短辺方向の長さの比が5以上であることが好ましい。
以下、シンチレータパネルの製造方法について説明する。
<<シンチレータパネルの製造方法>>
図4(a)に示したように、まず可撓性基板20を用意する。
次いで図4(b)に示したように可撓性基板20上に反射層22を形成し、この反射層22の上に図4(c)に示したように蛍光体層24を形成する。
そして図5(a)に示したように、この積層体を蒸着装置40の回転台42上に載せ、回転台42を回転軸43を介して回転させながら蒸着源48を気化させることで、図5(b)に示したように蛍光体層24の表面から可撓性基板20の一部分までを、一体的に覆うように防湿保護膜28を蒸着形成する。そして、蒸着装置40より積層体を取り出すことで、図2に示したような本発明のシンチレータパネル10が得られる。
なお蒸着装置40の回転台42には、図5(a)に示すように、可撓性基板20を載置する保持台44が設けられている。なお、保持台44には、図6に示すように、傾斜面47を有する凸部46が形成されており、保持台44と可撓性基板20との間に隙間49が設けられている。
これにより、上述するような、防湿保護膜28の薄膜化の制御を行うことができる。
また、このような凸部46は、図7に示すように、保持台44の平面視において、線形状となっていることが好ましい。
凸部46を線形状とすることにより、シンチレータパネル10と凸部46との接触面積をなるべく小さくすることができるため、可撓性基板20のなるべく広い面積に防湿保護膜28を形成することができる。
なお、保持台44における凸部46の形成パターンは、可撓性基板20の大きさや可撓性などにより適宜設定することができ、例えば、図8(a)〜図8(c)に示すように、直線の組み合わせにより構成してもよいし、図9(a)〜図9(c)に示すように、曲線の組み合わせ、直線と曲線の組み合わせにより構成してもよい。
このように、凸部46の形成パターンを直線または曲線の組み合わせにより構成した場合、例えば、図8(c)や図9(c)のように、凸部46により閉じられた箇所がある場合には、保持台44の当該箇所に孔45を形成することにより、蒸気が可撓性基板20に到達するようにする必要がある。
また、可撓性基板20が比較的小さいサイズである場合には、図10に示すように、凸部46を一つの直線のみとしてもよい。この場合、凸部46の長辺方向の長さと短辺方向の長さの比が5以上であることが好ましい。
また、凸部46には、例えば、微粘着シート、熱剥離シート、紫外線剥離シートなどの再剥離性粘着シートが設けられていてもよい。このように、再剥離性粘着シートを設けることにより、凸部46とシンチレータパネル10とを密着させた状態で防湿保護膜28を形成することができ、シンチレータパネル10の反りや撓みを抑制することができる。
図11は、上述する製造方法を用いて蛍光体層24表面の防湿保護膜28の膜厚が10μmとなるように製造されたシンチレータパネル10の防湿保護膜28の厚みを測定した結果を示すグラフである。
図11のグラフでは、境界位置Aを基準(測定位置0mm)として、境界位置Aから可撓性基板20の外周側に離れた距離を測定位置として示している。
図11のグラフより、境界位置Aの防湿保護膜28の膜厚は0μm、境界位置Aから可撓性基板20の外周側へ1mm離れた位置Bの防湿保護膜28の膜厚は8μm、図示されていない蛍光体層24表面の防湿保護膜28の膜厚は10μmとなり、b−a>c×0.5を満たしている。
以上、本発明のシンチレータパネル10およびこれを備えた放射線検出器60の好ましい形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能なものである。
10 シンチレータパネル
20 可撓性基板
22 反射層
24 蛍光体層
28 防湿保護膜
30 被覆部
32 非被覆部
40 蒸着装置
42 回転台
43 回転軸
44 保持台
45 孔
46 凸部
47 傾斜面
48 蒸着源
49 隙間
50 光電変換素子部材
60 放射線検出器
100 シンチレータパネル
102 基板
104 蛍光体層
106 防湿保護膜
108 保持台
110 スペーサー
112 回転台
114 蒸着源
116 隙間
120 蒸着装置

Claims (6)

  1. 可撓性基板と、
    前記可撓性基板上に形成され、放射線を可視光に変換する蛍光体層と、
    前記蛍光体層の表面から前記可撓性基板の前記蛍光体層形成面に対向する面の一部までを覆うように形成された防湿保護膜と、
    を少なくとも備えるシンチレータパネルであって、
    前記可撓性基板において、前記防湿保護膜により覆われている被覆部と前記防湿保護膜により覆われていない非被覆部との境界位置の前記防湿保護膜の膜厚をaμm、
    前記境界位置から前記可撓性基板の外周側へ1mm離れた位置の前記防湿保護膜の膜厚をbμm、
    前記蛍光体層表面の前記防湿保護膜の膜厚をcμm、
    としたときに、b−a>c×0.5を満たすことを特徴とするシンチレータパネル。
  2. 前記可撓性基板が、樹脂基板であることを特徴とする請求項1に記載のシンチレータパネル。
  3. 前記可撓性基板の蛍光体形成面に対向する面において、前記被覆部の面積をMmm2、前記非被覆部の面積をNmm2としたときに、M≧Nを満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のシンチレータパネル。
  4. 前記非被覆部の形状が、線形状もしくは線形状の組み合わせであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシンチレータパネル。
  5. 前記非被覆部が、長辺方向の長さと短辺方向の長さの比が5以上であることを特徴とする請求項4に記載のシンチレータパネル。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のシンチレータパネルと、
    前記シンチレータパネルの前記蛍光体層側に貼り付けられ、光電変換素子を二次元的に配列してなる光電変換素子部材と、
    を少なくとも備えることを特徴とする放射線検出器。
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