JP2016038214A - 卵巣癌の検出方法、卵巣癌と子宮内膜症との鑑別方法、並びに、キット - Google Patents

卵巣癌の検出方法、卵巣癌と子宮内膜症との鑑別方法、並びに、キット Download PDF

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Abstract

【課題】被験者における卵巣癌と子宮内膜症とを高精度で鑑別できる技術を提供する。【解決手段】被験者から採取した体液中に存在する、メソテリンに対する結合能を有するCA125を指標として、前記被験者における卵巣癌を検出することを特徴とする卵巣癌の検出方法が提供される。メソテリンに対する結合能を有するCA125の測定には、CA125に対する抗体とメソテリンとを組み合わせたサンドイッチイムノアッセイを採用することができる。当該方法を用いた卵巣癌と子宮内膜症との鑑別方法、並びに、これらの方法に用いるためのキットも提供される。【選択図】図2

Description

本発明は、卵巣癌の検出方法、卵巣癌と子宮内膜症との鑑別方法、並びに、キットに関する。
体液中の腫瘍マーカーを指標とした癌の臨床診断が広く行われている。そして、卵巣癌を検出できる腫瘍マーカーとして、癌関連糖鎖抗原の一種であるCA125(carbohydrate antigen 125)がよく用いられている。すなわち、卵巣癌患者の血液においてCA125濃度が上昇する。CA125は22152アミノ酸から成る糖タンパク質であり、ムチンの一種(MUC16)としても知られている。
一方、CA125は子宮内膜症患者と卵巣癌患者で共通に産生される抗原であり、血中CA125は子宮内膜症でも上昇することが知られている(非特許文献1)。そのため、CA125を指標とした卵巣癌診断においては、子宮内膜症患者が卵巣癌と誤判定されてしまう可能性を含んでいる。つまり、CA125の量的な差異のみをもって卵巣癌と子宮内膜症とを正確に区別することは難しいのが現状である。
このような背景の下、CA125の量的な変化だけではなく質的な変化を捉えることによって、卵巣癌と子宮内膜症とを鑑別しようとする試みがある。特許文献2には、CA125に結合しているシアリルTn抗原を指標として卵巣癌を検出する技術が開示されている。この技術は、CA125上のシアリルTn抗原が、卵巣癌患者においては検出されるが、子宮内膜症患者ではほとんど検出されないことを見出し、完成されたものである。この卵巣癌の検出技術によれば、子宮内膜症に対する陽性率を低く抑えることができ、卵巣癌と子宮内膜症とを高精度で鑑別することができる。
特開平11−014626号公報 特開2012−154881号公報
杉村隆 監修、「図説臨床癌シリーズ(19)」、第2版、メジカルビュー社、1993年8月、p31−32
上記したように、卵巣癌の検出にあたり、卵巣癌と子宮内膜症とを正確に鑑別する技術開発が望まれている。そのための方策として、従来法とは異なる新たな原理に基づく鑑別技術の開発が望まれる。そのような技術があれば、例えば、従来法と組み合わせることにより、卵巣癌と子宮内膜症とをさらに正確に鑑別できる可能性がある。
そこで本発明は、卵巣癌と子宮内膜症とを鑑別できる新たな臨床マーカーを特定し、卵巣癌を正確に検出できる一連の技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、CA125の質的な変化を捉えることによる卵巣癌と子宮内膜症との鑑別技術について、さらなる研究を行った。その結果、CA125におけるメソテリンに対する結合能を指標とすることにより、卵巣癌と子宮内膜症とを高精度で鑑別できることを見出した。上記した課題を解決するために提供される本発明は、以下のとおりである。
請求項1に記載の発明は、被験者から採取した体液中に存在する、メソテリンに対する結合能を有するCA125を指標として、前記被験者における卵巣癌を検出することを特徴とする卵巣癌の検出方法である。
本発明は卵巣癌の検出方法に係るものであり、被験者から採取された体液中に存在する「メソテリンに対する結合能を有するCA125」を指標として、前記被験者における卵巣癌を検出する。すなわち、従来技術におけるCA125を指標とした卵巣癌の検出方法では、コアタンパク質を有する全てのCA125を測定対象としていたが、本発明では、メソテリンに対する結合能を有する特定のCA125を指標とする。本発明によれば、卵巣癌と子宮内膜症とを高精度で鑑別することができ、卵巣癌を正確に検出することができる。
メソテリン(mesothelin)は、GPIアンカー型の膜結合型糖タンパク質であり、中皮細胞の表面に発現している(Clin. Cancer Res. 2004; 10: 3937-42)。CA125とメソテリンとの相互作用が、上皮性卵巣癌(EOC)細胞における腹膜への接着性促進に役割を果たすことが示唆されている(J. Biol. Chem. 2004; 279: 9190-8、及びMol. Cancer 2006; 5: 50)。現在のところ、メソテリンが結合するCA125上の糖鎖構造は明らかでなく、また、メソテリンが結合する糖鎖構造が細胞の癌化によって変化するのか否かについても明らかではない。
ここで「メソテリンに対する結合能を有するCA125を指標とする」とは、メソテリンに対する結合能を有するCA125を定量的または定性的に解析し、その解析結果を基に判断をすることを指す。例えば、メソテリンに対する結合能を有するCA125の体液中濃度を測定し、当該測定値を、予め設定した基準値と比較して卵巣癌の有無等を検出することが挙げられる。
また「卵巣癌の検出」には、被験者における卵巣癌の有無を検出することのほか、卵巣癌の進行度の把握や再発のモニタリングを行うことも含まれる。
本発明において、メソテリンに対する結合能を有するCA125の体液中における量は、卵巣癌患者の体液でより高値を示す。
請求項1に記載の卵巣癌の検出方法において、前記体液は、血液であることが好ましい(請求項2)。
請求項3に記載の発明は、前記体液を、CA125に対する抗体又はメソテリンに接触させる工程を包含することを特徴とする請求項1又は2に記載の卵巣癌の検出方法である。
本発明の卵巣癌の検出方法は、被験者の体液をCA125に対する抗体又はメソテリンに接触させる工程を包含する。かかる構成により、メソテリンに対する結合能を有するCA125を簡便かつ正確に測定することができる。例えば、サンドイッチ法によるイムノアッセイが可能である。
請求項3に記載の卵巣癌の検出方法において、前記CA125に対する抗体又はメソテリンは、支持体に固定化されていることが好ましい(請求項4)。
請求項4に記載の卵巣癌の検出方法において、支持体に固定化されたメソテリンに前記体液を接触させて、体液中に存在する、メソテリンに対する結合能を有するCA125を、前記メソテリンに結合させて捕捉する第1工程と、第1工程で捕捉された、メソテリンに対する結合能を有するCA125に、CA125に対する抗体を結合させる第2工程とを包含する構成が好ましい(請求項5)。
かかる構成により、サンドイッチ法によるイムノアッセイによって、メソテリンに対する結合能を有するCA125を測定することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の卵巣癌の検出方法を用いて、前記被験者における卵巣癌と子宮内膜症とを鑑別することを特徴とする卵巣癌と子宮内膜症との鑑別方法である。
本発明は卵巣癌と子宮内膜症との鑑別方法に係るものであり、上記した本発明の卵巣癌の検出方法を用いる。換言すれば、被験者から採取した体液中に存在する、メソテリンに対する結合能を有するCA125を指標として、前記被験者における卵巣癌と子宮内膜症とを鑑別する。本発明によれば、卵巣癌と子宮内膜症とを高精度で鑑別することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の卵巣癌の検出方法又は請求項6に記載の卵巣癌と子宮内膜症との鑑別方法に用いるためのキットであって、CA125に対する抗体とメソテリンとを含むことを特徴とするキットである。
本発明は、上記した本発明の卵巣癌の検出方法又は卵巣癌と子宮内膜症との鑑別方法に用いるためのキットに係るものであり、CA125に対する抗体と、メソテリンとを含む。本発明のキットによれば、イムノアッセイを用いたメソテリンに対する結合能を有するCA125の測定を、簡便かつ迅速に行うことができ、その結果、卵巣癌の検出や卵巣癌と子宮内膜症との鑑別を簡便かつ迅速に行うことができる。
本発明の卵巣癌の検出方法によれば、卵巣癌と子宮内膜症とを高精度で鑑別することができ、卵巣癌を正確に検出することができる。
本発明の卵巣癌と子宮内膜症との鑑別方法によれば、卵巣癌と子宮内膜症とを高精度で鑑別することができる。
本発明のキットによれば、卵巣癌の検出や卵巣癌と子宮内膜症との鑑別を簡便かつ迅速に行うことができる。
実施例で構築したCA125meso測定系の直線性を検討した結果を表すグラフである。 (a)は子宮内膜症患者および卵巣癌患者の血清について、CA125mesoを測定した結果を示すドットプロット図、(b)は子宮内膜症患者および卵巣癌患者の血清について、CA125を測定した結果を示すドットプロット図、(c)は子宮内膜症と卵巣癌との鑑別結果のROC曲線を表すグラフである。 子宮内膜症患者および卵巣癌患者の血清について、CA125meso/CA125を測定した結果を示すドットプロット図である。
本発明の卵巣癌の検出方法は、被験者から採取した体液中に存在する、メソテリンに対する結合能を有するCA125を指標として、前記被験者における卵巣癌を検出するものである。また本発明の卵巣癌と子宮内膜症との鑑別方法は、被験者から採取した体液中に存在する、メソテリンに対する結合能を有するCA125を指標として、前記被験者における卵巣癌と子宮内膜症とを鑑別するものである。
以下の説明において、メソテリンに対する結合能を有するCA125を「CA125meso」と略記することがある。
本発明で用いる体液としては特に限定はないが、血液が好ましく採用される。特に、血液から調製した血清が、測定試料として好ましく採用される。
本発明では、「メソテリンに対する結合能を有するCA125」(CA125meso)を指標とする。「指標」の代表例は、基準値との比較である。すなわち、被験者の体液におけるCA125meso量を測定し、その測定値を、予め設定した基準値(例えば、カットオフ値)と比較し、卵巣癌の検出あるいは卵巣癌と子宮内膜症との鑑別を行う。当該基準値は、例えば、卵巣癌に罹患していない人の体液におけるCA125meso量のデータを収集し、統計処理を行って設定することができる。
例えば、予め設定したカットオフ値と測定値とを比較し、当該カットオフ値よりも測定値が大きい場合に、当該被験者を卵巣癌患者と判定することができる。
CA125におけるメソテリンに対する結合性の有無は、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中でメソテリンとCA125とを共存および接触させることにより、確認することができる。例えば、後述する実施例のように、固相化されたメソテリンにPBS中でCA125を接触させ、その後PBSで洗浄した場合に、メソテリン上に捕捉されたCA125は、メソテリンに対する結合性を有する。
なお、従来のCA125による卵巣癌の検出技術と本発明の方法とを組み合わせることにより、より効率的かつ正確に卵巣癌の検出や卵巣癌と子宮内膜症との鑑別を行うことができる。例えば、まず従来技術の方法により、卵巣癌(及び子宮内膜症)を広くスクリーニングする(一次判定、一次スクリーニング)。次に、従来技術で陽性と判定された被験者について、本発明の方法を適用する(二次判定、二次スクリーニング)。これにより、卵巣癌の検出並びに卵巣癌と子宮内膜症との鑑別を、高効率かつ正確に行うことが可能となる。
メソテリンに対する結合能を有するCA125(CA125meso)を測定する方法としては特に限定はないが、好ましい実施形態では、被験者の体液をCA125に対する抗体又はメソテリンに接触させる工程を包含する。
CA125に対する抗体は、モノクローナル抗体でもよいし、ポリクローナル抗体でもよい。例えば、市販のCA125に対するモノクローナル抗体を用いることができる。
メソテリンは、単離精製されたものであればよく、例えば、市販の組換え型メソテリンを用いることができる。
この好ましい実施形態の代表例として、CA125に対する抗体とメソテリンを用いたサンドイッチ法によるイムノアッセイが挙げられる。例えば、メソテリンを支持体に固定化し、該メソテリン上にCA125mesoを捕捉する。そして、CA125に対する抗体を用いて、捕捉されたCA125mesoを検出する。
サンドイッチ法に用いる固相(支持体)の例としては、マイクロタイタープレート、ビーズ、ラテックス粒子、基板などが挙げられる。
標識の例としては、酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等)、ラジオアイソトープ(I125等)、蛍光物質(フルオレセイン、ローダミン、フィコエリトリン等)、生物又は化学発光物質(ルシフェリン/ルシフェラーゼ等)などが挙げられる。これらの標識は、抗体に直接的に結合されたものでもよいし、アビジン−ビオチン複合体、プロテインA、金コロイドなどを介して間接的に結合されたものでもよい。
ここで、サンドイッチ法によるイムノアッセイの具体例を挙げる。この例は、酵素標識を利用したサンドイッチ法(サンドイッチEIA、サンドイッチELISA)である。
まず、固相用のメソテリンと、検出用の抗CA125モノクローナル抗体を用意する。メソテリンとしては、市販の組換え型メソテリンを採用することができる。抗CA125モノクローナル抗体としては、CA125のコアタンパク質を認識するものを使用することができる。また、固相(支持体)として、市販の96ウェルマイクロタイタープレートを採用する。
マイクロタイタープレートの各ウェルに、メソテリンを固定化する。各ウェルをPBSで洗浄後、BSA等でブロッキングする。続いて、各ウェルをPBSで洗浄後、血清等の体液試料を適宜希釈して各ウェルに添加する。これにより、体液試料中のCA125mesoが、その試料中の濃度に応じて、メソテリンを介して固相上に捕捉される(第1工程)。各ウェルをPBSで洗浄後、酵素標識した抗CA125モノクローナル抗体を添加する。これにより、固相上に捕捉されたCA125mesoに、酵素標識した抗CA125モノクローナル抗体が結合する(第2工程)。各ウェルをPBSで洗浄後、発色基質を添加し、発色反応を行う。最後に、吸光度を測定し、当該吸光度からCA125mesoの濃度を算出する。
なお、検出感度を高めるために、抗CA125モノクローナル抗体に対する標識2次抗体や、アビジン−ビオチン複合体による増幅検出系を用いてもよい。
なお、検量線作成のためのCA125meso標準品としては、例えば、卵巣癌患者の血清から調製した管理血清を用いることができる。その他、卵巣癌細胞の培養上清を用いることができる。もちろん、精製されたCA125mesoを用いることもできる。
上記の例では、メソテリンを固相化しているが、抗CA125抗体を固相化し、捕捉されたCA125にメソテリンを接触させてCA125mesoを検出してもよい。この場合には、標識されたメソテリン或いはメソテリンに対する標識抗体等を用いてCA125mesoを検出することができる。
得られた数値データについては、CA125mesoの量をもって評価することができるが、「単位CA125あたりのCA125meso量」をもって評価することもできる。後者の場合には、別途、従来の方法で体液中の全CA125量を測定し、「(CA125mesoの量)/(全CA125量)」の値を算出することになる。以下、この値(インデックス)を「CA125meso/CA125」と表記することがある。
サンドイッチ法以外の例としては、競合法によるイムノアッセイが挙げられる。さらに、免疫沈降法、ラテックス凝集法、ウエスタンブロット法、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析(MS)などの手法を用いてもよい。
本発明のキットは、本発明の卵巣癌の検出方法又は卵巣癌と子宮内膜症との鑑別方法に用いるためのものであり、CA125に対する抗体とメソテリンとを含む。抗体やメソテリンの形状は、凍結乾燥物でもよいし、溶液状でもよい。また本発明のキットには、さらに他の試薬類、例えば、標準品、各種の緩衝液、標識2次抗体、発色基質、プレート等の支持体、などを含めてもよい。
以下に本発明のキットの構成例を挙げる。以下の構成例は、いずれもサンドイッチELISA用のものであり、メソテリンと抗CA125モノクローナル抗体を含んでいる。
〔キットの構成例1〕
・組換え型ヒトメソテリン(固相用):適量
・酵素標識抗CA125モノクローナル抗体(検出用抗体):適量
・CA125meso標準品:適量
・希釈用緩衝液:適量
〔キットの構成例2〕
・組換え型ヒトメソテリン(固相用):適量
・抗CA125モノクローナル抗体(検出用抗体、1次抗体):適量
・酵素標識2次抗体(1次抗体に対する抗体):適量
・CA125meso標準品:適量
・希釈用緩衝液:適量
〔キットの構成例3〕
・組換え型ヒトメソテリン(固相用):適量
・ビオチン標識抗CA125モノクローナル抗体(検出用抗体):適量
・酵素標識ストレプトアビジン:適量
・CA125meso標準品:適量
・希釈用緩衝液:適量
以下に、実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.検体
子宮内膜症患者59名(年齢幅24〜65歳、平均年齢40歳)および上皮性卵巣癌(EOC)患者36名(年齢幅43〜86歳、平均年齢61歳)から採取した血清を検体とした。
2.方法
(1)サンドイッチELISAによるCA125mesoの測定系構築
メソテリンを固相化し、抗CA125抗体を標識抗体として用いたサンドイッチELISAの系を構築し、以下の手順にて、各検体におけるメソテリンに対する結合能を有するCA125(CA125meso)の濃度を測定した。
組換え型ヒトメソテリン(R&D system社)を50mM炭酸水素ナトリウム溶液で5μg/mLのタンパク質濃度に希釈し、固相溶液とした。Maxisorp Immunoplate(Nunc 社)に固相溶液を1ウェル当り50μL加え、4℃で一晩、インキュベートした。
次に、5%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むPBSを各ウェルに加え、室温で2時間、ブロッキングを行った。
0.05% Tween−20を含むPBS(PBS−T)にて各ウェルを4回洗浄した後、血清検体を1ウェル当たり50μL加え、4℃で一晩、インキュベートした。血清検体は、必要に応じて1%BSAを含むPBS(1%BSA/PBS)を用いて希釈した後、測定に用いた。
PBS−Tにて各ウェルを4回洗浄した後、1%BSA/PBSを用いて1μg/mLのタンパク質濃度に希釈したビオチン標識抗CA125抗体(clone: X306, HyTest社)を1ウェル当たり50μL加え、室温で2時間反応させた。抗体のビオチン標識はNHS−PEO4−Biotin 試薬(Thermo Scientific社)を用いて行った。
PBS−Tにて各ウェルを4回洗浄した後、1%BSA/PBSを用いて10,000倍に希釈したHRP標識ストレプトアビジンポリマー(Sigma社)を1ウェル当り50μL加え、室温で1時間反応させた。
続いて、PBS−Tにて各ウェルを4回洗浄した後、1-STEPTM Ultra TMB-ELISA (Thermo Scientific 社)を1ウェル当り50μL加え、遮光条件下にて呈色反応を行った。同量の1M硫酸を加え、反応を停止させた後、450nmの波長における吸光度(A450)を測定した。
得られた吸光度からCA125meso濃度[U/mL]を算出するに当っては、ヒト卵巣癌培養細胞株の1つであるOVCAR−3細胞の培養上清から調製したCA125(0−400U/mLのCA125濃度)をキャリブレーターとして作成した検量線を使用した。
(2)従来法によるCA125測定
従来法によるCA125測定を行うために、抗CA125モノクローナル抗体(clone X52, 1μg/mL,50μL/well;HyTest社)を上記(1)と同様にして固相化した。各血清検体のCA125濃度を、CA125 calibrator(GenWay社)を用いて測定した。
(3)統計解析
マン・ホイットニーのU検定(Mann-Whitney U test)を用いた(p<0.05)。CA125mesoの上記ELISA、及び従来法のCA125測定法について、ROC解析で評価した。バイオマーカー間の相関係数の決定には、スピアマンの順位相関係数(Spearman rank correlation coefficient)を用いた。統計解析には、エクセル統計(社会情報サービス社)を用いた。
3.結果
(1)CA125meso測定系の直線性
上記2−(1)で構築したCA125meso測定系について、直線性を確認した。試料として、ランダムに抽出した上記卵巣癌患者2名の血清検体、ランダムに抽出した上記子宮内膜症患者2名の血清検体、及びOVCAR−3細胞の培養上清を用い、0〜100U/mLのCA125濃度範囲について確認した。結果を図1に示す。すなわち、いずれの試料を用いた場合でも直線性を有していることが確認された。なお図1に示すように、各試料間でCA125meso値が異なっていた。
(2)CA125meso測定による卵巣癌と子宮内膜症の鑑別
子宮内膜症患者59名および上皮性卵巣癌患者36名の上記血清検体について、上記2−(1)の方法でCA125mesoを測定した。別途、上記2−(2)の方法でCA125を測定した。図2(a)にCA125mesoを測定したドットプロット図、図2(b)にCA125を測定したドットプロット図を示す。
図2(a)、図2(b)に示すように、CA125mesoとCA125のいずれにおいても、子宮内膜症患者(○)と上皮性卵巣癌患者(●)との間で差が認められ、上皮性卵巣癌患者の方が子宮内膜症患者よりも高値を示した。しかしながら、CA125mesoの方が上皮性卵巣癌患者と子宮内膜症患者との差が顕著であり(p=0.00001)、CA125の場合(p=0.001)よりも高い信頼性をもって両疾患を鑑別することができた。
ROC解析を行った結果、CA125mesoでは曲線下面積(AUC)が0.771、CA125ではAUCが0.697であり、CA125mesoの方が高いAUCを示した(図2(c))。
詳細には、図2(a)に示すCA125mesoの場合には、子宮内膜症患者における平均値±標準偏差は64.6±270.2U/mL、卵巣癌患者における平均値±標準偏差は3341.2±10353.9U/mLであった。
カットオフ値を15U/mLに設定すると、卵巣癌に対する陽性率が77.8%(36症例中28症例)、子宮内膜症に対する陽性率が47.5%(59症例中28症例)であった。
ROC解析によれば、カットオフ値を56.4U/mLに設定したときに、卵巣癌に対する陰性率と子宮内膜症に対する陽性率が最も低く、すなわち偽陰性と偽陽性が最も少なく、両疾患の分離性能がよかった。このカットオフ値を採用すると、卵巣癌に対する陽性率が66.7%(36症例中24症例)、子宮内膜症の陽性率が18.6%(59症例中11症例)であった。
このように、CA125mesoを指標とした卵巣癌検出では、子宮内膜症に対する陽性率がかなり低く抑えられ、卵巣癌と子宮内膜症とを高精度で鑑別することができた。
一方、図2(b)に示すCA125の場合には、子宮内膜症患者における平均値±標準偏差は138.0±255.6U/mL、卵巣癌患者における平均値±標準偏差は1033.3±2073.3U/mLであった。カットオフ値を一般的な35U/mLに設定すると、卵巣癌に対する陽性率が83.3%(36症例中30症例)、子宮内膜症に対する陽性率が79.7%(59症例中47症例)であった。すなわち、従来法のCA125測定による卵巣癌検出では、子宮内膜症の陽性率が高く、卵巣癌と子宮内膜症との鑑別は不十分であった。
(3)「CA125meso/CA125」による卵巣癌と子宮内膜症の鑑別
上記検体についてCA125meso/CA125を算出し、同様の解析を行った。ドットプロット図を図3に示す。すなわち、CA125meso/CA125の値は、子宮内膜症患者(○)と上皮性卵巣癌患者(●)との間で大きく異なっていた(p=0.0000006)。これにより、CA125meso/CA125を用いることで、子宮内膜症と卵巣癌とをさらに正確に鑑別できることが分かった。
詳細には、CA125meso/CA125を用いた場合の子宮内膜症患者における平均値±標準偏差は0.27±0.27、卵巣癌患者における平均値±標準偏差は1.29±1.86であった。カットオフ値を0.3に設定すると、卵巣癌に対する陽性率が77.8%(36症例中28症例)、子宮内膜症に対する陽性率が39.0%(59症例中23症例)であった。すなわちCA125meso/CA125を指標とした卵巣癌検出でも、子宮内膜症の陽性率がかなり低く抑えられ、卵巣癌と子宮内膜症とを高精度で鑑別することができた。

Claims (7)

  1. 被験者から採取した体液中に存在する、メソテリンに対する結合能を有するCA125を指標として、前記被験者における卵巣癌を検出することを特徴とする卵巣癌の検出方法。
  2. 前記体液は、血液であることを特徴とする請求項1に記載の卵巣癌の検出方法。
  3. 前記体液を、CA125に対する抗体又はメソテリンに接触させる工程を包含することを特徴とする請求項1又は2に記載の卵巣癌の検出方法。
  4. 前記CA125に対する抗体又はメソテリンは、支持体に固定化されていることを特徴とする請求項3に記載の卵巣癌の検出方法。
  5. 支持体に固定化されたメソテリンに前記体液を接触させて、体液中に存在する、メソテリンに対する結合能を有するCA125を、前記メソテリンに結合させて捕捉する第1工程と、
    第1工程で捕捉された、メソテリンに対する結合能を有するCA125に、CA125に対する抗体を結合させる第2工程とを包含することを特徴とする請求項4に記載の卵巣癌の検出方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の卵巣癌の検出方法を用いて、前記被験者における卵巣癌と子宮内膜症とを鑑別することを特徴とする卵巣癌と子宮内膜症との鑑別方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の卵巣癌の検出方法又は請求項6に記載の卵巣癌と子宮内膜症との鑑別方法に用いるためのキットであって、CA125に対する抗体とメソテリンとを含むことを特徴とするキット。
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