JP2016037472A - 新規セマフォリン3a阻害剤 - Google Patents

新規セマフォリン3a阻害剤 Download PDF

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Norio Fujiwara
範雄 藤原
英憲 木村
Hidenori Kimura
英憲 木村
竜田 邦明
Kuniaki Tatsuta
邦明 竜田
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Abstract

【課題】セマフォリン阻害剤、かかるセマフォリン阻害剤を有効成分として含有する、末梢または中枢における神経再生促進剤、かかる神経再生促進剤を含有する脊髄損傷等の神経変性を伴う神経性疾患の予防剤もしくは治療剤等を提供する。
【解決手段】式(1):
【化1】
Figure 2016037472

[式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子またはカルボキシル基を表し、
およびRはそれぞれ独立して、水素原子または水酸基を表し、
Xは、単結合を表す。]
で表される化合物またはその薬学上許容される塩。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なクロモン化合物、およびそれらを有効成分として含有するセマフォリン阻害剤、中枢または末梢における神経再生促進剤、神経損傷疾患の予防もしくは治療剤、または神経変性を伴う神経性疾患の予防もしくは治療剤に関する。
セマフォリンは、神経成長円錐を退縮させ軸索の伸長を抑制する因子として同定された内因性のタンパク質であり、これまでに約20種の分子種が知られているが、最も良く研究されているのがクラス3型と呼ばれるサブファミリーの遺伝子群である。これらの遺伝子がコードする蛋白質はインビトロで強い神経突起伸長抑制活性、成長円錐退縮活性を有していることが知られている。中でも最も良く研究されているのがセマフォリン3A(Sema3A)(非特許文献1及び2)であり、この蛋白質は10pMという低濃度で短時間のうちに培養神経細胞の成長円錐退縮を誘発する。
Sema3Aの機能を阻害する物質としては、ペニシリウム・エスピー(Penicillium sp.)SPF−3059株(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号:FERM BP−7663)培養物から得られる一連のキサントン化合物(特許文献1または2)および前記キサントン化合物を化学的に修飾した誘導体(特許文献3)が知られており、当該化合物が脊髄損傷ラットモデルで、脊髄内の神経線維の再伸長を促進し、運動機能を回復することも報告されている(特許文献4または非特許文献3)。しかしながら、新たな構造を有する化合物が求められている。
国際公開第02/09756号 国際公開第03/062243号 国際公開第03/062440号 国際公開第2012/018069号
Cell,75,p217(1993) Cell,75,p1389(1993) Nature Medicine,volume3,Number12,p1398(2006)
本発明の課題は、新規な構造を有するセマフォリン阻害剤、かかるセマフォリン阻害剤を有効成分として含有する、末梢もしくは中枢における神経再生促進剤、またはかかる神経再生促進剤を含有する脊髄損傷等の神経変性を伴う神経性疾患の予防剤もしくは治療剤等を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、セマフォリン阻害活性を有する、下記式(1)で表される新規化合物またはその薬学上許容される塩を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
項1.式(1):
Figure 2016037472
[式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子またはカルボキシル基を表し、
およびRはそれぞれ独立して、水素原子または水酸基を表し、
Xは、単結合、−CHCH−、式(2):
Figure 2016037472
で表される二価基、式(3):
Figure 2016037472
で表される二価基、または式(4):
Figure 2016037472
で表される二価基を表す。]
で表される化合物またはその薬学上許容される塩。
項2.R3およびR4が水素原子を表す、項1に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
項3.Xが単結合、式(3)で表される二価基、または式(4)で表される二価基を表す、項1または2に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
項4.項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩を有効成分として含有するセマフォリン阻害剤。
項5.セマフォリンが、クラス3型セマフォリンである、項4に記載のセマフォリン阻害剤。
項6.クラス3型セマフォリンが、セマフォリン3Aである、項5に記載のセマフォリン阻害剤。
項7.項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、神経伸長反発因子阻害剤。
項8.項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、成長円錐退縮活性および/またはコラーゲンゲル中での神経伸長阻害活性の抑制作用を有する薬剤。
項9.項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、神経再生促進剤。
項10.項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、脊髄損傷疾患もしくは神経変性疾患の治療剤または予防剤。
項11.項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、脊髄神経の損傷もしくは末梢神経の損傷を伴う疾患の治療剤または予防剤。
項12.項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、嗅覚異常症、外傷性神経障害、脳梗塞性神経障害、顔面神経麻痺、糖尿病性神経症、緑内障、網膜色素変性症、アルツハイマー病、パーキンソン病、神経変性疾患、筋発育不全性側索硬化症、筋委縮性側索硬化症、ハンチントン病、脳梗塞、もしくは外傷性神経変性疾患の治療剤または予防剤。
本発明により、式(1)で表される化合物またはその薬学上許容される塩を提供することが可能になった。当該化合物またはその薬学上許容される塩は、セマフォリン阻害活性を有し、神経障害性疾患・神経変性疾患に対する治療剤または予防剤として有用である。
本明細書において、各例示の好ましい態様は、他の例示の好ましい態様と組み合わせてもよく、上述の項1〜項12に記載される、対応する例示に組み込んでもよい。
式(1)で表される化合物の薬学上許容される塩とは、カルボキシル基と塩を形成する各種の塩基との塩が挙げられる。具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩や、トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩や、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸塩などを挙げられる。これらの塩は、式(1)で表される本発明化合物を水、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、エーテル等の適当な溶媒中、塩基を作用させることによって調製することができる。また、塩基と混合した後、再結晶などの常法により得ることができる。
本明細書において、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子またはカルボキシル基を表す。好ましくはR及びRの少なくとも一方がカルボキシル基であり、より好ましくは共にカルボキシル基である。
本明細書において、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子または水酸基を表す。好ましくはR及びRの少なくとも一方が水素原子であり、より好ましくは共に水素原子である。
本明細書において、「X」は、単結合、−CHCH−、式(2):
Figure 2016037472
で表される二価基、式(3):
Figure 2016037472
で表される二価基、または式(4):
Figure 2016037472
で表される二価基を表す。より好ましくは単結合、式(3)で表される二価基、または式(4)で表される二価基である。
Xが単結合である、式(1)で表される化合物(式(1−4))は、当業者にとって公知の方法(例えば文献:Tetrahedron,57,p8685−8689(2001))で、下式:
Figure 2016037472
(式中、RまたはRはそれぞれ独立して水素原子または保護基が結合したカルボキシル基、RまたはR10は水素原子または保護基が結合した水酸基、R、Rはそれぞれ独立して、水酸基の保護基を表し、R、R、RおよびRは上述と同義である。)
に従って製造することができる。すなわち、式(1−1)で表される化合物および式(1−2)で表される化合物を、プロピオニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、または1,4−ジオキサン等の溶媒中、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の塩基、及び酢酸パラジウムまたはジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム触媒の存在下に、20℃〜200℃でカップリングさせることにより、式(1−3)で表される化合物を得ることができる。式(1−3)で表される化合物における保護基を適宜当業者に周知の方法で脱保護することにより、式(1−4)で表される化合物を得ることができる。
ここで、式(1−1)で表される化合物および式(1−2)で表される化合物において、保護基としては、上記カップリング反応の条件で脱離しない水酸基もしくはカルボキシル基の保護基であれば特に制限はなく、Protective Group in Organic Synthesis第3版(Theodora W.Green,Peter G.M.Wuts著,John Wiley&Sons Inc発行、1999年)に記載の当業者に周知の保護基を適宜使用できる。具体的には、例えば、カルボキシル基の保護基としては、メチル基、エチル基、またはtert−ブチル基等のエステル類が挙げられ、水酸基の保護基としては、メチル基、ピバロイル基、またはメトキシメチル基等が挙げられる。
式(1−1)で表される化合物および式(1−2)で表される化合物は、公知化合物(例えば文献:Angew. Chem. Int. Ed. ,52,p3421−3424(2013)、またはChem Lett. ,36,p1382(2007)に記載の化合物)であるか、又は当業者にとって公知の方法で製造することができ、具体的には、本明細書参考例に記載の化合物を用いることができる。
Xが式(4)で表される基である、式(1)で表される化合物(式(1−7))は、当業者にとって公知の方法(例えば文献:Australian Journal of Chemistry,66,(6),p646−654(2013))で、下式:
Figure 2016037472
(式中、RまたはRはそれぞれ独立して水素原子または保護基が結合したカルボキシル基、RまたはR10は水素原子または保護基が結合した水酸基、R、Rはそれぞれ独立して、水酸基の保護基を表し、R、R、RおよびRは上述と同義である。)
に従って製造することができる。すなわち、式(1−1)で表される化合物に、テトラヒドロフランまたは1、4−ジオキサン等の溶媒中、トリメチルシリルアセチレンまたはトリエチルシリルアセチレン等を、トリフェニルホスフィンパラジウムまたはジクロロ(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム触媒、ヨウ化銅等の銅触媒、およびトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の塩基を加え、20℃〜200℃で反応させた後、三重結合の保護基であるトリアルキルシリル基を適宜当業者に周知の方法で脱保護することにより、式(1−5)の化合物を得ることができる。式(1−5)で表される化合物をテトラヒドロフランまたは1、4−ジオキサン等の溶媒中、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の塩基、及びトリフェニルホスフィンパラジウムまたはジクロロ(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム触媒の存在下に、上述の式(1−2)で表される化合物を加え20℃〜200℃でカップリングさせることにより、式(1−6)で表される化合物を得ることができる。式(1−6)で表される化合物における保護基を適宜当業者に周知の方法で脱保護することにより、式(1−7)で表される化合物を得ることができる。
Xが−CHCH−である、式(1)で表される化合物(式(1−9))は、上記化合物(式(1−7))から、当業者にとって公知の方法(例えば文献:European Journal of Organic Chemistry ,10,p2491−2500(1999))で、下式:
Figure 2016037472
(式中、RまたはRはそれぞれ独立して水素原子または保護基が結合したカルボキシル基、RまたはR10は水素原子または保護基が結合した水酸基、R、Rはそれぞれ独立して、水酸基の保護基を表し、R、R、RおよびRは上述と同義である。)
に従って製造することができる。すなわち、式(1−6)で表される化合物を、ピリジンまたはN−メチルピロリジノン等の溶媒中、パラジウム−活性炭素等の触媒、および水素またはギ酸アンモニウム等の還元剤を加え、20℃〜100℃で反応させることにより、式(1−8)で表される化合物を得ることができる。式(1−8)で表される化合物における保護基を適宜当業者に周知の方法で脱保護することにより、式(1−9)で表される化合物を得ることができる。
Xが式(2)で表される二価基である、式(1)で表される化合物(式(1−11))は、上記化合物(式(1−6))から、当業者にとって公知の方法(例えば文献:Advanced Synthesis & Catalysis ,351,p3143−3149(2009))で、下式:
Figure 2016037472
(式中、RまたはRはそれぞれ独立して水素原子または保護基が結合したカルボキシル基、RまたはR10は水素原子または保護基が結合した水酸基、R、Rはそれぞれ独立して、水酸基の保護基を表し、R、R、RおよびRは上述と同義である。)
に従って製造することができる。すなわち、式(1−6)で表される化合物を、ピリジンまたはN−メチルピロリジノン等の溶媒中、パラジウム−硫酸バリウム等の触媒、および水素またはギ酸アンモニウム等の還元剤を加え、20℃〜200℃で反応させることにより、式(1−10)で表される化合物を得ることができる。式(1−10)で表される化合物における保護基を適宜当業者に周知の方法で脱保護することにより、式(1−11)で表される化合物を得ることができる。
Xが式(3)で表される二価基である、式(1)で表される化合物(式(1−13))は、上記化合物(式(1−6))から、当業者にとって公知の方法(例えば文献:Tetrahedron ,66,p1399−1403(2010))で、下式:
Figure 2016037472
(式中、RまたはRはそれぞれ独立して水素原子または保護基が結合したカルボキシル基、RまたはR10は水素原子または保護基が結合した水酸基、R、Rはそれぞれ独立して、水酸基の保護基を表し、R、R、RおよびRは上述と同義である。)
に従って製造することができる。すなわち、式(1−6)で表される化合物を、N,N’−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、または1、4−ジオキサン等の溶媒中、トリエチルシラン等の還元剤、硫酸銅等の銅触媒、および1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノフェロセン)ジクロロパラジウムまたはジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム触媒を加え、20℃〜200℃で反応させることにより、式(1−12)で表される化合物を得ることができる。式(1−12)で表される化合物における保護基を適宜当業者に周知の方法で脱保護することにより、式(1−13)で表される化合物を得ることができる。
本発明において、セマフォリンとは、およそ500アミノ酸残基からなる類似構造のセマフォリンドメインを有する蛋白質の総称であり、現在までに約20種以上が報告されているが、これら公知のセマフォリンに限定されるものではない。かかるセマフォリンとしては、ヒト等の哺乳類のセマフォリン、好ましくは文献において定義されたクラス3型、4型、5型または6型のセマフォリン、さらに好ましくはクラス3型またはクラス6型セマフォリンを例示することができ、クラス3型セマフォリンとしてはセマフォリン3Aを、またクラス6型セマフォリンとしてはセマフォリン6Cをそれぞれ例示することができる。これらセマフォリンをコードする遺伝子の配列情報は、GenBankデータベースや公知文献等において公開されている。
神経再生促進剤における神経再生促進作用は、中枢および/または末梢における神経再生促進作用を表し、脳および脊髄等からなる中枢組織、中枢組織以外の周辺・末梢部である体表や体内の諸器官である末梢組織における神経の再生を促進する作用をいう。ここで中枢における神経再生促進作用には、網膜神経や大脳皮質神経のような、中枢領域にある神経細胞体から軸索を出し同じく中枢領域にある他の神経細胞に投射する神経の再生促進作用のみならず、嗅神経、後根神経節感覚神経の中枢性繊維等の、末梢に存在する神経細胞体から出る神経であっても、神経軸索が再生される環境が中枢組織であるときの神経再生促進作用も含まれる。また、末梢における神経再生促進作用としては、末梢にある神経細胞体から出て末梢組織の中を伸びる神経の再生促進作用のみならず、中枢領域(脳および脊髄等)にある神経細胞体から出る神経であっても、再生される環境が末梢組織であるときの神経再生促進作用も含まれる。後者としては具体的に、脊髄運動神経、交感神経・副交感神経といった自律神経系の節前神経等の神経再生促進作用を例示することができる。また坐骨神経のように、前記の両方の神経を含む神経の再生促進作用も含まれる。
セマフォリンの有する成長円錐退縮(コラプス)活性とは、神経細胞(通常は神経節の組織片)をインビトロで所定時間培養し、伸長した神経突起とその神経突起先端の成長円錐を観察しうる状態にした後、所定の濃度(例えば、約3ユニット/mL;なお、1ユニット/mLは50%の成長円錐を退縮させるセマフォリンの濃度をいう)のセマフォリンを加えさらに所定時間(例えば1時間)培養を続けた後に観察される成長円錐を消失させる活性をいう。伸長した神経突起とその神経突起先端の成長円錐を観察しうる状態とするために、神経細胞のインビトロでの培養は通常10時間から20時間行われるが、神経の種類、培養条件によって適宜変更することができる。そして、例えばこの実験系において、セマフォリンを添加する約1時間前にあらかじめ適当濃度の化合物を加えておいた場合に、セマフォリンによる成長円錐の退縮が抑制されたとき、かかる化合物をセマフォリン阻害剤、特にセマフォリンの成長円錐退縮活性の抑制作用を有する化合物ということができる。
また上記セマフォリンの有するコラーゲンゲル中での神経伸長阻害活性とは、例えばセマフォリン産生細胞と神経細胞(通常は神経節)とを共に含むコラーゲンゲル中で観察される神経伸長阻害活性をいう。そして当該神経伸長阻害活性の抑制作用とは、コラーゲンゲル中で神経細胞と近接してセマフォリン産生細胞を培養し、通常一晩以上経過した後に神経突起伸長を観察したときに、セマフォリン産生細胞と逆側へ伸長している神経突起に比べてセマフォリン産生細胞の方へは1/3以下しか伸長しない実験において、その物質存在下で培養すると1/2以上の長さにまで伸長することのできる活性をいう。
式(1)で表される化合物又はその薬学上許容される塩は、神経伸長阻止因子阻害活性、すなわち、セマフォリン阻害活性、具体的にはセマフォリン3A阻害活性を示し、神経再生促進剤として有用である。
また、式(1)で表される化合物又はその薬学上許容される塩は、脊髄神経の損傷もしくは末梢神経の損傷を伴う疾患を含む神経障害疾患または神経変異性疾患の治療剤または予防剤として有用である。
上述の脊髄神経の損傷もしくは末梢神経の損傷を伴う疾患を含む神経障害疾患または神経変性疾患としては、例えば、中枢性の神経損傷を伴う疾患を含む神経障害疾患、末梢性の神経損傷を伴う疾患を含む神経障害疾患および中枢性の神経変性疾患等が挙げられる。中枢性の神経損傷を伴う疾患を含む神経障害疾患としては、例えば、老化等に起因する嗅覚異常症、脊髄損傷等の外傷による嗅覚以外の神経障害、脳梗塞等に起因する神経障害および顔面神経麻痺等が挙げられる。末梢性の神経損傷を伴う疾患を含む神経障害疾患としては、具体的には、老化等に起因する嗅覚異常症、顔面神経麻痺、糖尿病性神経症および緑内障等が挙げられる。中枢性の神経変性疾患としては、具体的には、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症、ハンチントン病、外傷性神経変性疾患および筋発育不全性側索硬化症等が挙げられる。さらに、本発明の式(1)で表される化合物又はその薬学上許容される塩は、受容体がニューロピリンである点が共通であるVEGF165が関与する血管新生を伴う疾患の治療または予防剤としても有用である。
式(1)で表される化合物又はその薬学上許容される塩は、末梢神経である嗅神経の再生や、脳や脊髄の中の嗅球、大脳皮質、海馬、線条体、視床、間脳、中脳、小脳、橋、延髄、精髄、網膜などにあって脳脊髄関門で区切られた領域である中枢内での神経の再生を促進する。
また、式(1)で表される化合物又はその薬学上許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物は、経口投与または非経口投与により、適当な添加剤を用いて、製剤にし、投与することができる。非経口投与として、例えば、経皮、経鼻、注射、点眼、生体内に投与することが挙げられる。経口投与の製剤としては、例えば錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、液剤、懸濁液剤等の剤型が挙げられる。また、非経口投与に用いる製剤としては、例えば、静脈内注射用製剤(点滴剤)、筋注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、点眼剤、眼軟膏剤、塗布剤(軟膏剤、ローション、クリーム剤等)、点鼻剤(鼻孔投与用スプレー剤)、貼付剤、坐剤等の剤型が挙げられる。液体の製剤の場合には、適宜溶液、乳化液、懸濁液等とすることができる。製剤は、薬学的に許容される添加剤を用いて、公知の方法で製造される。
前記添加剤としては、薬学的に許容される通常の担体が挙げられ、目的に応じて、賦形剤、崩壊剤、希釈剤、pH緩衝剤、等張剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、コーティング剤、溶解剤、溶解補助剤、増粘剤、分散剤、安定化剤、甘味剤、香料等を用いることができる。添加剤として、具体的には、例えば、乳糖、マンニトール、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
また、生体内に投与する場合、徐放性製剤であるシリコーン製剤(特許文献:WO2012/018068参照)も有用である。当該シリコーン製剤はシリコーンを担体として本発明の化合物および難水溶性物質を含有した製剤である。難水溶性物質として、例えば膨潤性ポリマー、膨潤性ポリマーではない難水溶性物質が挙げられる。膨潤性ポリマーとして、例えば、ヒドロキシプロポロキシル基を5〜16%含有する低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)、部分α化デンプン、クロスポビドン、クロスCMC−Naが挙げられる。また、膨潤性ポリマーではない難水溶性物質として、例えば、常温において固体の脂質(例えば、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸等)、コレステロール、サッカリン等が挙げられる。また、当該シリコーン製剤に必要に応じて、水溶性添加剤を加えてもよい。水溶性添加剤としては、例えば、糖類、塩類、アミノ酸類、胆汁酸塩等が挙げられる。糖類としては、例えば、グルコース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、スクロース、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等が挙げられる。アミノ酸類としては、例えば、グリシン、アラニン、プロリン、セリン、アルギニン、グルタミン酸等の天然に存在する20種類のαアミノ酸等が挙げられる。胆汁酸塩としては、例えば、一次胆汁酸塩(例えば、コール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム等)、二次胆汁酸(例えば、デスオキシコール酸、リトコール酸ナトリウム等)、複合胆汁酸(例えば、グリココール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム等)等が挙げられる。シリコーン製剤は通常の方法で製造することができる。例えば、特許文献WO2012/018068に記載の方法に従って製造することができる。
投与量及び投与回数は、投与法と患者の年齢、体重、病状等によって異なるが、病床部位に局所的に投与する方法が好ましい。また、1日あたり1回又は2回以上投与することが好ましい。2回以上投与するときは連日あるいは適当な間隔をおいて繰り返し投与することが望ましい。神経の再生には通常数日から数ヶ月以上の期間を要するので、その間セマフォリンの活性を抑制するために継続的に投与することが望ましい。2回以上投与するときは連日あるいは適当な間隔をおいて繰り返し投与することが望ましい。
徐放性製剤を用いる場合、投与後、薬物が持続的に放出している間、繰り返し投与する必要はない。
投与量は成人患者一人一回当たり有効成分の量として100μg〜2g、好ましくは5〜100mgを用いることができ、一日一回または数回にわけて投与することができる。投与回数を減らすために徐放性製剤を用いたり、液剤をオスモティックポンプなどで長期間にわたって少量ずつ投与することもできる。非経口投与では、成人患者一人あたり0.1〜100mg/日、さらに好ましくは0.3〜50mg/日の投与量が挙げられ、一日一回または数回に分けて投与することができる。徐放性製剤を用いる場合、1日あたりの有効成分の放出量が上述の範囲内に入るように、投与量を調製して投与することができ、投薬回数を削減することが可能となる。
点眼剤として用いる場合には、有効成分の量として、成人患者一人あたり0.01〜10w/v%、好ましくは0.05〜5w/v%を用いることができ、症状に応じて1回量1〜数滴を1日1〜6回投与することが望ましい。また、眼軟膏剤として用いる場合には、有効成分の量として、0.01〜10w/w%、好ましくは0.1〜5w/w%を用いることができ、症状に応じて1日1〜6回投与することが望ましい。
これらのいずれの投与方法においても、作用部位においてセマフォリンの活性を充分に阻害する濃度になるような投与経路、投与方法を採用することが好ましい。
また、本発明の治療剤または予防剤の用途は、神経障害疾患および/または神経変性疾患の治療剤もしくは予防剤等の医薬品に限定されることなく、動物薬、さらにはセマフォリンシグナルの阻害剤として産業上重要な実験試薬としても利用が可能である。
以下に参考例、実施例及び試験例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。なお、化合物の同定は高速液体クロマト質量分析計;LCMS、NMRスペクトル、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により行った。
明細書の記載を簡略化するために参考例、実施例及び実施例中の表において以下に示すような略号を用いることもある。置換基として用いられる略号としては Me:メチル、tBu:tert−ブチル、Piv:ピバロイル、MOM:メトキシメチルを意味する。NMRに用いられる記号としては、sは一重線、dは二重線、ddは二重の二重線、tは三重線、tdは三重線の二重線、qは四重線、mは多重線、brは幅広い、brsは幅広い一重線、brmは幅広い多重線及びJは結合定数を意味する。
高速液体クロマト質量分析計;LCMSの測定条件は、以下の通りであり、観察された質量分析の値[MS(m/z)]を[M+H]で、保持時間をRt(分、min)で示す。
検出機器; API 150EX
HPLC; Shimadzu LC 10ATYP
Column; CAPCELL PAK C18 ACR (S−5μm,4.6×50mm)
Flow rate; 3.5mL/min
Solvent; A液0.05% TFA/HO, B液0.05% TFA/MeCN
Gradient Condition;
0−0.5min; A液/B液=90:10
0.5−4.8min; A液/B液=90:10〜1:99(liner gradient)
4.8−5.0min; A液/B液=1:99
5.0−5.2min; A液/B液=1:99〜90:10(liner gradient)
5.2−5.9min; A液/B液=90:10
(参考例1)
式(6)で表される化合物の合成
Figure 2016037472
文献(Angew. Chem. Int. Ed. ,52,p3421−3424(2013))に従い合成した式(5)で表される化合物(0.2g,0.38mmol)をプロピオニトリル(3.8mL)に溶解した後、トリエチルアミン(0.16mL,1.14mmol) 及び酢酸パラジウム(43mg,0.19mmol)を加え80℃で1時間加熱した。セライトろ過後減圧濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 2:1)にかけ、粗精製物を再度シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン= 2:1)で精製し、式(6)で表される化合物(60mg)を黄色固体として得た(収率 39%)。
LC/MS:[M+H]/Rt=811/4.85min
(実施例1)
化合物A(6,6’,7,7’−テトラヒドロキシ―4,4’−ジオキソ―4H,4’H−[3,3’−ビクロメン]−5,5’−ジカルボン酸)の合成
Figure 2016037472
式(6)で表される化合物(0.70g,0.86mmol)をジクロロメタン(15mL)に溶解した後、1.0M三臭化ホウ素−ジクロロメタン溶液(10mL,10mmol)を加え室温で1時間撹拌した。濃塩酸(3.8mL)、酢酸エチル(42mL)を加え15分激しく撹拌し減圧下反応液を留去した。残留物をメタノール(130mL)に溶かし再度減圧下反応液を留去した。残留物にメタノールとトルエンを加えて共沸脱水にて乾固させ、メタノール(10mL)を加えて懸濁させ、ろ取し、メタノール(5mL)で洗浄して化合物A(0.30g)を黄色固体として得た(収率 80%)。
LC/MS:[M+H]/Rt=443/2.35min
H−NMR(DMSO−d,300MHz)δ;11.33(s,2H),9.40(s,2H),8.38(s,2H),6.94(s,2H)
(参考例2)
式(8)で表される化合物の合成
Figure 2016037472
文献(Chem Lett. ,36,p1382(2007))に従い合成した、式(7)で表される化合物(2.0g,6.0mmol)をジクロロメタン(120mL)に溶解した後、1.0M三臭化ホウ素-ジクロロメタン溶液(18mL,18mmol)を加え室温で終夜撹拌した。0℃に冷却し水を加え析出した固体をろ取し水及びヘキサンで洗浄、乾燥させ、式(8)で表される化合物(1.83g)を得た(収率 99%)。
LC/MS:[M+H]/Rt=305/2.54min
(参考例3)
式(9)で表される化合物の合成
Figure 2016037472
式(8)で表される化合物(85mg,0.28mmol)をジクロロメタン(3mL)に溶解した後、0℃に冷却しジイソプロピルエチルアミン(145μL,0.84mmol)、クロロメチルメチルエーテル(64μL,0.84mmol)を加え室温に戻した。1時間撹拌した後に水を加え、クロロホルムで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮し残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、式(9)で表される化合物(90mg)を白色固体として得た(収率 82%)。
LC/MS:[M+H]/Rt=393/3.36min
(参考例4)
式(10)で表される化合物の合成
Figure 2016037472
式(9)で表される化合物(85mg,0.22mmol)をプロピオニトリル(2.2mL)に溶解した後、トリエチルアミン(91μL,0.66mmol)及び酢酸パラジウム(24mg,0.11mmol)を加え80℃で1時間加熱した。セライトろ過後減圧下反応液を留去し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製し、式(10)で表される化合物(30mg)を黄色固体として得た(収率 26%)。
LC/MS:[M+H]/Rt=531/3.51min
(実施例2)
化合物B(6,6’,7,7’−テトラヒドロキシ―4H,4’H−[3,3’−ビクロメン]−4,4’−ジオン)の合成
Figure 2016037472
式(10)であらわされる化合物(43mg,0.081mmol)をジクロロメタン(0.10mL)に溶解した後、0℃に冷却し、トリフルオロ酢酸(6.0μL,0.81mmol)を加えた。室温で2時間撹拌した後減圧濃縮し、得られた固体をジエチルエーテルで洗浄、乾燥し、化合物B(25mg)を褐色固体として得た(収率 87%)。LC/MS:[M+H]/Rt=355/2.39min
H−NMR(DMSO−d,300MHz)δ;10.48(s,2H),9.84(s,2H),8.41(s,2H),6.33(s,2H),6.92(s,2H)
(参考例5)
式(14)で表される化合物の合成
Figure 2016037472
(式(12)で表される化合物の合成)
式(11)で表される化合物(48.7mg,0.124mmol)をテトラヒドロフラン(2.44mL) に溶解した後、トリメチルシリルアセチレン(53μL,0.375mmol)、トリフェニルホスフィンパラジウム(1.5mg,5.71μmol)、トリエチルアミン(52μL,0.375mmol)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(8.30mg,11.8μmol)を加え30分間撹拌した後、ヨウ化銅(2.5mg,13.1μmol)を加えて4時間撹拌した。反応終了後、シリカゲル187mgに吸着させて減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:クロロホルム:酢酸エチル=3:10:1)により精製した。得られた橙色固体に酢酸エチル0.7mLを加え溶解させ、ヘキサン2.5mLを添加することにより白色沈殿が生成した。遠心分離を行うことにより上澄み液を除去し、沈殿物をヘキサンを用いて2回洗浄したのちに減圧下乾燥して、式(12)で表される化合物(33.6mg)を淡黄色固体として得た(収率75%)。
LC/MS:[M+H]=361
(式(13)で表される化合物の合成)
式(12)で表される化合物(115mg,0.319mmol)をテトラヒドロフラン(11mL)に溶解した後、酢酸(36.5μL,0.683mmol)およびテトラアンモニウムフルオリド1.0Mテトラヒドロフラン溶液(0.290mL,0.290mmol)の混合溶液を氷冷下にて添加して1時間撹拌した。反応終了後、シリカゲル330mg吸着させて減圧下濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1,2−ジクロロエタン:酢酸エチル=20:1)により精製して、式(13)で表される化合物(82.5mg)を茶色固体として得た(収率90%)。
LC/MS:[M+H]=289
(式(14)で表される化合物の合成)
アルゴンにて脱気した1,4−ジオキサン35mLに式(11)で表される化合物(346mg,1.20mmol)および式(13)で表される化合物(470mg,1.20mmol)溶解させ、トリエチルアミン(0.40mL,2.88mmol)およびビス(トリtert−ブチルホスフィン)パラジウム52mg(0.103mmol)を加えて50分間撹拌した後に、ヨウ化銅(34.3mg,0.180mmol)を加えて20℃にて2時間撹拌した。反応終了後、シリカゲル1.43gに吸着させて減圧下濃縮した。残留物から2−ブタノン100mLを用いてシリカゲルろ過を行い、不純物を除去した。ろ物にピリジンを加え、80℃に加熱することで抽出し、ガラスフィルターを用いてろ過した。得られたろ液を減圧下濃縮し、式(14)で表される化合物(506mg)を無色固体として得た(収率77%)。
LC/MS:[M+H]=551
H−NMR(pyridine−d,600MHz)δ;8.61(s,2H),7.06(s,2H),7.04(s,2H),4.14(s,6H),3.98(s,6H),3.85(s,6H).
(実施例3)
化合物C(3,3’−(エチン―1,2−ジイル)ビス(6,7−ジヒドロキシ―4−オキソ―4H−クロメン―5−カルボン酸))の合成
Figure 2016037472
式(14)で表される化合物(100mg,0.183mmol)に1,2−ジクロロエタン10mL,1.0M三臭化ホウ素-ジクロロメタン溶液9.2mL(9.2mmol)を加えた。蒸留装置を付け、65℃で撹拌してジクロロメタンを除去した後、反応系を密封して90℃で17時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮したのち、得られた固体を粉末状にした。生成物に対して再度60℃下1時間減圧濃縮し、真空乾燥した。生じた黄土色粉末に1Mトリエチルアミン水溶液8mLを加え、pH11を確認したのちに減圧下濃縮し、黒色粉末を得た。残留物を水0.5mLに溶解させて、脱塩処理(SephadexTMLH−20 20g,水)して茶色粉末を得た。茶色粉末に水0.5mLを加え溶解させ、2.0M塩酸1.2mLを滴加することにより灰色沈殿が生成し、pH1を確認した。遠心分離を行い、上澄み液を除去した。さらに水4mLで沈殿物を洗浄し、同様の操作を12回繰り返してpH5を確認した。沈殿物を減圧下乾燥し、化合物C(30mg)を淡黄色固体として得た(収率36%)。
LC/MS:[M+H]=467
H−NMR(pyridine−d,600MHz)δ;12.57−12.88(brs,2H),11.44(s,2H),9.44(s,2H),8.60(s,2H),6.93(s,2H).
(参考例6)
式(15)で表される化合物の合成
Figure 2016037472
式(14)で表される化合物(51.8mg,0.094mmol)にピリジン11mLに溶解させ、パラジウム-硫酸バリウム(5%)10.8mgを加えて水素雰囲気下、23分間激しく撹拌した。反応終了後、セライトろ過したのちに、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:2−ブタノン=8:1)により精製して、式(15)で表される化合物(42mg)を無色固体として得た(収率81%)。
LC/MS:[M+H]=553
H−NMR(CDCl,600MHz)δ;7.72(s,2H),6.86(s,2H),6.57(s,2H),4.02(s,6H),3.95(s,6H),3.88(s,6H).
(実施例4)
化合物D((Z)−3,3’−(エテン―1,2−ジイル)ビス(6,7−ジヒドロキシ―4−オキソ―4H−クロメン―5−カルボン酸))の合成
Figure 2016037472
式(15)で表される化合物(40mg,0.072mmol)に1,2−ジクロロエタン2mL,1.0M三臭化ホウ素-ジクロロメタン溶液(3.9mL,3.9mmol)を加えた。蒸留装置を付け、65℃で撹拌してジクロロメタンを除去した後、反応系を密封して90℃で9時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮したのち、得られた固体を粉末状にした。生成物に対して再度60℃下1時間減圧濃縮し、真空乾燥した。生じた黄土色粉末に1Mトリエチルアミン水溶液2mLを加え、pH11を確認したのちに減圧下濃縮し、黒色粉末を得た。残留物を水2.0mLに溶解させクロロホルム1mLを加え分液し、さらに水層をクロロホルム1mLを用いて2回洗浄した。水層を減圧下濃縮し、残留物を水1mLに溶解させて、脱塩処理(SephadexTMLH−20 4g,水)して茶色粉末を得た。茶色粉末に水1mLを加え溶解させ、2.0M塩酸1.2mLを滴加することにより桃色沈殿が生成し、pH1を確認した。遠心分離を行い、上澄み液を除去した。さらに水3mLで沈殿物を洗浄し、同様の操作を4回繰り返してpH5を確認した。沈殿物を減圧下乾燥し、化合物D(23mg)を淡黄色固体として得た(収率68%)。
LC/MS:[M+H]=469
H−NMR(DMSO−d,600MHz)δ;12.78−12.95(brs,2H),11.24(s,2H),9.47(s,2H),8.13(s,2H),6.85(s,2H),6.40(s,2H).
(参考例7)
式(16)で表される化合物の合成
Figure 2016037472
式(14)で表される化合物(10mg,0.018mmol)にDMF2mL、水2mL、トリエチルシラン(0.0120mL,0.073mmol)、硫酸銅(0.9mg,5.5μmol)、1,1’−ジフェニルホスフィノフェロセン(1.0mg)、1,1’−ビス―(ジフェニルホスフィノフェロセン)ジクロロパラジウム(3.8mg)を加えた。反応系を密栓にして115℃で15分撹拌した。反応終了後、トルエンを加えることにより無色沈殿を生成させ、遠心分離を行い、上澄み液を除去した。酢酸エチルで沈殿物を洗浄し、同様の操作を4回繰り返した。沈殿物を減圧下乾燥し、式(16)で表される化合物(6mg)を無色固体として得た(収率60%)。
LC/MS:[M+H]=553
H−NMR(pyridine−d,600MHz)δ;8.25(s,2H),8.02(s,2H),7.04(s,2H),4.17(s,6H),4.00(s,6H),3.85(s,6H).
(実施例5)
化合物E((E)−3,3’−(エテン―1,2−ジイル)ビス(6,7−ジヒドロキシ―4−オキソ―4H−クロメン―5−カルボン酸))の合成
Figure 2016037472
式(16)で表される化合物(56mg,0.102mmol)に1,2−ジクロロエタン11.5mL、1.0M三臭化ホウ素-ジクロロメタン溶液7mL(7mmol)を加えた。蒸留装置を付け、65℃で撹拌してジクロロメタンを除去した後、反応系を密封して90℃で10時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮したのち、得られた固体を粉末状にした。生成物に対して再度60℃下1時間減圧濃縮し、真空乾燥した。生じた黄土色粉末に1Mトリエチルアミン水溶液3mLを加え、pH11を確認したのちに減圧下濃縮し、黒色粉末を得た。残留物を水2.5mLに溶解させクロロホルム1mLを加え分液し、さらに水層をクロロホルム1mLを用いて2回洗浄した。水層を減圧下濃縮し、残留物を水1mLに溶解させて、脱塩処理(SephadexTMLH−20 4g,水)して茶色粉末を得た。茶色粉末に水1mLを加え溶解させ、2.0M塩酸1.6mLを滴加することにより黄色沈殿が生成し、pH1を確認した。遠心分離を行い、上澄み液を除去した。さらに水3mLで沈殿物を洗浄し、同様の操作を4回繰り返してpH5を確認した。沈殿物を減圧下乾燥し、化合物E(4mg)を淡黄色固体として得た(収率8%)。
LC/MS:[M+H]=469
H−NMR(DMSO−d,600MHz)δ;12.65−12.73(brs,2H),11.29(s,2H),9.36(s,2H),8.43(s,2H),7.48(s,2H),6.91(s,2H).
(参考例8)
式(17)で表される化合物の合成
Figure 2016037472
式(14)で表される化合物(85mg, 0.154mmol)にピリジン17mlに溶解させ、10%パラジウム―活性炭素(41mg)を加えて水素雰囲気下、1時間撹拌した。反応終了後、セライトろ過したのちに、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(四塩化炭素:n−ブタノール=7:1)で精製し、式(17)で表される化合物(80mg)を無色固体として得た(収率94%)。
LC/MS:[M+H]=555
H−NMR(CDCl,600MHz)δ;7.68(s,2H),6.86(s,2H),4.04(s,6H),3.87(s,6H),2.62−2.77(brs,4H).
(実施例6)
化合物F(3,3’−(エタン―1,2−ジイル)ビス(6,7−ジヒドロキシ―4−オキソ―4H−クロメン―5−カルボン酸))の合成
Figure 2016037472
式(17)で表される化合物(80mg,0.145mmol)に1,2−ジクロロエタン8mL,1.0M三臭化ホウ素-ジクロロメタン溶液7mL(7mmol)を加えた。蒸留装置を付け、65℃で撹拌してジクロロメタンを除去した後、反応系を密封して90℃で24時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮したのち、得られた固体を粉末状にした。生成物に対して再度60℃下1時間減圧濃縮し、真空乾燥した。生じた黄土色粉末に1Mトリエチルアミン水溶液4mLを加え、pH11を確認したのちに減圧下濃縮し、黒色粉末を得た。残留物を水2.5mLに溶解させクロロホルム1mLを加え分液し、さらに水層をクロロホルム1mLを用いて2回洗浄した。水層を減圧下濃縮し、残留物を水1mLに溶解させて、脱塩処理(SephadexTMG25 Fine 9g,水)して茶色粉末を得た。茶色粉末に水2mLを加え溶解させ、2.0M塩酸2.4mLを滴加することにより黄色沈殿が生成し、pH1を確認した。遠心分離を行い、上澄み液を除去した。さらに水3mLで沈殿物を洗浄し、同様の操作を4回繰り返してpH5を確認した。沈殿物を減圧下乾燥し、化合物F(48mg)を淡黄色固体として得た(収率70%)。
LC/MS:[M+H]=471
H−NMR(DMSO−d,600MHz)δ;12.85−13.05(brs,2H),11.22(s,2H),9.55(s,2H),7.99(s,2H),6.86(s,2H),2.51−2.53(brs,2H).
(実施例7)
化合物G(6,6’,7,7’,8,8’−ヘキサヒドロキシ―4H,4’H−[3,3’−ビクロメン]−4,4’−ジオン)の合成
Figure 2016037472
参考例4の式(10)で表される化合物と同様の方法で合成した式(18)で表される化合物(90mg,0.17mmol)をクロロホルム(1.0mL)に溶解した後、0℃に冷却し、トリフルオロ酢酸(2mL)を加えた。室温で3時間撹拌した後、生じた沈殿物をろ別し、さらに得られた固体をクロロホルム(3mL×3)で洗浄し、乾燥させ、化合物G(46mg)を白色固体として得た(収率76%)。
LC/MS:[M+H]/Rt=355/2.39min
H−NMR(DMSO−d,300MHz)δ;10.48(s,2H),9.84(s,2H),8.41(s,2H),7.33(s,2H),6.92(s,2H).
(試験例1)
Sema3A のコラプス活性に対する阻害活性
ポリリジンを塗布した96ウェルプレート(住友ベークライト)にさらにラミニン塗布(10μLのラミニン,室温1時間) を行った。各ウェルに100μLの培地(10%の牛胎仔血清、20ng/mLのNGF、100ユニット/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシンを含むF12培地)を入れ、ここに7〜8日齢ニワトリ胚から摘出した後根神経節を接種し、16〜20時間5%CO、37℃の条件下で培養した。その後、対象化合物を種々の濃度で培地に添加し30分間培養後、3ユニット/mLのマウスセマフォリン3A(Sema3A)を添加し、更に30分間培養した。その後、最終濃度1%になるようにグルタルアルデヒドを添加し、室温に15分間放置して組織片を固定した後、顕微鏡下で退縮した成長円錐の割合を測定した(定性的評価)。下記表1は(試験例1)のコラプスアッセイの結果を示す。縦軸は退縮する神経円錐の量を示す。横軸は、化合物濃度を示す。その結果、表1に示す化合物は、1μM、10μM添加でほぼ完全にSema3Aを阻害することがわかった。
Figure 2016037472
上記表は定性評価でSema3A誘発コラプスに対する阻害活性を表示したものである:
(−)>90%阻害
(+)70〜90%阻害。
本発明の式(1)で表される化合物またはその薬学上許容される塩は、セマフォリン阻害活性を有し、末梢もしくは中枢における神経再生促進剤、またはかかる神経再生促進剤を含有する脊髄損傷等の神経変性を伴う予防剤もしくは治療剤として有用である。

Claims (6)

  1. 式(1):
    Figure 2016037472
    [式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子またはカルボキシル基を表し、
    およびRはそれぞれ独立して、水素原子または水酸基を表し、
    Xは、単結合、−CHCH−、式(2):
    Figure 2016037472
    で表される二価基、式(3):
    Figure 2016037472
    で表される二価基、または式(4):
    Figure 2016037472
    で表される二価基を表す。]
    で表される化合物またはその薬学上許容される塩。
  2. 3およびR4が水素原子を表す、請求項1に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
  3. Xが単結合、式(3)で表される二価基、または式(4)で表される二価基を表す、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、セマフォリン阻害剤。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、神経再生促進剤。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、脊髄損傷疾患の治療剤または予防剤。
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