JP2016037270A - ツィン三段ラダー操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】舵をプロペラ後流に配置せず、CO2削減目標を達成する高推進効率を達成しつつ、大きな舵角を取ることを可能として、操舵性能を確保しつつ、舵を船舶の制動に利用できる操舵装置を提供する。【解決手段】スクリュー軸中心12に線対称にプロペラ20の両側方で船底に配設される軸受13によって回転自在に鉛直垂下支持される二つの舵軸40とそれらの駆動機構50を備え、舵板30は、三段に分割構成され、二段目の舵板32の前縁部36と一段目の舵板後縁部35には、鉛直軸まわりの第一の平面回転機構41を備え、三段目の舵板33はフラップを構成し、その前縁部と二段目の舵板後縁部37には、後縁に沿って第二の平面回転機構42を備え、前記二段目の舵板の舵角を前記フラップの舵角に増幅変換するフラップ駆動機構60を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、一軸推進二舵方式の船舶の操舵装置に関し、船舶の推進性能を向上し、洋上航行中の燃料消費量の低減化によるCO2排出指標(Energy Efficiency Design Index[EEDI])の基準に適合しつつ、船舶の機敏な操縦性能を発揮させ、特に水深の浅い水域を航行する船舶や巡視船等の特殊な操船を必要とする水上船舶に好適なものである。
国際海運CO2排出削減のための改正等を盛り込んだ「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律」が平成25年1月から施行され、CO2排出削減の具体的目標が設定されるなど燃料費の削減のみならず、環境政策目標も掲げられ、目標年次を区切り、順次現行から総量20%(2030年)の国際海運CO2排出数値削減目標が設定されている。この幾分かは推進効率の向上で実現されることが期待されている。その実現手段として、非特許文献1「船舶からのCO2 削減技術開発事業支援対象案件一覧(22件)」表に記載されているように、ディーゼル機関についてはその効率向上と熱回収、船体については推進効率の高い船型、プロペラ効率の向上、流体摩擦抵抗の低減等のテーマ検討がなされているが、本発明は、これらからは示唆されていない、舵の配置とその回転を担う操舵装置に係わる技術という課題に着目し、この政策目標へアプローチするものである。
従来、水上船舶、特に商業船舶では、一軸推進機構とその後流に配置される一舵による一軸推進一舵操舵機構が装備されるのが通常であったが、近年、より柔軟な操縦性及び安全の確保を目的として、一軸の推進プロペラの後方に二枚の舵板を配置し、運航状況によって二舵の舵角をいろいろ組み合わせることにより、推進プロペラの後流の偏向排出を利用して舵に多様な方向の推力ベクトルを発生させ、特に低速での操船能力を向上させる二枚舵の操舵装置が開発されている(非特許文献2,3及び特許文献1:特開2003−26096)。その後、二舵の操舵機構にも改良が施され、大型化への対応では、大径舵軸と厚肉の舵板による推進効率の低下をマリナー型の構造によって舵軸の大径化を抑え、舵板を薄肉化により大型化に伴うこの効率悪化を改善しようとするものも創案されている(特許文献2:特開2007−326502)。
ところが、もともと一舵に比べ二舵による構成では、推進抵抗体の数が増えるため推進効率の改善にはさほど有効でなく、特許文献1の段落0068に記載されている「・・高い操縦性能を発揮する一方、直進時の推進性能がほぼ同じかより少なく、ほぼ同等あるいはそれ以上の推進性能を有する」という表現から推察されるように、推進効率の向上により国際海運CO2排出削減に貢献しようという本発明の目的に適合させるには、考慮点が少なからず発生する。実際、大型化対応のためマリナー型の構造の二舵装置についても『損失抵抗の増大を防止するため』弾性材料から成る遮蔽板をホーンと舵ブレードの境界を覆うものとする構成を取る工夫が必要であったというのである(特許文献2:段落0023)。
このように特許文献1及び2に係る二舵操舵機構で推進効率が大きな課題となったのは、二舵がなお、従前と同じく推進プロペラの後方に配置され、巡航直進時にも高速のプロペラ後流中にあっては、抵抗体として作用せざるを得ないからであると考えられる。
この点、特許文献3:特開2010−013987は、機関室の移動により後部貨物スペースの容量増加のためにとその目的を本願発明とは異にするが、スタンフレームを具備した船舶において、『上部舵軸と下部舵軸を結ぶ同一面上にスクリュープロペラを配置させ』、舵板が推進プロペラの後流に配されないようにし、さらに発明のバリエーション形態として、二舵の代替に円筒型の枢動体でスクリュープロペラを包む構成によって(特許文献3:段落0021)、なおプロペラ後流の整流を図って推進性能の低下を防ぐ配慮の呈示をしている。これら構成では、プロペラ後流に二舵を配置しないため、特許文献3:段落0021記載のように、『プロペラ後流の旋回流やプロペラ・ボスにより生じる渦流を受け、推進力の損失を回避できない』という弊害を回避できるのである。
二舵プロペラ後流配置の操舵装置にあっては、この弊害を緩和するため、舵やスケグに対してプロペラ後流が斜めから当たるために発生する抵抗を低減するために板面にひねりを設けた形状にする等の工夫をする創作も提案されているが(特許文献4:特開2010−95239)、そもそも舵板やスケグをプロペラ後流に配置しなければ、このような配慮は無用なのであって、舵板をプロペラ後流の配置しないことに勝る有効な抵抗低減策は見られないとも云えるのである。
そこで、本願発明では、二舵をプロペラ後流に配置しない構成を採用するのであるが、巡航直進時の推進効率は高められるとしても、従来のプロペラ後流配置で舵が提供する機能であるプロペラ後流を偏向させ、プロペラ後流をいわば謂わば噴流のように偏向し、排出し操船するという作用が低下する点は否めない。この点、従来技術より、プロペラ後流を偏向させる手段としてプロペラ後流配置の一舵操舵機構でも有効であるフラップ付き舵を活用するという従来技術に着目するのが本願発明の着想点である。
フラップ付き舵は、発明者が当初一舵プロペラ後流配置の操舵機構に使用する舵として約三十年前から考案し(特許文献5:実案公開昭55−131897)、以後も改良を重ね今日まで累積で幾千もの数多くの商船に採用されている技術である(非特許文献4:かもめプロペラ株式会社、ホーム>製品情報>フラップ舵>かもめK−7ラダー、http://www.kamome-propeller.co.jp/products/rudder )。通常であれば45°の舵角をリンク機構により倍以上に拡大し、90°のフラップ舵角を呈し、スラスター的使用も可能とし、強い旋回力を提供し、特に低速下での操舵性が大幅に向上することを特徴とするのであるから、二舵構成でプロペラ後流に舵を配置しない構成の下で、一舵プロペラ後流配置用途のかもめK−7ラダーのようなフラップ付き舵を有効に機能させることができれば、強い旋回力を得られるだけでなく、急旋回時はフラップの反力により、船体傾斜の復元が速やかに行われることが期待できる。また、低舵角からのフラップの効果が大きく、狭水路などでの安全航行に最適であり、かつ、可動部の構造が簡単で、耐久性の高い材料を使えば、保守が容易に行えるという独立航行する商船にも安全面から高い信頼性を要求される巡視船用途にも好適であると考えられる。
フラップ付きの舵板を二舵の操舵機構に採用する提案では、プロペラを後流に配置するというものが発明者によってすでになされているが(特許文献6:特開昭61−150898)、プロペラ後流に二舵を配置しない構成についてフラップ付きの舵板を採用する点については、未だ発明者によっても何ら検討もされていなかったのである。
特開2003−26096 特開2007−326502 特開2010−013987 特開2010−95239 実案公開昭55−131897 特開昭61−150898
https://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji06_hh_000061.html 「船舶からのCO2削減技術開発支援事業の評価について」,添付資料「船舶からのCO2削減技術開発支援事業の評価について」プレスリリース,国土交通省海事局安全・環境政策課,平成25年3月29日 新・舵取機械・舵システムの新しい概念―シリングラダ―、ロータリーベーン舵取機、ベクツィン・ラダーシステム(2)日本マリンエンジニアリング学会誌、第45巻 第3号 P97−104 新・舵取機械・舵システムの新しい概念―シリングラダ―、ロータリーベーン舵取機、ベクツィン・ラダーシステム(1)日本マリンエンジニアリング学会誌、第45巻 第2号 P93−99 :かもめプロペラ株式会社、ホーム>製品情報>フラップ舵>かもめK−7ラダー、http://www.kamome-propeller.co.jp/products/rudder ある進路不安定船におけるスケグ及び舵数の効果について、川野浩一、日本造船学会論文集第126号。167ページ〜172ページ。
以上に示されるように、一軸推進二舵構成のもとで操舵性能、安全性能及び推進性能向上を目的として数々の工夫が重ねられてはいるが、多くは、二舵配置をプロペラ後流に配置する構成の制約条件の下での最適化・改善に止まる。二軸推進構成のもとで旋回性能を確保する工夫もあるが機関の重畳というコスト面で問題がある。プロペラ後流配置の舵形状やスケグ形状やその他付加物の工夫により舵板が一舵に比して増加する抵抗増の緩和と、プロペラ後流にスクリュー軸延長線上に舵板を配置するのではなく、スクリュー軸延長線上から離隔する位置に二舵を配することから生ずるプロペラ旋回流の舵板面への当たりから生ずる乱流・渦の発生による推進エネルギーの散逸、これから派生する推進効率の低下を緩和する工夫もされてはいるが、巡航推進性能の向上には、追加の形状は、巡航条件によっては、直進時には寧ろ抵抗の増加因子でしかないとも云える。船尾の専用舵を不要とするコルトノズル態様の枢動舵カバーは、巡航時の推進効率性能の点で問題がありそうだし、そもそも安全面で重視されている急停止する機能に欠ける。ただ単に舵をプロペラの両脇に配置するだけでは、従来よりも高い推進性能は得られるとしても、高い操縦性能を追求するには不十分である。本発明は、化石燃料の利用による高速水流を提供できるプロペラ船舶の時代の優れた操縦性能と優れた推進機能を備える舵を低CO2発生の要請に応えつつ提供する、新しい舵である。
新しい舵には、推進性能の向上による化石燃料消費量及びCO2発生量の削減、高い操作性能確保が求められる。
そうすると巡航直進時には、推進性能の向上を主眼として、舵はプロペラ後流に配置されていないことが好ましく、変針時には、低速時でも舵がプロペラ後流を偏向させ大きな舵角同然の作用を提供することを提供することが好ましい。
本発明に係る操舵装置発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、巡航直進時のプロペラの推進効率を高めるため、巡航直進時には、舵がプロペラ後流に位置することなく、かつ、幅広船にも適合する針路安定能力を備え、変針時にはプロペラ後流を針路と逆方向に偏向させ、機敏な操舵旋回性能を確保する操舵装置を提供することを目的とする。
この課題を解決した本発明は以下のとおりである。
[請求項1記載の発明]
スクリュー軸中心に線対称にプロペラの両側方で船底に配設される軸受によって回転自在に鉛直垂下支持される二つの舵軸とそれらの駆動機構を備え、
前記舵板は、三段に分割構成され、
二段目の舵板の前縁部と一段目の舵板後縁部には、鉛直軸まわりの第一の平面回転機構を備え、
三段目の舵板はフラップを構成し、その前縁部と二段目の舵板後縁部には、後縁に沿って第二の平面回転機構を備え、
前記二段目の舵板の舵角を前記フラップの舵角に増幅変換するフラップ駆動機構を備えることを特徴とする船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
請求項1記載の発明は、舵が三段構成となり、第一段が最上流側で前縁翼として、第二段が中央部で主舵として、第三段が最下流側で後縁翼として、三段翼構成となっていることを特徴とする。平面回転機構によって蛇腹のように前縁翼に対して主舵が、主舵に対して後縁翼が二段階に柔軟に折れ曲がる形態を呈することにより、より滑らかにプロペラ後流を所望の偏向流へと運動量変換し、操舵能力を向上する。特に船体の流速が低速である場合のプロペラ後流から偏向流を生成することにより、船の変針能力を向上させることを狙いとする。変針能力が向上し、舵を小型化できるので、浅深水域で航行する船舶に用いて効果が上がる。
巡航直進時には、三段で構成されるプロペラ側方左右一対の各舵は、全段で一枚の舵板のように滑らかな平坦に近く変形され、プロペラの両脇に船軸と平行に配置される。この結果プロペラ後流を邪魔することはなく船の直進方向と平行に配置されるため、従来技術のプロペラ後流配置の二舵のものに比べて、翼まわりの流れから受ける翼抗力が下がり、より高い推進性能を提供できる。舵は巡航直進時にはプロペラの両脇に二枚配置され、1枚舵構成に比して二枚舵構成のうちの1枚は、1枚舵で同じ舵性能を与える舵面積より小さな面積で同じ舵高さとすれば、すなわち、船軸方向の翼弦長を1枚舵による場合より小さくすれば、アスペクト比を大きくすることにより、かつ小さな翼により翼厚を薄肉としスリムにできるから、舵翼端からのまわり込みによる揚力の低下、抗力の増加を抑え、小さな舵で推進性能と操縦性能を満たし、1枚舵で同じ舵性能を与えるものよりも幅狭の舵とし、より小さな流体粘性抵抗を受ける薄肉の舵面とし、巡航時に高い推進効率が得られることを可能とする。逆に言えば、巡航時に高い推進効率が得られる程、翼弦長を幅狭かつ薄肉の翼にするのが好ましい。翼弦長を小さくできれば、翼厚さも薄肉化でき、これらが相乗効果を上げスリムな翼形状により、翼端の渦発生状況及び抗力低下の効果を得ることができ、操舵に十二分な舵面積を保持しつつ、推進効率を増加させることを可能とする。
直進から暴風、波浪、海流等により左右にぶれる場合を考えてみると、従来の一軸一舵であれば、船軸中心線と一致する軸線上に舵板は配置されているので、船尾を中心に左右に振れた場合には、舵軸に一致する線上に配置される舵板では保針矯正作用は小さい。したがって、場合により、舵板の舵角を微妙にアクティブに制御する必要も生ずる。
それに対して本発明に係る操舵装置では、巡航時には、プロペラの両脇側方に舵板は配置され、船軸中心線から離れた位置にある。そうすると、直進から何らかの擾乱により左右にぶれる場合でも、舵板の舵角をアクティブに制御せずとも船軸中心線から離隔した位置にある分だけモーメントの作用で本来進路への矯正作用、すなわち保針性能が向上される。勿論、加えて舵板の舵角をアクティブに制御すればより安定した保針を提供でき、この場合でも、保針にようする総動力は、より小さくでき省エネルギーへ貢献する。
プロペラの両脇側方の三段の舵板は巡航時には、謂わば一枚の舵板のように配置され、船軸中心線から離れた位置にある本発明に係る操舵装置1の巡航時の舵板は、非特許文献5に記載されているようなスケグの役割を提供するのである。そうすると、船体設計にも相互依存するが、本発明によれば、航行が不安定となり易いと云う幅広船でも、巡航安定性を満たす舵板30をより小さな舵板面積で提供することができ、より小さな流体粘性抵抗を受ける大きさとし、巡航時に高い推進効率が得られるという効果を与えられる可能性がある。
ここで、舵板は、三段に分割構成されるとするのは、以下の理由による。
変針時には、舵板30は舵軸40の回転で、最下流の段まで舵板が蛇腹が折れ曲がるように動き、プロペラ後流を遮蔽しその流れを最下流の段の向きに偏向させようとするが、大きな舵角でいきなり斜流を生成しようとすると運動量理論による方向変換に至る前に、舵板面が下流段の旋回により、折れ曲がる近傍での乱流の生成、渦の生成により後方への反力を生成し、理想とする斜方への運動量変換が未達となる。その点、舵板30を三段の構成とすれば、例えば、主舵とフラップの二段のみの構成よりもずっと滑らかな偏向流を生成することを可能とする。このことは、航空機の翼フラップをスロッテッドフラップ 、ザップフラップ及びファウラーフラップ等二段以上のフラップ展開構成とし、より滑らかな翼形の形成により高揚力を確保することの示唆から、発明者により創案された。
三段構成とすると舵板の分割部分で巡航直進時の抵抗が増す面も生ずるが、元々プロペラ後流に配するのをプロペラ側方に配する構成とすることで、このマイナス面にも余りある流水抵抗低減の効果が得られているので、舵を後流配置とする特許文献2のように分割部分を弾性部材で覆い隠すという複雑な構成を取る要もない。
このように三段構成とすることは、プロペラ上流側の流れにもよい影響を与える。なぜなら、変針時に舵板が回転し斜方に向いているところへ、船速の船体廻りの伴流が流れ込むとプロペラ入口の流れも乱れたままとなったり、さらに、乱れを増したりする可能性があって、この場合には、プロぺラ後流の生成が所望の流速とならならず、推進効率が低下する恐れがある。三段構成とするとプロペラへの水流入口部近傍の舵板の傾斜角度を抑える構成も取れ、この場合には船尾付近の船体の伴流の影響を軽減したり、進行方に斜行する舵板により流れの乱れを抑えたりすることができる。結果として、このような伴流による推進効率の低下を抑えることを可能とする。
加えて、三段構成とすると例えば、二段の単純なフラップ付きのみの舵板よりもよりプロペラ後流を滑らかに偏向させることができることは先に述べたとおりである。以上のように、舵板は、三段に分割構成されるとすれば、推進効率も操舵能力も増す効果を得られる途が拓けるのである。この場合には、各段が鉛直軸まわりに平面回動される仕組みが必要であり、二段目が一段目に対して駆動されるのは、駆動機構によるとし、三段目が二段目に対して駆動されるのは、駆動機構に追加の駆動機構が構成要素とされることを本請求項は規定する。例えば、前者については、操舵装置の通常の油圧シリンダや電気サーボモータ機構に類するものがあり、後者については、二段の単純フラップ付きの舵板でのフラップ駆動機構に類するものがあり、リンク機構や歯車機構が知られる。
以上に示されるように、舵軸を回転させる駆動機構を有する操舵装置は、三段からなる舵板を備える船舶の操舵装置について、舵軸、舵板の位置関係について以下を構成し、この構成を実現する駆動機構を備え、課題を解決する。
舵軸の位置を、スクリュー軸上方の両脇にプロペラ側方とし、
1)巡航直進時には、舵板をプロペラ両脇側方に各1枚保持し、
・高アスペクト比の翼により、推進抵抗を低減し推進効率を向上させ、
・スケグと同等の作用により、保針性能を向上させる。
−舵板は、プロペラ側方に船軸中心に線対称に離隔して配置され、
−相互にスタビライザーとして機能し、高い保針性能を提供する。
2)変針時には、
(a)三段の舵板を、上段から下段に滑らかに斜行させ、
−船体と舵板との間の流れとの直接の相互干渉を和らげ、
−プロペラ入口流との相互干渉及び、
−船尾近傍の複雑な流れ場並びに船舷近傍に生ずる伴流による影響、
を低減化し、後流に廻らない舵板では船速で走行する舵板へ緩流速である水から受ける反力を舵力とし、一舵で船軸中央に配置するものに比して、船軸から離隔したモーメント作用も合わせて高い旋回性能を提供する。
(b)特に後流に廻る舵板は、舵軸の回転によりプロペラ側方からプロペラ後流側に舵板が蛇腹のように迂回し、滑らかで大きな舵角変化によりプロペラ後流を大きな舵角沿いに滑らかに偏向させ、反力による舵力で高い旋回性能を提供する(プロペラ作用と一体となった運動量理論による力学的解釈)。
フラップは、主舵からさらに折れ曲がることができるため、主舵の折れ曲がり角とフラップの主舵からの折れ曲がり角を合わせたものが、フラップの船軸に対する舵角となる。フラップ舵角を主舵の二倍とすることは従来技術で可能であり、通常の駆動機構でも主舵の回転角度は35°〜45°は可能である。フラップを主舵に対して35°の角度をなすことは従来技術で可能であるから、70°の舵角は容易に設計することが可能である。この場合には、三段の舵板構成により上段から下段へ緩やかにプロペラ後流の偏向を行うことができ、この間の乱流の発生及び渦発生による推進効率の低下及び旋回能力の低下を防止できるという効果が得られる。このような動きをさせる機構には、前記フラップはリンク機構又は歯車機構と様々ある。二舵操舵機構では、二舵分の機構を要するのであるから、経済性と機構の単純さでリンク機構が好適である。
[請求項2記載の発明]
前記三段のうち前方から一段目の舵板は、前記船底から船軸と平行に突出する固定翼であって、二段目の舵板の下面と同一水平面まで下方に船底より垂下されていることを特徴とする請求項1項記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
本請求項に係る発明では、最上段の舵板部は、船軸と平行に前記船底から突出する固定翼を構成する。従来のマリナー型舵のホーンと異なる点は、本願発明に係るホーン相当部は、中段である主舵と同一下面まで下方に伸びている点である。従来のマリナー型舵のホーンは、特許文献2の図5や非特許文献5の写真に示されているように、主舵の高さ方向中央まで下方に伸び、舵軸又はこれと連結された主舵を軸受機構により支持し、それよりも下方は主舵が前方に伸びた構成とされている。つまり下半分は斜行するのである。吊下げ舵の場合に比して、少なくとも上下二点で舵軸が軸受により支持し舵軸径を小径とし、主舵肉厚を薄くし推進抵抗を減ずる効果を得るのであるが、本願発明では、さらに当該ホーン相当部は、主舵と同一下面まで下方に伸び、主舵に対して、最上流側の前縁翼としての機能を付与する。前縁部を構成する副舵が船軸と平行に前記船底に固定連結される意義は以下のとおりである。
変針時に、前縁翼として先頭の副舵が船軸に対して、すなわち進行方向に対して斜行していると、この副舵には進行流及び進行に伴う船の伴流が斜めに当たる(図10及び11参照)。そうすると、この斜行板の下流の流れは乱れ、乱流や渦が発生するが、困ったことにこれらの乱流や渦はそのままプロペラ入口流領域に入ってしまうというのが、プロペラの両側方に舵を配置する本願発明に係る操舵機構がとる構成のドローバックである。こうなるとプロペラ水流生成時の抵抗が増加するし、後流水流速の低下につながる恐れもある。
そもそも操舵の際に、この副舵が船軸に対して、すなわち進行方向に対して斜行しているとこの部分とプロペラとの距離が離反し(図11のP部)、プロペラ回転力による水流生成能力が減ぜられるから、操舵能力に観点でもこの間隙は過大にならぬようにすることが好ましい。一方の舵を同じ舵角で同じ方向とると、舵の先頭部は、プロペラに近接しすぎ(図11のQ部)、プロペラへの水の流入を阻害し、後流の排出流量が減少してしまう。
この点、本請求項に係る発明によれば、三段に構成される舵の二段目及び三段目が折れ曲がるように進行方向に斜行しても、一段目の前縁翼副舵は、マリナー型のホーンと同様に進行方向に平行に保たれ、プロペラ両脇に配設される二つの前縁翼副舵に挿まれる領域の確保によりプロペラ前方の水域の流れ場が乱されないものとする作用を提供し、高い推進効率と旋回能力の呈示する効果を与える。
[請求項3記載の発明]
前記一段目の固定翼は、三段のうち前方から二段目の舵板を鉛直軸廻りに平面回転自在に支持する軸受機構を当該固定翼の深度方向最下端部又は中央部のうち少なくとも一つの部位に備えることを特徴とする請求項2項記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
本願発明に係るホーン相当部である前記一段目の固定翼は、中段である主舵と同一下面まで下方に伸びているから、主舵をその最下端部又は中央部で上部の軸受とで両持ちに軸受支持する構成とし、選択的に主舵を上部と中央部及び最下端部との三点軸受支持する構成を可能とする。このような構成とすれば、軸受の支持モーメントの作用により、吊下げ舵により上端部のみ軸受支持とする場合に比して、舵軸径をより小径化することを可能とし、舵板の薄肉化に貢献する。舵板の翼性能は薄肉化すればより高まるし、水中を進行する抵抗作用の点でも、低喫水下運航時の造波抵抗低減の点でもホーン相当部がより薄肉化されることは好ましい。ここで軸受機構とは、軸受とこれが支持する回転軸の組を云い、固定翼に軸受が設けられ、前方から二段目の舵板に固定される軸が設けられても、固定翼に固定軸が設けられ、前方から二段目の舵板に軸受が設けられても、いずれでもよい。
[請求項4記載の発明]
前記三段のうち前方から二段目の舵板は、前記舵軸とその上部で連結固定され、
船底部に配設される舵軸軸受と、
前記軸受及びこれと同心に前記固定翼下端部に配設される軸受機構により、回転自在に両持ちに支持され、鉛直軸まわりに平面回動可能とする請求項3項記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
本願発明に係る固定翼は、中段である主舵と同一下面まで下方に伸びているから、主舵をその最下端部で両持ちに軸受支持する構成とし、従来のマリナー型の吊下げ舵で舵中心に支持される方式に比しても、舵軸の支持力が増し、両端支持によるモーメント作用の効果は大きく、所要の舵軸径はさらに小径化可能であり、そうすると舵軸の軸受外径の小径化により舵の肉厚を薄肉化できる。したがって、本来の二舵構成による薄肉の舵による小さな推進抵抗の効果が得られ、推進効率向上がさらに期待できる。ここで軸受機構とは、軸受とこれが支持する回転軸の組を云い、固定翼に軸受が設けられ、前方から二段目の舵板に固定される軸が設けられても、固定翼に固定軸が設けられ、前方から二段目の舵板に軸受が設けられても、いずれでもよい。
[請求項5記載の発明]
前記三段のうち前方から二段目の舵板は、前記舵軸とその上部で連結固定され、
船底部に配設される舵軸軸受と、
前記軸受とこれと同心に前記固定翼高さ方向中央部に配設される軸受機構及び前記固定翼下端部に配設されるこれら軸受と同心の軸受機構により、回転自在に三点で支持され、鉛直軸まわりに平面回動可能とする請求項3項記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
本願発明に係るホーン相当部は、中段である主舵と同一下面まで下方に伸びているから本請求項に係る発明では、前記ホーンは、主舵をその最下端部及び主舵の中央部の三点で軸受支持する構成とし、従来のマリナー型の吊下げ舵に比しても、舵軸の支持力が増し、三点支持によるモーメント作用の効果は大きく、前請求項に係る発明に比しても所要の舵軸径はさらに小径化可能であり、そうすると舵軸の軸受外径の小径化により舵の肉厚をさらに薄肉化できる。したがって、本来の二舵構成による薄肉の舵による小さな推進抵抗の効果が得られ、推進効率向上がさらに期待できる。ここで軸受機構とは、軸受とこれが支持する回転軸の組を云い、固定翼に軸受が設けられ、前方から二段目の舵板に固定される軸が設けられても、固定翼に固定軸が設けられ、前方から二段目の舵板に軸受が設けられても、いずれでもよい。
[請求項6記載の発明]
前記三段目のフラップ前縁部と二段目の舵板後縁部の第二の平面回転機構は、その後縁部に沿って少なくとも二か所の部位に軸受機構を備え、
第三段のフラップと連結されて中央部から端部にかけて長手方向に摺動及び回転自在なメス側連結機構を備えるアーム式案内部材と、
前記舵軸後方で舵軸と所定の距離を隔て船体に一体に連結固定され、前記長手方向に摺動及び回転自在なメス側連結機構に嵌合され水平回転自在及び水平往復摺動自在に前記アーム式案内部材を連結支持し、第三の平面回転機構の回転幾何中心となるオス側連結機構とを備える前記フラップ駆動機構は、
前記舵軸舵角θ°で前記前記第二段目の舵部のθ°旋回に伴う前記三段目の舵部であるフラップの移動により前記第二の平面回転機構の拘束のもとで前記第三の平面回転機構の回動運動を生成し、前記連結ピン廻りの旋回角を2θ°以上へ増幅変換することを特徴とする請求項4項又は5項記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
本請求項に記載するリンク機構を実現するには、以下の要件を満たす必要がある。まず、フラップの回転中心を別途配設する必要がある。回転角度の基準は船軸とするのであるから、フラップの回転中心は船体に固定するのが好ましい。フラップは、舵軸の回転によりこの固定点を中心に回転する。これを第三の平面回転機構の回動運動とする。
第三段のフラップは、主舵の後縁部で主舵に回転自在に連結されているので、主舵の舵軸廻りの回転より、第三段のフラップは第一の平面回転機構によって主舵の舵角だけ舵軸廻りを旋回する。この旋回時にフラップは、先の固定点を中心として回転するが、回転中心が異なるから、舵軸を中心とする旋回半径上の移動は、第二の平面回転機構の拘束の下での運動となり、第三の平面回転機構の固定点を中心とする回転では、その半径は一定のものとはならないので、次の要件として、フラップの動きを拘束する点は水平方向摺動自在に連結されている必要が生まれる。加えて、第三の平面回転機構は、第一の平面回転機構の舵角よりも大きい必要があり、舵角35°〜45°の通常の操舵装置の限界舵角に対して90°の舵角を実現するには2倍以上の増幅機構を備えることを要するが、この増幅率は、舵軸と所定の距離との関係で実現される。これらの拘束条件を本請求項は拘束点の定義と合わせ規定し、前2項に係る発明のフラップ駆動機構の構成要件をリンク機構という概念で規定するものである。
長手方向に摺動自在な連結機構の要素としては、例えば、長手方向のU字型開口溝(メス側)とこれに緩やかに嵌合された連結ピン(オス側)によるもの等がある。
このように構成されると、固定翼を零度、主舵をθ、フラップを2θ以上とする舵角で本発明に係る操舵装置は舵面の緩やかな変化を提供することとなる。
[請求項7記載の発明]
前記三段目のフラップ前縁部と二段目の舵板後縁部の第二の平面回転機構は、その後縁部に沿って少なくとも二か所の部位に軸受機構を備え、
第三段のフラップと連結されて中央部から端部にかけて長手方向に摺動及び回転自在なメス側連結機構を備えるアーム式案内部材と、
前記舵軸後方で舵軸と所定の距離を隔て船体に一体に連結固定され、前記長手方向に摺動及び回転自在なメス側連結機構に嵌合され水平回転自在及び水平往復摺動自在に前記アーム式案内部材を連結支持し、第三の平面回転機構の回転幾何中心となるオス側連結ピンとを備える前記フラップ駆動機構は、
前記舵軸舵角θ°で前記前記第二段目の舵部のθ°旋回に伴う前記三段目の舵部であるフラップの移動により前記第二の平面回転機構の拘束のもとで前記第三の平面回転機構の回動運動を生成し、前記連結ピン廻りの旋回角を2θ°以上へ増幅変換することを特徴とする請求項4項又は5項記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
前項までの請求項と同様の技術的特徴のうちから独立請求項を立てたものであり、前項までの請求項同様の舵面の緩やかな変化を提供する効果を有する。
[請求項8記載の発明]
前記フラップの舵角は、前記舵軸の回転角に対して2倍以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
三段目のフラップの船体に対する回転角は、三段目のフラップを二段目の主舵の廻りに旋回させる角度すなわち、二段目の主舵の回転角である舵軸の回転角に依存する点に相違はないが、三段目のフラップ回転角を90°とし、スラスターに近い効果を与える偏向流を生成し、及び三段目のフラップ回転角を90°とし、プロペラ後流の遮蔽体としてフラップを有効に機能させるためには、舵軸が通常の経済的な油圧シリンダ機構を動力機構とする場合には、舵軸の舵角は35°〜45°であるのだから、二倍以上の増幅率により三段目のフラップを船体に対して回転させるようにフラップ駆動機構を構成することが、三段構成による舵板を持つ本願発明の効果を発揮させるに有効である。
[請求項9記載の発明]
前記舵板は、直進時には、プロペラの両脇に配置され、二枚の舵板によりプロペラを挟むように構成する空間の船の進行方向前端面がプロペラの軸方向前端面で構成される水流入面よりも船首方向に突出させた位置となる長さに二枚の舵板の前記舵板は構成され、
変針時にも、舵軸の前方に配置され、プロペラの両脇に配置される二つの前記固定翼がプロペラを挟むように構成する空間の船の進行方向前端面がプロペラの軸方向前端面で構成される水流入面よりも船首方向に突出させた位置となる長さに二枚の舵板の前記舵板は構成され、
プロペラ水流の整流作用を呈することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
本請求項に記載する本発明に係る二枚の舵は、その相互作用によりプロペラに流入する水の流れを整流してプロペラの推進効率を高める機能を提供する。本発明に係る舵が与える効果は、プロペラ後流配置の舵による整流生成機能ともその原理・効果を異にするものである。本請求項に係る船舶の操舵装置によれば、二枚の舵板は、直進時にも変針時にも少なくとも第一段目の副舵がプロペラの両脇に配置され、これらがプロペラを挟むように構成する空間の船の進行方向前端面、つまり第一段の前縁がプロペラの軸方向前端面で構成される水流入面よりも、船首方向に突出させた位置となる長さに舵板は構成される。このような構成では、船首方向に突出させた二枚の舵板に挟み込まれる領域により、プロペラへの水流入口の乱れを抑え、入口部での整流効果を与え、プロペラ回転面で二枚の舵に挟み込まれる領域では、水の流れが拘束され、プロペラ後流を整流化し後流の流速を速め、旋回性能を上げるという効果がある。積荷スペースを増加させる都合上、肥大船だと船尾形状を肥大させ、プロペラ上流からの水の流れを船尾船体の流線形状で形成させることができないため、本発明に係る二枚の舵の整流作用の効果が大きくなる。
[請求項10記載の発明]
前記二枚の舵板は、直進時にはプロペラの両脇に配置され、二枚の舵板によりプロペラを挟むように構成する空間の船尾方向後端面がプロペラの軸方向後端面で構成される水流出面よりも、船尾方向に突出させた位置となる長さに三段で構成される舵板の全翼弦長は構成され、プロペラ水流の整流作用を呈することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
本請求項に係る操舵装置によれば、二枚の舵板は、直進時にプロペラの両脇に配置されたとき、これらがプロペラを挟むように構成する空間の船の進行方向後端面がプロペラの軸方向の回転後端面で構成される水流出面よりも、船尾方向に突出させた位置となるよう舵板の翼弦長は構成され、プロペラ排出側の水の流れを整流し、推進効率を高めるという効果を発揮するとともに後流の流速を速め、旋回性能を上げるという効果がある。
[請求項11記載の発明]
前記舵板の全段の総翼弦長は、プロペラ後流に一枚の舵板を配置した場合に割当てられる舵板幅の50%より大であることを特徴とする請求項1〜10いずれか1項に記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
舵は巡航直進時にはプロペラの両脇に二枚配置され、1枚舵構成に比して二枚舵構成のうちの1枚は、1枚舵で同じ舵性能を与える舵面積よりも小さくすることができるはずである。同じ舵高さとすれば、すなわち、概念的に船軸方向の舵幅、翼で云えば翼弦長を1枚舵による場合よりも小さくでき、この場合には翼のアスペクト比がより大きくなっている。アスペクト比が大きい翼は、翼端からのまわり込みによる揚力の低下、抗力の増加を抑えるため、小さな舵で要求仕様を満たし、1枚舵で同じ舵性能を与えるものに比して、幅狭の小さな舵とし、より小さな流体粘性抵抗を受けるに過ぎない舵面とし、巡航時に高い推進効率が得られるものとする。逆に言えば、巡航時に高い推進効率が得られる程、幅狭にすべきである。幅狭にするとしても、幅狭に全体として小型化されているため、粘性抵抗も渦のまわり込みによる揚力の低下も減ぜられるから、翼厚を薄肉とすれば、1枚舵で同じ舵性能を与えるものの舵面積と同一、すなわち、翼弦長で云えば半分の長さにまで小さくする要はなく、50%よりも大きくし旋回性能を向上させるのが好ましい。
[請求項12記載の発明]
前記翼弦長は、プロペラ後流に1枚舵板を配置した場合に割当てられる翼弦長の70%であることを特徴とする請求項11項に記載の操舵装置。
[発明の作用効果]
舵は巡航直進時にはプロペラの両脇に二枚配置され、1枚舵構成に比して二枚舵構成のうちの1枚は、1枚舵で同じ舵性能を与える舵面積よりも小さくすることができるはずである。同じ舵高さとすれば、すなわち、概念的に船軸方向の舵幅、翼で云えば翼弦長を1枚舵による場合よりも小さくでき、この場合には翼のアスペクト比がより大きくなっている。アスペクト比が大きい翼は、翼端からのまわり込みによる揚力の低下、抗力の増加を抑えるため、小さな舵で要求仕様を満たし、1枚舵で同じ舵性能を与えるものに比して、幅狭の小さな舵とし、より小さな流体粘性抵抗を受けるに過ぎない舵面とし、巡航時に高い推進効率が得られるものとする。逆に言えば、巡航時に高い推進効率が得られる程、幅狭にすべきである。幅狭にするとしても、幅狭に全体として小型化されているため、粘性抵抗も渦のまわり込みによる揚力の低下も減ぜられるから、翼厚を薄肉とすれば、1枚舵で同じ舵性能を与えるものの舵面積と同一、すなわち、翼弦長で云えば半分の長さにまで小さくする要はなく、50%よりも大きくし旋回性能を向上させるのが好ましいが、この数値は、具体的には70%がより好ましい。旋回性能を向上させつつ推進性能を向上させることが可能だからである。
[請求項13記載の発明]
前記二枚の舵板は、双方が同時にプロペラを挟んで対向しながら同じ回転方向に動作可能である請求項1〜12記載のいずれか一項に記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
本請求項に係る操舵装置によれば、舵軸は、スクリュー軸両脇の上方でプロペラ側方に回転自在に二軸配置され、自在に運動できる構成も取れるが、巡航直進時又は変針時に二枚の舵板は、双方が同時にプロペラを挟んで対向しながら同じ回転方向に回転すれば、操船が簡易になりわかりやすい。
本発明の操舵装置では、舵軸が独立に回転自在に支持され、舵板は自在に回転できるのであるが、各々が各舵軸まわりを完全独立に運動するよりも、双方が同時にプロペラを挟んで対向しながら同じ方向に折れ曲がれば、船舶の旋回効果も倍加するし、操船が簡易になりわかりやすく運航状態も安定する。双方が同時にプロペラを挟んで対向しながら同じ回転方向に同じ舵角で回転することが好ましい。この場合には、双方が同時にプロペラを挟んで対向し、同方向にプロペラの両脇側方で三段構成で折れ曲がることにより、舵はプロペラの廻りを包むように配置され、スラスターに近い偏向水流を発生させる等、高い船舶の旋回性能を提供できる。
[請求項14記載の発明]
前記2枚の舵板は、双方が同時に互いに近接する向きに動作可能である請求項1〜13記載のいずれか一項に記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
本請求項に係る操舵装置によれば、舵軸は、スクリュー軸両脇プロペラ側方で回転自在に2軸配置され、自在に運動できるが、本発明に係る操舵装置では、制動時にも舵を制動に効かせるところにも特徴があり、この場合には、同時に互いに反対向きに後方へフラップを同時に旋回させ、プロペラ後流で蛇腹の平門(ゲート)を閉じるようにプロペラ後流を閉塞させれば、プロペラ停止時の制動時の遊転を減速させることができ、プロペラ流の反転流を生成させるに、対称的な舵の動きをさせることで、左右への揺れ発生を抑え急制動をかける際にも、二つの舵板を互いに船軸に線対称に運転させれば、回避動作の要否は別として、急制動時も直進を保て運航を安定させることができる。この点が後流配置の一舵操舵機構と異なる点である。後流配置の一舵操舵機構では、たとえ舵を船軸と垂直に操舵できたとしても、進行流に対してもプロペラ後流に対しても対称の制動力作用を発生することにならないため、操船が不安定にならざるを得ないのである。後流出口を閉塞させるように、プロペラ後端と舵板を近接させれば、プロペラの遊転の減速もより減速させることができ、船体が左右への揺れを防止し、運航を安定させることができる。この制動作用をより効果的に働かせるためには、制動時の2枚の舵板とプロペラの後端との距離は小さい方がよい。
後流配置の2舵操舵装置に比べ、本願発明に係るプロペラ側方配置の2舵操舵装置はプロペラ後方の閉塞領域が小さくなっているため、減速効果は劣ることはやむを得ないが、後流配置の一舵操舵装置に比べれば、プロペラ後方の一部両域の閉塞でも左右均等に閉塞することができるので、操船上の安全確保にも資するし、なお安全上有効に機能する操舵装置であることには相違ない。
前項までに記載の請求項に係る操舵装置では、舵軸を2つとし2枚の舵板に専属の舵軸を設けているため、プロペラまわりに舵板を旋回させるとき2枚の舵板とプロペラの後端との距離を近接させたり、さらに第三段のフラップのプロペラ背後への廻り込み度についても自由度の高い設計が可能となり、制動能力を高めるに比重をおいた設計も可能である。
[請求項15記載の発明]
前記駆動機構は、その動力源が二本の油圧シリンダ・ロッド機構と、
各油圧シリンダが船体の横方向に対向配設され水平往復駆動されるロッド軸と、
前記ロッド軸に固定連結された連結部材が嵌合されて回転自在及び水平方向に摺動自在に連結される案内機構を備え、船体横方向に水平揺動自在に支持される舵柄と、
一端を前記舵軸に回転自在に連結され他端を前記舵柄に回転自在に連結される連接棒部を備え、
前記ロッド軸の船体横方向の水平往復動を舵軸の回転揺動に変換するリンク機構を備えることを特徴とする請求項1〜13いずれか1項に記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
舵軸に舵板が回転自在に支持されているとしても、油圧シリンダ機構では、直線往復運動を回転運動に変換するに、35°〜45°の駆動は可能であっても、それ以上の舵角を得ることは難しかった。本願発明では、フラップは90°程度の舵角を提供するとしても、フラップ駆動機構により増幅機構を備えるので、いわゆる駆動機構としては、通常の舵角が確保さればフラップ駆動機構による補完設計で事足りる。そのためのコンパクトな構成を規定するのが本請求項である。前記ロッド軸に固定連結された連結部材とは、例えば、鉛直方に突出する連結ピンであり、連結部材が嵌合されて回転自在及び水平方向に摺動自在に連結される案内機構とは、例えば、この連結ピンが嵌合される開口水平溝である。
油圧シリンダ機構を構成する二つの油圧シリンダを横置きにして対向させて舵柄を駆動するのは、プロペラスクリューの両脇に舵軸が配設されるので、離隔した舵軸への回転変換機構は、横置きの油圧シリンダと横置きのロッドにより舵柄を往復駆動すると、油圧シリンダを縦置きとする場合に比して船尾部のスペースを節約できる点にある。プロペラ両脇上部の船尾スペースは、二つの舵軸の回転軸受機構も含めその支持機構により、これまでに比して操舵機構スペースを必要とするため、横置きの油圧シリンダと横置きのロッドにとする本請求項に係る構成により、比較的省スペースを実現するものである。二つの単動型油圧シリンダを対向し、協業させ双方向に作用させるところは従来の例のとおりである。
[請求項16記載の発明]
前記駆動機構は、その動力源が二本の複動型油圧シリンダ・ロッド機構と、
各油圧シリンダにより船体の横方向に水平往復方向に独立駆動されるロッド軸と、
前記ロッド軸に固定連結された連結部材が嵌合されて回転自在及び水平方向に摺動自在に連結される案内機構を備え、船体横方向に水平揺動自在支持される二つの舵柄と、
一端を前記舵軸に回転自在に連結され他端を前記舵柄に回転自在に連結される連接棒部とを備え、
前記各ロッド軸の船体横方向の水平往復動を各舵軸の回転揺動に変換するリンク機構を備えることを特徴とする請求項1〜14いずれか1項に記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
舵軸に舵板が回転自在に支持されているとしても、油圧シリンダ機構では、直線往復運動を回転運動に変換するに、35°〜45°の駆動は可能であっても、それ以上の舵角を得ることは難しかった。本願発明では、フラップは90°程度の舵角を提供するとしても、フラップ駆動機構により増幅機構を備えるので、いわゆる駆動機構としては、通常の舵角が確保さればフラップ駆動機構による補完設計で事足りる。そのためのコンパクトな構成を規定するのが本請求項である。前記ロッド軸に固定連結された連結部材とは、例えば、鉛直方に突出する連結ピンであり、連結部材が嵌合されて回転自在及び水平方向に摺動自在に連結される案内機構とは、例えば、この連結ピンが嵌合される開口水平溝である。
油圧シリンダ機構を構成する二つの油圧シリンダを横置きに配置して舵柄を駆動するのは、プロペラスクリューの両脇に舵軸が配設されるので、離隔した舵軸への回転変換機構は、横置きの油圧シリンダと横置きのロッドにより舵柄を往復駆動すると、油圧シリンダを縦置きとする場合に比して船尾部のスペースを節約できる点にある。プロペラ両脇上部の船尾スペースは、二つの舵軸の回転軸受機構も含めその支持機構により、これまでに比して操舵機構スペースを必要とするため、横置きの油圧シリンダと横置きのロッドにとする本請求項に係る構成により、比較的省スペースを実現するものである。二つの複動型油圧シリンダを配置し、舵軸を各々独立に回転駆動するから、前記二枚の舵板を双方が同時にプロペラを挟んで対向しながら同じ回転方向に回転可能させることもできるし、前記2枚の舵板が双方同時に互いに反対向きにも旋回可能とする。
前記2枚の舵板が双方同時に互いに反対向きにプロペラ後流への展開が可能とされれば、制動時に共にプロペラの後面でスクリュー軸と垂直に交差する面を構成することもできるし、そうすれば最大の制動作用を提供する効果も与える。前記舵軸まわりの自在回転機構により、この制動動作を実現する。本請求項に係る駆動装置は、これらの動作を実現する。
減速急停止時には、本請求項記載のとおり船軸に線対称に操舵しないと、制動時に大きな舵力が発生するので、いわゆるブレーキの片効となれば、船首が大きく振れ危険な事態も発生しかねぬ程、不安定な操船を招きかねない。本発明に係る操舵装置では、各舵板が連結されている舵軸は各々が自在に回転するので、このような舵板の動きをさせることができる。場合により、変針時のように二つの舵板を同じ時計回りに旋回させてもよいし、本請求項に記載のように制動時には、一方の舵は反対向きに船軸に旋回させて、両者は、互いに線対称の位置にあるよう操舵させ、両舵板に同じ舵力が発生するように所定の効果を発揮させることができる新しい舵なのである。本発明に係る操舵装置の駆動機構は、各舵板は独立自在に旋回させることができるので、舵板をプロペラまわりを包むように旋回回動させ所定の舵角を取ることで、舵を船舶の制動にも自在に利用できるという効果を得る。
船を停止するためプロペラを逆転させる時は、早くプロペラの遊転を止めるため、両方の舵板を蛇腹の門を閉じるように後端を包み込むようにプロペラ後流側へ廻り込み、プロペラ後流出口をほぼ閉塞する。各舵板が連結されている舵軸は各々が自在に回転するので、減速急停止時にも本請求項記載の動きをさせることができる。舵板は、場合により、同じ時計回りに旋回させてもよいし、本請求項に記載のように互いに反対向きに船軸に線対称に旋回させて、所定の効果を発揮させることができる新しい舵である。この場合の操舵の目的は、急停止の必要な場面で、プロペラ駆動を停止後にプロペラが惰性で回っている時間を短縮し、早くプロペラの逆転開始を可能とすることである。本発明に係る操舵装置の駆動機構は、各舵板は独立自在に旋回させることができるので、舵板をプロペラまわりに旋回回動して所定の舵角を取ることで、舵を船舶の制動にも自在に利用できるという効果を得る。両方の舵板を各舵軸の回転によりプロペラ側方からプロペラ後流側へ船軸に線対称に、双方の舵板によりプロペラ後流口が閉門されるまで旋回可能とする。すなわち、2枚の舵板がプロペラ後流の仮想的な排出口を云わば開放平門を閉じるように閉塞すれば、2枚の舵板とプロペラとの間の水の粘性及び生成される乱流渦によりプロペラの回転エネルギーが散逸され、早く停止する作用を与え、迅速な逆転操船に移ることを可能とする。この制動作用をより効果的に働かせるためには、2枚の舵板とプロペラの後端との距離は小さい方が好ましい。
[請求項17記載の発明]
前記各段を連結する前記平面回転機構又は前記軸受機構のうち少なくともいずれかの一つがヒンジ軸受とヒンジ軸の組を要素に含むヒンジ機構である請求項1〜16のうちいずれか一項記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
前記各段を連結する平面回転機構又は軸受機構の一部又は全部はヒンジ機構で構成されても同様の効果を得ることが可能であって、その場合には、環境性と経済性が優れるものとなる。特にフラップとの平面回転機構又は軸受機構は、薄肉であり比較的軽量で作用力も小さいから単純な機構であるヒンジ機構が好ましい。
[請求項18記載の発明]
前記各段を連結する平面回転機構又は軸受機構又はヒンジ機構の摺動面には、固体潤滑材被膜を備える請求項第1項〜第17項のうちいずれか1項記載の船舶の推進装置。
[発明の作用効果]
前記各段を連結する平面回転機構又は軸受又はヒンジ機構の摺動面は、固体潤滑材で構成又は固体潤滑材で被膜したり固体潤滑材を塗布等表面に潤滑材コーティングを施し、すべり特性を向上させ、騒音及び振動を抑制し、機器の寿命も延ばす効果を与える。固定潤滑剤には、海中でも性能を発揮する二硫化モリブデンが好適であり、適格な固定潤滑剤の使用により、防錆及び潤滑機能の持続のため軸受部を海水の浸水から保護するシールからも場合により漏れてしまう油による海洋汚染の防止にも貢献する。
[請求項19記載の発明]
前記各段を連結する平面回転機構又は軸受機構又はヒンジ機構には、軸と軸受部を含み、選択的に軸と軸受との間にはブッシュ又はブッシュ及びスリーブを備えることを特徴とする請求項第1項〜第18項記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
摺動面の焼き付きを防止するには、真鋳、砲金、ホワイトメタル、ポリアセタール等のすべり特性のよい材料、軸材、軸受材より柔らかい材料を接触面に配設すると好適であり、これらの材料を母材としてブッシュを設計すれば、軸受の寿命は延び、摺動特性も向上する。摺動面の被膜として固体潤滑剤を用いる場合でも、ブッシュ内面又はスリーブの外面に固定潤滑被膜を形成すれば、構造材としての強度を保持しつつ、ブッシュ又はスリーブの使用により摺動面の寿命を延ばすことができる。
[請求項20記載の発明]
前記ブッシュは回動ブッシュであり、回動ブッシュ内外面は隣接する軸部材と軸受部材と緩く嵌合されていることを特徴とする請求項第1項〜第19項記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
本項に係る発明の一見類似の形態として、浮動ブッシュがある。これは高速回転体の油潤滑に使用される技術であり、高速のため油潤滑のすべり速度に適合するよう、潤滑面の間に浮動ブッシュを配設し、油の各面でのすべり速度を回転軸周速の半分とするものである。本願発明でも特にヒンジ機構は潤沢な油による潤滑でなく、海中での固体潤滑とする場合にも浮動ブッシュと一見類似の形態でブッシュを軸と軸受との間で回動する回動ブッシュを採用すれば、回動ブッシュの外面とヒンジ軸受面の摺動及び回動ブッシュ内面とヒンジ軸表面の摺動との二つの摺動に分離できるので、必要とされる摺動距離を回動ブッシュ内外面に均等にできれば、摺動距離が半分になるのであるから摺動速度も半分となり、寿命は二倍以上となると見込まれる。この点は、最大すべり速度が回転軸周速の半分となる油潤滑の浮動ブッシュと基本原理は異ならないと理解されるが、本請求項に係る発明の回動ブッシュは、低速で軸廻りを回動し、文字どおり摺動するので作用も効果も異にする。ここで回動とは、緩く嵌合されている状態で、双方の面で摺動可能とされていることを云い、明らかにガタが発生する程すきまがあることを指すのではない。摺動面には、面同士の密着を防止する複数の溝を設けたり、テクスチャを転写すると面同士の吸着や密着を防止する点好ましい。溝は、軸方向でも円周方向でも、斜行するものでも、斜行し互いに交叉するものでも、吸着や密着を緩和する効果を発揮でき好ましく、ヘンリングボーン模様にすれば、海水中での水潤滑を併用する場合には、くさび効果も得られ、好適である。
固体潤滑剤による摺動部潤滑の場合にも上記の効果は得られるのであって、回動ブッシュ内外面に固体潤滑剤被膜を形成され、回動ブッシュが緩く嵌合され、内外面とこれらに接する摺動面との摩擦係数が同等であれば、両面は均等に摺動し、半分の摺動速度になることが見込まれる。両者に差があれば、大きな摩擦係数のものの摺動速度が小さくなり、一方の小さな摩擦係数のものの摺動速度が大きくなるが、それでも摺動面の損傷が軽減され、寿命が延びる効果を見込める。摺動面には、面同士の密着を防止する複数の溝を設けたり、テクスチャを転写する効果も同様で好ましい。
両者に差が大きいと一方の小さな摩擦係数のもののみが摺動し、大きな摩擦係数のものの摺動速度はゼロとなることもあろうが、小さな摩擦係数のものも損傷の進行により摩擦係数は次第に大きくなり、そのうちに大きい摩擦係数のものの方との差が小さくなり、大きな摩擦係数の面も摺動を再開することが見込まれ、そうなれば、稼働している摺動面の損傷が軽減され、寿命が延びる効果を見込めることに変わりないし、、小さな摩擦係数のものも損傷の進行が進めば、これらの関係は逆転し、先に大きい摩擦係数の面の方が小さな摩擦係数となり、今度はこちらの面が主となり摺動速度が大きくなる。そうなれば、二つの摺動面を持つメリットは明らかで、寿命が延びる効果を見込めることに変わりない。
回動ブッシュの内面に固体潤滑剤被膜を形成するにブッシュ幅長により難がある場合には、スリーブ外面に固体潤滑剤被膜を形成すれば同様の効果が得られる。あるいは、内面に固体潤滑剤被膜を形成可能な短幅の回動ブッシュを複数積層して、回転軸と緩く嵌合するもの代替いとして好ましいし、回動ブッシュの内面及びスリーブ外面双方に固体潤滑剤被膜を形成することがより好ましい。
本願発明に係る操舵装置の舵面には従来の舵に比べ大きな舵力が発生し、軸受機構の負担も大きくなる場合には、摺動面の寿命を延ばす手当て保守の経済性を確保するに固体潤滑剤被膜の形成は、有効である。二舵の操舵機構であるため、保守の手数も費用も一舵のものに比べればそのままでは大きくなるのであり、ライフサイクルで見たCO2発生量、環境費用の低減を図るに本請求項の手当ては有効である。
[請求項21記載の発明]
前記回動ブッシュを用いる平面回転機構又はヒンジ機構を含む軸受機構は、回動リミッタ機構を備えることを特徴とする請求項第20項記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
リミッタにより回転角を限定すれば、軸と回動ブッシュが摺動する回転角範囲条件と、軸と回動ブッシュが一体となり回転し、回動ブッシュ外面と軸受面と摺動する条件と場合分けをすることができ、明示的に内外面の摺動時間、摺動距離を管理することも可能となる。例えば、前記回動ブッシュに例えば開口溝を設け、その対向面から突起を溝内に挿入し、緩く嵌合するという開口溝と突起から成るリミッタ機構を備えれば、この作用を実現できる。この場合には、その溝の円周に対応する中心角の範囲のみの回動とすることができ、そうすれば、明示的に例えば、その中心角を±15°と設定すれば、回動角±15°の範囲は回動ブッシュ内面の摺動面と同時に外面の摺動面を使用し、回動角±15°を超え、リミッタにより内面が使用できない範囲では、回動ブッシュ外面の摺動面のみが使用される。そうすると、結果として有意に回動ブッシュの両面を使用することができ寿命が延びる効果を期待できる。巡航直進時には回動角±数度の制御であるから、例えば、巡航直進時の使用範囲にリミッタを制御すると使い分けにより軸受部の寿命を延ばすことができると期待できる。さらに、回動角±数度のリミッタ範囲を電磁的に動的に制御すれば、全周を数区画に分割して制限使用することができるので、寿命も数倍に延ばすことができると期待できる。
[請求項22記載の発明]
前記回動ブッシュ内外面の摺動摩擦係数を異なるものとすることを特徴とする請求項第21項記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
リミッタにより回転角を限定すれば、軸と回動ブッシュが摺動する回転角範囲条件と、軸と回動ブッシュが一体となり回転し、回動ブッシュ外面と軸受面と摺動する条件と場合分けをすることができ、明示的に内外面の摺動時間、摺動距離を管理することも可能となる。例えば、前記回動ブッシュに例えば開口溝を設け、その対向面から突起を溝内に挿入し、緩く嵌合するという開口溝と突起から成るリミッタ機構を備えれば、この作用を実現できる。この場合には、その溝の円周に対応する中心角の範囲のみの回動とすることができ、そうすれば、明示的に例えば、その中心角を±15°と設定すれば、回動角±15°の範囲は回動ブッシュ内面の摺動面と同時に外面の摺動面を使用し、回動角±15°を超え、リミッタにより内面が使用できない範囲では、回動ブッシュ外面の摺動面のみが使用される。さらにこの場合おいて、回動ブッシュ内外面の摺動摩擦係数を異なるものとし、内面の摩擦係数を小さくすれば、より有効に選択的にリミッタにより回転角を設定した領域を目的に沿って優先的に使用でき、長寿命の効果を期待できる。そうすると、結果としてより有意に回動ブッシュの両面を使い分けることができ、より寿命が延びる効果を期待できる。巡航直進時には回動角±数度の舵角変化が保針に必要な範囲であるから、例えば、巡航直進時の使用範囲にリミッタによって回動角範囲を制御すると、この使い分けにより軸受部の寿命を延ばすことができると期待できる。さらに、回動角±数度のリミッタ範囲を電磁的に動的に制御すれば、全周を数区画の範囲に分割して制限使用することができるので、適宜使用する区画をシフトすることで、寿命も区画の数だけ数倍に延ばす効果が期待できる。
[請求項23記載の発明]
前記固体潤滑材は、二硫化モリブデンである請求項18〜22項のうちいずれか一項記載の船舶の操舵装置。
[発明の作用効果]
二硫化モリブデンは、空気のない環境で油によらずとも高い潤滑効果を発揮する潤滑剤であり、その被膜により金属の防錆が期待され、海水中での軸受部、ヒンジ部の潤滑効果が期待され、海洋汚染防止のための規制対象ともされていない好適な固体潤滑剤と期待される。
[請求項24記載の発明]
前記二硫化モリブデンは、スパッタリング方式により基材表面に被膜形成されたものであることを特徴とする請求項23記載の船舶の操舵装置
[発明の作用効果]
二硫化モリブデンを金属構造材に使用するとき、スパッタリング方式により金属表面に被膜形成すれば、金属面の錆からの保護に効果が見込まれるし、スパッタリングにより打ち込まれた被膜は密着度が高く好適である。金属基材の高い剛性を活かすことができ、変形が小さいと被膜も長寿命となるという効果が得られる。摺動面に設ける請求項20記載の面同士の密着を防止するための様々な模様の複数の溝、テクスチャをスパッタリング方式により基材表面に被膜形成する際のイオンの照射域制御、厚さ制御又はマスキングによって形成するのも好ましい。
本発明の一実施の形態が適用される船舶の船尾側面図の模式図である。 本発明の一実施の形態に係る操舵装置の正面図の模式図である。 本発明の一実施の形態に係る操舵装置の操舵時の平面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る操舵装置の直進時の油圧駆動機構及び舵板部平面図の模式図である。 本発明の一実施の形態に係る操舵装置の取舵変針時の油圧駆動機構及び舵板部平面図の模式図である。 本発明の一実施の形態に係る操舵装置の直進時のフラップ駆動機構模式斜視図である。 本発明の一実施の形態に係る操舵装置の変針時のフラップ駆動機構模式斜視図である。 本発明の一実施の形態に係る操舵装置の各段の舵翼弦長の比率及びプロペラ回転水流域から突出する翼弦長部の例を示す側面図の模式図である。 本発明の他の実施の形態に係る操舵装置の急制動時の駆動機構、舵板部及び油圧駆動機構部の平面図の模式図である。 従来の一実施の形態に係る操舵装置の直進時の舵面の態様を示す平面図の模式図である。 従来の一実施の形態に係る操舵装置の変針時の舵面の態様を示す平面図の模式図である。 本発明の一実施の形態に係る操舵装置のヒンジ機構水平断面模式図及び断面D−D模式図である。
以下に本発明の実施形態による操舵装置について説明する。図1は、同実施の形態による操舵装置を装備した船舶の船尾側面図(船内は駆動機構側面を示す断面図)、図2は、同操舵装置の正面図、図3は、同操舵装置の操舵時の平面模式図、図4は、本発明の一実施の形態に係る操舵装置の直進時の平面図の模式図、図5は、同操舵装置の取舵変針時の平面図の模式図、図6は、同操舵装置の直進時のフラップ駆動機構模式斜視模式図、図7は、同操舵装置の操舵装置の変針時のフラップ駆動機構模式斜視模式図、図8は、同操舵装置の各段の舵翼弦長の比率及びプロペラ回転水流域から突出する翼弦長部の例を示す側面図の模式図、図9は、同操舵装置の急制動時の油圧駆動機構及び舵板部平面図の模式図、図10は、従来技術による操舵装置の実施例で直進時の舵面の態様を示す舵板部平面図の模式図、図11は、従来技術による操舵装置の実施例で変針時の舵面の態様を示す舵板部平面図の模式図、図12は、同操舵装置のヒンジ機構水平断面模式図及び断面D−D模式図である。
本発明の実施形態による操舵装置は、図1〜3に示す通り、船体10の船尾管11の後端11aに取り付けられるプロペラ20と、二枚の舵板30と、舵板30に連結されている舵軸40を駆動する駆動機構50と船体10に固定され、フラップ駆動機構60を備えている。舵軸40は、スクリュー軸12中心に線対称にプロペラ20の両側方で船底14に配設される軸受13によって回転自在に二軸配置される二軸構成とし、各軸で各一舵、合計二舵を駆動する。
舵板30は、三つの部分に分割構成され、二段目の舵板32の前縁部35と一段目の舵板31の後縁36には、平面回転機構41としての軸受支持機構47,48を備え、上流から第一段目の舵部31は、マリーナ型舵のホーンのように船体10に連結部14にて垂下固定され、第二段目の舵部32は、船体の軸受13に回転支持され垂下され、船体から垂下固定されている第一段目の舵部31に中央部47と下端部48で回転支持され、三点支持されている。
三段目の舵板33はフラップを構成し、その前縁部38と二段目の舵板32の後縁37には、平面回転機構42としてのヒンジ機構43、44を備え、二段目の舵板32の舵角を前記フラップ33の舵角に増幅変換するフラップ駆動機構60を備える。
舵軸40はプロペラの側方に配置され舵板30の上部は舵軸40に連結され、船尾11側から見ると左右に開平する平門形状を呈し、二段目の舵板32は主舵としてプロペラ20の両脇から後流側に舵軸40まわりをプロペラを包むように回転可能に構成され、二段目の舵板であるフラップ33は、主舵32の舵軸まわりの回転に連れて、フラップ駆動機構60により、主舵32が駆動されると連結ピン61を中心に回転する。
図3は、本発明の一実施の形態に係る操舵装置の操舵時の平面模式図である。本実施態様で示される機構により、図3に示されるように操舵時には、舵軸40の回転に連れて、第二段の舵板32はプロペラの周りを図3に示すように旋回する。図3の例では、回転角は35°である。主舵32は舵軸中心で回転35°回転すると、フラップ33はフラップ駆動機構60によりさらに回転角度を増幅され、船軸基準に70°まで回転する。結局、第一段の舵部を船軸に平行固定とし、そこから主舵が35°、フラップがさらに35°回転し、プロペラ後流を包み、廻り込むように舵部32は、プロペラ側方から後方を包み込む。フラップ33によってプロペラ後流の偏向流の偏向角を増すことができ、旋回性能を向上させている。このようにプロペラ後流の偏向流の偏向角を増すように、プロペラ後流を舵板部31,32及び33で包み込むように舵板部32及び33がプロペラ後流側へ折れ曲がるには、フラップ33の舵角は、前記舵軸40の回転角に対して2倍以上であることが好ましく、本実施態様では2倍とする。
従来技術である舵板の後部にフラップを配置する二段構成をプロペラの側方に舵を配置する構成に適用する例では、図10及び11に示すように、変針時には一方の舵は図のP部で示されるようにプロペラと離反し、一方の舵は図のQ部で示されるようにプロペラと近接し過ぎる状況を発生させる。P部に示されるようになると、プロペラ流への入口流が乱され、プロペラ周辺の流れが乱れ、乱流化しやすくなり、渦の散乱により効率が低下する。図11でさらに舵角を高じると折れ目のR部で渦が発生し、流れが滞るからここで抗力が発生し、船の旋回性能が低下するし、渦発生によりエネルギー散逸を生じ、推進効率及び旋回性能共に低下する素となる。本発明の一実施態様を示す図5では、このR部は流れベクトルの変化が小さくなっており、渦が発生しにくい形態を呈しており、例え渦が発生しようともR部には対流せず後方へ流れてゆく程度の渦が許容されるにすぎない舵板部の折り曲げ設計が可能であるものと考えられる。
プロペラ側方の二枚の舵板30は、直進時にはプロペラ20の両脇に配置される。巡航直進の保針操船の場合には、全段31,32及び33は一枚の舵板30のように滑らかな一面とし、この場合には前記舵板30はプロペラ20の両脇側方に保持され、二枚の舵板30は、図4に示されているように水平面断面形状を全体として翼形状と形成され、二枚の舵板の前端45はプロペラ20の回転面の形成する面46よりも前方に突出している。この突出長さは船体10と干渉しない範囲で前方に伸長することができるが、その長さは、船体形10の造る波や経済的船速に依存し、二枚の舵板30の間に流れ込む水の整流作用と船板30の翼まわりの乱流発生状況、水粘性抵抗等の使用態様にも依存し、これらの制約条件のもとに最適化すればよい。二枚の舵板30は翼形状でなく平板とすることもでき、この場合には、舵板30の低い流体抵抗と船尾近傍の渦の抑制の整流効果を狙うこととなる。
舵板30は、正面図2に示されるように平面投射像が平門形状(正面図は開門状態として見える)、ゲート形状を呈しており、上部で舵軸40に連結され、舵軸40は船体10の船底部分に回転自在に支持されている。操舵時には、舵軸40の回転に連れて、舵板30はプロペラの周りを図4から図5に示すようにプロペラ20を包むように後流側へ廻り込む。舵板30が舵板面上の鉛直軸中心まわりで回転するとそれに連れて、フラップ33がさらにプロペラ20を包むように後流側へ廻り込むので、プロペラ後流の偏向流の偏向角を増すことができ、旋回性能を向上させている。
前方から一段目の舵板31は、前記船底10から船軸40と平行に下方に突出する固定翼として、二段目の舵板32の下面49と同一水平面まで下方に船底10より垂下されるが、これには二つの理由がある。
まず、一つ目には、主舵32の前方に位置し、舵旋回時にもプロペラの入口流の流れを整流化し、プロペラ入口への船尾伴流の乱れた流れを整流化し、流量を確保する。プロペラの側方に船軸と平行に一段目の舵板31が常に配置されているので、プロペラの回転により後方へ排出する流れを側方に逃さず、できるだけ後流へ排出されるようにするという整流化作用である。
次に、前方から一段目の舵板31は、前記船底10から垂下固定されているので、安定構造体として、主舵32を支持する機構を備える。すなわち、二段目の舵板の前縁部36と一段目の舵板後縁間35に備わる平面回転機構39の固定部は、前方から一段目の舵板31に設けられ、安定に主舵を支持する。このようにすれば、主舵32を船体10から垂下支持する機構の負担を減ずることができ、舵軸40が上方で片持ち支持される場合に比して、軸径を小径化でき、ひいては主舵32の厚さを薄肉化でき、推進効率向上に資することができる。このように一段目の舵板31の後縁35と第二段目の舵板である主舵32の前縁部36とで構成される平面回転機構41により、主舵32の前縁で折れ曲がる態様を呈する機能・作用を本構成で実現する。
三段目の舵板γの部分は、フラップ33を構成し、その前縁部と二段目の舵板後縁には、平面回転機構42を備え、主舵32の後縁で折れ曲がる態様を呈する機能・作用を本構成で実現する。結局、主舵32の前後で折れ曲がる態様を呈することとなり、二段に比べ格段に滑らかにプロペラ後流をフラップの出口方向の所望の方向に偏向させ、操舵性能を確保する。
二枚の舵板30は、三部31,32及び33で全体として翼形状とし、巡航直進時の舵板まわりの渦の発生を抑制する形状としている。具体的には舵板30は、前方厚みを後方厚みに対して厚くし、船体10の船尾近傍の流れに対して抵抗が少ない最適な舵板形状とし、乱流を生じにくい翼形状とし、1枚舵に比べて薄肉とし、抗力を低減させている。
巡航時の舵板の水流からの抗力を低減するためには、翼形状とするだけでなく、舵板の翼弦長を狭めることが重要である。舵板の性質として、舵板面積は舵の操縦能力を比例向上させるがその増大化は流体抗力を増加させることが知られる。本発明に係る二枚の舵板構成により舵板翼弦長を狭めるとき、当然に各舵板面積は1枚舵の場合よりも小さくできるがどの程度まで小さくするかが問題となる。本発明に係る舵板では、翼弦長を狭め、三次元翼としての翼端の負圧から発生する渦のまわり込み効果による揚力の減少、すなわち舵力の減少は、舵板翼弦長の減少による高アスペクト比翼とすること、舵板面積の低下によりより薄いスリムな舵板構成とすることによって翼全体の抗力の影響を小さくすることもできると考えられる。二次元翼として見た場合にも、翼弦長の減少により助走区間の層流域が翼弦に占める割合が高くなり、運転条件によっては下流の乱流が抑制されるので全体して抗力を低減できるメリットが生ずる。
こうして、本発明に係る二枚の舵板構成により舵板翼弦長を狭めるとき、翼弦長の減少は巡航直進時の舵板の抗力を低減させるメリットがあり、高アスペクト比と舵板の薄型化による推進性能向上を受け、旋回能力にも配慮し、舵板面積を1枚舵の場合の50%より大とし、70%とすることが好ましい。他の設計因子との関連を考慮すると5%の幅をもたせ65%〜75%とすることが好ましい。
駆動機構により舵軸40を回転するにあたり、図4及び図5に示す駆動機構50では、その動力源は二本の油圧シリンダ・ロッド機構51,52とし、各油圧シリンダ51が船体10の横方向に対向配設され水平往復駆動されるロッド軸52と、ロッド軸52に固定連結された連結ピン71が嵌合されて回転自在しゅう動自在に連結される開口溝57を備え、船体横方向に水平揺動自在支持される舵柄54と、一端を前記舵軸40に回転自在に連結され他端を前記舵柄54に回転自在に連結される連接棒部56を備え、前記ロッド軸52の船体横方向の水平往復動を舵軸40の回転揺動に変換するリンク機構3を備える。
フラップ駆動機構60は、第三段のフラップ33と水平回転自在又は長手方向水平に摺動自在に連結されるアーム式案内部材62と、舵軸40の中心を通り、船軸に平行な線上63に後方配設され、船体に固定されるガイド連接ピン61を備え、前記アーム部材62は、前記ガイド連結ピン61に水平回転自在又は長手方向水平に開口溝64内を摺動自在に連結されるものであって、前記アーム部材62と前記フラップ33との連結、又は前記アーム式案内部材62と前記ガイド連接ピン61との連結は、これらのいずれか一方が水平面内での回転自在な連結であり、かつもう一方はアーム長手方向に水平面内での摺動自在な連結であって、主舵32の前記舵軸40廻りのθ角度の回転運動は、フラップ33の前記ガイド連接ピン61廻りの2θ角度以上の回転運動へと増幅変換される。
本実施態様に係る発明では、二つの舵軸40の回転は、連結される一つの舵柄52の左右横方向の水平往復動に拘束されているので、前記二枚の舵板30は、双方が同時にプロペラ20を挟んで同じ方向に折れ曲がり可能となっている。
取舵変針時には、図5に示すように船首から見て左の舵30はプロペラ後流に折れ曲がり、プロペラ20で加速された後流を図の右側に誘導し、運動量理論が示すように舵板30はその反力としての推力を受け取舵方向の転舵作用を受ける。同時に船首から見て右の舵30はプロペラ後流の外側へ折れ曲がり、舷の伴流へ突き出すように操舵され、伴流から舵力を受けるとともに舵30と合わせて右方向へ流れを偏向させる。一方の舵30はプロペラが生み出す後流の方向を変えることで後出する流体の反作用として推力を受け舵力とし、もう一方の舵30は、一方の舵30が作る偏向流の流れを右方向とする偏向を助け、流れを誘導し、同時にこの舵30は、プロペラ後流に対向しない裏面では、伴流に対向し、伴流の方向を外向きに転換する作用により舵力を受ける構造とするところに本発明に係る操舵装置1の特徴がある。船形全体設計にも依存するが、舵板30を右外側へ突き出すように配置すると、船弦の伴流との作用から十分に旋回する作用力を受け、特にフラット33は十分に側方に伸び船舷へ突出させ強いモーメント力が船体に作用し、船の変針を強く促す作用を提供する。このように、上記双方の作用により、各々が各舵軸まわりを完全独立に運動するよりも、双方が同時にプロペラ20を挟んで同じ方向に折れ曲がれば、船舶の旋回効果も倍加するし、操船が簡易になりわかりやすく運航状態も安定する。すなわち、双方が同時にプロペラ20を挟んで同じ回転方向に同じ舵角で折れ曲がることが好ましい。この場合には、双方が同時にプロペラ20を挟んで同方向にプロペラ20の両脇側方で三段構成に折れ曲がることにより、船首から見て左側の舵はプロペラ20の後流廻りを包むように配置され、スラスターに近い偏向水流を発生させる等、高い船舶の旋回性能を提供できる。
図9の他の実施形態に係る操舵装置2では、図1の船尾11から見る方向から中心に向かい同時に閉じたり開いたりするように舵板を折り曲げ、二枚の舵30を図9に示すように配置させ、緊急時に急制動させることも可能とする。
なお、このように大きな舵角を与える舵軸40の回転駆動には、油圧シリンダ・ロッド機構とリンク機構は、図9に示すように双方の舵軸が独立に駆動される機構を要するが、駆動源としては、その他、油圧モータ駆動による構成によってもいずれの構成でもよい。
舵板の閉じ方、開き方は図9のとおりであって、船舶を急停止するときには、図9に示すように、舵板30を後流側で閉じ、遊転を迅速に停止させ早期のプロペラスクリュー逆転開始を可能とする。図9の実施形態に係る操舵装置の駆動機構斜視図に示す駆動機構により、二軸が各々独立に駆動され、動力の垂直水平変換ができれば、図4から図7の旋回が自在に可能となるので、巡航直進時には、舵板30がプロペラ後流に位置することなく、プロペラの両脇に位置して高い推進効率を与えるという効果を提供しつつ、緊急制動時には、プロペラ上流に旋回し船体10と90度の舵角を与えて高い制動力を得たり、プロペラ後流を閉塞するように旋回し、プロペラの遊転を抑制したり、プロペラ20の水流を船舶の旋回のために自在に偏向整流させ、旋回性能を確保したりと自在の舵板の旋回操作を可能とする操舵装置が提供されることとなる。
図9に示す本発明の係る他の実施の一態様である駆動機構は、その動力源が二本の複動型油圧シリンダ・ロッド機構51、52と、各油圧シリンダ51により船体の横方向に水平往復方向に独立駆動されるロッド軸52と、前記ロッド軸52に固定連結された連結ピン53が嵌合されて回転自在しゅう動自在に連結される開口溝57を備え、船体横方向に水平揺動自在支持される二つの舵柄54と一端を前記舵軸に回転自在に連結され他端を前記舵柄54に回転自在に連結される連接棒部56とを備え前記各ロッド軸52の船体横方向の水平往復動を各舵軸40の回転揺動に変換するリンク機構3を備えることを特徴とする。各舵板30は、プロペラ後流を閉塞するように、つまり、平門を閉じるように動作する方向には、45°回転可能であり、この場合には、フラット33はフラット駆動機構60により2倍の舵角が与えられるのであるから、90°の舵角となり、図9示すように、平門を閉じる態様を実現することができる。
図8には、直進時の本発明に係る操舵装置の三部構成の舵板30の配置をプロペラとの位置関係で示すための側面図を示す。すなわち、二枚の舵板がプロペラを挟むように構成する空間の船の進行方向の前端面45がプロペラの軸方向の前端面21で構成される水流入面よりも、船首方向に突出させた位置となる長さに構成され、この突出長さは図8の記号Aで示す長さとなる。このような構成では、船首方向に突出させた二枚の舵板に挟み込まれる領域により、プロペラへの水流入口の乱れを抑え、入口部での整流効果を与え、プロペラ回転面で二枚の舵に挟み込まれる領域では、水の流れが拘束され、プロペラ後流を整流化し後流の流速を速め、旋回性能を上げるという効果がある。図8のAで示す突出長さは、長くすることで整流効果は増すが、長くすると流体粘性抵抗が増すため、整流作用による推進性能を高める作用と流体粘性抵抗による負の作用とのバランスでその突出長さは最適設計される。幅広船の場合には、船尾形状と突出部の長さにより、整流作用をさらに最適化することができる。船尾部形状に脹らみを有する肥大船で、船尾まわりの水流の乱れによる推進性能の低下が発生する場合でも、本発明の最適設計により推進性能の向上が見込める。
図8には、さらに前記二枚の舵板30がプロペラ20を挟むように構成する空間の船尾方向の後端面24がプロペラの軸方向の後端面22で構成される水流出面よりも、船尾方向に突出させた位置となるよう舵板長さは構成されていることを示す。この突出長さは、図8の記号Bで示す長さとなる。このような構成では、プロペラ排出側の水の流れを整流し、推進効率を高めるという効果を発揮すると同時に、旋回操舵時には、プロペラ後流の偏向性を高め、より高い旋回性能を提供するという効果が得られる。
図8には、前記二枚の舵板30が構成する三部である、第一段の舵板部31、第二段の舵板部32及び最後段のフラップ33の各部長さα、β及びγの比を示す図でもある。本実施態様では、α、β及びγの比を30%、40%及び30%とする。従来と同じくプロペラの推進効率からプロペラ厚さ、すくい角、プロペラ径の諸元が決められると、整流部に相当する第一段の舵板部31の長さαは少なくともプロペラ厚さ、すくい角、プロペラ径から決定される長さが必要となり、従来の一枚舵の70%の翼弦長を考慮し、主舵とフラップは主舵が長くあるべきだから、このような比が好ましいのである。
本実施態様で示すフラット33は、主舵32とその後縁で平面回転機構により連結されているが、具体的には、その上部と下部のヒンジ機構により連結されている。図12は、軸受機構43の水平断面模式図と共にその断面D−Dによりヒンジ機構とリミッタ機構を示す模式図である。主32舵の後縁には、ヒンジ軸受用の孔が一体に連結形成され、その内側には、軸受80が装着され、軸81と軸受80の間にブッシュ83が嵌合され、軸受80は主舵に固定されている。この貫通孔に通されたヒンジ棒81がフラップと一体に形成され、ヒンジ棒81にはスリーブ82が一体に連結装填されている。ヒンジ軸と一体にされるスリーブは、上下のヒンジ軸受とからなるヒンジ機構43により、フラップ33を主舵32から折れ曲がるように平面回動可能とする。
ブッシュ93は、スリーブと軸受の間の空間を埋め、いずれにも固着されず、この空間をスリーブ軸廻りに自由に回動する回動ブッシュである。回動ブッシュ83の内外面には、スパッタリング方式で剛な材料からなる基材に強く密着形成される固体潤滑被膜84,85が形成され、各々軸受内面87と回動ブッシュ外表面86及びスリーブ外表面86及び回動ブッシュ内表面89と接触し摺動する。断面D−D図に示されるように、回動ブッシュの摺動面から離隔する端部にはリミット開口溝90が形成され、軸受に固定されているリミットピン91がそのリミット開口溝90に向け突出し、周方向に回動ブッシュ83をリミット開口溝90に規定される範囲を軸周廻りに回動可能としている。
このリミット開口溝90内では、回動ブッシュ83は自由に回動でき、回動ブッシュ83の外面86と軸受内面87と接触摺動し、同時に回動ブッシュ83の内表面89とスリーブ82の外表面88と接触摺動している。双方への摺動により摺動負荷は回動ブッシュ83の内外表面86,89へ分散され、外面の摺動距離は一方のみの摺動面が作用する場合の半分程度に収まる。さらに回動ブッシュ83が軸81中心に回転しリミットピンに至ると回動ブッシュと軸受は一体に運動し、摺動面は回動ブッシュ83の内表面89とスリーブ82の外表面88とが接触摺動する。したがって、リミットピン91の作用開始後の軸回転を摺動支持するのは、回動ブッシュ内表面側のみとなり、舵角の範囲に応じて、回動ブッシュ内外の摺動を使い分けることとし、回動ブッシュ内外面に形成されている固体潤滑被膜の耐久負担を分散させ、大きな舵角をとるときには回動ブッシュ83内面89のみを摺動させるので、摺動周速を抑え固体潤滑被膜84の損耗を防ぐ。
図示はしないが、リミットピンをスリーブ端側に設け、開口溝へ内側からスリーブ82に固定されているリミットピン91をそのリミット開口溝90に向け突出させ、周方向に回動ブッシュ83をリミット開口溝90に規定される範囲のみ軸周廻りに回動可能とすれば、上述の作用は逆となり、このリミット開口溝90内では、回動ブッシュ83は自由に回動でき、回動ブッシュ83の内面89とスリーブ外面88と接触摺動し、同時に回動ブッシュ83の外表面86と軸受内表面87と接触摺動している。双方への摺動により摺動負荷は回動ブッシュ83の内外表面86,89へ分散され、内面の摺動距離は一方のみの摺動面が作用する場合の半分程度に収まる。さらに回動ブッシュ83が軸81中心に回転しリミットピンに至ると回動ブッシュ83とスリーブ82は一体に運動し、摺動面は回動ブッシュ83の外表面86と軸受80の内表面87のみ接触摺動する。したがって、リミットピン91の作用開始後の軸回転を摺動支持するのは、回動ブッシュ外表面側のみとなり、舵角の範囲に応じて、回動ブッシュ内外の摺動を使い分けることとし、回動ブッシュ内外面に形成されている固体潤滑被膜の耐久負担を分散させている。
上記開口溝は、同一周方向に複数区画設ければ、各区画毎にリミットピン91を必要に応じ突出させ、使用区画を変更させることができ、そうすると区画の数だけ、回動ブッシュの寿命が倍加され、運用経済性が向上する。
回動ブッシュの内外表面に固体潤滑被膜を形成すれば、被膜の損耗は、回動ブッシュの交換のみで済むので、保守が簡易となり、補修の経済コスト低減にするという効果も得られる。
ブッシュは、少なくとも二分割とすることも可能であって、その内面には、スパッタリング方式により固定潤滑剤である二硫化モリブデンが基材と密着した表面膜として形成さするに広い面で被膜を形成させることができ、ブッシュとヒンジ棒の海中での摺動性能を確保する。
固体潤滑剤被膜には、二硫化モリブデンを配合し、すべり特性を向上させている。このヒンジ機構のすべり摺動は舵という開放空間の海水中で使用されるため油潤滑する訳にもいかず、水潤滑となるが、水の潤滑性能は低く実質的には、固定潤滑となる。さらに海水中では、腐食の問題が発生する。そのために二硫化モリブデンのように海洋規制物質でない固体潤滑材被膜を接触摺動面に生成することが潤滑性能の向上に好適である。中でも二硫化モリブデンは、空気の希薄な環境で耐久性能を発揮し好適であることが知られ、本推進機構室内のように常に海水中に存し、大気と接触することのない環境下での耐摺動性能を発揮し、海中に対する腐食からも基材を保護する作用を呈する。
本実施態様で示す主舵32は、船中と船底で軸受により回転自在に支持され垂下されており、主舵釣合点近傍である主舵の高さ方向中央部と下端部では、船体に固定垂下されている第一段の舵部とヒンジ機構により平面回動自在に支持され、保持されている。ブッシュとヒンジ棒によりヒンジ機構が構成される点フラップと同様であり、ブッシュの表面に二硫化モリブデン被膜が形成されている点も同様である。このようなヒンジ機構で構成すると舵板をよりスリムに構成することが可能となり、推進効率がさらに向上する。
二硫化モリブデンの配合は、この他、基材との相性により樹脂又はセラミック系のバインダにより二硫化モリブデン粉を混合固化し、そのまま被膜として形成したり、ブッシュ基材によっては焼成行程により密着度を高めた焼成被膜とすることも好ましく、比較的数十ミクロンの厚い被膜を形成することも可能であって、かつ基材の力学的特性を活かす小径薄肉の機構設計も可能となる。あるいは、焼結金属に含有させ金属基材と一体的使用をさせることも好ましいし、上述のようにスパッタリングにより基材表面に二硫化モリブデンを打ち込み密着させることは剛性の高い基材特性を活かす点有用であり、求められる力学的特性とすべり性能、耐久性等から被膜形成手法を最適適用することが好ましい。
このようにブッシュをヒンジ孔とヒンジ棒の間に緩い嵌合で配置される回動ブッシュとし、その内面も外面も二硫化モリブデン被膜を形成すれば、ヒンジ孔とヒンジ棒の相対速度の摺動の半分の速度でブッシュ内面と外面の各面が摺動するから、耐久性が向上する。両面で摺動により固体潤滑性能に差が生ずれば、良好な性能を保持する面がより速い摺動面として作用するスタビライザー機能を内包し、この面からも耐久性が増す。回動ブッシュに高さが必要であれば、ヒンジ棒外面に表面に二硫化モリブデン被膜が形成されたスリーブを装着し、ブッシュ外面に二硫化モリブデン被膜を形成する構成とするのも好ましいし、薄厚の回動ブッシュを積層使用することも好ましい
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は係る実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。ヒンジ機構は、軸受機構としてもよいし、ブッシュ材料は、真鋳や砲金としても機能としては確保可能であり製造コストを抑えることができる。強度上問題のない応力範囲の使用であれば、基材全体を固体潤滑材である二硫化モリブデンを配合した高分子材料、例えばポリアセタール等の海水中の使用に好適なエンジニアリングプラスチックで製作することも好ましい。
本発明は、水上船舶、特に肥大船の操舵部分に適用可能なものである。この他、優れた急停止能力を必要とする、巡視艇等の特殊艦艇への適用も有望である。
1 駆動機構
10 船体
11 船尾管
11a 船尾管後端
12 スクリュー軸
13 船体の軸受
14 船底
20 プロペラ
21 プロペラ前端面
22 プロペラ後端面
23 三段舵板がはさむ空間前端面
24 三段舵板がはさむ空間後端面
30 舵板
31 一段目の舵板(前縁翼)
32 二段目の舵板(主舵)
33 三段目の舵板(フラップ)
35 一段目の舵板の後縁
36 二段目の舵板の前縁部
37 二段目の舵板の後縁
38 二段目の舵板の前縁部
39 プロペラ軸ボス
40 舵軸
41 第一の平面回転機構
42 第二の平面回転機構
43 ヒンジ機構
44 ヒンジ機構
47 軸受支持機構
48 軸受支持機構
50 駆動機構
51 油圧シリンダ
52 ロッド
54 舵柄
57 開口溝
60 フラップ駆動機構
61 連結ピン
62 アーム式案内部材
64 開口溝
71 連結ピン
80 軸受
81 軸
82 スリーブ
83 回動ブッシュ
84 回動ブッシュ外面固体潤滑被膜
85 回動ブッシュ内面固体潤滑被膜
86 軸受内面
87 回動ブッシュ外面
88 スリーブ外面
89 回動ブッシュ内面
90 リミット開口溝
91 リミットピン
P 変針時の離反する舵板とプロペラのすきま
Q 変針時の近接する舵板とプロペラのすきま
α 一段目舵板部翼弦長
β 二段目舵板部翼弦長
γ 三段目舵板部翼弦長

Claims (24)

  1. スクリュー軸中心に線対称にプロペラの両側方で船底に配設される軸受によって回転自在に鉛直垂下支持される二つの舵軸とそれらの駆動機構を備え、
    前記舵板は、三段に分割構成され、
    二段目の舵板の前縁部と一段目の舵板後縁部には、鉛直軸まわりの第一の平面回転機構を備え、
    三段目の舵板はフラップを構成し、その前縁部と二段目の舵板後縁部には、後縁に沿って第二の平面回転機構を備え、
    前記二段目の舵板の舵角を前記フラップの舵角に増幅変換するフラップ駆動機構を備えることを特徴とする船舶の操舵装置。
  2. 前記三段のうち前方から一段目の舵板は、前記船底から船軸と平行に突出する固定翼であって、二段目の舵板の下面と同一水平面まで下方に船底より垂下されていることを特徴とする請求項1項記載の船舶の操舵装置
  3. 前記一段目の固定翼は、三段のうち前方から二段目の舵板を鉛直軸廻りに平面回転自在に支持する軸受機構を当該固定翼の深度方向最下端部又は中央部のうち少なくとも一つの部位に備えることを特徴とする請求項2項記載の船舶の操舵装置。
  4. 前記三段のうち前方から二段目の舵板は、前記舵軸とその上部で連結固定され、
    船底部に配設される舵軸軸受と、
    前記軸受及びこれと同心に前記固定翼下端部に配設される軸受機構により、回転自在に両持ちに支持され、鉛直軸まわりに平面回動可能とする請求項3項記載の船舶の操舵装置。
  5. 前記三段のうち前方から二段目の舵板は、前記舵軸とその上部で連結固定され、
    船底部に配設される舵軸軸受と、
    前記軸受とこれと同心に前記固定翼高さ方向中央部に配設される軸受機構及び前記固定翼下端部に配設されるこれら軸受と同心の軸受機構により、回転自在に三点で支持され、鉛直軸まわりに平面回動可能とする請求項3項記載の船舶の操舵装置。
  6. 前記三段目のフラップ前縁部と二段目の舵板後縁部の第二の平面回転機構は、その後縁部に沿って少なくとも二か所の部位に軸受機構を備え、
    第三段のフラップと連結されて中央部から端部にかけて長手方向に摺動及び回転自在なメス側連結機構を備えるアーム式案内部材と、
    前記舵軸後方で舵軸と所定の距離を隔て船体に一体に連結固定され、前記長手方向に摺動及び回転自在なメス側連結機構に嵌合され水平回転自在及び水平往復摺動自在に前記アーム式案内部材を連結支持し、第三の平面回転機構の回転幾何中心となるオス側連結ピンとを備える前記フラップ駆動機構は、
    前記舵軸舵角θ°で前記前記第二段目の舵部のθ°旋回に伴う前記三段目の舵部であるフラップの移動により前記第二の平面回転機構の拘束のもとで前記第三の平面回転機構の回動運動を生成し、前記連結ピン廻りの旋回角を2θ°以上へ増幅変換することを特徴とする請求項4項又は5項記載の船舶の操舵装置。
  7. 前記三段目のフラップ前縁部と二段目の舵板後縁部の第二の平面回転機構は、その後縁部に沿って少なくとも二か所の部位に軸受機構を備え、
    第三段のフラップと連結されて中央部から端部にかけて長手方向に摺動及び回転自在なメス側連結機構を備えるアーム式案内部材と、
    前記舵軸後方で舵軸と所定の距離を隔て船体に一体に連結固定され、前記長手方向に摺動及び回転自在なメス側連結機構に嵌合され水平回転自在及び水平往復摺動自在に前記アーム式案内部材を連結支持し、第三の平面回転機構の回転幾何中心となるオス側連結ピンとを備える前記フラップ駆動機構は、
    前記舵軸舵角θ°で前記前記第二段目の舵部のθ°旋回に伴う前記三段目の舵部であるフラップの移動により前記第二の平面回転機構の拘束のもとで前記第三の平面回転機構の回動運動を生成し、前記連結ピン廻りの旋回角を2θ°以上へ増幅変換することを特徴とする請求項4項又は5項記載の船舶の操舵装置
  8. 前記フラップの舵角は、前記舵軸の回転角に対して2倍以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の船舶の操舵装置。
  9. 前記舵板は、直進時には、プロペラの両脇に配置され、二枚の舵板によりプロペラを挟むように構成する空間の船の進行方向前端面がプロペラの軸方向前端面で構成される水流入面よりも船首方向に突出させた位置となる長さに二枚の舵板の前記舵板は構成され、
    変針時にも、舵軸の前方に配置され、プロペラの両脇に配置される二つの前記固定翼がプロペラを挟むように構成する空間の船の進行方向前端面がプロペラの軸方向前端面で構成される水流入面よりも船首方向に突出させた位置となる長さに二枚の舵板の前記舵板は構成され、
    プロペラ水流の整流作用を呈することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の船舶の操舵装置。
  10. 前記二枚の舵板は、直進時にはプロペラの両脇に配置され、二枚の舵板によりプロペラを挟むように構成する空間の船尾方向後端面がプロペラの軸方向後端面で構成される水流出面よりも、船尾方向に突出させた位置となる長さに三段で構成される舵板の全翼弦長は構成され、プロペラ水流の整流作用を呈することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の船舶の操舵装置。
  11. 前記舵板の全段の総翼弦長は、プロペラ後流に一枚の舵板を配置した場合に割当てられる舵板幅の50%より大であることを特徴とする請求項1〜10いずれか1項に記載の船舶の操舵装置。
  12. 前記翼弦長は、プロペラ後流に1枚舵板を配置した場合に割当てられる翼弦長の70%であることを特徴とする請求項11項に記載の操舵装置。
  13. 前記二枚の舵板は、双方が同時にプロペラを挟んで対向しながら同じ回転方向に動作可能である請求項1〜12記載のいずれか一項に記載の船舶の操舵装置。
  14. 前記2枚の舵板は、双方が同時に互いに近接する向きに動作可能である請求項1〜13記載のいずれか一項に記載の船舶の操舵装置。
  15. 前記駆動機構は、その動力源が二本の油圧シリンダ・ロッド機構と、
    各油圧シリンダが船体の横方向に対向配設され水平往復駆動されるロッド軸と、
    前記ロッド軸に固定連結された連結部材が嵌合されて回転自在及び水平方向に摺動自在に連結される案内機構を備え、船体横方向に水平揺動自在に支持される舵柄と、
    一端を前記舵軸に回転自在に連結され他端を前記舵柄に回転自在に連結される連接棒部を備え、
    前記ロッド軸の船体横方向の水平往復動を舵軸の回転揺動に変換するリンク機構を備えることを特徴とする請求項1〜13いずれか1項に記載の船舶の操舵装置。
  16. 前記駆動機構は、その動力源が二本の複動型油圧シリンダ・ロッド機構と、
    各油圧シリンダにより船体の横方向に水平往復方向に独立駆動されるロッド軸と、
    前記ロッド軸に固定連結された連結部材が嵌合されて回転自在及び水平方向に摺動自在に連結される案内機構を備え、船体横方向に水平揺動自在支持される二つの舵柄と、
    一端を前記舵軸に回転自在に連結され他端を前記舵柄に回転自在に連結される連接棒部とを備え、
    前記各ロッド軸の船体横方向の水平往復動を各舵軸の回転揺動に変換するリンク機構を備えることを特徴とする請求項1〜14いずれか1項に記載の船舶の操舵装置。
  17. 前記各段を連結する前記平面回転機構又は前記軸受機構のうち少なくともいずれかの一つがヒンジ軸受とヒンジ軸の組を要素に含むヒンジ機構である請求項1〜16のうちいずれか一項記載の船舶の操舵装置。
  18. 前記各段を連結する平面回転機構又は軸受機構又はヒンジ機構の摺動面には、固体潤滑材被膜を備える請求項第1項〜第17項のうちいずれか1項記載の船舶の推進装置
  19. 前記各段を連結する平面回転機構又は軸受機構又はヒンジ機構には、軸と軸受部を含み、選択的に軸と軸受との間にはブッシュ又はブッシュ及びスリーブを備えることを特徴とする請求項第1項〜第18項記載の船舶の操舵装置。
  20. 前記各段を連結する平面回転機構又は軸受機構又はヒンジ機構には、軸と軸受部を含み、選択的に軸と軸受との間にはブッシュ又はブッシュ及びスリーブを備えることを特徴とする請求項第1項〜第18項記載の船舶の操舵装置。
  21. 前記回動ブッシュを用いる平面回転機構又はヒンジ機構を含む軸受機構は、回動リミッタ機構を備えることを特徴とする請求項第20項記載の船舶の操舵装置。
  22. 前記回動ブッシュ内外面の摺動摩擦係数を異なるものとすることを特徴とする請求項第21項記載の船舶の操舵装置。
  23. 前記固体潤滑材は、二硫化モリブデンである請求項18〜22項のうちいずれか一項記載の船舶の操舵装置。
  24. 前記二硫化モリブデンは、スパッタリング方式により基材表面に被膜形成されたものであることを特徴とする請求項23記載の船舶の操舵装置。
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