JP2012045968A - 船舶用の舵、船舶、及び船舶の設計方法 - Google Patents

船舶用の舵、船舶、及び船舶の設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】垂直舵に副舵を接続して構成した舵において、船舶の直進時には、比較的簡単な形状で、プロペラ後流を効率良く利用できて、推進力を発揮でき、舵角を取った場合には、垂直舵および2つの副舵が十分な舵力を発揮することで、舵全体として大きな舵力を発生して高い旋回性能と針路安定性を確保することができる船舶用の舵、船舶、及び船舶の設計方法を提供する。
【解決手段】船舶に装備する垂直舵11に副舵12p、12sを接続して構成した船舶用の舵10において、該舵10を、舵軸に接続する前記垂直舵11の下端に、船尾方向から見て二股形状になるように2つの前記副舵12p、12sを接続して形成すると共に、前記副舵12p、12sに折れ曲がり部14p、14sを1箇所又は複数箇所設けて形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、船舶に装備する垂直舵に2つの副舵を接続して構成した船舶用の舵及び船舶に関し、より詳細には、船舶が直進する場合は副舵により推進力を得ることができ、舵角を取った場合は舵全体として大きな舵力を発生して高い旋回性能と針路安定性を確保することができる船舶用の舵、船舶、及び船舶の設計方法に関する。
船舶においては、船尾にプロペラ等の推進器と舵を設けて、航行中に、舵の方向を変える操作、即ち、操舵により旋回している。この舵による旋回は、プロペラの直後の流速の早い後流中で舵が流れ方向に対して大きな角度を持つことにより、舵に揚力を発生させて船体の後部に船体の向きを変える力を発生させることで、船体が変針するものである。
この船舶の舵の基本的な断面形状は、直進時の水中での舵の抵抗を小さくするように、左右対称の流線型となっている。水上を航行する排水量型の船舶においては、この舵の前端は、プロペラの後流れを利用するために、プロペラの後側に配置されるため、プロペラボスよりも後方位置となる。舵の後端は、船体の全長の制限や障害物との接触による損傷を防ぐという理由から船尾端よりも前の位置となる。
また、舵の上端は、船尾より下に旋回可能に設けられる関係から、通常は舵軸と船尾との交差する部位よりも下側の位置となる。また、舵の下端は、建造時や保守点検のためのドック入り時とプロペラ後流の範囲を考慮して、ベースライン(B.L.)より上とされている。
この舵を船舶に装備する際には、所要の操縦性能及び保針性能を確保するために、船の要目(船の長さ、幅、喫水等)によって一定以上の舵面積を確保する必要がある。
しかしながら、従来技術の単一板状の舵の場合には、舵はプロペラや船体との干渉を回避して、船尾の限られたスペースに設置しなければならないため、配置上の面から十分な舵面積を確保することが難しい場合が生じる。そのため、十分な舵面積を確保しようとすると、船尾垂線(A.P.)から船尾端までの距離を大きくする必要が生じるなど、船型要目の設定に舵が制約を与える場合もある。
また、船尾垂線(A.P.)から船尾端までの距離に制約を受けながら、十分な舵面積を確保するためには、舵の縦横比を大きくした縦長の舵形状にすることも考えられるが、その場合には、舵の上部及び下部がプロペラの後流から外れてしまい、舵の効果が十分に得られない。また、当て舵が必要となるという問題が生じ易くなる。
これに関連して、操舵時には充分な旋回性能を有し、かつ、直進航行時においても舵に働く抵抗が小さくなるという推進性能を向上させるために、船舶の舵本体の内部に、油圧シリンダ等の押圧装置と、この押圧装置により前後方向に移動して、舵本体の前部又は後部に出入する補助舵を備えた可変面積舵が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。ただし、これらの補助舵を出し入れする可変面積舵の場合には、舵本体の機構が複雑となり、補助舵を出し入れできるようにするためには、押圧装置も大規模になるので、工作が難しく、また、高コストである。
また、特殊な舵として、船尾におけるプロペラの後方に配設されて船体にその上方から回転可能に枢支される吊下舵において、プロペラの軸心線の延長上またはその近傍の部分から左右の斜め下方へ向け放射状に開いた複数の舵板を配設された放射状舵板付き吊下舵が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
この放射状舵板付き吊下舵では、船体の前進時に回転するプロペラの回転後流に対し舵板に発生する揚力の船体前後方向成分が前進方向を向くように舵板の迎角を設定し、プロペラ後流の回転成分を船体推進力に変え得る複数の舵板を備えることにより推進性能の向上を図っている。ただし、プロペラ後の船尾の流れは、プロペラ半径方向位置により異なるので、単純な放射状舵では、この流れを十分に捉えて利用しきれない場合がある。
実開昭63−104199号公報 実開平01−61000号公報 特開昭63−188596号公報
本発明は、上述の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、垂直舵に副舵を接続して構成した舵において、船舶の直進時には、比較的簡単な形状で、プロペラ後流を効率良く利用できて、推進力を発揮でき、舵角を取った場合には、垂直舵および2つの副舵が十分な舵力を発揮することで、舵全体として大きな舵力を発生して高い旋回性能と針路安定性を確保することができる船舶用の舵、船舶、及び船舶の設計方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の船舶用の舵は、船舶に装備する垂直舵に副舵を接続して構成した船舶用の舵において、該舵を、舵軸に接続する前記垂直舵の下端に、船尾方向から見て二股形状になるように2つの前記副舵を接続して形成すると共に、前記副舵に折れ曲がり部を1箇所又は複数箇所設けて形成する。
この構成によれば、単純な垂直舵一枚の舵に比べて、船体横方向の力となる舵力を発生させるのに有効な総投影舵面積を大きく維持しながら、船体側面から見た舵全体の外形投影形状(プロファイル形状)はより小さく、コンパクトにすることができるので、船尾の設計において、舵による操縦性能を確保しながらも、舵の配置等による制限が少なくなり、船尾の設計における自由度と、船型要目(船の長さ、幅、喫水等)の設定の自由度を増すことができる。
また、船舶の直進時においては、折れ曲がり部を設けたことで、プロペラ後流の範囲内に、放射状の直線状の副舵よりも広い面積の副舵を配置することができるようになり、垂直舵及び副舵により効率良くプロペラ後流を利用して、推進力となる船舶の長手方向(前後方向)の揚力成分を得ることができ、より大きな推進力を得ることができる。
このとき、船舶の船尾の舵位置の流れは、船体の伴流とプロペラによる旋回流によって合成される複雑な流れになるので、船舶の長手方向に対して推進力を効率良く得るためには、この複雑な流れに対して垂直舵及び副舵にそれぞれのスパン方向位置における最適な迎角を設けることが必要となるが、折れ曲がり部を設けることで、垂直舵側の副舵用翼部材と先端側の副舵用翼部材の迎角を異ならせることが容易にできるようになる。
また、垂直舵側の副舵用翼部材と先端側の副舵用翼部材をそれぞれ単純な翼形状で構成することができ、工作も容易となる。
また、上記の船舶用の舵において、前記垂直舵と前記副舵の接合部にバルブを設けて構成すると、このバルブにより、垂直舵と副舵との取り付け部分に構造的に大きな強度を持たせることができる。また、プロペラへ流れ込む流れの流入速度を遅くして、推進効率を向上させるというバルブの伴流利得上昇効果により、直進時の船舶の推進性能を向上させ、省エネ効果を発揮することができる。
更に、プロペラ軸方向に対しての垂直舵の迎角と左右の副舵の迎角が異なる場合にはこれらを直接接合すると接合部に段差が生じて流れを乱すが、この接合部分にバルブを設けることにより、迎角の差による接合部の段差を吸収することができるので、垂直舵と副舵の接合部の後流の乱れを小さくすることができる。
また、上記の船舶用の舵で、前記副舵の折れ曲がり部において、船尾方向から見て前記副舵の垂直舵側の副舵用翼部材に対して前記副舵の先端側の副舵用翼部材が内側に折れ曲がるように形成すると、よりプロペラ後流の範囲内に配置される副舵の面積を広くすることができるので、より推進力を得ることができる。
この構成によれば、内側に折れ曲がり部を設けたことで、旋回力を得るという舵の役目を保ちつつ前記副舵の二股の開き角をより大きくすることができ、船舶の変針時において舵角を取った際には、船尾側から見たときに、上流側になる副舵と下流側になる副舵とが重なる部分を、折れ曲がり部を設けない直線状の副舵の場合よりも減少できるので、上流側になる副舵によって生じる流れの乱れが、下流側になる副舵に与える影響を緩和できる。そのため、垂直舵および2つの副舵が十分な舵力を発揮することができ、舵全体として大きな舵力を発揮できる。
また、上記の船舶用の舵において、船尾方向から見て、前記垂直舵に最も近い第1の副舵用翼部材の鉛直線に対する角度が45°より大きく90°より小さい範囲内に入り、前記第1の副舵用翼部材に折れ曲がって接続する第2の副舵用翼部材の鉛直線に対する角度が0°以上45°より小さい範囲内に入るように形成する。
第1の副舵用翼部材の鉛直線に対する角度が、45°以下になると、舵角を取った場合に上流側の副舵が下流側の副舵への流れを遮ることになり、90°以上になると、舵角を取った場合に副舵が垂直舵の下流になり舵力を発揮できなくなる。また、第2の副舵用翼部材の鉛直線に対する角度が、45°以上になると、舵角を取った場合に操船に必要な船の横方向への舵力が十分に発揮できなくなる。
そして、上記の目的を達成するための船舶は、上記の船舶用の舵を備えて構成される。この構成により、船舶は、舵角を取った場合でも上流側になる副舵によって生じる流れの乱れが下流側になる副舵に与える影響を小さくすることができるので、舵のプロファイル形状がコンパクトな舵でありながら、船舶の旋回性能と保針性能を向上させることができ、更に、垂直舵と広い面積の副舵をプロペ後流中に配置できるので船舶直進時の推進性能も向上することができる。
そして、上記の目的を達成するための船舶の設計方法は、船舶に装備する垂直舵に副舵を接続して構成した船舶用の舵を備えた船舶の設計方法において、前記舵を、舵軸に接続する前記垂直舵の下端にバルブを設け、該バルブに船尾方向から見て二股形状になるように2つの前記副舵を接続し、前記副舵に折れ曲がり部を1箇所又は複数箇所設けて形成し、前記副舵の折れ曲がり部において、船尾方向から見て前記副舵の垂直舵側の副舵用翼部材に対して前記副舵の先端側の副舵用翼部材が内側に折れ曲がるように形成し、船尾方向から見て、前記垂直舵に最も近い第1の副舵用翼部材の鉛直線に対する角度が45°より大きく90°より小さい範囲内に入り、前記第1の副舵用翼部材に折れ曲がって接続する第2の副舵用翼部材の鉛直線に対する角度が0°以上45°より小さい範囲内に入るように形成することを特徴とする。
この船舶の設計方法によれば、垂直舵に副舵を接続して構成した舵において、舵角を取った場合には、垂直舵および2つの副舵が十分な舵力を発揮することができて、舵全体として大きな舵力を発生して高い旋回性能と針路安定性を確保することができ、船舶の直進時には、比較的簡単な形状で、プロペラ後流を効率良く利用できて、推進力を発揮できる船舶用の舵を備えた船舶を、容易に設計できる。
本発明の船舶用の舵、船舶、及び船舶の設計方法によれば、船舶の直進時においては、折れ曲がり部を設けたことで、プロペラ後流の範囲内に、広い面積の副舵を配置することができると共に、比較的簡単な構成で、副舵の迎角を副舵に流入するプロペラ後流に対して最適な角度に設定することができるようになるので、プロペラ後流を効率良く利用して、大きな推進力を得ることができる。
また、内側に折れ曲がり部を設けたことにより、舵の役目を保ちつつ副舵の二股の開き角をより大きくすることができ、舵角を取った場合には、船尾側から見たときに、上流側になる副舵と下流側になる副舵とが重なる部分を減少することができるので、上流側になる副舵によって乱された流れが、下流側になる副舵に与える影響を緩和でき、舵全体として大きな舵力を発生して高い旋回性能と針路安定性を確保することができる。
本発明に係る実施の形態における船舶用の舵の構成を示した左舷側斜め前方から見た斜視図である。 図1の船舶用の舵を右舷側斜め前方から見た斜視図である。 図1の船舶用の舵における、船尾方向から見た第1副舵用翼部材と第2副舵用翼部材の取付け角度の関係を示した図である。 図1の船舶用の舵と、船尾方向から見た流れの様子との関係を模式的に示した図である。
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態の船舶用の舵、船舶、及び船舶の設計方法について説明する。図1〜図4は、実施の形態の船舶用の舵の斜視図を示す。なお、図3及び図4の図中のCpはプロペラの先端の回転円を示す。また、下記の説明では、副舵に設ける折れ曲がり部を1箇所として説明しているが、必要に応じて複数箇所設けてもよい。
本発明の実施の形態の船舶用の舵10は、垂直方向に設けられた舵軸に固定され、操舵装置による舵軸の回転に伴って回転するように構成され、船舶の船尾のプロペラの後方に配置される。この船舶用の舵10は、ホーン付きの舵でも、吊り舵であってもよい。
この船舶用の舵10は、図1の左舷側斜め前方から見た斜視図と図2の右舷側斜め前方から見た斜視図に示すように、垂直舵11に2枚の副舵12p、12sを接続して形成される。この垂直舵11は、舵軸(図示しない)に固定されて鉛直方向に延びる舵部材である。この垂直舵11の下端に、即ち、垂直舵11と副舵12p、12sの接合部にバルブ13を設けて構成する。また、図3に示すように、副舵12p、12sの下端12pe、12seが船体のベースラインB.L.より下にならないように形成する。
この垂直舵11の形状や大きさは、副舵12p、12sとバルブ13とを取り付けた状態での舵角を取った時の舵性能や、直進時の推進性能や、舵10全体の重量や舵軸の旋回に要する力等を考慮して設定される。
また、副舵12p、12sにより、プロペラ後流を効率良く利用して、垂直舵11と副舵12p、12sで発生する揚力の前後方向成分による推進力を得て、直進時の船舶の推進性能を向上させることができる。
この場合には、副舵12p、12sの断面形状(キャンバーを含む)とその迎角は、流入する流れに対して、揚力成分のうちの船舶の前後方向の成分が大きくなるように形成及び設置される。このとき、プロペラ後流の流れは、図4に示すように、必ずしも、プロペラ回転軸を含む鉛直面に対して左右対称にならないので、断面形状と迎角の変化だけでは、十分にプロペラ後流を利用できない場合には、副舵12p、12sの断面形状(キャンバーを含む)とその迎角を、このプロペラ後流に合わせて左右非対称に形成したりすることもできる。
また、副舵12p、12sの船尾から見た形状に関しては、直線が折れ曲がった形状にすると、即ち、副舵用翼部材12pa、12pb、12sa、12sbを断面が翼形状の平面で形成すると、設計及び工作が容易となる。なお、翼断面をもつ平面と翼断面をもつ曲面とを折れ曲がり部で接続してもよい。
バルブ13は、流線型の略回転体状の部材として形成されると共に、船尾から見てプロペラ軸心(プロペラ回転軸の回転中心)Pcの近傍に配置される。このバルブ13の中心はプロペラ軸心Pcと一致させてもよいが、プロペラ後流を考慮して、副舵12p、12sを含めた舵10全体の舵性能がよくなるように配置することが好ましい。
そして、より好ましくは、船尾方向から見て、垂直舵11と副舵12p、12sの接合部の中心をプロペラ軸心Pcから半径がプロペラ径の1/4である円内に配置されるように、バルブ13を配置する。
このバルブ13により、垂直舵11と左舷側の副舵12pと右舷側の副舵12sのそれぞれの間で各翼形状のプロペラ軸方向に対する迎角が異なる場合には、この迎角の違いにより接合部に段差が生じるのを避けることができる。つまり、プロペラ軸方向に対して、垂直舵11の迎角と左右の副舵12p、12sの迎角がそれぞれ異なる場合には直接接合すると段差が生じて流れを乱すが、この接合部分にバルブ13を設けて各迎角の差による段差を吸収することができるので、垂直舵11と副舵12p、12sの接合部の後流の乱れを小さくすることができる。
また、このバルブ13により、垂直舵11と副舵12p、12sとの取り付け部分に構造的に大きな強度を持たせることができる。更に、このバルブ13は、プロペラ軸心Pcの近傍でかつプロペラの直後に配置されるため、プロペラへ流れ込む流れを減速させるという伴流利得上昇の効果を有している。そのため、プロペラの推進効率を向上させることができる。
また、2つの副舵12p、12sは、その断面形状が翼形状に形成され、バルブ13に、船尾方向から見て二股形状になるように接続して形成される。また、それと共に、副舵12p、12sに折れ曲がり部14p、14sを1箇所又は複数箇所設けて形成する。図1〜図4の構成では、副舵12p、12sのそれぞれに1箇所の折れ曲がり部14p、14sが設けられる。
また、2つの副舵12p、12sは、折れ曲がり部14p、14sにおいて、船尾方向から見て副舵12p(又は、12s)の垂直舵11側の第1の副舵用翼部材12pa(又は,12sa)に対して先端側の第2の副舵用翼部材12pb(又は,12sb)が内側に、即ち、下側又はプロペラ軸心Pc側に折れ曲がるように形成すると、よりプロペラ後流の範囲内に配置される副舵12p、12sの面積を広くすることができるので、より推進力を得ることができる。
更に、2つの副舵12p、12sは、図3に示すように、船尾方向から見て、垂直舵11に最も近い第1の副舵用翼部材12pa(又は、12sa)の鉛直線に対する角度αp(又は、αs)が45°より大きく90°より小さい範囲内に入り、第1の副舵用翼部材12pa(又は、12sa)に折れ曲がって接続する第2の副舵用翼部材12pb(又は、12sb)の鉛直線に対する角度βp(又は、βs)が0°以上45°より小さい範囲内に入るように形成することが好ましい。
第1の副舵用翼部材の鉛直線に対する角度が、45°以下になると、舵角を取った場合に上流側の副舵が下流側の副舵への流れを遮ることになり、90°以上になると、舵角を取った場合に副舵が垂直舵の下流になり舵力を発揮できなくなる。また、第2の副舵用翼部材の鉛直線に対する角度が、45°以上になると、舵角を取った場合に操船に必要な船の横方向への舵力が十分に発揮できなくなる。
また、副舵12p、12sの折れ曲がり部14p、14sに、垂直舵11側の第1の副舵用翼部材12pa、12saと先端側の第2の副舵用翼部材12pb、12sbとの間の迎角の変化に対して、第1の副舵用翼部材12pa(又は、12sa)と第2の副舵用翼部材12pb(又は、12sb)の突き合わせによる段差を解消するために調整用取付け部材を配設すると、この調整用取付け部材を挟んで変化する迎角の段差を、調整用取付け部材内において吸収することにより、接続部でもある折れ曲がり部14p、14sにおける段差の発生を回避することができる。その結果、垂直舵11側の第1の副舵用翼部材12pa、12saと先端側の第2の副舵用翼部材12pb、12sbをそれぞれ単純な翼形状で形成することができ、工作が容易となる。
図4に、船舶用の舵10の垂直舵11と副舵12p、12sの各位置におけるプロペラ後における流れ(矢印Rt:プロペラ軸に垂直な断面における流速成分を示す。以下同様)を示す。この流れRtは、船体の伴流(矢印R1)による流れと、プロペラの旋回流(矢印R2)の合成となるため、プロペラ半径方向位置によって流れ(矢印Rt)が異なり、その位置毎に副舵12p、12sで推進力を得るのに最適な迎角が異なってくるが、折れ曲がり部14p、14sを設けることにより、船尾から見た副舵12p、12sの第1の副舵用翼部材12pa、12saと第2の副舵用翼部材12pb、12sbの迎角を、それぞれの位置で最適にするように、異なる角度で設定することができるようになる。
また、副舵12p、12sのプロペラ側の前縁部分は、船舶用の舵10を旋回したときに、プロペラに近づくため、プロペラに接触しないように前縁部をカットしてもよい。つまり、副舵12p、12sを後退翼のように形成して、船舶用の舵10を左右に回転したときにプロペラに衝突するのを回避する。
また、副舵12p、12sの後縁部にフラップ(図示しない)を設けてもよい。このフラップにより、舵軸回りの舵10の旋回力を増加させて船体の旋回性能を向上させることができる。なお、副舵12p、12sでなく、垂直舵11のみにフラップを設けてもよく、垂直舵11と副舵12p、12sの両方にフラップを設けてもよい。
また、副舵12p、12sにこの舵の表面で発生した渦の流出を抑制する端板(図示しない)を副舵12p、12sのスパン方向の端部12pe、12seに設けてもよい。この端板により、副舵12p、12sの舵面から翼端渦が流出するのを抑制して、船舶直進時に副舵12p、12sで発生する推進力をより大きくすることができるので、舵力及び直進時の船舶の推進性能を更に向上させることができる。
更に、垂直舵11、副舵12p、12s、バルブ13の何れか1つまたは、幾つかに、フィン(図示しない)を設けてもよい。
上記の構成の船舶用の舵10によれば、船体横方向の舵力を発生させるのに有効な総投影舵面積を大きく維持しながら、船体側面から見た舵全体の外形投影形状(プロファイル形状)はより小さく、コンパクトにすることができるので、船尾の設計において、舵による操縦性能を確保しながらも、舵の配置等による制限が少なくなり、船尾の設計における自由度と、船型要目(船の長さ、幅、喫水等)の設定の自由度を増すことができる。
例えば、舵のプロファイル形状を小さくできれば、それに伴って、船尾垂線(A.P.)から船尾端までの距離を短くできる。貨物船では港湾の条件や規則適用の範囲によって全長に制限があるので、船尾垂線(A.P.)から船尾端までの距離を短くできれば、全長を変えずに、その分貨物倉や機関室を長くできるという利点がある。
また、舵のプロファイル形状をコンパクトにできると、舵高さも小さくできるので、舵の大部分がプロペラ後流中に入るように配置することが可能となり、プロペラ後流を十分に活用して、航海時及び低速航行時においても、同じ船体の側面方向から見た投影舵面積を持つ単一板状の従来技術の舵よりも大きな舵力を発生させることができるようになる。
また、折れ曲がり部14p、14sを設けたことで、船舶の直進時においては、プロペラ後流の範囲内に、広い面積の副舵12p、12sを配置することができるようになり、垂直舵11及び副舵用翼部材12pa、12pb、12sa、12sbにより効率良くプロペラ後流を利用して、推進力となる船舶の長手方向(前後方向)の揚力成分を得ることができ、より大きな推進力を得ることができる。
つまり、副舵12p、12sを、船舶の直進時に、船舶の長手方向に対して推進力を発生する断面形状で、迎角やキャンバーを有する形状に形成することで、舵に付けるフィンと同様に、船舶の直進時に推進力を発生できる。副舵12p、12sの場合はフィンに比べてその大きさが大きく、大きな推進力を発揮できるので、直進時の船舶の推進性能をより向上させることができる。即ち、副舵12p、12sを、船の長手方向に対して適正な断面形状、迎角、キャンバーを持って配置することで、垂直舵11と副舵12p、12sで発生する揚力の前後方向成分による推進力を得て、船舶の直進時における推進性能の向上による省エネ効果を得ることができる。
また、図4に示すように、船舶の船尾の舵の位置では、船体の伴流R1とプロペラによる旋回流R2によって合成される複雑な流れRtになり、船舶の長手方向に対して推進力を効率良く得るためには、この複雑な流れRtに対して垂直舵11及び副舵12p、12sのそれぞれのスパン方向位置において最適な迎角を設けることが必要となるが、折れ曲がり部14p、14sを設けることで、垂直舵側の副舵用翼部材12pa、12saと先端側の副舵用翼部材12pb、12sbの迎角を異ならせて設定することが容易にできるようになる。
つまり、副舵用翼部材12pa、12sa、12pb、12sbの形状をスパン方向に複雑に変化させることなく、垂直舵側の副舵用翼部材12pa、12saと先端側の副舵用舵部材12pb、12sbを比較的簡単な形状にしたままで、その位置における流れにより適した迎角とすることができるようになるので、舵10の工作が容易となる。
また、この折れ曲がり部14p、14sを設けたことで、船舶の変針時において右舷側(左舷側)に舵角を取った際には、図1に示すように、船首側から見て、上流側になる副舵12p(12s)と下流側になる副舵12s(12p)とが重なる部分(点線部分)Sを小さくできるので、上流側になる副舵12p(12s)によって生じる流れの乱れが、下流側になる副舵12s(12p)に与える影響を緩和でき、2つの副舵12p、12sにおいてそれぞれ舵力を十分に発揮させることができ、舵全体として大きな舵力を発揮できる。
そして、本発明に係る実施の形態の船舶は、上記の構成の船舶用の舵10を備えて構成される。この構成により、船舶は、垂直舵11と広い面積の副舵12p、12sをプロペラ後流中に配置できるので船舶直進時の推進性能を向上することができ、更に、舵角を取った場合でも上流側になる副舵12p(又は、12s)が下流側になる副舵12s(又は、12p)への流入する流れへの悪影響を小さくすることができるので、舵のプロファイル形状がコンパクトな舵でありながら、船舶の旋回性能と保針性能を向上させることができる。
そして、本発明の船舶の設計方法は、船舶に装備する垂直舵11に副舵12p、12sを接続して構成した船舶用の舵10を備えた船舶の設計方法であって、次のように設計される。
舵軸に接続する垂直舵11の下端にバルブ13を設け、このバルブ13に船尾方向から見て二股形状になるように2つの副舵12p、12sを接続する。この副舵12p、12sに折れ曲がり部を1箇所又は複数箇所(図1〜図4では1箇所)設けて形成する。
この副舵12p、12sの折れ曲がり部において、船尾方向から見て副舵12p、12sの垂直舵11側の第1の副舵用翼部材12pa、12saに対して、副舵12p、12sの先端側の第2の副舵用翼部材12pb、12sbが内側に折れ曲がるように形成する。
更に、船尾方向から見て、垂直舵11に最も近い第1の副舵用翼部材12pa、12saの鉛直線に対する角度αp、αsが45°より大きく90°より小さい範囲内に入り、第1の副舵用翼部材12pa、12saに折れ曲がって接続する第2の副舵用翼部材12pb、12sbの鉛直線に対する角度βp、βsが0°以上45°より小さい範囲内に入るように形成する。
この船舶の設計方法によれば、垂直舵11に副舵12p、12sを接続して構成した舵10において、舵角を取った場合には、舵全体として大きな舵力を発生して高い旋回性能と針路安定性を確保することができ、船舶の直進時には、比較的簡単な形状で、プロペラ後流を効率良く利用できて、推進力を発揮できる船舶用の舵を備えた船舶を、容易、かつ、効率良く設計できる。
本発明の船舶用の舵、船舶、及び船舶の設計方法は、上記のように、船舶の直進時には、比較的簡単な形状で、プロペラ後流を効率良く利用できて、推進力を発揮でき、舵角を取った場合には、垂直舵および2つの副舵が十分な舵力を発揮することで、舵全体として大きな舵力を発生して高い旋回性能と針路安定性を確保することができるので、水上を航行する船舶の船舶用の舵、船舶、及び船舶の設計方法として利用できる。
10 船舶用の舵
11 垂直舵
12p、12s 副舵
12pa、12sa 第1の副舵用翼部材
12pb、12sb 第2の副舵用翼部材
13 バルブ
14p、14s 折れ曲がり部
Cp プロペラの先端の回転円部
Pc プロペラ軸心

Claims (6)

  1. 船舶に装備する垂直舵に副舵を接続して構成した船舶用の舵において、該舵を、舵軸に接続する前記垂直舵の下端に、船尾方向から見て二股形状になるように2つの前記副舵を接続して形成すると共に、前記副舵に折れ曲がり部を1箇所又は複数箇所設けて形成したことを特徴とする船舶用の舵。
  2. 前記垂直舵と前記副舵の接合部にバルブを設けたことを特徴とする請求項1記載の船舶用の舵。
  3. 前記副舵の折れ曲がり部において、船尾方向から見て前記副舵の垂直舵側の副舵用翼部材に対して前記副舵の先端側の副舵用翼部材が内側に折れ曲がるように形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の船舶用の舵。
  4. 船尾方向から見て、前記垂直舵に最も近い第1の副舵用翼部材の鉛直線に対する角度が45°より大きく90°より小さい範囲内に入り、前記第1の副舵用翼部材に折れ曲がって接続する第2の副舵用翼部材の鉛直線に対する角度が0°以上45°より小さい範囲内に入るように形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の船舶用の舵。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の船舶用の舵を備えたことを特徴とする船舶。
  6. 船舶に装備する垂直舵に副舵を接続して構成した船舶用の舵を備えた船舶の設計方法において、
    前記舵を、舵軸に接続する前記垂直舵の下端にバルブを設け、該バルブに船尾方向から見て二股形状になるように2つの前記副舵を接続し、
    前記副舵に折れ曲がり部を1箇所又は複数箇所設けて形成し、
    前記副舵の折れ曲がり部において、船尾方向から見て前記副舵の垂直舵側の副舵用翼部材に対して前記副舵の先端側の副舵用翼部材が内側に折れ曲がるように形成し、
    船尾方向から見て、前記垂直舵に最も近い第1の副舵用翼部材の鉛直線に対する角度が45°より大きく90°より小さい範囲内に入り、前記第1の副舵用翼部材に折れ曲がって接続する第2の副舵用翼部材の鉛直線に対する角度が0°以上45°より小さい範囲内に入るように形成することを特徴とする船舶の設計方法。
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