JP2016035968A - 光電変換素子及びその製造方法 - Google Patents
光電変換素子及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016035968A JP2016035968A JP2014158158A JP2014158158A JP2016035968A JP 2016035968 A JP2016035968 A JP 2016035968A JP 2014158158 A JP2014158158 A JP 2014158158A JP 2014158158 A JP2014158158 A JP 2014158158A JP 2016035968 A JP2016035968 A JP 2016035968A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- silicon layer
- amorphous silicon
- semiconductor film
- photoelectric conversion
- type amorphous
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E10/00—Energy generation through renewable energy sources
- Y02E10/50—Photovoltaic [PV] energy
Landscapes
- Photovoltaic Devices (AREA)
Abstract
【課題】素子の高抵抗化を伴うことなく、複雑な製造工程を伴わず且つ低コストで光電変換素子を製造する。
【解決手段】p型の第1半導体層6は、酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3の第2真性半導体層5bをエッチングストッパとして第1エッチングペーストによりパターンニングする。n型の第2半導体層7は、酸素濃度が3×1019cm−3以下の第1半導体層6をエッチングストッパとして、アルカリ性のエッチングペーストによりパターンニングする。
【選択図】図2
【解決手段】p型の第1半導体層6は、酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3の第2真性半導体層5bをエッチングストッパとして第1エッチングペーストによりパターンニングする。n型の第2半導体層7は、酸素濃度が3×1019cm−3以下の第1半導体層6をエッチングストッパとして、アルカリ性のエッチングペーストによりパターンニングする。
【選択図】図2
Description
本発明は、光電変換素子及びその製造方法に関する。
近年、光電変換素子として、シリコン太陽電池が注目されている。シリコン太陽電池の一例として、裏面接合型ヘテロ構造の太陽電池がある。
裏面接合型ヘテロ構造のシリコン太陽電池は、半導体基板の裏面において、i型半導体膜が形成され、i型半導体膜上にp型半導体膜とn型半導体膜とが面内方向に隣接して形成され、p型半導体膜とn型半導体膜上に電極が形成された構成を有する(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
特許文献1に記載の裏面接合型ヘテロ構造太陽電池では、p型半導体膜とn型半導体膜とが、それぞれ、フォトリソグラフィによってパターン形成されると記載されている。
特許文献2に記載の裏面接合型ヘテロ構造太陽電池では、i型半導体膜とn型半導体膜(又は、p型半導体膜)が、酸素を含有する半導体膜で形成されている。一方、p型半導体膜(又は、n型半導体膜)は酸素を含有しない半導体膜で形成されている。この太陽電池の製造においては、半導体基板の裏面にi型半導体膜及びp型半導体膜を形成した後、酸素を含まない半導体膜のみをエッチング除去可能なシリコン用エッチングペーストを用いてp型半導体膜をパターンニングする。そして、n型半導体膜を成膜した後、酸素を含む半導体膜のみをエッチング除去可能な酸化シリコン用エッチングペーストを用いてn型半導体膜をパターンニングする。
特許文献1に記載の裏面接合型へテロ構造太陽電池では、半導体膜をフォトリソグラフィ法によってパターンニングする。フォトリソグラフィ技術では、フォトリソグラフィ工程、ウェットエッチング工程、レジスト剥離工程、及びリンス洗浄工程等の多くの工程が必要であり、製造工程が複雑である。また、フォトリソグラフィ技術において用いられるレジストや有機溶液が高価であることから、製造コストが嵩む。
特許文献2に記載の裏面接合型へテロ構造太陽電池では、n型半導体膜及びp型半導体膜のいずれか一方を、酸素を含有する半導体膜で形成することとなる。そのため、半導体素子の抵抗が著しく大きくなってしまうという問題がある。
本発明は、素子の高抵抗化を伴うことなく、簡単な工程によって且つ低コストで製造可能な光電変換素子を得ることを目的とする。
また、本発明は、素子の高抵抗化を伴うことなく、簡単な工程によって且つ低コストで光電変換素子を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態の光電変換素子は、光を電気に変換するものであって、半導体基板と、前記半導体基板の光入射側とは反対側の裏面に接して形成された真性半導体膜と、前記真性半導体膜に接して形成され、p型の第1半導体膜と、前記真性半導体膜に接すると共に、前記半導体基板の面内方向において前記第1半導体膜に隣接して形成され、n型の第2半導体膜と、を備える。前記真性半導体膜は、少なくとも前記第1半導体膜側において、酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3、又は、窒素濃度が5×1020〜2×1021cm−3である。前記第1半導体膜と第2半導体膜のそれぞれは、酸素濃度が3×1019cm−3以下、且つ窒素濃度が3×1019cm−3以下である。
上記の構成によれば、真性半導体膜は、少なくとも真性半導体膜の前記第1半導体膜側において、酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3、又は、窒素濃度が5×1020〜2×1021cm−3であるので、第1半導体膜を第1エッチングペーストでエッチングするとき、真性半導体膜がエッチングストッパとして機能する。そのため、第1半導体膜をパターニングする場合には、真性半導体膜を残した状態で第1半導体膜のみをエッチングすることができる。
また、上記の構成によれば、第1半導体膜及び第2半導体膜のいずれも、酸素濃度が3×1019cm−3以下、且つ、窒素濃度が3×1019cm−3以下であるので、光電変換素子が高抵抗化するのが抑制される。
従って、上記の構成によれば、素子の高抵抗化を伴うことなく、簡単な工程によって且つ低コストで製造可能な光電変換素子を得ることができる。
本発明の光電変換素子において、前記真性半導体膜は、前記半導体基板に接して設けられた第1真性半導体膜と、前記第1真性半導体膜に接して設けられた第2真性半導体膜と、を含み、前記第2真性半導体膜は、酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3、又は、窒素濃度が5×1020〜2×1021cm−3であることが好ましい。
上記の構成によれば、真性半導体膜が2層構造であり、2層のうち第1半導体膜に接する側の第2真性半導体膜は、酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3、又は、窒素濃度が5×1020〜2×1021cm−3であるから、第1半導体膜のパターンニング時に、第2真性半導体膜がエッチングストッパとして機能することができる。
本発明の光電変換素子において、真性半導体膜が第1真性半導体膜及び第2真性半導体膜で構成されている場合、前記第1真性半導体膜は、酸素濃度が3×1019cm−3以下、且つ、窒素濃度が3×1019cm−3以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、半導体基板に接する第1真性半導体膜が、酸素濃度が3×1019cm−3以下、且つ窒素濃度が3×1019cm−3以下であるので、半導体基板に対するパッシベーション性を高めることができる。
本発明の光電変換素子において、真性半導体膜が第1真性半導体膜及び第2真性半導体膜で構成されている場合、前記第2真性半導体膜の厚さは、2nm以上、且つ10nm未満であることが好ましい。第2真性半導体膜の厚さが2nm未満の場合、第1半導体膜をエッチングする際のエッチングストッパとしての機能が十分ではない場合がある。また、第2真性半導体膜の厚さが10nm以上の場合、第2真性半導体膜の高抵抗化により、光電変換素子の直列抵抗の増大を引き起こす可能性がある。
本発明の光電変換素子の製造方法は、半導体基板の光入射側とは反対側の面に接して、真性半導体膜を成膜する工程と、前記真性半導体膜に接して、p型の第1半導体膜を成膜する工程と、前記真性半導体膜をエッチングストッパとして、前記成膜した第1半導体膜の一部を、第1エッチングペーストを用いてエッチングする第1エッチング工程と、前記エッチング後の第1半導体膜を覆うように、n型の第2半導体膜を成膜する工程と、前記第1半導体膜をエッチングストッパとして、前記第1半導体膜上に形成された第2半導体膜を、第2エッチングペーストを用いてエッチングする第2エッチング工程と、を備える。前記真性半導体膜は、少なくとも前記第1半導体膜側において、酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3、又は、窒素濃度が5×1020〜2×1021cm−3である。前記第2エッチングペーストは、アルカリ性である。
上記の製造方法によれば、真性半導体膜は、少なくとも真性半導体膜の前記第1半導体膜側において、酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3、又は、窒素濃度が5×1020〜2×1021cm−3であるので、第1半導体膜を第1エッチングペーストでエッチングするとき、真性半導体膜がエッチングストッパとして機能する。そのため、第1半導体膜をパターンニングする場合には、真性半導体膜を残した状態で第1半導体膜のみをエッチングすることができる。
また、上記の製造方法によれば、第2半導体膜をパターンニングする場合には、第2エッチングペーストとしてアルカリ性のエッチングペーストを用いるので、第1半導体膜をエッチングストッパとして第2半導体膜のみをエッチングすることができる。アルカリ性のエッチングペーストは、p型半導体膜をエッチングせず、n型の半導体膜のみをエッチングする性質を有するからである。従って、第1半導体膜及び第2半導体膜の酸素濃度及び窒素濃度のいずれを高めることもなく、第1半導体膜をエッチングストッパとして機能させることができる。つまり、第1半導体膜及び第2半導体膜の両方を、酸素濃度を3×1019cm−3以下、且つ、窒素濃度を3×1019cm−3以下にすることができ、光電変換素子の高抵抗化が抑制される。
さらに、上記の製造方法によれば、第1半導体膜及び第2半導体膜を設ける際に、フォトリソグラフィ技術ではなくエッチングペーストを用いてパターンニングを行う。つまり、エッチングペースト塗布工程、及びリンス工程のみを経て第1半導体膜及び第2半導体膜をパターンニングすることができるので、フォトリソグラフィ法によるパターンニングのように複雑な工程を経ることなく、第1半導体膜及び第2半導体膜をパターンニングすることができる。加えて、エッチングペーストを用いたパターンニングで必要となるエッチングペーストは、フォトリソグラフィで必要となるレジストや有機溶媒と比較して安価であるので、製造コストを抑制することができる。
本発明の光電変換素子の製造方法において、前記真性半導体膜を成膜する工程は、前記半導体基板に接して第1真性半導体膜を形成する工程と、前記第1真性半導体膜に接して第2真性半導体膜を形成する工程と、を含み、前記第2真性半導体膜は、酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3、又は、窒素濃度が5×1020〜2×1021cm−3であり、前記第1エッチング工程において、前記第2真性半導体膜がエッチングストッパとして機能することが好ましい。
本発明の光電変換素子の製造方法において、前記第1エッチングペーストとして、具体的には、例えば、メルク株式会社製のIsishape Solar Etch SiD(登録商標)を用いることができる。
また、本発明の光電変換素子の製造方法において、前記第2エッチングペーストとして、例えば、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、エチレングリコール、水酸化カリウム及び水を混合した混合ペーストを用いることができる。
本発明の光電変換モジュールは、本発明のいずれかの光電変換素子を用いたものである。また、本発明の光電変換モジュールは、本発明の光電変換素子の製造方法により製造した光電変換素子を用いて作製できる。
本発明の光電変換システムは、本発明のいずれかの光電変換素子を用いたものである。また、本発明の光電変換システムは、本発明の光電変換素子の製造方法により製造した光電変換素子を用いて作製できる。
本発明によれば、素子の高抵抗化を伴うことなく、簡単な工程によって且つ低コストで光電変換素子を製造することができる。
本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。以下の各図中の部材の寸法は、実際の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
この明細書において、「非晶質相」とは、シリコン(Si)原子等がランダムに配列された状態を言う。また、アモルファスシリコンを「a−Si」と表記するが、この表記は、実際には、水素(H)原子が含まれていることを意味する。
この明細書において、「非晶質シリコン層が酸素を含まない」とは、非晶質シリコン層の酸素濃度が完全に0であるということを意味しない。この明細書における「非晶質シリコン層が酸素を含まない」状態は、非晶質シリコン層の酸素濃度が3×1019cm−3以下である状態を意味する。非晶質シリコン層の成膜において、プラズマCVD法等のチャンバ内に存在する酸素の一部が非晶質シリコン層に取り込まれてしまうので、得られる非晶質シリコン層の酸素濃度を完全に0にするのはほぼ不可能である。
また、この明細書において、「非晶質シリコン層が酸素を含む」とは、単に、酸素濃度が0ではない状態を意味するのではない。この明細書における「非晶質シリコン層が酸素を含む」状態は、非晶質シリコン層の酸素濃度が5×1020cm−3以上である状態を意味する。すなわち、この明細書における「酸素を含んだ非晶質シリコン層」は、プラズマCVD法による非晶質シリコン層の成膜において、反応ガスとして、酸素(O2)や二酸化炭素(CO2)等を導入して非晶質シリコン層の成膜を行い、意図的に酸素濃度を高めた非晶質シリコン層を意味している。
この明細書における「非晶質シリコン層が窒素を含まない」状態は、非晶質シリコン層の窒素濃度が3×1019cm−3以下である状態を意味する。非晶質シリコン層の成膜において、プラズマCVD法等のチャンバ内に存在する窒素の一部が非晶質シリコン層に取り込まれてしまうので、得られる非晶質シリコン層の窒素濃度を完全に0にするのはほぼ不可能である。
また、この明細書において、「非晶質シリコン層が窒素を含む」とは、単に、窒素濃度が0ではない状態を意味するのではない。この明細書における「非晶質シリコン層が窒素を含む」状態は、非晶質シリコン層の窒素濃度が5×1020cm−3以上である状態を意味する。すなわち、この明細書における「窒素を含んだ非晶質シリコン層」は、プラズマCVD法による非晶質シリコン層の成膜において、反応ガスとして、アンモニア(NH3)や一酸化二窒素(N2O)、窒素(N2)等を導入して非晶質シリコン層の成膜を行い、意図的に窒素濃度を高めた非晶質シリコン層を意味している。
この明細書における「酸素濃度」及び「窒素濃度」は、例えば、SIMS(二次イオン質量分析法)によって測定された濃度を表している。
[実施形態1]
図1は、この発明の実施形態1による光電変換素子100の構成を示す平面図である。図2は、図1のII−II線における断面図である。図1及び図2に示す光電変換素子100は、裏面接合型ヘテロ構造シリコン太陽電池である。実施形態1の光電変換素子100は、n型単結晶シリコン基板1と、i型非晶質シリコン層2と、n型非晶質シリコン層3と、反射防止膜4と、i型非晶質シリコン層5と、p型非晶質シリコン層6と、n型非晶質シリコン層7と、電極8と、を備える。
図1は、この発明の実施形態1による光電変換素子100の構成を示す平面図である。図2は、図1のII−II線における断面図である。図1及び図2に示す光電変換素子100は、裏面接合型ヘテロ構造シリコン太陽電池である。実施形態1の光電変換素子100は、n型単結晶シリコン基板1と、i型非晶質シリコン層2と、n型非晶質シリコン層3と、反射防止膜4と、i型非晶質シリコン層5と、p型非晶質シリコン層6と、n型非晶質シリコン層7と、電極8と、を備える。
n型単結晶シリコン基板1は、例えば、(100)の面方位及び0.1〜10Ω・cmの比抵抗を有する。また、n型単結晶シリコン基板1の厚さは、例えば、100〜300μmである。そして、n型単結晶シリコン基板1は、光入射側の表面が微細な凹凸のあるテクスチャ構造を有する。n型単結晶シリコン基板1の表面がテクスチャ化されているので、光の吸収率が高まる。
i型非晶質シリコン層2及びn型非晶質シリコン層3は、パッシベーション膜として設けられる。i型非晶質シリコン層2は、n型単結晶シリコン基板1の光入射側の表面に接して設けられる。i型非晶質シリコン層2は、非晶質相からなり、例えば、i型a−Siで形成されている。i型非晶質シリコン層2の厚さは、例えば、2〜数十nmである。
n型非晶質シリコン層3は、i型非晶質シリコン層2に接して形成される。n型非晶質シリコン層3は、非晶質相からなり、例えば、n型a−Siで形成されている。n型非晶質シリコン層3の厚さは、例えば、5〜数十nmである。n型非晶質シリコン層3のリン(P)濃度は、例えば、1×1020〜1×1022cm−3である。
反射防止膜4は、n型非晶質シリコン層3に接して設けられる。反射防止膜4は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO2)、酸窒化シリコン(SiON)、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、炭化ケイ素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)等で形成されている。反射防止膜4の厚さは、例えば、100〜200nmである。
i型非晶質シリコン層5は、n型単結晶シリコン基板1の光入射側とは反対側の表面に接して設けられている。i型非晶質シリコン層5は、第1i型非晶質シリコン層5aと、第2i型非晶質シリコン層5bとを含む。i型非晶質シリコン層5の厚さは、例えば、2nm〜数十nmである。
第1i型非晶質シリコン層5aは、n型単結晶シリコン基板1に接して設けられる。第1i型非晶質シリコン層5aは、非晶質相からなり、例えば、i型a−Siで形成されている。第1i型非晶質シリコン層5aには、意図的に酸素を含有させていないので、第1i型非晶質シリコン層5aの酸素濃度は、3×1019cm−3以下である。また、第1i型非晶質シリコン層5aには、意図的に窒素を含有させていないので、第1i型非晶質シリコン層5aの窒素濃度は、3×1019cm−3以下である。
第2i型非晶質シリコン層5bは、第1i型非晶質シリコン層5aに接して設けられている。第2i型非晶質シリコン層5bは、非晶質相からなり、例えば、i型a−Siで形成されている。第2i型非晶質シリコン層5bの厚さは、例えば、2nm以上且つ10nm未満であることが好ましい。第2i型非晶質シリコン層5bの厚さは、より好ましくは2〜8nmであり、さらに好ましくは、2〜5nmである。第2i型非晶質シリコン層5bの酸素濃度は、5×1020〜2×1021cm−3である。
p型非晶質シリコン層6及びn型非晶質シリコン層7は、第2i型非晶質シリコン層5bに接して形成される。p型非晶質シリコン層6及びn型非晶質シリコン層7は、図1に示すように、それぞれ、櫛形形状に形成されている。p型非晶質シリコン層6及びn型非晶質シリコン層7の櫛歯の部分は、1本ずつ交互に噛み合うように配置されている。
p型非晶質シリコン層6は、非晶質相からなり、例えば、p型a−Siで形成されている。p型非晶質シリコン層6の厚さは、例えば、10nm〜数十nmである。p型非晶質シリコン層6のボロン(B)濃度は、例えば、1×1020〜1×1022cm−3である。p型非晶質シリコン層6には、意図的に酸素を含有させていないので、p型非晶質シリコン層6の酸素濃度は、3×1019cm−3以下である。また、p型非晶質シリコン層6には、意図的に窒素を含有させていないので、p型非晶質シリコン層6の窒素濃度は、3×1019cm−3以下である。
n型非晶質シリコン層7は、非晶質相からなり、例えば、n型a−Siで形成されている。n型非晶質シリコン層7の厚さは、例えば、10〜数十nmである。n型非晶質シリコン層7のリン(P)濃度は、例えば、1×1020〜1×1022cm−3である。n型非晶質シリコン層7には、意図的に酸素を含有させていないので、n型非晶質シリコン層7の酸素濃度は、3×1019cm−3以下である。また、n型非晶質シリコン層7には、意図的に窒素を含有させていないので、n型非晶質シリコン層7の窒素濃度は、3×1019cm−3以下である。
電極8は、それぞれ、p型非晶質シリコン層6又はn型非晶質シリコン層7に接して設けられる。電極8は、例えば、透明導電膜8aと金属膜8bとが積層された構成からなる。透明導電膜8aとしては、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO、SnO2等が挙げられる。また、金属膜8bとしては、例えば、銀(Ag)が挙げられる。電極8の厚さは、例えば、70〜100nmである。
光電変換素子100において、太陽光が反射防止膜4側から光電変換素子100に照射されると、n型単結晶シリコン基板1中で電子および正孔が光励起される。光励起された正孔及び電子は、それぞれ、p型非晶質シリコン層6及びn型非晶質シリコン層7に拡散し、これにより、起電力が生じる。
(製造方法)
図3A〜図3Lは、それぞれ、図1に示す光電変換素子100の製造方法を示す工程図である。
図3A〜図3Lは、それぞれ、図1に示す光電変換素子100の製造方法を示す工程図である。
まず、図3Aに示すように、n型単結晶シリコン基板1を準備する。n型単結晶シリコン基板1の光入射側の面の全体にアルカリを用いた異方性エッチングを実施することにより、n型単結晶シリコン基板1の光入射側の面の全体にテクスチャ構造1aが形成される。
次に、図3Bに示すように、n型単結晶シリコン基板1の光入射側の面にi型非晶質シリコン層2を、プラズマCVD法を用いて形成する。このときの成膜条件は、例えば、RF出力が15mW/cm2程度、基板温度が100〜300℃、ガス圧が400〜600Paの雰囲気で、反応ガスとしてのシラン(SiH4)の流量が5〜50sccm、水素(H2)の流量が500〜1000sccmである。
そして、同じく図3Bに示すように、i型非晶質シリコン層2上に、n型非晶質シリコン層3を、プラズマCVD法を用いて形成する。このときの成膜条件は、例えば、RF出力が15mW/cm2程度、基板温度が100〜300℃、ガス圧が400〜600Paの雰囲気で、反応ガスとしてのシランの流量が5〜50sccm、ホスフィン(PH3)の流量が10〜50sccm、及び水素の流量が500〜1000sccmである。
次に、図3Cに示すように、n型単結晶シリコン基板1の裏面に、第1i型非晶質シリコン層5a及び第2i型非晶質シリコン層5bを順次形成する。
まず、前工程において混入した不純物を除去するため、RCA洗浄を行う。なお、RCA洗浄は、次の第1i型非晶質シリコン層5aの成膜の直前に行う。
次に、プラズマCVD法を用いて、第1i型非晶質シリコン層5aを成膜する。このときの成膜条件は、例えば、RF出力が35mW/cm2程度、基板温度が210℃程度、ガス圧が400〜600Pa、反応ガスとしてのシランの流量が20〜100sccm、水素の流量が200〜1000sccmである。このとき、反応ガスとして酸素や二酸化炭素等を用いないので、第1i型非晶質シリコン層5aの酸素濃度は3×1019cm−3以下となる。また、このとき、反応ガスとしてアンモニア、一酸化二窒素、窒素等を用いないので、第1i型非晶質シリコン層5aの窒素濃度は3×1019cm−3以下となる。
続いて、同じく図3Cに示すように、プラズマCVD法を用いて、第2i型非晶質シリコン層5bを成膜する。このときの成膜条件は、例えば、RF出力が35mW/cm2程度、基板温度が210℃程度、ガス圧が400〜600Paの雰囲気で、反応ガスとしてのシランの流量が20〜100sccm、水素の流量が200〜1000sccm、及び二酸化炭素の流量が10〜50sccmである。また、ここでは、好ましくは、第2i型非晶質シリコン層5bの厚さが2nm以上且つ10nm未満となるように成膜を行う。成膜する第2i型非晶質シリコン層5bの厚さは、より好ましくは2〜8nmであり、さらに好ましくは、2〜5nmである。
次に、図3Dに示すように、プラズマCVD法を用いて、p型非晶質シリコン層6となるp型非晶質シリコン層6pを成膜する。このときの成膜条件は、例えば、RF出力が15mW/cm2程度、基板温度が100〜300℃、ガス圧が400〜600Paの雰囲気で、反応ガスとしてのシランの流量が5〜50sccm、1%に水素希釈したジボラン(B2H6)の流量が10〜50sccm、及び水素の流量が500〜1000sccmである。このとき、反応ガスとして酸素や二酸化炭素等を用いないので、p型非晶質シリコン層6pの酸素濃度は3×1019cm−3以下となる。また、このとき、反応ガスとしてアンモニア、一酸化二窒素、窒素等を用いないので、p型非晶質シリコン層6pの窒素濃度は3×1019cm−3以下となる。
続いて、図3Eに示すように、p型非晶質シリコン層6pに第1エッチングペースト21をスクリーン印刷法により塗布する。第1エッチングペースト21を塗布する領域は、後工程においてn型非晶質シリコン層7を形成する櫛形パターンの領域に相当する。
ここで、第1エッチングペースト21としては、シリコン用のエッチングペーストを用いる。第1エッチングペースト21は、高濃度に酸素又は窒素を含有するシリコン層(すなわち、酸化シリコン層又は窒化シリコン層)に対してはほとんど反応性を示さない。すなわち、第1エッチングペースト21によれば、酸素及び窒素のいずれも含まない半導体層のみがエッチングされ、酸素又は窒素を含んだ半導体層はエッチングされない。使用可能な第1エッチングペースト21の一例としてメルク株式会社製の商品名「Isishape SolarEtch SiD」(登録商標)等が挙げられる。
第1エッチングペースト21を塗布した後、第1エッチングペースト21を加熱し、p型非晶質シリコン層6pのうち第1エッチングペースト21と接触している部分をエッチングする(第1エッチング工程)。これにより、図3Fに示すように、櫛形のパターンのp型非晶質シリコン層6が得られる。なお、第1エッチングペースト21は、酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3の第2i型非晶質シリコン層5bに対してほとんど反応性を示さないので、第2i型非晶質シリコン層5bをエッチングストッパとして、p型非晶質シリコン層6pのみをエッチングすることができる。エッチング後、基板を純粋でリンスすることにより、第1エッチングペースト21を除去する。
次に、必要に応じて、基板をRCA洗浄する。そして、図3Gに示すように、プラズマCVD法を用いて、n型非晶質シリコン層7となるn型非晶質シリコン層7pを成膜する。このときの成膜条件は、例えば、RF出力が15mW/cm2程度、基板温度が210℃程度、ガス圧が400〜600Paの雰囲気で、反応ガスとしてのシランの流量が10〜50sccm、1%に水素希釈したホスフィンの流量が10〜50sccm、及び水素の流量が50〜200sccmである。このとき、反応ガスとして酸素や二酸化炭素等を用いないので、n型非晶質シリコン層7pの酸素濃度は3×1019cm−3以下となる。また、このとき、反応ガスとしてアンモニア、一酸化二窒素、窒素等を用いないので、n型非晶質シリコン層7pの窒素濃度は3×1019cm−3以下となる。
続いて、図3Hに示すように、n型非晶質シリコン層7pに第2エッチングペースト22をスクリーン印刷法により塗布する。第2エッチングペースト22を塗布する領域は、p型非晶質シリコン層6が形成された櫛形パターンの領域に相当する。
ここで、第2エッチングペースト22としては、シリコン用のエッチングペーストを用いる。また、第2エッチングペースト22としては、アルカリ性のものを使用する。第2エッチングペースト22は、n型のシリコン層及び真性半導体とは反応性を示すが、p型のシリコン層とはほとんど反応性を示さない。すなわち、第2エッチングペースト22によれば、n型の半導体層のみがエッチングされ、p型の半導体層はエッチングされない。使用可能な第2エッチングペースト22の一例として、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、エチレングリコール、水酸化カリウム及び水を混合したものを攪拌してペースト状にしたものが挙げられる。また、使用可能な第2エッチングペースト22の他の例として、例えば、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、エチレングリコール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水を混合した混合液を攪拌し、ペースト状にしたものが挙げられる。
カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、エチレングリコール、水酸化カリウム及び水の混合ペーストを第2エッチングペースト22として用いる場合、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、エチレングリコール、水酸化カリウム及び水の混合比(重量比)は、例えば1:2:7:20〜1:2:10:20とすることができる。また、この場合、第2エッチングペースト22のpHは、例えば、10〜11である。
第2エッチングペースト22を塗布した後、第2エッチングペースト22を加熱し、n型非晶質シリコン層7pのうち第2エッチングペースト22と接触している部分をエッチングする(第2エッチング工程)。これにより、図3Iに示すように、櫛形のパターンのn型非晶質シリコン層7が得られる。
なお、第2エッチングペースト22はp型非晶質シリコン層6に対する反応性が低いので、p型非晶質シリコン層6をエッチングストッパとして、n型非晶質シリコン層7pのみをエッチングすることができる。エッチング後、基板を純粋でリンスすることにより、第2エッチングペースト22を除去する。
次に、基板をRCA洗浄する。そして、図3Jに示すように、n型単結晶シリコン基板1の受光面において、n型非晶質シリコン層3に接して反射防止膜4を成膜する。本実施形態では、反射防止膜4として、プラズマCVD法を用いて窒化シリコン膜を成膜する。このときの成膜条件は、例えば、RF出力が50mW/cm2程度、基板温度が180℃程度、ガス圧が80〜100Paの雰囲気、反応ガスとしてのアンモニアの流量が80sccm程度、及びシランの流量が10sccm程度である。
続いて、図3Kに示すように、n型非晶質シリコン層7及びp型非晶質シリコン層6上にITOなどの透明導電膜8apを成膜し、さらに、マスクを用いて、Agなどの金属膜8bを、p型非晶質シリコン層6及びn型非晶質シリコン層7のそれぞれに対応するように島状に蒸着する。そして、図3Lに示すように、透明導電膜8apをフォトリソグラフィ及びエッチングによってパターンニングし、透明導電膜8a及び金属膜8bからなる電極8を形成する。
これにより、実施形態1の光電変換素子100が得られる。
(効果)
実施形態1によれば、上述したように、p型非晶質シリコン層6pが接している第2i型非晶質シリコン層5bの酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3であるので、第1エッチング工程において、第2i型非晶質シリコン層5bがエッチングストッパとして機能する。そのため、第2i型非晶質シリコン層5bを残した状態でp型非晶質シリコン層6pのみをエッチングすることができる。
実施形態1によれば、上述したように、p型非晶質シリコン層6pが接している第2i型非晶質シリコン層5bの酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3であるので、第1エッチング工程において、第2i型非晶質シリコン層5bがエッチングストッパとして機能する。そのため、第2i型非晶質シリコン層5bを残した状態でp型非晶質シリコン層6pのみをエッチングすることができる。
また、実施形態1によれば、第2エッチング工程において、第2エッチングペーストとしてアルカリ性のエッチングペースト22を用いるので、p型非晶質シリコン層6をエッチングストッパとして一部のn型非晶質シリコン層7pのみをエッチングすることができる。アルカリ性のエッチングペーストは、p型半導体膜をエッチングせず、n型の半導体膜のみをエッチングする性質を有するからである。従って、p型非晶質シリコン層6及びn型非晶質シリコン層7pの酸素濃度及び窒素濃度のいずれを高めることもなく、p型非晶質シリコン層6をエッチングストッパとして機能させることができる。つまり、p型非晶質シリコン層6及びn型非晶質シリコン層7のいずれも、酸素濃度を3×1019cm−3以下、且つ、窒素濃度を3×1019cm−3以下にすることができ、光電変換素子100の高抵抗化が抑制される。
さらに、上記の製造方法によれば、p型非晶質シリコン層6及びn型非晶質シリコン層7を形成する際に、それぞれ、フォトリソグラフィ技術ではなく第1エッチングペースト21及び第2エッチングペースト22を用いてパターンニングを行う。つまり、エッチングペースト塗布工程、及びリンス工程のみを経てパターンニングすることができるので、フォトリソグラフィによるパターンニングのように複雑な工程を経ることなく、p型非晶質シリコン層6及びn型非晶質シリコン層7を形成することができる。加えて、第1エッチング工程及び第2エッチング工程で必要となるエッチングペーストは、フォトリソグラフィで必要となるレジストや有機溶媒と比較して安価であるので、製造コストを抑制することができる。
実施形態1によれば、i型非晶質シリコン層5が第1i型非晶質シリコン層5a及び第2i型非晶質シリコン層5bの2層で形成されている。第2i型非晶質シリコン層5bの酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3であるので、第1エッチング工程においてエッチングストッパとしての機能を有する一方で、第1i型非晶質シリコン層5aの酸素濃度が3×1019cm−3以下であり、且つ、窒素濃度が3×1019cm−3以下であるので、n型単結晶シリコン基板1に対して高いパッシベーション性が得られる。
(変形例1)
実施形態1では、i型非晶質シリコン層5が第1i型非晶質シリコン層5a及び第2i型非晶質シリコン層5bの2層で構成されていると説明したが、特にこれに限定されない。例えば、図4に示す光電変換素子100Aのように、i型非晶質シリコン層5に変えて、1層からなるi型非晶質シリコン層5Aを備えていてもよい。この場合、i型非晶質シリコン層5Aは、酸素を5×1020〜2×1021cm−3程度含有している。i型非晶質シリコン層5Aの酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3なので、第1エッチング工程においてp型非晶質シリコン層6pのエッチングを行うとき、十分にエッチングストッパとして機能することができる。
実施形態1では、i型非晶質シリコン層5が第1i型非晶質シリコン層5a及び第2i型非晶質シリコン層5bの2層で構成されていると説明したが、特にこれに限定されない。例えば、図4に示す光電変換素子100Aのように、i型非晶質シリコン層5に変えて、1層からなるi型非晶質シリコン層5Aを備えていてもよい。この場合、i型非晶質シリコン層5Aは、酸素を5×1020〜2×1021cm−3程度含有している。i型非晶質シリコン層5Aの酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3なので、第1エッチング工程においてp型非晶質シリコン層6pのエッチングを行うとき、十分にエッチングストッパとして機能することができる。
(変形例2)
変形例1では、光電変換素子100Aが、酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3のi型非晶質シリコン層5Aを有すると説明したが、i型非晶質シリコン層5Aは、少なくとも、p型非晶質シリコン層6及びn型非晶質シリコン層7が形成される側の酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3であればよい。例えば、i型非晶質シリコン層5Aのn型単結晶シリコン基板1側の酸素濃度が低く、受光側と反対側に行くに従って徐々に酸素濃度が大きくなった構成であってもよい。
変形例1では、光電変換素子100Aが、酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3のi型非晶質シリコン層5Aを有すると説明したが、i型非晶質シリコン層5Aは、少なくとも、p型非晶質シリコン層6及びn型非晶質シリコン層7が形成される側の酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3であればよい。例えば、i型非晶質シリコン層5Aのn型単結晶シリコン基板1側の酸素濃度が低く、受光側と反対側に行くに従って徐々に酸素濃度が大きくなった構成であってもよい。
(その他の変形例)
実施形態1では、n型単結晶シリコン基板1の光入射側のi型非晶質シリコン層2の上にn型非晶質シリコン層3を設けると説明したが、n型非晶質シリコン層3の代わりにp型非晶質シリコン層を設けてもよい。また、n型単結晶シリコン基板1と反射防止膜4の間に、n型非晶質シリコン層3、又はp型非晶質シリコン層を単層で設けてもよい。ただし、ライフタイムの低減を抑制する観点から、パッシベーション膜としてi型非晶質シリコン層2を含んでいることが好ましい。
実施形態1では、n型単結晶シリコン基板1の光入射側のi型非晶質シリコン層2の上にn型非晶質シリコン層3を設けると説明したが、n型非晶質シリコン層3の代わりにp型非晶質シリコン層を設けてもよい。また、n型単結晶シリコン基板1と反射防止膜4の間に、n型非晶質シリコン層3、又はp型非晶質シリコン層を単層で設けてもよい。ただし、ライフタイムの低減を抑制する観点から、パッシベーション膜としてi型非晶質シリコン層2を含んでいることが好ましい。
また、実施形態1では、n型単結晶シリコン基板1のうち光入射側の表面にテクスチャ構造1aが設けられていると説明したが、光入射側の面の反対側にもテクスチャ構造が設けられていてもよい。また、半導体基板として用いる基板としては、n型単結晶シリコン基板1に限定されず、p型単結晶シリコン基板を用いてもよい。さらに、半導体基板として用いる基板としては、単結晶シリコン基板に限定されず、n型またはp型の多結晶シリコン基板を用いてもよい。半導体基板として多結晶シリコン基板を用いる場合、光入射側の表面のテクスチャ構造は、ドライエッチングにより形成することができる。
実施形態1では、プラズマCVD法を用いて非晶質シリコン層を形成するとして説明したが、これに限定されない。例えば、Cat−CVD法(触媒CVD法)等を用いて非晶質シリコン層を形成してもよい。Cat−CVD法で非晶質シリコン層を形成する場合は、熱触媒体の種類及び成膜温度を調整することにより、高品質のシリコン層を成膜することができる。具体的には、例えば、基板温度が100〜300℃(例えば200℃程度)、ガス圧が10〜500Pa、熱触媒体としてタングステン等を使用する場合の熱触媒体の温度が1500〜2000℃、及び電力密度が0.01〜1Wcm−2の条件下で非晶質シリコン層を形成することができる。また、例えば、Cat−PECVD法(触媒プラズマCDV法)等を用いて非晶質シリコン層を形成してもよい。Cat−プラズマCVD法で非晶質シリコン層を形成する場合は、電力密度、熱触媒体の種類及び成膜温度を調整することにより、高品質のシリコン層を成膜することができる。
[実施形態2]
次に、本発明の実施形態2の光電変換素子100Bについて、図5を参照して説明する。光電変換素子100Bは、i型非晶質シリコン層5をi型非晶質シリコン層5Bに変えた点を除いて、実施形態1の光電変換素子100と同一の構成を有する。
次に、本発明の実施形態2の光電変換素子100Bについて、図5を参照して説明する。光電変換素子100Bは、i型非晶質シリコン層5をi型非晶質シリコン層5Bに変えた点を除いて、実施形態1の光電変換素子100と同一の構成を有する。
i型非晶質シリコン層5Bは、第1i型非晶質シリコン層5Ba及び第2i型非晶質シリコン層5Bbを含む。第1i型非晶質シリコン層5Baはn型単結晶シリコン基板1に接して設けられている。また、第2i型非晶質シリコン層5Bbは、第1i型非晶質シリコン層5Baに接して設けられている。
第1i型非晶質シリコン層5Baは、実施形態1の第1i型非晶質シリコン層5aと同一の構成を有する。
第2i型非晶質シリコン層5Bbは、非晶質相からなり、例えば、i型a−Siで形成されている。第2i型非晶質シリコン層5Bbの厚さは、例えば、2nm以上且つ10nm未満であることが好ましい。第2i型非晶質シリコン層5Bbの厚さは、より好ましくは2〜8nmであり、さらに好ましくは、2〜5nmである。第2i型非晶質シリコン層5Bbの窒素濃度は、5×1020〜2×1021cm−3である。
光電変換素子100Bの製造方法は、第2i型非晶質シリコン層5Bbの成膜方法を除いて、実施形態1の光電変換素子100と同一である。
第2i型非晶質シリコン層5Bbの成膜では、プラズマCVD法を用いる。このときの成膜条件は、例えば、RF出力が35mW/cm2程度、基板温度が210℃程度、ガス圧が400〜600Paの雰囲気で、反応ガスとしてのシランの流量が20〜100sccm、水素の流量が200〜1000sccm、窒素の流量が200〜1000sccm、及びアンモニアの流量が10〜50sccmである。また、ここでは、好ましくは、第2i型非晶質シリコン層5Bbの厚さが2nm以上且つ10nm未満となるように成膜を行う。成膜する第2i型非晶質シリコン層5Bbの厚さは、より好ましくは2〜8nmであり、さらに好ましくは、2〜5nmである。
実施形態2によれば、第2i型非晶質シリコン層5Bbの窒素濃度が5×1020〜2×1021cm−3であるので、第1エッチング工程において第2i型非晶質シリコン層5Bbをエッチングストッパとして機能させることができる。
上記説明した実施形態2の光電変換素子100Bに対しても、実施形態1の変形例として説明したのと同様の変形を加えることが可能である。
[実施形態3]
実施形態3は、実施形態1、実施形態2及びそれらの変形例の光電変換素子のうち少なくとも1つを備える光電変換モジュールである。
実施形態3は、実施形態1、実施形態2及びそれらの変形例の光電変換素子のうち少なくとも1つを備える光電変換モジュールである。
<光電変換モジュール>
図6は、本実施形態にかかる光電変換モジュール1000の構成を示す概略図である。図6を参照して、光電変換モジュール1000は、複数の光電変換素子1001と、カバー1002と、出力端子1013,1014とを備える。
図6は、本実施形態にかかる光電変換モジュール1000の構成を示す概略図である。図6を参照して、光電変換モジュール1000は、複数の光電変換素子1001と、カバー1002と、出力端子1013,1014とを備える。
複数の光電変換素子1001はアレイ状に配列され、直列に接続されている。図6には光電変換素子1001を直列に接続する配列を図示しているが、配列および接続方式はこれに限定されず、並列に接続して配列してもよいし、直列と並列とを組み合わせた配列としてもよい。複数の光電変換素子1001の各々には、実施形態1、実施形態2及びそれらの変形例の光電変換素子のいずれか1つが用いられる。なお、光電変換モジュール1000は、複数の光電変換素子1001のうち少なくとも1つが実施形態1、実施形態2及びそれらの変形例の光電変換素子のいずれかからなる限り、上記の説明に限定されず如何なる構成もとり得るものとする。また、光電変換モジュール1000に含まれる光電変換素子1001の数は2以上の任意の整数とすることができる。
カバー1002は耐候性の材料で構成されており、複数の光電変換素子1001を覆う。
出力端子1013は、直列に接続された複数の光電変換素子1001のうち、一方端に配置される光電変換素子1001に接続される。
出力端子1014は、直列に接続された複数の光電変換素子1001のうち、他方端に配置される光電変換素子1001に接続される。
実施形態1、実施形態2及びそれらの変形例に係る光電変換素子が高抵抗化を伴うことなく簡単な工程によって低コストで製造可能であるので、複数の光電変換素子1001としてそれらの光電変換素子を用いた実施形態3の光電変換モジュールも、高抵抗化を伴うことなく簡単な工程によって低コストで製造することができる。
[実施形態4]
実施形態4は、実施形態1、実施形態2及びそれらの変形例の光電変換素子のうち少なくとも1つを備える太陽光発電システムである。なお、太陽光発電システムとは、光電変換モジュールが出力する電力を適宜変換して、系統連系または電気機器等に供給する装置である。
実施形態4は、実施形態1、実施形態2及びそれらの変形例の光電変換素子のうち少なくとも1つを備える太陽光発電システムである。なお、太陽光発電システムとは、光電変換モジュールが出力する電力を適宜変換して、系統連系または電気機器等に供給する装置である。
<太陽光発電システム>
図7は、本実施形態にかかる太陽光発電システム2000の構成を示す概略図である。図7を参照して、太陽光発電システム2000は、光電変換モジュールアレイ2001と、接続箱2002と、パワーコンディショナ2003と、分電盤2004と、電力メータ2005とを備える。後述するように光電変換モジュールアレイ2001は複数の光電変換モジュール1000(実施形態3)から構成される。
図7は、本実施形態にかかる太陽光発電システム2000の構成を示す概略図である。図7を参照して、太陽光発電システム2000は、光電変換モジュールアレイ2001と、接続箱2002と、パワーコンディショナ2003と、分電盤2004と、電力メータ2005とを備える。後述するように光電変換モジュールアレイ2001は複数の光電変換モジュール1000(実施形態3)から構成される。
太陽光発電システム2000には、一般に「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS:Home Energy Management System)」と呼ばれる機能を付加することができる。これにより、部屋ごとの電力使用状況を監視しつつ個別の家単位で節電に貢献することもできる。
接続箱2002は、光電変換モジュールアレイ2001に接続される。パワーコンディショナ2003は、接続箱2002に接続される。分電盤2004は、パワーコンディショナ2003および電気機器類2011に接続される。電力メータ2005は、分電盤2004および系統連系に接続される。
(動作)
太陽光発電システム2000の動作を説明する。
太陽光発電システム2000の動作を説明する。
光電変換モジュールアレイ2001は、太陽光を電気に変換して直流電力を発電し、直流電力を接続箱2002へ供給する。
接続箱2002は、光電変換モジュールアレイ2001が発電した直流電力を受け、直流電力をパワーコンディショナ2003へ供給する。
パワーコンディショナ2003は、接続箱2002から受けた直流電力を交流電力に変換して、分電盤2004へ供給する。なお、接続箱2002から受けた直流電力の一部または全部を交流電力に変換せず、直流電力のままで分電盤2004へ供給してもよい。
分電盤2004は、パワーコンディショナ2003から受けた電力および電力メータ2005を介して受けた商用電力の少なくともいずれかを、電気機器類2011へ供給する。また、分電盤2004は、パワーコンディショナ2003から受けた交流電力が電気機器類2011の消費電力よりも多いとき、パワーコンディショナ2003から受けた交流電力を電気機器類2011へ供給する。そして、余った交流電力を、電力メータ2005を介して系統連系へ供給する。
また、分電盤2004は、パワーコンディショナ2003から受けた交流電力が電気機器類2011の消費電力よりも少ないとき、系統連系から受けた交流電力およびパワーコンディショナ2003から受けた交流電力を電気機器類2011へ供給する。
電力メータ2005は、系統連系から分電盤2004へ向かう方向の電力を計測するとともに、分電盤2004から系統連系へ向かう方向の電力を計測する。
(光電変換モジュールアレイ)
光電変換モジュールアレイ2001について説明する。
光電変換モジュールアレイ2001について説明する。
図8は、図7に示す光電変換モジュールアレイ2001の構成の一例を示す概略図である。図8を参照して、光電変換モジュールアレイ2001は、複数の光電変換モジュール1000と出力端子2013,2014とを含む。
複数の光電変換モジュール1000は、アレイ状に配列され直列に接続されている。図8には、光電変換モジュール1000を直列に接続する配列を図示しているが、配列および接続方式はこれに限定されず、並列に接続して配列してもよいし、直列と並列とを組み合わせた配列としてもよい。なお、光電変換モジュールアレイ2001に含まれる光電変換モジュール1000の数は、2以上の任意の整数とすることができる。
出力端子2013は、直列に接続された複数の光電変換モジュール1000のうち、一方端に位置する光電変換モジュール1000に接続される。
出力端子2014は、直列に接続された複数の光電変換モジュール1000のうち、他方端に位置する光電変換モジュール1000に接続される。
実施形態1、実施形態2及びそれらの変形例に係る光電変換素子が高抵抗化を伴うことなく簡単な工程によって低コストで製造可能であるので、複数の光電変換素子1001としてそれらの光電変換素子を用いた実施形態4の太陽光発電システム2000も、高抵抗化を伴うことなく簡単な工程によって低コストで製造することができる。
なお、以上の説明はあくまでも一例であり、本実施形態の太陽光発電システムは、複数の光電変換素子1001のうち、少なくとも1つが実施形態1、実施形態2及びそれらの変形例の光電変換素子のいずれかからなる限り、上記の説明に限定されず如何なる構成もとり得るものとする。
[実施形態5]
実施形態5は、実施形態4として説明した太陽光発電システムよりも大規模な太陽光発電システムである。実施形態5にかかる太陽光発電システムも、実施形態1、実施形態2及びそれらの変形例の光電変換素子のうち少なくとも1つを備える。
実施形態5は、実施形態4として説明した太陽光発電システムよりも大規模な太陽光発電システムである。実施形態5にかかる太陽光発電システムも、実施形態1、実施形態2及びそれらの変形例の光電変換素子のうち少なくとも1つを備える。
<大規模太陽光発電システム>
図9は、実施形態5にかかる太陽光発電システム4000の構成を示す概略図である。図9を参照して、太陽光発電システム4000は、複数のサブシステム4001と、複数のパワーコンディショナ4003と、変圧器4004とを備える。太陽光発電システム4000は、図7に示す太陽光発電システム2000よりも大規模な太陽光発電システムである。
図9は、実施形態5にかかる太陽光発電システム4000の構成を示す概略図である。図9を参照して、太陽光発電システム4000は、複数のサブシステム4001と、複数のパワーコンディショナ4003と、変圧器4004とを備える。太陽光発電システム4000は、図7に示す太陽光発電システム2000よりも大規模な太陽光発電システムである。
複数のパワーコンディショナ4003は、それぞれサブシステム4001に接続される。太陽光発電システム4000において、パワーコンディショナ4003およびそれに接続されるサブシステム4001の数は、2以上の任意の整数とすることができる。
変圧器4004は、複数のパワーコンディショナ4003および系統連系に接続される。
複数のサブシステム4001の各々は、複数のモジュールシステム3000から構成される。サブシステム4001内のモジュールシステム3000の数は、2以上の任意の整数とすることができる。
複数のモジュールシステム3000の各々は、複数の光電変換モジュールアレイ2001と、複数の接続箱3002と、集電箱3004とを含む。モジュールシステム3000内の接続箱3002およびそれに接続される光電変換モジュールアレイ2001の数は、2以上の任意の整数とすることができる。
集電箱3004は、複数の接続箱3002に接続される。また、パワーコンディショナ4003は、サブシステム4001内の複数の集電箱3004に接続される。
(動作)
太陽光発電システム4000の動作を説明する。
太陽光発電システム4000の動作を説明する。
モジュールシステム3000の複数の光電変換モジュールアレイ2001は、太陽光を電気に変換して直流電力を発電し、接続箱3002を介して直流電力を集電箱3004へ供給する。サブシステム4001内の複数の集電箱3004は、直流電力をパワーコンディショナ4003へ供給する。さらに、複数のパワーコンディショナ4003は、直流電力を交流電力に変換して、交流電力を変圧器4004へ供給する。
変圧器4004は、複数のパワーコンディショナ4003から受けた交流電力の電圧レベルを変換して、系統連系へ供給する。
実施形態1、実施形態2及びそれらの変形例に係る光電変換素子が高抵抗化を伴うことなく簡単な工程によって低コストで製造可能であるので、複数の光電変換素子1001としてそれらの光電変換素子を用いた実施形態5の大規模な太陽光発電システム4000も、高抵抗化を伴うことなく簡単な工程によって低コストで製造することができる。
なお、太陽光発電システム4000は実施形態1、実施形態2及びそれらの変形例の光電変換素子のうち少なくとも1つを備えるものであればよく、太陽光発電システム4000に含まれるすべての光電変換素子が実施形態1、実施形態2及びそれらの変形例の光電変換素子である必要はない。例えば、あるサブシステム4001に含まれる光電変換素子のすべてが実施形態1、実施形態2及びそれらの変形例の光電変換素子のいずれかであり、別のサブシステム4001に含まれる光電変換素子の一部または全部が、実施形態1、実施形態2及びそれらの変形例の光電変換素子でない場合等もあり得るものとする。
以上、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
以下、光電変換素子を実際に作製した例について説明する。以下説明する実施例1〜9、及び比較例1〜5に係る光電変換素子を作製した。
[試験1]
(実施例1〜4)
実施例1〜4の光電変換素子は、上記説明した実施形態1の製造工程に従って作製した。実施例1〜4の作製において、酸素を含有する第2i型非晶質シリコン層5bの成膜条件は、実施例1〜4のそれぞれのSIMSによる測定において酸素濃度が5×1020cm−3、8×1020cm−3、1×1021cm−3、及び2×1021cm−3となるように、シランの流量及び二酸化炭素の流量を調整した。第1i型非晶質シリコン層5aの膜厚を4nmとした。また、第2i型非晶質シリコン層5bの膜厚を3nmとした。
(実施例1〜4)
実施例1〜4の光電変換素子は、上記説明した実施形態1の製造工程に従って作製した。実施例1〜4の作製において、酸素を含有する第2i型非晶質シリコン層5bの成膜条件は、実施例1〜4のそれぞれのSIMSによる測定において酸素濃度が5×1020cm−3、8×1020cm−3、1×1021cm−3、及び2×1021cm−3となるように、シランの流量及び二酸化炭素の流量を調整した。第1i型非晶質シリコン層5aの膜厚を4nmとした。また、第2i型非晶質シリコン層5bの膜厚を3nmとした。
(比較例1〜3)
第2i型非晶質シリコン層5bの酸素濃度が、それぞれ2×1020cm−3、4×1020cm−3、及び4×1021cm−3となるように調整したことを除いて、実施例1〜4と同一の作製条件で作製した光電変換素子を、比較例1〜3とした。
第2i型非晶質シリコン層5bの酸素濃度が、それぞれ2×1020cm−3、4×1020cm−3、及び4×1021cm−3となるように調整したことを除いて、実施例1〜4と同一の作製条件で作製した光電変換素子を、比較例1〜3とした。
[試験2]
(実施例5〜9)
実施例5〜9の光電変換素子は、上記説明した実施形態1の製造工程に従って作製した。実施例5〜9の作製において、酸素を含有する第2i型非晶質シリコン層5bの成膜条件は、シランの流量が40sccm、及び二酸化炭素の流量が27sccmであった。また、SIMSによる測定の結果、第2i型非晶質シリコン層5bの酸素濃度は、2×1021cm−3であった。第1i型非晶質シリコン層5aの膜厚を4nmとした。また、第2i型非晶質シリコン層5bの膜厚を、実施例5〜9でそれぞれ2nm、3nm、4nm、5nm及び9nmと変化させた。
(実施例5〜9)
実施例5〜9の光電変換素子は、上記説明した実施形態1の製造工程に従って作製した。実施例5〜9の作製において、酸素を含有する第2i型非晶質シリコン層5bの成膜条件は、シランの流量が40sccm、及び二酸化炭素の流量が27sccmであった。また、SIMSによる測定の結果、第2i型非晶質シリコン層5bの酸素濃度は、2×1021cm−3であった。第1i型非晶質シリコン層5aの膜厚を4nmとした。また、第2i型非晶質シリコン層5bの膜厚を、実施例5〜9でそれぞれ2nm、3nm、4nm、5nm及び9nmと変化させた。
(比較例4、5)
第2i型非晶質シリコン層5bの厚さをそれぞれ1nm及び10nmと変更した点を除いて上記の実施例5〜9と同一の作製条件で作製した光電変換素子を、比較例4及び5とした。
第2i型非晶質シリコン層5bの厚さをそれぞれ1nm及び10nmと変更した点を除いて上記の実施例5〜9と同一の作製条件で作製した光電変換素子を、比較例4及び5とした。
(実施例10)
実施例10の光電変換素子は、上記説明した実施形態1の変形例に係る製造工程に従って作製した。つまり、i型非晶質シリコン層5Aを、酸素を含有する1層のi型非晶質シリコン層で構成した。i型非晶質シリコン層5Aの厚さが5nm、SIMS測定による酸素濃度が1×1021cm−3となるように、成膜時のシランの流量及び二酸化炭素の流量を調整した。
実施例10の光電変換素子は、上記説明した実施形態1の変形例に係る製造工程に従って作製した。つまり、i型非晶質シリコン層5Aを、酸素を含有する1層のi型非晶質シリコン層で構成した。i型非晶質シリコン層5Aの厚さが5nm、SIMS測定による酸素濃度が1×1021cm−3となるように、成膜時のシランの流量及び二酸化炭素の流量を調整した。
[試験1の結果]
試験1の結果を表1に示す。なお、表中の「A」は、良好な光電変換素子が得られたことを示す。表中の「B1」は、第2i型非晶質シリコン層5bが十分にエッチングストッパとして機能しなかったことを示す。表中の「B2」は、高抵抗の光電変換素子が得られたことを示す。
試験1の結果を表1に示す。なお、表中の「A」は、良好な光電変換素子が得られたことを示す。表中の「B1」は、第2i型非晶質シリコン層5bが十分にエッチングストッパとして機能しなかったことを示す。表中の「B2」は、高抵抗の光電変換素子が得られたことを示す。
試験1によれば、実施例1〜4では、第1エッチング工程において、第2i型非晶質シリコン層5bが十分にエッチングストッパとして機能した。また、得られた光電変換素子も、高抵抗化されておらず、良好なものであった。
一方、比較例1及び2では、第2i型非晶質シリコン層5bの酸素濃度が低く、第1エッチングペーストにより第2i型非晶質シリコン層5bがエッチングされてしまった。つまり、比較例1及び2では、第2i型非晶質シリコン層5bが十分にエッチングストッパとして機能しなかった。
比較例3では、第1エッチング工程において、第2i型非晶質シリコン層5bが十分にエッチングストッパとして機能した。しかしながら、第2i型非晶質シリコン層5bの酸素濃度が大きすぎることにより、光電変換素子全体として高抵抗化した。
以上のことをふまえると、第2i型非晶質シリコン層5bの酸素濃度の範囲としては、5×1020〜2×1021cm−3が好ましいことが分かる。
[試験2の結果]
試験2の結果を表2に示す。なお、表中の「A」、「B1」及び「B2」は、表1における「A」、「B1」及び「B2」の示す内容と同じである。
試験2の結果を表2に示す。なお、表中の「A」、「B1」及び「B2」は、表1における「A」、「B1」及び「B2」の示す内容と同じである。
試験2によれば、実施例5〜9では、第1エッチング工程において、第2i型非晶質シリコン層5bが十分にエッチングストッパとして機能した。また、得られた光電変換素子も、高抵抗化されておらず、良好なものであった。
一方、比較例4では、第2i型非晶質シリコン層5bの膜厚が小さく、第1エッチングペーストにより第2i型非晶質シリコン層5bがエッチングされてしまった。つまり、比較例4では、第2i型非晶質シリコン層5bが十分にエッチングストッパとして機能しなかった。
比較例5では、第1エッチング工程において、第2i型非晶質シリコン層5bが十分にエッチングストッパとして機能した。しかしながら、第2i型非晶質シリコン層5bの膜厚が大きすぎることにより、光電変換素子全体として高抵抗化した。
以上のことをふまえると、第2i型非晶質シリコン層5bの膜厚の範囲としては、2nm以上であって10nm未満が好ましいことが分かる。ただし、試験2から得られた好ましい膜厚の範囲は、第2i型非晶質シリコン層5bの酸素濃度が2×1021cm−3の条件における数値範囲であり、酸素濃度やその他の条件が変わることにより変動する。
[試験3の結果]
i型非晶質シリコン層5Aを1層構造とした光電変換素子であっても、第1エッチングペースト21を用いた第1エッチング工程によりp型非晶質シリコン層6を形成できること、及び第2エッチングペースト22を用いた第2エッチング工程によりn型非晶質シリコン層7を形成できることが確認された。
i型非晶質シリコン層5Aを1層構造とした光電変換素子であっても、第1エッチングペースト21を用いた第1エッチング工程によりp型非晶質シリコン層6を形成できること、及び第2エッチングペースト22を用いた第2エッチング工程によりn型非晶質シリコン層7を形成できることが確認された。
本発明は、光電変換素子及びその製造方法について有用であり、詳しくは、容易に且つ低コストで製造可能な裏面接合型の光電変換素子及びその製造方法について有用である。
100、100A、100B 光電変換素子
1 n型単結晶シリコン基板(半導体基板)
1a テクスチャ構造
2 i型非晶質シリコン層
3 n型非晶質シリコン層
4 反射防止膜
5a 第1i型非晶質シリコン層
5b 第2i型非晶質シリコン層
5、5A i型非晶質シリコン層
6 p型非晶質シリコン層(第1半導体膜)
7 n型非晶質シリコン層(第2半導体膜)
8 電極
21 第1エッチングペースト
22 第2エッチングペースト
1 n型単結晶シリコン基板(半導体基板)
1a テクスチャ構造
2 i型非晶質シリコン層
3 n型非晶質シリコン層
4 反射防止膜
5a 第1i型非晶質シリコン層
5b 第2i型非晶質シリコン層
5、5A i型非晶質シリコン層
6 p型非晶質シリコン層(第1半導体膜)
7 n型非晶質シリコン層(第2半導体膜)
8 電極
21 第1エッチングペースト
22 第2エッチングペースト
Claims (5)
- 光を電気に変換する光電変換素子であって、
半導体基板と、
前記半導体基板の光入射側とは反対側の裏面に接して形成された真性半導体膜と、
前記真性半導体膜に接して形成され、p型の導電型を有する第1半導体膜と、
前記真性半導体膜に接すると共に、前記半導体基板の面内方向において、前記第1半導体膜に面内方向に隣接して形成され、n型の導電型を有する第2半導体膜と、
を備え、
前記真性半導体膜は、少なくとも前記第1半導体膜側において、酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3であり、又は、窒素濃度が5×1020〜2×1021cm−3であり、
前記第1半導体膜と第2半導体膜のそれぞれは、酸素濃度が3×1019cm−3以下であり、且つ窒素濃度が3×1019cm−3以下である、光電変換素子。 - 請求項1に記載の光電変換素子において、
前記真性半導体膜は、
前記半導体基板に接して設けられた第1真性半導体膜と、
前記第1真性半導体膜に接して設けられた第2真性半導体膜と、
を含み、
前記第2真性半導体膜は、酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3であり、又は、窒素濃度が5×1020〜2×1021cm−3である、光電変換素子。 - 請求項2に記載の光電変換素子において、
前記第1真性半導体膜は、酸素濃度が3×1019cm−3以下であり、且つ窒素濃度が3×1019cm−3以下である、光電変換素子。 - 請求項2又は3に記載の光電変換素子において、
前記第2真性半導体膜の厚さは、2nm以上、且つ10nm未満である、光電変換素子。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の光電変換素子の製造方法であって、
半導体基板の光入射側とは反対側の面に接して、少なくとも前記第1半導体膜側において、酸素濃度が5×1020〜2×1021cm−3、又は、窒素濃度が5×1020〜2×1021cm−3の真性半導体膜を成膜する工程と、
前記真性半導体膜に接して、酸素濃度が3×1019cm−3以下、且つ窒素濃度が3×1019cm−3以下のp型の第1半導体膜を成膜する工程と、
前記真性半導体膜をエッチングストッパとして、前記成膜した第1半導体膜の一部を、第1エッチングペーストを用いてエッチングする第1エッチング工程と、
前記エッチング後の第1半導体膜を覆うように、酸素濃度が3×1019cm−3以下であり、且つ窒素濃度が3×1019cm−3以下のn型の第2半導体膜を成膜する工程と、
前記第1半導体膜をエッチングストッパとして、前記第1半導体膜上に形成された第2半導体膜を、前記半導体基板の面内方向において前記第1半導体膜に隣接するように、第2エッチングペーストを用いてエッチングする第2エッチング工程と、
を備え、
前記第2エッチングペーストは、アルカリ性である、光電変換素子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014158158A JP2016035968A (ja) | 2014-08-01 | 2014-08-01 | 光電変換素子及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014158158A JP2016035968A (ja) | 2014-08-01 | 2014-08-01 | 光電変換素子及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016035968A true JP2016035968A (ja) | 2016-03-17 |
Family
ID=55523670
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014158158A Pending JP2016035968A (ja) | 2014-08-01 | 2014-08-01 | 光電変換素子及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016035968A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2020137582A1 (ja) * | 2018-12-26 | 2021-09-27 | 株式会社カネカ | 太陽電池の製造方法および太陽電池の製造装置 |
-
2014
- 2014-08-01 JP JP2014158158A patent/JP2016035968A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2020137582A1 (ja) * | 2018-12-26 | 2021-09-27 | 株式会社カネカ | 太陽電池の製造方法および太陽電池の製造装置 |
JP7202396B2 (ja) | 2018-12-26 | 2023-01-11 | 株式会社カネカ | 太陽電池の製造方法および太陽電池の製造装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2387079A2 (en) | Solar cell with metal grid | |
CN104538464B (zh) | 一种硅异质结太阳能电池及其制作方法 | |
JP6529437B2 (ja) | 光電変換素子、光電変換モジュール、並びに、太陽光発電システム | |
JP6404825B2 (ja) | 光電変換素子 | |
WO2013152132A1 (en) | Semiconductor structures for fuel generation | |
WO2014136715A1 (ja) | 光電変換素子 | |
US20130174896A1 (en) | Tandem solar cell using a silicon microwire array and amorphous silicon photovoltaic layer | |
CN113644142A (zh) | 一种具有钝化接触的太阳能电池及其制备方法 | |
JP2010141121A (ja) | 光電変換素子及び太陽電池 | |
US10084099B2 (en) | Aluminum grid as backside conductor on epitaxial silicon thin film solar cells | |
JP6719548B2 (ja) | 光電変換装置、光電変換モジュールおよび太陽光発電システム | |
JP2014082285A (ja) | 太陽電池およびその製造方法、太陽電池モジュール | |
TW201644062A (zh) | 背面接合型太陽電池 | |
CN107068799B (zh) | 一种光伏电站集成控制系统 | |
US20160247949A1 (en) | Photoelectric conversion element, photoelectric conversion module, and solar photovoltaic power generation system | |
WO2014175066A1 (ja) | 光電変換素子 | |
WO2013161145A1 (ja) | 裏面接合型太陽電池及びその製造方法 | |
JP6342386B2 (ja) | 光電変換装置 | |
JP6564767B2 (ja) | 光電変換装置 | |
JP2016035968A (ja) | 光電変換素子及びその製造方法 | |
WO2015122242A1 (ja) | 裏面接合型の光電変換素子および太陽光発電システム | |
JP2680579B2 (ja) | 光起電力装置 | |
WO2015178305A1 (ja) | 光電変換素子及びその製造方法 | |
WO2015178307A1 (ja) | 光電変換素子 | |
JP6198813B2 (ja) | 光電変換素子、光電変換モジュールおよび太陽光発電システム |