JP2016035119A - 手袋の製造方法 - Google Patents

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Hiromasa Okubo
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Abstract

【課題】材質や構造、サイズ等が限定されず手袋用として汎用の種々の可撓性高分子、および基材手袋がいずれも使用可能で、しかも可撓性高分子からなる被膜と基材手袋との接着性に優れる上、基材手袋が硬くなるのを防いで可撓性に優れた手袋を製造できる製造方法を提供する。【解決手段】内面から厚み方向の50〜90%の範囲に撥水剤を含ませた繊維製の基材手袋に可撓性高分子を含む水性の浸漬液を含浸させたのち乾燥させて、上記基材手袋の外面に、当該外面を覆い、かつ外面から基材手袋内の撥水剤を含ませた領域外の領域まで達する可撓性高分子からなる被膜を形成する。【選択図】なし

Description

本発明は、繊維製の基材手袋の表面をゴムや樹脂等の可撓性高分子の被膜で被覆した手袋の製造方法に関するものである。
天然ゴム等のゴムのラテックスやウレタン系樹脂等の樹脂のエマルションなど(以下「浸漬液」と総称する場合がある。)を浸漬成形してなる手袋は安価であることから、一般家庭や工場、医療現場、あるいはスポーツといった様々な用途において幅広く用いられている。
かかる手袋の一種として、着脱のし易さを向上したり着用感を改善したり、あるいは強度を高めて破れにくくしたりするために繊維製の基材手袋の表面を上記可撓性高分子の被膜で被覆した積層構造を有する、いわゆるサポートタイプの手袋が知られている。
サポートタイプの手袋は通常、手袋の立体形状に対応した手型に繊維製の基材手袋を被せた状態で、当該手型を浸漬液に浸漬したのち引き上げて乾燥させるとともにゴムや熱硬化性樹脂を架橋させ、さらに手型から脱型して製造される。
ところが上記従来の製造方法では浸漬液が基材手袋の厚み方向のほぼ全域に亘って浸透してしまい、その後の乾燥等によって当該基材手袋の厚み方向のほぼ全域で固形化した可撓性高分子によって、本来は柔軟であるはずの基材手袋が硬くなって手袋の可撓性が大きく低下するという問題がある。
そこで手型に被せた基材手袋にまず水を含浸させた状態で浸漬液に浸漬することにより、当該浸漬液が基材手袋を構成する繊維中や繊維間に深く浸透するのを防止し、それによって手袋の可撓性を確保することが考えられた。
しかしこの方法では、依然として浸漬液は基材手袋の厚み方向のほぼ全域に亘って浸透するため、手袋の可撓性が低下するのを十分に防止することはできなかった。
また基材手袋が吸水性の大きい木綿等の天然繊維製の手袋に限定され、強度に優れた合成繊維製の基材手袋には事実上この方法を適用できないという問題もあった。
しかも浸漬液に有機溶剤を使用する場合は水と有機溶剤との混合物が発生し、その廃液処理が問題となる場合もあった。
特許文献1では、まず手型を浸漬液に浸漬して引き上げたのち乾燥させて被膜を形成し、ついでその上から基材手袋を被せた状態で、先に形成した被膜を溶解しうる溶剤で処理して被膜を基材手袋と接着させたのち脱型する方法が提案されている。
この方法によれば、基材手袋は被膜のもとになる浸漬液とは一切接触しないため、当該基材手袋が浸漬液中の可撓性高分子によって硬くなるのを防いで手袋の可撓性が低下するのを防止できる。
特許第3782268号公報
ところが特許文献1に記載の方法では、例えば基材手袋が小さいと手型の表面に先に形成した被膜と擦れてすべりにくく手型に被せにくい上、被せる際に被膜が破れたり傷ついたり、あるいは変形したりしわになったりしやすいという問題がある。
またこれらの問題を生じないように慎重に、基材手袋を手型に被せようとすると時間がかかって手袋の生産性が低下するおそれもある。
また逆に基材手袋が大きいと緩くて被膜との密着性が低下するため、当該被膜と基材手袋とを十分に接着できないおそれがある。
またそのため基材手袋は、実質的に伸縮性のある網目密度の低いものに限定されてしまうという問題がある。
また被膜と基材手袋とを十分に接着させるために、上記基材手袋は被膜を形成する可撓性高分子との接着性に優れた材質のものに限定されてしまうという問題もある。
しかもかかる方法は、架橋後に溶剤への溶解性が大きく低下するゴムや熱硬化性樹脂からなる被膜には適用できないため、被膜を形成する可撓性高分子の材質が限定されてしまうという問題もある。
本発明の目的は、材質や構造、サイズ等が限定されず手袋用として汎用の種々の可撓性高分子、および基材手袋がいずれも使用可能で、しかも可撓性高分子からなる被膜と基材手袋との接着性に優れる上、基材手袋が硬くなるのを防いで可撓性に優れた手袋を製造できる製造方法を提供することにある。
本発明は、内面から厚み方向の50%以上、90%以下の範囲まで撥水剤を含ませた繊維製の基材手袋を用意する第1工程、および当該基材手袋に可撓性高分子を含む水性の浸漬液を、前記基材手袋の外面から厚み方向の10%以上、50%の範囲に含浸させたのち乾燥させることにより、前記基材手袋の外面に、当該外面を覆い、かつ前記外面から前記基材手袋内の前記撥水剤を含ませた領域外の領域まで達する、前記可撓性高分子からなる被膜を形成する第2工程を含む手袋の製造方法である。
本発明によれば、上記のように第1工程で基材手袋の内面から厚み方向の50%以上、90%以下の範囲まであらかじめ撥水剤を含ませた状態で、次の第2工程で可撓性高分子の水性の浸漬液を含浸させることにより、当該浸漬液の浸透を基材手袋の外面から上記撥水剤を含ませた領域の手前まで、すなわち基材手袋の外面から厚み方向の10%以上、50%の範囲に制限しながら、さらに浸漬液を乾燥させて被膜を形成できる。
そのため被膜を形成する可撓性高分子が基材手袋の厚み方向のほぼ全域に亘って浸透するのを防止して、基材手袋内に可撓性高分子が含まれない柔軟な領域を確保でき、柔軟性に優れた手袋を製造することが可能となる。
しかも本発明によれば、従来同様に先に手型に被せた基材手袋にあとから浸漬成形によって可撓性高分子の被膜を形成できるため、当該基材手袋の網目や基材手袋を構成する繊維中、繊維間に浸漬液が浸入した状態で可撓性高分子が固形化して生じるいわゆるアンカー効果によって、可撓性高分子や基材手袋の材質、あるいはサイズに関係なく高い接着性でもって被膜と基材手袋とを一体化できる。
しかも基材手袋のサイズや構造等に関係なく作業性良く、当該基材手袋を手型に被せることができ、手袋の生産性も向上する。
本発明は、内面から厚み方向の50%以上、90%以下の範囲まで撥水剤を含ませた繊維製の基材手袋を用意する第1工程、および当該基材手袋に可撓性高分子を含む水性の浸漬液を、前記基材手袋の外面から厚み方向の10%以上、50%の範囲に含浸させたのち乾燥させることにより、前記基材手袋の外面に、当該外面を覆い、かつ前記外面から前記基材手袋内の前記撥水剤を含ませた領域外の領域まで達する、前記可撓性高分子からなる被膜を形成する第2工程を含む手袋の製造方法である。
〈第1工程〉
上記のうち第1工程では、例えば、
(1) 手袋の立体形状に対応した手型に、上記内面側を外側にして基材手袋を被せた状態で、撥水剤を含む塗布液を塗布したのち乾燥させるか、または
(2) 基材手袋を、上記内面側を外側にして平らに畳んだ状態で、撥水剤を含む塗布液を塗布したのち乾燥させる操作を、基材手袋の畳んだ両面で繰り返すことにより、
撥水剤を基材手袋の内面から厚み方向の50%以上、90%以下の範囲まで含ませることができる。
(基材手袋)
先に説明した水を含浸させる従来の製造方法では、吸水性のない合成繊維製の基材手袋は事実上使用できなかったが、本発明では、かかる吸水性のない合成繊維製の基材手袋等も使用可能である。もちろん、吸水性を有する木綿等の天然繊維製の基材手袋も使用できる。
すなわち基材手袋としては、木綿等の天然繊維、ナイロン、弾性ポリウレタン、ポリエステル、ビニロン、アクリル、ポリプロピレン等の合成繊維、これらの混紡繊維等の1種または2種以上によって編製され、サポートタイプの手袋の製造に使用される種々の基材手袋がいずれも使用可能である。
特に手型に対するフィット性を向上することを考慮すると、高い伸縮性を有するように軍手編みした手袋が好ましい。
好ましい基材手袋の一例としては、巻縮処理したウーリーナイロン繊維と弾性ポリウレタン繊維との混紡繊維から軍手編みして形成される伸縮性に優れた基材手袋が挙げられるが、基材手袋はかかる例示のものには限定されない。
(撥水剤を含む塗布液)
撥水剤としては、基材手袋に含ませた状態で水性の浸漬液の浸透を妨げる機能を有する種々の撥水剤がいずれも使用可能である。
かかる撥水剤としては、例えばフッ化アルキル樹脂およびシリコーン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
塗布液としては、これらの撥水剤を任意の溶剤に溶解または分散させて調製したものを用いることができる。
撥水剤を含む塗布液の具体例としては、いずれも撥水剤としてフッ化アルキル樹脂を含む、例えばダイキン工業(株)製のユニダイン(登録商標)TG−4571、TG−5541、TG−5545、TG−5546、TG−5601(以上、水性エマルジョン系)、TG−6071、TG−6501(以上、溶剤系);(株)フロロテクノロジー製のフロロサーフ(登録商標)FS−1010(不燃性溶剤タイプ)、FS−1040(不燃性溶剤タイプ)、FS−2010(石油系溶剤タイプ)、FS−6010(水性タイプ)、FS−6130(水性タイプ)、FS−7010(超撥水タイプ)、FG−4010(石油系溶剤タイプ)、FG−5010(不燃性溶剤タイプ)、FG−5040(不燃性溶剤タイプ)等の1種または2種以上が挙げられる。
(手型)
先述した(1)で使用する手型は、従来同様にセラミック、アルミニウム等の金属、木、各種プラスチック等によって形成できる。特に第2工程での浸漬にも同じ手型を使用する場合は、浸漬液との親和性に優れ、しかも形成した膜の離型性にも優れたセラミックによって手型を形成するのが好ましい。
(平板)
一方(2)の操作は、例えば基材手袋の平面性を高めるために、当該基材手袋を平らに畳んで平板上に載置した状態で実施するのが好ましい。
(塗布液の塗布)
(1)で手型に被せて立体形状となった基材手袋に塗布液を塗布する塗布方法としては、例えばスプレーコート法が挙げられる。
スプレーコート法によれば、上記立体形状の基材手袋に、その外側(内面側)のみから、厚み方向のほぼ全域に亘らないように少量の塗布液を塗布して、当該基材手袋の内面から厚みの途中までの範囲に撥水剤を含ませることができる。
またスプレーコート法では、塗布液の吹付け量や吹付け時間などの設定を変更することで、基材手袋の内面から厚み方向のどの程度の範囲まで撥水剤を含ませるかを微調整できる。
一方(2)で平らに畳んだ基材手袋に塗布液を塗布する塗布方法としては、平面上に均一な厚みの塗膜を形成するのに適したロールコート法等が挙げられる。またスプレーコート法を採用することもできる。
ロールコート法では、ロールに供給する塗布液の量やロールの移動速度、回転速度、塗布の回数等の設定を変更することで、基材手袋の内面から厚み方向のどの程度の範囲まで撥水剤を含ませるかを微調整できる。
(撥水剤を含ませる範囲)
撥水剤を含ませる範囲は、先述したように基材手袋の内面から厚み方向の50%以上、90%以下の範囲に限定される。
撥水剤を含ませる範囲が厚み方向の50%未満では、第2工程を経て可撓性高分子が含まれる範囲が基材手袋の外面から厚み方向の50%を超えるため、基材手袋内に確保される可撓性高分子が含まれない柔軟な領域の割合が少なくなって、手袋の柔軟性が低下する。
一方、撥水剤を含ませる範囲が厚み方向の90%を超える場合には、第2工程を経て可撓性高分子が含まれる範囲が基材手袋の外面から厚み方向の10%に達しないため、当該可撓性高分子の被膜と基材手袋との接着性が不十分になる。
これに対し、撥水剤を含ませる範囲を上記の範囲とすることにより、第2工程を経て形成される被膜と基材手袋の良好な接着性を維持しながら手袋の柔軟性を向上できる。
なおかかる効果をさらに向上することを考慮すると、撥水剤を含ませる範囲は、上記の範囲でも、基材手袋の内面から厚み方向の55%以上、特に65%以上であるのが好ましく、85%以下、特に70%以下であるのが好ましい。
なお撥水剤を含ませた範囲を直接に測定することはできず、通常は第2工程を経て可撓性高分子が含まれた範囲から逆算して求めることになる。すなわち基材手袋の全厚みのX%の範囲に可撓性高分子が含まれている場合、撥水剤を含ませた範囲は(100−X)%と求めることができる。
ただしそれではリアルタイムで撥水剤を含ませる範囲を把握できないため通常は、例えば塗布液の種類と濃度、採用する塗布方法における各種設定、あるいは基材手袋の種類等の塗布条件の違いと、それによって撥水剤が含まれる範囲のパーセンテージとの検量線をあらかじめ作成しておき、その検量線をもとに、撥水剤を含ませる範囲を推定しながら塗布液の塗布を実施するのが好ましい。
〈第2工程〉
次いで第2工程では、例えば通常の浸漬成形を採用して、第1工程で内面側に撥水剤を含ませた基材手袋を、上記内面を内側、外面を外側にして、手袋の立体形状に対応した手型に装着した状態で、可撓性高分子を含む水性の浸漬液に浸漬し、引き上げたのち乾燥させる。
そうすると浸漬液の浸透を基材手袋の外面から上記撥水剤を含ませた領域の手前まで、すなわち基材手袋の外面から厚み方向の10%以上、50%の範囲に制限でき、上記外面に、当該外面を覆い、かつ基材手袋内の撥水剤を含ませた領域外の領域まで達する、可撓性高分子からなる被膜を形成できる。
なお浸漬に先立って手型および基材手袋の表面は、従来同様に凝固剤(主に硫酸カルシウム水溶液)で処理をしておくのが好ましい。
(浸漬)
浸漬液への浸漬の条件は任意に設定できる。
例えば浸漬の時間は、所定の厚みを有する被膜を形成するために必要十分な範囲で任意に設定すればよい。
また浸漬液の液温は、当該浸漬液の固形分濃度の上昇や、加熱による消費エネルギーの増加等を抑制することを考慮すると、特に加熱をせず作業環境温度付近としておくのが好ましい。
浸漬液への浸漬は、形成する被膜の厚みに応じて1回または2回以上実施できる。
浸漬液は、従来同様にゴムのラテックス、または樹脂のエマルションに各種の添加剤を配合して調製される。
(ゴム系の浸漬液)
ラテックスのもとになるゴムとしては天然ゴム、および合成ゴムの中からラテックス化が可能な種々のゴムがいずれも使用可能であり、かかるゴムとしては、例えば天然ゴム、脱蛋白天然ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の1種または2種以上が挙げられる。
上記ゴムのラテックスを含む浸漬液には、さらに架橋剤、促進剤、熱安定剤、促進助剤、老化防止剤、充填剤、界面活性剤、増粘剤、消泡剤、可塑剤、着色剤等の各種添加剤を配合してもよい。
このうち架橋剤(加硫剤)としては硫黄や有機含硫黄化合物等が挙げられる。特に硫黄が好ましい。架橋剤の配合割合は、ラテックス中のゴム分(固形分)100質量部あたり0.5質量部以上、3質量部以下であるのが好ましい。
また促進剤としては、例えばPX(N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛)、PZ(ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛)、EZ(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)、BZ(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)、ZTC(ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛)、MZ(2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩)、TT(テトラメチルチウラムジスルフィド)等の1種または2種以上が挙げられる。
促進剤の配合割合は、ラテックス中のゴム分100質量部あたり0.5質量部以上、3質量部以下であるのが好ましい。
促進助剤としては、例えば亜鉛華(酸化亜鉛)、および/またはステアリン酸等が挙げられる。促進助剤の配合割合は、ラテックス中のゴム分100質量部あたり0.5質量部以上、3質量部以下であるのが好ましい。
老化防止剤としては、一般に非汚染性のフェノール類が好適に用いられるが、アミン類を使用してもよい。老化防止剤の配合割合は、ラテックス中のゴム分100質量部あたり0.5質量部以上、3質量部以下であるのが好ましい。
充填剤としては、例えばカオリンクレー、ハードクレー、炭酸カルシウム、酸化チタン等の1種または2種以上が挙げられる。充填剤の配合割合は、ラテックス中のゴム分100質量部あたり1質量部以上、10質量部以下であるのが好ましい。
界面活性剤は、上記各種の添加剤を浸漬液中に良好に分散させるために配合されるものであり、当該界面活性剤としては、例えば陰イオン系界面活性剤等の1種または2種以上が挙げられる。界面活性剤の配合割合は、ラテックス中のゴム分100質量部あたり0.3質量部以上、1質量部以下であるのが好ましい。
着色剤としては各種の顔料が挙げられる。顔料の配合割合は、手袋の色味に合わせて任意に設定できる。
(樹脂系の浸漬液)
エマルションのもとになる樹脂としては、ウレタン系樹脂、硬化性アクリル系樹脂等の、エマルション化が可能な熱硬化性樹脂の1種または2種以上が挙げられる。
エマルションを含む浸漬液には、さらに熱安定剤、老化防止剤、充填剤、界面活性剤、増粘剤、発泡剤、可塑剤、着色剤等の各種添加剤を配合してもよい。
また浸漬液には、ウレタン系樹脂等を硬化反応させるための架橋剤、硬化剤等を適宜の割合で配合してもよい。
これらの成分としては、浸漬成形に用いるエマルション系の浸漬液で使用可能な各種の成分が、従来同様の割合で使用可能である。
(乾燥)
次いで引き上げた手型ごと加熱して浸漬液を乾燥させるのと同時に、ゴムの場合は加硫(架橋)させ、熱硬化性樹脂の場合は硬化反応(架橋)させるか、もしくは一旦乾燥させた後に手型ごと加熱してゴムや熱硬化性樹脂を架橋させて被膜を形成する。
加熱の温度や時間はゴムまたは樹脂の種類等に応じて任意に設定できる。
このあと被膜を形成した基材手袋を手型から脱型すると手袋が完成する。
完成した手袋は、先に説明したように第1工程で撥水剤を含ませることで、被膜を形成する可撓性高分子が基材手袋の厚み方向のほぼ全域に亘って浸透するのが防止され、基材手袋内に可撓性高分子が含まれない柔軟な領域が確保されているため、柔軟性に優れている。
しかも本発明によれば、従来同様に先に手型に被せた基材手袋にあとから浸漬成形によって可撓性高分子の被膜を形成しているため、当該基材手袋の網目や基材手袋を構成する繊維中、繊維間に浸漬液が浸入した状態で可撓性高分子が固形化して生じるいわゆるアンカー効果によって、被膜と基材手袋とを強固に一体化できる。
可撓性高分子を含ませる範囲は、先述したように撥水剤を含ませる範囲から逆算できる範囲とするのが好ましい。
すなわち可撓性高分子を含ませる範囲は、基材手袋の外面から厚み方向の10%以上、中でも15%以上、特に30%以上であるのが好ましく、50%以下、中でも45%以下、特に35%以下であるのが好ましい。
可撓性高分子を含ませる範囲がこの範囲未満では、当該可撓性高分子の被膜と基材手袋との接着性が不十分になるおそれがある。一方、可撓性高分子を含ませる範囲が上記の範囲を超える場合には、基材手袋内に確保される可撓性高分子が含まれない柔軟な領域の割合が少なくなって、手袋の柔軟性が低下するおそれがある。
これに対し、可撓性高分子を含ませる範囲を上記の範囲とすることにより、被膜と基材手袋の良好な接着性を維持しながら、手袋の柔軟性をさらに向上できる。
なお被膜は単層でも2層以上の積層構造であってもよい。また被膜は、例えば浸漬液を起泡させたり発泡剤を配合したりして発泡構造としてもよい。例えば発泡させた被膜と非発泡の被膜の積層構造とすることもできる。
《実施例1》
〈第1工程〉
基材手袋としては、15ゲージ編み機〔(株)島精機製作所製〕を用いて綿で編製したものを用いた。
また撥水剤を含む塗布液としては、ダイキン工業(株)製のユニダイン(登録商標)TG−5601を用いた。この塗布液はフッ化アルキル樹脂25質量%、トリプロピレングリコール10質量%、水60質量%、およびポリアルキルエーテル5質量%を含む水性エマルジョン系の塗布液である。
次いで上記基材手袋を、内面を外側にして陶器製の手型〔(株)シンコー製〕に被せた状態で、上記塗布液を、当該基材手袋に対して吹付け量を固形分基準で10.0gに設定してスプレーコート法によって塗布したのち、70℃で1時間乾燥させて、基材手袋の、上記内面から厚みの途中までの領域に撥水剤としてのフッ化アルキル樹脂を含ませた。
〈第2工程〉
(浸漬液の調製)
天然ゴムラテックス〔アンモニア分0.7質量%のハイアンモニアラテックス〕に、下記表1に示す各成分を配合し、2日間熟成させて浸漬液を調製した。
表中の各成分の質量部は、天然ゴムラテックス中の天然ゴム分100質量部あたりの質量部とした。
Figure 2016035119
なお表中のZTCはジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、CPLは大内新興化学工業(株)製のノクラック(登録商標)PBK〔p−クレソールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物〕を示す。
また界面活性剤としては、Crusader Chemical社製のFreesil Nを用い、ワックスとしては日本精蝋(株)製のEM−1を用いた。
(浸漬成形)
第1工程で内面側に撥水剤を含ませた基材手袋を、上記内面を内側、外面を外側にして同じ手型に装着し直し、60℃に予熱した状態で、凝固剤としての20%硝酸カルシウム水溶液に10秒間浸漬し、引き上げたのち60℃で1分間加熱して乾燥させた。
次いでこの手型を上記浸漬液に15秒間浸漬したのち引き上げて120℃で30分間加熱して基材手袋を覆う被膜を形成したのち、脱型して手袋を製造した。
《比較例1》
従来の製造方法を再現するため第1工程を省略して第2工程のみ実施して、基材手袋と被膜とを一体化させたこと以外は実施例1と同様にして手袋を製造した。
《比較例2》
特許文献1に記載の製造方法を再現するため、まず手型を凝固剤に浸漬したのち乾燥させ、次いで実施例1で使用したのと同じ浸漬液に浸漬したのち加熱して被膜を形成した。
次いでこの被膜上に基材手袋を被せようとしたが、被膜と擦れて滑りにくいため被せるのが難しく、被膜が変形したりしわになったりしたため手袋の製造を断念した。
《実施例2〜5》
第1工程における撥水剤の塗布液の吹付け量を固形分基準で12.5g(実施例2)、15.0g(実施例3)、17.5g(実施例4)、および20.0g(実施例5)としたこと以外は実施例1と同様にして手袋を製造した。
《実施例6》
〈第1工程〉
基材手袋としては、実施例1で使用したのと同じ、15ゲージ編み機〔(株)島精機製作所製〕を用いて綿で編製したものを用いた。
また撥水剤を含む塗布液としては、(株)フロロテクノロジー製のフロロサーフ(登録商標)FS−2010を用いた。この塗布液はフッ化アルキル樹脂15質量%、およびn−へプタン85質量%を含む石油系溶剤タイプの塗布液である。
次いで上記基材手袋を、内面を外側にして平らに畳んで平板上に載置した状態で、上記塗布液を、当該基材手袋に対して塗布量を固形分基準で7.5gに設定してロールコーターを用いたロールコート法によって塗布したのち、25℃で1時間乾燥させる操作を、基材手袋の畳んだ両面で繰り返すことで、基材手袋の、上記内面から厚みの途中までの領域に撥水剤としてのフッ化アルキル樹脂を含ませた。
〈第2工程〉
第1工程で内面側に撥水剤を含ませた基材手袋を、上記内面を内側、外面を外側にして、実施例で使用したのと同じ手型に装着し、60℃に予熱した状態で、凝固剤としての20%硝酸カルシウム水溶液に10秒間浸漬し、引き上げたのち60℃で1分間加熱して乾燥させた。
次いでこの手型を実施例1で調製したのと同じ浸漬液に15秒間浸漬したのち引き上げて120℃で30分間加熱して基材手袋を覆う被膜を形成したのち、脱型して手袋を製造した。
《実施例7〜10》
第1工程における撥水剤の塗布液の塗布量を固形分基準で9.0g(実施例7)、10.5g(実施例8)、12.0g(実施例9)、および13.5g(実施例10)としたこと以外は実施例1と同様にして手袋を製造した。
《可撓性高分子の含有範囲測定》
実施例、比較例で製造した手袋をカットしてその断面を、顕微鏡を用いて拡大観察し、可撓性高分子が基材手袋の外面から厚み方向の何%の範囲まで含まれているかを計測した。またこの計測結果(X%)から、各手袋の製造時に撥水剤が基材手袋の内面から厚み方向の何%の範囲まで含まれていたかを(100−X)%により求めた。
《柔軟性、作業性評価》
実施例、比較例で製造した手袋を装着した状態で15℃の水によって100mlビーカーを洗浄する作業を1分間実施した際の、当該手袋の柔軟性、および作業性の良否を、それぞれ10名の被験者に下記の3ランクで評価してもらった。そして選んだ被験者の数が最も多かったランクをその実施例、比較例の手袋の柔軟性、および作業性の評価とした。
(柔軟性)
A:非常に軟らかいと感じた。
B:比較的軟らかいと感じた。
C:軟らかいと感じなかった。
(作業性)
A:非常に作業がしやすく、1分間で10個以上のビーカーを洗浄することができた。
B:比較的作業がしやすく、1分間で5個以上、9個以下のビーカーを洗浄することができた。
C:作業がしにくく、1分間で4個以下のビーカーしか洗浄できなかった。
《接着性評価》
実施例、比較例で製造した手袋から幅2.5cm、長さ15cmの矩形状のサンプルを切り出し、当該サンプルのうち可撓性高分子の被膜側の表面をアクリル板に接着剤で接着した状態で、剥離速度100mm/分の条件で剥離試験をして、上記被膜と基材層(基材手袋)の間の接着性を評価した。すなわち1cm幅あたりに換算した接着力が0.5kg/cm以上のものを接着力良好(○)、0.5kg/cm未満のものを接着力不良(×)と評価した。
以上の結果を表2、表3に示す。
Figure 2016035119
Figure 2016035119
表2、表3の実施例1〜10と比較例1の結果より、可撓性高分子の浸漬成形に先立って基材手袋にその内面から厚みの途中まで撥水剤を含ませることにより、当該基材手袋の外面から厚みの途中までの可撓性高分子の被膜を形成して、柔軟性、作業性に優れる上、当該被膜と基材手袋との接着性にも優れた手袋を製造できることが判った。
また表2の実施例1〜5、表3の実施例6〜10の結果より、上記柔軟性、作業性と、接着性とを両立させるためには、撥水剤を含ませる範囲を基材手袋の内面から厚みの50%以上、90%以下の範囲として、可撓性高分子を基材手袋の外面から厚み方向の10%以上、50%の範囲に含ませる必要があることが判った。

Claims (5)

  1. 内面から厚み方向の50%以上、90%以下の範囲まで撥水剤を含ませた繊維製の基材手袋を用意する第1工程、および当該基材手袋に可撓性高分子を含む水性の浸漬液を、前記基材手袋の外面から厚み方向の10%以上、50%の範囲に含浸させたのち乾燥させることにより、前記基材手袋の外面に、当該外面を覆い、かつ前記外面から前記基材手袋内の前記撥水剤を含ませた領域外の領域まで達する、前記可撓性高分子からなる被膜を形成する第2工程を含む手袋の製造方法。
  2. 前記第1工程では、手袋の立体形状に対応した手型に、前記基材手袋を、前記内面側を外側にして被せた状態で、当該内面側に前記撥水剤を含む塗布液を塗布したのち乾燥させることにより、前記撥水剤を前記基材手袋の内面から厚みの途中まで含ませる請求項1に記載の手袋の製造方法。
  3. 前記第1工程では、前記基材手袋を、前記内面側を外側にして平らに畳んだ状態で、前記撥水剤を含む塗布液を塗布したのち乾燥させる操作を、前記基材手袋の畳んだ両面で繰り返すことにより、前記撥水剤を前記基材手袋の内面から厚みの途中まで含ませる請求項1に記載の手袋の製造方法。
  4. 前記第2工程では、前記第1工程を経た基材手袋を、前記内面側を内側、外面を外側にして、手袋の立体形状に対応した手型に装着した状態で前記可撓性高分子を含む水性の浸漬液に浸漬し、引き上げたのち乾燥させることにより、前記外面に、当該外面を覆い、かつ前記外面から前記基材手袋内の前記撥水剤を含ませた領域外の領域まで達する、前記可撓性高分子からなる被膜を形成する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の手袋の製造方法。
  5. 前記撥水剤はフッ化アルキル樹脂およびシリコーン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の手袋の製造方法。
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