JP2016034944A - Ctlのアポトーシスを抑制するまたctlの誘導抑制を阻害するワクチン医薬組成物 - Google Patents

Ctlのアポトーシスを抑制するまたctlの誘導抑制を阻害するワクチン医薬組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】様々な抗原に対する細胞性免疫誘導のために普遍的に使用可能であり、高い誘導効果を発揮するワクチン医薬組成物を提供する。
【解決手段】CTLのアポトーシスを抑制する、又は、CTLの誘導抑制を阻害することを特徴とするワクチン医薬組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、抗原特異的なCD8陽性T細胞のアポトーシス誘導の抑制に関する。
一般に広く使用されているワクチンは、微生物もしくはウイルス等の病原体又はその一部の毒性を弱めるか無効化したもので、生体に投与されることにより感染症予防のための免疫を誘導するものである。また、この他にも、癌細胞特異的抗原を細胞性免疫機構に認識させ、細胞性免疫系による癌細胞への特異的な攻撃を誘導することを目的とした癌ワクチンがあり、癌治療手段の一つとして用いられている。
癌治療においては、細胞性免疫を誘導する癌ワクチンの作用を高めるために、アジュバントを利用することも知られている。アジュバントとしては、例えば、1H−イミダゾ〔4,5−c〕キノリン−4−アミン、イミキモ(例えば、[特許文献1]参照)、環状ジGMP(c−di−GMP)等の環状ジヌクレオチド類似体(例えば、[特許文献2]及び[特許文献3]参照)及びTLR2、3、7、8、9リガンド(例えば、[特許文献4])が挙げられる。
ところで、細胞性免疫による癌等の疾患治療では抗原特異的なCD8陽性T細胞を持続的に誘導する必要があり、一般的に複数回免疫治療を行う必要がある。しかしながら、抗原やアジュバントを複数回注射投与すると、抗原特異的なCD8陽性T細胞に免疫抑制レセプターであるPD−1レセプターが高発現することが報告されており(例えば、[非特許文献1]参照)、PD−1レセプターは、抗原提示細胞や癌細胞のPD−L1に認識され、CD8陽性T細胞のプログラム細胞死(アポトーシス)を誘発し、抗原特異的なCD8陽性T細胞の誘導を低下させることが知られている。即ち、このように、抗原並びにアジュバントを単に投与するだけでは、抗原特異的なCD8陽性T細胞を効果的に誘導できない。
また、上記の他にも、抗原やアジュバントを複数回注射投与すると、抗原特異的なCD8陽性T細胞が減少することが報告されている(例えば、[非特許文献2])。このように、抗原並びにアジュバントを単に投与するだけでは、抗原特異的なCD8陽性T細胞を効果的に誘導できない。
特表平7−505883号公報 特表2007−529531号公報 米国特許出願公開第2008/0286296号明細書 米国特許出願公開第2008/0193487号明細書
Daisuke Muraoka et al., The Journal of Immunology, 185, 3768−3776 (2010) Yoshihiro Oka et al., Current Opinion in Immunology, 20: 211−220 (2008)
本発明は、上記現状に鑑み、様々な抗原に対する細胞性免疫の誘導に普遍的に有用で、持続な投与において効果的に抗原特異的なCD8陽性T細胞を誘導することのできるワクチン医薬組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、複数回投与において、抗原特異的なCD8陽性T細胞を効果的に、且つ、持続的に誘導する手段として、抗原特異的なCD8陽性T細胞のPD−1レセプター発現を抑制させることに着目した。そして、鋭意検討した結果、細胞性免疫誘導促進剤の種類を特定し、抗原及び細胞性免疫誘導促進剤の投与量の比率を制御することにより、抗原特異的なCD8陽性T細胞のPD−1レセプターの発現を抑制できることを見出した。即ち、CD8陽性T細胞のアポトーシス誘導を抑制できることを見出した。
また、本発明者らは、複数回投与において、抗原特異的なCD8陽性T細胞を効果的に、且つ、持続的に誘導する手段として、細胞性免疫に関与する種々の細胞の中でヘルパーT細胞、特にTh1細胞数とTreg細胞数のバランスに着目した。Th1細胞は、細胞性免疫を増強させ、Treg細胞は細胞性免疫を抑制するものである。これらの数のバランスに着目し、鋭意検討を行った結果、Treg細胞数に対するTh1細胞数の比率を増大させることにより、複数回投与においても細胞性免疫誘導が増強することを見出した。具体的には、細胞性免疫誘導促進剤の種類を特定し、抗原量及び細胞性免疫誘導促進剤の投与量の比率を制御して、Th1細胞数及びTreg細胞数のバランスを制御できることを見出した。
すなわち、本発明は、抗原を含む細胞性免疫誘導のための投与用ワクチン医薬組成物であって、CTLのアポトーシスを抑制する、又は、CTLの誘導抑制を阻害することを特徴とするワクチン医薬組成物である。
また、本発明のワクチン医薬組成物は、上記ワクチン医薬組成物を投与された免疫評価用モデル動物における抗原特異的なCD8陽性T細胞のPD−1レセプター発現割合が、40%以下であることが好ましい。
また、本発明のワクチン医薬組成物は、上記ワクチン医薬組成物を投与された免疫評価用モデル動物における抗原特異的なCD8陽性T細胞のアポトーシス誘導割合が、30%以下であることが好ましい。
また、本発明のワクチン医薬組成物は、上記ワクチン医薬組成物を投与された免疫評価用モデル動物における抗原特異的なTh1/Treg割合が制御されたものであることが好ましい。
また、本発明のワクチン医薬組成物は、上記ワクチン医薬組成物を投与された免疫評価用モデル動物における抗原特異的なTh1/Treg割合が、0.001%以上、又は、0.01%以上、又は、0.1%以上、又は、1%以上、又は、10%以上、又は、30%以上に制御されたものであることが好ましい。
また、本発明のワクチン医薬組成物は、第一の細胞性免疫誘導促進剤を更に含むことが好ましい。
また、本発明のワクチン医薬組成物は、複数回投与されるものであることが好ましい。
また、本発明のワクチン医薬組成物における第一の細胞性免疫誘導促進剤は、TLRリガンド及び/又はシクロオキシゲナーゼ阻害剤であることが好ましい。
また、本発明のワクチン医薬組成物は、ヘルパーペプチドである第二の細胞性免疫誘導促進剤を更に含むことが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書においては、本発明のワクチン医薬組成物がより容易に理解されるように、用いられる用語の定義を説明する。定義のない用語は、特に文脈が異なることを示唆しない限り、当業者、特に医学、薬学、免疫学、細胞生物学、生化学、高分子化学等の分野における当業者が通常理解する意味を有する。
本発明のワクチン医薬組成物は、抗原を含む細胞性免疫誘導のための投与用ワクチン医薬組成物であって、CTLのアポトーシスを抑制する、又は、CTLの誘導抑制を阻害するものである。用語「CTL」は、細胞障害性T細胞を意味する。
本発明のワクチン医薬組成物は、少なくとも一種類の抗原を含有する。
上記抗原とは、免疫応答を誘導しうるあらゆる物質を意味する。上記抗原は特に限定されず、例えば、タンパク質、ペプチド等が挙げられる。また、抗原の皮膚透過性が求められる経皮投与においては、分子量の小さい抗原を用いることが好ましく、例えば、約8〜約12個のアミノ酸からなるペプチドを用いることができる。
上記抗原は特に限定されず、例えば、癌抗原ペプチド、感染性病原体由来ペプチドが挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「癌」は、癌遺伝子の異常な発現を意味する。上記癌としては、例えば造血器腫瘍や固形癌等の過剰発現を伴う癌が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「遺伝子の異常な発現」は、ある細胞におけるその遺伝子の発現レベルが、同じ組織の他の細胞と比較して、例えば2倍以上、4倍以上等の倍率で顕著に上昇又は低下していることを意味する。
本明細書において使用するとき、用語「過剰発現」は、異常な発現が発現レベルの上昇であることを意味する。遺伝子の発現レベルは、当該技術分野で周知のいずれかの方法を用いて、容易に測定できる。
上記癌遺伝子としては、例えば、サバイビン遺伝子、GPC3遺伝子、HER2/neu遺伝子、MAGE3遺伝子、MAGE A1遺伝子、MAGE A3/A6遺伝子、MAGE A4遺伝子、MAGE12遺伝子、プロテイナーゼ−3遺伝子、AFP遺伝子、CA−125遺伝子、CD44遺伝子、CEA遺伝子、c−Kit遺伝子、c−met遺伝子、c−myc遺伝子、L−myc遺伝子、COX2遺伝子、CyclinD1遺伝子、Cytokeratin−7遺伝子、Cytokeratin−19遺伝子、Cytokeratin−20遺伝子、E2F1遺伝子、E2F3遺伝子、EGFR遺伝子、Gli1遺伝子、hCGβ遺伝子、HIF−1α遺伝子、HnRNP A2/B1遺伝子、hTERT遺伝子、MDM遺伝子、MDR−1遺伝子、MMP−2遺伝子、MMP−9遺伝子、Muc−1遺伝子、Muc−4遺伝子、Muc−7遺伝子、NSE遺伝子、ProGRP遺伝子、PSA遺伝子、RCAS1遺伝子、SCC遺伝子、サイモグロブリン遺伝子、VEGF−A遺伝子、VEGF−A遺伝子等が挙げられる。
上記サバイビン遺伝子の異常な発現を伴う癌には、悪性リンパ腫、膀胱癌、肺癌、大腸癌等が含まれるが、これらに限定されない。上記GPC3遺伝子の異常な発現を伴う癌には、肝癌、胆管癌、胃癌等が含まれるが、これらに限定されない。上記HER2/neu遺伝子の異常な発現を伴う癌には、乳癌、胃癌、卵巣癌、子宮癌、膀胱癌、非小細胞肺癌、前立腺癌等が含まれるが、これらに限定されない。上記MAGE3遺伝子の異常な発現を伴う癌には、メラノーマ、肺癌、頭頚部癌、膀胱癌、胃癌、食道癌、肝臓癌等が含まれるが、これらに限定されない。上記プロテイナーゼ−3遺伝子の異常な発現を伴う癌には、急性骨髄性白血病、膵臓癌等が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書において使用するとき、用語「癌抗原」は、腫瘍細胞又は癌細胞特異的に発現し、細胞性免疫応答を誘導しうるタンパク質、ペプチド等の物質を意味し、具体的には上記癌遺伝子に基づいて発現したタンパク質及びそれに由来する部分ペプチドを意味する。
本明細書において使用するとき、用語「癌抗原ペプチド」は、癌抗原タンパク質に由来する部分ペプチドであって、細胞性免疫応答を誘導しうるものをいう。通常、癌抗原ペプチドは、癌遺伝子の産物である癌抗原タンパク質が癌細胞内で分解されることによって生じ、MHCクラスI分子によって癌細胞の表面に提示される。
上記癌抗原ペプチドは、癌細胞から単離及び精製された内因性の癌抗原ペプチドであってもよく、内因性の癌抗原ペプチドと同じアミノ酸配列を有する合成ペプチドであってもよい。上記癌抗原ペプチドとして、具体的には、サバイビン2Bペプチド、GPC3ペプチド、HER2/neu_A24ペプチド、MAGE3_A24ペプチド、PR1ペプチド、HER2/neu_A02ペプチド、MAGE3_A02ペプチド、HER2/neu_E75ペプチド、MUC1ペプチド、又は、それらの改変ペプチドが好ましい。
本明細書において使用するとき、用語「サバイビン2Bペプチド」は、配列Ala Tyr Ala Cys Asn Thr Ser Thr Leu(配列番号1)からなる、癌遺伝子産物サバイビン由来のペプチドを意味する。
本明細書において使用するとき、用語「GPC3ペプチド」は、配列Glu Tyr Ile Leu Ser Leu Glu Glu Leu(配列番号2)からなる、癌遺伝子産物GPC3由来のペプチドを意味する。
本明細書において使用するとき、用語「HER2/neu_A24ペプチド」は、配列Thr Tyr Leu Pro Thr Asn Ala Ser Leu(配列番号3)からなる、癌遺伝子産物HER2/neu由来のHLA−A24拘束性ペプチドを意味する。
本明細書において使用するとき、用語「MAGE3_A24ペプチド」は、配列Ile Met Pro Lys Ala Gly Leu Leu Ile(配列番号4)からなる、癌遺伝子産物MAGE3由来のHLA−A24拘束性ペプチドを意味する。
本明細書において使用するとき、用語「PR1ペプチド」は、配列Val Leu Gln Glu Leu Asn Val Thr Val(配列番号5)からなる、癌遺伝子産物プロテイナーゼ−3由来のペプチドを意味する。
本明細書において使用するとき、用語「HER2/neu_A02ペプチド」は、配列Lys Val Phe Gly Ser Leu Ala Phe Val(配列番号6)からなる、癌遺伝子産物HER2/neu由来のHLA−A02拘束性ペプチドを意味する。
本明細書において使用するとき、用語「MAGE3_A02ペプチド」は、配列Lys Val Ala Glu Ile Val His Phe Leu(配列番号7)からなる、癌遺伝子産物MAGE3由来のHLA−A02拘束性ペプチドを意味する。
本明細書において使用するとき、用語「HER2/neu_E75ペプチド」は、配列Lys Ile Phe Gly Ser Leu Ala Phe Leu(配列番号8)からなる、癌遺伝子HER2/neuの産物(HER2タンパク質)に由来するペプチドを意味する。
本明細書において使用するとき、用語「MUC1ペプチド」は、配列Ser Thr Ala Pro Pro Val His Asn Val(配列番号9)からなり、多くの癌細胞上に高発現する糖タンパクであるMUC1タンパクに由来するペプチドを意味する。
本明細書において使用するとき、用語「改変ペプチド」は、ペプチドの全部又は一部のアミノ酸が置換又は修飾等により改変されたペプチドを意味する。
上記改変ペプチドは特に限定されず、例えば、(a)ペプチドのアミノ酸配列において、1個から数個(例えば、1個、2個、3個、4個又は5個)のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド;(b)ペプチドのアミノ酸配列において、全部又は一部のアミノ酸(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個又は10個)のアミノ酸が修飾されたアミノ酸配列からなるペプチド等が挙げられる。
上記改変ペプチドが有しうるアミノ酸の修飾は特に限定されず、例えば、アセチル化、メチル化等のアルキル化、グリコシル化、ヒドロキシル化、カルボキシル化、アルデヒド化、リン酸化、スルホニル化、ホルミル化、ミリストイル化やパルミトイル化やステアロイル化等の脂肪鎖付加修飾、オクタノイル化、エステル化、アミド化、脱アミド化、シスチン修飾やグルタチオン修飾やチオグリコール酸修飾等のジスルフィド結合形成修飾、糖化、ユビキチン化、スクシンイミド形成、グルタミル化、プレニル化等が挙げられる。
上記改変ペプチドは、1個以上のアミノ酸の置換、欠失又は付加と、1個以上のアミノ酸の修飾とを組み合わせて含むものであってもよい。
本明細書において使用するとき、用語「感染性病原体由来抗原」は、感染性病原体もしくはその構成成分又はそれらに由来する物質であって、細胞性免疫応答を誘導しうるものを意味する。従って、上記感染性病原体由来抗原を、上記第一の細胞性免疫誘導促進剤と共に対象に投与することで、感染性疾患を処置又は予防することができる。
本発明の好ましい態様においては、例えば、IPEP87ペプチド、HBVenvペプチド、又はそれらの改変ペプチドを感染性病原体由来抗原として用いることができる。
本明細書において使用するとき、用語「IPEP87ペプチド」は、配列Asp Leu Met Gly Tyr Ile Pro Ala Val(配列番号10)からなる、C型肝炎ウイルス(HCV)タンパク質由来のペプチドを意味する。
本明細書において使用するとき、用語「HBVenvペプチド」は、配列Trp Leu Ser Leu Leu Val Pro Phe Val(配列番号11)からなる、B型肝炎ウイルス(HBV)タンパク質由来のペプチドを意味する。
本明細書において使用するとき、用語「感染性疾患」は、感染性病原体の感染、増殖等により引き起こされる疾患を意味する。
上記感染性疾患としては特に限定されず、例えば、アデノウイルス(例えば、ヒトアデノウイルス)、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス又はカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)、ピコルナウイルス(例えば、ポリオウイルス、風邪ウイルス又はA型肝炎ウイルス)ポックスウイルス(例えば、痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス又は伝染性軟属腫ウイルス)、ピコルナウイルス(例えば、ライノウイルス又はエンテロウイルス)、オルソミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、パラインフルエンザウィルス、おたふく風邪ウイルス、はしかウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)又はニューカッスル病ウイルス)、パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス)、トガウイルス(例えば、風疹ウイルス)、コロナウイルス(例えば、SARSコロナウイルス)、ヘパドナウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス)、フラビウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、西ナイル熱ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、C型肝炎ウイルス又はG型肝炎ウイルス)、ヘペウイルス(例えば、E型肝炎ウイルス)、パピローマウイルス(例えば、ヒト乳頭腫ウイルス)、カリシウイルス(例えば、ノロウイルス)、ラブドウイルス(例えば、狂犬病ウイルス又は水疱性口内炎ウイルス)、フィロウイルス(例えば、エボラ出血熱ウイルス)、アレナウイルス(例えば、ラッサウイルス又はD型肝炎ウイルス)、ブニヤウイルス(例えば、カリフォルニア脳炎ウイルス又はリフトバレー熱ウイルス)、レオウイルス(例えば、ロタウイルス)又はレトロウィルス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)又は成人T細胞白血病ウイルス)による感染から罹る疾患などのウイルス疾患、エシェリキア属、エンテロバクター、サルモネラ、ブドウ球菌、赤痢菌、リステリア、アエロバクター、ヘリコバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、連鎖球菌、クラミジア、マイコプラズマ、肺炎球菌、ナイセリア、クロストリジウム、バシラス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア、クロモバクテリウム、ブルセラ、エルシニア、ヘモフィルス又はボルデテラ等の細菌感染から罹る疾患等の細菌疾患;クラミジア、カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコックス髄膜炎等の真菌疾患;マラリア、ニューモシステイスカリニ肺炎、レーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症及びトリパノソーマ感染等が挙げられる。
上述したペプチドは、遊離形又は薬理学的に許容される任意の塩形の形態をとりうる。
例えば、酸塩(酢酸塩、TFA塩、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、臭化水素酸塩、コハク酸塩、硝酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、プロピオン酸塩、蟻酸塩、安息香酸塩、ピクリン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ドデシル硫酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、グルタル酸塩、種々のアミノ酸塩等)、金属塩(例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩)、アルミニウム塩等)、アミン塩(例えば、トリエチルアミン塩、ベンジルアミン塩、ジエタノールアミン塩、t−ブチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、アルギニン塩、ジメチルアンモニウム塩、アンモニウム塩等)等が挙げられる。なかでも酢酸塩又はTFA塩が好ましい。
上述したペプチドは、周知の方法で合成又は産生し、単離及び精製して入手できる。
本発明のワクチン医薬組成物は、上記抗原を含む細胞性免疫誘導のための投与用ワクチン組成物であって、上記組成物を投与された免疫評価用モデル動物における抗原特異的CD8陽性T細胞のPD―1レセプター発現割合が好ましくは40%以下の範囲とするものであり、より好ましくは20%〜40%の範囲とするものである。
また、本発明のワクチン医薬組成物は、投与された免疫評価用モデル動物における抗原特異的CD8陽性T細胞のアポトーシス誘導の割合が好ましくは30%以下の範囲とすることで、細胞性免疫を効果的に誘導することができるものである。
上記抗原特異的CD8陽性T細胞のアポトーシス誘導割合は、免疫評価用モデル動物を用いた免疫誘導実験及び抗原特異的なCD8陽性T細胞を認識するTetramerを用いたフローサイトメトリー(FACS)により測定することができる。抗原特異的CD8陽性T細胞のアポトーシス誘導割合を測定するためのサンプルは、免疫評価用モデル動物の脾臓またはリンパ節である。
また、上記抗原特異的CD8陽性T細胞のPD−1レセプターの発現割合についても、上述したFACSにより測定することができる。抗原特異的CD8陽性T細胞のPD−1レセプター発現割合を測定するためのサンプルは、免疫評価用モデル動物の脾臓またはリンパ節である。
本発明のワクチン医薬組成物は、投与された免疫評価用モデル動物における抗原特異的なTh1/Treg割合が制御されるものであり、Th1/Treg割合の範囲は、例えば、0.001%以上、0.01%以上、0.1%以上、1%以上、10%以上、30%以上である。Th1細胞は、細胞性免疫を増強させる細胞であり、Th1/Treg割合は高ければ高いほど好ましく、100%が最も好ましい。
上記抗原特異的なTh1/Treg割合は、上述したFACSにより測定することができる。抗原特異的なTh1/Treg割合を測定するためのサンプルは、免疫評価用モデル動物の脾臓またはリンパ節である。
本発明のワクチン医薬組成物は、第一の細胞性免疫誘導促進剤を更に含むことが好ましい。
本明細書において使用するとき、用語「細胞性免疫誘導促進剤」は、共に投与された抗原の細胞性免疫を誘導する効率を、それなしでの効率と比較して改善しうるあらゆる物質を意味するものであり、細胞性免疫誘導を促進する作用機構によって限定されないが、本明細書で特定されたものを意味する。
上記第一の細胞性免疫誘導促進剤としては、例えば、TLR1/2リガンド、TLR2及びDectin1リガンド、TLR2/6リガンド、TLR3リガンド、TLR5リガンド、TLR7及び/又はTLR8リガンド並びにTLR9リガンド等のTLRリガンド;環状ジGMP及び環状ジAMP等の環状ジヌクレオチド;ベスタチン、ピドチモド及びレバミゾール塩酸塩等の免疫調節低分子薬物;エトドラク及びロキソプロフェン等のシクロオキシゲナーゼ阻害剤;EP2受容体拮抗薬、EP4受容体拮抗薬、DP受容体拮抗薬及びIP受容体拮抗薬等のプロスタグランジン受容体拮抗薬;EP3受容体作動薬等のプロスタグランジン受容体作動薬;塩化ベルベリン及びナリンゲニン等のTSLP産生抑制剤;2’,5’−ジデオキシアデノシン及びナイアシン等のアデニル酸シクラーゼ阻害剤;エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸等のオメガ3脂肪酸;PPAR−α作動薬、PPAR−δ作動薬及びPPAR−γ作動薬等のPPAR作動薬;D1受容体拮抗薬及びD5受容体拮抗薬等のドーパミン受容体拮抗薬;D2受容体作動薬、D3受容体作動薬及びD4受容体作動薬等のドーパミン受容体作動薬;H1受容体拮抗薬及びH2受容体拮抗薬等のヒスタミン受容体拮抗薬;H1受容体作動薬、H3受容体作動薬及びH4受容体作動薬等のヒスタミン受容体作動薬;5−HT2受容体拮抗薬、5−HT4受容体拮抗薬、5−HT6受容体拮抗薬及び5−HT7受容体拮抗薬等のセロトニン受容体拮抗薬;5−HT1受容体作動薬及び5−HT2受容体作動薬等のセロトニン受容体作動薬;V2受容体拮抗薬等のバソプレシン受容体拮抗薬;V1受容体作動薬等のバソプレシン受容体作動薬;M1受容体拮抗薬、M3受容体拮抗薬、M5受容体拮抗薬等のムスカリン受容体拮抗薬;M1受容体作動薬、M2受容体作動薬、M3受容体作動薬、M4受容体作動薬及びM5受容体作動薬等のムスカリン受容体作動薬;α1受容体拮抗薬、β1受容体拮抗薬、β2受容体拮抗薬及びβ3受容体拮抗薬等のアドレナリン受容体拮抗薬;α1受容体作動薬及びα2受容体作動薬等のアドレナリン受容体作動薬;AT2受容体作動薬等のアンジオテンシン受容体作動薬;GABA受容体作動薬等のGABA受容体作動薬;PAR−1受容体拮抗薬等のトロンビン受容体拮抗薬;PAR−1受容体作動薬等のトロンビン受容体作動薬;ブプレノルフィン等のオピオイド受容体作動薬;CysLT1受容体拮抗薬及びCysLT2受容体拮抗薬等のロイコトリエン受容体拮抗薬;BLT受容体作動薬等のロイコトリエン受容体作動薬;アデノシン二リン酸等のADP受容体作動薬;メラトニン等のメラトニン受容体作動薬;オクトレチオド等のソマトスタチン受容体作動薬;ドロナビノール等のカンナビノイド受容体作動薬;フィンゴリモド等のスフィンゴシン1リン酸受容体作動薬;mGluR2受容体作動薬、mGluR3受容体作動薬、mGluR4受容体作動薬、mGluR6受容体作動薬、mGluR7受容体作動薬及びmGluR8受容体作動薬等の代謝型グルタミン酸受容体作動薬;グリチルリチン酸等のホスホリパーゼA2阻害剤;ピルフェニドン等のTGF−β産生抑制剤;トシル酸スプラタスト等のTh2サイトカイン阻害剤等の使用が好適である。なかでも、上記第一の細胞性免疫誘導促進剤としては、TLRリガンド及び/又はシクロオキシゲナーゼ阻害剤が好ましく、経皮投与における上記第一の細胞性免疫誘導促進剤としては、TLR7リガンドがより好ましい。
本明細書において使用するとき、用語「シクロオキシゲナーゼ阻害剤」は、シクロオキシゲナーゼ(COX)の機能を阻害する物質を意味する。以下、「COX阻害剤」とも称する。COX阻害剤には、特定のシクロオキシゲナーゼ(例えば、COX−1、COX−2)に選択的に作用するものや、選択性を有しないものがある。本発明において用い得るCOX阻害剤としては、エトドラク、ロキソプロフェン、セレコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、レミラコキシブ、メロキシカム、テノキシカム、ジクロフェナク、メフェナム酸、トルフェナム酸、フルフェナム酸、メクロフェナム酸、ニフルム酸、ベンジダミン、インドブフェン、トリフルサール、トルメチン、フェノプロフェン、チアプロフェン酸、フェルビナク、ネパフェナク、アンフェナク、プラバトリン、ザルトプロフェン、スリンダク、ナブメトン、ジフルニサル、ピロキシカム、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、アスピリン、サリチル酸メチル、サリチルアミド、サルサラート、アロキシプリン、トルメチン、インドメタシン、プログルメタシン、アセメタシン、フルルビプロフェン、プラノプロフェン、アセトアミノフェン、フロフタフェン、ロルノキシカム、テノキシカム、チアプロフェン酸、オキサプロジン、ケトプロフェン、デクスケトプロフェン、デノキシブプロフェン、アルミノプロフェン、ケトロラク、モフェゾラク、フェニルブタゾン、オキシフェニルブタゾン、ケトフェニルブタゾン、フェプラゾン、スルフィンブタゾン、エテンザミド、チアラミド、チノリジン、エピリゾール、エモルファゾン及びそれらの誘導体、並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。なかでも、エトドラク及び/又は下記式で表されるロキソプロフェンが好ましい。
上記ロキソプロフェンは、下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「プロスタグランジン受容体拮抗薬」は、プロスタグランジンが受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記プロスタグランジン受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、EP2受容体拮抗薬、EP4受容体拮抗薬、DP受容体拮抗薬、IP受容体拮抗薬が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「EP2受容体拮抗薬」は、プロスタグランジンE2がEP2受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記EP2受容体拮抗薬は、特に限定されず、例えば、AH6809及びその誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記AH6809は、下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「EP4受容体拮抗薬」は、プロスタグランジンEがEP4受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記EP4受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、GW627368X及びその誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記GW627368Xは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「DP受容体拮抗薬」は、プロスタグランジンDがDP受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記DP受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、S−5751、BWA868C及びその誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記BWA868Cは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「IP受容体拮抗薬」は、プロスタグランジンIがIP受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記IP受容体拮抗薬は特に限定されないが、例えば、RO1138452及びその誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記RO1138452は下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「プロスタグランジン受容体作動薬」は、当該物質自体がプロスタグランジン受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記プロスタグランジン受容体作動薬は特に限定されず、例えばEP3受容体作動薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「EP3受容体作動薬」は、当該物質自体がEP3受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記EP3受容体作動薬は特に限定されず、例えば、スルプロストン、GR63799、クロプロステノール、ONO−AE−248、カルバサイクリン及びその誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記スルプロストンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「TSLP産生抑制剤」は、TSLPの産生を抑制する機能を有する物質を意味する。
上記TSLP産生抑制剤は特に限定されず、例えば、ナリンゲニン、ベルベリン、レスベラトール、ルテオリン、アピゲニン、クリソエリオール、ベルチン、ルチン、ヘスペリジン、ケルセチン、ダイゼイン、ゲニステイン及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記ベルベリンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「アデニル酸シクラーゼ阻害剤」は、アデニル酸シクラーゼの活性を抑制する機能を有する物質を意味する。
上記アデニル酸シクラーゼ阻害剤は特に限定されず、例えば、2’,5’−ジデオキシアデノシン、ナイアシン、インスリン及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記2’,5’−ジデオキシアデノシンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「オメガ3脂肪酸」は、不飽和脂肪酸の分類の1つで、ω−3位に炭素−炭素二重結合を持つものを意味する。
上記オメガ3脂肪酸は特に限定されず、例えば、エイコサペンタエン酸、α−リノレン酸、ドコサヘキサエン酸及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記エイコサペンタエン酸は下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「PPAR作動薬」は、当該物質自体がペルオキシソーム増殖因子活性化受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記PPAR作動薬は特に限定されず、例えば、PPAR−α作動薬、PPAR−δ作動薬及びPPAR−γ作動薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「PPAR−α作動薬」は、当該物質自体がα型ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「PPAR−δ作動薬」は、当該物質自体がδ型ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「PPAR−γ作動薬」は、当該物質自体がα型ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
PPAR−α作動薬及び/又はPPAR−δ作動薬及び/又はPPAR−γ作動薬は特に限定されず、例えば、クロフィブラート、フェノフィブラート、ベザフィブラート、シプロフィブラート、エトフィブラートロイコトリエンB4、テルミサルタン、オレイルエタノールアミド、テトラデシルチオ酢酸、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、バラグリタゾン、リボグリタゾン、シダグリタゾン、ダルグリタゾン、エダグリタゾン、ネトグリダゾン、インデグリタザル、テサグリタザル、ムラグリタザル、アレグリタザル及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記クロフィブラートは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「ドーパミン受容体拮抗薬」は、ドーパミンが受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記ドーパミン受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、D1受容体拮抗薬、D5受容体拮抗薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「D1受容体拮抗薬」は、ドーパミンがD1受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記D1受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、ベンザゼピン、フェノルドパム、ロルカセリン、SCH23390、SCH39166、LE300及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記ベンザゼピンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「D5受容体拮抗薬」は、ドーパミンがD5受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記D5受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、SCH39166及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記SCH39166は下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「ドーパミン受容体作動薬」は、当該物質自体がドーパミン受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記ドーパミン受容体作動薬は特に限定されず、例えば、D2受容体作動薬、D3受容体作動薬、D4受容体作動薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「D2受容体作動薬」は、当該物質自体がD2受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記D2受容体作動薬は特に限定されず、例えば、カベルゴリン、ブロモクリプチン、ペルゴリド、ロピニロール、タリペキソール、アリピプラゾール、ルラシドン、及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記ロピニロールは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「D3受容体作動薬」は、当該物質自体がD3受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記D3受容体作動薬は特に限定されず、例えば、ピリベジル、ロチゴチン、PD1289077、OH−DPAT及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記ロチゴチンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「D4受容体作動薬」は、当該物質自体がD4受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記D4受容体作動薬は特に限定されず、例えば、フリバンセリン、ABT724、PD168077、CP226269及びそれらの誘導体、並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記フリバンセリンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「ヒスタミン受容体拮抗薬」は、ヒスタミンが受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記ヒスタミン受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、H1受容体拮抗薬、H2受容体拮抗薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「H1受容体拮抗薬」は、ヒスタミンがH1受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記H1受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、ケタンセリン、トンジルアミン、メピラミン、トリペレナミン、ジメチンデン、クレマスチン、バミピン、イソチペンジル、クロルフェノキサミン、ジメトチアジン、クロルプロマジン、ヒドロキシジン、オピプラモール、ベタヒスチン、シンナリジン、レボカバスチン、アンタゾリン、ジフェニルピラリン、カルビノキサミン、ドキシラミン、アリメマジン、シクリジン、メクロジン、レボセチリジン、シプロヘプタジン、フェニンダミン、トリプロリジン、アザタジン、アステミゾール、テルフェナジン、アクリバスチン、エバスチン、デスロラタジン、ルパタジン、ビラスチン、ミゾラスチン、ノベラスチン、ロカスチン、テメラスチン、ベボタスチン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、ケトチフェン、プロメタジン、シプロヘプタジン、エピナスチン、オロパタジン、ヘポスタジン、アステミゾール、エメダスチン、メタキジン、オキサトミド、ロラタジン、フェキソフェナジン、セチリジン、アゼラスチン、及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記ジフェンヒドラミンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「H2受容体拮抗薬」は、ヒスタミンがH2受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記H2受容体拮抗薬は特に限定されず、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、ロキサチジン、ラフチジン及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記ファモチジンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「ヒスタミン受容体作動薬」は、当該物質自体がヒスタミン受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記ヒスタミン受容体作動薬は特に限定されず、例えば、H1受容体作動薬、H3受容体作動薬、H4受容体作動薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「H1受容体作動薬」は、当該物質自体がH1受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記H1受容体作動薬は特に限定されず、例えば、2−ピリジルエチルアミン、2−チアゾリルエチルアミン及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記2−ピリジルエチルアミンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「H3受容体作動薬」は、当該物質自体がH3受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記H3受容体作動薬は特に限定されず、例えば、Imethridine、Imetit、Immepip、α−メチルヒスタミン、プロキシファン及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記プロキシファンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「H4受容体作動薬」は、当該物質自体がH4受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記H4受容体作動薬は特に限定されず、例えば、4−メチルヒスタミン、VUF8430、Immepip及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記4−メチルヒスタミンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「セロトニン受容体拮抗薬」は、セロトニンが受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記セロトニン受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、5−HT2受容体拮抗薬、5−HT4受容体拮抗薬、5−HT6受容体拮抗薬、5−HT7受容体拮抗薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「5−HT2受容体拮抗薬」は、セロトニンが5−HT2受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記5−HT2受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、ピゾチフェン、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、ブロナンセリン、クロザピン、パリペリドン、リタンセリン、ヨヒンビン、メスレルギン、アゴメラチン、シクロベンザプリン、サルボグレラート、メチセルギド、ケタンセリン及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記オランザピンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「5−HT4受容体拮抗薬」は、セロトニンが5−HT4受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記5−HT4受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、ピボセロド、GR113808、GR125487、RS39604、SB204070及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記ピボセロドは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「5−HT6受容体拮抗薬」は、セロトニンが5−HT6受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記5−HT6受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、セルラピルジン、クロザピン及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記セルラピルジンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「5−HT7受容体拮抗薬」は、セロトニンが5−HT7受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記5−HT7受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、メテルゴリン及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記メテルゴリンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「セロトニン受容体作動薬」は、当該物質自体がセロトニン受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記セロトニン受容体作動薬は特に限定されず、例えば、5−HT1受容体作動薬、5−HT2受容体作動薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「5−HT1受容体作動薬」は、当該物質自体が5−HT1受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記5−HT1受容体作動薬は特に限定されず、例えば、ピクロゾタン、タンドスピロン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン、アルモトリプタン、フロバトリプタン、アビトリプタン、エルゴタミン、麦角アルカロイド及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記ゾルミトリプタンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「5−HT2受容体作動薬」は、当該物質自体が5−HT2受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記5−HT2受容体作動薬は特に限定されず、例えば、α―メチル−5−HT、アゴメラチン、ノルフェンフルラミン、メトクロロフェニルピペラジン及びそれらの誘導体、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記アゴメラチンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「バソプレシン受容体拮抗薬」は、バソプレシンが受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記バソプレシン受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、V2受容体拮抗薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「V2受容体拮抗薬」は、バソプレシンがV2受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記V2受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、トルバプタン、モザバプタン、コニバプタン、リキシバプタン及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記モザバプタンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「バソプレシン受容体作動薬」は、当該物質自体がバソプレシン受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記バソプレシン受容体作動薬は特に限定されず、例えば、V1受容体作動薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「V1受容体作動薬」は、当該物質自体がV1受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記V1受容体作動薬は特に限定されず、例えば、バソプレシン、フェリプレシン、デスモプレシン、ライプレシン、テルリプレシン、オルニプレシン、アルギプレシン及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記デスモプレシンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「ムスカリン受容体拮抗薬」は、当該物質自体がムスカリン受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記ムスカリン受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、M1受容体拮抗薬、M3受容体拮抗薬、M5受容体拮抗薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「M1受容体拮抗薬」は、アセチルコリンがM1受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。用語「M3受容体拮抗薬」は、アセチルコリンがM3受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。用語「M5受容体拮抗薬」は、アセチルコリンがM5受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記M1受容体拮抗薬及び/又は上記M3受容体拮抗薬及び/又は上記M5受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、ピレンゼピン、アトロピン、トリメブチン、ピペリドレート、オキシブチニン、トロピカミド、プロピベリン、トルテロジン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、イミダフェナシン、オキシフェンサイクリミン、チオトロピウム臭化物、エスオキシブチニン、チキジウム及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記オキシブチニンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「ムスカリン受容体作動薬」は、当該物質自体がムスカリン受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記ムスカリン受容体作動薬は特に限定されず、例えば、M1受容体作動薬、M2受容体作動薬、M3受容体作動薬、M4受容体作動薬、M5受容体作動薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「M1受容体作動薬」は、当該物質自体がM1受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「M2受容体作動薬」は、当該物質自体がM2受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「M3受容体作動薬」は、当該物質自体がM3受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「M4受容体作動薬」は、当該物質自体がM4受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「M5受容体作動薬」は、当該物質自体がM5受容体に作用する機能を有する物質を意味する。上記M1受容体作動薬及び/又は上記M2受容体作動薬及び/又は上記M3受容体作動薬、及び/又は上記M4受容体作動薬及び/又は上記M5受容体作動薬は特に限定されず、例えば、アセチルコリン、アセクリジン、アルバメリン、タルサクリジン、キサノメリン、ピロカルピン、セビメリン、ベタネコール、マザチコール、ムスカリン及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記ベタネコールは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「アドレナリン受容体拮抗薬」は、アドレナリンが受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記アドレナリン受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、α1受容体拮抗薬、β1受容体拮抗薬、β2受容体拮抗薬、β3受容体拮抗薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「α1受容体拮抗薬」は、アドレナリンがα1受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記α1受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、プラゾシン、ドキサゾシン、ブナゾシン、トリマゾシン、アルフゾシン、シロドシン、テラゾシン、タムスロシン及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記タムスロシンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「β1受容体拮抗薬」は、アドレナリンがβ1受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。用語「β2受容体拮抗薬」は、アドレナリンがβ2受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。用語「β3受容体拮抗薬」は、アドレナリンがβ3受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記β1受容体拮抗薬及び/又は上記β2受容体拮抗薬及び/又は上記β3受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、ボピンドロール、ピンドロール、チモロール、ジクロロイソプレナリン、アルプレノロール、カルテオロール、インデノロール、ブニトロロール、ペンブトロール、プロプラノロール、ナドロール、ニプラジロール、チリソロール、アセブトロール、セリプロロール、メトプロロール、アテノロール、ビソプロロール、ベタキソロール、プラクトロール、ベバントロール、ブトキサミン、カルベジロール、アモスラロール、アロチノロール、ラベタロール及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記プロプラノロールは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「アドレナリン受容体作動薬」は、当該物質自体がアドレナリン受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記アドレナリン受容体作動薬は特に限定されず、例えば、α1受容体作動薬、α2受容体作動薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「α1受容体作動薬」は、当該物質自体がα1受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「α2受容体作動薬」は、当該物質自体がα2受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記α1受容体作動薬及び/又はα2受容体作動薬は特に限定されず、例えば、ノルエピネフリン、ノルフェネフリン、エチレフリン、ナファゾリン、フェニレフリン、ミトドリン、メトキサミン、オキセドリン、メタラミノール、アルブタミン、エフェドリン、オキシメタゾリン、テトリゾリン、キシロメタゾリン、トラマゾリン、プソイドエフェドリン、ジピベフリン、アミデフリン、メチルエフェドリン、リルメニジン、ブリモニジン、、メデトミジン、キシラジン、チザニジン、グアンファシン、メチルドーパ、グアナベンス及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記キシラジンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「アンジオテンシン受容体作動薬」は、当該物質自体がアンジオテンシン受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記アンジオテンシン受容体作動薬は特に限定されず、例えば、AT2受容体作動薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「AT2受容体作動薬」は、当該物質自体がAT2受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記AT2受容体作動薬は特に限定されず、例えば、ノボキニン、アンジオテンシン及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記アンジオテンシンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「GABA受容体作動薬」は、当該物質自体がGABA受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記GABA受容体作動薬は特に限定されず、例えば、GABA受容体作動薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「GABA受容体作動薬」は、当該物質自体がGABA受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記GABA受容体作動薬は特に限定されず、例えば、バクロフェン、γ―アミノ酪酸、アルバクロフェン及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記バクロフェンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「トロンビン受容体拮抗薬」は、トロンビンが受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記トロンビン受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、PAR−1受容体拮抗薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「PAR−1受容体拮抗薬」は、トロンビンがPAR−1受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記PAR−1受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、ボラパクサール、アトパキサ、FR171113、RWJ56110、ダビガトラン、ダビガトランエテキシレート、メラガトラン、キシメラガトラン、ヒルジン、ヒロログ、アルガトロバン及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記ボラパクサールは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「トロンビン受容体作動薬」は、当該物質自体がトロンビン受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記トロンビン受容体作動薬は特に限定されず、例えば、PAR−1受容体作動薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「PAR−1受容体作動薬」は、当該物質自体がPAR−1受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記PAR−1受容体作動薬は特に限定されず、例えば、TRAP−6、TRAP−14、NAT6−NH及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記TRAP−6は下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「オピオイド受容体作動薬」は、当該物質自体がオピオイド受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記オピオイド受容体作動薬は特に限定されず、例えば、トリメブチン、アルビモパン、モルフィン、オキシコドン、ジヒドロコデイン、ジアモルフィン、ペチジン、ペンタゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、チリジン、デゾシン、メプタジノール、タペンタドール、ナルトレキソン、メタドン、エチルモルフィン、ヒドロコドン、アセチルジヒドロコデイン、ナロルフィン、ナロキソン、レモキシプリド、オピプラモール及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記ブプレノルフィンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「ロイコトリエン受容体拮抗薬」は、ロイコトリエンが受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記ロイコトリエン受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、CysLT1受容体拮抗薬、CysLT2受容体拮抗薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「CysLT1受容体拮抗薬」は、ロイコトリエンがCysLT1受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。用語「CysLT2受容体拮抗薬」は、ロイコトリエンがCysLT2受容体に作用するのを妨げる機能を有する物質を意味する。
上記CysLT1受容体拮抗薬、及び/又はCysLT2受容体拮抗薬は特に限定されず、例えば、モンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩などが挙げられる。
上記モンテルカストの薬理学的に許容される塩としては、例えば、モンテルカストナトリウムなどが挙げられる。
上記モンテルカストナトリウムは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「ロイコトリエン受容体作動薬」は、当該物質自体がロイコトリエン受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記ロイコトリエン受容体作動薬は特に限定されず、例えば、BLT受容体作動薬が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「BLT受容体作動薬」は、当該物質自体がBLT受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記BLT受容体作動薬は特に限定されず、ロイコトリエンB4、CAY10583及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記ロイコトリエンB4は下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「ADP受容体作動薬」は、当該物質自体がADP受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記ADP受容体作動薬は特に限定されず、例えば、アデノシン二リン酸及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記アデノシン二リン酸は下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「メラトニン受容体作動薬」は、当該物質自体がメラトニン受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記メラトニン受容体作動薬は特に限定されず、メラトニン、ペルラピン、タシメルテオン及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記メラトニンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「ソマトスタチン受容体作動薬」は、当該物質自体がメラトニン受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記ソマトスタチン受容体作動薬は特に限定されず、例えば、ソマトスタチン、オクトレチオド及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記オクトレチオドは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「カンナビノイド受容体作動薬」は、当該物質自体がカンナビノイド受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記カンナビノイド受容体作動薬は特に限定されず、例えば、ドロナビノール、ナビロン、レボナントラドール、オテナバント、GW833972A、GW405833及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記ドロナビノールは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「スフィンゴシン1リン酸受容体作動薬」は、当該物質自体がスフィンゴシン1リン酸受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記スフィンゴシン1リン酸受容体作動薬は特に限定されず、例えば、フィンゴリモド及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記フィンゴリモドは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「代謝型グルタミン酸受容体作動薬」は、当該物質自体が代謝型グルタミン酸受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記代謝型グルタミン酸受容体作動薬は特に限定されず、例えば、mGluR2受容体作動薬、mGluR3受容体作動薬、mGluR4受容体作動薬、mGluR6受容体作動薬、mGluR7受容体作動薬、mGluR8受容体作動薬等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「mGluR2受容体作動薬」は、当該物質自体がmGluR2受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「mGluR3受容体作動薬」は、当該物質自体がmGluR3受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「mGluR4受容体作動薬」は、当該物質自体がmGluR4受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「mGluR6受容体作動薬」は、当該物質自体がmGluR6受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「mGluR7受容体作動薬」は、当該物質自体がmGluR7受容体に作用する機能を有する物質を意味する。用語「mGluR8受容体作動薬」は、当該物質自体がmGluR8受容体に作用する機能を有する物質を意味する。
上記mGluR2受容体作動薬及び/又は上記mGluR3受容体作動薬及び/又は上記mGluR4受容体作動薬及び/又は上記mGluR6受容体作動薬及び/又は上記mGluR7受容体作動薬及び/又は上記mGluR8受容体作動薬は特に限定されず、例えば、VU0361737、VU0155041、ビフェニルインダノンA、PBDA、L−AP4及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記VU0361737は下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「ホスホリパーゼA2阻害剤」は、ホスホリパーゼA2の活性を抑制する機能を有する物質を意味する。
上記ホスホリパーゼA2阻害剤は特に限定されず、例えば、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記グリチルレチン酸は下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「TGF−β産生抑制剤」は、TGF−βの産生を抑制する機能を有する物質を意味する。
上記TGF−β産生抑制剤は特に限定されず、例えば、ピルフェニドン、トラニラスト及びその誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記ピルフェニドンは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「Th2サイトカイン阻害剤」は、IL−4、IL−5といったTh2サイトカインの産生を抑制する機能を有する物質を意味する。
上記Th2サイトカイン阻害剤は特に限定されず、スプラタスト及びその誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。
上記スプラタストの薬理学的に許容される塩としては、例えば、トシル酸スプラタストが挙げられ、Th2サイトカイン阻害剤としてはトシル酸スプラタストが好ましい。
上記トシル酸スプラタストは下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「TLRリガンド」は、Toll様受容体(TLR)のリガンドを意味する。
上記TLRリガンドは特に限定されず、例えば、TLR1〜9のリガンド等が挙げられ、具体的には、例えば、TLR1/2リガンド、TLR2/6リガンド、TLR2及びDectin1リガンド、TLR3リガンド、TLR4リガンド、TLR5リガンド、TLR7及び/又はTLR8リガンド、TLR9リガンド等が挙げられる。なかでもTLR1/2リガンド、TLR2及びDectin1リガンド、TLR3リガンド、TLR4リガンド、TLR7及び/又はTLR8リガンド、及び/又はTLR9リガンドが好ましい。
本明細書において使用するとき、用語「TLR1/2リガンド」は、Toll様受容体(TLR)1及びToll様受容体(TLR)2のヘテロダイマーのリガンドを意味する。上記TLR1/2リガンドは特に限定されず、例えば、細菌の細胞壁由来のトリアシル化リポタンパク及びその塩が挙げられる。これらは抽出物、生成物又は合成品であってもよい。なかでも下記式で表されるPamCSKが好ましい。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「TLR2及びDectin1リガンド」は、Toll様受容体(TLR)2及びβ1,3−グルカン受容体(Dectin1)のリガンドを意味する。
上記TLR2及びDectin1リガンドは特に限定されず、例えば、真菌の細胞壁由来のβ1,3−グルカン及びその塩が挙げられる。これらは抽出物、生成物又は合成品であってよい。なかでも酵母細胞壁由来のZymosanが好ましい。
本明細書において使用するとき、用語「TLR3リガンド」は、Toll様受容体(TLR)3のリガンドを意味する。
上記TLR3リガンドは特に限定されず、例えば、ウイルス由来の二本鎖RNA(dsRNA)及びその塩等が挙げられる。これらは抽出物、生成物又は合成品であってもよい。なかでも、合成品であるポリイノシンポリシチジン酸(Poly(I:C))及び/又はその塩が好ましい。
本明細書において使用するとき、用語「TLR7及び/又はTLR8リガンド」は、Toll様受容体(TLR)7及び/又はTLR8のリガンドを意味する。
上記TLR7及び/又はTLR8リガンドは特に限定されず、例えば、一本鎖RNA、イミキモド、レシキモド(R848)、TLR7−II、ロキソリビン、ブロピリミン等が挙げられる。なかでも、イミキモド、レシキモド、TLR7−II、ブロピリミンが好ましい。
上記イミキモドは下記式で表される1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンであり、例えば、特表平7−505883号公報にその特徴及び製造法が記載されている。
Figure 2016034944
上記レシキモドは、下記式で表される4−アミノ−2−(エトキシメチル)−α,α−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノールである。
Figure 2016034944
上記TLR7−IIは、下記式で表される。
Figure 2016034944
上記ブロピリミンは、下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「TLR9リガンド」は、Toll様受容体(TLR)9のリガンドを意味する。
上記TLR9リガンドは特に限定されないが、ODN1826が好ましい。これらは抽出物、生成物又は合成品であってよい。上記ODN1826は、下記の配列(配列番号12)からなるオリゴデオキシヌクレオチドである。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「TLR2/6リガンド」は、Toll様受容体(TLR)2及びToll様受容体(TLR)6のヘテロダイマーのリガンドを意味する。
上記TLR2/6リガンドは特に限定されず、例えば、マイコプラズマの細胞壁由来のジアシル化リポタンパク及びその塩が挙げられる。これらは抽出物、生成物又は合成品であってよい。なかでも、PamCSK、MALP−2、FSL−1が好ましい。
上記PamCSKは、下記式で表される。
Figure 2016034944
上記FSL−1は、下記式で表される。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「TLR5リガンド」は、Toll様受容体(TLR)5のリガンドを意味する。
上記TLR5リガンドは特に限定されないが、例えば、フラジェリンが好ましい。これらは抽出物、生成物又は合成品であってもよい。
Toll様受容体(TLR)は、そのin vivo活性化によって特異的サイトカイン、ケモカイン及び成長因子が関与する先天性免疫応答を開始させる、I型膜貫通タンパク質のファミリーである。全てのTLRが一定の細胞内シグナル伝達分子、例えば核性因子κB(NF−κB)及びマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPキナーゼ)などを活性化することができる一方で、放出されるサイトカイン及びケモカインの特異的集合物は各TLRに固有なようである。TLR3、7、8、及び9は、免疫細胞(樹状細胞及び単球など)のエンドソーム区画又はリソソーム区画中に存在するTLRのサブファミリーを含む。具体的には、TLR3は、樹状細胞や繊維芽細胞など広範囲な細胞によって発現され、TLR7は、形質細胞様樹状細胞によって発現され、且つより少ない程度で単球によって発現され、TLR8は、単球ならびに単球由来樹状細胞及び骨髄性樹状細胞によって発現され、TLR9は、形質細胞様樹状細胞によって発現される。このサブファミリーは、微生物核酸(一本鎖RNA、二本鎖RNA、一本鎖DNAなど)の認識を媒介する。TLR3、TLR7及び/又はTLR8、TLR9のアゴニストは、種々の炎症性サイトカイン(例えばインターロイキン−6、インターロイキン−12、TNF−α、及びインターフェロン−γが含まれる)の産生を刺激する。かかるアゴニストはまた、共刺激分子(例えばCD40、CD80、及びCD86など)、主要組織適合性複合体分子、及びケモカイン受容体の発現の増加を促進する。I型インターフェロン(IFNα及びIFNβ)はまた、TLR7及び/又はTLR8アゴニストでの活性化の際に細胞によって産生される。
本明細書において使用するとき、用語「環状ジヌクレオチド」は、2個のヌクレオチドの糖部分のOH基2個が、各々同一のリン酸分子に対してエステルを生成し、環状化した分子及びその類似体を意味する。
上記環状ジヌクレオチドは特に限定されず、例えば、環状ジAMP(c−di−AMP)、環状ジGMP(c−di−GMP)、c−dGpGp、c−dGpdGp、c−GpAp、c−GpCp、c−GpUp等が挙げられる。なかでも環状ジGMP及び/又は環状ジAMPが好ましい。
上記環状ジヌクレオチドは、樹状細胞又はT細胞を活性化し、アジュバントとして使用されることが知られており、例えば、特表2007−529531号公報(特許文献5)にその特徴及び製造方法が記載されている。
上記環状ジGMPは下記式を有し、Kawai et al., Nucleic Acids Research Suppl.3:103−4にその合成方法が記載されている。
Figure 2016034944
本明細書において使用するとき、用語「免疫調節低分子薬物」は、T細胞、NK細胞、マクロファージ等の免疫細胞を活性化又は抑制する物質のうち、上述したTLRリガンド、環状ジヌクレオチド、ヘルパーペプチド、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、プロスタグランジン受容体拮抗薬、プロスタグランジン受容体作動薬、TSLP産生抑制剤、アデニル酸シクラーゼ阻害剤、オメガ3脂肪酸、PPAR作動薬、ドーパミン受容体拮抗薬、ドーパミン受容体作動薬、ヒスタミン受容体作動薬、ヒスタミン受容体拮抗薬、セロトニン受容体作動薬、セロトニン受容体拮抗薬、バソプレシン受容体拮抗薬、バソプレシン受容体作動薬、ムスカリン受容体拮抗薬、ムスカリン受容体作動薬、アドレナリン受容体拮抗薬、アドレナリン受容体作動薬、アンジオテンシン受容体作動薬、GABA受容体作動薬、トロンビン受容体拮抗薬、トロンビン受容体作動薬、オピオイド受容体作動薬、ADP受容体作動薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、ロイコトリエン受容体作動薬、メラトニン受容体作動薬、ソマトスタチン受容体作動薬、カンナビノイド受容体作動薬、スフィンゴシン1リン酸受容体作動薬、代謝型グルタミン酸受容体作動薬、ホスホリパーゼA2阻害剤、TGF−β産生抑制剤、及びTh2サイトカイン阻害剤のいずれにも該当しないものを意味する。
上記免疫調節低分子薬物は特に限定されず、例えば、ベスタチン、ピドチモド、レバミゾール、ゴロチモド、ホルフェニシノール及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩等が挙げられる。具体的には、例えば、レバミゾールの薬理学的に許容される塩としては、レバミゾール塩酸塩等が挙げられる。
上記ベスタチンは下記式で表される。
Figure 2016034944
上記ピドチモドは下記式で表される。
Figure 2016034944
上記レバミゾール塩酸塩は下記式で表される。
Figure 2016034944
本発明において、上記免疫調節低分子薬物は、通常、分子量1000未満、好ましくは500未満の化合物である。本発明の好ましい態様において、免疫調節低分子薬物は、ベスタチン、ピドチモド及びレバミゾール塩酸塩からなる群より選択される1種以上の化合物である。
本発明のワクチン医薬組成物は、複数回投与されることにより細胞性免疫を誘導するものであることが好ましい。
本発明のワクチン医薬組成物は、2回目以降の投与における細胞性免疫誘導効果が、2回目以降の投与の前回の投与における細胞性免疫誘導効果と比較して、100%以上であることが好ましい。
上記細胞性免疫誘導効果は、免疫評価用モデル動物を用いた免疫誘導実験及びELISPOT方法(IFN−γ)により測定することができる。細胞性免疫を測定するためのサンプルは、免疫評価用モデル動物の脾臓である。
本発明のワクチン医薬組成物は、組成物中の抗原1重量部に対して、第一の細胞性免疫誘導促進剤を150重量部以上の重量比率で含むことが好ましい。
上記抗原と上記第一の細胞性免疫誘導促進剤とを上述した比率で投与することで、抗原特異的CD8陽性T細胞のアポトーシス誘導を好適な割合で抑制することができ、細胞性免疫を効果的に誘導することができる。
本明細書において使用する、投与された抗原の重量に対する投与された第一の細胞性免疫誘導促進剤の重量比率は、免疫評価用モデル動物の体内に実際に投与された抗原及び第一の細胞性免疫誘導促進剤の重量比率を意味する。
皮下、比内又は静脈内注射により投与するためのワクチン医薬組成物において、投与された抗原の重量に対する投与された第一の細胞性免疫誘導促進剤の重量の比率は、免疫マウスに注射した投与量と同じである。すなわち、本発明のワクチン医薬組成物中における、抗原の重量に対する第一の細胞性免疫誘導促進剤の重量の比率と同じである。
一方、経皮又は経粘膜投与により投与するためのワクチン医薬組成物において、実際に投与された抗原及び実際に投与された第一の細胞性免疫誘導促進剤は、皮膚又は粘膜の拡散抵抗により影響を受けるため、免疫マウスに経皮又は経粘膜投与された投与量と同じとは限らない。上記皮膚又は粘膜の拡散抵抗は、抗原及び第一の細胞性免疫誘導促進剤の分子量、親水度、疎水度により影響を受ける。したがって、本発明のワクチン医薬組成物中に含まれる抗原の重量に対する第一の細胞性免疫誘導促進剤の重量の比率は、抗原及び第一の細胞性免疫誘導促進剤の皮膚又は粘膜の拡散抵抗に対応して、抗原及び/又は第一の細胞性免疫誘導促進剤を増加又は減少させることで制御することができる。
具体的には、経皮投与用のワクチン医薬組成物では、ワクチン医薬組成物中の抗原1重量部に対する第一の細胞性免疫誘導促進剤の重量比率を、0.0001〜1000重量部とすることで、実際に投与された抗原1重量部に対する実際に投与された細胞性免疫誘導促進剤の重量比率を、150重量部以上とすることができる。抗原や第一の細胞性免疫誘導促進剤の刺激の観点から、好ましくは投与された抗原1重量部に対する投与された第一の細胞性免疫誘導促進剤の重量比率は、3000重量部以下である。
本発明のワクチン医薬組成物は、ヘルパーペプチドである第二の細胞性免疫誘導促進剤を更に含むことが好ましい。
上記ヘルパーペプチドである第二の細胞性免疫誘導促進剤を併用することで、細胞性免疫をさらに促進することができる。
本明細書において使用するとき、用語「ヘルパーペプチド」は、ヘルパーT細胞を活性化するあらゆるペプチドを意味する。
上記ヘルパーペプチドは特に限定されないが、例えば、結核菌由来ヘルパーペプチド、麻疹ウイルス由来ヘルパーペプチド、B型肝炎ウイルス由来ヘルパーペプチド、C型肝炎ウイルス由来ヘルパーペプチド、トラコーマクラミジア由来ヘルパーペプチド、熱帯性マラリア原虫スポロゾイド由来ヘルパーペプチド、keyhole limpet haemocyanin由来ヘルパーペプチド、破傷風毒素由来ヘルパーペプチド、百日咳毒素由来ヘルパーペプチド、ジフテリア毒素由来ヘルパーペプチド、癌細胞由来ヘルパーペプチド(例えば、IMA−MMP−001ヘルパーペプチド、CEA−006ヘルパーペプチド、MMP−001ヘルパーペプチド、TGFBI−004ヘルパーペプチド、HER−2/neu(aa776−790)ヘルパーペプチド、AE36ヘルパーペプチド、AE37ヘルパーペプチド、MET−005ヘルパーペプチド、BIR−002ヘルパーペプチドなど)、ユニバーサルヘルパーアナログ(例えば、PADRE)等が挙げられる。なかでもPeptide−25、改変Peptide−25、PADREが好ましい。上記改変Peptide−25としては、例えばPeptide−25B等が挙げられる。
本明細書において使用するとき、用語「Peptide−25」は、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)によって分泌される主要タンパク質の一つであるAg85Bのアミノ酸残基240〜254に対応する、配列Phe Gln Asp Ala Tyr Asn Ala Ala Gly Gly His Asn Ala Val Phe(配列番号13)からなる15アミノ酸のペプチドを意味する。
本明細書において使用するとき、用語「Peptide−25B」は、免疫賦活効果を高めるためにPeptide−25の一部アミノ酸を改変したしたものであり、配列Phe Gln Asp Ala Tyr Asn Ala Val His Ala Ala His Ala Val Phe(配列番号14)からなる15アミノ酸のペプチドを意味する。
本明細書において使用するとき、用語「PADRE」は、配列D−Ala Lys cyclohexyl−Ala Val Ala Ala Trp Thr Leu Lys Ala Ala D−Ala(配列番号15)からなる13アミノ酸のペプチドを意味する。
また、上述するヘルパーペプチドに代えて、又はこれと組み合わせて、上記ヘルパーペプチドの全部または一部のアミノ酸が置換や修飾等により改変されたペプチド(以下、「改変ヘルパーペプチド」と称する)も使用することができる。
改変ヘルパーペプチドは、例えば、元のヘルパーペプチドのアミノ酸配列において、1個から数個、例えば1個、2個、3個、4個または5個のアミノ酸が置換、欠失または付加されたアミノ酸配列からなるペプチド、及び、元のヘルパーペプチドのアミノ酸配列において、全部または一部のアミノ酸、例えば1個または複数個、例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個又は15個のアミノ酸が修飾されたアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。
上記改変ヘルパーペプチドが有し得るアミノ酸の「修飾」は特に限定されず、例えば、アセチル化、メチル化などのアルキル化、グリコシル化、ヒドロキシル化、カルボキシル化、アルデヒド化、リン酸化、スルホニル化、ホルミル化、ミリストイル化やパルミトイル化やステアロイル化のような脂肪鎖付加修飾、オクタノイル化、エステル化、アミド化、脱アミド化、シスチン修飾やグルタチオン修飾やチオグリコール酸修飾のようなジスルフィド結合形成修飾、糖化、ユビキチン化、スクシンイミド形成、グルタミル化及びプレニル化等が挙げられる。また、改変ヘルパーペプチドは、1個以上のアミノ酸の置換、欠失又は付加と、1個以上のアミノ酸の修飾を組み合わせて含むものであってもよい。
本明細書において使用するとき、用語「対象」は、実用段階においてワクチン医薬組成物を投与して免疫応答を誘導し得るいずれかの動物、典型的にはヒトを含む哺乳類、例えばマウス、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、サル、チンパンジー等を意味する。特に好ましい対象は、ヒトである。
本明細書において使用するとき、用語「免疫評価用モデル動物」は、ワクチン医薬組成物の免疫誘導特性を評価するためのモデル動物を意味し、具体的には細胞性免疫誘導レベルを評価するためのモデル動物を意味する。免疫評価用モデル動物としては、ワクチン医薬組成物中の抗原と、動物のMHCクラス1分子との適合性を考慮し、ワクチン医薬組成物中の抗原による細胞性免疫誘導が評価可能な動物を用いる。例えばHLA−A24型MHC拘束性クラス1ペプチドを含むワクチン医薬組成物の場合は、BALB/cマウスで評価する。HLA−A02型MHC拘束性ペプチドを含むワクチン医薬組成物の場合は、HLA−A02型MHC拘束性ペプチドによる細胞性免疫誘導を評価可能な遺伝子改変マウスで評価する。他のHLA型のMHC拘束性ペプチドを含むワクチン医薬組成物の場合は、そのHLA型のMHC拘束性ペプチドによる細胞性免疫誘導を評価可能な動物で評価する。蛋白抗原を含むワクチン医薬組成物の場合は、蛋白抗原のアミノ酸配列中に含まれるクラス1エピトープのうち、細胞性免疫誘導したいクラス1エピトープと適合性のあるMHCを有する動物で評価する。経皮投与部位を確保するために毛刈りをした場合は、毛刈りによる皮膚ダメージを十分に回復させた状態の動物を用いる。
本明細書において使用するとき、本発明の医薬組成物に含有させ得る「薬理学的に許容される塩」とは、投与対象に有害な作用を及ぼさず、かつ、該医薬組成物中の成分の薬理活性を消失させない塩を意味する。無機酸塩(例えば塩酸塩やリン酸塩)、有機酸塩(例えば酢酸塩やフタル酸塩、TFA塩)、金属塩(アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩)、アルミニウム塩など)、アミン塩(トリエチルアミン塩、ベンジルアミン塩、ジエタノールアミン塩、t−ブチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、アルギニン塩、ジメチルアンモニウム塩、アンモニウム塩など)を含むが、これらに限定されない。
<経皮投与用ワクチン医薬組成物>
本明細書において使用するとき、用語「経皮投与用」医薬組成物は、経皮投与に通常使用されるいずれかの製剤、例えばリニメント剤若しくはローション剤等の外用液剤、エアゾール剤等の外用スプレー剤、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゲル剤又はテープ剤若しくはパップ剤等の貼付剤であってよい。これらの組成物の区分、定義、性質、製法等は、当該技術分野において周知であり、例えば日本薬局方第16版を参照されたい。また、これらの材料としては、特に限定されず、従来公知のものが使用できる。
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物における抗原の含有量は特に限定されないが、組成物の総重量に基づき、好ましい下限は0.001重量%、好ましい上限は100重量%であり、より好ましい下限は0.01重量%、より好ましい上限は70重量%であり、更に好ましい下限は0.1重量%、更に好ましい上限は40重量%である。
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物における第一の細胞性免疫誘導促進剤の含有量は特に限定されないが、抗原1重量部に対して、好ましい下限は0.0001重量部、好ましい上限は1000重量部であり、より好ましい下限は0.001重量部、より好ましい上限は100重量部であり、更に好ましい下限は0.01重量部、更に好ましい上限は10重量部である。
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物における第二の細胞性免疫誘導促進剤の含有量は特に限定されないが、抗原1重量部に対して、好ましい下限は0.0001重量部、好ましい上限は1000重量部であり、より好ましい下限は0.001重量部、好ましい上限は100重量部であり、更に好ましい下限は0.01重量部、更に好ましい上限は10重量部である。
上記含有量が下限値未満であると、免疫誘導効果が充分に得られないことがある。上記含有量が上限値を超えると、安全性が問題となることがある。
上記リニメント剤用基材としては特に限定されないが、例えば、水、エタノール、脂肪油、例えば硬パラフィン、軟パラフィン、液パラフィン、グリセリン、パラフィン油、蜜蝋、金属石鹸;粘液(mucilage);天然油[例:アーモンド油、コーン油、ピーナッツ油、ヒマシ油、オリーブ油、又はそれらの誘導体(例えば、ポリオキシルヒマシ油)];羊脂若しくはその誘導体、脂肪酸及び/又はエステル(例:ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル)が挙げられる。
上記ローション剤としては特に限定されないが、例えば、活性成分を水性の液中に微細に均質分散した製剤であり、懸濁性ローション剤と、乳濁性ローション剤とがある。懸濁化剤としては、例えばアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ベントナイン等が挙げられる。乳化剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
上記膏基材としては特に限定されないが、例えば、一般に疎水性基材としての油脂類、ロウ、炭化水素化合物等を用いることができる。具体的には、軟膏基材としては、黄色ワセリン、白色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、プラスチベース、シリコーン等の鉱物性基材、ミツロウ、動植物性油脂等の動植物性基材等が挙げられる。
上記クリーム剤用基材としては特に限定されないが、例えば、親水軟膏、バニシングクリーム等の水/油型基材;親水ワセリン、精製ラノリン、アクアホール、オイセリン、ネオセリン、加水ラノリン、コールドクリーム、親水プラスチベース等の油/水型基材等が挙げられる。
上記ゲル基材としては特に限定されないが、例えば、ヒドロゲル基材としてのカルボキシビニルポリマー、ゲルベース、無脂肪性軟膏、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デンプン、キサンタンガム、カラヤガム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、トラガント、アラビアゴム、タラガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、寒天、ジェランガム、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアーガム、カラギーナン、デキストリン、デキストラン、アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、プルラン、キトサン、カルボキシメチルスターチナトリウム、プランタゴ種皮、ガラクトマンナン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、メチルアクリレート・メタクリル酸・メチルメタアクリレートコポリマー、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、カゼイン、アルギン酸アルキルエステル、ゼラチン、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記パップ剤用基材としては特に限定されないが、例えば、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、カオリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、グリセリン、プロピレングリコール、水等が挙げられる。
上記テープ剤は、配合成分(即ち、上記抗原、上記第一の細胞性免疫誘導促進剤、必要に応じて上記第二の細胞性免疫誘導促進剤等)を含有する粘着剤層と、上記粘着剤層を支持する支持体とを有することが好ましい。使用前に上記粘着剤層を露出させず、使用時に上記粘着剤層から容易に剥離できる剥離ライナーを更に有していてもよい。
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物がテープ剤の形態である場合、上記テープ剤(以下、「本発明のテープ剤」とも称する)の粘着剤層は、抗原を含み、所望により、さらに第一の細胞性免疫誘導促進剤を含む。本発明のテープ剤の粘着剤層は、抗原を、粘着剤層の総重量に基づき、好ましくは0.01〜40重量%、より好ましくは0.1〜30重量%含む。本発明のテープ剤の粘着剤層が第一の細胞性免疫誘導促進剤を含む場合、細胞性免疫誘導促進剤は、粘着剤層の総重量に基づき、好ましくは0.001〜30重量%、より好ましくは0.01〜20重量%含まれる。
上記粘着層を形成する粘着剤は特に限定されないが、例えば、アクリル系重合体からなるアクリル系粘着剤;スチレン−ジエン−スチレンブロック共重合体(例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体など)、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリブタジエン等のゴム系エラストマーを含むゴム系粘着剤;シリコーンゴム、ジメチルシロキサンベース、ジフェニルシロキサンベース等のシリコーン系粘着剤;ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系粘着剤;酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル系粘着剤;ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジメチルフタレート等のカルボン酸成分と、エチレングリコール等の多価アルコール成分とからなるポリエステル系粘着剤等が挙げられる。特に好ましい粘着剤は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤である。これらの粘着剤はその固形分として、粘着剤層中に、粘着剤層の総重量に基づき、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは20〜80重量%含まれる。
アクリル系粘着剤としては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸C2〜18アルキルエステルを第1の単量体として含む重合体を主成分とするアクリル酸エステル系粘着剤が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1の単量体)の例としては、アルキル基の炭素数が1〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル、シクロヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルなど)である(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられ、アルキル基の炭素数が4〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基(例えば、ブチル、ペンチル、へキシル、シクロヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルなど)である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。さらに、常温で粘着性を与えるために、重合体のガラス転移温度を低下させるモノマー成分の使用がさらに好適であることから、アルキル基の炭素数が4〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基(例えば、ブチル、ペンチル、へキシル、シクロヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシルなど、好ましくは、ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、特に好ましくは2−エチルヘキシル)である(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。具体的にはアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸シクロへキシルなどがより好ましく、中でも、アクリル酸2−エチルへキシルが最も好ましい。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1単量体成分)は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、アクリル系粘着剤は、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な第2の単量体を含有してもよく、この第2の単量体としては、架橋剤を用いる際の架橋点となりうる官能基を有する単量体が挙げられる。架橋反応に関与できる官能基としては、水酸基、カルボキシル基、ビニル基などが挙げられ、水酸基及びカルボキシル基が好ましい。当該単量体(第2単量体成分)の具体例としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸などが挙げられる。これらのうち、入手の容易性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチルエステル(特に、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)が好ましく、アクリル酸が最も好ましい。これらの単量体(第2単量体成分)は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、アクリル系粘着剤は、所望により、第2の単量体以外に第3の単量体を含有してもよい。第3の単量体としては、第3単量体成分)としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニルアミド類;(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシエステル;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルアクリレートなどの水酸基含有モノマー(第3単量体成分としての使用なので架橋点とはしない);(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのアミド基を有する(メタ)アクリル酸誘導体;(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルエステルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールエステルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキレングリコールエステル;(メタ)アクリロニトリル;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルスルホン酸などのスルホン酸を有するモノマー;ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリンなどのビニル基含有モノマーなどが挙げられる。これらの中でも、ビニルエステル類、ビニルアミド類が好ましく、ビニルエステル類は酢酸ビニルが好ましく、ビニルアミド類はN−ビニル−2−ピロリドンが好ましい。これらの単量体(第3単量体成分)は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1単量体成分)と、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー(第2単量体成分)との共重合体である場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマーとは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル:架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー=99〜85:1〜15の重量比で配合して共重合させることが好ましく、99〜90:1〜10の重量比がより好ましい。
また、当該アクリル系粘着剤が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1単量体成分)と、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー(第2単量体成分)と、これら以外の他のモノマー(第3単量体成分)との共重合体である場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマーと、これら以外の他のモノマーとは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル:架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー:これら以外の他のモノマー=40〜94:1〜15:5〜50の重量比で配合して共重合させることが好ましく、50〜89:1〜10:10〜40の重量比がより好ましい。
重合反応は、自体公知の方法で行えばよく特に限定されないが、例えば、上記のモノマーを、重合開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなど)を添加して、溶媒(例えば、酢酸エチルなど)中で、50〜70℃で5〜48時間反応させる方法が挙げられる。
本発明における特に好ましいアクリル系粘着剤としては、例えば、アクリル酸2−エチルへキシルエステル/アクリル酸/N−ビニル−2−ピロリドンの共重合体、アクリル酸2−エチルへキシルエステル/N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド/N−ビニル−2−ピロリドンの共重合体、アクリル酸、2−エチルへキシルエステル/アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル/酢酸ビニルの共重合体、アクリル酸2−エチルへキシルエステル/アクリル酸の共重合体等であり、より好ましくは、アクリル酸2−エチルへキシルエステル/アクリル酸/N−ビニル−2−ピロリドンの共重合体である。
所望により、これらのアクリル系粘着剤に、紫外線照射や電子線照射などの放射線照射による物理的架橋、三官能性イソシアネートなどのイソシアネート系化合物や有機過酸化物、有機金属塩、金属アルコラート、金属キレート化合物、多官能性化合物(多官能性外部架橋剤やジアクリレートやジメタクリレートなどの多官能性内部架橋用モノマー)などの各種架橋剤を用いた化学的架橋処理を施してもよい。
上記ゴム系粘着剤としては特に限定されないが、例えば、ポリイソブチレン・ポリブテン系、スチレン・ジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン系、ニトリル系、クロロプレン系、ビニルピリジン系、ポリイソブチレン系、ブチル系、イソプレン・イソブチレン系等のゴム系エラストマーが配合されたゴム系粘着剤が挙げられる。中でも、ペプチド及びその細胞性免疫誘導促進剤に対する溶解性及び皮膚接着性の点から、ポリイソブチレン(PIB)、スチレン・ジエン・スチレンブロック共重合体〔例えば、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)等〕等が好ましく使用され、これらは混合して用いてもよい。
また、ゴム系粘着剤は、適度な粘着力及び薬剤溶解性を得るために、同一成分又は異なる成分で平均分子量の異なるゴム系エラストマーを混合して使用することができる。例えば、ポリイソブチレンを例に挙げて説明すると、平均分子量150,000〜5,500,000の高分子量のポリイソブチレンと、平均分子量10,000〜150,000の中分子量のポリイソブチレン及び/又は平均分子量500〜4,000の低分子量のポリイソブチレンとの混合物が好ましい。ここで、ポリイソブチレンの全体量に対して、高分子量のポリイソブチレンの配合量は10〜80重量%であり、好ましくは20〜70重量%である。ポリイソブチレンの全体量に対して、中分子量のポリイソブチレンの配合量は0〜90重量%であり、好ましくは10〜80重量%である。ポリイソブチレンの全体量に対して、低分子量のポリイソブチレンの配合量は0〜80重量%であり、好ましくは10〜60重量%である。
本発明における平均分子量とは、Floryの粘度式から計算される粘度平均分子量を意味し、シュタウディンガーインデックス(J)を、20℃にてウベローデ粘度計のキャピラリー1のフロータイムからSchulz−Blaschke式により算出し、このJ値を用いて下記式により求めるものである。
Figure 2016034944
上記ゴム系粘着剤には、適度な粘着性を付与するために、例えば、ロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、テルペン−フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂等の粘着付与剤が配合されていてもよい。粘着付与剤は、これら1種又は2種以上をゴム系粘着剤の総重量に基づいて、50重量%以下、好ましくは5〜40重量%の割合で配合することができる。
シリコーン系粘着剤としては、ポリオルガノシロキサン系、ポリジメチルシロキサン系、又はポリジメチルジフェニル−シロキサン系等からなるシリコーン系粘着剤が挙げられる。中でも、Dow Corning CorporationからのBIO PSA等の商業的に入手可能なシリコーン系粘着剤等が好ましく使用される。
粘着剤層を支持する支持体としては特に限定されるものではないが、実質的にペプチドや細胞性免疫誘導促進剤に対して不透過性を有するもの、即ち粘着剤層中に含まれるペプチド、細胞性免疫誘導促進剤、添加剤等が支持体中を通って背面から失われて含有量の低下を引き起こさないものが好ましい。
支持体としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、アイオノマー樹脂、金属箔等の単独フィルム又はこれらの積層フィルム等を用いることができる。これらのうち、支持体と粘着剤層との接着性(投錨性)を良好とするために、支持体を上記材質からなる無孔のプラスチックフィルムと、多孔質フィルムとの積層フィルムとすることが好ましい。この場合、粘着剤層は多孔質フィルム側に形成することが望ましい。これ等の多孔質フィルムとしては、粘着剤層との投錨性が向上するものが採用されるが、具体的には紙、織布、不織布、編布、機械的に穿孔処理を施したシート等が挙げられる。これらのうち、取り扱い性等の観点から、特に紙、織布、不織布が好ましい。多孔質フィルムは、投錨性向上、テープ剤の柔軟性及び貼付操作性等の点から、厚み1〜200μmの範囲のものが採用される。また、多孔質フィルムとして織布や不織布を用いる場合、目付量を好ましくは5〜30g/m、より好ましくは6〜15g/mとするのがよい。
最も好適な支持体としては、厚さ1.5〜6μmのポリエステルフィルム(好ましくは、ポリエチレンテレフタレートフィルム)と、目付量6〜15g/mのポリエステル(好ましくは、ポリエチレンテレフタレート)製不織布との積層フィルムが挙げられる。
本発明のテープ剤は、使用時まで粘着剤層の粘着面を保護するために、粘着面に剥離ライナーを積層することが望ましい。剥離ライナーとしては、剥離処理され、充分に軽い剥離力を確保できれば特に限定されるものではないが、例えば、粘着剤層との接触面にシリコーン樹脂、フッ素樹脂等を塗布することによって剥離処理が施された、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム、上質紙、グラシン紙等の紙、又は上質紙若しくはグラシン紙等とポリオレフィンとのラミネートフィルム等が用いられる。剥離ライナーの厚みは、好ましくは10〜200μm、より好ましくは25〜100μmである。剥離ライナーとしては、バリアー性、価格等の点から、ポリエステル(特に、ポリエチレンテレフタレート)樹脂からなるものが好ましい。
さらに、この場合、取り扱い性の点から、25〜100μm程度の厚みを有するものが好ましい。
また、本発明のワクチン医薬組成物は、必要に応じて、添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、基材の主成分、抗原及び細胞性免疫誘導促進剤との適合性、意図する投与レジメン等に応じて、例えば、等張化剤、防腐・殺菌剤、酸化防止剤、溶解剤、溶解補助剤、懸濁化剤、充填剤、pH調節剤、安定化剤、吸収促進剤、放出速度制御剤、着色剤、可塑剤、架橋剤、粘着剤等、あるいはそれらの2種以上の組合せから選択され得る。また、本発明の医薬組成物がテープ剤の形態である場合、該テープ剤は添加剤として皮膚透過性増強剤を含み得る。
明細書において使用するとき、用語「皮膚透過性増強剤」は、経皮投与される抗原が皮膚を透過する効率を、それなしでの効率と比較して、改善しうるあらゆる物質を意味する。皮膚透過性増強剤としては、室温(25℃)で液状、すなわち流動性を有するもの、又は2種以上を混合して用いる場合には、最終的に混合物が室温(25℃)で液状となり、吸収促進効果を有するものであれば特に限定されない。かかる有機液状成分としては粘着剤層との相溶性の観点から疎水性液状成分が好ましい。
かかる皮膚透過性増強剤としては、例えば、オレイルアルコール、オクチルドデカノールなどの高級アルコール;グリセリン、エチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール;オレイン酸、カプリル酸などの高級脂肪酸;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチルなどの脂肪酸エステル;セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピルなどの多塩基酸エステル;トリイソステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ソルビタン、ジカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなどの多価アルコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;スクアラン、流動パラフィンなどの炭化水素;オリーブ油、ヒマシ油などの植物油;シリコーン油;N−メチルピロリドン、N−ドデシルピロリドン等のピロリドン類;デシルメチルスルホキシド等のスルホキシドなどが挙げられ、これらは1種で、又は2種以上を混合して使用することができる。
ゴム系又はアクリル系の粘着剤を用いる場合、第二の皮膚透過性増強剤を用いることができる。具体的な第二の皮膚透過性増強剤は、例えば、ポリビニルピロリドン、クロスポビドン、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース等又はそれらの混合物を含むが、これらに限定されない、好ましい態様において、本発明の第二の皮膚透過性増強剤は、ポリビニルピロリドン、クロスポビドン及び/又はポリプロピレングリコールである。
上記皮膚透過性増強剤としては、抗原ペプチドの皮膚透過性増強の観点から、高級アルコール、より具体的には、炭素数8〜18(好ましくは8〜14)の高級アルコール、脂肪酸エステル、より具体的には、炭素数8〜18(好ましくは12〜16)の脂肪酸と炭素数が1〜18の1価アルコールとの脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルなど、特に脂肪酸エステル、特にミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、又はセバシン酸ジエチルが好ましく用いられる。かかる皮膚透過性増強剤の量は、粘着剤層の総重量に基づいて、好ましくは0.1重量%〜70重量%、より好ましくは1重量%〜65重量%、更に好ましくは5重量%〜60重量%である。皮膚透過性増強剤の割合が0.1重量%以上である場合、高い経皮吸収促進効果が得られる。70重量%以下である場合、粘着剤層全体の粘着力、凝集力の低下を抑制しつつ、高い経皮吸収性が得られるので有利である。
<粘膜投与用ワクチン医薬組成物>
本発明の粘膜投与用ワクチン医薬組成物は、対象における種々の抗原の粘膜投与において高い細胞性免疫誘導効果を発揮するものである。
本明細書において使用するとき、用語「粘膜投与用」医薬組成物は、粘膜投与、例えば舌下、経鼻、頬側、直腸又は膣投与に通常使用されるいずれかの製剤、例えばゲル剤(ゼリー剤)、クリーム剤、軟膏剤、硬膏剤などの半固形剤、液剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、フィルム剤や錠剤、口腔内崩壊錠等の固形製剤、エアゾール剤等の粘膜用スプレー剤、吸引剤等であってよい。これらの組成物の区分、定義、性質、製法等は、当該技術分野において周知であり、例えば日本薬局方第16版を参照されたい。また、これらの材料としては特に限定されず、従来公知のものが使用できる。
本発明の経粘膜投与用ワクチン医薬組成物における抗原の含有量は特に限定されないが、組成物の総重量に基づき、好ましい下限は0.00001重量%、好ましい上限は100重量%であり、より好ましい下限は0.0001重量%、より好ましい上限は10重量%であり、更に好ましい下限は0.001重量%、更に好ましい上限は1重量%である。
本発明の経粘膜投与用ワクチン医薬組成物における第一の細胞性免疫誘導促進剤の含有量は特に限定されないが、抗原1重量部に対して、好ましい下限は0.001重量部、好ましい上限は100000重量部であり、より好ましい下限は0.01重量部、より好ましい上限は10000重量部であり、更に好ましい下限は0.1重量部、更に好ましい上限は1000重量部である。
本発明の経粘膜投与用ワクチン医薬組成物における第二の細胞性免疫誘導促進剤の含有量は特に限定されないが、抗原1重量部に対して、好ましい下限は0.001重量部、好ましい上限は100000重量部であり、より好ましい下限は0.01重量部、好ましい上限は10000重量部であり、更に好ましい下限は0.1重量部、更に好ましい上限は1000重量部である。
上記含有量が下限値未満であると、免疫誘導効果が充分に得られないことがある。上記含有量が上限値を超えると、安全性が問題となることがある。
上記液剤用溶媒としては特に限定されないが、例えば、適量の水又はエタノール、グリセリン、プロピレングリコール等の溶媒を用いることができ、当該溶媒に成分を分散又は溶解させて液剤を調製する事ができる。
上記ゲル剤(ゼリー剤)用基材としては特に限定されないが、例えば、ヒドロゲル基材としてのカルボキシビニルポリマー、ゲルベース、無脂肪性軟膏、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デンプン、キサンタンガム、カラヤガム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、トラガント、アラビアゴム、タラガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、寒天、ジェランガム、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアーガム、カラギーナン、デキストリン、デキストラン、アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、プルラン、キトサン、カルボキシメチルスターチナトリウム、プランタゴ種皮、ガラクトマンナン、オイドラギット、カゼイン、アルギン酸アルキルエステル、ゼラチン、ポリエチレングリコール等を用いることができる。これらの基材を溶媒に溶解し流動性のあるゲル剤や成形性があるゲル剤を調製する事ができる。溶媒としては、好ましくは水であるが、グリセリンやプロピレングリコールも用いる事ができる。
上記クリーム剤用基材としては特に限定されないが、例えば、親水軟膏、バニシングクリーム等の水/油型基材;親水ワセリン、精製ラノリン、アクアホール、オイセリン、ネオセリン、加水ラノリン、コールドクリーム、親水プラスチベース等の油/水型基材が挙げられる。これらの基材を油脂系溶媒又は水に入れ、ホモジナイザー等で高速攪拌させる事によりクリーム剤を調製する事ができる。
上記フィルム剤用基材としては特に限定されないが、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デンプン、キサンタンガム、カラヤガム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カンテン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、トラガント、アラビアゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、カラギーナン、デキストリン、デキストラン、アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、プルラン、キトサン、カルボキシメチルスターチナトリウム、プランタゴ種皮、ガラクトマンナン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、メチルアクリレート・メタクリル酸・メチルメタアクリレートコポリマー、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、カゼイン、アルギン酸アルキルエステル等が挙げられる。これらの基材を水又はエタノール等の極性有機溶媒に溶解し、薄膜塗工後、乾燥させる事によりフィルム剤を調製する事ができる。一つの好ましい態様において、本発明の粘膜投与用ワクチン医薬組成物は、フィルム状製剤の形態である。
上記散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤用添加剤としては特に限定されないが、例えば、乳糖やコーンスターチ、結晶セルロースといった賦形剤、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム等の結合剤、さらに適量の水又はエタノール等の溶媒を用い、混合攪拌した後、造粒、乾燥、打錠といった工程を組み合わせて調製する事ができる。必要であればステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ショ糖等のコーティング剤を添加してもよい。
上記口腔内崩壊錠(凍結乾燥型)用基材としては特に限定されないが、例えば、ゼラチンやプルラン等の多糖類が挙げられる。また成形剤としてマンニトール、トレハロース、ソルビトール、グリシン等を用いても良い。これら添加剤を水に溶解し、分注後凍結乾燥させる事により口腔内崩壊錠(凍結乾燥型)を調製する事ができる。一つの好ましい態様において、本発明の粘膜投与用ワクチン医薬組成物は、口腔内崩壊錠の形態である。
上記エアゾール剤としては特に限定されないが、例えば、内容物として液剤や流動性が高いゲル剤、クリーム剤、散剤等の微粉末が挙げられる。これらを、噴霧デバイスを用いて気体中に固体又は液体の微粒子を分散させる事により、効率良く口腔粘膜、経鼻粘膜といった投与部位に投与する事が可能である。
<皮内、皮下、筋肉内投与用ワクチン医薬組成物>
本発明の皮内、皮下、筋肉内投与用ワクチン医薬組成物は、対象における種々の抗原の皮内、皮下、筋肉内への投与において高い細胞性免疫誘導効果を発揮するものである。
本明細書において使用するとき、用語「皮内、皮下、筋肉内投与用」医薬組成物は、例えば液剤、懸濁剤、クリーム剤等の注射投与可能なある程度の流動性を有する様態であればよい。これらの組成物の区分、定義、性質、製法等は、当該技術分野において周知であり、例えば日本薬局方第16版を参照されたい。また、これらの材料としては特に限定されず、従来公知のものが使用できる。
本発明の皮内、皮下又は筋肉内投与用ワクチン医薬組成物における抗原の含有量は特に限定されないが、組成物の総重量に基づき、好ましい下限は0.0000001重量%、好ましい上限は0.01重量%であり、より好ましい下限は0.000001重量%、より好ましい上限は0.001重量%であり、更に好ましい下限は0.00001重量%、更に好ましい上限は0.0001重量%である。
本発明の皮内、皮下又は筋肉内投与用ワクチン医薬組成物における第一の細胞性免疫誘導促進剤の含有量は特に限定されないが、抗原1重量部に対して、好ましい下限は1重量部、好ましい上限は1000000重量部であり、より好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は100000重量部であり、更に好ましい下限は200重量部、更に好ましい上限は10000重量部である。
本発明の皮内、皮下又は筋肉内投与用ワクチン医薬組成物における第二の細胞性免疫誘導促進剤の含有量は特に限定されないが、抗原1重量部に対して、好ましい下限は1重量部、好ましい上限は10000000重量部であり、より好ましい下限は10重量部、好ましい上限は100000重量部であり、更に好ましい下限は200重量部、更に好ましい上限は10000重量部である。
上記含有量が下限値未満であると、免疫誘導効果が充分に得られないことがある。上記含有量が上限値を超えると、安全性が問題となることがある。
上記液剤用溶媒としては特に限定されないが、例えば、適量の水又は生理食塩水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール等の溶媒を用いることができ、当該溶媒に成分を分散又は溶解させて液剤を調製する事ができる。
上記水溶性懸濁剤用基材としては特に限定されないが、例えば、ヒドロゲル基材としてのカルボキシビニルポリマー、ゲルベース、無脂肪性軟膏、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デンプン、キサンタンガム、カラヤガム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、トラガント、アラビアゴム、タラガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、寒天、ジェランガム、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアーガム、カラギーナン、デキストリン、デキストラン、アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、プルラン、キトサン、カルボキシメチルスターチナトリウム、プランタゴ種皮、ガラクトマンナン、オイドラギット、カゼイン、アルギン酸アルキルエステル、ゼラチン、ポリエチレングリコール、等が挙げられる。これらの基材を溶媒に溶解し流動性のある懸濁剤を調製する事ができる。溶媒としては、好ましくは生理食塩水であるが、グリセリンやプロピレングリコールも用いる事ができる。
上記疎水性懸濁剤用基材としては特に限定されないが、例えば、親水軟膏、バニシングクリーム等の水/油型基材;親水ワセリン、精製ラノリン、アクアホール、オイセリン、ネオセリン、加水ラノリン、コールドクリーム、親水プラスチベース等の油/水型基材が挙げられる。これらの基材を油脂系溶媒又は水に入れ、ホモジナイザー等で高速攪拌させる事により油脂系懸濁剤を調製する事ができる。
上記皮内、皮下又は筋肉内投与用ワクチン医薬組成物は、必要に応じて、添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、基材の主成分、抗原及び第一の細胞性免疫誘導促進剤との適合性、意図する投与レジメン等に応じて、例えば、等張化剤、防腐・殺菌剤、酸化防止剤、溶解剤、溶解補助剤、懸濁化剤、充填剤、pH調節剤、安定化剤、吸収促進剤、放出速度制御剤、着色剤、可塑剤、粘着剤等、あるいはそれらの2種以上の組合せから選択され得る。
本発明のワクチン医薬組成物を対象に投与する際、上記抗原の治療上有効量は、疾患の重症度、対象の年齢及び相対的な健康ならびに他の既知の要因に依存して広範に変化しうるが、一般に、1日用量約0.1μg〜1g/kg体重で満足のいく結果が得られる。上記第一の細胞性免疫誘導促進剤は、上記抗原と同時又は逐次的に、好ましくは同時に投与される。上記第一の細胞性免疫誘導促進剤の有効量は、用いる具体的な第一の細胞性免疫誘導促進剤、他の細胞性免疫誘導促進剤の有無などに依存して広範に変化しうるが、一般に、0.01μg〜1g/kg体重で満足のいく結果が得られる。
なお、1日用量は、1回で投与してもよいが、2回以上、例えば2回、3回、4回又は5回等の複数回に分けて投与してもよい。1回あたり連続投与時間は、1分間〜7日間の間で適宜選択されることが好ましい。投与間隔は、毎日〜1年に1回(例えば、1日1回、2日に1回、3日に1回、1週間に1回、2週間に1回、1月に1回、3月に1回、6月に1回、1年に1回等)又はそれより長期の投与間隔から、患者の状態、疾患の重症度、治療目的か予防目的か等に応じて、適宜選択されることが好ましい。一般に、重度の疾患を現実に有する患者の治療目的では、より高頻度及び/又は高用量で抗原を投与し、疾患を有さない患者の予防目的では、より低頻度及び/又は低用量で抗原を投与することが好ましい。
本発明のワクチン医薬組成物は、細胞性免疫に必要な抗原特異的なCD8陽性T細胞を誘導し、さらに抗原特異的なCD8陽性T細胞のアポトーシス誘導を抑制させることにより、複数回における継続的な投与においても効果的に細胞性免疫を誘導することがでことが可能である。また、本発明のワクチン医薬組成物は、皮下注射及び皮内注射、筋肉内注射だけでなく、経皮投与及び粘膜投与も可能であるため、優れたコンプライアンス、例えば非侵襲的投与、無痛、注射の恐怖からの解放、投与が簡便なため患者が自ら投与可能であり、医療従事者の針刺し感染事故のリスクも回避でき、繰返し投与を行う場合の通院頻度の低減が可能となり患者の生活の質の向上に貢献でき、注射針等の特殊廃棄の必要な医療廃棄物が生じないという利点を有する。また、パップ剤やテープ剤等の貼付剤の形態であれば、所定の投与量を確実に投与でき、薬物放出速度を任意に制御でき、また、投与に際して他の部位に付着することがないという利点がある。更に、貼付剤は容易に着脱可能であるため、副作用が生じた場合等に適用部位から貼付剤を除去することによって患者自らが即座に投与を中止することができるという利点も有する。更に、本発明のワクチン医薬組成物の効能が、抗原の単独投与と比較して、顕著に向上するという利点も有する。
本発明のワクチン医薬組成物は、がんの処置、例えば治療、予防に有効である。
実施例3及び比較例6で得られた注射投与用液剤を皮下投与したときの抗原特異的CD8陽性T細胞のPD−1レセプターの発現を示す図である。
以下に実施例を示して本発明を更に詳細かつ具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1、2)
(経皮投与用のクリーム剤の調製)
下記表2の組成を有する経皮投与用クリーム剤を調製した。具体的には、表2中に明記した配合量で、下記に示した抗原ペプチド、第一の細胞性免疫誘導促進剤、ヘルパーペプチドである第二の細胞性免疫誘導促進剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)15重量%を配合し、そこに基材(ベースクリーム)を加えて全100重量%とし、混和して、経皮投与用クリーム剤を得た。用いたベースクリームは、表1に記載の組成にて材料を配合し、混和して調製したものとした。
PETフィルム/PET不織布積層品(面積0.7cm)を固定用粘着テープの中央部にPETフィルム側をテープ側にして貼り合わせた複合基材を用意した。この複合基材の不織布部分に経皮投与用クリーム剤4mgを塗布し、これを免疫試験の投与サンプルとした。
Figure 2016034944
白色ワセリン、モノステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸、ベンジルアルコール、ステアリルアルコール、ポリソルベート60、濃グリセリン、ジメチルスルホキシド(DMSO)は和光純薬工業から購入した。セタノールは東京化成工業から購入した。第一の細胞性免疫促進剤であるイミキモド(IMQ)はFerrer社、ロキソプロフェンナトリウム(LOX)は、(株)陽進堂社から購入した。また、第二の細胞性免疫促進剤としてPADREを使用した。
なお、OVAペプチドは、配列SIINFEKL(Ser Ile Ile Asn Phe Glu Lys Leu)(配列番号16)のアミノ酸ペプチドである。
<評価1>
実施例で得られた経皮投与用クリーム剤について、以下の評価を行った。
マウス免疫試験1(クリーム剤)
以下の手順に従って、上記経皮投与用クリーム剤を用いて、免疫評価用モデル動物を用いたマウス免疫試験を行った。その後、ELISPOT法により、抗原特異的な細胞性免疫の誘導レベルを評価した。
具体的には、マウス背部を毛刈りし、毛刈りによる皮膚ダメージを回復させるための飼育期間を設けた後、マウスの背部皮膚にサンプルを所定時間投与して除去し、所定日数の飼育を行い、抗原特異的な細胞性免疫の誘導レベルを評価した。最終投与から所定日数経過後に脾臓を摘出し、脾細胞懸濁液を調製した。抗マウスIFN−γ抗体を固定化したELISPOTプレートのウェルに、脾細胞(1×10cells/well)と抗原ペプチド(100μM)とを培養液とともに入れ、37℃、5%COの培養条件にて20時間、共培養し、ELISPOT法にてIFN−γ産生細胞スポット数(スポット数/1×10cells)を評価した。クリーム剤の投与量は、すべて4mg、投与回数は(24hr/週)×1回又は、(24hr/週)×2回で行い、脾臓摘出は最終投与から6日後とした。なお、(24hr/週)とは、1週間あたり24時間持続して経皮投与したことを示す。
さらに、対象における1回免疫によるIFN−γ産生細胞スポット数に対する2回免疫によるIFN−γ産生細胞スポット数をIFN−γ産生細胞の増減比率として測定した。その結果を、表2に示す。
(実施例3〜5、比較例1〜6)
(皮下投与用注射液剤の調製)
下記表2の組成を有する皮下投与用注射液剤を調製し、免疫実験の投与サンプルとした。具体的には、表2中に明記した配合量で、上記に示した抗原、第一の細胞性免疫誘導促進剤、ヘルパーペプチドである第二の細胞性免疫誘導促進剤を秤量して配合し、生理食塩水を加え1000μLとし、ホモジナイザーにて混和して、皮下投与用注射液剤を調製した。
<評価2>
実施例で得られた皮下投与用注射液剤について、以下の評価を行った。
マウス免疫試験2(注射剤)
以下の手順に従って、上記皮下投与用注射液剤を用いて、免疫評価用モデル動物を用いたマウス免疫試験を行った。
具体的には、上記マウス免疫試験1と同様の方法によりマウス免疫試験を行った。投与量は50μL、投与回数は1回又は2回、皮下に注射投与し、脾臓摘出は最終投与から6日後とした。その結果を、表2に示す。
マウス皮膚透過性試験(クリーム剤)
フランツ型拡散セルを用いて、OVAペプチド並びにイミキモド(IMQ)及びロキソプロフェン(LOX)の皮膚透過試験を行った。予め毛刈りをしたマウスの背部より摘出した皮膚を、37℃のリン酸バッファー(pH7.4等張緩衝液)を循環させたフランツ型拡散セル(適用面積4.91cm)に装着した。該装着した皮膚上に0.7cmの製剤を貼付し、24時間後にセル内の試料を採取した。採取した試料は、高速液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計に供し、予め定めておいた検量線より、24時間後の皮膚を透過したOVAペプチドの量(OVAペプチド透過量、μg/cm/24hr)並びにIMQの量(IMQ透過量、μg/cm/24hr)及びLOXの量(LOX透過量、μg/cm/24hr)を算出した。その結果を表2に示す。
抗原量に対する第一の細胞性免疫誘導促進剤の比率
注射剤の投与した抗原量に対する第一の細胞性免疫誘導促進剤の量の比率は、免疫マウスに注射した投与量から算出した。また、経皮投与の場合、経皮投与した抗原ならびに第一の細胞性免疫誘導促進剤はすべて皮膚中に存在しない。そのため、経皮投与してから24時間後に製剤を剥離することから、上述したマウス皮膚透過性試験より24時間後に皮膚中に透過した抗原ならびに第一の細胞性免疫誘導促進剤を測定し、投与した抗原量に対する第一の細胞性免疫誘導促進剤の量の比率を算出した。その結果を表2に示す。
抗原特異的CD8陽性T細胞のPD−1レセプター発現比率の試験方法
抗原特異的CD8陽性T細胞のPD−1レセプター発現比率は、FACS(日本べクトンディッキンソン株式会社)によって評価した。免疫はマウス免疫試験1と同様の方法によりマウス免疫試験を行った。クリーム剤の投与量は4mg、注射剤の投与量は50μLで行い、投与回数は(24hr/週)×2回で行い、脾臓摘出は最終投与から3日後とした。なお、(24hr/週)とは、1週間あたり24時間持続して経皮投与したことを示す。
更に、OVAペプチド特異的CD8陽性T細胞の検出としてAnti−CD8−FITC、Tetramer−SIINFEKL−PEを用い、PD−1レセプター検出としてAnti−CD279(PD−1レセプター)−APCを用いて脾臓細胞と反応させFACSで測定した。評価方法は、まずCD8陽性T細胞並びにTetramer陽性(両方陽性)の細胞にゲートをかけて、そのうちのPD−1レセプター陽性細胞の割合を測定して、OVAペプチド特異的CD8陽性T細胞のPD−1レセプター発現比率を評価した。代表的な結果を図1に示しており、すべての結果を表2に示す。Anti−CD8−FITCならびにTetramer−SIINFEKL−PEはMBL社、Anti−CD279(PD−1レセプター)−APCはBiolegend社から購入した。
OVAペプチド以外の抗原について、抗原特異的CD8陽性T細胞のPD−1レセプター発現比率を評価する場合は、Tetramer−SIINFEKL−PEの代わりに抗原特異的Tetramerを調製あるいは購入して用いることで測定する。
実施例1〜5においては、2回投与によりCTLが増強され、抗原特異的なCD8陽性T細胞のPD−1レセプターの発現割合が低く、一方比較例1〜6は逆の挙動を示した。これにより、当該医薬組成物はPD−1レセプター発現を抑制し、複数回における継続的な投与において抗原特異的なCD8陽性T細胞を増強することが可能であることを示す。また、投与した抗原1重量部に対し、第一の細胞性免疫促進剤の重量の比率が150重量部以上のときに、PD−1レセプターの発現量が低かった。試験結果を下記表2に示す。
抗原特異的CD8陽性T細胞のアポトーシス誘導比率の試験方法
抗原特異的CD8陽性T細胞のアポトーシス誘導比率は、FACSによって評価した。免疫はマウス免疫試験1と同様の方法によりマウス免疫試験を行った。クリーム剤の投与量は4mg、注射剤の投与量は50μLで行い、投与回数は(24hr/週)×2回で行い、脾臓摘出は最終投与から3日後とした。なお、(24hr/週)とは、1週間あたり24時間持続して経皮投与したことを示す。
更に、OVAペプチド特異的CD8陽性T細胞の検出としてAnti−CD8−FITC、Tetramer−SIINFEKL−PEを用い、アポトーシス検出としてAPC−Annexin Vを用いて脾臓細胞と反応させFACSで測定した。評価方法は、まずCD8陽性ならびにTetramer陽性(両方陽性)の細胞にゲートをかけて、そのうちのAnnexin V陽性細胞の割合を測定して、OVAペプチド特異的CD8陽性T細胞のアポトーシス誘導比率を評価した。代表的な結果を図1に示しており、すべての結果を表2に示す。Anti−CD8−FITCならびにTetramer−SIINFEKL−PEはMBL社、APC−Annexin VはBiolegend社から購入した。
OVAペプチド以外の抗原について、抗原特異的CD8陽性T細胞のアポトーシス誘導比率を評価する場合は、Tetramer−SIINFEKL−PEの代わりに抗原特異的Tetramerを調製あるいは購入して用いることで測定する。
実施例1〜5においては、2回投与によりCTLが増強され、抗原特異的なCD8陽性T細胞のアポトーシス誘導割合が低く、一方比較例1〜6は逆の挙動を示した。これにより、本発明のワクチン医薬組成物はCTLのアポトーシス誘導を抑制し、複数回における継続投与において抗原特異的なCD8陽性T細胞を増強することが可能であることを示す。また、投与した抗原量と第一の細胞性免疫促進剤の量の重量比率が150重量部以上のときに、アポトーシス誘導が低かった。試験結果を下記表2に示す。
実施例1〜5及び比較例1〜6と同様に下記表3、4、5及び6の組成を有する経皮投与用クリーム剤、皮内投与用注射液剤及び皮下投与用注射剤を調整した。下記表3においては、ヘルパーペプチドとしてOVAクラス2ペプチド(配列Ile Ser Gln Ala Val His Ala Ala His Ala Glu Ile Asn Glu Ala Gly Arg(配列番号17))を用い、下記表4においては癌抗原ペプチドとしてPR1ペプチドを用い、下記表5においては癌抗原ペプチドとしてHER2/neu_E75ペプチドを用い、下記表6においては癌抗原ペプチドとしてサバイビン2Bペプチドを用いた。
下記表3〜6における実施例6〜16においては、抗原特異的CD8陽性T細胞のPD−1レセプター発現比率の試験方法を行うと、2回投与によりCTLが増強され、抗原特異的なCD8陽性T細胞のPD−1レセプターの発現割合が低くなる。一方、比較例7〜21では逆の挙動を示す。これにより、当該医薬組成物はPD−1レセプター発現を抑制し、複数回における継続的な投与において抗原特異的なCD8陽性T細胞を増強することが可能となる。また、投与した抗原1重量部に対し、第一の細胞性免疫促進剤の重量の比率が150重量部以上のときに、PD−1レセプターの発現量が低くなる。
また、下記表3〜6における実施例6〜16においては、抗原特異的CD8陽性T細胞のアポトーシス誘導比率の試験方法を行うと、実施例では、2回投与によりCTLが増強され、抗原特異的なCD8陽性T細胞のアポトーシス誘導割合が低くなる。一方、比較例7〜21では逆の挙動を示す。これにより、当該医薬組成物はCTLのアポトーシス誘導を抑制し、複数回における継続投与において抗原特異的なCD8陽性T細胞を増強することが可能となる。また、投与した抗原量と第一の細胞性免疫促進剤の量の重量比率が150重量部以上のときに、アポトーシス誘導が低くなる。
(抗原特異的なTh1/Treg比率の試験方法)
下記の手順にて抗原特異的なTh1/Treg比率を測定することができる。例えばOVA抗原の場合は、下記表3の組成を有する経皮投与用クリーム剤及び皮内投与用注射液剤を調製して、免疫実験を行い、評価することができる。
Th1/Treg比率は、FACSによって評価する。免疫はマウス免疫試験1と同様の方法によりマウス免疫試験を行う。クリーム剤の投与量は4mg、注射剤の投与量は50μLで行い、投与回数は(1回〜3回/週)×複数回(2回〜5回)で皮内に注射投与を行い、脾臓摘出は最終投与から6日後あるいは適当な日数経過後とする。
抗原特異的なTh1/Treg比率の測定方法として、Th1細胞はAnti−CD4−FITC、OVAクラス2ペプチド特異的なTetramer(OVA抗原の場合は、Tetramer−ISQAVHAAHAEINEAGR−PE)、APC−CD183を用いて脾臓細胞と反応させFACSによりCD4陽性ならびにTetramer陽性(両方陽性)の細胞にゲートをかけて、そのうちのCD183陽性細胞の割合を測定してOVAクラス2ペプチド特異的なTh1細胞を算出する。Treg細胞は、脾臓細胞をDynabeads(DYNAL社)を用いてTreg細胞を分取する。さらにOVAクラス2ペプチド特異的なTetramer(OVA抗原の場合は、Tetramer−ISQAVHAAHAEINEAGR−PE)で標識してOVAクラス2ペプチド特異的なTreg細胞を算出する。または、Anti−CD4−FITC、Anti−FoxP3−APC、Tetramer−ISQAVHAAHAEINEAGR−PE)で標識してOVAクラス2ペプチド特異的なTreg細胞を算出する。これらの細胞数をもとに、Treg細胞に対するTh1細胞の比率を算出する。Anti−CD4−FITCならびにTetramer−ISQAVHAAHAEINEAGR−PEはMBL社、APC−CD183,Anti−CD4−FITC、Anti−FoxP3−APCはBiolegend社、Dynabeads mouse CD4CD25Treg cellsはInvitrogen社から購入する。OVA以外の抗原の場合は、抗原特異的なTetramerを調製あるいは購入して使用する。
Figure 2016034944
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本発明のワクチン医薬組成物は、様々な抗原に対する細胞性免疫誘導のために普遍的に使用可能であり、高い細胞性免疫誘導効果を発揮し、複数回における継続的な投与においても効果的に細胞性免疫誘導効果を発揮するものである。

Claims (8)

  1. 抗原を含む細胞性免疫誘導のための投与用ワクチン医薬組成物であって、
    CTLのアポトーシスを抑制する、又は、CTLの誘導抑制を阻害する
    ことを特徴とするワクチン医薬組成物。
  2. ワクチン医薬組成物を投与された免疫評価用モデル動物における抗原特異的なCD8陽性T細胞のPD−1レセプター発現割合が、40%以下である請求項1記載のワクチン医薬組成物。
  3. ワクチン医薬組成物を投与された免疫評価用モデル動物における抗原特異的なCD8陽性T細胞のアポトーシス誘導割合が、30%以下である請求項1又は2記載のワクチン医薬組成物。
  4. ワクチン医薬組成物を投与された免疫評価用モデル動物における抗原特異的なTh1/Treg割合が制御されたものである請求項1記載のワクチン医薬組成物。
  5. 第一の細胞性免疫誘導促進剤を更に含む請求項1、2、3又は4記載のワクチン医薬組成物。
  6. 複数回投与されるものである請求項1、2、3、4又は5記載のワクチン医薬組成物。
  7. 第一の細胞性免疫誘導促進剤が、TLRリガンド及び/又はシクロオキシゲナーゼ阻害剤である請求項5又は6記載のワクチン医薬組成物。
  8. ヘルパーペプチドである第二の細胞性免疫誘導促進剤を更に含む、請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のワクチン医薬組成物。
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