JP2016033857A - 走査荷電粒子顕微鏡画像の高画質化方法およびその装置 - Google Patents

走査荷電粒子顕微鏡画像の高画質化方法およびその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明の目的は、スキャンの途中で処理パラメータを変更した場合でも、視認性の高い画像を生成して、即座に表示することに関する。
【解決手段】
本発明は、撮像視野内をスキャンし、撮像条件に変更があった場合は当該変更があった領域までを変更前の撮像条件にかかる処理パラメータを用いて高画質化処理して表示し、当該変更があった位置を新たな高画質化処理の開始位置としつつスキャンを継続することに関する。
本発明によれば、スキャン途中における撮像条件の変更に追従して、リアルタイムで走査荷電粒子顕微鏡画像の高画質化処理を行うことができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、荷電粒子を試料に照射して画像を取得する走査荷電粒子顕微鏡に係り、特に視認性の高い画像を表示するための走査荷電粒子顕微鏡画像の高画質化に関する。
荷電粒子顕微鏡は、光学顕微鏡に比べて分解能が非常に高く、被観察対象の微細な構造を鮮明に観察するために広く利用されている。荷電粒子顕微鏡では、荷電粒子ビームを対象試料に照射し、対象試料から放出される、または対象試料を透過する粒子(照射した荷電粒子と同種または別種の荷電粒子、または電磁波、光子)を検出器にて検出することで、対象試料の拡大画像を取得する。走査荷電粒子顕微鏡は、集束させた荷電粒子ビームで試料上をスキャンする。本顕微鏡の例としては、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)、走査イオン顕微鏡(Scanning Ion Microscope)、走査透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope)などがあり、その観察対象は、材料、半導体、食品、バイオ、医療分野等、多岐にわたる。
荷電粒子顕微鏡画像の撮像方法として、高速にスキャンを行って得られた1枚以上の同一視野の画像データを合成することで画像を取得する高速スキャンモードと、時間をかけてスキャンを行う低速スキャンモードがある。高速スキャンモードでは、走査する荷電粒子ビームの振動等に起因して画像のぼやけが発生する。一方、低速スキャンモードではこのようなぼやけを抑えることが可能であるが、1枚の画像を撮像するのに例えば数十秒といった長い時間を要する。両モードとも広く用いられており、用途や目的によって使い分けられている。また、どちらのモードに対しても高画質化のニーズは高い。
画質に関する高度な要求から処理の複雑さが増しており、さらに、そのデータ量の多さから処理時間の長さが問題になってきている。一方で、画質改善処理をリアルタイム化することにより視認性の向上に高い効果が期待されている。ここで、リアルタイム化とは、走査する時間よりも画像処理およびその結果の表示に要する時間が短いことをいう。
特開2001−23562号(特許文献1)には、「ソフトウェア処理する画像処理手段(画像処理用フレームメモリ、CPU、主メモリ及び画像処理用フレームメモリ)の入出力に専用バス及びを設け、これらのバスに前処理用のフレームメモリ及び表示用のフレームメモリをそれぞれ接続する。フレームメモリの入出力動作は外部クロックに同期化し、入出力間は異なる周波数で動作する。これにより、撮影つまり前処理(S/N改善)、画像処理(画質改善)、表示処理が分離でき、各処理をパイプライン化できる。」と記載されている。つまり、処理をパイプライン化する機構を設けることで、画像処理及びその結果の表示をリアルタイムで実行することについて開示されている。
また、特開2011−43413号(特許文献2)には、「検査画像をビーム走査方向に長い小領域に分割し,領域毎に参照画像と位置合せを行い,検査画像と参照画像の歪状態を補正し、歪補正した検査画像と参照画像の差分を演算して欠陥を検出し、欠陥箇所の歪補正した検査画像と参照画像とをGUI上に表示するようにした。」と記載されている。つまり、画像を小領域に分割し、画像処理後に表示することで、高感度での欠陥検出を可能とし、かつ、歪の無い検査画像を出力している。
特開2001−23562号公報 特開2011−43413号公報
本願発明者が、走査荷電粒子顕微鏡画像の高画質化をリタルタイムで実施することについて鋭意検討した結果、次の知見を得るに至った。なお、以下、画像の左上位置から右下位置に向かって、横方向にスキャンを行う場合について説明するが、これに限らない。
低速スキャンモードでは撮像に時間がかかるため、画像を撮像し終えてから表示をするのではなく、スキャン途中の画像を表示することが多い。この場合、画面上ではスキャンが終わった左上位置から順に画像が表示される。オペレータは、撮像したい対象をできるだけ高画質で撮像するために、スキャン途中の画像を見ながら、フォーカスやスティグマなどの走査荷電粒子顕微鏡の撮像条件を調整したり、撮像位置を変更したり、撮像を中断するなどの操作を行う。このような判断を的確に行うためには、スキャン途中の画像に対して画像処理による高画質化結果を迅速に表示すると望ましい。
スキャン途中で画像処理のパラメータ(以下、処理パラメータ)を変更しなければならない場合がある。処理パラメータは、装置の機種、装置の状態、加速電圧、リターディング電圧、焦点位置、ビームスキャン速度、または倍率といった条件(以下、撮像条件)に対応して最適なパラメータがある。撮像条件の変更前と後の領域でそれぞれ適切な画像処理のパラメータを設定しないと、擬似模様を発生するなどの不自然な結果が得られる場合がある。
これに対し、特許文献1のように、スキャンした画像領域のみ更新する画像保存領域を用意し、その保存画像に対して常に1フレームで画像処理を行い表示することを基本とし、条件が変わったときには保存領域を初期化した後にスキャンを初めからやり直すという方法も考えられる。しかし、観察画像の連続性が失われる他、撮像条件が頻繁に変更されたときは、スキャン開始点にビーム照射が集中するため、試料の帯電が起きる問題がある。
また、特許文献2のように、画像を小領域に分割し逐次画像処理することで、視認性の高い画像を即座に表示することは可能である。しかし、特許文献2では、歪を補正するために必要な分割サイズの最適条件は記載されているが、この条件では同様に不自然な結果が得られる場合がある。
本発明の目的は、スキャンの途中で処理パラメータを変更した場合でも、視認性の高い画像を生成して、即座に表示することに関する。
本発明は、撮像視野内をスキャンし、撮像条件に変更があった場合は当該変更があった領域までを変更前の撮像条件にかかる処理パラメータを用いて高画質化処理して表示し、当該変更があった位置を新たな高画質化処理の開始位置としつつスキャンを継続することに関する。
本発明によれば、スキャン途中における撮像条件の変更に追従して、リアルタイムで走査荷電粒子顕微鏡画像の高画質化処理を行うことができる。
走査荷電粒子顕微鏡の基本構成を表す図 スキャン途中のデータに対して高画質化処理を施すシーケンスを表す図 スキャン途中のデータを表示する画面を表す図 撮像条件の変更時のデータを表示する画面を表す図 データ取得領域を遅延なく高画質化およびその結果の表示をする方法を表す図 データ取得領域を遅延なく高画質化およびその結果の表示を行っているときのタイムチャートを表す図 撮像条件の変更に追従し常に適切な処理パラメータで高画質化処理を行う方法を表す図 スキャン途中の画像に対する高画質化処理のGUI画面を表す図
実施例では、荷電粒子をスキャンして試料に照射する荷電粒子照射光学系と、試料から発生した粒子を検出する電粒子検出光学系と、粒子検出光学系で検出した信号に対して高画質化処理を行う高画質化手段と、高画質化処理された画像を表示する画像表示手段と、を備え、撮像視野内をスキャンし、撮像条件に変更があった場合は当該変更があった領域までを変更前の撮像条件にかかる処理パラメータを用いて高画質化処理して表示し、変更があった位置を新たな高画質化処理の開始位置としつつスキャンを継続し、当該処理を撮像視野内のスキャンが終了するまで反復する走査荷電粒子顕微鏡装置を開示する。
また、実施例では、撮像視野内にかかる試料に荷電粒子ビームをスキャンしながら照射しつつ試料から発生した粒子を検出し、撮像条件に変更があった場合は当該変更があった領域までを変更前の撮像条件にかかる処理パラメータを用いて高画質化処理して画像表示手段に表示し、変更があった位置を新たな高画質化処理の開始位置としつつスキャンを継続し、当該処理を撮像視野内のスキャンが終了するまで反復する、走査荷電粒子顕微鏡における画像表示方法を開示する。
また、実施例では、領域を所定の間隔で分割し、当該分割領域を順次高画質化処理して表示することを開示する。
また、実施例では、間隔が、分割領域にかかる画像転送時間、高画質化処理時間、結果表示時間、およびスキャン時間により定まることを開示する。
また、実施例では、スキャン時間が、スキャンモード、および分割領域のサイズにより定まることを開示する。
また、実施例では、画像転送時間が、転送バスの通信速度、および分割領域のサイズにより定まるを開示する。
また、実施例では、高画質化処理時間が、高画質化処理アルゴリズムの演算量、演算装置の演算性能、および画像処理領域サイズにより定まることを開示する。
また、実施例では、結果表示処理時間が、表示処理の演算量、および画像処理領域サイズにより定まるを開示する。
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について図面を参酌して説明する。
図1は、本実施例にかかる走査荷電粒子顕微鏡の基本構成を表す図である。走査荷電粒子顕微鏡は、例えば、荷電粒子画像取得装置101、入出力部111、処理部112、制御部113、画像生成部114、記憶部115、高画質化部116等から構成される。荷電粒子画像取得装置101では、荷電粒子銃102から荷電粒子ビーム103を発生させ、前記荷電粒子ビーム103を電子レンズ104に通すことにより試料105の表面に集束させる。電子レンズ104は複数個備わっていても良く、さらに、アライメントを調整する電子レンズであったり、非点収差を調整する電子レンズであったり、スキャンを目的としたビーム偏向用の電子レンズであっても良い。次に、試料105から発生する粒子を検出器106で検出し、これに基づいて画像生成部114で画像を生成することにより、画像を取得する。画像は、記憶部115に保存される。検出器106は複数個備わっていても良く、さらに、電子を検出する検出器と電磁波を検出する検出器のように異なる粒子を検出する検出器であったり、エネルギーやスピン方向が特定の範囲内にある粒子のみを検出する検出器であったり、2次荷電粒子検出器と後方散乱荷電粒子検出器のように異なる性質の粒子を検出する検出器であっても良い。同じ性質の粒子を検出する検出器が異なる配置位置に複数備わっていても良い。検出器が複数個備わっている場合には、通常1回の撮像で、画像を複数枚取得することができる。試料105はステージ107に接しており、ステージ107を移動することにより、試料の任意の位置における画像を取得することができる。また、電子レンズ104で荷電粒子ビーム103の向きを2次元的に変えることにより、荷電粒子ビームで試料上をスキャンすることができる。
入出力部111では、画像撮像位置および撮像条件の入力、ならびに画像の出力などを行う。処理部112では、各種の処理、例えば、荷電粒子ビーム103の焦点を試料105の表面に合わせるために必要な自動焦点合わせに関する処理などを行う。また、処理部112は、入出力部111、制御部113、記憶部115、高画質化部116、および画像生成部114への命令も行う。制御部113では、撮像装置の制御として、荷電粒子銃102等に印加する電圧や、電子レンズ104の焦点位置、ステージ107の位置を制御する。画像生成部114は、A/D変換器とFPGA等の電気回路で構成された画像処理回路から構成され、検出器106で検出された信号をA/D変換してデジタル画像とし、検出したデジタル画像を記憶部115に転送する。記憶部115では、撮像画像、高画質化後の画像、高画質化処理における途中結果、各種処理パラメータ等を保存する。高画質化部116では、取得したデータに対する高画質化処理を行う。
高画質化部116は、領域分割部121、パラメータ制御部122、および高画質化処理実施部123からなる。領域分割部121では、ステップ203の処理、すなわち画像処理を実行するライン数を返す処理と、ステップ211の処理、すなわち処理開始位置をスキャン位置に変更することで画像の分割の処理を行う。パラメータ制御部122では、後述するステップ204とステップ205の処理、すなわち撮像条件からの処理パラメータの決定と、処理パラメータの変更の監視を行う。撮像条件から高画質化処理が対象とする劣化要因の量を求め、それに対応する処理パラメータを計算できる。例えば、畳み込み演算によりぼけを補正する場合、荷電粒子線のビーム径と1pixelの実際の幅を算出することにより、畳み込み演算のパラメータを決定することができる。荷電粒子線のビーム径は、回折収差の量を加速電圧やプローブ電流といった撮像条件から計算できる。1pixelの実際の幅は、取得画像サイズと倍率といった撮像条件から計算できる。また、高画質化処理実施部123では、分割された領域に関する情報と、対応するパラメータに基づいて高画質化処理を実施する。
図2は、スキャン途中のデータに対して高画質化処理を施すシーケンスを表す図である。この高画質化処理では、1枚分の画像データを取得して表示するまで、ステップ201〜211を繰り返す。ステップ202では、視野内の一部の領域をスキャンして、画像データの一部を得る。1回分のループでどのくらいの量のデータを取得するかは、スキャンスピードや表示レートによって決まる。例えば、1枚分の画像データを得る、すなわち視野内の全領域をスキャンする時間を60秒とし、表示レートを50ミリ秒とする場合には、画像データの1200分の1の量のデータを1回のループで取得すれば良い。ステップ203では、画像処理実行位置を取得する。ステップ204では、撮像条件から処理パラメータを決定する。ステップ205では処理パラメータの変更の有無を確認する。処理パラメータに変更がある場合はステップ206で、ステップ204で取得した画像処理位置までスキャンが完了しているか確認する。スキャンが完了している場合はステップ207で画像処理領域の高画質化処理を行う。ステップ208では高画質化結果を表示する。ステップ206でスキャンが完了していない場合は特に処理はなく、ステップ209に進む。ステップ205で処理パラメータに変更があった場合は、ステップ210で処理開始位置から現スキャン位置までの領域の高画質化処理を行う。その後、ステップ211で処理開始位置を現スキャン位置に変更する。
図3は、スキャン途中のデータを表示する画面を表す図である。画像301〜303は、時刻t、t+Δt、t+2Δt(Δt>0)のそれぞれにおける画像表示画面である。
時刻tでは、位置311までスキャンを行なっており、位置311より上側は、データ取得領域321である。本領域では取得したデータがあり、画像表示が可能である。一方、それ以外の領域、すなわち位置311より下側の黒色の領域322は、データ未取得領域である。本領域ではまだデータを取得しておらず、画像表示ができない。時刻t+Δtでは、位置312までスキャンを行なっており、時刻tと比べるとデータ取得領域が広くなっている。時刻t+2Δtでは、位置313までスキャンを行なっており、さらにデータ取得領域が広くなっている。このように、スキャンを開始してからの時間が経過するにしたがって、データ取得領域が広くなる。これに伴い、高画質化処理が必要な画素の数も増えることになる。
図4は、撮像条件の変更時のデータを表示する画面を表す図である。図4では倍率の切換えを例として説明する。画像401、402は、それぞれ倍率切換え前と切換え後の画像表示画面である。位置424までスキャンしたときに高倍率から低倍率に切り替えられており、高倍率で表示された試料の一部領域423が、領域425のように低倍率画像に変化し、位置424を境界に画像が不連続となっている。倍率に限らず、加速電圧、ステージ位置、スキャンモード、コントラスト、または明るさ等、様々な撮像条件の変更で同じように不連続な領域となり、1フレーム内に複数個の不連続な画像が表示されるタイミングがある。
図5〜8を用いて、データ取得領域を遅延なく高画質化およびその結果を表示し、撮像条件が変更された際には領域を分割し、領域毎に適切な処理パラメータで処理する方法について説明する。図5は、データ取得領域を遅延なく高画質化およびその結果の表示をする方法を表す図である。画像501〜503は、時刻t、t+Δt、t+2Δt(Δt>0)のそれぞれにおける画像表示画面である。領域512(黒色の領域)がデータ未取得領域である。データ取得領域では、遅延なく高画質化およびその結果の表示が保証される領域の間隔で(領域A511、領域B521、領域C531のスキャン完了時に)、高画質化処理が実施される。基本的には、可能な限り広い領域で高画質化処理することが望ましい。領域A511までスキャン完了した時刻tのときには、領域A511の高画質化処理を実施し、領域B521までスキャン完了した時刻t+Δtのときには、領域A511および領域B521の連続した領域に対して高画質化処理を実施する。同様に、領域531までスキャン完了した時刻t+2Δtのときには、領域A511、領域B521および領域C531の連続した領域に対して高画質化処理を実施する。
このように、データ取得領域を遅延なく高画質化およびその結果の表示が保証される領域の間隔で可能な限り連続した領域で処理することにより、遅延なく高画質化結果を表示することができる。
図6は、データ取得領域を遅延なく高画質化およびその結果の表示を行っているときのタイムチャートを表す図である。ここで、遅延なく高画質化およびその結果の表示が保証される領域の間隔の決定方法について説明する。
高画質化処理結果を遅延なく表示するためには、図6に示すように、各領域のスキャン中に、前スキャン領域の撮像画像の転送、高画質化処理、および結果表示を行わなければならない。領域Aのスキャン時間601は、スキャンモードとスキャン領域から決まり、画像転送時間611は、画像転送のバスの通信速度とスキャン領域から決まり、高画質化処理時間612は、高画質化処理のアルゴリズムの演算量と演算装置の処理速度および画像処理領域から決まり、結果表示処理時間613は、表示処理の演算量と演算装置の処理速度および画像処理領域から決まる。取得する画像サイズが、画像処理領域の最も大きい場合であり、このときの画像転送時間、高画質化処理および結果表示時間の合計からスキャン時間を決定する。このスキャン時間とスキャンモードから、スキャン領域の間隔が求められる。
高画質化処理時間が最も多くの時間を必要とする場合が多く、途中経過の表示を細かく行うには、演算装置の処理速度の高速化を図ることが多い。例えば、画像処理専用の演算装置を使用することにより高画質化処理時間を短縮する方法がある。その際は、画像処理専用の演算装置への画像データの転送時間が発生する。画像処理専用の演算装置への転送時間は、画像転送のバスの通信速度と画像処理領域から求まるため、同様にスキャン領域の間隔が求められる。
このように、取得画像サイズに対しての画像転送時間、高画質化処理時間および結果表示処理時間から、高画質化処理を実施する間隔を計算することにより、遅延なく高画質化およびその結果の表示が行われることを保証できる。
図7は、撮像条件の変更に追従し常に適切な処理パラメータで高画質化処理を行う方法を表す図である。画像701〜704は、時刻t、t+Δt1、t+Δt2、t+2Δt2(Δt1>0、Δt2>0、Δt2>Δt1)のそれぞれにおける画像表示画面である。リアルタイムを保証する間隔は、時刻tの位置713、時刻t+Δt2の位置734、時刻t+2Δt2の位置745とし、時刻t+Δt1で撮像条件の変更があり、それに対応して処理パラメータを変更しなければならないとする。また、画像処理領域は、処理開始位置から高画質化処理を行う位置までとし、処理開始位置の初期値は、画像の上側末端とする。時刻tでは、撮像条件に変更がなく高画質化処理を行う位置713までスキャンが完了し、領域A711がパラメータAで処理される。時刻t+Δt1では撮像条件の変更があり、それに対応して処理パラメータが変更されたため、ステップ110の処理となる。変更があった位置723(境界)より上側の領域B721に対して撮像条件変更前までのパラメータAで高画質化処理を実施し、ステップ111で処理開始位置を変更があった位置723に変更する。画質時刻t+Δt2では、処理パラメータの変更はなく、高画質化処理を行う位置734までスキャンされたため、処理開始位置である位置723から位置734までの領域C733を変更された撮像条件に対応したパラメータBで高画質化処理を実施し、位置723より上側は未処理領域731とする。時刻t+2Δt2では、撮像条件の変更はなく、高画質化処理を行う位置745までスキャンが完了し、領域C743と領域D744の連続した領域に対してパラメータBで処理が行われる。
このように、撮像条件の変更に追従して1フレーム内で不連続な画像となった場合は、それぞれの領域に対応した処理パラメータで高画質化処理することにより、不自然な疑似模様や歪みが発生しない正しい高画質化処理結果を常に得ることができる。
図8は、スキャン途中の画像に対する高画質化処理のGUI画面を表す図である。このGUIは、撮像条件に関する設定を行う領域801、画像表示領域802、および処理パラメータに関する設定を行う領域803からなる。領域801および領域803における各条件および各パラメータの傍に、スライダー811、ボタン812、およびテキストボックス813が有り、各条件や値を変更できるようになっている。また、チェックボックス814により、高画質化処理のON、OFFが切り換えられる。このチェックボックスがチェックされていない場合は、高画質化結果の代わりに撮像画像を表示する。反映を実施するためのボタン(図示せず)が押されたときに処理パラメータを反映させても良い。高画質化処理のチェックボックス814がチェックされている際には、処理パラメータに関する設定を行う領域803を表示する。処理パラメータに関する設定を行う領域803は、各パラメータの上下限を制限するチェックボックス821と上下限値を変更するテキストボックス822を有する。撮像条件から求めたパラメータを基準に上下限を決定し、不自然な疑似模様や歪みが発生しない範囲での微調整をすることができる。また、上下限を制限するチェックボックス821のチェックを外すことにより、ユーザの任意の値に変更することも可能である。
このように、処理パラメータを促す画面と画像表示画面を近くに配置することにより、高画質化処理結果を見ながら処理パラメータを変更することができ、上下限を設けて処理パラメータ量の微調整をすることにより、最適な処理パラメータを効率よく探すことが可能である。
本実施例では、撮像条件が変更された際には領域を分割し、領域毎に処理パラメータを決定する。1フレーム内の複数個の異なる画像領域とそれに対応した適切な処理パラメータによる処理結果を得ることにより、撮像条件が変更されても常に適切な画像処理結果が得られる。本実施例によれば、走査荷電粒子顕微鏡においてスキャン途中の画像に対してリアルタイムで高画質化処理を行うことにより、高いユーザビリティを実現する。また、撮像条件の変更に追従し常に高画質な画像を得ることができる。
101…荷電粒子画像取得装置、102…荷電粒子銃、103…荷電粒子ビーム、104…電子レンズ、105…試料、106…検出器、107…ステージ、111…入出力部、112…処理部、113…制御部、114…画像生成部、115…記憶部、116…高画質化部、121…領域分割部、122…パラメータ制御部、123…高画質化処理実施部、201…反復開始、202…視野内の一部の領域をスキャンする処理、203…画像処理実行位置を取得する処理、204…撮像条件から処理パラメータを決定する処理、205…処理パラメータ変更の有無の処理分岐、206…画像処理実行位置までスキャンが完了しているかの処理分岐、207…高画質化を行う処理、208…高画質化結果を表示する処理、209…反復終了、210…処理開始位置から現スキャン位置までの領域で高画質化を行う処理、211…処理開始位置を現スキャン位置に変更する処理、301…時刻tにおける画像表示画面、302…時刻t+Δtにおける画像表示画面、303…時刻t+2Δtにおける画像表示画面、311…時刻tにおけるスキャン位置、312…時刻t+Δtにおけるスキャン位置、313…時刻t+2Δtにおけるスキャン位置、321…時刻tにおけるデータ取得領域、322…時刻tにおけるデータ未取得領域、401…倍率切換え前の画像表示画面、402…倍率切換え後の画像表示画面、413、423…高倍率で表示された試料の一部領域、424…高倍率から低倍率に切り替えられたときのスキャン位置、425…低倍率で表示された試料の一部領域、501…時刻tにおける画像表示画面、502…時刻t+Δtにおける画像表示画面、503…時刻t+2Δtにおける画像表示画面、512…時刻tにおけるデータ未取得領域、522…時刻t+Δtにおけるデータ未取得領域、532…時刻t+2Δtにおけるデータ未取得領域、511…領域A、521…領域B、531…領域C、601…領域Aのスキャン時間、611…領域Aの画像転送時間、612…領域Aの高画質化処理時間、613…領域Aの結果表示処理時間、701…時刻tにおける画像表示画面、702…時刻t+Δt1における画像表示画面、703…時刻t+Δt2における画像表示画面、704…時刻t+2Δt2における画像表示画面、711…領域A、712…時刻tにおけるデータ未取得領域、713…時刻tにおけるスキャン位置、721…領域B、722…時刻t+Δt1におけるデータ未取得領域、723…処理パラメータの変更があった位置、731…未処理領域、732…時刻t+Δt2におけるデータ未取得領域、733…領域C、734…時刻t+Δt2におけるスキャン位置、741…未処理領域、742…時刻t+2Δt2におけるデータ未取得領域、743…領域C、744…領域D、745…時刻t+2Δt2におけるスキャン位置、801…撮像条件に関する設定を行う領域、802…画像表示領域、803…処理パラメータに関する設定を行う領域、811…スライダー、812…ボタン、813…テキストボックス、814…チェックボックス、821…各パラメータの上下限を制限するチェックボックス、822…上下限値を変更するテキストボックス

Claims (14)

  1. 荷電粒子をスキャンして試料に照射する荷電粒子照射光学系と、
    前記試料から発生した粒子を検出する電粒子検出光学系と、
    前記粒子検出光学系で検出した信号に対して高画質化処理を行う高画質化手段と、
    前記高画質化処理された画像を表示する画像表示手段と、
    を備えた走査荷電粒子顕微鏡装置であって、
    撮像視野内をスキャンし、撮像条件に変更があった場合は当該変更があった領域までを変更前の撮像条件にかかる処理パラメータを用いて高画質化処理して表示し、前記変更があった位置を新たな高画質化処理の開始位置としつつスキャンを継続し、当該処理を前記撮像視野内のスキャンが終了するまで反復することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡装置。
  2. 請求項1記載の走査荷電粒子顕微鏡装置であって、
    前記領域を所定の間隔で分割し、当該分割領域を順次高画質化処理して表示することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡装置。
  3. 請求項2記載の走査荷電粒子顕微鏡装置であって、
    前記間隔が、前記分割領域にかかる画像転送時間、高画質化処理時間、結果表示時間、およびスキャン時間により定まることを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡装置。
  4. 請求項3記載の走査荷電粒子顕微鏡装置であって、
    前記スキャン時間が、スキャンモード、および前記分割領域のサイズにより定まることを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡装置。
  5. 請求項3記載の走査荷電粒子顕微鏡装置であって、
    前記画像転送時間が、転送バスの通信速度、および前記分割領域のサイズにより定まることを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡装置。
  6. 請求項3記載の走査荷電粒子顕微鏡装置であって、
    前記高画質化処理時間が、高画質化処理アルゴリズムの演算量、演算装置の演算性能、および画像処理領域サイズにより定まることを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡装置。
  7. 請求項3記載の走査荷電粒子顕微鏡装置であって、
    前記結果表示処理時間が、表示処理の演算量、および画像処理領域サイズにより定まることを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡装置。
  8. 走査荷電粒子顕微鏡における画像表示方法であって、
    撮像視野内にかかる試料に荷電粒子ビームをスキャンしながら照射しつつ前記試料から発生した粒子を検出し、
    撮像条件に変更があった場合は当該変更があった領域までを変更前の撮像条件にかかる処理パラメータを用いて高画質化処理して画像表示手段に表示し、
    前記変更があった位置を新たな高画質化処理の開始位置としつつスキャンを継続し、
    当該処理を前記撮像視野内のスキャンが終了するまで反復することを特徴とする画像表示表法。
  9. 請求項8記載の画像表示方法であって、
    前記領域を所定の間隔で分割し、当該分割領域を順次高画質化処理して表示することを特徴とする画像表示方法。
  10. 請求項9記載の画像表示方法であって、
    前記間隔が、前記分割領域にかかる画像転送時間、高画質化処理時間、結果表示時間、およびスキャン時間により定まることを特徴とする画像表示方法。
  11. 請求項10記載の画像表示方法であって、
    前記スキャン時間が、スキャンモード、および前記分割領域のサイズにより定まることを特徴とする画像表示方法。
  12. 請求項10記載の画像表示方法であって、
    前記画像転送時間が、転送バスの通信速度、および前記分割領域のサイズにより定まることを特徴とする画像表示方法。
  13. 請求項10記載の画像表示方法であって、
    前記高画質化処理時間が、高画質化処理アルゴリズムの演算量、演算装置の演算性能、および画像処理領域サイズにより定まることを特徴とする画像表示方法。
  14. 請求項10記載の画像表示方法であって、
    前記結果表示処理時間が、表示処理の演算量、および画像処理領域サイズにより定まることを特徴とする画像表示方法。
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