JP2016033817A - 電力制御システム、方法、及び、情報伝達能力制御システム、方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】同報送信要素から、グループ内の総消費電力の現在値と基準値との差の関数である総消費電力調整指示値を表わす情報を同報送信する。グループに含まれる各々の電力消費要素は当該情報を受信し、自己の優先度と総消費電力調整指示値を用いた演算により、自己の消費電力更新値を独立に、並列に決定し、これに基づき自己の消費電力を制御する。同様の原理により情報伝達能力を制御することもできる。
【選択図】図3
Description
同発明では、障害検知器によって故障を検知することに対応して、回路の遮断を行うハードウェア対応だが、本発明では、機器群が、サーバーが通信を介して情報収集を行い、電力制約と必要量を優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
同発明では、機器群からの情報収集・集計を行わない方式が前提だが、本発明では、機器群で、電力制約と必要量を、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
同発明は、発電装置を扱っているが、本発明は、逆に、負の電力供給を行うものである。
同発明では、充電ステーション群での電力管理を行うものではなく、管理ステーションの存在とスマートグリッドの存在を想定している。本発明は、管理ステーションやスマートグリッドの存在に関わらず、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
同発明は、電力線通信での接続確立方法に関するものである。本発明は、通信方式を特定しておらず、通信の確立は解決すべきと掲げてない。また、本発明では、電力線通信を通信手段の1つとして掲げているが、そこでの接続確立を解決すべき課題として掲げているわけではない。
同発明では、トータル負荷電流の超過を検出し、また、設定された順序での負荷の切断を想定している。本発明では、負荷の超過は機器群での情報収集で行い、特定の検出手段を求めていない。また、負荷の切断順序も予め設定するのではなく、機器群での動的な判断によって定めることを特徴としている。
同発明では、障害検出とそれにもとづく制御は、同一の個体内で行われる。本発明は、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
同発明では、故障検出と制御が同一個体内で行われているが、本発明では、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
同発明では、停電検知とそれに続く予備電源への接続替え、および停電復旧後の逆操作を同一個体内で行っている。機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
同発明では、中央サーバー、コンセントレータ、メーターという通信構造を介した集中管理を前提としているが、本発明では、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を、分散化された局所的なグループ内で独立的に行う点を構成の原点としている点で全く異なる。
同発明では、中央サーバー、コンセントレータ、メーターという通信構造を介した集中管理を前提としているが、本発明では、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を、分散化された局所的なグループ内で独立的に行う点を構成の原点としている点で全く異なる。
同発明では、通信手段と遮断手段が記述されているのみである。本発明では、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
同発明でいう、電源遮断装置は、周囲にツリーないしスター系をなす集中管理構成することを前提としている。本発明では、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
同発明でいう、電源遮断装置は、周囲にツリーないしスター系をなす集中管理構成することを前提としている。本発明では、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
同発明でいう、電源遮断装置は、周囲にツリーないしスター系をなす集中管理構成することを前提としている。本発明では、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
同発明では、階層を構成するものの、情報を集約する集中監視制御システムなっており、本発明の一実施態様である、グループ内での情報収集と制御を他のグループ、階層と独立分散的に行うという点が存在せず、全く異なるものである。
同発明では、階層を構成するものの、本発明の一実施態様である、グループ内での情報収集と制御を他のグループ、階層と独立分散的に行うという点が存在せず、全く異なるものである。
同発明には、名称として、「階層」、「分散」のキーワードが現れているが、下記明細書から引用して述べるように、内容は異質で、本発明とは全く異なる。
「[0020]また、各コントローラは自律分散システムを構成しており、サブシステムとしての一つのコントローラが不稼働になった場合にも他のコントローラが自己の管轄下の機器を制御するに当たって何ら支障はなく(これを自律可制御性という)、かつ、各コントローラ間で互いの目的を協調することができる(これを自律可協調性という)ものである。このため、各コントローラの間にはマスタ/スレーブの区別や重要性の差異はなく、基本的に独自の資源を持って管理、制御を実行可能である。」
同発明でいう「自立分散」制御とは、同明細書の図2にあるように、照明とエアコンのような種別コントローラー間の独立性であって、コントローラー配下のエアコン間、照明間の電力配置が自律的に行われることを指しているわけではない。本発明の一実施形態では、それら配下のメンバー間の優先度を考慮した、動的な電力配置を他のグループや階層とは独立に行うことを第一の特徴としており、名称こそ「自律分散」と類似しているが、方法は全く異なるものである。また、同発明でいう、「階層」とは、時間帯、連携省エネ、ピークという運用モード上の階層を指しているが、本発明の一実施形態でいう階層とは、同発明にあてはめた場合は、店舗をメンバーとするグループから構成される階層、あるいは、地域店舗を代表するサーバーをメンバーとするグループから構成される階層などであって、名称こそ「階層」ではあるが、定義が根本的に異なる。本発明の一実施形態では、それらのどの階層上でも、グループ間での優先度を考慮した動的な電力配置を他のグループや階層とは独立に行うことをやはり第一の特徴としており、方法は全く異なるものである。
同発明でいう階層、分散監視制御とは、実行部、情報交換部、インターフェース部という分散化を基にしたものである。本発明の一実施形態のように、グループを構成員とする各階層、あるいは機器を構成員とする各グループ内において、与えられた電力制約の下で、メンバー間の優先度にしたがって、動的に電力配置を決定する方法を提供するものとは、根本的に異なる。
同発明でいう監視制御は、構成員間で、自律的な制御を実施するものではない。本発明の一実施形態のように、グループを構成員とする各階層、あるいは機器を構成員とする各グループ内において、与えられた電力制約の下で、メンバー間の優先度にしたがって、動的に電力配置を決定する方法を提供するものとは、根本的に異なる。
同発明では、非常灯の点灯手段を与えているに過ぎない。
同発明での分散とは、サーバーを特定しないことを指しているが、本発明はグローバルな一括制御ではなく、局所的且つ臨機応変な対応とれるよう、細分化した単位で制御を行うことを教示している。本発明では、サーバーは特定されていても、固定されていてもよい。
同発明は、方策・意思決定処理を行わせる特定の方式を提案するものだが、本発明では、何らかの方法でサーバーを定めればよいのであり、動的に同処理を割り当てる方式を限定していない。カードゲーム方式である必要はなく、また、サーバー機能の「交代(Shift)」をすることを格別に要求していない。サーバー機能は、何となれば、通し番号順に交代することも、固定でもありうる。
同発明では、資源の投入によって、性能の維持・達成を目的にしているが、本発明の一態様においては、資源たる電力を投入するではなく、電力を永久的ないし間欠的に遮断する。本特許では、総資源たる供給電力を最大限投入する制御ではなく、消費電力が許容値ないし目標値を超えた場合に優先度に基づき、所要電力量と電力量制約を勘案し、電力の永久的ないし間欠的な遮断を行う。同特許では、資源たる投入されている電力は制御側で定めるため、予め既知であるのに対し、本発明では、計測して取得するべき情報である。すなわち、同発明は、「システム全体の性能を達成・維持する制御機能」発揮を目的としており、「総資源(資源の総和)の制約を満たしつつ、全ての要素の個別の性能を制御する方法」(同公報中、請求項1)であるが、本発明の一態様においては、資源の総和の制約は存在するものの、性能の達成・維持をむしろ積極的に犠牲にすることで、システムの損壊を防ぐことを目的としている。
(1)同文献では、資源たる電力の制約は考慮されておらず、またその制約を充足する解も保証されない。フィードフォワード的に予め設定された一定の動作を行うのみである。なお、同文献の特許請求の範囲で「設定」とは予め規定することを指す。本発明では、資源の制約を陽に扱い、それを充足させる動作を保証している点で、同文献に記載の発明とは全く異なる。
(2)同文献において提案される動作は、同報送信部分の処理による号令の動作であるが、本発明では、同報送信処理と、各要素での並行処理の連携で、制約条件付き最適化の解を求める方法が提案されており、同文献の発明とは全く異なる。
(3)本発明においては、各要素での動的な優先度変化にかかわらず、制約条件つき最適化の解を得られることが特徴であり、同文献の発明とは全く異なる。
特開2010−19530号公報「空調システム及び通信トラフィック調整方法」
特開2009−272966号公報「機器設備管理システム」
特開2007−240084号公報「空気調和機および空気調和機におけるアドレス設定方法」
特開2007−228234号公報「伝送制御装置、機器管理システム及び伝送制御方法」
特開2004−328184号公報「管理制御システム、情報伝送方法、通信方法、ネットワークノード、送受信装置、情報共有装置、空調機器及び集中制御装置」
これらの文献は通信アドレス関係部分に言及するのみであり、制御方策を扱ったものではない。
同発明では、総資源に制約がある場合の、優先度つきの最適化と、それを可能にする、電力制御システムを提案しているが、それらは、サーバーの各クライアントからの情報収集と、割当て量のサーバーによる決定、サーバーからの各クライアントへの割当て量の通知という段階をとるものであり、本発明で解決すべき課題をそのまま掲げているに過ぎない。本発明は、アラート要素と各メンバー要素とで分担することにより処理の高速化を図るものである。なお、本発明者による発明が記載された上記出願は本願出願時点で未公開である。
同発明では、サーバー・クライアント間の双方向の通信を排除し、同報送信と各メンバーでの独立分散の並列処理による、優先度を考慮した電力を含む資源の瞬時での割当て方法を提供している。しかし、同発明は、いわゆる周波数ゼロすなわち直流域での資源割り当て法を提供しているのみであり、実装段階で生ずる、各メンバーにおける応答特性や情報出力遅れ、ないしは同報送信における処理方法やハードウェアに起因する遅れによる制御システムの不安定性およびその解決方法たる安定化については全く手段を提供していない。また、制御される対象が瞬時の資源の受給バランスであり、瞬時の電力の規制値への収束のみを扱っているにすぎず、同様に周波数域を直流域から脱して行われる、予見制御や積分制御を予見する、いわゆるデマンドレスポンスを対象とした優先度を考慮しての規制値への収束については、何らの手段の提供も行えていない。したがって同発明は、本発明で解決手段を提供する分野とは全く異なる。なお、本発明者による発明が記載された上記出願は本願出願時点で未公開である。
同文献の開示は、電力の割当て法に関するものではない。
同文献は電源の機能を扱っているが、電力のメンバーへの動的割当てを扱ったものではない。
米国特許第7,421,601号明細書「Method and system for controlling power in a chip through a power-performance monitor and control unit」
同文献は、マイクロプロセッサー電源に関するものであり、動的、自律的に電力割当てを行う機能に関するものではない。
同文献は、電力モードの遷移を開示しており、メンバー間で動的に割当て決定する機能を扱ったものではない。
同文献の開示内容は、インテリジェントデバイスとサーバーがネットワークで結ばれるアーキテクチャとしていることまでである。実際にどのように電力管理を行うかは開示されていない。本発明は、電力割当て方策を具体的に提供している。
同文献は、回路をモジュラーな形状とすることを要求しているに過ぎない。
同文献の開示内容は、誘導で電力を供給するハードウェアに関するもので、本発明とは全く異なる。
同文献の開示内容は、dual substrate のMEMSで製作されるスウィッチのハードウェアに関するもので、本発明とは全く異なる。
同文献の開示内容は、伝送メディアに関するものであるが、本発明は特定メディアに依らない。
同文献の開示内容は特定機器に関するものであり、本発明とは全く異なる。
同文献の開示内容はナノチューブを用いるデバイスに関するもので、本発明とは全く異なる。
同文献の開示内容はスターリングエンジンというハードウェアに関するもので、本発明とは全く異なる。
同文献の開示内容は、通信機器における位相調整器というハードウェアに関するものであり、本発明とは全く異なる。
同文献の開示内容は、半導体配置と熱拡散に関するものであり、本発明とは全く異なる。
同文献の開示内容は、燃料電池というハードウェアに関するものであり、本発明とは全く異なる。
同文献の開示内容は、太陽光発電の装置に関するものであり、本発明とは全く異なる。
上記Webサイトには、家電に通信装置をつけた例が開示されているが、本発明では、通信、集中制御することもなく、独立分散制御を行うことを特徴としており、両者の技術内容は全く異なる。
上記Webサイトには、予め決めていた優先度で、機器を切断する例が開示されている。本発明と比較すると、少なくとも以下の点で異なる。
(1)上記Webサイトに開示の例は、コンセント単位で制御を行うのに対し、本発明は、機器単位であって、使用場所を限定しないこと。
(2)上記Webサイトの例は、永久断を行うよう構成されているが、本発明は、永久断だけではなく、電力の削減を連続的にできる点。
(3)上記Webサイトの例は、静的な優先度設定をコンセント単位で行うが、本発明は、動的な優先度設定を機器単位で行いうる点。
(4)本発明は、グループ内で動的に消費電力割当てを決め、グループ間では独立な制御を行い、階層を構成して、上位階層でも、相似に動的に消費電力割当てを決める構造を持っていること。
ただしeTはn次の単位行ベクトルである(Tは転置記号)。
が、上記式(1)の束縛条件の下で極値を取るときのfi(i=1,2,…n)として、消費電力の割り当て値を求める。なお、上記式(2)中のQは、対角要素Qiiがi番目の電力消費要素の優先度に等しい正定対称行列である(一般には、対角でなくても正定対称行列であればよいが、以下で優先度を個々に扱う場合は対角として議論できる。説明を簡単にする目的で、以下ではQをn×n対角行列として扱う。)。
とすれば(λはラグランジュの未定乗数)、fi及びλによる上記拡大評価関数の偏微分値がゼロになるという条件からfi及びλの最適解が求められる。
と書かれることから(上記式(9)中、「1」は単位行列を表わし、Q-1はQの逆行列を表わす。)、再割当てされる電力は、現時点での各要素での消費電力状況に依存することになる。
上記目的を達成するべく、本発明は、同報送信要素と、個別に優先度が与えられた1以上の電力消費要素とを備え、同報送信要素が、1以上の電力消費要素を含むグループ内で消費される総消費電力の現在値と、総消費電力の基準値との差を測定し、差の関数である総消費電力調整指示値を決定し、総消費電力調整指示値を表わすグループ内で共有すべき情報を生成し、情報をグループ内に同報送信し、1以上の電力消費要素が同報送信された情報を受信し、1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた優先度と総消費電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力の更新に用いるべき消費電力更新値を、1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び同報送信要素から独立して並列に決定し、消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を制御することにより、グループ内の総消費電力を制御するよう構成された、電力制御システムを提供する。
総消費電力の現在値と基準値との差の、制御がk回繰り返された時点の値をxkとし(kは0以上の整数)、制御がk+1回繰り返された時点の値をxk+1としたときに
よう、上記電力制御システムを更に構成することができる。
本発明の一実施形態に係る電力制御は、上記式(3)においてQが対角行列の場合、上記式(5)に示す最適化問題の解の簡易化された表現である、以下の式(14)
に基づいて行われる。ここにおいて、fi,kは、システム内で電力制御がk回(kは0以上の整数)繰り返された時点(「現時点」とする。)での、グループに含まれるi番目(iは1以上の整数)の電力消費要素の消費電力であり、上記式(14)は、k+1回目の電力制御において実現されるべきi番目の電力消費要素の消費電力fi,k+1を決定するための式である。上記式(14)中、Qiiはi番目の電力消費要素に与えられた優先度である。またΔPは、グループ内で消費される総消費電力の現在値(同報送信要素が計測する、ないしは、計測する別の要素から同報送信要素が受領する。)から当該総消費電力の基準値(グループに含まれる各電力消費要素の定格消費電力の和等。一例において、あらかじめ同報送信個体に記憶されている。)を減算することで得られる差であり、グループ内で削減すべき総消費電力値(差が負であれば、回復すべき電力に相当。)ともいえる。Stは、グループ内の総消費電力を制御する時の、削減すべき電力ΔP(負であれば、ΔPの絶対値が回復すべき電力に相当。以下においても同様。)に対する感度に相当し、ここではシステム感度と称する。このシステム感度は、理論的には「1」とすることが好ましいが、他の感度を意図して設定することを妨げるものではない。なお、以下の例においては上記現在値と基準値の差にシステム感度を乗じて得られた値を総消費電力調整指示値として、これを表わす情報を同報送信要素が各電力消費要素に同報送信するが、総消費電力調整指示値は上記差の値、それ自体でもよく、この場合はシステム感度を用いる必要がない(システム感度を「1」に固定した場合と同等である。)。
なお一般には、Qが非対角要素をもつ場合には、演算は、自己の優先度のみの単純な除算だけではなく、何らかの規則によって自己が知りうる優先度を含む関数で定められた演算を行ってもよい。
をシステム感度Stとすることができる。上記式(15)のシステム感度StにΔPを乗じた総消費電力調整指示値を表わす情報を同報送信し、これを用いて各電力消費要素が上記式(14)で自己の消費電力を制御した場合には、更新後の消費電力は上記式(5)で与えられる最適解に一致する。優先度が動的に変更され、且つ各電力消費要素から同報送信要素への優先度の送信を頻繁に行わない場合には、同報送信要素の有している優先度情報が古いということも起こりうるが、優先度の動的変化があまり大きくない場合には、同報送信要素が上記式(15)によって決定するシステム感度Stは、依然として実効システム感度に近いと考えられる。
上述の方策は最適化計算法に基づき議論されたが、一連の操作をより一般的に定義することが可能である。上記式(14)中のΔPは、システム内での電力制御がk回繰り返された時点での、グループ内で消費される総消費電力の現在値から当該総消費電力の基準値を減算することで得られる差であるので、ここではΔPkと表わす。ΔPkは、グループ内の総消費電力の基準値から見た、相対的な現時点の総消費電力、すなわち削減又は回復するべき総消費電力である。
この条件は非常に緩やかであり、αiについて広範な関数表現導入を可能とする。
を満たす場合は、上述の安定性条件の中心条件を満たし、かつ本来の問題である削減又は回復すべき消費電力を再割当てする最適化の解が提供されることと理解できる。このことは、βiの総和を「1」とすることの本来の意義を述べている。最適化問題から変形して与えた、各要素上での処理で与えた、システム感度も、理論的には、同じ「1」を設定することが望ましいが、あらためて個々の要素での簡易化された処理から容易にわかるように、あえて、システム感度を「1」ではない値とすることは、削減又は回復すべき消費電力のSt倍を再割当てする別の問題をあえて提供する運用方法に対応していることがわかる。よって、システム感度を必ずしも「1」でない値として運用する場合がありうる。
ここで、図3のフローチャートを用いて、本実施例による電力制御方法の具体的手順を説明する。
システム感度Stが「1」に調整された状況で、ある特定の電力消費要素にて優先度の設定が独立に行われた場合を考える。すなわち、k番目の電力消費要素において優先度がQkk,0からQkk,1へと、大きくなるよう調整された場合、下記式(23)
であれば
(23)
の変形からわかるように、結果として解かれる問題は、削減又は回復すべき電力が、ΔPから(1−ε)ΔPへと、わずかながら修正された問題に相当することがわかる。また、εが小さければ前述の安定条件にも影響は軽微である。このことは、資源制約問題を「相似」に求めることを可能とするとともに、ドメインに所属する各電力消費要素において時々刻々に定義されうる優先度の変化を吸収できる優れた特性を示すものである。
(24)
のStとなった場合と同一であり、これは、本来の資源制約付き最適化問題において、削減又は回復すべき消費電力を、(1+ε’)倍した問題に等価であり、「相似」な解を提供できることを示している。また、ε’が小さければ前述の安定性に関しても影響は軽微であり、電力制御はプラグ・アンド・プレイ性を有していることがわかる。
本実施例のシステムを、階層構造の一部をなすよう構成することができる。一例において、同報送信要素は上下2つの階層間にあって、上位階層ではメンバー要素(電力消費要素のように振る舞い、上位階層の同報送信要素から受信した情報を用いて、下位階層グループ内で削減又は回復するべき総消費電力を決定する。)となり、下位階層では同報送信要素(アラート要素)となる(図4)。このような同報送信要素(下位階層同報送信要素)を「ソフトブレーカー」と呼ぶこととする。ソフトブレーカーの具体的構成は既に説明した同報送信要素(図7)と同様であるが、下位階層グループに対する同報送信機能だけでなく、上位階層同報送信要素から同報送信された上位階層情報を受信する機能も有している点が異なる。
以下の表1〜表8に示す数値例−1は、異なる6個の電力消費要素があり、それらに異なる優先度を定義した場合において、初期には全要素がオン状態であり、超過電力が200Wとなっている状況から本実施例による電力制御を7回模擬的に実施した場合の、数値計算による結果である(電力の単位はW)。
理想的な実効システム感度と同報送信要素(アラート要素)が有しているシステム感度(基本初期値は「1」である)には相違があって、大幅な食い違いがあれば前述のように電力制御の安定性を損なう可能性がある。βiの総和が「1」を下回る場合には、漸近的な収束が生ずるだけで障害とはならないが、「1」を大きく超えることは、発振的な様相を呈することから好ましくない。これを防ぐもっとも簡単な方策は、システム感度に非線形性を導入することである。具体的には、総消費電力が削減方向に調整されるべき場合には定義どおりのシステム感度を用い、対照的に余剰電力を検出して回復させる場合にはシステム感度を下げて、同報送信要素から共有されるべき上述の情報を送信することである。これにより、前述の安定性が確保される範囲を大きく改善することができる。
なお、等価推移比率は常に一定とは限らず、例えば以下の式(26)
に示すように動的に変化し得る。
で表現することができる。ここにおいてukは指示された削減電力の入力指示値を示す。
(28)
ただし、δCk+1,eqとδCk,eqは、それぞれCk+1,eqとCk,eqの真値から推定値を引いて得られる推定誤差であり、Ck,eq *は等価推移比率の真値である。さらに、以下の式(32)
に従って等価推移比率の真値が変動するモデルを想定している。
以下、本実施例の電力制御に関わる、具体的な優先度設定の例について説明する。
「各機器が持つ優先度」=「グループ内の制御対象要素数の総和の値」を基本優先度とする。固定値であるため、システムは非常に安定である。このようにすることで、ドメイン全体の基本的なシステム感度を、概ね「1」にすることができる。なお、個々の機器側で独立に優先度を高めても制御安定性に影響が出ないのが、本方式の特徴であり、例えば 「各要素が持つ優先度」=「グループ内の制御対象要素数の総和の値」×「基準照度/実照度」
を、LED照明ドメインで採用できる。上述のとおり消費電力に上限、下限を設ける場合には、計算により得られた消費電力削減量の削減で運転維持限界を下回る場合には運転維持限界を下限とし、逆に、計算される負の削減量で定格消費電力を超えてしまう場合には定格消費電力を上限とする等の運用がなされる。
「各機器が持つ優先度」=「機器定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力」×「ドメイン内のインバーター制御機器数の総和の値」
を基本優先度とする。i番目の機器における機器定格最大削減可能電力は、定格消費電力Pimaxから動作可能な下限の消費電力Piminを引いて得られるΔPimaxであり、瞬時削減可能電力は、当該機器の現時点の消費電力Piから動作可能な下限の消費電力Piminを引いて得られるΔPiである(図5)。すなわち、現時点で消費している電力あるいはデューティを測定して(図8,図9中の検流計、検出器I/Fで行う。)、これを各機器で算出する。こうすることで、ドメイン全体の基本的なシステム感度を、概ね「1」にすることになる。なお、個々の機器側において手動で優先度を高めても制御安定性に影響が出ないのが、本方式の特徴であり、例えば
「各機器が持つ優先度」=「機器定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力」×「ドメイン内のインバーター制御機器数の総和の値」×「基準照度/実照度」
を、LED照明ドメインで採用できる。計算される削減量で運転維持限界を下回る場合は、運転維持限界を下限とし、逆に、計算される負の削減量で定格電力を超えてしまう場合は、定格電力までとする。
「各機器が持つ優先度」=「ドメイン内での定格最大削減可能電力/機器定格最大削減可能電力」
を基本優先度とする。ドメイン内での定格最大削減可能電力とは、グループに含まれる各機器についての機器定格最大削減可能電力の合計である。このような優先度の数値は固定値であり、システムは非常に安定である。こうすることで、ドメイン全体の基本的なシステム感度を、概ね「1」にすることになる。なお、個々の機器側において手動で優先度を高めても制御安定性に影響が出ないのが、本方式の特徴であり、例えば
「各機器が持つ優先度」=「ドメイン内での定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力」×「基準照度/実照度」
を、LED照明ドメインで採用できる。計算される削減量で運転維持限界を下回る場合は、運転維持限界を下限とし、逆に、計算される負の削減量で定格電力を超えてしまう場合は、定格電力までとする。
「各機器が持つ優先度」=「ドメイン内での定格最大削減可能電力/機器定格最大削減可能電力」×「機器定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力」=「ドメイン内での定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力」
を基本優先度とする(下記式(33)参照)。
機器jの優先度
すなわち、現時点で消費している電力あるいはデューティを測定して、これを各機器で算出する。こうすることで、ドメイン全体の基本的なシステム感度を、概ね「1」にすることになる。なお、個々の機器側において手動で優先度を高めても制御安定性に影響が出ないのが、本方式の特徴であり、例えば
「各機器が持つ優先度」=「ドメイン内での定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力」×「基準照度/実照度」
を、LED照明ドメインで採用できる。計算される削減量で運転維持限界を下回る場合は運転維持限界を下限とし、逆に、計算される負の削減量で定格電力を超えてしまう場合は、定格電力までとする。
ドメイン内電力調整度=
この「ドメイン内電力調整度」は、当該ドメインでの実際の(実効)システム感度である。その値は、メンバー要素から情報収集を行えば計算できるが、本電力制御方式ではそれに要する通信を削減すべく、アラート要素は、特に定めない限りは所定の感度値である「1」を想定している。実際、メンバー要素の全てが定格電力で運転されている場合は、「1」をとる。ドメイン内電力調整度は、システムが階層化された場合に、上位階層にて同メンバー要素がアラート要素となる、下位階層ドメインを代表する優先度を算出するために使われる。
ここでは、優先度の設定にあたり、瞬時での「機器またはドメイン内での定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力」に基づく計算を推奨している。しかし、実際の設置においては、予め、数値評価に依らずに、優先度を電力消費要素ごとに割り付けたい場合が存在する。以下、このような場合について更に検討する。
「機器またはドメイン内での定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力」の有理数のべき乗に基づく計算を行ってもよく、関数型は特に限定されるものではない。例えば、タイプ2では、
「各機器が持つ優先度」=「[3−2.5×(瞬時削減可能電力/機器定格最大削減可能電力)^2]×『ドメイン内のインバーター制御機器数の総和の値』」
という関数を採用してもよい(「^2」は2乗を表わす。)。これによれば、最低優先度をN/2、最高優先度を3Nとすることになる。
以下、3種類の具体的な優先度設定例を説明する。ただし、優先度の設定方法はこれらの方法に限らない。
(1)台形方策:定性的な設定を簡易に行う方法。
(2)直線型優先度:各個体の運転状況に基づいて、数学的に設定する方法。
(3)双曲線型優先度:各個体の運転状況に基づいて、数学的に設定する方法。
ドメイン内での平均優先度をNと配慮しつつ。最低優先度から最高優先度までを、N/2から2Nないしは3Nとする定性的な方法であり、定量的な評価を要しない(図10,図11)。実効システム感度を高めておくことについては、過渡応答に劣るが、安定性向上につながる。この場合は、最低優先度から最高優先度までを、Nから(2N)ないし、Nから(3N)と置くことも実用的であろう。システム感度は、定性的には、台形積分で近似評価することができる。
X=(瞬時削減可能電力/機器定格最大削減可能電力)は、0から1の間でランダムな変動を起こすと考えることができる。タイプ2では、
「各機器が持つ優先度」=「[A−(A−1/2)X]×「ドメイン内のインバーター制御機器数の総和の値」
とし、Aを2あるいは3に設定することで、優先度を、最低値のN/2から2Nあるいは3Nに直線的に変化させることができる(図12)。この優先度の逆数を、Xについて、[0−1]間で積分し、さらに逆数とすることで、実効システム感度を得ることができる。それらは、1.082(A=2),1.395(A=3)となり、安定な制御を提供できるとわかる。
「各機器が持つ優先度」=「[A−(A−1)X]×「ドメイン内のインバーター制御機器数の総和の値」
を優先度とすると、過渡応答には劣るが、安定性には有利な優先度設定が可能になる(図12)。この場合、実効システム感度は、1.443(A=2),1.820(A=3)と、さらに大きくとれる。
タイプ4では、「ドメイン内のインバーター制御機器数の総和の値」の代わりに、例えば「(ドメイン内での定格最大削減可能電力/機器定格最大削減可能電力)」を用いる方法が対応する。
同様に、
X=(瞬時削減可能電力/機器定格最大削減可能電力)
は、0から1の間でランダムな変動を起こすと考える。
このとき、
「各機器が持つ優先度」=「X^(−γ)/(γ+1)」
の優先度を用いる方策がある。ここにγは任意の正の実数である。優先度の逆数を、Xの区間、[0−1]間で積分し、その逆数をとって実効システム感度を計算すると「1」とすることができ、のぞましい制御系を構成できることがわかる。γとして、最も直感的であるのは、γ=1の場合で、このときタイプ2では、
「各機器が持つ優先度」=「(機器定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力)×「ドメイン内のインバーター制御機器数の総和の値」×(1/2)」とすることに対応し、最低優先度はN/2、最大優先度は無限大となる(図12)。タイプ4では、
「各機器が持つ優先度」=「(ドメイン内での定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力)×(1/2)」
とすることに対応する。この場合も、ドメイン全体で積分を行い、実効システム感度を評価することが可能で、それによれば、実効システム感度は「1」以上を確保できると証明できる。既に述べた優先度は、ここでの理論的に導かれた優先度の2倍にあたる。このことは、実効システム感度を2倍にしていることに対応していて、過渡応答よりも安定性確保を優先して設定されたものと理解できる。
上位階層ドメインでのシステム感度(上位階層システム感度)は、基本的に「1」である。本ソフトブレーカーでは、これについては、設定も監視の必要もない。上位階層においても、式(25)〜式(32)を用いて既に説明したとおり、アラート要素(上位階層同報送信要素)にてリアルタイム推定して、システム健全性を評価し、点検を行うことは可能である。
「下位階層のドメイン内電力調整度」×「上位階層ドメイン内のメンバー個体数」
と定義できる。また、タイプ4優先度に倣うと、
「下位階層のドメイン内電力調整度」×「(上位階層ドメイン内での定格最大削減可能電力)/(配下の下位階層における定格最大削減可能電力)」
と定義してもよい。
総消費電力の削減が求められる場合、削減余裕の少ない電力消費要素においては消費電力の削減を避けなくてはならない。そのような要素においては、ドメイン内全体で求められる削減量のうち分担する電力を小さくするべく、優先度は高く定義される。この考え方によれば、ドメイン内で許容される電力を削減された状態から復帰させる場合には、そのような削減余裕の少ない要素に、より積極的に回復量を割り当てるべきであり、復帰時には逆に、そのような要素への優先度を小さくした方が運用上は好ましい場合がある。i番目の電力消費要素における削減時の優先度をQiとすると、復帰時の優先度の合理的な設定方法としては、相補性を考慮し、優先度逆数総和を「1」と規格化すると、例えば以下の式(36)に従うものが考えられる。
この設定も各電力消費要素上で行うことができる。これによれば、3つの電力消費要素が属するドメインにおいて削減時の優先度が2,3,6であった場合(逆数総和が1にとられている)、復帰時の優先度を4,3,2.4ととることができる。前述のタイプ1優先度設定において、優先度はドメイン内での個体総数Nであり、その場合は復帰時の優先度も同一のNである。このように、ドメイン内で電力削減が求められる場合と、電力を復帰させてよい場合とでは、同報される情報が示す総消費電力調整指示値の正負に依存させて、各電力消費要素上での計算で、優先度を非対称に変更することもできる。
削減時の優先度の逆数和が「1」である場合、復帰時の優先度の逆数和が「1」であるための条件は、aNb=1である。上記復帰時の優先度の定義は、a=bとして復帰時の優先度の和の逆数和が「1」となるよう規格化した例である。
これによれば、3要素が属するドメインにおいては、削減時の優先度が、2,3,6であった場合(逆数総和が1にとられている)、復帰時の優先度を、6,3,2として正反対の優先度をとることができる。
これまでの説明においては、主たる制約条件として、グループに含まれる電療消費要素で消費される電力の総和が、指定された電力となる制約条件下(式(1))での最適化法を考えた。しかしながら本制御方式は、さらに拡大されて、副制約条件を課した場合での最適化に応用できる。上記式(1)により表される元の制約を、−0次とし、副制約を、−1次,−2次,…−m次とし、以下の式(39)で表わされる拡大評価関数による最適化を考える。
ただし、
及び
(39)
上記式(39)の1番目の式から、e0 Tf−P0=0を主制約条件と呼び、ei Tf−Pi=0を副制約条件と呼ぶことができる。
(40)
主たる制約条件への影響は、軽微にとどめることができる。
例えば
0,ΔP0×(システム感度),…,i,ΔPi,…
のように、副制約条件も含めて同報送信することになる。
副制約による制御の具体例を、理想的な最適制御と実際の制御に分けて説明する。
グループ内の電力消費要素数N=3とし、全ての要素の優先度Qjjが3であるとする。このとき、上記式(39)のQは、対角成分が3で非対角成分がゼロの対角行列となる。副制約条件は1つのみであり、積算行ベクトルe1 T=(1,0,−1)とすると、上記式(39)の2番目の式である(Q-1e0)Te1=0の直交関係が満たされている。副制約条件は、上記式(39)の1番目の式から、e1 Tf−P1=0,すなわちf1−f3=P1と表わされる。これは、1番目の電力消費要素の消費電力と3番目の電力消費要素の消費電力の差をP1に保つという物理的意味を有しており、例えば窓際と廊下側でLED照明の消費電力に差をつけるような場合に対応する。この例以外にも、積算行ベクトルの選択に応じて、図13に概念的に示すとおり様々な副制約を課すことができる。
(42)
実際の制御においては、上記式(40)中、S0について、同報送信要素は正確な値(実効システム感度)を有していないため、例えばシステム感度を1とする。さらに、ΔP1=(f1 *−f3 *)−P1も同報送信要素が直接測定できるわけではないので、ΔP1=γ1×ΔP0等として決定した上で、総消費電力調整指示値ΔP0×1を表わす情報と、副制約積算消費電力調整指示値γ1×ΔP0を表わす副制約情報が同報送信される。これらを受信した電力消費要素は、既に説明したとおり、これらに自己の優先度の逆数や副システム感度を乗じるなどして、上記式(40)に従い自己の消費電力を更新する。したがって、上記式(42)の消費電力ではなく、以下の式(43)の消費電力へと制御がなされる。
(43)
いままで説明した、消費電力制御のための一連の方策は、電力の代わりに情報伝達能力を資源とし、電力の消費を情報伝達能力の占有としても、そのまま適用が可能である。送信機が情報を送信しようとする場合、送信機出力や、伝播距離、ないしは送受信のアンテナ効率などの要因により、伝送速度、すなわち情報伝達能力たる資源が制約される場合が出現する。情報を送達せしめたいドメイン内の各サブシステムあるいは計測装置は、その情報伝達能力をある比率で利用しなくてはならないが、複数のサブシステムあるいは計測装置(メンバー要素)が伝達能力の部分的な占有を要求すると、資源たるドメイン情報伝達能力を逸脱する場合がでてくる。各メンバー要素においては、動的に優先度を変更することが考えられるが、そのような場合であっても、各メンバー要素の優先度を考慮して最適な資源割当て実施する必要がある。本方策によれば、同報送信要素において、ドメイン内で、総情報伝達能力を計測し、その総定格能力(基準値)との差にもとづいてドメインのシステム感度を用いて生成される情報を同報で送信する機能と、各メンバー要素において、優先度を用いた演算を行う機能を複合させることで、資源制約を満たしつつ最適解を得ることができる。情報伝達能力についても、ソフトブレーカーの導入が可能である。
以下、本件追加発明を詳細に説明する。なお、数式の番号は以降において新たに振りなおす。
すなわち、優先度を考慮した資源たる電力を割り付ける制御システムを、制御システム上の構成から、サーバー・クライアント通信を行う形態と、同報送信と電力消費要素である各個体側での独立分散並列処理にて行う形態を、特願2014−153348号での記述とは明確に識別して改めて解析する。しかる後に、システムに位相変動を動的補償器を用いて記述することによって、非直流域でのシステムの特性を解析し、課題解決の手段を提供する。
(各個体での独立分散処理の動的モデル)
各個体側での電力制御のモデルは、指定消費電力Pi*を実現させる1次遅れ系であり、そのブロック図は図15のように書かれる。
(図15 各個体の電力制御モデル)
(図16 各個体の伝達関数)
と書かれる。
(図17 調整量に対する各個体の電力消費量への制御モデル)
である。
(図18 各個体における積分)
(サーバー・クライアント双方向通信による、フィードバックゲインの決定方式)
多数の個体からなる電力システムにおいて、ドメインにおける総電力を一定に保つことは、スカラー量たる総電力の誤差を、全個体数に分割し配分するための、フィードバックゲインたるベクトルを決定することに帰着できる。
(図19 サーバー・クライアント方式によるフィードバックゲインの決定方式)
(同報送信と独立分散並列処理による、フィードバックゲインの決定方式)
(図20 同報通信と独立並列方式によるフィードバックゲインの決定方式(連続系))
(連続系システムの安定性)
ドメイン全体の特性方程式は、
と書かれ、特に、電力制御機構が同一視できるときは、
よって、連続系では、遅れ系がなければ、漸近安定性は、優先度の設定によらずに、自動的に保障される。
である。
(図21 同報通信と独立並列方式によるフィードバックゲインの決定方式(離散系))
離散系におけるブロック図より、系全体の特性方程式は
となる。書き換えることで、次式を得、
安定条件として、以下を得る。
(安定性を保証する、特性優先度の下限)
特に、システム感度を「1」とした場合、安定条件は、
となり、左辺を全系の「特性優先度」としてQ*と書けば、
の安定条件が得られる。
実は、安定条件として、その特性優先度Q*値には下限値が存在するが、同時に、その逆数が収束時定数を意味する。
より、
と近似できるので、系全体の収束時定数τ*は、基準のサンプルインターバルτに対して、
の関係にあり、無次元時定数を与えていることがわかる。
(各個体ないし、同報情報展開に伴う遅れの存在するときの安定性)
系において、遅れを発生させる要因には、大きく2種類が存在する。
(1) 各個体側では、インバーター制御での場合のように、実際には電力測定をおこなわず、(ほとんど等価だが)PWM, PAM の指令値のduty から、電力消費量を換算する場合がある。これは、指令値なので、論理の作り方によっては、同報されている時点で出されている最も最近(遅れている)の指令値を基準に制御が行われてしまう。その場合は、個体で定まるところの応答遅れが存在するのと等価になる。実は、高次数システムの応答遅れと、単純な計測遅れは識別される必要がある。後述する。
(2) ドメイン内の全個体に共通に発生する遅れ。総電力消費量を計測する、センシングモジュールからメディアコンバーター(同報装置)へ、またメディアコンバーターから個体までのメディアに固有の同報時間(赤外線 PPM 伝送遅れ、Zigbee(登録商標)での多hop 数など)は、共通に遅れる要因となる。ただし通信メディアでのhop の数にもよるが、概ね1インターバル分に収まるのが普通である。
表現上は、各個体において測定される、電力消費量の測定時間遅れとして示すことができる。(正確には、機器遅れのメカニズムに依存する。後述。)
一般的には、何らかの動的な特性を有するメカニズムである,伝達関数がF(s)という手段が介在する結果であると記述できる。
インターバルに比べて、メディアのhopする速度は十分に速いのが普通。その通信遅れが顕在化することはまずありえない。ただし、ソフトウェア構築上、止むを得ず、1インターバルを待ってしまう結果を生むことはあり得ることで、この議論は、その陥りやすいソフトウェアの欠陥への警鐘と受けとめられるべきである。後述するように、積極的な対応も可能である。
本発明では、遅れを、誤って導入する、あるいは導入してしまった場合に、どのように対策すべきか、その解決手段を提供する。
安定化には、「制御系全体の一巡伝達ゲインを支配するシステム感度の低減化」と、「一巡伝達経路および各個体上での位相の補償」、「各個体での位相変動モデルの組込みによる動的補償法」の3つの手段がある。このためには、後述するように、各個体の応答性と内部での遅れを代表する指標である Class (クラス値)を工場出荷時までに、予め測定し、またそれを表示させて、各住宅やオフィスで制御システムを構築する際の調整に利用することが望ましい。
もっとも容易で確実なのは、システム感度の低減化である。これは、特性優先度を増加させ、等価的に応答時定数を長くすることに対応し、応答速度を犠牲にする手法でもある。直接にシステム感度を操作する以外に、同報送信器たるコントローラーおいて、「ドメイン内個体数」への要求条件を意図して高く設定する操作をすることで、システムの安定化をはかることができる。
各個体においては、実装段階にいたる前に、消費電力を計測することが推奨され、また調整する手段を予め埋め込まれているべきである。得られた、機器側の応答特性は、予め工場出荷時に、「Class 値」として計測、表示させ、システム設定段階では、そのClass 値をもとに、同報内容に全系の遅れ情報を載せ、機器側処理では、後述するように、積極的な補償操作を行うことで、遅れを抑えて、安定化をはかることも可能となる。
(図22 各個体における遅れなどの位相変動要素の存在(連続系))
(安定性の評価)
ドメイン全体の特性方程式は、遅れ動特性の影響を受ける。
特に、電力制御機構、遅れ動特性が同一視できるときは、
と記述でき、さらに遅れ系 F(s) を1次遅れ系で近似すると、特性方程式は
と近似できる。
結果として、特性方程式は2次系となり、τ の存在が振動を招き、遅れ系の存在が制御系全体の安定性に影響を与える。
(低感度化)
(1) 安定化には、システム感度またはその等価的な低減化、同等に特性優先度の増加が有効である。
すなわち、特性優先度の逆数 1/Q* 値を小さくとることが有効な条件である。遅れ系のない場合には、離散系でシステムを構成する場合では、上式が「2」以下であることが安定限界であり、「1」以下であることが漸近的な収束性を与えている。遅れ系の存在する場合には、特性方程式が示すように、振動様相を呈する。
同報されるシステム感度ないし設定される個体数を操作することが1つの方策である。この安定化とは、ドメイン内の総個体数ないしはドメイン内での電力調整可能量を意図的に拡大する設定を行うことに相当する。結果として、特性優先度Q* 値は上昇し、システムの応答時定数が低下する。
(動的補償器の設置と解決手段)
(2) 別な手段として、総電力の計測、あるいは、機器側での処理において、動的な位相補償器を設ける方策も存在する。
この方法では、位相補償器 C(s) を、同報装置内にハードウェアないしはソフトウェアで構築、あるいは、機器側での割当て電力の更新処理においてソフトウェアで構築し、遅れ量によっては、位相の進みと遅れを操作する。
(図23 同報経路における位相補償方式(連続系))
(位相変動モデルの各個体での処理論理への組込。遡り制御)
(3) 不安定化する要因は、同報されている全電力消費量の情報に含まれる、各個体での電力消費量情報が、各個体で参照・計測する時点での電力消費量と、取得時刻が異なることによる。すなわち位相のずれが不安定化を招いている。
従って、各個体での電力制御において、時々刻々に修正を行うべく参照している電力消費量の値を、「あえて過去にさかのぼらせること」で、情報取得時刻を「整合」させることができ、これが安定化に貢献する。各個体上で、過去に参照・計測された電力消費量を格納・保存しておくことができる機能を利用することになる。
この対処は、各個体上での処理によってなされる。同報装置の機能には影響はない。
(図24 各個体における、モデル組み込み型の位相補償方式(連続系))
実は、この対応とは、このブロック図で示すように、等価的には、遅れを招いている動特性を、電力追従の閉ループの中に取り込むことに対応している。
この方式の真の目的は、ドメイン全体で計測される情報の発生時刻を、各個体上で電力指令値へ追従させるために帰還・参照される瞬時の電力消費量の計測時刻を同一にすることにある。とくに遅れの原因が個体上でのデューティ率から換算するように機器への指令操作から推算することで発生している場合には、ここで言う対策は、過去を遡らせるというよりも、各個体上で電力消費量を計測するための積極的な回路などの手段の設置も含む。
a が十分大きい場合、つまり指令値への電力追従性が高い場合には、近似的に
と書かれ、さらに
となる。特性方程式は1次系となって、τ の安定性へ与える影響を排除させることができる。応答は、近似的には、τ の大きさに依らず漸近安定的になり、ロバスト安定化がはかれる。ただし、応答速度は、遅れ系における遅れ時間で支配される。
この対応策は、等価的には以下の図の制御系モデルを構成することとなる。本発明では、これを、内部組込モデルによる、ロバスト安定化法と呼ぶ。
(図25 各個体における、モデル組み込み型の位相補償方式の等価構造(連続系))
Z−変換されたドメインにおいて、その伝達特性は以下で書かれる。
ダイナミクスの高次化に起因する遅れと出力の遅れの2つの効果は、全く性格が異なることに注意する。m′ で代表されるダイナミクスの高次化に起因する遅れは、同時に、応答ゲインの低下を招くのに対し、m で代表される出力の遅れは、ゲインの低下を伴わず、位相遅れだけを誘引し、システムの安定性に大きな影響を与える。
下図は、m′=4, m=4 のシステムでの応答例である。
(図26 各個体の伝達モデルの測定とClass 値(離散系))
m′ の効果は、m′=1 の通常の積分プロセスの出力振幅を、「1/m′」倍させることから、振幅を実測して推定できる。
一方、特に周期性の入力を加えた場合の1周期後の位相ずれは、「(m′+m)」インターバルずれるので、前者の結果を参照することによって、結果として m を推定できることになる。
通常、「インターバル時間」と、「試験入力の振幅電力」によって、(m, m′) 値は変化しうるため、機器特性の把握にあたっては、両者をパラメータにしてふって、機器性能を評価しておく必要がある。それらは、多数の応答特性の異なる機器で構成されるシステムの安定化調整において、ドメインへの同報通信での遅れ特性を加味して調整する過程で、きわめて重要な役割を果たす。
下記の 「Class (m, m′) 表示」を機器で行うことで、安定なシステム設定を行うことができる。
(図27 インターバル、電力振幅に対する各個体のClass 値の表示例)
このClass 値は、「各個体毎に異なる収束時定数を概ねそろえて優先度定義のばらつきを補正させる調整(adjuster)機能」と、「制御系全体の安定性を保証するために必要な特性優先度に乗ずるべき補正機能」によって利用される。
各機器では、オプショナルに、このClass m 値を補正する調整 (adjuster) 機能を搭載することが推奨される。たとえば、各個体にて、その個体のもつ遅れ特性を、2,4倍、…と変更しておくことが有効である。
一旦、Class 値が揃えられると、同報遅れは共通であり、後述する、1) 特性優先度の下限値の補正や、2) 機器側での遡り制御機能も共通化できるメリットが得られる。
(図28 Class に基づく、ドメイン全体の不確定性モデル(離散系))
(系の安定性と、特性優先度に求められる安定条件)
と書かれる。
総合遅れ、「(l (エル)+mi)」をmi の最大値を用いて、全系の特性遅れとし、「 l (エル)」と改めて代表して記述する。また、ダイナミクス部分を代表する次数(m′i) を、あらためて「m」と以下記述してシステムの安定性を解析する。
系全体の特性方程式は、
安定条件は、上式の解が、単位円中にとどまることである。
が単位円を写像した結果の領域が、負の実数 (−1/Q) を含むことが安定の必要条件となる。写像された領域の境界は、z=exp[ωj] とおくと、実軸との交点は、
の解で生ずる。交点の実軸上の値は、 であり、系の特性優先度 Q は安定のための下限値を持ち、その値は
である。特別の場合、l (エル)=0 の場合は、m に依らず、1/2 < Q が安定条件である。
(図29 Class に基づく、安定のための特性優先度の下限値)
機器のダイナミクスとしてゲインの低下につながる次数 m の増加は、結果としてループゲインを低下させるので、特性優先度の下限値は低下し、安定域は拡大する。しかし、遅れが、ダイナミクス起因か、出力の遅れなのかの識別は非常に重要で、後者であれば、上式の m=1 のカラムが示すように、安定性確保の調整に大きな影響がある。
特性優先度としては、上の表の数値では応答が振動するため、2倍以上の値をとることが推奨される。
システムの安定化のため、ドメイン内で優先度の逆数和を「1」と規格化させたドメイン内の全個体(機器)数の設定に対して、実際の使用条件に近いインターバルで、また実際の使用条件に近い電力調整幅(Class 試験時の両振幅値) にて予め測定、表示されている Class 値に対応し、以下の数字を、同全個体(機器)数に乗じて補正する必要がある。(ここに l (エル)= l (エル)+m。m=m′。)
(図30 Class に基づく、安定化に要するドメイン個体数値に乗じられるべき数値)
前者は、前述のように、機器の工場出荷時に計測し、表示されていることが必要である。後者には、気づきにくい遅れに起因する場合がある。伝送時間そのものに起因する要因としては、赤外線通信に要する時間や、multi hop にともなう遅れなどがあげられる。
を安定条件として得る。
(各個体処理への、遅れないし出力特性の積極的な導入による安定化法)
(図31 Class に基づく、各個体における、モデル組み込み型の位相補償方式(離散系))
系の安定性を示す特性方程式は、
と書かれる。 変形すると
さらに、
の伝送遅れについては、
となる。第1項は単位円を単位円上に写像するため、安定性確保に関する、特性優先度の下限値への条件は、伝送遅れがない場合に戻すことができ、応答時定数の短縮、高速化につながる。すなわち、(St/Q) < 2 が安定条件となる。
(図32 各個体における、モデル組み込み型の位相補償方式(離散系))
数値例を掲げる。
(図33 6個の個体からなるドメインの例 電力単位(W))
優先度の逆数の総和値は、約1.4 であり(特性優先度で 0.7)、システム感度が「1」でも安定性を確保できている例となっているが、「1」を超えているため、応答は振動性を呈する例題であり、不安定に陥りやすい例となっている。
遅れが全く存在しない場合には、過渡応答は良好で、若干のオーバーシュートがありながらも、4−5秒後には制御が完了している。
(図34 遅れのない場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=0.7))
次の図には、システム感度を 0.3 とした場合の、同じく遅れ系が存在しない場合の応答例を掲げている。オーバーシュートもなく、安定に推移しているが、制御の達成には、8−9秒を要している。
(図35 遅れのない場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=3.3))
再び、システム感度を「1」に戻す。
ドメイン内への同報に時間遅れの存在する場合の例を次の図に掲げた。同報に遅れと記述しているが、実際には、全ての個体において、電力指示値へ追従させる制御に使用する、瞬時の電力消費量の計測値が、1インターバル遅れた場合に相当している。1インターバルの遅れの影響は顕著である。
(図36 同報系に1インターバルの遅れのある場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=0.7))
前述のように、この 1インターバル遅れ時での、等価的な安定限界は、優先度逆数総和値で「1.0」以下 (あるいは、その逆数で言えば、「1.0」以上)であり、システム感度で調整する場合の、安定限界は、「0.7」倍で実現される。
(安定限界に対応する特性優先度は、「1.0」であり、それを実現するシステム感度は、「0.7」である。)
以下の図では、システム感度を、「0.7」とした応答を示す。理論通り、「0.7」は、安定限界に対応していることがわかる。
極端な例として同報遅れが「4」の場合についても、前述の安定限界が理論通り実現できる例も掲げた。
(図37 同報系に1インターバルの遅れのある場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=1.0)安定限界の例。)
(図38 同報系に4インターバルの遅れのある場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=2.9)安定限界の例。)
「0.5」、「0.3」にとった場合の応答例を掲げる。
(図39 同報系に4インターバルの遅れのある場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=5.8))
(図40 同報系に4インターバルの遅れのある場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=9.7))
総電力量を帰還させるループに、位相補償器を導入した応答例を示す。
ドメイン内で計測される総電力量のインターバル間での変化を計測し、それに適切な係数を乗じて、総電力の不足・余剰情報に混合して同報させている。位相保障器の伝達関数は典型的には
C(s)=(1+k s)
と書かれる。
ドメイン内の機器毎の優先度が大きくばらついているため、1つの動的補償器による改善は効果的ではなく、安定性は改善されてはいるが、効果は限定的である。
(図41 同報系に位相補償要素を入れた応答例 (特性優先度=0.7))
ドメイン内の各機器において、追従制御において、帰還・参照される瞬時の電力消費量として、各機器で格納してある1インターバル前の値を遡って用いた応答例を示す。
効果は、予想通り非常に有効であり、過去を読み出すための1インターバルを要するものの、9−10 秒ほど制御が完了している。システム感度は、「1」のままで低下させていない。
同報遅れが、「4」の場合についても、この遡り補償での改善例を掲げた。やはり、システム感度は、「1」のままで低下させていない。
(図42 同報遅れが1インターバル時、全個体で1インターバル遡る、遅れモデル組み込み時の応答例 (特性優先度=0.7)
(図43 同報遅れが4インターバル時、全個体で4インターバル遡る、遅れモデル組み込み時の応答例 (特性優先度=0.7))
この例では、全系への同報値の発信に時間遅れを想定した例であるため、全個体での対策が効果あげたが、実際には、遅れを生じている箇所を特定することが難しい場合も存在する。
1つの対策は、ドメインにおける主要な消費個体において、追従制御において帰還・参照される情報として、格納されている過去の情報を参照する方法が考えられる。全系での遅れを、主要個体側で補償することを試みる例である。
次の応答例では、個体−1, −6 についてのみ、この対策をとった場合の例である。たしかに安定性の改善ははかられてはいる。しかし、十分とは言えない。ここにシステム感度は、「1」のままである。
(図44 同報遅れが1インタバール時、主要個体のみで1インターバル遡る、遅れモデル組み込み時の応答例 (特性優先度=0.7))
以下の例では、ドメインにおいて同報遅れが1インターバル存在し、かつ、個体−1,−6 においては、さらに、1インターバルの機器固有の遅れを伴う場合について述べる。
誤差電力履歴は、非常に振動的で、不安定な状態におかれている。なお、ここでも、システム感度は、あえて「1」に固定したままとしている。
(図45 同報遅れが1インタバール時、2個体でさらに1インターバルの遅れのある場合での応答例 (特性優先度=0.7)不安定。)
まず、ドメイン内の各個体で、同報遅れ分だけの、過去への遡り制御を行った場合の結果を掲げる。すなわち、個体−1, −6 で固有に発生している個体毎の遅れへの対処を行わない場合に相当している。ここにシステム感度は、「1」のままである。
(図46 同報遅れが1インタバール時、2個体でさらに1インターバルの遅れのある場合で、全個体で1インターバル分の遡り制御を実施した応答例 (特性優先度=0.7))
続いて、ドメイン内の各個体で、同報分と個々での遅れ分も存在するものについて合算して対応する、遡り制御を行った場合の結果を掲げる。ここにシステム感度は、「1」のままである。
(図47 同報遅れが1インタバール時、2個体でさらに1インターバルの遅れのある場合で、個体側でそれぞれの遡り制御を合算して補償した応答例 (特性優先度=0.7))
この場合でも、究極的な安定化法は、システム感度の低減策の併用である。
まず、システム感度を 0.3 とし、遡り制御を一切行わなかった場合の応答を掲げる。
(図48 同報遅れが1インタバール時、2個体でさらに1インターバルの遅れのある場合で、個体側では補償を行わず、システム感度のみを低減した応答例 (特性優先度=2.4))
最後の例は、システム感度の低減策と、各個体での遡り制御を併用した場合である。
安定性の改善もさることながら、応答性も改善されており、オーバーシュートもなく、13秒ほどで制御は完了していることがわかる。
正しくは、情報処理上の、総電力の計測手段及び同報手段に内在しうる遅れの排除と、各個体上での電力追従制御にて帰還・参照される瞬時電力量の計測と処理手段からの遅れ要因の排除を行うことが、優先的にとられるべき対処法である。
ここで述べる手段は、対処の徹底しえない環境にて、最終的な調整手段として採用されるべきことである。
(図49 同報遅れが1インタバール時、2個体でさらに1インターバルの遅れのある場合で、個体側でそれぞれの遡り制御を合算して補償し、かつシステム感度を低減した応答例 (特性優先度=2.4))
(瞬時電力に関する予見制御とオーバーシュートの回避)
各個体上では、同報される瞬時のドメイン内での総消費電力が、規制値に対してもつ不足・余剰量を参照することで、個々の個体上で投入することの可能な最大電力量を知ることができる。正確には、優先度にしたがって、余裕電力量を分け合うことで、複数の個体が同時にこの余裕電力量を消費してオーバーシュートが発生することを避ける操作が可能になる。
実際の操作は、単純な線形の伝達関数では表現しきれないが、次のページに示すように、各個体で優先度の逆数を乗ずる比例動作(P動作)を、PD あるいは PID 動作させることで、達成されると考えてよい。
積分量を制御する意味では、同報ループ内に、PID 制御補償器を導入する方策も存在する。図中の H0(s) が、それに対応する。純粋な積分保証でなくても、過去1月間の移動平均を出力させる機構であってもよく、その場合は、月間電力デマンドをフィードバックすることになる。
「デマンド」とは一定期間内での積分された電力量を示す用語であるが、それはいわば大きな時定数をもった低域通過フィルタによる出力であり、同報経路上におかれる位相変換器で得られる非直流域での制御目標値である。
制御上は、このデマンドを資源と見なした制御も可能であり、それは、前述の同報経路上で位相補償器を配する安定化手段の一部とも見なしうるが、ここではデマンドを予見制御させて、資源の割付を先行配置する制御法を提供している。先行配置の概念を、同報送信と独立分散の並列処理にて、優先度を考慮して実施する点が、本発明で提供する新たな概念である。
(図50 同報系と個体側双方でそれぞれの補償器を導入したシステム構成)
(変電所管内での供給電流の予見制御の例)
1列車が加速と、追いノッチ、慣性運行をなどを繰り返す制御を行う場合の変電所から流れ出る電流に規制がかけられる例を掲げる。変電所からは管内の複数の列車に電流が供給される。ある列車では、運行ダイヤに則って、加速が行われるが、変電所から供給する電流に 750Aの規制が設けられた場合。この例題での列車の最大加速時の電流は、2000A であり、P 動作のみで、予見機能を導入しなければ、750A を一旦踏み越えなくては、ピークカット制御に入れない。
(図51 鉄道車輌と変電所で構成するシステムにおいて、変電所での送出電流を予見制御させてオーバーシュートの発生を抑制した制御結果の例)
(逸脱電力履歴の位相先行操作(ピークシフト))
(図52 ピークを逸脱電力量を予測し、それを前置させてピークをシフトする制御の概念)
(図53 ピークを逸脱電力量を予測し、それを前置させてピークをシフトする制御の概念。電力調整量の推移。)
(図54 ピークシフト制御の結果として得られる電力履歴。)
(発明を実施するための形態)
非直流域での機能を発揮させるために、動的補償器を用いて、同報送信と電力消費要素である各個体側での独立分散並列処理によって、優先度を考慮した資源たる電力を割り付けるアルゴリズムを図示する。
(図56 同報送信要素および電力消費要素に位相補正等を行う動的補償を組込み実施する処理フロー)
(図57 電流を測定し、位相補償器を内蔵して同報送信する装置の機能ブロック図の例)
(図58 誘導電流によって駆動電力を確保する、電流を測定し、位相補償器を内蔵して同報送信する装置の機能ブロック図の例)
(図59 電力消費個体において、位相補償器を内蔵し、回路を遮断してデューティを制御する装置の機能ブロック図の例)
(図60 電力消費個体において、位相補償器を内蔵し、回路を遮断するべくデューティを調整する信号発生機構を備えた装置の機能ブロック図の例)
Claims (44)
- 同報送信要素と、
個別に優先度が与えられた1以上の電力消費要素と
を備え、
前記同報送信要素が、前記1以上の電力消費要素を含むグループ内で消費される総消費電力の現在値と、該総消費電力の基準値との差を測定し、該差の関数である総消費電力調整指示値を決定し、該総消費電力調整指示値を表わす該グループ内で共有すべき情報を生成し、該情報を該グループ内に同報送信し、
前記1以上の電力消費要素が前記同報送信された前記情報を受信し、該1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた前記優先度と前記総消費電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力の更新に用いるべき消費電力更新値を、該1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定し、該消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を制御することにより、該グループ内の総消費電力を制御する
よう構成された、電力制御システム。 - 前記総消費電力調整指示値はシステム感度の関数でもある、請求項1に記載の電力制御システム。
- 前記1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つにおいて前記優先度が動的に変更されるよう更に構成された、請求項1又は2に記載の電力制御システム。
- 前記システム感度は、前記総消費電力の前記現在値が該総消費電力の前記基準値よりも大きい場合と小さい場合とで異なり、該現在値が該基準値よりも大きい場合のシステム感度を、該現在値が該基準値よりも小さい場合のシステム感度よりも高くすることにより、該総消費電力の制御において該総消費電力の増加よりも削減の応答性が高くなるよう、且つ安定性を改善するよう更に構成された、請求項2に記載の電力制御システム。
- 前記1以上の電力消費要素の各々が消費すべき電力には上限値と下限値が設けられ、該1以上の電力消費要素の各々において行われる、前記消費電力更新値に基づいた自己の消費電力の制御が、該上限値を上回らず、且つ該下限値を下回らない消費電力範囲内で行われるよう更に構成された、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電力制御システム。
- 前記グループ内の総消費電力の制御を繰り返すことにより調整される該総消費電力の前記現在値の推移を前記同報送信要素又は総消費電力監視要素が監視し、
前記総消費電力の前記現在値と前記基準値との差の、前記制御がk回繰り返された時点の値をxkとし(kは0以上の整数)、該制御がk+1回繰り返された時点の値をxk+1としたときに
- 前記同報送信要素が更に、少なくとも1つの副制約積算消費電力調整指示値を算出し、該副制約積算消費電力調整指示値を表わす少なくとも1つの副制約情報を前記グループ内に同報送信し、
前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信された前記副制約情報を更に受信し、
前記1以上の電力消費要素のうち、前記副制約情報に基づく制御の対象となる電力消費要素が更に、自己に与えられた前記優先度と前記副制約積算消費電力調整指示値とを用いた演算により副制約消費電力更新値を決定し、該副制約消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を更に制御する
よう構成された、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電力制御システム。 - 前記同報送信に加えて、前記同報送信要素と前記1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つとの間の双方向通信が可能であるよう更に構成された、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電力制御システム。
- 上位階層優先度が与えられた、同報送信要素と、
個別に下位階層優先度が与えられた1以上の電力消費要素と
を備え、
前記同報送信要素は、
上位階層同報送信要素から同報送信される、上位階層総消費電力調整指示値を表わす上位階層情報を受信するよう構成されるとともに、
前記1以上の電力消費要素を含む下位階層グループ内で消費される下位階層総消費電力を測定し、該下位階層総消費電力と、前記上位階層優先度と、前記上位階層総消費電力調整指示値とを用いた演算により、該下位階層総消費電力の更新に用いるべき、下位階層総消費電力調整指示値を決定し、該下位階層総消費電力調整指示値を表わす該下位階層グループ内で共有すべき下位階層情報を生成し、該下位階層情報を該下位階層グループ内に同報送信するよう構成され、
前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信要素から同報送信された前記下位階層情報を受信するよう構成され、
前記1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた前記下位階層優先度と前記下位階層総消費電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力の更新に用いるべき消費電力更新値を、該1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定し、該消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を制御することにより、前記下位階層グループ内の総消費電力を制御するよう構成された
電力制御システム。 - 前記下位階層総消費電力調整指示値は下位階層システム感度の関数でもある、請求項9に記載の電力制御システム。
- 前記上位階層優先度が動的に変更されるよう更に構成された、請求項9又は10に記載の電力制御システム。
- 前記下位階層総消費電力調整指示値が下位階層グループ内の総消費電力の削減を指示する値である場合には、増加を指示する値である場合より前記下位階層システム感度を高くすることにより、該総消費電力の制御において該総消費電力の増加よりも削減の応答性が高くなるよう、且つ安定性を改善するよう更に構成された、請求項10に記載の電力制御システム。
- 前記下位階層グループ内で消費すべき総消費電力には上限値と下限値が設けられ、前記同報送信要素において行われる前記下位階層総消費電力調整指示値の決定は、更新後の該下位階層グループ内の総消費電力が該上限値を上回らず、且つ該下限値を下回らないと該同報送信要素が判断した範囲で行われるよう更に構成された、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の電力制御システム。
- 前記下位階層グループ内の総消費電力の制御を繰り返すことにより調整される該総消費電力の現在値の推移を前記同報送信要素又は総消費電力監視要素が監視し、
前記総消費電力の前記現在値と基準値との差の、前記制御がk回繰り返された時点の値をxkとし(kは0以上の整数)、該制御がk+1回繰り返された時点の値をxk+1としたときに
- 前記同報送信要素が更に、少なくとも1つの副制約積算消費電力調整指示値を算出し、該副制約積算消費電力調整指示値を表わす少なくとも1つの副制約情報を前記下位階層グループ内に同報送信し、
前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信された前記副制約情報を更に受信し、
前記1以上の電力消費要素のうち、前記副制約情報に基づく制御の対象となる電力消費要素が更に、自己に与えられた前記下位階層優先度と前記副制約積算消費電力調整指示値とを用いた演算により副制約消費電力更新値を決定し、該副制約消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を更に制御する
よう構成された、請求項9乃至14のいずれか一項に記載の電力制御システム。 - 前記同報送信に加えて、前記同報送信要素と前記1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つとの間の双方向通信が可能であるよう更に構成された、請求項9乃至15のいずれか一項に記載の電力制御システム。
- 前記1以上の電力消費要素は、特定の住戸、オフィス、建物、地域に属する1以上の電力消費機器、又は、特定の住戸、オフィス、建物、地域の集合体に属する複数の電力消費機器の集合体である、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の電力制御システム。
- 前記1以上の電力消費要素は、移動体又は移動体の集合体である、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の電力制御システム。
- 同報送信要素と、
個別に優先度が与えられた1以上の情報伝達要素と
を備え、
前記同報送信要素が、前記1以上の情報伝達要素を含むグループ内で占有される総情報伝達能力の現在値と、該総情報伝達能力の基準値との差を測定し、該差の関数である総情報伝達能力調整指示値を決定し、該総情報伝達能力調整指示値を表わす該グループ内で共有すべき情報を生成し、該情報を該グループ内に同報送信し、
前記1以上の情報伝達要素が前記同報送信された前記情報を受信し、該1以上の情報伝達要素の各々が、自己に与えられた前記優先度と前記総情報伝達能力調整指示値とを用いた演算により、自己の情報伝達能力の更新に用いるべき情報伝達能力更新値を、該1以上の情報伝達要素のうち自己以外の情報伝達要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定し、該情報伝達能力更新値に基づいて自己の情報伝達能力を制御することにより、該グループ内の総情報伝達能力を制御する
よう構成された、情報伝達能力制御システム。 - 前記同報送信要素が通信サーバーであり、前記情報伝達要素がクライアントマシンであり、前記情報伝達能力が通信速度である、請求項19に記載の情報伝達能力制御システム。
- 同報送信要素が、個別に優先度が与えられた1以上の電力消費要素を含むグループ内で消費される総消費電力の現在値と、該総消費電力の基準値との差を測定する段階と、
前記同報送信要素が、前記差の関数である総消費電力調整指示値を決定し、該総消費電力調整指示値を表わす前記グループ内で共有すべき情報を生成する段階と、
前記同報送信要素が、前記情報を前記グループ内に同報送信する段階と、
前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信された前記情報を受信する段階と、
前記1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた前記優先度と前記総消費電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力の更新に用いるべき消費電力更新値を、該1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定する段階と、
前記1以上の電力消費要素の各々が、前記消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を制御することにより、前記グループ内の総消費電力を制御する段階と
を備えた電力制御方法。 - 前記同報送信要素による前記総消費電力調整指示値の決定は、前記差に加えてシステム感度の関数として該総消費電力調整指示値を決定することにより行われる、請求項21に記載の電力制御方法。
- 前記1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つにおいて前記優先度を動的に変更する段階を更に備えた、請求項21又は22に記載の電力制御方法。
- 前記システム感度は、前記総消費電力の前記現在値が該総消費電力の前記基準値よりも大きい場合と小さい場合とで異なり、該現在値が該基準値よりも大きい場合のシステム感度を、該現在値が該基準値よりも小さい場合のシステム感度よりも高くすることにより、該総消費電力の制御において該総消費電力の増加よりも削減の応答性が高くなるよう、且つ安定性を改善するよう更に構成された、請求項22に記載の電力制御方法。
- 前記1以上の電力消費要素の各々が消費すべき電力には上限値と下限値が設けられ、該1以上の電力消費要素の各々において行われる、前記消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を制御する前記段階が、該上限値を上回らず、且つ該下限値を下回らない消費電力範囲内で行われるよう更に構成された、請求項21乃至24のいずれか一項に記載の電力制御方法。
- 前記グループ内の総消費電力の制御を繰り返すことにより調整される該総消費電力の前記現在値の推移を前記同報送信要素又は総消費電力監視要素が監視する段階と、
前記総消費電力の前記現在値と前記基準値との差の、前記制御がk回繰り返された時点の値をxkとし(kは0以上の整数)、該制御がk+1回繰り返された時点の値をxk+1としたときに
を更に備えた、請求項21乃至25のいずれか一項に記載の電力制御方法。 - 前記同報送信要素が更に、少なくとも1つの副制約積算消費電力調整指示値を算出する段階と、該副制約積算消費電力調整指示値を表わす少なくとも1つの副制約情報を前記グループ内に同報送信する段階と、
前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信された前記副制約情報を更に受信する段階と、
前記1以上の電力消費要素のうち、前記副制約情報に基づく制御の対象となる電力消費要素が更に、自己に与えられた前記優先度と前記副制約積算消費電力調整指示値とを用いた演算により副制約消費電力更新値を決定し、該副制約消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を更に制御する段階と
を更に備えた、請求項21乃至26のいずれか一項に記載の電力制御方法。 - 前記同報送信に加えて、前記同報送信要素と前記1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つとの間で双方向通信する段階を更に備えた、請求項21乃至27のいずれか一項に記載の電力制御方法。
- 上位階層優先度が与えられた同報送信要素が、上位階層同報送信要素から同報送信される、上位階層総消費電力調整指示値を表わす上位階層情報を受信する段階と、
前記同報送信要素が、個別に下位階層優先度が与えられた1以上の電力消費要素を含む下位階層グループ内で消費される下位階層総消費電力を測定する段階と、
前記同報送信要素が、前記下位階層総消費電力と、前記上位階層優先度と、前記上位階層総消費電力調整指示値とを用いた演算により、前記下位階層総消費電力の更新に用いるべき、下位階層総消費電力調整指示値を決定し、該下位階層総消費電力調整指示値を表わす該下位階層グループ内で共有すべき下位階層情報を生成する段階と、
前記同報送信要素が、前記下位階層情報を前記下位階層グループ内に同報送信する段階と、
前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信要素から同報送信された前記下位階層情報を受信する段階と、
前記1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた前記下位階層優先度と前記下位階層総消費電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力の更新に用いるべき消費電力更新値を、該1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定する段階と、
前記1以上の電力消費要素の各々が、前記消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を制御することにより、前記下位階層グループ内の総消費電力を制御する段階と
を備えた電力制御方法。 - 前記同報送信要素による前記下位階層総消費電力調整指示値の決定は、前記下位階層総消費電力と、前記上位階層優先度と、前記上位階層総消費電力調整指示値とに加えて下位階層システム感度も用いた演算により該下位階層総消費電力調整指示値を決定することにより行われる、請求項29に記載の電力制御方法。
- 前記上位階層優先度を動的に変更する段階を更に備えた、請求項29又は30に記載の電力制御方法。
- 前記下位階層総消費電力調整指示値が下位階層グループ内の総消費電力の削減を指示する値である場合には、増加を指示する値である場合より前記下位階層システム感度を高くすることにより、該総消費電力の制御において該総消費電力の増加よりも削減の応答性が高くなるよう、且つ安定性を改善するよう更に構成された、請求項30に記載の電力制御方法。
- 前記下位階層グループ内で消費すべき総消費電力には上限値と下限値が設けられ、前記同報送信要素において行われる前記下位階層総消費電力調整指示値の決定は、更新後の該下位階層グループ内の総消費電力が該上限値を上回らず、且つ該下限値を下回らないと該同報送信要素が判断した範囲で行われるよう更に構成された、請求項29乃至32のいずれか一項に記載の電力制御方法。
- 前記下位階層グループ内の総消費電力の制御を繰り返すことにより調整される該総消費電力の現在値の推移を前記同報送信要素又は総消費電力監視要素が監視する段階と、
前記総消費電力の前記現在値と基準値との差の、前記制御がk回繰り返された時点の値をxkとし(kは0以上の整数)、該制御がk+1回繰り返された時点の値をxk+1としたときに
を更に備えた、請求項29乃至33のいずれか一項に記載の電力制御方法。 - 前記同報送信要素が更に、少なくとも1つの副制約積算消費電力調整指示値を算出する段階と、該副制約積算消費電力調整指示値を表わす少なくとも1つの副制約情報を前記下位階層グループ内に同報送信する段階と、
前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信された前記副制約情報を更に受信する段階と、
前記1以上の電力消費要素のうち、前記副制約情報に基づく制御の対象となる電力消費要素が更に、自己に与えられた前記下位階層優先度と前記副制約積算消費電力調整指示値とを用いた演算により副制約消費電力更新値を決定し、該副制約消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を更に制御する段階と
を更に備えた、請求項29乃至34のいずれか一項に記載の電力制御方法。 - 前記同報送信に加えて、前記同報送信要素と前記1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つとの間で双方向通信する段階を更に備えた、請求項29乃至35のいずれか一項に記載の電力制御方法。
- 前記1以上の電力消費要素は、特定の住戸、オフィス、建物、地域に属する1以上の電力消費機器、又は、特定の住戸、オフィス、建物、地域の集合体に属する複数の電力消費機器の集合体である、請求項21乃至36のいずれか一項に記載の電力制御方法。
- 前記1以上の電力消費要素は、移動体又は移動体の集合体である、請求項21乃至37のいずれか一項に記載の電力制御方法。
- 同報送信要素が、個別に優先度が与えられた1以上の情報伝達要素を含むグループ内で占有される総情報伝達能力の現在値と、該総情報伝達能力の基準値との差を測定する段階と、
前記同報送信要素が、前記差の関数である総情報伝達能力調整指示値を決定し、該総情報伝達能力調整指示値を表わす前記グループ内で共有すべき情報を生成する段階と、
前記同報送信要素が、前記情報を前記グループ内に同報送信する段階と、
前記1以上の情報伝達要素が、前記同報送信された前記情報を受信する段階と、
前記1以上の情報伝達要素の各々が、自己に与えられた前記優先度と前記総情報伝達能力調整指示値とを用いた演算により、自己の情報伝達能力の更新に用いるべき情報伝達能力更新値を、該1以上の情報伝達要素のうち自己以外の情報伝達要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定する段階と、
前記1以上の情報伝達要素の各々が、前記情報伝達能力更新値に基づいて自己の情報伝達能力を制御することにより、前記グループ内の総情報伝達能力を制御する段階と
を備えた情報伝達能力制御方法。 - 前記同報送信要素が通信サーバーであり、前記情報伝達要素がクライアントマシンであり、前記情報伝達能力が通信速度である、請求項39に記載の情報伝達能力制御方法。
- 同報送信要素と、
電力を直接に消費する、ないしは電力の供給を開閉する機能を備え、個別に優先度が与えられた1以上の電力消費要素と
を備え、
前記同報送信要素が、前記1以上の電力消費要素を含むグループ内で消費される総消費電力あるいは電力供給状態を示す多変量としての現在値と、該総消費電力あるいは電力供給状態を示す多変量としての基準値との差を測定し、該差の関数である一般には多変量の電力調整指示値を決定し、あるいは該電力調整指示値を他の要素から受領し、該電力調整指示値を表わす該グループ内で共有すべき一般には多変量の情報を生成し、該情報を該グループ内に同報送信し、
前記1以上の電力消費要素が前記同報送信された前記情報を受信し、該1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた前記優先度と前記電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力ないしは開閉電力の更新に用いるべき該電力更新値を、該1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定し、該電力更新値に基づいて自己の消費電力ないしは開閉電力を制御することにより、該グループ内の総消費電力あるいは電力供給状態を制御する
よう構成された、電力制御システム。 - 上位階層優先度が与えられた、同報送信要素と、
電力を直接に消費する、ないしは電力の供給を開閉する機能を備え、個別に下位階層優先度が与えられた1以上の電力消費要素と
を備え、
前記同報送信要素は、上位階層同報送信要素から同報送信される、上位階層における、総消費電力ないしは電力供給状態から演算される、一般には多変量の電力調整指示値を表わす上位階層情報を受信するよう構成されるとともに、
前記1以上の電力消費要素を含む下位階層グループ内で消費される下位階層総消費電力ないしは電力供給状態を測定し、該下位階層総消費電力ないしは電力供給状態と、前記上位階層優先度と、前記上位階層電力調整指示値とを用いた演算により、該下位階層総消費電力ないしは電力供給状態の更新に用いるべき、一般には多変量の下位階層電力調整指示値を決定し、あるいは該下位階層電力調整指示値を他の要素から受領し、該下位階層電力調整指示値を表わす該下位階層グループ内で共有すべき下位階層情報を生成し、該下位階層情報を該下位階層グループ内に同報送信するよう構成され、
前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信要素から同報送信された前記下位階層情報を受信するよう構成され、
前記1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた前記下位階層優先度と前記下位階層電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力ないしは電力供給状態の更新に用いるべき該電力更新値を、該1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定し、該電力更新値に基づいて自己の消費電力ないし開閉電力を制御することにより、前記下位階層グループ内の総消費電力ないしは電力供給状態を制御するよう
構成された、電力制御システム。 - 同報送信要素が、電力を直接に消費する、ないしは電力の供給を開閉する機能を備え、個別に優先度が与えられた1以上の電力消費要素を含むグループ内で消費される総消費電力あるいは電力供給状態を示す多変量としての現在値と、該総消費電力あるいは電力供給状態を示す多変量としての基準値との差を測定し、該差の関数である一般には多変量の電力調整指示値を決定し、あるいは該電力調整指示値を他の要素から受領し、該電力調整指示値を表わす該グループ内で共有すべき一般には多変量の情報を生成し、該情報を該グループ内に同報送信し、
前記1以上の電力消費要素が前記同報送信された前記情報を受信し、該1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた前記優先度と前記電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力ないしは開閉電力の更新に用いるべき該電力更新値を、該1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定し、該電力更新値に基づいて自己の消費電力ないしは開閉電力を制御することにより、該グループ内の総消費電力あるいは電力供給状態を制御する
よう構成された、電力制御方法。 - 上位階層優先度が与えられた同報送信要素が、上位階層同報送信要素から同報送信される、上位階層における、総消費電力ないしは電力供給状態から演算される、一般には多変量の電力調整指示値を表わす上位階層情報を受信するとともに、
電力を直接に消費する、ないしは電力の供給を開閉する機能を備え、個別に下位階層優先度が与えられた1以上の電力消費要素を含む下位階層グループ内で消費される下位階層総消費電力ないしは電力供給状態を測定し、該下位階層総消費電力ないしは電力供給状態と、前記上位階層優先度と、前記上位階層電力調整指示値とを用いた演算により、該下位階層総消費電力ないしは電力供給状態の更新に用いるべき、一般には多変量の下位階層電力調整指示値を決定し、あるいは該下位階層電力調整指示値を他の要素から受領し、該下位階層電力調整指示値を表わす該下位階層グループ内で共有すべき下位階層情報を生成し、該下位階層情報を該下位階層グループ内に同報送信し、
前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信要素から同報送信された前記下位階層情報を受信し、
前記1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた前記下位階層優先度と前記下位階層電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力ないしは電力供給状態の更新に用いるべき該電力更新値を、該1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定し、該電力更新値に基づいて自己の消費電力ないし開閉電力を制御することにより、前記下位階層グループ内の総消費電力ないしは電力供給状態を制御する
よう構成された、電力制御方法。
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