JP2016033817A - 電力制御システム、方法、及び、情報伝達能力制御システム、方法 - Google Patents

電力制御システム、方法、及び、情報伝達能力制御システム、方法 Download PDF

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Abstract

【課題】1対1の双方向通信を必要とせず、電力消費要素数が増加しても通信量が急激に増加することがなく、拡張性に優れた電力制御システム、及び方法を提供すること。さらに、同様の原理により実施できる情報伝達能力制御システム、及び方法を提供すること。
【解決手段】同報送信要素から、グループ内の総消費電力の現在値と基準値との差の関数である総消費電力調整指示値を表わす情報を同報送信する。グループに含まれる各々の電力消費要素は当該情報を受信し、自己の優先度と総消費電力調整指示値を用いた演算により、自己の消費電力更新値を独立に、並列に決定し、これに基づき自己の消費電力を制御する。同様の原理により情報伝達能力を制御することもできる。
【選択図】図3

Description

本発明は、資源(電力、情報伝達能力)総量の制約を満たしつつ、各要素の優先度に応じた資源の割当てを、特に通信量を抑えつつ、実装上で現れる非直流域での安定化と非直流域での制御目標を導入することによって、動的に且つ効率よく行うシステム、及び方法に関する。
各家庭、オフィス等においては、瞬間的に発生し得る消費電力を賄うべく、電力事業者と最大電力の契約を結び、また電力事業者も、各契約単位によって発生し得る消費電力の総計を賄う発電、送電設備を整備しようとしてきた。しかし、例えば夏場においては、常に電力供給能力は危機的な状況を迎えている。電力事業者は過剰な設備を保有することを避けるため、その供給能力は需要を僅かに上回る状況で推移する。その結果、需要ピーク時にはマージンが極めて少なくなる。
この状態でも、スマートメーターを通して、各家庭、オフィス等への供給制限を僅かでも行えば、電力危機は回避できる。将来における電力事業者と契約者との新たな契約関係は、このようなものになることが考えられる。
しかし、そのような制限下においても生活環境は維持されなくてはならない。すなわち、各家庭、オフィス等への電力制約が課されても、電力の「やりくり」を自律分散的に行うことが求められる。この部分は電力事業者の担当外である。
各家庭、オフィス等において電力の「やりくり」を行うことにより瞬間的なピーク電力の発生を避け、ピークの平坦化を行えば、上記需要ピークにかかる状況を劇的に改善することができる。しかるに、現状での各家庭、オフィス等での電化製品等の利用は、平坦化を考慮して行われていない。一部の住戸を除き、住宅、オフィスビル等での電力制御は、実現、普及に至っていない。
これまでは、対象となる電力消費個体やシステム上に置かれる非直流的なメカニズムの影響を解析し、それを解決する手段が提供されることはなかった。いわばこれまでは、「日」のスケールでの応答を考慮すれば足りていたため、直流的な要素としてしか考察されてきなかった。この瞬時電力の制御は、たとえ、一斉指令で行う場合であっても、システムに内在し点在する各種のモデル遅れの影響を受け、ときに深刻な不安定性を引き起こしうる。この課題は、資源を電力に限らず、情報やエネルギーなど普遍的な対象についての制御系としての安定化に関する。
また、これまでの電力の平坦化制御は、目標値が電力の規制値たる直流の目標値にほぼ限定されてきた。電力の余裕代を逸脱しないような予見制御や、一定期間での電力の積分量である電力量のデマンドを予見し、突出を抑制する制御とは、大きな位相操作を行って目標値を設定することに対応する。とくに高速の制御法である自律分散の並列処理方法とこの非直流域の制御目標の両立については、これまで手段が提供されたことはなかった。この課題は、同様に、資源を電力に限らず、情報やエネルギーなど普遍的な対象についての制御目標の設定に関する。
以下、関連する従来技術について簡潔に説明する。
特開平11−313438号公報「電力配電系統用障害保護装置」
同発明では、障害検知器によって故障を検知することに対応して、回路の遮断を行うハードウェア対応だが、本発明では、機器群が、サーバーが通信を介して情報収集を行い、電力制約と必要量を優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
特開2001−69668号公報「電力管理装置」
同発明では、機器群からの情報収集・集計を行わない方式が前提だが、本発明では、機器群で、電力制約と必要量を、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
特開2013−38885号公報「自家発電システム」
同発明は、発電装置を扱っているが、本発明は、逆に、負の電力供給を行うものである。
特開2012−85511号公報「充電効率制御を有し且つ適応性充電サービスを提供する車両充電システム」
同発明では、充電ステーション群での電力管理を行うものではなく、管理ステーションの存在とスマートグリッドの存在を想定している。本発明は、管理ステーションやスマートグリッドの存在に関わらず、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
特開2009−94768号公報「電力線通信装置及び電力線通信装置の自動登録方法」
同発明は、電力線通信での接続確立方法に関するものである。本発明は、通信方式を特定しておらず、通信の確立は解決すべきと掲げてない。また、本発明では、電力線通信を通信手段の1つとして掲げているが、そこでの接続確立を解決すべき課題として掲げているわけではない。
特開2004−208393号公報「優先の電源供給順序が設定できるマルチ出力回路装置」
同発明では、トータル負荷電流の超過を検出し、また、設定された順序での負荷の切断を想定している。本発明では、負荷の超過は機器群での情報収集で行い、特定の検出手段を求めていない。また、負荷の切断順序も予め設定するのではなく、機器群での動的な判断によって定めることを特徴としている。
特表2003−511842号公報「コンタクタ・ブレーカー」
同発明では、障害検出とそれにもとづく制御は、同一の個体内で行われる。本発明は、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
特開2013−70569号公報「分散型電源システム」
同発明では、故障検出と制御が同一個体内で行われているが、本発明では、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
特開2011−234561号公報「インテリジェント分電盤、分電装置、停電対策システム及び分電方法」
同発明では、停電検知とそれに続く予備電源への接続替え、および停電復旧後の逆操作を同一個体内で行っている。機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
特開2010−148125号公報「家庭向けを含む電気エネルギー消費の遠隔取得及び分散した目標ユーザの遠隔制御のためのシステム」
同発明では、中央サーバー、コンセントレータ、メーターという通信構造を介した集中管理を前提としているが、本発明では、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を、分散化された局所的なグループ内で独立的に行う点を構成の原点としている点で全く異なる。
特表2005−513900号公報「家庭向けを含む電気エネルギー消費の遠隔取得及び分散した目標ユーザの遠隔制御のためのシステム」
同発明では、中央サーバー、コンセントレータ、メーターという通信構造を介した集中管理を前提としているが、本発明では、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を、分散化された局所的なグループ内で独立的に行う点を構成の原点としている点で全く異なる。
特開平9−93820号公報「太陽光発電装置」
同発明では、通信手段と遮断手段が記述されているのみである。本発明では、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
特開平10−42481号公報「車両用電源制御装置」
同発明でいう、電源遮断装置は、周囲にツリーないしスター系をなす集中管理構成することを前提としている。本発明では、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
特開2000−16200号公報「車両用電源制御装置」
同発明でいう、電源遮断装置は、周囲にツリーないしスター系をなす集中管理構成することを前提としている。本発明では、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
特開2005−178778号公報「自動車用電源端末装置及び自動車の電力供給システム」
同発明でいう、電源遮断装置は、周囲にツリーないしスター系をなす集中管理構成することを前提としている。本発明では、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
特開2004−348411号公報「中央監視制御システム一体型分散型受配電設備」 同発明では、中央監視制御システムの存在が前提となっている。本発明では、機器群で、電力制約と必要量、優先度を考慮して協調した動的な電力の管理を行う点で全く異なる。
特開2012−161202号公報「階層型需給制御装置および電力系統制御システム」
同発明では、階層を構成するものの、情報を集約する集中監視制御システムなっており、本発明の一実施態様である、グループ内での情報収集と制御を他のグループ、階層と独立分散的に行うという点が存在せず、全く異なるものである。
特開2010−279238号公報「系統監視制御システム」
同発明では、階層を構成するものの、本発明の一実施態様である、グループ内での情報収集と制御を他のグループ、階層と独立分散的に行うという点が存在せず、全く異なるものである。
特開2002−27686号公報「店舗内機器の消費電力制御方法」
同発明には、名称として、「階層」、「分散」のキーワードが現れているが、下記明細書から引用して述べるように、内容は異質で、本発明とは全く異なる。
「[0020]また、各コントローラは自律分散システムを構成しており、サブシステムとしての一つのコントローラが不稼働になった場合にも他のコントローラが自己の管轄下の機器を制御するに当たって何ら支障はなく(これを自律可制御性という)、かつ、各コントローラ間で互いの目的を協調することができる(これを自律可協調性という)ものである。このため、各コントローラの間にはマスタ/スレーブの区別や重要性の差異はなく、基本的に独自の資源を持って管理、制御を実行可能である。」
同発明でいう「自立分散」制御とは、同明細書の図2にあるように、照明とエアコンのような種別コントローラー間の独立性であって、コントローラー配下のエアコン間、照明間の電力配置が自律的に行われることを指しているわけではない。本発明の一実施形態では、それら配下のメンバー間の優先度を考慮した、動的な電力配置を他のグループや階層とは独立に行うことを第一の特徴としており、名称こそ「自律分散」と類似しているが、方法は全く異なるものである。また、同発明でいう、「階層」とは、時間帯、連携省エネ、ピークという運用モード上の階層を指しているが、本発明の一実施形態でいう階層とは、同発明にあてはめた場合は、店舗をメンバーとするグループから構成される階層、あるいは、地域店舗を代表するサーバーをメンバーとするグループから構成される階層などであって、名称こそ「階層」ではあるが、定義が根本的に異なる。本発明の一実施形態では、それらのどの階層上でも、グループ間での優先度を考慮した動的な電力配置を他のグループや階層とは独立に行うことをやはり第一の特徴としており、方法は全く異なるものである。
特開平11−45101号公報「監視制御システム」
同発明でいう階層、分散監視制御とは、実行部、情報交換部、インターフェース部という分散化を基にしたものである。本発明の一実施形態のように、グループを構成員とする各階層、あるいは機器を構成員とする各グループ内において、与えられた電力制約の下で、メンバー間の優先度にしたがって、動的に電力配置を決定する方法を提供するものとは、根本的に異なる。
特開平7−308036号公報「配電系統監視方法,配電系統制御方法およびそれら装置」
同発明でいう監視制御は、構成員間で、自律的な制御を実施するものではない。本発明の一実施形態のように、グループを構成員とする各階層、あるいは機器を構成員とする各グループ内において、与えられた電力制約の下で、メンバー間の優先度にしたがって、動的に電力配置を決定する方法を提供するものとは、根本的に異なる。
特開平7−31013号公報「屋内電気配線システム」
同発明では、非常灯の点灯手段を与えているに過ぎない。
特開2008−90607号公報「資源の制約をともなう自律分散型制御」
同発明での分散とは、サーバーを特定しないことを指しているが、本発明はグローバルな一括制御ではなく、局所的且つ臨機応変な対応とれるよう、細分化した単位で制御を行うことを教示している。本発明では、サーバーは特定されていても、固定されていてもよい。
同発明は、方策・意思決定処理を行わせる特定の方式を提案するものだが、本発明では、何らかの方法でサーバーを定めればよいのであり、動的に同処理を割り当てる方式を限定していない。カードゲーム方式である必要はなく、また、サーバー機能の「交代(Shift)」をすることを格別に要求していない。サーバー機能は、何となれば、通し番号順に交代することも、固定でもありうる。
同発明では、資源の投入によって、性能の維持・達成を目的にしているが、本発明の一態様においては、資源たる電力を投入するではなく、電力を永久的ないし間欠的に遮断する。本特許では、総資源たる供給電力を最大限投入する制御ではなく、消費電力が許容値ないし目標値を超えた場合に優先度に基づき、所要電力量と電力量制約を勘案し、電力の永久的ないし間欠的な遮断を行う。同特許では、資源たる投入されている電力は制御側で定めるため、予め既知であるのに対し、本発明では、計測して取得するべき情報である。すなわち、同発明は、「システム全体の性能を達成・維持する制御機能」発揮を目的としており、「総資源(資源の総和)の制約を満たしつつ、全ての要素の個別の性能を制御する方法」(同公報中、請求項1)であるが、本発明の一態様においては、資源の総和の制約は存在するものの、性能の達成・維持をむしろ積極的に犠牲にすることで、システムの損壊を防ぐことを目的としている。
特開2013−38470号公報「電気機器の制御装置および制御システム」
(1)同文献では、資源たる電力の制約は考慮されておらず、またその制約を充足する解も保証されない。フィードフォワード的に予め設定された一定の動作を行うのみである。なお、同文献の特許請求の範囲で「設定」とは予め規定することを指す。本発明では、資源の制約を陽に扱い、それを充足させる動作を保証している点で、同文献に記載の発明とは全く異なる。
(2)同文献において提案される動作は、同報送信部分の処理による号令の動作であるが、本発明では、同報送信処理と、各要素での並行処理の連携で、制約条件付き最適化の解を求める方法が提案されており、同文献の発明とは全く異なる。
(3)本発明においては、各要素での動的な優先度変化にかかわらず、制約条件つき最適化の解を得られることが特徴であり、同文献の発明とは全く異なる。
特開2011−242030号公報「空調制御装置」
特開2010−19530号公報「空調システム及び通信トラフィック調整方法」
特開2009−272966号公報「機器設備管理システム」
特開2007−240084号公報「空気調和機および空気調和機におけるアドレス設定方法」
特開2007−228234号公報「伝送制御装置、機器管理システム及び伝送制御方法」
特開2004−328184号公報「管理制御システム、情報伝送方法、通信方法、ネットワークノード、送受信装置、情報共有装置、空調機器及び集中制御装置」
これらの文献は通信アドレス関係部分に言及するのみであり、制御方策を扱ったものではない。
特願2014−12924号「電力管理方法、及びシステム」
同発明では、総資源に制約がある場合の、優先度つきの最適化と、それを可能にする、電力制御システムを提案しているが、それらは、サーバーの各クライアントからの情報収集と、割当て量のサーバーによる決定、サーバーからの各クライアントへの割当て量の通知という段階をとるものであり、本発明で解決すべき課題をそのまま掲げているに過ぎない。本発明は、アラート要素と各メンバー要素とで分担することにより処理の高速化を図るものである。なお、本発明者による発明が記載された上記出願は本願出願時点で未公開である。
特願2014−153348号「電力制御システム、方法、及び、情報伝達能力制御システム、方法」
同発明では、サーバー・クライアント間の双方向の通信を排除し、同報送信と各メンバーでの独立分散の並列処理による、優先度を考慮した電力を含む資源の瞬時での割当て方法を提供している。しかし、同発明は、いわゆる周波数ゼロすなわち直流域での資源割り当て法を提供しているのみであり、実装段階で生ずる、各メンバーにおける応答特性や情報出力遅れ、ないしは同報送信における処理方法やハードウェアに起因する遅れによる制御システムの不安定性およびその解決方法たる安定化については全く手段を提供していない。また、制御される対象が瞬時の資源の受給バランスであり、瞬時の電力の規制値への収束のみを扱っているにすぎず、同様に周波数域を直流域から脱して行われる、予見制御や積分制御を予見する、いわゆるデマンドレスポンスを対象とした優先度を考慮しての規制値への収束については、何らの手段の提供も行えていない。したがって同発明は、本発明で解決手段を提供する分野とは全く異なる。なお、本発明者による発明が記載された上記出願は本願出願時点で未公開である。
米国特許第8,504,214号明細書「Self-healing power grid and method thereof」
同文献の開示は、電力の割当て法に関するものではない。
米国特許第8,276,002号明細書「Power delivery in a heterogeneous 3-D stacked apparatus」
同文献は電源の機能を扱っているが、電力のメンバーへの動的割当てを扱ったものではない。
米国特許第8,112,642号明細書「Method and system for controlling power in a chip through a power-performance monitor and control unit」
米国特許第7,421,601号明細書「Method and system for controlling power in a chip through a power-performance monitor and control unit」
同文献は、マイクロプロセッサー電源に関するものであり、動的、自律的に電力割当てを行う機能に関するものではない。
米国特許第7,805,621号明細書「Method and apparatus for providing a bus interface with power management features」
同文献は、電力モードの遷移を開示しており、メンバー間で動的に割当て決定する機能を扱ったものではない。
米国特許第6,961,641号明細書「Intra-device communications architecture for managing electrical power distribution and consumption」
同文献の開示内容は、インテリジェントデバイスとサーバーがネットワークで結ばれるアーキテクチャとしていることまでである。実際にどのように電力管理を行うかは開示されていない。本発明は、電力割当て方策を具体的に提供している。
米国特許第5,581,130号明細書「Circuit board for the control and/or power supply of electrical function devices of a vehicle」
同文献は、回路をモジュラーな形状とすることを要求しているに過ぎない。
米国特許第8,508,540号明細書「Resonant induction to power a graphics processing unit」
同文献の開示内容は、誘導で電力を供給するハードウェアに関するもので、本発明とは全く異なる。
米国特許第8,466,760号明細書「Configurable power supply using MEMS switch」
同文献の開示内容は、dual substrate のMEMSで製作されるスウィッチのハードウェアに関するもので、本発明とは全く異なる。
米国特許第7,970,374号明細書「Multi-wideband communications over power lines」
同文献の開示内容は、伝送メディアに関するものであるが、本発明は特定メディアに依らない。
米国特許第7,825,325号明細書「Portable lighting and power-generating system」
同文献の開示内容は特定機器に関するものであり、本発明とは全く異なる。
米国特許第7,755,111号明細書「Programmable power management using a nanotube structure」
同文献の開示内容はナノチューブを用いるデバイスに関するもので、本発明とは全く異なる。
米国特許第7,320,218号明細書「Method and system for generation of power using stirling engine principles」
同文献の開示内容はスターリングエンジンというハードウェアに関するもので、本発明とは全く異なる。
米国特許第6,965,269号明細書「Microwave phase shifter having an active layer under the phase shifting line and power amplifier using such a phase shifter」
同文献の開示内容は、通信機器における位相調整器というハードウェアに関するものであり、本発明とは全く異なる。
米国特許第6,310,439号明細書「Distributed parallel semiconductor device spaced for improved thermal distribution and having reduced power dissipation」
同文献の開示内容は、半導体配置と熱拡散に関するものであり、本発明とは全く異なる。
米国特許第6,030,718号明細書「Proton exchange membrane fuel cell power system」
同文献の開示内容は、燃料電池というハードウェアに関するものであり、本発明とは全く異なる。
米国特許第4,481,774号明細書「Solar canopy and solar augmented wind power station」
同文献の開示内容は、太陽光発電の装置に関するものであり、本発明とは全く異なる。
"TMC NEWS Hitachi Offers Connected Air Conditioners with Yitran's IT800 Power Line Communication Chip" インターネット<URL:http://technews.tmcnet.com/ivr/news/2005/sep/1186941.htm>又は<URL:http://www.businesswire.com/news/home/20050927005472/en/Hitachi-Offers-Connected-Air-Conditioners-Yitrans-IT800#.UtzSc3xKOSM>
上記Webサイトには、家電に通信装置をつけた例が開示されているが、本発明では、通信、集中制御することもなく、独立分散制御を行うことを特徴としており、両者の技術内容は全く異なる。
"スマートホーム"、インターネット<URL:http://japan.renesas.com/event/detail/et2011/report/s_home/index.jsp>
上記Webサイトには、予め決めていた優先度で、機器を切断する例が開示されている。本発明と比較すると、少なくとも以下の点で異なる。
(1)上記Webサイトに開示の例は、コンセント単位で制御を行うのに対し、本発明は、機器単位であって、使用場所を限定しないこと。
(2)上記Webサイトの例は、永久断を行うよう構成されているが、本発明は、永久断だけではなく、電力の削減を連続的にできる点。
(3)上記Webサイトの例は、静的な優先度設定をコンセント単位で行うが、本発明は、動的な優先度設定を機器単位で行いうる点。
(4)本発明は、グループ内で動的に消費電力割当てを決め、グループ間では独立な制御を行い、階層を構成して、上位階層でも、相似に動的に消費電力割当てを決める構造を持っていること。
特開平11−313438号公報 特開2001−69668号公報 特開2013−38885号公報 特開2012−85511号公報 特開2009−94768号公報 特開2004−208393号公報 特表2003−511842号公報 特開2013−70569号公報 特開2011−234561号公報 特開2010−148125号公報 特表2005−513900号公報 特開平9−93820号公報 特開平10−42481号公報 特開2000−16200号公報 特開2005−178778号公報 特開2004−348411号公報 特開2012−161202号公報 特開2010−279238号公報 特開2002−27686号公報 特開平11−45101号公報 特開平7−308036号公報 特開平7−31013号公報 特開2008−90607号公報 特開2013−38470号公報 特開2011−242030号公報 特開2010−19530号公報 特開2009−272966号公報 特開2007−240084号公報 特開2007−228234号公報 特開2004−328184号公報 米国特許第8,588,991号明細書 米国特許第8,504,214号明細書 米国特許第8,276,002号明細書 米国特許第8,112,642号明細書 米国特許第7,421,601号明細書 米国特許第7,805,621号明細書 米国特許第6,961,641号明細書 米国特許第5,581,130号明細書 米国特許第8,508,540号明細書 米国特許第8,466,760号明細書 米国特許第7,970,374号明細書 米国特許第7,825,325号明細書 米国特許第7,755,111号明細書 米国特許第7,320,218号明細書 米国特許第6,965,269号明細書 米国特許第6,310,439号明細書 米国特許第6,030,718号明細書 米国特許第4,481,774号明細書
"TMC NEWS Hitachi Offers Connected Air Conditioners with Yitran's IT800 Power Line Communication Chip"、[online]、平成17年9月27日、インターネット<URL:http://technews.tmcnet.com/ivr/news/2005/sep/1186941.htm>又は<URL:http://www.businesswire.com/news/home/20050927005472/en/Hitachi-Offers-Connected-Air-Conditioners-Yitrans-IT800#.UtzSc3xKOSM> "スマートホーム"、[online]、ルネサス エレクトロニクス株式会社、インターネット<URL:http://japan.renesas.com/event/detail/et2011/report/s_home/index.jsp>
ドメイン(後述のグループを含む、他の必ずしも制御に参加するとは限らない電力消費要素や、単独の制御に参加する電力消費要素を含む集合体。なお、電力を消費する個体、ないしはそれら消費する個体に供給する電力を、永久的ないしは瞬時的に繰り返し開閉する個体を、電力消費要素と呼ぶ。)内での総消費電力、すなわち総資源量が制約を受ける場合、現時点でのドメイン内での電力消費状況に最も近い電力割当て方策を求める問題は、制約条件付きの最適化問題となり、その解は、過去の文献や特願2014−12924、特願2014−153348号でも明らかにされているように、下記のように得られる。
ドメイン内のグループ(電力制御に参加する個体(電力消費要素であって、かつ制御に参加する)で構成する集合体。1つの同報送信要素によって制御を行う最小集合体として定義される。)に含まれる各電力消費要素に割り当てられるべき消費電力値をf1,f2,…,fnとし、これらを縦に並べたベクトルをfとする。電力消費要素を含むグループに対する総電力規制値をPtとすると、グループ内の消費電力合計値がPtに一致するという制約条件は以下の式(1)で表わされる。
(1)
ただしeTはn次の単位行ベクトルである(Tは転置記号)。
グループ内の各電力消費要素が消費している現時点の消費電力をf* 1,f* 2,…f* nとし、これらを縦に並べたベクトルをf*とする。以下の評価関数
(2)
が、上記式(1)の束縛条件の下で極値を取るときのfi(i=1,2,…n)として、消費電力の割り当て値を求める。なお、上記式(2)中のQは、対角要素Qiiがi番目の電力消費要素の優先度に等しい正定対称行列である(一般には、対角でなくても正定対称行列であればよいが、以下で優先度を個々に扱う場合は対角として議論できる。説明を簡単にする目的で、以下ではQをn×n対角行列として扱う。)。
拡大評価関数を
(3)
とすれば(λはラグランジュの未定乗数)、fi及びλによる上記拡大評価関数の偏微分値がゼロになるという条件からfi及びλの最適解が求められる。
最適解は、グループ内の重み(優先度)を集計し、上述のとおり偏微分の演算をすることで以下のとおり求められる。
(4)
(5)
再割当てされる消費電力は、現状のグループ内各電力消費要素における消費状況にもっとも近い電力として求められるべきであり、したがって、解は、上記式(5)のとおり現時点での消費電力の割当て状況に依存する。
ここで、初期にドメイン内で全く電力を消費していない状態から開始する場合の拡大評価関数は、ドメイン内のグループに含まれる各電力消費要素に割り当てられるべき消費電力値をf1,opt,f2,opt,…,fn,optとし、これらを縦に並べたベクトルをfoptとすれば、下記式(6)のように記述される。
(6)
最適解は、グループ内の重み(優先度)を集計し、fi,opt及びλによる上記式(6)の拡大評価関数の偏微分値がゼロになるという条件から、以下のとおり求められる。
(7)
(8)
現在の各要素での消費電力状況に近い解を求めることが要求されるが、上記式(5),(8)を変形することより、
(9)
と書かれることから(上記式(9)中、「1」は単位行列を表わし、Q-1はQの逆行列を表わす。)、再割当てされる電力は、現時点での各要素での消費電力状況に依存することになる。
初期に全ての要素が電力を消費していない状態から出発すると、上記式(8)のfopt解に収束する。したがって、foptが必要であれば、一旦、同報送信にて全ての電力消費要素をオフとする段階を経て、上記制御を行えばよい。それでも同報送信のみで制御は達成されることになる。なお、初期の電力消費状態が、例えば一様に同一の電力を消費していて、総資源に対して過不足のない状態であるならば、本分散制御ではその変更を要求しない。
しかし、fopt解を得ることは、現実には歓迎され難い。本制御を有効にした途端に、それまでのオン、オフ状態をリセットして別の状態に移行させることは、無用の起動や停止を要求することになるからである。現実に電力が消費されている状態で、過不足、あるいは少なくとも不足なく各要素が運用されているならば、その状態が仮にfopt解と異なるとしても、それは変更をあえて行う必要のない状態であるからである。
上記の電力割当て方策を実施するには、現時点でのグループ内の各要素にて消費されている電力と、各要素がもつ優先度の情報を集計して(図1a,図1b)、再割当ての方策を決定し(図1c)、それを各要素に通知しなくてはならない(図1d。なお、図1eに示すとおり、各要素は割り当てられた電力に従い自己の消費電力を制御する。)。優先度は、各時点で電力制御できる余裕や、使用位置での人の存在数や照度あるいは温度など、各要素の置かれる状況で動的変動しうるものであり、グループ内で予め固定されているとは限らず、各要素にて把握され定義される。この操作を、ドメイン内に設けられたサーバー要素にて実施する場合には、まずサーバーがドメイン内のグループに含まれる各機器たる要素個別に消費電力と優先度を照会する操作を行い、続いて、最適化問題を求解し、しかるのちに、各機器たる要素ごとに新たに決定、更新された割当て電力を通知ないし指示することが必要となる。この操作は、特にドメイン内で電力制御に関わるグループを構成する要素数の増加とともに、通信量を飛躍的に高めることとなり、高速で電力制御を行う、すなわち実時間でフィードバックさせて資源制約付きの最適化を行うことを困難にする。ドメイン内に含まれるグループが小規模であり、2〜3要素のみで構成されている場合には、通信量はそれほど多くはないが、数百要素で構成されるグループで、高速の制御を行うには、サーバーとクライアントが情報を双方向に交換する方式では、対応が難しい。ドメイン全体の制御応答に速い速度が求められない場合でも、ドメインを構成する要素数が非常に多い場合には、サーバー、クライアント間通信のトラフィック量が膨大となって、制御が困難になり、同様に困難な状況に追い込まれる。ドメイン内で電力制御に関わるグループを構成する要素数が、新たに出現し、あるいは外れていく場合には、グループ内の要素数や通信に関わるパラメータ設定も必要となり、要素の存在数や通信環境情報を調査することも必要となり、時々刻々に変化するグループの構成状況に対応させ得ることも難しく、これらが、実時間でフィードバック制御を行うことを一層困難にさせている。
特願2014−153348号は、サーバーと個々のクライアントとの間における1対1の双方向通信を必要とせず、したがって電力制御の対象となる電力消費要素数が増加しても通信量が急激に増加することがなく、また1対1通信のための設定作業等も不要であるため拡張性に優れた電力制御システム、及び方法を提供している。さらに特願2014−153348号は、同様の原理により実施できる情報伝達能力制御システム、及び方法を提供した。
これまでは、「日」のスケールでの応答を考慮すれば足りていたため、直流的な要素としてしか考察されてきなかった。この瞬時電力の制御は、たとえ、一斉指令で行う場合であっても、システムに内在し点在する各種のモデル遅れの影響を受け、ときに深刻な不安定性を引き起こしうる。この課題は、資源を電力に限らず、情報やエネルギーなど普遍的な対象についての制御系としての安定化に関する。本発明は、電力システムを適用例として、電力消費個体やシステム上に置かれる非直流的なメカニズムの影響を解析し、それを解決する手段を提供することを目的とする。結果は普遍的に適用されうる。
また、これまでの電力の平坦化制御は、目標値が電力の規制値たる直流の目標値にほぼ限定されてきた。電力の余裕代を逸脱しないような予見制御や、一定期間での電力の積分量である電力量のデマンドを予見し、突出を抑制する制御とは、大きな位相操作を行って目標値を設定することに対応する。この課題も、資源を電力に限らず、情報やエネルギーなど普遍的な対象についての制御系としての安定化に関する。本発明は、高速の制御法である自律分散の並列処理方法とこの非直流域の制御目標を両立させる方法について、解決手段を提供することを目的とする。結果は普遍的に適用されうる。
本発明では、非直流域での制御機能を発揮させる手段として、(A)「非直流域での制御システムの安定性解析と安定化手段」を連続系と離散系について述べ、また、(B)「瞬時電力および一定区間での電力積分値である電力量に対して予見制御を導入して制御目標を非直流域で定義する手段」の大きく2つの方法を提供する。
まず、本発明で述べるところの「同報」を定義する。制御時間間隔に比して、有意に短時間にて、前記ドメイン内の全個体に対して、一方向、ないし片方向の情報の送信のみにて、共有すべき情報を送達せしめる手段を、「同報」ないし「同報送信」と定義する。ネットワークを構成する方式によっては、多ステップを要して情報が送達される場合もあるが、本発明で述べる「同報」ないし「同報送信」とは、厳密な同時性を述べるものではなく、それらの場合を含めて「同報」ないし「同報送信」と以下で参照する。
上記目的を達成するべく、本発明は、同報送信要素と、個別に優先度が与えられた1以上の電力消費要素とを備え、同報送信要素が、1以上の電力消費要素を含むグループ内で消費される総消費電力の現在値と、総消費電力の基準値との差を測定し、差の関数である総消費電力調整指示値を決定し、総消費電力調整指示値を表わすグループ内で共有すべき情報を生成し、情報をグループ内に同報送信し、1以上の電力消費要素が同報送信された情報を受信し、1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた優先度と総消費電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力の更新に用いるべき消費電力更新値を、1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び同報送信要素から独立して並列に決定し、消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を制御することにより、グループ内の総消費電力を制御するよう構成された、電力制御システムを提供する。
上記電力制御システムにおいて、総消費電力調整指示値はシステム感度の関数でもあってよい。
上記電力制御システムを、1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つにおいて優先度が動的に変更されるよう更に構成することができる。
システム感度は、総消費電力の現在値が総消費電力の基準値よりも大きい場合と小さい場合とで異なり、現在値が基準値よりも大きい場合のシステム感度を、現在値が基準値よりも小さい場合のシステム感度よりも高くすることにより、総消費電力の制御において総消費電力の増加よりも削減の応答性が高くなるよう、且つ安定性を改善するよう上記電力制御システムを更に構成することができる。
1以上の電力消費要素の各々が消費すべき電力には上限値と下限値が設けられ、1以上の電力消費要素の各々において行われる、消費電力更新値に基づいた自己の消費電力の制御が、上限値を上回らず、且つ下限値を下回らない消費電力範囲内で行われるよう、上記電力制御システムを更に構成することができる。
グループ内の総消費電力の制御を繰り返すことにより調整される総消費電力の現在値の推移を同報送信要素又は総消費電力監視要素が監視し、
総消費電力の現在値と基準値との差の、制御がk回繰り返された時点の値をxkとし(kは0以上の整数)、制御がk+1回繰り返された時点の値をxk+1としたときに
によって与えられる等価推移比率Ck,eqを同報送信要素又は総消費電力監視要素が推定し、等価推移比率Ck,eqの推定値を用いて電力制御システムの健全性を評価する
よう、上記電力制御システムを更に構成することができる。
同報送信要素が更に、少なくとも1つの副制約積算消費電力調整指示値を算出し、副制約積算消費電力調整指示値を表わす少なくとも1つの副制約情報をグループ内に同報送信し、1以上の電力消費要素が、同報送信された副制約情報を更に受信し、1以上の電力消費要素のうち、副制約情報に基づく制御の対象となる電力消費要素が更に、自己に与えられた優先度と副制約積算消費電力調整指示値とを用いた演算により副制約消費電力更新値を決定し、副制約消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を更に制御するよう、上記電力制御システムを構成することができる。
同報送信に加えて、同報送信要素と1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つとの間の双方向通信が可能であるよう、上記電力制御システムを更に構成することができる。
また本発明は、上位階層優先度が与えられた、同報送信要素と、個別に下位階層優先度が与えられた1以上の電力消費要素とを備え、同報送信要素は、上位階層同報送信要素から同報送信される、上位階層総消費電力調整指示値を表わす上位階層情報を受信するよう構成されるとともに、1以上の電力消費要素を含む下位階層グループ内で消費される下位階層総消費電力を測定し、下位階層総消費電力と、上位階層優先度と、上位階層総消費電力調整指示値とを用いた演算により、下位階層総消費電力の更新に用いるべき、下位階層総消費電力調整指示値を決定し、下位階層総消費電力調整指示値を表わす下位階層グループ内で共有すべき下位階層情報を生成し、下位階層情報を下位階層グループ内に同報送信するよう構成され、1以上の電力消費要素が、同報送信要素から同報送信された下位階層情報を受信するよう構成され、1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた下位階層優先度と下位階層総消費電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力の更新に用いるべき消費電力更新値を、1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び同報送信要素から独立して並列に決定し、消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を制御することにより、下位階層グループ内の総消費電力を制御するよう構成された電力制御システムを提供する。
下位階層総消費電力調整指示値は下位階層システム感度の関数でもあってよい。
上位階層優先度が動的に変更されるよう、上記電力制御システムを更に構成することができる。
下位階層総消費電力調整指示値が下位階層グループ内の総消費電力の削減を指示する値である場合には、増加を指示する値である場合より下位階層システム感度を高くすることにより、総消費電力の制御において総消費電力の増加よりも削減の応答性が高くなるよう、且つ安定性を改善するよう上記電力制御システムを更に構成することができる。
下位階層グループ内で消費すべき総消費電力には上限値と下限値が設けられ、同報送信要素において行われる下位階層総消費電力調整指示値の決定は、更新後の下位階層グループ内の総消費電力が上限値を上回らず、且つ下限値を下回らないと同報送信要素が判断した範囲で行われるよう、上記電力制御システムを更に構成することができる。
下位階層グループ内の総消費電力の制御を繰り返すことにより調整される総消費電力の現在値の推移を同報送信要素又は総消費電力監視要素が監視し、総消費電力の現在値と基準値との差の、制御がk回繰り返された時点の値をxkとし(kは0以上の整数)、制御がk+1回繰り返された時点の値をxk+1としたときに
によって与えられる等価推移比率Ck,eqを同報送信要素又は総消費電力監視要素が推定し、等価推移比率Ck,eqの推定値を用いて電力制御システムの健全性を評価するよう、上記電力制御システムを更に構成することができる。
同報送信要素が更に、少なくとも1つの副制約積算消費電力調整指示値を算出し、副制約積算消費電力調整指示値を表わす少なくとも1つの副制約情報を下位階層グループ内に同報送信し、1以上の電力消費要素が、同報送信された副制約情報を更に受信し、1以上の電力消費要素のうち、副制約情報に基づく制御の対象となる電力消費要素が更に、自己に与えられた下位階層優先度と副制約積算消費電力調整指示値とを用いた演算により副制約消費電力更新値を決定し、副制約消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を更に制御するよう、上記電力制御システムを構成することができる。
同報送信に加えて、同報送信要素と1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つとの間の双方向通信が可能であるよう、上記電力制御システムを更に構成することができる。
1以上の電力消費要素は、特定の住戸、オフィス、建物、地域に属する1以上の電力消費機器、又は、特定の住戸、オフィス、建物、地域の集合体に属する複数の電力消費機器の集合体であってよい。言い換えれば、1つの電力消費機器を電力消費要素と定義してもよいし、複数の電力消費機器を1つの電力消費要素とみなしてもよい。
1以上の電力消費要素は、移動体又は移動体の集合体であってよい。言い換えれば、上記電力消費機器とは携帯情報端末等の移動体であってよい。
また本発明は、同報送信要素と、個別に優先度が与えられた1以上の情報伝達要素とを備え、同報送信要素が、1以上の情報伝達要素を含むグループ内で占有される総情報伝達能力の現在値と、総情報伝達能力の基準値との差を測定し、差の関数である総情報伝達能力調整指示値を決定し、総情報伝達能力調整指示値を表わすグループ内で共有すべき情報を生成し、情報をグループ内に同報送信し、1以上の情報伝達要素が同報送信された情報を受信し、1以上の情報伝達要素の各々が、自己に与えられた優先度と総情報伝達能力調整指示値とを用いた演算により、自己の情報伝達能力の更新に用いるべき情報伝達能力更新値を、1以上の情報伝達要素のうち自己以外の情報伝達要素及び同報送信要素から独立して並列に決定し、情報伝達能力更新値に基づいて自己の情報伝達能力を制御することにより、グループ内の総情報伝達能力を制御するよう構成された、情報伝達能力制御システムを提供する。
上記情報伝達能力制御システムの一例において、同報送信要素は通信サーバーであり、情報伝達要素はクライアントマシンであり、情報伝達能力は通信速度であってよい。
さらに本発明は、同報送信要素が、個別に優先度が与えられた1以上の電力消費要素を含むグループ内で消費される総消費電力の現在値と、総消費電力の基準値との差を測定する段階と、同報送信要素が、差の関数である総消費電力調整指示値を決定し、総消費電力調整指示値を表わすグループ内で共有すべき情報を生成する段階と、同報送信要素が、情報をグループ内に同報送信する段階と、1以上の電力消費要素が、同報送信された情報を受信する段階と、1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた優先度と総消費電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力の更新に用いるべき消費電力更新値を、1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び同報送信要素から独立して並列に決定する段階と、1以上の電力消費要素の各々が、消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を制御することにより、グループ内の総消費電力を制御する段階とを備えた電力制御方法を提供する。
同報送信要素による総消費電力調整指示値の決定は、差に加えてシステム感度の関数として総消費電力調整指示値を決定することにより行われるものであってよい。
上記電力制御方法は、1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つにおいて優先度を動的に変更する段階を更に備えることができる。
システム感度は、総消費電力の現在値が総消費電力の基準値よりも大きい場合と小さい場合とで異なり、現在値が基準値よりも大きい場合のシステム感度を、現在値が基準値よりも小さい場合のシステム感度よりも高くすることにより、総消費電力の制御において総消費電力の増加よりも削減の応答性が高くなるよう、且つ安定性を改善するよう上記電力制御方法を更に構成することができる。
1以上の電力消費要素の各々が消費すべき電力には上限値と下限値が設けられ、1以上の電力消費要素の各々において行われる、消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を制御する段階が、上限値を上回らず、且つ下限値を下回らない消費電力範囲内で行われるよう、上記電力制御方法を更に構成することができる。
上記電力制御方法に、グループ内の総消費電力の制御を繰り返すことにより調整される総消費電力の現在値の推移を同報送信要素又は総消費電力監視要素が監視する段階と、総消費電力の現在値と基準値との差の、制御がk回繰り返された時点の値をxkとし(kは0以上の整数)、制御がk+1回繰り返された時点の値をxk+1としたときに
によって与えられる等価推移比率Ck,eqを同報送信要素又は総消費電力監視要素が推定し、等価推移比率Ck,eqの推定値を用いて電力制御方法の健全性を評価する段階とを更に備えることができる。
上記電力制御方法は、同報送信要素が更に、少なくとも1つの副制約積算消費電力調整指示値を算出する段階と、副制約積算消費電力調整指示値を表わす少なくとも1つの副制約情報をグループ内に同報送信する段階と、1以上の電力消費要素が、同報送信された副制約情報を更に受信する段階と、1以上の電力消費要素のうち、副制約情報に基づく制御の対象となる電力消費要素が更に、自己に与えられた優先度と副制約積算消費電力調整指示値とを用いた演算により副制約消費電力更新値を決定し、副制約消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を更に制御する段階とを更に備えることができる。
上記電力制御方法は、同報送信に加えて、同報送信要素と1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つとの間で双方向通信する段階を更に備えることができる。
また本発明は、上位階層優先度が与えられた同報送信要素が、上位階層同報送信要素から同報送信される、上位階層総消費電力調整指示値を表わす上位階層情報を受信する段階と、同報送信要素が、個別に下位階層優先度が与えられた1以上の電力消費要素を含む下位階層グループ内で消費される下位階層総消費電力を測定する段階と、同報送信要素が、下位階層総消費電力と、上位階層優先度と、上位階層総消費電力調整指示値とを用いた演算により、下位階層総消費電力の更新に用いるべき、下位階層総消費電力調整指示値を決定し、下位階層総消費電力調整指示値を表わす下位階層グループ内で共有すべき下位階層情報を生成する段階と、同報送信要素が、下位階層情報を下位階層グループ内に同報送信する段階と、1以上の電力消費要素が、同報送信要素から同報送信された下位階層情報を受信する段階と、1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた下位階層優先度と下位階層総消費電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力の更新に用いるべき消費電力更新値を、1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び同報送信要素から独立して並列に決定する段階と、1以上の電力消費要素の各々が、消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を制御することにより、下位階層グループ内の総消費電力を制御する段階とを備えた電力制御方法を提供する。
同報送信要素による下位階層総消費電力調整指示値の決定は、下位階層総消費電力と、上位階層優先度と、上位階層総消費電力調整指示値とに加えて下位階層システム感度も用いた演算により下位階層総消費電力調整指示値を決定することにより行われるものであってよい。
上記電力制御方法は、上位階層優先度を動的に変更する段階を更に備えてよい。
下位階層総消費電力調整指示値が下位階層グループ内の総消費電力の削減を指示する値である場合には、増加を指示する値である場合より下位階層システム感度を高くすることにより、総消費電力の制御において総消費電力の増加よりも削減の応答性が高くなるよう、且つ安定性を改善するよう上記電力制御方法を更に構成することができる。
下位階層グループ内で消費すべき総消費電力には上限値と下限値が設けられ、同報送信要素において行われる下位階層総消費電力調整指示値の決定は、更新後の下位階層グループ内の総消費電力が上限値を上回らず、且つ下限値を下回らないと同報送信要素が判断した範囲で行われるよう、上記電力制御方法を更に構成することができる。
上記電力制御方法は、下位階層グループ内の総消費電力の制御を繰り返すことにより調整される総消費電力の現在値の推移を同報送信要素又は総消費電力監視要素が監視する段階と、総消費電力の現在値と基準値との差の、制御がk回繰り返された時点の値をxkとし(kは0以上の整数)、制御がk+1回繰り返された時点の値をxk+1としたときに
によって与えられる等価推移比率Ck,eqを同報送信要素又は総消費電力監視要素が推定し、等価推移比率Ck,eqの推定値を用いて電力制御方法の健全性を評価する段階とを更に備えることができる。
上記電力制御方法は、同報送信要素が更に、少なくとも1つの副制約積算消費電力調整指示値を算出する段階と、副制約積算消費電力調整指示値を表わす少なくとも1つの副制約情報を下位階層グループ内に同報送信する段階と、1以上の電力消費要素が、同報送信された副制約情報を更に受信する段階と、1以上の電力消費要素のうち、副制約情報に基づく制御の対象となる電力消費要素が更に、自己に与えられた下位階層優先度と副制約積算消費電力調整指示値とを用いた演算により副制約消費電力更新値を決定し、副制約消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を更に制御する段階とを更に備えることができる。
上記電力制御方法は、同報送信に加えて、同報送信要素と1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つとの間で双方向通信する段階を更に備えることができる。
上記電力制御方法において、1以上の電力消費要素は、特定の住戸、オフィス、建物、地域に属する1以上の電力消費機器、又は、特定の住戸、オフィス、建物、地域の集合体に属する複数の電力消費機器の集合体であってよい。
上記電力制御方法において、1以上の電力消費要素は、移動体又は移動体の集合体であってよい。
また本発明は、同報送信要素が、個別に優先度が与えられた1以上の情報伝達要素を含むグループ内で占有される総情報伝達能力の現在値と、総情報伝達能力の基準値との差を測定する段階と、同報送信要素が、差の関数である総情報伝達能力調整指示値を決定し、総情報伝達能力調整指示値を表わすグループ内で共有すべき情報を生成する段階と、同報送信要素が、情報をグループ内に同報送信する段階と、1以上の情報伝達要素が、同報送信された情報を受信する段階と、1以上の情報伝達要素の各々が、自己に与えられた優先度と総情報伝達能力調整指示値とを用いた演算により、自己の情報伝達能力の更新に用いるべき情報伝達能力更新値を、1以上の情報伝達要素のうち自己以外の情報伝達要素及び同報送信要素から独立して並列に決定する段階と、1以上の情報伝達要素の各々が、情報伝達能力更新値に基づいて自己の情報伝達能力を制御することにより、グループ内の総情報伝達能力を制御する段階とを備えた情報伝達能力制御方法を提供する。
上記情報伝達能力制御方法の一例において、同報送信要素は通信サーバーであり、情報伝達要素はクライアントマシンであり、情報伝達能力は通信速度であってよい。
また本発明は、同報送信要素と、電力を直接に消費する、ないしは電力の供給を開閉する機能を備え、個別に優先度が与えられた1以上の電力消費要素とを備え、同報送信要素が、1以上の電力消費要素を含むグループ内で消費される総消費電力あるいは電力供給状態を示す多変量としての現在値と、総消費電力あるいは電力供給状態を示す多変量としての基準値との差を測定し、差の関数である一般には多変量の電力調整指示値を決定し、あるいは電力調整指示値を他の要素から受領し、電力調整指示値を表わすグループ内で共有すべき一般には多変量の情報を生成し、情報をグループ内に同報送信し、1以上の電力消費要素が同報送信された情報を受信し、1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた優先度と電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力ないしは開閉電力の更新に用いるべき電力更新値を、1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び同報送信要素から独立して並列に決定し、電力更新値に基づいて自己の消費電力ないしは開閉電力を制御することにより、グループ内の総消費電力あるいは電力供給状態を制御するよう構成された、電力制御システムを提供する。
また本発明は、上位階層優先度が与えられた、同報送信要素と、電力を直接に消費する、ないしは電力の供給を開閉する機能を備え、個別に下位階層優先度が与えられた1以上の電力消費要素とを備え、同報送信要素は、上位階層同報送信要素から同報送信される、上位階層における、総消費電力ないしは電力供給状態から演算される、一般には多変量の電力調整指示値を表わす上位階層情報を受信するよう構成されるとともに、1以上の電力消費要素を含む下位階層グループ内で消費される下位階層総消費電力ないしは電力供給状態を測定し、下位階層総消費電力ないしは電力供給状態と、上位階層優先度と、上位階層電力調整指示値とを用いた演算により、下位階層総消費電力ないしは電力供給状態の更新に用いるべき、一般には多変量の下位階層電力調整指示値を決定し、あるいは下位階層電力調整指示値を他の要素から受領し、下位階層電力調整指示値を表わす下位階層グループ内で共有すべき下位階層情報を生成し、下位階層情報を下位階層グループ内に 同報送信するよう構成され、1以上の電力消費要素が、同報送信要素から同報送信された下位階層情報を受信するよう構成され、1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた下位階層優先度と下位階層電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力ないしは電力供給状態の更新に用いるべき電力更新値を、1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び同報送信要素から独立して並列に決定し、電力更新値に基づいて自己の消費電力ないし開閉電力を制御することにより、下位階層グループ内の総消費電力ないしは電力供給状態を制御するよう構成された電力制御システムを提供する。
また本発明は、同報送信要素が、電力を直接に消費する、ないしは電力の供給を開閉する機能を備え、個別に優先度が与えられた1以上の電力消費要素を含むグループ内で消費される総消費電力あるいは電力供給状態を示す多変量としての現在値と、総消費電力あるいは電力供給状態を示す多変量としての基準値との差を測定し、差の関数である一般には多変量の電力調整指示値を決定し、あるいは電力調整指示値を他の要素から受領し、電力調整指示値を表わすグループ内で共有すべき一般には多変量の情報を生成し、情報をグループ内に同報送信し、1以上の電力消費要素が同報送信された情報を受信し、1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた優先度と電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力ないしは開閉電力の更新に用いるべき電力更新値を、1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び同報送信要素から独立して並列に決定し、電力更新値に基づいて自己の消費電力ないしは開閉電力を制御することにより、グループ内の総消費電力あるいは電力供給状態を制御するよう構成された、電力制御方法を提供する。
また本発明は、上位階層優先度が与えられた同報送信要素が、上位階層同報送信要素から同報送信される、上位階層における、総消費電力ないしは電力供給状態から演算される、一般には多変量の電力調整指示値を表わす上位階層情報を受信するとともに、電力を直接に消費する、ないしは電力の供給を開閉する機能を備え、個別に下位階層優先度が与えられた1以上の電力消費要素を含む下位階層グループ内で消費される下位階層総消費電力ないしは電力供給状態を測定し、下位階層総消費電力ないしは電力供給状態と、上位階層優先度と、上位階層電力調整指示値とを用いた演算により、下位階層総消費電力ないしは電力供給状態の更新に用いるべき、一般には多変量の下位階層電力調整指示値を決定し、あるいは下位階層電力調整指示値を他の要素から受領し、下位階層電力調整指示値を表わす下位階層グループ内で共有すべき下位階層情報を生成し、下位階層情報を下位階層グループ内に同報送信し、1以上の電力消費要素が、同報送信要素から同報送信された下位階層情報を受信し、1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた下位階層優先度と下位階層電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力ないしは電力供給状態の更新に用いるべき電力更新値を、1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び同報送信要素から独立して並列に決定し、電力更新値に基づいて自己の消費電力ないし開閉電力を制御することにより、下位階層グループ内の総消費電力ないしは電力供給状態を制御するよう構成された、電力制御方法を提供する。
特願2014−12924号で提案した手法において生じる、サーバーと個々のクライアントとの間での1対1双方向通信が必要になるという問題の解決を困難にしている最大の障害は、グループ内において制御対象のクライアント以外の他のクライアントに関する情報(優先度や現時点の消費電力等)をも総合しなくては、資源制約下の最適化問題を求解できない点にある。グループ内のクライアントから情報を収集して最適化問題を求解するべく、一例においてはドメイン内に専用のサーバー要素を設ける対処がとられるが、この場合はサーバーと多数のクライアント間で1対1双方向通信が発生することによる通信量が増加し、高速な電力制御処理が阻まれることになる。
これに対し、本発明の電力制御システム、及び方法において、各電力消費要素の優先度は当該要素にて把握されていればよく、サーバー等により収集する必要はない。また本発明の電力制御システム、及び方法においては各要素の消費電力の現在値をサーバー等が収集する必要もない。ドメイン内で共有されなければならない情報は総消費電力調整指示値のみであり、これは同報送信要素が自ら測定により決定し、グループ内に同報送信することで共有できる。ドメイン内で共有されるべき情報と、個別の電力消費要素が把握していればよい情報とを識別分離して、電力制御を分散処理化することにより、通信量を大幅に削減することが可能となる。同様の原理を情報伝達要素が属するドメインに適用すれば、多量の通信を要せずにドメイン内での情報伝達能力の制御を行うことが可能となる。
特願2014−12924号において提案された電力制御の処理フローを表わす図(サーバーからの、消費電力、優先度等の照会)。 特願2014−12924号において提案された電力制御の処理フローを表わす図(サーバーからの照会に対する、各機器の回答)。 特願2014−12924号において提案された電力制御の処理フローを表わす図(サーバーによる、収集した情報を用いた消費電力割り当ての計算)。 特願2014−12924号において提案された電力制御の処理フローを表わす図(サーバーによる、各機器への割り当て電力の配信)。 特願2014−12924号において提案された電力制御の処理フローを表わす図(各機器における、割り当て電力に従った消費電力制御の実施)。 本発明に従う電力制御の一実施形態において行われる、同報送信要素から電力消費要素への、総消費電力調整指示値を表わす情報の同報送信を表わす図。 本発明に従う電力制御の一実施形態において独立、且つ並列に行われる、各々の電力消費要素における消費電力更新の実施を表わす図。 本発明に従う電力制御の一実施形態において行われる処理のフローチャート。 上位階層から同報送信された情報に基づいて下位階層の電力制御を行う、本発明の一実施形態として構成される電力制御システムの構成図。 本発明に従う電力制御における、優先度の定義方法の一例を説明するための図。 カルマンフィルターを用いて等価推移比率を推定し、システム及び方法の健全性を評価しつつ電力制御を行うときの、動作概念図。 本発明に従う電力制御において用いることができる同報送信要素の構成図。 本発明に従う電力制御において、電気機器を電力消費要素として動作させるための、インバーター装備型モジュールの構成図。 本発明に従う電力制御において、電気機器を電力消費要素として動作させるための、インバーター制御型モジュールの構成図。 優先度設定における台形方策を説明する図。 優先度設定における台形方策を説明する図。 直線型・双曲線型優先度設定を説明する図。 副制約の設定例を説明する図。 本発明に係る情報伝達能力制御システムの一実施形態を示す構成図。 各個体の電力制御モデル 各個体の伝達関数 調整量に対する各個体の電力消費量への制御モデル 各個体における積分 サーバー・クライアント方式によるフィードバックゲインの決定方式 同報通信と独立並列方式によるフィードバックゲインの決定方式(連続系) 同報通信と独立並列方式によるフィードバックゲインの決定方式(離散系) 各個体における遅れなどの位相変動要素の存在(連続系) 同報経路における位相補償方式(連続系) 各個体における、モデル組み込み型の位相補償方式(連続系) 各個体における、モデル組み込み型の位相補償方式の等価構造(連続系) 各個体の伝達モデルの測定とClass 値(離散系) インターバル、電力振幅に対する各個体のClass 値の表示例 Class に基づく、ドメイン全体の不確定性モデル(離散系) Class に基づく、安定のための特性優先度の下限値 Class に基づく、安定化に要するドメイン個体数値に乗じられるべき数値 Class に基づく、各個体における、モデル組み込み型の位相補償方式(離散系) 各個体における、モデル組み込み型の位相補償方式(離散系) 6個の個体からなるドメインの例 電力単位(W) 遅れのない場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=0.7) 遅れのない場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=3.3) 同報系に1インターバルの遅れのある場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=0.7) 同報系に1インターバルの遅れのある場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=1.0)安定限界の例。 同報系に4インターバルの遅れのある場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=2.9)安定限界の例。 同報系に4インターバルの遅れのある場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=5.8) 同報系に4インターバルの遅れのある場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=9.7) 同報系に位相補償要素を入れた応答例 (特性優先度=0.7) 同報遅れが1インタバール時、全個体で1インターバル遡る、遅れモデル組み込み時の応答例 (特性優先度=0.7) 同報遅れが4インタバール時、全個体で4インターバル遡る、遅れモデル組み込み時の応答例 (特性優先度=0.7) 同報遅れが1インタバール時、主要個体のみで1インターバル遡る、遅れモデル組み込み時の応答例 (特性優先度=0.7) 同報遅れが1インタバール時、2個体でさらに1インターバルの遅れのある場合での応答例 (特性優先度=0.7)不安定。 同報遅れが1インタバール時、2個体でさらに1インターバルの遅れのある場合で、全個体で1インターバル分の遡り制御を実施した応答例 (特性優先度=0.7) 同報遅れが1インタバール時、2個体でさらに1インターバルの遅れのある場合で、個体側でそれぞれの遡り制御を合算して補償した応答例 (特性優先度=0.7) 同報遅れが1インタバール時、2個体でさらに1インターバルの遅れのある場合で、個体側では補償を行わず、システム感度のみを低減した応答例 (特性優先度=2.4) 同報遅れが1インタバール時、2個体でさらに1インターバルの遅れのある場合で、個体側でそれぞれの遡り制御を合算して補償し、かつシステム感度を低減した応答例 (特性優先度=2.4) 同報系と個体側双方でそれぞれの補償器を導入したシステム構成 鉄道車輌と変電所で構成するシステムにおいて、変電所での送出電流を予見制御させてオーバーシュートの発生を抑制した制御結果の例 ピークを逸脱電力量を予測し、それを前置させてピークをシフトする制御の概念 ピークを逸脱電力量を予測し、それを前置させてピークをシフトする制御の概念。電力調整量の推移。 ピークシフト制御の結果として得られる電力履歴。 ピークシフト制御の結果として得られる庫内温度履歴。 同報送信要素および電力消費要素に位相補正等を行う動的補償を組込み実施する処理フロー 電流を測定し、位相補償器を内蔵して同報送信する装置の機能ブロック図の例 誘導電流によって駆動電力を確保する、電流を測定し、位相補償器を内蔵して同報送信する装置の機能ブロック図の例 電力消費個体において、位相補償器を内蔵し、回路を遮断してデューティを制御する装置の機能ブロック図の例 電力消費個体において、位相補償器を内蔵し、回路を遮断するべくデューティを調整する信号発生機構を備えた装置の機能ブロック図の例
以下、添付の図面を用いて本発明の電力制御システム、方法、及び情報伝達能力制御システム、方法を実施するための形態を説明する。本発明による電力制御システム、方法の概念、具体的手順をまず説明し、次に当該方法を実施するシステムを構成するための装置構成の一例を説明し、更に、本発明による電力制御と同様の原理で実施可能な資源制御の一例として、情報伝達能力の制御を説明する。ただし、本発明の各システム及び方法は、各実施例にて示される特定の具体的構成へと限定されるわけではなく、本発明の範囲内で適宜変更可能である。
電力制御方法の概念
本発明の一実施形態に係る電力制御は、上記式(3)においてQが対角行列の場合、上記式(5)に示す最適化問題の解の簡易化された表現である、以下の式(14)
(14)
に基づいて行われる。ここにおいて、fi,kは、システム内で電力制御がk回(kは0以上の整数)繰り返された時点(「現時点」とする。)での、グループに含まれるi番目(iは1以上の整数)の電力消費要素の消費電力であり、上記式(14)は、k+1回目の電力制御において実現されるべきi番目の電力消費要素の消費電力fi,k+1を決定するための式である。上記式(14)中、Qiiはi番目の電力消費要素に与えられた優先度である。またΔPは、グループ内で消費される総消費電力の現在値(同報送信要素が計測する、ないしは、計測する別の要素から同報送信要素が受領する。)から当該総消費電力の基準値(グループに含まれる各電力消費要素の定格消費電力の和等。一例において、あらかじめ同報送信個体に記憶されている。)を減算することで得られる差であり、グループ内で削減すべき総消費電力値(差が負であれば、回復すべき電力に相当。)ともいえる。Stは、グループ内の総消費電力を制御する時の、削減すべき電力ΔP(負であれば、ΔPの絶対値が回復すべき電力に相当。以下においても同様。)に対する感度に相当し、ここではシステム感度と称する。このシステム感度は、理論的には「1」とすることが好ましいが、他の感度を意図して設定することを妨げるものではない。なお、以下の例においては上記現在値と基準値の差にシステム感度を乗じて得られた値を総消費電力調整指示値として、これを表わす情報を同報送信要素が各電力消費要素に同報送信するが、総消費電力調整指示値は上記差の値、それ自体でもよく、この場合はシステム感度を用いる必要がない(システム感度を「1」に固定した場合と同等である。)。
ドメイン内で共有されるべきは、電力制御の対象グループ内全体で削減又は回復するべき電力ΔPと、それにシステム感度Stを乗じた総消費電力調整指示値を表わす情報のみである。この情報は、同報送信要素(アラート要素)によりグループ内の各電力消費要素に同報送信される(図2a)。情報を受信した、対象グループ内の各電力消費要素は、上記式(14)に示すとおり、この総消費電力調整指示値を各電力消費要素に対して定義される優先度で除算して(逆数を乗じて)、各電力消費要素で削減すべき電力あるいは回復すべき電力(消費電力更新値)を算出し、消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を変更する(図2b)。
なお一般には、Qが非対角要素をもつ場合には、演算は、自己の優先度のみの単純な除算だけではなく、何らかの規則によって自己が知りうる優先度を含む関数で定められた演算を行ってもよい。
式(5)においては、制約条件は、各電力消費要素にて消費される電力の線形の総和として説明を行っているが、一般には、各電力消費要素にて消費される電力から演算されて定まる非線形情報であってもよい。たとえば、全要素における最大消費電力と最小電力の絶対差であってもよい。同報される情報は、総消費電力ないしは電力供給状態である。また、同報送信される情報は、スカラー量に限定される必要はなく、制約条件の内容によっては、多変量をとる場合も含む。
このように、特願2014−12924号において提案された方法とは異なり、本発明に従う電力制御においては、同報送信要素と電力消費要素との間で情報収集と電力割当て量の算出とを分担させることができる。同報送信要素が各電力消費要素から情報収集をする必要はなく、各電力消費要素における処理は全電力消費要素で同時に実行できるため、処理時間は大幅に短縮される。なお、上記式(14)において、上述のとおりfi,kを現時点でのi番目の電力消費要素の消費電力とすることは必須ではなく、上記式(6)〜(8)で最適解を求めた場合と同様にfi,kをゼロとして(一旦、グループ内の各電力消費要素の動作をオフにして)fi,k+1を求めることにより、各電力消費要素で最適解を求めてもよい。システム感度と、各電力消費要素優先度間には、理論的な関係があり、この繰り返しで収束させることができる条件が存在する。その安定性が確保できる幅は非常に広く、本方式が実施にあたって有効であることを、後述する。
なお、上記システム感度Stは、典型的には同報送信要素に「1」等の規定値として記憶されているが、この値を動的に変更してもよい。例えば、上記式(14)中のΔPが正の場合(グループ内総消費電力の現在値が基準値よりも大きい場合)のシステム感度Stを、ΔPが負の場合(グループ内総消費電力の現在値が基準値よりも小さい場合)のシステム感度Stよりも大きくすれば、グループ内総消費電力の制御においては総消費電力の増加よりも削減の応答性を高くすることができる(このような判断処理は、同報送信要素内の判断/実施系回路等で行われる。)。且つ安定性も向上し得る。各電力消費要素が有している自己の優先度Qiiを、任意の間隔(通信量の増大を避けるべく、典型的には各電力消費要素による上記(14)式の制御が行われる間隔よりも十分長い間隔。)で同報送信要素に送信するようにすれば(同報送信要素と電力消費要素との双方向通信。なお、自己の優先度を送信するのは、グループに含まれる電力消費要素のうち一部であってもよい。)、同報送信要素は、理想的なシステム感度(実効システム感度と称する。)である
(15)
をシステム感度Stとすることができる。上記式(15)のシステム感度StにΔPを乗じた総消費電力調整指示値を表わす情報を同報送信し、これを用いて各電力消費要素が上記式(14)で自己の消費電力を制御した場合には、更新後の消費電力は上記式(5)で与えられる最適解に一致する。優先度が動的に変更され、且つ各電力消費要素から同報送信要素への優先度の送信を頻繁に行わない場合には、同報送信要素の有している優先度情報が古いということも起こりうるが、優先度の動的変化があまり大きくない場合には、同報送信要素が上記式(15)によって決定するシステム感度Stは、依然として実効システム感度に近いと考えられる。
上述のとおり、共有されるべき情報(総消費電力調整指示値)は、宛先に特定の要素識別を行う必要のない情報であるため、情報共有は同報通信(ブロードキャスト通信)で行わせることができる。また、各電力消費要素上のみで必要となる、現時点での消費電力と優先度は、各電力消費要素上から外部発信する必要がなく、各電力消費要素は総消費電力調整指示値を表わす情報を受信すればよい。グループ内で消費される総消費電力の現在値と基準値との差を測定し、その関数として総消費電力調整指示値を決定する同報送信要素から、ドメインに属する要素数と無関係に1回の同報送信が行われるだけでよく、本実施例の電力制御の実行においては通信量を大幅に削減できる。ドメインに属する要素数が1個の場合でも、数万個の場合でも、この分散処理型の電力制御システムでは制御サイクル時間の拡大を要さず、高速の応答を維持し続けることができる。サーバー・クライアント間通信で全電力消費要素の情報を取得して1回のサイクルで理想的な制御解を実現するよりも、処理を同報送信要素と電力消費要素で分担し、往復の通信を1方向の通信としつつイタレーション回数を重ねた方が、圧倒的に高速である点を利用したことが、本実施例の電力制御による高速動作を可能とする方策の根本であり、本実施例の最大の特徴の1つである。
なお、放送などで、予め決められた比率で電力割当てを行わせるべく、同報送信によって一斉号令を行って、ドメイン内の機器への制御を行う従来技術も存在するが、資源制約を満たす解を提供するには、メンバー要素への割当て量の総和が制約にかなうことの証明が必要であり、それら号令による、いわばfeed forward的な方法では達成する保証を与えることができない。また、特にオフィスにおける照明機器にように、使用者数や照度環境で優先度が動的に変更することが起きる場合には、号令方式の既定の動作モードの選択だけでは、優先度付き最適化の解を得ることはできない。本方式での特徴は、単なる号令による制御ではなく、制御処理を、同報送信要素と電力消費要素の両方で分担することで、最適解を高速で求める機能を提供するものである。
(好ましい実施方法と期待される効果)
上述の方策は最適化計算法に基づき議論されたが、一連の操作をより一般的に定義することが可能である。上記式(14)中のΔPは、システム内での電力制御がk回繰り返された時点での、グループ内で消費される総消費電力の現在値から当該総消費電力の基準値を減算することで得られる差であるので、ここではΔPkと表わす。ΔPkは、グループ内の総消費電力の基準値から見た、相対的な現時点の総消費電力、すなわち削減又は回復するべき総消費電力である。
k回目の電力制御処理において、i番目(i=1〜N。ただしグループ内に含まれる電力消費要素の総数をNとした。)の電力消費要素として定義される各電力消費要素が、ΔPkの関数であるαi(ΔPk)だけ消費電力を削減(αi(ΔPk)が正の場合。負であればαi(ΔPk)の絶対値の分だけ回復。以下においても同様。)する制御を行ったとすると、k+1回目の電力制御処理において、グループ内の総消費電力から削減又は回復すべき総消費電力ΔPk+1は、以下の式(16)で表わされる。
(16)
ここで、ΔPk=0のときはαi(0)=0と定義し、αi(ΔPk)は以下の式(17)のとおり展開できると仮定する。
(17)
すなわち、グループ内の総消費電力から削減又は回復すべき総消費電力は、以下の式(18)の過程で推移する。
(18)
よって、下記式(19)の条件が成立するよう関数αiを設定できれば、電力制御を繰り返すことによりΔPが収束するため、グループ内で総消費電力の制約を満たす制御を行えることになる。
(19)
この条件は非常に緩やかであり、αiについて広範な関数表現導入を可能とする。
αiあるいはβiに関して或る条件を与えると、これらは優先度の設定を記述することになる。これを以下に示す。
最も簡単化された、この分散処理は、以下の式(20)により記述することができる。
(20)
上記式(20)を、更に以下の式(21)のとおり変形できる。
(21)
最適化問題の求解により得られた上記式(5)と上記式(21)を比べれば、最適化問題における電力の割り当て解はβi=1/Qiiと置くことに対応し、上記式(20)で掲げたもっとも簡単化された制御方法とは、上記式(21)に示すとおり、削減あるいは回復すべき総消費電力ΔPkにβiの総和値を乗じた量を再割当てする問題の解と等価であることを確認できる。特に、その総和が下記式(22)
(22)
を満たす場合は、上述の安定性条件の中心条件を満たし、かつ本来の問題である削減又は回復すべき消費電力を再割当てする最適化の解が提供されることと理解できる。このことは、βiの総和を「1」とすることの本来の意義を述べている。最適化問題から変形して与えた、各要素上での処理で与えた、システム感度も、理論的には、同じ「1」を設定することが望ましいが、あらためて個々の要素での簡易化された処理から容易にわかるように、あえて、システム感度を「1」ではない値とすることは、削減又は回復すべき消費電力のSt倍を再割当てする別の問題をあえて提供する運用方法に対応していることがわかる。よって、システム感度を必ずしも「1」でない値として運用する場合がありうる。
この極端に簡略化された、ドメイン内での情報の共有と、ドメイン内の各電力消費要素上での処理に、システム内の処理を分散させることで、大幅な高速化をはかることができる。ドメイン内に置かれる電力消費要素数が、1個の場合でも、数万個の場合でも、この分散処理型の電力制御システム、方法においては制御サイクル時間の拡大を要さず、高速の応答を維持し続けられる。全電力消費要素の優先度を集計することを要せずに制御が収束する、最大の要因は、この優先度の逆数の総和を、例えば上記式(22)に示すとおり規格化して用いる点であり、この点が、この制御を可能にさせている最も重要な着想である。実際、優先度をどのように割り付けるかが、実用化に大きく関わる。βi=1/Qiiと逆数で置くことは本質ではなく、全体のシステム感度を何らかに規格化することが本質である。具体的な設定方法を後述する。
電力制御方法の具体的手順
ここで、図3のフローチャートを用いて、本実施例による電力制御方法の具体的手順を説明する。
まず、後述の図7のような構成の同報送信要素(スマートメータ等)が、グループ内の総消費電力の現在値と基準値との差を測定する(ステップS301)。一例においては、電力計を備えた同報送信要素を配電盤に接続する等して、グループ内で消費されている総消費電力の現在値を測定し、グループ内に含まれる電力消費要素の定格消費電力の合計(一例においては、同報送信要素が備えるメモリ等に予め記憶されている。)を当該現在値から引くことにより、上記差を測定する。
次に、同報送信要素が、上記差にシステム感度を乗じて総消費電力調整指示値を決定し、これを表わす情報を生成する(ステップS302)。上述のとおり、システム感度は典型的には「1」であるが、これ以外の値を用いてもよい。なお、システム感度も、典型的には同報送信要素のメモリ等が予め記憶している。上記差自体を総消費電力調整指示値としてもよい(システム感度を用いなくてもよい)ことは既に述べたとおりであるし、上記差が例えば正である場合には、負である場合よりもシステム感度を高くすれば、総消費電力の増加よりも削減の応答性が高くなることも既に述べたとおりである。
次に、同報送信要素が、上記情報をグループ内に同報送信する(ステップS303)。同報送信において宛先指定は不要であり、例えば特定の無線周波数で同報送信要素から情報がブロードキャストされる。
次に、グループに含まれる各々の電力消費要素が、上記情報を受信する(ステップS304)。電力消費要素とは、電気機器に対して例えば図8,図9に示すモジュールを取り付けることで構成される要素であり(当該モジュールにより与えるべき機能を電気機器が有しているならばモジュールは不要。)、例えばアンテナや各種の通信回路を用いて、上記無線周波数で送信された情報を受信する。
次に、各々の電力消費要素が、受信した情報と自己の優先度から、消費電力更新値を決定する(ステップS305)。一例においては、上記式(14)に示すとおり、受信した情報から得られる総消費電力調整指示値(ΔP×St)に自己の優先度の逆数(1/Qii)を乗じることで消費電力更新値を決定する。各々の電力消費要素は自己の優先度Qiiのみを記憶していればよく、またこの優先度は任意のタイミングで動的に変更可能である(図8,図9に示すとおり電力消費要素にユーザインターフェースを設け、これを介してユーザが優先度を設定してもよいし、あるいは任意の判断/実施回路の動作により変更してもよい。)。
次に、各々の電力消費要素が、自己が決定した消費電力更新値に基づいて、自己の消費電力を制御する(ステップ306)。一例において、各々の電力消費要素は、自己が備える遮断器、インバータ(図8,図9)の制御により、消費電力更新値の値だけ自己の消費電力を削減する(あるいは、上記式(14)のΔPが負であれば回復する)。ただし、個々の電力消費要素において消費すべき電力に上限値と下限値が設けられている場合は、この上限値を上回らず、下限値を下回らない消費電力範囲内で制御が行われる。例えば、消費電力更新値だけ消費電力を削減すれば電力消費要素が動作不能となってしまう場合には、動作可能な最低レベルまでしか消費電力は削減されないし、あるいは消費電力更新値の値だけ電力消費要素の消費電力を回復させれば当該電力消費要素の定格消費電力を超えてしまう場合に、定格消費電力までの回復に留めておくことが可能である。これにより、グループ内の総消費電力が制御される。
ロバスト性とプラグ・アンド・プレイ性
システム感度Stが「1」に調整された状況で、ある特定の電力消費要素にて優先度の設定が独立に行われた場合を考える。すなわち、k番目の電力消費要素において優先度がQkk,0からQkk,1へと、大きくなるよう調整された場合、下記式(23)
ただし、
であれば
(23)
の変形からわかるように、結果として解かれる問題は、削減又は回復すべき電力が、ΔPから(1−ε)ΔPへと、わずかながら修正された問題に相当することがわかる。また、εが小さければ前述の安定条件にも影響は軽微である。このことは、資源制約問題を「相似」に求めることを可能とするとともに、ドメインに所属する各電力消費要素において時々刻々に定義されうる優先度の変化を吸収できる優れた特性を示すものである。
次に、もともとN個の電力消費要素を含んで構成されていたドメインに、新たに、別の電力制御能力のある電力消費要素が突然に現れた場合を考える。本実施例の電力制御において、ドメイン内の通信としては、同報送信要素(アラート要素)からの同報通信による送信のみが必要であり、新たな電力消費要素の参加や離脱は通信量に影響しない。新たな電力消費要素が持つ優先度をQN+1,N+1とすれば、システム感度は以下の式(24)
ただし、
(24)
のStとなった場合と同一であり、これは、本来の資源制約付き最適化問題において、削減又は回復すべき消費電力を、(1+ε’)倍した問題に等価であり、「相似」な解を提供できることを示している。また、ε’が小さければ前述の安定性に関しても影響は軽微であり、電力制御はプラグ・アンド・プレイ性を有していることがわかる。
ソフトブレーカー
本実施例のシステムを、階層構造の一部をなすよう構成することができる。一例において、同報送信要素は上下2つの階層間にあって、上位階層ではメンバー要素(電力消費要素のように振る舞い、上位階層の同報送信要素から受信した情報を用いて、下位階層グループ内で削減又は回復するべき総消費電力を決定する。)となり、下位階層では同報送信要素(アラート要素)となる(図4)。このような同報送信要素(下位階層同報送信要素)を「ソフトブレーカー」と呼ぶこととする。ソフトブレーカーの具体的構成は既に説明した同報送信要素(図7)と同様であるが、下位階層グループに対する同報送信機能だけでなく、上位階層同報送信要素から同報送信された上位階層情報を受信する機能も有している点が異なる。
ソフトブレーカーは、上位階層においては、上位階層ドメインの上位階層同報送信要素(アラート要素)から、同報送信で発せられる、上位階層総消費電力調整指示値(上位階層ドメインでの上位階層システム感度と、削減又は回復すべき総消費電力の積)を表わす上位階層情報を受信し、自らが持つ上位階層での優先度に基づいて、例えば上位階層総消費電力調整指示値を上位階層優先度で除算するなどして、自らが管轄する下位階層グループにおいて割り当てられる、削減又は回復するべき総消費電力を算出する。上位階層同報送信要素に対して、ソフトブレーカーが送信を行う必要はない(ただし、スマートグリッドのクライアント等として、「見える化」のための情報を要求に基づいて送信することを妨げない。例えば、一定のタイミングで上位階層優先度を送信する等してもよい。)。その後、既に説明したとおり、任意でこの値にシステム感度(下位階層システム感度)を乗じる等して下位階層総消費電力調整指示値を決定し、これを表わす情報(下位階層情報)を下位階層グループに対して同報送信する。下位ドメインに属する電力消費要素から何らの受信も行う必要はない(既に述べたとおり、任意のタイミングで下位階層の優先度を受信してもよい。)。下位階層情報を受信した下位階層グループ内の電力消費要素は、既に述べたとおり自己に与えられた優先度(下位階層優先度)を用いて、自己の消費電力から削減または回復すべき消費電力更新値を決定し、これに基づいて自己の消費電力を制御する。
上位階層優先度、下位階層優先度は、任意のタイミングで動的に変更可能である(図8,図9に示すとおり電力消費要素にユーザインターフェースを設け、これを介してユーザが優先度を設定してもよいし、あるいは任意の判断/実施回路の動作により変更してもよい。)。下位階層システム感度について、下位階層総消費電力調整指示値が下位階層グループ内の総消費電力の削減を指示する値である場合には、増加を指示する値である場合よりも下位階層システム感度を高くすれば、下位階層グループにおける総消費電力の増加よりも削減の応答性が高くなることも既に述べたとおりである。また、下位階層グループ内で消費すべき総消費電力には上限値と下限値を設け、総消費電力が上限値を上回らず、下限値を下回らないとソフトブレーカーが判断した範囲内で下位階層総消費電力を決定することが好ましい。具体的には、ソフトブレーカーが下位階層グループ内の総消費電力を測定した上で、仮に下位階層総消費電力調整指示値の分だけ総消費電力を削減、回復したならば更新後の総消費電力が動作可能な下限値を下回ってしまう、又は上限値である定格総消費電力(下位階層グループ内の電力消費要素における定格消費電力の合計)を超えてしまうという場合に、更新後の総消費電力が上限値と下限値の間に収まるよう、下位階層総消費電力調整指示値を変更する等の運用が可能である。
数値計算による模擬実施例
以下の表1〜表8に示す数値例−1は、異なる6個の電力消費要素があり、それらに異なる優先度を定義した場合において、初期には全要素がオン状態であり、超過電力が200Wとなっている状況から本実施例による電力制御を7回模擬的に実施した場合の、数値計算による結果である(電力の単位はW)。
この例において、同報送信要素(アラート要素)ではシステム感度を「1」と想定しているが、システム内の電力消費要素は各自独立に優先度を設定しており、実効システム感度は0.75であった。すなわち、表1〜表8の結果は、同報送信要素が4/3倍だけ過剰な制御要求を図らずも繰り返した例に対応する。この例においては、総消費電力回復時のシステム感度の低減、つまり非線形制御を行っていない。表1〜表8の結果から、ドメイン内ではすみやかに制御が達成されていることがわかる。
次に、電力消費要素Eの優先度を非常に大きくして行った模擬実施(数値例−2)の結果を、以下の表9〜16に示す。
数値例−2でも、ドメイン内の電力消費要素は6つであるが、ここでは、1つの電力消費要素に非常に高い優先度を与え、制御指令をほぼ無視する要素を導入している。且つ、同要素は、独立に消費電力変更を行っている例である。本制御では、このようにドメイン内に制御指令を受信しない、あるいは無視するメンバー個体が存在することを容認しており、これにもかかわらず、制御は概ね順調に総電力の規制を満足していることがわかる。
安定性に関わるシステム感度の設定と、健全性の推定、及び性能向上
理想的な実効システム感度と同報送信要素(アラート要素)が有しているシステム感度(基本初期値は「1」である)には相違があって、大幅な食い違いがあれば前述のように電力制御の安定性を損なう可能性がある。βiの総和が「1」を下回る場合には、漸近的な収束が生ずるだけで障害とはならないが、「1」を大きく超えることは、発振的な様相を呈することから好ましくない。これを防ぐもっとも簡単な方策は、システム感度に非線形性を導入することである。具体的には、総消費電力が削減方向に調整されるべき場合には定義どおりのシステム感度を用い、対照的に余剰電力を検出して回復させる場合にはシステム感度を下げて、同報送信要素から共有されるべき上述の情報を送信することである。これにより、前述の安定性が確保される範囲を大きく改善することができる。
一方で、実効システム感度が、各電力消費要素での独立な定義により、同報送信要素の有するシステム感度から大きく異なる値となっていることは好ましくない。これに対しては、同報送信による高速な電力制御に並行して低速な双方向通信によって各電力消費要素の優先度を同報送信要素に送信し、各電力消費要素から情報を収集する方法でも対応できるが、本来の本発明で求める分散処理の考え方に基づいて分散性を確保しつつ、実効システム感度の推定を行って健全性を確認する方法が存在する。この結果として性能向上にも繋がる。
本実施例における電力制御は、理想的な1回で収束する電力制御よりは一般に繰り返しの回数を要する。削減又は回復すべき総消費電力(総消費電力の現在値と基準値との差)をxkと置き(kは、電力制御を実行した回数に対応)、本実施例の電力制御処理を実行した結果、これがyk=xk+1に変化したとして、等価推移比率を以下の式(25)で導入する。
(25)
なお、等価推移比率は常に一定とは限らず、例えば以下の式(26)
(26)
に示すように動的に変化し得る。
また、電力消費要素における実際の消費電力制御では、消費電力の調整に若干の時間を要する場合がある。それらは、1次遅れ系である以下の式(27)
(27)
で表現することができる。ここにおいてukは指示された削減電力の入力指示値を示す。
したがって、ドメイン内での削減あるいは回復すべき総消費電力の推移は、前述の推移過程よりも遅れ、あるいは実質的なシステム感度の食い違いを生じる。これを加味した等価なシステム感度Stの、真値St *(理想的な実効システム感度)との比は、以下の式(28)で表わされる。

(28)
上記等価推移比率Ck,eqがゼロに近ければ、電力制御システム、方法の健全性が高く、ゼロから離れるほど健全性は低いと解釈することができる。以下に示すとおり、典型的には同報送信要素が(同報送信要素以外に、例えばシステム内に同様の機能を備えた別個の総消費電力監視要素を設けて、これにより行ってもよい。以下同様。)、カルマンフィルターを用いて等価推移比率Ck,eqを推定し、健全性を評価することが可能である。
実効システム感度は、外的な要因である、調整可能電力の余裕や、利用者人数、照度、温度などによって、緩やかに変動しうる。システム感度比St/St *を推定するカルマンフィルターは以下の式(29)で表わされる。
(29)
具体的な推定の手順としては、グループ内の総消費電力の制御を繰り返すことにより調整される総消費電力の現在値の推移を同報送信要素(又は総消費電力監視要素等)が監視し、総消費電力の現在値と基準値との差の、制御がk回繰り返された時点の値をxkとし(kは0以上の整数)、制御がk+1回繰り返された時点の値をxk+1としたときに上記式(27)によって与えられる等価推移比率Ck,eqを、上記式(29)に基づいて同報送信要素(又は総消費電力監視要素等)が推定する。具体的には、総消費電力の現在値と基準値の差を測定することでxkをまず決定し、等価推移比率Ck,eqの現在の推定値を乗じることでCk,eqkを算出し、電力制御後の総消費電力現在値と基準値の差としてykを決定し、ykからCk,eqkを引くことで推定誤差を算出し、これにKを乗じたものを現在の推定値Ck,eqに加えることで推定値をCk+1,eqに更新する、という手順を繰り返すことで等価推移比率の収束値を得ることができる。この収束値がゼロに近ければ電力制御方法、システムの健全性が高いと言える。
このカルマンフィルターは、以下の式(30)の条件で収束する。
(30)
またその収束した(定常)状態においては、以下の式(31)が成り立つ。
(31)
ただし、δCk+1,eqとδCk,eqは、それぞれCk+1,eqとCk,eqの真値から推定値を引いて得られる推定誤差であり、Ck,eq *は等価推移比率の真値である。さらに、以下の式(32)
(32)
に従って等価推移比率の真値が変動するモデルを想定している。
等価推移比率の変動分以外については、推定誤差はなく、等価推移比率が外的要因で変化する効果で、残差を生じる。この残差は、等価推移比率が一定期間中ではゼロとなる。この期間に推定を行って、実効的なシステム感度比(すなわち等価推移比率)を点検することで、システムの健全性を確認することができる。また、これに基づいて、上下に限界を設けつつ、同報送信要素(アラート要素)にて保持するシステム感度を更新することも可能である。本来の推移則では、各電力消費要素の応答は、十分に高速であり、fはほぼゼロであることを理想としている。また、理想的には、真のシステム感度(実効システム感度)とアラート要素の認識するシステム感度は一致し、Ck,eq *はゼロとなり、等価推移比率の推定値Ck,eqもゼロであるべきである。等価的には、削減又は回復すべき総消費電力ΔPkの推移は、各要素の過渡応答の影響、すなわちfの影響や、システム感度の認識誤差の影響を受けて、ゼロにはならない。システム感度の認識誤差を抽出するためには、fを十分に小さな値にとるべきであり、このことは、このカルマンフィルターを繰り返す時間周期を、ドメイン内の各要素の過渡応答時定数よりも、十分に大きくとっておくべきことを示している。すなわち、カルマンフィルターの繰り返し周期は、制御周期よりも十分長くあるべきである。電力制御の健全性の推定は、同報送信要素がソフトブレーカーである場合にも同様に実施可能である。
具体的な優先度設定の例
以下、本実施例の電力制御に関わる、具体的な優先度設定の例について説明する。
タイプ1 優先度づけ法:各機器(電力消費要素)側で行う基本タイプ(同一規模機器で構成する場合)
「各機器が持つ優先度」=「グループ内の制御対象要素数の総和の値」を基本優先度とする。固定値であるため、システムは非常に安定である。このようにすることで、ドメイン全体の基本的なシステム感度を、概ね「1」にすることができる。なお、個々の機器側で独立に優先度を高めても制御安定性に影響が出ないのが、本方式の特徴であり、例えば 「各要素が持つ優先度」=「グループ内の制御対象要素数の総和の値」×「基準照度/実照度」
を、LED照明ドメインで採用できる。上述のとおり消費電力に上限、下限を設ける場合には、計算により得られた消費電力削減量の削減で運転維持限界を下回る場合には運転維持限界を下限とし、逆に、計算される負の削減量で定格消費電力を超えてしまう場合には定格消費電力を上限とする等の運用がなされる。
タイプ2 優先度づけ法:各機器(電力消費要素)側で行う状態依存タイプ(同一規模機器で構成する場合)
「各機器が持つ優先度」=「機器定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力」×「ドメイン内のインバーター制御機器数の総和の値」
を基本優先度とする。i番目の機器における機器定格最大削減可能電力は、定格消費電力Pimaxから動作可能な下限の消費電力Piminを引いて得られるΔPimaxであり、瞬時削減可能電力は、当該機器の現時点の消費電力Piから動作可能な下限の消費電力Piminを引いて得られるΔPiである(図5)。すなわち、現時点で消費している電力あるいはデューティを測定して(図8,図9中の検流計、検出器I/Fで行う。)、これを各機器で算出する。こうすることで、ドメイン全体の基本的なシステム感度を、概ね「1」にすることになる。なお、個々の機器側において手動で優先度を高めても制御安定性に影響が出ないのが、本方式の特徴であり、例えば
「各機器が持つ優先度」=「機器定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力」×「ドメイン内のインバーター制御機器数の総和の値」×「基準照度/実照度」
を、LED照明ドメインで採用できる。計算される削減量で運転維持限界を下回る場合は、運転維持限界を下限とし、逆に、計算される負の削減量で定格電力を超えてしまう場合は、定格電力までとする。
タイプ3 優先度づけ法:各機器(電力消費要素)側で行う基本タイプ(規模が大きくなる機器で構成する場合)
「各機器が持つ優先度」=「ドメイン内での定格最大削減可能電力/機器定格最大削減可能電力」
を基本優先度とする。ドメイン内での定格最大削減可能電力とは、グループに含まれる各機器についての機器定格最大削減可能電力の合計である。このような優先度の数値は固定値であり、システムは非常に安定である。こうすることで、ドメイン全体の基本的なシステム感度を、概ね「1」にすることになる。なお、個々の機器側において手動で優先度を高めても制御安定性に影響が出ないのが、本方式の特徴であり、例えば
「各機器が持つ優先度」=「ドメイン内での定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力」×「基準照度/実照度」
を、LED照明ドメインで採用できる。計算される削減量で運転維持限界を下回る場合は、運転維持限界を下限とし、逆に、計算される負の削減量で定格電力を超えてしまう場合は、定格電力までとする。
タイプ4 優先度づけ法:各機器(電力消費要素)側で行う状態依存タイプ(規模が大きくなる機器で構成する場合)
「各機器が持つ優先度」=「ドメイン内での定格最大削減可能電力/機器定格最大削減可能電力」×「機器定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力」=「ドメイン内での定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力」
を基本優先度とする(下記式(33)参照)。
機器jの優先度
(33)
すなわち、現時点で消費している電力あるいはデューティを測定して、これを各機器で算出する。こうすることで、ドメイン全体の基本的なシステム感度を、概ね「1」にすることになる。なお、個々の機器側において手動で優先度を高めても制御安定性に影響が出ないのが、本方式の特徴であり、例えば
「各機器が持つ優先度」=「ドメイン内での定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力」×「基準照度/実照度」
を、LED照明ドメインで採用できる。計算される削減量で運転維持限界を下回る場合は運転維持限界を下限とし、逆に、計算される負の削減量で定格電力を超えてしまう場合は、定格電力までとする。
このとき、ドメイン内の実効システム感度Stは、以下の式(34)で記述される。
(34)
ここに、「ドメイン内電力調整度」を以下の式(35)で定義する。
ドメイン内電力調整度=
(35)
この「ドメイン内電力調整度」は、当該ドメインでの実際の(実効)システム感度である。その値は、メンバー要素から情報収集を行えば計算できるが、本電力制御方式ではそれに要する通信を削減すべく、アラート要素は、特に定めない限りは所定の感度値である「1」を想定している。実際、メンバー要素の全てが定格電力で運転されている場合は、「1」をとる。ドメイン内電力調整度は、システムが階層化された場合に、上位階層にて同メンバー要素がアラート要素となる、下位階層ドメインを代表する優先度を算出するために使われる。
電力削減に関わる優先度づけは、多くの同一規模の機器でドメインが構成される場合では、ほぼタイプ1の固定値で問題ない。住戸などにおいて、異なる規模の機器で構成される場合では、通常は、ほぼタイプ3の固定値で問題ない。住戸などにおいて、異なる規模の機器で構成される場合にあって、且つ、応答性を極力追求する場合には、タイプ4の状態依存である優先度づけ法をとることができる。
優先度づけについて、更なる検討
ここでは、優先度の設定にあたり、瞬時での「機器またはドメイン内での定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力」に基づく計算を推奨している。しかし、実際の設置においては、予め、数値評価に依らずに、優先度を電力消費要素ごとに割り付けたい場合が存在する。以下、このような場合について更に検討する。
ドメイン内の全電力消費要素数をNとする。優先度総和の逆数の和を概ね「1」とさせる簡単な方法は、もっとも優先度が低い、つまり電力削減に貢献する要素に(N/2)を、平均的には(N)を、最も優先度が高い、つまり電力削減に参加させたくない要素に(2N)ないし(3N)を割り当てることである。例えば、3個の電力消費要素が属するドメインでは、優先度を1.5,3,6とすれば、実効システム感度を6/7とできる。5個の要素が属するドメインでは、優先度を2.5,3.5,5,7,10とすれば、実効システム感度を70/79とできる。
ここでは、実効システム感度をほぼ1とする方法、つまり制御の収束性を優先させた方法を示したが、ドメインの実効システム感度を大きくする方が、収束性は劣るが安全であり、最低優先度をN、最高優先度を2Nないし3Nとすることで、よりロバスト性が高くなる。3個の電力消費要素では、3,4.5,6と優先度をとると、実効システム感度は18/13となり、5個の要素では、5,6,7,8,10と優先度をとると、実効システム感度は840/617となる。
上述の優先度設定は、実態システム感度を1より小さくする安全側の設定に対応している。設定にあたっては、瞬時での
「機器またはドメイン内での定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力」の有理数のべき乗に基づく計算を行ってもよく、関数型は特に限定されるものではない。例えば、タイプ2では、
「各機器が持つ優先度」=「[3−2.5×(瞬時削減可能電力/機器定格最大削減可能電力)^2]×『ドメイン内のインバーター制御機器数の総和の値』」
という関数を採用してもよい(「^2」は2乗を表わす。)。これによれば、最低優先度をN/2、最高優先度を3Nとすることになる。
次に、最低優先度に関する定性的な考え方について、タイプ2の優先度を例に説明する。仮に、全ての電力消費要素において優先度をN/2とした時、実効システム感度Stは、St=1/(N×(2/N))=1/2となる。この状態で仮にアラート要素が、デフォルトのシステム感度である「1」を用いて同報送信を行うと、システムは持続的な振動状態に陥り、安定限界に達する。よって、どの電力消費要素においても最低優先度がN/2を下回らない設定法がとられるべきである。
具体的な優先度設定例
以下、3種類の具体的な優先度設定例を説明する。ただし、優先度の設定方法はこれらの方法に限らない。
(1)台形方策:定性的な設定を簡易に行う方法。
(2)直線型優先度:各個体の運転状況に基づいて、数学的に設定する方法。
(3)双曲線型優先度:各個体の運転状況に基づいて、数学的に設定する方法。
(1)台形方策:定性的な設定を簡易に行う方法。
ドメイン内での平均優先度をNと配慮しつつ。最低優先度から最高優先度までを、N/2から2Nないしは3Nとする定性的な方法であり、定量的な評価を要しない(図10,図11)。実効システム感度を高めておくことについては、過渡応答に劣るが、安定性向上につながる。この場合は、最低優先度から最高優先度までを、Nから(2N)ないし、Nから(3N)と置くことも実用的であろう。システム感度は、定性的には、台形積分で近似評価することができる。
(2)直線型優先度:各個体の運転状況に基づいて、数学的に設定する方法。
X=(瞬時削減可能電力/機器定格最大削減可能電力)は、0から1の間でランダムな変動を起こすと考えることができる。タイプ2では、
「各機器が持つ優先度」=「[A−(A−1/2)X]×「ドメイン内のインバーター制御機器数の総和の値」
とし、Aを2あるいは3に設定することで、優先度を、最低値のN/2から2Nあるいは3Nに直線的に変化させることができる(図12)。この優先度の逆数を、Xについて、[0−1]間で積分し、さらに逆数とすることで、実効システム感度を得ることができる。それらは、1.082(A=2),1.395(A=3)となり、安定な制御を提供できるとわかる。
「各機器が持つ優先度」=「[A−(A−1)X]×「ドメイン内のインバーター制御機器数の総和の値」
を優先度とすると、過渡応答には劣るが、安定性には有利な優先度設定が可能になる(図12)。この場合、実効システム感度は、1.443(A=2),1.820(A=3)と、さらに大きくとれる。
タイプ4では、「ドメイン内のインバーター制御機器数の総和の値」の代わりに、例えば「(ドメイン内での定格最大削減可能電力/機器定格最大削減可能電力)」を用いる方法が対応する。
(3)双曲線型優先度:各個体の運転状況に基づいて、数学的に設定する方法。
同様に、
X=(瞬時削減可能電力/機器定格最大削減可能電力)
は、0から1の間でランダムな変動を起こすと考える。
このとき、
「各機器が持つ優先度」=「X^(−γ)/(γ+1)」
の優先度を用いる方策がある。ここにγは任意の正の実数である。優先度の逆数を、Xの区間、[0−1]間で積分し、その逆数をとって実効システム感度を計算すると「1」とすることができ、のぞましい制御系を構成できることがわかる。γとして、最も直感的であるのは、γ=1の場合で、このときタイプ2では、
「各機器が持つ優先度」=「(機器定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力)×「ドメイン内のインバーター制御機器数の総和の値」×(1/2)」とすることに対応し、最低優先度はN/2、最大優先度は無限大となる(図12)。タイプ4では、
「各機器が持つ優先度」=「(ドメイン内での定格最大削減可能電力/瞬時削減可能電力)×(1/2)」
とすることに対応する。この場合も、ドメイン全体で積分を行い、実効システム感度を評価することが可能で、それによれば、実効システム感度は「1」以上を確保できると証明できる。既に述べた優先度は、ここでの理論的に導かれた優先度の2倍にあたる。このことは、実効システム感度を2倍にしていることに対応していて、過渡応答よりも安定性確保を優先して設定されたものと理解できる。
ソフトブレーカーにおける優先度の設定
上位階層ドメインでのシステム感度(上位階層システム感度)は、基本的に「1」である。本ソフトブレーカーでは、これについては、設定も監視の必要もない。上位階層においても、式(25)〜式(32)を用いて既に説明したとおり、アラート要素(上位階層同報送信要素)にてリアルタイム推定して、システム健全性を評価し、点検を行うことは可能である。
下位階層ドメインで、本ソフトブレーカーがアラート要素として使用するシステム感度も、基本的に「1」である。必要があれば、異なる値を本ソフトブレーカーにて設定することがある。下位階層においては、本ソフトブレーカーがアラート要素として、リアルタイム推定して、式(25)〜式(32)を用いて既に説明したとおりシステム健全性を評価し、点検を行うことが可能である。上位階層においては、本ソフトブレーカーは、1つのメンバー要素として機能する。この上位階層での、1メンバー要素として有する優先度(上位階層優先度)は、前述のタイプ1〜4の優先度として設定できる。最も簡単な優先度の設定では、例えばスマートグリッドにおいて同一規模の複数ドメインで構成される階層において、優先度は、ドメイン数つまりメンバー要素数と固定してよい(タイプ1優先度設定)。また、上位階層における定格の削減可能電力総量を、本ソフトブレーカーの下位階層ドメイン全体で定格としている削減可能な電力で除算した値を、上位階層での1メンバー要素としての優先度と定義してもよい。これはスマートグリッドにおいて、異なる規模の複数ドメインで構成される階層にて有効な設定方法となる(タイプ3優先度設定)。この上位階層ドメインでソフトブレーカーがもつ優先度としては、タイプ2優先度に倣うと、
「下位階層のドメイン内電力調整度」×「上位階層ドメイン内のメンバー個体数」
と定義できる。また、タイプ4優先度に倣うと、
「下位階層のドメイン内電力調整度」×「(上位階層ドメイン内での定格最大削減可能電力)/(配下の下位階層における定格最大削減可能電力)」
と定義してもよい。
電力復帰に関わる非対称な優先度設定の例について
総消費電力の削減が求められる場合、削減余裕の少ない電力消費要素においては消費電力の削減を避けなくてはならない。そのような要素においては、ドメイン内全体で求められる削減量のうち分担する電力を小さくするべく、優先度は高く定義される。この考え方によれば、ドメイン内で許容される電力を削減された状態から復帰させる場合には、そのような削減余裕の少ない要素に、より積極的に回復量を割り当てるべきであり、復帰時には逆に、そのような要素への優先度を小さくした方が運用上は好ましい場合がある。i番目の電力消費要素における削減時の優先度をQiとすると、復帰時の優先度の合理的な設定方法としては、相補性を考慮し、優先度逆数総和を「1」と規格化すると、例えば以下の式(36)に従うものが考えられる。
(36)
この設定も各電力消費要素上で行うことができる。これによれば、3つの電力消費要素が属するドメインにおいて削減時の優先度が2,3,6であった場合(逆数総和が1にとられている)、復帰時の優先度を4,3,2.4ととることができる。前述のタイプ1優先度設定において、優先度はドメイン内での個体総数Nであり、その場合は復帰時の優先度も同一のNである。このように、ドメイン内で電力削減が求められる場合と、電力を復帰させてよい場合とでは、同報される情報が示す総消費電力調整指示値の正負に依存させて、各電力消費要素上での計算で、優先度を非対称に変更することもできる。
復帰時の優先度決定法は1通りではなく、多様な方法が存在する。基本的な考え方は、削減を進行させていたときに電力供給の維持を要求していた、優先度の高かった要素には、電力資源の回復にあたり、復帰電力の割付けが優先的になされる、すなわち復帰時の優先度を下げるという考え方であり、各要素で解釈される割付け電力が1/(優先度)倍であることから、次の式(37)に従う表現で決定すると考えるのが適当である。
(37)
削減時の優先度の逆数和が「1」である場合、復帰時の優先度の逆数和が「1」であるための条件は、aNb=1である。上記復帰時の優先度の定義は、a=bとして復帰時の優先度の和の逆数和が「1」となるよう規格化した例である。
別の考え方としては、削減時の優先度で割付けられる比率と、復帰時の優先度で割付けられる比率とが相補的な関係を満たすべきである、という考え方があり、この場合、規格化条件を課すと復帰時の優先度は以下の式(38)で定められる。
(38)
これによれば、3要素が属するドメインにおいては、削減時の優先度が、2,3,6であった場合(逆数総和が1にとられている)、復帰時の優先度を、6,3,2として正反対の優先度をとることができる。
この方法で復帰時の優先度を設定したとして、タイプ1〜4の削減優先度に対してどのような性質が現れるかを以下に述べる。
タイプ1優先度では、Qi=Nであり、Qi′=Nとなって、復帰時の優先度は削減時の優先度と同一になる。
タイプ2優先度では、削減時の優先度の逆数和は「1」を下回り、したがって、復帰時の優先度の逆数和は「1」を上回る。つまり、復帰時の実効システム感度は「1」を下回ることになる。実際、この状態は、アラート要素側で想定しているシステム感度が過大な場合に相当して好ましくなく、削減時の優先度逆数和と復帰時の優先度逆数和を、2/Nではなく、3/(2N)あるいは1/Nとするなど工夫が求められる。既に述べた復帰時の優先度の設定方法では、復帰時の優先度逆数和は「1」を下回り、実効システム感度を「1」より大きくして、ロバスト性を高めている。
タイプ3優先度では、復帰時の優先度の逆数和は「1」になり、規格化条件は自動的に満たされる。
タイプ4優先度では、タイプ2優先度の場合と同様に、復帰過程での実効システム感度が「1」より低下するため好ましくなく、削減時の優先度逆数和と復帰時の優先度逆数和を、2/Nではなく、3/(2N)あるいは、1/Nとするなど工夫が求められる。同様に、既に述べた復帰時の優先度の設定方法においては、復帰時の優先度逆数和は「1」を下回り、実効システム感度を「1」より大きくしてロバスト性を高めている。
このように、いわば性能を重視して復帰時の優先度を設定するという観点から述べれば、2番目に述べた方式が有利であるが、タイプ2,4での削減時の優先度の設定がロバスト性の向上を狙っていることにより、復帰時の優先度の設定においてロバスト性が低下してしまうため、適用にあたって工夫が必要である。復帰時の優先度の設定幅には適切な範囲があり、適用上は、この点にも配慮が必要である。
上述のとおり、タイプ1,3のように動的に優先度を変更しない場合は、復帰動作も静的である。しかし、実際に期待されるのは、むしろタイプ2,4のように動的な運用方法であり、ここで述べた方法が有効に利用されるべきである。
副制約条件の指定
これまでの説明においては、主たる制約条件として、グループに含まれる電療消費要素で消費される電力の総和が、指定された電力となる制約条件下(式(1))での最適化法を考えた。しかしながら本制御方式は、さらに拡大されて、副制約条件を課した場合での最適化に応用できる。上記式(1)により表される元の制約を、−0次とし、副制約を、−1次,−2次,…−m次とし、以下の式(39)で表わされる拡大評価関数による最適化を考える。

ただし、
及び
(39)
上記式(39)の1番目の式から、e0 Tf−P0=0を主制約条件と呼び、ei Tf−Pi=0を副制約条件と呼ぶことができる。
上記式(39)中、e0 Tはn次の単位行ベクトルであり(Tは転置記号)、e1 T〜em Tは各々の副制約に対応する積算(行)ベクトルであり、λ0〜λmはラグランジュの未定乗数であり、P0はグループ内の総消費電力に対する制約値(上記式(1)のPtに対応)であり、P1〜Pmは、各々の副制約に対応する積算消費電力に対する制約値である。上記(2)式と同様に、グループ内の各電力消費要素が消費している現時点の消費電力をf* 1,f* 2,…f* nとし、これらを縦に並べたベクトルをf*とした。その他の変数については、上記式(1)〜(3)等と同様に定義される。
上記式(39)の拡大評価関数において、f1〜fn及びλ0〜λmによる上記拡大評価関数の偏微分値がゼロになるという条件からfiの最適解が求められる。最適解をベクトル表記で表わせば、以下の式(40)のとおりである。
ただし、

(40)
したがって、主たる制約下と全く同様に、同報送信と各電力消費要素での処理の複合で、この副制約も課した解を求めることができる。理想的な実効副システム感度Si(i=1,2,…m)は、上記のとおり積算ベクトルeiとQで定まるが、同報送信要素が副制約積算消費電力調整指示値を決定するために用いる副システム感度は、近似的に、「N/(eiの非ゼロ成分個数)」とすることができる。
本発明による電力制御の一例においては、i=1〜m(m=1でもよい)についてei T*−Piに相当する量を同報送信要素が測定又は決定することでm個の副制約積算消費電力調整指示値を決定し、これを表わすm個の副制約情報を、既に説明した総消費電力調整指示値を表わす情報に加えて、同報送信要素(システムが階層構造を有する場合は、ソフトブレーカー)からグループ(システムが階層構造を有する場合は、下位階層グループ。以下同様。)内に更に同報送信する。グループに含まれる各々の電力消費要素は、上記情報とm個の副制約情報とを受信し、総消費電力調整指示値、及びm個の副制約積算消費電力調整指示値と、自己に与えられた(下位階層)優先度とを用いて、上記式(40)に従い(fを決定する式中、S0ΔP0,ΔPiを、それぞれ受信した総消費電力調整指示値、副制約積算消費電力調整指示値で置き換えて計算する。)自己の消費電力を更新制御する。ただし、副システム感度Si,又はその近似値「N/(eiの非ゼロ成分個数)」は、予め副制約の対象となる電力消費要素に記憶されているとする。副制約情報に対応する消費電力の制御は、個々の副制約の対象になっている電力消費要素のみが行う。
上式で、副制約条件における積算ベクトルの直交性がくずれていると、制御性能に影響が出る。その量は、以下の式(41)で与えられる。
(41)
主たる制約条件への影響は、軽微にとどめることができる。
副制約条件で指定する、電力制約値との積算誤差ΔPiは、主たる制約条件で指定する総消費電力制約値と現時点での消費電力との誤差ΔP0が容易に計測できるのと異なり、同報送信要素によって直接には計測されない場合が多い。したがって、現実的には、ΔPi=γi×ΔP0(if ΔP0<0,γi=0)として、主たる制約条件に連動して設定することが現実的な方法である。これによれば、この副制約を課した最適化は、主たる制約が満たされると同時に終了する。主たる制約では、積算対象は全電力消費要素であるが、副制約では予め積算ベクトルeiに対応するべく、各電力消費要素では、自身が属するモードが認識されていなくてはならない。例えば、e1 T=(1,0,−1)の場合、1番目の副制約の対象は1番目、3番目の電力消費要素であり、これら要素は、自身が1番目の副制約モードに属していることを、メモリへの記憶などにより認識している。これは機器をドメイン内に設置した時点で定まっており、それを各要素内に記憶していることが前提である。
典型的なアラート要素の行うべきは、この場合、主たる制約モード「0」と、調整すべき電力ΔP0にシステム感度を乗じた総消費電力調整指示値を同報送信し、更に、副制約モード「i」と、調整すべき副制約積算消費電力ΔPiとして与えられる副制約積算消費電力調整指示値を、1〜mのiについて連続して同報送信することである。
例えば
0,ΔP0×(システム感度),…,i,ΔPi,…
のように、副制約条件も含めて同報送信することになる。
各電力消費要素では、主たる制約条件への対処に加えて、副制約積算消費電力調整指示値ΔPiに副システム感度を乗じ、これを各要素の削減ないし復帰優先度で割って、各要素に課せられた電力割当てを算出する。Siは、S0と異なり、副制約のモードによっては「1」に近い値とはならないので、各個体にて予め記憶されていなければならない。
副制約による制御の具体例
副制約による制御の具体例を、理想的な最適制御と実際の制御に分けて説明する。
(最適制御)
グループ内の電力消費要素数N=3とし、全ての要素の優先度Qjjが3であるとする。このとき、上記式(39)のQは、対角成分が3で非対角成分がゼロの対角行列となる。副制約条件は1つのみであり、積算行ベクトルe1 T=(1,0,−1)とすると、上記式(39)の2番目の式である(Q-10T1=0の直交関係が満たされている。副制約条件は、上記式(39)の1番目の式から、e1 Tf−P1=0,すなわちf1−f3=P1と表わされる。これは、1番目の電力消費要素の消費電力と3番目の電力消費要素の消費電力の差をP1に保つという物理的意味を有しており、例えば窓際と廊下側でLED照明の消費電力に差をつけるような場合に対応する。この例以外にも、積算行ベクトルの選択に応じて、図13に概念的に示すとおり様々な副制約を課すことができる。
最適解は、上記式(40)に具体的な値を代入して、以下の式(42)のとおり決定される。


(42)
(実際の制御)
実際の制御においては、上記式(40)中、S0について、同報送信要素は正確な値(実効システム感度)を有していないため、例えばシステム感度を1とする。さらに、ΔP1=(f1 *−f3 *)−P1も同報送信要素が直接測定できるわけではないので、ΔP1=γ1×ΔP0等として決定した上で、総消費電力調整指示値ΔP0×1を表わす情報と、副制約積算消費電力調整指示値γ1×ΔP0を表わす副制約情報が同報送信される。これらを受信した電力消費要素は、既に説明したとおり、これらに自己の優先度の逆数や副システム感度を乗じるなどして、上記式(40)に従い自己の消費電力を更新する。したがって、上記式(42)の消費電力ではなく、以下の式(43)の消費電力へと制御がなされる。


(43)
例えば照明機器で構成するドメインでは、全体の電力制約に加えて、エリア間での電力消費に副制約を導入した制御ができる。これは、スマートグリッドで構成されるドメインでの、全体電力管理に加えて、グリッド間での差分副制約を与えられることにも応用できる。一例としては、図13で概念的に示すとおり、窓際では照明を暗くして廊下側では明るくしたり(e11)、暗いエリアと明るいエリアを交互に設けたり(e21,e22)できる。
次に、本発明に従う消費電力割り当てにおける、同報送信要素や電力消費要素の回路構成を説明する。
図7は、同報送信要素の回路構成を概略的に示した図である。同報送信要素は、一例においては配電盤に接続されたスマートメーターとして構成され、電力供給口(コンセント)に接続されるか電池を内蔵している。同報送信要素は、同報送信をしたり、電力消費要素から優先度を受信したりするための通信系、通信系I/F(インターフェース)、グループ内の総消費電力を測定するための電力メーター、検出器I/F、総消費電力調整指示値や副制約積算消費電力調整指示値の決定、これらを表わす情報、副制約情報の生成、システムの健全性の推定等、既に説明したさまざまな情報処理一般を担う判断/実施系回路、及びこれらに電力を供給するための電源系等から構成されている。現在の総消費電力等、任意の情報を表示するためのディスプレイや、例えば上位階層優先度等をユーザ入力するためのユーザI/Fを、更に備えていてもよい。各機器の定格消費電力は、例えば通信系I/F内の記憶回路、又は別個のモジュール内メモリ(不図示)に記憶されている。
図8は、本発明の消費電力割り当てにおいて、電気機器を電力消費要素として動作させるためのインバーター装備型モジュールの概略構成を示している。モジュールは、同報送信要素から上述の情報や副制約情報を受信したり、必要であれば優先度を送信したりするための通信系(無線通信ならばアンテナ等、電力線通信ならばモデム等。)、通信系I/F(信号の符号化、復号化等を含む、通信処理一般を行うための通信回路)、機器の消費電力を測定する検流計(例えば優先度が固定値ならば消費電力の測定は不要であり、検流計も不要である。)、検出器I/F(消費電力測定値をデジタル信号化して通信系I/Fに送信する等のための回路も含む。消費電力測定が不要ならば検出器I/Fも不要。)、同報送信要素から受信した情報を用いて、既に述べたとおり自己の消費電力の更新のための情報処理一般を行う判断/実施系回路、判断/実施系回路からの命令を受けて機器への電力供給を間欠的に遮断することで消費電力を制御する遮断器、及びこれらに電力を供給するための電源系等から構成されている。定格消費電力、優先度、副システム感度等は、例えば通信系I/F内の記憶回路、又は別個のモジュール内メモリ(不図示)に記憶されている。このようなモジュールを、電力供給口(コンセント)と電気機器との間に設けることにより、電気機器を消費電力割り当てにおけるクライアントとして動作させることができる。電力消費要素を移動体として構成する場合は、当該モジュール及び電池を電気機器に内蔵すればよい。またユーザI/Fを設けて、電力消費要素の優先度を変更する等してもよい。
図9は、本発明の消費電力割り当てにおいて、電気機器を電力消費要素として動作させるための、典型的にはエアコン等の電気機器に内蔵される、インバーター制御型モジュールの概略構成を示している。図8の回路構成とは異なり、遮断器の代わりにデューティオフパルス積算/減算器、PWM(Pulse Width Modulation)変調器等の、機器が有するインバーター制御器に対して更に制御信号を供給するための回路が備えられている。例えばPWM変調器を用いる場合には、当該PWM変調器からの変調パルスによって、機器内でインバーター制御機に入力される、モーターにトルクをかけるためのONパルスを変調させることにより、デューティを規制して消費電力を調整することができる。図9の例では、変調パルスを反転させた上で、エアコン本来の駆動信号であるONパルスとの論理積をとることにより、ONパルスの幅を変えて変調させているが、モーター等の稼働率を調整できる回路としては、どのようなものを採用してもよい。
情報伝達能力制御システム、及び方法
いままで説明した、消費電力制御のための一連の方策は、電力の代わりに情報伝達能力を資源とし、電力の消費を情報伝達能力の占有としても、そのまま適用が可能である。送信機が情報を送信しようとする場合、送信機出力や、伝播距離、ないしは送受信のアンテナ効率などの要因により、伝送速度、すなわち情報伝達能力たる資源が制約される場合が出現する。情報を送達せしめたいドメイン内の各サブシステムあるいは計測装置は、その情報伝達能力をある比率で利用しなくてはならないが、複数のサブシステムあるいは計測装置(メンバー要素)が伝達能力の部分的な占有を要求すると、資源たるドメイン情報伝達能力を逸脱する場合がでてくる。各メンバー要素においては、動的に優先度を変更することが考えられるが、そのような場合であっても、各メンバー要素の優先度を考慮して最適な資源割当て実施する必要がある。本方策によれば、同報送信要素において、ドメイン内で、総情報伝達能力を計測し、その総定格能力(基準値)との差にもとづいてドメインのシステム感度を用いて生成される情報を同報で送信する機能と、各メンバー要素において、優先度を用いた演算を行う機能を複合させることで、資源制約を満たしつつ最適解を得ることができる。情報伝達能力についても、ソフトブレーカーの導入が可能である。
このような情報伝達能力制御システムの一例を、図14に示す。システムは、通信サーバー(同報送信要素)と、個別に優先度が与えられた1以上のクライアントマシン(情報伝達要素)とを備えている。通信サーバーは、1以上のクライアントマシンを含むグループ内で占有される通信速度合計(総情報伝達能力)の現在値を、例えば通信速度検出アプリケーションを通信サーバー上で実行することにより測定し、この現在値と基準値(各クライアントマシンに対して定義された基準通信速度の合計値)との差を測定し、この差にシステム感度を乗じるなどして、総情報伝達能力調整指示値を決定し、これを表わすグループ内で共有すべき情報を生成し、これをグループ内に同報送信する。
各々のクライアントマシンは同報送信された情報を受信し、自己に与えられた優先度と総情報伝達能力調整指示値とを用いた演算(これまでに説明した、総情報伝達能力調整指示値に自己の優先度の逆数を乗じるなどの演算であってよい。)により、自己の通信速度(情報伝達能力)の更新に用いるべき情報伝達能力更新値を、自己以外のクライアントマシン及び通信サーバーから独立して決定し、情報伝達能力更新値の分だけ自己の通信速度を落とす等して(例えば、各々のクライアントマシン上で通信アプリケーションを実行することにより通信速度設定を変更する。)自己の情報伝達能力を制御することにより、グループ内の総情報伝達能力を制御する。
(本件追加発明の詳細な説明)
以下、本件追加発明を詳細に説明する。なお、数式の番号は以降において新たに振りなおす。
本発明では、非直流域での制御機能を発揮させる手段として、(A)「非直流域での制御システムの安定性解析と安定化手段」を連続系と離散系について述べ、また、(B)「瞬時電力および一定区間での電力積分値である電力量に対して予見制御を導入して制御目標を非直流域で定義する手段」の大きく2つの方法を提供する。
このために、まず本発明で扱う課題を新たな方法で解析する。
すなわち、優先度を考慮した資源たる電力を割り付ける制御システムを、制御システム上の構成から、サーバー・クライアント通信を行う形態と、同報送信と電力消費要素である各個体側での独立分散並列処理にて行う形態を、特願2014−153348号での記述とは明確に識別して改めて解析する。しかる後に、システムに位相変動を動的補償器を用いて記述することによって、非直流域でのシステムの特性を解析し、課題解決の手段を提供する。
(A)「非直流域での制御システムの安定性解析と安定化手段」について。
(A−1)「制御システムの新たな記述」
(各個体での独立分散処理の動的モデル)
各個体側での電力制御のモデルは、指定消費電力Pi*を実現させる1次遅れ系であり、そのブロック図は図15のように書かれる。
(図15 各個体の電力制御モデル)
閉ループ伝達関数は、
(図16 各個体の伝達関数)
と書かれる。
一方、指定電力との調整電力をΔと記述すれば、電力制御系の表現は
(図17 調整量に対する各個体の電力消費量への制御モデル)
である。
現在の消費電力Piから、Pi+Δへ制御する制御系は上のように表現される。実は、このΔからPiへの伝達特性とは、変動要求Δの積分にあたることが確かめられる。
(図18 各個体における積分)
(A−2)「サーバーによるフィードバックゲインの集中処理による決定法」
(サーバー・クライアント双方向通信による、フィードバックゲインの決定方式)
多数の個体からなる電力システムにおいて、ドメインにおける総電力を一定に保つことは、スカラー量たる総電力の誤差を、全個体数に分割し配分するための、フィードバックゲインたるベクトルを決定することに帰着できる。
フィードバックゲインは、数学的には、制御系全体の応答性を決定する極配置問題、あるいは、評価関数を最小化するシステム制御論から計算することができる。後者においては、ドメイン内の個体の運転状況や、たとえば温度、照度、在席者数など個体の置かれている環境情報をそれらが取得される個体位置から収集して、評価関数の重み、すなわち優先度を定め、適切なフィードバックゲインベクトルが計算されるのが一般的である。
そのためには、同ゲインベクトルを計算するサーバーが、ドメイン内の個体との間で、双方向の通信を行う必要があり、これが個体数の増加にともなってシステム構築を複雑化させ、処理を低速化させる原因となっていた。
(図19 サーバー・クライアント方式によるフィードバックゲインの決定方式)
(A−3)「同報送信と独立分散並列処理によるフィードバックゲインの決定法」
(同報送信と独立分散並列処理による、フィードバックゲインの決定方式)
ドメイン内の個体の運転状況や、たとえば温度、照度、在席者数など個体の置かれている環境情報は、本来、各個体位置にて測定され取得される情報である。発明された手法では、ドメイン全体での優先度の収集を行うことが避けて、フィードバックゲインたるベクトルを各個体で独立に並列にて決定することができる。この方法では、各個体にて優先度を算出する方法に特徴があり、ドメイン内で集計を行わなくても、集計値が適切に規格化される利点がある。
したがってサーバーが、ドメイン内の個体との間で、双方向の通信を行う必要はなくなり、システムは、総電力の誤差情報をドメイン内に同報することと、各個体において定められる優先度を用いて、各個体が分担すべき逸脱電力量を計算することで処理を進めることができる。 鍵は、特願2014−153348号が提供しているように、各個体で独立に優先度を設定しつつも、それらを総計した系全体の特性優先度が規格化されるメカニズムがビルトインされる点にある。
(図20 同報通信と独立並列方式によるフィードバックゲインの決定方式(連続系))
(A−4)「制御システムの安定性(連続系)」
(連続系システムの安定性)
ドメイン全体の特性方程式は、
(1)
と書かれ、特に、電力制御機構が同一視できるときは、
(2)
よって、連続系では、遅れ系がなければ、漸近安定性は、優先度の設定によらずに、自動的に保障される。
(A−5)「制御システムの安定性(離散系)」
離散系では、安定条件は、
(3)
である。
(図21 同報通信と独立並列方式によるフィードバックゲインの決定方式(離散系))
(離散系システムの安定性)
離散系におけるブロック図より、系全体の特性方程式は
(4)
となる。書き換えることで、次式を得、
(5)
安定条件として、以下を得る。
(6)
(A−6)「安定性を与える特性優先度の下限値と制御システムの収束時定数」
(安定性を保証する、特性優先度の下限)
特に、システム感度を「1」とした場合、安定条件は、
(7)
となり、左辺を全系の「特性優先度」としてQ*と書けば、
(8)
の安定条件が得られる。
特に、Q*=1の場合は、収束が次回に達成される、すなわち、ここで述べる、収束に要する時間を代表する指標である「時定数」が、1サンプルインターバルに相対的に、「1」であることを意味する。
(等価的なインターバルで無次元化された収束時定数)
実は、安定条件として、その特性優先度Q*値には下限値が存在するが、同時に、その逆数が収束時定数を意味する。
(9)
より、
(10)
と近似できるので、系全体の収束時定数τ*は、基準のサンプルインターバルτに対して、
(11)
の関係にあり、無次元時定数を与えていることがわかる。
(A−7)「制御システムにおける位相変動メカニズムの記述」
(各個体ないし、同報情報展開に伴う遅れの存在するときの安定性)
系において、遅れを発生させる要因には、大きく2種類が存在する。
(各個体での遅れ)
(1) 各個体側では、インバーター制御での場合のように、実際には電力測定をおこなわず、(ほとんど等価だが)PWM, PAM の指令値のduty から、電力消費量を換算する場合がある。これは、指令値なので、論理の作り方によっては、同報されている時点で出されている最も最近(遅れている)の指令値を基準に制御が行われてしまう。その場合は、個体で定まるところの応答遅れが存在するのと等価になる。実は、高次数システムの応答遅れと、単純な計測遅れは識別される必要がある。後述する。
各機器から、ある時点で同報されているドメイン内の電力消費量と非常に近接した時点での duty をもとにした各個体の電力消費が正しく参照されていれば、この遅れは生じないが、電力消費量の瞬時値がminor loopの中でしか計測できない場合は、この遅れが避けられない場合が多い。
(同報系の遅れ)
(2) ドメイン内の全個体に共通に発生する遅れ。総電力消費量を計測する、センシングモジュールからメディアコンバーター(同報装置)へ、またメディアコンバーターから個体までのメディアに固有の同報時間(赤外線 PPM 伝送遅れ、Zigbee(登録商標)での多hop 数など)は、共通に遅れる要因となる。ただし通信メディアでのhop の数にもよるが、概ね1インターバル分に収まるのが普通である。
(各個体側での応答モデルの不確定性)
表現上は、各個体において測定される、電力消費量の測定時間遅れとして示すことができる。(正確には、機器遅れのメカニズムに依存する。後述。)
一般的には、何らかの動的な特性を有するメカニズムである,伝達関数がF(s)という手段が介在する結果であると記述できる。
同報の遅れは、よほどのことがない限り、通常はありえないか、非常に小さい。
インターバルに比べて、メディアのhopする速度は十分に速いのが普通。その通信遅れが顕在化することはまずありえない。ただし、ソフトウェア構築上、止むを得ず、1インターバルを待ってしまう結果を生むことはあり得ることで、この議論は、その陥りやすいソフトウェアの欠陥への警鐘と受けとめられるべきである。後述するように、積極的な対応も可能である。
各個体においては、たとえば電流計測で、瞬時電力計測を行っている場合は概ね問題ないが、電力計測をPWM, PAM への指示で換算している場合、つまりlocal なminor loop での動特性を考慮しないでいる場合には、この誤り、誤解が起きやすい。
本発明では、遅れを、誤って導入する、あるいは導入してしまった場合に、どのように対策すべきか、その解決手段を提供する。
(A−8)「システム安定化のための基本方策」
安定化には、「制御系全体の一巡伝達ゲインを支配するシステム感度の低減化」と、「一巡伝達経路および各個体上での位相の補償」、「各個体での位相変動モデルの組込みによる動的補償法」の3つの手段がある。このためには、後述するように、各個体の応答性と内部での遅れを代表する指標である Class (クラス値)を工場出荷時までに、予め測定し、またそれを表示させて、各住宅やオフィスで制御システムを構築する際の調整に利用することが望ましい。
(システム感度の低減化)
もっとも容易で確実なのは、システム感度の低減化である。これは、特性優先度を増加させ、等価的に応答時定数を長くすることに対応し、応答速度を犠牲にする手法でもある。直接にシステム感度を操作する以外に、同報送信器たるコントローラーおいて、「ドメイン内個体数」への要求条件を意図して高く設定する操作をすることで、システムの安定化をはかることができる。
(各個体側機器の応答性(Class クラス)の計測と表示、および実装システムでの調整)
各個体においては、実装段階にいたる前に、消費電力を計測することが推奨され、また調整する手段を予め埋め込まれているべきである。得られた、機器側の応答特性は、予め工場出荷時に、「Class 値」として計測、表示させ、システム設定段階では、そのClass 値をもとに、同報内容に全系の遅れ情報を載せ、機器側処理では、後述するように、積極的な補償操作を行うことで、遅れを抑えて、安定化をはかることも可能となる。
(図22 各個体における遅れなどの位相変動要素の存在(連続系))
(A−9)「位相変動要素を導入した非直流域でのシステムの安定性」
(安定性の評価)
ドメイン全体の特性方程式は、遅れ動特性の影響を受ける。
(12)
特に、電力制御機構、遅れ動特性が同一視できるときは、
(13)
と記述でき、さらに遅れ系 F(s) を1次遅れ系で近似すると、特性方程式は
(14)
と近似できる。
(安定性への影響)
結果として、特性方程式は2次系となり、τ の存在が振動を招き、遅れ系の存在が制御系全体の安定性に影響を与える。
(A−10)「システム感度の低減化」
(低感度化)
(1) 安定化には、システム感度またはその等価的な低減化、同等に特性優先度の増加が有効である。
(15)
すなわち、特性優先度の逆数 1/Q* 値を小さくとることが有効な条件である。遅れ系のない場合には、離散系でシステムを構成する場合では、上式が「2」以下であることが安定限界であり、「1」以下であることが漸近的な収束性を与えている。遅れ系の存在する場合には、特性方程式が示すように、振動様相を呈する。
この方法では、対処は同報装置にて行われる。各個体上での処理に影響はない。
同報されるシステム感度ないし設定される個体数を操作することが1つの方策である。この安定化とは、ドメイン内の総個体数ないしはドメイン内での電力調整可能量を意図的に拡大する設定を行うことに相当する。結果として、特性優先度Q* 値は上昇し、システムの応答時定数が低下する。
(A−11)「一巡伝達経路および各個体上での位相の補償」
(動的補償器の設置と解決手段)
(2) 別な手段として、総電力の計測、あるいは、機器側での処理において、動的な位相補償器を設ける方策も存在する。
この方法では、位相補償器 C(s) を、同報装置内にハードウェアないしはソフトウェアで構築、あるいは、機器側での割当て電力の更新処理においてソフトウェアで構築し、遅れ量によっては、位相の進みと遅れを操作する。
(図23 同報経路における位相補償方式(連続系))
(A−12)「各個体での位相変動モデルの組込みによる動的補償法」
(位相変動モデルの各個体での処理論理への組込。遡り制御)
(3) 不安定化する要因は、同報されている全電力消費量の情報に含まれる、各個体での電力消費量情報が、各個体で参照・計測する時点での電力消費量と、取得時刻が異なることによる。すなわち位相のずれが不安定化を招いている。
従って、各個体での電力制御において、時々刻々に修正を行うべく参照している電力消費量の値を、「あえて過去にさかのぼらせること」で、情報取得時刻を「整合」させることができ、これが安定化に貢献する。各個体上で、過去に参照・計測された電力消費量を格納・保存しておくことができる機能を利用することになる。
この対処は、各個体上での処理によってなされる。同報装置の機能には影響はない。
(図24 各個体における、モデル組み込み型の位相補償方式(連続系))
(安定性解析の拡張(連続系))
実は、この対応とは、このブロック図で示すように、等価的には、遅れを招いている動特性を、電力追従の閉ループの中に取り込むことに対応している。
この方式の真の目的は、ドメイン全体で計測される情報の発生時刻を、各個体上で電力指令値へ追従させるために帰還・参照される瞬時の電力消費量の計測時刻を同一にすることにある。とくに遅れの原因が個体上でのデューティ率から換算するように機器への指令操作から推算することで発生している場合には、ここで言う対策は、過去を遡らせるというよりも、各個体上で電力消費量を計測するための積極的な回路などの手段の設置も含む。
遅れ系 F(s) を1次遅れ系で近似する。ドメイン全体の特性方程式は、
(16)
a が十分大きい場合、つまり指令値への電力追従性が高い場合には、近似的に
(17)
と書かれ、さらに
(18)
となる。特性方程式は1次系となって、τ の安定性へ与える影響を排除させることができる。応答は、近似的には、τ の大きさに依らず漸近安定的になり、ロバスト安定化がはかれる。ただし、応答速度は、遅れ系における遅れ時間で支配される。
(内部組込みモデルによる安定化)
この対応策は、等価的には以下の図の制御系モデルを構成することとなる。本発明では、これを、内部組込モデルによる、ロバスト安定化法と呼ぶ。
(図25 各個体における、モデル組み込み型の位相補償方式の等価構造(連続系))
(A−13)「各個体での応答特性と遅れ指標Class (クラス値)−測定と表示」
各個体のダイナミクスと、その応答(出力)遅れを含む過渡応答は、以下で記述される。
(19)
Z−変換されたドメインにおいて、その伝達特性は以下で書かれる。
(20)
ダイナミクスの高次化に起因する遅れと出力の遅れの2つの効果は、全く性格が異なることに注意する。m′ で代表されるダイナミクスの高次化に起因する遅れは、同時に、応答ゲインの低下を招くのに対し、m で代表される出力の遅れは、ゲインの低下を伴わず、位相遅れだけを誘引し、システムの安定性に大きな影響を与える。
下図は、m′=4, m=4 のシステムでの応答例である。
(図26 各個体の伝達モデルの測定とClass 値(離散系))
(Class 値、クラス値の測定)
m′ の効果は、m′=1 の通常の積分プロセスの出力振幅を、「1/m′」倍させることから、振幅を実測して推定できる。
一方、特に周期性の入力を加えた場合の1周期後の位相ずれは、「(m′+m)」インターバルずれるので、前者の結果を参照することによって、結果として m を推定できることになる。
通常、「インターバル時間」と、「試験入力の振幅電力」によって、(m, m′) 値は変化しうるため、機器特性の把握にあたっては、両者をパラメータにしてふって、機器性能を評価しておく必要がある。それらは、多数の応答特性の異なる機器で構成されるシステムの安定化調整において、ドメインへの同報通信での遅れ特性を加味して調整する過程で、きわめて重要な役割を果たす。
(Class 値の表示)
下記の 「Class (m, m′) 表示」を機器で行うことで、安定なシステム設定を行うことができる。
(図27 インターバル、電力振幅に対する各個体のClass 値の表示例)
(A−14)「Class (クラス値)の安定化への利用法」
このClass 値は、「各個体毎に異なる収束時定数を概ねそろえて優先度定義のばらつきを補正させる調整(adjuster)機能」と、「制御系全体の安定性を保証するために必要な特性優先度に乗ずるべき補正機能」によって利用される。
(機器側における、Class 値の調整(Adjuster) 機能)
システムの安定性には、m 値が大きな影響を与える。また、Class 値 m の違いは、機器毎での応答性の違いを示しており、異なる個体(機器)を混在させる場合には、本来意図した、優先度の個々の特性を活かした修飾機能が正しく反映されない場合が生じうる。Class 値により、これを補正することができる。
本来、遅れを拡大させることは好ましくはないが、応答を早めることは困難であり、主要な機器での Class m 値 を系内で揃えておくことが、システムの動作を所期の目的に合致させる効果を持つ。
(調整 (Adjuster) 機能)
各機器では、オプショナルに、このClass m 値を補正する調整 (adjuster) 機能を搭載することが推奨される。たとえば、各個体にて、その個体のもつ遅れ特性を、2,4倍、…と変更しておくことが有効である。
一旦、Class 値が揃えられると、同報遅れは共通であり、後述する、1) 特性優先度の下限値の補正や、2) 機器側での遡り制御機能も共通化できるメリットが得られる。
(図28 Class に基づく、ドメイン全体の不確定性モデル(離散系))
(安定性解析の拡張(離散系))
(系の安定性と、特性優先度に求められる安定条件)
系全体の特性方程式は、 同報系での遅れインターバル数をl (エル) を用いて
(21)
と書かれる。
システムの安定性は、位相遅れに大きく支配される。
総合遅れ、「(l (エル)+mi)」をmi の最大値を用いて、全系の特性遅れとし、「 l (エル)」と改めて代表して記述する。また、ダイナミクス部分を代表する次数(m′i) を、あらためて「m」と以下記述してシステムの安定性を解析する。
システムの特性優先度を Q で代表させ、システム感度を「1」とすると、解析は、最大遅れを考慮した、以下の単一等価個体を扱うことに帰着できる。
(22)
系全体の特性方程式は、
(23)
安定条件は、上式の解が、単位円中にとどまることである。
(24)
が単位円を写像した結果の領域が、負の実数 (−1/Q) を含むことが安定の必要条件となる。写像された領域の境界は、z=exp[ωj] とおくと、実軸との交点は、
(25)
の解で生ずる。交点の実軸上の値は、 であり、系の特性優先度 Q は安定のための下限値を持ち、その値は
(26)
である。特別の場合、l (エル)=0 の場合は、m に依らず、1/2 < Q が安定条件である。
同報送信に情報の遅れがない場合、個体のダイナミクスの遅れに関わらず安定性が保証されることが、特徴である。
特性優先度の安定のための下限値は、以下のようになる。 (ここに l (エル)= l (エル)+m。m=m′。)
(図29 Class に基づく、安定のための特性優先度の下限値)
(安定限界)
機器のダイナミクスとしてゲインの低下につながる次数 m の増加は、結果としてループゲインを低下させるので、特性優先度の下限値は低下し、安定域は拡大する。しかし、遅れが、ダイナミクス起因か、出力の遅れなのかの識別は非常に重要で、後者であれば、上式の m=1 のカラムが示すように、安定性確保の調整に大きな影響がある。
特性優先度としては、上の表の数値では応答が振動するため、2倍以上の値をとることが推奨される。
(安定性の Class 値に基づく改善)
システムの安定化のため、ドメイン内で優先度の逆数和を「1」と規格化させたドメイン内の全個体(機器)数の設定に対して、実際の使用条件に近いインターバルで、また実際の使用条件に近い電力調整幅(Class 試験時の両振幅値) にて予め測定、表示されている Class 値に対応し、以下の数字を、同全個体(機器)数に乗じて補正する必要がある。(ここに l (エル)= l (エル)+m。m=m′。)
(図30 Class に基づく、安定化に要するドメイン個体数値に乗じられるべき数値)
ここで使用している、系の代表伝送遅れ時間、l(エル)は、「機器での出力遅れ」と、「同報系の遅れ」の双方の和であることに注意を要する。
安定性に支配的なのは、各個体のダイナミクス側次数ではなく、代表する情報伝送遅れ時間であって、保守的には、m=1 カラムで記載の下限値を参照すべきである。正しく出荷時に、Class 値が取得されていれば、表の各値の2倍以上の特性優先度を確保するべく、ドメイン内の各個体(機器)数 N を、「表の値の2倍以上」の数値を乗じた、安定化のための仮想全個体(機器)数で置き換えるべきである。
前者は、前述のように、機器の工場出荷時に計測し、表示されていることが必要である。後者には、気づきにくい遅れに起因する場合がある。伝送時間そのものに起因する要因としては、赤外線通信に要する時間や、multi hop にともなう遅れなどがあげられる。
制御のインターバルは、同報インターバルで決定される場合が多い。(稀に、間引き受信する場合などでは、この限りではない。)インターバルが長くなること自体は、制御の不安定性につながらない。前述の特性優先度の下限値は、無次元化されているためである。特性優先度の上昇は、前述のように、システム全体の応答時定数が、制御インターバルの特性優先度倍されてしまうことを意味していることに注意しなくてはならない。つまり以下に同報インターバルを短くしても、特性遅れ時間が出現すると、系の応答時定数が、インターバルの数倍−十数倍の長さに達する。
通常は、伝送時間遅れは、同報インターバルに比べて圧倒的に短く問題とはならない。しかし、HEMS 表示サーバなどで、同報をはかる場合などでは、同報される情報が、いつの時点の情報であるのかに格別の注意が必要になる。インターバルが、30分毎である場合、伝送時間は無視できるが、同報される内容が、30分前の情報であるならば、特性伝送遅れは、1インターバル存在することになるためであり、特性優先度は、前表から2倍をかける、すなわち、等価な仮想機器数を2倍することになるため、制御系の応答時定数は、1時間にもなってしまう。
特別な場合として、l (エル)が m/2 に比して十分に小さい場合は、
(27)
を安定条件として得る。
(A−15)「各個体での位相変動モデルの組込みによる動的補償法」
(各個体処理への、遅れないし出力特性の積極的な導入による安定化法)
単純化のため、1個体のみからなるシステムを考える。下記で、F(s) は、たとえば伝送遅れであるが、一般的には、任意の出力情報を操作、修飾する動的な要素であって構わない。それらには、PID 的な出力を出す要素であってよい。
(図31 Class に基づく、各個体における、モデル組み込み型の位相補償方式(離散系))
(位相変動要因の各機器での処理モデルへの組込みと安定性)
系の安定性を示す特性方程式は、
(28)
と書かれる。 変形すると
(29)
さらに、
(30)
z ドメインでの単位円の写像先を、左辺第一項による写像先に封じ込めることができる。特別な場合、同報系の遅れ次数を l(エル)とした
(31)
の伝送遅れについては、
(32)
となる。第1項は単位円を単位円上に写像するため、安定性確保に関する、特性優先度の下限値への条件は、伝送遅れがない場合に戻すことができ、応答時定数の短縮、高速化につながる。すなわち、(St/Q) < 2 が安定条件となる。
時定数は短縮化されるが、機器側で格納された遅れ情報の引き出しが行われるので、高速の応答が発揮されるまでに時間を要することに注意が必要である。
(図32 各個体における、モデル組み込み型の位相補償方式(離散系))
この機器側の処理での補償法は、機器毎に動特性が異なる、あるいは出力遅れが異なる場合には、共通に処理ができなくなるため、この例のようにきれいに一様な特性優先度下限値の改善がはかれるわけではない。
しかし、とくに個々の機器での優先度の小さい、つまり影響度の大きい機器について対応をはかることで、システム全体の安定性の改善にも効果がある。
少なくても、m′=1 の機器で構成されるシステムでは(それが極めて普通である)、全系に共通の遅れ l(エル) について、参加機器が共通に、内部でこの補償を行うことが有効である。この処理を行わせるには、同報送信機器側から、共通パラメータとして、 l(エル) を送信し、また、それを受信した機器側で、これを実行する。
(A−16)「安定性評価と安定化に関する実施、数値模擬例」
数値例を掲げる。
個体数が6個のドメインを想定し、各個体の消費電力量が初期において、下記のようであると設定する。
各個体における優先度は、ここでは、各個体において、下記のように決定されていると仮定する。
(図33 6個の個体からなるドメインの例 電力単位(W))
この例では、ドメイン全体における総電力の規制値としては、4000Wを想定している。すなわち、初期においては、200W の電力削減が必要となっている。
ドメインおいて共有するシステム感度は、ここでは、まず「1」として始める。
(図34)
優先度の逆数の総和値は、約1.4 であり(特性優先度で 0.7)、システム感度が「1」でも安定性を確保できている例となっているが、「1」を超えているため、応答は振動性を呈する例題であり、不安定に陥りやすい例となっている。
遅れが全く存在しない場合には、過渡応答は良好で、若干のオーバーシュートがありながらも、4−5秒後には制御が完了している。
(図34 遅れのない場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=0.7))
システム感度を小さくすることは、ドメイン全体の制御において、ベクトル軌跡を、単位円内にとどめる効果持ち、安定化を促進する効果がある。同じことであるが、ドメイン内での個体数あるいはドメイン内での電力調整量を拡大して、各個体での優先度を増加させることに対応する。
(図35)
次の図には、システム感度を 0.3 とした場合の、同じく遅れ系が存在しない場合の応答例を掲げている。オーバーシュートもなく、安定に推移しているが、制御の達成には、8−9秒を要している。
(図35 遅れのない場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=3.3))
(図36)
再び、システム感度を「1」に戻す。
ドメイン内への同報に時間遅れの存在する場合の例を次の図に掲げた。同報に遅れと記述しているが、実際には、全ての個体において、電力指示値へ追従させる制御に使用する、瞬時の電力消費量の計測値が、1インターバル遅れた場合に相当している。1インターバルの遅れの影響は顕著である。
遅れの影響は、この例では、各個体での追従制御性を等価的に高くとっているために、逆に顕著で、激しく振動的な応答を示している。実際には、各個体で消費する電力消費量は、上限が存在するために、発散にはいたっていないが、事実上は制御が破綻している。
(図36 同報系に1インターバルの遅れのある場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=0.7))
前述のように、最も直接的で、簡単な対処法は、システム感度の低減である。
前述のように、この 1インターバル遅れ時での、等価的な安定限界は、優先度逆数総和値で「1.0」以下 (あるいは、その逆数で言えば、「1.0」以上)であり、システム感度で調整する場合の、安定限界は、「0.7」倍で実現される。
(安定限界に対応する特性優先度は、「1.0」であり、それを実現するシステム感度は、「0.7」である。)
(図37、38)
以下の図では、システム感度を、「0.7」とした応答を示す。理論通り、「0.7」は、安定限界に対応していることがわかる。
極端な例として同報遅れが「4」の場合についても、前述の安定限界が理論通り実現できる例も掲げた。
(図37 同報系に1インターバルの遅れのある場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=1.0)安定限界の例。)
(図38 同報系に4インターバルの遅れのある場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=2.9)安定限界の例。)
(図39、40)
「0.5」、「0.3」にとった場合の応答例を掲げる。
それぞれ、安定化に大きな効果を与えているが、システム感度を 0.3 ととった場合には、前述で要請される、特性優先度をさらに2倍以上としたケースにあたり、制御は望ましい応答を示している。しかし、制御の完了には、13秒ほどを要してしまっている。
(図39 同報系に4インターバルの遅れのある場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=5.8))
(図40 同報系に4インターバルの遅れのある場合でのシステムの基本応答 (特性優先度=9.7))
(図41)
総電力量を帰還させるループに、位相補償器を導入した応答例を示す。
ドメイン内で計測される総電力量のインターバル間での変化を計測し、それに適切な係数を乗じて、総電力の不足・余剰情報に混合して同報させている。位相保障器の伝達関数は典型的には
C(s)=(1+k s)
と書かれる。
ドメイン内の機器毎の優先度が大きくばらついているため、1つの動的補償器による改善は効果的ではなく、安定性は改善されてはいるが、効果は限定的である。
(図41 同報系に位相補償要素を入れた応答例 (特性優先度=0.7))
(図42)
ドメイン内の各機器において、追従制御において、帰還・参照される瞬時の電力消費量として、各機器で格納してある1インターバル前の値を遡って用いた応答例を示す。
効果は、予想通り非常に有効であり、過去を読み出すための1インターバルを要するものの、9−10 秒ほど制御が完了している。システム感度は、「1」のままで低下させていない。
(図43)
同報遅れが、「4」の場合についても、この遡り補償での改善例を掲げた。やはり、システム感度は、「1」のままで低下させていない。
(図42 同報遅れが1インターバル時、全個体で1インターバル遡る、遅れモデル組み込み時の応答例 (特性優先度=0.7)
(図43 同報遅れが4インターバル時、全個体で4インターバル遡る、遅れモデル組み込み時の応答例 (特性優先度=0.7))
(図44)
この例では、全系への同報値の発信に時間遅れを想定した例であるため、全個体での対策が効果あげたが、実際には、遅れを生じている箇所を特定することが難しい場合も存在する。
1つの対策は、ドメインにおける主要な消費個体において、追従制御において帰還・参照される情報として、格納されている過去の情報を参照する方法が考えられる。全系での遅れを、主要個体側で補償することを試みる例である。
次の応答例では、個体−1, −6 についてのみ、この対策をとった場合の例である。たしかに安定性の改善ははかられてはいる。しかし、十分とは言えない。ここにシステム感度は、「1」のままである。
対策のあり方については、後述するように、併せてシステム感度の低減策を併用することが効果的で、応答性を維持する方法である。
(図44 同報遅れが1インタバール時、主要個体のみで1インターバル遡る、遅れモデル組み込み時の応答例 (特性優先度=0.7))
(図45)
以下の例では、ドメインにおいて同報遅れが1インターバル存在し、かつ、個体−1,−6 においては、さらに、1インターバルの機器固有の遅れを伴う場合について述べる。
誤差電力履歴は、非常に振動的で、不安定な状態におかれている。なお、ここでも、システム感度は、あえて「1」に固定したままとしている。
(図45 同報遅れが1インタバール時、2個体でさらに1インターバルの遅れのある場合での応答例 (特性優先度=0.7)不安定。)
(図46)
まず、ドメイン内の各個体で、同報遅れ分だけの、過去への遡り制御を行った場合の結果を掲げる。すなわち、個体−1, −6 で固有に発生している個体毎の遅れへの対処を行わない場合に相当している。ここにシステム感度は、「1」のままである。
効果は歴然としていて、有効である。しかし、制御は、15 秒を経てもなお完了していない。
(図46 同報遅れが1インタバール時、2個体でさらに1インターバルの遅れのある場合で、全個体で1インターバル分の遡り制御を実施した応答例 (特性優先度=0.7))
(図47)
続いて、ドメイン内の各個体で、同報分と個々での遅れ分も存在するものについて合算して対応する、遡り制御を行った場合の結果を掲げる。ここにシステム感度は、「1」のままである。
さらに効果が上がり、概ね 13秒ほどで、制御は完了していることがわかる。
(図47 同報遅れが1インタバール時、2個体でさらに1インターバルの遅れのある場合で、個体側でそれぞれの遡り制御を合算して補償した応答例 (特性優先度=0.7))
(図48)
この場合でも、究極的な安定化法は、システム感度の低減策の併用である。
まず、システム感度を 0.3 とし、遡り制御を一切行わなかった場合の応答を掲げる。
同報遅れが「1」で、仮に全機器での出力遅れが「1」の場合、安定限界に対応するシステム感度は、0.42 であり、0.3 は安定を十分にはかった例に対応している。
想定通りに、安定化へは大きな効果を呈しているが、制御の完了は、かなり先になり、長周期の振動様相が継続しており、芳しくない。
(図48 同報遅れが1インタバール時、2個体でさらに1インターバルの遅れのある場合で、個体側では補償を行わず、システム感度のみを低減した応答例 (特性優先度=2.4))
(図49)
最後の例は、システム感度の低減策と、各個体での遡り制御を併用した場合である。
安定性の改善もさることながら、応答性も改善されており、オーバーシュートもなく、13秒ほどで制御は完了していることがわかる。
最後に述べた一連の対処法は、最終の調整手段である。
正しくは、情報処理上の、総電力の計測手段及び同報手段に内在しうる遅れの排除と、各個体上での電力追従制御にて帰還・参照される瞬時電力量の計測と処理手段からの遅れ要因の排除を行うことが、優先的にとられるべき対処法である。
ここで述べる手段は、対処の徹底しえない環境にて、最終的な調整手段として採用されるべきことである。
(図49 同報遅れが1インタバール時、2個体でさらに1インターバルの遅れのある場合で、個体側でそれぞれの遡り制御を合算して補償し、かつシステム感度を低減した応答例 (特性優先度=2.4))
(B)「瞬時電力および一定区間での電力積分値である電力量に対して予見制御を導入して制御目標を非直流域で定義する手段」について。
(B−1)「瞬時電力の予見制御」
(瞬時電力に関する予見制御とオーバーシュートの回避)
各個体上では、同報される瞬時のドメイン内での総消費電力が、規制値に対してもつ不足・余剰量を参照することで、個々の個体上で投入することの可能な最大電力量を知ることができる。正確には、優先度にしたがって、余裕電力量を分け合うことで、複数の個体が同時にこの余裕電力量を消費してオーバーシュートが発生することを避ける操作が可能になる。
この方法は、一種の位相操作であって、個体上でこれから消費電力を増加させること、すなわち微分操作による位相の進みを考慮した、各個体での未来の電力消費量を用いた、未来における資源の割当てを実行していることに相当する。
実際の操作は、単純な線形の伝達関数では表現しきれないが、次のページに示すように、各個体で優先度の逆数を乗ずる比例動作(P動作)を、PD あるいは PID 動作させることで、達成されると考えてよい。
(B−2)「積分電力、デマンドへの予見制御」
積分量を制御する意味では、同報ループ内に、PID 制御補償器を導入する方策も存在する。図中の H0(s) が、それに対応する。純粋な積分保証でなくても、過去1月間の移動平均を出力させる機構であってもよく、その場合は、月間電力デマンドをフィードバックすることになる。
「デマンド」とは一定期間内での積分された電力量を示す用語であるが、それはいわば大きな時定数をもった低域通過フィルタによる出力であり、同報経路上におかれる位相変換器で得られる非直流域での制御目標値である。
制御上は、このデマンドを資源と見なした制御も可能であり、それは、前述の同報経路上で位相補償器を配する安定化手段の一部とも見なしうるが、ここではデマンドを予見制御させて、資源の割付を先行配置する制御法を提供している。先行配置の概念を、同報送信と独立分散の並列処理にて、優先度を考慮して実施する点が、本発明で提供する新たな概念である。
図中で、Hi(s) とは、線形操作で言う PID 等の位相操作、あるいは、一般的には非線形性も利用した広義の位相操作の機能を示している。
(図50 同報系と個体側双方でそれぞれの補償器を導入したシステム構成)
(B−3)「瞬時電力の予見制御の実施例」
(変電所管内での供給電流の予見制御の例)
1列車が加速と、追いノッチ、慣性運行をなどを繰り返す制御を行う場合の変電所から流れ出る電流に規制がかけられる例を掲げる。変電所からは管内の複数の列車に電流が供給される。ある列車では、運行ダイヤに則って、加速が行われるが、変電所から供給する電流に 750Aの規制が設けられた場合。この例題での列車の最大加速時の電流は、2000A であり、P 動作のみで、予見機能を導入しなければ、750A を一旦踏み越えなくては、ピークカット制御に入れない。
(図51 鉄道車輌と変電所で構成するシステムにおいて、変電所での送出電流を予見制御させてオーバーシュートの発生を抑制した制御結果の例)
列車搭載論理が、同報されてくる余裕電流の値をもとに、自己に割当てる加増電流値を逐次加えることで、オーバーシュートを避けることができている。
(B−4)「積分電力、デマンドへの予見制御の実施例」
(逸脱電力履歴の位相先行操作(ピークシフト))
いわゆる比例動作(P 動作)では、逸脱が始まってから、すなわちオーバーシュートをともなってから、電力消費の抑制制御が開始される。効果は、結果として、維持されるベキ室内あるいは冷凍ショーケース内の温度上昇という犠牲を払いながら、電力のピークカットが行われる。この方法では、室内・庫内温度が目的温度の上昇を招くうえ、大なり小なりの逸脱(オーバーシュート)は避けられない。
逸脱電力の削減を、未来の逸脱量を先行して消費することで、積分された総電力量を一定に保つこと(結果として I 動作)で、室内・庫内の温度上昇を避け、かつ電力のピークを平坦化させることができる。この操作は、広い意味での位相進み補償制御(D 動作)を行った PID 制御にあたり、その効果がもっと有効に発揮できる例である。
(バッテリー、冷凍機による、ピークシフト)
(図52 ピークを逸脱電力量を予測し、それを前置させてピークをシフトする制御の概念)
(総電力の逸脱予想量を、事前の時間帯に先行して配置する。)
(図53 ピークを逸脱電力量を予測し、それを前置させてピークをシフトする制御の概念。電力調整量の推移。)
(結果として、逸脱期間の逸脱総量を、事前に配置する電力総量置き換える。)
(図54 ピークシフト制御の結果として得られる電力履歴。)
結果として得られる、ピークカットされる電力履歴の概念。
(逸脱電力履歴の位相補償制御の意味)
冷凍機を有する室内のエアコン、あるいは冷凍ショーケースを有するシステムでは、結果として、未来の逸脱電力量を、それらによる室内、庫内の温度低減により蓄電させること対応する。バッテリーを有する場合は、未来の逸脱電力を予め、電力として蓄積することになる。実際には、バッテリーと室内・庫内温度低減の両方を組合せ、かつ、P 動作にて、天候予測誤差に起因するさらなる逸脱電力分の抑制制御を補う方法が有効である。これらが、PID 動作を組み合わせる、広義の位相補償制御達成することになる。
(図55 ピークシフト制御の結果として得られる庫内温度履歴。)
逸脱電力総量は、冷凍ショーケース庫内温度低下量として蓄積する。
(発明を実施するための形態)
「処理アルゴリズム」
非直流域での機能を発揮させるために、動的補償器を用いて、同報送信と電力消費要素である各個体側での独立分散並列処理によって、優先度を考慮した資源たる電力を割り付けるアルゴリズムを図示する。
(図56 同報送信要素および電力消費要素に位相補正等を行う動的補償を組込み実施する処理フロー)
従来知財では、同報送信要素、電力消費要素にて、直流ゲインである、P 動作だけを想定していた。
これに、動的な補償器を組込むことにより、PID 動作を含む、位相補償制御、予見制御や、ピークシフト制御など、本発明の機能を実現できる。
本図は、そのアルゴリズムを示したものである。
「想定される装置の例」
実現する装置(1a)はセンシングモジュールとも呼ばれる。
(図57 電流を測定し、位相補償器を内蔵して同報送信する装置の機能ブロック図の例)
従来知財では、同報送信要素にて生成する情報としては、直流ゲインである、P 動作だけを想定していた。これに、PID 動作を含む、位相操作などを含む動的な補償器を設けることにより、本発明を実現できる。
実現する装置(1b)は、この方式では致命的な貢献をする。
(図58 誘導電流によって駆動電力を確保する、電流を測定し、位相補償器を内蔵して同報送信する装置の機能ブロック図の例)
実現する装置(2)電力を低下させるもっとも簡単な方法は、無段階ないし間欠的の回路を遮蔽、復帰させることである。
(図59 電力消費個体において、位相補償器を内蔵し、回路を遮断してデューティを制御する装置の機能ブロック図の例)
従来知財では、電力消費要素にて、直流ゲインである、P 動作だけを想定していた。これに、PID 動作を含む、位相操作などを含む動的な補償器を設けることにより、本発明を実現できる。
実現する装置(3)では、陽には回路を遮断、復帰させるものではないが、消費電力のデューティを制御するために、インバーター駆動信号を生成させる装置も存在しうる。
(図60 電力消費個体において、位相補償器を内蔵し、回路を遮断するべくデューティを調整する信号発生機構を備えた装置の機能ブロック図の例)
同じように、電力消費要素に間欠的な開閉を行う機能を有する場合にあっても、新たに PID 動作を含む、位相操作などを含む動的な補償器を設けることにより、本発明を実現できる。
本発明は、家庭、オフィス、学校、商業施設等、電気機器又は情報伝達機器を用いる任意のシステム内で利用可能である。

Claims (44)

  1. 同報送信要素と、
    個別に優先度が与えられた1以上の電力消費要素と
    を備え、
    前記同報送信要素が、前記1以上の電力消費要素を含むグループ内で消費される総消費電力の現在値と、該総消費電力の基準値との差を測定し、該差の関数である総消費電力調整指示値を決定し、該総消費電力調整指示値を表わす該グループ内で共有すべき情報を生成し、該情報を該グループ内に同報送信し、
    前記1以上の電力消費要素が前記同報送信された前記情報を受信し、該1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた前記優先度と前記総消費電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力の更新に用いるべき消費電力更新値を、該1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定し、該消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を制御することにより、該グループ内の総消費電力を制御する
    よう構成された、電力制御システム。
  2. 前記総消費電力調整指示値はシステム感度の関数でもある、請求項1に記載の電力制御システム。
  3. 前記1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つにおいて前記優先度が動的に変更されるよう更に構成された、請求項1又は2に記載の電力制御システム。
  4. 前記システム感度は、前記総消費電力の前記現在値が該総消費電力の前記基準値よりも大きい場合と小さい場合とで異なり、該現在値が該基準値よりも大きい場合のシステム感度を、該現在値が該基準値よりも小さい場合のシステム感度よりも高くすることにより、該総消費電力の制御において該総消費電力の増加よりも削減の応答性が高くなるよう、且つ安定性を改善するよう更に構成された、請求項2に記載の電力制御システム。
  5. 前記1以上の電力消費要素の各々が消費すべき電力には上限値と下限値が設けられ、該1以上の電力消費要素の各々において行われる、前記消費電力更新値に基づいた自己の消費電力の制御が、該上限値を上回らず、且つ該下限値を下回らない消費電力範囲内で行われるよう更に構成された、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電力制御システム。
  6. 前記グループ内の総消費電力の制御を繰り返すことにより調整される該総消費電力の前記現在値の推移を前記同報送信要素又は総消費電力監視要素が監視し、
    前記総消費電力の前記現在値と前記基準値との差の、前記制御がk回繰り返された時点の値をxkとし(kは0以上の整数)、該制御がk+1回繰り返された時点の値をxk+1としたときに
    によって与えられる等価推移比率Ck,eqを前記同報送信要素又は総消費電力監視要素が推定し、該等価推移比率Ck,eqの推定値を用いて前記電力制御システムの健全性を評価するよう更に構成された、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電力制御システム。
  7. 前記同報送信要素が更に、少なくとも1つの副制約積算消費電力調整指示値を算出し、該副制約積算消費電力調整指示値を表わす少なくとも1つの副制約情報を前記グループ内に同報送信し、
    前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信された前記副制約情報を更に受信し、
    前記1以上の電力消費要素のうち、前記副制約情報に基づく制御の対象となる電力消費要素が更に、自己に与えられた前記優先度と前記副制約積算消費電力調整指示値とを用いた演算により副制約消費電力更新値を決定し、該副制約消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を更に制御する
    よう構成された、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電力制御システム。
  8. 前記同報送信に加えて、前記同報送信要素と前記1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つとの間の双方向通信が可能であるよう更に構成された、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電力制御システム。
  9. 上位階層優先度が与えられた、同報送信要素と、
    個別に下位階層優先度が与えられた1以上の電力消費要素と
    を備え、
    前記同報送信要素は、
    上位階層同報送信要素から同報送信される、上位階層総消費電力調整指示値を表わす上位階層情報を受信するよう構成されるとともに、
    前記1以上の電力消費要素を含む下位階層グループ内で消費される下位階層総消費電力を測定し、該下位階層総消費電力と、前記上位階層優先度と、前記上位階層総消費電力調整指示値とを用いた演算により、該下位階層総消費電力の更新に用いるべき、下位階層総消費電力調整指示値を決定し、該下位階層総消費電力調整指示値を表わす該下位階層グループ内で共有すべき下位階層情報を生成し、該下位階層情報を該下位階層グループ内に同報送信するよう構成され、
    前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信要素から同報送信された前記下位階層情報を受信するよう構成され、
    前記1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた前記下位階層優先度と前記下位階層総消費電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力の更新に用いるべき消費電力更新値を、該1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定し、該消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を制御することにより、前記下位階層グループ内の総消費電力を制御するよう構成された
    電力制御システム。
  10. 前記下位階層総消費電力調整指示値は下位階層システム感度の関数でもある、請求項9に記載の電力制御システム。
  11. 前記上位階層優先度が動的に変更されるよう更に構成された、請求項9又は10に記載の電力制御システム。
  12. 前記下位階層総消費電力調整指示値が下位階層グループ内の総消費電力の削減を指示する値である場合には、増加を指示する値である場合より前記下位階層システム感度を高くすることにより、該総消費電力の制御において該総消費電力の増加よりも削減の応答性が高くなるよう、且つ安定性を改善するよう更に構成された、請求項10に記載の電力制御システム。
  13. 前記下位階層グループ内で消費すべき総消費電力には上限値と下限値が設けられ、前記同報送信要素において行われる前記下位階層総消費電力調整指示値の決定は、更新後の該下位階層グループ内の総消費電力が該上限値を上回らず、且つ該下限値を下回らないと該同報送信要素が判断した範囲で行われるよう更に構成された、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の電力制御システム。
  14. 前記下位階層グループ内の総消費電力の制御を繰り返すことにより調整される該総消費電力の現在値の推移を前記同報送信要素又は総消費電力監視要素が監視し、
    前記総消費電力の前記現在値と基準値との差の、前記制御がk回繰り返された時点の値をxkとし(kは0以上の整数)、該制御がk+1回繰り返された時点の値をxk+1としたときに
    によって与えられる等価推移比率Ck,eqを前記同報送信要素又は総消費電力監視要素が推定し、該等価推移比率Ck,eqの推定値を用いて前記電力制御システムの健全性を評価するよう更に構成された、請求項9乃至13のいずれか一項に記載の電力制御システム。
  15. 前記同報送信要素が更に、少なくとも1つの副制約積算消費電力調整指示値を算出し、該副制約積算消費電力調整指示値を表わす少なくとも1つの副制約情報を前記下位階層グループ内に同報送信し、
    前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信された前記副制約情報を更に受信し、
    前記1以上の電力消費要素のうち、前記副制約情報に基づく制御の対象となる電力消費要素が更に、自己に与えられた前記下位階層優先度と前記副制約積算消費電力調整指示値とを用いた演算により副制約消費電力更新値を決定し、該副制約消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を更に制御する
    よう構成された、請求項9乃至14のいずれか一項に記載の電力制御システム。
  16. 前記同報送信に加えて、前記同報送信要素と前記1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つとの間の双方向通信が可能であるよう更に構成された、請求項9乃至15のいずれか一項に記載の電力制御システム。
  17. 前記1以上の電力消費要素は、特定の住戸、オフィス、建物、地域に属する1以上の電力消費機器、又は、特定の住戸、オフィス、建物、地域の集合体に属する複数の電力消費機器の集合体である、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の電力制御システム。
  18. 前記1以上の電力消費要素は、移動体又は移動体の集合体である、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の電力制御システム。
  19. 同報送信要素と、
    個別に優先度が与えられた1以上の情報伝達要素と
    を備え、
    前記同報送信要素が、前記1以上の情報伝達要素を含むグループ内で占有される総情報伝達能力の現在値と、該総情報伝達能力の基準値との差を測定し、該差の関数である総情報伝達能力調整指示値を決定し、該総情報伝達能力調整指示値を表わす該グループ内で共有すべき情報を生成し、該情報を該グループ内に同報送信し、
    前記1以上の情報伝達要素が前記同報送信された前記情報を受信し、該1以上の情報伝達要素の各々が、自己に与えられた前記優先度と前記総情報伝達能力調整指示値とを用いた演算により、自己の情報伝達能力の更新に用いるべき情報伝達能力更新値を、該1以上の情報伝達要素のうち自己以外の情報伝達要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定し、該情報伝達能力更新値に基づいて自己の情報伝達能力を制御することにより、該グループ内の総情報伝達能力を制御する
    よう構成された、情報伝達能力制御システム。
  20. 前記同報送信要素が通信サーバーであり、前記情報伝達要素がクライアントマシンであり、前記情報伝達能力が通信速度である、請求項19に記載の情報伝達能力制御システム。
  21. 同報送信要素が、個別に優先度が与えられた1以上の電力消費要素を含むグループ内で消費される総消費電力の現在値と、該総消費電力の基準値との差を測定する段階と、
    前記同報送信要素が、前記差の関数である総消費電力調整指示値を決定し、該総消費電力調整指示値を表わす前記グループ内で共有すべき情報を生成する段階と、
    前記同報送信要素が、前記情報を前記グループ内に同報送信する段階と、
    前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信された前記情報を受信する段階と、
    前記1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた前記優先度と前記総消費電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力の更新に用いるべき消費電力更新値を、該1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定する段階と、
    前記1以上の電力消費要素の各々が、前記消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を制御することにより、前記グループ内の総消費電力を制御する段階と
    を備えた電力制御方法。
  22. 前記同報送信要素による前記総消費電力調整指示値の決定は、前記差に加えてシステム感度の関数として該総消費電力調整指示値を決定することにより行われる、請求項21に記載の電力制御方法。
  23. 前記1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つにおいて前記優先度を動的に変更する段階を更に備えた、請求項21又は22に記載の電力制御方法。
  24. 前記システム感度は、前記総消費電力の前記現在値が該総消費電力の前記基準値よりも大きい場合と小さい場合とで異なり、該現在値が該基準値よりも大きい場合のシステム感度を、該現在値が該基準値よりも小さい場合のシステム感度よりも高くすることにより、該総消費電力の制御において該総消費電力の増加よりも削減の応答性が高くなるよう、且つ安定性を改善するよう更に構成された、請求項22に記載の電力制御方法。
  25. 前記1以上の電力消費要素の各々が消費すべき電力には上限値と下限値が設けられ、該1以上の電力消費要素の各々において行われる、前記消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を制御する前記段階が、該上限値を上回らず、且つ該下限値を下回らない消費電力範囲内で行われるよう更に構成された、請求項21乃至24のいずれか一項に記載の電力制御方法。
  26. 前記グループ内の総消費電力の制御を繰り返すことにより調整される該総消費電力の前記現在値の推移を前記同報送信要素又は総消費電力監視要素が監視する段階と、
    前記総消費電力の前記現在値と前記基準値との差の、前記制御がk回繰り返された時点の値をxkとし(kは0以上の整数)、該制御がk+1回繰り返された時点の値をxk+1としたときに
    によって与えられる等価推移比率Ck,eqを前記同報送信要素又は総消費電力監視要素が推定し、該等価推移比率Ck,eqの推定値を用いて前記電力制御方法の健全性を評価する段階と
    を更に備えた、請求項21乃至25のいずれか一項に記載の電力制御方法。
  27. 前記同報送信要素が更に、少なくとも1つの副制約積算消費電力調整指示値を算出する段階と、該副制約積算消費電力調整指示値を表わす少なくとも1つの副制約情報を前記グループ内に同報送信する段階と、
    前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信された前記副制約情報を更に受信する段階と、
    前記1以上の電力消費要素のうち、前記副制約情報に基づく制御の対象となる電力消費要素が更に、自己に与えられた前記優先度と前記副制約積算消費電力調整指示値とを用いた演算により副制約消費電力更新値を決定し、該副制約消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を更に制御する段階と
    を更に備えた、請求項21乃至26のいずれか一項に記載の電力制御方法。
  28. 前記同報送信に加えて、前記同報送信要素と前記1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つとの間で双方向通信する段階を更に備えた、請求項21乃至27のいずれか一項に記載の電力制御方法。
  29. 上位階層優先度が与えられた同報送信要素が、上位階層同報送信要素から同報送信される、上位階層総消費電力調整指示値を表わす上位階層情報を受信する段階と、
    前記同報送信要素が、個別に下位階層優先度が与えられた1以上の電力消費要素を含む下位階層グループ内で消費される下位階層総消費電力を測定する段階と、
    前記同報送信要素が、前記下位階層総消費電力と、前記上位階層優先度と、前記上位階層総消費電力調整指示値とを用いた演算により、前記下位階層総消費電力の更新に用いるべき、下位階層総消費電力調整指示値を決定し、該下位階層総消費電力調整指示値を表わす該下位階層グループ内で共有すべき下位階層情報を生成する段階と、
    前記同報送信要素が、前記下位階層情報を前記下位階層グループ内に同報送信する段階と、
    前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信要素から同報送信された前記下位階層情報を受信する段階と、
    前記1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた前記下位階層優先度と前記下位階層総消費電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力の更新に用いるべき消費電力更新値を、該1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定する段階と、
    前記1以上の電力消費要素の各々が、前記消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を制御することにより、前記下位階層グループ内の総消費電力を制御する段階と
    を備えた電力制御方法。
  30. 前記同報送信要素による前記下位階層総消費電力調整指示値の決定は、前記下位階層総消費電力と、前記上位階層優先度と、前記上位階層総消費電力調整指示値とに加えて下位階層システム感度も用いた演算により該下位階層総消費電力調整指示値を決定することにより行われる、請求項29に記載の電力制御方法。
  31. 前記上位階層優先度を動的に変更する段階を更に備えた、請求項29又は30に記載の電力制御方法。
  32. 前記下位階層総消費電力調整指示値が下位階層グループ内の総消費電力の削減を指示する値である場合には、増加を指示する値である場合より前記下位階層システム感度を高くすることにより、該総消費電力の制御において該総消費電力の増加よりも削減の応答性が高くなるよう、且つ安定性を改善するよう更に構成された、請求項30に記載の電力制御方法。
  33. 前記下位階層グループ内で消費すべき総消費電力には上限値と下限値が設けられ、前記同報送信要素において行われる前記下位階層総消費電力調整指示値の決定は、更新後の該下位階層グループ内の総消費電力が該上限値を上回らず、且つ該下限値を下回らないと該同報送信要素が判断した範囲で行われるよう更に構成された、請求項29乃至32のいずれか一項に記載の電力制御方法。
  34. 前記下位階層グループ内の総消費電力の制御を繰り返すことにより調整される該総消費電力の現在値の推移を前記同報送信要素又は総消費電力監視要素が監視する段階と、
    前記総消費電力の前記現在値と基準値との差の、前記制御がk回繰り返された時点の値をxkとし(kは0以上の整数)、該制御がk+1回繰り返された時点の値をxk+1としたときに
    によって与えられる等価推移比率Ck,eqを前記同報送信要素又は総消費電力監視要素が推定し、該等価推移比率Ck,eqの推定値を用いて前記電力制御方法の健全性を評価する段階と
    を更に備えた、請求項29乃至33のいずれか一項に記載の電力制御方法。
  35. 前記同報送信要素が更に、少なくとも1つの副制約積算消費電力調整指示値を算出する段階と、該副制約積算消費電力調整指示値を表わす少なくとも1つの副制約情報を前記下位階層グループ内に同報送信する段階と、
    前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信された前記副制約情報を更に受信する段階と、
    前記1以上の電力消費要素のうち、前記副制約情報に基づく制御の対象となる電力消費要素が更に、自己に与えられた前記下位階層優先度と前記副制約積算消費電力調整指示値とを用いた演算により副制約消費電力更新値を決定し、該副制約消費電力更新値に基づいて自己の消費電力を更に制御する段階と
    を更に備えた、請求項29乃至34のいずれか一項に記載の電力制御方法。
  36. 前記同報送信に加えて、前記同報送信要素と前記1以上の電力消費要素のうち少なくとも1つとの間で双方向通信する段階を更に備えた、請求項29乃至35のいずれか一項に記載の電力制御方法。
  37. 前記1以上の電力消費要素は、特定の住戸、オフィス、建物、地域に属する1以上の電力消費機器、又は、特定の住戸、オフィス、建物、地域の集合体に属する複数の電力消費機器の集合体である、請求項21乃至36のいずれか一項に記載の電力制御方法。
  38. 前記1以上の電力消費要素は、移動体又は移動体の集合体である、請求項21乃至37のいずれか一項に記載の電力制御方法。
  39. 同報送信要素が、個別に優先度が与えられた1以上の情報伝達要素を含むグループ内で占有される総情報伝達能力の現在値と、該総情報伝達能力の基準値との差を測定する段階と、
    前記同報送信要素が、前記差の関数である総情報伝達能力調整指示値を決定し、該総情報伝達能力調整指示値を表わす前記グループ内で共有すべき情報を生成する段階と、
    前記同報送信要素が、前記情報を前記グループ内に同報送信する段階と、
    前記1以上の情報伝達要素が、前記同報送信された前記情報を受信する段階と、
    前記1以上の情報伝達要素の各々が、自己に与えられた前記優先度と前記総情報伝達能力調整指示値とを用いた演算により、自己の情報伝達能力の更新に用いるべき情報伝達能力更新値を、該1以上の情報伝達要素のうち自己以外の情報伝達要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定する段階と、
    前記1以上の情報伝達要素の各々が、前記情報伝達能力更新値に基づいて自己の情報伝達能力を制御することにより、前記グループ内の総情報伝達能力を制御する段階と
    を備えた情報伝達能力制御方法。
  40. 前記同報送信要素が通信サーバーであり、前記情報伝達要素がクライアントマシンであり、前記情報伝達能力が通信速度である、請求項39に記載の情報伝達能力制御方法。
  41. 同報送信要素と、
    電力を直接に消費する、ないしは電力の供給を開閉する機能を備え、個別に優先度が与えられた1以上の電力消費要素と
    を備え、
    前記同報送信要素が、前記1以上の電力消費要素を含むグループ内で消費される総消費電力あるいは電力供給状態を示す多変量としての現在値と、該総消費電力あるいは電力供給状態を示す多変量としての基準値との差を測定し、該差の関数である一般には多変量の電力調整指示値を決定し、あるいは該電力調整指示値を他の要素から受領し、該電力調整指示値を表わす該グループ内で共有すべき一般には多変量の情報を生成し、該情報を該グループ内に同報送信し、
    前記1以上の電力消費要素が前記同報送信された前記情報を受信し、該1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた前記優先度と前記電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力ないしは開閉電力の更新に用いるべき該電力更新値を、該1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定し、該電力更新値に基づいて自己の消費電力ないしは開閉電力を制御することにより、該グループ内の総消費電力あるいは電力供給状態を制御する
    よう構成された、電力制御システム。
  42. 上位階層優先度が与えられた、同報送信要素と、
    電力を直接に消費する、ないしは電力の供給を開閉する機能を備え、個別に下位階層優先度が与えられた1以上の電力消費要素と
    を備え、
    前記同報送信要素は、上位階層同報送信要素から同報送信される、上位階層における、総消費電力ないしは電力供給状態から演算される、一般には多変量の電力調整指示値を表わす上位階層情報を受信するよう構成されるとともに、
    前記1以上の電力消費要素を含む下位階層グループ内で消費される下位階層総消費電力ないしは電力供給状態を測定し、該下位階層総消費電力ないしは電力供給状態と、前記上位階層優先度と、前記上位階層電力調整指示値とを用いた演算により、該下位階層総消費電力ないしは電力供給状態の更新に用いるべき、一般には多変量の下位階層電力調整指示値を決定し、あるいは該下位階層電力調整指示値を他の要素から受領し、該下位階層電力調整指示値を表わす該下位階層グループ内で共有すべき下位階層情報を生成し、該下位階層情報を該下位階層グループ内に同報送信するよう構成され、
    前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信要素から同報送信された前記下位階層情報を受信するよう構成され、
    前記1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた前記下位階層優先度と前記下位階層電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力ないしは電力供給状態の更新に用いるべき該電力更新値を、該1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定し、該電力更新値に基づいて自己の消費電力ないし開閉電力を制御することにより、前記下位階層グループ内の総消費電力ないしは電力供給状態を制御するよう
    構成された、電力制御システム。
  43. 同報送信要素が、電力を直接に消費する、ないしは電力の供給を開閉する機能を備え、個別に優先度が与えられた1以上の電力消費要素を含むグループ内で消費される総消費電力あるいは電力供給状態を示す多変量としての現在値と、該総消費電力あるいは電力供給状態を示す多変量としての基準値との差を測定し、該差の関数である一般には多変量の電力調整指示値を決定し、あるいは該電力調整指示値を他の要素から受領し、該電力調整指示値を表わす該グループ内で共有すべき一般には多変量の情報を生成し、該情報を該グループ内に同報送信し、
    前記1以上の電力消費要素が前記同報送信された前記情報を受信し、該1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた前記優先度と前記電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力ないしは開閉電力の更新に用いるべき該電力更新値を、該1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定し、該電力更新値に基づいて自己の消費電力ないしは開閉電力を制御することにより、該グループ内の総消費電力あるいは電力供給状態を制御する
    よう構成された、電力制御方法。
  44. 上位階層優先度が与えられた同報送信要素が、上位階層同報送信要素から同報送信される、上位階層における、総消費電力ないしは電力供給状態から演算される、一般には多変量の電力調整指示値を表わす上位階層情報を受信するとともに、
    電力を直接に消費する、ないしは電力の供給を開閉する機能を備え、個別に下位階層優先度が与えられた1以上の電力消費要素を含む下位階層グループ内で消費される下位階層総消費電力ないしは電力供給状態を測定し、該下位階層総消費電力ないしは電力供給状態と、前記上位階層優先度と、前記上位階層電力調整指示値とを用いた演算により、該下位階層総消費電力ないしは電力供給状態の更新に用いるべき、一般には多変量の下位階層電力調整指示値を決定し、あるいは該下位階層電力調整指示値を他の要素から受領し、該下位階層電力調整指示値を表わす該下位階層グループ内で共有すべき下位階層情報を生成し、該下位階層情報を該下位階層グループ内に同報送信し、
    前記1以上の電力消費要素が、前記同報送信要素から同報送信された前記下位階層情報を受信し、
    前記1以上の電力消費要素の各々が、自己に与えられた前記下位階層優先度と前記下位階層電力調整指示値とを用いた演算により、自己の消費電力ないしは電力供給状態の更新に用いるべき該電力更新値を、該1以上の電力消費要素のうち自己以外の電力消費要素及び前記同報送信要素から独立して並列に決定し、該電力更新値に基づいて自己の消費電力ないし開閉電力を制御することにより、前記下位階層グループ内の総消費電力ないしは電力供給状態を制御する
    よう構成された、電力制御方法。
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