JP2004221710A - 無線lanシステム、および無線lanシステムの通信制御方法 - Google Patents
無線lanシステム、および無線lanシステムの通信制御方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】複数の周波数帯を利用し伝送容量を増すとともに、各クライアントが伝播条件の違いや無線LANシステムの運用条件の違いに対応して伝送速度を設定できることが可能な無線LANシステムを提供する。
【解決手段】アクセスポイント1は、各々のクライアント2(#1〜#n)との間で第1および第2の周波数帯で通信可能な伝送速度を測定する試験信号の送受信を行って通信管理テーブル5に記録した伝送速度表と、同じく通信管理テーブル5に記録されている各クライアント2(#1〜#n)の伝送速度を設定した伝送設定モード表、および伝送モード選択表とを比較・参照して、各クライアント2(#1〜#n)との間の伝送速度の設定を変更する。
【選択図】 図2
【解決手段】アクセスポイント1は、各々のクライアント2(#1〜#n)との間で第1および第2の周波数帯で通信可能な伝送速度を測定する試験信号の送受信を行って通信管理テーブル5に記録した伝送速度表と、同じく通信管理テーブル5に記録されている各クライアント2(#1〜#n)の伝送速度を設定した伝送設定モード表、および伝送モード選択表とを比較・参照して、各クライアント2(#1〜#n)との間の伝送速度の設定を変更する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線LANシステム、および無線LANシステムの通信制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インターネットの利用が進むに従い、利用者に高速のアクセス回線を提供する手段として、ケーブルを敷設する必要が無い利点を生かし、高速のアクセス回線として無線LANが採用されている。しかし、無線LANが使用できる周波数の帯域には制限があり、多くの無線LAN端末が同時に無線LANにアクセスすると、スループットが低下する。そこで無線LANを一つの周波数帯で運用すると周波数帯域が不足するため、新たな周波数帯を追加して運用する検討が行なわれている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この無線LANでは、同一エリヤ内で同時に設定可能なチャンネル数を増加させることを目的にしており、第1の周波数および第2の周波数の各周波数帯の各チャネルに試験電波を送信し、受信電力等を測定した結果から、妨害の少ないチャネルを選び出して通信チャネルに設定している。
【0004】
この無線LANでは、2つの異なる周波数帯で妨害に強く、通信可能チャネル数を増大出来るが、各無線LAN端末におけるスループットの確保には対応出来ない問題があった。
【0005】
また、他の従来技術として、2つの周波数帯に対応可能な無線LANがあるが、同時に2つの周波数を利用するのではなくいずれか一方の周波数を選択して通信するものであって、無線LAN端末毎にそれぞれの周波数帯での伝送速度設定ができない(例えば、非特許文献1参照。)。
【0006】
このように、これまでの無線LANでは、各無線LAN端末で得られるスループットの設定が困難で、無線LAN端末毎に伝播条件の違い等に対応して周波数帯や伝送速度を設定したり、無線LANの運用条件に対応して伝送速度が設定できる通信サービスを提供できない問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−33713号公報 (第9頁、第4図)
【0008】
【非特許文献1】
日経コミュニケーション2002年7月15日号,p77−79
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の無線LANシステムでは、無線LAN端末(以下クライアントと呼ぶ)の増加に対し、複数の周波数帯を利用し、伝送容量不足の解消を図ることが考えられているが、無線LAN端末毎に伝播条件の違いや無線LANの運用条件に対応して周波数帯および伝送速度を設定できない問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、複数の周波数帯を利用し伝送容量を増すとともに、各クライアントが伝播条件の違いや無線LANシステムの運用条件の違いに対応して伝送速度を設定できることが可能な無線LANシステムおよびその通信制御方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の無線LANシステムは、1つ又は複数の端末機器と接続されている複数のクライアントと、このクライアントと第1の周波数帯および第2の周波数帯のいずれかの伝送速度に従い無線LAN通信を行うアクセスポイントとで構成される無線LANシステムにおいて、前記アクセスポイントから前記複数のクライアントを順次指定して、前記第1および第2の周波数帯の複数の伝送速度の中から当該クライアントと通信可能な伝送速度を試験する手段と、前記試験手段によって得られた伝送速度から前記複数のクライアント毎の伝送速度を設定してメモリに記憶する手段と、前記メモリに記憶された前記複数のクライアント毎の伝送速度から同じ周波数帯を共用する時の実効伝送速度を算出する手段と、前記実効伝送速度の最大値と前記設定された伝送速度の最小値の差が予め設定された値以上の場合、当該最大値の実効伝送速度を持つクライアントに設定されている前記伝送速度を一段低い伝送速度に再設定する手段と
を具備することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の無線LANシステムは、1つ又は複数の端末機器と接続されている複数のクライアントと、このクライアントと第1の周波数帯および第2の周波数帯のいずれかの伝送速度に従い無線LAN通信を行うアクセスポイントとで構成される無線LANシステムにおいて、前記アクセスポイントから前記複数のクライアントを順次指定して、前記第1および第2の周波数帯の複数の伝送速度の中から当該クライアントと通信可能な伝送速度を試験する手段と、前記試験手段によって得られた伝送速度から前記複数のクライアント毎の第1の伝送速度を設定する設定手段と、特定のクライアントの伝送速度を速い伝送速度に設定し、他のクライアントの伝送速度を低い伝送速度に設定した第2の伝送速度、および前記第1の伝送速度が前記複数のクライアントに対応して記憶される記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記第1の伝送速度または前記第2の伝送速度を用いて前記アクセスポイントと前記複数のクライアントのデータ通信を行う手段とを
具備することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の無線LANシステムの通信制御方法は、1つ又は複数の端末機器と接続されている複数のクライアントと、このクライアントと第1の周波数帯および第2の周波数帯のいずれかの伝送速度に従い無線LAN通信を行うアクセスポイントとで構成される無線LANシステムの通信制御方法において、前記アクセスポイントから前記複数のクライアントを順次指定して、前記第1および第2の周波数帯の複数の伝送速度の中から当該クライアントと通信可能な伝送速度を試験し、この試験によって得られた伝送速度から前記複数のクライアント毎の伝送速度を設定してメモリに記憶し、前記メモリに記憶された前記複数のクライアント毎の伝送速度から同じ周波数帯を共用する時の実効伝送速度を算出し、前記実効伝送速度の最大値と前記設定された伝送速度の最小値の差が予め設定された値以上の場合、当該最大値の実効伝送速度を持つクライアントに設定されている前記伝送速度を一段低い伝送速度に再設定することを特徴とする。
【0014】
そして更に、本発明の無線LANシステムの通信制御方法は、1つ又は複数の端末機器と接続されている複数のクライアントと、このクライアントと第1の周波数帯および第2の周波数帯のいずれかの伝送速度に従い無線LAN通信を行うアクセスポイントとで構成される無線LANシステムの通信制御方法において、前記アクセスポイントから前記複数のクライアントを順次指定して、前記第1および第2の周波数帯の複数の伝送速度の中から当該クライアントと通信可能な伝送速度を試験し、この試験によって得られた伝送速度から前記複数のクライアント毎の第1の伝送速度を設定し、特定のクライアントの伝送速度を速い伝送速度に設定し、他のクライアントの伝送速度を低い伝送速度に設定した第2の伝送速度、および前記第1の伝送速度が前記複数のクライアントに対応してメモリに記憶し、前記メモリに記憶された前記第1の伝送速度または前記第2の伝送速度を用いて前記アクセスポイントと前記複数のクライアントのデータ通信を行うことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の無線LANシステムの実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1において、無線LANシステムは、特定のエリヤに設置され、アクセスポイント1、クライアント2(#1〜#n)およびクライアント2(#1〜#n)に接続される端末機器等4(#1〜#m)を具備し、アクセスポイント1は、ネットワーク3と接続している。複数のクライアント2(#1〜#n)は、自分に接続されている端末機器等4(#1〜#m)との間でデータの送受信を行ない、更にそのデータを無線通信により、アクセスポイント1との間で送受信している。ただし、クライアント2には複数の端末機器等4が接続可能である。
【0018】
また、本発明の無線LANシステムでは、アクセスポイント1とクライアント2との間の通信を監視してトラフィックの測定を行うように設定されている。このトラフィック測定は、アクセスポイント1自身が測定する。アクセスポイント1の負荷を軽減したい場合には、独立した装置の網監視制御装置6をネットワーク3、又はアクセスポイント1、または、クライアント2に接続して、この網監視制御装置6を用いて測定する方法もある。
【0019】
ネットワーク3は、例えば、有線のLANが使用される。アクセスポイント1は、ネットワーク3に接続される装置(端末機器又はホストコンピュータ等)と複数のクライアント2(#1〜#n)との間のデータを仲介するブリッジとして機能している。
【0020】
クライアント2(例えば#1)に接続されている端末機器等4(#1)とクライアント2(例えば#n)に接続されている端末機器等4(#m)とはアクセスポイント1を介して相互にデータを送受信する。また、端末機器4(#1〜#m)は、アクセスポイント1からネットワーク3を介してホストコンピュータ、サーバ、他の端末機器等との間でデータを送受信する。
【0021】
本発明の無線LANシステムでは、伝送容量を増す為にアクセスポイント1が各クライアント2(#1〜#n)と無線で通信する無線周波数は、例えば第1の周波数帯と第2の周波数帯のように複数の周波数帯を使用する。
【0022】
そして、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)間の周波数帯は、アクセスポイント1の指定に従って、例えば、アクセスポイント1とクライアント2(#1)では第1の周波数帯を使うように設定され、またアクセスポイント1とクライアント2(#n)では第2の周波数帯を使うようにそれぞれ設定される。
【0023】
第1、第2の周波数帯それぞれにおいては、これらの周波数帯の搬送波は変調されるが、変調方式により変調速度、即ち伝送速度が決まる。
【0024】
そして、その変調可能な最高速度は、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)それぞれの通信(即ち、電波伝播)区間における伝播距離、反射、遮蔽等の電波伝播条件に伴って変化する受信電力強度、無線通信の相互干渉や妨害の有無による誤り発生等により、性能限界(即ち、伝送可能最高速度)が左右されるので、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)それぞれの伝送速度は異なることが多い。
【0025】
従って、様々な電波伝播条件に対応し得るようにデータを伝送するための伝送速度は、第1、第2の周波数帯それぞれに対応して、幾つかの伝送速度が段階的に予め設定されている。そして、その伝送速度は、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)のそれぞれのコネクション(接続条件)毎に、例えば伝送速度を決めるための試験信号の送受信結果、もしくは初期設定等の手段により上述の段階的に設定された伝送速度から選択される。
【0026】
図2は、本発明のアクセスポイント1の構成を示すブロック図で、アクセスポイント1は、第1の周波数帯に対する無線送受信部TRX1、第2の周波数帯に対する無線送受信部TRX2、通信制御部CC1、通信管理テーブル5、MAC(メディア アクセス 制御)部MC1、ネットワークインタフェースIF1から構成されている。
【0027】
また、図3は、本発明のクライアント2の構成を示すブロック図で、クライアント2は、第1の周波数帯に対する無線送受信部TRX3、第2の周波数帯に対する無線送受信部TRX4、通信制御部CC2、MAC(メディア アクセス 制御)部MC2、端末インタフェースIF2から構成されている。
【0028】
図4は、IEEE802.11a、およびIEEE802.11bの標準を例にとって2つの周波数帯に対応して設定されている伝送速度を表にした図である。この伝送速度の表は、アクセスポイント1の通信管理テーブル5に周波数帯・伝送速度設定表5aとして記録される。
【0029】
ここでは、説明の便宜上2つの周波数帯を使用する例を説明するが、2つの周波数帯だけでなく、更に第3の周波数帯が追加される場合においても、方法、手順は同様である。
【0030】
図4において、第1の周波数帯はIEEE802.11b標準の2.4GHz帯に相当し、伝送速度は、11Mbpsが最高で、以下、5.5Mbps、2Mbps、1Mbpsと次第に伝送速度が下がる設定値となっている。また第2の周波数帯は、IEEE802.11a標準の5GHz帯に相当し、同様に伝送速度が、最高54Mbpsから最低6Mbpsまで8つの段階に設定されている。
【0031】
この伝送速度の設定においては、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)の間の電波伝播条件が悪い程、低い伝送速度に設定されるとしている。
【0032】
以下、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)のそれぞれの動作を説明し、次に周波数帯と伝送速度を決定する通信制御方法について説明を行う。
【0033】
図5は、IEEE802.11aおよびIEEE802.11bの標準を例に、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)との間で送受信されるパケットの構成を説明した図である。
【0034】
アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)との間は、図5のパケットデータに構成して試験信号もしくはメッセージ信号の送受信を行う。
【0035】
無線LANで送受信されるパケットデータ(試験信号もしくはメッセージ信号)は、受信側で同期を取るためのPLCPプリアンブル(100バイト程度)、物理層の動作を規定するパラメータを記述したPLCPヘッダ(24バイト)、MAC(Media Access Control)メディア層の制御パラメータを記述したMACヘッダ(24〜30バイト)、メッセージデータ本体を搭載するデータフレーム(0〜2312バイト)、誤り制御のためのFCS(Frame Check Scequence)フレーム(4バイト)等からなる。
【0036】
PLCPヘッダは更にSYNC(16バイト),SFD(2バイト),シグナル(1バイト)、サービス(1バイト)、フレーム長(2バイト)、CRC(2バイト)の各フィールドで構成される。
【0037】
PLCPプリアンブル、およびPLCPヘッダは、使用する周波数帯での最低の伝送速度(例えば、第1の周波数帯では1Mbps)で送信され、PLCPヘッダのシグナルフィールドに、MACヘッダおよびデータフレームの伝送速度が記述されている。
【0038】
従って、試験信号や、メッセージ信号を受信したアクセスポイント1もしくはクライアント2は、このシグナルフィールドで指定された伝送速度でMACヘッダとデータのフレームを復調することが出来る。
【0039】
図6は、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)の間で可能な最高伝送速度の測定を行う試験信号を送受信する基本手順を示したフローチャートである。
【0040】
最初にその概念を述べると、無線LANシステムは、システム起動時(アクセスポイント1の電源が投入されると)、まず、全てのクライアント2(#1〜#n)との間で通信を行うための伝送速度を決定するため、アクセスポイント1からクライアント2(#1〜#n)へ試験信号を順番に従って送信する。
【0041】
即ち、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)との間で試験信号が送受信されることによって、アクセスポイント1では各クライアント2(#1〜#n)との間でそれぞれの周波数帯における可能な最高の伝送速度が測定され、その結果がアクセスポイント1の通信管理テーブル5に測定データとして記録される。
【0042】
そして、アクセスポイント1は、この通信管理テーブル5の測定データと、同じく通信管理テーブル5に記録されている速度設定データ、周波数・伝送速度設定表5aの関係を参照して、各クライアント2(#1〜#n)との通信に用いる周波数帯と伝送速度を選定する。
【0043】
以下に、図6を参照して、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)の機器動作と伝送速度の測定手順を説明する。
【0044】
アクセスポイント1では、電源投入後に動作可能状態になると、まず通信制御部CC1は、クライアント2(#1〜#n)に対する試験信号を作成する。
【0045】
即ち、アクセスポイント1の通信制御部CC1は、MAC部MC1と無線送受信部TRX1に制御信号を送り、最初の送信先のアドレスとしてクライアント2(#1)を設定し(図6のステップs11)、周波数帯として第1の周波数帯を設定し(図6のステップs12)、次に伝送速度を第1の周波数帯の最高伝送速度(11Mbps)に設定(図6のステップs13)する制御を行う。また、通信制御部CC1は、テストパタン信号を送信する制御信号をMAC部MC1に送信する。
【0046】
これを受けてMAC部MC1は、クライアント2(#1)への試験信号としてPLCPヘッダの“シグナル”フィールドに伝送速度「11Mbps」の設定とMACヘッダに「試験信号」と送信先クライアント2(#1)のアドレスの設定を行う。また、データフレームにメッセージの代わりに、誤り測定の為のテストパタン信号(試験データ)を搭載した試験信号を作成して無線送受信部TRX1に出力する。
【0047】
アクセスポイント1の無線送受信部TRX1は、通信制御部CC1から送信指示の制御信号を受け取り、且つMAC部CC1から上記の試験信号(パケットデータ)を受け取ると、第1の周波数帯の最高伝送速度(11Mbps)で試験信号の電波をアンテナから各クライアント2(#1〜#n)に送信する(図6のステップs14)。そして、通信制御部CC1は、クライアント2(#1)からの応答を待つ(図6のステップs15)。
【0048】
一方、クライアント2(#1)は、当初待機状態にあるが(図6のステップs16)、アクセスポイント1からの第1の周波数帯で送信された試験信号は、クライアント2(#1)の無線送受信部TRX3によって受信され、第1の周波数帯での最低伝送速度(この例では1Mbps)でPLCPプリアンブルおよびPLCPヘッダの復調を始める。
【0049】
すると、無線送受信部TRX3は、試験信号のパケットの先頭に有って、第1の周波数帯での最低伝送速度で送信されているPLCPヘッダの“シグナル”フィールドから、アクセスポイント1が設定した伝送速度が最高速度の11Mbpsであると判断すると、MACヘッダ以降の信号を11Mbpsで復調し、MAC部MC2に復調した信号を出力する。
【0050】
そして、MAC部MC2は、MACヘッダにあるアドレスを判読して(図6のステップs17)、自分宛の信号であれば(図6のステップs18がYesの場合)、更にその試験信号のデータフレームに設定されたテストパタン信号をクライアント2(#1)が所有する誤り検出のためのテストパタンと照合して、試験信号の誤り率を測定する(図6のステップs19)。
【0051】
また、ステップs18でクライアント2(#1)は、送信先アドレスから自分宛の信号ではではないと判断した場合は、そのまま待機状態(ステップS16)へ戻る。
【0052】
そして、クライアント2(#1)の通信制御部CC2は、モニタしていた試験信号の指定された伝送速度における誤り率の測定結果から、所定の誤り率(例えばビット誤り率が1万分の1以下)の基準に達していれば、MAC部MC2にACK応答をするよう指示する(図6のステップs20がYesの場合)。
【0053】
そして、MAC部MC2は、MACヘッダの送信先アドレスとして「アクセスポイント1」および送信元アドレスとして「自分のアドレス」、ならびに返送するメッセージとして「ACK応答」を設定し、またPLCPヘッダの“シグナル”フィールドに受信に成功した「伝送速度(11Mbps)」を書き込んで、無線送受信部TRX3にパケットを出力する。
【0054】
クライアント2(#1)の無線送受信部TRX3は、通信制御部CC2からACK応答を指示する制御信号を受け取り且つ、MAC部MC2から上記のパケットを受け取ると、当該パケットのPCLPプリアンブルおよびPCLPヘッダを第1の周波数帯での最低伝送速度(この例では1Mbps)で、またMACヘッダ以降のACK応答を指定された伝送速度(11Mbps)でアクセスポイント1に送り返す(図6のステップs21)。
【0055】
また同時に、クライアント2(#1)の通信制御部CC2は、その伝送速度をアクセスポイント1に送信する際の送信伝送速度として内部メモリに記憶する(図6のステップs22)。
【0056】
アクセスポイント1の無線送受信部TRX1は、クライアント2(#1)からあるACK応答信号を受信すると、そのACK応答信号のPLCPヘッダを最低伝送速度で復調してPLCPヘッダを判読し、又、MACヘッダを“シグナル”フィールドで設定されている伝送速度(11Mbps)で復調して、そのパケットをMAC部MC1に出力する。
【0057】
アクセスポイント1のMAC部MC1は、受け取ったパケットが自分宛のデータであることを確認すると、ACK応答信号を送った送信元アドレス、即ち、クライアント2(#1)のアドレスを通信制御部CC1に通知する。
【0058】
すると、通信制御部CC1は、このACK応答信号に設定されている伝送速度、即ち、第1の周波数帯の最高伝送速度(11Mbps)をクライアント2(#1)の伝送速度として通信管理テーブル5に記録する(図6のステップs24)。
【0059】
通信管理テーブル5のクライアント毎の伝送速度測定表5bに記録した伝送速度が第1の周波数帯であることを確認すると(図6のステップs25がYesの場合)、引き続きクライアント毎の伝送速度測定表5bの第2の周波数帯における最高伝送速度(54Mbps)を記録するための測定に着手する。
【0060】
そしてアクセスポイント1の通信制御部CC1は、周波数帯を第2の周波数帯に設定し(図6のステップs26)、伝送速度を第2の周波数帯の最高伝送速度(54Mbps)に設定した(図6のステップs27)試験信号を再び各クライアント2(#1〜#n)に送信する(図6のステップs14)。
【0061】
以降の処理は、第1の周波数帯での測定と同様なのでその説明は省略する。
【0062】
一方、ステップs20で、最初に第1の周波数帯の最高伝送速度(1Mbps)で送信された試験信号をクライアント2(#1)が受信したとき、所定の誤り率より悪い時は(図6のステップs20がNoの場合)、クライアント2(#1)の通信制御部CC2は、次の試験信号を待つことを示す制御信号を無線送受信部TRX3とMAC部MC2に出力し、クライアント2(#1)は待機状態に入っている。
【0063】
また、ステップs15でアクセスポイント1の通信制御部CC1は、クライアント2(#1)からの応答を待ち状態から、一定時間待ってもクライアント2(#1)からのACK応答信号がないと設定した伝送速度(ここでは最高伝送速度)での通信は出来ないと判断する(図6のステップs15がNoの場合)。
【0064】
そして、アクセスポイント1の通信制御部CC1は、通信に失敗した第1の周波数の伝送速度より1段階伝送速度を下げた試験信号のパケットを生成して同様に送信する(図6のステップs23)。
【0065】
アクセスポイント1の通信制御部CC1は、クライアント2(#1)からACK信号を受け取るまでこれを繰り返し、クライアント2(#1)からACK応答信号のあった伝送速度を通信管理テーブル5に記録して(図6のステップs24)、第2の周波数帯における最高伝送速度の測定(図6のステップs26)に着手する。
【0066】
もし、第1の周波数帯でクライアント2(#1)から1回もACK応答信号を受信できなければ、アクセスポイント1の通信制御部CC1は、クライアント2(#1)とは第1の周波数帯では通信不可と通信管理テーブル5のクライアント毎の伝送速度測定表5bに記録して、第2の周波数帯における最高伝送速度の測定に着手する。(図6のステップs26)
そして、第2の周波数帯においても、アクセスポイント1の無線送受信部TRX2を用いて、第1の周波数帯の場合と同様の手順で、第2の周波数帯における、クライアント2(#1)の伝送速度を測定し、その結果を通信管理テーブル5のクライアント毎の伝送速度測定表5bに記録する。
【0067】
次にアクセスポイント1は、クライアント2(#1)の伝送速度の記録が終了すると(図6のステップs25がNoの場合)、残りのクライアント2(#2〜#n)についても、同様の手順を繰り返してこの第1、第2の周波数帯での伝送速度を測定し、通信管理テーブル5のクライアント毎の伝送速度測定表5bに記録する。
【0068】
図7は、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)の間で測定された伝送速度を通信管理テーブル5に記録した、クライアント毎の伝送速度測定表5bの図である。
【0069】
なお、本実施例では、各クライアント2(#1〜#n)の間の伝送速度の測定は、ユニキャストもしくはポーリングに類する方法で測定する方式を示したが、この他、例えば、マルチキャスト(同報)もしくはコンテンション等の方式で一斉にクライアント2(#1〜#n)を呼出し、応答の有ったクライアント2(例えば#1)から先に測定する方法をとってもよい。
【0070】
アクセスポイント1は、各クライアント2(#1〜#n)との伝送速度の調査を終えると、引き続いてこの通信管理テーブル5に記録された伝送速度測定表5bと周波数帯・伝送速度設定表5aとを参照して、最終的に各クライアント2(#1〜#n)との通信の接続(コネクション)に対して、伝送速度を設定する。
【0071】
例えば、各クライアント2(#1〜#n)で、それぞれが、自分の伝送可能な最高の速度でアクセスポイント1との通信を行うように無線LANシステムを動作させるので有れば、各クライアント2(#1〜#n)は、クライアント毎の伝送速度測定表5bに記録された第1および第2の周波数帯のどちらか速い方の伝送速度をアクセスポイント1との通信速度に設定する。
【0072】
即ち、図7の伝送速度測定表5bにおいて、例えば、各クライアント2(#3)では、測定された伝送速度は第1の周波数帯では5.5Mbps、第2の周波数帯では24Mbpsであったとすると、第2の周波数帯の24Mbpsがアクセスポイント1との伝送速度として設定される。
【0073】
それらの各クライアント2(#1〜#n)に対して設定されたアクセスポイント1との伝送速度は、最高伝送速度測定表5bと同様に通信管理テーブル5に各クライアント2(#1〜#n)との間のクライアント・設定伝送速度表5cとして記録される。
【0074】
図8は、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)との間で設定された伝送速度を記録した通信管理テーブル5のクライアント・設定伝送速度表5cの一例である。
【0075】
このクライアント2(#1〜#n)に対する設定伝送速度が通信管理テーブル5のクライアント・設定伝送速度表5cに設定されると、アクセスポイント1は直ちに、設定された伝送速度を各クライアント2(#1〜#n)毎に通知する為、伝送速度を測定する時の試験信号と同様のパケットを生成して送信する。
【0076】
即ち、各クライアント2(#1〜#n)では、この伝送速度を通知するパケットを受信すると、その指定された伝送速度(即ちPLCPヘッダの“シグナル”フィールドに記載された伝送速度)を読み出して、アクセスポイント1に対して送信する伝送速度として内部メモリに記憶・設定する。
【0077】
なお、上記の説明では伝送速度の測定は、アクセスポイント1からクライアント2(#1〜#n)への下り方向についてのみ行っているが、クライアント2(#1〜#n)からアクセスポイント1への上り方向での伝送速度の設定に付いては、原則として、下り方向に設定された伝送速度と同一の伝送速度を設定する。
【0078】
もし、下り方向に比し、上り方向の電波伝播条件が悪く送信の伝送速度を遅くしなければならない場合は、メッセージ信号を送受信する手順において、アクセスポイント1が各クライアント2(#1〜#n)から受信したデータの誤り率の測定によって行うアクセスポイント1からのACK応答により伝送速度の設定変更を行う。
【0079】
即ち、各クライアント2(ここでは、#1)は、アクセスポイント1からの自分宛のACK応答を受信できなければ、クライアント2(#1)は、ACK応答を受信するまで送信の伝送速度を設定値より下げる処理を行ない伝送速度を変更できるので、上り方向の伝送速度の測定は行なわない。
【0080】
以下、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)との間の通信の伝送速度が設定され無線LANシステムが定常的な運用状態となった後、データを送受信する場合、即ち、メッセージデータを送受信する場合の無線LANシステムの動作について説明する。
【0081】
本発明の無線LANシステムでは、パケットデータを送受信する手順等は、通信制御部CC1(クライアント2ではCC2)が制御する。この送受信制御手順については、例えばIEEE802.11a、IEEE802.11b等の標準に準じているので、その詳細な説明は省略するが、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)の動作概要は以下の通りである。
【0082】
最初にアクセスポイント1が、ネットワーク3からデータを受け取り、クライアント2(#1)に送信する場合を説明する。
【0083】
アクセスポイント1において、ネットワークインタフェースIF1がネットワーク3から受信したメッセージのデータは、レベル変換などを行ない、更にTCP/IP手順に従い、MAC部MC1に出力される。
【0084】
すると、MAC部MC1は、そのデータに送信元「アクセスポイント1」および受信先「クライアント2(ここでは、#3)」のアドレスと送信されるパケットデータがメッセージのデータであることをMACヘッダに設定し、又、同時に通信管理テーブル5のクライアント・設定伝送速度表5cに記載されているその通信相手のクライアント2(#3)に設定された伝送速度「24Mbps」をPLCPヘッダの“シグナル”フィールドに設定したパケットデータを作成する。
【0085】
そして、第2の周波数帯の「24Mbps」で送信するので無線送受信部TRX2に、ベースバンドでパケット化されたデータ信号を出力する。次に無線送受信部TRX2は、PLCPプリアンブルとPLCPヘッダを第2の周波数帯の最低速度6Mbpsで、またMACヘッダとメッセージのデータを24Mbpsの伝送速度で送信する。
【0086】
クライアント2(#1)では、このメッセージ信号(パケットデータ)を受信した無線送受信部TRX4が復調した信号から、MACヘッダ情報を読取り、自分向けのパケットデータと判断すると、24Mbpsのメッセージのデータをベースバンド信号に復調し、端末機器インタフェース4を介して端末機器等4(例えば#3)へメッセージのデータを出力する。
【0087】
また、クライアント2(#3)は同時に、MACヘッダにACK応答を設定してACK応答信号をアクセスポイント1に返送する。
【0088】
次に、クライアント2(#1)からアクセスポイント1にメッセージ信号のパケットデータを送信する場合を説明する。
【0089】
クライアント2(#3)において、端末機器インタフェースIF2が端末機器等4から受信したメッセージのデータは、レベル変換などを行ない、更にTCP/IP手順に従い、MAC部MC2に出力される。
【0090】
すると、MAC部MC2は、そのメッセージのデータに送信元「クライアント2(#3)」および受信先「アクセスポイント1」のアドレスと送信パケットデータがメッセージのデータであることをMACヘッダに設定する。
【0091】
又、アクセスポイント1から設定された「伝送速度」(例えば24Mbps)をPLCPヘッダのシグナルフィールドに設定したパケットデータを作成する。
【0092】
そして、第2の周波数帯の24Mbpsで送信するので無線送受信部TRX4に、ベースバンドでパケット化されたデータ信号を出力する。
【0093】
そして無線送受信部TRX4は、PLCPプリアンブルとPLCPヘッダを第2の周波数帯の最低速度6Mbpsで、またMACヘッダとメッセージのデータを24Mbpsの伝送速度で送信する。そしてこの時、クライアント2(#3)の通信制御部CC2は、アクセスポイント1からのACK応答信号を待つタイマを起動する。
【0094】
アクセスポイント1では、このメッセージ信号(パケットデータ)を受信した無線送受信部TRX2が復調した6MbpsのPLCPヘッダから、MACヘッダ情報を判読して、アクセスポイント1宛のデータ信号と判断すると、24Mbpsのメッセージ信号のパケットデータをベースバンド信号に復調し、端末機器インタフェース4を介して端末機器もしくはホストコンピュータ等へデータを出力する。また、アクセスポイント1は、同時に、MACヘッダにACK応答を設定したACK応答信号をクライアント2(#3)に返送する。
【0095】
そしてクライアント2(#3)はこのACK応答信号を受信すると、送信作業を終了し、待機状態に入る。
【0096】
ここでもし、アクセスポイント1でメッセージ信号(パケットデータ)が正しく受信できずタイマの設定時間内にクライアント2(#3)からACK応答が返送されないと、クライアント2(#3)の通信制御部CC2は、メッセージ信号の送信に失敗したと判断する。そして、クライアント2(#3)の通信制御部CC2は、第2の周波数帯において伝送速度を24Mbpsより1段低く18Mbpsに設定し同じメッセージのデータをパケット化して再送信する。(この際当然、PLCPヘッダの“シグナル”フィールドには「18Mbps」が設定される。)
そして、もし、再送信しても再びACK応答の受信に失敗すれば、更に設定する伝送速度を下げてメッセージ信号を送信する。この処理をACK応答が受信できるまで繰り返すこと(フォールバック機能)によって、アクセスポイント1とクライアント2(#1)との間の通信が電波伝播条件の影響で上下方向で伝送速度が異なるような状態でも通信できるようにしている。
【0097】
以上のように、本発明では、アクセスポイント1が通信管理テーブル5を参照して各クライアント2(#1〜#n)との伝送速度を設定することにより、各クライアント2(#1〜#n)との伝播条件の違いに対応して無線LANシステムを様々な伝送速度を設定し運用することが出来る。
【0098】
次に、通信管理テーブル5を参照して周波数帯および伝送速度を各種の条件に対応して設定する手順について説明する。
【0099】
ある特定のエリヤ内で、無線LANシステムを運用する場合、各クライアント2(#1〜#n)は、同じ周波数帯を共用して通信する。このため、送信するタイミングが重複し、衝突しないように、例えば、CSMA/CA(キャリヤ センス マルチプル アクセス/コリジョン アボイダンス:キャリヤ検出・衝突回避)の手段を用いて衝突が発生しない対策が採られている。
【0100】
従って、同一の周波数帯を各クライアント2(#1〜#n)が順次交替して利用するため、無線LANシステムに収容するクライアント2の数が増加すると、単位時間あたりの各クライアント2(#1〜#n)毎に分け与えられる送信時間は短くなるので、実効伝送速度(スループット)が低下する。
【0101】
また、伝送速度、即ち、変調速度は、その変調速度に対応する多値変調方式によって決定されるが、多値変調の性能は、変調速度が高くなるほど、例えば、受信電界強度や混信など電波伝播環境の影響を受けやすい。このため、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)の通信可能な最高伝送速度は全て一様ではなく、各クライアント2(#1〜#n)の得られるスループットは各々異なり、公平でないことも多い。
【0102】
その結果、伝送速度が遅いクライアント2では、通信データ量が大きくなると1回の許容時間内に全てのデータが通信出来ず、何回にも分けて送受信することになり、伝送速度が速いクライアント2に比べて長い時間がかかる。
【0103】
例えば図7において、クライアント2(#2)では第1周波数帯での伝送速度は2Mbpsであるが、第2周波数帯では通信できない「不可」であることを示している。その他のクライアント2(#1)、(#3〜#6)についても同様に伝送速度が設定されている。また、クライアント2(#5)は、第1周波数帯での伝送速度が1Mbpsであり、他のクライアント2に比べて遅くなっている。これは、例えば、クライアント2(#5)が置かれた位置が悪く、良い電波伝播条件が得られない等の原因により第1周波数帯では1Mbpsでしか送受信できず、更に第2周波数帯では、通信が出来なかったことを示している。
【0104】
更に、図7からは、クライアント2(#1)は、第2周波数帯での高速伝送速度54Mbpsの得られているのに比べ、クライアント2(#5)は、第1周波数帯での最低伝送速度1Mbpsしか得られず、クライアント2(#1)と(#5)の間で著しく不公平が生じていることが判る。
【0105】
このような無線LANシステムを運用するにあたっては、アクセスポイント1とクライアント2(#1〜#n)との間の伝送速度を、そのまま無線LANシステムで使用するか否かについて、次のように処理される。
【0106】
即ち、アクセスポイント1にアクセスしているクライアント2の数が少なく、また送受信する通信データ量が少ないような、小さいトラフィックで運用されていれば、各クライアント2は許される最高伝送速度で通信しても他のクライアン2の通信に対して大きな影響は与えない。
【0107】
しかし、多数のクライアント2が一斉に通信する場合、もしくは少数のクライアント2が大量のデータを連続的に繰り返して送受信するような大きなトラフィックで運用されている場合には、全てのクライアント2が公平に無線LANシステムで通信できるようにしなければならない。
【0108】
そこで本発明では、高い伝送速度を得ることが可能なクライアント2であっても低い伝送速度に設定することによりクライアント2のスループットに制限をかけ、他のクライアント2にも通信可能な時間を配分して、公平性の有る無線LANシステムを提供する。
【0109】
図9は、アクセスポイント1が各クライアント2(#1〜#n)間のスループットに公平性を持たせるため、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)との間の伝送速度を設定する動作手順を示したフローチャートである。
【0110】
図10は、アクセスポイント1が想定スループットを算出し、各クライアント2(ここでは、#7〜#10)との間の伝送速度を設定する手順を段階的に示した表である。ここで想定スループットとは、クライアント2とアクセスポイント1との間の物理的な変調速度(即ち、伝送速度)ではなく、複数のクライアント2が同一周波数帯を共用する時の実効伝送速度(スループット)を推定した伝送速度である。
【0111】
図10のフラグ欄で「適用」は、周波数帯および伝送速度ならびに想定スループットの使用を表し、「非適用」は、周波数帯および伝送速度ならびに想定スループットの不使用を表している。
【0112】
無線LANシステムが起動すると、アクセスポイント1は各クライアント2(#7〜#10)との間で伝送速度の測定を行い、設定する伝送速度と想定スループットを算出し、所定のスループット条件に合うように伝送速度を選択して設定する。
【0113】
図9では、各クライアント2(#7〜#10)のスループットに公平を図るため、想定スループットの最大値と最小値の差分値が5Mbps以下になるよう、アクセスポイント1の伝送速度設定のフローチャートが示されている。
【0114】
なお、初期設定される想定スループットの差分値については、5Mbpsに限ることなく無線LANの運用形態・運用条件に応じて設定するものであって、例えば、トラフィックの量に応じて設定するようにしても良い。
【0115】
初めにアクセスポイント1は、クライアント(#7〜#10)との間の伝送速度を測定すると、伝送速度測定表5bを参照して各クライアント2(#7〜#10)との想定スループットを算出する(図9のステップs101)。
【0116】
図10(a)では、クライアント2(#7)は、第1周波数帯では11Mbpsの伝送速度で、第2周波数帯では36Mbpsの伝送速度で通信可能であることが確認され、実際の通信は第2周波数帯の36Mbpsで送受信を行うよう設定されている。また、第2周波数帯で通信をするクライアント2は(#7)と(#8)の2つで有ることから、クライアント2(#7)の想定スループットは、36÷2=18(Mbps)であることを示している。
【0117】
また、他のクライアント2(#8〜#10)についても、クライアント2(#7)と同様に周波数帯と伝送速度が設定され、それに対応する想定スループットが示されている。
【0118】
そこで、想定スループットの最大値と最小値の差分を求めると、最大値はクライアント2(#7)の「18Mbps」で、最小値はクライアント2(#10)の「2.75Mbps」であり、18−2.75=15.25(Mbps)である。
【0119】
したがって、想定スループットの最大値と最小値の差が5Mbps以上と判断される(図9のステップs102がYesの場合)。
【0120】
そこで最大の想定スループットを有するクライアント2(#7)の伝送速度を一段階フォールバック(伝送速度を低く切替える)(図9のステップs103)させ、その時の想定スループットを算出する(図9のステップs104)。そして想定スループットの最大値と最小値の差分が設定値の5Mbps以下になるまでこの処理を繰り返す。
【0121】
図10(b)ではクライアント2(#7)の第2周波数帯の伝送速度を24Mbpsにフォールバックしたが、想定スループットの差が12−2.75=9.25となり5Mbps以下にならない。そこで図10(c)に示すように、伝送速度を12Mbpsにフォールバックさせると、想定スループットの差が6−2.75=3.25となり、5Mbps以下になる。これにより、クライアント2(#7)とアクセスポイント1との間の伝送速度が12Mbpsに設定される(図9のステップs105)。
【0122】
そして、アクセスポイント1は、クライアント・設定伝送速度表5cに相当する図10(d)に示すクライアント・設定伝送表を、通信管理テーブル5に記憶させる。
【0123】
また、想定スループットの最大値と最小値の差分が5Mbpsを超えるよう設定されたクライアント2が他にあれば、当該クライアント2についてもクライアント2(#7)同様にアクセスポイント1との間の伝送速度を12Mbpsに設定する。
【0124】
このように本発明によれば、各クライアント2(#1〜#n)間でのスループットを揃えて、各クライアントが共用している周波数帯域での通信を少数のクライアントが独り占めするような送受信を防いで各クライアント間で公平化を図ることができる。
【0125】
次に、トラフィック量が多い場合でも、特定のクライアント2に対しては、出来る限りスループットを確保しておきたい要求に対応する処理について説明する。
【0126】
本発明では、無線LAN上のトラフィック量を監視することにより、各クライアント2(#1〜#n)の伝送速度を設定することを可能とする。
【0127】
即ち、トラフィック量が少ない場合には、図8のクライアント・設定伝送速度表5cに示す高いスループットでデータを通信できるように、クライアント2(#1〜#n)の伝送速度を設定して通信する。一方、トラフィック量が多い場合には、例えば、全てのクライアント2(#1〜#n)で公平に同じ伝送速度で通信を行うように、各クライアント2(#1〜#n)の伝送速度を最も低いクライアントの伝送速度(1Mbps)に設定にして通信することも出来る。
【0128】
図11は、クライアント2(#1〜#6)とアクセスポイント1との間の各種の設定モードにおける伝送速度の設定表(以下、伝送設定モード表5dと称する)例である。
【0129】
ここで、「フリー」とは、図8のクライアント設定・伝送速度表5cと同じ設定であり、各クライアント2(#1〜#6)とアクセスポイント1との間で測定された最適な伝送速度の値を採用している。
【0130】
また、「共有1」における伝送速度は、上述した方法で想定スループットを求め、想定スループットの最大値と最小値の差分を5Mbps以下とした場合の設定値である。
【0131】
「共有2」における伝送速度は、最適な伝送速度が48Mbps以上であれば、設定伝送速度を2段フォールバックさせ、12〜36Mbpsであれば、設定伝送速度を1段フォールバックさせた値としている。また、想定スループットは複数のクライアント2が同時にアクセスする確率を考慮した予測数で除した例である。ここでは、想定スループットは設定伝送速度の約60%として算出している。
【0132】
「優先」における伝送速度は、特定のクライアント2(ここでは、#1)に対しては54Mbpsを設定し、ベストエフォートとしての伝送速度が得られるようにしたもので、残りのクライアント2(#2〜#6)に付いては、低い伝送速度に制限して設定している。
【0133】
また、想定スループットは、「フリー」、「優先」の2つのモードにおいては、信号処理上使用しないので算出していない。
【0134】
アクセスポイント1が上記の設定モードのうち、各クライアント2(#1〜#6)をどのモードにより伝送速度を設定するか、予め設定してもよい。
【0135】
次に、無線LANがトラフィック量の条件に合わせて、公平性を図る運用や、特定のクライアント2に優先性を持たせた運用を、上記の設定モードから選択して行う方法について説明する。
【0136】
なお、無線LANシステムは、アクセスポイントの電源とクライアント2(#1〜#6)の電源が投入され、図6の手順に従って、通信を開始するものとして説明を行う。
【0137】
アクセスポイント1は、トラフィック量を調べるために、例えば、通信制御部CC1によって、MAC部MC1が無線送受信部TRX1およびTRX2との間で設定した時間内(例えば1秒間)に入出力したデータのビット数を監視している。そして、単位時間あたりの情報伝送量(トラフィック量と換算する情報量、例えばメガバイト/秒)に応じて、上記設定モードを選択し、各クライアント2(#1〜#6)に対して伝送速度を設定する。
【0138】
図12は、トラフィック量の大きさに基づいて分類(ランク1〜ランク4)し、上記設定モードに対応させた一例を示す。
【0139】
図12の伝送モード選択表において「ランク1」は、トラフィック量が小さく、「フリー」モードで伝送してよい場合、「ランク2」は、平均的な「共有2」を適用する運用の形態である。例えば、「ランク1」では、トラフィックが1メガバイト/秒以下で、各クライアント2(#1〜#6)が、任意の時間に送受信してもほとんど衝突の発生もなく、アクセスポイント1との間で測定した最高の伝送速度、即ちクライアント・設定速度表5cを適用する場合である。
【0140】
また、「ランク2」は、例えば、1〜5メガバイト/秒のトラフィック量で、クライアント2で速い伝送速度が設定可能であっても、伝送速度が速いクライアント2に対しては、伝送速度に制限を設けた設定をして、想定スループットも比較的高く予測している。
【0141】
同様に、「ランク3」は、「共有1」を適用する場合の形態である。この「ランク3」はトラフィック量が例えば5メガバイト/秒以上で、想定スループットが低く見積もられている時など、各クライアント2(#1〜#6)毎の伝送速度は遅くても確実に通信できるような公平性を重視する場合に適用される。
【0142】
「ランク4」は、どのようなトラフィック量であっても特定のクライアント2(#1)に優先的な通信を確保させたい要求が有る場合に適用される運用の形態である。この運用は、無線LAN管理者等によって設定される。
【0143】
アクセスポイント1は、システム起動の直後は、トラフィック量の測定は行っおらず、各クライアント2(#1〜#6)とは、各クライアントとの試験で測定した伝送速度で通信を行っているとする。
【0144】
次いで、アクセスポイント1は、トラフィック量のモニタを開始して通信制御部CC1がMAC部MC1が無線送受信部TRX1およびTRX2と送受信したビット数をカウントし、例えば、2メガバイト/秒であったとする。そして、通信制御部CC1は、通信管理テーブル5の伝送モード選択表5eを参照することにより「ランク2」の運用条件に対応すると判断する。
【0145】
この「ランク2」の運用条件は「共通2」の設定モードであると判断し、各クライアント2との伝送速度を下げなければならないことが分る。そこで、アクセスポイント1は、例えば、クライアント2(#1)に対して伝送速度を54Mbpsから36Mbpsに下げるよう、変更設定を行う。その詳細は、前述の伝送速度測定後のクライアント2との速度設定の手順、もしくはメッセージデータの送信手順で説明されている手順と同様であるので省略する。
【0146】
同様にして、クライアント2(#2〜#6)についても、伝送速度の設定を変更する。
【0147】
なお、トラフィック量の抽出方法については、例えば、一定の時間内に無線LANシステムにアクセスしてきたクライアント2の数、もしくはこのアクセスしてきたクライアント2の数とそれらに対する想定スループットから推定するなど、無線LANシステムの運用条件等に応じて適宜、判定方法や手段をあらかじめ定める。
【0148】
また、無線LANシステムに接続された網監視制御装置6により、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)の通信を監視することにより行い、網監視制御装置6がアクセスポイント1の動作条件等を設定し、各クライアント2(#1〜#n)との間の伝送速度をアクセスポイント1が設定するようにしてもよい。
【0149】
また、伝送設定モードの設定条件、設定方法、および項目等は、無線LANシステムの運用条件に応じて適宜設定してもよい。
【0150】
例えば、図11の伝送設定モード表5dのクライアント2(#1)のように、無線LANシステムにリモート監視の画像やIP電話等の音声を専用に伝送するクライアントがあれば、これらの画像信号や音声信号はリアルタイム性を必要とするので、クライアント2(#1)における遅延の発生を防ぐため「優先」モードが適用される。
【0151】
本発明の無線LANシステムでは、アクセスポイントと各クライアントの間で試験通信した周波数帯・伝送速度を記録したクライアント・設定伝送速度表5cと、それらの周波数帯において設定された伝送速度を記録した伝送設定モード表5dおよびその無線LANのトラフィック量と伝送モードを対照させた伝送モード選択表5eを参照してそれぞれの条件に応じてアクセスポイントと各クライアントの伝送速度を設定することができる。
【0152】
そして、本発明の無線LANシステムでは、複数の周波数帯を利用し、伝送容量不足の改善と、各クライアントに伝播条件の違いや無線LANの運用条件等に対応して、各クライアント間での伝送速度の公平化を図ることができるのみならず、特定のクライアントに優先度を持たせる多様な伝送速度を設定することができる。
【0153】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の無線LANシステムによれば、複数の周波数帯を利用し、伝送容量不足の改善と、各クライアントに伝播条件の違いや無線LANの運用条件等に対応してスループットの設定が可能になり、各クライアント間での伝送速度の公平化を図ることができ、または特定のクライアントに優先度を持たせる等の多様な伝送速度を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による無線LANシステムの構成を示すブロック図。
【図2】本発明の無線LANシステムのアクセスポイントの構成要素を示すブロック図。
【図3】本発明の無線LANシステムのクライアントの構成要素を示すブロック図。
【図4】通信管理テーブルに記録された周波数帯・伝送速度設定表の例の図。
【図5】アクセスポイントとクライアントとの間で送受信されるパケットの構成を説明した図。
【図6】アクセスポイントとクライアントとの間で可能な最高伝送速度の測定を行う手順を示したフローチャート。
【図7】通信管理テーブルに記録された最高伝送速度測定表の例の図。
【図8】通信管理テーブルに記録されたクライアント・設定伝送速度表の例の図。
【図9】各クライアントとアクセスポイントの間のスループットに公平性を持たせるための動作手順を示すフローチャート。
【図10】各クライアントとアクセスポイントとの間の公平性の有るスループット設定を行う手順の例を説明する図。
【図11】通信管理テーブルに記録された伝送設定モード表の例の図。
【図12】通信管理テーブルに記録された伝送モード選択表の例の図。
【符号の説明】
1 アクセスポイント
2 クライアント
3 ネットワーク
4 端末機器等
5 通信管理テーブル
5a 周波数帯・伝送速度設定表
5b クライアント毎の伝送速度測定表
5c クライアント・設定伝送速度表
5d 伝送設定モード表
5e 伝送モード選択表
6 網監視制御装置
TRX1、TRX2、TRX3、TRX4 無線送受信部
MC1、MC2 MAC部
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線LANシステム、および無線LANシステムの通信制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インターネットの利用が進むに従い、利用者に高速のアクセス回線を提供する手段として、ケーブルを敷設する必要が無い利点を生かし、高速のアクセス回線として無線LANが採用されている。しかし、無線LANが使用できる周波数の帯域には制限があり、多くの無線LAN端末が同時に無線LANにアクセスすると、スループットが低下する。そこで無線LANを一つの周波数帯で運用すると周波数帯域が不足するため、新たな周波数帯を追加して運用する検討が行なわれている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この無線LANでは、同一エリヤ内で同時に設定可能なチャンネル数を増加させることを目的にしており、第1の周波数および第2の周波数の各周波数帯の各チャネルに試験電波を送信し、受信電力等を測定した結果から、妨害の少ないチャネルを選び出して通信チャネルに設定している。
【0004】
この無線LANでは、2つの異なる周波数帯で妨害に強く、通信可能チャネル数を増大出来るが、各無線LAN端末におけるスループットの確保には対応出来ない問題があった。
【0005】
また、他の従来技術として、2つの周波数帯に対応可能な無線LANがあるが、同時に2つの周波数を利用するのではなくいずれか一方の周波数を選択して通信するものであって、無線LAN端末毎にそれぞれの周波数帯での伝送速度設定ができない(例えば、非特許文献1参照。)。
【0006】
このように、これまでの無線LANでは、各無線LAN端末で得られるスループットの設定が困難で、無線LAN端末毎に伝播条件の違い等に対応して周波数帯や伝送速度を設定したり、無線LANの運用条件に対応して伝送速度が設定できる通信サービスを提供できない問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−33713号公報 (第9頁、第4図)
【0008】
【非特許文献1】
日経コミュニケーション2002年7月15日号,p77−79
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の無線LANシステムでは、無線LAN端末(以下クライアントと呼ぶ)の増加に対し、複数の周波数帯を利用し、伝送容量不足の解消を図ることが考えられているが、無線LAN端末毎に伝播条件の違いや無線LANの運用条件に対応して周波数帯および伝送速度を設定できない問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、複数の周波数帯を利用し伝送容量を増すとともに、各クライアントが伝播条件の違いや無線LANシステムの運用条件の違いに対応して伝送速度を設定できることが可能な無線LANシステムおよびその通信制御方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の無線LANシステムは、1つ又は複数の端末機器と接続されている複数のクライアントと、このクライアントと第1の周波数帯および第2の周波数帯のいずれかの伝送速度に従い無線LAN通信を行うアクセスポイントとで構成される無線LANシステムにおいて、前記アクセスポイントから前記複数のクライアントを順次指定して、前記第1および第2の周波数帯の複数の伝送速度の中から当該クライアントと通信可能な伝送速度を試験する手段と、前記試験手段によって得られた伝送速度から前記複数のクライアント毎の伝送速度を設定してメモリに記憶する手段と、前記メモリに記憶された前記複数のクライアント毎の伝送速度から同じ周波数帯を共用する時の実効伝送速度を算出する手段と、前記実効伝送速度の最大値と前記設定された伝送速度の最小値の差が予め設定された値以上の場合、当該最大値の実効伝送速度を持つクライアントに設定されている前記伝送速度を一段低い伝送速度に再設定する手段と
を具備することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の無線LANシステムは、1つ又は複数の端末機器と接続されている複数のクライアントと、このクライアントと第1の周波数帯および第2の周波数帯のいずれかの伝送速度に従い無線LAN通信を行うアクセスポイントとで構成される無線LANシステムにおいて、前記アクセスポイントから前記複数のクライアントを順次指定して、前記第1および第2の周波数帯の複数の伝送速度の中から当該クライアントと通信可能な伝送速度を試験する手段と、前記試験手段によって得られた伝送速度から前記複数のクライアント毎の第1の伝送速度を設定する設定手段と、特定のクライアントの伝送速度を速い伝送速度に設定し、他のクライアントの伝送速度を低い伝送速度に設定した第2の伝送速度、および前記第1の伝送速度が前記複数のクライアントに対応して記憶される記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記第1の伝送速度または前記第2の伝送速度を用いて前記アクセスポイントと前記複数のクライアントのデータ通信を行う手段とを
具備することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の無線LANシステムの通信制御方法は、1つ又は複数の端末機器と接続されている複数のクライアントと、このクライアントと第1の周波数帯および第2の周波数帯のいずれかの伝送速度に従い無線LAN通信を行うアクセスポイントとで構成される無線LANシステムの通信制御方法において、前記アクセスポイントから前記複数のクライアントを順次指定して、前記第1および第2の周波数帯の複数の伝送速度の中から当該クライアントと通信可能な伝送速度を試験し、この試験によって得られた伝送速度から前記複数のクライアント毎の伝送速度を設定してメモリに記憶し、前記メモリに記憶された前記複数のクライアント毎の伝送速度から同じ周波数帯を共用する時の実効伝送速度を算出し、前記実効伝送速度の最大値と前記設定された伝送速度の最小値の差が予め設定された値以上の場合、当該最大値の実効伝送速度を持つクライアントに設定されている前記伝送速度を一段低い伝送速度に再設定することを特徴とする。
【0014】
そして更に、本発明の無線LANシステムの通信制御方法は、1つ又は複数の端末機器と接続されている複数のクライアントと、このクライアントと第1の周波数帯および第2の周波数帯のいずれかの伝送速度に従い無線LAN通信を行うアクセスポイントとで構成される無線LANシステムの通信制御方法において、前記アクセスポイントから前記複数のクライアントを順次指定して、前記第1および第2の周波数帯の複数の伝送速度の中から当該クライアントと通信可能な伝送速度を試験し、この試験によって得られた伝送速度から前記複数のクライアント毎の第1の伝送速度を設定し、特定のクライアントの伝送速度を速い伝送速度に設定し、他のクライアントの伝送速度を低い伝送速度に設定した第2の伝送速度、および前記第1の伝送速度が前記複数のクライアントに対応してメモリに記憶し、前記メモリに記憶された前記第1の伝送速度または前記第2の伝送速度を用いて前記アクセスポイントと前記複数のクライアントのデータ通信を行うことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の無線LANシステムの実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1において、無線LANシステムは、特定のエリヤに設置され、アクセスポイント1、クライアント2(#1〜#n)およびクライアント2(#1〜#n)に接続される端末機器等4(#1〜#m)を具備し、アクセスポイント1は、ネットワーク3と接続している。複数のクライアント2(#1〜#n)は、自分に接続されている端末機器等4(#1〜#m)との間でデータの送受信を行ない、更にそのデータを無線通信により、アクセスポイント1との間で送受信している。ただし、クライアント2には複数の端末機器等4が接続可能である。
【0018】
また、本発明の無線LANシステムでは、アクセスポイント1とクライアント2との間の通信を監視してトラフィックの測定を行うように設定されている。このトラフィック測定は、アクセスポイント1自身が測定する。アクセスポイント1の負荷を軽減したい場合には、独立した装置の網監視制御装置6をネットワーク3、又はアクセスポイント1、または、クライアント2に接続して、この網監視制御装置6を用いて測定する方法もある。
【0019】
ネットワーク3は、例えば、有線のLANが使用される。アクセスポイント1は、ネットワーク3に接続される装置(端末機器又はホストコンピュータ等)と複数のクライアント2(#1〜#n)との間のデータを仲介するブリッジとして機能している。
【0020】
クライアント2(例えば#1)に接続されている端末機器等4(#1)とクライアント2(例えば#n)に接続されている端末機器等4(#m)とはアクセスポイント1を介して相互にデータを送受信する。また、端末機器4(#1〜#m)は、アクセスポイント1からネットワーク3を介してホストコンピュータ、サーバ、他の端末機器等との間でデータを送受信する。
【0021】
本発明の無線LANシステムでは、伝送容量を増す為にアクセスポイント1が各クライアント2(#1〜#n)と無線で通信する無線周波数は、例えば第1の周波数帯と第2の周波数帯のように複数の周波数帯を使用する。
【0022】
そして、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)間の周波数帯は、アクセスポイント1の指定に従って、例えば、アクセスポイント1とクライアント2(#1)では第1の周波数帯を使うように設定され、またアクセスポイント1とクライアント2(#n)では第2の周波数帯を使うようにそれぞれ設定される。
【0023】
第1、第2の周波数帯それぞれにおいては、これらの周波数帯の搬送波は変調されるが、変調方式により変調速度、即ち伝送速度が決まる。
【0024】
そして、その変調可能な最高速度は、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)それぞれの通信(即ち、電波伝播)区間における伝播距離、反射、遮蔽等の電波伝播条件に伴って変化する受信電力強度、無線通信の相互干渉や妨害の有無による誤り発生等により、性能限界(即ち、伝送可能最高速度)が左右されるので、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)それぞれの伝送速度は異なることが多い。
【0025】
従って、様々な電波伝播条件に対応し得るようにデータを伝送するための伝送速度は、第1、第2の周波数帯それぞれに対応して、幾つかの伝送速度が段階的に予め設定されている。そして、その伝送速度は、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)のそれぞれのコネクション(接続条件)毎に、例えば伝送速度を決めるための試験信号の送受信結果、もしくは初期設定等の手段により上述の段階的に設定された伝送速度から選択される。
【0026】
図2は、本発明のアクセスポイント1の構成を示すブロック図で、アクセスポイント1は、第1の周波数帯に対する無線送受信部TRX1、第2の周波数帯に対する無線送受信部TRX2、通信制御部CC1、通信管理テーブル5、MAC(メディア アクセス 制御)部MC1、ネットワークインタフェースIF1から構成されている。
【0027】
また、図3は、本発明のクライアント2の構成を示すブロック図で、クライアント2は、第1の周波数帯に対する無線送受信部TRX3、第2の周波数帯に対する無線送受信部TRX4、通信制御部CC2、MAC(メディア アクセス 制御)部MC2、端末インタフェースIF2から構成されている。
【0028】
図4は、IEEE802.11a、およびIEEE802.11bの標準を例にとって2つの周波数帯に対応して設定されている伝送速度を表にした図である。この伝送速度の表は、アクセスポイント1の通信管理テーブル5に周波数帯・伝送速度設定表5aとして記録される。
【0029】
ここでは、説明の便宜上2つの周波数帯を使用する例を説明するが、2つの周波数帯だけでなく、更に第3の周波数帯が追加される場合においても、方法、手順は同様である。
【0030】
図4において、第1の周波数帯はIEEE802.11b標準の2.4GHz帯に相当し、伝送速度は、11Mbpsが最高で、以下、5.5Mbps、2Mbps、1Mbpsと次第に伝送速度が下がる設定値となっている。また第2の周波数帯は、IEEE802.11a標準の5GHz帯に相当し、同様に伝送速度が、最高54Mbpsから最低6Mbpsまで8つの段階に設定されている。
【0031】
この伝送速度の設定においては、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)の間の電波伝播条件が悪い程、低い伝送速度に設定されるとしている。
【0032】
以下、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)のそれぞれの動作を説明し、次に周波数帯と伝送速度を決定する通信制御方法について説明を行う。
【0033】
図5は、IEEE802.11aおよびIEEE802.11bの標準を例に、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)との間で送受信されるパケットの構成を説明した図である。
【0034】
アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)との間は、図5のパケットデータに構成して試験信号もしくはメッセージ信号の送受信を行う。
【0035】
無線LANで送受信されるパケットデータ(試験信号もしくはメッセージ信号)は、受信側で同期を取るためのPLCPプリアンブル(100バイト程度)、物理層の動作を規定するパラメータを記述したPLCPヘッダ(24バイト)、MAC(Media Access Control)メディア層の制御パラメータを記述したMACヘッダ(24〜30バイト)、メッセージデータ本体を搭載するデータフレーム(0〜2312バイト)、誤り制御のためのFCS(Frame Check Scequence)フレーム(4バイト)等からなる。
【0036】
PLCPヘッダは更にSYNC(16バイト),SFD(2バイト),シグナル(1バイト)、サービス(1バイト)、フレーム長(2バイト)、CRC(2バイト)の各フィールドで構成される。
【0037】
PLCPプリアンブル、およびPLCPヘッダは、使用する周波数帯での最低の伝送速度(例えば、第1の周波数帯では1Mbps)で送信され、PLCPヘッダのシグナルフィールドに、MACヘッダおよびデータフレームの伝送速度が記述されている。
【0038】
従って、試験信号や、メッセージ信号を受信したアクセスポイント1もしくはクライアント2は、このシグナルフィールドで指定された伝送速度でMACヘッダとデータのフレームを復調することが出来る。
【0039】
図6は、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)の間で可能な最高伝送速度の測定を行う試験信号を送受信する基本手順を示したフローチャートである。
【0040】
最初にその概念を述べると、無線LANシステムは、システム起動時(アクセスポイント1の電源が投入されると)、まず、全てのクライアント2(#1〜#n)との間で通信を行うための伝送速度を決定するため、アクセスポイント1からクライアント2(#1〜#n)へ試験信号を順番に従って送信する。
【0041】
即ち、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)との間で試験信号が送受信されることによって、アクセスポイント1では各クライアント2(#1〜#n)との間でそれぞれの周波数帯における可能な最高の伝送速度が測定され、その結果がアクセスポイント1の通信管理テーブル5に測定データとして記録される。
【0042】
そして、アクセスポイント1は、この通信管理テーブル5の測定データと、同じく通信管理テーブル5に記録されている速度設定データ、周波数・伝送速度設定表5aの関係を参照して、各クライアント2(#1〜#n)との通信に用いる周波数帯と伝送速度を選定する。
【0043】
以下に、図6を参照して、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)の機器動作と伝送速度の測定手順を説明する。
【0044】
アクセスポイント1では、電源投入後に動作可能状態になると、まず通信制御部CC1は、クライアント2(#1〜#n)に対する試験信号を作成する。
【0045】
即ち、アクセスポイント1の通信制御部CC1は、MAC部MC1と無線送受信部TRX1に制御信号を送り、最初の送信先のアドレスとしてクライアント2(#1)を設定し(図6のステップs11)、周波数帯として第1の周波数帯を設定し(図6のステップs12)、次に伝送速度を第1の周波数帯の最高伝送速度(11Mbps)に設定(図6のステップs13)する制御を行う。また、通信制御部CC1は、テストパタン信号を送信する制御信号をMAC部MC1に送信する。
【0046】
これを受けてMAC部MC1は、クライアント2(#1)への試験信号としてPLCPヘッダの“シグナル”フィールドに伝送速度「11Mbps」の設定とMACヘッダに「試験信号」と送信先クライアント2(#1)のアドレスの設定を行う。また、データフレームにメッセージの代わりに、誤り測定の為のテストパタン信号(試験データ)を搭載した試験信号を作成して無線送受信部TRX1に出力する。
【0047】
アクセスポイント1の無線送受信部TRX1は、通信制御部CC1から送信指示の制御信号を受け取り、且つMAC部CC1から上記の試験信号(パケットデータ)を受け取ると、第1の周波数帯の最高伝送速度(11Mbps)で試験信号の電波をアンテナから各クライアント2(#1〜#n)に送信する(図6のステップs14)。そして、通信制御部CC1は、クライアント2(#1)からの応答を待つ(図6のステップs15)。
【0048】
一方、クライアント2(#1)は、当初待機状態にあるが(図6のステップs16)、アクセスポイント1からの第1の周波数帯で送信された試験信号は、クライアント2(#1)の無線送受信部TRX3によって受信され、第1の周波数帯での最低伝送速度(この例では1Mbps)でPLCPプリアンブルおよびPLCPヘッダの復調を始める。
【0049】
すると、無線送受信部TRX3は、試験信号のパケットの先頭に有って、第1の周波数帯での最低伝送速度で送信されているPLCPヘッダの“シグナル”フィールドから、アクセスポイント1が設定した伝送速度が最高速度の11Mbpsであると判断すると、MACヘッダ以降の信号を11Mbpsで復調し、MAC部MC2に復調した信号を出力する。
【0050】
そして、MAC部MC2は、MACヘッダにあるアドレスを判読して(図6のステップs17)、自分宛の信号であれば(図6のステップs18がYesの場合)、更にその試験信号のデータフレームに設定されたテストパタン信号をクライアント2(#1)が所有する誤り検出のためのテストパタンと照合して、試験信号の誤り率を測定する(図6のステップs19)。
【0051】
また、ステップs18でクライアント2(#1)は、送信先アドレスから自分宛の信号ではではないと判断した場合は、そのまま待機状態(ステップS16)へ戻る。
【0052】
そして、クライアント2(#1)の通信制御部CC2は、モニタしていた試験信号の指定された伝送速度における誤り率の測定結果から、所定の誤り率(例えばビット誤り率が1万分の1以下)の基準に達していれば、MAC部MC2にACK応答をするよう指示する(図6のステップs20がYesの場合)。
【0053】
そして、MAC部MC2は、MACヘッダの送信先アドレスとして「アクセスポイント1」および送信元アドレスとして「自分のアドレス」、ならびに返送するメッセージとして「ACK応答」を設定し、またPLCPヘッダの“シグナル”フィールドに受信に成功した「伝送速度(11Mbps)」を書き込んで、無線送受信部TRX3にパケットを出力する。
【0054】
クライアント2(#1)の無線送受信部TRX3は、通信制御部CC2からACK応答を指示する制御信号を受け取り且つ、MAC部MC2から上記のパケットを受け取ると、当該パケットのPCLPプリアンブルおよびPCLPヘッダを第1の周波数帯での最低伝送速度(この例では1Mbps)で、またMACヘッダ以降のACK応答を指定された伝送速度(11Mbps)でアクセスポイント1に送り返す(図6のステップs21)。
【0055】
また同時に、クライアント2(#1)の通信制御部CC2は、その伝送速度をアクセスポイント1に送信する際の送信伝送速度として内部メモリに記憶する(図6のステップs22)。
【0056】
アクセスポイント1の無線送受信部TRX1は、クライアント2(#1)からあるACK応答信号を受信すると、そのACK応答信号のPLCPヘッダを最低伝送速度で復調してPLCPヘッダを判読し、又、MACヘッダを“シグナル”フィールドで設定されている伝送速度(11Mbps)で復調して、そのパケットをMAC部MC1に出力する。
【0057】
アクセスポイント1のMAC部MC1は、受け取ったパケットが自分宛のデータであることを確認すると、ACK応答信号を送った送信元アドレス、即ち、クライアント2(#1)のアドレスを通信制御部CC1に通知する。
【0058】
すると、通信制御部CC1は、このACK応答信号に設定されている伝送速度、即ち、第1の周波数帯の最高伝送速度(11Mbps)をクライアント2(#1)の伝送速度として通信管理テーブル5に記録する(図6のステップs24)。
【0059】
通信管理テーブル5のクライアント毎の伝送速度測定表5bに記録した伝送速度が第1の周波数帯であることを確認すると(図6のステップs25がYesの場合)、引き続きクライアント毎の伝送速度測定表5bの第2の周波数帯における最高伝送速度(54Mbps)を記録するための測定に着手する。
【0060】
そしてアクセスポイント1の通信制御部CC1は、周波数帯を第2の周波数帯に設定し(図6のステップs26)、伝送速度を第2の周波数帯の最高伝送速度(54Mbps)に設定した(図6のステップs27)試験信号を再び各クライアント2(#1〜#n)に送信する(図6のステップs14)。
【0061】
以降の処理は、第1の周波数帯での測定と同様なのでその説明は省略する。
【0062】
一方、ステップs20で、最初に第1の周波数帯の最高伝送速度(1Mbps)で送信された試験信号をクライアント2(#1)が受信したとき、所定の誤り率より悪い時は(図6のステップs20がNoの場合)、クライアント2(#1)の通信制御部CC2は、次の試験信号を待つことを示す制御信号を無線送受信部TRX3とMAC部MC2に出力し、クライアント2(#1)は待機状態に入っている。
【0063】
また、ステップs15でアクセスポイント1の通信制御部CC1は、クライアント2(#1)からの応答を待ち状態から、一定時間待ってもクライアント2(#1)からのACK応答信号がないと設定した伝送速度(ここでは最高伝送速度)での通信は出来ないと判断する(図6のステップs15がNoの場合)。
【0064】
そして、アクセスポイント1の通信制御部CC1は、通信に失敗した第1の周波数の伝送速度より1段階伝送速度を下げた試験信号のパケットを生成して同様に送信する(図6のステップs23)。
【0065】
アクセスポイント1の通信制御部CC1は、クライアント2(#1)からACK信号を受け取るまでこれを繰り返し、クライアント2(#1)からACK応答信号のあった伝送速度を通信管理テーブル5に記録して(図6のステップs24)、第2の周波数帯における最高伝送速度の測定(図6のステップs26)に着手する。
【0066】
もし、第1の周波数帯でクライアント2(#1)から1回もACK応答信号を受信できなければ、アクセスポイント1の通信制御部CC1は、クライアント2(#1)とは第1の周波数帯では通信不可と通信管理テーブル5のクライアント毎の伝送速度測定表5bに記録して、第2の周波数帯における最高伝送速度の測定に着手する。(図6のステップs26)
そして、第2の周波数帯においても、アクセスポイント1の無線送受信部TRX2を用いて、第1の周波数帯の場合と同様の手順で、第2の周波数帯における、クライアント2(#1)の伝送速度を測定し、その結果を通信管理テーブル5のクライアント毎の伝送速度測定表5bに記録する。
【0067】
次にアクセスポイント1は、クライアント2(#1)の伝送速度の記録が終了すると(図6のステップs25がNoの場合)、残りのクライアント2(#2〜#n)についても、同様の手順を繰り返してこの第1、第2の周波数帯での伝送速度を測定し、通信管理テーブル5のクライアント毎の伝送速度測定表5bに記録する。
【0068】
図7は、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)の間で測定された伝送速度を通信管理テーブル5に記録した、クライアント毎の伝送速度測定表5bの図である。
【0069】
なお、本実施例では、各クライアント2(#1〜#n)の間の伝送速度の測定は、ユニキャストもしくはポーリングに類する方法で測定する方式を示したが、この他、例えば、マルチキャスト(同報)もしくはコンテンション等の方式で一斉にクライアント2(#1〜#n)を呼出し、応答の有ったクライアント2(例えば#1)から先に測定する方法をとってもよい。
【0070】
アクセスポイント1は、各クライアント2(#1〜#n)との伝送速度の調査を終えると、引き続いてこの通信管理テーブル5に記録された伝送速度測定表5bと周波数帯・伝送速度設定表5aとを参照して、最終的に各クライアント2(#1〜#n)との通信の接続(コネクション)に対して、伝送速度を設定する。
【0071】
例えば、各クライアント2(#1〜#n)で、それぞれが、自分の伝送可能な最高の速度でアクセスポイント1との通信を行うように無線LANシステムを動作させるので有れば、各クライアント2(#1〜#n)は、クライアント毎の伝送速度測定表5bに記録された第1および第2の周波数帯のどちらか速い方の伝送速度をアクセスポイント1との通信速度に設定する。
【0072】
即ち、図7の伝送速度測定表5bにおいて、例えば、各クライアント2(#3)では、測定された伝送速度は第1の周波数帯では5.5Mbps、第2の周波数帯では24Mbpsであったとすると、第2の周波数帯の24Mbpsがアクセスポイント1との伝送速度として設定される。
【0073】
それらの各クライアント2(#1〜#n)に対して設定されたアクセスポイント1との伝送速度は、最高伝送速度測定表5bと同様に通信管理テーブル5に各クライアント2(#1〜#n)との間のクライアント・設定伝送速度表5cとして記録される。
【0074】
図8は、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)との間で設定された伝送速度を記録した通信管理テーブル5のクライアント・設定伝送速度表5cの一例である。
【0075】
このクライアント2(#1〜#n)に対する設定伝送速度が通信管理テーブル5のクライアント・設定伝送速度表5cに設定されると、アクセスポイント1は直ちに、設定された伝送速度を各クライアント2(#1〜#n)毎に通知する為、伝送速度を測定する時の試験信号と同様のパケットを生成して送信する。
【0076】
即ち、各クライアント2(#1〜#n)では、この伝送速度を通知するパケットを受信すると、その指定された伝送速度(即ちPLCPヘッダの“シグナル”フィールドに記載された伝送速度)を読み出して、アクセスポイント1に対して送信する伝送速度として内部メモリに記憶・設定する。
【0077】
なお、上記の説明では伝送速度の測定は、アクセスポイント1からクライアント2(#1〜#n)への下り方向についてのみ行っているが、クライアント2(#1〜#n)からアクセスポイント1への上り方向での伝送速度の設定に付いては、原則として、下り方向に設定された伝送速度と同一の伝送速度を設定する。
【0078】
もし、下り方向に比し、上り方向の電波伝播条件が悪く送信の伝送速度を遅くしなければならない場合は、メッセージ信号を送受信する手順において、アクセスポイント1が各クライアント2(#1〜#n)から受信したデータの誤り率の測定によって行うアクセスポイント1からのACK応答により伝送速度の設定変更を行う。
【0079】
即ち、各クライアント2(ここでは、#1)は、アクセスポイント1からの自分宛のACK応答を受信できなければ、クライアント2(#1)は、ACK応答を受信するまで送信の伝送速度を設定値より下げる処理を行ない伝送速度を変更できるので、上り方向の伝送速度の測定は行なわない。
【0080】
以下、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)との間の通信の伝送速度が設定され無線LANシステムが定常的な運用状態となった後、データを送受信する場合、即ち、メッセージデータを送受信する場合の無線LANシステムの動作について説明する。
【0081】
本発明の無線LANシステムでは、パケットデータを送受信する手順等は、通信制御部CC1(クライアント2ではCC2)が制御する。この送受信制御手順については、例えばIEEE802.11a、IEEE802.11b等の標準に準じているので、その詳細な説明は省略するが、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)の動作概要は以下の通りである。
【0082】
最初にアクセスポイント1が、ネットワーク3からデータを受け取り、クライアント2(#1)に送信する場合を説明する。
【0083】
アクセスポイント1において、ネットワークインタフェースIF1がネットワーク3から受信したメッセージのデータは、レベル変換などを行ない、更にTCP/IP手順に従い、MAC部MC1に出力される。
【0084】
すると、MAC部MC1は、そのデータに送信元「アクセスポイント1」および受信先「クライアント2(ここでは、#3)」のアドレスと送信されるパケットデータがメッセージのデータであることをMACヘッダに設定し、又、同時に通信管理テーブル5のクライアント・設定伝送速度表5cに記載されているその通信相手のクライアント2(#3)に設定された伝送速度「24Mbps」をPLCPヘッダの“シグナル”フィールドに設定したパケットデータを作成する。
【0085】
そして、第2の周波数帯の「24Mbps」で送信するので無線送受信部TRX2に、ベースバンドでパケット化されたデータ信号を出力する。次に無線送受信部TRX2は、PLCPプリアンブルとPLCPヘッダを第2の周波数帯の最低速度6Mbpsで、またMACヘッダとメッセージのデータを24Mbpsの伝送速度で送信する。
【0086】
クライアント2(#1)では、このメッセージ信号(パケットデータ)を受信した無線送受信部TRX4が復調した信号から、MACヘッダ情報を読取り、自分向けのパケットデータと判断すると、24Mbpsのメッセージのデータをベースバンド信号に復調し、端末機器インタフェース4を介して端末機器等4(例えば#3)へメッセージのデータを出力する。
【0087】
また、クライアント2(#3)は同時に、MACヘッダにACK応答を設定してACK応答信号をアクセスポイント1に返送する。
【0088】
次に、クライアント2(#1)からアクセスポイント1にメッセージ信号のパケットデータを送信する場合を説明する。
【0089】
クライアント2(#3)において、端末機器インタフェースIF2が端末機器等4から受信したメッセージのデータは、レベル変換などを行ない、更にTCP/IP手順に従い、MAC部MC2に出力される。
【0090】
すると、MAC部MC2は、そのメッセージのデータに送信元「クライアント2(#3)」および受信先「アクセスポイント1」のアドレスと送信パケットデータがメッセージのデータであることをMACヘッダに設定する。
【0091】
又、アクセスポイント1から設定された「伝送速度」(例えば24Mbps)をPLCPヘッダのシグナルフィールドに設定したパケットデータを作成する。
【0092】
そして、第2の周波数帯の24Mbpsで送信するので無線送受信部TRX4に、ベースバンドでパケット化されたデータ信号を出力する。
【0093】
そして無線送受信部TRX4は、PLCPプリアンブルとPLCPヘッダを第2の周波数帯の最低速度6Mbpsで、またMACヘッダとメッセージのデータを24Mbpsの伝送速度で送信する。そしてこの時、クライアント2(#3)の通信制御部CC2は、アクセスポイント1からのACK応答信号を待つタイマを起動する。
【0094】
アクセスポイント1では、このメッセージ信号(パケットデータ)を受信した無線送受信部TRX2が復調した6MbpsのPLCPヘッダから、MACヘッダ情報を判読して、アクセスポイント1宛のデータ信号と判断すると、24Mbpsのメッセージ信号のパケットデータをベースバンド信号に復調し、端末機器インタフェース4を介して端末機器もしくはホストコンピュータ等へデータを出力する。また、アクセスポイント1は、同時に、MACヘッダにACK応答を設定したACK応答信号をクライアント2(#3)に返送する。
【0095】
そしてクライアント2(#3)はこのACK応答信号を受信すると、送信作業を終了し、待機状態に入る。
【0096】
ここでもし、アクセスポイント1でメッセージ信号(パケットデータ)が正しく受信できずタイマの設定時間内にクライアント2(#3)からACK応答が返送されないと、クライアント2(#3)の通信制御部CC2は、メッセージ信号の送信に失敗したと判断する。そして、クライアント2(#3)の通信制御部CC2は、第2の周波数帯において伝送速度を24Mbpsより1段低く18Mbpsに設定し同じメッセージのデータをパケット化して再送信する。(この際当然、PLCPヘッダの“シグナル”フィールドには「18Mbps」が設定される。)
そして、もし、再送信しても再びACK応答の受信に失敗すれば、更に設定する伝送速度を下げてメッセージ信号を送信する。この処理をACK応答が受信できるまで繰り返すこと(フォールバック機能)によって、アクセスポイント1とクライアント2(#1)との間の通信が電波伝播条件の影響で上下方向で伝送速度が異なるような状態でも通信できるようにしている。
【0097】
以上のように、本発明では、アクセスポイント1が通信管理テーブル5を参照して各クライアント2(#1〜#n)との伝送速度を設定することにより、各クライアント2(#1〜#n)との伝播条件の違いに対応して無線LANシステムを様々な伝送速度を設定し運用することが出来る。
【0098】
次に、通信管理テーブル5を参照して周波数帯および伝送速度を各種の条件に対応して設定する手順について説明する。
【0099】
ある特定のエリヤ内で、無線LANシステムを運用する場合、各クライアント2(#1〜#n)は、同じ周波数帯を共用して通信する。このため、送信するタイミングが重複し、衝突しないように、例えば、CSMA/CA(キャリヤ センス マルチプル アクセス/コリジョン アボイダンス:キャリヤ検出・衝突回避)の手段を用いて衝突が発生しない対策が採られている。
【0100】
従って、同一の周波数帯を各クライアント2(#1〜#n)が順次交替して利用するため、無線LANシステムに収容するクライアント2の数が増加すると、単位時間あたりの各クライアント2(#1〜#n)毎に分け与えられる送信時間は短くなるので、実効伝送速度(スループット)が低下する。
【0101】
また、伝送速度、即ち、変調速度は、その変調速度に対応する多値変調方式によって決定されるが、多値変調の性能は、変調速度が高くなるほど、例えば、受信電界強度や混信など電波伝播環境の影響を受けやすい。このため、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)の通信可能な最高伝送速度は全て一様ではなく、各クライアント2(#1〜#n)の得られるスループットは各々異なり、公平でないことも多い。
【0102】
その結果、伝送速度が遅いクライアント2では、通信データ量が大きくなると1回の許容時間内に全てのデータが通信出来ず、何回にも分けて送受信することになり、伝送速度が速いクライアント2に比べて長い時間がかかる。
【0103】
例えば図7において、クライアント2(#2)では第1周波数帯での伝送速度は2Mbpsであるが、第2周波数帯では通信できない「不可」であることを示している。その他のクライアント2(#1)、(#3〜#6)についても同様に伝送速度が設定されている。また、クライアント2(#5)は、第1周波数帯での伝送速度が1Mbpsであり、他のクライアント2に比べて遅くなっている。これは、例えば、クライアント2(#5)が置かれた位置が悪く、良い電波伝播条件が得られない等の原因により第1周波数帯では1Mbpsでしか送受信できず、更に第2周波数帯では、通信が出来なかったことを示している。
【0104】
更に、図7からは、クライアント2(#1)は、第2周波数帯での高速伝送速度54Mbpsの得られているのに比べ、クライアント2(#5)は、第1周波数帯での最低伝送速度1Mbpsしか得られず、クライアント2(#1)と(#5)の間で著しく不公平が生じていることが判る。
【0105】
このような無線LANシステムを運用するにあたっては、アクセスポイント1とクライアント2(#1〜#n)との間の伝送速度を、そのまま無線LANシステムで使用するか否かについて、次のように処理される。
【0106】
即ち、アクセスポイント1にアクセスしているクライアント2の数が少なく、また送受信する通信データ量が少ないような、小さいトラフィックで運用されていれば、各クライアント2は許される最高伝送速度で通信しても他のクライアン2の通信に対して大きな影響は与えない。
【0107】
しかし、多数のクライアント2が一斉に通信する場合、もしくは少数のクライアント2が大量のデータを連続的に繰り返して送受信するような大きなトラフィックで運用されている場合には、全てのクライアント2が公平に無線LANシステムで通信できるようにしなければならない。
【0108】
そこで本発明では、高い伝送速度を得ることが可能なクライアント2であっても低い伝送速度に設定することによりクライアント2のスループットに制限をかけ、他のクライアント2にも通信可能な時間を配分して、公平性の有る無線LANシステムを提供する。
【0109】
図9は、アクセスポイント1が各クライアント2(#1〜#n)間のスループットに公平性を持たせるため、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)との間の伝送速度を設定する動作手順を示したフローチャートである。
【0110】
図10は、アクセスポイント1が想定スループットを算出し、各クライアント2(ここでは、#7〜#10)との間の伝送速度を設定する手順を段階的に示した表である。ここで想定スループットとは、クライアント2とアクセスポイント1との間の物理的な変調速度(即ち、伝送速度)ではなく、複数のクライアント2が同一周波数帯を共用する時の実効伝送速度(スループット)を推定した伝送速度である。
【0111】
図10のフラグ欄で「適用」は、周波数帯および伝送速度ならびに想定スループットの使用を表し、「非適用」は、周波数帯および伝送速度ならびに想定スループットの不使用を表している。
【0112】
無線LANシステムが起動すると、アクセスポイント1は各クライアント2(#7〜#10)との間で伝送速度の測定を行い、設定する伝送速度と想定スループットを算出し、所定のスループット条件に合うように伝送速度を選択して設定する。
【0113】
図9では、各クライアント2(#7〜#10)のスループットに公平を図るため、想定スループットの最大値と最小値の差分値が5Mbps以下になるよう、アクセスポイント1の伝送速度設定のフローチャートが示されている。
【0114】
なお、初期設定される想定スループットの差分値については、5Mbpsに限ることなく無線LANの運用形態・運用条件に応じて設定するものであって、例えば、トラフィックの量に応じて設定するようにしても良い。
【0115】
初めにアクセスポイント1は、クライアント(#7〜#10)との間の伝送速度を測定すると、伝送速度測定表5bを参照して各クライアント2(#7〜#10)との想定スループットを算出する(図9のステップs101)。
【0116】
図10(a)では、クライアント2(#7)は、第1周波数帯では11Mbpsの伝送速度で、第2周波数帯では36Mbpsの伝送速度で通信可能であることが確認され、実際の通信は第2周波数帯の36Mbpsで送受信を行うよう設定されている。また、第2周波数帯で通信をするクライアント2は(#7)と(#8)の2つで有ることから、クライアント2(#7)の想定スループットは、36÷2=18(Mbps)であることを示している。
【0117】
また、他のクライアント2(#8〜#10)についても、クライアント2(#7)と同様に周波数帯と伝送速度が設定され、それに対応する想定スループットが示されている。
【0118】
そこで、想定スループットの最大値と最小値の差分を求めると、最大値はクライアント2(#7)の「18Mbps」で、最小値はクライアント2(#10)の「2.75Mbps」であり、18−2.75=15.25(Mbps)である。
【0119】
したがって、想定スループットの最大値と最小値の差が5Mbps以上と判断される(図9のステップs102がYesの場合)。
【0120】
そこで最大の想定スループットを有するクライアント2(#7)の伝送速度を一段階フォールバック(伝送速度を低く切替える)(図9のステップs103)させ、その時の想定スループットを算出する(図9のステップs104)。そして想定スループットの最大値と最小値の差分が設定値の5Mbps以下になるまでこの処理を繰り返す。
【0121】
図10(b)ではクライアント2(#7)の第2周波数帯の伝送速度を24Mbpsにフォールバックしたが、想定スループットの差が12−2.75=9.25となり5Mbps以下にならない。そこで図10(c)に示すように、伝送速度を12Mbpsにフォールバックさせると、想定スループットの差が6−2.75=3.25となり、5Mbps以下になる。これにより、クライアント2(#7)とアクセスポイント1との間の伝送速度が12Mbpsに設定される(図9のステップs105)。
【0122】
そして、アクセスポイント1は、クライアント・設定伝送速度表5cに相当する図10(d)に示すクライアント・設定伝送表を、通信管理テーブル5に記憶させる。
【0123】
また、想定スループットの最大値と最小値の差分が5Mbpsを超えるよう設定されたクライアント2が他にあれば、当該クライアント2についてもクライアント2(#7)同様にアクセスポイント1との間の伝送速度を12Mbpsに設定する。
【0124】
このように本発明によれば、各クライアント2(#1〜#n)間でのスループットを揃えて、各クライアントが共用している周波数帯域での通信を少数のクライアントが独り占めするような送受信を防いで各クライアント間で公平化を図ることができる。
【0125】
次に、トラフィック量が多い場合でも、特定のクライアント2に対しては、出来る限りスループットを確保しておきたい要求に対応する処理について説明する。
【0126】
本発明では、無線LAN上のトラフィック量を監視することにより、各クライアント2(#1〜#n)の伝送速度を設定することを可能とする。
【0127】
即ち、トラフィック量が少ない場合には、図8のクライアント・設定伝送速度表5cに示す高いスループットでデータを通信できるように、クライアント2(#1〜#n)の伝送速度を設定して通信する。一方、トラフィック量が多い場合には、例えば、全てのクライアント2(#1〜#n)で公平に同じ伝送速度で通信を行うように、各クライアント2(#1〜#n)の伝送速度を最も低いクライアントの伝送速度(1Mbps)に設定にして通信することも出来る。
【0128】
図11は、クライアント2(#1〜#6)とアクセスポイント1との間の各種の設定モードにおける伝送速度の設定表(以下、伝送設定モード表5dと称する)例である。
【0129】
ここで、「フリー」とは、図8のクライアント設定・伝送速度表5cと同じ設定であり、各クライアント2(#1〜#6)とアクセスポイント1との間で測定された最適な伝送速度の値を採用している。
【0130】
また、「共有1」における伝送速度は、上述した方法で想定スループットを求め、想定スループットの最大値と最小値の差分を5Mbps以下とした場合の設定値である。
【0131】
「共有2」における伝送速度は、最適な伝送速度が48Mbps以上であれば、設定伝送速度を2段フォールバックさせ、12〜36Mbpsであれば、設定伝送速度を1段フォールバックさせた値としている。また、想定スループットは複数のクライアント2が同時にアクセスする確率を考慮した予測数で除した例である。ここでは、想定スループットは設定伝送速度の約60%として算出している。
【0132】
「優先」における伝送速度は、特定のクライアント2(ここでは、#1)に対しては54Mbpsを設定し、ベストエフォートとしての伝送速度が得られるようにしたもので、残りのクライアント2(#2〜#6)に付いては、低い伝送速度に制限して設定している。
【0133】
また、想定スループットは、「フリー」、「優先」の2つのモードにおいては、信号処理上使用しないので算出していない。
【0134】
アクセスポイント1が上記の設定モードのうち、各クライアント2(#1〜#6)をどのモードにより伝送速度を設定するか、予め設定してもよい。
【0135】
次に、無線LANがトラフィック量の条件に合わせて、公平性を図る運用や、特定のクライアント2に優先性を持たせた運用を、上記の設定モードから選択して行う方法について説明する。
【0136】
なお、無線LANシステムは、アクセスポイントの電源とクライアント2(#1〜#6)の電源が投入され、図6の手順に従って、通信を開始するものとして説明を行う。
【0137】
アクセスポイント1は、トラフィック量を調べるために、例えば、通信制御部CC1によって、MAC部MC1が無線送受信部TRX1およびTRX2との間で設定した時間内(例えば1秒間)に入出力したデータのビット数を監視している。そして、単位時間あたりの情報伝送量(トラフィック量と換算する情報量、例えばメガバイト/秒)に応じて、上記設定モードを選択し、各クライアント2(#1〜#6)に対して伝送速度を設定する。
【0138】
図12は、トラフィック量の大きさに基づいて分類(ランク1〜ランク4)し、上記設定モードに対応させた一例を示す。
【0139】
図12の伝送モード選択表において「ランク1」は、トラフィック量が小さく、「フリー」モードで伝送してよい場合、「ランク2」は、平均的な「共有2」を適用する運用の形態である。例えば、「ランク1」では、トラフィックが1メガバイト/秒以下で、各クライアント2(#1〜#6)が、任意の時間に送受信してもほとんど衝突の発生もなく、アクセスポイント1との間で測定した最高の伝送速度、即ちクライアント・設定速度表5cを適用する場合である。
【0140】
また、「ランク2」は、例えば、1〜5メガバイト/秒のトラフィック量で、クライアント2で速い伝送速度が設定可能であっても、伝送速度が速いクライアント2に対しては、伝送速度に制限を設けた設定をして、想定スループットも比較的高く予測している。
【0141】
同様に、「ランク3」は、「共有1」を適用する場合の形態である。この「ランク3」はトラフィック量が例えば5メガバイト/秒以上で、想定スループットが低く見積もられている時など、各クライアント2(#1〜#6)毎の伝送速度は遅くても確実に通信できるような公平性を重視する場合に適用される。
【0142】
「ランク4」は、どのようなトラフィック量であっても特定のクライアント2(#1)に優先的な通信を確保させたい要求が有る場合に適用される運用の形態である。この運用は、無線LAN管理者等によって設定される。
【0143】
アクセスポイント1は、システム起動の直後は、トラフィック量の測定は行っおらず、各クライアント2(#1〜#6)とは、各クライアントとの試験で測定した伝送速度で通信を行っているとする。
【0144】
次いで、アクセスポイント1は、トラフィック量のモニタを開始して通信制御部CC1がMAC部MC1が無線送受信部TRX1およびTRX2と送受信したビット数をカウントし、例えば、2メガバイト/秒であったとする。そして、通信制御部CC1は、通信管理テーブル5の伝送モード選択表5eを参照することにより「ランク2」の運用条件に対応すると判断する。
【0145】
この「ランク2」の運用条件は「共通2」の設定モードであると判断し、各クライアント2との伝送速度を下げなければならないことが分る。そこで、アクセスポイント1は、例えば、クライアント2(#1)に対して伝送速度を54Mbpsから36Mbpsに下げるよう、変更設定を行う。その詳細は、前述の伝送速度測定後のクライアント2との速度設定の手順、もしくはメッセージデータの送信手順で説明されている手順と同様であるので省略する。
【0146】
同様にして、クライアント2(#2〜#6)についても、伝送速度の設定を変更する。
【0147】
なお、トラフィック量の抽出方法については、例えば、一定の時間内に無線LANシステムにアクセスしてきたクライアント2の数、もしくはこのアクセスしてきたクライアント2の数とそれらに対する想定スループットから推定するなど、無線LANシステムの運用条件等に応じて適宜、判定方法や手段をあらかじめ定める。
【0148】
また、無線LANシステムに接続された網監視制御装置6により、アクセスポイント1と各クライアント2(#1〜#n)の通信を監視することにより行い、網監視制御装置6がアクセスポイント1の動作条件等を設定し、各クライアント2(#1〜#n)との間の伝送速度をアクセスポイント1が設定するようにしてもよい。
【0149】
また、伝送設定モードの設定条件、設定方法、および項目等は、無線LANシステムの運用条件に応じて適宜設定してもよい。
【0150】
例えば、図11の伝送設定モード表5dのクライアント2(#1)のように、無線LANシステムにリモート監視の画像やIP電話等の音声を専用に伝送するクライアントがあれば、これらの画像信号や音声信号はリアルタイム性を必要とするので、クライアント2(#1)における遅延の発生を防ぐため「優先」モードが適用される。
【0151】
本発明の無線LANシステムでは、アクセスポイントと各クライアントの間で試験通信した周波数帯・伝送速度を記録したクライアント・設定伝送速度表5cと、それらの周波数帯において設定された伝送速度を記録した伝送設定モード表5dおよびその無線LANのトラフィック量と伝送モードを対照させた伝送モード選択表5eを参照してそれぞれの条件に応じてアクセスポイントと各クライアントの伝送速度を設定することができる。
【0152】
そして、本発明の無線LANシステムでは、複数の周波数帯を利用し、伝送容量不足の改善と、各クライアントに伝播条件の違いや無線LANの運用条件等に対応して、各クライアント間での伝送速度の公平化を図ることができるのみならず、特定のクライアントに優先度を持たせる多様な伝送速度を設定することができる。
【0153】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の無線LANシステムによれば、複数の周波数帯を利用し、伝送容量不足の改善と、各クライアントに伝播条件の違いや無線LANの運用条件等に対応してスループットの設定が可能になり、各クライアント間での伝送速度の公平化を図ることができ、または特定のクライアントに優先度を持たせる等の多様な伝送速度を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による無線LANシステムの構成を示すブロック図。
【図2】本発明の無線LANシステムのアクセスポイントの構成要素を示すブロック図。
【図3】本発明の無線LANシステムのクライアントの構成要素を示すブロック図。
【図4】通信管理テーブルに記録された周波数帯・伝送速度設定表の例の図。
【図5】アクセスポイントとクライアントとの間で送受信されるパケットの構成を説明した図。
【図6】アクセスポイントとクライアントとの間で可能な最高伝送速度の測定を行う手順を示したフローチャート。
【図7】通信管理テーブルに記録された最高伝送速度測定表の例の図。
【図8】通信管理テーブルに記録されたクライアント・設定伝送速度表の例の図。
【図9】各クライアントとアクセスポイントの間のスループットに公平性を持たせるための動作手順を示すフローチャート。
【図10】各クライアントとアクセスポイントとの間の公平性の有るスループット設定を行う手順の例を説明する図。
【図11】通信管理テーブルに記録された伝送設定モード表の例の図。
【図12】通信管理テーブルに記録された伝送モード選択表の例の図。
【符号の説明】
1 アクセスポイント
2 クライアント
3 ネットワーク
4 端末機器等
5 通信管理テーブル
5a 周波数帯・伝送速度設定表
5b クライアント毎の伝送速度測定表
5c クライアント・設定伝送速度表
5d 伝送設定モード表
5e 伝送モード選択表
6 網監視制御装置
TRX1、TRX2、TRX3、TRX4 無線送受信部
MC1、MC2 MAC部
Claims (12)
- 1つ又は複数の端末機器と接続される複数のクライアントと、このクライアントとの間で第1の周波数帯および第2の周波数帯のいずれかの周波数帯を用いて無線通信を行うアクセスポイントとで構成される無線LANシステムにおいて、
前記アクセスポイントから前記複数のクライアントを順次指定して、前記第1および第2の周波数帯のそれぞれに対応して段階的に設定された複数の伝送速度の中から当該クライアントと通信可能な伝送速度を試験する試験手段と、
前記試験手段によって得られた伝送速度から前記複数のクライアント毎の伝送速度を設定してメモリに記憶する記憶手段と、
前記メモリに記憶された前記複数のクライアント毎の伝送速度から同じ周波数帯を共用する時の実効伝送速度を算出する算出手段と、
前記実効伝送速度の最大値と前記設定された伝送速度の最小値の差が予め設定された値以上の場合、当該最大値の実効伝送速度を持つクライアントに設定されている前記伝送速度を一段下げた伝送速度に再設定する再設定手段とを
具備することを特徴とする無線LANシステム。 - 前記実効伝送速度は、前記設定された伝送速度を同じ周波数帯で通信するクライアントの数で除した値であることを特徴とする請求項1記載の無線LANシステム。
- 前記一段低い伝送速度の前記実効伝送速度を求め、その実効伝送速度と前記伝送速度の最小値の差が予め設定された値以上の場合、前記再設定手段を繰り返し実行することを特徴とする請求項1記載の無線LANシステム。
- 1つ又は複数の端末機器と接続されている複数のクライアントと、このクライアントと第1の周波数帯および第2の周波数帯のいずれかの伝送速度に従い無線LAN通信を行うアクセスポイントとで構成される無線LANシステムの通信制御方法において、
前記アクセスポイントから前記複数のクライアントを順次指定して、前記第1および第2の周波数帯の複数の伝送速度の中から当該クライアントと通信可能な伝送速度を試験し、
この試験によって得られた伝送速度から前記複数のクライアント毎の伝送速度を設定してメモリに記憶し、
前記メモリに記憶された前記複数のクライアント毎の伝送速度から同じ周波数帯を共用する時の実効伝送速度を算出し、
前記実効伝送速度の最大値と前記設定された伝送速度の最小値の差が予め設定された値以上の場合、当該最大値の実効伝送速度を持つクライアントに設定されている前記伝送速度を一段低い伝送速度に再設定する
ことを特徴とする無線LANシステムの通信制御方法。 - 前記実効伝送速度は、前記設定された伝送速度を同じ周波数帯で通信するクライアントの数で除して求めることを特徴とする請求項4記載の無線LANシステムの通信制御方法。
- 前記一段低い伝送速度の前記実効伝送速度を求め、その実効伝送速度と前記伝送速度の最小値の差が予め設定された値以上の場合、再設定を繰り返し実行することを特徴とする請求項4記載の無線LANシステムの通信制御方法。
- 1つ又は複数の端末機器と接続される複数のクライアントと、このクライアントとの間で第1の周波数帯および第2の周波数帯のいずれかの周波数帯を用いて無線通信を行うアクセスポイントとで構成される無線LANシステムにおいて、
前記アクセスポイントから前記複数のクライアントを順次指定して、前記第1および第2の周波数帯のそれぞれに対応して段階的に設定された複数の伝送速度の中から当該クライアントと通信可能な伝送速度を試験する試験手段と、
前記試験手段によって得られた伝送速度から前記複数のクライアント毎の第1の伝送速度を設定する設定手段と、
特定のクライアントの伝送速度を速い伝送速度に設定し、他のクライアントの伝送速度を低い伝送速度に設定した第2の伝送速度、および前記第1の伝送速度が前記複数のクライアントに対応して記憶される記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記第1の伝送速度または前記第2の伝送速度を用いて前記アクセスポイントと前記複数のクライアントのデータ通信を行う通信手段とを
具備することを特徴とする無線LANシステム。 - 前記第1の伝送速度から同じ周波数帯を共用する時の実効伝送速度を算出し、その実効伝送速度の最大値と前記第1の伝送速度の最小値から前記第1の伝送速度より平均化された第3の伝送速度を設定して前記記憶手段に記憶し、前記第1の伝送速度または前記第2の伝送速度または前記第3の伝送速度を用いて前記アクセスポイントと前記複数のクライアントのデータ通信を行うことを特徴とする請求項7記載の無線LANシステム。
- 前記アクセスポイントは、
前記アクセスポイントと前記複数のクライアントとの間のトラフィック量を測定する手段を更に有し、
前記第1の伝送速度または前記第2の伝送速度または前記第3の伝送速度の選択は、前記アクセスポイントと前記複数のクライアントとの間のトラフィック量に応じて選択されることを特徴とする請求項7記載の無線LANシステム。 - 1つ又は複数の端末機器と接続されている複数のクライアントと、このクライアントと第1の周波数帯および第2の周波数帯のいずれかの伝送速度に従い無線LAN通信を行うアクセスポイントとで構成される無線LANシステムの通信制御方法において、
前記アクセスポイントから前記複数のクライアントを順次指定して、前記第1および第2の周波数帯の複数の伝送速度の中から当該クライアントと通信可能な伝送速度を試験し、
この試験によって得られた伝送速度から前記複数のクライアント毎の第1の伝送速度を設定し、
特定のクライアントの伝送速度を速い伝送速度に設定し、他のクライアントの伝送速度を低い伝送速度に設定した第2の伝送速度、および前記第1の伝送速度が前記複数のクライアントに対応してメモリに記憶し、
前記メモリに記憶された前記第1の伝送速度または前記第2の伝送速度を用いて前記アクセスポイントと前記複数のクライアントのデータ通信を行う
ことを特徴とする無線LANシステムの通信制御方法。 - 前記第1の伝送速度から同じ周波数帯を共用する時の実効伝送速度を算出し、
その実効伝送速度の最大値と前記第1の伝送速度の最小値から前記第1の伝送速度より平均化された第3の伝送速度を設定して前記メモリに記憶し、
前記第1の伝送速度または前記第2の伝送速度または前記第3の伝送速度を用いて前記アクセスポイントと前記複数のクライアントのデータ通信を行うことを特徴とする請求項10記載の無線LANシステムの通信制御方法。 - 前記第1の伝送速度または前記第2の伝送速度または前記第3の伝送速度の選択は、前記アクセスポイントと前記複数のクライアントとの間のトラフィック量に応じて選択されることを特徴とする請求項10記載の無線LANシステムの通信制御方法。
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