JP2016033098A - ガラス板積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス板表面の清浄度を保ちつつ、積層されたガラス板表面の耐傷性を向上させることができるガラス板積層体を提供する。【解決手段】液晶ディスプレイ用のガラス板と、前記ガラス板に重ねて配される挿入シートを備え、挿入シートは、基準温度25℃での周波数1.0Hzにおける損失正接が0.030〜0.2からなる紙又は樹脂材料である。【選択図】 図2
Description
本発明は、ガラス板積層体に関する。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用のガラス板は、出荷される前や、所定のサイズに切断後に形状加工される前に、複数枚が積層され、この状態で、出荷先や形状加工のための工場等に運搬され、保管される。積層されたガラス板は、隣接して重ねられたガラス板同士が、運搬される際の振動等によって、直接或いはガラス板間に細かなガラス粒やホコリ等の微粒子が介在した状態で擦れることで、ガラス板表面に傷がつくことがある。また、積層されたガラス板は、運搬、保管中に、空気中の有機物がガラス表面に付着して汚染されたり、ガラス板同士が密着して1枚ずつ剥がす作業に支障をきたしたりする。このようなガラス板の傷等の防止のために、従来より、隣接する2枚のガラス板の間に合紙と呼ばれる、紙又は樹脂材料からなる挿入シートを挟み込み、隣接するガラス板を分離することが行われている。挿入シートには、フィルム状のものも含まれる。
従来のこの種のガラス板表面の保護方法として、例えば、特許文献1に示す方法が既に知られている。この方法では、ガラス板の表面を保護するための滑剤を含んだ挿入シートが、ガラス板の表面に押圧されることで、滑剤がガラス板の表面に転写される。ガラス板に転写された滑剤は、積層されたガラス板が運搬される際に、隣接するガラス板同士の接触等によってガラス板表面に傷が生じるのを抑える。
しかし、滑剤がガラス板の表面に転写されることにより、ガラス板表面の洗浄度が低下する場合があった。ガラス板表面を傷から保護しつつ、ガラス板表面の清浄度も同時に実現する、種々の方法で求められている。
本発明は、ガラス板表面の清浄度を保ちつつ、積層されたガラス板表面の耐傷性を向上させることができるガラス板積層体を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、ガラス板積層体であって、
ガラス板と、前記ガラス板に重ねて配される挿入シートを備え、
前記挿入シートは、基準温度25℃での周波数1.0Hzにおける損失正接が0.030〜0.2からなる紙又は樹脂材料である、
ことを特徴とする。
ガラス板と、前記ガラス板に重ねて配される挿入シートを備え、
前記挿入シートは、基準温度25℃での周波数1.0Hzにおける損失正接が0.030〜0.2からなる紙又は樹脂材料である、
ことを特徴とする。
前記挿入シートは、12時間以内での20℃の純水による接触角が2〜30°とするものであってもよい。
本発明によれば、ガラス板表面の清浄度を保ちつつ、積層されたガラス板表面の耐傷性を向上させることができる。
以下、本実施形態のガラス板積層体について説明する。
(挿入シート)
まず、ガラス板積層体に用いられる挿入シートについて説明する。
図1は、挿入シートの縦断面を示す模式図である。
挿入シート1は、ガラス板に重ねて配される合紙であって、紙からなるシート本体2と、シート本体2を製造する過程において形成される密度向上部3と備え、基準温度25℃での周波数0.1〜1.0Hzにおける損失正接が0.030〜0.2であるシート状の物質である。なお、本発明において、挿入シートには、フィルム状のものも含まれる。ここで、基準温度は、25℃に限定されず、ガラス板及び挿入シート1を保管、保存する温度、例えば、0℃〜40℃であってもよい。損失正接は温度依存性を有するが、挿入シート1を使用する温度範囲において、損失正接が0.030〜0.2であればよい。
まず、ガラス板積層体に用いられる挿入シートについて説明する。
図1は、挿入シートの縦断面を示す模式図である。
挿入シート1は、ガラス板に重ねて配される合紙であって、紙からなるシート本体2と、シート本体2を製造する過程において形成される密度向上部3と備え、基準温度25℃での周波数0.1〜1.0Hzにおける損失正接が0.030〜0.2であるシート状の物質である。なお、本発明において、挿入シートには、フィルム状のものも含まれる。ここで、基準温度は、25℃に限定されず、ガラス板及び挿入シート1を保管、保存する温度、例えば、0℃〜40℃であってもよい。損失正接は温度依存性を有するが、挿入シート1を使用する温度範囲において、損失正接が0.030〜0.2であればよい。
シート本体2は、ガラス板間に挟み込む合紙として通常用いられるものであれば、特に制限されず、例えば、パルプ紙や、古紙パルプが配合された再生紙、樹脂発泡シート、樹脂フィルムを用いることができる。パルプ紙は、例えば、酸性紙、中性紙が挙げられ、酸性紙が好ましく用いられる。樹脂発泡シートは、例えば、ポリエチレン(PE)発泡シート、ポリプロピレン(PP)で発泡シートが挙げられ、コストが低い点で、PE発泡シートが好ましく用いられる。なお、樹脂発泡シートに、パルプ紙を配合してもよく、配合割合は任意である。
シート本体2は、洗浄性を確保する観点から、形状加工のための工場では挿入シート剥離後の素板の接触角は、30°以下であるのが好ましく、10°以下であるのがより好ましい。また、パネル生産工場では挿入シート剥離後の接触角が、8°以下であるのが好ましく、5°以下であるのがより好ましい。なお、清浄なガラスの接触角は、2°〜4°である。
ここで、接触角δは、静止液体の自由表面が、固体壁に接する場所で、液面と固体面とのなす角であり、接触角δが小さいほど、固体表面に滴下された液体によりぬれやすい。また、損失正接(損失係数)tanδは、貯蔵引張弾性率(E1)と損失引張弾性率(E2)の比、E2/E1により表され、材料が変形する際に材料がどのくらいエネルギーを吸収するか(熱に変わる)を示す値である。損失正接tanδが大きいほどエネルギーを吸収し、衝撃緩衝試験を行うと、反発弾性率が小さくなり、加振試験においては共振倍率が低くなる。接触角δ及び損失正接tanδは、シート本体2の材質、シート本体2が有する密度向上部3の大きさ及び数によって決定される。密度向上部3の数が多く、シート本体2に占める密度向上部3が微細に分散するほど、接触角δ及び損失正接tanδは大きくなる。
密度向上部3は、シート本体2を製造する過程において、シート本体2に発生する密度が他の領域より高い部分である。シート本体2は、接触角δが30°以下になるよう精製した繊維に所定の薬品等を加えてミキサー等によりかゆ状にほぐされた後、加熱・乾燥処理によりシート状に成形される。シート本体2は、短繊維が寄せ集められたものであり、製造過程においてばらつきが生じるため、密度の濃淡が発生する。密度向上部3は、この製造過程において、短繊維が特に密集し、密度が高くなった部分である。シート本体2が有する密度向上部3の数が多く、シート本体2に占める密度向上部3が微分散するほど、接触角δ及び損失正接tanδは大きくなるため、シート本体2を製造する過程において、密度向上部3を微細に分散し、損失正接tanδが基準温度25℃での周波数1.0Hzにおいて0.030〜0.2になるよう、シート本体2(挿入シート1)が形成される。シート本体2を形成する方法は、既知の方法を用いることができる。
挿入シート1は、ガラス板の大きさに応じて、その大きさが決定され、例えば、500〜2500mm×2500〜3500mm(短手方向長さ×長手方向長さ)の大きさのガラス板に対しては、560〜2560mm×2560〜3560mm(短手方向長さ×長手方向長さ)の大きさのものが用いられる。
挿入シート1は、運送時のスペースの観点から、厚さ0.12mm以下であることが好ましく、0.11mm以下であるのがより好ましい。また、挿入シート1としてパルプ紙又は再生紙などの紙材料を用いる場合は、クッション性の観点から、厚さ0.07mm以上であり、基準温度25℃での周波数1.0Hzにおける損失弾性率が3.0E+8dyn/cm2以下であることが好ましい。
挿入シート1として樹脂フィルムあるいは樹脂発泡シートを用いる場合は、クッション性の理由から、厚み70nm以上のものが好ましく、かつ基準温度25℃での周波数1.0Hzにおける損失弾性率が6.5E+8dyn/cm2以下のものが好ましく用いられ、5.5E+8dyn/cm2以下のものがより好ましく用いられる。
挿入シート1は、運送時のスペースの観点から、厚さ0.12mm以下であることが好ましく、0.11mm以下であるのがより好ましい。また、挿入シート1としてパルプ紙又は再生紙などの紙材料を用いる場合は、クッション性の観点から、厚さ0.07mm以上であり、基準温度25℃での周波数1.0Hzにおける損失弾性率が3.0E+8dyn/cm2以下であることが好ましい。
挿入シート1として樹脂フィルムあるいは樹脂発泡シートを用いる場合は、クッション性の理由から、厚み70nm以上のものが好ましく、かつ基準温度25℃での周波数1.0Hzにおける損失弾性率が6.5E+8dyn/cm2以下のものが好ましく用いられ、5.5E+8dyn/cm2以下のものがより好ましく用いられる。
挿入シート1の表面粗さRaは、挿入シート1の表面及び裏面において、同一又は異なってよい。ガラス板に重ねた時の接触面積が増して空気中の有機物によるガラス汚染を防ぐため、平滑なものが好ましく用いられる。挿入シート1の表面において、表面粗さRaが30μm以下であるのが好ましく、25μm以下であるのがより好ましい。また、その裏面において、表面粗さRaが30μm以下であるのが好ましい。なお、挿入シート1の表面は、表面粗さRaの小さい方をいい、裏面は表面粗さRaの大きい方をいう。なお、本発明において表面粗さRaは、JIS規格(JIS B0601)に準拠するものである。
挿入シート1としてパルプ紙又は再生紙などの紙材料を用いる場合は、後述するようにガラス板を立てかけた状態で保管し、あるいは運搬するとき、隣接するガラス板の上端部分より上方に突出して延びる部分が折れ曲がる合紙倒れを防止する観点から、JAPAN TAPPI No40に準拠する縦方向ガーレー剛度が、0.25mN以上であるのが好ましく、0.40mN以上であるのがより好ましい。また、挿入シート1としてパルプ紙又は再生紙などの紙材料を用いる場合は、後述するガラス積層体を得る際に、柔軟性を確保し、ガラス板表面に対し隙間なく重ねる観点から、基準温度25℃での周波数1.0Hzにおける損失弾性率が、3.0E+8dyn/cm2以下であるのが好ましい。
また、挿入シート1として樹脂フィルムや樹脂発泡シートなどの樹脂材料を用いる場合は、積み付け作業時の破断を防止する観点から、JIS規格(JIS K7127)に準拠するMD方向引張破壊応力が8MPa以上あるのが好ましい。挿入シート1の厚さは、このMD方向引張破壊応力を満たす範囲であれば、特に制限されない。
また、挿入シート1として樹脂フィルムや樹脂発泡シートなどの樹脂材料を用いる場合は、積み付け作業時の破断を防止する観点から、JIS規格(JIS K7127)に準拠するMD方向引張破壊応力が8MPa以上あるのが好ましい。挿入シート1の厚さは、このMD方向引張破壊応力を満たす範囲であれば、特に制限されない。
一般的な紙、樹脂フィルムをガラス板の間に挿入して形成したガラス板積層体では、トラック運搬時やフォークリフト運搬時の振動等により、ガラス板の表面にあるガラス粒等の微粒子が動き、傷となるが、本実施形態にかかる挿入シート1によれば、ガラス板の表面にあるガラス粒等の微粒子を包み込み、振動等の外部からのエネルギーは熱に変換され、防振されるため、ガラス板の表面に傷がつきにくい。
なお、ガラス板の傷の原因となるガラス粒等の微粒子は、例えば、成形されたガラス板の端面に付着していたが、ガラス板を斜めに立てかけて運搬する際に、ガラス板表面に落下してガラス板間に挟まった状態となる微粒子に由来する。あるいは、ガラス板の傷の原因となる微粒子は、保管後洗浄されるまでのホコリ、ガラスの破片等の存在する空間内で運搬され、この空間内で処理される際にガラス板の表面に付着する微粒子である。
(ガラス板積層体)
次に、ガラス板積層体について説明する。図2は、ガラス板積層体の縦断面を示す図である。本発明のガラス板積層体10は、ガラス板20と、ガラス板20に積層される上述の挿入シート1と、を隙間なく備える。
なお、ガラス板20表面に隙間なく挿入シート1を重ねるのは、挿入シート1とガラス板20との隙間の空気中に含まれる意図しない有機物(異物)がガラス板表面に付着し、後の洗浄工程で洗い落とせないことを防ぐためである。
次に、ガラス板積層体について説明する。図2は、ガラス板積層体の縦断面を示す図である。本発明のガラス板積層体10は、ガラス板20と、ガラス板20に積層される上述の挿入シート1と、を隙間なく備える。
なお、ガラス板20表面に隙間なく挿入シート1を重ねるのは、挿入シート1とガラス板20との隙間の空気中に含まれる意図しない有機物(異物)がガラス板表面に付着し、後の洗浄工程で洗い落とせないことを防ぐためである。
(ガラス板)
以下、ガラス板20の概略を説明する。
ガラス板20の厚さは、0.1〜1.5mmであり、好ましい厚さの上限値は、1.1mm、0.7mm、0.5mmであり、最も好ましい上限値は0.4mmである。一方、好ましい厚さの下限値は、0.2mmである。
以下、ガラス板20の概略を説明する。
ガラス板20の厚さは、0.1〜1.5mmであり、好ましい厚さの上限値は、1.1mm、0.7mm、0.5mmであり、最も好ましい上限値は0.4mmである。一方、好ましい厚さの下限値は、0.2mmである。
また、ガラス板20のサイズは、500〜2500mm×2500〜3500mm(短手方向長さ×長手方向長さ)である。
ガラス板20の種類は、ボロシリケイトガラス、アルミノシリケイトガラス、アルミノボロシリケイトガラス、ソーダライムガラス、アルカリシリケイトガラス、アルカリアルミノシリケイトガラス、アルカリアルミノゲルマネイトガラス等が挙げられる。なお、液晶ディスプレイ用ガラス板や有機EL(Electro-Luminescence)用ガラス板としては、アルカリを実質的に含有しない、あるいはアルカリを微量しか含有しないガラス板を適用することが好ましい。
本実施形態のガラス板20は、液晶ディスプレイ用であり、一方の表面は、液晶ディスプレイに用いられる半導体素子アレイ又はカラーフィルタなどの薄膜が形成される平滑な面であり、他方の表面は、偏光フィルタが形成される平滑な面である。
ガラス板20は、例えば、下記に示す組成からなる。下記括弧内に記載された数値は好ましい組成比率である。下記組成比率の%表示はいずれも質量%を意味する。
SiO2:50〜70%(57〜64%)、
Al2O3:5〜25%(12〜18%)、
B2O3:0〜15%(6〜13%)。
なお、下記に示す組成を任意に含んでもよい。
MgO:0〜10%(0.5〜4%)、
CaO:0〜20%(3〜7%)、
SrO:0〜20%(0.5〜8%、より好ましくは3〜7%)、
BaO:0〜10%(0〜3%、より好ましくは0〜1%)、
ZrO2:0〜10%(0〜4%,より好ましくは0〜1%)。
SiO2:50〜70%(57〜64%)、
Al2O3:5〜25%(12〜18%)、
B2O3:0〜15%(6〜13%)。
なお、下記に示す組成を任意に含んでもよい。
MgO:0〜10%(0.5〜4%)、
CaO:0〜20%(3〜7%)、
SrO:0〜20%(0.5〜8%、より好ましくは3〜7%)、
BaO:0〜10%(0〜3%、より好ましくは0〜1%)、
ZrO2:0〜10%(0〜4%,より好ましくは0〜1%)。
また、上記の組成のうち、特に、SiO2:50〜70%、B2O3:5〜18%、Al2O3:10〜25%、MgO:0〜10%、CaO:0〜20%、SrO:0〜20%、BaO:0〜10%、RO:5〜20%(ただし、RはMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種である)を含有することが好ましい。
さらに、R’2O:0.20%を超え2.0%以下(ただし、R’はLi、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種である)を含むことがより好ましい。
さらにまた、清澄剤を合計で0.05〜1.5%含み、As2O3、Sb2O3及びPbOを実質的に含まないことが好ましい。As2O3、Sb2O3及びPbOは、ガラスを清澄する効果を有する物質ではあるが、環境負荷が大きい物質であるためである。ここで、実質的に含まないとは、質量%が0.01%未満であって、不純物を除き意図的に含有させないことを意味する。
また、ガラス中の酸化鉄の含有量が0.01〜0.2%であることが好ましい。
さらに、R’2O:0.20%を超え2.0%以下(ただし、R’はLi、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種である)を含むことがより好ましい。
さらにまた、清澄剤を合計で0.05〜1.5%含み、As2O3、Sb2O3及びPbOを実質的に含まないことが好ましい。As2O3、Sb2O3及びPbOは、ガラスを清澄する効果を有する物質ではあるが、環境負荷が大きい物質であるためである。ここで、実質的に含まないとは、質量%が0.01%未満であって、不純物を除き意図的に含有させないことを意味する。
また、ガラス中の酸化鉄の含有量が0.01〜0.2%であることが好ましい。
(ガラス板の製造方法)
図3は、ガラス板20の製造方法のフローの一例を説明する図である。本実施形態のガラス板20の製造方法は、熔解工程(ステップS10)と、清澄工程(ステップS20)と、攪拌工程(ステップS30)と、成形工程(ステップS40)と、徐冷工程(ステップS50)と、切断工程(ステップS60)と、形状加工工程(ステップS70)と、研磨工程(ステップS80)と、洗浄工程(ステップS90)と、検査工程(ステップS100)とを主に有する。
図3は、ガラス板20の製造方法のフローの一例を説明する図である。本実施形態のガラス板20の製造方法は、熔解工程(ステップS10)と、清澄工程(ステップS20)と、攪拌工程(ステップS30)と、成形工程(ステップS40)と、徐冷工程(ステップS50)と、切断工程(ステップS60)と、形状加工工程(ステップS70)と、研磨工程(ステップS80)と、洗浄工程(ステップS90)と、検査工程(ステップS100)とを主に有する。
熔解工程(ステップS10)では、図示されない熔解炉で、ガラス原料が化石燃料の燃焼による間接加熱および電気通電による直接加熱により加熱されて溶融ガラスが作られる。次に、清澄工程が行われる(ステップS20)。清澄工程では、溶融ガラスが図示されない液槽に貯留された状態で、溶融ガラス中の気泡が上述の清澄剤を用いて取り除かれる。次に、攪拌工程が行われる(ステップS30)。攪拌工程では、ガラスの化学的および熱的均一性を保つために、垂直に向けられた図示されない撹拌槽に溶融ガラスが通される。
次に、成形工程が行われる(ステップS40)。成形工程では、ガラス板20の成形方法として、スロットダウンドロー法、オーバーフローダウンドロー法、フロート法、リドロー法等が用いられる。次いで、徐冷工程(ステップS50)、切断工程(ステップS60)、形状加工工程(ステップS70)、研磨工程(ステップS80)が順に行われる。
次に、成形工程が行われる(ステップS40)。成形工程では、ガラス板20の成形方法として、スロットダウンドロー法、オーバーフローダウンドロー法、フロート法、リドロー法等が用いられる。次いで、徐冷工程(ステップS50)、切断工程(ステップS60)、形状加工工程(ステップS70)、研磨工程(ステップS80)が順に行われる。
この後、洗浄工程が行われる(ステップS90)。洗浄工程では、研磨工程においてガラス板20の表面及び端面に付着した研磨剤や不純物を、例えば水又はアルカリ洗剤を用いて洗浄することにより除去する。アルカリ洗剤としては、ガラス板の洗浄に用いられる公知のものが用いられる。
次に、検査工程が行われる(ステップS100)。検査工程では、ガラス板20中の気泡による欠陥の発生頻度を調べ、この発生頻度が所定頻度以下か否かを、洗浄工程後のガラス板20について調べる。
(ガラス板積層体の製造方法)
図4は、ガラス積層体10の製造方法のフローの一例を説明する図である。本実施形態のガラス板積層体10の製造方法は、積層工程(ステップS110)と、運搬工程(ステップS120)とを主に有する。
図4は、ガラス積層体10の製造方法のフローの一例を説明する図である。本実施形態のガラス板積層体10の製造方法は、積層工程(ステップS110)と、運搬工程(ステップS120)とを主に有する。
積層工程(ステップS110)では、上述のようにして得られたガラス板20複数枚を、間に挿入シートを1枚ずつ挟んで積層することにより、ガラス積層体10を得る。より具体的には、図2に示すように、ガラス板20が一枚ずつ搬送されて支持台110に立て掛けられて載せられ、既に載せられたガラス板20の板厚方向に積み重ねられる。なお、支持台110は、積層体10を支持し固定するものであり、図示しないコンテナ筐体とともに支持台110に固定された積層体10を覆う。支持台110とコンテナ筐体とで梱包装置が構成される。得られたガラス積層体10は、この梱包装置で梱包される。このとき、挿入シート1は、隣接する2枚のガラス板20の間に介在するように挟まれる。挿入シート1は、2枚のガラス板20間に2枚以上重ねて配されてもよい。
次に、運搬工程が行われる(ステップS120)。ガラス積層体10は、外装箱又は外装パックで梱包された状態で出荷先等に運搬される。運搬されたガラス積層体10は、出荷先等で梱包が解かれ、洗浄、パネル加工等される。
次に、運搬工程が行われる(ステップS120)。ガラス積層体10は、外装箱又は外装パックで梱包された状態で出荷先等に運搬される。運搬されたガラス積層体10は、出荷先等で梱包が解かれ、洗浄、パネル加工等される。
以上のガラス板積層体10によれば、挿入シート1がガラス板20の表面にあるガラス粒等の微粒子を包み込み、振動等の外部からのエネルギーは熱に変換され、内部は防振されるため、ガラス板20間に挟まったガラス粒やホコリ等の微粒子が介在した状態で運搬等により振動が生じた場合でも、傷の発生が防止される。
なお、他の実施形態では、上述の切断工程と形状加工工程との間で、さらに、積層工程及び運搬工程が行われてもよい。積層工程は、上述の積層工程(ステップS110)と同様である。運搬工程は、ここでは、同一工場内での移動、国内又は海外の他の工場への移動、及びこれら移動先での保管が含まれる。運搬されたガラス板積層体10は、梱包された状態で保管され、続く形状加工工程の前に解放される。
本発明の効果を確認するために、耐傷性及び洗浄性の評価を行った。下記の表1〜3において示す挿入シート1には、次のものを用いた。また、表1〜3中の各物性値は、下記に示すように測定した。
(1)G−3:中華紙漿製、樹脂成分含有せず(坪量65g,樹脂成分0.1%以下,灰分0.5%以下)。
(2)WR139:Expera Specialty Solutions製、樹脂成分含有せず(坪量65g,樹脂成分0.1%以下,灰分2.0%以下)。
(3)HY−GSM:製、樹脂成分含有せず(坪量50g,樹脂成分0.1%以下,灰分1.0%以下)。
(4)ASIP:特殊東海製紙社製、樹脂成分含有せず(坪量50g,樹脂成分0.04%以下,灰分0.5%以下)。
(5)LPN:新巴川製紙社製、樹脂成分含有せず(坪量50g,樹脂成分0.04%以下,灰分0.5%)。
(6)MIP:丸王製紙社製、樹脂成分含有(坪量50g,樹脂成分0.5%以下,灰分10%以下)。
(7)GE300W:東レフィルム社製、ポリエチレンフィルム。
(1)G−3:中華紙漿製、樹脂成分含有せず(坪量65g,樹脂成分0.1%以下,灰分0.5%以下)。
(2)WR139:Expera Specialty Solutions製、樹脂成分含有せず(坪量65g,樹脂成分0.1%以下,灰分2.0%以下)。
(3)HY−GSM:製、樹脂成分含有せず(坪量50g,樹脂成分0.1%以下,灰分1.0%以下)。
(4)ASIP:特殊東海製紙社製、樹脂成分含有せず(坪量50g,樹脂成分0.04%以下,灰分0.5%以下)。
(5)LPN:新巴川製紙社製、樹脂成分含有せず(坪量50g,樹脂成分0.04%以下,灰分0.5%)。
(6)MIP:丸王製紙社製、樹脂成分含有(坪量50g,樹脂成分0.5%以下,灰分10%以下)。
(7)GE300W:東レフィルム社製、ポリエチレンフィルム。
(動的粘弾性)
挿入シートのサンプルサイズは、幅3mm×長さ20mm×厚さ50〜60μmであった。各挿入シートのサンプルを、固体粘弾性アナライザー(DMA。型式:RSAIII。ティー・エイ・インスツルメントジャパン社製)を用いて、損失係数および損失弾性率を測定した。なお、測定モードとして引っ張りモードを選択し、測定条件として、温度一定/周波数スイープを選択した。測定温度は室温25℃で、0.1〜400rad/secの各測定周波数で測定した。
挿入シートのサンプルサイズは、幅3mm×長さ20mm×厚さ50〜60μmであった。各挿入シートのサンプルを、固体粘弾性アナライザー(DMA。型式:RSAIII。ティー・エイ・インスツルメントジャパン社製)を用いて、損失係数および損失弾性率を測定した。なお、測定モードとして引っ張りモードを選択し、測定条件として、温度一定/周波数スイープを選択した。測定温度は室温25℃で、0.1〜400rad/secの各測定周波数で測定した。
(表面粗さ)
小型表面粗さ測定機(ミツトヨ社製、SJ−210)を用いて測定した。
小型表面粗さ測定機(ミツトヨ社製、SJ−210)を用いて測定した。
(水分率)
紙水分計(ケツト科学研究所、HK−300−3)を用いて測定した。
紙水分計(ケツト科学研究所、HK−300−3)を用いて測定した。
(接触角)
挿入シート1の接触にて汚染されたガラス板サンプル、及び、汚染後洗浄されたガラス板サンプルの各接触角を、接触角計(協和界面科学社製、DropMaster300)を用いて測定した。
挿入シート1の接触にて汚染されたガラス板サンプル、及び、汚染後洗浄されたガラス板サンプルの各接触角を、接触角計(協和界面科学社製、DropMaster300)を用いて測定した。
(耐傷性1の評価)
ガラス板積層体を、加振することによるガラス板の耐傷性を確認した。
具体的には、縦10cm×横10cm×板厚0.4mmのサイズの40枚のガラス板を用いて、それぞれのガラス板間に挿入シートを挟み込むことにより、ガラス板積層体を得た。挿入シートは、幅11.0cm×長さ11.0cmのサイズの紙を用いた。
加振は、図2に示すように積層したガラス板積層体を、支持台及びコンテナ筐体からなる梱包装置で梱包し、振動試験装置(IMV社製、VS−1000−5)を用いて、積層直後に加速度5.8m/s2、速度0.21m/s、変位5.6mm(JIS Z 0232)、3時間加振を行った。加振後、梱包装置を解いてガラス板積層体を取り出し、洗浄後、ガラス板表面の傷の有無を表面パーティクルスキャナー(山梨技術工房社製、YPI−200)と目視より確認した。なお、洗浄は、50℃の水で2分間、50℃のアルカリ洗剤で2分間、さらに50℃の水で2分間ガラス板を濯ぐことにより行った。この結果、傷発生率が5%未満だった場合をA、傷発生率が5〜10%だった場合をB、傷発生率が10%を超えた場合をC、とそれぞれ評価し、A及びBの場合に耐傷性が良好とした。
ガラス板積層体を、加振することによるガラス板の耐傷性を確認した。
具体的には、縦10cm×横10cm×板厚0.4mmのサイズの40枚のガラス板を用いて、それぞれのガラス板間に挿入シートを挟み込むことにより、ガラス板積層体を得た。挿入シートは、幅11.0cm×長さ11.0cmのサイズの紙を用いた。
加振は、図2に示すように積層したガラス板積層体を、支持台及びコンテナ筐体からなる梱包装置で梱包し、振動試験装置(IMV社製、VS−1000−5)を用いて、積層直後に加速度5.8m/s2、速度0.21m/s、変位5.6mm(JIS Z 0232)、3時間加振を行った。加振後、梱包装置を解いてガラス板積層体を取り出し、洗浄後、ガラス板表面の傷の有無を表面パーティクルスキャナー(山梨技術工房社製、YPI−200)と目視より確認した。なお、洗浄は、50℃の水で2分間、50℃のアルカリ洗剤で2分間、さらに50℃の水で2分間ガラス板を濯ぐことにより行った。この結果、傷発生率が5%未満だった場合をA、傷発生率が5〜10%だった場合をB、傷発生率が10%を超えた場合をC、とそれぞれ評価し、A及びBの場合に耐傷性が良好とした。
表1、3から明らかなように、損失係数が0.030〜0.21の範囲外である挿入シートを用いた場合は(比較例1、2)、ガラス板表面に傷が生じたのに対し、損失係数が0.030〜0.20の範囲内にある挿入シートを用いた場合は(実施例1、2、3、6、7)、耐傷性に優れることが分かった。
また、表1、2から明らかなように、損失係数が0.029以下であり、厚さが異なる挿入シートを用いた場合は(比較例1、比較例2)、ガラス板表面に傷が表れたのに対し、損失係数が0.030であり、厚さが異なる挿入シートを用いた場合は(実施例1、3、4)耐傷性に優れることが分かった。
さらに、表1、3から明らかなように、厚さが70μm未満の挿入シートを用いた場合は(実施例3)、ガラス板表面に傷がやや多く表れたのに対し、厚さが70μm以上の場合は(実施例1、6)、耐傷性に優れることが分かった。
また、表1、2から明らかなように、損失係数が0.029以下であり、厚さが異なる挿入シートを用いた場合は(比較例1、比較例2)、ガラス板表面に傷が表れたのに対し、損失係数が0.030であり、厚さが異なる挿入シートを用いた場合は(実施例1、3、4)耐傷性に優れることが分かった。
さらに、表1、3から明らかなように、厚さが70μm未満の挿入シートを用いた場合は(実施例3)、ガラス板表面に傷がやや多く表れたのに対し、厚さが70μm以上の場合は(実施例1、6)、耐傷性に優れることが分かった。
(洗浄性の評価)
挿入シート1の接触により汚染されたガラス板に対し洗浄を行った後、接触角の測定を行うことにより、洗浄性を評価した。なお、洗浄は、50℃の水で2分間、50℃のアルカリ洗剤で2分間、さらに50℃の水で2分間ガラス板を濯ぐことにより行った。この結果、接触角が3.0°未満だった場合をA、接触角が3.0〜3.5°だった場合をB、接触角が3.5°を超えた場合をC、とそれぞれ評価し、A及びBの場合に洗浄性が良好とした。
挿入シート1の接触により汚染されたガラス板に対し洗浄を行った後、接触角の測定を行うことにより、洗浄性を評価した。なお、洗浄は、50℃の水で2分間、50℃のアルカリ洗剤で2分間、さらに50℃の水で2分間ガラス板を濯ぐことにより行った。この結果、接触角が3.0°未満だった場合をA、接触角が3.0〜3.5°だった場合をB、接触角が3.5°を超えた場合をC、とそれぞれ評価し、A及びBの場合に洗浄性が良好とした。
表3から明らかなように、接触角が35°以上の場合は(実施例6)、洗浄性が良くなかったのに対し、接触角が30°以下の場合(実施例7)、洗浄性が良好であることが分かった。
(ガラス板積層体の搬送,耐傷性2の評価)
次に、ガラス板積層体を、搬送することによるガラス板の耐傷性を確認した。
具体的には、縦110cm×横130cm×板厚0.4mmのサイズの40枚のガラス板を用いて、それぞれのガラス板間に挿入シートを挟み込むことにより、ガラス板積層体を得た。挿入シートは、幅116.0cm×長さ131.5cmのサイズの比較例1〜3、実施例1、4の紙を用いた。
搬送は、図2に示すように積層したガラス板積層体を、支持台及びコンテナ筐体からなる梱包装置で梱包し、車両の荷台に積んで、3時間、舗装された道路を走行することにより行った。保管は、搬送後に車両の荷台から下ろした後、梱包装置を解いてガラス板積層体を取り出し、洗浄後、ガラス板表面の傷の有無を目視により確認した。なお、洗浄は、枚葉式洗浄機にて50℃の0.5%KOHを用いて行った。
その結果、実施例1、4の紙はガラス板表面に傷は表れず、耐傷性に優れることが分かった。
次に、ガラス板積層体を、搬送することによるガラス板の耐傷性を確認した。
具体的には、縦110cm×横130cm×板厚0.4mmのサイズの40枚のガラス板を用いて、それぞれのガラス板間に挿入シートを挟み込むことにより、ガラス板積層体を得た。挿入シートは、幅116.0cm×長さ131.5cmのサイズの比較例1〜3、実施例1、4の紙を用いた。
搬送は、図2に示すように積層したガラス板積層体を、支持台及びコンテナ筐体からなる梱包装置で梱包し、車両の荷台に積んで、3時間、舗装された道路を走行することにより行った。保管は、搬送後に車両の荷台から下ろした後、梱包装置を解いてガラス板積層体を取り出し、洗浄後、ガラス板表面の傷の有無を目視により確認した。なお、洗浄は、枚葉式洗浄機にて50℃の0.5%KOHを用いて行った。
その結果、実施例1、4の紙はガラス板表面に傷は表れず、耐傷性に優れることが分かった。
以上、本発明のガラス板積層体について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
1 挿入シート
2 シート本体
3 密度向上部
10 ガラス板積層体
20 ガラス板
110 支持台
2 シート本体
3 密度向上部
10 ガラス板積層体
20 ガラス板
110 支持台
Claims (2)
- 液晶ディスプレイ用のガラス板と、前記ガラス板に重ねて配される挿入シートを備え、
前記挿入シートは、基準温度25℃での周波数1.0Hzにおける損失正接が0.030〜0.2からなる紙又は樹脂材料である、
ことを特徴とするガラス板積層体。 - 前記挿入シートは、12時間以内での20℃の純水による接触角が2〜30°とするものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のガラス板積層体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014156438A JP2016033098A (ja) | 2014-07-31 | 2014-07-31 | ガラス板積層体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014156438A JP2016033098A (ja) | 2014-07-31 | 2014-07-31 | ガラス板積層体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016033098A true JP2016033098A (ja) | 2016-03-10 |
Family
ID=55452185
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014156438A Pending JP2016033098A (ja) | 2014-07-31 | 2014-07-31 | ガラス板積層体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016033098A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114728433A (zh) * | 2019-12-20 | 2022-07-08 | 日本电气硝子株式会社 | 玻璃板的制造方法以及玻璃板捆包体 |
-
2014
- 2014-07-31 JP JP2014156438A patent/JP2016033098A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114728433A (zh) * | 2019-12-20 | 2022-07-08 | 日本电气硝子株式会社 | 玻璃板的制造方法以及玻璃板捆包体 |
CN114728433B (zh) * | 2019-12-20 | 2024-05-03 | 日本电气硝子株式会社 | 玻璃板的制造方法 |
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