以下、本発明の最良の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
ここでは、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を挙げる。
(パチンコ機正面側の構成)
図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の斜視図、図3はパチンコ機10の前面枠の斜視図である。
図1および図2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に説明する。
上記外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。このように構成することにより、パチンコ機の軽量化を図ることができるからである。
一方、上記内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。このような構成とするのは、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できないからである。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂から成る。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できるという利点が発揮される。
また、内枠12は、その最下部に下皿ユニット13を有し、内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、樹脂ベース(図示せず)と、この樹脂ベースの後側に取り付けられる後述の遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
上記下皿ユニット13は、前面枠セット14の一部として前面枠ベース部材に固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と演出ボタン79が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。上記球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。上記遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、発射ソレノイドを備えた遊技球発射装置によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。前面枠セット14の上部には、スピーカからの音を出力するための音出力口24が設けられている。
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。また、上皿19の左下方には、装飾図柄表示装置42の背景を変える等の操作を遊技者が行なうための演出ボタン79が設けられている。
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する構成である。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタンと、返却ボタンと、度数表示部とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタンは、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタンは、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
次に、図4および図5を用いて遊技盤30の構成を説明する。図4は遊技盤30の構成を示す正面図、図5は遊技盤30の構成を示す斜視図である。遊技盤30は、一般入賞口(右側および左側入賞口)を備える一般入賞装置31Aが設けられた右側および左側装飾役物71R、71Lと、一般入賞口を備える一般入賞装置31Bと、可変入賞装置32と、第1の始動口を備える第1の始動入賞装置33と、第2の始動口を備える第2の始動入賞装置34と、後述するセンター役物83、普通図柄表示装置41、装飾図柄表示装置42等を備える中央ユニット35と、特別図柄表示装置38Dとを含む各種の部材(役物)が配設されている。これらの右側および左側装飾役物71R、71L、一般入賞装置31B、可変入賞装置32、第1の始動入賞装置33、第2の始動入賞装置34、センター役物83等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。また、第1の始動入賞装置33の下方には、大入賞口(収容部の入口)61が配置されている。大入賞口61については、後に言及する。大入賞口61内には、入球検出スイッチSW1が設けられている。
前述の一般入賞装置31A、31B、可変入賞装置32および第1の始動入賞装置33に遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ等)で検出され、この検出スイッチから所定の出力がなされる所謂入賞となると、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変入賞装置32は、遊技盤30の盤面から前方に突出する両側板と該両側板の突出端縁に架設された正面視横長に延びる正面板とにより、遊技球が上下に通過可能な周壁をなすように構成されたゲートの内側に、図5に示すように可動プレート32aが設置された構成となっている。該可動プレート32aは、遊技盤30に穿設された貫通孔(大入賞口)を閉塞する横長の板体で、ソレノイド(図示せず)により駆動され、下端縁を軸として前方に回動することにより開放動作するようになっている。ソレノイドが励磁されていない状態では、可動プレート32aは起立して可変入賞装置32の貫通孔(大入賞口)を閉塞し、これにより、可変入賞装置32は、遊技球の入球できない又は入球しにくい閉鎖状態となっている。一方、ソレノイドが励磁されると、可動プレート32aは前方に回動して開放された状態となり、可変入賞装置32が遊技球の入球が可能な開放状態となる。
可変入賞装置32は、遊技状態が大当たり状態に移行することで開放状態に切り替えられ、所定の開放時間(例えば29.5秒)が経過したこと又は所定数(例えば10個)の遊技球が入球したことを閉鎖条件成立として閉鎖状態に切り替えられるようになっている。大当たり状態は、可変入賞装置32が開閉されたことを1ラウンドとして、5ラウンドまたは15ラウンドの開閉が行われるまで継続する。このラウンド数は、第1の始動入賞装置33ないし第2の始動入賞装置34に入賞するタイミングによって5ラウンドとなるか15ラウンドとなるかが決められている。
第1の始動入賞装置33は、一対の可動翼33aを備え、該可動翼33aは遊技盤30の背面側に設置されたソレノイドSL1(図8参照)に連結されている。ソレノイドSL1が励磁されていない場合、一対の可動翼33aは上方へ起立し所定の間隔を置いて対峙する。この場合に、第1の始動入賞装置33の上方には両可動翼33aを覆うように天蓋33bが配設され、これにより第1の始動入賞装置33が遊技球の入球が不可能な閉鎖状態となっている。一方、ソレノイドSL1が励磁されると、各可動翼33aが外側に開いて第1の始動入賞装置33が開放状態となる。この際、天蓋33bと各可動翼33aとの間に遊技球1個分よりも大きな隙間が形成され、この隙間から第1の始動入賞装置33への遊技球の入球が可能な状態となる。
第1の始動入賞装置33の内部には作動センサ(図示せず)が設けられており、開放状態となった第1の始動入賞装置33に入った遊技球は該作動センサにより検出され、その検出結果に基づいて上皿19(場合によっては下皿15)に対し3個の賞品球が払い出される。
また、一般入賞装置31A、31Bにも内部に検出センサが設けられており、当該検出センサの検出結果に基づいて10個の賞品球が払い出される。
第2の始動入賞装置34は、遊技盤30から略垂直に前方へ突出する門状に形成されたスルーゲートとなっている。図5に示すように、第2の始動入賞装置34の内側には第2始動入賞センサ34aが設けられており、通過する遊技球が検出されるようになっている。
上記特別図柄表示装置38Dは、第1の始動入賞装置33への入賞をトリガとして識別情報としての特別図柄を変動表示し、上記装飾図柄表示装置42は特別図柄の変動表示に対応した装飾図柄を変動表示し、上記普通図柄表示装置41は第2の始動入賞装置34の通過をトリガとして普通図柄を変動表示する。
上記特別図柄表示装置38Dは、9個のLEDセグメントで構成されており、後述する主制御装置261により表示内容が制御される。
上記装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。装飾図柄表示装置42には、例えば上、中、及び下の3箇所に識別情報としての図柄が表示される。これら図柄がスクロールされて装飾図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本形態では、装飾図柄表示装置42(液晶表示装置)は約6インチサイズの液晶ディスプレイを備えている。
上記普通図柄表示装置41は、後述するセンター役物83の前面部における左上部に配置された普通図柄用の2個のランプ(以下、第1ランプおよび第2ランプとも称す)を備えている。この実施例では、普通図柄用の第1ランプは、その外観形状は「○」形状となっている一方、第2ランプは、第1ランプの右側に隣接して設けられ、その外観形状は「×」形状となっている。普通図柄表示装置41は、遊技球が第2の始動入賞装置34を通過する毎に例えば第1および第2ランプによる表示図柄(普通図柄)が変動し、具体的には、第1および第2ランプが交互に光り、第1ランプで停止した場合に第1の始動入賞装置33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動入賞装置34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。なお、第1および第2ランプは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される複数個の表示部としても良い。
上記可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっているが、その具体的な構成については後述する。簡略に触れれば、特別図柄表示装置38Dが特定の表示態様となった場合(装飾図柄表示装置42の停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組み合せとなった場合)あるいは後述するセンター役物83内の入賞樋部96に遊技球が入球した場合に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32が受球状態となり、遊技球の入賞を許す。具体的には、所定時間(例えば30秒)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の受球状態が所定回数繰り返し開放される。遊技球が第1の始動入賞装置33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ800aは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす金属板にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。内レール51および外レール52の後側端縁(遊技盤30に対向する端縁)には、所定間隔をおいて複数個所に鋲56が設けられており、内レール51および外レール52は該鋲56を打ちつけるようにして遊技盤30に取り付けられている。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
尚、遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されており、特に本形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領城が従来よりもはるかに大きく構成されている。
(パチンコ機の背面構成)
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。図6は遊技盤30の背面図、図7は遊技盤30の背面側から視た斜視図である。
先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12および遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにしてまたは前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等(図示省略)が取り付けられている。本形態では、各種制御基板を3つの取付台に分けて搭載して3つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12または遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御基板、電源監視基板、これら基板を収容する基板ボックスおよび該基板ボックスを封印する封印ユニットから構成される主制御装置261を一つにユニット化し、表示制御基板、該表示制御基板を収容する基板ボックスおよび装飾図柄表示装置42から構成される表示制御装置45とサブ制御基板および該サブ制御基板を収容する基板ボックスから構成されるサブ制御装置262とを後述する裏カバー部材82に搭載してユニット化し、さらに払出制御基板、該払出制御基板を収容する基板ボックス(払出制御基板ケース)および該基板ボックスを封印する封印ユニットから構成される払出制御装置と電源基板、発射制御基板およびこれら基板を収容する基板ボックス(電源・発射制御基板ケース)から構成される電源・発射制御装置とを1つの取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、各ユニットを上記の順に「第1制御基板ユニット201」、「第2制御基板ユニット202」および「第3制御基板ユニット203」と称することとする。
また、払出機構および保護カバーも上記第3制御基板ユニット203に一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここでは第3制御基板ユニット203を「裏パックユニット203」とも称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、更に、これに加え、一部に支軸部を設けて内枠12または遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
上述した第1制御基板ユニット201は、その遊技の進行を統括する主制御基板及び電源の監視を司る電源監視基板を有する。上記主制御基板と電源監視基板とは透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて構成されている。この基板ボックスは、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
尚、封印ユニットはボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用でき、また、封印ユニットによる封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期にかつ容易に発見可能とするものである。
第2制御基板ユニット202は、主制御基板からの指示に従い前記装飾図柄表示装置42の表示制御を司る表示制御装置45と主制御基板からの指示に従い音声ランプ制御を司るサブ制御基板とを有する。上記表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42および表示制御基板がユニットとして構成され、透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて後述する裏カバー部材82の背面側に取り付けられている。上記サブ制御基板は透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容され、上記表示制御装置45の背面側に取り付けられている。
次に、前記第3制御基板ユニット(裏パックユニット)203は、払出制御基板、電源基板、発射制御基板及びカードユニット接続基板を有している。上記払出制御基板により賞品球や貸出球の払出が制御され、上記電源基板および発射制御基板により各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力されるとともに遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射ソレノイドの制御が行われる。また、上記カードユニット接続基板は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)および図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御基板に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板は不要である。
上記払出制御基板は、透明樹脂材料等よりなる払出制御基板ケース(図示せず)内に収納されており、上記電源基板および発射制御基板は、透明樹脂材料等よりなる電源・発射制御基板ケース203A内に収納されている。また、上記カードユニット接続基板は透明樹脂材料等よりなるカードユニット接続基板ケース(図示せず)内に収納されている。特に、払出制御基板では、前述した主制御基板と同様、基板ケース(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット(封印手段)によって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
上記払出制御基板は状態復帰スイッチと電気的に接続されており、例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチが押下されると、払出モータがゆっくりと正回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パックと遊技球の払出機構部とを一体化したものである。
裏パックは例えばABS樹脂により成型されており、略平坦状のベース部と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部とを有する。保護カバー部は左右側面および上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物ユニット(センター役物)を囲むのに十分な大きさを有する(但し本形態では、前述のサブ制御基板も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部の背面には多数の通気孔が設けられている。この通気孔は各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔が比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔間にある樹脂部分を切断することにより、裏パックの背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
また、ベース部には、保護カバー部を迂回するようにして払出機構部(図示省略)が配設されている。すなわち、裏パックの最上部には上方に開口したタンクが設けられており、このタンクには遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンクの下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレールが連結され、さらにタンクレールの下流側には縦向きにケースレールが連結されている。払出装置はケースレールの最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置より払い出された遊技球は図示しない払出通路等を通じて前記上皿19に供給される。
タンクレールと、当該タンクレールに振動を付加するためのバイブレータとが一体化するようにユニット化されており、仮にタンクレール付近で球詰まりが生じた際、バイブレータが駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
上記払出機構部には、前記払出制御基板から払出装置への払出指令の信号を中継する払出中継基板が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板が設置されている。電源スイッチ基板には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチの切替操作により電源ONまたは電源OFFとされるようになっている。
なお、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ(図示せず)が設けられており、内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチからホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。また、上記内枠開検出スイッチの左方には、前面枠開検出スイッチ(図示せず)が設けられており、前面枠セット14が開かれると、前面枠開検出スイッチからホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。
(パチンコ機の電気的構成及び各種制御処理)
次に、図8を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。パチンコ機10は、電源装置313と、電源監視装置540と、主制御装置261と、サブ制御装置262と、払出制御装置311と、表示制御装置45等を備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。尚、電源監視装置540と主制御装置261とは、上記したように封印ユニットで封印されている。
次いで、主制御装置261の構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、電源監視装置540内のRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、発射制御装置312、サブ制御装置262、特別図柄表示装置38D、普通図柄表示装置41、特別図柄保留表示装置800、普通図柄保留表示装置801や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。なお、特別図柄表示装置38Dは上記したように9個のLEDセグメントで構成されており、普通図柄表示装置41は上記したように普通図柄用の第1および第2ランプで構成されており、特別図柄保留表示装置800は上記したように特別図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ800aで構成されており、普通図柄保留表示装置801は上記したように普通図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ801aで構成されている。
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
なお、主制御装置261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、停電時の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
払出制御装置311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、払出モータ358aがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射ソレノイドによる遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射ソレノイドは、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311からカードユニットとの接続状態であることを示す接続信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射制御装置312は発射許可信号を主制御装置261に出力する。発射許可信号を入力した主制御装置261は、発射ソレノイド制御信号を発射制御装置312に出力する。これにより発射制御装置312は発射ソレノイド制御信号に応じて発射ソレノイドを駆動し、その結果、遊技球発射ハンドルの操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
サブ制御装置262は、主制御装置261からのコマンドに基づいて装飾図柄の変動表示に応じた演出用スピーカ810等の鳴動制御及び演出用ランプ811の点灯(点滅)制御、並びに、主制御装置261からのコマンドに基づいて表示制御装置45へのコマンドを編集して表示制御装置45に送信する機能を果たすものである。サブ制御装置262のMPU550には、そのMPU550により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM551と、ワークメモリ等として使用されるRAM552とを備えている。MPU550には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン553を介して入出力ポート554が接続されている。入出力ポート554には、スピーカ、ランプ、装飾図柄表示装置42における変動表示中において所定の表示演出を実行させるための演出用ボタン79、及び主制御装置261がそれぞれ接続されている。演出用ボタン79としては、例えば所定のキャラクタが順次出現する態様によって大当たり状態の可能性が大きいことを予告するステップアップ予告等の表示演出用ボタン等が挙げられる。なお、演出用ボタン79が押されると、所定の演出実行のための演出指定コマンドが生成されて、装飾図柄表示装置42に送信されようになっている。
表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置45は、ワークRAM等として使用されるRAM523を有するMPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529とを備えている。
MPU521は、サブ制御装置262から送信されてくる図柄表示コマンド(停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等)を入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し、又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行って画像コントローラ526の制御(具体的には画像コントローラ526に対する内部コマンドの生成)を実施する。プログラムROM522は、MPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値を記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。RAM523は、MPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
画像コントローラ526は、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)で構成されている。VDPは、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路であり、ICチップ化されているため、「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は描画処理専用のソフトウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。画像コントローラ526は、MPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して、出力ポート529を介して装飾図柄表示装置42に出力して表示させる。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き換えることにより装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM525には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。特に、ビットマップ形式の図柄画像データにはそれぞれ図柄コード(図柄番号)が付与されており、コマンドレベルでは各図柄画像を図柄コードだけで管理可能としている。なお、キャラクタROM525を複数設け、各キャラクタROM525に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、プログラムROM522に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM525に記憶する構成とすることも可能である。
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541を備えている。この電源部541は、電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を、電源監視装置540、サブ制御装置262、払出制御装置311、表示制御装置45等に対して供給する。なお、主制御装置261に対しては、電源監視装置540を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。また、発射制御装置312に対しては、主制御装置261を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。
電源監視装置540は、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、リセット信号を出力するリセット回路544と、を備えている。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチが押下された場合に、主制御装置261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。なお、払出制御装置311への信号の送信は、主制御装置261を介して行われる。
主制御装置261及び払出制御装置311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアする。
リセット回路544は、主制御装置261、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45を初期化するため、リセット信号を出力する回路である。なお、リセット回路544からのリセット信号は、主制御装置261に対しては直接与えられるが、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45に対しては、電源装置313を介して与えられるようになっている。
ここで、特別図柄表示装置38D、普通図柄表示装置41、及び装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。なお、本実施形態のパチンコ機10においては、大当たりの発生を遊技者に示すための図柄として特別図柄表示装置38Dで表示される特別図柄と、装飾図柄表示装置42で表示される装飾図柄との2種類が設けられている。装飾図柄は、特別図柄と同期して変動が行われる図柄であり、特別図柄の変動開始と同時に(又はほぼ同時期に)変動を開始し、また特別図柄の変動停止と同時に(またはほぼ同時期に)変動を停止するものである。この装飾図柄は、遊技者に多種多様な表示演出を行って飽きにくい遊技性を備えるために設けられている。
先ず、特別図柄表示装置38Dの表示内容について説明する。特別図柄の変動表示は、9個のLEDセグメントの点灯パターンの変化により表現される。この特別図柄の変動表示は遊技球の始動入賞装置33への入賞に基づいて開始され、一定時間後に特別図柄の変動表示が同時に停止する。その停止後に、大当たりを示す点灯パターンあるいは外れを示す点灯パターンが表示され、外れの場合は、始動入賞装置33への入賞に基づいて再度の変動表示が行われる。遊技球が始動入賞装置33に入賞した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が特別図柄保留表示装置800の保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。
次いで、装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。装飾図柄表示装置42の表示画面には、例えば、上段・中段・下段に区分けされた3つの表示領域に3つの装飾図柄列Z1〜Z3が表示される。これら装飾図柄列Z1〜Z3は、右から左にスクロール表示される。装飾図柄は、例えば「1」〜「9」の数字からなる主図柄と、主図柄より小さい副図柄とにより構成され、これら各主図柄および副図柄によって装飾図柄の図柄列が形成される。装飾図柄で形成される各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されている。始動入賞装置33への入賞すなわち始動入賞が発生すると、装飾図柄の変動表示が行われ、変動パターンに応じた一定時間の経過後に変動表示が停止し、装飾図柄表示装置42には縦3×横3の9個の装飾図柄が表示結果として表示される。大当たり抽選に当選した変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めの一直線上に同一の主図柄が3つ揃って停止するように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に大当たりの発生が示される。一方、大当たり抽選に外れた変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めのいずれにも同一の主図柄が3つ揃って停止しないように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に外れの発生が示される。
次いで、普通図柄表示装置41の表示内容について説明する。普通図柄の変動表示は、第1ランプ(外観が○形状)と、第2ランプ(外観が×形状)とが交互に点灯することにより表現される。この普通図柄の変動表示は遊技球が第2の始動入賞装置34を通過することを条件として開始され、一定時間後に普通図柄の変動表示が停止する。そして、第1ランプで停止した場合に第1の始動入賞装置33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動入賞装置34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が普通図柄保留表示装置801の保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本形態では、主制御装置261内のMPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や特別図柄表示装置38Dの図柄表示の設定などを行うこととしている。具体的には、特別図柄に関連するカウンタ群と、普通図柄に関連するカウンタ群とを備えている。先ず、特別図柄に関連するカウンタ群について説明する。特別図柄に関連するカウンタ群としては、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、特別図柄表示装置38Dの大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、特別図柄表示装置38Dが外れ変動する際の停止パターンの選択(装飾図柄の変動においてはリーチとするか完全外れとするかのリーチ抽選に相当する)に使用する停止パターン選択カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する種別を決定する変動種別カウンタCS1〜CS3とを備えている。
ここで、変動パターンとは、変動表示の特徴が共通するものを区分した場合における各パターン(形態)を意味している。
上記カウンタC1〜C3,CINI1,CS1〜CS3、は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア700が設けられており、これらの各エリアには、始動入賞装置33への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
次いで、各カウンタの具体的な内容について詳述する。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINI1の値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINI1は、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,577,631,683,733」である。なお、高確率時とは、特別図柄の組み合せが予め定められた確率変動図柄である特定図柄の組み合せによって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない場合をいう。
また、本パチンコ機10では、上記大当たりとなる乱数の値以外の乱数の値(即ち外れとなる乱数の値)であって例えば規定値(例えば369)より下の値であった場合には、後述するセンター役物83の開閉羽根89R、89Lが開放されるようになっている。即ち、大当たり乱数カウンタC1による大当たりの抽選で外れとなった場合でも、開閉羽根89R、89Lが開放されることでセンター役物83への入球が可能な状態(以下、「小当たり」と称す)となる可能性が付加的に確保されており、この小当たりを経て、さらに遊技球が首尾よくセンター役物83内の入賞樋部96に遊技球が入球して大当たりとなるチャンスも確保されるようになっている。このように、大当たりだけでなく小当たりも加えて2通りの当選が可能となるように内部抽選がなされ、抽選で直接的に大当たりとなるパターンと、小当たりとなってセンター役物83内の入賞樋部96に入球して大当たりとなるパターンとの2通りのパターンで大当たりとなるチャンスが設定されており、これにより遊技性が多様化して興趣が向上している。
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、特別図柄表示装置38Dにおける特別図柄の変動停止時の図柄を決定するものであり、例えば0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。例えば、大当たり図柄カウンタC2の値が「0」、「1」の場合の停止図柄は、9個のLEDセグメントが特定の点灯パターンで停止し、この場合の停止図柄の組み合せは非特定図柄(通常の大当たり図柄)を意味する。
大当たり図柄カウンタC2の値が「2」、「3」、「4」の場合の停止図柄は、9個のLEDセグメントが上記とは別の特定の点灯パターンで停止し、この場合の停止図柄の組み合せは特定図柄(確率変動図柄)を意味する。
大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本形態では、特別図柄の変動表示は、9つのLEDセグメントで表現するように構成されているので、特別図柄の場合にはリーチという概念はなく、リーチに相当する停止パターンを停止パターン選択カウンタC3によって、決定することとしている。一方、装飾図柄の場合は、3つの装飾図柄が停止するので、リーチが存在する。従って、装飾図柄の場合は、リーチ抽選を、停止パターン選択カウンタC3によって決定している。即ち、装飾図柄の場合では、リーチ発生した後に最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、停止パターン選択カウンタC3=0〜201が完全外れに該当し、停止パターン選択カウンタC3=202〜208が前後外れリーチに該当し、停止パターン選択カウンタC3=209〜238が前後外れ以外リーチに該当する。
ここで、リーチとは、装飾図柄表示装置42の表示画面に表示される装飾図柄が変動表示を開始した後、先に停留する図柄の組み合せが同一図柄(複数の有効ラインがある装飾図柄においてはいずれかの有効ライン上で同一図柄)であって大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている図柄の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して大当たりの図柄の組み合せを遊技者に期待させる表示であり、興趣演出の1種である。興趣演出とは、変動表示の途中で装飾図柄表示装置42の表示画面にリーチに代表される所定の図柄を現出させたり、スピーカから特定の音声を出力したり、或いは、振動用のモータによって遊技球発射ハンドル18を振動させる等、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。
なお、停止パターン選択カウンタC3は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS3は、例えば0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後0に戻る構成となっている。
変動種別カウンタCS1によって、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチの種別のような大まかな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばノーマルリーチA、ノーマルリーチB等のようにさらに細かな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばすべり停止変動の場合の変動時間の加減算が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1〜CS3を組み合わせることで、変動パターンの多種多様性を容易に実現できる。
カウンタCS1〜CS3は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、特別図柄表示装置38Dによる特別図柄及び装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してカウンタCS1〜CS3のバッファ値が取得される。
次いで、普通図柄に関連するカウンタ群について説明する。普通図柄に関連するカウンタ群としては、当たりの抽選に使用する当たり乱数カウンタC4と、当たり乱数カウンタC4の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI2とを備えている。
上記当たり乱数カウンタC4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア701が設けられており、これらの各エリアには、第2の始動入賞装置34への遊技球の通過に合わせて、当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
次いで、上記当たり乱数カウンタC4,初期値乱数CINI2の具体的な内容について詳述する。当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻る構成となっている。そして、当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の当たり初期値乱数カウンタCINI2の値が当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。なお、初期値乱数カウンタCINI2は、当たり乱数カンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。当たり乱数カウンタC4は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第2の始動入賞装置34を通過したタイミングでRAM503の保留球格納エリア701に格納される。当たり乱数カウンタC4の当たりとなる乱数の値の数は149で、その値は「5〜153」である。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、停止パターン選択カウンタC3、当たり乱数カウンタC4、変動種別カウンタCS1〜CS3の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
尚、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理の詳細については、ここでは詳細説明を省く。
しかし、要約すれば、上述のように、始動入賞装置33への入賞により、主制御装置261において所定の確率の当否抽選がなされ、当たりに際しては、特別遊技状態に移行するのであり、これに伴って可変入賞装置32が入賞球の受球状態となるものである。
(可変入賞装置と捕集部)
この実施例においては、上記の可変入賞装置32は、次のように構成されている。
この可変入賞装置32の基本構成は、遊技盤30の横方向に複数の遊技球を通過させることのできる幅を持つ大入賞口61からの入球を収容部(図示せず)に収容し、該収容部に設けた排出部から検出センサ(図示せず)に至って検出するように構成されている。
そして、前記遊技盤30の遊技領域に、窓部101と遊技盤30との間の流下空間を流下する遊技球を入球させる始動入賞装置33(図4および図5参照)が設けられ、基本的に、前記始動入賞装置33への入球により、主制御装置261によって、所定の確率の当否抽選が行われ、該当たり抽選によって遊技状態が特別遊技状態に移行し、該特別遊技状態において、少なくとも1回、前記可変入賞装置32が、非受球状態から受球状態に切り替わり、前記受球状態において、前記大入賞口61から収容部に収容された規定数の入賞球を、前記検出センサにより検出することによって規定数の賞球を払い出すように構成してある。さらに、本パチンコ機10においては、前述の通り、抽選で直接的に大当たりとなるパターンと、小当たりとなってセンター役物83内の入賞樋部96に入球して大当たりとなるパターンとの2通りの当たりのパターンを経て、遊技状態が特別遊技状態に移行するように構成されており、後者の小当たりから大当たりに至るパターンに係るセンター役物83の構成は以下に記述する通りである。
(特徴構成)
上記パチンコ機10においては、図4および図5に示すように、遊技盤30の中央部に、中央ユニット35が配置されている。中央ユニット35は、センター役物83、前述の装飾図柄表示装置42等を含んで構成されたユニットとなっている。
センター役物83は、図9に示すように、正面視概略円環状の外形を有する下段部83Bと、該下段部83Bの上端部からさらに上方に正面視概略先端が丸い逆U字形状に延出する外形を有する上段部83Tとから構成され、該下段部83Bおよび上段部83Tは、やや奥行を有してそれぞれ内部の大部分が空間となっており、前面部が開放されている。
上段部83Tの両側部には、左右の開閉羽根89、89がそれぞれ配設されている。開閉羽根89は、遊技球の直径よりやや大きい前後幅を有して正面視上方へ先細りするとともに右側へやや湾曲しながら延びる概略爪形状の可動翼となっており、下部ほぼ中央で駆動軸の先端に固定され、該駆動軸を介してソレノイド(図示せず)により駆動されて、上方に向けて起立した閉位置と外側へ傾倒した開位置との間を回動するように開閉動作するようになっている。該開閉羽根89は、閉位置にあるときは上段部83Tの側部を閉塞し、外側面が斜面を構成して遊技球を斜下方へ流下させるように案内し、一方、開位置にあるときは遊技球を内側面で受けて上段部83T内へ入球するように案内する。
両開閉羽根89、89の内側には、受球部93、93がそれぞれ配設されている。受球部93は、遊技球の直径よりやや大きい横幅および前後幅ならびに遊技球の直径の2倍よりやや大きい高さを有する概略直方体の隅部が丸く角落ちし、外側面部がほぼ全面的に開放された外形となるように成形された中空の部位となっていて、起立するように配置形成されている。該受球部93の後側面の下部には、遊技球1球が通過し得る切欠(図示せず)が形成されている。該受球部の後側には、該受球部93に連通するように入球センサ95が配設されている。上述の通り開位置にある開閉羽根89から入球してきた遊技球は、受球部93から入球センサ95を通過し、上段部83Tの内奥の方へ案内される。
下段部83Bは、正面視概略円環状の前面枠部材85により周縁部を前方から覆われ、該前面枠部材85の内側が正面視円形に開口した構成となっている。該前面枠部材85の右上部および左上部には、左右各2箇所の計4箇所に、透光性を有する樹脂よりなるカバーで覆われた窓部85Aがそれぞれ配設され、これにより前記保留ランプ800aが構成されるようになっている。また、この保留ランプ800aを構成する窓部85Aも含め、前面枠部材85はセンター役物83における前面部の意匠を構成している。
センター役物83における上段部83Tの内部には球通路が形成され(図示せず)、該球通路の終端部には連絡口が穿設されており(図示せず)、上述の通り開閉羽根89から入球して上段部83Tの内奥の方へ案内されてきた遊技球は、上記球通路を流通して上記連絡口から下段部83Bへ入球するよう案内される。下段部83B内には、上記連絡口から、該下段部83Bの天井面部および側面部に沿って底面部まで延びる球通路が形成されている(図示せず)。該下段部83B内の球通路は、後述するように該下段部83Bの内奥に配置された装飾図柄表示装置42の視認性を阻害しないよう、このように周縁部を通って延びるように配設されている。
センター役物83の外周縁における複数個所には、ネジ挿通孔を有するフランジ84Fがそれぞれ形成されており、該フランジ84Fでセンター役物83が遊技盤30の前面上にネジにより締結固定されるようになっている。
センター役物83は、該センター役物83の正面形状に対応する形状となるように遊技盤30の中央部に穿設された中央貫通孔30Hに前方から嵌装され、前記したようにフランジ84Fで遊技盤30の前面上にネジにより固定される。該センター役物83は取付状態で遊技盤30の後面より後方へやや突出するが、この突出部を後方から覆うようにして、図6および図7に示す裏カバー部材82が遊技盤30の後面に取付固定される。該裏カバー部材82は、前述の通り装飾図柄表示装置42を備える表示制御装置45が搭載される取付ベース(取付台)として機能する他、LED基板等が配置固定される部材となっている。該裏カバー部材82は、図6および図7に示すように、遊技盤30の裏面における下端よりやや上方の位置から上端近傍の位置までの領域をほぼ全面的に覆う、概略矩形状であって右上および左上の隅部がそれぞれ斜線をなして角落ちないし矩形状に切欠かれた正面形状を有し、両側縁および上端縁に沿って取付用のフランジ82Fが形成され、該フランジ82Fの内側が全体的に後方へ膨出した奥行を有する透明樹脂製の部材となっている。裏カバー部材82の下部中央には開口が穿設されており(図示せず)、該開口を後方から閉塞するように表示制御装置45が取り付けられ、これにより、装飾図柄表示装置42の表示画面がセンター役物83における下段部83Bの内奥壁面部に配置され、図4に示すように、該下段部83Bの内奥から該下段部83B内を通して、前方へむけて図柄の変動表示がなされるようになっている。裏カバー部材82の隅部には、各種LED基板、センサ、モータ等の電気部品に接続された配線を中継する中継基板が配置固定されている(図示せず)。
センター役物83の下段部83B内における底面部には、図10に示す搬送ユニット73が配設されている。搬送ユニット73は、内側部材74と外側部材75とを組み合わせて構成され、全体として前後方向にやや長く延びる概略直方体(箱体)状の外形を有し、上面の全部、前面の上端部ならびに後面のほぼ上半部がそれぞれ開放された構成となっている。
内側部材74は、図11に示すように、平面視前後方向にやや長く延びる長方形状(縦L1≒67mm×横L2≒50mm)の底板76の幅方向中央部に、前端近傍から後端近傍まで前後方向に延び、やや大きい厚さ(L3≒14mm)を有する立板部77が配設された構成を有する樹脂成形体となっている。立板部77の全長(約57mm)の約1/4(約14mm程度)に相当する前端部の上部は、右上部および左上部がそれぞれ直方体状に切除されて断面凸状に成形され、これにより幅方向中央に比較的に細幅の前側突壁78Fが形成されている。前側突壁78Fの右上端縁および左上端縁はそれぞれ角落ちするよう成形されている。立板部77の下端から前側突壁78Fの下端までの高さL4は約37mm、前側突壁78Fの高さL5は約7mmとなっている。前側突壁78Fの後端から、立板部77の全長の約1/4に相当する長さだけ後方へ延びる部位は、立板部77の全厚L3を維持して前側突壁78Fの上端面に等しい高さ位置まで延び、さらに、前側突壁78Fの厚さに等しい幅を有する中央部を除く両側部が、前端から後端へ次第に上傾する前側案内面79Fをなすように成形されている。前側案内面79Fの勾配は概ね20°程度となっている。立板部77における前側案内面79Fの形成部よりも後側の部位すなわち立板部77における後側半部には、上記前側突壁78Fおよび前側案内面79Fと同様の構成を有する後側突壁80Fおよび後側案内面81Fが連続して形成されている。後側突壁80Fおよび後側案内面81Fは、前側突壁78Fおよび前側案内面79Fよりも若干(約5mm程度)だけ下方にずらすようにして形成されている。
外側部材75は、内側部材74と同一の材質よりなる樹脂成形体となっており、図12に示すように、4側面を周壁状に包囲する前側壁86F、後側壁86B、左側壁86Lおよび右側壁86Rを備え、これら4側壁により形成される平面視長方形状の外周縁は、上記内側部材74の底板76の外周縁に一致するものとなっている。左側壁86Lおよび右側壁86Rは同寸同形(合同)の側面視長方形状(幅L6=L1≒67mm×高さL7≒48mm)の側壁となっている。前側壁86Fの上端は、左側壁86Lの前上端から若干(約12mm程度)だけ下方の位置から、右下方へやや下傾しながら延びた後、中央部近傍で水平に右方へ延び、この後右上方へやや上傾しながら、左上端と同一の高さ位置にある右上端まで延びており、全体として、上記立板部77の厚さにほぼ等しい長さ(約14mm程度)の中央部と、該中央部から両側へやや上傾しながら延びる斜辺部とより構成されて正面視やや下方に凹入した形状となっている。前側壁86Fの幅L8(=L2)は約50mmとなっている。後側壁86Bの上端も前側壁86Fの上端と同様の形状となっているが、前側壁86Fの上端よりも若干(約10mm程度)だけ下方にずらした位置に形成されている。これにより、前側壁86Fの上端部ならびに後側壁86Bのほぼ上半部がそれぞれ開放されている。
外側部材75における左側壁86Lおよび右側壁86Rの内側面には、それぞれ左側ガイド部材87Lおよび右側ガイド部材87Rが配設されている。左側ガイド部材87Lおよび右側ガイド部材87Rはそれぞれ、左側壁86Lおよび右側壁86Rの内側面から内側へ突出するとともに、前側壁86Fの内側面から後側壁86Bの内側面まで前後に長く延びる立体状となるように成形されている。左側ガイド部材87Lは、図13に示すように、左側壁86Lの内側面から内側へ幅L9≒14mmだけ突出し、上面を除く5面が平面状に延びる角状の立体となっている。左側ガイド部材87Lの全長(約57mm)の約1/4(約14mm程度)に相当する前端部の上面部は、前側壁86Fの左上端から平面視で1辺が約14mm程度の正方形状をなして後方へ拡がり、かつ概ね20°程度の勾配で前端から後端へ次第に上傾して左第1案内面88Lを形成している。左第1案内面88Lの後方に隣接する位置には左第2案内面90Lが形成されている。左第2案内面90Lは、左第1案内面88Lの左後端より若干(約10mm程度)だけ下方の位置から、同じく平面視で1辺が約14mm程度の正方形状をなして後方へ拡がっているが、前後には傾斜せず、概ね20°程度の勾配で外側端から内側端へ次第に下傾するように成形されている。左第2案内面90Lの左後端からは、上記左第1案内面88Lおよび左第2案内面90Lと同様の構成を有する左第3案内面91Lおよび左第4案内面92Lが連続して形成されている。左第3案内面91Lおよび左第4案内面92Lは、左第1案内面88Lおよび左第2案内面90Lよりも若干(約6mm程度)だけ下方に位置している。左第4案内面92Lの後端縁は、後側壁86Bの上端における斜辺部に一致するよう延びている。右側ガイド部材87Rは、右側壁86Rの内側面に、上記左側ガイド部材87Lと左右対称となるように形成されており、このため以下、上記左側ガイド部材87Lの場合と同様の部位については、左右の別を除いて同様の呼称とし、その説明は省略する。
外側部材75は、図10に示すように、左側ガイド部材87Lと右側ガイド部材87Rとの間に内側部材74の立板部77を挿通するようにしながら、内側部材74に上方から嵌装される。最後まで嵌装すると、外側部材75の前側壁86F、後側壁86B、左側壁86Lおよび右側壁86Rの下端が内側部材74の底板76の上面に重なるとともに両者の外周面同士が面一に連続する。また一方、左側ガイド部材87Lおよび右側ガイド部材87Rにおける左第1案内面88Lおよび右第1案内面の前端縁と、内側部材74の立板部77における前側突壁78Fの下端の高さ位置(立板部77の下端から高さL4の位置)とが揃うように並ぶ(以下、この位置を初期位置と称す)。この初期位置においては、外側部材75における左側ガイド部材87Lと右側ガイド部材87Rとの間の間隙を埋めながらやや上方に突出するように内側部材74の立板部77が位置する。換言すれば、左側ガイド部材87Lおよび右側ガイド部材87Rにおける左第1案内面88Lおよび右第1案内面から左第4案内面92Lおよび右第4案内面まで、両側で後方へ階段状に下っていくように連なって構成された案内面の間を、内側部材74の立板部77が仕切るように位置する体勢となっている。
搬送ユニット73は、センター役物83の下段部83B内における底面部から上部を露出させるようにして、下部を該下段部83Bの底面部内に嵌入するようにして配置固定される(図示省略)。このとき、搬送ユニット73の内側部材74は所定位置に不動に固定される。一方、センター役物83の下段部83Bの底面部内には、モータを駆動源とする駆動機構が配設されており(図示省略)、これにより搬送ユニット73の外側部材75が、図10に矢印A1で示すように、初期位置と、これよりやや上方の位置との間を上下に往復するように駆動されるようになっている。
以下、上記センター役物83の動作について説明する。図14は、センター役物83における遊技球の流通経路の一例を示す模式図である。
本パチンコ機10においては、前述の通り、大当たりの抽選で外れとなったとしても、まだ小当たりとなる可能性が付加的に確保されており、この小当たりとなった場合には、上記センター役物83の開閉羽根89、89が2回開放されるように、主制御装置261の主制御基板により制御される。図14に示すように、センター役物83の開閉羽根89が開放され、該開閉羽根89から遊技球M1が入球すると、該遊技球M1は前述の通り、受球部93(図14では図示省略)から入球センサ95(図14では図示省略)を通過し、上段部83Tの内奥の方へ案内される。遊技球M1は、前述の通り上段部83T内の球通路(図示せず)を転動した後、連絡口94から下段部83Bへ入球し、下段部83B内の周縁部を通って延びる球通路(図示せず)を通って底面部まで案内される。該球通路の終端部は、下段部83Bにおける底面部の内奥側端部中央まで延びており、この位置で遊技球M1を放出して落下させる。この遊技球M1の落下位置の下方には搬送ユニット73の後端部中央が位置しており、遊技球M1は搬送ユニット73における立板部77の後側案内面81F上に向かって落下していく。
一方、搬送ユニット73は、主制御装置261の主制御基板により制御され、パチンコ機10の稼動開始(電源オン)とともに上述の外側部材75の上下動が開始され、パチンコ機10の稼動中は終始、上下動を繰り返している。この上下動は、一往復に要する時間にして1秒より若干短い程度の一定速度で行なわれるように設定されている。この外側部材75の上下動において、初期位置では上述の通り、内側部材74の立板部77が、両側の外側部材75における左側ガイド部材87Lおよび右側ガイド部材87Rよりも概ね上方に突出しているが、図15に示すように、最も上方の位置(以下、この位置を上限位置と称す)では、外側部材75における左側ガイド部材87Lおよび右側ガイド部材87Rの案内面(上面)全体が、内側部材74の立板部77の上面全体より上位にくる位置まで上昇するようになっている。より具体的には、上限位置では、外側部材75における左側ガイド部材87Lおよび右側ガイド部材87Rの左第2案内面90L、右第2案内面、左第4案内面92Lならびに右第4案内面の最下端(内側端)が、それぞれ内側部材74の立板部77における前側案内面79Fおよび後側案内面81Fの最上端(後側端)と同水準に並ぶ高さ位置までくるようになっている。
遊技球M1が搬送ユニット73に到達する時期は不定であるため、該遊技球M1は、搬送ユニット73の外側部材75が初期位置と上限位置との間のいずれの高さ位置にある時点でも落下していき得る。まず、図10に示すように外側部材75が初期位置にある場合、落下してきた遊技球M1は、例えば図16に矢印A2で模式的に示すように、そのまま立板部77における後側案内面81Fの傾斜に沿って前方の後側突壁80Fに案内されていくことも多いが、このとき、内側部材74の立板部77における後側案内面81Fは、外側部材75における左側ガイド部材87Lおよび右側ガイド部材87Rの左第4案内面92Lおよび右第4案内面92Rよりも上方に位置しているので、遊技球M1の落下軌道や落下後の弾み方、揺動等の如何によっては、後側案内面81Fから左第4案内面92Lおよび右第4案内面92Rのいずれかへ落下していくこともあり得る。このように初期位置で遊技球M1が左第4案内面92Lおよび右第4案内面92Rのいずれかに案内されると、その両側には、内側部材74の立板部77と、外側部材75の左側壁86Lまたは右側壁86Rが位置し、その前方には、左第3案内面91Lまたは右第3案内面91Rの後端縁から下方へ延びる面が恒常的に(外側部材75の上下動とは無関係に)位置し、後方には搬送ユニット73の後側の壁面(図示せず)が位置している。即ち、左第4案内面92Lまたは右第4案内面92Rに案内された遊技球M1の周囲が包囲された状況となっている。従って、該遊技球M1は左第4案内面92Lまたは右第4案内面92Rにしばらく留まることとなる。また、この状況で搬送ユニット73を前方から視ると、遊技球M1は、左第3案内面91Lまたは右第3案内面91Rの向こうにほぼ没して隠れており、遊技者の視線に対しては死角に入っていて視認されない状態となっている。
なお、内側部材74の立板部77における後側案内面81Fは、図11に示すように、前側案内面79Fと同様に、中央に後側突壁80Fないし前側突壁78Fの幅に等しい幅(約5mm)の間隔が形成された構成となっており、この間隔は、ちょうど遊技球M1の直径の1/2程度であるので、遊技球M1の下端部が局部的に嵌り込むようにして支持され得るものとなっている。従って、後側案内面81Fないし前側案内面79Fに案内された遊技球M1は、両側の斜面上を流下するかあるいはその外側へ落下していくことも可能であるが、中央の間隔に嵌り込み、該間隔がガイドとなってまっすぐに前方へ案内されていきやすいようになっている。
搬送ユニット73の外側部材75が初期位置と上限位置との間の位置(以下、この位置を中間位置とも称す)にある間は、上述のように左第4案内面92Lまたは右第4案内面92Rの周囲が包囲された状況にも基本的に変わりはないので、落下してきた遊技球M1は上述の初期位置の場合と基本的に同様の挙動を示す。ところが、図15に示すように、外側部材75がほぼ上限位置あたりまでくると、両側の左第4案内面92Lおよび右第4案内面が中央の後側案内面81Fよりも高い位置までくるので、左第4案内面92Lおよび右第4案内面のいずれかの上に留まっていた遊技球M1は、例えば図16に矢印A3で模式的に示すように、左第4案内面92Lないし右第4案内面92Rの傾斜により中央の後側案内面81Fに案内され、ついで該後側案内面81Fの傾斜により前方の後側突壁80Fに案内されていく。このとき、左第3案内面91Lまたは右第3案内面91Rの向こうにほぼ没して隠れていた遊技球M1が、中央の後側案内面81Fに移動することで、遊技者の視線に入って視認されるようになる。また、この上限位置あたりで両側の左第4案内面92Lおよび右第4案内面92Rのいずれかの上に遊技球M1が落下してきた場合にも、該遊技球M1は同様に両側の左第4案内面92Lないし右第4案内面92Rから中央の後側案内面81Fを経て前方の後側突壁80Fに案内されていく。以上の通り、落下してきた遊技球M1は、中央の後側案内面81Fを経てそのまま前方へ案内されるにせよ、いったん両側の左第4案内面92Lおよび右第4案内面92Rのいずれかの上に案内され、さらにはここに留まってほぼ上限位置あたりまで引き上げられてから中央の後側案内面81Fへ案内されるにせよ、いずれにしても前方の後側突壁80Fに案内されていくこととなる。
上述のようにして、内側部材74の立板部77における後側突壁80Fに遊技球M1が案内された後、外側部材75が上限位置ないし中間位置にある間は、図15に示すように、該後側突壁80Fよりもその両側の左第3案内面91Lおよび右第3案内面91Rのほうが高い位置にあるため、該後側突壁80Fの両側には、左側ガイド部材87Lおよび右側ガイド部材87Rの内側面が位置し、また該後側突壁80Fの前方には、前側案内面79Fの後端縁から下方へ延びる面が恒常的に位置する。さらにまた、該後側突壁80Fの後方には、前方へ下傾する後側案内面81Fが恒常的に位置する。即ち、後側突壁80F上に案内された遊技球M1は、前方および両側を面で囲われ、後方には上り勾配の斜面が位置することとなる。従って、遊技球M1はこの間後側突壁80F上に留まることとなる。
外側部材75が図10に示すようにほぼ初期位置あたりまでくると、両側の左第3案内面91Lおよび右第3案内面91Rが後側突壁80Fよりも低い位置に下っていくので、後側突壁80F上に留まっていた遊技球M1は、例えば図16に矢印A4で模式的に示すように、両側の左第3案内面91Lおよび右第3案内面91Rのいずれかへ案内され、続いて、その傾斜により前方の左第2案内面90Lまたは右第2案内面90Rへ案内されていく。一方、外側部材75がほぼ初期位置あたりにある間に遊技球M1が後側突壁80Fに案内されてきた場合には、遊技球M1は後側突壁80F上に留まることなく、直ちに上述と同様に両側の左第3案内面91Lおよび右第3案内面91Rのいずれかを経て前方の左第2案内面90Lまたは右第2案内面90Rへ案内されていく。
後側突壁80Fは、基本的に遊技球M1の直径の1/2程度の幅(約5mm)しかなく、その上端面では角落ちによりさらに狭小(約3mm程度)となっているため、遊技球M1がこの上に載って静止することも困難であり、ましてや転動してきた遊技球M1であればこの上に留まることは到底不可能である。また、上述の通り、後側突壁80Fの前方も後方も、恒常的に遊技球M1の進行が困難な構成となっている。したがって、遊技球M1は、上述のように一時的に周囲を囲われて後側突壁80F上に留まるにせよ留まらないにせよ、外側部材75がほぼ初期位置あたりまでくると、必ず両側の左第3案内面91Lおよび右第3案内面91Rのいずれかへ案内されることとなる。このとき、左右いずれの方向に案内されるかは、側突壁80F上においてそれまで遊技球M1が留まっていた位置や体勢、側突壁80F上に転動してきた軌道等によって決まるが、いずれにしても、外側部材75のやや高速の上下動により遊技球M1が搬送ユニット73内を搬送されていく状況を目視で追っていたとしても、側突壁80Fから左右いずれの方向にいくかはなかなか予測し難い。特に、前述の通り、後側案内面81Fからは、遊技球M1が中央の間隔によりガイドされてまっすぐに前方へ案内されて、即ちまっすぐに前方へ転動してくるように整流されてきやすくなっているので、遊技球M1の転動方向を予め予測することはいっそう困難となっている。このとき、左右いずれの方向にいく確率も均等で、概ね1/2ずつとなっている。
上述のようにして、外側部材75における左側ガイド部材87Lおよび右側ガイド部材87Rの左第2案内面90Lまたは右第2案内面90Rに遊技球M1が案内された後は、前述の左第4案内面92Lまたは右第4案内面92Rに案内された場合と同様に、外側部材75が初期位置と上限位置との間のいずれの高さ位置にあるかに応じて、当該位置にしばらく留まるかまたは留まることなく直ちに、例えば図16に矢印A5で模式的に示すように、中央の前側案内面79Fを経てその前方の前側突壁78Fへ案内されていく。
上述のようにして前側突壁78Fに遊技球M1が案内された後は、前述の後側突壁80Fに案内された場合と同様に、外側部材75が初期位置と上限位置との間のいずれの高さ位置にあるかに応じて、当該位置にしばらく留まるかまたは留まることなく直ちに、両側の左第1案内面88Lおよび右第1案内面88Rのいずれかへ案内されていく。このとき、前述の後側突壁80Fの場合と同様に、左右いずれの方向にいくかは予測し難く、その確率も均等で、概ね1/2ずつとなっている。
搬送ユニット73の前方には、入賞樋部96および排球樋部97が配設されている。入賞樋部96および排球樋部97はそれぞれ、上方が開放された樋状の部材となっており、入賞樋部96は、搬送ユニット73の外側部材75における左側ガイド部材87Lの左第1案内面88Lの前側に隣接して左方へわずかに下傾しながら延びるようにして配置され、その途上には入賞センサ98が配設されている。排球樋部97は、外側部材75における右側ガイド部材87Rの右第1案内面88Rの前側に隣接して右方へわずかに下傾しながら延びるようにして配置され、その途上には排球センサ99が配設されている。
前側突壁78Fへ案内された遊技球M1は、例えば図16に矢印A6で模式的に示すように、左側の左第1案内面88Lへ案内された場合には、その傾斜によりその前方の入賞樋部96へ流入するよう案内され、入賞センサ98により当り(入賞)として検知されながら左方へ排出されていく。一方、例えば図16に矢印A7で模式的に示すように、右側の右第1案内面88Rへ案内された場合には、その傾斜によりその前方の排球樋部97へ流入するよう案内され、排球センサ99により外れとして検知されながら右方へ排出されていく。
以上のように、小当たりとなってセンター役物83内に遊技球M1が入球すると、該遊技球M1は、センター役物83内を下方へ流下していき、下段部83B内の球通路から放出されて搬送ユニット73に落下し、外側部材75の上下動により、搬送ユニット73内を後端部から前方へ、階段を1段ずつ昇っていくように案内されて搬送されていく。特に、外側部材75が初期位置あたりにあるときに搬送ユニット73に遊技球M1が入球した場合には、該遊技球M1は当初は遊技者から見えず隠れていて、外側部材75が初期位置から上昇していくとともに中央に現れて遊技者から見えるようになり、以降、遊技者のほうに迫ってくるように搬送されてくる格好となる。この搬送の途上で、遊技球M1は、後側突壁80Fから、両側の左第3案内面91Lおよび右第3案内面91Rのいずれかへ案内されるので、ここでまずおよそ1/2の確率で左右に振り分けられることとなり、この後、前側突壁78Fへきて再度同様におよそ1/2の確率で左右いずれかへ案内されるので、左側の左第1案内面88Lから入賞樋部96へと案内されて当り(入賞)となるか、それとも右側の右第1案内面88Rから排球樋部97へと案内されて外れとなるかの振り分けがなされることとなる。即ち、センター役物83における下段部83B内の内奥側から、途中で左右に振り分けられながら遊技者に向かってだんだん昇ってくるようにして遊技球M1が搬送され、その搬送経路の終点で、およそ1/2の当選確率で当り外れの振り分けがなされる構成となっている。これにより、期待度が次第に高まってきて興趣が効果的に盛り上げられる演出がなされるようになっている。
上記当り外れの振り分けで首尾よく(即ちおよそ1/2の当選確率で)当りとなって遊技球M1が入賞樋部96に入球すると、大当たりとなって遊技状態が特別遊技状態に移行することとなる。また、このように遊技球M1がセンター役物83内を流下していくのにともない、装飾図柄表示装置42による図柄表示や各部のLED基板による発光や音声等により、各種の演出がなされるようになっている。例えば、遊技球M1がセンター役物83内における球通路の終端部から放出されて搬送ユニット73へむけて落下してから、搬送ユニット73内を搬送されていくまでの経路におけるいずれか一点またはそれ以上の位置に、赤外線センサ、フォトセンサ等の適宜なセンサやカメラ等が配置されて遊技球M1の状況を把握し得るように構成され、遊技球M1が有利な側を移動している場合には期待感をさらに盛り上げるような派手な態様の演出がなされ、遊技球M1が不利な側を移動している場合には地味な態様の演出がなされる、といったように制御されるようになっている。また、遊技球M1の位置に応じて、その時点における入賞確率が算出され、装飾図柄表示装置42等の表示手段で表示されるようになっている。
(作用)
上記パチンコ機10の構成によれば、一定の反復動作すなわち上下動を行ない得るように可動に構成された受球面である、搬送ユニット73の外側部材75における左側ガイド部材87Lの左第1案内面88Lないし左第4案内面92Lならびに右側ガイド部材87Rの右第1案内面88Rないし右第4案内面92Rと、上記受球面の反復動作を行なうための駆動力を付与する駆動源であるモータと、を備え、上記受球面に遊技球M1を支承させるように案内し、上記受球面の反復動作により上記遊技球M1を所定の位置すなわち搬送ユニット73の後端部から該位置よりも高い別の位置すなわち搬送ユニット73の前端部へ搬送する遊技球搬送機構として搬送ユニット73を備えるものとなっている。
上記構成によれば、遊技球M1を重力方向とは逆に低位置から高位置へと案内させることができるようになっているので、そのぶん遊技球M1を案内する方向の制約が少なくなる。従って、パチンコ機10内において遊技球M1を移動させる経路のレイアウトの幅が広く設計の自由度も高い構成となっている。また、特に遊技領域内に配置されており、従来の通例であった高位置から低位置へという重力方向とは逆に、低位置から高位置へという新たな方向で遊技球M1を移動させるようになっており、これにより遊技球M1の動きが斬新で意外なものとなっていてそのぶん興趣が盛り上がるようになっている。
また、受球面の一定の反復動作すなわち上下動によって遊技球M1を搬送するようになっているので、単純な回転を行なうモータを駆動源として用い、この駆動源の駆動力を簡潔な機構により受球面に伝達するように遊技球搬送機構が構成されている。これにより、構成が簡潔となっていてコストも低減されている。
また、上記受球面が直接的に隣接するように複数(後側から前側へ4面)配置され、遊技球M1がこれら複数の受球面に順次支承されるように案内されるので、遊技球M1を複数の受球面により順次高い位置へ搬送していくことができるようになっており、従って簡単な構成により、遊技球M1を搬送ユニット73の後端部から前端部まで搬送することができるようになっている。また、遊技球M1が階段を一段ずつ昇っていくようにして搬送されていくので、そのぶん視覚的な演出効果が得られるようになっている。
また、上記遊技球M1を搬送ユニット73の後端部からより高い前端部へ搬送する経路が複数(左右2本)配設され、これら複数の経路によりそれぞれ遊技球M1が搬送され得るようになっているので、複数の遊技球M1を搬送することができて搬送の効率が良好となっている。また、複数の経路で遊技球M1が搬送されていくので、そのぶん興趣も盛り上がって視覚的な演出効果もより良好となっている。
また、上記複数の経路における受球面が、同一の駆動源すなわち同一のモータにより駆動されるようになっている。複数の経路における受球面は、それぞれ別の駆動源により駆動する構成とすれば、複数の経路における動作を互いに独立して行なうこともできるといった利点も得られるが、一方、上記パチンコ機10の構成のように同一の駆動源により駆動する構成によれば、そのぶん構成が簡潔化されてコストも低減されている。
また、上記複数の経路が、少なくとも前側突壁78Fおよび後側突壁80Fを介して連通し、遊技球M1が一方の経路から他方の経路へ移動し得るようになっている。複数の経路は、例えばこれらの間を仕切板等により仕切って遊技球が別の経路へ移動し得ない構成とすれば、各経路で遊技球を1球ずつ確実に搬送することができ、従って専ら遊技球の搬送のみを目的とするような場合に有用であるが、一方、上記パチンコ機10の構成によれば、少なくとも一箇所で連通させて遊技球M1が別の経路へ移動し得る構成となっているので、遊技球M1の搬送経路に変化が付与されるようになっており、従って視覚的な演出効果がより良好となっている。
また、上記連通箇所すなわち前側突壁78Fおよび後側突壁80Fにおいて、上記一つの経路および別の経路のうちのいずれの経路へも遊技球M1が移動することが可能であって、遊技球M1がいずれの経路へ移動するかは予測し得ないように構成され、上記一つの経路および別の経路が、それぞれ遊技者にとって有利な遊技領域すなわち入賞樋部96と該遊技領域よりも有利さの度合いの低い遊技領域すなわち排球樋部97とに遊技球M1を案内し得るように構成されているので、連通箇所である前側突壁78Fないし後側突壁80Fにおいて、遊技球M1が以降有利な遊技領域である入賞樋部96に案内されていくか、それとも有利さの度合いの低い遊技領域である排球樋部97に案内されていくかというように振り分けがなされ、このときこの振り分けが予測不能なものとなっており、従ってこれにより特に遊技者の関心を引いて興趣を盛り上げることができるようになっている。
また、上記遊技球搬送機構である搬送ユニット73が、遊技球M1をパチンコ機10の前方へ搬送していくようにして遊技領域内すなわちセンター役物83の下段部83B内における底面部に配置されているので、遊技球M1が遊技者に向けて上昇してくるように搬送されることとなっており、従ってこれにより意外性のある視覚的な演出効果が得られるようになっている。
また、上記受球面が、上記別の位置すなわち搬送ユニット73の前端部へ向けて下傾していることにより、支承した遊技球を前記別の位置へ向けて案内し得るようになっているので、簡潔な形状および簡潔な機構により、効果的に遊技球M1を高位置へ案内し得る遊技球搬送機構が構成されている。
(変更態様)
上記パチンコ機10には、例えば以下に列挙するように様々な変更を加えることが可能である。
(1)前記実施形態においては、遊技球M1を搬送ユニット73の後端部からより高い前端部へ搬送する経路として左右2本が配設されていたが、例えば、搬送経路を1列のみ配設したり、左側、中央および右側の3列配設したり、あるいは4列以上配設したりしてもよい。搬送経路の数が多くなるほど、そのぶん、多数の遊技球を搬送できて搬送効率を良好とすることができるとともに、視覚的な演出効果も良好とすることができる。
また搬送経路を3列以上配設すると、遊技球を3通り以上に振り分ける構成とすることもできる。例えば、搬送経路を3列配設してこのうちの1列を有利な遊技領域に連通させて当選確率をおよそ1/3とした構成や、あるいは例えば、搬送経路を4列配設してこのうちの1列または2列を有利な遊技領域に連通させて当選確率をおよそ1/4または1/2とした構成等も可能である。さらには例えば、搬送経路を3列以上配設して、これら3列以上を、有利さの度合いが段階的に異なる3以上の遊技領域にそれぞれ連通させた構成等も可能である。
(2)前記実施形態においては、搬送ユニット73の内側部材74および外側部材75が左右対称に形成され、遊技球M1が左右いずれの経路へも均等に確率およそ1/2で振り分けられて搬送され得る構成となっていたが、例えば少なくとも一部の形状ないし寸法を左右で不均等となるように構成することにより、遊技球がいずれかの経路へ振り分けられやすくなるように構成してもよい。
図17に、内側部材の立板部60における前側突壁62Fを左右不均等な形状に成形するようにした例を示す。図17に示す前側突壁62Fは、前記実施形態に係る前側突壁78Fと同様に、立板部60の右上部および左上部がそれぞれ直方体状に切除されて断面凸状とすることにより成形され、さらにその左上端縁が角落ちするよう成形された形状となっているが、該左上端縁から上面が右方へ下傾斜する形状に成形されて右方案内面63が形成されており、これにより該前側突壁62Fが左右不均等な形状となっている。この前側突壁62Fの右方案内面63以外の構成はすべて前記実施形態に係る搬送ユニット73の場合と同様であり、前側突壁62Fの後方には、前記実施形態に係る前側案内面79Fと同様の前側案内面64Fが形成されている。この構成によれば、遊技球は、前側突壁62Fの左方へいくことも可能とはなっているものの、右方案内面63に案内されることによってより右方へいきやすくなっている。従って例えば、左方の経路に入賞樋部を連通させる構成とすると当選確率を1/2より小とすることができ、逆に右方の経路に入賞樋部を連通させる構成とすると当選確率を1/2より大とすることができる。
あるいはまた、例えば、内側部材の立板部における前側案内面ないし後側案内面を、左右いずれかの経路へ向けて傾斜させるように形成するといった構成(図示せず)等も可能である。さらにこの場合、例えば、内側部材の立板部における前側突壁、後側突壁、前側案内面および後側案内面のすべてを左右いずれかの経路へ向けて傾斜させるように形成すると、遊技球が搬送ユニットに最初に入球した時点で当り外れがおおよその見当が付くようにすることができる。また、例えば、内側部材の立板部における前側突壁、後側突壁、前側案内面および後側案内面のそれぞれにおける傾斜方向が異なるように形成すると、遊技球が搬送ユニットを搬送されていく途上で進路を変更しやすくなり、これにより興趣を盛り上げることができる。また、例えば、搬送ユニットのうちに、左右対称に形成されて左右の経路へ均等に確率およそ1/2で振り分けられる部位(A)と、左右不均等に形成されて左右の経路へ不均等に振り分けられる部位(B)とを適宜組合せるように配置してもよく、例えば、前者の部位(A)と後者の部位(B)とが1ずつ交互に配列された態様(即ち「A、B、A、B、・・・」)、基本的に前者の部位(A)が連続して配列されたうちに後者の部位(B)が点在するように配列された態様(例えば「A、A、A、B、A、A、A、B、・・・」等)、前者の部位(A)と後者の部位(B)とが不規則に(ランダムに)配列された態様(例えば「A、A、B、A、B、B、・・・」等)等がいずれも可能である。
(3)前記実施形態においては、搬送ユニット73が、センター役物83の下段部83B内における底面部に配置されていたが、搬送ユニット73は遊技球が流通し得る箇所であればいずれの箇所に配置するようにしてもよい。例えば前記実施形態の構成において、センター役物83の外部の遊技領域に搬送ユニット73を配置してもよく、またセンター役物83の内部においても下段部83B内における底面部以外の任意の箇所、例えば上段部83T内における底面部等に配置するようにしてもよい。あるいは、センター役物83の上段部83Tおよび下段部83Bに、それぞれ搬送ユニット73を配置することにより振分機構を設けるようにしてもよい。
さらに、例えば、搬送ユニット73と、搬送ユニット73以外の振分機構とをあわせて設けるようにしてもよい。図18に、振分機構の別の一例として回転式振分ユニット65を示す。回転式振分ユニット65は、転動盤66に回転体67を回転可能に取り付けた構成を有するユニットとなっている。転動盤66は、後端から前端へかけて下傾する平面視概略矩形状の板状に成形され、中央部には回転体67の径よりわずかに大径の円形の貫通孔が穿設されている。該貫通孔における外周の大部分には、やや上方に延出する球止周壁が形成され、該貫通孔における外周の前部においては、遊技球の直径の2倍程度の幅だけ球止周壁が形成されない開放部68が設けられている。転動盤66の上面における前側半部には、上記貫通孔より大きい径を有する平面視半円形状の外周壁69が該貫通孔と同心となるように形成され、該外周壁69と貫通孔との間に、遊技球1球が余裕をもって左右に往復し得る平面視半円形状の球通路70が形成されている。該球通路70の両側部は転動盤66の傾斜に沿って前方へやや下傾した体勢となっているが、該球通路70の中央部は配置状態で上記貫通孔側へ(即ち後方へ)やや下傾するように形成されており、したがって該球通路70内に後上方から流入してきた遊技球は、はじめのうち外周壁69の内側面に沿って左右に往復するが、往復するうちに勢いがある程度まで減衰すると、中央部で自重により後方へ案内されて開放部68から貫通孔内へと転落していくようになっている。
回転体67は、上記転動盤66の貫通孔よりわずかに小径であって遊技球の直径よりわずかに大きい厚みを有する円板状体となっている。該回転体67には、外周において120°ずつ間隔をおいた3箇所に、中心へ向けて平面視略U字形状をなして陥入する凹部67G、67N、67Nがそれぞれ形成されており、これら3凹部67G、67N、67Nはいずれも、遊技球1球を収容し得る容量を有するとともに、上面部および外側面部(回転体67の外周に位置する側面部)は開放されている。上記3凹部67G、67N、67Nのうちの1凹部(以下、入賞凹部とも称す)67Gは下面部も完全に開放されていて遊技球が下方へ落下し得るように構成され、残りの2凹部(以下、排球凹部とも称す)67N、67Nは、いずれも基本的には下面部が開放されているが、下面部における中心側(内奥側)から部分円状にやや延出するように球止片が形成されてこの中心側が部分的に閉塞されており、これら排球凹部67N、67N内に収容された遊技球は該球止片に抵触して下方へは落下し得ず、外側面部からのみ外部へ離脱し得るようになっている。回転体67は、転動盤66の裏側に配設されたモータ(図示せず)により正面視反時計回り方向に回転するよう駆動されるようになっている。
転動盤66の貫通孔の下には、入賞凹部67Gの下面部が通過する位置に、遊技球1球が通過し得る入賞入球部(図示せず)が配設され、該入賞入球部は、入賞センサ(図示せず)を介して、転動盤66の下方へ延びる入賞球通路管72に連通している。一方、転動盤66の貫通孔の内周面部において、上記入賞入球部からやや正面視反時計回り方向側へ離れた位置であって排球凹部67N、67Nの外側面部が通過する位置には、遊技球1球が通過し得る排球部(図示せず)が配設され、該排球部は、排球センサ(図示せず)を介して、転動盤66の下方へ延びる上部球通路管21に連通している。
回転式振分ユニット65は、外周壁69配設側を前方へ向けるようにして、センター役物83の上段部83T(図18では図示せず)内における底面部に配置される。このとき、入賞球通路管72は、前記実施形態に係る球通路と同様の経路に沿って延びるよう配設される。即ち、センター役物83の上段部83T内の底面部を貫通して下段部83B内へ進入し、下段部83B内の周縁部を通って、下段部83Bにおける底面部の内奥側端部中央近傍まで延びるよう配設される。入賞球通路管72の終端部は屈曲して下方へやや延び、その下端が開口部となるよう成形され、該開口部が、搬送ユニット73の外側部材75の左側ガイド部材87Lにおける左第4案内面92Lの中央の真上にくるように配設されている。従って、入賞球通路管72の開口部から放出され落下した遊技球は、図18に矢印A8で示すように、左第4案内面92L上に案内される。
また、上部球通路管21は、センター役物83における上段部83Tの底面部に穿設された連絡口(図示せず)に連通し、さらに該連絡口から、下部球通路管21Bが、上記入賞球通路管72と左右対称となるように、下段部83B内の周縁部を通って、下段部83Bにおける底面部の内奥側端部中央近傍まで延びるよう配設される。下部球通路管21Bの終端部は屈曲して下方へやや延び、その下端が開口部となるよう成形され、該開口部が、搬送ユニット73の外側部材75の右側ガイド部材87Rにおける右第4案内面92Rの中央の真上にくるように配設されている。従って、下部球通路管21Bの開口部から放出され落下した遊技球は、図18に矢印A9で示すように、右第4案内面92R上に案内される。
(動作)
以下、上述のように回転式振分ユニット65を配設した場合のパチンコ機10における動作の一例を説明する。
まず、遊技者が最初に遊技球発射ハンドル18を操作すると、通常の変動表示状態(以下、「通常状態」とも称す)となり、この遊技球発射ハンドル18の操作が後述するように電気的に検知されることにより、装飾図柄表示装置42の表示画面においては装飾図柄の変動表示が開始され、以降、通常状態の間は図柄の変動と外れ図柄での停止とが繰り返される。
通常状態において、第1の始動入賞装置33に遊技球が入球すると、大当たりの抽選が行われ、当選した場合には、装飾図柄表示装置42の表示画面において大当たり図柄が停止表示され、遊技状態が通常状態から特別遊技状態へと移行する。
上記大当たりの抽選において外れた場合には、前記実施形態の場合と同様に小当たりとなり、センター役物83の開閉羽根89、89が1回ないし2回開放される。開放された開閉羽根89、89に遊技球が入球すると、該遊技球は、受球部93、93から入球センサ95、95を通過してセンター役物83内に入球したことが検知され、このセンター役物83への入賞に対して所定数の賞球が払い出されるとともに、装飾図柄表示装置42の表示画面においてリーチ演出が開始される。該入球センサ95、95は、主制御装置261に接続されている(図8参照)。続いて、該遊技球は、センター役物83における上段部83Tの内奥側で、回転式振分ユニット65の転動盤66における後端部の上へ案内される。転動盤66上では、該遊技球は傾斜により前方へ案内され、前述の通り球通路70を左右に往復し、やがて勢いが減衰すると、開放部68から貫通孔内へと転落していく。この転落の時期に応じて、該遊技球は回転体67における入賞凹部67Gおよび排球凹部67N、67Nのうちのいずれかに入球することとなる。回転式振分ユニット65は、前記実施形態に係る搬送ユニット73と同様に、主制御装置261の主制御基板により制御され、パチンコ機10の稼動開始(電源オン)とともに回転体67の回転動作が開始され、パチンコ機10の稼動中は終始、回転体67が一定速度で回転し続けるように構成されている。
入賞凹部67Gに入球した場合には、該遊技球は、開放部68の位置から正面視反時計回り方向に搬送され、入賞入球部の上までくると、入賞凹部67Gの下面部から該入賞入球部へ落下し、入賞センサにより当り(入賞)として検知されて、入賞球通路管72へ流入していく。一方、排球凹部67N、67Nに入球した場合には、該遊技球は、入賞入球部の上まできても球止片により下方へ落下できないため、そのまま入賞入球部の上を通過して引き続き正面視反時計回り方向に搬送され、排球部の位置までくると、排球凹部67Nの外側面部から該該排球部へ入り、排球センサにより外れとして検知されて、上部球通路管21へ流入していく。このとき、入賞センサにより当り(入賞)が検知されると、装飾図柄表示装置42の表示画面においては期待表示演出であるスーパーリーチ演出が開始され、排球センサにより外れが検知されると、外れ図柄(リーチ外れ図柄)が停止表示される。
こうして、センター役物83の上段部83Tにおいてまず回転式振分ユニット65により遊技球が入賞球通路管72へ案内されるか上部球通路管21へ案内されるかの振り分けがなされることとなる。即ち、回転式振分ユニット65により、およそ1/3の当選確率で入賞か否かの振り分けがなされることとなる。
遊技球が入賞球通路管72または上部球通路管21によりセンター役物83の下段部83B内へ案内されると、入賞球通路管72または下部球通路管21Bにより下段部83Bにおける底面部の内奥側端部中央近傍まで案内され、前述の通り、それぞれの開口部から放出され落下して、搬送ユニット73の外側部材75の左側ガイド部材87Lにおける左第4案内面92Lまたは右側ガイド部材87Rにおける右第4案内面92Rへ案内される。このとき、入賞球通路管72および下部球通路管21Bは、センター役物83の下段部83B内を前後に蛇行するように、即ち該下段部83B内をできるだけ広範囲に行き渡るように配置されており(図示せず)、従って、遊技球の流通距離が長くなってその流通にも多くの時間を要するようになっており、これによってより長く入賞への期待を持たされることとなって興趣が盛り上げられ、また上記スーパーリーチ演出を行う時間もより多く確保されるようになっている。
この後、該遊技球は、前述の通り、搬送ユニット73内を後端部から前方へ、途中で左右に振り分けられながら搬送されていき、搬送経路の終点でおよそ1/2の当選確率で当り外れの振り分けがなされることとなる。搬送ユニット73における入賞センサ98で入賞が検知されると、装飾図柄表示装置42の表示画面においては大当り図柄が停止表示され、このあと特別遊技状態へ移行する。一方、搬送ユニット73における排球センサ99で外れが検知されると、装飾図柄表示装置42の表示画面においては外れ図柄(リーチ外れ図柄)が停止表示され、このあと再び通常状態へ戻る。
なお、上記遊技球が上述のようにしてセンター役物83内に入球してから最終的に搬送ユニット73で入賞となるか否か確定するまでの間に、該遊技球に続いて別の1球またはそれ以上の遊技球がセンター役物83内に入球していて、先行する上記遊技球が入賞となった場合、この別の遊技球については各部のセンサを通過しても無視され、またこの間、第1の始動入賞装置に別の遊技球が入球した場合にもこの遊技球は無視されて、遊技状態が特別遊技状態へ移行する。一方、先行する上記遊技球が搬送ユニット73で外れとなった場合には、その時点での後続の遊技球の所在に応じて、そのままスーパーリーチが継続されて後続の遊技球の振分が行われるか、あるいはリーチが継続されるか再現されるかして後続の遊技球の振分がなされることとなる。また一方、上記遊技球の外れが確定した時点でセンター役物83内に別の遊技球がない場合には、遊技状態が再び通常状態へ戻って上述と同様の遊技が繰り返される。
以上のようにして、小当たりとなってセンター役物83内に遊技球が入球すると、該遊技球は、センター役物83内を多方向に案内されながら下方へ流下していき、その途上で順次振分がなされて、首尾よく最終的に搬送ユニット73で当り(入賞)となると、大当たりとなって遊技状態が特別遊技状態に移行することとなる。このように遊技球がセンター役物83内を流下していく途上で、各部に配置されたセンサにより振分の結果が検知され、この検知結果に基づいてセンター役物83内における遊技球のおよその進行状況も把握されて、これに応じ装飾図柄表示装置42による図柄表示や各部のLED基板による発光や音声等により、各種の演出がなされるようになっている。
以上のように、センター役物83の上段部83Tおよび下段部83Bにそれぞれ振分機構を設ける構成によれば、センター役物83内を遊技球が流通する間に、2段階で振り分けがなされて期待度が2度高まることとなるので、興趣がより効果的に盛り上げられる演出とすることができる。さらにこの場合、上述の変更態様(2)のように、搬送ユニットの少なくとも一部の形状ないし寸法を左右で不均等となるように構成することにより、遊技球がいずれかの経路へ振り分けられやすくなるように構成すれば、センター役物83の上段部83Tにおいて最初の振り分けがなされながらも、下段部83Bにおける2番目の振り分けがより重要な構成となる。例えば、上述の変更態様(2)の一例として挙げたように、搬送ユニットの内側部材の立板部における前側突壁、後側突壁、前側案内面および後側案内面のすべてを左方の経路へ向けて傾斜させるように形成して遊技球を左方の経路へいきやすくし、かつ、左方の経路に入賞樋部を連通させる構成とすれば、上段部83Tにおける最初の振り分けで入賞となると、この後搬送ユニットの左方の経路に入球してそのまま入賞樋部まで搬送されやすくなり、一方、上段部83Tにおける最初の振り分けで入賞せず搬送ユニットの右方の経路に入球したとしても、搬送されるとともに左方の経路へ案内されて入賞樋部まで搬送されやすくなる。従って、上段部83Tにおける最初の振り分けの結果によらず、下段部83Bにおける2番目の振り分けで当りとなりやすい構成となる。また例えば、逆に、上記の構成において、搬送ユニットの内側部材の立板部における前側突壁、後側突壁、前側案内面および後側案内面のすべてを右方の経路へ向けて傾斜させるように形成して遊技球を右方の経路へいきやすくすると、上段部83Tにおける最初の振り分けで入賞となって搬送ユニットの左方の経路に入球しても、搬送されるとともに右方の経路へ案内されやすいため、入賞樋部へは到達し難くなり、一方、上段部83Tにおける最初の振り分けで入賞せず搬送ユニットの右方の経路に入球した場合にも、左方の経路へはいき難いため、入賞樋部へは到達し難くなる。従って、上段部83Tにおける最初の振り分けの結果によらず、下段部83Bにおける2番目の振り分けで当りとなり難い構成となる。
なお、上部球通路管21は、例えば、上述のように下部球通路管21Bに連結せず、図18に鎖線で示す排球通路管21Eに連結するようにしてもよい。排球通路管21Eは、センター役物83の後側を通って遊技盤30の裏側の排球通路に連通しており、従ってこの場合、上部球通路管21を流下した遊技球は、そのまま外れ球として、図18に矢印A10で示すように排球通路管21Eから排出されていくこととなる。
排球通路管21Eならびに前記入賞球通路管72、上部球通路管21および下部球通路管21Bはいずれも、光透過性を有する樹脂よりなる管状部材となっており、これにより、内部を流通する遊技球が外部から視認されて視覚的にも演出効果が得られるようになっている。
(4)前記実施形態に係る搬送ユニット73および上述の変更態様(3)に係る回転式振分ユニット65は、パチンコ機10の稼動開始(電源オン)とともに動作が開始され、パチンコ機10の稼動中は終始、一定速度で動作し続けるように設定されていたが、例えば、開閉羽根89の開放等の各種の機会を契機として、その0秒後ないし何秒後かに速度を上げたり下げたりする設定としてもよい。あるいは、例えば、パチンコ機10の稼動開始(電源オン)から当初の間は動作を停止しておいて、開閉羽根89の開放等の各種の機会を契機として、その0秒後ないし何秒後かに動作を開始する設定としてもよく、さらにこの場合、この後にくる別の契機で速度を上げたり下げたりする設定としてもよい。また、例えば、上述の変更態様(3)の一例として挙げたように、センター役物83の上段部83Tおよび下段部83Bにそれぞれ振分機構を設ける場合には、例えば、上段部83Tにおける最初の振り分けを契機として下段部83Bにおける振分機構の動作を開始したり速度を上げたり下げたりする設定としてもよい。
(5)前記実施形態においては、搬送ユニット73の外側部材75が一定速度で上下動するように、即ち一定のストロークで同一の上下動を反復するようになっていたが、同一動作の反復であっても、例えば、所定のストロークの反復のうちに、速度や移動距離等の異なる別種のストロークを入れる設定としたり、さらには、ストロークが多様に変化していくように制御したりし、これにより動作に変化を付与して演出効果をさらに良好とするようにしてもよい。
(6)パチンコ機10において、例えば不正検知手段を設けるようにしてもよい。不正検知手段としては、例えば、磁気を検出する磁気センサ、振動を検知する振動センサ、遊技機に不正に進入した器具等の物体を検知する赤外線センサ、超音波センサ、レーザセンサ、レーダセンサ等が挙げられ、また上記各種のセンサを複数あわせて配置するようにしてもよい。
前記実施形態に係る搬送ユニット73ないし上述の変更態様(3)に係る回転式振分ユニット65においては、例えば、前方から磁石を近づけて遊技球を前記実施形態に係る入賞樋部96ないし上述の変更態様(3)に係る入賞凹部67Gへ誘導するといった不正行為がなされやすいが、これに対し、例えば入賞樋部96ないし入賞凹部67Gのあたりが検知範囲内に入るように磁気センサを配置しておくことにより、このような磁石を用いた不正行為を検知することができる。また、遊技機を揺らしたり叩いたりすることによって遊技球の挙動を操作しようとする不正行為もなされることがあるが、振動センサを配置しておくことにより、このような不正行為を検知することができる。振動センサは、遊技機を揺らしたり叩いたりすることにより生じる振動を検知し得る箇所であれば任意の箇所に配置すればよく、例えば、裏カバー部材82に配置固定された中継基板に振動センサを搭載するようにしてもよい。
また、これ以外にも、不正な操作がなされる可能性のある箇所であれば、センサ同士や他の入賞センサ等との間で誤動作を生じ得る位置でない限り、なるべく磁気センサ等の不正検知手段を配置しておくようにすることが望ましい。例えば、センター役物83における開閉羽根89、89およびその近傍の位置も、磁石で遊技球を入球するように誘導しようとする不正な操作が特になされやすい位置の一つであり、従って該開閉羽根89、89の軸支位置およびその近傍が検出範囲内に収まるように磁気センサを配置することが望ましい。
(7)前記実施形態においては、搬送ユニット73から入賞樋部96または排球樋部97へと案内されて排出されていく構成となっていたが、この振り分け部の構成としても、様々な変更が可能である。図19は、搬送ユニット73の下方(下流)に、遊技球が入球し難い閉状態と入球し易い開状態との間で変移し得る可変部を備える可変入賞装置を配設した例を示す模式図である。
図19に示す例においては、前記実施形態に係る搬送ユニット73の前方に、左側通路部22Lおよび右側通路部22Rが配設されている。左側通路部22Lおよび右側通路部22Rはそれぞれ、上端部が開放された角管状の部材となっており、左側通路部22Lは、搬送ユニット73の外側部材75における左側ガイド部材87Lの左第1案内面88Lの前側に隣接して配置され、この位置から下方へやや延び、ついで後方へ屈曲して、遊技盤25を貫通してその裏側まで延びている。遊技盤25の裏側では、途上に左側入球センサ26Lを介しながら右下方へ延び、下端部で遊技盤25を前後に貫通する開口(以下、上側開口とも称す)27Tに連通している。
右側通路部22Rは、外側部材75における右側ガイド部材87Rの右第1案内面88Rの前側に隣接して配置され、この位置から下方へやや延び、ついで後方へ屈曲して、遊技盤25を貫通してその裏側まで延びている。遊技盤25の裏側では、途上に右側入球センサ26Rを介しながら、上側開口27Tよりも下方の高さ位置まで、途中で右方へ迂回するように屈曲しながら左下方へ延び、下端部で遊技盤25を前後に貫通する開口(以下、下側開口とも称す)27Bに連通している。
遊技盤25の前面(盤面)において、上側開口27Tの直下および下側開口27Bの直下にはそれぞれ、上側可変入賞装置30Tおよび下側可変入賞装置30Bが配設されている。上側可変入賞装置30Tおよび下側可変入賞装置30Bは、チューリップと称される可変入賞装置となっており、それぞれ左右一対に構成された可動翼31T、31Bが、間に遊技球が入球することにより左右両側に回動して開閉し得るように構成されている。
図19に示すように、遊技球M2が搬送ユニット73の左第1案内面88Lから前方へ案内されて左側通路部22Lに入球すると、矢印A11で示すように、その途上で左側入球センサ26Lにより入球を検知されながら流下していき、上側開口27Tから遊技盤25の前面(盤面)へ放出される。上側開口27Tから放出された遊技球M2は、図20(a)に矢印A12で示すように、まず、上側可変入賞装置30Tにおける両側の可動翼31Tを開放させながらこの間を通過して落下して行く。上側可変入賞装置30Tを通過した遊技球M2は、ついで、下側可変入賞装置30Bにおける両側の可動翼31Bを開放させながら、遊技盤25の裏側の排球通路28へと案内されていく。この場合、上側可変入賞装置30Tおよび下側可変入賞装置30Bのいずれにおいても、可動翼31T、31Bが開放されるため、遊技盤25の盤面を流下してきた別の遊技球M3、M4がそれぞれさらに入賞することが可能な状態となる。このように開放中の可動翼31T、31Bに案内されて遊技球M3、M4が入賞すると、各可動翼31T、31Bからそれぞれ遊技盤25の裏側へ案内されて入賞センサ(図示せず)により入賞球として検知され、これに応じてそれぞれ所定数の賞球が払い出されるようになっている。上述のように別の遊技球M3、M4が上側可変入賞装置30Tおよび下側可変入賞装置30Bにそれぞれ入球する毎に、可動翼31T、31Bがそれぞれ閉じて元の位置に復帰する。
一方、図19に示すように、遊技球M5が搬送ユニット73の右第1案内面88Rから前方へ案内されて右側通路部22Rに入球すると、矢印A13で示すように、その途上で右側入球センサ26Rにより入球を検知されながら流下していき、下側開口27Bから遊技盤25の前面(盤面)へ放出される。下側開口27Bから放出された遊技球M5は、図20(b)に矢印A14で示すように、下側可変入賞装置30Bにおける両側の可動翼31Bを開放させながら、遊技盤25の裏側の排球通路28へと案内されていく。この場合、遊技球M5は上側可変入賞装置30Tを通過せずその可動翼31Tを開放しないので、下側可変入賞装置30Bの可動翼31Bのみが開放されて別の遊技球M6がさらに入賞して所定数の賞球が払い出されることが可能な状態となる。従ってこの場合には、前述のように遊技球M2が搬送ユニット73の左第1案内面88Lから左側通路部22Lに案内されて入球した場合よりも、払い出される賞球の総計は少数となる。
上記構成によれば、搬送ユニット73の振り分けによって上側可変入賞装置30Tおよび下側可変入賞装置30Bにおける可動翼31T、31Bの開閉状況が異なるようになっているので、興趣がより盛り上がる演出とすることができる。
上記構成において、例えば、右側通路部22Rおよび下側可変入賞装置30Bを配設せず、これにかえて、搬送ユニット73の右第1案内面88Rから遊技球を遊技盤の裏側へと案内していく排球通路を配設するようにしてもよい。また、例えば、上記左側通路部22Lないし右側通路部22Rおよびその前方を覆う遊技盤25の領域を、光透過性を有する材質で構成し、これにより遊技球が左側通路部22Lないし右側通路部22Rを流下していく状況が前方より視認し得るようにしてもよい。さらにまた、例えば、遊技盤25の前面(盤面)に光透過性を有する通路部を配設したり、あるいは通路部にかえて、適宜な役物や釘等により遊技球が搬送ユニット73から下方の可変入賞装置に案内され得る配置構成としたりしてもよい。
(8)図21〜図42に、搬送ユニットのさらに別の一例を示す。同図に示す搬送ユニット131は、図31〜図36に示すケーシング132の内外に、図21〜図30に示すようにリンク部材133、モータ134等の部材を装架して構成されている。ケーシング132は、全体として、左右方向にやや厚みを有する側面視概略矩形状の平板形の立て板状に構成され、6面がほぼ閉塞された概略箱体状の構成となっている。
ケーシング132は、図31〜図34に示すように、厚み方向(左右方向)に2分割され、右側半部を構成するベース132Bと左側半部を構成するカバー132Cとで分割構成されている。該ベース132Bおよびカバー132Cは、それぞれ、概略矩形状の板状体の周縁から一方側(対向するカバー132Cないしベース132Bの側)へ周壁が延出した形状となるように透明樹脂を成形して構成され、該周壁の先端縁を互いに突き合わせるようにして嵌め合わせ、所定箇所でネジ止めすることにより、上述のようにほぼ閉塞された概略箱体形状を構成するようになっている。ケーシング132の前下隅部、後下隅部および後上隅部の3隅部は、側面視円弧状をなすように丸く形成されている。
ケーシング132の前上隅部は、上方へやや突出し、さらにこの突出部が前方および右方へややはみ出して、全体として概略直方体形状となるように成形され、その内部は中空で遊技球1球が余裕をもって転動し得る球通路となっており、これにより前上排球部135が形成されている。前上排球部135の前左側の隅部は図33に示すように平面視弧状をなすように丸く形成され、これにより内部で遊技球を右方へ案内するようになっている。前上排球部135の内部における底面は左端から右端へかけて僅かに下傾し、前上排球部135の右側面部は開放されて排球開口135Bが形成されており、これにより遊技球が前上排球部135の内部を右方へ転動して右側面部から外部へ放出され得るようになっている。
ケーシング132の後側面における高さ方向ほぼ中央から下端近傍までの部位は、概略直方体形状をなして後方へ突出するように成形され、その突出端面には左右に隣接する入球開口136B、136Cが穿設されており、これにより後下入球部136が形成されている。後下入球部136の上側壁は後方へやや下傾するように形成され、後下入球部136の内部における底面は後端から前端へかけて僅かに下傾している。
ケーシング132(より具体的にはカバー132C)の後側面における左側端縁部は、その上端から後下入球部136の下端までの部位が、側面視縦長の長方形状をなすように後方へ延出して後方延出片137が形成されている。後方延出片137は、右側面部が板状の側壁をなし、その周縁から左方へ周壁が延出して、全体として右側面を底壁面として左側面部が開放された概略皿状に成形されている。後方延出片137内の底面部(左側面)における後下入球部136に対応する位置には、入球センサ(図示せず)を保持するセンサ保持部137Sが形成されている。
カバー132Cの前下隅部は、ベース132Bとの境界面をなす右側壁およびその外周から左方へやや延出する周壁を残して切除するように成形され、これによりケーシング132の前下隅部が左右方向中央部まで凹入する形状となっている。この凹入部における右側壁には回転軸挿通開口が形成され、該回転軸挿通開口を左側から覆うようにしてモータ134が固定されている。モータ134の回転軸は上記回転軸挿通開口から右方へ突出してその突出端がベース132Bの右側壁に回転自在に軸支されている。図37〜図41に示すように、該回転軸における突出端より内側の位置には駆動ギア138が固定されている。
ベース132Bの内部における上記駆動ギア138の後上には、伝動ギア139が回転自在に軸支されて駆動ギア138に連動連結され、該伝動ギア139の前上には、従動ギア140が回転自在に軸支されて伝動ギア139に連動連結されている。該従動ギア140には部分的に径方向外側へ膨出する膨出片が一体的に形成され、該膨出片の先端部からは左方へ駆動ピン140Pが延出するように一体的に形成されている。該駆動ピン140Pの延出端にはロータ140Rが回転自在に軸支され、該ロータ140Rには上記膨出片と反対側へ膨出する別の膨出片が一体的に形成され、該別の膨出片の先端部からは左方へ別の駆動ピンが延出するように一体的に形成されている(図示せず)。該別の駆動ピンの延出端は、該別の駆動ピンに直交する方向に延びる回転片の一方端に回転自在に軸支され、該回転片の他方端は、カバー132Cの左側壁の内側面において上記従動ギア140と同心となる位置に形成された軸支部141(図36または図42参照)に回転自在に軸支されている(図示せず)。
カバー132Cにおけるベース132Bとの境界面となる右側面において、上記駆動ギア138、伝動ギア139および従動ギア140が配置された前下領域は開放されているが、この前下領域より後上側の領域には仕切壁142が配設され、これによりケーシング132の内部空間が左右(カバー132C側およびベース132B側)に仕切られるようになっている。仕切壁142は、前上排球部135における後半部(前方へはみ出した部位を除く部分)の内部ならびに後下入球部136の内部までそれぞれ延びており、これら両部分における内部空間も左右に仕切っている。
図41に示すように、仕切壁142における後下隅部および後上隅部には、それぞれクランクアーム143、144が回転自在に軸支されている。後下隅部のクランクアーム143の主軸は仕切壁142を貫通して該仕切壁142の反対側(左側)へ突出し、この突出側から別のクランクアームが、上記クランクアーム143と反対方向へ延出している(図示せず)。上記クランクアーム143(または別のクランクアーム)の長さ、即ち主軸とクランクピンとの距離は、前記従動ギア140の中心と駆動ピン140Pとの距離に等しくなっており、また中心からの延出方向も等しくなっている。後上隅部のクランクアーム144は、後下隅部のクランクアーム143と同一構成で、同一方向に延出する体勢となるように配設されている。
仕切壁142には、後下隅部から前上隅部まで延びる固定段状壁145が一体的に形成されている。固定段状壁145は、仕切壁142の表面から垂直に側方(右方)へ延出し、延出高さは遊技球の半径にほぼ等しい程度(約5.5mm程度)となっている。該固定段状壁145は、側面視蛇行する形状となるように延びており、より具体的には図43に示すように、後方から前方へわずかに下傾しながら延び、その前方端で湾曲して上方へ延びており、これにより遊技球M7が係留され得る段部146Aを形成している。該段部146Aの上端からは同様にして別の段部146Bが連続して形成され、これと同様の構成を繰り返して、図41に示すように全体として複数(5個)の段部146が連続して形成されている。さらに、これら段部146のうち最も後下方に位置する段部146Aの後下には、やや浅めに形成された小段部147が形成されており、この小段部147も上記段部146と同様に遊技球M7を係留し得るものとなっている。上記複数(5個)の段部146および小段部147の各々において後方から前方へ延びる部位は、それぞれ遊技球を支承し得る受球面145Rとなっている。小段部147は、前記後下入球部136の内部における底面に連続している。段部146のうち最も前上方に位置する段部146の上端は、前記前上排球部135の内部における底面より若干高い位置まで延び、その上端から前方へ僅かに下傾しながら延びている。
固定段状壁145の後上方には、固定段状壁145の形状におおむね沿うように屈曲しながら延びる天井壁148が形成され、これにより遊技球M7が上方へ逸脱しないようになっている。固定段状壁145および天井壁148はいずれも、仕切壁142の反対側(左側)へも同様に延出している。また、固定段状壁145と天井壁148との間には複数個所にリブが架設されている。
仕切壁142よりも右側のベース132B内には、図29に示すようにリンク部材133が配設されている。リンク部材133は、図44に示すように、仕切壁142とほぼ同様に、カバー132Cにおける前下領域を除く後上側の領域をほぼ覆い得る外形を有する透明樹脂よりなる板状部材となっている。図44における方向に従ってリンク部材133の外形をより具体的に記述すると、上辺は、基本的に横方向に直線状に延びるが、中央あたりで屈曲して右側半部が1段内側(下側)へずれており、右辺は、高さ方向中央からそのやや下方までの部位が略C字形状をなして内側へ凹入しているが、それ以外は上下に直線状に延びている。右辺の下端からは左方へやや短い下辺が延び、上辺の左端からは下方へやや短い左辺が延びている。下辺の左端から左辺の下端までは、内側へ弧状に凹入する湾曲形状が大小2つ連続しながら延びる概略波形の外縁形状となっている。
リンク部材133の上記概略波形の外縁において2つの湾曲部の間に形成される頂部には、駆動ピン挿通孔149が一体的に形成されている。リンク部材133の下辺中央部と、右上隅部とにはそれぞれ、クランクピン挿通孔151、152が一体的に形成されている。上記駆動ピン挿通孔149およびクランクピン挿通孔151、152には、前記従動ギア140の駆動ピン140Pならびに前記クランクアーム143、144のクランクピンがそれぞれ挿通されて回転自在に軸支され、これによりリンク部材133が平行リンク運動し得るように装架されるようになっている。
リンク部材133の左側面には、後下隅部から前上隅部まで(図44では右下隅部から左上隅部まで)延びる可動段状壁153が一体的に形成されている。可動段状壁153は、リンク部材133の左側面から左方へ、遊技球の半径にほぼ等しい程度(約5.5mm程度)の延出高さで延出している。該可動段状壁153は、前記固定段状壁145における複数(5個)の段部146にほぼ等しい寸法形状を有する複数(5個)の段部154を有し、全体として前記固定段状壁145にほぼ重なり得る側面視蛇行形状をなして延びている。該可動段状壁153は、その延出端縁を、前記固定段状壁145の延出端縁に対して僅かな隙間をおいて突き合わせるようにして配設されている。上記複数(5個)の段部154の各々において後方から前方へ延びる部位は、前記固定段状壁145の場合と同様に、それぞれ遊技球を支承し得る受球面153Rとなっている。
仕切壁142よりも左側のカバー132C内には、上記リンク部材133と左右対称に成形されたリンク部材が同様にして装架されている。
本変更態様(8)に係る搬送ユニット131は、前上排球部135を前方へ、後下入球部136を後方へ向けるようにして、前記実施形態に係る搬送ユニット73の場合と同様にセンター役物に配置される(図示せず)。
(動作)
以下、本変更態様(8)に係る搬送ユニット131の動作を順次説明する。
本変更態様(8)に係る搬送ユニット131は、前記実施形態に係る搬送ユニット73の場合と同様に、主制御装置261の主制御基板により制御され、パチンコ機10の稼動開始(電源オン)とともにモータ134による駆動が開始され、パチンコ機10の稼動中は終始、リンク部材133が平行リンク運動を繰り返すようになっている。この平行リンク運動は、一周(従動ギア140の1回転)に要する時間にして1秒より若干短い程度の一定速度で行なわれるように設定されている。
例えば、後下入球部136におけるベース132B側(右側)の入球開口136Bに遊技球M8が入球したとすると、該遊技球M8は後下入球部136内を前方へ転動していき、図45に矢印A15で示すように固定段状壁145の小段部147に到達すると、該小段部147上に係留されて留まる。
このとき、図46に示すように、固定段状壁145における最上部や最下部の右方には、リンク部材133の端部が平行リンク運動により内側へ退避していて不在となっていることがあり、この場合には固定段状壁145がベース132Bの右側壁に直接的に(間に何も介在せずに)対向することとなるが、固定段状壁145の先端とベース132Bの右側壁との間隔D1は、遊技球M8の直径約11mm程度よりも大幅に小さい約6.5mm程度となっており、また、この両者の間にリンク部材133が介在してきた場合には、固定段状壁145の先端とリンク部材133との間隔はさらに小さくなる。従って、小段部147上の遊技球M8は、固定段状壁145より右方の隙間(スペース)を通って落下していくことができないため、小段部147上に係留されて留まることとなる。
一方、従動ギア140はモータ134により右側面視反時計回り方向に回転駆動されており、これによりリンク部材133も右側面視反時計回り方向に平行リンク運動をしている。従って、リンク部材133の可動段状壁153が、図47および図48に矢印A16で示すように、右側面視反時計回り方向の軌道に沿って固定段状壁145に下方から接近してきて、固定段状壁145にほぼ重なり合う位置を通過していく。この途上で、遊技球M8は、図47および図48に矢印A17で示すように、可動段状壁153の最下位の段部154Aに拘束されて該段部154Aとともに前上方へ移動していく。換言すれば、固定段状壁145の小段部147に留まっていた遊技球M8が、図47および図48に矢印A18で示すように平行リンク運動により前上方へ移動していく途上の可動段状壁153の最下位の段部154Aによって、下方から掬い上げるようにして前上方へ移送されていく。
このとき、図48に示すように、可動段状壁153の先端と仕切壁142との間隔も、遊技球M8の直径約11mm程度よりも大幅に小さい(約6mm程度)ため、段部154A上の遊技球M8は、可動段状壁153より左方の隙間(スペース)を通って落下していくことができず、従って段部154Aとともに前上方へ移送されていかざるを得ない。
リンク部材133の可動段状壁153は、上述のように最下位の段部154Aで遊技球M8を移送しながら、引き続き右側面視反時計回り方向の軌道に沿って移動していき、該軌道における最上点を過ぎて下降に転じると、図49に示すように、最下位の段部154Aが、こんどは後上方からやや降りていくようにして、固定段状壁145における小段部147の前上に隣接する段部146Aにほぼ重なり合う位置を通過していく。換言すれば、可動段状壁153が、固定段状壁145に今度は後上方から接近してきて、固定段状壁145に対し前上に1段ぶんずれるようにしてほぼ重なり合う位置を通過していく。この途上で、遊技球M8は、図49および図50に矢印A19で示すように、固定段状壁145の段部146Aに係止されて該段部146Aに留まる。換言すれば、可動段状壁153の段部154Aで移送されてきた遊技球M8が、こんどは固定段状壁145の段部146Aによってそれ以上の移動を阻まれ、該段部146Aに係留されて留まることとなる。
このとき、図49に示すように、リンク部材133の可動段状壁153は、図49に矢印A20で示すように、右側面視反時計回り方向の軌道に沿って左下方へ、即ち内側へ移動していくので、図50に示すように、固定段状壁145の段部146Aの右方には、リンク部材133の端部が再び内側へ退避して暫く不在となる。従って、この段部146Aにおいても、前述の小段部147の場合と同様に、固定段状壁145がベース132Bの右側壁に直接的に(間に何も介在せずに)対向し、このため遊技球M8は、前述の小段部147の場合と同様の体勢で段部146Aに係留されて留まることとなる。なお、リンク部材133の端部がその軌道において最も内寄りの位置に到達した時点でも、この段部146Aの前上に隣接する段部146B(即ち小段部147の次の次の段部146B)は、リンク部材133の端部よりもさらに内側に位置するため、該段部146Bの右方にリンク部材133が不在となることはなく、固定段状壁145の先端とベース132Bの右側壁との間に常にリンク部材133が介在するようになっている。
このように、平行リンク運動するリンク部材133の可動段状壁153における最下位の段部154Aによって、遊技球M8が、固定段状壁145の小段部147から次の段部146Aへと移送される。次いで、この次の周回の途上においては、可動段状壁153における最下位の段部154Aの前上に隣接する段部154Bによって、固定段状壁145の段部146Aに留まっていた遊技球M8が前上に隣接する段部146Bへと移送される(図示省略)。こうして、リンク部材133の平行リンク運動が1周する毎に、遊技球M8が固定段状壁145を1段ずつ前上へ移送されていく。
遊技球M8は、固定段状壁145の最上段まで移送されると、前上排球部135内を前方へ転動していき、排球開口135Bから外部へ放出されていく。こうして、遊技球M8は、前記実施形態に係る搬送ユニット73の場合と同様に、本変更態様(8)に係る搬送ユニット131内を後端部から前方へ、階段を1段ずつ昇っていくように案内されて搬送されていき、これにより視覚的な演出効果が得られる。
以上はベース132B側における動作であるが、カバー132C側はベース132B側と左右対称に構成されているので、例えば、後下入球部136におけるカバー132C側(左側)の入球開口136Cに遊技球が入球した場合も、該遊技球は上述のベース132B側における動作と同様にして、搬送ユニット131内を後端部から前方へ搬送されていくこととなる。
ただし、カバー132C側の駆動ピンおよびクランクアームは、前述の通り、ベース132B側の駆動ピン140Pおよびクランクアーム143、144に対してそれぞれ反対側に位置する、即ち180°だけずれた角度位置にあるので、カバー132C側におけるリンク部材の平行リンク運動と、ベース132B側におけるリンク部材133の平行リンク運動とは、ちょうど半周分のズレがある。このため、例えば仮に、ベース132B側の小段部147と、カバー132C側の小段部とにそれぞれ遊技球が同時に係留されて留まる、即ち仕切壁142を挟んで右側の小段部147と左側の小段部とに遊技球が並んで同時に待機するようなことがあったとしても、一方の遊技球と他方の遊技球とは必ず半周分だけずれるようにして移送されていくこととなる。従って、左右の遊技球が交互に1段ずつ昇っていく動作となり、これにより良好な演出効果が得られる。
(作用)
以上の通り、本変更態様(8)に係る遊技機は、
一定の反復動作すなわち平行リンク運動を行ない得るように可動に構成された受球面153Rと、
上記受球面153Rの反復動作を行なうための駆動力を付与する駆動源であるモータ134と、
を備え、
上記受球面153Rに遊技球M8を支承させるように案内し、上記受球面153Rの反復動作により上記遊技球M8を所定の位置である後下入球部136から該後下入球部136よりも高い別の位置である前上排球部135へ搬送する遊技球搬送機構を備え、
上記受球面153Rが、遊技球M8の搬送方向に実質的に垂直であって横方向に延びる軸を中心とする周回軌道に沿って周回し得る周回部材すなわちリンク部材133(より具体的にはリンク部材133の可動段状壁153)に形成され、
上記リンク部材133が、上記周回軌道における所定の位置である固定段状壁145の段部146および小段部147の各々で遊技球M8を上記受球面153Rに支承させ、該遊技球M8とともに上記周回軌道に沿ってさらに周回した後、上記段部146および小段部147の各々よりも高い別の位置である1段上の段部146で上記遊技球M8を上記受球面153Rから離脱させ、これにより上記遊技球M8を低位置から高位置へ搬送するようになっている。
上記構成によれば、周回部材であるリンク部材133が遊技球M8を受球面153Rに出入させながら周回することにより遊技球M8を搬送するようにしているので、容易かつ確実に遊技球M8を搬送することができるようになっている。また、簡潔な構成により遊技球搬送機構が構成されている。
また、上記リンク部材133が、実質的に閉塞されたケーシング132の内部に、遊技球の搬送動作が可能なように配設されているので、遊技球が外部に脱落したりすることが確実に防止され、従ってより確実に遊技球を搬送することができるようになっている。また、特に、遊技球を有利な遊技領域と有利さの度合いの低い遊技領域とに案内するように構成されている場合には、例えば、遊技球が有利な遊技領域のほうへ行きやすくなるように不正な改変を加えようとする動機が強くなるが、本変更態様(8)の構成によれば、遊技球搬送機構がケーシング132内に実質的に封入されているので、そのぶん不正な改変を加えることが困難となっている。
また、上記ケーシング132における、少なくとも遊技球の搬送経路に対応する部位が光透過性を有するので、遊技球が搬送されていく状況が外部から視認でき、従って遊技球搬送機構がケーシング132内に実質的に封入されていながら、視覚的な演出効果を確保することができるようになっている。
(その他)
本変更態様(8)に係る搬送ユニット131は、前述の通り、それぞれ遊技球を半周分だけずれるようにして搬送していく左右2本の遊技球搬送経路を備え、これにより良好な演出効果が得られるものとなっているが、左右の遊技球搬送経路で搬送されてきた遊技球はいずれも前上排球部135で同様にして排球開口135Bから外部へ放出されていく構成となっている。換言すれば、搬送途上では左右の遊技球搬送経路で搬送タイミングが半周分だけずれるようにして互いの相違を強調することによって演出効果を良好とする構成となっているが、左右の遊技球搬送経路が最終的には前上排球部135で合流する構成となっている。そこで、前記実施形態の場合と同様に、左右の遊技球搬送経路を、有利な遊技領域と有利さの度合いの低い遊技領域とにそれぞれ連通させ、これにより遊技球がいずれの遊技領域に案内されていくかに遊技者の関心を引いて興趣を盛り上げる構成としてもよい。
また、本変更態様(8)に係る搬送ユニット131は、前記実施形態に係る搬送ユニット73と同様に、遊技球M8が後下方から前上方へ、遊技者に向かってだんだん昇ってくるようにして搬送されてくる構成となっているが、例えば、搬送ユニット131の左右側面のいずれか一方を前方に向けるようにして配置し、遊技球が搬送ユニット131内を搬送されていく状況が遊技者からより見え易くするようにしてもよい。
また、本変更態様(8)に係る搬送ユニット131は、ケーシング132の内部空間が、仕切壁142により左右(カバー132C側およびベース132B側)に仕切られた構成となっているが、例えば、仕切壁142において固定段状壁145に沿った1またはそれ以上の適宜位置に、遊技球が通過し得る通球開口を穿設し、これにより、遊技球が左右いずれか一方の遊技球搬送経路を搬送されていく途上で通球開口から他方の遊技球搬送経路へ経路を変更し得る構成としてもよい。これにより、遊技球の搬送経路に変化が付与されて演出効果をより良好とすることができる。さらにこの場合、前述のように左右の遊技球搬送経路を有利な遊技領域と有利さの度合いの低い遊技領域とにそれぞれ連通させる構成とすれば、遊技球がいずれの遊技領域に案内されていくかに遊技者の関心を強く引いて興趣をより盛り上げることができる。
(9)以上の変更態様(1)〜(8)に係る搬送ユニットはいずれも、前記実施形態に係る搬送ユニット73の場合と同様に、センター役物83内に演出用として遊技者から視認され得るように配置されていたが、やはり前記実施形態の場合と同様に、遊技機におけるセンター役物以外の任意の位置に配置するようにしてもよい。さらには、遊技領域以外の任意の位置に配置するようにしてもよい。例えば、発射された遊技球が遊技領域を流下した後に再び発射位置に戻ってくるように遊技機内を循環する、封入式と称される遊技機において、遊技球を回収された下部から発射位置まで引き上げるように搬送するのに搬送ユニットを用いるようにしてもよい。この場合、搬送ユニットは、あえて遊技者から視認され得るように配置することも可能であるが、通常は外部から見えない位置に配置されて内部の視認性は問題にならないこととなるので、例えばケーシングを不透明性のものとしてもよく、また振り分け機能を備えなくてもよいためそのぶん構成を簡略化することができる。
(10)前記実施形態においては、搬送ユニット73の内側部材74が不動に固定され、外側部材75が上下に往復するように駆動される構成となっていたが、例えばこれとは逆に、外側部材が不動に固定され、内側部材が上下に往復するように駆動される構成としてもよい。前記実施形態に係る搬送ユニット73のように外側部材75の体積のほうが内側部材74の体積よりも大きく、両者が同一材質よりなる場合には、内側部材74のほうがより軽量であるため、専ら内側部材74を駆動するほうが負荷を小さくすることができる。また、遊技者から視認される部位がより大きい外側部材75のほうが動いていると、遊技者が酔ったりするような視覚的影響も出やすいが、これに対し内側部材74のほうが動いていると、視覚的影響も小さく、遊技者も遊技球の動きに集中しやすい。なお、外側部材75のほうが動く構成とすると、遊技球の動きをダイナミックに見せることができるという利点もある。
さらには例えば、内側部材と外側部材とがいずれも駆動され、両者が互いに近づいたり遠ざかったりするようにそれぞれ上下に往復する構成としてもよく、これによれば搬送ユニットの動作をいっそう動的なものとすることができる。
(11)前記実施形態においては、パチンコ機10が例示されていたが、遊技機としては、パチンコ機以外にも、スロット機、パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機も例示される。
スロット機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。
この場合、有価物体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、有価物体として球を使用するとともに、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
なお本明細書は、次に掲げる発明をいずれも開示している。
本発明にかかる遊技機は、手段A1として、
一定の反復動作を行ない得るように可動に構成された受球面と、
前記受球面の反復動作を行なうための駆動力を付与する駆動源と、
を備え、
前記受球面に遊技球を支承させるように案内し、前記受球面の反復動作により前記遊技球を所定の位置から該位置よりも高い別の位置へ搬送する遊技球搬送機構を備えることを特徴とする。
なお本発明において、「一定の反復動作」とは、実質的に同等の動作を繰り返すことを広汎に含意し、例えば、一方向への回転動作、正逆方向への反転動作、一方向および逆方向への往復動作、等がいずれも含まれる。実質的に同等の動作であれば、例えば動作中に規則的または不規則的に多少の速度変化ないし停止するようなものであってもよい。
また、「受球面」とは、遊技球を支承し得るものであれば任意のものを含意し、例えば、遊技球に接触し得る実質的に平面方向に拡がる面や、上方、側方等の任意の方向から内部に遊技球を嵌入させ得る椀状(半球状)、箱状(直方体状)等の任意の形状を有する凹面、等がいずれも含まれる。また、「受球面」には、例えば多少の湾曲、凹凸等を有する面も含まれ、さらには、多数の突起を平面方向に並置するように配設してその先端に遊技球を支承し得るようにしたものや、網状体(メッシュ、ネット)等で構成されたもの等も含まれる。
上記手段A1の構成によれば、遊技球を重力方向とは逆に低位置から高位置へと案内させることができるので、そのぶん遊技球を案内する方向の制約が少なくなる。従って、遊技機内において遊技球を移動させる経路のレイアウトの幅が拡がって設計の自由度も上がる。また、特に遊技領域内で行なう場合にも、従来の通例であった高位置から低位置へという重力方向とは逆に、低位置から高位置へという新たな方向で遊技球を移動させることができ、これにより遊技球の動きが斬新で意外なものとなってそのぶん興趣を盛り上げることができる。
また、受球面の一定の反復動作によって遊技球を搬送するので、例えば、単純な回転ないし往復動作を行なうモータ、ソレノイド等を駆動源として用い、この駆動源の駆動力を簡潔な機構により受球面に伝達するように遊技球搬送機構を構成することができる。これにより、構成を簡潔としてコストも低減することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A2として、手段A1の遊技機において、
前記受球面が直接的または間接的に隣接するように複数配置され、遊技球がこれら複数の受球面に順次支承されるように案内されることを特徴とする。
本発明において、「受球面が直接的または間接的に隣接するように複数配置される」とは、換言すれば、複数の受球面が、間に間隔ないし別の部材等を介在させるかまたは介在させることなく隣接するように配置されることである。
上記手段A2の構成によれば、遊技球を複数の受球面により順次高い位置へ搬送していくことができるので、簡単な構成により、遊技球を任意の距離にわたって搬送することができる。また、遊技球が階段を一段ずつ昇っていくようにして搬送されていくので、そのぶん視覚的な演出効果が得られる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A3として、手段A1または手段A2の遊技機において、
前記遊技球を所定の位置から該位置よりも高い別の位置へ搬送する経路が複数配設され、これら複数の経路によりそれぞれ遊技球が搬送され得るようになっていることを特徴とする。
上記手段A3の構成によれば、複数の遊技球を搬送することができて搬送の効率を向上させることができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A4として、手段A3の遊技機において、
前記複数の経路における受球面が、同一の駆動源により駆動されるようになっていることを特徴とする。
複数の経路における受球面は、それぞれ別の駆動源により駆動する構成とすれば、複数の経路における動作を互いに独立して行なうこともできるといった利点も得られるが、一方、上記手段A4の構成のように同一の駆動源により駆動する構成とすれば、そのぶん構成を簡潔としてコストも低減することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A5として、手段A3または手段A4の遊技機において、
前記複数の経路が、少なくとも一箇所で連通し、遊技球が一つの経路から別の経路へ移動し得るようになっていることを特徴とする。
複数の経路は、例えばこれらの間を仕切板等により仕切って遊技球が別の経路へ移動し得ない構成とすれば、各経路で遊技球を1球ずつ確実に搬送することができ、従って専ら遊技球の搬送のみを目的とするような場合に有用であるが、一方、上記手段A5の構成のように少なくとも一箇所で連通させて遊技球が別の経路へ移動し得る構成とすれば、遊技球の搬送経路に変化を付与することができ、従って視覚的な演出効果をより良好とすることができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A6として、手段A5の遊技機において、
前記連通箇所において、前記一つの経路および別の経路のうちのいずれの経路へも遊技球が移動することが可能であって、遊技球がいずれの経路へ移動するかは予測し得ないように構成され、前記一つの経路および別の経路が、それぞれ遊技者にとって有利な遊技領域と該遊技領域よりも有利さの度合いの低い遊技領域とに遊技球を案内し得るように構成されていることを特徴とする。
上記手段A6の構成によれば、連通箇所において、遊技球が以降有利な遊技領域に案内されていくか、それとも有利さの度合いの低い遊技領域に案内されていくかというように振り分けがなされ、このときこの振り分けが予測不能なものとなっているので、これにより特に遊技者の関心を引いて興趣を盛り上げることができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A7として、手段A1から手段A6のいずれかの遊技機において、
前記遊技球搬送機構が、遊技球を遊技機の前方へ搬送していくようにして遊技領域内に配置されていることを特徴とする。
上記手段A7の構成によれば、遊技球が遊技者に向けて上昇してくるように搬送されるので、意外性のある視覚的な演出効果が得られる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A8として、手段A1から手段A7のいずれかの遊技機において、
前記受球面が、前記別の位置へ向けて下傾していることにより、支承した遊技球を前記別の位置へ向けて案内し得るようになっていることを特徴とする。
上記手段A8の構成によれば、簡潔な形状および簡潔な機構により、効果的に遊技球を高位置へ案内し得る遊技球搬送機構を構成することができる。
本発明にかかる遊技機は、手段B1として、手段A1から手段A7のいずれかの遊技機において、
前記受球面が、遊技球の搬送方向に実質的に垂直であって横方向に延びる軸を中心とする周回軌道に沿って周回し得る周回部材に形成され、
前記周回部材が、前記周回軌道における所定の位置で遊技球を前記受球面に支承させ、該遊技球とともに前記周回軌道に沿ってさらに周回した後、前記位置よりも高い別の位置で前記遊技球を前記受球面から離脱させ、これにより前記遊技球を低位置から高位置へ搬送するようになっていることを特徴とする。
上記手段B1の構成によれば、周回部材が遊技球を受球面に出入させながら周回することにより遊技球を搬送するようにしているので、容易かつ確実に遊技球を搬送することができる。また、簡潔な構成により遊技球搬送機構を構成することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B2として、手段B1の遊技機において、
前記周回部材が、実質的に閉塞されたケーシングの内部に、遊技球の搬送動作が可能なように配設されていることを特徴とする。
本発明において、「実質的に閉塞されたケーシング」とは、当該ケーシングへの遊技球の導入口や排出口等を除き、遊技球や不正具等が出入りし難いように閉塞されたケーシングを意味し、ネジ孔、ネジ挿通孔、軸挿通孔、係合爪の係合孔等は穿設されていてもよいものとする。
上記手段B2の構成によれば、遊技球が外部に脱落したりすることを確実に防止することができ、従ってより確実に遊技球を搬送することができる。また、特に、遊技球を有利な遊技領域と有利さの度合いの低い遊技領域とに案内するように構成されている場合には、例えば、遊技球が有利な遊技領域のほうへ行きやすくなるように不正な改変を加えようとする動機が強くなるが、上記手段B2の構成によれば、遊技球搬送機構がケーシング内に実質的に封入されるので、そのぶん不正な改変を加えることを困難とすることができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B3として、手段B2の遊技機において、
前記ケーシングにおける、少なくとも遊技球の搬送経路に対応する部位が光透過性を有することを特徴とする。
上記手段B3の構成によれば、遊技球が搬送されていく状況が外部から視認できるので、遊技球搬送機構がケーシング内に実質的に封入されていながら、視覚的な演出効果を確保することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段C1として、手段A1から手段B3のいずれかの遊技機において、
遊技機がパチンコ機であることを特徴とする。
パチンコ機の基本構成としては、操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて有価物体の一例である球を所定の遊技領域に発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(または作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報(図柄等)が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カード書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
パチンコ機にあっては、受球面に遊技球を支承させるように案内し、前記受球面の反復動作により前記遊技球を所定の位置から該位置よりも高い別の位置へ搬送する遊技球搬送機構を備えることにより、遊技球を案内する方向に制約が少なく、レイアウトのしやすさや興趣に優れるパチンコ機が得られる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段C2として、手段A1から手段B3のいずれかの遊技機において、
遊技機がスロット機であることを特徴とする。
スロット機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。
この場合、有価物体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
スロット機にあっては、受球面に遊技球を支承させるように案内し、前記受球面の反復動作により前記遊技球を所定の位置から該位置よりも高い別の位置へ搬送する遊技球搬送機構を備えることにより、遊技球を案内する方向に制約が少なく、レイアウトのしやすさや興趣に優れるスロット機が得られる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段C3として、手段A1から手段B3のいずれかの遊技機において、
遊技機がパチンコ機とスロット機を融合させた遊技機であることを特徴とする。
パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、有価物体として球を使用するとともに、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機にあっては、受球面に遊技球を支承させるように案内し、前記受球面の反復動作により前記遊技球を所定の位置から該位置よりも高い別の位置へ搬送する遊技球搬送機構を備えることにより、遊技球を案内する方向に制約が少なく、レイアウトのしやすさや興趣に優れる、パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機が得られる。