JP2016028174A - 伸びフランジ性と打ち抜き性に優れた高強度熱延鋼板及び溶融亜鉛めっき高強度熱延鋼板とそれらの製造方法 - Google Patents

伸びフランジ性と打ち抜き性に優れた高強度熱延鋼板及び溶融亜鉛めっき高強度熱延鋼板とそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自動車部材に好適な、980MPa以上の引張最大強度で、優れた穴拡げ性を有する高強度熱延鋼板あるいは亜鉛めっき高強度熱延鋼板を提供する。【解決手段】C:0.0003〜0.0080%、Mn:0.1〜16.0%、Al:0.3〜5.0%、Ni:0.6〜16.0%、P:≦0.03%、S:≦0.02%、N:≦0.005%を含有し、式[Ni%−2.0?Al%≧0]及び式[1.7?Al%+8.3−(Mn%+Ni%)≧0]を満足する組成を有し、組織がフェライト相から構成される伸びフランジ性と打抜き性に優れた高強度熱延鋼板と、上記組成のスラブを1050℃以上で60分以上加熱し、熱間圧延の最終圧延温度を750℃以上で行い、750〜550℃における平均却速度が1〜20℃/sで550℃以下まで冷却する上記高強度熱延鋼板の製造方法よりなる。【選択図】なし

Description

本発明は、自動車、輸送機器などの分野で構造材、特に自動車の足廻り部品に好適である高強度熱延鋼板に係わり、伸びフランジ性と打ち抜き性に優れた高強度熱延鋼板、溶融亜鉛めっき高強度熱延鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき高強度熱延鋼板並びにその製造方法に関する。
近年、自動車部品には燃費の改善や衝突安全性の向上を目的に高強度鋼板の使用比率が高まっている。特に足廻り部品においてはバーリング加工が施されるため、素材には高強度でかつ高い穴広げ性が要求され、また部品形状の複雑化から伸びも同時に要求される。
そのため、例えば、ベイニティック・フェライト組織を主相とした鋼板や、フェライトを主相とし、Ti、Nb、Mo、Vの炭化物等を微細分散させて、強度と穴広げなどの加工性との両立を図った鋼板が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
また、穴打抜き時の亀裂を抑制する打抜き性については、CとBの粒界偏析量を制御した鋼板が提案されている(例えば特許文献3参照)。
しかし、特許文献1の方法では780MPa以上の高強度化に課題があり、特許文献2、特許文献3の方法では熱間圧延条件により、圧延方向と圧延直角方向で機械的特性に差が生じ、伸びフランジ成形では機械的特性が劣る部分で破断が生じるため、伸びフランジ性が劣る。また、打抜き性についても成分や熱延条件の影響を受けやすく、生産面での課題が完全に解消するわけではない。
特開平6−172924号公報 特開2003−89848号公報 特開2008−266726号公報
本発明はこのような現状に鑑み、伸びフランジ成形性と良好な打ち抜き性を有する高強度熱延鋼板を提供することを目的としている。
また、その熱延鋼板を用いた溶融亜鉛めっき高強度熱延鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき高強度熱延鋼板を提供することも本発明の目的である。
本発明者らは、特に自動車の足回り用部品としての高強度鋼板を開発するにあたり、種々の薄鋼板について伸びフランジ性と打ち抜き性を検討した結果、次の知見を得るに至った。
即ち、伸びフランジ性は鋼中の炭化物量と相関があり、炭化物を減少させれば向上が図れるが、一方、強度が不足する。そこで炭化物以外の析出強化手段として金属間化合物による析出強化、ここではNiとAlの金属間化合物の析出を用いて高強度化と伸びフランジ性を同時に達成できることを見出した。
さらにNiとAlは鋼中で炭化物を形成しない元素であるため、結晶粒界に容易に炭素を残すことが可能となり、打抜き性も良好である。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)質量%で、
C:0.0003〜0.0080%、
Mn:0.1%〜16.0%、
Al:0.3〜5.0%、
Ni:0.6〜16.0%、
P:≦0.03%、
S:≦0.02%、
N:≦0.005%
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、下記(1)式及び(2)式の関係を同時に満足する成分組成を有し、鋼組織がフェライト相から構成されることを特徴とする伸びフランジ性と打抜き性に優れた高強度熱延鋼板。
Ni%−2.0×Al%≧0 ・・・(1)
1.7×Al%+8.3−(Mn%+Ni%)≧0 ・・・(2)
ここで、Mn%、Ni%、Al%は、Mn、Ni、Alの含有量[質量%]である。
(2)前記成分組成に、さらに質量%で、
Si:0.01〜3.0%
を含有し、下記(3)、(4)式で定義されるFとAが下記(5)式の関係を満足することを特徴とする上記(1)記載の高強度熱延鋼板。
=Al%+0.5×Si% ・・・(3)
=Mn%+Ni% ・・・(4)
1.7×F+8.3−A≧0 ・・・(5)
ここで、Si%、Mn%、Ni%、Al%は、Si、Mn、Ni、Alの含有量[質量%]である。
(3)前記成分組成に、さらに質量%で、
Cu:0.01〜3.0%
Mo:0.01〜5.0%
を含有し、さらに、下記(6)式の関係を満足し、かつ、下記(7)、(8)式で定義されるFとAが下記(9)式の関係を満足することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の高強度熱延鋼板。
Ni%≧0.5Cu% ・・・(6)
=Al%+0.5×Si%+0.25×Mo% ・・・(7)
=Ni%+Mn%+0.6×Cu% ・・・(8)
1.7×F+8.3−A≧0 ・・・(9)
ここで、Cu%、Si%、Mn%、Ni%、Al%は、Cu、Si、Mn、Ni、Alの含有量[質量%]である。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の鋼板とその表面に形成した溶融亜鉛めっき層または合金化溶融亜鉛めっき層から構成される高強度溶融亜鉛めっき熱延鋼板。
(5)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の成分組成を満足するスラブを鋳造凝固後、1050℃以上で60分以上加熱し、熱間圧延の最終圧延温度を750℃以上で行い、750〜550℃における平均冷却速度が1〜20℃/sで550℃以下まで冷却することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の伸びフランジ性と打ち抜き性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
(6)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の成分組成を満足するスラブを鋳造凝固後、1050℃以上で60分以上加熱し、熱間圧延の最終圧延温度を750℃以上で行い、750〜550℃における平均冷却速度が1〜20℃/sで550℃以下まで冷却して得た鋼帯を脱スケール処理後、溶融亜鉛めっきまたは合金化溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とする上記(4)に記載の伸びフランジ性に優れた溶融亜鉛めっき高強度熱延鋼板の製造方法。
本発明によれば、自動車の足廻り部品に好適な伸びフランジ性に優れ、かつ打ち抜き性に優れた高強度熱延鋼板、さらに溶融亜鉛めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板並びにそれらの製造方法を提供することが可能になり、本発明による産業上の貢献は極めて顕著である。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず鋼板の成分組成について説明する。なお、含有量の%は質量%を意味する。
Cは通常、高強度化に必須の元素であり、炭化物として析出し鋼板を高強度化する。本発明では、炭化物を強化に用いないため添加は不要だが、Cが0.0003%未満では粒界に偏析する量が不十分であり、打抜き性が損なわれる。そのため、Cの下限を0.0003%とする。また、Cが0.0080%を超えると、粒界にフィルム状の炭化物が生成しやすくなり、打抜き時のボイド生成を助長するため、Cの上限を0.0080%とする。
Alは、フェライト相を安定化し炭化物を形成しない元素である一方、NiとAlの金属間化合物を形成して高強度化を図るのに必須の元素である。この金属間化合物は0.3%未満のAl含有量では認められず、Alの下限を0.3%とする。一方、Alが5.0%を超えると、フェライト相が安定化し、本発明で重要なオーステナイトから変態したフェライトが形成されないため、金属間化合物の析出を十分促進できず、所望の強化が得られないため、Alの上限を5.0%とする。
Niは、オーステナイト相を安定化し炭化物を形成しない元素である一方、NiとAlの金属間化合物を形成して高強度化を図るのに必須の元素である。この金属間化合物は、下記(1)式の関係を満たさないと認められず、そのためNiの下限量は0.6%とする。
Ni%−2×Al%≧0 ・・・(1)
ここで、Ni%、Al%は、Ni、Alの含有量[質量%]である。
なお、(2)式以降においても、M%は元素Mの質量%で表される含有量を意味する。
一方、Niが16.0%を超えると、オーステナイトの安定度が増加し、室温においてもオーステナイトが残り、フェライト相に析出する金属間化合物が生成できず、所望の強化を得ることができない。そのため、Niの上限を16.0%とする。
さらにNiの上限量は、下記の(2)式で表されるAlとの関係式を満たす必要がある。
1.7×Al%+8.3−(Mn%+Ni%)≧0 ・・・(2)
今まで、NiAlの金属間化合物を析出させるには、450〜550℃の温度域で時効させる必要があり、熱間圧延で製造した鋼板に熱処理が必要となるため、生産性が悪く着目されていなかった。
本発明では、上記のように成分を限定することにより、熱間圧延後の冷却過程中に十分な析出が図れ、後熱処理なしに高強度化を図れることがわかった。
この理由は現在定かではないが、オーステナイトからフェライトに変態する温度(A3点)が700℃以上でないと冷却中に置換型元素であるNiとAlの拡散が不十分となり、その析出物を形成できないため強化が発現しないことに基づくものと考えられる。
Mnは、オーステナイト相を安定化する元素であり、Sによる熱間圧延時の表面疵を低減するのに有用な元素である。0.1%未満では表面疵を抑制できないため、下限を0.1%とする。MnはNiと同程度にオーステナイト相を安定化するため、Niの一部を置換できる。その上限はNiと同様16.0%であるが、(Mn%+Ni%)が1.7×Al%+8.3を超えると、A3点が700℃以下となり、NiAlの析出量が不足し、高強度化が図れない。そのため、上記(2)式の関係を満足する必要がある。
Pは、安価に鋼板の強度を高められる元素であるが、粒界に偏析しやすく、脆化を助長し、打ち抜き性を悪化させる。そのため、P量の上限を0.03%以下とする。
Sは、鋼中で介在物中に存在する。S含有量が0.02%を超えると介在物量が増加し、伸びフランジ性が劣化する。したがって、Sの上限を0.02%とする。
Nは、不純物であるが、本発明ではAlが含まれるため、主として窒化アルミニウム(AlN)として存在する。0.005%を超えると粗大なAlNが増加して打抜き時のボイド形成を促進し、打抜き性の劣化を招く.したがって、N量の上限を0.005%とする。
本発明の高強度鋼板は、上述の成分の他に、SiやCu及びMoを含んでも効果は変わらない。
Siは、フェライト相を安定化させ、フェライトを固溶強化する元素である。そのために添加する場合は、0.01%以上とする。しかし、Siが3.0%を超えるとフェライト相が安定化し、本発明で重要な熱間圧延後にオーステナイトから変態したフェライトが形成されないため、金属間化合物の析出が十分促進されず、所望の強度を得ることができないため、Siの上限を3.0%とする。
さらに、熱間圧延後の冷却過程におけるNiAlの析出を促進するには、A3点を制御することが重要であり、A3点が700℃以上930℃以下となるように、上記(1)、(2)式を満足するとともに、加えられるSiの量は下記(3)、(4)式で定義されるFとAが下記(5)式の関係を満足する範囲とする必要がある。
=Al%+0.5×Si% ・・・(3)
=Mn%+Ni% ・・・(4)
1.7×F+8.3−A≧0 ・・・(5)
Cuは、MnやNiと同様、オーステナイトを安定化させる元素であり、0.01〜3.0%の範囲で含有してもよい。また、Moは、AlやSiと同様、フェライト相を安定化させる元素であり、0.01〜5.0%の範囲で含有してもよい。
これまで述べたように熱間圧延後の冷却過程におけるNiAlの析出を促進するには、A3点を制御することが重要であり、CuとMoを含有させる場合は、A3点が700℃以上930℃以下を満たす範囲として、上記(1)、(2)式を満足するとともに、下記(7)、(8)式で定義されるF、Aが下記(9)式の関係を満足する範囲とする。
Ni%≧0.5Cu% ・・・(6)
=Al%+0.5×Si%+0.25×Mo% ・・・(7)
=Ni%+Mn%+0.6×Cu% ・・・(8)
1.7×F+8.3−A≧0 ・・・(9)
以上のような成分組成よりなる鋼板において、組織はフェライト単相からなることが重要である。炭素がほとんど含まれない成分組成であるため、パーライトやベイナイトなど炭化物に起因する組織は生じないが、室温でもオーステナイトが存在する可能性がある。このオーステナイトは金属間化合物が析出していないため軟質であることから硬質なフェライトとの組織間硬度差が生じることで、ボイドの生成が助長され、伸びフランジ性が劣る。
以上のような成分組成と組織とを有する本発明の高強度熱延鋼板は、以上説明した熱延鋼板の表面に溶融亜鉛めっき処理による溶融亜鉛めっき層や、さらには、めっき後合金化処理をして合金化溶融亜鉛めっき層を備えたものとすることで、耐食性を向上することができる。めっき層を備えることにより、本発明の優れた伸びフランジ性と打抜き性を損なうものではない。
次に製造条件について説明する。
前述した組成の鋼よりなる鋳造凝固後のスラブを加熱するに際しては、加熱温度を1050℃以上とする。1050℃未満では十分オーステナイトに変態せず、析出物の溶体化が不十分であり、所望の強度が得られない。1300℃を超えると、スケール生成量が増加し、それに付随した表面疵が増加するため、1300℃以下とするのが望ましい。
加熱後のスラブを熱間圧延するに際し、最終圧延温度(仕上圧延温度)を750℃以上とする。750℃以上で圧延を終了するのは、その温度を下回るとオーステナイトから変態したフェライトに析出するNiAlの量が不足し、強度不足となるためである。
熱間圧延後は、フェライト単相の組織とするため550℃以下まで冷却して巻取る。その際、750〜550℃の温度範囲を1℃/s以上20℃/s以下の平均冷却速度で冷却することが重要である。20℃/sを超えると、フェライトにNiAlが析出する時間が十分でなく、強度不足となる。一方、1℃/s以下では、NiAlが粗大化するため強度不足となる。
以上によって、前述した鋼組成を有し、フェライト単相の組織からなる、伸びフランジ性と打ち抜き性に優れた高強度熱延鋼板が製造できる。
また、本発明においては、以上のようにして製造された熱延鋼板に対し、脱スケール処理後に溶融亜鉛めっき処理を施すことにより、鋼板表面にめっき層を形成してもよい。また、溶融亜鉛めっき処理後、合金化処理を施すことにより、鋼板表面に合金化溶融亜鉛めっき層を形成してもよい。溶融亜鉛めっき条件やその後の合金化処理の条件については常法に従えばよい。
次に実施例により本発明を更に説明する。言うまでもなく、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
表1に示す成分組成を有する鋼を鋳造凝固後そのまま、あるいは一度、室温まで冷却した後に表2に示す条件で熱間圧延を施し、熱延鋼板を製造した。鋼片は1050℃以上で60分以上加熱した後、熱間圧延を施した。
表1には、式(6)を除いて、式(1)から式(9)の値を併記した。なお、元素の含有に応じて、Fは、FまたはFを、Aは、AまたはAをそれぞれ示す。
Figure 2016028174
得られた各鋼板のミクロ組織を顕微鏡観察するとともに、圧延方向に垂直に試験片を採取し、引張試験により、降伏強さ(YP)、引張強さ(TS)、伸び(El)を評価した。
ここで、降伏強さ、引張強さ及び伸びは、JIS Z 2201記載の5号試験片を用い、JIS Z 2241記載の方法に従って測定した。また、伸びフランジ性の評価は、穴広げ試験による穴広げ率(λ)で評価した。穴広げ試験は日本鉄鋼連盟規格JFS T 1001−1996記載の方法で評価した。打抜き性は、打抜き端面の損傷の発生有無で評価した。打抜きは、穴広げ試験と同様、打抜きクリアランスを12.5%として10mm径の穴を打抜き、その端面形状を目視で観察した。
表2にその結果を示す。
Figure 2016028174
本発明例のNo.1〜8は引張強度440MPa以上1650MPa以下、穴広げ値が50%以上となり、かつ強度−延性バランスに優れ、打抜き端面の欠陥も発生していない。
上記以外は以下の理由によって本発明の範囲外である。
No.9は、仕上圧延温度が本発明の下限以下のため、金属間化合物の析出が不十分であり、強度の不足と同時に穴広げ性が劣っている例である。No.10は、750〜550℃における平均冷却速度が本発明の上限を超えており、冷却時に金属間化合物の析出が不十分となり、強度の不足と同時に穴広げ性が劣っている例である。
No.11は、Cの含有量が多く、粒界に炭化物が存在し、打抜き時のボイド生成がしやすく穴広げ性が劣る。No.12はCの含有量が低く、粒界に偏析するC量が少ないため、打抜き性に劣る。No.13は、Ni含有量がAl含有量に対して低く、強度不足となる例である。No.14は、Ni、Mn、Cuなどのオーステナイトを安定化する元素の含有量が多く、フェライトに変態しないオーステナイトの部分が強化されず、強度不足となる例である。
[実施例2]
実施例1で製造した試料符号1、2の熱延鋼板を、660〜720℃に加熱し、溶融亜鉛めっき処理あるいは、めっき処理後に540〜580℃での合金化熱処理を行い、溶融亜鉛めっき鋼板あるいは合金化溶融亜鉛めっき鋼板とした後、実施例1と同じ材質試験を実施した。亜鉛めっき鋼板について結果の一例を表3に示す。
いずれのめっき鋼板においても実施例と同様の結果が得られ、溶融亜鉛めっき処理、あるいは、合金化溶融亜鉛めっき処理を行ったとしても、本発明の材質が確保できることが確認できた。
Figure 2016028174

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.0003〜0.0080%、
    Mn:0.1%〜16.0%、
    Al:0.3〜5.0%、
    Ni:0.6〜16.0%、
    P:≦0.03%、
    S:≦0.02%、
    N:≦0.005%
    を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、下記(1)式及び(2)式の関係を同時に満足する成分組成を有し、鋼組織がフェライト相から構成されることを特徴とする伸びフランジ性と打抜き性に優れた高強度熱延鋼板。
    Ni%−2.0×Al%≧0 ・・・(1)
    1.7×Al%+8.3−(Mn%+Ni%)≧0 ・・・(2)
    ここで、Mn%、Ni%、Al%は、Mn、Ni、Alの含有量[質量%]である。
  2. 前記成分組成に、さらに質量%で、
    Si:0.01〜3.0%
    を含有し、下記(3)、(4)式で定義されるFとAが下記(5)式の関係を満足することを特徴とする請求項1記載の高強度熱延鋼板。
    =Al%+0.5×Si% ・・・(3)
    =Mn%+Ni% ・・・(4)
    1.7×F+8.3−A≧0 ・・・(5)
    ここで、Si%、Mn%、Ni%、Al%は、Si、Mn、Ni、Alの含有量[質量%]である。
  3. 前記成分組成に、さらに質量%で、
    Cu:0.01〜3.0%、
    Mo:0.01〜5.0%
    を含有し、さらに、Cuが下記(6)式の関係を満足し、かつ、下記(7)、(8)式で定義されるFとAが下記(9)式の関係を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の高強度熱延鋼板。
    Ni%≧0.5Cu% ・・・(6)
    =Al%+0.5×Si%+0.25×Mo% ・・・(7)
    =Ni%+Mn%+0.6×Cu% ・・・(8)
    1.7×F+8.3−A≧0 ・・・(9)
    ここで、Cu%、Si%、Mn%、Ni%、Al%は、Cu、Si、Mn、Ni、Alの含有量[質量%]である。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱延鋼板とその表面に形成した溶融亜鉛めっき層または合金化溶融亜鉛めっき層から構成される高強度溶融亜鉛めっき熱延鋼板。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の成分組成を満足するスラブを鋳造凝固後、1050℃以上で60分以上加熱し、熱間圧延の最終圧延温度を750℃以上で行い、750〜550℃における平均冷却速度が1〜20℃/sで550℃以下まで冷却することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の伸びフランジ性と打ち抜き性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の成分組成を満足するスラブを鋳造凝固後、1050℃以上で60分以上加熱し、熱間圧延の最終圧延温度を750℃以上で行い、750〜550℃における平均冷却速度が1〜20℃/sで550℃以下まで冷却して得た鋼帯を脱スケール処理後、溶融亜鉛めっきまたは合金化溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とする請求項4に記載の伸びフランジ性に優れた溶融亜鉛めっき高強度熱延鋼板の製造方法。
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