JP2016027332A - 非接触型検電器及び検電方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】検出対象の直流電圧に交流成分が含まれていない場合にも高い感度で停電/活線を検知することができる非接触型の検電器を提供する。
【解決手段】直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する検電器に、直流電圧によって充電される充電部の正極性直流電圧の電界により静電誘導される負の電荷が帯電する検出用電極および該検出用電極に接続された可変容量手段と、該可変容量手段の容量値が変化されることで前記検出用電極の帯電状態に応じて振幅あるいは周波数が変化した交流信号を出力する機能を備える検出部と、交流信号の振幅あるいは周波数に基づいて前記充電部が充電状態であるか否かを判別する判定部と、を設けるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、直流電圧を非接触方式で測定する技術に関し、例えば直流送電システムにおいて用いられる非接触型の検電器及び検電方法に利用して有効な技術に関する。
直流送電システムにおける送電線の直流電圧を測定するための装置として検電器がある。直流送電システムは、例えば電車線の送電に利用され、直流式電気鉄道の「き電回路」などに適用されている。直流式電気鉄道の「き電回路」には、電力会社の発電機から供給される三相交流電力を、電気鉄道用変電所で整流することによって、1500V程度の直流電圧が印加されている。その直流式電気鉄道の「き電回路」の充電状態を検出する検電器として、基準電位線をレールに接続しておき、検出端子を架線に接触させて、充電状態を検知する接触型の検電器が知られている。
ところで、電車線は、単線であるとは限らず、複線あるいは複数のプラットホームを持つ駅または拠点駅における渡り線や留置線などがある輻輳区間が多く存在する。そして、このような輻輳区間においては、従来の検電器を用いた検電では、誤認による感電事故を完全には防止できていない。
また、検電器では、検出対象の電圧が高圧の場合、安全性を高めるために充電部(架線)に対して非接触で充電状態を検出できることが望まれる。しかしながら、直流電圧の検電器を充電部に接触させない非接触型とする場合には、検出感度を高めることが困難であるという課題があった。
そこで、本出願人は、検出感度を高めることができる非接触型の検電器及び検電方法に関する発明をなし、先に出願した(特許文献1)。
該先願発明は、検出対象の直流電圧が、商用交流電源すなわち電力会社から供給される交流電圧から直流電圧に変換されたものであるため、直流電圧には元の交流の周波数に基づいて生じる高調波周波数成分が含まれていることに着目して、直流電圧に含まれている交流信号を、キャパシタンス(静電容量)を介して受信する受信部と、受信した信号に含まれる高調波周波数成分を抽出してその信号強度に基づいて架線の充電状態を検出する検出部とを検電器に設けるようにしたものである。
特開2012−112659号公報
しかしながら、本出願人は、上記先願発明に係る検電器を試作し性能等を確かめるための実験を行なった結果、架線が充電されているはずにもかかわらず充電状態を検出できない場合があることを見出した。そこで、その原因を知るために、詳しい検証を行なったところ、上記先願発明に係る検電器は、検出対象の架線の区間内(変電所間)に車両が在線していない場合や力行車両が在線している場合には充電状態を検出することが可能であるが、区間内に回生車両が在線している場合には充電状態を検出できないことが明らかとなった。
その理由としては、以下のようなことが考えられる。先ず、車両が在線していない場合や力行車両が在線している場合には、直流電圧に元の交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分が含まれているので、それを検出することで停電/活線を検知することができる。一方、回生車両が在線している場合には、車両が回生制動する際に、これまでモータとして回転していた誘導電動機(IM)が誘導発電機として動作することになる。しかも、回生電圧を架線電圧よりも高くすることで、回生電力を遠方の力行車両へ送電できることとなるが、特に近年のPWMインバータ車両は非常に高い周波数で発電した交流電圧を直流電圧に変換して架線を充電するので、架線電圧から基準周波数およびその高調波周波数成分がなくなり比較的平坦な直流電圧波形になるというものである。
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的とするところは、検出対象の直流電圧に交流成分が含まれていない場合にも高い感度で停電/活線を検知することができる非接触型の検電器及び検電方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、
直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する検電器であって、
前記充電部の正極性直流電圧の電界により静電誘導される負の電荷が帯電する検出用電極および該検出用電極に接続された可変容量手段と、該可変容量手段の容量値が変化されることで前記検出用電極の帯電状態に応じて振幅が変化した交流信号を出力する機能を備える検出部と、
前記交流信号の振幅の大きさに基づいて前記充電部が充電状態であるか否かを判別する判定部と、を備えるようにした。
上記した手段によれば、検出用電極に静電誘導される電荷の帯電状態に応じて振幅が変化した交流信号を生成し、該交流信号に基づいて充電部の充電状態を判別するので、検出対象の直流電圧に交流成分が含まれていない場合にも高い感度で停電/活線を検知することができる。
ここで、望ましくは、前記判定部は、前記検出部から出力される前記交流信号の変動成分のうち所定の周波数の信号成分を抽出する周波数抽出手段を有し、該周波数抽出手段により抽出された周波数の信号成分の大きさに基づいて充電部が充電状態であるか否かを判別する機能を備えるように構成する。
このような構成によれば、検出用電極の帯電状態に応じて振幅が変化した交流信号の周波数に対応した信号の振幅を知ることができ、それによって精度の高い判定が可能となる。
さらに、望ましくは、前記可変容量手段は、前記検出用電極と対向するように設けられた遮蔽板と、該遮蔽板を回転させる駆動手段とを備え、前記検出用電極と前記遮蔽板の対向面積が変化することで容量値が変化するように構成され、
所定の周波数は、前記遮蔽板の単位時間当たりの回転数の整数倍に設定されているように構成する。
かかる構成によれば、検出用電極と遮蔽板の対向面積や遮蔽板の回転数を変更することが容易であり、それによって検出用電極の帯電状態に応じて振幅を有する交流信号の周波数を任意に設定することができる。
また、前記可変容量手段は、
前記検出用電極に直流結合およびコンデンサ(蓄電器)による交流結合で接続された一対の可変容量素子と、正弦波を発生する正弦波発生手段とを備え、前記一対可変容量素子の制御端子に正弦波がそれぞれ入力されることで容量値が変化するように構成され、
前記検出部の出力側あるいは前記判定部の入力側に、前記一対の可変容量素子の各充電電圧がコンデンサ(蓄電器)による交流結合にて入力端子にそれぞれ入力された差動増幅回路を備えるように構成してもよい。
かかる構成によれば、充電部の直流電圧の電場の中で前記検出用電極を含む検電器が手持ちゆらぎによる充電部に対する距離変動により生じる変位電流に基づく交流的な電荷量に応じた電位が、差動増幅回路の同相成分除去機能によって除去されることで、検出用電極に静電誘導された直流的な電荷量(平均電荷)の大きさに応じた電圧が差動増幅回路から出力されるので、検出対象の直流電圧に交流成分が含まれていない場合にも高い感度で停電/活線を検知することができる。また、物理的に変動する可動部分がないため、故障を起こしにくいという利点がある。
また、望ましくは、
前記一対の可変容量素子の充電電圧を積分する積分回路と、
前記積分回路の出力電圧が前記一対の可変容量素子および前記正弦波発生手段に基準電位として印加されるように構成する。
かかる構成によれば、検出素子(可変容量素子)の検出端子(電極)と基準電位(GND2)との間の電位差を常にゼロに保つようにフィードバック制御が行われることとなる。その結果、漏れ電流により検出対象の誘導電荷が中和されてしまうのを防止することができる。
また、望ましくは、
前記直流電圧は交流電圧から変換された電圧であり、
前記検出部は、前記交流電圧の基本波および高調波周波数成分を除去もしくは減衰する受動狭帯域フィルタを備え、
前記所定の周波数は、前記交流電圧の基本波および高調波周波数による影響を受けにくい周波数に設定されているように構成する。
ここで、「交流電圧」は、一般には商用交流電圧である。また、「受動狭帯域フィルタ」としては、例えば2−T(ツインT)のようなノッチフィルタがある。このような構成によれば、直流電圧に変換される前の交流電圧の周波数成分による影響を排除した精度の高い停電/活線判定が可能となる。
さらに、望ましくは、
前記判定部は、前記検出部から出力される信号をディジタル信号に変換するアナログ−ディジタル変換手段と、
前記アナログ−ディジタル変換手段により変換された信号から前記所定の周波数に相当する成分を抽出する離散フーリエ変換手段と、を備えるように構成する。
かかる構成によれば、検出用電極の帯電状態に応じて振幅が変化する交流信号の周波数に対応した信号成分をより正確に抽出してその信号成分の振幅の大きさを知ることができ、それによって精度の高い停電/活線判定が可能となる。なお、離散フーリエ変換手段は、前記検出部から出力される信号成分のうち基本波のみに応答する単一周波数対応の簡略化したものでよい。
また、本出願の他の発明は、
直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する検電方法であって、
前記充電部の正極性直流電圧の電界により静電誘導される負の電荷が帯電する検出用電極の帯電状態に応じて所定の属性が変化した交流信号を生成する検出過程と、
前記検出過程により生成される前記交流信号の前記所定の属性に基づいて前記充電部が充電状態であるか否かを判別する判定過程と、を含むようにしたものである。
かかる方法によれば、検出用電極に静電誘導される電荷の帯電状態に応じて所定の属性(振幅もしくは周波数)が変化した交流信号を生成し、該交流信号に基づいて充電部の充電状態を判別するので、検出対象の直流電圧に交流成分が含まれていない場合にも高い感度で停電/活線を検知することができる。
本発明によれば、検出対象の直流電圧に交流成分が含まれていない場合にも高い感度で停電/活線を検知することができる非接触型の検電器及び検電方法を実現することができるという効果がある。
本発明の第1実施形態に係る電界検出方式非接触型の検電器の構成を示すブロック図である。 第1実施形態の非接触型検電器における電界検出部の構成例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る誘導電荷検出方式非接触型の検電器の構成を示すブロック図である。 第2実施形態の検電器のより具体的な回路構成例を示す図である。 第2実施形態の検電器における検出部の動作原理を示す図である。 図3の第2実施形態に係る誘導電荷検出方式非接触型の検電器におけるノッチフィルタの好適な回路例を示す回路構成図である。 図3の第2実施形態に係る誘導電荷検出方式非接触型の検電器における電界検出部の変形例を示すブロック図である。 第3実施形態に係る検電器における検出端子と基準電位との間の電位差を常にゼロに保つようにフィードバック制御を行う検出素子の検出端子と基準電位との間の電位差を常にゼロに保つようにフィードバック制御を行うブロック図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態における検電器(電界検出方式非接触型検電器)の構成を示すブロック図である。
図1に示す検電器100は、直流送電システムを構成する送電用の架線200に直流が給電されているか否かを、検出対象の架線に電極を近づけた際に電極に帯電される電荷の量を検出することで停電/活線(架線の充電の有無)を検出する電界検出方式の非接触型検電器であり、電界検出部110、ろ波部120、停電/活線を判定する判定部130、出力部140及び電源部150を備える。
送電用架線の電界検出では絶対的な電位ではなく2点の電位差を検出すれば良いので、検電器100の本体は、大地GNDに電気的に接続すなわち接地されていても良いし、接地されていないつまり検電器内部の電位を基準電位として電界の大きさ(強さ)を検出しても良い。
本実施形態における検電器の電界検出部110は、図2に示すように、回転遮蔽板111と該回転遮蔽板111を回転させるモータ112と、回転遮蔽板111と対向された固定電極113と、固定電極113とろ波部120との間に設けられたコンデンサ114などからなる。なお、固定電極113を図2に示すような扇形で構成された回転遮蔽板111と同一形状にした場合には三角波が出力されるが基本波のみ利用すればよい。
ろ波部120(図1)は、架線に給電される直流電圧の元になる商用交流電源の周波数およびその二次高調波成分を除去もしくは低減するノッチフィルタ(受動狭帯域フィルタ)121と、該ノッチフィルタ121を介して入力される信号を増幅するアンプ(直流増幅器)122と、該アンプ122の出力信号から不要周波数成分(特に隣接する加圧中の架線から漏れる商用交流電源の周波数の6倍や12倍の周波数成分)を除去もしくは低減するローパスフィルタ(LPF)123などからなる。
ノッチフィルタ121を設けているのは、信号用および灯火用高圧配電線の6.6kVや新幹線用の特高圧の25kVという直流1.5kVに比較すれば遥かに強力な商用交流電源の基本波周波数および高調波周波数のノイズによって後段のアンプ(増幅器)122の出力が飽和するのを防止するためである。アンプ122には、入力段のトランジスタがMOSFET(電界効果トランジスタ)で構成された高入力インピーダンスのものを使用する。ローパスフィルタ123は、抵抗やコンデンサなどの受動素子のみからなる受動フィルタでも、トランジスタなどの能動素子などからなるオペアンプを使用したアクティブフィルタでもよい。
判定部130は、ろ波部120を通過したアナログ信号をディジタル信号に変換するAD変換器131と、狭帯域ディジタルフィルタとして機能する単一周波数離散フーリエ変換器132と、検出値の大きさを予め定められた複数のしきい値を用いて判定するコンパレータのような判別器133を備える。このような機能を有する判定部130は、AD変換回路を内蔵したシングルチップマイコンのような1個の半導体集積回路、あるいはAD変換ICや演算機能を有するマイクロプロセッサ、半導体メモリ(ROMやRAM)など複数の半導体集積回路によって構成することができる。
また、上記判定部130のROMには、CPUやマイクロプロセッサによって実行される動作プログラムが格納され、このプログラムをROMから読み出して実行することによって、上記処理(AD変換、フィルタリング、判定等)が行われる。なお、検電器に無線通信機能を設け、サーバから通信回線を介して上記プログラムを受信し、受信したプログラムをRAMに記憶して、CPUやマイクロプロセッサが当該プログラムを実行するように構成しても良い。
なお、AD変換器131の入力側には、AD変換器131のサンプリング周波数の1/2以下に帯域制限するように、低域通過フィルタを入れるようにしても良い。サンプリング周波数の1/2というのは理想値で、実際には1/3に制限するのがよい。
ここで、AD変換器131のサンプリング周波数として8kHz程度を選択したとすると、AD変換器131の入力側の低域通過フィルタのカットオフ周波数は約2.6kHzとなり、この周波数以下に帯域制限するようになるので、中波ラジオ放送波の妨害も受けにくくなるという利点がある。
出力部140は、検出結果(検出値の大きさ)を例えば10段階のような複数レベルで表示するLEDランプからなる表示器141、検出値が所定値を超えている場合にアラーム音を発生するスピーカやブザーのような発音装置142、表示器141や発音装置142を駆動する駆動回路143などからなる。
電源部150は、バッテリーから給電される電力により、各部を機能させる際に必要とされる内部電源電圧や基準電位、バイアス電位を生成する。
図2に示す電界検出部110の回転遮蔽板111には、例えば複数枚の羽根を有する円板(回転円板式チョッパ)が用いられる。回転遮蔽板111と対向配置される固定電極113は、図2では図示の都合から矩形状のものが示されているが、平板状であれば良く、例えば回転遮蔽板111と同様に複数枚の羽根を有する同一形状の円板とすることも可能である。固定電極113を回転遮蔽板111と同一の形状とすることで、電界検出部110より三角波状の出力を得ることができる。なお、電界検出部110の出力(交流波)は、三角波状に限定されず、擬似正弦波あるいは矩形波状であってもよい。いずれの波形であっても通常は低域通過フィルタ等により基本波の正弦波を抽出し利用することになる。
図2に示すような回転遮蔽板111と固定電極113とからなる電界検出部110にあっては、+1500Vの直流電圧が給電されている架線200の下方に電界検出部110を近付けた状態で回転遮蔽板111が回転されると、回転遮蔽板111の羽根が固定電極113へ向う電気力線Eを遮蔽したり透過させたりする動作を繰り返す。
すると、固定電極113に集まる負の電荷の量が増加したり減少したりする。そのため、回転遮蔽板111の回転速度が一定であると、固定電極113の帯電電荷量が所定の周期で変動し、この電荷量の周期的変動で電圧が周期的に変化し、その電圧の変化がコンデンサ114を介してアンプ122の入力端子に伝達され、増幅される。その結果、アンプ122からは三角波状に変化する電圧が出力されることとなる。
一方、架線200に直流電圧が給電されていない場合には、架線の周囲に電界が存在しないため、回転遮蔽板111が回転されたとしても固定電極113に電荷が集まることはなく、アンプ122の出力は変化しないこととなる。
また、本実施形態の検電器においては、ノッチフィルタ121とローパスフィルタ123により、アンプ122の出力電圧からは商用交流電源の周波数成分およびその高調波成分が除去される。
なお、上記アンプ122から出力される交流信号の周波数は、モータの回転数をN[rpm]、回転遮蔽板111の羽根の枚数をMとすると、N×M×60[Hz]であり、該交流信号の振幅は固定電極113の帯電電荷量に比例する。交流信号の周波数が、商用交流電源の周波数(50Hzまたは60Hz)やその整数倍の周波数の影響を受けにくい周波数となるように、モータの回転数Nや回転遮蔽板111の羽根の枚数Mを選択するのが望ましい。
さらに、本実施形態の検電器においては、後段の離散フーリエ変換器132により目的とする周波数(N×M×60[Hz])の信号のみ抽出して、その大きさを判別器133によって判定することで、電界検出部110が置かれている位置の電界強度を検出することができる。なお、離散フーリエ変換器132の代わりにトーンデコーダを使用するようにしてもよい。
上述したように、本実施形態の検電器によれば、架線に給電される直流電圧に商用交流電源の周波数成分およびその高調波成分が含まれていなくても、つまり回生列車が検出対象の架線の区間内に在線していて、架線の電圧がほぼ直流電圧である場合にも、停電/活線(架線の充電の有無)を検出することができる。しかも、検電器100の本体は接地されていても良いし、接地されていなくても良いため、検電器を現場(軌道内)に持ち込むだけでよく、検電のための準備作業や設備は不要になるという利点がある。
また、本実施形態の検電器は、検出対象の架線の真下に持って来る必要はなく、検出部の電極が架線から見えるような姿勢すなわち架線から大地に向う電気力線と交差する姿勢に保持すれば、どのような位置であっても検出することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図3は、第2実施形態における検電器(誘導電荷検出方式非接触型検電器)の構成を示すブロック図である。
図3に示す検電器100は、第1実施形態(図1)の検電器と同様に、直流送電システムを構成する送電用の架線200に直流が給電されているか否かを、検出対象の架線に電極を近づけた際に電極に静電誘導される電荷の量を検出することで停電/活線(架線の充電の有無)を検出する電界検出方式の非接触型検電器であり、電界検出部110、判定部130、出力部140及び電源部150を備える。
検電器100の本体は接地されていても良いし、接地されていなくても良い。なお、実際の作業では、検電器は作業員もしくは作業用機械が保持することとなるので、検電器100の本体は大地とほぼ同一電位となる。
本実施形態の検電器における電界検出部110は、非磁性導体からなる固定電極113と、商用交流電源の周波数成分を除去もしくは低減するノッチフィルタのような帯域阻止フィルタ115と、フィルタ115の出力端子側に設けられた一対の可変容量素子116A,116Bと、該可変容量素子116A,116Bの容量値を変化させるサイン波発生器117と、該可変容量素子116A,116Bの出力電圧(交流信号)が一対の入力端子に印加される差動増幅器118とを備える。また、フィルタ115と可変容量素子116Bとの間には、直流成分を遮断し交流成分のみ通過させるAC結合用のコンデンサ(蓄電器)119Cが設けられている。そして、このコンデンサ119Cと可変容量素子116Bとの接続ノードと回路内部の接地電位GND1との間には抵抗R5が接続され、この抵抗R5とコンデンサ119Cとによって直流阻止フィルタ(RC一次高域通過フィルタ)が構成されるようになっている。
さらに、ノッチフィルタ115と可変容量116A,116Bとの間にはそれぞれ高抵抗値(例えば10MΩ)を有する抵抗器R4a,R4bが接続されている。この抵抗器R4a,R4bは、ノッチフィルタ115の出力と可変容量素子116A,116Bとの間、さらには可変容量素子116A,116B相互間を、検出対象の信号の周波数も含めより高い周波数領域において交流的に分離するためのもので、この抵抗器R4a,R4bと可変容量素子116A,116BとでRC一次低域通過濾波器を構成することで、変電所での6相および12相整流の脈流周波数や中波放送波の妨害を抑制する効果も持たせることができる。なお、固定電極113は平板状のものでも棒状のものでも良い。
図4には、第2実施形態における電界検出部110のより具体的な回路構成が示されている。図4に示すように、可変容量素子116A,116Bには、例えばMOS電界効果トランジスタのゲート容量(ゲート電極−半導体基板間の容量)を利用した素子を使用し、そのソース端子を基準電位点に接続し、ドレイン端子に発振器(OSC)などからなるサイン波生成回路117で生成された電圧(サイン波)を印加して、空乏層の厚みを変化させることで容量値を変化させるように構成されている。なお、MOS電界効果トランジスタの代わりにバラクタダイオードなど他の素子や回路を使用しても良い。
サイン波発生器117により生成されるサイン波(正弦波)の周波数としては、商用交流電源の周波数(50Hzまたは60Hz)やその整数倍の周波数の影響を受けにくい周波数を選択するのが望ましい。差動増幅器118には、入力段の差動トランジスタがMOSFETで構成された高入力インピーダンスのものを使用する。差動増幅器118の後段には、商用交流電源の周波数の高調波成分を除去もしくは低減するローパスフィルタなどからなるろ波部を設け、AD変換回路のサンプリング周波数の1/2未満に帯域制限してエイリアスを防止するようにする。
停電/活線を判定する判定部130は、差動増幅器118の出力をディジタル信号に変換するAD変換回路131と、狭帯域ディジタルフィルタとして機能する単一周波数離散フーリエ変換器132と、検出値の大きさを判定するコンパレータのような判別器133などからなる。
出力部140は、検出値の大きさを表示する表示器141、アラーム音を発生する発音装置142、表示器141や発音装置142を駆動する駆動回路143などからなる。
電源部150は、バッテリーから給電される電力により、各部を機能させる際に必要とされる内部電源電圧や基準電位、バイアス電位を生成する。
なお、第2実施形態においても、AD変換器131の入力側に、AD変換器131のサンプリング周波数の1/2(あるいは1/3)以下に帯域制限する低域通過フィルタを入れるようにするのが良い。これにより、中波ラジオ放送波の妨害も受けにくくすることができる。
ところで、本実施形態のような固定電極113に静電誘導される電荷を検出する検電器の場合、検電器を架線に近づけたり遠ざけたりする際に、変位電流が流れてこの変位電流により生じる電荷が、本来検出すべき静電誘導電荷量に悪影響を与えてしまう。しかも、携帯型の検電器の場合、検電器を架線から一定の距離に保持するのは困難であるため、変位電流による影響を回避することは困難である。
本実施形態の電界検出部110においては、架線200の下方に形成される電場に固定電極113が置かれることによって、電界の強さに応じて静電誘導される直流的な電荷量と変位電流に基づく交流的な電荷量の大きさに応じた電位が検出される。
そして、このうち変位電流に基づく交流的な電荷量に応じた電位は、一対の可変容量素子116A,116Bの充電電圧が差動増幅器118に入力され、差動増幅器の同相成分除去機能によって除去されることで、直流結合された可変容量素子116Aのみによって伝達される固定電極113に静電誘導された直流的な電荷量(平均電荷)の大きさに応じた電圧のみが差動増幅器118から出力される。
さらに、本実施形態の電界検出部110においては、一対の可変容量素子116A,116Bの容量値がサイン波発生器117によって正弦波状に変化されることによって、第1実施形態の検電器において、回転遮蔽板111の羽根が固定電極113へ向う電気力線を遮蔽したり透過させたりして固定電極113に静電誘導される電荷量を変化させるのと同等な結果が得られる。ただし、半導体を用いた可変容量素子を正弦波交流電圧で駆動しても一般的には非線形性があるため出力は完全な正弦波とはならず高調波を含む歪波となるので、後段でAD変換する際はAD変換器のサンプリング周波数の1/2未満に帯域制限してエイリアスを防止する必要がある。
ここで、可変容量素子116A,116Bを設け、サイン波発生器117によって容量値を変化させる構成を採用した理由を説明する。
本発明の検電器のように、電極に静電誘導される電荷の量を検出することで停電/活線(架線の充電の有無)を検出する電界検出方式の検電器の場合、検電器を検出対象の架線の電場内に持ち込んだ直後は検出電極に電界の強さに応じた電荷が静電誘導されるが、検出電極に接続される実際のアンプの入力インピーダンスは無限大にすることはできず有限の値を持つこととなる。そのため、時間が経過するとリークにより電極から電荷が抜けてしまい、正確な検出が行えない。
そこで、図5に示すように、検出電極113に接続された可変容量素子116A,116Bを設け、その容量値を変化させる構成とした。かかる構成によれば、可変容量素子116A,116Bの容量値が変化されると、検出電極113に誘導された電荷が電極113と可変容量素子116A,116Bとの間を往復移動することとなり、それによって可変容量素子116A,116Bとその駆動手段(サイン波発生器)が一種の静電式発電機として動作して、測定用の交流波形を出力することができる。
バイアス電流に起因するリーク電流は差動増幅器118の2つの入力端子においても生じているので可変容量素子116A,116Bと差動増幅器118の2つの入力端子も蓄電器119Aおよび119Bを用いた交流結合とする。
以上説明したように、本実施形態の検電器は、第1実施形態の検電器と同様、架線に給電される直流電圧に商用交流電源の周波数成分およびその高調波成分が含まれていなくても、つまり回生列車が検出対象の架線の区間内に在線していて、架線の電圧が脈流を含まないほぼ直流電圧である場合にも、停電/活線(架線の充電の有無)を検出することができる。しかも、検電器100の本体は接地されていても良いし、接地されていなくても良いため、検電器を現場(軌道内)に持ち込むだけでよく、検電のための準備作業や設備は不要である。
さらに、第1実施形態の検電器とは異なり、メカ的な可動部分がないため、故障が少ないとともに、製品間の性能バラツキも小さくできるという利点がある。
なお、電界検出部110の可変容量素子116A,116Bとしては、バラクタダイオードなど任意の可変容量素子もしくは回路を使用することができるが、回路の構成のし易さや比較的容量値の大きな素子を入手し易いという観点から、本実施形態では、バラクタダイオードと同様に印加電圧によって空乏層の厚みが変化することで容量値が変化するMOS電界効果トランジスタを使用することとした。MOS電界効果トランジスタを可変容量素子として使用した場合、駆動端子と検出端子を分離回路を設けることなく分離することができるという利点がある。また、MOS電界効果トランジスタには、パワーMOSと呼ばれる大電流用の比較的サイズの大きな素子(比較的容量値の大きな素子)が市場に提供されていて入手し易いとともに、バラクタダイオードに比べて大きな容量変化が得られるので、パワーMOS電界効果トランジスタを可変容量素子として使用すると良い。
また、本実施形態で可変容量素子として使用するMOS電界効果トランジスタは、ゲート端子に電圧を印加することでオン状態となるエンハンスメント型のMOS電界効果トランジスタであり、ドレイン端子−ソース端子間が非導通となるゲート端子−ソース端子間電圧領域、すなわちスレッショルド電圧未満で使用する。可変容量素子116A,116BとしてのMOS電界効果トランジスタのゲート端子は、直接または蓄電器としてのコンデンサ(119C)を介してフィルタ115の出力端子に、またソース端子は装置の基準電位点にそれぞれ接続され、ドレイン端子にサイン波発生器117によって生成された電圧(サイン波)が入力される。なお、固定電極113には負電荷が帯電するので、可変容量素子116A,116BにはPチャネルMOS電界効果トランジスタを使用したが、NチャネルMOS電界効果トランジスタを使用した回路構成も可能である。
図6に、図3の第2実施形態に係る誘導電荷検出方式非接触型の検電器におけるノッチフィルタ115として好適な2−T型フィルタの回路例を示す。具体的には、図6(A)に示すように3個の抵抗素子R1〜R3と3個の容量素子C1〜C3により構成された単段ノッチフィルタNFを、図6(B)に示すように、3個縦続接続して構成したものである。図6(A)の単段ノッチフィルタNFを構成する素子は、10MΩ1%品と100pF1%品の2種類のみであり、これらを直列あるいは並列に接続してフィルタを構成する。このように部品の種類を2種類に限定することで組立を容易し、なおかつ品質にやや不安の残る10MΩを超える抵抗器を用いずに済むという利点がある。また、かかる構成のノッチフィルタは、2−T型フィルタとしての正規の設計値から意図的にずらすことで中心周波数での減衰が劣る代わりに減衰帯域を広げることができるので、商用交流電源基本波の50、60Hzから第二次高調波の100、120Hzまでの領域で、妨害波を1/3000〜1/10000に大きく減衰させることができる。加えて、素子の誤差の影響を受けにくくなるという効果もある。
図7に、図3の第2実施形態に係る誘導電荷検出方式非接触型の検電器の変形例を示す。この変形例は、図7に示すように、可変容量116A,116Bの前段にそれぞれ別個にノッチフィルタ115A,115Bを設けるとともに、ノッチフィルタ115A,115Bと可変容量116A,116Bとの間にそれぞれ高抵抗値を有する抵抗器R4a,R4bを接続したものである。また、交流結合手段としての蓄電器(コンデンサ)119Cを、可変容量116Bの前段ではなく、ノッチフィルタ115Bの前段に設けている。また、ノッチフィルタ115A,115Bとして、図6に示すような3個接続のものを使用する。それ以外は、図3の検電器と同様である。蓄電器(コンデンサ)119Cの容量値としては、例えば2200pFのような値、また抵抗R5の抵抗値としては、例えば30MΩのような値とすることが考えられる。
図7に示す検電器は、可変容量素子116Aおよび116Bの入力とノッチフィルタ115A,115Bとの間に、10MΩの抵抗器R4a,R4bを入れることで、ノッチフィルタ115A,115Bの3段目のフィルタの出力と可変容量素子116A,116B、さらには可変容量素子116A,116B相互間を交流的に分離している。そして、この抵抗器R4a,R4bと可変容量素子116A,116BとでRC一次低域通過濾波器を構成することで、変電所での6相および12相整流の脈流周波数や中波放送波の妨害を抑制する効果も持たせることができる。
また、ノッチフィルタを2個用いることで可変容量素子116Aおよび116Bがノッチフィルタに及ぼす影響を軽減できる利点がある。
さらに、手持ち揺らぎの影響を検出する可変容量素子116B側で直流に対する感度があると検電器としての感度が落ちるので、可変容量素子116B側の直流感度をなくさなければならない。図7の例であれば畜電器119Cと可変容量素子116Bとの接続点と回路内部の基準電位点との間に、抵抗器R5を入れて直流阻止フィルタ(RC一次高域通過フィルタ)を構成しなければならない。
なお、図3の検電器においても、可変容量素子116B側の直流感度をなくすため、畜電器119Cと可変容量素子116Bとの接続点と回路内部の基準電位点との間に抵抗器を入れるようにしてもよい。また、図3および図4の検電器においてもは、可変容量116A,116Bの前段に入れる抵抗器R4a,R4bの抵抗値は図7の変形例の場合の約2倍とするのがよい。
次に、本発明の第3実施形態について、図8を用いて説明する。
上記第1実施形態や第2実施形態の検電器においては、検出素子(可変容量素子116A,116B)の検出端子としてのゲート電極と基準電位(接地電位GND2)との間に電位差があると、可変容量素子116A,116Bの半導体基板やノッチフィルタを構成する容量素子、回路基板等に含まれるリークパスを介して漏れ電流が流れ、この漏れ電流により検出対象の誘導電荷が中和されてしまうおそれがある。しかも、この現象は気温が高いほど顕著に表れることが分かった。
第3実施形態は、上記のような不具合を解消するため、検出素子の検出端子と基準電位との間の電位差を常にゼロに保つようにフィードバック制御を行うようにしたものである。具体的には、検出素子の基準電位を固定せず新たに追加する整流回路および積分器により可変させるというものである。図8に第3実施形態に係る検電器の構成を示す。なお、図8は図4に示す第2実施形態の検電器を改良したものである。
積分回路を設けるのは、可変容量素子116A側回路、116B側回路からの交流信号の振幅差がゼロになるまで、CRの時定数と振幅差に比例して決まる速度(スルーレイト)で出力を変え続けるとともに、交流信号の振幅差がゼロである限り出力を保持し続けるためである。
図8に示されているように、この実施形態においては、図4に示す第2実施形態における差動増幅器118とは別個に、差動増幅器118と入力(+,−)が逆の関係である演算増幅器128を備えるとともに、可変容量素子116A,116Bと演算増幅器128とを交流結合する蓄電器119Aと演算増幅器128の反転入力端子との間に整流回路129Aおよび抵抗R6が直列に接続されている。また、蓄電器119Bと演算増幅器128の非反転入力端子との間に整流回路129Bが接続されているとともに、演算増幅器128の反転入力端子と出力端子との間に蓄電器119Dが接続され、演算増幅器128の出力端子と内部回路の接地電位GND1の間に抵抗R7と蓄電器119Eが直列に接続されている。上記演算増幅器128と抵抗R6と蓄電器119Dとによって積分回路が構成されている。
なお、整流回路129Aおよび129Bを設けているのは、可変容量素子116A,116Bからの交流信号には回路の構成等に起因する位相差があるが、積分器で交流信号の振幅を比較をするには交流信号同士の位相差を排除しなければならず、アナログ回路でこれを行う場合、整流回路を用いるのが簡単なためである。なお、本実施形態で使用する整流回路は、入力抵抗が概ね10MΩ以上となるようにする。また、整流回路の出力抵抗はほぼゼロとみなせるように小さくする。
上記のように、第3実施形態においては積分回路が設けられることにより、可変容量素子116A側回路、116B側回路からの交流信号の振幅差を整流回路129Aと129Bで直流電圧に変換した後の直流電圧差を積分した直流電圧が生成され、生成されたこの直流電圧が抵抗R7と蓄電器119Eを通して出力される。そして、この出力電圧が、抵抗R5と可変容量素子116A,116Bとサイン波発生器117の基準電位GND2として供給されるようになっている。従って、基準電位GND2は、演算増幅器128で構成される積分回路の出力で直流的に変化することとなるとともに、交流的には蓄電器119Eを介して本来の接地電位GND1に接続されている。つまり、基準電位GND2は、固定電極に誘起された電荷による電圧すなわち測定電圧になる。これにより、検出素子の検出端子と基準電位(GND2)との間の電位差を常にゼロに保つようにフィードバック制御が行われることとなる。その結果、漏れ電流により検出対象の誘導電荷が中和されてしまうのを防止することができる。なお、測定電圧は、固定電極113に誘起される電荷量に比例し、極性に応じて正にも負にもなる。
蓄電器119Eは基準電位GND2からGND1への10μF(マイクロファラッド)以上の大容量バイパスコンデンサである。抵抗R7は、演算増幅器128への蓄電器119の影響を除去し安定動作を保証するのが目的であり、抵抗値は使用する演算増幅器の性能に依存し、50〜100Ω程度の値を使用する場合もあれば不要な場合もある。
上記のような構成を有する第3実施形態の検電器によれば、第1実施形態や第2実施形態では不可能だった測定対象電圧の極性の判別をすることができるようになる。
また、内部接地電位GND2を固定電極113の電圧と同一電位となるように制御することで漏れ電流をゼロにすることができ、図7の実施例では有限だった誘導電荷が中和されるまでの時間、すなわち検出保持時間を理論上はほぼ無限大にすることができるようになる。
なお、整流回路129A,129BはRMS−DCコンバータ(RMS:二乗平均平方根)でもよいし、演算増幅器等で構成される上記のようなアナログ積分回路および整流回路129A,129Bを設けずに、後段の判定部130においてAD変換された時間領域離散値(時系列ディジタル値)を利用して積分値を得るようにしてもよい。そして、その場合の積分器はディジタル式となり、後段の判定部130における単一周波数離散フーリエ変換も含めソフトウェアで処理することができる。具体的には、離散フーリエ変換後に絶対値を計算(振幅抽出、実数)し、積分(あるいはPID処理)を行なえばよい。ただし、このようにソフトウェア処理で積分値を演算するようにした場合には、得られた値を最後に電圧に変換して出力するDA変換回路を設ける必要がある。
また、前記実施例は基本的な例を説明したものであって、前記フィードバック制御系の応答速度を改善したい場合はPID(Proportional Integral Derivative)調節器を用いると良い。RMS−DCコンバータを用いる際はサイン波発生器117の基本波のみに応答するように入力側に低域通過フィルタを用いるなどすると良い。単一周波数離散フーリエ変換手法を使用する場合は、単一周波数離散フーリエ変換そのものの特性が超狭帯域バンドパスフィルタあるいは品質係数Qの大きな共振回路として動作するので、そのような配慮は不要となる。ただしAD変換の際のエイリアス防止は別途配慮する必要がある。さらに、検出系回路の特性によっては116A系(主系)と116B系(副系)の出力の積分器への入力を入れ替える必要がある。
さらに、上記第3実施形態の回路(図8)から積分回路を除去し代わりに差動増幅器に置き換えた変形例も可能であり、その場合、単純な負帰還回路あるいは比例制御(PID調節器のP制御)が可能になる。具体的には、第3実施形態の検電器は超高入力抵抗の直流電圧計でもあるので、固定電極とGND1間に例えば100mVの直流電圧を加え、ソフトウェア処理の場合は、DA変換器から出力される電圧GND2として、例えば半分の50mVの電圧が出力されるようにソフトウェアを追加および調整すればよい。また、DA変換器へ書き込む値は離散フーリエ変換した値の絶対値に係数を乗ずるだけでよい。ここで、調整とは、DA変換器の出力が50mVとなるように、この係数を設定することである。
このような変形例では、検出素子(およびその付随あるいは系統回路、ノッチフィルタ115などのこと)からの漏れ電流をゼロにはできないが、1/2に削減することができる。帰還量は例に挙げた1/2に限定されず制御系の特性に合わせて発振しない範囲の最大値(安定領域の最大値)など任意にできる。帰還量を1/2より大きくする場合は帰還量そのものや帰還量を帰還率で除した値を測定値とするとよい。
なお、第2実施形態の回路(図4)に関しても同様な変形例が考えられる。具体的には、基準電位GND1を積分器から出力されるGND2に変更し、なおかつ、ソフトウェア処理する場合はDA変換器を追加するだけで実現できるが、極性判別ができないので、極性判別できないことに起因する不具合を認識して使用するか、あるいは不具合を防止する配慮が必要となる。不具合の例としては、固定電極が負極性に帯電する場合に正常動作するように負電圧を帰還するようにしておいたのに、実際は正極性に帯電した場合は帰還電圧がDA変換器の最大値(帰還電圧範囲の最大値)に振り切れてしまうことが想定される。ただし、振り切れたことを識別できれば、帰還電圧の極性を切り替えて正常動作に戻すことができる。上記対策が実施できれば第2実施形態でも極性判別が可能となる。
ところで、前述した漏れ電流が発生する主たる場所は検出素子(可変容量素子116A,116B)であるが、ノッチフィルタ115として2−T型ノッチフィルタを使用するものでは、本来の内部接地電位GND1に向かう経路のコンデンサや固定電極を支持するスタンドオフやコネクタ類も漏れ電流要因となるため、GND1でなく上記積分回路で生成される内部接地電位GND2に接続するのが良い。また、ノッチフィルタ115の入力側から蓄電器119Bまでの範囲の検出系回路をプリント基板上に形成する場合も、内部接地電位GND2が印加されるガードリング領域で上記検出系回路を囲んだり、べたの接地電位層を設けた構成とすることで、高入力抵抗の演算増幅回路でよく用いられるガードリング効果を持たせるようにしても良い。
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態においては、停電/活線判定部130にAD変換回路を設けてディジタル処理で停電/活線の判定を行うようにしているが、電界検出部110の構成の仕方によってはアナログ信号のまま停電/活線の判定を行うことも可能である。
また、前記実施形態の検電器では、可変容量手段を構成する電極または可変容量素子に接続されたアンプから、電極の帯電状態に応じた大きさの振幅を有する交流信号を出力させるように構成したが、例えば、電界検出部の固定電極の帯電状態に応じた電圧を生成する手段(容量素子)と、電圧で発振周波数を制御するVCOのような可変周波数発振手段を用いて、電界検出部で検出した電界強度に応じて周波数が変化する交流信号を出力させるように検電器を構成することも可能である。
100 検電器
110 電界検出部
111 回転遮蔽板(可変容量手段)
113 固定電極
116A,116B 可変容量素子(可変容量手段)
120 ろ波部
128 積分回路を構成する演算増幅器
130 停電/活線判定部
132 離散フーリエ変換部(周波数抽出手段)
140 出力部
150 電源部

Claims (8)

  1. 直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する検電器であって、
    前記充電部の正極性直流電圧の電界により静電誘導される負の電荷が帯電する検出用電極および該検出用電極に接続された可変容量手段と、該可変容量手段の容量値が変化されることで前記検出用電極の帯電状態に応じて振幅が変化した交流信号を出力する機能を備える検出部と、
    前記交流信号の振幅の大きさに基づいて前記充電部が充電状態であるか否かを判別する判定部と、
    を備えたことを特徴とする非接触型検電器。
  2. 前記判定部は、前記検出部から出力される前記交流信号の変動成分のうち所定の周波数の信号成分を抽出する周波数抽出手段を有し、該周波数抽出手段により抽出された周波数の信号成分の大きさに基づいて前記充電部が充電状態であるか否かを判別する機能を備えたことを特徴とする請求項1に記載の非接触型検電器。
  3. 前記可変容量手段は、前記検出用電極と対向するように設けられた遮蔽板と、該遮蔽板を回転させる駆動手段とを備え、前記検出用電極と前記遮蔽板の対向面積が変化することで容量値が変化するように構成され、
    所定の周波数は、前記遮蔽板の単位時間当たりの回転数の整数倍に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の非接触型検電器。
  4. 前記可変容量手段は、前記検出用電極に直流結合および交流結合で接続された一対の可変容量素子と、正弦波を発生する正弦波発生手段とを備え、前記一対の可変容量素子の制御端子に正弦波がそれぞれ入力されることで容量値が変化するように構成され、
    前記検出部の出力側あるいは前記判定部の入力側に、
    前記一対の可変容量素子の各充電電圧がコンデンサによる交流結合にて入力端子にそれぞれ入力された差動増幅回路を備えていることを特徴とする請求項2に記載の非接触型検電器。
  5. 前記一対の可変容量素子の充電電圧を積分回路と、
    前記積分回路の出力電圧が前記一対の可変容量素子および前記正弦波発生手段に基準電位として印加されるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の非接触型検電器。
  6. 前記直流電圧は交流電圧から変換された電圧であり、
    前記検出部は、前記交流電圧の基本波および高調波周波数成分を除去もしくは減衰する受動狭帯域フィルタを備え、
    前記所定の周波数は、前記交流電圧の基本波および高調波周波数による影響を受けにくい周波数に設定されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の非接触型検電器。
  7. 前記判定部は、前記検出部から出力される信号をディジタル信号に変換するアナログ−ディジタル変換手段と、
    前記アナログ−ディジタル変換手段により変換された信号から前記所定の周波数に相当する成分を抽出する離散フーリエ変換手段と、を備えることを特徴とする請求項6に記載の非接触型検電器。
  8. 直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する検電方法であって、
    前記充電部の正極性直流電圧の電界により静電誘導される負の電荷が帯電する検出用電極の帯電状態に応じて所定の属性が変化した交流信号を生成する検出過程と、
    前記検出過程により生成される前記交流信号の前記所定の属性に基づいて前記充電部が充電状態であるか否かを判別する判定過程と、
    を含むことを特徴とする検電方法。
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