JP2016024174A - 物質の熱拡散率測定方法およびその方法を使った物質の熱電特性評価装置 - Google Patents

物質の熱拡散率測定方法およびその方法を使った物質の熱電特性評価装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱拡散率αについての正確かつ迅速な測定が被測定物の形状に制約を受けることなく行える物質の熱拡散率測定方法および熱電特性評価装置を提供する。【解決手段】 熱電変換素子1の距離Lにおける一端部に角周波数ωで振動する温度振動21を与え、一端部に与えるこの温度振動21に起因するゼーベック効果によって一端部に生じる熱起電力Vα(L)の第1電気信号の位相をロックインアンプ11で、熱電変換素子1の他端部から距離x離れた第1測定箇所に生じる熱起電力Vα(x)の第2電気信号の位相をロックインアンプ12で計測する。一端部から第1測定箇所に伝わる温度振動21の位相遅れθを各電気信号の位相差θとして求める。長さL,角周波数ω,距離xおよび位相差θと被測定物の熱拡散率αとの間の(15)式の相関関係に基づいて、同じ熱電変換素子1を使ってゼーベック係数Sと電気抵抗率ρに加えて、熱拡散率αを算出する。【選択図】 図2

Description

本発明は、物質の熱拡散率測定方法、およびその方法を使って物質の熱拡散率を算出する熱電特性評価装置に関するものである。
従来、この種の熱電特性評価装置としては、例えば、測定部分が図1に示す概略構成をした熱電変換素子の熱電特性を評価するものが知られている。
熱電変換素子は、その素子が有する熱電変換能によって熱エネルギーから直接電気エネルギーを生み出すもので、温度差から電力を直接取り出すことができる有望な素子である。現在、種々の材質をした熱電変換素子の研究開発が精力的に行われており、熱電変換素子の熱電変換能の性能評価は極めて重要になっている。この性能評価は、一般的に、ゼーベック係数S,電気抵抗率ρおよび熱伝導率κを用いて表される性能指数Z=S/ρκを計算し、熱電変換素子が使用される領域の温度Tをこの性能指数Zに乗算して得られる無次元指数ZTを使って行われる。熱電変換素子のエネルギー変換効率はこの無次元指数ZTによって決められる。
ゼーベック係数Sは、図1において、長さLの熱電変換素子1の両端部に設けられた一対の金属電極2a,2bの一方の金属電極2aをヒータ3によって加熱することで、測定される。ヒータ3は電流源5から通電されることで加熱され、熱電変換素子1の置かれた周囲の温度は、下方の金属電極2bに取り付けられた温度制御器4によって制御される。金属電極2aを加熱すると熱電変換素子1の両端に温度差が生じ、ゼーベック効果によって熱起電力が生じる。ゼーベック係数Sは、熱電変換素子1の距離a離れた2箇所間に生じる温度差ΔT、およびこの温度差ΔTにより生じる熱起電力Vを計測して、演算式S=V/ΔTから求められる。温度差ΔTは、距離a離れた各箇所の温度を熱電対6,7および温度測定器8,9で計測することで、求められる。熱起電力Vは、各熱電対6,7の片側の線間電圧を電圧計10で計測し、距離a離れた2箇所間の電圧を測定することで、求められる。
また、電気抵抗率ρは、一対の金属電極2a,2b間に電流源5によって電流Iを通電したときに、距離a離れた2箇所間に生じる電圧Vを電圧計10で計測することで、測定される。この際、熱電変換素子1の断面積Aを予め測っておくことで、電気抵抗率ρは演算式ρ=(A/a)・(V/I)から求められる。
熱電変換素子1の性能評価をするための性能指数Z=S/ρκのうち、ゼーベック係数Sおよび電気抵抗率ρのパラメータについては、測定法がほぼ確立している。このため、1つの熱電変換素子について、ゼーベック係数Sおよび電気抵抗率ρのそれぞれの測定が可能な熱電特性評価装置が、例えば、アルバック理工株式会社などから市販されている。
また、性能指数Z=S/ρκを表すパラメータの1つである熱伝導率κについては、レーザーフラッシュ法によって物質の熱拡散率αを測定し、測定した熱拡散率αに物質の密度ρと比熱Cpを乗算することで(κ=ρ×Cp×α)、求めることができる。レーザーフラッシュ法では、平板状をした被測定試料の一方の表面に設けた光吸収膜にレーザー光を照射して、被測定試料の一方の表面を瞬間的に加熱する。熱拡散率αは、このときに被測定試料の他方の表面に起こる温度変化を測定することで、求められる。
また、特許文献1〜3に開示されるような物質の熱拡散率測定方法を用いて熱拡散率αを測定することによっても、測定した熱拡散率αから同様にして熱伝導率κを求めることができる。これら文献に開示される熱拡散率測定方法は、acカロリーメータ法や交流法などと称される温度波熱分析法を用いた手法であり、薄板状の被測定試料の一方の表面に交流ヒータを配置し、他方の表面に温度測定用センサとして薄膜を形成して行われる。この測定方法では、交流ヒータで発生する交流発熱の温度波形と、温度測定用センサにより測定される温度波形との位相差を求め、この位相差と交流ヒータへ通電する交流電流の周波数との関係式から、被測定試料の厚さ方向の熱拡散率αを求める。
特開平6−130012号公報 特開平6−273361号公報 特開2006−214921号公報
熱電変換素子の性能指数Z=S/ρκを表すパラメータの1つである熱伝導率κについては、被測定試料に流入する熱量Qと、試料の長さLおよび温度差ΔTを用いて、一次元定常状態から求めることが可能であるが、熱量Qについては熱流出などの関係から正確に測定することが難しい。また、温度差ΔTを熱電対を使って定常状態で測定すると、熱電対の熱容量の関係から時間がかかってしまう。このため、従来、熱伝導率κについての正確かつ迅速な測定は困難であることが知られている。したがって、熱伝導率κは、現状のところ、上記のレーザーフラッシュ法や温度波熱分析法などにより、測定されている。しかしながら、上記従来のレーザーフラッシュ法や温度波熱分析法などの方法では、被測定物をその方法で決められた形状にして特別の測定を行う必要があり、被測定物の形状に制約があった。このため、図1に測定部が示される従来の熱電特性評価装置によっては、1つの被測定物について、ゼーベック係数Sと電気抵抗率ρと併せて熱伝導率κを評価することはできない。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
長さLをした被測定物の一端部に角周波数ωで振動する温度振動を与え、一端部に与える温度振動に起因するゼーベック効果によって一端部に生じる熱起電力の第1電気信号の位相を計測すると共に、一端部に与える温度振動に起因するゼーベック効果によって被測定物の他端部から距離x離れた第1測定箇所に生じる熱起電力の第2電気信号の位相を計測することで、一端部から第1測定箇所に伝わる温度振動の位相遅れを各電気信号の位相差θとして求め、長さL,角周波数ω,距離xおよび位相差θと被測定物の熱拡散率αとの間の相関関係に基づいて熱拡散率αを算出する、物質の熱拡散率測定方法を構成した。
本構成によれば、ゼーベック効果によって一端部および第1測定箇所にそれぞれ生じる熱起電力を電気信号のまま捉え、捉えたこれら各電気信号の位相を計測して位相差θを求めることで、長さL,角周波数ω,距離xおよび位相差θと被測定物の熱拡散率αとの間の相関関係に基づいて、被測定物の熱拡散率αを算出することができる。このため、被測定物に熱量Qを流入させ、被測定物の長さLおよび温度差ΔTを用いて定常状態から熱拡散率αを求めることで、求める熱拡散率αが不正確になる問題は生じず、正確に被測定物の熱拡散率αを求めることできる。また、熱起電力を温度に変換することなく、電気信号のまま捉えて位相差θを求めるので、温度測定のための熱電対の熱容量により温度が定常状態になるのを待つことなく、迅速に熱拡散率αを求めることできる。この結果、求めた熱拡散率αに被測定物の密度ρと比熱Cpを乗算することで、熱伝導率κについての正確かつ迅速な測定が行えることになる。さらに、被測定物の形状は、従来のレーザーフラッシュ法や温度波熱分析法などのように制約を受けることがない。このため、1つの被測定物について、ゼーベック係数Sと電気抵抗率ρと併せて熱伝導率κを評価することが可能になる。
また、本発明は、各電気信号が、被測定物である熱電変換素子が呈するゼーベック効果によって生じることを特徴とする。
本構成によれば、第1電気信号および第2電気信号は被測定物である熱電変換素子が呈するゼーベック効果によって生じるので、被測定物を所望の熱電変換素子にすることで、所望する熱電変換素子の熱拡散率αを求めることできる。
また、本発明は、各電気信号が、一端部から第1電気信号を取り出す第1配線および第1測定箇所から第2電気信号を取り出す第2配線がそれぞれ呈するゼーベック効果によって生じることを特徴とする。
本構成によれば、第1電気信号および第2電気信号は第1配線および第2配線がそれぞれ呈するゼーベック効果によって生じるので、被測定物のゼーベック係数が小さくて被測定物自体に生じる熱起電力を測定することが困難な被測定物についても、その熱拡散率αを求めることできる。
また、本発明は、
被測定物を収容する炉と、被測定物の両端部に設けられた一対の電極と、一方の電極に接触する被測定物の一端部に熱を与えるヒータと、一対の電極間に電流を通電する電流源と、炉内の温度を制御する温度制御器と、ヒータへの通電によって被測定物の第1測定箇所と第2測定箇所との間に生じる温度差を計測する温度差計測手段と、第1測定箇所と第2測定箇所との間に生じる電圧を計測する電圧計測手段と、温度差計測手段によって計測される温度差および電圧計測手段によって計測される温度差に起因する熱起電力から被測定物のゼーベック係数を算出するゼーベック係数算出手段と、電流源によって一対の電極間に電流を通電することで第1測定箇所と第2測定箇所との間に生じて電圧計測手段によって計測される電圧,第1測定箇所と第2測定箇所との間の距離,および被測定物の断面積から被測定物の電気抵抗率を算出する抵抗率算出手段とを備えて構成される物質の熱電特性評価装置において、
ヒータへ交流電流を通電することで被測定物の一端部に温度振動を与える温度振動印加手段と、
一端部に与える温度振動に起因するゼーベック効果によって一端部に生じる熱起電力の第1電気信号と、一端部に与える温度振動に起因するゼーベック効果によって第1測定箇所に生じる熱起電力の第2電気信号とから、一端部から第1測定箇所に伝わる温度振動の位相遅れを各電気信号の位相差θとして算出する位相差算出手段と、
長さL,角周波数ω,距離xおよび位相差算出手段によって算出される位相差θと被測定物の熱拡散率αとの間の相関関係に基づいて、上記のいずれかの物質の熱拡散率測定方法を使って熱拡散率αを算出する熱拡散率算出手段と
を備えることを特徴とする。
本構成によれば、ゼーベック係数Sおよび電気抵抗率ρを測定するための被測定物について、その一端部に温度振動印加手段によって温度振動を与え、この温度振動に起因するゼーベック効果によって一端部および第1測定箇所にそれぞれ生じる熱起電力の各電気信号の位相差を位相差算出手段によって算出することで、被測定物の熱拡散率αを求めることができる。したがって、ゼーベック係数Sおよび電気抵抗率ρを測定するための被測定物を使って、熱拡散率αひいては熱伝導率κも求めることができる。このため、被測定物の熱電性能指数を知るための全てのパラメータを1つの被測定物を使って容易かつ正確に求めることができる極めて利便性の高い熱電特性評価装置を提供することが可能になる。
本発明によれば、熱拡散率αについての正確かつ迅速な測定が被測定物の形状に制約を受けることなく行える物質の熱拡散率測定方法を提供することができると共に、ゼーベック係数Sと電気抵抗率ρの評価と併せて熱伝導率κの評価も容易かつ正確に行える極めて利便性の高い熱電特性評価装置を提供することができる。
従来の熱電特性評価装置における測定部分の概略構成を示す図である。 本発明の一実施の形態による熱電特性評価装置における測定部分の概略構成を示す図である。 一実施の形態による熱電特性評価装置における測定部分の、熱拡散率測定時の外観斜視図である。 一実施の形態による熱電特性評価装置において、被測定物の一端部に温度振動を与えたときに被測定物の第1測定箇所にその温度振動が伝わる様子を概念的に表すグラフである。 一実施の形態による熱電特性評価装置における測定系全体の概略構成を示す図である。 (a)は、一実施の形態による熱電特性評価装置において、被測定物の一端部および第1測定箇所間に生じる熱起電力の位相差の周波数変化を示すグラフ、(b)は、(a)に示す位相差の測定結果を用いて算出された熱拡散率の周波数変化を示すグラフである。
次に、本発明による物質の熱拡散率測定方法およびその方法を使った物質の熱電特性評価装置を、熱電変換素子の熱電特性測定に適用した一実施の形態について、説明する。
図2は、この一実施の形態による熱電特性評価装置における熱電特性測定部分の概略構成を示す図である。なお、図2において図1と同一または相当する部分には同一符号を付して説明する。
熱電変換素子1は、熱電特性測定の被測定物であり、本実施の形態では、横断面が3mm×3mmの正方形で、長さL=5mmの直方体形状したBi−Te材料からなる。熱電変換素子1の両端部には、銅板からなる一対の金属電極2a,2bが銀ペーストで接合されており、熱電変換素子1は金属電極2a,2bを使って上下方向が固定されている。上方の一方の金属電極2aの内部または外部にはヒータ3が設けられる。本実施の形態では、後述する図3に示すように、金属電極2aの上面外部に接触してヒータ3が設けられている。また、下方の他方の金属電極2bに接触して温度制御電極4が温度制御器として設けられている。
温度制御電極4は、熱電変換素子1の置かれる周囲の温度を計測する温度センサであり、温度制御電極4によって計測される温度に応じて、熱電変換素子1が収容される図示しない炉内の温度が制御される。両端部に一対の金属電極2a,2bが設けられた熱電変換素子1は、その全体の絶対温度T[K]が炉内の温度Tに制御される。また、ヒータ3には電流源5が接続されており、ヒータ3は電流源5から通電されることで、通電電流に応じて加熱される。ヒータ3が加熱されると、熱電変換素子1の金属電極2aに接触する一端部に熱が与えられ、炉内の温度Tに制御される熱電変換素子1は、その両端部間に温度勾配が持たされる。
熱電変換素子1の両端部間に温度勾配が持たされることで、熱電変換素子1は、下方の金属電極2bに接触する他端部から距離x離れた第1測定箇所と、この第1測定箇所から距離aだけ下方に離れた第2測定箇所との間に、温度差ΔTが生じる。第1測定箇所の温度Thは、熱電対6によって拾われて温度測定器8で計測される。また、第2測定箇所の温度Tcは、熱電対7によって拾われて温度測定器9で計測される。熱電対6,7および温度測定器8,9は、ヒータ3への通電によって熱電変換素子1の第1測定箇所と第2測定箇所との間に生じる温度差ΔTを計測する温度差計測手段を構成する。本実施の形態による熱電特性評価装置で用いている熱電対6,7は、市販されている熱電特性評価装置で採用されているものと同じ直径が100μm程度の線材で構成されるため、10分以上経過して熱的に安定した安定状態になってから、温度差ΔTは計測される。
また、熱電変換素子1の第1測定箇所と第2測定箇所との間には、上記の温度差ΔTに起因するゼーベック効果によって熱起電力Vが発生する。熱起電力Vは、各熱電対6,7の片側の線材を電極として利用し、10分以上経過して熱的に安定した安定状態になってから、これら線材間の電圧を電圧計10で計測することで、求められる。電圧計10は、第1測定箇所と第2測定箇所との間に生じる電圧を計測する電圧計測手段を構成する。
熱電変換素子1の熱電性能を性能評価をするための性能指数Z=S/ρκのうち、ゼーベック係数S[V/K]は、計測した第1測定箇所の温度Th、第2測定箇所の温度Tc、および熱起電力Vから、次の(1)式によって求められる。
Figure 2016024174
(1)式の演算はコンピュータによって行われる。コンピュータは、温度差計測手段によって計測される温度差ΔTおよび電圧計測手段によって計測される温度差ΔTに起因する熱起電力Vから、熱電変換素子1のゼーベック係数Sを算出するゼーベック係数算出手段を構成する。
電流源5は熱電変換素子1の両端部の金属電極2a,2bにも接続されており、熱電変換素子1の両端部間には電流源5によって電流Iが通電される。電流Iが通電されると、距離a離れた第1測定箇所と第2測定箇所との間には電圧Vが生じる。この電圧Vは電圧計10で計測される。熱電変換素子1の熱電性能を性能評価をするための性能指数Z=S/ρκのうち、電気抵抗率ρ[Ωm]は、熱電変換素子1の長さLとその断面積Aを予め計測しておき、計測したこれら各値と測定した電圧Vとから、次の(2)式によって求められる。
Figure 2016024174
(2)式の演算もコンピュータによって行われる。コンピュータは、電流源5によって一対の金属電極2a,2b間に電流Iを通電することで、第1測定箇所および第2測定箇所間に生じて電圧計測手段によって計測される電圧Vと、第1測定箇所および第2測定箇所間の距離aと、熱電変換素子1の断面積Aとから、熱電変換素子1の電気抵抗率ρを算出する抵抗率算出手段を構成する。
図3は、本実施の形態による熱電特性評価装置における熱電特性測定部分の、熱拡散率測定時の外観斜視図である。なお、図3において図2と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
熱電変換素子1を性能評価をするための性能指数Z=S/ρκのうち、熱伝導率κ[W/mK]は、熱電変換素子1の熱拡散率α[m/s]を次のようにして測定し、前述のように、測定した熱拡散率αに熱電変換素子1の密度ρ[kg/m]と比熱Cp[J/kgK]を乗算することで(κ=ρ×Cp×α)、求めることができる。
図示するように、温度制御電極4は下方の金属電極2b上に設けられており、金属電極2bはアルミナ基板13上に設けられている。また、アルミナ基板13上には、ロックインアンプ11,12に対応して2対の銅電極14a,14bおよび15a,15bが設けられている。
第1測定線16aおよび第1リード線17aはハンダ18によって銅電極14aおよび上方の金属電極2aに接続されており、熱拡散率測定時にロックインアンプ11の+側端子は、第1測定線16aおよび第1リード線17aを介して金属電極2aに接続される。また、第1測定線16bおよび第1リード線17bはハンダ18によって銅電極14bおよび下方の金属電極2bに接続されており、熱拡散率測定時にロックインアンプ11の−側端子は、第1測定線16bおよび第1リード線17bを介して金属電極2bに接続される。
また、第2測定線19aはハンダ18によって、第2リード線20aはハンダ18と電気伝導性接着剤23によって銅電極15aおよび熱電変換素子1の第1測定箇所に接続されており、熱拡散率測定時にロックインアンプ12の+側端子は、第2測定線19aおよび第2リード線20aを介して熱電変換素子1の第1測定箇所に接続される。また、第2測定線19bおよび第2リード線20bはハンダ18によって銅電極15bおよび下方の金属電極2bに接続されており、熱拡散率測定時にロックインアンプ12の−側端子は、第2測定線19bおよび第2リード線20bを介して金属電極2bに接続される。ここで、第1リード線17a,17bおよび第2リード線20a,20bは、本実施の形態では直径φが25μmの銅線によって構成されている。
熱拡散率測定時には、この状態で、ヒータ3に電流源5から角周波数Ωの交流電流が通電され、上方の金属電極2aに接触する熱電変換素子1の一端部に温度振動が与えられる。この温度振動は、ヒータ3に通電される交流電流の角周波数Ωの2倍高調波の角周波数ω(=2Ω)で振動する。電流源5およびヒータ3は、ヒータ3へ交流電流を通電することで熱電変換素子1の一端部に温度振動を与える温度振動印加手段を構成する。
図4は、この温度振動印加手段により、熱電変換素子1の上方の金属電極2aに接触する一端部に温度振動21を与えたときに、その温度振動21が第1測定箇所に温度振動22として伝わる様子を概念的に表すグラフである。
同グラフのX軸は、熱電変換素子1の他端部からの距離を表し、熱電変換素子1の下方の金属電極2bに接触する他端部をx=0の基準位置としている。温度振動22が伝わる第1測定箇所は他端部から距離xにあり、温度振動21が与えられる熱電変換素子1の一端部は距離Lにある。また、同グラフのt軸は、熱電変換素子1の一端部に温度振動21を与えてからの経過時間を表し、温度振動21を与え始める時間をt=0の基準時間としている。また、同グラフのT(x,t)軸は、任意の距離xでの時間tにおける温度を表す。温度振動21は温度Tを中心にTの振幅で振幅する。距離Lにおける熱電変換素子1の一端部での温度T(L,t)は、次の(3)式に表される。
Figure 2016024174
この温度T(L,t)は、ロックインアンプ11に第1電気信号として捉えられる。第1電気信号は、熱電変換素子1の一端部に与える温度振動21に起因して、熱電変換素子1の一端部および他端部間にゼーベック効果によって生じる熱起電力Vα(L,t)である。この熱起電力Vα(L,t)は、熱電変換素子1の一端部および他端部間の温度差に単純にゼーベック係数Sを乗じることで求められ、次の(4)式に表される。
Figure 2016024174
また、距離xにおける第1測定箇所での温度振動22の温度T(x,t)は、ロックインアンプ12に第2電気信号として捉えられる。第2電気信号は、熱電変換素子1の一端部に与える温度振動21に起因するゼーベック効果によって熱電変換素子1の第1測定箇所に生じる熱起電力Vα(x,t)である。この熱起電力Vα(x,t)は、次の(5)式に表される一次元熱伝導方程式を解くことによって、理論的に求めることができる。
Figure 2016024174
温度振動21は熱拡散率αを持った熱電変換素子1の中を流れるため、上記の一次元熱伝導方程式の解法には、次の(6)式に表される境界条件を用いることができる。
Figure 2016024174
上記の境界条件を用いて、(5)式に表される一次元熱伝導方程式を解くと、第1測定箇所での温度T(x,t)は次の(7)式に表される。
Figure 2016024174
ここで、変数A,Bはそれぞれ次の(8)式および(9)式に表され、変数λ,β,τ,およびmは、それぞれ次の(10)式に表される。
Figure 2016024174
また、第1測定箇所での熱起電力Vα(x,t)は次の(11)式に表される。
Figure 2016024174
熱電変換素子1の距離x=Lにおける一端部に与えられる温度振動21は、熱電変換素子1の熱抵抗により図4に示すようにその振幅が減少すると共に位相がθ遅れて、距離xにおける第1測定箇所に温度振動22として、伝わる。このため、第1測定箇所での熱起電力Vα(x,t)は、熱電変換素子1の一端部での熱起電力Vα(L,t)よりも位相差θだけ遅れることになる。ここで、熱起電力Vα(x,t)の実効値Vα,eff(x)は、次の(12)式として表される。
Figure 2016024174
上記の(12)式におけるXα(α,ω,L,x)およびYα(α,ω,L,x)は、それぞれα,ω,L,xを変数とする関数であり、それぞれ次の(13)式および(14)式に表される。
Figure 2016024174
したがって、位相差θは次の(15)式に表される。
Figure 2016024174
上記の(15)式におけるω(=2Ω)は、ヒータ3へ通電される交流電流の角周波数Ωが予め決められているため、Lは熱電変換素子1の長さ、xは第1測定箇所が予め決められているため、位相差θを測定することで、(15)式における未知数は熱拡散率αだけとなる。このため、位相差θを測定することで、(15)式から熱拡散率αを求めることができる。位相差θは、ロックインアンプ11で測定される第1電気信号の位相と、ロックインアンプ12で測定される第2電気信号の位相との差から、測定することができる。この位相差θの測定の際、各ロックインアンプ11,12には図2に点線で示す同期信号が電流源5から与えられ、電流源5からヒータ3へ通電される交流電流に同期した信号が検出されて、第1電気信号および第2電気信号は測定される。また、上記の各式に表される演算はコンピュータによって行うことができる。
ロックインアンプ11,12およびコンピュータは、熱電変換素子1の一端部に生じる熱起電力Vα,eff(L)の第1電気信号と第1測定箇所に生じる熱起電力Vα,eff(x)の第2電気信号とから、熱電変換素子1の一端部から第1測定箇所に伝わる温度振動の位相遅れθを各電気信号の位相差θとして算出する位相差算出手段を構成する。また、コンピュータは、長さL,角周波数ω,距離xおよび位相差算出手段によって算出される位相差θと、熱電変換素子1の熱拡散率αとの間の(15)式に表される相関関係に基づいて、熱拡散率αを算出する熱拡散率算出手段を構成する。
図5は、本実施の形態による熱電特性評価装置における測定系全体の概略構成を示す図である。なお、図5において図2と同一または相当する部分には同一符号を付して説明する。
上記の各式に表される演算を行うコンピュータは、本実施の形態では制御用PC(パーソナルコンピュータ)31である。この制御用PC31は、各測定器とGPIB通信を行い、各測定器の接続をスイッチング機器32によって制御すると共に、各測定器で測定された結果を各測定器から受信する。また、ロータリーポンプ33は、熱電変換素子1を収容する炉内の空気を排気して炉内を真空にし、炉内を熱が伝搬しないようにする。冷凍機34は、ヒータ3による熱電変換素子1の加熱具合を温度調節器4で測定される温度によって把握し、その加熱具合との兼ね合いを見ながら炉内を冷却して、炉内を目標温度Tに維持する。
制御用PC31は、ゼーベック係数Sの測定時には、スイッチング機器32を制御して電流源5をヒータ3に接続する。そして、電流源5からヒータ3に通電し、熱電変換素子1に前述した温度勾配を持たせる。また、電圧計10を各熱電対6,7の一方の線材に接続して、第1測定箇所および第2測定箇所間の電圧測定を可能にさせる。また、電気抵抗率ρの測定時には、スイッチング機器32を制御して電流源5の接続をヒータ3から各金属電極2a,2bに切り替える。そして、金属電極2a,2b間に電流源5によって電流Iを通電する。また、熱拡散率αの測定時には、スイッチング機器32を制御して、ロックインアンプ11および12の各+側端子をそれぞれ金属電極2aおよび熱電対6の一方の線材に接続する。また、ロックインアンプ11および12の各−側端子をそれぞれ金属電極2bに接続する。この接続切り替えにより、熱電変換素子1の一端部の熱起電力Vα,eff(L)および第1測定箇所における熱起電力Vα,eff(x)の測定が可能になる。
図6は、本実施の形態の熱電特性評価装置によって、長さL=5mmの熱電変換素子1について熱拡散率αを測定した結果を示すグラフである。この際、第1測定箇所はx=3.5mmの位置に配置し、炉内温度Tは300Kに設定した。
同図(a)に示すグラフは、電流源5からヒータ3へ通電する交流電流の周波数fを変化させたときにおける、各熱起電力Vα,eff(L),Vα,eff(x)間の位相差θの変化を示している。同グラフの横軸は周波数f(=ω/2π)[Hz]を表し、縦軸は位相差θ[deg]を表す。横軸の周波数fは対数で目盛られている。位相差θの測定結果は各プロットP1で示されており、各プロットP1を結ぶと位相差θの周波数変化を表す特性線41が得られる。この特性線41に示されるように、ヒータ3へ通電する交流電流の周波数fが0.01〜6[Hz]の範囲で変化すると、各熱起電力Vα,eff(L),Vα,eff(x)間の位相差θは−360[deg]まで遅れる。つまり、図4に示す距離x=Lの温度振動印加箇所における温度振動21と、距離xの第1測定箇所における温度振動22との位相差θは、周波数fが0.01[Hz]から6[Hz]まで変化すると、温度振動21の1周期分遅れる。
熱電変換素子1は一般的に熱伝導率κが小さく、また、熱拡散率αも10−6〜10−4[m/s]と他の金属に比較して小さい。このため、熱拡散率αを測定することができる現実的な周波数fは1[Hz]程度である。この1[Hz]は、デジタル式のロックインアンプ11,12で現実に測定できる信号周波数の値である。
同図(b)に示すグラフは、同図(a)に示す位相差θの測定結果を用いて算出された熱拡散率αの周波数変化を示すグラフである。同グラフの横軸は電流源5からヒータ3へ通電する交流電流の周波数f[Hz]を表し、縦軸は熱電変換素子1の熱拡散率α[10−6/s]を表す。熱拡散率αの算出は測定した位相差θを上述した(15)式に代入して行われ、その算出結果は各プロットP1に対応して各プロットP2に示される。この算出結果、熱拡散率αの平均値は実線の直線42で示す1.06×10−6/sの値になり、Bi−Teについての熱拡散率αの文献値とほぼ一致した。同グラフにおいて二点鎖線で示す範囲は熱拡散率αの上記平均値の±10%の範囲で、各プロットP2はこの範囲内に収まっている。したがって、算出される熱拡散率αに周波数の依存性はほとんど無いことが理解される。
このように本実施の形態の熱拡散率測定方法では、上記のように、熱電変換素子1の距離Lにおける一端部に角周波数ωで振動する温度振動21を与え、一端部に与えるこの温度振動21に起因するゼーベック効果によって一端部に生じる熱起電力Vα,eff(L)の第1電気信号の位相を、ロックインアンプ11で計測する。これと共に、一端部に与える温度振動21に起因するゼーベック効果によって熱電変換素子1の他端部から距離x離れた第1測定箇所に生じる熱起電力Vα,eff(x)の第2電気信号の位相を、ロックインアンプ12で計測する。これらの計測により、一端部から第1測定箇所に伝わる温度振動21の位相遅れθを各電気信号の位相差θとして求める。そして、長さL,角周波数ω,距離xおよび位相差θと、熱電変換素子1の熱拡散率αとの間の(15)式に表される相関関係に基づいて、熱拡散率αを算出する。
このような本実施の形態の熱拡散率測定方法によれば、ゼーベック効果によって熱電変換素子1の一端部および第1測定箇所にそれぞれ生じる熱起電力Vα,eff(L),Vα,eff(x)を電気信号のまま捉え、捉えたこれら各電気信号の位相を計測することで、熱電変換素子1の熱拡散率αを算出することができる。このため、被測定物に熱量Qを流入させ、被測定物の長さLおよび温度差ΔTを用いて定常状態から熱拡散率αを求めることで、求める熱拡散率αが不正確になる従来の問題は生じず、正確に熱電変換素子1の熱拡散率αを求めることできる。
また、熱電変換素子1の一端部に与える温度振動21に起因するゼーベック効果によって生じる熱起電力Vα(L),Vα(x)は、熱電変換素子1の一端部および第1測定箇所の各温度を熱電対を使って測定し、測定した各箇所の温度信号から求めることも可能であるが、熱電対を使用するとその熱容量により熱的に安定するまで時間がかかる。しかし、本実施の形態の熱拡散率測定方法によれば、熱電対の温度が定常状態になるのを待って、熱起電力Vα(L),Vα(x)を温度信号に変換することなく、電気信号のまま直接捉えて、迅速に熱拡散率αを求めることできる。
この結果、求めた熱拡散率αに、公知のアルキメデス法で測定される熱電変換素子1の密度ρと、公知の落下法で測定される熱電変換素子1の比熱Cpとを乗算することで、熱電変換素子1を性能評価をするための性能指数Z=S/ρκのうちの熱伝導率κについて、正確かつ迅速に測定することができる。さらに、本実施の形態の熱拡散率測定方法では、被測定物である熱電変換素子1の形状は、従来のレーザーフラッシュ法や温度波熱分析法などのように制約を受けることがない。このため、1つの熱電変換素子1について、ゼーベック係数Sと電気抵抗率ρと併せて熱伝導率κを評価することが可能になる。また、従来のレーザーフラッシュ法のように、レーザ光を用いる光学系を組み上げることで測定系が煩雑になることなく、熱拡散率αを測定することができる。
また、本実施の形態の熱拡散率測定方法では、熱起電力Vα(L)の第1電気信号および熱起電力Vα(x)の第2電気信号は、被測定物である熱電変換素子1が呈するゼーベック効果によって生じるので、被測定物を所望の材質の熱電変換素子1にすることで、所望する材質の熱電変換素子1の熱拡散率αを求めることできる。
また、本実施の形態の熱電特性評価装置によれば、ゼーベック係数Sおよび電気抵抗率ρを測定するための熱電変換素子1について、上記のように、その一端部に温度振動印加手段によって温度振動21を与え、この温度振動21に起因するゼーベック効果によって一端部および第1測定箇所にそれぞれ生じる熱起電力Vα,eff(L),Vα,eff(x)の各電気信号の位相差θを位相差算出手段によって算出し、上記の熱拡散率測定方法を使うことで、熱電変換素子1の熱拡散率αを求めることができる。したがって、ゼーベック係数Sおよび電気抵抗率ρを測定するための熱電変換素子1を使って、熱拡散率αひいては熱伝導率κも求めることができる。このため、熱電変換素子1の性能指数Zを知るための全てのパラメータS,ρおよびκを1つの熱電変換素子1を使って容易かつ正確に求めることができる極めて利便性の高い熱電特性評価装置を提供することが可能になる。
なお、上記の実施の形態では、熱起電力Vα,eff(L),Vα,eff(x)をロックインアンプ11,12で測定した場合について説明したが、アナログ/デジタル(A/D)変換器を介して熱起電力Vα(L),Vα(x)を制御用PC31に入力し、制御用PC31で熱起電力Vα(L),Vα(x)の各位相を測定することも可能である。
また、上記の実施の形態では、2台のロックインアンプ11,12を使って熱起電力Vα,eff(L),Vα,eff(x)を測定した場合について説明したが、1台のロックインアンプ11を使って測定箇所をスイッチング機器32によって時分割で切り替えることによっても、熱起電力Vα,eff(L),Vα,eff(x)を測定することが可能である。
また、上記の実施の形態では、ゼーベック係数Sおよび電気抵抗率ρの測定・演算を制御用PC31を使って行った場合について説明したが、ゼーベック係数Sおよび電気抵抗率ρの測定・演算については、市販されている熱電特性評価装置を使って行うことも可能である。この場合には、市販されている熱電特性評価装置に加えて、ロックインアンプ11,12および制御用PC13を用意し、制御用PC13に制御プログラムを組み込むことで、ゼーベック係数Sと電気抵抗率ρに加えて熱拡散率αの測定も同時に行える熱電特性評価装置を簡単かつ安価に構成することができる。
上記の実施の形態では、被測定物を熱電変換素子とした場合について、説明した。しかし、被測定物は熱電変換素子等のゼーベック係数Sが大きい物質に限定されることはなく、その他の物質についても、同様にして熱拡散率αを測定することが可能である。
例えば、ステンレスなどから成る被測定物においては、ゼーベック係数Sが小さいことから熱起電力がほとんど生じないが、このような物質についても、次のような構成で測定を行うことで、熱拡散率αを測定することが可能である。つまり、温度振動21を印加する被測定物の一端部から熱起電力Vα(L)の第1電気信号を取り出す第1リード線17a(図3参照)、および第1測定箇所から熱起電力Vα(x)の第2電気信号を取り出す第2リード線20a(図3参照)をゼーベック係数の大きな材質、例えば、Biなどの熱電材料からなる線材もしくはアルメルやクロメルといった熱電対として利用されている線材とし、第1リード線17aおよび第2リード線20aがそれぞれ呈するゼーベック効果により、熱起電力Vα(L),Vα(x)を生じさせる構成にする。第1リード線17a等の第1配線によって被測定物の一端部から第1電気信号、第2リード線20a等の第2配線によって第1測定箇所から第2電気信号を取り出す本構成によれば、被測定物のゼーベック係数が小さくて被測定物自体に生じる熱起電力を測定することが困難な被測定物についても、温度振動を測定してその熱拡散率αを求めることできる。
1…熱電変換素子(被測定物)
2a,2b…金属電極
3…ヒータ
4…温度制御電極(温度制御器)
5…電流源
6,7…熱電対
8,9…温度測定器
10…電圧計
11,12…ロックインアンプ
13…アルミナ基板
14a,14b、15a,15b…銅電極
16a,16b…第1測定線
17a,17b…第1リード線
18…ハンダ
19a,19b…第2測定線
20a,20b…第2リード線
21,22…温度振動
23…電気伝導性接着剤

Claims (4)

  1. 長さLをした被測定物の一端部に角周波数ωで振動する温度振動を与え、前記一端部に与える前記温度振動に起因するゼーベック効果によって前記一端部に生じる熱起電力の第1電気信号の位相を計測すると共に、前記一端部に与える前記温度振動に起因するゼーベック効果によって前記被測定物の他端部から距離x離れた第1測定箇所に生じる熱起電力の第2電気信号の位相を計測することで、前記一端部から前記第1測定箇所に伝わる前記温度振動の位相遅れを各前記電気信号の位相差θとして求め、前記長さL,前記角周波数ω,前記距離xおよび前記位相差θと前記被測定物の熱拡散率αとの間の相関関係に基づいて前記熱拡散率αを算出する物質の熱拡散率測定方法。
  2. 各前記電気信号は、前記被測定物である熱電変換素子が呈するゼーベック効果によって生じることを特徴とする請求項1に記載の物質の熱拡散率測定方法。
  3. 各前記電気信号は、前記一端部から前記第1電気信号を取り出す第1配線および前記第1測定箇所から前記第2電気信号を取り出す第2配線がそれぞれ呈するゼーベック効果によって生じることを特徴とする請求項1に記載の物質の熱拡散率測定方法。
  4. 前記被測定物を収容する炉と、前記被測定物の両端部に設けられた一対の電極と、一方の前記電極に接触する前記被測定物の前記一端部に熱を与えるヒータと、一対の前記電極間に電流を通電する電流源と、前記炉内の温度を制御する温度制御器と、前記ヒータへの通電によって前記被測定物の前記第1測定箇所と第2測定箇所との間に生じる温度差を計測する温度差計測手段と、前記第1測定箇所と前記第2測定箇所との間に生じる電圧を計測する電圧計測手段と、前記温度差計測手段によって計測される温度差および前記電圧計測手段によって計測される前記温度差に起因する熱起電力から前記被測定物のゼーベック係数を算出するゼーベック係数算出手段と、前記電流源によって一対の前記電極間に電流を通電することで前記第1測定箇所と前記第2測定箇所との間に生じて前記電圧計測手段によって計測される電圧,前記第1測定箇所と前記第2測定箇所との間の距離,および前記被測定物の断面積から前記被測定物の電気抵抗率を算出する抵抗率算出手段とを備えて構成される物質の熱電特性評価装置において、
    前記ヒータへ交流電流を通電することで前記被測定物の前記一端部に前記温度振動を与える温度振動印加手段と、
    前記一端部に与える前記温度振動に起因するゼーベック効果によって前記一端部に生じる熱起電力の前記第1電気信号と、前記一端部に与える前記温度振動に起因するゼーベック効果によって前記第1測定箇所に生じる熱起電力の前記第2電気信号とから、前記一端部から前記第1測定箇所に伝わる前記温度振動の位相遅れを各前記電気信号の位相差θとして算出する位相差算出手段と、
    前記長さL,前記角周波数ω,前記距離xおよび前記位相差算出手段によって算出される前記位相差θと前記被測定物の熱拡散率αとの間の相関関係に基づいて、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の物質の熱拡散率測定方法を使って前記熱拡散率αを算出する熱拡散率算出手段と
    を備えることを特徴とする物質の熱電特性評価装置。
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