JP2016023649A - 玉軸受 - Google Patents

玉軸受 Download PDF

Info

Publication number
JP2016023649A
JP2016023649A JP2014145850A JP2014145850A JP2016023649A JP 2016023649 A JP2016023649 A JP 2016023649A JP 2014145850 A JP2014145850 A JP 2014145850A JP 2014145850 A JP2014145850 A JP 2014145850A JP 2016023649 A JP2016023649 A JP 2016023649A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
axial direction
cage
grease
inner ring
hole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014145850A
Other languages
English (en)
Inventor
康彦 石井
Yasuhiko Ishii
康彦 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JTEKT Corp
Original Assignee
JTEKT Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JTEKT Corp filed Critical JTEKT Corp
Priority to JP2014145850A priority Critical patent/JP2016023649A/ja
Publication of JP2016023649A publication Critical patent/JP2016023649A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

【課題】外輪軌道面と玉の外表面との間のグリース潤滑を、長期に亘って実現できる玉軸受を提供することである。【解決手段】玉軸受は、外周に内輪軌道面を有する内輪と、内周に外輪軌道面15を有する外輪3と、これら内外輪軌道面15間に配置された複数の玉4と、保持器5とを備える。内輪の外周において、内輪の軸方向Xの一方には内輪肩部が、内輪の軸方向Xの他方にはカウンタボアがそれぞれ設けられている。保持器5のポケット穴に対し軸方向Xの一方側には、保持器5の外周面28と保持器5の内周面51Bとを貫通する貫通穴52が形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、グリース潤滑の玉軸受に関する。
玉軸受の潤滑方式として、従来から、グリース潤滑が広く用いられている。グリース潤滑の玉軸受として、たとえば、下記の特許文献1が提案されている。
特許文献1は、内輪、外輪、およびこの内輪と外輪と間に介在した玉と、これら複数の玉を周方向に沿って所定間隔毎に保持する円環状の保持器とを備えた、グリース潤滑の高速回転玉軸受を開示している。この玉軸受では、内輪の外周の軸方向一方側には内輪肩部が設けられており、その一方、内輪の外周の軸方向他方側にはカウンタボアが設けられている。また、特許文献1では、保持器の内周は、その全域が円筒面によって構成されている。
特開2010−164122号公報
特許文献1の内輪の外径は、軸方向一方側よりも軸方向他方側の方が小径であるので、内輪の回転状態では、内輪の外周の軸方向一方側と他方側との間に作用する遠心力の差と、内輪におけるグリースの付着と、に起因して、内輪の外周に、軸方向の他方側から軸方向の一方側へと向かうグリースの流れが発生する。内輪の外周に塗布されているグリースは、この流れに乗って、軸方向の他方側から軸方向の一方側へと移動する。このグリースが、外輪の内周へと導かれ、ひいては外輪軌道面に供給されることが望ましい。
しかしながら、特許文献1のような構成の玉軸受では、軸方向の他方側から軸方向の一方側へと移動するグリースは、保持器の内周面と内輪の外周面との間を通って、内外輪間の、保持器に対して軸方向一方側の一方側空間へと移動し、当該一方側空間に滞留するおそれがある。したがって、外輪軌道面と玉の外表面との間のグリース潤滑のために用いられるグリースの量が低減し、その結果、焼き付き等の潤滑不良が発生するおそれがある。
そこで、本発明の目的は、外輪軌道面と玉の外表面との間のグリース潤滑を、長期に亘って実現できる玉軸受を提供することである。
前記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、外周に内輪軌道面(11)を有する内輪(2)と、内周に外輪軌道面(15)を有する外輪(3)と、これら内外輪軌道面間に配置された複数の玉(4)と、前記玉を収容する複数のポケット穴(27)を有し、前記内輪および前記外輪の間に配置された保持器(5)とを備えた玉軸受(1)であって、前記玉軸受の軸方向における両端部に設けられたシール(6,7)を含み、前記内輪と前記外輪との間にグリースが封入されており、前記内輪の外周における前記内輪の軸方向(X)一方には内輪肩部(12)が、前記内輪の軸方向他方にはカウンタボア(13)がそれぞれ設けられていて、前記保持器の前記ポケット穴に対し前記軸方向一方側には、前記保持器の外周面(28)と前記保持器の内周面(51B)とを貫通する貫通穴(52)が、前記ポケット穴とは別に形成されていることを特徴とする、玉軸受である。
請求項2に記載の発明は、前記保持器は、前記複数のポケット穴を有する円環状の保持器本体(26)と、前記保持器本体の外周縁部(26A)から、前記軸方向一方側に向けて突出する円筒リブ部(51;51A)とを含み、前記貫通穴は、前記円筒リブ部に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の玉軸受である。
請求項3に記載の発明は、前記外輪の内周面には、グリースを貯留するためのグリース貯留溝(20)が前記外輪軌道面に隣接して設けられていて、前記貫通穴は、前記保持器の外周面における前記グリース貯留溝に対向する位置に開口することを特徴とする、請求項1または2に記載の玉軸受である。
請求項4に記載の発明は、前記貫通穴は、前記保持器の径方向(Z)に沿って延びていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の玉軸受である。
請求項5に記載の発明は、前記貫通穴は、前記複数のポケットに1対1対応で設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の玉軸受である。
なお、前記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
請求項1に記載の構成によれば、内輪の外周の軸方向一方側には内輪肩部が設けられており、その一方、内輪の外周の軸方向他方側にはカウンタボアが設けられている。すなわち、内輪の外径は、軸方向一方側よりも軸方向他方側の方が小径である。したがって、内輪の回転状態では、内輪の外周の軸方向一方側と他方側との間に作用する遠心力の差と、内輪におけるグリースの付着と、に起因して、内輪の外周に、軸方向の他方側から軸方向の一方側へと向かうグリースの流れが発生する(ポンプ作用)。そのため、内輪の外周に塗布されているグリースは、この流れに乗って、軸方向の他方側から軸方向の一方側へと移動し、保持器の内周面と内輪の外周面との間を通って、内外輪間の、保持器に対して軸方向一方側の空間へと移動し、当該一方側空間に滞留するおそれがある。
保持器のポケット穴に対し軸方向一方側には、保持器の外周面と保持器の内周面とを貫通する貫通穴が、ポケット穴とは別に形成されている。したがって、保持器の内周面にあるグリースを、貫通穴を通って保持器の外周面に良好に導くことができ、これにより、内輪の外周のグリースを、外輪の内周、ひいては外輪軌道面に円滑に供給できる。したがって、外輪軌道面と玉の外表面との間の良好なグリース潤滑を実現でき、ゆえに、グリース潤滑の玉軸受として高速化を実現できる。
また、保持器の内周面と内輪の外周面との間を通るグリースが貫通穴内に流れるから、一方側空間に移動するグリースの量を低減でき、これにより、一方側空間にグリースが溜まるのを効果的に防止できる。ゆえに、外輪軌道面と玉の外表面との間の良好なグリース潤滑を実現できる。
以上により、外輪軌道面と玉の外表面との間のグリース潤滑を、長期に亘って実現できる玉軸受を提供できる。
請求項2の構成によれば、保持器本体の外周縁部から軸方向一方側に向けて突出する円筒リブ部に、当該円筒リブ部の内外周面を貫通する貫通穴が形成されている。保持器の一部を円筒リブ部によって構成するから、保持器全体の容積を低減でき、その結果、内外輪間に封入されるグリースの量の増大を図ることができる。
また、円筒リブ部に貫通穴を設けているので、貫通穴の穴長さを短く設定することが可能である。これにより、外輪の内周、ひいては外輪軌道面に、グリースを効率良く供給できる。
請求項3の構成によれば、貫通穴は、外周面のグリース貯留溝に対向する位置に開口している。したがって、貫通穴の内部を流通して外周側の開口に達し、保持器の遠心力を受けて飛散したグリースは、グリース貯留溝に供給され、当該グリース貯留溝に溜められる。グリース貯留溝が外輪軌道面に隣接しているので、グリース貯留溝に貯留されたグリースは、外輪軌道面に円滑に供給され、これにより、外輪軌道面と玉の外表面との間の良好なグリース潤滑を実現できる。
請求項4の構成によれば、貫通穴の延びる方向と、遠心力が作用する方向とが一致しているので、グリースを、貫通穴を通して保持器の内周面から外周面へとスムーズに移動させることができる。
請求項5のように、前記貫通穴は、各ポケット穴に1対1対応で設けられていてもよい。
本発明の一実施形態に係る玉軸受の断面図である。 図1のグリース貯留溝の周囲の拡大図である。 図1の保持器の、保持器の周方向に沿って切断した断面図である。 本発明の変形例を示す保持器の断面図である。
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る玉軸受1の断面図である。図2は、図1のグリース貯留溝20の周囲の拡大図である。図3は、保持器5の、保持器5の周方向に沿って切断した断面図である。
玉軸受1は、たとえば工作機械(図示しない)の回転軸(図示しない)を支持するための高速回転用の玉軸受である。玉軸受1は、工作機械以外にも、コンプレッサやポンプ等のタービン用回転軸を支持する玉軸受として用いられる。
玉軸受1は、たとえばアンギュラ型の玉軸受である。玉軸受1は、回転軸に外嵌固定される内輪2と、工作機械のハウジング(図示しない)に内嵌固定される外輪3と、内輪2の内輪軌道面11と外輪3の外輪軌道面15との間に配置された複数の玉4と、複数の玉4を周方向に一定間隔おきに保持するポケットを有する円筒状の保持器5と、内輪2と外輪3と間の環状空間の軸方向の一方端(図1の右端)を封止する第1のシール6と、内輪2と外輪3と間の環状空間の軸方向の他方端(図1の左端)を封止する第2のシール7とを含む。玉軸受1では、グリース潤滑が実現されている。
以降の説明において、回転軸(図示しない)の軸方向を軸方向Xとする。外輪3の軸方向および保持器5の軸方向は、軸方向Xと一致する。また、便宜上、軸方向Xのうち、内輪軌道面11(接触点)における転動体荷重が作用する側(接触角を生じる側)の軸方向(図1の右側の方向)を、軸方向の一方側とし、軸方向Xのうち、外輪軌道面15(接触点)における転動体荷重が作用する側(接触角を生じる側)の軸方向(図1の左側の方向)を、軸方向の他方側とする。また、玉軸受1の径方向を径方向Zとする。外輪3の径方向は、径方向Zと一致する。径方向Zにおいて回転軸(図示しない)に近づく側を「内側」ということにし、径方向Zにおいて回転軸(図示しない)から離れる側を「外側」という。さらに、玉軸受1の周方向を周方向Yとする。
内輪2は、回転軸と一体回転可能である。内輪2の外周には、軸方向Xの中央部に、玉4を転走させるための内輪軌道面11が形成されている。内輪軌道面11は、当該内輪軌道面11と玉4との接触角が予め定める角度になるように形成されている。内輪2の外周の、内輪軌道面11に対し軸方向Xの一方側(図1の右側)には、内輪肩部12が形成されている。また、内輪2の外周の、内輪軌道面11に対し軸方向Xの他方側(図1の左側。接触角を生じる側と軸方向Xの反対側)には、カウンタボア13(肩落とし部)が設けられている。内輪2の外周の軸方向Xの両端部には、径方向Zの内方に凹む第1のシール溝14が形成されている。
外輪3はハウジング(図示しない)に固定的に設けられている。外輪3の内周には、軸方向Xの中央部に、玉4を転走させるための外輪軌道面15が形成されている。外輪軌道面15は、当該外輪軌道面15と玉4との接触角が予め定める角度になるように形成されている。外輪3の内周には、外輪軌道面15を除く部分に、当該外輪軌道面15から見て軸方向Xの双方に、第1および第2の外輪肩部16,17が形成されている。第1および第2の外輪肩部16,17の内周は、それぞれ、互いに同径を有する円筒面からなる内周面18,19を有している。すなわち、内周面18と内周面19とは互いに面一の円筒面である。
外輪3の内周には、外輪軌道面15の軸方向Xの一方側(図1の右側)に隣接して(すなわち、外輪軌道面15と第1の外輪肩部16との間に)、グリース(図示しない)を溜めるためのグリース貯留溝20が形成されている。グリース貯留溝20は、軸方向X回りに延びる円筒壁21(図2参照)と、径方向Zに沿って延びる垂直壁22(図2参照)と、円筒壁21と垂直壁22とを繋ぐ湾曲壁9とによって区画された断面略L字状の溝である。円筒壁21は、外輪軌道面15に連続している。グリース貯留溝20の底面をなす円筒壁21は、外輪軌道面15の最深部15A(外輪軌道面15の軸方向Xの中央位置における底部)よりも、径方向Zの内方に位置している。換言すると、グリース貯留溝20の底部が、外輪軌道面15の最深部15Aよりも径方向Zの内方に位置している。グリース貯留溝20の底部が、テーパ面等でなく円筒壁21によって区画されているので、グリース貯留溝20の底部への玉4の乗り上がりを効果的に抑制できる。また、グリース貯留溝20の底部が、外輪軌道面15の最深部15Aよりも外輪3の径方向の内方に位置しているので、グリース貯留溝20の底部への玉の乗り上がりを効果的に抑制できる。
垂直壁22は、内周面18に連続している。円筒壁21の軸方向Xの長さは、垂直壁22の径方向Zの長さよりも長い。換言すると、垂直壁22の径方向Zの長さが、円筒壁21の軸方向Xの長さよりも短い。したがって、グリース貯留溝20を径方向Zの外方に深くすることなく、グリース貯留溝20の容積を大きく保つことができる。これにより、グリース貯留溝20の底部への玉4の乗り上がりを、より一層効果的に抑制できる。
外輪3の内周の軸方向Xの両端部には、第2のシール溝24が形成されている。軸方向Xの一方側(図1の右側)の第2のシール溝24は、第1の外輪肩部16の内周面18に、内周面18と外輪3の一方側端面3Aとを接続する第1の段部36を形成することにより設けられる。第1の段部36は、内周面18と垂直な面である。軸方向Xの他方側(図1の左側)の第2のシール溝24は、第1の外輪肩部17の内周面19に、内周面19と外輪3の他方側端面3Bとを接続する第2の段部37を形成することにより設けられる。第2の段部37は、内周面19と垂直な面である。第2のシール溝24には、対応するシール(第1または第2のシール6,7)の外周部25が嵌っている。
保持器5は、円環板状の保持器本体26と、保持器本体26の外周縁部26A(図2参照)から、軸方向Xの一方側(図1の右側)に向けて突出する円環状の円筒リブ部51とを含み、たとえば、樹脂成形品として設けられている。保持器本体26には、保持器本体26を径方向Zに貫通する複数(たとえば8つ)のポケット穴27が、周方向Yに等間隔に並んで設けられている。保持器5は、保持器本体26が内輪2と同軸になるように配置されている。保持器5の各ポケット穴27には、玉4が1つずつ配置されている。各ポケット穴27は、円筒面をなす周壁30によって区画されている。円筒面をなす周壁30は、保持器5の外周面28および内周面29の双方と垂直をなしている。外輪3の内周に滑り接触することにより、保持器5の姿勢が安定させられており、この状態で、円筒状の周壁30は、径方向Zに沿って延びている。保持器本体26における周壁30の肉厚は、軸方向Xの一方側端部(図1の右端部)と軸方向Xの他方側端部(図1の左端部)との間で異なっており、それぞれ、参照符号としてW11(図2参照),W12を付している。肉厚W12は、肉厚W11より厚く設定されている。
前述のように、円筒リブ部51は、保持器本体26の外周縁部26Aから、軸方向Xの一方側(図1等の右側)に向けて突出し、外周面と内周面51B(図2参照)とを有する円環板状をなしている。円筒リブ部51の肉厚W13(径方向Zに沿う方向の肉厚。図2参照)は、保持器本体26の肉厚W14(径方向Zに沿う方向の肉厚)の約1/4に設定されている。なお、円筒リブ部51の外周面は、保持器5の外周面28と一致している。
図2および図3に示すように、円筒リブ部51には、円筒リブ部51の外周面28と円筒リブ部51の内周面51Bとを貫通する貫通穴52がポケット穴27と同数(たとえば8つ)設けられている。図3に示すように、複数の貫通穴52は、周方向Yに等間隔に並んで設けられている。各貫通穴52は、ポケット穴27に1対1対応で設けられている。より具体的には、各貫通穴52は、対応するポケット穴27と周方向Yに関して揃っている。各貫通穴52は、円筒面をなす周壁52Aによって区画されており、径方向Zに沿って延びている。
ポケット穴27および貫通穴52は、次に述べる手法で形成される。すなわち、保持器5は、内側金型(図示しない)と外側金型(図示しない)とを用いた射出成形によって形成されるのであるが、外側金型として円弧状の外側金型を複数(この実施形態では8つ)設け、円弧状の外側金型を円環状に配置する。各外側金型の内周には、ポケット穴形成用の凸部(図示しない)および貫通穴形成用の凸部(図示しない)が形成されている。ポケット穴形成用の凸部および貫通穴形成用の凸部は、それぞれ径方向Zに沿って延びている。保持器5の射出成形後には、各外側金型を、径方向Zの外方に向けて抜くことにより、ポケット穴27および貫通穴52を保持器5に形成できる。この作業を全ての外側金型(図示しない)について行うことにより、複数(互いに同数)のポケット穴27および貫通穴52を保持器5に形成できる。各貫通穴52を、ポケット穴27に1対1対応で設けるので、各外側金型(放射型の金型)の構造を簡単化でき、これにより、貫通穴52を有する保持器5の製造を容易化できる。
玉軸受1では、保持器5の案内方式として、外輪3の内周(すなわち、第1および第2の外輪肩部16,17の内周面18,19)と保持器5の外周面28とを滑り接触させて保持器5の外径を案内する外輪案内方式が採用されている。これにより、玉軸受1の回転時における保持器5の挙動を安定させることができる。
なお、保持器5が玉(転動体)4の表面で案内される転動体案内方式であっても構わない。
また、保持器5の一部を円筒リブ部51によって構成するから、保持器5に円筒リブ部51を設けない場合と比べて、保持器5全体の容積を低減でき、その結果、内外輪間に封入されるグリースの量の増大を図ることができる。
保持器5を玉軸受1内に収容した状態では、貫通穴52の外周開口52B(図2参照)がグリース貯留溝20に対向している。図2に示すように、具体的には、外周開口52Bの軸方向Xの一方側(図2の右側)端縁が、軸方向Xに関し、グリース貯留溝20の垂直壁22よりも軸方向Xの他方側(図2の左側)に寄っている。換言すると、グリース貯留溝の軸方向Xの一方側の端縁40が、外周面28における貫通穴52の外周開口52Bに対し、軸方向Xの一方側(図2の右側)に位置している。
保持器5の保持器本体26の内径は、保持器本体26の軸方向Xの一方側と軸方向Xの他方側とで略等しい。保持器本体26の内周面29の軸方向Xの一方側端部と、内輪2の内輪肩部12の外周面43との間の間隔Wはある程度広く設定されている。具体的には、間隔Wの寸法は、保持器5の内周面29と内輪2のカウンタボア13の外周面44との間の間隔を間隔Wとし、保持器5の外周面28と、外輪3の内周面18,19との間の隙間を間隔Wとすると、W<W<Wである。
一対のシール6,7は、内輪2と外輪3と間の環状空間の軸方向Xの一方および他方を封止して、当該環状空間からのグリースの飛散を防止するためのものであり、互いに同じ諸元を有している。本実施形態では、各シール6,7は円環状をなす非接触シールである。なお、接触シールでもかまわない。各シール6,7は、円環状の鋼板製の芯金31と、ゴムまたは樹脂を用いて形成されて、芯金31が埋設されたシール本体32とを含む。芯金31は、径方向Zに沿うように配置された環状板33と、環状板33の外周縁から軸方向Xに沿うように延設された板状の円筒部34とを備えている。環状板33の径方向Zの内方部分は、軸方向Xの他方側(図1の左側)に向かうようにやや折り曲げられている。シール6,7が内輪2および外輪3に装着された状態では、シール6,7の外周部25(シール本体32の外周部)が、外輪3の第2のシール溝24に嵌合しており、各芯金31の円筒部34の先端縁34Aが、対応する段部36,37に突き当てられている。このような装着状態で、各円筒部34の内周面34Bが、対応する内周面18,19と略面一である。
このように、各芯金31の円筒部34の先端縁34Aが、対応する段部36,37に突き当てられているので、第2のシール溝24へのグリースの侵入が阻止される。そのため、第2のシール溝24におけるグリースの滞留を防止でき、これにより、グリース潤滑のために用いられるグリースの量の増大を図ることができる。また、この実施形態では、各円筒部34の内周面34Bが、対応する内周面18,19と略面一であるので、第2のシール溝24におけるグリースの滞留をより一層確実に防止でき、その結果、グリース潤滑のために用いられるグリースの量の、より一層の増大を図ることができる。
前述のように、内輪2の外周の軸方向Xの一方側(図1の右側)には内輪肩部12が設けられており、その一方、内輪2の外周の軸方向Xの他方側(図1の左側)にはカウンタボア13が設けられている。すなわち、内輪2の外径は、軸方向Xの一方側(図1の右側)よりも軸方向Xの他方側(図1の左側)の方が小径である。したがって、内輪2の回転状態では、内輪2の外周の軸方向Xの一方側と他方側との間に作用する遠心力の差と、内輪2におけるグリースの付着と、に起因して、内輪2の外周に、軸方向Xの他方側から軸方向Xの一方側へと向かうグリースの流れが発生する(ポンプ作用)。そのため、内輪2の外周に塗布されているグリースは、この流れに乗って、軸方向Xの他方側から軸方向Xの一方側へと移動する。すなわち、図1に破線で示すように、玉4に対し軸方向Xの他方側寄りに配置されているグリースは、内輪軌道面11と玉4の外表面との間を通って、玉4に対し軸方向Xの一方側へと移動し、保持器本体26の内周面29と内輪肩部12の外周面43との間を通る。そして、内周面29と外周面43との間を通ったグリースは、保持器5の回転による遠心力を受けて、保持器本体26に対し軸方向Xの一方側でかつ円筒リブ部51に対し径方向Zの内方の空間46を通って、円筒リブ部51の内周面51Bに到達する。
保持器5の円筒リブ部51の内周面51Bに達したグリースは、各貫通穴52の内部へと導かれる。貫通穴52の内部に進入したグリースは、保持器5の回転による遠心力を受けて、円筒リブ部51の内周面51Bから外周面28まで移動する。貫通穴52の延びる方向(径方向Z)に沿って遠心力が作用するので、グリースを、内周面51Bから外周面28へとスムーズに移動させることができる。また、貫通穴52が円筒リブ部51に設けているので、貫通穴52の穴長さが短く設定されており、そのため、円筒リブ部51の外周面28にグリースが効率良く供給される。
貫通穴52および外周開口52Bを通って円筒リブ部51の外周面28に達したグリースは、保持器5の回転による遠心力を受けて、径方向Zの外方に向けて飛散する。
前述のように、円筒リブ部51の外周面28において貫通穴52の外周開口52Bがグリース貯留溝20に対向しているので、貫通穴52の内部を通ったグリースが、グリース貯留溝20に供給され、当該グリース貯留溝20に溜められる。具体的には、グリース貯留溝20の軸方向Xの一方側の端縁40が、外周面28における貫通穴52の外周開口52Bに対し、軸方向Xの一方側に位置している。そのため、貫通穴52の内部を通ったグリースをグリース貯留溝20に、より一層確実に供給できる。グリース貯留溝20が外輪軌道面15に隣接しているので、グリース貯留溝20に溜められたグリースは、外輪軌道面15と玉4の外表面との間に供給される。
以上によりこの実施形態によれば、内輪2の外周のグリースを、貫通穴52を通って保持器5の外周面28に良好に導くことができ、これにより、内輪2の外周のグリースを、外輪3の内周、ひいては外輪軌道面15に円滑に供給できる。したがって、外輪軌道面15と玉の外表面との間の良好なグリース潤滑を実現でき、ゆえに、グリース潤滑の玉軸受1として高速化を実現できる。
また、グリースを封入する際には、径方向Zにおける保持器5の内周面29に対向する内輪2の外周面を主としてグリースが塗布されることが好ましい。
また、保持器5の円筒リブ部51の内周面51Bと内輪2の外周面28との間を通るグリースが貫通穴52内に捕獲されるから、内外輪2,3間の、保持器5に対して軸方向X一方側の空間45
(以下、一方側空間45という)に移動するグリースの量を低減でき、これにより、一方側空間45へのグリースの滞留を抑制でき、ゆえに、グリース潤滑のために用いられるグリースの量の増大を図ることができる。
以上により、外輪軌道面15と玉4の外周面との間のグリース潤滑を長期に亘って実現できる玉軸受1を提供できる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、本発明は他の形態で実施することもできる。
また、本実施形態において、各貫通穴52は、対応するポケット27と周方向Yに関して揃っていたが、異なっていてもよく、ランダムまたは規則的に配置してもよく、規則的に、かつ隣接する2つのポケット27の中心をそれぞれ保持器5の中心と結んだ2つの直線の2等分線と保持器5の中心線とがなす仮想面上に貫通穴52の中心線があってもよい。
たとえば、保持器5のポケット穴27に対し軸方向Xの一方側(図1の右側)だけでなく、保持器5のポケット穴27に対し軸方向Xの他方側(図1の左側)にも貫通穴を設けてもよい。この場合、図4に示すように、保持器5の軸方向Xの他方側(図4の左側)の端部にも、円筒リブ部51と同等の円筒リブ部51Aを設け、円筒リブ部51Aに、円筒リブ部51Aの内外周を貫通し、径方向Zに沿って延びる貫通穴52を形成するようにしてもよい。
また、保持器5に円筒リブ部51,51Aを設け、円筒リブ部51,51Aに貫通穴52を設ける場合を例に挙げたが、保持器5に円筒リブ部51,51Aを設けずに、保持器本体26に貫通穴52を設けるようにしてもよい。
また、貫通穴52は径方向Zに沿って延びるものとして説明したが、貫通穴52が、径方向Zに対して傾斜していてもよい。
また、前述の実施形態では、貫通穴52の外周開口52Bがグリース貯留溝20に対向する場合を例に挙げて説明したが、貫通穴52の外周開口52Bはグリース貯留溝20に対向していなくてもよい。具体的には、外周開口52Bの軸方向Xの一方側端縁が、軸方向Xに関し、グリース貯留溝20の垂直壁22よりも軸方向Xの一方側(図1の右側)に寄っていてもよい。この場合、外周開口52Bからのグリースは、第1の外輪肩部16の内周面18に供給されるのであるが、保持器5の外周面28を案内する外輪肩部16の内周面18の潤滑性能を高めることができ、これにより、内周面18により保持器5を円滑に案内できる。
また、外輪3の内周において、外輪軌道面15に対し軸方向Xの一方側のみにグリース貯留溝20を貯留する場合を例に挙げたが、外輪軌道面15に対し軸方向Xの双方にグリース溝が形成されていてもよい。
また、前述の各実施形態では、内輪2が、回転軸に伴って回転する回転側であり、外輪3が固定側である場合を例に挙げて説明した。しかし、外輪3を回転側とし、内輪2を固定側とする場合にも、本願発明を適用できる。
その他、特許請求の範囲内で種々の変更を加えることが可能である。
1…玉軸受、2…内輪、3…外輪、4…玉、5…保持器、6…第1のシール、7…第2のシール、11…内輪軌道面、12…内輪肩部、13…カウンタボア、15…外輪軌道面、20…グリース貯留溝、26…保持器本体、26A…外周縁部、27…ポケット穴、28…外周面、51…円筒リブ部、51A…円筒リブ部、51B…内周面、52…貫通穴、X…軸方向、Z…径方向

Claims (5)

  1. 外周に内輪軌道面を有する内輪と、内周に外輪軌道面を有する外輪と、これら内外輪軌道面間に配置された複数の玉と、前記玉を収容する複数のポケット穴を有し、前記内輪および前記外輪の間に配置された保持器とを備えた玉軸受であって、
    前記玉軸受の軸方向における両端部に設けられたシールを含み、
    前記内輪と前記外輪との間にグリースが封入されており、
    前記内輪の外周における前記内輪の軸方向一方には内輪肩部が、前記内輪の軸方向他方にはカウンタボアがそれぞれ設けられていて、
    前記保持器の前記ポケット穴に対し前記軸方向一方側には、前記保持器の外周面と前記保持器の内周面とを貫通する貫通穴が、前記ポケット穴とは別に形成されていることを特徴とする、玉軸受。
  2. 前記保持器は、前記複数のポケット穴を有する円環状の保持器本体と、前記保持器本体の外周縁部から、前記軸方向一方側に向けて突出する円筒リブ部とを含み、
    前記貫通穴は、前記円筒リブ部に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の玉軸受。
  3. 前記外輪の内周面には、グリースを貯留するためのグリース貯留溝が前記外輪軌道面に隣接して設けられていて、
    前記貫通穴は、前記保持器の外周面における前記グリース貯留溝に対向する位置に開口することを特徴とする、請求項1または2に記載の玉軸受。
  4. 前記貫通穴は、前記保持器の径方向に沿って延びていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の玉軸受。
  5. 前記貫通穴は、各ポケット穴に1対1対応で設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の玉軸受。
JP2014145850A 2014-07-16 2014-07-16 玉軸受 Pending JP2016023649A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014145850A JP2016023649A (ja) 2014-07-16 2014-07-16 玉軸受

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014145850A JP2016023649A (ja) 2014-07-16 2014-07-16 玉軸受

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016023649A true JP2016023649A (ja) 2016-02-08

Family

ID=55270625

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014145850A Pending JP2016023649A (ja) 2014-07-16 2014-07-16 玉軸受

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016023649A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019044942A1 (ja) * 2017-08-31 2019-03-07 株式会社服部商店 グリース組成物およびその製造方法、並びに転動装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019044942A1 (ja) * 2017-08-31 2019-03-07 株式会社服部商店 グリース組成物およびその製造方法、並びに転動装置
JP2019044061A (ja) * 2017-08-31 2019-03-22 株式会社服部商店 グリース組成物およびその製造方法、並びに転動装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2016010057A1 (ja) 玉軸受
US9500232B2 (en) Ball bearing
JP5633185B2 (ja) 転がり軸受
JP6740576B2 (ja) 玉軸受
CN109996970B (zh) 保持架和具备该保持架的滚动轴承
JP5012498B2 (ja) 深溝玉軸受
US10352358B2 (en) Taper roller bearing
JP6717028B2 (ja) 玉軸受
US20170321750A1 (en) Taper roller bearing
US10539184B2 (en) Taper roller bearing
JP2013145012A (ja) スラストころ軸受およびスラストころ軸受装置
US10138939B2 (en) Taper Roller Bearing
JP6790507B2 (ja) 円すいころ軸受
JP2014101946A (ja) 転がり軸受
JP2021063530A (ja) 転がり軸受
US10180161B2 (en) Tapered roller bearing
JP2007078118A (ja) 樹脂保持器並びに樹脂保持器金型および樹脂保持器の製造方法
JP2016153685A (ja) 転がり軸受
US20190211874A1 (en) Bearing device, and spidle device for machine tool
JP2016023649A (ja) 玉軸受
CN106917824B (zh) 滚动轴承
JP2014111954A (ja) 転がり軸受装置
JP2008175239A (ja) 玉軸受用冠型保持器及び玉軸受
JP2014025525A (ja) オイルエア潤滑式転がり軸受装置
JP6759584B2 (ja) 転がり軸受