JP2016023556A - 吸気冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃費の悪化を抑制しつつ、凝縮水の発生を抑制する。
【解決手段】第1熱媒体が循環する第1熱媒体回路10と、第2熱媒体が循環する第2熱媒体回路20と、第1熱媒体回路10に配置され、第1熱媒体によって冷却される内燃機関11と、第1熱媒体回路10に配置され、第1熱媒体と内燃機関11の吸気とを熱交換させる第1吸気冷却手段17と、第2熱媒体回路20に配置され、第2熱媒体と内燃機関11の吸気とを熱交換させる第2吸気冷却手段23と、第1熱媒体回路10に配置され、第1熱媒体と外気とを熱交換させる第1ラジエータ15と、第2熱媒体回路20に配置され、第2熱媒体と外気とを熱交換させる第2ラジエータ24と、第1吸気冷却手段17を流れる第1熱媒体の流量を調整する流量調整手段18、40とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の吸気を冷却する吸気冷却装置に関する。
近年、ターボ過給される小排気量エンジンを採用することによって燃費を向上させる過給ダウンサイジング車が増えつつある。過給ダウンサイジング車では、過給気を冷却するインタークーラを水冷式にするのが好ましい。インタークーラを水冷式にした場合、インタークーラを空冷式にした場合と比較して吸気系の容量を減らすことができるので、エンジンレスポンスを向上できるからである。
例えば、特許文献1には、水冷式のインタークーラを内部的に分割し、2流体により吸気を冷却する吸気冷却装置が記載されている。2流体とは、エンジン冷却回路を循環する高温の冷却水、および低水温回路を循環する低温の冷却水である。低水温回路は、エンジン冷却回路とは独立した冷却水回路である。
この従来技術によると、2流体で吸気を冷却するので、冷却性能を向上できる。また、エンジン冷却回路を循環する高温の冷却水で吸気を暖めることによって、吸気の過冷却を防止して、凝縮水の発生を抑制できる。特に、エンジンの排気の一部を吸気側に還流させる排気再循環装置が設けられている場合、排気が混合された吸気の過冷却を防止することによって、凝縮水の発生を顕著に抑制できる。
国際公開第2004/044401号
しかしながら、特許文献1の従来技術によると、エンジン冷却回路の高温冷却水が水冷式インタークーラを常に流れ続けるため、水冷式インタークーラを必要以上に暖めすぎてしまう。そのため、エンジン冷間時にエンジンの暖機に要する時間が長くなって燃費が悪化してしまうという問題がある。エンジン冷間時とは、エンジンが外気温と同じくらいに冷えている状態のことである。
本発明は上記点に鑑みて、燃費の悪化を抑制しつつ、凝縮水の発生を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
第1熱媒体が循環する第1熱媒体回路(10)と、
第2熱媒体が循環する第2熱媒体回路(20)と、
第1熱媒体回路(10)に配置され、第1熱媒体によって冷却される内燃機関(11)と、
第1熱媒体回路(10)に配置され、第1熱媒体と内燃機関(11)の吸気とを熱交換させる第1吸気冷却手段(17)と、
第2熱媒体回路(20)に配置され、第2熱媒体と内燃機関(11)の吸気とを熱交換させる第2吸気冷却手段(23)と、
第1熱媒体回路(10)に配置され、第1熱媒体と外気とを熱交換させる第1ラジエータ(15)と、
第2熱媒体回路(20)に配置され、第2熱媒体と外気とを熱交換させる第2ラジエータ(24)と、
第1吸気冷却手段(17)を流れる第1熱媒体の流量を調整する流量調整手段(18、40)とを備えることを特徴とする。
これによると、内燃機関(11)で暖められた第1熱媒体が第1吸気冷却手段(17)を流れるので、第1熱媒体で吸気を暖めることができる。そのため、吸気からの凝縮水の発生を抑制できる。
さらに、流量調整手段(18、40)が、第1吸気冷却手段(17)を流れる第1熱媒体の流量を調整するので、第1吸気冷却手段(17)を必要以上に暖めすぎてしまうことを抑制できる。そのため、内燃機関(11)の暖機に要する時間が長くなって燃費が悪化してしまうことを抑制できる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態における吸気冷却装置の全体構成図である。 第1実施形態における第1インタークーラおよび第2インタークーラの斜視図である。 第1実施形態におけるエンジンの吸排気系を模式的に示す構成図である。 第1実施形態における冷却水およびインタークーラの温度推移の例を示すグラフである。 第1実施形態におけるエンジン冷間時の作動状態を説明する図である。 第1実施形態におけるインタークーラ暖機時の作動状態を説明する図である。 第1実施形態におけるエンジン暖機後の作動状態を説明する図である。 比較例における冷却水およびインタークーラの温度推移の例を示すグラフである。 第2実施形態における吸気冷却装置の全体構成図である。 第3実施形態における吸気冷却装置の電気制御部を示すブロック図である。 第4実施形態における吸気冷却装置の電気制御部を示すブロック図である。
以下、実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1に示すように、吸気冷却装置1は、エンジン冷却回路10(第1熱媒体回路)および低温冷却水回路20(第2熱媒体回路)を備えている。エンジン冷却回路10は、エンジン11を冷却するための冷却水(第1熱媒体)が循環する回路である。エンジン11は、車両の走行用動力を発生する内燃機関である。
エンジン11の内部には、冷却水が流れる冷却水流路が形成されている。本実施形態では、冷却水は、エチレングリコール系の不凍液(LLC)である。エンジン11の吸入空気(吸気)は、過給機(図示せず)によって過給されるようになっている。
エンジン冷却回路10は、冷却水が循環する循環流路12を有している。循環流路12には、エンジン用ポンプ13(第1ポンプ)、エンジン11、循環流路開閉弁14、第1ラジエータ15がこの順番で配置されている。
エンジン用ポンプ13は、冷却水を吸入して吐出する流体機械である。本実施形態では、エンジン用ポンプ13は、エンジン11から出力される動力によって駆動される機械式ポンプである。エンジン用ポンプ13は、電動モータによって駆動される電動ポンプであってもよい。
循環流路開閉弁14は、循環流路12の冷却水流れを断続する断続手段であり、冷却水の温度Tw(冷却用流体温度)に応じて循環流路12を開閉する。循環流路開閉弁14は、機械的機構で弁体を開閉する機械式弁である。
例えば、循環流路開閉弁14は機械式サーモスタット弁である。機械式サーモスタット弁は、温度によって体積変化するサーモワックス(感温部材)によって弁体を変位させて冷却水流路を開閉する機械的機構で構成される冷却水温度応動弁である。
循環流路開閉弁14は、冷却水温度Twが所定温度Tw1未満である場合に閉弁し、冷却水温度Twが所定温度Tw1以上である場合に開弁する。本実施形態では、所定温度Tw1は約80℃に設定されている。循環流路開閉弁14は、電子制御弁であってもよい。
図1の例では、循環流路開閉弁14は、第1ラジエータ15の冷却水入口側に配置されているが、第1ラジエータ15の冷却水出口側に配置されていてもよい。循環流路開閉弁14は、第1ラジエータ15の冷却水入口側タンクまたは冷却水出口側タンクに内蔵されていてもよい。
第1ラジエータ15は、エンジン11から流出した冷却水と外気とを熱交換させて冷却水を冷却する熱交換器である。換言すれば、第1ラジエータ15は、冷却水の持つ熱を外気に放熱させる放熱器である。
エンジン冷却回路10は、分岐流路16を備えている。分岐流路16は、循環流路12から第1分岐部A1で分岐して、循環流路12に第1合流部A2で合流する。第1分岐部A1は、エンジン用ポンプ13の冷却水吐出側かつエンジン11の冷却水入口側に設けられている。第1合流部A2は、第1ラジエータ15の冷却水出口側かつポンプ12の冷却水吸入側に設けられている。
分岐流路16には、第1インタークーラ17(第1吸気冷却手段)および流量調整弁18が配置されている。第1インタークーラ17は、過給機(ターボチャージャ)で圧縮されて高温になった過給吸気と冷却水とを熱交換して過給吸気を冷却する吸気冷却器(第1吸気冷却器)である。
流量調整弁18は、分岐流路16の冷却水流れを断続する断続手段であり、冷却水の温度Tw(冷却用流体温度)に応じて分岐流路16を開閉する。流量調整弁18は、第1インタークーラ17を流れる冷却水の流量を調整する流量調整手段である。
流量調整弁18は、機械的機構で弁体を開閉する機械式弁である。例えば、流量調整弁18は機械式サーモスタット弁である。機械式サーモスタット弁は、温度によって体積変化するサーモワックス(感温部材)によって弁体を変位させて冷却水流路を開閉する機械的機構で構成される冷却水温度応動弁である。
流量調整弁18は、冷却水温度Twが所定温度Tw2未満である場合に閉弁し、冷却水温度Twが所定温度Tw2以上である場合に開弁する。本実施形態では、所定温度Tw2は約40℃に設定されている。
本実施形態では、流量調整弁18は、第1インタークーラ17の冷却水出口側に配置されている。流量調整弁18は、電子制御弁であってもよい。
エンジン冷却回路10は、ラジエータバイパス流路19を備えている。ラジエータバイパス流路19は、冷却水が第1ラジエータ15をバイパスして流れる流路である。
ラジエータバイパス流路19は、第2分岐部A3で循環流路12から分岐して、第2合流部A4で循環流路12に合流する。第2分岐部A3は、エンジン11の冷却水出口側かつ循環流路開閉弁14の冷却水入口側に設けられている。第2合流部A4は、第1ラジエータ15の冷却水出口側かつポンプ12の冷却水吸入側に設けられている。
循環流路開閉弁14が開弁している場合にラジエータバイパス流路19を流れる冷却水の流量が多くなり過ぎて第1ラジエータ15を流れる冷却水の流量が少なくなり過ぎることがないように、ラジエータバイパス流路19の流路抵抗が大きく設定されている。
低温冷却水回路20は、エンジン冷却回路10とは独立して冷却水が循環する回路である。低温冷却水回路20は、冷却水(第2熱媒体)が循環する循環流路21を有している。循環流路21には、低温冷却水用ポンプ22(第2ポンプ)、第2インタークーラ23(第2吸気冷却手段)、第2ラジエータ24がこの順番で配置されている。
低温冷却水用ポンプ22は、冷却水を吸入して吐出する流体機械である。本実施形態では、低温冷却水用ポンプ22は、エンジン11から出力される動力によって駆動される機械式ポンプである。低温冷却水用ポンプ22は、電動モータによって駆動される電動ポンプであってもよい。
第2インタークーラ23は、過給機(ターボチャージャ)で圧縮されて高温になった過給吸気と冷却水とを熱交換して過給吸気を冷却する吸気冷却器(第2吸気冷却器)である。吸気系の容量を極力小さくするために、第2インタークーラ23は第1インタークーラ17と一体化されている。第2インタークーラ23は第1インタークーラ17と別体に構成されていてもよい。
第2インタークーラ23の冷却水入口側は、低温冷却水用ポンプ22の冷却水吐出側に接続されている。第2インタークーラ23の冷却水出口側は、第2ラジエータ24の冷却水入口側に接続されている。
第2インタークーラ23は、第1インタークーラ17に対して、過給吸気流れ方向の下流側に配置されている。したがって、過給吸気は、第1インタークーラ17→第2インタークーラ23の順に流れて冷却される。
吸気系の容量を極力小さくするために、第1インタークーラ17および第2インタークーラ23はエンジン11に隣接配置されている。
第2ラジエータ24は、冷却水と外気とを熱交換させて冷却水を冷却する熱交換器である。換言すれば、第2ラジエータ24は、冷却水の持つ熱を外気に放熱させる放熱器である。
第2ラジエータ24の冷却水入口側は、第2インタークーラ23の冷却水出口側に接続されている。第2ラジエータ24の冷却水出口側は、低温冷却水用ポンプ22の冷却水吸入側に接続されている。
図1の例では、第2ラジエータ24は第1ラジエータ15と一体化されているが、第1ラジエータ15と別体に構成されていてもよい。
第2ラジエータ24は、第1ラジエータ15に対して、外気流れ方向の上流側に配置されている。したがって、外気は、第2ラジエータ24→第1ラジエータ15の順に流れる。
次に、図2を用いて、第1インタークーラ17および第2インタークーラ23の詳細構成を説明する。
図2の実線矢印は、第1インタークーラ17および第2インタークーラ23における冷却水の流れを示している。図2の白抜き矢印は、第1インタークーラ17および第2インタークーラ23における過給吸気の流れを示している。
第1インタークーラ17および第2インタークーラ23は、それぞれ冷却水入口17a、23aおよび冷却水出口17b、23bを有している。
本実施形態の第1インタークーラ17および第2インタークーラ23は、それぞれ複数本のチューブ25、分配タンク26および集合タンク27を有している。複数本のチューブ25の内部に冷却水が流通し、複数本のチューブ25の外部に過給吸気が流れることによって、冷却水と過給吸気とが熱交換する。分配タンク26および集合タンク27は、複数本のチューブ25の一端側に配置されている。各チューブ25を流通する冷却水は分配タンク26で分配される。各チューブ25を流通した冷却水は集合タンク27で集合される。
チューブ25は、長手方向垂直断面形状が扁平形状の扁平チューブである。各チューブ25は、その外表面のうち平坦面同士が互いに平行に、かつ対向するように所定の間隔を開けて積層配置されている。隣り合うチューブ25同士の間に、過給吸気を流通させる過給吸気通路が形成されている。
過給吸気通路にはアウターフィン28が配置されている。アウターフィン28はチューブ25に接合されている。アウターフィン28としては、伝熱性に優れる金属の薄板を波状に曲げ成形したコルゲートフィンが採用されている。アウターフィン28は、冷却水と過給吸気との熱交換を促進する機能を果たす伝熱フィンである。
第1インタークーラ17および第2インタークーラ23は、複数枚のプレート部材同士が、アウターフィン28を介在して積層配置された構造を有している。プレート部材は、チューブ25およびタンク部を形成しており、一対の板状部材同士が接合された構造を有している。
各プレート部材のタンク部同士が互いに連通することによって、分配タンク26および集合タンク27が形成されている。
各プレート部材を構成する板状部材、およびアウターフィン28はいずれもアルミニウム合金で形成されており、ろう付け接合されることにより一体化されている。これにより、第1インタークーラ17および第2インタークーラ23が一体化されている。
本実施形態におけるエンジン11の吸排気系の構成を図3に模式的に示す。エンジン11の吸気を過給する過給機30は、タービン30aとコンプレッサ30bとを有するターボチャージャである。タービン30aは、エンジン12の排気が流れる排気管31(排気通路)に配置されている。コンプレッサ30bは、エンジン12の吸気が流れる吸気管32(吸気通路)に配置されている。
図3の実線矢印は、エンジン12の吸気および排気の流れを示している。タービン30aは、エンジン12の排気によって駆動される。コンプレッサ30bは、タービン30aと連動回転するように連結されている。タービン30aがエンジン12の排気によって駆動されると、コンプレッサ30bが連動駆動されて吸気が加圧される。
第1インタークーラ17および第2インタークーラ23は吸気管32に配置されている。排気管31には触媒33が配置されている。触媒33は、エンジン12の排気を浄化する。
排気管31および吸気管32には、排気再循環通路34が接続されている。排気再循環通路34は、触媒33を通過した排気を、コンプレッサ30bの吸気上流側に導く通路である。
排気再循環通路34には排気冷却器35が配置されている。排気冷却器35は、排気再循環通路34を流れる排気を冷却する熱交換器である。排気再循環通路34および排気冷却器35は、エンジン11の排気の一部を吸気側に還流させる排気再循環装置を構成している。
次に、上記構成における作動を説明する。エンジン11が停止している状態(以下、エンジン停止状態と言う。)では、エンジン11が駆動力を発生しないので、エンジン用ポンプ13および低温冷却水用ポンプ22が停止して、エンジン冷却回路10および低温冷却水回路20に冷却水が循環しない。
エンジン停止状態では、エンジン11が熱を発生しないので、冷却水温度Twは外気温度と同じになっている。すなわち、エンジン停止状態では、冷却水温度Twが所定温度Tw1(本実施形態では約80℃)以下かつ所定温度Tw2(本実施形態では約40℃)以下であるので、循環流路開閉弁14および流量調整弁18が閉弁している。
エンジン11が始動すると、エンジン11が駆動力および熱を発生するので、エンジン用ポンプ13および低温冷却水用ポンプ22が作動して冷却水を吸入・吐出するとともに、冷却水温度Twが徐々に上昇する。
図4は、エンジン11の始動後におけるエンジン冷却回路10の冷却水温度推移、およびインタークーラ17、23の温度推移の例を示すグラフである。図4の時点T0は、エンジン11を始動した時点を示している。図4の実線は、エンジン冷却回路10の冷却水温度(エンジン冷却水温度)を示している。図4の一点鎖線は、本実施形態におけるインタークーラ17、23のうちチューブおよびアウターフィンで構成される熱交換コア部の温度(インタークーラ温度)を示している。
エンジン11が始動すると、低温冷却水用ポンプ22が作動するので、図5の太一点鎖線に示すように、低温冷却水回路20の第2インタークーラ23および第2ラジエータ24に冷却水が循環する。例えば加速時のようにエンジン11の負荷が高い場合(高負荷時)、過給吸気が高温になる。過給吸気の温度が冷却水の温度よりも高い場合、第2インタークーラ23で過給吸気が冷却され、第2ラジエータ24で冷却水から外気に放熱される。
エンジン冷却回路10の冷却水温度Twが所定温度Tw2(本実施形態では約40℃)に到達するまでは循環流路開閉弁14および流量調整弁18が閉弁しているので、図5の太実線に示すように、エンジン用ポンプ13から吐出された冷却水は、エンジン11を流通した後、ラジエータバイパス流路19を経由してエンジン用ポンプ13に吸入される。
したがって、図5の破線に示すように、第1ラジエータ15および第1インタークーラ17に冷却水が流通しないので、エンジン11が始動して間もない場合、エンジン冷却回路10の冷却水から外気および過給吸気に放熱されることがなく、エンジン11の暖機を促進できる。
エンジン冷却回路10の冷却水温度Twがさらに上昇して所定温度Tw2(本実施形態では約40℃)に到達した場合(図4の時点T1)、流量調整弁18が開弁するので、図6の太実線に示すように、エンジン用ポンプ13から吐出された冷却水は、エンジン11およびラジエータバイパス流路19を流れてエンジン用ポンプ13に吸入される流れと、第1インタークーラ17を流れてエンジン用ポンプ13に吸入される流れとに分岐する。
これにより、エンジン11の熱で暖められた冷却水が第1インタークーラ17を流通するので、第1インタークーラ17を暖めることができる。
第1インタークーラ17と第2インタークーラ23とが一体ろう付けされているので、第1インタークーラ17から第2インタークーラ23への熱伝導によって第2インタークーラ23も暖めることができる。
エンジン冷却回路10の冷却水温度Twがさらに上昇して所定温度Tw1(本実施形態では約80℃)に到達した場合(図4の時点T2)、循環流路開閉弁14が開弁するので、図7の太実線に示すように、エンジン用ポンプ13から吐出された冷却水は、エンジン11および第1ラジエータ15を流れてエンジン用ポンプ13に吸入される流れと、第1インタークーラ17を流れてエンジン用ポンプ13に吸入される流れとに分岐する。
これにより、エンジン11の熱で暖められた冷却水が第1ラジエータ15および第1インタークーラ17を流通するので、冷却水の温度が過剰に上昇することを抑制しつつ、第1インタークーラ17を暖めることができる。
以上の作動によって、図4に示すように、冷却水温度Twが60℃になったとき(目標インタークーラ暖機時間)に、インタークーラ17、23の温度を目標温度(例えば40℃)にすることができる。
図8は、比較例におけるエンジン冷却回路10の冷却水温度推移、およびインタークーラ17、23の温度推移の例を示すグラフである。この比較例では、流量調整弁18が配置されていない。したがって、時点T0においてエンジン11が始動すると、直ちに冷却水が第1インタークーラ17を流通するので、第1インタークーラ17の温度が上昇する。
そのため、エンジン冷却回路10の冷却水温度Twが60℃になったとき(目標インタークーラ暖機時間)に、インタークーラ17、23の温度が目標温度(例えば40℃)を超えてしまう(過剰暖機)。
それに対し、本実施形態では、エンジン11が始動してからエンジン冷却回路10の冷却水温度Twが所定温度Tw2(本実施形態では約40℃)に到達するまでは冷却水が第1インタークーラ17を流通しないので、過剰暖機が発生しない。すなわち、エンジン冷却回路10の冷却水温度Twが60℃になったとき(目標インタークーラ暖機時間)に、インタークーラ17、23の温度を目標温度(例えば40℃)にすることができる。そのため、エンジン11の暖機に要する時間を短縮できるので、燃費の悪化を抑制できる。
本実施形態では、エンジン11で暖められた冷却水が第1インタークーラ17を流れるので、エンジン11で暖められた冷却水で吸気を暖めることができる。そのため、吸気からの凝縮水の発生を抑制できる。
さらに、流量調整弁18が、第1インタークーラ17を流れる冷却水の流量を調整するので、第1インタークーラ17を必要以上に暖めすぎてしまうことを抑制できる。そのため、エンジン11の暖機に要する時間が長くなって燃費が悪化してしまうことを抑制できる。
特に、本実施形態では、エンジン11の排気の一部を排気再循環装置34、35によって吸気側に還流させ、排気が混合された吸気を第1インタークーラ17および第2インタークーラ23で熱交換させるようになっているので、吸気からの凝縮水の発生を顕著に抑制できる。
本実施形態では、流量調整弁18は、エンジン冷却回路10の冷却水温度Twが所定温度Tw2未満である場合、冷却水温度Twが所定温度Tw2以上である場合と比較して、第1インタークーラ17を流れる冷却水の流量を減少させる。
これにより、エンジン冷却回路10の冷却水温度Twが低い場合に第1インタークーラ17の暖機を抑制できるので、エンジン11の暖機に要する時間が長くなって燃費が悪化してしまうことを確実に抑制できる。
本実施形態では、エンジン冷却回路10は、冷却水が循環する循環流路12と、循環流路12から分岐して循環流路12に合流する分岐流路16とを有している。第1インタークーラ17は、分岐流路16に配置されている。
そして、流量調整弁18は、分岐流路16に配置されて分岐流路16の開度を調整する。これにより、第1インタークーラ17を流れる冷却水の流量を確実に調整できる。
本実施形態では、第1インタークーラ17および第2インタークーラ23は、一体ろう付けされた1つの熱交換器で構成されている。これによると、第1インタークーラ17から第2インタークーラ23への熱伝導によって第2インタークーラ23も暖めることができる。
(第2実施形態)
上記実施形態では、流量調整弁18は、第1インタークーラ17の冷却水出口側に配置されているが、本実施形態では、図9に示すように、流量調整弁18は、第1インタークーラ17の冷却水入口側に配置されている。
上述のように、流量調整弁18は、エンジン冷却回路10の冷却水温度に応じて分岐流路16を開閉する機械的機構を有するサーモスタット弁である。そして、流量調整弁18は、分岐流路16のうち第1インタークーラ17よりも冷却水下流側の部位に配置されて分岐流路16の開度を調整する。
本実施形態によると、第1分岐部A1の近くに流量調整弁18が配置されるので、エンジン冷却回路10を循環する冷却水の温度を的確に感知して分岐流路16を開閉できる。
(第3実施形態)
上記実施形態では、流量調整弁18は、機械的機構で弁体を開閉する機械式弁であるが、本実施形態では、流量調整弁18は電子制御弁である。
図10に示すように、流量調整弁18の作動は、制御装置40によって制御される。制御装置40は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、その出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する制御手段である。
制御装置40の出力側に流量調整弁18が接続されている。制御装置40の入力側には、冷却水温度センサ41からの検出信号が入力される。冷却水温度センサ41は、エンジン冷却回路10の冷却水温度Twを検出する冷却水温度検出手段(熱媒体温度検出手段)である。例えば、冷却水温度センサ41は、エンジン11の冷却水出口側に配置されている。
制御装置40は、冷却水温度センサ41が検出した冷却水温度Twが所定温度Tw2未満である場合、流量調整弁18を閉弁させ、冷却水温度Twが所定温度Tw2以上である場合、流量調整弁18を開弁させる。
本実施形態では、制御装置40は、第1インタークーラ17を流れる冷却水の流量を調整する流量調整手段を構成している。
本実施形態においても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(第4実施形態)
上記実施形態では、流量調整弁18が分岐流路16を開閉することによって、第1インタークーラ17における冷却水の流通を断続するが、本実施形態では、エンジン用ポンプ13のオン/オフ(起動および停止)を制御することによって、第1インタークーラ17における冷却水の流通を断続する。
本実施形態では、エンジン用ポンプ13は電動ポンプである。図11に示すように、エンジン用ポンプ13の作動は、制御装置40によって制御される。
制御装置40は、エンジン11の始動後において、冷却水温度センサ41が検出した冷却水温度Twが所定温度Tw2未満である場合、エンジン用ポンプ13を停止させる。このとき、循環流路開閉弁14が閉弁しているので、エンジン11の熱で暖められた冷却水はラジエータバイパス流路19を経由して自然循環する。したがって、冷却水温度Twが徐々に上昇する。
冷却水温度Twが上昇して所定温度Tw2に到達すると、制御装置40はエンジン用ポンプ13を起動する。エンジン用ポンプ13から吐出された冷却水は、エンジン11およびラジエータバイパス流路19を流れてエンジン用ポンプ13に吸入される流れと、第1インタークーラ17を流れてエンジン用ポンプ13に吸入される流れとに分岐する。
これにより、エンジン11の熱で暖められた冷却水が第1インタークーラ17を流通するので、第1インタークーラ17を暖めることができる。
制御装置40は、第1インタークーラ17を流れる冷却水の流量を調整する流量調整手段を構成している。
本実施形態においても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(他の実施形態)
上記実施形態を適宜組み合わせ可能である。上記実施形態を例えば以下のように種々変形可能である。
(1)上記実施形態では、流量調整弁18は、分岐流路16を単純に開閉するが、流量調整弁18は、分岐流路16の開度を任意に調整するようになっていてもよい。これにより、第1インタークーラ17を流れる冷却水の流量をきめ細かく調整できるので、インタークーラ17、23の温度をきめ細かく調整できる。
(2)上記実施形態では、循環流路開閉弁17の開弁温度Tw1が約80℃に設定され、流量調整弁18の開弁温度Tw2が約40℃に設定されているが、循環流路開閉弁17の開弁温度Tw1、および流量調整弁18の開弁温度Tw2を種々変更可能である。
(3)流量調整弁18は、第1インタークーラ17の冷却水入口部または冷却水出口部に直接取り付けられていてもよい。
(4)上記実施形態では、冷却用流体はエチレングリコール系の不凍液(LLC)であるが、冷却用流体は種々の流体であってもよい。
(5)上記実施形態では、車両の走行用動力を発生するエンジン11の吸気を冷却する吸気冷却装置について説明したが、これに限定されるものではなく、種々のエンジン(内燃機関)の吸気を冷却する吸気冷却装置に広く適用可能である。
10 エンジン冷却回路(第1熱媒体回路)
11 エンジン(内燃機関)
12 循環流路
15 第1ラジエータ
16 分岐流路
17 第1インタークーラ(第1吸気冷却手段)
18 流量調整弁(流量調整手段)
20 低温冷却水回路(第2熱媒体回路)
23 第2インタークーラ(第2吸気冷却手段)
24 第2ラジエータ

Claims (8)

  1. 第1熱媒体が循環する第1熱媒体回路(10)と、
    第2熱媒体が循環する第2熱媒体回路(20)と、
    前記第1熱媒体回路(10)に配置され、前記第1熱媒体によって冷却される内燃機関(11)と、
    前記第1熱媒体回路(10)に配置され、前記第1熱媒体と前記内燃機関(11)の吸気とを熱交換させる第1吸気冷却手段(17)と、
    前記第2熱媒体回路(20)に配置され、前記第2熱媒体と前記内燃機関(11)の吸気とを熱交換させる第2吸気冷却手段(23)と、
    前記第1熱媒体回路(10)に配置され、前記第1熱媒体と外気とを熱交換させる第1ラジエータ(15)と、
    前記第2熱媒体回路(20)に配置され、前記第2熱媒体と外気とを熱交換させる第2ラジエータ(24)と、
    前記第1吸気冷却手段(17)を流れる前記第1熱媒体の流量を調整する流量調整手段(18、40)とを備えることを特徴とする吸気冷却装置。
  2. 前記流量調整手段(18、40)は、前記第1熱媒体の温度(Tw)が所定温度(Tw2)未満である場合、前記第1熱媒体の温度(Tw)が前記所定温度(Tw2)以上である場合と比較して、前記第1吸気冷却手段(17)を流れる前記熱媒体の流量を減少させることを特徴とする請求項1に記載の吸気冷却装置。
  3. 前記第1熱媒体回路(10)は、前記第1熱媒体が循環する循環流路(12)と、前記循環流路(12)から分岐して前記循環流路(12)に合流する分岐流路(16)とを有し、
    前記第1吸気冷却手段(17)は、前記分岐流路(16)に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の吸気冷却装置。
  4. 前記流量調整手段は、前記分岐流路(16)に配置されて前記分岐流路(16)の開度を調整する調整弁(18)を有していることを特徴とする請求項3に記載の吸気冷却装置。
  5. 前記流量調整手段(18、40)は、前記第1熱媒体の温度に応じて前記分岐流路(16)を開閉する機械的機構を有するサーモスタット弁であり、
    前記流量調整手段(18、40)は、前記分岐流路(16)のうち前記第1吸気冷却手段(17)よりも前記第1熱媒体の流れの上流側の部位に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の吸気冷却装置。
  6. 前記第1熱媒体回路(10)に配置され、前記第1熱媒体を吸入して吐出する第1ポンプ(13)を備え、
    前記流量調整手段(18、40)は、前記第1ポンプ(13)の起動および停止を制御する制御手段(40)を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の吸気冷却装置。
  7. 前記第1吸気冷却手段(17)および前記第2吸気冷却手段(23)は、一体ろう付けされた1つの熱交換器で構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の吸気冷却装置。
  8. 前記内燃機関(11)の排気の一部を吸気側に還流させる排気再循環装置(34、35)を備え、
    前記第1吸気冷却手段(17)および前記第2吸気冷却手段(23)は、前記排気が混合された前記吸気を熱交換させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の吸気冷却装置。
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