JP2016023297A - 樹脂組成物および樹脂成形体 - Google Patents

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知士 早坂
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Abstract

【課題】ポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物において、成形体にした場合に耐熱性および伸び特性に優れる樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリ乳酸樹脂と、フタロシアニン化合物の針状結晶と、可塑剤とを含有し、前記ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、前記フタロシアニン化合物の針状結晶を0.1質量部以上5質量部以下の範囲、前記可塑剤を0.1質量部以上15質量部以下の範囲で含む樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物および樹脂成形体に関する。
電気製品や電子・電気機器の部品には、ポリスチレン、ポリスチレン−ABS樹脂共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリアセタール等の高分子材料が、耐熱性、機械強度等、特に、電子・電気機器の部品の場合には、環境変動に対する機械強度の維持性等に優れることから用いられている。
また、近年、環境問題等の観点から、生分解性ポリマの一種であるポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物およびその樹脂組成物を用いて得られる成形体が知られている。
例えば、特許文献1には、環状化合物と、ポリ乳酸とを含有し、上記環状化合物は、核剤として、少なくとも(a)置換されていてもよい銅フタロシアニン結晶を含有し、(b)置換されていてもよい、亜鉛、カドミウム、水銀、アルミニウム、ゲルマニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、スズ等から選ばれる1種の金属を含んでいてもよいフタロシアニン化合物を選択的に含有し、上記銅フタロシアニン結晶が、ベータ型またはイプシロン型の結晶であり、かつ粒径0.1μm以下の粒子であり、上記環状化合物の配合割合が、上記ポリ乳酸100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲内である電気又は電子機器の筐体用の樹脂組成物が記載されている。
特許文献2には、ポリ乳酸系樹脂、ガラス繊維、および平均粒径が0.1〜3μmのタルクを含有し、前記ガラス繊維が繊維強化ポリ乳酸系樹脂全量に対して5〜60質量%、前記タルクが繊維強化ポリ乳酸系樹脂に対して5〜25質量%含有する繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物が記載されている。
特許第5157039号公報 特開2005−200517号公報
本発明の目的は、ポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物において、成形体にした場合に耐熱性および伸び特性に優れる樹脂組成物およびその樹脂組成物を用いて得られる樹脂成形体を提供することである。
請求項1に係る発明は、ポリ乳酸樹脂と、フタロシアニン化合物の針状結晶と、可塑剤とを含有し、前記ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、前記フタロシアニン化合物の針状結晶を0.1質量部以上5質量部以下の範囲、前記可塑剤を0.1質量部以上15質量部以下の範囲で含む樹脂組成物である。
請求項2に係る発明は、前記フタロシアニン化合物の針状結晶のアスペクト比が2以上10以下の範囲、長径が0.1μm以上である、請求項1に記載の樹脂組成物である。
請求項3に係る発明は、さらに、ゴム成分を含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物である。
請求項4に係る発明は、前記フタロシアニン化合物がガリウムフタロシアニンを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物である。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて得られる樹脂成形体である。
請求項1に係る発明によると、ポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物において、フタロシアニン化合物の針状結晶と、可塑剤とを上記範囲で含まない場合に比べて、成形体にした場合に耐熱性および伸び特性に優れる。
請求項2に係る発明によると、前記フタロシアニン化合物の針状結晶のアスペクト比が2以上10以下の範囲、長径が0.1μm以上ではない場合に比べて、成形体にした場合に耐熱性および伸び特性に優れる。
請求項3に係る発明によると、ゴム成分を含まない場合に比べて、成形体にした場合に耐熱性および伸び特性に優れる。
請求項4に係る発明によると、前記フタロシアニン化合物がガリウムフタロシアニンを含まない場合に比べて、成形体にした場合に耐熱性および伸び特性に優れる。
請求項5に係る発明によると、ポリ乳酸樹脂を含む樹脂成形体において、フタロシアニン化合物の針状結晶と、可塑剤とを上記範囲で含まない場合に比べて、耐熱性および伸び特性に優れる。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂と、フタロシアニン化合物の針状結晶と、可塑剤とを含有する。そして、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、フタロシアニン化合物の針状結晶を0.1質量部以上5質量部以下の範囲、可塑剤を0.1質量部以上15質量部以下の範囲で含む。本実施形態に係る樹脂組成物は、フタロシアニン化合物の針状結晶と、可塑剤とを上記範囲で含むことにより、ポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物において、成形体にした場合に耐熱性および伸び特性に優れる。
これまで、ポリ乳酸樹脂に可塑剤を加えて伸び特性を改善したり、ガラス繊維を添加して耐熱性を向上させたり、フタロシアニン化合物を結晶核剤として添加して結晶化速度を速めて耐熱性を向上させたりする検討が行われてきた。しかし、ポリ乳酸樹脂に可塑剤を加えると、その可塑化効果により耐熱性を大きく低下させてしまうことがあった。また、ガラス繊維やフタロシアニン化合物を添加すると、二次障害として伸び特性等の機械特性の低下が起こり、これらの技術を組み合わせても、耐熱性および伸び特性ともに満足するものは得られなかった。本発明者らは、ポリ乳酸樹脂に針状構造を有するフタロシアニン化合物の針状結晶および可塑剤を添加することにより、従来では予測できないくらい耐熱性と伸び特性が向上することを見出した。従来、針状構造を有するフィラーを樹脂に添加すると、フィラーの界面が破断点となり、伸び特性が大きく低下していたが、その問題も解決されることを見出した。
耐熱性を有し、かつ伸び特性を大きく改善できた理由は定かではないが、フタロシアニン化合物の針状結晶が射出成形の際に樹脂流れ方向に配列することにより、フィラーとして作用することにより耐熱性を向上させ、フタロシアニン化合物が保有する金属とポリ乳酸および可塑剤とがイオン結合またはキレートを形成することにより、添加剤とポリ乳酸樹脂との間の密着性が向上し、伸び特性が向上して、これらの効果が相乗的に作用したものと推測される。
<ポリ乳酸樹脂>
ポリ乳酸樹脂は、植物由来であり、環境負荷の低減、具体的にはCOの排出量削減、石油使用量の削減等の効果がある。ポリ乳酸樹脂としては、乳酸の縮合体であれば、特に限定されるものではなく、ポリ−L−乳酸(以下「PLLA」ともいう)であっても、ポリ−D−乳酸(以下「PDLA」ともいう)であっても、それらが共重合やブレンドにより交じり合ったものでもよく、さらに、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを混合したものであり、これらのらせん構造が噛み合った耐熱性の高い、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸(以下「SC−PLA」ともいう)であってもよい。
共重合体あるいは混合体におけるポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の成分比(モル比の割合%)は特に制限はないが、鏡像異性体の純度が高い方が結晶化度が高く、耐熱性が高い等の点から、L−乳酸/D−乳酸として、50/50以上99.99/0.01以下の範囲であることが好ましい。L−乳酸/D−乳酸が、50/50未満であると、成形体にした場合に耐熱性が低下し、機械的特性が低下する場合があり、99.99/0.01を超えると、コストが増加する場合がある。
ポリ乳酸樹脂は、合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ユニチカ(株)製の「テラマックTE4000」、「テラマックTE2000」、「テラマックTE7000」、ネイチャーワークス社製の「Ingeo3251D」、「Ingeo3001D」、「Ingeo4032D」、浙江海正生物材料製の「REVODE110」、「REVODE190」等が挙げられる。また、ポリ乳酸樹脂は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
ポリ乳酸樹脂としては、植物由来のエチレングリコール、ジブタノール等の乳酸以外の他の共重合成分を含んでもよい。このような共重合成分は、全単量体成分中、通常1モル%以上50モル%以下の含有量とすればよい。また、ポリ乳酸樹脂としては、変性したものを用いてもよく、例えば、無水マレイン酸変性ポリ乳酸、エポキシ変性ポリ乳酸、アミン変性ポリ乳酸などを用いてもよい。
ポリ乳酸樹脂の分子量は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、50,000以上300,000以下の範囲であることが好ましく、70,000以上250,000以下の範囲であることがより好ましい。ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量が50,000未満の場合、成形体にした場合に機械的特性が低下する場合があり、ポリ乳酸の重量平均分子量が300,000を超える場合には加工性が不良となる場合がある。
ポリ乳酸樹脂のガラス転移温度は、特に限定されるものではないが、100℃以上250℃以下の範囲であることが好ましく、120℃以上200℃以下の範囲であることがより好ましい。ポリ乳酸樹脂のガラス転移温度が100℃未満の場合、成形体にした場合に機械的特性が低下する場合があり、ポリ乳酸樹脂のガラス転移温度が250℃を超える場合には加工性が不良となる場合がある。
ポリ乳酸樹脂には、製造上、ブチロラクトン、1,6−ジオキサシクロデカン−2,7−ジオン等の環状ラクトン等のラクトン化合物等が不純物として含まれる場合がある。そのようなラクトン化合物等の不純物の含有量が少ないことが好ましく、具体的には、ポリ乳酸の量に対して10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましい。ラクトン化合物等の不純物の含有量が10質量%以上であると、ポリカーボネート・エポキシ化合物等と反応して、ポリアミドとの反応性が低下し、その結果、成形体にした場合に機械的特性が低下する場合がある。
本実施形態に係る樹脂組成物は、マトリックス樹脂として、「ポリ乳酸」と「ABS」等の「石油由来樹脂」との複合樹脂を用いる樹脂組成物ではなく、「植物由来樹脂」である「ポリ乳酸」を100%用いて、すなわち「ポリ乳酸」のみを用いて、「植物由来樹脂使用率」を高めたものである。「ポリ乳酸」のみをマトリックス樹脂として用いる樹脂組成物において実現が困難であった「植物由来樹脂使用率」で示される「環境負荷」と成形体にした場合の「耐熱性」と「伸び特性」とのバランスをとるために、「ポリ乳酸」に対して特定の配合量の「フタロシアニン化合物の針状結晶」と特定の配合量の「可塑剤」とを組み合わせたものである。
<フタロシアニン化合物>
フタロシアニン化合物は、4つのフタル酸イミドが窒素原子で架橋された構造を有する環状化合物であり、遷移金属(例えば、銅)等の元素と錯体を形成してもよい。また、フタロシアニンのフタル酸イミド部分の芳香環は、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のアルコキシ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲン基等の置換基を1個以上16個以下有するものであってもよい。
フタロシアニン化合物の具体例としては、フタロシアニン(無金属)、ジアルキルフタロシアニン、テトラメチルフタロシアニン、テトラフェニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、バナジウムフタロシアニン、カドミウムフタロシアニン、アンチモンフタロシアニン、クロムフタロシアニン、ゲルマニウムフタロシアニン、鉄フタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、イソインドール環を5個有するウラニウム錯体(スーパーフタロシアニン)やイソインドール環3個からなるホウ素錯体等が挙げられ、成形体にした場合の耐熱性および伸び特性等の観点から、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、無金属のフタロシアニン、コバルトフタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、ガリウムフタロシアニンが好ましく、銅フタロシアニン、ガリウムフタロシアニンがより好ましく、ガリウムフタロシアニンがさらに好ましい。フタロシアニン化合物は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
ガリウムフタロシアニンとしては、クロロガリウムフタロシアニン、ブロモガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等が挙げられ、成形体にした場合の耐熱性および伸び特性等の観点から、ヒドロキシガリウムフタロシアニンが好ましい。また、ガリウムフタロシアニンは、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
本実施形態で用いられるフタロシアニン化合物は、針状構造を有する針状結晶である。フタロシアニン化合物の針状結晶は、結晶核剤として結晶化促進に寄与し、さらにその針状構造によりフィラーとして作用して、成形体にした場合の耐熱性を向上させると考えられる。
フタロシアニン化合物の針状結晶の含有量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下の範囲であり、0.5質量部以上3質量部以下の範囲であることが好ましい。フタロシアニン化合物の針状結晶の含有量がポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.1質量%未満であると、成形体にした場合の耐熱性が低下する場合があり、5質量部を超えると、成形体にした場合の伸び特性が低下する場合がある。
フタロシアニン化合物の針状結晶のアスペクト比(長径/短径)は、2以上10以下の範囲であることが好ましく、2以上5以下の範囲であることがより好ましい。フタロシアニン化合物の針状結晶のアスペクト比が10を超えると、引張破断伸度が低下する場合がある。
フタロシアニン化合物の針状結晶の長径は、0.1μm以上であることが好ましく、0.3μm以上5μm以下の範囲であることがより好ましい。フタロシアニン化合物の針状結晶の長径が0.1μm未満であると、耐熱性向上に寄与しない場合があり、5μmを超えると、引張破断伸度が低下する場合がある。
<可塑剤>
可塑剤を添加することにより、伸び特性を向上させると考えられる。可塑剤としては、ポリエステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、エポキシ系可塑剤、およびポリアルキレングリコール系可塑剤等が挙げられる。
可塑剤としては、合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、グリセリン系可塑剤である「リケマール L−71−D」「リケマール S−100」(理研ビタミン社製)、エポキシ系可塑剤である「アデカサイザー O−130A」(ADEKA社製)、ポリエステル系可塑剤である「HA−5」(花王社製)等が挙げられる。
可塑剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上15質量部以下の範囲であり、1質量部以上10質量部以下の範囲であることが好ましい。可塑剤の含有量がポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.1質量部未満であると、成形体にした場合の伸び特性が低下する場合があり、15質量部を超えると、成形体にした場合の耐熱性が低下する場合がある。
<ゴム成分>
本実施形態に係る樹脂組成物は、さらに、ゴム成分を含むことが好ましい。ゴム成分を含むことにより、伸び特性を向上させると考えられる。ゴム成分としては、シリコーン・アクリル複合ゴム、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、天然ゴム等のゴムまたは熱可塑性エラストマ等が挙げられる。特に、アクリル系ゴムは樹脂組成物の物性を向上させるため好ましい。また、コアシェル型のゴムは、コアとシェルから形成される二重構造を有しており、コア部分は軟質なゴムであって、その表面のシェル部分は硬質な樹脂状態であり、ゴム自体としては粉末(粒子)状態である弾性体である。このコアシェル型のゴムは、例えばポリ乳酸と溶融混練した後もその粒子状態は大部分が元の形態を保っている。配合されたゴムの大部分が元の状態を保っているので、ポリ乳酸樹脂への分散性が良く、表層での剥離などが起こりにくい。
ゴム成分としては、合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ブタジエン系のゴム成分としては、カネカ社製の「カネエースM−701」、「カネエースM−711」、「カネエースM−300」、アクリル系のゴム成分としては、カネカ社製の「カネエースFM−40」、「カネエースM−570」、三菱レイヨン社製の「メタブレンSX−005」、「メタブレンSRK200」、「メタブレンW600A」、「メタブレンC−223A」等が挙げられる。また、ゴム成分は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
ゴム成分の含有量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下の範囲であることが好ましく、5質量部以上15質量部以下の範囲であることがより好ましい。ゴム成分の含有量がポリ乳酸樹脂100質量部に対して1質量部未満であると、成形体にした場合の伸び特性が認められない場合があり、20質量部を超えると、成形体にした場合の耐熱性が低下する場合がある。
<その他添加剤>
フタロシアニン化合物の針状結晶、可塑剤およびゴム成分以外の添加剤としては、必要に応じて、難燃剤、酸化防止剤、充填剤、ドリップ防止剤等を使用してもよい。これらのその他の成分の含有量は、樹脂組成物の固形分全量を基準として、それぞれ10質量%以下であることが好ましい。
難燃剤を含むことにより、成形体にした場合に難燃性が向上する。難燃剤としては、一般に樹脂の難燃剤として用いられるものを用いればよく、特に制限はない。例えば、無機系難燃剤および有機系難燃剤が挙げられる。無機系難燃剤の具体例としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、低融点ガラス等のシリカ系の難燃剤、有機系難燃剤の具体例としては、リン酸塩化合物、リン酸エステル化合物等が挙げられる。本実施形態で用いられる難燃剤としては、上記に例示したもののなかでも、難燃効率等の点からリン酸塩化合物、特にポリリン酸アンモニウムが好ましい。難燃剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、アミン系、リン系、イオウ系、ヒドロキノン系、キノリン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
充填剤としては、例えば、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土などのクレイ、タルク、マイカ、モンモリナイト等が挙げられる。充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ドリップ防止剤を含むことにより、成形体にした場合に抗ドリップ(溶融滴下)性が向上する。ドリップ防止剤としては、合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンである旭硝子社製の「PTFE CD145」、ダイキン工業社製の「FA500H」等が挙げられる。ドリップ防止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<各種測定方法>
樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂の含有量は、H−NMR分析により測定する。樹脂組成物中のポリ乳酸に含まれるラクトン化合物等の不純物の含有量も、同様の方法により測定する。樹脂組成物を用いて得られる樹脂成形体中のポリ乳酸樹脂の含有量はH−NMR分析により測定する。このようにして測定した樹脂成形体中のポリ乳酸樹脂の含有量から、樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂の含有量が推定される。
樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、高分子を溶媒に溶解し、この溶液をサイズ排除クロマトグラフ(GPC)にて、重量平均分子量を求める。テトラヒドロフラン(THF)溶解し分子量分布測定(GPC)により分析する。樹脂組成物を用いて得られる樹脂成形体中のポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、高分子を溶媒に溶解し、この溶液をサイズ排除クロマトグラフ(GPC)にて、重量平均分子量を求める。テトラヒドロフラン(THF)溶解し、分子量分布測定(GPC)により分析する。
樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂のガラス転移温度は、熱分析装置(エスアイアイナノテクノロジ製、DSC6000型)を用いて、JIS K 7121の方法により測定する。樹脂組成物を用いて得られる樹脂成形体中のポリ乳酸樹脂のガラス転移温度は、熱分析装置(エスアイアイナノテクノロジ製、DSC6000型)を用いて、JIS K 7121の方法により測定する。
樹脂組成物中のフタロシアニン化合物のアスペクト比および長径は、成形体内部構造を走査型電子顕微鏡(SEM)観察し、フタロシアニン化合物の短径および長径の5個の平均値を測定することにより求められる。樹脂組成物を用いて得られる樹脂成形体中のフタロシアニン化合物のアスペクト比および長径も、同様の測定方法で求められる。
樹脂組成物および樹脂組成物を用いて得られる樹脂成形体について、元素分析装置、NMR装置、IR装置等を用いて、各材料の構造や組成比を測定することで、樹脂組成物中および樹脂成形体中のポリ乳酸樹脂、フタロシアニン化合物、可塑剤、ゴム成分等の含有量が測定される。また、樹脂成形体中のポリ乳酸樹脂、フタロシアニン化合物、可塑剤、ゴム成分等の含有量から、樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂、フタロシアニン化合物、可塑剤、ゴム成分等の含有量が推定される。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、ポリ乳酸樹脂と、フタロシアニン化合物の針状結晶と、可塑剤と、必要に応じてゴム成分、その他の成分とを、混練して作製すればよい。
混練は、例えば、2軸混練装置(東芝機械製、TEM58SS)、簡易ニーダ(東洋精機製、ラボプラストミル)等の公知の混練装置を用いて行えばよい。ここで、混練の温度条件(シリンダ温度条件)としては、例えば、170℃以上220℃以下の範囲が好ましく、180℃以上220℃以下の範囲がより好ましく、190℃以上220℃以下の範囲がさらにより好ましい。これにより、耐熱性および伸び特性に優れる成形体が得られ易くなる。
[樹脂成形体]
本実施形態に係る樹脂成形体は、例えば、上述した本実施形態に係る樹脂組成物を成形することにより得られる。
例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形等の成形方法により成形して、本実施形態に係る樹脂成形体が得られる。生産性等の理由から、本実施形態に係る樹脂組成物を射出成形して得られたものであることが好ましい。
射出成形は、例えば、日精樹脂工業製「NEX150」、日精樹脂工業製「NEX70000」、東芝機械製「SE50D」等の市販の装置を用いて行えばよい。この際、シリンダ温度としては、樹脂の分解抑制等の観点から、170℃以上250℃以下の範囲とすることが好ましく、180℃以上240℃以下の範囲とすることがより好ましい。また、金型温度としては、生産性等の観点から、30℃以上100℃以下の範囲とすることが好ましく、30℃以上60℃以下の範囲とすることがより好ましい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、耐熱性および伸び特性に優れる。また、本実施形態に係る樹脂成形体は、耐衝撃性等に優れる。
<電子・電気機器の部品>
本実施形態に係る樹脂成形体は、機械的強度(耐衝撃性、引張弾性率等)に優れたものになり得るため、電子・電気機器、家電製品、容器、自動車内装材などの用途に好適に用いられる。より具体的には、家電製品や電子・電気機器などの筐体、各種部品など、ラッピングフィルム、CD−ROMやDVDなどの収納ケース、食器類、食品トレイ、飲料ボトル、薬品ラップ材などであり、中でも、電子・電気機器の部品に好適である。電子・電気機器の部品は、複雑な形状を有しているものが多く、また重量物であるので、重量物とならない場合に比べて高い耐衝撃性が要求されるが、本実施形態に係る樹脂成形体によれば、このような要求特性が十分満足される。本実施形態に係る樹脂成形体は、特に、画像形成装置や複写機等の筐体に適している。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例および比較例>
表1に示す組成(質量部)で原料を配合し、原材料を2軸混練装置(TEM58SS、東芝機械社製)に投入し、シリンダ温度200℃で混練して樹脂組成物(コンパウンド)を得た。次に、得られた樹脂組成物を用いて射出成形装置(NEX150E、日精樹脂工業社製)にて、シリンダ温度190℃、金型温度100℃で成形し評価片を得た。表1に示す各成分について、表2に商品名、メーカ名等を示す。
(評価方法)
[引張試験(伸び特性評価)]
ISO多目的ダンベル試験片(JIS1号試験片、厚さ4mm)の引張破断伸度を、JIS K−7113に準じて測定した。下記基準で評価した。結果を表1に示す。
○:10%以上
△:5%以上10%未満
×:5%未満
[耐熱性試験]
ISO多目的ダンベル試験片をクランプ部切断加工したものを用い、ISO−75に規定の方法に準拠して、1.80MPa荷重時の熱変形温度をそれぞれ測定した。下記基準で評価した。結果を表1に示す。
○:70℃以上
△:60℃以上70℃未満
×:60℃未満
Figure 2016023297
Figure 2016023297
実施例の樹脂組成物は、比較例の樹脂組成物に比べて、成形体にした場合に耐熱性および伸び特性に優れていた。

Claims (5)

  1. ポリ乳酸樹脂と、フタロシアニン化合物の針状結晶と、可塑剤とを含有し、
    前記ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、前記フタロシアニン化合物の針状結晶を0.1質量部以上5質量部以下の範囲、前記可塑剤を0.1質量部以上15質量部以下の範囲で含むことを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記フタロシアニン化合物の針状結晶のアスペクト比が2以上10以下の範囲、長径が0.1μm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. さらに、ゴム成分を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記フタロシアニン化合物がガリウムフタロシアニンを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて得られることを特徴とする樹脂成形体。
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