JP2016022590A - インプリント用のモールド、その製造方法、インプリント方法 - Google Patents

インプリント用のモールド、その製造方法、インプリント方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インプリント圧力を高くすることなく気泡消失時間を短縮できる、インプリント用のモールドの提供。
【解決手段】基材との間に転写材を挟み、該転写材に凹凸パターンを転写するインプリント用のモールドであって、前記モールドの表面のうち前記凹凸パターンの形成部分の表面自由エネルギーが68mJ/m以上である、インプリント用のモールド。
【選択図】図1

Description

本発明は、インプリント用のモールド、その製造方法、インプリント方法に関する。
フォトリソグラフィ法の代替技術として、インプリント法が注目されている。インプリント法は、モールドと基材との間に転写材を挟み、モールドの凹凸パターンを転写材に転写する技術である。フォトリソグラフィ法では露光に使用する光の波長により分解能が制限されるが、インプリント法ではモールドに刻まれたパターン通りにパターンを形成することができ、ナノメートルオーダーの非常に微細なパターン形成が可能となる。またフォトリソグラフィ法と比較し高価な光学系装置が不要になり、低コストの装置で超高分解能のリソグラフィを行うことが期待できる。インプリント法は、半導体素子だけでなく、反射防止シート、バイオチップ、磁気記録媒体など様々な製品の製造に適用できる。
ところで、インプリント工程中にモールドと基材との間に気泡が巻き込まれ、気泡欠陥が発生する。発生した気泡は転写材または、モールド中に徐々に吸収され消失する。インプリント法の利点は低コスト化であることから、気泡消失時間の短縮への対応が大きな課題となっている。
気泡消失時間を短縮する方法の一つとして、モールド中へのガス吸収量を向上させる方法が検討されている(特許文献1)。しかし、この方法ではヘリウムガス雰囲気下のみ効果が発揮されること、転写材へのヘリウムガスの溶解度はモールドの中へのヘリウムガスの溶解度に比べ、7桁以上高いことから、モールドへのガス吸収効果は非常に限定的である。
特開2010−149482号公報
気泡消失時間を短縮する別の方法として、転写材へのガス吸収量を向上させる方法が考えられる。気体の転写材への溶解度は圧力に比例するので、インプリント圧力を高くすることで気泡消失時間を短縮することができるが、基材の変形やモールドの破損のリスクを高める等の問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、インプリント圧力を高くすることなく気泡消失時間を短縮できる、インプリント用のモールドなどの提供を主な目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
基材との間に転写材を挟み、該転写材に凹凸パターンを転写するインプリント用のモールドであって、
前記モールドの表面のうち前記凹凸パターンの形成部分の表面自由エネルギーが68mJ/m以上である、インプリント用のモールドが提供される。
本発明の一態様によれば、インプリント圧力を高くすることなく気泡の消失時間を短くできる、インプリント用のモールドが提供される。
本発明の一実施形態によるインプリント用のモールドの製造方法を示すフローチャートである。 図1の凹凸パターン形成工程のうちのエッチング保護膜形成工程完了時のガラス板の状態を示す断面図である。 図1の凹凸パターン形成工程のうちのレジスト膜形成工程完了時のガラス板の状態を示す断面図である。 図1の凹凸パターン形成工程のうちの開口パターン形成工程完了時のガラス板の状態を示す断面図である。 図1の凹凸パターン形成工程のうちの1次エッチング工程完了時のガラス板の状態を示す断面図である。 図1の凹凸パターン形成工程のうちのレジスト膜除去工程完了時のガラス板の状態を示す断面図である。 図1の凹凸パターン形成工程のうちの2次エッチング工程完了時のガラス板の状態を示す断面図である。 図1の凹凸パターン形成工程のうちのエッチング保護膜除去工程完了時のガラス板の状態を示す断面図である。 本発明の一実施形態によるモールドの平面図である。 本発明の一実施形態によるモールドを用いたインプリント方法を示すフローチャートである。 図10の転写工程を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成には、同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。本明細書において、数値範囲を表す「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味する。
図1は、本発明の一実施形態によるインプリント用のモールドの製造方法を示すフローチャートである。図1に示すように、モールドの製造方法は、凹凸パターン形成工程S11、洗浄工程S12、および乾燥工程S13などを有する。
凹凸パターン形成工程S11(図1参照)では、図2〜図8に示すようにガラス板10の表面にインプリント用の凹凸パターンを形成する。
ガラス板10は、例えばSiOを85質量%以上含むガラスで形成されてよい。SiO含有量の上限は実質的に100質量%である。SiOを主成分とするガラスは、一般的なソーダライムガラスに比べて、紫外線の透過率が高い。また、SiOを主成分とするガラスは、一般的なソーダライムガラスに比べて、線膨張係数が小さく、温度変化による凹凸パターンの寸法変化が小さい。
ガラス板10は、SiOの他に、TiO含むガラスで形成されてよい。TiO含有量が多いほど、ガラス面のOH基の密度が大きく、ガラス面の表面自由エネルギーが大きい。よって、詳しくは後述するが、モールドと基材との間に巻き込まれた気泡の消失時間が短縮できる。
ガラス板10は、SiOを88〜95質量%、TiOを5〜12質量%含むガラスで形成されてよい。TiO含有量が5〜12質量%であると、室温付近での線膨張係数が略ゼロであり、室温付近での寸法変化がほとんど生じない。
ガラス板10は、ガラス成分としてSiOおよびTiO以外の微量成分を含むガラスで形成されてもよいが、微量成分を含まないことが好ましい。
ガラス板10は、図2などに示すように、第1主面にメサ部13を有してよい。メサ部13の周囲は段差で囲まれ、メサ部13の表面13aにインプリント用の凹凸パターンが形成される。
ガラス板10は、図2などに示すように、第1主面とは反対側の第2主面12に凹部15を有してよい。凹部15の底面は蓋部16で覆われ、蓋部16における凹部15の底面とは反対側の面からメサ部13が突出する。
尚、凹部15は、凹凸パターン形成工程S11の後で形成されてもよい。
凹凸パターン形成工程S11は、例えば、図2に示すエッチング保護膜形成工程、図3に示すレジスト膜形成工程、図4に示す開口パターン形成工程、図5に示す1次エッチング工程、図6に示すレジスト膜除去工程、図7示す2次エッチング工程、および図8に示すエッチング保護膜除去工程を有する。
図2に示すエッチング保護膜形成工程では、凹凸パターンの形成用のエッチング保護膜51を形成する。エッチング保護膜51は、メサ部形成後の第1主面全体に形成されてよい。
エッチング保護膜51は、クロムまたはクロム化合物で形成されてよい。エッチング保護膜51は、多層膜であってもよく、例えばクロムまたはクロム化合物の薄膜と、タンタルまたはタンタル化合物の薄膜とで構成されてもよい。タンタルまたはタンタル化合物の薄膜の代わりに、ケイ素またはケイ素化合物の薄膜が用いられてもよい。エッチング保護膜51は、例えばスパッタリング法で形成される。
図3に示すレジスト膜形成工程では、エッチング保護膜51の上にレジスト膜52を成膜する。レジスト膜52は、本実施形態ではポジ型であるが、ネガ型でもよい。レジスト膜52は、例えばスピンコート法で形成される。
図4に示す開口パターン形成工程では、凹凸パターンに対応する開口パターンをレジスト膜52に形成する。レジスト膜52の開口パターンは、フォトリソグラフィ法、電子線リソグラフィ法、インプリント法などで形成される。
インプリント法で開口パターンを形成する場合、図3に示すレジスト膜形成工程において、インクジェット法などでレジスト液の液滴をドット状に塗布してもよい。
図5に示す1次エッチング工程では、開口パターン付きのレジスト膜52を用いて、エッチング保護膜51のエッチングを行う。エッチングは、ドライエッチング、ウェットエッチングのいずれでもよい。レジスト膜52の開口パターンに対応する開口パターンがエッチング保護膜51に形成される。
図6に示すレジスト膜除去工程では、不要になったレジスト膜52を除去する。
図7に示す2次エッチング工程では、開口パターン付きのエッチング保護膜51をエッチングマスクとして用いて、メサ部13の表面13aのエッチングを行う。エッチングは、ドライエッチング、ウェットエッチングのいずれでもよい。エッチング保護膜51の開口パターンに対応する凹凸パターンがメサ部13の表面13aに形成される。
図8に示すエッチング保護膜除去工程では、不要になったエッチング保護膜51を除去する。
尚、本実施形態では、エッチングマスクとして、エッチング保護膜51のみが用いられるが、エッチング保護膜51とレジスト膜52との積層膜、またはレジスト膜52のみが用いられてもよい。
洗浄工程S12(図1参照)では、ガラス板10を洗浄する。洗浄工程では、ガラス板10の表面のうち少なくとも凹凸パターンの形成部分を洗浄し、凹凸パターンの形成部分を活性化させる。
洗浄工程S12は、例えば、液相酸化による液相酸化洗浄工程を含む。液相酸化とは、液相中でガラス表面の有機物を酸化させることで除去することを意味する。液相酸化による洗浄としては、硫酸と過酸化水素を含む水溶液(SPM(Sulfuric Acid and Hydrogen Peroxide Mixture))、および、アンモニアと過酸化水素を含む水溶液(アンモニア過水)からなる少なくとも一種による洗浄が好ましい。
SPM洗浄では、SPM洗浄液中でガラス板10の表面に付着した有機物を除去し、ガラス板10の表面を活性化させる。SPM洗浄液は、例えば濃硫酸(濃度96質量%)と過酸化水素水(濃度30質量%)を混合した液を用いる。濃硫酸と過酸化水素水との体積比は、たとえば2:1〜8:1である。
SPM洗浄の後、アルカリ洗浄液による洗浄が行われてもよい。SPM洗浄においてガラス板10の表面に付着した硫酸イオンを除去できる。硫酸イオンを除去することで、大気中の対イオンとの結合を防止することができ、ガラス板10の表面の汚染を防止することができる。
アルカリ洗浄液としては、例えば無機アルカリと界面活性剤とを含む水溶液が好ましい。
アルカリ洗浄液のpHは8〜12が好ましい。アルカリ洗浄液のpHが8を下回ると硫酸イオンを除去できない可能性がある。一方、アルカリ洗浄液のpHが12より高くなるとガラス板がエッチングされてしまう恐れがある。ガラス板10がエッチングされると、ガラス板10の凹凸パターン幅が変化してしまう。アルカリ洗浄液のpHは9〜11がより好ましい。
アンモニア過水洗浄では、アンモニア過水中でガラス板10の表面に付着した有機物を分解して除去する。
乾燥工程S13(図1参照)では、洗浄工程S12の後のガラス板10を乾燥する。例えば、乾燥工程S13では、IPA(Isopropyl Alcohol)乾燥などが行われる。
尚、本実施形態の洗浄工程S12は、液相酸化による液相酸化洗浄工程を含むが、気相酸化による気相酸化洗浄工程を含んでもよく、液相酸化洗浄工程と気相酸化洗浄工程の両方を含んでもよい。気相酸化とは、気相中での酸化を意味する。気相酸化による洗浄としては、UV光、オゾン、および、Oプラズマから選ばれる少なくとも一種を用いた洗浄が好ましい。UV光による洗浄では、ガラス板10の表面にUV光を照射することにより、ガラス板10の表面に付着した有機物を分解して除去する。オゾン洗浄では、ガラス板10の表面にオゾンガスを吹き付けることで、ガラス板10の表面に付着した有機物を除去する。Oプラズマ洗浄では、ガラス板10の表面にOプラズマを照射することにより、ガラス板10の表面に付着した有機物を分解して(アッシングして)除去する。気相酸化による洗浄が行われる場合は、乾燥工程S13(図1参照)を省略してもよい。
尚、液相酸化洗浄工程では、複数種類の液相酸化が行われてもよい。また、気相酸化洗浄工程では、複数種類の気相酸化が行われてもよい。洗浄の組合せは多種多様であってよい。液相酸化または気相酸化による洗浄以外の洗浄を実施してもよい。
このようにして、凹凸パターン付きのガラス板10が得られる。凹凸パターン付きのガラス板10は、モールドとして用いられる。モールドの凹凸パターンは、多種多様であってよく、図9に示すラインアンドスペースのパターンに限定されない。
モールドの表面のうち凹凸パターンの形成部分は、洗浄工程S12によって活性化されており、68mJ/m以上、好ましくは70mJ/m以上の表面自由エネルギーを有する。モールドの凹凸パターンの形成部分は、好ましくは100mJ/m以下の表面自由エネルギーを有してよい。表面自由エネルギーが68mJ/mより低い場合、気泡の消失スピードが遅くなる。表面自由エネルギーが100mJ/mより高い場合、転写材との密着性が高くなり、転写材の固化後、モールドに転写材が強固に結合し、モールドが破損する確率が高くなる。
モールドの表面自由エネルギーは、Kaelble−Uy法により求める。Kaelble−Uy法によれば、表面自由エネルギーγは分散成分γと極性成分γとの和から求められ、液体の表面自由エネルギーγと、固体の表面自由エネルギーγと、接触角θとの関係は下記式(1)で表される。
Figure 2016022590
上記式(1)において、下付きの添字「S」は固体を、下付きの添字「L」は液体を、上付きの添字「d」は分散成分を、上付きの添字「p」は極性成分をそれぞれ表す。分散成分および極性成分が既知の液体を2種類用いて、それぞれの接触角θを測定し、連立方程式を解くことにより、固体の表面自由エネルギーγが求められる。
液体の表面自由エネルギー、その分散成分、およびその極性成分を表1に示す。接触角θの測定には、液体として、水とホルムアミドが用いられる。
Figure 2016022590
尚、本実施形態のモールドは、凹凸パターン付きのガラス板10で構成されるが、凹凸パターン付きのガラス板10と、コート層とで構成されてもよい。コート層は、凹凸パターンの形成部分に形成され、例えば酸化物などで形成される。この場合、コート層の表面自由エネルギーが68mJ/m以上とされる。
図10は、本発明の一実施形態によるモールドを用いたインプリント方法を示す図である。インプリント方法は、洗浄工程S21と、乾燥工程S22と、転写工程S23とを有する。
洗浄工程S21は、転写工程S23の前に行われる。洗浄工程S21では、図1に示す洗浄工程S12と同様の方法を実施することで、ガラス板10の表面のうち少なくとも凹凸パターンの形成部分を洗浄し、凹凸パターンの形成部分を活性化させる。
図1に示す洗浄工程S12から転写工程S23までの時間が長い場合、転写工程S23が繰り返し行われる場合など、凹凸パターンの形成部分が汚染される場合に、図10に示す洗浄工程S21が行われ、凹凸パターンの形成部分が再度活性化される。尚、図1に示す洗浄工程S12から転写工程S23までの時間が短い場合など、凹凸パターンの形成部分が十分に活性化されている場合、図10に示す洗浄工程S21は不要である。
乾燥工程S22は、洗浄工程S21の後、転写工程S23の前に行われる。乾燥工程S22では、洗浄工程S21の後のガラス板10を乾燥する。例えば、乾燥工程S22では、IPA(Isopropyl Alcohol)乾燥などが行われる。
転写工程S23では、図11に示すようにモールドとしてのガラス板10と基材60との間に転写材70を挟み、ガラス板10の凹凸パターンを転写材70に転写する。転写材70の凹凸パターンは、ガラス板10の凹凸パターンが略反転したものとなる。
ガラス板10と基材60とを挟む圧力(インプリント圧力)は、例えば0.01〜1MPa、好ましくは0.05〜0.5MPaである。インプリント圧力が1MPa以下であると、基材60の変形やガラス板10の破損のリスクが低減できる。インプリント圧力が0.05MPa以上であると、凹凸パターンの転写性が良い。
基材60としては、例えばシリコンウエハが用いられる。シリコンウエハは素子、回路、端子などが形成されたものであってよく、シリコンウエハに形成された素子などに転写材70が塗布されてよい。尚、基材60として、ガラス板、セラミック板、樹脂板、金属板などが用いられてもよい。
転写材70としては、例えば光硬化性樹脂が用いられる。光硬化性樹脂は、光インプリント法に用いられる一般的なものが使用できる。
転写材70は、液体の状態でガラス板10と基材60との間に挟まれ、その状態で固化される。固化の方法は、転写材70の種類に応じて適宜選択される。転写材70が光硬化性樹脂の場合、光(例えば紫外線)が用いられる。
光硬化性樹脂は、光の照射によって液体から固体に変化する。光硬化性樹脂は非ニュートン流体や粘弾性を有する液体であってもよい。光は、ガラス板10を透過して転写材70に照射されてよい。尚、基材60が光透過性を有する場合、基材60側から転写材70に光が照射されてもよく、この場合、ガラス板10は光透過性を有しなくてもよい。ガラス板10と基材60の両側から転写材70に光が照射されてもよい。
光インプリント法では、室温での成型が可能であり、ガラス板10と基材60との線膨張係数差による歪みが発生しにくく、転写精度が良い。尚、硬化反応の促進のため、光硬化性樹脂は加熱されてもよい。
尚、本実施形態では、光インプリント法が用いられるが、熱インプリント法が用いられてもよい。熱インプリント法の場合、転写材70として、熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂は、加熱によって溶融し、冷却によって固化する。熱硬化性樹脂は、加熱によって液体から固体に変化する。熱硬化性樹脂は非ニュートン流体や粘弾性を有する液体であってもよい。
転写材70の固化後、転写材70とガラス板10とが分離される。転写材70を固化してなる凹凸層と、基材60とで構成される製品が得られる。製品の凹凸パターンは、ガラス板10の凹凸パターンが略反転したものである。
図11に示すように、ガラス板10と基材60との間に転写材70を挟む際、ガラス板10に外力を加えることで、蓋部16が弾性的に撓み、メサ部13の表面13aが基材60に向けて凸の曲面に変形される。メサ部13と基材60との間の気体が逃げやすく、気体の閉じ込めが抑制できる。
メサ部13の表面13aが基材60に向けて凸の曲面に変形するように、例えば、ガラス板10の外周面や凹部15の底面が押圧される。凹部15の底面は、凹部15内に形成されるガス室の気圧で押圧されてよい。
メサ部13の表面13aの変形は、転写材70の固化前に解除されてよく、固化した転写材70とガラス板10とを剥離する際に再び行われてよい。転写材70の外周から中心に向けて順次剥離を行うことができる。
ところで、転写工程において、ガラス板10と基材60との間に気泡を巻き込むことがある。気泡内の気体が液体である転写材70に溶け込むことにより、気泡が消失する。
一般的に、気泡が液体に取り囲まれ液体のみと接触する場合、液体の外気圧をP0、液体中に存在する気泡の気圧をP、液体中に存在する気泡の直径をD、液体の表面自由エネルギーをγとすると、下記式(2)が成立する。下記式(2)はYoung−Laplaceの式と呼ばれる。
Figure 2016022590
上記式(2)から明らかなように、液体の表面自由エネルギーγが大きいほど、液体中に存在する気泡の気圧Pが高い。
また、転写工程S23において生じる気泡は、液体である転写材70だけでなく、固体である基材60やガラス板10と接触する。そのため、ガラス板10の表面自由エネルギーが大きいほど、転写工程S23において生じる気泡の気圧が高い。
本実施形態によれば、特定の洗浄によってガラス板10の凹凸パターンの形成部分が活性化されの表面自由エネルギーが68mJ/m以上とされる。この場合、気泡内の気体のモル数が同じ場合、気泡の気圧が従来よりも高い。
一方、気泡内の気体は、ヘンリーの法則に従って液体に溶解する。ヘンリーの法則によれば、気体の気圧が高いほど、気体の液体への溶解度が大きく、気体が液体に溶解しやすい。本実施形態において、気泡の気圧が従来よりも高いので、気泡内の気体が転写材70に溶解しやすく、気泡の消失時間が短縮でき、スループットが改善できる。
実施例1〜5および比較例1〜3では、ガラス板の表面自由エネルギーと、気泡の消失時間との関係を調べた。
実施例1では、ガラス板として、SiOガラス板をSPM洗浄後アルカリ洗浄し、IPA乾燥したものを用意した。SPM洗浄液としては、濃硫酸(濃度96質量%)と過酸化水素水(濃度30質量%)を体積比4:1で混合したものを用いた。アルカリ洗浄液としては、弱塩基性の界面活性剤を主成分とする花王社製CT−703を水で20倍に希釈したもの(pH10.0)を用いた。
実施例2では、SiOガラス板の代わりに、TiO−SiOガラス板を用いた以外、実施例1と同様にしてガラス板を用意した。TiO−SiOガラス板は、TiOを7質量%、SiOを93質量%含むものを用いた。尚、以下の実施例3−実施例5では、実施例2と同じ組成のTiO−SiOガラス板を使用した。
実施例3では、ガラス板として、TiO−SiOガラス板をアンモニア過水洗浄後、IPA乾燥したものを用いた。アンモニア過水洗浄液としては、アンモニア水溶液(濃度28質量%)と過酸化水素水(濃度30質量%)、純水を体積比1:1:5で混合したものを用いた。
実施例4では、ガラス板として、TiO−SiOガラス板に対しUV洗浄を行い、次いで純水超音波洗浄し、IPA乾燥したものを用いた。UV洗浄には、波長172nmのエキシマUVランプを用いた。UV光の照射時間は60秒とした。
実施例5では、ガラス板として、TiO−SiOガラス板をOプラズマ洗浄し、純水超音波洗浄し、IPA乾燥したものを用いた。TiO−SiOガラス板は、Oプラズマ洗浄の時間は5分間とした。
比較例1では、アルカリ洗浄の前にSPM洗浄を実施しない以外、実施例1と同様にしてガラス板を用意した。
比較例2では、アルカリ洗浄の前にSPM洗浄を実施しない以外、実施例2と同様にしてガラス板を用意した。
比較例3では、アルカリ洗浄後、200℃で加熱処理を実施した以外、比較例1と同様にしてガラス板を用意した。加熱処理により、ガラス板の表面のOH基が脱水反応によって減少し、ガラス板の表面自由エネルギーが低下する。
実施例1〜5および比較例1〜3では、それぞれ、ガラス板を2枚ずつ用意し、表面自由エネルギーの測定と、気泡の消失時間の測定とに供した。これらの測定に対する凹凸パターンの影響を排除するため、両主面が平坦なガラス板を用意した。
各ガラス板の表面自由エネルギーは、水とホルムアミドのそれぞれの接触角を測定し、それぞれの測定値を式(1)に代入し、連立方程式を解くことにより求めた。接触角は、湿度55〜65%、温度24℃のクリーンルーム内で全自動接触角計(協和界面科学社製、DM700)により測定した。全自動接触角計は、ガラス板の表面に1μLの液滴を滴下し、液滴の滴下から30秒後の接触角をθ/2フィッティング法により求める。
気泡の消失時間は、Heガス雰囲気中でガラス板とシリコンウエハとで試験液を挟み込み、ガラス板とシリコンウエハと試験液とに囲まれる気泡が時間の経過と共に小さくなる様子をCCDカメラによりその場観察することにより測定した。
試験液としては、UV硬化性樹脂を用いた。UV硬化性樹脂は、重合性化合物、重合開始剤、離型剤、重合禁止剤を含む。重合禁止剤を適切な量配合することで硬化感度を維持しつつ経時による粘度変化が抑制できる。
具体的には、先ず下記の重合性化合物(A−1)を23質量%、下記の重合性化合物(A−2)を73質量%、下記の重合開始剤(B)を2質量%、下記の離型剤(C)を2質量%の割合で混ぜて、混合液を調製した。重合性化合物(A−1)は、ネオペンチルグリコールジアクリレート(共栄社化学社製、ライトアクリレートNP−A)である。重合性化合物(A−2)は、α,α'−ジクロロ−m−キシレンとアクリル酸より合成したものである。重合開始剤(B)は、BASF社製のイルガキュア 819である。離型剤(C)の調製では、アクリル酸3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル20.9gと、ジ(2−メトキシエチル)アミン8.1gとを混合し、50℃で24時間反応させた。得られた反応混合物に、酢酸エチル150mLと、水150mLとを加え、分液抽出を行った。有機層を減圧濃縮することで、離型剤(C)を得た。
重合禁止剤は、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル(東京化成社製)である。上記混合液100質量%に対して上記重合禁止剤を外割で200ppm(0.02質量%)加え、これを0.1μmのPTFE製フィルターでろ過したものを試験液として用いた。
試験液は、インクジェットプリンターを用いて、ガラス板の主面に塗布した。試験液は、ガラス板の主面上に、点線状の縦線、点線状の横線を形成する。横線同士のピッチ、および縦線同士のピッチは1mmとした。
これらの縦線および横線は、ガラス板とシリコンウエハとで試験液を挟みこむことにより、点線から連続線に変わる。そうして、縦線と横線とで四方を囲まれる気泡が形成される。実施例1〜5および比較例1〜3において、気泡内の気体のモル数が略一定となる。
気泡の消失時間は、明昌機工製ナノインプリンターを用いて、ガラス板とシリコンウエハとを0.25MPaで加圧し、その状態で気泡が時間の経過と共に小さくなる様子をCCDカメラによりその場観察することにより測定した。CCDカメラは、ナノインプリンターのUVランプ用のソケットに取り付けた。尚、0.25MPaまでの昇圧時間は3秒とした。
実験の結果を表2に示す。
Figure 2016022590
表2から明らかなように、実施例1〜5では、SPM洗浄、アルカリ過水洗浄、UV洗浄、Oプラズマ洗浄のいずれかを実施したため、ガラス板の表面自由エネルギーが68mJ/m以上であり、気泡の消失時間が短かった。一方、比較例1〜3では、SPM洗浄、アルカリ過水洗浄、UV洗浄またはOプラズマ洗浄のいずれも実施しなかったため、ガラス板の表面自由エネルギーが68mJ/m未満であり、気泡の消失時間が短かった。特に比較例3では、アルカリ洗浄後に加熱処理を行ったため、ガラス板の表面自由エネルギーが低く、気泡の消失時間が長かった。
以上、インプリント用のモールド、その製造方法、インプリント方法の実施形態などについて説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
10 ガラス板
11 第1主面
12 第2主面
13 メサ部
13a メサ部の表面
15 凹部
16 蓋部
20 フォトマスク
51 凹凸パターンの形成用のエッチング保護膜
52 凹凸パターンの形成用のレジスト膜
60 基材
70 転写材

Claims (13)

  1. 基材との間に転写材を挟み、該転写材に凹凸パターンを転写するインプリント用のモールドであって、
    前記モールドの表面のうち前記凹凸パターンの形成部分の表面自由エネルギーが68mJ/m以上である、インプリント用のモールド。
  2. 前記モールドは、SiOを85質量%以上含むガラスを含む、請求項1に記載のインプリント用のモールド。
  3. 前記ガラスはTiOを含む、請求項2に記載のインプリント用のモールド。
  4. 前記モールドは、液相酸化による洗浄および/または気相酸化による洗浄がなされたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインプリント用のモールド。
  5. 前記液相酸化による洗浄は、硫酸と過酸化水素を含む溶液、および、アンモニアと過酸化水素を含む溶液から選ばれる少なくとも一種を用いて行われ、
    前記気相酸化による洗浄は、UV光、オゾン、およびOプラズマから選ばれる少なくとも一種を用いて行われる、請求項4に記載のインプリント用のモールド。
  6. 基材との間に転写材を挟み、該転写材に凹凸パターンを転写するインプリント用のモールドの製造方法であって、
    前記凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程と、
    該凹凸パターン形成工程の後に、前記モールドの表面のうち少なくとも前記凹凸パターンの形成部分を洗浄する洗浄工程を有し、
    該洗浄工程が液相酸化による液相酸化洗浄工程および/または気相酸化による気相酸化洗浄工程を含む、インプリント用のモールドの製造方法。
  7. 前記液相酸化洗浄工程は、硫酸と過酸化水素を含む溶液、および、アンモニアと過酸化水素を含む溶液から選ばれる少なくとも一種を用いて行われ、
    前記気相酸化洗浄工程は、UV光、オゾン、およびOプラズマから選ばれる少なくとも一種を用いて行われる、請求項6に記載のインプリント用のモールドの製造方法。
  8. 前記モールドは、SiOを85質量%以上含むガラスを含む、請求項6または7に記載のインプリント用のモールドの製造方法。
  9. 前記ガラスはTiOを含む、請求項8に記載のインプリント用のモールドの製造方法。
  10. モールドと基材との間に転写材を挟み、前記モールドの凹凸パターンを前記転写材に転写するインプリント方法であって、
    前記モールドの凹凸パターンを前記転写材に転写する前に、前記モールドの表面のうち少なくとも前記凹凸パターンの形成部分を洗浄する洗浄工程を有し、
    該洗浄工程が液相酸化による液相酸化洗浄工程および/または気相酸化による気相酸化洗浄工程を含む、インプリント方法。
  11. 前記液相酸化洗浄工程は、硫酸と過酸化水素を含む溶液、および、アンモニアと過酸化水素を含む溶液から選ばれる少なくとも一種を用いて行われ、
    前記気相酸化洗浄工程は、UV光、オゾン、およびOプラズマから選ばれる少なくとも一種を用いて行われる、請求項10に記載のインプリント方法。
  12. 前記モールドは、SiOを85質量%以上含むガラスを含む、請求項11に記載のインプリント方法。
  13. 前記ガラスはTiOを含む、請求項12に記載のインプリント方法。
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