JP2016022460A - 海水淡水化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気エネルギを必要としない海水淡水化装置を提供する。【解決手段】海水から塩分を除去して淡水を取り出す海水淡水化装置100は、波力によって動作するフラッパ11と、フラッパ11の動作によって駆動されて海水中に設けられる給水口13からポンプ作用によって海水を吸い上げる水圧ポンプ12と、水圧ポンプ12によって吸い上げられた海水の一部が通過する際にこの海水から塩分を除去して淡水化する逆浸透膜5と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、海水から塩分を除去した淡水を取り出す海水淡水化装置に関するものである。
従来から、水圧ポンプによって加圧された海水を、塩分を除去する逆浸透膜に送り、淡水を取り出す海水淡水化装置が用いられている。
特許文献1には、逆浸透膜によって濾過されずに排出される海水の圧力によって回転駆動される水圧モータを備える海水淡水化装置が開示されている。この海水淡水化装置では、水圧ポンプの回転軸に直結される駆動軸を有する駆動モータと、排出される海水のエネルギによって回転駆動される水圧モータとによって水圧ポンプを駆動している。
特開2011−83741号公報
しかしながら、特許文献1に記載の海水淡水化装置では、海水から淡水を取り出す際に、水圧ポンプを駆動モータで駆動するため、電気エネルギを必要とする。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、電気エネルギを必要としない海水淡水化装置を提供することを目的とする。
本発明は、海水から塩分を除去して淡水を取り出す海水淡水化装置であって、波力によって動作する可動部と、前記可動部の動作によって駆動されて海水中に設けられる給水口からポンプ作用によって海水を吸い上げる給水器と、前記給水器によって吸い上げられた海水の一部が通過する際にこの海水から塩分を除去して淡水化する逆浸透膜と、を備えることを特徴とする。
本発明では、波力によって可動部が動作すると、その動作によって給水器が駆動される。そして、給水器のポンプ作用によって海水が吸い上げられ、逆浸透膜へと供給される。したがって、自然エネルギを利用して海水を汲み上げることができるため、電気エネルギを必要としない海水淡水化装置を提供することができる。
本発明の第一の実施の形態に係る海水淡水化装置の構成図である。 本発明の第二の実施の形態に係る海水淡水化装置の構成図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
(第一の実施の形態)
以下、図1を参照して、本発明の第一の実施の形態に係る海水淡水化装置100について説明する。
まず、図1を参照して、海水淡水化装置100の全体構成について説明する。
海水淡水化装置100は、海水から塩分を除去して淡水を取り出す装置である。海水淡水化装置100は、波力によって動作する可動部としてのフラッパ11と、フラッパ11の動作によって駆動されてポンプ作用によって海水を吸い上げる給水器としての水圧ポンプ12と、水圧ポンプ12から吐出された海水の一部が通過する際にこの海水から塩分を除去して淡水化する逆浸透膜5と、を備える。
フラッパ11の基端は、水圧ポンプ12の回転軸に固定される。フラッパ11の自由端は、海水中から海水面上に突出して設けられる。フラッパ11は、波力によって揺動する。これに限らず、海上に浮かんでいて波力によって上下動する浮体など、波力によって動作する他のものを可動部として用いてもよい。
水圧ポンプ12は、海水中に配設される。そのため、水圧ポンプ12や供給通路3の配管等には、防錆性の高いステンレス鋼などが使用される。水圧ポンプ12は、海水中に設けられる給水口13から吸い込んだ海水を供給通路3に吐出する。水圧ポンプ12は、フラッパ11が一方向に揺動したときに順方向に回転駆動され、フラッパ11が他方向に揺動したときに逆方向に回転駆動される。水圧ポンプ12には、順方向と逆方向とのいずれに回転駆動された場合にも給水口13から吸い込んだ海水を供給通路3に吐出可能なブリッヂ回路14が設けられる。
ブリッヂ回路14は、フラッパ11が一方向(図1では右方向)に揺動したときに給水口13を通じて水圧ポンプ12に吸い込まれる海水によって開かれる逆止弁14aと、水圧ポンプ12から吐出される圧縮海水によって開かれる逆止弁14bと、を備える。また、ブリッヂ回路14は、フラッパ11が他方向(図1では左方向)に揺動したときに給水口13を通じて水圧ポンプ12に吸い込まれる海水によって開かれる逆止弁14cと、水圧ポンプ12から吐出される圧縮海水によって開かれる逆止弁14dと、を備える。
逆浸透膜5は、水を通す一方、塩類など水以外の不純物を透過させない性質を持つ濾過膜である。逆浸透膜5の上流には、水圧ポンプ12から吐出された海水が導かれる上流側室6が設けられる。逆浸透膜5の下流には、下流側室7が設けられる。下流側室7は、淡水を貯水可能な淡水タンク(図示省略)に淡水通路8を介して連結される。
上流側室6には、供給通路3と、逆浸透膜5によって濾過されなかった濃縮海水を還流する排出通路4とが連結される。排出通路4は、供給通路3と比較して下流の位置にて上流側室6と連結される。これにより、供給通路3から上流側室6に供給された海水のうち、逆浸透膜5によって濾過されなかった濃縮海水は、排出通路4を通じて海へと還流される。
海水淡水化装置100は、逆浸透膜5を通過しないで還流される濃縮海水によって駆動される水圧モータ21と、水圧モータ21によって駆動されて発電する発電機23と、を備える。
水圧モータ21は、排出通路4に設けられる。水圧モータ21は、上流側室6から排出された濃縮海水の圧力によって回転し、発電機23を回転駆動する。水圧モータ21には、その回転速度を検出する回転速度検出器22が設けられる。
発電機23は、濃縮海水の圧力を電気エネルギに変換して送電通路24を通じて取り出す。発電機23によって発電された電気は、蓄電部(図示省略)に蓄電される。
海水淡水化装置100は、水圧ポンプ12によって吸い上げられた海水の圧力変動を安定させるアキュムレータ31と、水圧ポンプ12によって吸い上げられた海水の流量を調整する流量調整バルブ32と、流量調整バルブ32を開閉制御するコントローラ30と、を備える。
アキュムレータ31は、水圧ポンプ12から吐出される圧縮海水の脈動を吸収する。具体的には、アキュムレータ31は、フラッパ11の揺動速度が比較的速い場合に、水圧ポンプ12から吐出された圧縮海水のうち余剰分を畜圧する。一方、アキュムレータ31は、フラッパ11の揺動速度が比較的遅い場合に、予め畜圧されている圧縮海水を供給通路3に合流させる。これにより、供給通路3から逆浸透膜5に供給される圧縮海水の圧力を略一定に調整することができる。
流量調整バルブ32は、ソレノイド32aによって開閉される。ソレノイド32aは、コントローラ30によって切換制御される。流量調整バルブ32は、供給通路3から逆浸透膜5に供給される圧縮海水の流量を調整する。
流量調整バルブ32は、水圧ポンプ12と逆浸透膜5との間に配設される。これに限らず、水圧モータ21に供給される濃縮海水の流量を調整できればよいため、流量調整バルブ32を逆浸透膜5と水圧モータ21との間に配設してもよい。
コントローラ30は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラム等を予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。
コントローラ30には、水圧モータ21の回転速度検出器22から回転速度に応じた電気信号が入力される。コントローラ30は、回転速度検出器22が検出した水圧モータ21の回転速度と、発電機23が発電する必要のある電力量に応じて設定される目標回転数と、に基づいてソレノイド32aを切り換える。
なお、海水淡水化装置100では、フラッパ11,水圧ポンプ12,給水口13,及びブリッヂ回路14は、海水中に設けられ、それ以外の構成は、陸上又は海上に設けられる。
次に、海水淡水化装置100の作用について説明する。
波力によってフラッパ11が揺動すると、水圧ポンプ12は、給水口13からポンプ作用によって海水を汲み上げて吐出する。このとき、水圧ポンプ12は、フラッパ11が揺動する方向に応じて順方向と逆方向とに交互に圧縮海水を吐出するが、ブリッヂ回路14が設けられるため、いずれの方向に吐出された圧縮海水も供給通路3へ導かれる。
水圧ポンプ12から吐出された圧縮海水の圧力が必要な圧力よりも低い場合には、アキュムレータ31に予め畜圧されていた圧縮海水が供給通路3を流れる圧縮海水に合流する。一方、水圧ポンプ12から吐出された圧縮海水の圧力が必要な圧力よりも高い場合には、圧縮海水のうち余剰分をアキュムレータ31に畜圧する。これにより、水圧ポンプ12から吐出される圧縮海水の脈動が吸収される。
ソレノイド32aに電気信号が入力されて流量調整バルブ32が開状態に切り換えられると、供給通路3を流れる圧縮海水が逆浸透膜5の上流側室6に供給される。上流側室6に供給された海水は、供給通路3から排出通路4に向かって、逆浸透膜5に沿って流れる。
水圧ポンプ12の吐出圧によって上流側室6内の水圧が上昇すると、海水の一部が逆浸透膜5を通過する。このとき、逆浸透膜5は、海水中の塩類などの不純物を透過させないで濾過する。逆浸透膜5によって濾過された透過水は、下流側室7から淡水通路8を通じて取り出され、淡水タンクに貯水される。これにより、海水から塩類などの不純物を除去して淡水を精製することができる。
このように、波力によってフラッパ11が動作すると、その動作によって水圧ポンプ12が駆動される。そして、水圧ポンプ12のポンプ作用によって海水が吸い上げられ、逆浸透膜5へと供給される。したがって、自然エネルギを利用して海水を汲み上げることができるため、海水淡水化装置100は、電気エネルギを必要としない。
上流側室6では、供給通路3から排出通路4に向けて海水が常に流れているため、不純物の滞留が防止される。また、上流側室6内では、海水が逆浸透膜5に沿って流れるため、逆浸透膜5に不純物が付着することが防止される。
逆浸透膜5によって濾過されなかった濃縮海水は、上流側室6から排出通路4を通じて海中に還流される。このとき、排出通路4を流れる濃縮海水によって、水圧モータ21が回転駆動される。
水圧モータ21が回転すると、発電機23が回転駆動される。これにより、海水淡水化装置100では、海水を淡水化するだけでなく、発電をすることもできる。
波力発電では、波力を利用して油圧ポンプが作動油を吐出し、その作動油によって油圧モータを回転駆動するのが一般的である。これに対して、海水淡水化装置100では、波力を利用して水圧ポンプ12が圧縮海水を吐出し、その圧縮海水によって水圧モータ21を回転駆動する。よって、作動油を使用しないため、作動油の交換などのメンテナンスが不要となる。また、作動油を使用する場合に海水の汚染を防止するために必要な高度な漏れ対策や衛生対策等の必要もなくなる。したがって、装置全体の小型化及びコストダウンが可能である。
以上の第一の実施の形態によれば、以下に示す効果を奏する。
波力によってフラッパ11が動作すると、その動作によって水圧ポンプ12が駆動される。そして、水圧ポンプ12のポンプ作用によって海水が吸い上げられ、逆浸透膜5へと供給される。したがって、自然エネルギを利用して海水を汲み上げることができるため、海水淡水化装置100は、電気エネルギを必要としない。
水圧モータ21が回転すると、発電機23が回転駆動される。これにより、海水淡水化装置100では、海水を淡水化するだけでなく、発電をすることもできる。
これにより、例えば、電力の供給網が整備されていない離島や、災害によって一時的に電力の供給が困難となった被災地などで、波力エネルギによって淡水と電気とを供給することが可能となる。したがって、離島では、生活インフラの提供が可能となり、被災地では、非常用の水と電気とを確保することが可能となる。
(第二の実施の形態)
以下、図2を参照して、本発明の第二の実施の形態に係る海水淡水化装置200について説明する。なお、第二の実施の形態では、前述した第一の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
第二の実施の形態は、水圧ポンプ12に代えて水圧シリンダ212が給水器として適用される点で、第一の実施の形態とは相違する。
海水淡水化装置200は、波力によって動作する可動部としてのフラッパ211と、フラッパ211の動作によって駆動されてポンプ作用によって海水を吸い上げる給水器としての水圧シリンダ212と、水圧シリンダ212から排出された海水の一部が通過する際に塩分を除去して淡水化する逆浸透膜5と、を備える。
フラッパ211の基端は、海底に回動可能に固定される。フラッパ211の自由端は、海水中から海水面上に突出して設けられる。フラッパ211は、波力によって揺動する。
水圧シリンダ212は、シリンダ本体212aと、シリンダ本体212a内にピストン側室212c及びロッド側室212dを画成するピストン212bと、ピストン212bに連結されてシリンダ本体212aの外部へ延在するピストンロッド212eと、を備える。
水圧シリンダ212は、波力によってフラッパ211が揺動することで伸縮し、給水口13からポンプ作用によってピストン側室212c又はロッド側室212dに吸い込まれた海水を供給通路3に排出する。
シリンダ本体212aは、海底に回動可能に固定される。ピストンロッド212eは、フラッパ211に連結される。これにより、フラッパ211が揺動すると、ピストンロッド212eが伸縮する。
なお、海水淡水化装置200では、フラッパ211,水圧シリンダ212,給水口13,及びブリッヂ回路14は、海水中に設けられ、それ以外の構成は、陸上又は海上に設けられる。
フラッパ211が一方向(図2では右方向)に揺動すると、給水口13から逆止弁14aを通じてピストン側室212cに海水が吸い込まれるとともに、ロッド側室212d内の海水が逆止弁14bを通じて供給通路3に供給される。一方、フラッパ211が他方向(図2では左方向)に揺動すると、給水口13から逆止弁14cを通じてロッド側室212dに海水が吸い込まれるとともに、ピストン側室212c内の海水が逆止弁14dを通じて供給通路3に供給される。
このように、第二の実施の形態によれば、波力によってフラッパ211が動作すると、その動作によって水圧シリンダ212が伸縮する。そして、水圧シリンダ212のポンプ作用によって海水が吸い上げられ、逆浸透膜5へと供給される。よって、水圧シリンダ212を用いた場合にも、水圧ポンプ12を用いた場合と同様に、自然エネルギを利用して海水を汲み上げることができる。したがって、海水淡水化装置200もまた、海水淡水化装置100と同様の効果を奏する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
100 海水淡水化装置
200 海水淡水化装置
3 供給通路
4 排出通路
5 逆浸透膜
11 フラッパ(可動部)
12 水圧ポンプ(給水器)
13 給水口
14 ブリッヂ回路
21 水圧モータ
23 発電機
32 流量調整バルブ
211 フラッパ(可動部)
212 水圧シリンダ(給水器)

Claims (3)

  1. 海水から塩分を除去して淡水を取り出す海水淡水化装置であって、
    波力によって動作する可動部と、
    前記可動部の動作によって駆動されて海水中に設けられる給水口からポンプ作用によって海水を吸い上げる給水器と、
    前記給水器によって吸い上げられた海水の一部が通過する際にこの海水から塩分を除去して淡水化する逆浸透膜と、を備えることを特徴とする海水淡水化装置。
  2. 前記逆浸透膜を通過しなかった濃縮海水によって駆動される水圧モータと、
    前記水圧モータによって駆動されて発電する発電機と、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の海水淡水化装置。
  3. 前記給水器は、波力によって前記可動部が揺動することで回転駆動され前記給水口から吸い込んだ海水を吐出する水圧ポンプ、又は波力によって前記可動部が揺動することで伸縮し前記給水口から吸い込んだ海水を排出する水圧シリンダであることを特徴とする請求項1又は2に記載の海水淡水化装置。
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