JP2016022026A - 吸引装置 - Google Patents

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JP2016022026A JP2014146471A JP2014146471A JP2016022026A JP 2016022026 A JP2016022026 A JP 2016022026A JP 2014146471 A JP2014146471 A JP 2014146471A JP 2014146471 A JP2014146471 A JP 2014146471A JP 2016022026 A JP2016022026 A JP 2016022026A
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雅好 横山
Masayoshi Yokoyama
雅好 横山
岩本 幸治
Koji Iwamoto
幸治 岩本
孝 政岡
Takashi Masaoka
孝 政岡
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Ehime University NUC
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Abstract

【課題】気体とともに腹腔内の液体を吸引しても、腹腔内のガスの量の変動を抑えることができる吸引装置を提供する。
【解決手段】腹腔内の気体および/または液体を吸引する装置であって、腹腔内に挿入される吸引手段2と、吸引手段2と連通され吸引手段2内に腹腔内よりも低い圧力を発生させうる差圧発生手段6と、差圧発生手段6と吸引手段2との間に設けられる気液分離手段5と、気液分離手段5によって分離された気体を腹腔内に戻す気体返送手段7と、を備えている。気体とともに液体を腹腔内から吸引しても、腹腔内の気体の量をほぼ同量に維持することができる。しかも、腹腔内から吸引した気体を再利用できるので、施術の際に使用する気体の量を少なくすることもできる。
【選択図】図1

Description

本発明は、吸引装置に関する。さらに詳しくは、腹腔鏡による手術において、腹腔内の液体を吸引除去するための吸引装置に関する。
近年、低侵襲の手術として、腹腔鏡手術が広く行われている。腹腔鏡手術では、患者の体に複数の穴を形成し、その穴から腹腔内に手術部位を視認するための内視鏡やメスや鉗子などの器具を挿入する。そして、内視鏡によって手術部位を確認しながら、器具によって施術を実施する。そして、この腹腔鏡手術では、患者の体には複数の穴しか形成されておらず、腹腔内はほぼ閉鎖された空間となっている。このため内視鏡の視野や施術のための空間を確保するために、腹腔内には炭酸ガスが供給され、この炭酸ガスによって腹腔を膨らませている。
ところで、電気メスなどによる施術では、通電によって患部が焼切られるので、患部の切創と止血を同時に行うことができるようになっている。かかる、電気メスなどによって患部が焼切られた際には、煙が発生する。すると、開腹手術と異なり、腹腔鏡手術では、腹腔内に煙が閉じ込められてしまい、術野が見えなくなってしまう状況が生じる。このような状況になった場合には、吸引器具によって腹腔内の空気(炭酸ガス)とともに煙を吸引することによって、術野を見えるようにすることが行われる。
しかるに、吸引器具によって腹腔内の空気(炭酸ガス)とともに煙を吸引すると、腹腔内の炭酸ガスが減少して、腹腔が萎んでしまう状態となる。つまり、内視鏡の視野や術野が確保できなくなってしまう。術野を確保するためには、炭酸ガスを追加供給して、腹腔を再び膨らませなければならない。このように、吸引と炭酸ガスの供給を交互に調整することによって、腹腔鏡の手術は行われている。
しかし、吸引と炭酸ガスの供給の操作を施術者が行った場合、施術者は常に腹腔内に供給する炭酸ガスの量を意識しながら施術をしなければならないので、施術者の負担が大きい。また、腹腔が萎んでから再び膨らむまでにタイムラグが生じるため、施術の効率が低下し、施術時間が長くなってしまい、患者および施術者の負担が大きくなる。
そこで、腹腔内の空気が吸引された場合に、自動で炭酸ガスを腹腔に供給して、腹腔の萎みを抑える技術が開発されている(例えば、特許文献1、2)。
これらの特許文献では、吸引された炭酸ガスの流量を測定しその流量に基づいて供給する炭酸ガスの流量を調整したりすることによって、腹腔内の炭酸ガスの量が大きく変動しないように制御している。これらの技術を採用すれば、施術者が腹腔に供給する炭酸ガスの量を意識することなく施術できるので、施術者の負担を軽減することができる。しかも、施術者が供給する炭酸ガスの量を制御するよりもレスポンスよく炭酸ガスを供給できるので、腹腔の萎みや膨みを抑えることができ、施術の効率も向上する。
特開平5−329164号公報 特開2012−139519号公報
しかるに、上記技術はあくまでも、気体のみを吸引する場合を想定しており、気体とともに液体を吸引する状況は全く想定されていない。例えば、施術の際には、予定外の出血などが生じると、その出血によって術部が見えなくなる可能性がある。この場合には、血液を吸引して術部が見えるようにするのであるが、血液を吸引する際に、血液とともに腹腔内の炭酸ガスも吸引される。この場合も、上述した場合と同様に、炭酸ガスの減少により腹腔が萎んでしまう。しかも、液体とともに気体を吸引した場合には、吸引した気体の流量を正確に測定できないので、上記技術では、腹腔内の気体の量を一定の状態に維持することはできない。
本発明は上記事情に鑑み、気体とともに腹腔内の液体を吸引しても、腹腔内のガスの量の変動を抑えることができる吸引装置を提供することを目的とする。
第1発明の吸引装置は、腹腔内の気体および/または液体を吸引する装置であって、腹腔内に挿入される吸引手段と、該吸引手段と連通され吸引手段内に腹腔内よりも低い圧力を発生させうる差圧発生手段と、該差圧発生手段と吸引手段との間に設けられる気液分離手段と、該気液分離手段によって分離された気体を腹腔内に戻す気体返送手段と、を備えていることを特徴とする。
第2発明の吸引装置は、気体および/または液体を吸引する装置であって、気体および/または液体を吸引する吸引手段と、吸引手段と連通され吸引手段内に外部よりも低い圧力を発生させうる差圧発生手段と、該差圧発生手段と吸引手段との間に設けられる気液分離手段と、該気液分離手段によって分離された気体を排出する気体返送手段と、を備えていることを特徴とする。
第3発明の吸引装置は、第1または第2発明において、前記差圧発生手段が、気体を吸引する吸引口と、吸引した気体を排出する排出口と、を備えており、該排出口が、前記気体返送手段に連通されていることを特徴とする。
第4発明の吸引装置は、第1、第2または第3発明において、前記吸引手段が、中空な筒状の吸引部を備えており、該吸引部は、先端に開口を有しており、側面に連通孔が形成されていることを特徴とする。
第5発明の吸引装置は、第1、第2、第3または第4発明において、前記気体分離手段は、前記吸引手段において気体および/または液体が流れる流路の断面積よりも大きい断面積を有する分離空間を備えており、前記差圧発生手段において気体を吸引する吸引口が、前記気体分離手段の分離空間の上部に連通されていることを特徴とする。
第1発明によれば、差圧発生手段によって吸引手段内に腹腔内よりも低い圧力が発生すれば、吸引手段に気体および/または液体を吸引することができる。そして、吸引された気体および/または液体は、気液分離手段において気体から液体が分離されるので、分離された気体を気体返送手段によって腹腔内に返送することができる。すると、吸引した気体とほぼ同量の気体を、腹腔内に吸引したタイミングとほぼ同時に戻すことができる。したがって、気体とともに液体を腹腔内から吸引しても、腹腔内の気体の量をほぼ同量に維持することができる。しかも、腹腔内から吸引した気体を再利用できるので、施術の際に使用する気体の量を少なくすることもできる。
第2発明によれば、差圧発生手段によって吸引手段内に外部よりも低い圧力が発生すれば、吸引手段に気体および/または液体を吸引することができる。そして、吸引された気体および/または液体は、気液分離手段において気体から液体が分離されるので、分離された気体を気体返送手段によって気体を吸引した場所等の所望の場所に返送することができる。
第3発明によれば、差圧発生手段が排出する気体をそのまま腹腔内等の所望の場所に返送するので、気液分離手段で分離された気体を腹腔内等の所望の場所に返送するための特別な装置が不要となる。したがって、装置の構造を簡素化できるし、装置をコンパクトに構成することができる。
第4発明によれば、側面に貫通孔を設けることによって、吸引部が他の物体に吸い付くことを防ぐことができる。
第5発明によれば、吸引手段において気体および/または液体が流れる流路の断面積よりも分離空間の断面積が大きいので、気体と液体が混在した流体が気液分離手段の分離空間に流入すると、分離空間で気体と液体が分離される。そして、分離された液体は分離空間の底に溜まるので、差圧発生手段に液体が吸引されることを防ぐことができる。
(A)は本実施形態の吸引装置1の概略ブロック図であり、(B)は本実施形態の吸引装置1によって腹腔内の気体と液体を同時吸引している状況の概略説明図である。 吸引手段2の吸引部3先端の概略説明図である。 実験装置の写真である。 (A)、(B)はプローブの概略説明図であり、(C)はプローブの配置の説明図である。 実施例1の結果を示した図である。 (A)は実施例2の実験状況の写真であり、(B)は腹腔内の気体と生理食塩水で希釈された血液とを同時に吸引したときにおける気液分離手段の写真である。 (A)は実施例2の実験状況の写真であり、(B)は画面の拡大写真である。
本発明の吸引装置は、気体および/または液体を吸引するために使用する装置であり、気体と液体が混在する状態でも気体と液体を分離して排出することができるようにしたことに特徴を有している。
とくに、腹腔鏡による手術の際に血液などを吸引して除去する装置や乾湿両用掃除機などに適したものである。つまり、気体と液体が混在する状態で気体と液体を吸引したのち、気体から液体を分離して、分離された気体を使用する用途に適している。
例えば、腹腔鏡による手術では、血液などの液体を気体とともに吸引して腹腔内(例えば術野)などから除去する。その際に本発明の装置を使用すれば、血液などとともに吸引され分離された気体(炭酸ガスなど、以下分離ガスという)を、再度腹腔内に戻すことができる。すると、腹腔を膨らませるための気体(以下掃気ガスという)として分離ガスを使用できる。つまり、施術の際に使用する掃気ガスの使用量を少なくすることができる。
しかも、後述するように、分離ガスをほぼそのまま腹腔内の返送するようにすれば、腹腔内から吸引された気体とほぼ同量の気体を、腹腔内の気体が吸引される場合とほぼ同じタイミングで腹腔内に戻すことができる。すると、腹腔内から気体を吸引しても、腹腔内に存在する気体の量をほぼ同じ量とすることができるので、腹腔が萎むことを防ぐことができ、術野や内視鏡の視野を確保しておくことができる。
以下では、代表として、腹腔内の気体や液体を吸引する場合を代表として説明する。
(本実施形態の吸引装置1)
以下、図面に基づいて、本実施形態の吸引装置1の構成を説明する。
図1(A)に示すように、本実施形態の吸引装置1は、吸引手段2と、気液分離手段5と、差圧発生手段6と、気体返送手段7と、を備えている。
この本実施形態の吸引装置1の機能を簡単に説明すると、差圧発生手段6によって吸引手段2および気液分離手段5内に外部(つまり、吸引手段2の吸引口近傍)よりも低い圧力が発生すれば、吸引手段2を通して、流体が気液分離手段5に吸引される。一方、気液分離手段5では、吸引された流体が気体と液体に分離され、気体以外の流体は分離手段5にとどまり、気体は差圧発生手段6を通過して気体返送手段7から返送される。
なお、上記流体は、純粋な気体や液体だけでなく、固形物やゲル状のものを含有する流体も含む概念である。
(吸引手段2)
図1(A)に示すように、吸引手段2は、吸引部3とチューブ4とを備えている。
吸引部3は、中空な筒状の部材である。具体的には、吸引部3は、軸方向に長い、管状の部材によって形成されており、その先端および基端に開口を有している。つまり、吸引部3は、その先端と基端間を連通する、軸方向に沿って伸びた流路を有しているのである。
この吸引部3の基端には、チューブ4の一端が連結されている。このチューブ4の基端は、気液分離手段5の流入口5aに連結されている。つまり、チューブ4を介して、吸引部3の流路と気液分離手段5の流入口5aとの間が連通されているのである。
なお、吸引部3の流路の断面積と、チューブ4の流路の断面積は、ほぼ同じ大きさに形成されているが、必ずしも同じ大きさでなくてもよい。
また、吸引部3およびチューブ4の流路の断面形状は、円形でもよいし、多角形状でもよく、とくに限定されない。
(気液分離手段5)
気液分離手段5は、吸引部3から流入する流体を、気体と液体に分離する機能を有するものである。この気液分離手段5は、内部に分離空間5h(図1(B)参照)を有する中空な容器5cであって、分離空間5hと外部との間を連通する流入口5aおよび流出口5bを備えたものである。
流入口5aは、分離空間5hの中間から上方に位置する部分と連通するように設けられている。そして、流入口5aには、上述したように吸引手段2のチューブ4の基端が連結されている。つまり、吸引手段2の吸引部3の先端開口と分離空間5hとが、吸引部3の流路、チューブ4の流路、および、流入口5aを介して、連通されているのである。
流出口5bは、流入口5aから離間した位置であって、分離空間5hの中間から上方に位置する部分と連通するように設けられている。具体的には、流出口5bは、流入口5aから分離空間5hに液体が流入しても、その液体が直接流出口5bに入らない程度に離れた位置に設けられている。この流出口5bは、差圧発生手段6の吸引口6aと連通されている。したがって、差圧発生手段6が作動している状態では、分離空間5h内には、流入口5aから流出口5bに向かう流れが形成されている。
そして、容器5cは、分離空間5hが外部から略気密になるように形成されている。略気密とは、分離空間5hは流入口5aおよび流出口5bによって外部と連通されているが、流入口5aおよび流出口5b以外では外部から気体の流出入がないことを意味している。
この容器5cの分離空間5hは、その断面積が吸引部3およびチューブ4の流路の断面積よりも大きくなるように形成されている。つまり、分離空間5hは、吸引部3およびチューブ4の流路を通って液体が気体とともに分離空間5h内に入ると気体の流速が大きく低下するように、その断面積が形成されている。具体的にいえば、液体が気体とともに分離空間5h内に入ると、気体は流出口5bに流れることができても、液体が気体に追従して移動できず、液体は分離空間5hの底部に落下する状態となるように、分離空間5hは形成されているのである。
(差圧発生手段6)
差圧発生手段6は、気体を吸引して、気液分離手段5の分離空間5h内に外部(つまり、吸引部3の先端開口近傍)よりも低い圧力を発生させる機能を有するものである。つまり、分離空間5hと連通された吸引部3の流路内を外部よりも低い圧力にする、言い換えれば、吸引部3の流路内を外部よりも低い圧力にする機能を有するものである。
この差圧発生手段6は、ボルテックスブロワやターボブロワ、ルーツブロアなどの種々のブロワ/コンプレッサを採用することができるが、吸引流量を変化させることができるものが好ましい。差圧発生手段6の吸引流量を変化させることができれば、吸引手段2によって吸引する気体および/または液体の流量を変化させることができるので、好ましい。
(気体返送手段7)
気体返送手段7は、チューブ9と、このチューブ9の先端に設けられた挿入部8とを備えている。チューブ9は、その基端が差圧発生手段6の排出口6bに連結されており、その先端に挿入部8の基端が連結されている。この挿入部8は、中空な筒状の部材である。具体的には、挿入部8は、軸方向に長い、管状の部材によって形成されており、その先端および基端に開口を有している。つまり、挿入部8は、その先端と基端間を連通する、軸方向に沿って伸びた流路を有しているのである。したがって、チューブ9を介して、差圧発生手段6の排出口6bと挿入部8の先端開口との間が連通されているのである。
なお、挿入部8の流路の断面積と、チューブ9の流路の断面積は、ほぼ同じ大きさに形成されていてもよいが、必ずしも同じ大きさでなくてもよい。
また、挿入部8およびチューブ9の流路の断面形状は、円形でもよいし、多角形状でもよく、とくに限定されない。
さらに、気体返送手段7として、吸引手段2と同じものを使用することも可能である。
(本実施形態の吸引装置1の使用例)
上述したような本実施形態の吸引装置1を腹腔鏡による手術において使用した場合を説明する。
まず、図1(B)に示すように、本実施形態の吸引装置1の気体返送手段7の挿入部8を、腹部に形成された貫通穴から腹腔内に挿入し、その先端開口を腹腔内に配置する。この状態で、腹腔鏡による手術が行われる。
図1(B)に示すように、腹腔鏡による手術において、術部に出血が生じた場合には、本実施形態の吸引装置1における吸引手段2の吸引部3を腹部に形成された貫通穴から腹腔内に挿入して、その先端を出血部位に配置する。そして、その状態で差圧発生手段6を作動させる。なお、吸引部3は、その先端開口全体が血液につからないように配置する。
差圧発生手段6を作動させると、気液分離手段5の分離空間5h内が腹腔内よりも低い圧力になり吸引手段2の流路も腹腔内よりも低い圧力になる。すると、吸引部3はその開口全体が血液につかっていないので、吸引部3の先端開口から吸引部3の流路に気体の流れが発生する。すると、その気体の流れによって血液が吸引部3内に流入する。つまり、気体と液体(血液)が混在した流体(吸引流体)が吸引手段2の流路を気液分離手段5の分離空間5hに向かって流れる。
やがて、吸引流体が気液分離手段5の流入口5aから分離空間5h内に入ると、吸引流体の流速が低下する。分離空間5h内に流入した血液は分離空間5hの底部に落下して分離空間5h内に溜まる一方、分離空間5h内に流入した気体は流出口5bから差圧発生手段6に吸引される。つまり、気液分離手段5において、気体と血液が分離されて、差圧発生手段6は気体のみを吸引することができる。
そして、差圧発生手段6に吸引された気体は、気体返送手段7のチューブ9と挿入部8
を通って腹腔内に戻される。すると、このとき返送される気体の量(流量)は、ほぼ吸引部3を通して腹腔内から吸引される気体の量と一致する。つまり、腹腔内から排出された気体の量とほぼ同量の気体を腹腔内に戻すことができる。
すると、本実施形態の吸引装置1によって血液を吸引して血液を術部から除去しても、腹腔内の気体(例えば炭酸ガス)の量をほぼ一定に保つことができるので、血液を吸引したときに腹腔が萎んだりすることを防ぐことができる。
しかも、差圧発生手段6が排出する気体をそのまま腹腔内に返送するので、気液分離手段7で分離された気体を腹腔内に返送するための特別な装置が不要となる。したがって、装置の構造を簡素化できるし、装置をコンパクトに構成することができる。
(吸引部3の他の例)
吸引部3は、その先端の開口だけから気体や液体を吸引するようにしてもよいが、図2に示すように、その側面に切り欠き3sや穴3hを設けて、その切り欠き3sや穴3hからも気体を吸引できるようにしてもよい。側壁に穴3hを開けた場合には、吸引部3が体組織に吸い付くことを防ぐことができる。また、先端に切り欠き3sを設けた場合には、液体と気体の混合が促進されるので、液体を微粒化することができる。
本発明の吸引装置によって、気体と液体の同時吸引と気液分離が可能であること、および、気体とともに液体を吸引する場合において、気体を吸引する量を変化させることによって液体の吸引量も変化させることが可能であることを確認した。
実験は、図3に示す実験装置を使用して行った。実験装置の各部には、以下の部材を使用した。
吸引手段の吸引部 :内径4mm、外径5mm、長さ380mmのプローブ(図4(A)、(B)参照)
吸引手段のチューブ :内径8mm、長さ1500mmのチューブ
差圧発生手段 :ボルテックスブロア(西村電機製FB-200R)
気液分離手段 :内径153mm(内容積3.7l)の容器
気体返送手段の挿入部 :内径4mm、外径5mm、長さ380mmのプローブ(図4(A)、(B)参照)
気体返送手段のチューブ :内径8mm、長さ1500mmのチューブ
なお、吸引量変化させるために、ボルテックスブロアの回転数はインバータ回路によって制御した。
実験では、上記実験装置の吸引手段(プローブ)を、水位が一定となるように構成された水槽に浸漬した状態で、差圧発生手段(ボルテックスブロア)を作動させて、水槽内の水と空気を同時に吸引した。
なお、吸引手段(プローブ)は、水槽内の水につかっている量(水深h)が2mm、水槽内底面の接触角θが27°、で一定となるように配設した(図4(C)参照)。
そして、気体返送手段のチューブに流量計(キーエンス製FD-A10)を設けて、気体返送手段のチューブを流れる空気の流量、つまり、吸引手段が吸引する空気の流量を測定した。
また、吸引した水の流量は、一定時間吸引を行った後、気液分離手段に溜まった水の重量を測定し、その重量から算出した。
なお、実験時の気温は17℃、気圧は1015hPaであった。
実験結果を示す。
まず、差圧発生手段(ボルテックスブロア)を作動させると、空気とともにプローブ先端の水を吸引することができ、しかも、吸引した水と空気を気液分離手段で分離できることが確認された。つまり、吸引手段によって気体と液体を吸引した場合、気体返送手段から吸引した空気だけを、吸引した空気とほぼ同流量で、空気を吸引した場所に戻すことが可能であることが確認された。
また、図5に示すように、ボルテックスブロアの回転数を変化させて空気の吸引流量を変化させた場合、吸引する水の流量も変化することが確認できた。しかも、空気の吸引流量と吸引する水の流量が直線的に変化することが確認された。つまり、本発明の装置では、差圧発生手段の作動を制御して空気の吸引流量を制御するだけで、吸引手段が吸引する液体の流量を制御できることが確認された。
腹腔鏡による手術において、本発明の吸引装置により腹腔内の気体と液体を吸引した場合における腹腔鏡手術への影響を確認した。
実施例2では、豚の腹腔鏡手術を実施し(図6(A)参照)、以下の3つ状況において、実施例1の吸引装置(以下、単に吸引装置という)による吸引を行い、腹腔内の状況および吸引状況を確認した。
1)気体返送手段の挿入部を腹腔内に挿入しない状況において、吸引装置によって腹腔内の気体だけを吸引した場合(還流を生じさせない場合)
2)気体返送手段の挿入部を腹腔内に挿入した状況において、吸引装置によって腹腔内の気体のみを吸引した場合
3)気体返送手段の挿入部を腹腔内に挿入した状況において、生理食塩水(100ml)を腹腔内に注入し、吸引装置によって腹腔内の気体と生理食塩水で希釈された血液とを同時に吸引した場合
実験では、通常の腹腔鏡手術に使用される装置と同様の装置を使用した。
なお、試験を行ったときの気温は25.0℃、気圧は992hPaであった。
また、炭酸ガス充填時における腹腔内の圧力はゲージ圧で8〜10mmHgであった。
まず、1)の状況では、吸引装置によって吸引を行うことによって、腹腔鏡の体積が減少して視野や術野が変化し、手術を行いにくい状況になることが確認された。
つぎに、2)の状況では、吸引装置による吸引停止を行っても腹腔鏡の視野や術野の変化はほとんど見られなかった。つまり、本発明の吸引装置によって気体を返送すれば、吸引した気体とほぼ同量の気体を腹腔内に返送でき、そして、腹腔鏡の視野や術野を維持できることが確認された。
3)の状況でも、2)の状況と同様に、吸引装置による吸引を行っても腹腔鏡の視野や術野の変化はほとんど見られなかった(図7参照)。つまり、生理食塩水で希釈された血液と気体を気液分離手段において分離して(図6(B)参照)、吸引した気体とほぼ同量の気体を腹腔内に返送できていることが確認された。
また、ボルテックスブロワの回転数を2800rpm(インバータ周波数50Hz)に固定して吸引を行ったところ、17秒で約20ccの生理食塩水で希釈された血液を吸引することができた。この際に、吸引される気体の流量は、生理食塩水で希釈された血液の吸引状態の変化に応じて0.2〜8L/minの間を変化したが、平均で0.5L/minであった。
さらに、ボルテックスブロワの回転数を増減させることにより、気液ともに流量を増減させることが出来ることを腹腔内においても確認した。つまり、本発明の装置では、差圧発生手段の作動を制御すれば、腹腔内から気体や液体を吸引する場合でも、吸引手段が吸引する気体や液体の流量を制御できることが確認された。
以上の結果より、本発明の吸引装置を使用すれば、腹腔内の状況を変化させることなく、腹腔内の気体と血液などの液体とを同時吸引できることが確認された。そして、腹腔内でも、ボルテックスブロアの作動を制御して空気の吸引流量を制御するだけで、吸引手段が吸引する液体の流量を制御できることが確認された。
本発明の吸引装置は、腹腔鏡による手術の際に血液などを吸引して除去する装置や乾湿両用掃除機などに適している。
1 吸引装置
2 吸引手段
3 吸引部
4 チューブ
5 気液分離部
5h 分離空間
6 差圧発生手段
6a 吸引口
6b 排出口
7 気体返送手段
8 挿入部
9 チューブ

Claims (5)

  1. 腹腔内の気体および/または液体を吸引する装置であって、
    腹腔内に挿入される吸引手段と、
    吸引手段と連通され吸引手段内に腹腔内よりも低い圧力を発生させうる差圧発生手段と、
    該差圧発生手段と吸引手段との間に設けられる気液分離手段と、
    該気液分離手段によって分離された気体を腹腔内に戻す気体返送手段と、を備えている
    ことを特徴とする吸引装置。
  2. 気体および/または液体を吸引する装置であって、
    気体および/または液体を吸引する吸引手段と、
    吸引手段と連通され吸引手段内に外部よりも低い圧力を発生させうる差圧発生手段と、
    該差圧発生手段と吸引手段との間に設けられる気液分離手段と、
    該気液分離手段によって分離された気体を排出する気体返送手段と、を備えている
    ことを特徴とする吸引装置。
  3. 前記差圧発生手段が、
    気体を吸引する吸引口と、吸引した気体を排出する排出口と、を備えており、
    該排出口が、
    前記気体返送手段に連通されている
    ことを特徴とする請求項1または2記載の吸引装置。
  4. 前記吸引手段が、
    中空な筒状の吸引部を備えており、
    該吸引部は、
    先端に開口を有しており、
    側面に連通孔が形成されている
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の吸引装置。
  5. 前記気体分離手段は、
    前記吸引手段において気体および/または液体が流れる流路の断面積よりも大きい断面積を有する分離空間を備えており、
    前記差圧発生手段において気体を吸引する吸引口が、前記気体分離手段の分離空間の上部に連通されている
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の吸引装置。

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