JP2016021282A - 脱硫システム、及び、脱硫方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池システムにおける発電効率の低下、構成の複雑化、及び信頼性の低下を抑制可能な脱硫システム、及び脱硫方法を提供する。
【解決手段】
脱硫システム100は、脱硫触媒を用いて水素含有燃料の脱硫を行う脱硫器2と、改質器20において発生した水素含有ガスの少なくとも一部を脱硫器2に導入するためのリサイクルガスラインRと、脱硫器2における脱硫方式を、水素含有ガスを用いた水添脱硫と吸着脱硫との間で切り替える制御部11と、を備える。制御部11は、一定時間経過するごとに、又は、水素含有燃料の積算流量が一定量に達するごとに、所定時間だけ、リサイクルガスラインRを介して水素含有ガスを脱硫器2に導入して脱硫器2の脱硫方式を水添脱硫に切り替える。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池システムに用いられる脱硫システム、及び、脱硫方法に関する。
特許文献1には、燃料改質システムと燃料電池とを備える燃料電池システムが記載されている。燃料改質システムは、上流側から順に配置された脱硫器、改質反応器、及びCO選択酸化反応器を有している。脱硫器は、水添吸着脱硫剤を用いて原燃料から硫黄化合物を除去する。改質反応器は、脱硫された原燃料を水蒸気と反応させて改質ガスを生成する。CO選択酸化反応器は、改質ガスに含まれるCOを選択的に酸化してCOに変換する。また、燃料電池システムは、CO選択酸化反応器に供される前の改質ガスの一部(リサイクルガス)を原燃料に添加するリサイクルラインを有している。そして、脱硫器には、原燃料とリサイクルガスとの混合ガスが供給される。
特許第4931865号
上述したように、特許文献1に記載された燃料電池システムにおいては、水添吸着脱硫剤が充填された脱硫器に対して、原燃料とリサイクルガスとの混合ガスが供給されることにより、原燃料の水添脱硫が行われる。このような脱硫を行う場合には、リサイクルラインにおけるリサイクルガスの放熱により発電効率が低下するおそれがある。また、そのような発電効率の低下を抑制するためにリサイクルガスの流量を低減させようとすると、リサイクルラインに対して流量抑制機構を別途設ける必要があり、構成が複雑となる。さらに、ドレンの発生によりリサイクルラインが閉塞する結果、燃料電池システムの信頼性が低下するおそれがある。
本発明は、そのような事情に鑑みてなされたものであり、燃料電池システムにおける発電効率の低下、構成の複雑化、及び信頼性の低下を抑制可能な脱硫システム、及び脱硫方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る脱硫システムは、改質器を有する燃料電池システムに用いられ、水素含有燃料の脱硫を行って脱硫された水素含有燃料を改質器に供給する脱硫システムであって、脱硫触媒を用いて水素含有燃料の脱硫を行う脱硫器と、改質器において発生した水素含有ガスの少なくとも一部を脱硫器に導入するための導入ラインと、脱硫器における脱硫方式を、水素含有ガスを用いた水添脱硫と吸着脱硫との間で切り替える制御部と、を備え、制御部は、一定時間経過するごとに、又は、水素含有燃料の積算流量が一定量に達するごとに、所定時間だけ、導入ラインを介して水素含有ガスを脱硫器に導入して脱硫器の脱硫方式を前記水添脱硫に切り替える、ことを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る脱硫方法は、改質器を有する燃料電池システムに用いられ、水素含有燃料の脱硫を行って脱硫された水素含有燃料を改質器に供給する脱硫方法であって、脱硫触媒を有する脱硫器を用いて水素含有燃料の脱硫を行う脱硫工程と、脱硫器における脱硫方式を、改質器において発生した水素含有ガスを用いた水添脱硫と吸着脱硫との間で切り替える切り替え工程と、を含み、切り替え工程においては、一定時間経過するごとに、又は、水素含有燃料の積算流量が一定量に達するごとに、所定時間だけ、導入ラインを介して水素含有ガスを脱硫器に導入して脱硫器の脱硫方式を水添脱硫に切り替える、ことを特徴とする。
この脱硫システム及び脱硫方法においては、水素含有燃料の脱硫方式が、水素含有ガスを用いた水添脱硫と吸着脱硫との間で切り替えられる。特に、脱硫方式は、一定時間経過するごとに、又は、水素含有燃料の積算流量が一定量に達するごとに、導入ラインを介して水素含有ガスを所定時間だけ脱硫器に導入することによって、その所定時間だけ吸着脱硫から水添脱硫に切り替えられる。つまり、この脱硫システム及び脱硫方法においては、導入ラインからの水素含有ガスを用いた水添脱硫が所定時間だけ行われ、それ以外の時間には吸着脱硫が行われる。このため、導入ラインを介して脱硫器に水素含有ガスを導入する時間が短縮される。その結果、導入ラインにおける水素含有ガスの放熱が抑えられ、燃料電池システムの発電効率の低下が抑制される。これにより、導入ラインに対して水素含有ガスの流量を抑制する機構を別途設ける必要がなくなり、構成の複雑化が避けられる。さらに、導入ラインが閉塞する可能性が低くなり、信頼性の低下が抑制される。
なお、この脱硫システム及び脱硫方法においては、上述したように、定期的に、水素含有ガスが脱硫器に導入され、脱硫方式が水添脱硫に切り替えられる。このとき、吸着脱硫の間に脱硫触媒に吸着された硫黄分等が水素含有ガスの導入により分解され、脱硫触媒が再生される。このため、脱硫触媒の量を低減して脱硫器を小型化することも可能となる。
本発明に係る脱硫システムにおいては、制御部は、燃料電池システムが発電工程以外の工程を実施しているときに、脱硫器の脱硫方式を水添脱硫に切り替えてもよい。或いは、本発明に係る脱硫システムにおいては、制御部は、燃料電池システムが停止工程を実施しているときに、脱硫器の脱硫方式を水添脱硫に切り替えてもよい。これらの場合、導入ラインを介して水素含有ガスを脱硫器に導入することにより脱硫方式を水添脱硫に切り替える際に、燃料電池システムが発電工程を実施していないので、発電効率の低下が確実に抑制される。
本発明に係る脱硫システムにおいては、導入ラインには、シフト触媒が充填されていてもよい。この場合、導入ラインに充填されたシフト触媒のシフト反応によって、導入ラインを介して脱硫器に導入される水素含有ガスの水素濃度が向上する。このため、水素含有ガスの導入による脱硫触媒の再生時間が短縮される。また、導入ラインを流通する水素含有ガスの水分量がシフト反応により低下させられるため、ドレンの発生による導入ラインの閉塞が抑制される。このため、信頼性が向上する。
本発明に係る脱硫システムにおいては、導入ラインには、水分除去機構が設けられていてもよい。この場合、導入ラインを流通する水素含有ガスから水分が除去される結果、効率的に脱硫触媒の再生を行うことができる。
本発明によれば、燃料電池システムにおける発電効率の低下、構成の複雑化、及び信頼性の低下を抑制可能な脱硫システム、及び脱硫方法を提供することができる。
本実施形態に係る脱硫システムを含む燃料電池システムを示すブロック図である。 図1に示された燃料電池システムの構成を示す概略図である。 本実施形態に係る脱硫方法のうちの切り替え工程の一例を示すフローチャートである。 本実施形態に係る脱硫方法のうちの切り替え工程の別例を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る脱硫システム及び脱硫方法の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一の要素同士、或いは相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る脱硫システムを含む燃料電池システムを示すブロック図である。図1に示されるように、本実施形態に係る脱硫システム100は、改質器20を有する燃料電池システム1に用いられものである。そこで、まず、燃料電池システムの全体構成について説明する。
燃料電池システム1は、脱硫器2と、水気化部3と、水素発生部4と、セルスタック5と、オフガス燃焼部(燃焼部)6と、水素含有燃料供給部7と、水供給部8と、酸化剤供給部9と、パワーコンディショナー10と、制御部11と、を備えている。燃料電池システム1は、水素含有燃料及び酸化剤を用いて、セルスタック5にて発電を行う。セルスタック5としては、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)が採用されている。
なお、セルスタック5の種類は特に限定されず、例えば、固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)、リン酸形燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)、及び、その他の種類を採用することができる。また、セルスタック5の種類、水素含有燃料の種類、及び改質方式等に応じて、図1に示す構成要素を適宜省略又は変更してもよい。
水素含有燃料として、例えば、炭化水素系燃料が用いられる。炭化水素系燃料として、分子中に炭素と水素とを含む化合物(酸素等、他の元素を含んでいてもよい)若しくはそれらの混合物が用いられる。炭化水素系燃料として、例えば、炭化水素類、アルコール類、エーテル類、バイオ燃料が挙げられ、これらの炭化水素系燃料は従来の石油・石炭等の化石燃料由来のもの、合成ガス等の合成系燃料由来のもの、バイオマス由来のものを適宜用いることができる。
具体的には、炭化水素類として、メタン、エタン、プロパン、ブタン、天然ガス、LPG(液化石油ガス)、都市ガス、タウンガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油が挙げられる。アルコール類として、メタノール、エタノールが挙げられる。エーテル類として、ジメチルエーテルが挙げられる。バイオ燃料として、バイオガス、バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオジェットが挙げられる。酸化剤として、例えば、空気、純酸素ガス(通常の除去手法で除去が困難な不純物を含んでもよい)、酸素富化空気が用いられる。
脱硫器2は、水素発生部4に供給される水素含有燃料の脱硫を行う。脱硫器2は、水素含有燃料に含有される硫黄化合物を除去するための脱硫触媒を有している。脱硫器2の脱硫方式として、例えば、硫黄化合物を吸着して除去する吸着脱硫方式や、硫黄化合物を水素と反応させて除去する水添脱硫方式が採用される。脱硫器2は、脱硫した水素含有燃料を水素発生部4へ供給する。つまり、脱硫器2は、脱硫触媒を用いて水素含有燃料の脱硫を行う。なお、脱硫器2における脱硫方式は、後述するように、制御部11の制御の元で、吸着脱硫と水添脱硫との間で切り替えられる。
脱硫器2は、水素含有燃料の吸着脱硫及び水添脱硫を行うために、1又は複数の触媒層(不図示)を有している。一例として、脱硫器2は、Cu−Zn−Ni系等の触媒を用いることができる。この場合には、1層の触媒層によって、吸着脱硫及び水添脱硫を行うことができる。一方、一例として、脱硫器2は、NiMo系等の触媒を用いることができる。この場合には、NiMo系等の触媒の触媒層をZnO等の触媒層と積層して2層として適用することができる。すなわち、脱硫器2は、第1及び第2の触媒層を有することができる。第1の触媒層の触媒は、例えば、NiMo、CoMo、NiCoMo、NiW、金属Ni系触媒、及び、金属Cu系触媒等である。第2の触媒層の触媒は、例えばZnO等である。第1の触媒層と第2の触媒層とは互いに積層されている。第1の触媒層は、水素含有燃料の流路上において、第2の触媒層の上流側に配置される。第1の触媒層は、例えば、水素含有燃料中の硫黄成分を硫化水素へ変換する。反応の一例としては、DMS(dimethyl sulfide)の場合、(CHS+2H→HS+2CH等である。また、第2の触媒層は、第1の触媒層で生じた硫化水素を酸化亜鉛から硫化亜鉛にすることで脱硫する。反応の一例としては、ZnO+HS→ZnS+HO等である。なお、上述したCu−Zn−Ni系等の触媒を用いる場合には、これらの2つの反応を1つの触媒層で行うことができる。
水気化部3は、水を加熱し気化させることによって水蒸気を生成するものであり、改質器20に含まれている。水気化部3における水の加熱は、オフガス燃焼部6による熱が利用される。なお、水気化部3における水の加熱は、例えば、排ガスの熱等の燃料電池システム1内で発生した熱を用いてもよいし、別途ヒータやバーナ等の他熱源を用いて水を加熱してもよい。水気化部3は、生成した水蒸気を水素発生部4へ供給する。
水素発生部4は、水素含有燃料を用いて水素リッチガスである改質ガス(水素含有ガス)を発生させるものであり、改質器20に含まれている。水素発生部4は、発生させた改質ガスをセルスタック5のアノード12へ供給する。また、水素発生部4は、発生させた改質ガスの少なくとも一部を、リサイクルガスラインRを介して脱硫器2の上流側にリサイクルガスとして循環させる。つまり、リサイクルガスラインRは、改質器20において発生した水素含有ガスの少なくとも一部を脱硫器2に導入するための導入ラインとして機能する。
水素発生部4での改質方式は、特に限定されず、例えば、水蒸気改質、部分酸化改質、自己熱改質、その他の改質方式を採用できる。水素発生部4には、脱硫器2から水素含有燃料が供給されると共に、必要に応じて、空気等の酸化剤や水気化部3から水蒸気が供給される。水素発生部4において改質ガスの発生に用いられる熱は、オフガス燃焼部6の熱が利用される。なお、水素発生部4に用いられる熱は、例えば、排ガスの熱等の燃料電池システム1内で発生した熱を用いてもよいし、別途ヒータやバーナ等の他熱源を用いて水を加熱してもよい。
なお、水素発生部4は、セルスタック5に要求される改質ガスの性状によって、他の構成を有する場合もある。例えば、セルスタック5のタイプが固体高分子形燃料電池(PEFC)やリン酸形燃料電池(PAFC)であった場合、水素発生部4は、改質ガス中の一酸化炭素を除去するための構成(例えば、シフト反応部及び選択酸化反応部)を有する。
セルスタック5は、水素発生部4からの改質ガス及び酸化剤供給部9からの酸化剤を用いて発電を行う。セルスタック5は、改質ガスが供給されるアノード12と、酸化剤が供給されるカソード13と、アノード12とカソード13との間に配置される電解質14と、を備えている。セルスタック5は、パワーコンディショナー10を介して、電力を外部へ供給する。セルスタック5は、発電に用いられなかった改質ガス及び酸化剤をオフガスとして、オフガス燃焼部6へ供給する。
オフガス燃焼部6は、セルスタック5から供給されるオフガスを燃焼させる。オフガス燃焼部6は、セルスタック5上に形成されている。オフガス燃焼部6によって発生する熱は、水気化部3に供給されて水蒸気の生成に用いられると共に、水素発生部4へ供給されて改質ガスの発生に用いられる。
水素含有燃料供給部7は、脱硫器2へ水素含有燃料を供給する。水供給部8は、水気化部3へ水を供給する。酸化剤供給部9は、セルスタック5のカソード13へ酸化剤を供給する。水素含有燃料供給部7、水供給部8及び酸化剤供給部9は、例えばポンプによって構成されており、制御部11からの制御信号に基づいて駆動される。
パワーコンディショナー10は、セルスタック5からの電力を、外部での電力使用状態に合わせて調整する。パワーコンディショナー10は、例えば、電圧を変換する処理や、直流電力を交流電力へ変換する処理を行う。
制御部11は、燃料電池システム1全体の制御処理を行う。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read OnlyMemory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インターフェイスを含んで構成されたデバイスによって構成される。制御部11は、水素含有燃料供給部7、水供給部8、酸化剤供給部9、パワーコンディショナー10、その他、後述する各要素や図示されないセンサや補機と電気的に接続されている。制御部11は、燃料電池システム1内で発生する各種信号を取得すると共に、燃料電池システム1内の各要素へ制御信号を出力する。特に、制御部11は、脱硫器2における脱硫方式を、水素含有ガスを用いた水添脱硫と吸着脱硫との間で切り替える制御を行うが、この制御の詳細は後述する。
図2は、図1の燃料電池システムの構成を示す概略図である。図2に示すように、燃料電池システム1において、改質器20は、オフガス燃焼部6により加熱されるものであり、オフガス燃焼部6で発生する燃焼熱を受熱可能な位置に配されている。ここでの改質器20は、オフガス燃焼部6の上方においてセルスタック5に対向するよう配置されている。オフガス燃焼部6は、例えばセルスタック5のアノード出口を改質器20側に開放することにより、改質器20とセルスタック5との間に画成される。オフガス燃焼部6からの排気ガスは、例えば排気触媒を介して外部へ排気される。
脱硫器2は、改質器20及びセルスタック5を収容する筐体15に当接するように設けられている。これにより、脱硫器2には当該筐体15内の熱(すなわち、セルスタック5を含む発電モジュールからの放熱)が伝わり、脱硫器2の温度が高温に保持される。脱硫器2には、上述したような脱硫触媒が充填されている。なお、脱硫器2、セルスタック5及び改質器20の周囲には、断熱材(不図示)が適宜設けられている。
リサイクルガスラインRは、脱硫器2にリサイクルガス(水素含有ガス)を循環させるものである。脱硫器2は、このリサイクルガスラインRを介して導入されたリサイクルガスを利用して水素含有燃料の水添脱硫を行うことができる。リサイクルガスラインRは、その戻り側が、水素含有燃料を供給するフィードライン16において水素含有燃料供給部7と逆止弁等の圧力調整部31との間に接続されており、これらの間にリサイクルガスを戻している。
リサイクルガスラインRには、水分を除去するドレーナ(水分除去機構)32、逆止弁等の圧力調整部34、及びバルブ35が、リサイクルガスの上流から下流に向かう方向にこの順で設けられている。フィードライン16において圧力調整部31の上流側には、バルブ36及び流量計37が設けられている。なお、リサイクルガスラインRには、ポンプ等がさらに設けられていてもよい。
引き続いて、脱硫システム100について詳細に説明する。脱硫システム100は、水素含有燃料の脱硫を行って脱硫された水素含有燃料を改質器20(ここでは水素発生部4)に供給する。脱硫システム100は、脱硫器2、リサイクルガスラインR、及び、制御部11等から構成される。制御部11は、脱硫器2における脱硫方式を、リサイクルガスを用いた水添脱硫とリサイクルガスを用いない吸着脱硫との間で切り替える制御を行う。
より具体的には、制御部11は、積算流量計算部11aと、触媒再生判断部11bとを含む。積算流量計算部11aは、流量計37からの水素含有燃料の流量(フィードガス流量)を示す流量信号を受信する。積算流量計算部11aは、その流量計37からの流量信号に基づいて、脱硫器2において吸着脱硫が開始されてからの水素含有燃料の積算流量を計算する。そして、積算流量計算部11aは、積算流量の計算結果を示す信号を触媒再生判断部11bに送信する。
触媒再生判断部11bは、積算流量計算部11aからの積算流量の計算結果を示す信号を受信する。触媒再生判断部11bは、その積算流量の計算結果を示す信号に基づいて、積算流量が予め設定された所定量F1(L)よりも大きいか否かを判定する。また、触媒再生判断部11bは、タイマ(不図示)から、脱硫器2において吸着脱硫が開始されてからの経過時間を示す信号を受信する。そして、触媒再生判断部11bは、その経過時間を示す信号に基づいて、経過時間が予め設定された所定時間T1(min)よりも大きいか否かを判定する。
これらの判定の結果、積算流量が所定量F1(L)よりも大きい場合、又は、経過時間が所定時間T1(min)よりも大きい場合、触媒再生判断部11bは、脱硫器2における脱硫触媒の再生が必要であるとして、脱硫器2における脱硫方式を当初の吸着脱硫から水添脱硫に切り替える。したがって、積算流量に関する所定量F1(L)は、例えば、脱硫器2に充填された脱硫触媒が吸着できる硫黄成分の総量と、水素含有燃料中の硫黄濃度とに応じて決定される。一方、経過時間に関する所定時間T1(min)も同様にして設定してもよいが、一例として、燃料電池システム1において定期的に行われるマイコンメータの停止のタイミングに合わせるように設定されてもよい。
触媒再生判断部11bは、脱硫器2における脱硫方式を吸着脱硫から水添脱硫に切り替えるために、リサイクルガスラインRのバルブ35を開くための再生工程信号をバルブ35(或いはその制御手段)に送信し、該バルブ35を開状態とする。これにより、脱硫器2に対してリサイクルガスラインRを介してリサイクルガスが導入され、脱硫器2における脱硫方式が水添脱硫に切り替えられる。その結果、吸着脱硫を行っている間に脱硫器2の脱硫触媒に吸着された硫黄分等が、リサイクルガスにより分解され、脱硫触媒が再生される。
一方、触媒再生判断部11bは、タイマ(不図示)からの信号を受信しており、そのタイマからの信号に基づいて、リサイクルガスラインRのバルブ35を開状態としたときからの経過時間(すなわち、脱硫器2における脱硫方式が水添脱硫に切り替えられてからの経過時間)が、所定時間F3(min)を超えたか否かを判定する。その判定の結果、当該経過時間が所定時間F3(min)を超えた場合には、脱硫器2における脱硫触媒の再生が十分行われたものとして、脱硫器2における脱硫方式を吸着脱硫に戻す。そのために、触媒再生判断部11bは、リサイクルガスラインRのバルブ35を閉じるための信号をバルブ35(或いはその制御手段)に送信し、該バルブを閉状態とする。なお、所定時間F3(min)は、脱硫器2において、触媒が吸着した全硫黄成分を硫化水素に変換させるために必要な時間であり、触媒が再生される触媒再生時間である。したがって、所定時間F3(min)は、脱硫器2に充填した触媒の量に応じて決まる。なお、硫黄成分が硫化水素に変換された後には、触媒の吸着性能は回復する。
これにより、脱硫器2にリサイクルガスが導入されなくなり、脱硫器2における脱硫方式が吸着脱硫となる。そして、制御部11は、再度、積算流量が所定量F1(L)を超えたとき、又は、経過時間が所定時間T1(min)を超えたときに、同様にして脱硫器2の脱硫方式を水添脱硫に切り替える。つまり、脱硫システム100においては、定期的に、脱硫器2の脱硫方式が吸着脱硫から水添脱硫に切り替えられ、脱硫器2の脱硫触媒の再生が行われる。
このように、制御部11は、脱硫器2における吸着脱硫が開始されてから一定時間経過するごとに(経過時間が所定時間T1(min)を超えたときに)、又は、水素含有燃料の積算流量が一定量に達するごとに(積算流量が所定量F1(L)を超えたときに)、所定時間(所定時間F3(min))だけ、リサイクルガスラインRを介してリサイクルガスを脱硫器2に導入し、脱硫器2の脱硫方式を水添脱硫に切り替える。
ここで、制御部11は、燃料電池システム1が停止工程を実施しているときに、そのことを示す停止工程信号を受信する。そして、上述したような脱硫器2における脱硫方式の切り替えの制御を、その停止工程信号を受信したことを契機にして行うことができる。換言すれば、制御部11は、燃料電池システム1が、停止工程を実施しているときに、上述したように脱硫器2における脱硫方式を水添脱硫に切り替えることができる。
引き続いて、本実施形態に係る脱硫方法について詳細に説明する。本実施形態に係る脱硫方法は、燃料電池システム1に用いられ、水素含有燃料の脱硫を行って脱硫された水素含有燃料を改質器20に供給するものである。この脱硫方法においては、水素含有燃料供給部7から脱硫器2に水素含有燃料が供給され始めた時点で、脱硫器2を用いて水素含有燃料の脱硫を行う脱硫工程が実施されている。特に、脱硫工程においては、当初から吸着脱硫が行われている。
図3は、本実施形態に係る脱硫方法のうちの切り替え工程の一例を示すフローチャートである。図3に示される切り替え工程は、燃料電池システム1が発電工程を実施しているときに行われる。図3に示されるように、ここでは、まず、積算流量のカウントを開始する(工程S101)。より具体的には、例えば積算流量計算部11aが、流量計37からの水素含有燃料の流量(フィードガス流量)を示す流量信号に基づいて、脱硫器2において吸着脱硫が開始されてからの水素含有燃料の積算流量を計算する。
続いて、カウントされた積算流量が所定量F1(L)よりも大きいか否かを判定する(工程S102)。より具体的には、例えば触媒再生判断部11bが、積算流量計算部11aからの積算流量の計算結果を示す信号に基づいて、積算流量が予め設定された所定量F1(L)よりも大きいか否かを判定する。これは、脱硫器2の脱硫触媒が十分に吸着脱硫可能な状態であるか、或いは再生を行う必要がある状態であるかを、積算流量を目安にして判定することに相当する。
続いて、工程S102の判定の結果、積算流量が所定量F1(L)よりも大きい場合、例えば制御部11が、燃料電池システム1の発電目標値(電力値)を0(W)に設定する(工程S103)。この工程S103は、発電工程を実施していた燃料電池システム1に対して、一時的に発電工程を停止させるための工程である。なお、工程S102の判定の結果、積算流量が所定量F1(L)以下である場合には、所定時間経過後に再び工程S102の判定を行う。
続いて、例えば制御部11が、燃料電池システム1の発電出力(電力値)が所定値F2(W)よりも小さいか否かを判定する(工程S104)。この工程S104は、先の工程S103において燃料電池システム1の発電目標値を0(W)に設定した後に、燃料電池システム1の発電出力が十分小さくなっているか否かを判定する工程である。したがって、所定値F2(W)は、例えば、0とすることが理想的であるが、実際的には、電流計や基板等の補機類の計測誤差を加味して設定され、例えば0.5(W)程度とされる。
続いて、工程S104の判定の結果、燃料電池システム1の発電出力が所定値F2(W)よりも小さい場合、リサイクルガスラインRのバルブ35を開状態とする(工程S105)。より具体的には、例えば触媒再生判断部11bが、リサイクルガスラインRのバルブ35を開くための再生工程信号をバルブ35(或いはその制御手段)に送信し、該バルブ35を開状態とする。これにより、脱硫器2に対してリサイクルガスラインRを介してリサイクルガスが導入され、脱硫器2における脱硫方式が水添脱硫に切り替えられる。なお、工程S104の判定の結果、燃料電池システム1の発電出力が所定値F2(W)以上である場合には、所定時間経過後に再び工程S104の判定を行う。
続いて、例えば触媒再生判断部11bが、工程S104においてバルブ35を開状態とした時点から(すなわち、脱硫器2における脱硫方式が水添脱硫に切り替えられた時点から)、所定時間F3(min)に設定されたタイマのカウントを開始する(工程S106)。
続いて、例えば制御部11が、工程S105において開始されたタイマのカウントが終了したか否か(すなわち、所定時間F3(min)だけカウントアップしたか否か)の判定を行う(工程S107)。この判定は、工程S104においてバルブ35を開状態とした時点から(すなわち、脱硫器2における脱硫方式が水添脱硫に切り替えられた時点から)、所定時間F3(min)が経過したか否かの判定に相当する。
続いて、工程S107の判定の結果、工程S106において開始されたタイマのカウントが終了した場合、すなわち、脱硫器2における脱硫方式が水添脱硫に切り替えられた時点から所定時間F3(min)が経過した場合、リサイクルガスラインRのバルブ35を閉状態とする(工程S108)。より具体的には、例えば触媒再生判断部11bが、リサイクルガスラインRのバルブ35を閉じるための信号をバルブ35(或いはその制御手段)に送信し、該バルブ35を閉状態とする。これにより、脱硫器2へのリサイクルガスの導入が停止され、脱硫器2における脱硫方式が、再び吸着脱硫に切り替えられる。なお、工程S107の判定の結果、タイマのカウントが終了していない場合には、所定時間経過後に再び工程S107の判定を行う。
続いて、工程S108において脱硫器2における脱硫方式が吸着脱硫に切り替えられたため、再び積算流量のカウントを可能とするために、例えば積算流量計算部11aが、積算流量のカウントを0に戻す(工程S109)。その後、燃料電池システム1における発電目標値(電力値)を所定値F4(W)に設定し(工程S110)、当該切り替え工程を終了する。なお、工程S110は、一時的に発電を停止していた燃料電池システム1において再び発電を開始するための工程であるので、所定値F4(W)は0(W)よりも大きな値に設定される。より具体的には、所定値F4(W)は、例えば、電力の供給先の施設における電力需要に応じて決定される。
このように、この切り替え工程においては、脱硫器2における脱硫方式を、改質器20において発生した改質ガスの少なくとも一部(リサイクルガス)を用いた水添脱硫とリサイクルガスを用いない吸着脱硫との間で切り替える。より具体的には、この切り替え工程においては、水素含有燃料の積算流量が一定量に達するごとに(積算流量が所定量F1(L)よりも大きくなったときに)、所定時間(所定時間F3(min))だけ、リサイクルガスラインRを介してリサイクルガスを脱硫器2に導入して脱硫器2の脱硫方式を水添脱硫に切り替える。
引き続いて、本実施形態に係る脱硫方法のうちの切り替え工程の別例について説明する。図4は、本実施形態に係る脱硫方法のうちの切り替え工程の別例を示すフローチャートである。図4に示される切り替え工程は、燃料電池システム1が停止工程を実施しているときに行われる。図4に示されるように、ここでは、まず、燃料電池システム1の発電目標値(電力値)が0(W)に設定される(工程SS201)。つまり、この工程S201において、燃料電池システム1の実施する工程が停止工程とされる。
続いて、例えば制御部11の制御の元で、水素含有燃料供給部7から燃料電池システム1に導入される水素含有燃料の流量(フィードガス流量)を所定量F5(L/min)とし、水供給部8から改質器20に供給される水量(プロセス水量)を所定量F6(g/min)とし、酸化剤供給部9からセルスタック5のカソード13に供給される酸化剤の流量(カソードガス流量)を所定量F7(L/min)とする(工程S202)。
この工程S202は、燃料電池システム1を冷却するための工程である。したがって、フィードガス流量に関する所定量F5(L/min)は、停止工程時におけるフィードガス流量であり、フィードポンプの制御可能範囲において最低流量に設定される。また、プロセス水量に関する所定量F6(g/min)は、停止工程時におけるプロセス水流量であり、フィードガス流量に関する所定量F5(L/min)に応じて所定のS/C(例えば2〜3)になるように設定される。一方で、カソードガス流量に関する所定量F7(L/min)は、停止工程時におけるカソードガス流量であり、カソードブロアの制御可能範囲内において最大流量に設定される。これにより、燃料電池システム1の温度が徐々に低下していく。なお、この工程S202から所定時間の間は、依然として、改質器20が水素を含有する改質ガスを発生可能な状態である(すなわち、リサイクルガスをリサイクルガスラインRを介して循環可能な状態である)。
続いて、リサイクルガスラインRのバルブ35を開状態とする(工程S203)。より具体的には、例えば触媒再生判断部11bが、リサイクルガスラインRのバルブ35を開くための再生工程信号をバルブ35(或いはその制御手段)に送信し、該バルブ35を開状態とする。これにより、脱硫器2に対してリサイクルガスラインRを介してリサイクルガスが導入され、脱硫器2における脱硫方式が水添脱硫に切り替えられる。
続いて、例えば制御部11が、改質器20の出口温度が所定温度F8(℃)よりも低いか否かの判定を行う(工程S204)。所定温度F8(℃)は、改質可能最低温度であり、未改質ガス(C以上の炭化水素)が発生しない範囲において、可能な限り低い温度に設定される。このように所定温度F8(℃)を設定する目的は、未改質ガスがセルスタック5に供給されることに起因してセルスタック5が劣化することを防止することである(すなわち、セルスタック5の保護である)。
続いて、工程S204の判定の結果、改質器20の出口温度が所定温度F8(℃)よりも低い場合、セルスタック5の保護のために改質器20を停止する。その結果、脱硫器2にリサイクルガスを導入できなくなるため、リサイクルガスラインRのバルブ35を閉状態とする(工程S205)。より具体的には、例えば触媒再生判断部11bが、リサイクルガスラインRのバルブ35を閉じるための信号をバルブ35(或いはその制御手段)に送信し、該バルブ35を閉状態とする。これにより、脱硫器2における脱硫方式が、再び吸着脱硫に切り替えられる。
なお、工程S202において燃料電池システム1の冷却を開始した後に、工程S204において改質器20の出口温度が上述した所定温度F8(℃)よりも低くなるまでの間には、ある程度の時間(例えば2〜3時間)がかかる。したがって、ここでは、その時間だけ脱硫器2の脱硫方式が吸着脱硫から水添脱硫に切り替えられることになる。工程S204の判定の結果、改質器20の出口温度が所定温度F8(℃)以上である場合、所定時間経過後に再び工程S204の判定を行う。
続いて、例えば制御部11の制御の元で、フィードガス流量を0(L/min)とし、プロセル水量を0(g/min)とし、カソードガス流量を所定量F7(L/min)とする(工程S206)。これにより、酸化剤のみが流通される状態となり、燃料電池システム1のさらなる冷却が行われる。
続いて、例えば制御部11が、改質器20の出口温度が所定温度F9(℃)よりも低いか否かの判定を行う(工程S207)。この工程S207は、燃料電池システム1が十分に冷却されているか否かの判定行う工程である。所定温度F9(℃)は、停止工程温度であり、例えば、次回の起動工程時にセルスタック5へ未改質ガスが供給されてもセルスタック5が劣化しない温度である。
その後、工程S207の判定の結果、改質器20の出口温度が所定温度F9(℃)よりも低い場合、例えば制御部11の制御の元で、カソードガス流量を0(L/min)として(工程S208)、燃料電池システム1が停止される。また、ここでの切り替え工程も終了する。なお、工程S207の判定の結果、改質器20の出口温度が所定温度F9(℃)以上である場合、所定時間経過後に再び工程S207の判定を行う。
以上説明したように、この脱硫システム100及び脱硫方法においては、水素含有燃料の脱硫方式が、リサイクルガスを用いた水添脱硫と吸着脱硫との間で切り替えられる。特に、脱硫方式は、一定時間経過するごとに、又は、水素含有燃料の積算流量が一定量に達するごとに、リサイクルガスラインRを介してリサイクルガスを所定時間だけ脱硫器2に導入することによって、その所定時間だけ吸着脱硫から水添脱硫に切り替えられる。
つまり、本実施形態に係る脱硫システム100及び脱硫方法においては、リサイクルガスラインRからのリサイクルガスを用いた水添脱硫が所定時間だけ行われ、それ以外の時間には吸着脱硫が行われる。このため、リサイクルガスラインRを介して脱硫器2にリサイクルガスを導入する時間が短縮される。その結果、リサイクルガスラインRにおけるリサイクルガスの放熱が抑えられ、燃料電池システム1の発電効率の低下が抑制される。これにより、リサイクルガスラインRに対してリサイクルガスの流量を抑制する機構を別途設ける必要がなくなり、構成の複雑化が避けられる。さらに、リサイクルガスラインが閉塞する可能性が低くなり、信頼性の低下が抑制される。
なお、本実施形態に係る脱硫システム100及び脱硫方法においては、上述したように、定期的に、リサイクルガスが脱硫器2に導入され、脱硫方式が水添脱硫に切り替えられる。このとき、吸着脱硫の間に脱硫触媒に吸着された硫黄分等がリサイクルガスの導入により分解され、脱硫触媒が再生される。このため、脱硫触媒の量を低減して脱硫器2を小型化することも可能となる。
また、本実施形態に係る脱硫システム100及び脱硫方法においては、燃料電池システム1が停止工程を実施しているときに(或いは、発電中であれば一時的に停止させための工程を実施した後に)、脱硫器2の脱硫方式を水添脱硫に切り替えることができる。このように、リサイクルガスラインRを介してリサイクルガスを脱硫器2に導入することにより脱硫方式を水添脱硫に切り替える際に、燃料電池システム1が発電工程を実施していなければ、発電効率の低下を確実に抑制することができる。
また、本実施形態に係る脱硫システム100においては、リサイクルガスラインRに対して水分を除去するドレーナ32が設けられている。このため、リサイクルガスラインRを流通するリサイクルガスから水分が除去される結果、効率的に脱硫触媒の再生を行うことができる。
以上の実施形態は、本発明に係る脱硫システム及び脱硫方法の一実施形態について説明したものである。したがって、本発明に係る脱硫システム及び脱硫方法は、上述したものに限定されない。本発明に係る脱硫システム及び脱硫方法は、各請求項の要旨を変更しない範囲において、上述したものを変形したものとすることができる。
例えば、リサイクルガスラインRにシフト触媒を充填してもよい。この場合、リサイクルガスラインRに充填されたシフト触媒のシフト反応によって、リサイクルガスラインRを介して脱硫器2に導入されるリサイクルガスの水素濃度が向上する。このため、リサイクルガスの導入による脱硫触媒の再生時間が短縮される。また、リサイクルガスラインRを流通するリサイクルガスの水分量がシフト反応により低下させられるため、ドレンの発生によるリサイクルガスラインRの閉塞が抑制される。このため、信頼性が向上する。
また、リサイクルガスラインRに対して、シフト触媒に代えて、或いはシフト触媒に加えて、メタネータ触媒を充填してもよい。この場合、メタネータ触媒のメタネーション反応によって、リサイクルガスラインRを流通するリサイクルガスのCO濃度を低減できる。なお、リサイクルガスラインRに対してシフト触媒とメタネータ触媒との両方を入れる場合には、メタネータ触媒はシフト触媒の後段側に入れられる。
また、上述した脱硫方法の切り替え工程の一例においては、積算流量に基づいて脱硫器2の脱硫方式を水添脱硫に切り替える場合について説明した。しかしながら、この切り替え工程の一例においては、以下のように、吸着脱硫の経過時間に基づいて脱硫器2の脱硫方式を水添脱硫に切り替えてもよい。すなわち、その場合には、まず、脱硫器2において吸着脱硫が開始されてからの経過時間のカウントを開始する。
続いて、カウントされた経過時間が所定時間T1(min)よりも大きいか否かを判定する。これは、脱硫器2の脱硫触媒が十分に吸着脱硫可能な状態であるか、或いは再生を行う必要がある状態であるかを、経過時間を目安にして判定することに相当する。そして、経過時間が所定時間T1(min)よりも大きい場合に、図3における工程S103以降を実施し、脱硫器2の脱硫方式を水添脱硫に切り替える。
つまり、この切り替え工程の一例においては、一定時間経過するごとに(経過時間が所定時間T1(min)を超えたときに)、所定時間(所定時間F3(min))だけ、リサイクルガスラインRを介してリサイクルガスを脱硫器2に導入して脱硫器2の脱硫方式を水添脱硫に切り替えることができる。なお、燃料電池システム1を負荷変動なしで一定発電システムとする場合には、流量計37を設けなくてもよい。その場合には、水素含有燃料のフィード量が一定となるので、吸着脱硫の経過時間から水素含有燃料の積算流量を計算することが可能となる。
さらに、上述した脱硫システム100及び脱硫方法においては、例えば、制御部11が、燃料電池システム1が停止工程を実施しているときに限らず、燃料電池システム1が発電工程以外の他の工程を実施しているときに、上述したように脱硫器2の脱硫方式を水添脱硫に切り替えることができる。
1…燃料電池システム、2…脱硫器、11…制御部、20…改質器、32…ドレーナ(水分除去機構)、R…リサイクルガスライン(導入ライン)。

Claims (6)

  1. 改質器を有する燃料電池システムに用いられ、水素含有燃料の脱硫を行って脱硫された前記水素含有燃料を前記改質器に供給する脱硫システムであって、
    脱硫触媒を用いて前記水素含有燃料の脱硫を行う脱硫器と、
    前記改質器において発生した水素含有ガスの少なくとも一部を前記脱硫器に導入するための導入ラインと、
    前記脱硫器における脱硫方式を、前記水素含有ガスを用いた水添脱硫と吸着脱硫との間で切り替える制御部と、を備え、
    前記制御部は、一定時間経過するごとに、又は、前記水素含有燃料の積算流量が一定量に達するごとに、所定時間だけ、前記導入ラインを介して前記水素含有ガスを前記脱硫器に導入して前記脱硫器の脱硫方式を前記水添脱硫に切り替える、
    ことを特徴とする脱硫システム。
  2. 前記制御部は、前記燃料電池システムが発電工程以外の工程を実施しているときに、前記脱硫器の脱硫方式を前記水添脱硫に切り替える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の脱硫システム。
  3. 前記制御部は、前記燃料電池システムが停止工程を実施しているときに、前記脱硫器の脱硫方式を前記水添脱硫に切り替える、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の脱硫システム。
  4. 前記導入ラインには、シフト触媒が充填されている、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の脱硫システム。
  5. 前記導入ラインには、水分除去機構が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の脱硫システム。
  6. 改質器を有する燃料電池システムに用いられ、水素含有燃料の脱硫を行って脱硫された前記水素含有燃料を前記改質器に供給する脱硫方法であって、
    脱硫触媒を有する脱硫器を用いて前記水素含有燃料の脱硫を行う脱硫工程と、
    前記脱硫器における脱硫方式を、前記改質器において発生した水素含有ガスを用いた水添脱硫と吸着脱硫との間で切り替える切り替え工程と、を含み、
    前記切り替え工程においては、一定時間経過するごとに、又は、前記水素含有燃料の積算流量が一定量に達するごとに、所定時間だけ、導入ラインを介して前記水素含有ガスを前記脱硫器に導入して前記脱硫器の脱硫方式を水添脱硫に切り替える、
    ことを特徴とする脱硫方法。
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