JP2016020618A - Alcパネルの取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ALCパネルの許容荷重以上の水平荷重が作用したときに建物躯体からALCパネルが円滑に離脱して建物に与える損傷を低減するALCパネルの取付構造を提供すること。
【解決手段】パネル下端の幅方向中央位置の1カ所にその短辺小口面からパネル内部に向けて設けられた有底孔18に対し下側躯体22から立設された1つの棒材26が遊挿されるとともにパネル上端の幅方向の2カ所にその短辺小口面からパネル内部に向けて設けられた2つの有底孔20に対し上側躯体24から立設された2つの棒材34がそれぞれ遊挿されることによりALCパネル10は建物の上下躯体22,24間に取り付けられており、パネル下端における下側躯体22の棒材26のせん断引抜強度がパネル上端における上側躯体24の2つの棒材34のせん断引抜強度以下の強度であって、パネル面外荷重に対してパネル上端よりも先にパネル下端がせん断破壊してパネル下端から外れる。
【選択図】図3

Description

本発明は、建物の外壁として用いられるALCパネルの取付構造に関し、さらに詳しくは、津波避難ビルなどの建物の外壁として好適に用いられるALCパネルの取付構造に関するものである。
建物の外壁は一般に耐力壁で構成される。耐力壁は建物の荷重を負担するとともに地震力や風圧力などの水平荷重にも十分耐えられる設計となっている。また、津波避難ビルでは、建物の外壁が津波波圧(水平荷重)に対しても耐えられる設計となっている。これらの場合には、当然ながら建物の外壁は構造躯体から容易に外れない必要がある。また、一般的な建物の外壁に使用されるALCパネルは帳壁として取り扱われる。この場合、ALCパネルは設計荷重(地震力や風圧力などの水平荷重)に対して十分耐えられる強度設計となっている。
特開平10−72872号公報 特開2007−9659号公報
しかしながら、外壁が構造躯体から容易に外れないと、外壁が建物に残った状態で外壁とともに建物が津波波圧(水平荷重)を直に受けるため、建物の転倒を引き起こす場合もある。これにより、建物に与える損傷は甚大となる。
特許文献1〜2では、ALCパネルを支えるための部材としてボルトを用い、これをALCパネル内に埋設されたアンカー金具に螺合している。この構成では、ALCパネルの許容荷重以上の水平荷重が作用し、アンカー金具が埋設されているところのパネル母材が破壊されても、パネル内部の補強筋に接合されたアンカー金具が建物躯体に固定されたボルトと接続されたままとなり、ALCパネルが建物躯体から離脱せずに残る。そうすると、ALCパネルの許容荷重以上の水平荷重が作用したときにも、ALCパネルとともに建物がその荷重をもろに受ける。これにより、建物に与える損傷は甚大となるおそれがある。
本発明が解決しようとする課題は、ALCパネルの許容荷重以上の水平荷重が作用したときに建物躯体からALCパネルが円滑に離脱して建物が受ける荷重を低減するALCパネルの取付構造を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係るALCパネルの取付構造は、ALCパネルが建物の上下躯体間に取り付けられてなるALCパネルの取付構造であって、パネル下端の幅方向中央位置の1カ所にその短辺小口面からパネル内部に向けて設けられた有底孔に対し下側躯体から立設された1つの棒材が遊挿されるとともにパネル上端の幅方向の2カ所にその短辺小口面からパネル内部に向けて設けられた2つの有底孔に対し上側躯体から立設された2つの棒材がそれぞれ遊挿されることによりALCパネルは建物の上下躯体間に取り付けられており、パネル下端における下側躯体の棒材のせん断引抜強度がパネル上端における上側躯体の2つの棒材のせん断引抜強度以下の強度であって、パネル面外荷重に対してパネル上端よりも先にパネル下端がせん断破壊してパネル下端から外れることを要旨とするものである。
この場合、ALCパネルに埋設された補強筋のうちパネル下端の短辺小口面から最も近い位置にある副筋に対するパネル下端の有底孔に遊挿された下側躯体の棒材の掛かり代が150mm以下であることが望ましい。
そして、棒材を挿通する挿通域を備えたアンカー金具がALCパネルに埋設された補強筋のうちパネル下端の短辺小口面から最も近い位置にある2本の副筋に幅方向中央位置で跨って溶接固定され、パネル下端の有底孔に遊挿された下側躯体の棒材がこのアンカー金具の挿通域にも遊挿されていることが好ましい。この場合、アンカー金具は井桁状金具あるいは貫通孔を備えた板状金具であることが好ましい。
本発明に係るALCパネルの取付構造によれば、パネル下端およびパネル上端はその短辺小口面からパネル内部に向けて設けられた有底孔に対し躯体から立設された棒材が遊挿されているだけであるため、ALCパネルの許容荷重以上の水平荷重が作用し、棒材が遊挿されているところのパネル母材が破壊されたときには、ALCパネルの端部と躯体の結合が切れる。そして、パネル下端における下側躯体の棒材のせん断引抜強度がパネル上端における上側躯体の2つの棒材のせん断引抜強度以下の強度であって、パネル面外荷重に対してパネル上端よりも先にパネル下端がせん断破壊してパネル下端から外れるため、ALCパネルの自重によりパネル上端も続けて躯体から外れる。これにより、ALCパネルは建物躯体から円滑に離脱することができる。したがって、ALCパネルの許容荷重以上の水平荷重が作用したときには、建物躯体からALCパネルが円滑に離脱して建物に与える損傷を低減することができる。
この場合、ALCパネルに埋設された補強筋のうちパネル下端の短辺小口面から最も近い位置にある副筋に対するパネル下端の有底孔に遊挿された下側躯体の棒材の掛かり代が150mm以下であると、ALCパネルの許容荷重以上の水平荷重が作用し、棒材が遊挿されているところのパネル母材が破壊されたときに、ALCパネルが建物躯体から離脱しやすくする。
そして、棒材を挿通する挿通域を備えたアンカー金具がALCパネルに埋設された補強筋のうちパネル下端の短辺小口面から最も近い位置にある2本の副筋に幅方向中央位置で跨って溶接固定され、パネル下端の有底孔に遊挿された下側躯体の棒材がこのアンカー金具の挿通域にも遊挿されていると、帳壁としての取付強度を十分に確保することができる。
ALCパネルの一例を示した透視斜視図である。 ALCパネルの一例であり、所定の位置に有底孔を形成した状態を示した正面図である。 アンカー金具を用いていないALCパネルの取付構造の一例の正面図(a)および側面図(b)である。 井桁状金具の一例を示した斜視図である。 井桁状金具をアンカー金具として用いたALCパネルの取付構造の透視分解斜視図である。 貫通孔を備えた板状金具の一例を示した斜視図である。 せん断引抜強度の試験概要図である。 棒材の抜けやすさを測定する試験概要図である。
次に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、ALCパネルの一例を示した透視斜視図である。パネルの輪郭を点線で示し、パネル内部の補強筋を実線で示している。図1に示すように、ALCパネル10は、軽量気泡コンクリートを板状に成形したものからなる。ALCパネル10の内部には、パネル全体にわたって補強筋が埋設されている。補強筋は、ALCパネル10の長さ方向に沿って配置された主筋12と、ALCパネル10の幅方向に沿って配置された副筋14と、からなる。複数本の主筋12と複数本の副筋14とが組み合わされて格子状の補強筋マットが形成され、ALCパネル10の厚み方向に所定の間隔で平行に並べられた2枚の補強筋マットが連結金具16を介して結合されてカゴ状に成形されている。
図2は、ALCパネルの一例であり、所定の位置に有底孔を形成した状態を示した正面図である。図2に示すように、ALCパネル10において、パネル下端の幅方向中央位置の1カ所には、その短辺小口面からパネル内部に向けて有底孔18が設けられている。有底孔18は、パネル下端の短辺小口面から最も近い位置にある副筋14aよりもパネル内部まで延びている。有底孔18は、断面円形状の円形孔であり、パネル下端側の孔径がパネル内部側の孔径よりもやや大きく形成されている。パネル上端の幅方向の2カ所には、その短辺小口面からパネル内部に向けて2つの有底孔20が設けられている。2つの有底孔20は、それぞれパネル上端の短辺小口面から最も近い位置にある副筋14bよりもパネル内部まで延びている。2つの有底孔20は、それぞれ断面円形状の円形孔であり、パネル上端側の孔径がパネル内部側の孔径よりもやや大きく形成されている。
図3は、アンカー金具を用いていないALCパネルの取付構造の一例の正面図(a)および側面図(b)である。図3に示すように、ALCパネル10は、建物の上下躯体22,24間に取り付けられる。下側躯体22には、1つの棒材26が立設されている。棒材26は断面円形状の円柱体または円筒体であり、棒材26の基端には板状の台座28が一体となっており、棒材26は板状の台座28の面から面に直交する方向に延びている。棒材26および台座28はともに金属製で溶接等によって接合されている。下側躯体22には金属製の埋め込みプレート30が埋設されており、この埋め込みプレート30に固定されたフラットバー32に棒材26と一体になっている台座28の裏面が溶接等によって固定されている。棒材26の外径はパネル下端の有底孔18のパネル下端側の孔径およびパネル内部側の孔径よりも小さく、棒材26の長さはパネル下端の有底孔18の長さよりも短くなっている。そして、パネル下端の有底孔18に対し下側躯体22から立設された1つの棒材26が遊挿されることにより、パネル下端は下側躯体22に取り付けられる。ALCパネル10は、パネル下端の短辺小口で、棒材26と一体になっている板状の台座28の面上に載置される。したがって、ALCパネル10のパネル下端の短辺小口と下側躯体22(のフラットバー32)の間には、棒材26と一体になっている板状の台座28の厚みの分だけ、隙間S1が設けられる。
上側躯体24には、2つの棒材34が立設されている。2つの棒材はそれぞれ断面円形状の円柱体または円筒体であり、棒材34の基端には板状の台座36が一体となっており、棒材34は板状の台座36の面から面に直交する方向に延びている。棒材34および台座36はともに金属製で溶接等によって接合されている。上側躯体24には金属製の埋め込みプレート38が埋設されており、この埋め込みプレート38に固定されたフラットバー40に棒材34と一体になっている台座36の裏面が溶接等によって固定されている。棒材34の外径はパネル上端の有底孔20のパネル上端側の孔径およびパネル内部側の孔径よりも小さく、棒材34の長さはパネル上端の有底孔20の長さよりも短くなっている。そして、パネル上端の2つの有底孔20に対し上側躯体24から立設された2つの棒材34がそれぞれ遊挿されることにより、パネル上端は上側躯体24に取り付けられる。ALCパネル10のパネル上端の短辺小口と上側躯体24(のフラットバー40)の間には、パネル建て込み作業における作業代(しろ)や、台座36のフラットバー40などへの溶接等による固定作業における作業代(しろ)などを考慮して、棒材34と一体になっている板状の台座36の厚みよりも大きい隙間S2を設ける。
ALCパネルの内部には、アンカー金具を埋設してもよい。アンカー金具は、棒材を挿通する挿通域を備えたものである。このようなアンカー金具としては、井桁状金具、貫通孔を備えた板状金具などが挙げられる。図4には、井桁状金具の一例を示す。図5は、井桁状金具をアンカー金具として用いたALCパネルの取付構造の透視分解斜視図である。また、図6には、貫通孔を備えた板状金具の一例を示す。
図4に示すように、井桁状金具42は、4本の金属製の軸片42a,42b,42c,42dが井桁状に組まれたものからなる。4本の軸片42a,42b,42c,42dは、他の軸片と重なり接触する部分で溶接などにより互いに接合されている。井桁状金具42は、平行に並べられた2本の軸片42a,42bが2本の副筋14に跨いでその端部でそれぞれ副筋14に溶接などにより接合されて固定される。副筋14に固定される2本の軸片42a,42bはパネル厚み方向に配向し、副筋14に固定されない2本の軸片42c,42dはパネル幅方向に配向する。
図5に示すように、井桁状金具42は、パネル下端では、ALCパネル10に埋設された補強筋のうちパネル下端の短辺小口面から最も近い位置にある2本の副筋14aにパネル幅方向中央位置で跨って溶接固定される。パネル上端では、ALCパネル10に埋設された補強筋のうちパネル上端の短辺小口面から最も近い位置にある2本の副筋14bに幅方向の所定位置で跨って溶接固定される。井桁状金具42の4本の軸片42a,42b,42c,42dにより囲まれる部分が棒材26,34を挿通する挿通域42eであり、挿通域42eの面内における最短距離は棒材26,34の外径よりも大きくされている。井桁状金具42の挿通域42eは、ALCパネル10の有底孔18,20の位置に合わせて配置される。パネル下端の有底孔18に遊挿された下側躯体22の棒材26は、この井桁状金具42の挿通域42eにも遊挿される。また、パネル上端の有底孔20に遊挿された上側躯体24の棒材34は、この井桁状金具42の挿通域42eにも遊挿される。
図6に示すように、貫通孔を備えた板状金具44は、2本の副筋14を跨ぐ幅を有し、2本の副筋14に跨いでそれぞれ副筋14に溶接などにより接合されて固定される。貫通孔を備えた板状金具44は、パネル下端では、ALCパネル10に埋設された補強筋のうちパネル下端の短辺小口面から最も近い位置にある2本の副筋14aにパネル幅方向中央位置で跨って溶接固定される。パネル上端では、ALCパネル10に埋設された補強筋のうちパネル上端の短辺小口面から最も近い位置にある2本の副筋14bに幅方向の所定位置で跨って溶接固定される。貫通孔を備えた板状金具44は、図5に示す井桁状金具42が配置される位置に配置される。貫通孔が棒材26,34を挿通する挿通域44aであり、挿通域44aの面内における最短距離は棒材26,34の外径よりも大きくされている。貫通孔を備えた板状金具44の挿通域44aは、ALCパネル10の有底孔18,20の位置に合わせて配置される。パネル下端の有底孔18に遊挿された下側躯体22の棒材26は、この貫通孔を備えた板状金具44の挿通域44aにも遊挿される。また、パネル上端の有底孔20に遊挿された上側躯体24の棒材34は、この貫通孔を備えた板状金具44の挿通域44aにも遊挿される。
パネル下端の取付強度は、パネル母材と1つの棒材26の当接による耐力であり、パネル下端における下側躯体22の棒材26のせん断引抜強度である。一方、パネル上端の取付強度は、パネル母材と2つの棒材34の当接による耐力であり、パネル上端における上側躯体24の2つの棒材34のせん断引抜強度である。アンカー金具を埋設している部分では、棒材26,34を挿通する挿通域42e,44aの内周縁と棒材26,34の当接による耐力が加味される。本発明においては、パネル下端における下側躯体22の棒材26のせん断引抜強度がパネル上端における上側躯体24の2つの棒材34のせん断引抜強度以下の強度となるように設計し、さらに、パネル面外荷重に対してパネル上端よりも先にパネル下端がせん断破壊してパネル下端から外れるように設計する。
パネル下端における下側躯体22の棒材26のせん断引抜強度がパネル上端における上側躯体24の2つの棒材34のせん断引抜強度以下の強度となるためには、パネル上端を支持する棒材34の数を、パネル下端を支持する棒材26の数以上にするほか、棒材26,34の太さ、副筋14へのかかり代、材質などの調整、アンカー金具の選択などを行うとよい。また、パネル面外荷重に対してパネル上端よりも先にパネル下端がせん断破壊するためには、パネル上端を支持する棒材34の数を、パネル下端を支持する棒材26の数以上にするほか、棒材26,34の太さ、副筋14へのかかり代、材質などの調整、アンカー金具の選択などを行うとよい。また、パネル下端から外れるようにするには、棒材26,34の太さ、副筋14へのかかり代などの調整を行うとよい。
このようなALCパネルの取付構造によれば、パネル下端およびパネル上端はその短辺小口面からパネル内部に向けて設けられた有底孔18,20に対し躯体22,24から立設された棒材26,34が遊挿されているだけであるため、ALCパネル10の許容荷重以上の水平荷重が作用し、棒材26,34が遊挿されているところのパネル母材が破壊されたときには、ALCパネル10の端部と躯体22,24の結合が切れる。そして、パネル下端における下側躯体22の棒材26のせん断引抜強度がパネル上端における上側躯体24の2つの棒材34のせん断引抜強度以下の強度であって、パネル面外荷重に対してパネル上端よりも先にパネル下端がせん断破壊してパネル下端から外れるため、ALCパネル10の自重によりパネル上端も続けて躯体24から外れる。これにより、ALCパネル10は建物躯体22,24から円滑に離脱することができる。したがって、ALCパネル10の許容荷重以上の水平荷重が作用したときには、建物躯体22,24からALCパネル10が円滑に離脱して建物に与える損傷を低減することができる。
そして、パネル下端は、パネル幅方向中央位置の1カ所で棒材26により支持され、この棒材26の台座28によってパネル下端の短辺小口と下側躯体22(のフラットバー32)の間にその厚みの分だけ隙間S1が設けられ、パネル上端の短辺小口と上側躯体24(のフラットバー40)の間に棒材34と一体になっている板状の台座36の厚みよりも大きい隙間S2を設け、さらに、各棒材26,34が各有底孔18,20に遊挿されているので、地震などで建物躯体が層間変形したときに、パネル幅方向中央位置を中心としてパネル幅方向の両側が上下するようなロッキングをすることができる。このため、この取付構造によるALCパネルは建物躯体の層間変形に対して優れた追従性能を発揮する。また、パネル下端の短辺小口と下側躯体22(のフラットバー32)の間の隙間S1やパネル上端の短辺小口と上側躯体24(のフラットバー40)の間の隙間S2によりパネル角部と建物躯体とが接触してパネル角部にカケや割れが生じるのを抑える。さらに、パネル上端が2つの棒材34で支持されているため、パネル幅方向中央位置を中心軸としてALCパネル10が回転(どんでん返し)するおそれもない。
ALCパネル10の許容荷重(水平荷重)は、ALCパネル10を一般の帳壁として設計する場合に作用する地震力と風圧力に相当する。一般の帳壁として設計する場合に作用する地震力と風圧力に十分耐えられるようにするためには、上記のアンカー金具を用いてもよい。
パネル下端における下側躯体22の棒材26のせん断引抜強度は、パネル上端における上側躯体24の2つの棒材34のせん断引抜強度以下の強度であればよいが、一般の帳壁として要求される設計荷重においては、パネル上端に対してパネル下端のせん断引抜強度は30〜100%の範囲とすることが好ましい。
ALCパネル10に埋設された補強筋のうちパネル下端の短辺小口面から最も近い位置にある副筋14aに対するパネル下端の有底孔18に遊挿された下側躯体22の棒材26の掛かり代は150mm以下であることが好ましい。ALCパネル10の許容荷重以上の水平荷重が作用し、棒材26が遊挿されているところのパネル母材が破壊されたときに、ALCパネル10が建物躯体22から離脱しやすくする。また、その掛かり代は10mm以上であることが好ましい。一般の帳壁として設計する場合に作用する地震力と風圧力に十分耐えられる。
また、パネル面外荷重に対してパネル上端よりも先にパネル下端がせん断破壊してパネル下端から外れるためには、パネル下端における棒材26の副筋14aへの掛かり代がパネル上端における棒材34の副筋14bへの掛かり代よりも小さいことが好ましい。この観点から、パネル下端における棒材26の副筋14aへの掛かり代は10〜40mmであり、パネル上端における棒材34の副筋14bへの掛かり代は20〜60mmであることが好ましい。
そして、棒材26,34の外径は、6〜12mmの範囲であることが好ましい。棒材26,34がパネル内部の補強筋やパネル母材あるいはアンカー金具に引っかかりにくくし、ALCパネル10が建物躯体から離脱しやすくする。
ALCパネル10の寸法は、特に限定されるものではないが、通常、幅300〜600mm、長さ1500〜4000mm、厚さ75〜150mmの範囲に設定される。ALCパネル10に埋設される補強筋は、ALCパネル10の各短辺小口からのかぶりが通常、5〜40mmの範囲に設定される。下側躯体22で使用される棒材26の台座28の形状は、特に限定されるものではないが、ALCパネル10の自重を負担しやすいなどから、面の形状を四角形とすればよい。建物躯体22,24に固定されるフラットバー32,40の幅が通常65〜75mmであることから、この台座28の長辺の長さは30〜60mmであることが好ましい。この台座28は、ALCパネル10の自重を負担するのに十分な強度となる大きさで、ALCパネル10のロッキングを阻害しない程度の隙間S1を生じさせる厚みのものとすればよい。上側躯体24で使用される棒材34の台座36は、溶接等で接合しやすいなどの理由で、円盤状または小判状にするとよい。この台座36の大きさは、外部から見えにくくするなどの理由で、ALCパネル10の厚さを超えない大きさであることが好ましい。具体的には、直径30〜60mmであることが好ましい。アンカー金具の厚さは、特に限定されるものではないが、0.8〜4mm程度であればよい。
<試験体1>
図5に示すように、カゴ状補強筋の幅方向中央位置で長さ方向一端の2本の副筋に跨って図4に示す井桁状金具を溶接固定し、カゴ状補強筋の幅方向所定位置で長さ方向他端の2本の副筋に跨って2つの井桁状金具を溶接固定したALCパネルを得た。パネル上端(2カ所)およびパネル下端(1カ所)において、短辺小口面から井桁状係止具の挿通域と連通する連通孔を挿通域よりもさらに奥まで穿設形成した。
ALCパネルの寸法:幅600mm、長さ2490mm、厚さ100mm
連通孔の寸法:入口側30mm、奥側15.5mm
<試験体2>
図4に示す井桁状金具に代えて図6に示す貫通孔を備えた板状金具を用いた以外は試験体1と同じ構成である。
<試験体3>
図4に示す井桁状金具を用いなかった以外は試験体1と同じ構成である。
<井桁状金具の構成>
長さ70mm、直径3.2mmの鋼棒2本と長さ30mm、直径:2.6mmの鋼棒2本を用い、16mm×16mmの挿通域が形成されるように井桁状に組み付けて溶接した。
<貫通孔を備えた板状金具の構成>
幅50mm、長さ100mm、厚さ1.6mmの平板を用いた。
貫通孔:幅13.5mm、長さ17mm
<棒材の構成>
長さ135mm、外径15.0mm鋼棒を用いた。
<せん断引抜強度の測定>
図7に示すように、試験体51を試験用鉄骨架台52上に水平に配置し、試験体51の短辺小口面から300mmの位置でパネル壁面を挟持して、試験体51を試験用鉄骨架台52に固定した。次いで、試験体51の短辺小口の連通孔に1本または2本の棒材を挿入し、油圧ジャッキ53を用いて棒材の端部を上方に変位させた。このときの最大荷重を棒材の引抜せん断強度とした。なお、2本の棒材を挿入する場合には、2本の棒材の端部を連結板で連結して上方に変位させた。その結果を表1に示す。
Figure 2016020618
そして、表1のせん断引抜強度の測定結果をもとに、パネル下端とパネル上端の支持形態の組み合わせとその強度比の算出結果を表2に示す。
Figure 2016020618
表2に示すように、所定の支持形態の組み合わせにおいて、その強度比が30〜100%の範囲となった。
<試験体4>
幅方向中央位置でカゴ状補強筋の長さ方向一端の2本の副筋に跨って井桁状金具を溶接固定するとともに、幅方向中央位置でカゴ状補強筋の長さ方向他端の2本の副筋に跨って井桁状金具を溶接固定したALCパネルを得た。パネル上端(1カ所)およびパネル下端(1カ所)において、短辺小口面から井桁状係止具の挿通域と連通する連通孔を挿通域よりもさらに奥まで穿設形成した。
ALCパネルの寸法:幅600mm、長さ2000mm、厚さ100mm
連通孔の寸法:入口側30mm、奥側15.5mm
<井桁状金具の構成>
長さ70mm、直径3.2mmの鋼棒2本と長さ30mm、直径:2.6mmの鋼棒2本を用い、16mm×16mmの挿通域が形成されるように井桁状に組み付けて溶接した。
<棒材の抜けやすさ>
図8に示すように、試験体54を鉄骨架台55の間に水平に配置し、試験体54の短辺小口面から棒材を挿入した状態で鉄骨架台55に棒材を溶接固定した。次いで、試験体54の上方から4等分2線の一方向にて載荷をして、試験体54の支持部分の破壊時における棒材の抜けやすさを確認した。試験に際し、棒材として外径6mm、12mm、15mmの3種類のものを用い、端部の副筋への掛かり代を10mm、60mm、110mm、150mmとした。この際、支持部分が小さく欠けて試験体54から棒材が外れた場合を最良「◎」、支持部分が大きく破壊したが試験体54から棒材が外れた場合を良「○」、支持部分が破壊したときには試験体54から棒材は外れなかったが、さらに荷重を加えると外れた場合をやや良「△」、試験体54から棒材が外れなかった場合を不良「×」とした。この結果を表3に示す。
Figure 2016020618
表3から、掛かり代110mmまでは棒材の外径の大きさにかかわらず棒材の抜けやすさは良好であった。掛かり代150mmでは、棒材の外径が6mmのときに棒材が抜けることを確認した。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば上記実施形態においては、上側躯体24に立設される2つの棒材34をそれぞれ断面円形状の円柱体または円筒体であるとして説明しているが、これは上側躯体24に立設される2つの棒材34の形状の一例であり、パネル下端に続けてパネル上端が上側躯体24から外れるような遊挿状態であれば、2つの棒材34は他の形状であってもよい。そして、2つの棒材34が例えば基端から先端の方向に向かって漸次細くなる先細り部分を少なくともその先端に有すると、パネル自重によりパネル上端位置が下がったときに2つの棒材34がパネル上端の有底孔20から外れやすくなる利点がある。この場合、その漸次細くなる先細り部分が2つの棒材34の先端のみにあってその漸次細くなる先細り部分よりも基端側が外径の等しい等径部分であると、建物躯体22,24に対してALCパネル10が正常に取り付けられているときに有底孔20に対し2つの棒材34がしっかり掛かるため、一般の帳壁として設計する場合に作用する地震力と風圧力に十分耐えられるものにしやすい。このとき、等径部分はパネル上端短辺小口面から最も近い位置にある副筋あるいはこれに固定されたアンカー金具の挿通域よりもパネル内部にまで延び、先細り部分が副筋あるいはこれに固定されたアンカー金具の挿通域よりもパネル内部に配置されるとよい。
10 ALCパネル
12 主筋
14 副筋
18,20 有底孔
22,24 躯体
26,34 棒材

Claims (4)

  1. ALCパネルが建物の上下躯体間に取り付けられてなるALCパネルの取付構造であって、
    パネル下端の幅方向中央位置の1カ所にその短辺小口面からパネル内部に向けて設けられた有底孔に対し下側躯体から立設された1つの棒材が遊挿されるとともにパネル上端の幅方向の2カ所にその短辺小口面からパネル内部に向けて設けられた2つの有底孔に対し上側躯体から立設された2つの棒材がそれぞれ遊挿されることによりALCパネルは建物の上下躯体間に取り付けられており、パネル下端における下側躯体の棒材のせん断引抜強度がパネル上端における上側躯体の2つの棒材のせん断引抜強度以下の強度であって、パネル面外荷重に対してパネル上端よりも先にパネル下端がせん断破壊してパネル下端から外れることを特徴とするALCパネルの取付構造。
  2. ALCパネルに埋設された補強筋のうちパネル下端の短辺小口面から最も近い位置にある副筋に対するパネル下端の有底孔に遊挿された下側躯体の棒材の掛かり代が150mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のALCパネルの取付構造。
  3. 棒材を挿通する挿通域を備えたアンカー金具がALCパネルに埋設された補強筋のうちパネル下端の短辺小口面から最も近い位置にある2本の副筋に幅方向中央位置で跨って溶接固定され、パネル下端の有底孔に遊挿された下側躯体の棒材がこのアンカー金具の挿通域にも遊挿されていることを特徴とする請求項1または2に記載のALCパネルの取付構造。
  4. アンカー金具が、井桁状金具あるいは貫通孔を備えた板状金具であることを特徴とする請求項3に記載のALCパネルの取付構造。
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