JP2016018755A - 発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】より効果的に発光素子の光取り出し効率を向上する。【解決手段】発光素子100は、相互に積層された複数の層を有し、複数の層には発光層が含まれている。複数の層には、第1の層(例えば透光層110)と、第1の層とは屈折率が異なる第2の層(例えば第1電極130)と、一方の面が凹凸面115となっている凹凸層120と、が含まれている。凹凸層120の一方の面は、第1の層と接しており、凹凸層120の他方の面は第2の層に接している。凹凸層120は、凹凸層120の内部で光を散乱させる散乱層である。【選択図】図1

Description

本発明は、発光素子に関する。
有機発光層を有する有機EL(Electro Luminescence)発光素子、或いはその他の発光素子においては、発生した光のうち外部に放射される光の割合(光取り出し効率)を向上することが望まれている。
発光素子の光取り出し効率向上に関して、各種の先行技術がある。
特許文献1には、透光性基板と、透光性基板の表面に形成される透明導電膜とからなる面発光素子用基板が記載されている。透光性基板は、ピラミッド形状、レンズ形状などの凹凸面を有している。この凹凸面は、透明平坦化膜により平坦化されている。そして、透明平坦化膜の屈折率nd1と、透明導電膜の屈折率nd2との関係が、nd1/nd2≧0.9である。
特許文献2には、単結晶基板の光出射面側に光取出し膜を有するLED用基板が記載されている。このLED用基板の光取出し膜はミクロンオーダーの凹凸を有している。光取出し膜の最表面は、アモルファスアルミナあるいはアルミナ水和物を主成分とするナノオーダーのランダム微細凹凸構造からなる。
特許文献3には、可視光に対する透光性を有する構造体と、構造体の一方の面上に設けられた高屈折率材料層と、高屈折率材料層上に設けられた発光領域を含む発光体と、を有する発光素子が記載されている。高屈折率材料層および発光領域の屈折率は、それぞれ1.6以上である。構造体の屈折率は、1.0より高く、且つ、高屈折率材料層の屈折率よりも低い。そして、構造体の表裏には、それぞれ凹凸構造が形成されている。
特許文献4には、透明電極層と透光体との間に、低屈折率材料からなるマトリックス中に光を散乱させる粒子を含有させた浸み出し光拡散層が設けられたEL素子が記載されている。
特許文献5には、基板上に光散乱層が形成された有機EL素子が記載されている。
特開2012−133944号公報 特開2013−222925号公報 特開2012−084516号公報 特開2004−296437号公報 特開2005−63704号公報
しかしながら、上記の各特許文献1〜5の技術においても、光取り出し効率について改善の余地がある。
本発明が解決しようとする課題としては、より効果的に発光素子の光取り出し効率を向上することが一例として挙げられる。
請求項1に記載の発明は、
相互に積層された複数の層を有し、
前記複数の層には発光層が含まれ、
前記複数の層には、第1の層と、前記第1の層とは屈折率が異なる第2の層と、一方の面が凹凸面となっている凹凸層と、が含まれ、
前記凹凸層の前記一方の面は、前記第1の層と接しており、前記凹凸層の他方の面は前記第2の層に接しており、
前記凹凸層は、当該凹凸層の内部で光を散乱させる散乱層である発光素子である。
実施形態に係る発光素子の模式的な断面図である。 凹凸層の凹凸面近傍の模式的な断面図である。 比較形態に係る発光素子の構造を示す図であり、凹凸層の凹凸面近傍の模式的な断面図である。 発光点から放射される光の取り出し効率を説明するための模式的な断面図である。 実施例1に係る発光素子の模式的な断面図である。 発光素子の有機機能層の層構造を示す断面図であり、このうち(a)は第1例を、(b)は第2例を、それぞれ示す。 実施例1に係る発光素子の凹凸層の凹凸面近傍の断面の撮像画像を示す図である。
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図1は実施形態に係る発光素子100の模式的な断面図である。図2は凹凸層120の凹凸面115近傍の模式的な断面図である。
本実施形態に係る発光素子100は、相互に積層された複数の層を有し、複数の層には発光層が含まれている。複数の層には、第1の層(例えば透光層110)と、第1の層とは屈折率が異なる第2の層(例えば第1電極130)と、一方の面が凹凸面115となっている凹凸層120と、が含まれている。
凹凸層120の一方の面(凹凸面115)は、第1の層と接しており、凹凸層120の他方の面は第2の層に接している。すなわち、第2の層は、凹凸層120における第1の層とは反対側に隣接する層である。
凹凸層120は、凹凸層120の内部で光を散乱させる散乱層である。この発光素子100は、例えばディスプレイ、照明装置、又は光通信装置の光源として用いることができる。
以下においては、説明を簡単にするため、発光素子の各構成要素の位置関係(上下関係等)が各図に示す関係であるものとして説明を行う。ただし、この説明における位置関係は、発光素子の使用時の位置関係とは必ずしも一致しない。
発光素子は、どのような発光方式のものであっても良い。発光素子は、例えば、有機EL発光素子、無機EL発光素子とすることができる。或いは、発光素子は、LEDを有するもの、例えばアレイ状に配列された複数のLEDを有するものであっても良い。
本実施形態では、一例として、発光素子100が有機EL発光素子である例を説明する。
この発光素子100は、例えば図1に示すように、発光層を含む有機機能層140と、第1電極130と、第2電極150と、透光層110と、散乱層である凹凸層120と、を備えている。
有機機能層140は、第1電極130と第2電極150との間に配置されている。図1において、第1電極130は有機機能層140の上面に設けられ、第2電極150は有機機能層140の下面に設けられている。
第1電極130は、例えばITO(Indium Tin Oxide)又はIZO(Indium Zinc Oxide)などの金属酸化物導電体からなる透明電極である。ただし、第1電極130は、光が透過する程度に薄い金属薄膜であっても良い。
第2電極150は、例えば、Ag、Au、Alなどの金属層からなる反射電極である。第2電極150は、有機機能層140から第2電極150側に向かう光を、透光層110側に向けて反射する。ただし、第2電極150をITOやIZOなどの金属酸化物導電体からなる透明電極とし、第2電極150よりも下層に光反射層(図示略)を設けても良い。
第1電極130と第2電極150とのうちの何れか一方が陽極で、何れか他方が陰極である。陰極を構成する材料と陽極を構成する材料とは、仕事関数が互いに異なっている。
第1電極130の上面側には、凹凸層120が設けられている。なお、凹凸層120と第1電極130は、相互に接していても良いし、それらの間に他の透光性の層が存在していても良い。後者の場合、凹凸層120と第1電極130との間に存在していて凹凸層120の下面に接している層が、第2の層である。
凹凸層120は、例えば、高屈折率のガラスペースト、ガラスフリット、又は、透光性絶縁膜(例えば樹脂膜など)である。
凹凸層120の上面には、透光層110が設けられている。
透光層110は、例えば、ガラスや樹脂などの透光性を有する材料からなる板状部材(基材)である。なお、透光層110は、透光性のフィルムであっても良い。
透光層110と凹凸層120とは互いに接している。凹凸層120において、透光層110に接する面が凹凸面115となっている。また、透光層110における凹凸層120側の面は、凹凸面115と対応する凹凸面となっている。
有機機能層140の発光層で発光した光は、透光層110の上面側へ放射される。ここで、透光層110の上面が、発光素子100から外部に光を放射する光取り出し面となっていても良いし、透光層110の上面に光取り出し膜が設けられ、この光取り出し膜の上面が光取り出し面となっていても良い。
このように、発光素子100は、相互に積層された複数の層、例えば、透光層110、凹凸層120、第1電極130、有機機能層140および第2電極150を有している。
なお、透光層110と第1電極130とは互いに屈折率が異なっている。
凹凸面115の凸部の形状及び凹部の形状は、特に限定されないが、例えば、円錐形状、ピラミッド形状(四角錐形状)、その他の角錐形状、円錐台形状、角錐台形状、レンズ形状等の形状とすることができる。凹凸面115の凸部及び凹部は、規則的に(周期的に)配置されていても良いし、不規則に配置されていても良い。
凹凸面115における凹部及び凸部の直径(図2に示す直径D1、D2)は、それぞれ可視光の波長よりも大きいことが好ましい。凹凸面115における凹部及び凸部の直径は、例えば、760nm以上とすることができ、1μm以上であることが更に好ましい。すなわち、凹凸面115は、例えば、ミクロンオーダーの凹凸形状とすることができる。ここで、凹凸面115における凹部の直径とは、例えば、発光素子100を平面視したときの凹凸面115における凹部の円相当径を意味する。同様に、凹凸面115における凸部の直径とは、例えば、発光素子100を平面視したときの凹凸面115における凸部の円相当径を意味する。
凹凸層120は、当該凹凸層120の内部で光を散乱させる散乱層である。凹凸層120は、例えば、内部に多数の気泡が形成されているか、又は、内部に多数の粒子が混入されていることなどにより、光散乱性を有している。なお、凹凸層120は、気泡と粒子との双方を内部に有していても良い。
なお、凹凸層120の下面は、例えば平坦化されている。
ここで、透光層110の屈折率は、例えば、1.40以上1.70未満とすることができる。
また、第1電極130の屈折率は、例えば、1.70以上2.10以下とすることができる。
ただし、透光層110と第1電極130との屈折率差は、例えば、0.15よりも大きい。すなわち、第1の層と第2の層(凹凸層120における第1の層とは反対側に隣接する層)との屈折率差は0.15よりも大きい。
次に、動作を説明する。
第1電極130と第2電極150との間に電圧が印加されることにより、有機機能層140の発光層が発光する。透光層110、凹凸層120、第1電極130及び有機機能層140は、いずれも、有機機能層140の発光層が発光した光の少なくとも一部を透過させる。発光層が発光した光の一部は、透光層110の上面側の光取り出し面から、発光素子100の外部に放射される(取り出される)。
凹凸層120における透光層110側の面が凹凸面115となっているので、凹凸面115における光の全反射を抑制し、光取り出し効率を向上することができる。つまり、凹凸面115が存在しない場合と比べて、光取り出し効率を向上することができる。
ここで、比較形態について説明する。
図3は比較形態に係る発光素子の構造を示す図であり、凹凸層120の凹凸面115近傍の模式的な断面図である。比較形態に係る発光素子は、凹凸層120が散乱層ではない点で、実施形態に係る発光素子100と相違し、その他の点では、実施形態に係る発光素子100と同様に構成されている。
比較形態に係る発光素子の場合、発光層側から光取り出し面側に向かう光のうち、図3に示す光L11のように、凹凸面115と透光層110との界面における臨界角以上の光は、この界面において全反射し(光L12、L13)、例えば、発光層側へ戻ってしまう。つまり、凹凸層120と透光層110との界面に凹凸面115が形成されているだけの場合、界面を透過できない光が存在する。
これに対し、図2に示すように、本実施形態のように、凹凸層120が内部で光を散乱させる光散乱層である場合、図2に示す光L1のように、凹凸層120と透光層110との界面における臨界角以上の光であっても、凹凸層120の内部で様々な方向に向けて散乱させることができるので、その一部(光L2、L3、L5、L6等)については、凹凸層120と透光層110との界面を透過させて、光取り出し面側に向かわせることができる。つまり、散乱層である凹凸層120の内部において、凹凸層120と透光層110との界面に到達する光の向きを変化させ、この界面における臨界角以上の光の一部を発光素子100の外部に取り出せるようにすることができる。
よって、本実施形態によれば、単に界面に凹凸面115が形成されている場合(図3の比較形態)と比べて、光取り出し効率を向上することができる。
ここで、図4は発光点215から放射される光の取り出し効率を説明するための模式的な断面図である。図4には、相互に隣接している層210、220が示されている。層210の屈折率はn、層220の屈折率はnであり、且つ、n>nである。発光点215は層210内に存在しているものと考えることができる。
層210から層220への光取り出し効率ηは、スネルの公式から、下記式で表される。
ここで、層210が第1電極130であるとみなし、層220が凹凸層120であるとみなした場合、第1電極130の屈折率が1.7〜2.1程度であることを考えると、凹凸層120と第1電極130との屈折率差が0.1であれば約1/3の光、当該屈折率差が0.15であれば約2/5の光、当該屈折率差が0.25であれば約半分の光を第1電極130から凹凸層120へ取り出せないことになる。
従って、凹凸層120の屈折率は、凹凸層120における透光層110側とは反対側(つまり発光層側)に隣接する層と同等の屈折率であることが好ましい。
すなわち、例えば、凹凸層120の屈折率は、第1電極130の屈折率と同等であることが好ましい。このようにすることにより、凹凸層120における透光層110側とは反対側(発光層側)に隣接する層から、凹凸層120への光取り出し効率を向上することができる。
ここで、凹凸層120の屈折率と、凹凸層120における透光層110側とは反対側(発光層側)に隣接する層との屈折率差は、0.15以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましい。
以上、本実施形態によれば、発光素子100が有する複数の層には、第1の層(例えば透光層110)と、第1の層とは屈折率が異なる第2の層(例えば第1電極130)と、一方の面が凹凸面115となっている凹凸層120と、が含まれている。凹凸層120の一方の面は第1の層と接しており、凹凸層120の他方の面は第2の層に接している。
よって、凹凸面115の存在により、凹凸層120と透光層110との界面における光の全反射を抑制し、光取り出し効率を向上することができる。
更に、凹凸層120は、当該凹凸層120の内部で光を散乱させる散乱層であるため、凹凸層120と透光層110との界面における臨界角以上の光を、凹凸層120の内部において様々な方向に向けて散乱させることができるので、その一部の光については、界面を透過させて、光取り出し面側に向かわせることができる。よって、単に界面に凹凸面115が形成されている場合と比べて、光取り出し効率を向上することができる。
また、凹凸層120が、その内部に気泡又は粒子を有している場合、その気泡又は粒子により光散乱性を得ることができる。
気泡や粒子は、凹凸層120の深さ方向にも分散させることができ、凹凸層120の深さ方向における随所において、気泡又は粒子によって、光を散乱させることができる。よって、光をより様々な方向に散乱させることができるので、光取り出し効率の更なる向上が期待できる。
また、凹凸面115における凹部及び凸部の直径は、それぞれ可視光の波長よりも大きいので、より確実に、透光層110と凹凸層120との屈折率差を利用して、凹凸面115により光取り出し効率を向上させることができる。
また、凹凸層120の屈折率と、凹凸層120の発光層側に隣接している層(例えば第1電極130)の屈折率との差が0.15以下であることにより、凹凸層120の発光層側に隣接している層から凹凸層120への光取り出し効率を向上することができる。
また、凹凸層120の屈折率と、凹凸層120の発光層側に隣接している層(例えば第1電極130)の屈折率との差が0.1以下であることにより、凹凸層120の発光層側に隣接している層から凹凸層120への光取り出し効率を更に向上することができる。
(実施例1)
図5は実施例1に係る発光素子100の模式的な断面図である。本実施例に係る発光素子100は、以下に説明する点で、上記の実施形態に係る発光素子100と相違し、その他の点では、上記の実施形態に係る発光素子100と同様に構成されている。
本実施例の場合も、凹凸層120における透光層110側の面は凹凸面115である。そして、凹凸面115における凹部及び凸部の直径は、それぞれ可視光の波長よりも大きい。凹凸面115は、例えば、ミクロンオーダーの凹凸とすることができる。凹凸面115における凹部及び凸部の直径D1、D2は、例えば、それぞれ10μm以上200μm以下とすることができる。したがって、凹凸面115における凸部の周期(ピッチ)、並びに、凹部の周期(ピッチ)は、例えば、10μm以上200μm以下とすることができる。
凹凸面115における凸部の高さと直径との比(高さ/直径)は、例えば、0.2以上0.8以下とすることができる。同様に、凹凸面115における凹部の深さと直径との比(深さ/直径)は、例えば、0.2以上0.8以下とすることができる。
凹凸層120と透光層110との界面において、凹凸面115が形成された範囲における平面割合は、20%以下であることが好ましい。ここで、平面割合とは、凹部でも凸部でもない平坦な部分の面積の割合を意味する。
本実施例の場合、図5に示すように、発光素子100は、例えば、凹凸層120と第1電極130との間に設けられたバリア層170を有している。すなわち、本実施形態の場合、第2の層(凹凸層120における第1の層とは反対側に隣接する層)は、バリア層170である。
バリア層170は、例えば、SiON薄膜又はSiN薄膜などである。バリア層170の屈折率は、例えば、1.70以上2.10以下とすることができる。
本実施例の場合も、凹凸層120の屈折率と、凹凸層120における透光層110側とは反対側に隣接する層(バリア層170)の屈折率と、の差が0.15以下であることが好ましい。
また、凹凸層120の屈折率と、凹凸層120における透光層110側とは反対側に隣接する層(バリア層170)の屈折率と、の差が0.1以下であることが更に好ましい。
更に、発光素子100は、透光層110の上面に設けられた光取り出し膜180を有している。本実施例では、光取り出し膜180の上面が、光取り出し面となっている。
光取り出し膜180の上面には、凹凸が形成されている。この凹凸の形状は、特に限定されないが、例えば、光取り出し膜180の上面は、半球状、ピラミッド状(正四角錐状)、正三角錐状の凸部を正方格子状又は六方最密格子状のアレイ状に配置した形状となっている。光取り出し膜180の上面の凹凸は、ミクロンオーダーのものとすることができる。この凸部の高さと直径との比率は、例えば0.4以上0.8以下とすることができる。光取り出し膜180の屈折率は、例えば、1.40以上1.70以下とすることができる。
また、第2電極150の下面側には、有機機能層140を大気や水分から保護するための封止層160が設けられている。
また、第1電極130の屈折率は、例えば、1.70以上2.10以下とすることができ、より具体的には、例えば、1.8程度とすることができる。
次に、有機機能層140の層構造の例について説明する。
図6(a)は有機機能層140の層構造の第1例を示す断面図である。この有機機能層140は、正孔注入層141、正孔輸送層142、発光層143、電子輸送層144、及び電子注入層145をこの順に積層した構造を有している。すなわち有機機能層140は、有機エレクトロルミネッセンス発光層である。なお、正孔注入層141及び正孔輸送層142の代わりに、これら2つの層の機能を有する一つの層を設けてもよい。同様に、電子輸送層144及び電子注入層145の代わりに、これら2つの層の機能を有する一つの層を設けてもよい。
この例において、発光層143は、例えば赤色の光を発光する層、青色の光を発光する層又は緑色の光を発光する層である。この場合、平面視において、赤色の光を発光する発光層143を有する領域、緑色の光を発光する発光層143を有する領域、及び青色の光を発光する発光層143を有する領域が繰り返し設けられていても良い。この場合、各領域を同時に発光させると、発光素子は白色等の単一の発光色で発光する。
なお、発光層143は、複数の色を発光するための材料を混ぜることにより、白色等の単一の発光色で発光するように構成されていても良い。
図6(b)は有機機能層140の層構造の第2例を示す断面図である。この有機機能層140の発光層143は、発光層143a、143b、143cをこの順に積層した構成を有している。発光層143a、143b、143cは、互いに異なる色の光(例えば赤、緑、及び青)を発光する。そして発光層143a、143b、143cが同時に発光することにより、発光素子は白色等の単一の発光色で発光する。
次に、本実施形態に係る発光素子100を製造する方法の一例を説明する。
透光層110の一方の面(図5における下面)に、凹凸面を形成する。凹凸面は、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング、ホットプレスなどのインプリント、又は、サンドブラストにより形成することができる。なお、このうち、ドライエッチング又はサンドブラストにより凹凸面を形成する場合は、例えば、円形などの所定のパターン形状のマスクを格子状などの規則的な配置で形成した状態で、ドライエッチング又はサンドブラストを行う。
次に、透光層110の一方の面に、凹凸層120を成膜する。これにより、凹凸層120における透光層110側の面にも、透光層110の凹凸面と対応する形状の凹凸面115が形成される。なお、凹凸層120における透光層110側とは反対側の面は、例えば平坦に形成される。
ここで、凹凸層120の屈折率は、バリア層170の屈折率及び第1電極130の屈折率と同等の高屈折率となっている。
一例として、凹凸層120は、ガラスペースト(旭硝子株式会社製、YPT−531)により形成することができる。焼成によりガラスペーストを硬化させる際の条件を適切に設定することにより、一定の寸法の多数の微小な気泡を凹凸層120の内部にランダムな配置で分散させて形成することができるとともに、気泡の量を制御することができる。
気泡の寸法は、例えばナノオーダーである。すなわち、凹凸層120は、その内部にナノオーダーなどの寸法の微小な散乱体(気泡)を多数有している。
なお、ガラスペーストの軟化点は588℃、転移点は503℃であり、焼成温度は、例えば540℃とした。ガラスペーストの屈折率、すなわち凹凸層120の屈折率は、例えば1.83である。
このため、凹凸層120の屈折率は、バリア層170及び第1電極130と同等の屈折率となっている。
或いは、凹凸層120には、散乱体として、粒子径が0.01μm以上5μm以下の粒子がランダムな配置で混入されていても良い。このような粒子径の粒子が凹凸層120内に存在していることにより、可視光が散乱(主としてミー散乱)する。このような粒子は、可視光が散乱を起こすような粒子サイズのものであれば、屈折率は問わない。このような粒子の屈折率は、凹凸層120の基材よりも屈折率が大きくても良いし、凹凸層120の基材よりも屈折率が小さくても良い。
より具体的には、凹凸層120は、基材としての高屈折率の紫外線硬化樹脂中に、サブマイクロメート径のTiOの粒子を混ぜて分散させることに得られた樹脂ペーストを用いて作製することができる。この場合、粒子の屈折率は、凹凸層120の基材よりも大きい。
或いは、凹凸層120は、基材としての高屈折率の紫外線硬化樹脂中に、散乱が生じるサイズのマイクロナノバブルを発生させ、このマイクロナノバブルを紫外線硬化樹脂中に分散させることにより構成した樹脂ペーストを用いて作製することができる。
これらの場合、樹脂ペーストを透光層110の凹凸面にスピンコート法により塗布した後、紫外線照射により当該樹脂ペーストを硬化させることにより、凹凸層120が得られる。
次に、凹凸層120における透光層110側とは反対側の面(図5における下面)に、SiN薄膜又はSiON薄膜等を成膜し、バリア層170を形成する。
次に、バリア層170における透光層110側とは反対側の面(図5における下面)に、スパッタ法などによりITOやIZOなどの金属酸化物導電体からなる透光性の導電膜を成膜し、エッチングによりこれをパターニングして第1電極130を形成する。
次に、第1電極130における凹凸層120側とは反対側の面(図5における下面)に、有機材料を成膜することにより有機機能層140を形成する。
次に、有機機能層140における第1電極130側とは反対側の面(図5における下面)に、マスクを用いた蒸着法などによりAg、Au、Al等の金属材料を所望のパターンに堆積させて、第2電極150を形成する。
なお、必要に応じてバスラインや隔壁部をそれぞれ適切なタイミングで形成しても良い。また、第2電極150の下面には、封止層160を形成する。
ここで、実施例1、比較例1及び比較例2の場合において、発光素子の光取り出し面の全光束量を測定した結果(発光効率)を説明する。
比較例1に係る発光素子は、透光層110とバリア層170とが、上記ガラスペーストからなる層を介して相互に接合された構造を有している。ただし、比較例1の発光素子における、ガラスペーストからなる層は、微小気泡が生じない条件で焼成され(従って、内部に微小気泡を実質的に有しておらず)、且つ、表面に凹凸が形成されていない点で、実施例1に係る発光素子100の凹凸層120と相違している。比較例1に係る発光素子は、その他の点では、実施例1に係る発光素子と同様に構成されている。
また、比較例2に係る発光素子は、凹凸層120が散乱層ではない点で、実施例1に係る発光素子100と相違し、その他の点では、実施例1に係る発光素子と同様に構成されている。
実施例1及び比較例2の場合、凹凸層120を上記のガラスペーストを用いて作製し、凹凸面115の凸部及び凹部の形状を円錐状とし、凹部及び凸部のピッチ(上記直径D1、D2)を60μmとし、凹部の深さ(凸部の高さ)を30μmとした。
なお、このような実施例1に係る発光素子100の凹凸層120の凹凸面115の近傍の断面の撮像画像を図7に示す。
比較例1の場合、発光効率は10.7[lm]であった。
また、比較例2の場合、発光効率は13.3[lm]であった。比較例2では、比較例1よりも良好であることが分かる。
これらに対し、本実施例の場合、発光効率は14.3[lm]となった。つまり、本実施例によれば、比較例2よりも更に発光効率が向上することが分かった。
以上のような本実施例によっても、上記の実施形態と同様の効果が得られる。
また、凹凸層120と第1電極130との間にバリア層170を有しているので、凹凸層120が気泡を有することにより光散乱性を有する場合においても、凹凸層120の表面の気泡に起因する欠陥を抑制することができる。
また、透光層110の上面には光取り出し膜180が設けられていることにより、更に光取り出し効率が向上する。
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、凹凸層120が気泡を有することにより光散乱性を有する場合に、凹凸層120における透光層110とは反対側(発光層側)の面をCMPなどによる研磨によって平坦化しても良い。また、気泡による窪みを平滑コーティング剤で埋め込んでもよい。このようにすることにより、凹凸層120の表面の気泡に起因する欠陥を抑制することができる。
100 発光素子
110 透光層(第1の層)
120 凹凸層
115 凹凸面
130 第1電極(第2の層)
170 バリア層(第2の層)

Claims (5)

  1. 相互に積層された複数の層を有し、
    前記複数の層には発光層が含まれ、
    前記複数の層には、第1の層と、前記第1の層とは屈折率が異なる第2の層と、一方の面が凹凸面となっている凹凸層と、が含まれ、
    前記凹凸層の前記一方の面は、前記第1の層と接しており、前記凹凸層の他方の面は前記第2の層に接しており、
    前記凹凸層は、当該凹凸層の内部で光を散乱させる散乱層である発光素子。
  2. 前記凹凸層は、内部に気泡又は粒子を有している請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記凹凸面における凹部及び凸部の直径は、それぞれ可視光の波長よりも大きい請求項1又は2に記載の発光素子。
  4. 前記第1の層と前記第2の層との屈折率差は0.15よりも大きく、
    前記凹凸層の屈折率と、前記第1の層と前記第2の層とのうち前記凹凸層の前記発光層側に配置されている層の屈折率と、の差が0.15以下である請求項1乃至3の何れか一項に記載の発光素子。
  5. 前記凹凸層の屈折率と、前記第1の層と前記第2の層とのうち前記凹凸層の前記発光層側に配置されている層の屈折率と、の差が0.1以下である請求項4に記載の発光素子。
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