以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態に係る位置測位システムは、GNSS(Global Navigation Satellite System)測位結果等、パターンマッチング測位よりも高精度な測位方式の測位結果が示す通信端末の位置情報と、電波の品質情報と、通信端末の電波の受信特性とを対応づけたパターンデータ(事前分布データ)を予め生成・更新しておき、当該パターンデータを用いて、パターンマッチング測位により通信端末の位置情報を導出する。すなわち、本実施形態に係る位置測位システムは、大きく、パターンデータ生成・更新処理(詳細は後述)、及び、パターンマッチング測位処理(詳細は後述)の2つの処理を行うものである。パターンデータ生成・更新処理は、例えば所定の間隔で繰り返し実行されるものであってもよいし、測位の都度実行されるものであってもよい。また、パターンマッチング測位処理は、例えば、通信端末にアプリケーションを提供するコンテンツサーバからの測位要求に応じて行われる。
図1は、本実施形態に係る位置測位システムの構成を示す概略図である。図1に示されるとおり、位置測位システム1は、3G網における位置測位を行うシステムであり、通信端末10と、RNC(Radio Network Controller)11と、SGSN(ServingGeneral packet radio Service support Node)12と、GMLC(GatewayMobile Location Center)13と、HSS(Home Subscriber Server)14と、SLP(SUPL Location Platform)15と、パターンマッチングサーバ16と、を備えている。
図2は、本実施形態の位置測位システムに含まれる各ノードのハードウェア構成を示す図である。すなわち、図1に示されるRNC11、SGSN12、GMLC13、HSS14、SLP15、及びパターンマッチングサーバ16は、それぞれ物理的には、図2に示すように、1又は複数のCPU111、主記憶装置であるRAM112及びROM113、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置114、ディスプレイ等の出力装置115、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール116、半導体メモリ等の補助記憶装置117などを含むコンピュータシステムとして構成されている。
各ノードの機能は、図2に示すCPU111、RAM112等のハードウェア上に1又は複数の所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU111の制御のもとで入力装置114、出力装置115、通信モジュール116を動作させるとともに、RAM112や補助記憶装置117におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
通信端末10は、移動体通信網に在圏することにより通信が可能になる移動通信端末であり、例えば携帯電話やタブレット型PC等である。通信端末10は、RNC11に対応した設けられた無線基地局であるBTS(Base Transceiver Station)(図示せず)に対して、通信端末10を示す情報である通信端末10の端末種別に係る情報及び電話番号を含んだ位置登録要求を送信する。位置登録を行うことにより、通信端末10は通信が可能になる。通信端末10の端末種別に係る情報及び電話番号を対応づけた情報は、RNC11等を介してHSS14に送信され、HSS14にて登録される。なお、通信端末10の端末種別とは、通信端末のメーカ種別、モデル種別、実装された機能による種別等であり、例えば端末型番で特定されるものである。このような端末種別は、通信端末10の電波の受信特性を決める一要因である。通信端末10の端末種別に係る情報とは、通信端末10の端末種別そのものを示す情報であってもよいし、通信端末10の端末種別が類似する所定のカテゴリを示す情報であってもよい。類似する所定のカテゴリとは、例えば形状及び材質等が類似することにより電波特性が類似する端末種別群である。以下では、端末種別に係る情報とは端末種別そのものを示す情報であるとして説明する。電波の受信特性とは、例えば電波の受信し易さを示すものである。
また、通信端末10は、パターンデータ生成・更新処理に係る機能として、全地球測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用したGNSS測位を行う機能を有している。より詳細には、通信端末10は、例えば、通信端末10自身でGNSS測位演算を実施するUE−B(UE-Based)測位を実施することにより、通信端末10の位置情報を取得する機能を有している。なお、通信端末10の位置情報は、測位サーバによってGNSS測位演算が実施されるUE−A(UE-Assisted)測位により取得されるものであってもよい。また、測位方式は、GNSS測位に限られず、WiFi測位等の、パターンマッチング測位よりも高精度な測位方式であればよい。通信端末10は、GNSS測位に係る機能として、GNSS測位要求機能、品質測定機能、及びGNSS測位演算実施機能を有している。
GNSS測位要求機能とは、通信端末10がSLP15に対して、GNSS測位要求を送信する機能である。GNSS測位要求には、通信端末10の電話番号が含まれている。また、品質測定機能とは、BTS(図示せず)と通信端末10との間で送受信される電波の品質情報を測定する機能である。電波の品質情報とは、通信端末が受信する電波の受信強度(例えばEc/N0(Enegy per chip divided by thepower density)又はRSCP(Received Signal Code Power))、伝搬損失(Path loss)、及び伝搬時間(PRACH-PD又はRTT)に関する情報である。電波の品質情報は、GNSS測位要求に応答したSLP15からの該位置測位(基地局測位)要求を契機として(詳細は後述)、通信端末10とRNC11とがBTS(図示せず)を介して通信を行うことにより取得される。GNSS測位演算実施機能とは、電波の品質情報等を受信したSLP15からのGNSS測位応答を契機として(詳細は後述)、通信端末10がGNSS測位演算を実施する機能である。SLP15からのGNSS測位応答には、GNSSアシストデータが含まれており(詳細は後述)、通信端末10は、該GNSSアシストデータを用いてGNSS測位演算を実施する。通信端末10は、緯度・経度を示す位置情報が含まれたGNSS測位結果通知を、SLP15に送信する。なお、上述した品質測定は、パターンマッチング測位処理においても行われる(詳細は後述)。
RNC11は、無線アクセス制御機能を有した通信制御装置である。RNC11は、無線基地局であるBTS(図示せず)に対応して設けられ、BTSが形成する3G在圏エリアに在圏している通信端末10の無線通信に関する処理を行う。具体的には、RNC11は、通信端末10の回線接続処理やハンドオーバ処理等を行う。
また、RNC11は、パターンデータ生成・更新処理に係る機能として、SGSN12を介したGMLC13からの該位置測位要求に応じて、通信端末10に係る品質測定及び基地局測位を行う機能を有している。RNC11は、BTSを制御することにより通信端末10に電波を送信し、該電波に対して通信端末10が応答した信号である呼接続要求信号(RACH信号)を受信する。RNC11は、該RACH信号に基づいて、通信端末10が受信している電波の品質情報を取得する。すなわち、RNC11は、該RACH信号の受信強度を電波の受信強度として取得し、該RACH信号の減衰度合いを電波の伝搬損失として取得し、通信端末10に電波を送信してからRACH信号として受信応答が戻ってくるまでの時間を電波の伝搬時間として取得する。RNC11は、RACH信号に基づき取得した電波の品質情報、及び、電波を送信するBTS(図示せず)の座標(緯度及び経度)に基づいて、例えば従来から周知である電波伝搬遅延時間を利用した概位置測位により、通信端末10の位置情報(概位置測位による位置情報)を取得する。RNC11は、基地局測位により取得した位置情報(緯度・経度)、及び、通信端末10が受信している電波の品質情報を、SGSN12を介してGMLC13に送信する。なお、上述した品質測定及び基地局測位は、パターンマッチング測位処理(詳細は後述)においても行われる。
SGSN12は、パケット通信のためのセッションを設定し、パケット交換の制御を行う装置である。なお、SGSN12は、パケット通信時のユーザの認証等を行うGGSN(Gateway GPRS Support Node)の機能を同一装置内に有するものである。
GMLC13は、RNC11に対して該位置測位要求を行う測位サーバである。GMLC13によるRNC11に対する概位置測位要求は、パターンデータ生成・更新処理、及び、パターンマッチング測位処理の双方において行われる。以下、パターンデータ生成・更新処理、及び、パターンマッチング測位処理のそれぞれにおける、GMLC13の機能を説明する。
GMLC13は、パターンデータ生成・更新処理において、SLP15より概位置測位要求を受け、RNC11に対して該位置測位要求を行う。GMLC13は、基地局測位により取得された位置情報(緯度・経度)、及び、通信端末10が受信している電波の品質情報を、RNC11より受信する。また、GMLC13は、HSS14に対して端末種別要求を送信する。当該端末種別要求には、通信端末10の電話番号が含まれている。GMLC13は、端末種別要求に対する応答である端末種別応答を、HSS14より受信する。当該端末種別応答には、HSS14にて、通信端末10の電話番号と対応づいて登録されている通信端末10の端末種別が含まれている。GMLC13は、SLP15に対して、該位置測位応答を送信する。当該概位置測位応答には、基地局測位により取得された位置情報(緯度・経度)、通信端末10が受信している電波の品質情報、及び、通信端末10の端末種別が含まれている。
GMLC13は、パターンマッチング測位処理において、例えば、通信端末10にアプリケーションを提供する所定のコンテンツサーバ(図示せず)より測位サービス要求を受け、RNC11に対して該位置測位要求を行う。GMLC13は、上述したパターンデータ生成・更新処理と同様に、基地局測位により取得された位置情報(緯度・経度)、及び、通信端末10が受信している電波の品質情報をRNC11より受信する。また、GMLC13は、上述したパターンデータ生成・更新処理と同様に、HSS14に対して端末種別要求を行い、HSS14より、通信端末10の端末種別が含まれた端末種別応答を受信する。GMLC13は、パターンマッチングサーバ16に対して、パターンマッチング演算要求を行う。当該パターンマッチング演算要求には、基地局測位により取得された位置情報(緯度・経度)、通信端末10が受信している電波の品質情報、及び、通信端末10の端末種別が含まれている。GMLC13は、パターンマッチングサーバ16よりパターンマッチング演算結果応答を受信する。当該パターンマッチング演算結果応答には、パターンマッチングサーバ16がパターンマッチング測位を行うことにより導出された位置情報(緯度・経度)が含まれている。GMLC13は、上述したコンテンツサーバ(図示せず)に対して、測位サービス応答を送信する。当該測位サービス応答には、パターンマッチング測位により導出された位置情報が含まれている。
HSS14は、3G網を利用する通信端末10の契約情報及び認証情報を管理する加入者情報管理サーバである。HSS14は、RNC11等を介して通信端末10より受信した、通信端末10の端末種別及び電話番号を対応づけた情報を登録(記憶)する。また、HSS14は、GMLC13より端末種別要求を受信し、当該端末種別要求に含まれている通信端末10の電話番号に対応づいて登録している通信端末10の端末種別を抽出する。HSS14は、抽出した通信端末10の端末種別が含まれた端末種別応答をGMLC13に送信する。
SLP15は、パターンデータ生成・更新処理において、通信端末10等と通信を行うことによりGNSS測位結果を取得する機能を有する。SLP15は、通信端末10より受信したGNSS測位要求に応じて、GMLC13に対して該位置測位要求を行う。当該概位置測位要求には、GNSS測位要求を行った通信端末10の電話番号が含まれている。また、SLP15は、GMLC13より、基地局測位により取得された位置情報(緯度・経度)、通信端末10が受信している電波の品質情報、及び、通信端末10の端末種別が含まれた概位置測位応答を受信する。
また、SLP15は、GMLC13からの概位置測位応答を契機として、通信端末10に対してGNSS測位応答を送信する。当該GNSS測位応答には、GNSSアシストデータが含まれている。GNSSアシストデータには、基地局測位により取得された位置情報(緯度・経度)、及び、衛星航法メッセージ(衛星軌道情報)が含まれている。衛星航法メッセージは、通信端末10によるGNSS測位演算に必要な情報であり、衛星時計の補正パラメータ、エフェメリスデータ(その衛星の詳細軌道情報)、電離層補正パラメータ、衛星の健康状態、アルマナックデータ(衛星の概略軌道情報)等が含まれている。SLP15は、例えば、衛星情報を管理しているアシストデータプロバイダ(図示せず)から、衛星航法メッセージを取得する。また、SLP15は、緯度・経度を示す位置情報が含まれたGNSS測位結果通知を、通信端末10から受信する。
SLP15は、GMLC13から受信した概位置測位応答に含まれる電波の品質情報及び通信端末10の端末種別と、通信端末10から受信したGNSS測位結果通知に含まれる緯度・経度とを含んだ、パターンデータ更新要求をパターンマッチングサーバ16に送信する。
パターンマッチングサーバ16は、パターンデータの生成・更新処理を行うとともに、当該パターンデータに基づいてパターンマッチング測位を行う測位サーバである。図3は、実施形態に係るパターンマッチングサーバの機能を示すブロック図である。図3に示されるように、パターンマッチングサーバ16は、情報取得部161と、生成部162と、記憶部163と、パターンマッチング測位部164とを備えている。情報取得部161、生成部162、及び記憶部163は、上述したパターンデータの生成・更新に係る機能である。また、記憶部163及びパターンマッチング測位部164は、上述したパターマッチング測位に係る機能である。
情報取得部161は、通信端末10の位置を示す位置情報、当該位置において通信端末10が受信している電波の品質情報、及び、通信端末10の端末種別を取得する取得手段である。また、情報取得部161は、通信端末10が受信している電波の品質情報として、電波の受信強度、伝搬損失、及び伝搬時間を取得する。情報取得部161は、SLP15からパターンマッチングサーバ16に送信されたパターンデータ更新要求に含まれた情報に基づき、通信端末10の位置情報、電波の品質情報、及び端末種別を取得する。情報取得部161は、取得した各種情報を生成部162に出力する。
生成部162は、情報取得部161が取得した、通信端末10の位置情報、電波の品質情報、及び端末種別を対応づけたパターンデータを生成する生成手段である。ここで、情報取得部161が取得した通信端末10の位置情報は、緯度・経度で示されている。生成部162は、当該緯度・経度を、予め定めた所定の区域(メッシュ)単位に変換する。例えば、生成部162は、緯度・経度とメッシュとの対応表を予め記憶しておき、当該対応表を参照すること等により、情報取得部161に入力された緯度・経度をメッシュ単位の位置情報に変換する。変換後、生成部162は、通信端末10のメッシュ単位の位置情報、電波の品質情報、及び端末種別を対応づけたパターンデータを生成する。
生成部162は、パターンデータの生成後、記憶部163を参照し、生成した最新のパターンデータの位置情報及び端末種別と、当該最新のパターンデータの生成前から記憶部163に記憶されているパターンデータ(既に記憶されているパターンデータ)の位置情報及び端末種別との関係が所定条件を満たしているか否かを判定する。所定条件を満たしているとは、例えば、メッシュ単位の位置情報、及び、端末種別が一致することである。なお、一致とは、完全に一致する場合だけでなく、例えばメッシュ単位の位置情報及び端末種別が略一致する場合が含まれるものであってもよい。位置情報が略一致するとは、メッシュが一致する場合だけでなく、例えばメッシュが近接する(隣り合うメッシュ等)場合も含んでいる。また、端末種別が略一致する場合とは、端末種別が一致する場合だけでなく、端末種別が類似する(メーカーが同じ等)場合も含んでいる。
生成部162は、最新のパターンデータの位置情報及び端末種別と、既に記憶されているパターンデータの位置情報及び端末種別との関係が所定条件を満たしている場合(例えば一致している場合)には、最新のパターンデータの品質情報を、記憶部163が新たに記憶するパターンデータの品質情報とする。この場合、記憶部163は、既に記憶されているパターンデータの品質情報を、最新のパターンデータの品質情報に書き換える(更新する)。
また、生成部162は、最新のパターンデータの位置情報及び端末種別と、既に記憶されているパターンデータの位置情報及び端末種別との関係が所定条件を満たしている場合(例えば一致している場合)には、既に記憶されているパターンデータの品質情報と最新のパターンデータの品質情報とを平均化した値を、記憶部163が新たに記憶するパターンデータの品質情報としてもよい。
また、生成部162は、端末種別が異なる複数のパターンデータを利用して、パターンデータの更新を行ってもよい。すなわち、生成部162は、記憶部163を参照し、位置情報が互いに一致し、且つ、端末種別が異なる2つのパターンデータを抽出する。例えば、生成部162は、メッシュ地点(位置情報)C1、品質情報B1、端末種別A1(第1の受信特性)のパターンデータVと、メッシュ地点C1、品質情報B2、端末種別A2(第2の受信特性)のパターンデータWとを抽出する。そして、生成部162は、パターンデータVの品質情報B1と、パターンデータWの品質情報B2との差分である品質差分B3を導出する。
さらに、生成部162は、記憶部163を参照し、位置情報がメッシュ地点C1とは異なるメッシュ地点C2における、端末種別A2に係るパターンデータである基礎パターンデータXを抽出する。なお、生成部162は、当該メッシュ地点C2に、端末種別A1に係るパターンデータが存在しないことを条件として、メッシュ地点C2を決定してもよい。そして、生成部162は、基礎パターンデータXの品質情報B4に、品質差分B3(メッシュ地点C1における、端末種別A1に係るパターンデータVの品質情報B1と端末種別A2に係るパターンデータWの品質情報B2との差分)を加えることにより、メッシュ地点C2における、端末種別A1に係るパターンデータYの品質情報B5を導出する。これにより、生成部162は、メッシュ地点C2、品質情報B5、端末種別A1のパターンデータYを生成する。
記憶部163は、生成部162が生成したパターンデータを記憶する記憶手段である。図4は、本実施形態に係るパターンデータテーブルを示す表である。記憶部163は、図4に示されるパターンデータテーブルを記憶している。パターンデータテーブルには、位置情報を示すメッシュを一意に特定するメッシュコードと、端末種別と、電波の品質情報とが対応づいたパターンデータが記憶されている。電波の品質情報とは具体的には、電波の受信強度、伝搬損失、及び伝搬時間である。記憶部163は、例えば、メッシュコード(位置情報)と端末種別との組合せ毎に1つだけパターンデータを記憶するものであってもよいし、同じメッシュコード(位置情報)と端末種別との組合せについて、複数個パターンデータを記憶するものであってもよい。
パターンマッチング測位部164は、GMLC13より受信したパターンマッチング演算要求(位置取得要求)に含まれた、位置取得対象の通信端末10が受信している電波の品質情報、及び、通信端末10の端末種別と、記憶部163が記憶するパターンデータとに基づいて、通信端末10の位置を示す位置情報を導出する位置導出手段である。すなわち、例えば、記憶部163に、図4に示されるパターンデータテーブルが記憶されていたとする。この場合には、パターンマッチング測位部164は、記憶部163のパターンデータテーブルを参照し、パターンマッチング演算要求に含まれる電波の品質情報(受信強度、伝搬損失、伝搬時間)、及び、端末種別と一致(近似を含んでもよい)するパターンデータを抽出し、該抽出したパターンデータのメッシュコードで示されたメッシュを、通信端末10の位置情報として特定する。パターンマッチング測位部164は、特定した位置情報を含んだパターンマッチング演算結果応答をGMLC13に送信する。
次に、図5を参照して、パターンマッチングサーバによるパターンデータ更新処理について説明する。図5は、本実施形態に係るパターンマッチングサーバによるパターンデータ更新処理を示すフローチャートである。図5(a)は所定の地点における所定の端末種別のパターンデータの更新処理を示すフローチャートであり、図5(b)は端末種別が異なる複数のパターンデータを利用した更新処理を示すフローチャートである。
所定の地点における所定の端末種別のパターンデータが更新される場合には、図5(a)に示されるように、まず、情報取得部161により、通信端末10の位置を示す位置情報、当該位置において通信端末10が受信している電波の品質情報B1、及び、通信端末10の端末種別A1が取得される。(ステップS11)。つづいて、生成部162により、位置情報の緯度・経度が、予め定めた所定の区域(メッシュ)単位に変換され、緯度・経度に応じたメッシュ地点C1に変換される(ステップS13)。
つづいて、生成部162により、通信端末10のメッシュ地点C1、品質情報B1、及び端末種別A1を対応づけたパターンデータが生成される(ステップS15)。つづいて、生成部162により、記憶部163が参照され、生成した最新のパターンデータのメッシュ地点C1及び端末種別A1と、既に記憶部163に記憶されているパターンデータの位置情報(メッシュ地点)及び端末種別とが所定条件を満たしているか(例えば一致しているか)否かが判定される。生成部162は、例えば、既に記憶部163に記憶されているパターンデータとして、位置情報がメッシュ地点C1であり、端末種別が端末種別A1であるパターンデータが存在している場合には、既に記憶されているパターンデータの品質情報を、最新のパターンデータの品質情報B1に書き換え、品質情報を更新する(ステップS17)。これにより、記憶部163には、メッシュ地点C1、品質情報B1、及び端末種別A1を対応づけたパターンデータVが記憶される。
端末種別が異なる複数のパターンデータを利用してパターンデータが更新される場合には、図5(b)に示されるように、まず、上述したS11〜S17の処理により、メッシュ地点C1、品質情報B1、及び端末種別A1を対応づけたパターンデータVが記憶部163に記憶される(ステップS21)。つづいて、生成部162により、パターンデータVと位置情報(メッシュ地点C1)が一致し、端末種別が異なるパターンデータが存在するか否かが判定される(ステップS23)。S23において、当該パターンデータが存在しないと判定された場合には、処理が終了する。一方、S23において、当該パターンが存在すると判定された場合、すなわち、メッシュ地点C1、端末種別A2、品質情報B2のパターンデータWが存在すると判定された場合には、生成部162により、パターンデータVの品質情報B1と、パターンデータWの品質情報B2との差分である品質差分B3が導出される(ステップS25)。
つづいて、生成部162により、記憶部163が参照され、端末種別A1に係るパターンデータが存在せず、且つ、端末種別A2に係るパターンデータが存在するメッシュ地点があるか否かが判定される(ステップS27)。S27において、当該メッシュ地点がない場合には、処理が終了する。一方、S27において、当該メッシュ地点であるメッシュ地点C2がある場合には、生成部162により、メッシュ地点C2における端末種別A2に係るパターンデータである基礎パターンデータXが抽出される。そして、生成部162により、基礎パターンデータXの品質情報B4に、品質差分B3(メッシュ地点C1における、端末種別A1に係るパターンデータVの品質情報B1と端末種別A2に係るパターンデータWの品質情報B2との差分)を加えた値が、メッシュ地点C2における、端末種別A1に係るパターンデータYの品質情報B5として導出される(ステップS29)。これにより、メッシュ地点C2、品質情報B5、端末種別A1のパターンデータYが生成される。そして、生成部162により、各メッシュ地点に関して、S27の処理とS29の処理とが繰り返されることにより、端末種別A1に係るパターンデータが存在しないメッシュ地点のパターンデータを効果的に生成することができる。
次に、図6を参照して、本実施形態に係る位置測位システム1によるパターンデータ更新処理について説明する。図6は、本実施形態に係るパターンデータ更新処理のシーケンス図である。図6に示されるように、パターンデータ更新処理が行われる前提として、通信端末10により、HSS14に対して位置登録要求が送信される(ステップS51)。該位置登録要求には、通信端末10の端末種別及び電話番号が含まれている。つづいて、HSS14により、通信端末10の端末種別及び電話番号が登録される(ステップS52)。
ステップS52が完了した後、所定の間隔で、パターンデータ更新処理が行われる。すなわち、所定の間隔で、通信端末10のGNSS測位を行う機能が起動される(ステップS53)。そして、通信端末10により、SLP15に対してGNSS測位要求が送信される(ステップS54)。当該GNSS測位要求には、通信端末10の電話番号が含まれている。つづいて、GNSS測位要求を受信したSLP15により、GMLC13に対して該位置測位要求が送信され(ステップS55)、さらに、GMLC13により、RNC11に対して該位置測位要求が送信される(ステップS56)。
RNC11及び通信端末10間で電波が送受信されることにより、電波の品質測定が行われる(ステップS57)。RNC11は、品質測定により、通信端末10に関する、電波の品質情報、具体的には、電波の受信強度、伝搬損失、及び伝搬時間を取得する。つづいて、RNC11により、電波の品質情報、及び、電波を送信するBTS(図示せず)の座標(緯度及び経度)に基づき、通信端末10の位置情報(概位置測位による位置情報)が取得される。
RNC11により、GMLC13に対して該位置測位応答が送信される(ステップS58)。当該概位置測位応答には、位置情報(緯度・経度)、及び、通信端末10が受信している電波の品質情報が含まれている。つづいて、GMLC13により、HSS14に対して端末種別要求が送信される(ステップS59)。当該端末種別要求には、通信端末10の電話番号が含まれている。
HSS14により、S52において登録した通信端末10の端末種別及び電話番号と、GMLC13からの端末種別要求に含まれる通信端末10の電話番号とに基づき、通信端末10の端末種別が特定される。そして、HSS14により、GMLC13に対して、特定した端末種別を含んだ端末種別応答が送信される(ステップS60)。つづいて、GMLC13により、SLP15に対して該位置測位応答が送信される(ステップS61)。当該概位置測位応答には、基地局測位により取得された位置情報(緯度・経度)、通信端末10が受信している電波の品質情報、及び、HSS14から取得された通信端末10の端末種別が含まれている。
SLP15により、通信端末10に対してGNSS測位応答が送信される(ステップS62)。当該GNSS測位応答には、GNSSアシストデータが含まれている。GNSSアシストデータには、基地局測位により取得された位置情報(緯度・経度)、及び、衛星航法メッセージ(衛星軌道情報)が含まれている。つづいて、通信端末10により、GNSSアシストデータを用いてGNSS測位演算が行われ(ステップS63)、通信端末10により、SLP15に対して緯度・経度を示す位置情報が含まれたGNSS測位結果通知が送信される(ステップS64)。
SLP15により、パターンマッチングサーバ16に対して、概位置測位応答に含まれる電波の品質情報及び通信端末10の端末種別と、GNSS測位結果通知に含まれる緯度・経度とを含んだ、パターンデータ更新要求が送信される(ステップS65)。そして、パターンマッチングサーバ16の情報取得部161により、パターンデータ更新要求に含まれた情報に基づき、通信端末10の位置情報、電波の品質情報、及び端末種別が取得され、生成部162により、これらの情報が対応づけられたパターンデータが生成され、記憶部163のパターンデータが更新される(ステップS66)。
次に、図7を参照して、本実施形態に係る位置測位システム1によるパターンマッチング測位処理について説明する。図7は、本実施形態に係るパターンマッチング測位処理のシーケンス図である。図7に示されるように、GMLC13により、通信端末10にアプリケーションを提供する所定のコンテンツサーバ(図示せず)からの測位サービス要求(ステップS71)が受信されることにより、パターンマッチング測位処理が開始される。
つづいて、GMLC13により、RNC11に対して該位置測位要求が送信される(ステップS72)。そして、RNC11及び通信端末10間で電波が送受信されることにより、電波の品質測定が行われる(ステップS73)。RNC11は、品質測定により、通信端末10に関する、電波の品質情報、具体的には、電波の受信強度、伝搬損失、及び伝搬時間を取得する。つづいて、RNC11により、GMLC13に対して該位置測位応答が送信される(ステップS74)。当該概位置測位応答には、位置情報(緯度・経度)、及び、通信端末10が受信している電波の品質情報が含まれている。
GMLC13により、HSS14に対して端末種別要求が送信される(ステップS75)。当該端末種別要求には、通信端末10の電話番号が含まれている。つづいて、HSS14により、登録している通信端末10の端末種別及び電話番号と、GMLC13からの端末種別要求に含まれる通信端末10の電話番号とに基づき、通信端末10の端末種別が特定される。そして、HSS14により、GMLC13に対して、特定した端末種別を含んだ端末種別応答が送信される(ステップS76)。
GMLC13により、パターンマッチングサーバ16に対して、パターンマッチング演算要求が送信される(ステップS77)。当該パターンマッチング演算要求には、基地局測位により取得された位置情報(緯度・経度)、通信端末10が受信している電波の品質情報、及び、通信端末10の端末種別が含まれている。そして、パターンマッチングサーバ16のパターンマッチング測位部164により、パターンマッチング演算要求に含まれた、位置取得対象の通信端末10が受信している電波の品質情報、及び、通信端末10の端末種別と、記憶部163が記憶するパターンデータとに基づいて、通信端末10の位置を示す位置情報が導出される(ステップS78)。
パターンマッチングサーバ16のパターンマッチング測位部164により、GMLC13に対して、特定した位置情報を含んだパターンマッチング演算結果が送信される(ステップS79)。そして、GMLC13により、上述したコンテンツサーバ(図示せず)に対して、パターンマッチング測位により導出された位置情報を含んだ測位サービス応答が送信される(ステップS80)。
次に、本実施形態に係るパターンマッチングサーバ16の作用効果について説明する。
従来、通信端末の位置測位を行う技術として、通信端末が所定の基地局から受信する電波の品質情報(電波の受信強度等を含む)と当該電波が受信される位置との関係を示す情報(パターンデータ)を予めデータベースに記憶しておき、当該パターンデータを用いて、通信端末が受信した電波の品質情報から通信端末の位置を導出するパターンマッチング測位が行われている。このようなパターンマッチング測位では、パターンデータの精度が重要である。パターンデータは、走行調査やサーバ側での収集によって作成・更新されているが、最新化したパターンデータにより測位を行っても、十分な精度の測位結果を得ることができない場合がある。
本発明者らは、その原因について鋭意研究を行った。そして、同じ位置であっても、測位を行う対象の通信端末の受信特性によって、通信端末が受信する電波の品質情報が異なることに着目し、通信端末の受信特性を考慮したパターンデータを生成することを見い出した。
本実施形態に係るパターンマッチングサーバ16では、位置情報、品質情報、及び電波の受信特性(具体的には、通信端末の端末種別)が対応づけられたパターンデータが生成・記憶される。すなわち、通信端末10の端末種別毎に、位置情報及び品質情報が対応づいたパターンデータが生成・記憶される。このようなパターンデータを用いて通信端末10の位置が導出されることにより、品質情報だけでなく、品質情報及び通信端末10の端末種別に応じた適切な測位結果を得ることができる。すなわち、従来と比較して、より高精度なパターンマッチング測位を可能にするパターンデータを提供することができる。具体的には、単に位置情報及び品質情報のみが対応づけられたパターンデータを生成した場合には、上述したメッシュの単位が大きくなり、測位結果として数10m程度の誤差が生じるところ、本実施形態のように端末種別毎に位置情報及び品質情報が対応づけられたパターンデータを生成した場合には、収集される品質情報の誤差が少なくなり、十分小さいメッシュ単位でパターンデータが生成されることとなるため、測位結果の誤差を数十cm〜数m程度とすることができる。
また、パターンマッチングサーバ16は、GMLC13より受信したパターンマッチング演算要求に含まれた、位置取得対象の通信端末10が受信している電波の品質情報、及び、通信端末10の端末種別と、記憶部163が記憶するパターンデータとに基づいて、通信端末10の位置を示す位置情報を導出するパターンマッチング測位部164を備えている。品質情報、端末種別、及びパターンデータに基づいて、パターンマッチング測位により通信端末10の位置情報を導出することにより、パターンデータを用いた位置情報の導出を確実に行うことができる。
また、パターンマッチングサーバ16では、情報取得部161が電波の受信特性として通信端末10の端末種別に係る情報を取得している。同じ位置であっても通信端末10の端末種別毎に電波の品質情報は異なるので、通信端末10の端末種別に係る情報毎に品質情報及び位置情報が対応づいたパターンデータが生成されることにより、より高精度なパターンマッチング測位を可能にするパターンデータを提供することができる。なお、通信端末種別に係る情報が、通信端末10の端末種別が類似する所定のカテゴリを示す情報である場合には、通信端末種別に係る情報が通信端末10の端末種別そのものを示す情報である場合と比較して、効率的にパターンデータを生成することができる。
また、パターンマッチングサーバ16では、情報取得部161が、電波の品質情報として、電波の受信強度、伝搬損失、及び伝搬時間の少なくともいずれか1つに関する情報を取得している。これにより、電波の品質情報として適切な情報を取得することができる。
また、パターンマッチングサーバ16では、生成部162が、生成した最新のパターンデータの位置情報及び端末種別と、最新のパターンデータの生成前から記憶部163に記憶されているパターンデータの位置情報及び端末種別との関係が所定条件を満たしている場合(例えば一致している場合)、最新のパターンデータの品質情報を、記憶部163が新たに記憶するパターンデータの品質情報とする。これにより、例えば基地局の収容変更等が行われた場合にも、パターンデータの品質情報を適切に更新できる。
また、パターンマッチングサーバ16では、生成部162が、生成した最新のパターンデータの位置情報及び端末種別と、最新のパターンデータの生成前から記憶部163に記憶されているパターンデータの位置情報及び端末種別との関係が所定条件を満たしている場合(例えば一致している場合)、最新のパターンデータの生成前から記憶部163に記憶されていたパターンデータの品質情報と最新のパターンデータの品質情報とを平均化した値を、記憶部163が新たに記憶するパターンデータの品質情報とする。これにより、複数のパターンデータの品質情報の平均的な値が、記憶部163が記憶するパターンデータの品質情報とされ、パターンデータの品質情報を適切に更新できる。
また、パターンマッチングサーバ16では、生成部162が、位置情報が一致し、且つ、端末種別が端末種別A1及び端末種別A2で異なる2つのパターンデータを記憶部163から抽出する。そして、生成部162は、当該2つのパターンデータの品質情報の差分である品質差分B3を導出するとともに、位置情報が2つのパターンデータの位置情報とは異なり、端末種別が端末種別A2であるパターンデータ(基礎パターンデータX)を抽出する。さらに、生成部162は、基礎パターンデータXの品質情報B4に品質差分B3を加えた値を、基礎パターンデータXの位置情報が示す位置(メッシュ地点C2)における、端末種別A1のパターンデータYの品質情報B5とする。位置情報が一致し端末種別が異なる2つのパターンデータの品質差分を導出することにより、端末種別の違いに起因した品質差分が導出される。そして、品質差分を導出した位置とは異なる位置における、一方の端末種別(端末種別A2)に係るパターンデータの品質情報に、上述した品質差分を加えることにより、端末種別の違いを考慮して、当該位置における他方の端末種別に係るパターンデータの品質情報を導出し、当該位置における他方の端末種別に係るパターンデータを生成することができる。このように、端末種別の違いに起因した品質差分を導出することにより、例えば一方の端末種別に係るパターンデータのみしか存在しない位置において、品質差分を考慮して、他方の端末種別に係るパターンデータを生成することができる。以上より、パターンデータの生成が容易になる。また、他の端末に係る情報を用いてパターンデータ生成に必要な情報を補完することにより、パターンデータを短期間で生成することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。すなわち、パターンマッチングサーバ16の情報取得部161は、通信端末10の電波の受信特性として通信端末10の端末種別を取得するとして説明したが、これに限定されず、例えば、パターンマッチングサーバ16の情報取得部161は、受信特性として通信端末10の傾斜度を取得するものであってもよい。
本発明者らは、同じ位置であっても、測位を行う対象の通信端末の傾斜度が異なることによって、通信端末が受信する電波の品質情報が異なることを見い出した。つまり、図8に示されるように、同一メッシュ地点においても、通話中である人物Aの通信端末10Aと、メール中である人物Bの通信端末10Bとは通信端末の傾斜度が異なり、このことに起因して、各通信端末10A,10Bが受信する電波の品質情報が異なる。よって、通信端末の傾斜度を受信特性として、通信端末の傾斜度毎に、位置情報及び品質情報が対応づいたパターンデータを生成・記憶することにより、従来と比較して、より高精度なパターンマッチング測位を可能にするパターンデータを提供することができる。通信端末10の傾斜度は、例えば加速度センサ等の傾斜度を計測するセンサによって取得される。通信端末10は、取得した傾斜度を示す情報を、例えば、GNSS測位結果通知又はGNSS測位要求に含めることにより、SLP15に送信する。
また、位置測位システムとして、3G網において位置測位を行う位置測位システム1を説明したが、これに限定されず、例えば、図9に示されるように、LTE(Long Term Evolution)網において位置測位を行う位置測位システム1Aであてもよい。位置測位システム1Aは、LTE網における位置測位に係るノードを備えるものであり、位置測位システム1と異なるノードとして、eNB(evolved NodeB)201と、MME(Mobility Management Entity)202と、eSMLC(EVOLVED Serving Mobile Lication Center)203とを備えるものである。
また、パターンデータを生成する処理及びパターンマッチング測位を行う処理のいずれも、1つの情報処理装置であるパターンマッチングサーバ16が行うとして説明したが、これらの処理を、2つ以上の情報処理装置が分担して行うこととしてもよい。
また、電波の品質情報として、電波の受信強度、伝搬損失、及び伝搬時間を用いるとして説明したが、これらの少なくともいずれか1つが用いられるものであってもよい。また、通信端末の位置情報を特定できるものであれば、上述した情報以外が電波の品質情報として取得されてもよい。
また、通信端末10においてGNSS測位演算が行われる例(UE−B測位の例)を説明したが、これに限定されず、SLP15においてGNSS測位演算が行われるUE−A(UE-Assisted)測位によりGNSS測位結果が取得されるものであってもよい。
また、パターンマッチングサーバとして、パターンデータの更新日時及び測位精度の少なくともいずれか一方を考慮してパターンデータを更新するか否か決定するパターンマッチングサーバ16Bを用いてもよい。パターンマッチングサーバ16Bの処理について、図10〜図12を参照して説明する。
図10のシーケンス図に示されるステップS251〜S266は、図6のステップS51〜S66にそれぞれ対応しており、ステップS251〜S261は図6のステップS51〜S61と同じである。パターンデータ更新処理においては、SLP15Bにより、通信端末10に対してGNSS測位応答が送信される(ステップS262)。当該GNSS測位応答に含まれるGNSSアシストデータには、緯度・経度及び衛星軌道情報に加えて、GNSS測位演算の測位精度が含まれている。測位精度は、例えば測位誤差の範囲(「100m」等)により示される。
そして、通信端末10においてGNSS測位演算が実施され(ステップS263)、通信端末10からSLP15Bに対してGNSS測位結果通知が送信される(ステップS264)。当該GNSS測位結果通知には、GNSS測位演算により取得した緯度・経度、及びGNSS測位演算を行った日時(測位演算日時)が含まれている。さらに、GNSS測位演算の実施結果を取得したSLP15Bにより、パターンマッチングサーバ16Bに対して、電波の品質情報、通信端末10の端末種別、緯度・経度に加えて、GNSS測位演算の測位精度、及びGNSS測位演算を行った日時(測位演算日時)を含んだパターンデータ更新要求が送信される(ステップS265)。当該パターンデータ更新要求に含まれた情報に基づき、パターンマッチングサーバ16Bによりパターンデータの更新が行われる(ステップS266)。より詳細には、パターンマッチングサーバ16Bの生成部により、パターンデータの更新日時及び測位精度の少なくともいずれか一方に基づき更新要否が決定され、必要に応じてパターンデータの更新が行われる。
図11は、上記処理を行う場合のパターンデータテーブルを示す表である。図11に示されるように、パターンデータテーブルには、メッシュコードと、端末種別と、電波の品質情報と、パターンデータの更新日時と、更新時の測位精度とが対応づいたパターンデータが記憶されている。パターンデータの更新日時とは、パターンデータを更新した日時(日及び時刻)、又はパターンデータを更新した際のGNSS測位演算日時である。更新時の測位精度とは、更新したパターンデータに係るGNSS測位演算の測位精度(SLP15Bからパターンマッチングサーバ16Bに送信されたパターンデータ更新要求に含まれる測位精度)である。
図12は、パターンマッチングサーバ16Bによるパターンデータ更新処理を示すフローチャートである。パターンマッチングサーバ16Bの生成部は、同一メッシュにおける、新たに生成したパターンデータの測位精度、及び、既に記憶されているパターンデータの更新日時及び測位精度に基づいて、パターンデータを更新するか否か、すなわち、パターンデータの品質情報を新たなパターンデータの品質情報に書き換えるか否かを決定する。
パターンマッチングサーバ16Bの生成部は、新たに生成したパターンデータと同じメッシュコード及び端末種別のパターンデータ(既に記憶されているパターンデータ)の更新日時を取得し、当該更新日時が、現在時刻又は新たに生成したパターンデータのGNSS測位演算日時から一定時間以内であるか否かを判定する(ステップS301)。S301において一定時間以内でないと判定した場合には、パターンマッチングサーバ16Bの生成部は、品質情報を新たに生成したパターンデータの品質情報に書き換える(パターンデータを更新する)。
一方、S301において一定時間以内であると判定した場合には、パターンマッチングサーバ16Bの生成部は、測位精度が所定条件を満たしているか否かを判定する(ステップS302)。測位精度が所定条件を満たしているとは、例えば新たに生成したパターンデータの測位精度が予め定めた測位精度よりも高いことをいう。或いは、測位精度が所定条件を満たしているとは、例えば新たに生成したパターンデータの測位精度が既に記憶されているパターンデータの測位精度よりも高いことをいう。
S302において測位精度が所定条件を満たしていると判定した場合には、パターンマッチングサーバ16Bの生成部は、品質情報を新たに生成したパターンデータの品質情報に書き換える(パターンデータを更新する)。一方、S302において測位精度が所定条件を満たしていないと判定した場合には、パターンマッチングサーバ16Bの生成部は、パターンデータの更新を行わずに処理を終了する。
このように、パターンマッチングサーバ16Bの生成部では、パターンデータの更新日時及び測位精度の少なくともいずれか一方を考慮してパターンデータを更新するか否か決定している。すなわち、パターンマッチングサーバ16Bの生成部は、既に記憶されているパターンデータの更新日時を取得し、更新日時が、現在時刻又は新たに生成したパターンデータのGNSS測位演算日時から一定時間以内でない場合には、パターンデータの品質情報を、新たに生成したパターンデータの品質情報に書き換える。この場合には、測位精度を考慮せずに品質情報の書き換えを行う。このことで、更新日時から一定時間経過している場合に、基地局の収容変更等を考慮して適切にパターンデータの更新を行うことができる。
また、パターンマッチングサーバ16Bの生成部は、更新日時が、現在時刻又は新たに生成したパターンデータのGNSS測位演算日時から一定時間以内であり、且つ、新たに生成したパターンデータの測位精度が予め定めた測位精度よりも高い場合、或いは、新たに生成したパターンデータの測位精度が既に記憶されているパターンデータの測位精度よりも高い場合には、パターンデータの品質情報を、新たに生成したパターンデータの品質情報に書き換える。これにより、GNSS測位結果精度が低い情報を基にパターンデータが更新されることを回避し、パターンマッチング測位の精度を担保することができる。