JP2016017604A - 車両のダンパ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加速側と減速側とで異なるヒステリシストルクを発生させることができる車両のダンパ装置を提供する。【解決手段】ディスクプレート12とハブ部材14との捩れ角θが正方向側に所定角θa未満の領域では、摺接面23と摺接面25が摺接することで、小ヒステリシストルクH1が発生する。さらに、捩れ角θが正方向側に所定角θa以上となると、摺接面23と摺接面25との摺接に加えて、摺接面28と摺接面30が摺接するので、摺接面28と摺接面30とが摺接することによるヒステリシストルクH3が加算される。従って、ディスクプレート12とハブ部材14との捩れ角θが正方向側と負方向側とで異ならせることができる。【選択図】図2
Description
本発明は、車両のダンパ装置に係り、特に、ダンパ装置に備えられるヒステリシス機構に関するものである。
車両においてエンジンと駆動輪との間の動力伝達経路には、トルク変動を吸収するダンパ装置が設けられている。さらに、ダンパ装置において、そのダンパ装置を構成するディスクプレートとハブとが相対回転した際にヒステリシストルクを発生させることで、トルク変動を減衰するヒステリシス機構を備えたものが知られている。例えば、特許文献1に記載のダンパ装置もその1つである。特許文献1のダンパ装置にあっては、共通の回転軸心上に配置される第1回転部材(ディスクプレート)と第2回転部材(ハブ)とを備え、これら第1回転部材と第2回転部材との間に弾性部材が動力伝達可能に介挿されている。第1回転部材には、第2回転部材と圧接する第1圧接領域が形成され、第2回転部材には、第1圧接領域と圧接する第2圧接領域が形成されている。また、第1圧接領域には、周方向に沿って第1摩擦領域と、その第1摩擦領域よりも摩擦係数の大きい第2摩擦領域とが交互に形成されている。上記のように構成されることで、第1回転部材と第2回転部材との相対変位、すなわち捩れ角が大きくなるほどヒステリシストルクが大きくなる。
ところで、特許文献1のダンパ装置にあっては、捩れ角が大きくなるほど大きなヒステリシストルクを発生させることができるものの、加速側と減速側とで発生するヒステリシストルクが等しくなる。しかしながら、実際の走行において加速側と減速側とで要求されるヒステリシストルクは異なっており、加速側と減速側とでヒステリシストルクを異ならせる必要があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、加速側と減速側とで異なるヒステリシストルクを発生させることができる車両のダンパ装置を提供することにある。
上記目的を達成するための、第1発明の要旨とするところは、(a)第1回転部材と、その第1回転部材と共通の回転軸心上に相対回転可能に配置されている第2回転部材と、その第1回転部材とその第2回転部材との間に介挿されてこれらを作動的に連結する弾性部材とを、備える車両のダンパ装置であって、(b)前記第1回転部材は、その第1回転部材と前記第2回転部材との間に介挿されている摩擦材と摺接する第1摺接面と、その第1摺接面よりも前記回転軸心の径方向外側に形成され、前記第2回転部材と摺接する第2摺接面とを、含み、(c)前記第2回転部材は、前記摩擦材と摺接する第3摺接面と、その第3摺接面よりも前記回転軸心の径方向外側に形成され、前記第1回転部材と摺接する第4摺接面とを、含み、(d)前記第2回転部材が前記第1回転部材に対して正方向側に所定角未満の相対変位内では、前記第1摺接面と前記第3摺接面とが前記摩擦材を介して摺接し、(e)前記第2回転部材が前記第1回転部材に対して正方向側に前記所定角以上の相対変位範囲を超えると、前記第1摺接面と前記第3摺接面との摺接に加えて、前記第2摺接面と前記第4摺接面とが摺接することを特徴とする。
このようにすれば、第1回転部材と第2回転部材との相対変位が正方向側に所定角範囲内の領域では、第1摺接面と第3摺接面とが前記摩擦材を介して摺接することで、所定のヒステリシストルクが発生する。さらに、前記相対変位が正方向側に所定角範囲を超えると、第1摺接面と第3摺接面との摺接に加えて、第2摺接面と第4摺接面とが摺接するので、第2摺接面と第4摺接面とが摺接することによるヒステリシストルクが加算される。従って、第2回転部材が正方向側に回転する場合のみ相対変位が所定角を超えると、ヒステリシストルクが大きくなり、第1回転部材と第2回転部材との相対変位が正方向側と負方向側とで、発生するヒステリシストルクを異ならせることができる。
また、好適には、第2回転部材は、内側回転部材とその内側回転部材の外周側に配置される外側回転部材とから構成され、この内側回転部材と外側回転部材との間には、前記所定角の相対回転を許容する機構が設けられており、前記摩擦材は、前記第1回転部材と前記内側回転部材との間に介挿され、さらに前記第1回転部材と前記外側回転部材との間に第2の摩擦材が介挿されている。これより、第1回転部材と第2回転部材との相対変位である捩れ角が所定角未満では、内側回転部材と外側回転部材とが相対回転させられる。このとき、第1回転部材と内側回転部材とが相対回転する一方、第1回転部材と外側回転部材とが一体的に回転させられる。従って、捩れ角が所定角未満では、第1回転部材と内側回転部材とが摩擦材を介して摺接(摺動)させられることによるヒステリシストルクが発生する。なお、このヒステリシストルクは、捩れ角が負の領域においても同様に発生する。一方、捩れ角が所定角以上となると内側回転部材と外側回転部材とが一体的に回転させられる。従って、捩れ角が所定角以上となると、さらに第1回転部材と外側回転部材とが第2の摩擦材を介して摺接させられることによるヒステリシストルクが発生する。このヒステリシストルクも同様に、捩れ角が負の領域においても発生する。従って、捩れ角が正の値である所定角以上または負の値である所定角以下の領域において、第2の摩擦材によるヒステリシストルクを発生させることができる。
また、好適には、前記第2摺接面は、前記第1回転部材から前記第2回転部材側に向かって形成されている突起の端面であり、前記突起は、その第2回転部材が第1回転部材に対して正方向に所定角を超えると、前記第4摺接面と摺接する位置に設けられている。このようにすれば、相対変位が所定角範囲内の領域では、第2摺接面と第4摺接面とが摺接することはなく、相対変位が所定角を超えると、第2摺接面と第4摺接面とが摺接させられる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用されたダンパ装置10の構成を簡略的に示す正面図である。なお、図1のダンパ装置10にあっては、後述する一対のディスクプレート12のうちの一方が外された状態を示している。
ダンパ装置10は、回転軸心Cまわりに回転可能に配置されている円盤状のディスクプレート12と、ディスクプレート12と共通の回転軸心C上に配置されているハブ14と、ディスクプレート12とハブ部材14との間に介挿されてこれらディスクプレート12およびハブ部材14を作動的に連結するコイルスプリングで構成されるスプリング16を含んで構成されている。なお、実線で示すハブ部材14が、ダンパ装置10に伝達される正方向側(加速側、駆動側)に作用するトルクが零ないし零近傍の値であって、ディスクプレート12とハブ部材14との相対変位である捩れ角θ(相対回転角)が予め設定されている所定角θa未満の状態を示している。一方、破線で示すハブ部材14が、ダンパ装置10に正方向側(加速側、駆動側)に作用するトルクが伝達され、捩れ角θが正方向側に所定角θa以上となった状態を示している。なお、ディスクプレート12が本発明の第1回転部材に対応し、ハブ部材14が本発明の第2回転部材に対応し、スプリング16が本発明の弾性部材に対応している。
ディスクプレート12は、一対の円盤状のディスクプレート12a、12bから構成され、回転軸心Cを中心に回転可能に配置されている。そして、ハブ部材14およびスプリング16を一対のディスクプレート12a、12bで軸方向に挟み込んだ状態で、図示しないリベットによって相対回転不能に連結されている。
ハブ部材14は、内側ハブ14a(内側回転部材)と、その内側ハブ14aの回転軸心Cの径方向外側に配置される外側ハブ14b(外側回転部材)とから構成されている。内側ハブ14aおよび外側ハブ14bは、何れも円板形状を有し、ディスクプレート12a、12bの間に挟み込まれた状態で、ディスクプレート12と共通の回転軸心Cを中心にして、ディスクプレート12に対して相対回転可能な状態で配置されている。なお、以下において径方向内側および径方向外側とは、特に記載がない限り、ダンパ装置10の回転軸心Cを基準とする。
この内側ハブ14aと外側ハブ14bとの間には、コイルスプリングで構成される小スプリング17が介挿されており、これらを動力伝達可能に接続している。詳細には、内側ハブ14aの外周端部および外側ハブ14bの内周端部には、それぞれ小スプリング17を収容するための図示しない切欠が形成されている。この内側ハブ14aおよび外側ハブ14bに形成される切欠は、回転軸心Cから径方向にみて重なる位置に形成されており、互いの切欠によって形成される空間に小スプリング17が収容されている。また、小スプリング17は、軸方向からみて内側ハブ14aの切欠の一部および外側ハブ14bの切欠の一部とも重なる位置に配置されている。このようにして小スプリング17が内側ハブ14aと外側ハブ14bとの間に介挿されることで、内側ハブ14aと外側ハブ14bとを動力伝達可能に接続するとともに、内側ハブ14aと外側ハブ14bとの間で発生する微小な捩れ振動を吸収するようになっている。
また、捩れ角θが正の捩れ角である所定角θaに到達すると、小スプリング17の隣り合うコイルが密着した状態(ピッチが最小)となるように設定されている。従って、捩れ角θが所定角θa未満の範囲(0<θ<θa)では、小スプリング17が弾性変形させられ、内側ハブ14aと外側ハブ14bとが相対回転させられる。そして、捩れ角θが所定角θa以上(θa≦θ)になると、内側ハブ14aと外側ハブ14bとが一体的に回転させられる。
また、捩れ角θが負の捩れ角である所定角-θaまでの範囲(-θa<θ<0)では、小スプリング17が弾性変形させられ、内側ハブ14aと外側ハブ14bとが相対回転させられる。そして、所定角-θaに到達すると、小スプリング17の隣り合うコイルが密着した状態となるように設定されている。従って、捩れ角θが所定角-θa以下(θ≦-θa)になると内側ハブ14aと外側ハブ14bとが一体的に回転させられる。なお、小スプリング17の剛性は、ダンパ装置10にトルクが伝達された際に、スプリング16よりも先に弾性変形させられる程度に、スプリング16よりも低い値に設定されている。このようにして、内側ハブ14aと外側ハブ14bとは、所定角(-θa<θ<θa)の間で相対回転が許容される。
ハブ部材14(外側ハブ14b)の径方向外側には、周方向に等角度間隔で4個の切欠18が形成されている。このハブ部材14の切欠18によって形成される長方形状の空間に、それぞれスプリング16が介挿されている。スプリング16は、コイルスプリングから構成され、その両端がハブ部材14の切欠18によって形成される周方向の端面に当接可能とされている。また、ディスクプレート12にも、スプリング16の両端を保持するための図示しない保持穴が形成されている。このようにして、スプリング16がディスクプレート12とハブ部材14との間に介挿され、これらディスクプレート12およびハブ部材14を作動的に連結する。
例えば、ディスクプレート12側からトルクが伝達されることにより、ディスクプレート12がスプリング16の一端を押圧すると、スプリング16の他端がハブ部材14を押圧することで、ハブ部材14側にトルクが伝達される。また、ハブ部材14側からトルクが伝達されることにより、ハブ部材14がスプリング16の一端を押圧すると、スプリング16の他端がディスクプレート12を押圧することで、ディスクプレート12側にトルクが伝達される。このとき、ダンパ装置10に伝達されるトルクに応じてスプリング16が弾性変形(捩り変形)させられる。
軸方向において各ディスクプレート12a、12bとハブ部材14(外側ハブ14b)との間には、摩擦材20(第2の摩擦材)がそれぞれ介挿されている。摩擦材20は、環状に形成されており、軸方向において各ディスクプレート12a、12bとハブ部材14(外側ハブ14b)との間に介挿されることで摺接可能とされている。摩擦材20は、径方向においてスプリング16および切欠18よりも径方向内側に配置されている。
軸方向において各ディスクプレート12a、12bとハブ部材14(内側ハブ14a)との間には、摩擦材21がそれぞれ介挿されている。摩擦材21は、環状に形成されており、軸方向において各ディスクプレート12a、12bとハブ部材14(内側ハブ14a)との間に介挿されることで摺接可能とされている。なお、摩擦材21は、摩擦材20よりも径方向内側に配置されている。
図2は、図1のダンパ装置10を切断線Aで切断した断面図である。なお、スプリング16については省略されている。図2に示すように、軸方向においてディスクプレート12aとハブ部材14との間、およびディスクプレート12bとハブ部材14との間に、それぞれ摩擦材20および摩擦材21が摺動可能な状態で介挿されている。これより、ディスクプレート12a、12bには、摩擦材20と摺接する摺接面22および摩擦材21と摺接する摺接面23が形成される。また、ハブ部材14の軸方向の両側には、摩擦材20と摺接する摺接面24および摩擦材21と摺接する摺接面25が形成される。そして、ディスクプレート12とハブ部材14とが相対回転すると、小スプリング17の隣り合うコイルが密着するまでは、ディスクプレート12の摺接面23とハブ部材14(内側ハブ14a)の摺接面25とが摩擦材21を介して摺接(摺動)することで、小ヒステリシストルクH1が発生する。従って、ディスクプレート12の摺接面23と、ハブ部材14(内側ハブ14a)の摺接面25と、摩擦材21とによって、小ヒステリシストルクH1を発生させるヒステリシス機構が構成される。また、ダンパ装置10が負方向に捩れた場合であっても、捩れ角θが所定角-θaまでの範囲では、ディスクプレート12の摺接面23とハブ部材14(内側ハブ14a)の摺接面25とが摩擦材21を介して摺接するため、ヒステリシストルクH1が発生する。なお、摺接面23が本発明の第1摺接面に対応し、摺接面25が本発明の第3摺接面に対応している。
また、捩れ角θが所定角θa以上になると、小スプリング17の隣り合うコイルが密着状態となり、内側ハブ14aと外側ハブ14bとが一体的に回転させられる。従って、さらにディスクプレート12の摺接面22とハブ部材(外側ハブ14b)の摺接面24とが摩擦材20を介して摺接(摺動)することで、ヒステリシストルクH2が発生する。このように、ディスクプレート12の摺接面22とハブ部材14(外側ハブ14b)の摺接面24と、摩擦材20とによって、ヒステリシストルクH2を発生させるヒステリシス機構が構成される。また、ダンパ装置10が負方向に捩れた場合であっても、捩れ角θが所定角-θa以下(θ<-θa)になると、ディスクプレート12の摺接面22とハブ部材(外側ハブ14b)の摺接面24とが摩擦材20を介して摺接(摺動)するため、ヒステリシストルクH2が発生する。また、ヒステリシストルクH2は、小ヒステリシストルクH1に比べて大幅に大きな値となるように、摩擦材20と摺接面22および摺接面24との間の摩擦係数が設定されている。
また、図1および図2に示すように、ディスクプレート12a、12bには、軸方向においてハブ部材14側に向かって突き出す突起26が等角度間隔で4個形成されている。図2に示すように、突起26は、例えばプレス加工によって形成され、ハブ部材側に向かって軸方向に突き出している。突起22の軸方向においてハブ部材側の端部(端面)には、ハブ部材14と摺接する摺接面28が形成される。また、ハブ部材14には、ディスクプレート12の摺接面28と摺接する摺接面30が形成されている。これより、ディスクプレート12a、12bの摺接面28とハブ部材14の摺接面30とが摺接することでヒステリシストルクH3が発生する。従って、ディスクプレート12の摺接面28と、ハブ部材14の摺接面30とによって、ヒステリシストルクH3を発生させるヒステリシス機構が構成される。なお、摺接面28が本発明の第2摺接面に対応し、摺接面30が本発明の第4摺接面に対応している。
上述したようにダンパ装置10のディスクプレート12とハブ部材14との間の捩れ角θが予め設定されている所定角(-θa〜θa)の範囲において、ディスクプレート12の摺接面23とハブ部材14(内側ハブ14a)の摺接面25とが摩擦材21を介して摺接(摺動)することで小ヒステリシストルクH1のみ発生する。言い換えれば、捩れ角θが所定角(-θa〜θa)の範囲では、ディスクプレート12の摺接面22およびハブ部材14(外側ハブ14b)と摩擦材21とが摺接することによるヒステリシストルクH2は発生しないように設計されている。さらに、ディスクプレート12の突起26に形成される摺接面28とハブ部材14(外側ハブ14b)の摺接面30とが摺接することによるヒステリシストルクH3も発生しないように設計されている。
詳細には、捩れ角θが所定角-θaから所定角θaの範囲では、内側ハブ14aおよび外側ハブ14bとが相対回転させられ、この間はディスクプレート12と外側ハブ14bとが一体的に回転させられるため、ヒステリシストルクH2およびヒステリシストルクH3が発生しないように設計されている。そして、ダンパ装置10の捩れ角θが所定範囲以上(θ≦-θa または θa≦θ)となると、内側ハブ14aと外側ハブ14bとが一体的に回転させられ、この間は、ディスクプレート12とハブ部材14の外側ハブ14bとが相対回転させられる。従って、ディスクプレート12と外側ハブ14bとが摩擦材20を介して摺接(摺動)させられることで、ヒステリシストルクH1に加えてヒステリシストルクH2が発生する。このヒステリシストルクH2は、ダンパ装置10にかかるトルクが正方向側(加速側、駆動側、θa≦θ)および負方向側(減速側、被駆動側、θ≦-θa)の何れであっても発生する。
さらに、ダンパ装置10に正方向側(加速側、駆動側)に所定値以上のトルクが伝達され、ハブ部材14がディスクプレート12に対して時計方向に相対回転させられて、捩れ角θが所定角θa以上になると、ディスクプレート12とハブ部材14(外側ハブ14b)とが摺接(摺動)させられるように設定されている。すなわち、所定角θa以上となると、図1に示すように、破線で示すハブ部材14のように、ハブ部材14と突起26とが軸方向からみて重なり合う。従って、突起26の摺接面28とハブ部材14(外側ハブ14b)の摺接面30とが摺接することでヒステリシストルクH3が発生する。
図3は、ダンパ装置10に負方向(減速側、被駆動側)のトルクが伝達された状態を示している。ダンパ装置10に負方向のトルクが伝達されると、一点鎖線で示すハブ部材14のように、実線で示すハブ部材14に対して反時計方向に相対回転させられる。このとき、捩れ角θの大きさに拘わらず、突起26とハブ部材14とが軸方向からみて重なり合うことはないため、ディスクプレート12の突起26の摺接面28とハブ部材14の摺接面30とが摺接することもなく、ヒステリシストルクH3は発生しない。すなわち、ダンパ装置10に負方向のトルクが伝達された場合には、捩れ角θが零から-θaの範囲では小ヒステリシストルクのみ発生し、捩れ角θが所定角-θa以下の範囲では、小ヒステリシストルクH1に加えてヒステリシストルクH2が発生する。
図4は、図1のダンパ装置10において、突起26周辺を拡大した図である。なお、図4においてもスプリング16は省略されている。図4の実線で示すハブ部材14が、ディスクプレート12とハブ部材との捩れ角θ(相対変位、相対回転角)が所定角θaに到達する直前の状態を示している。この状態では、ハブ部材14と突起26とが軸方向からみて重なり合っておらず、突起26の摺接面28とハブ部材14の摺接面30とが摺接しないため、ヒステリシストルクH3は発生しない。
一方、ダンパ装置10に正方向側(加速側、駆動側)に所定値以上のトルクが伝達されて捩れ角θが所定角θa以上となると、破線で示すように、ハブ部材14が突起26(ディスクプレート12)に対して正方向側(図において時計方向側)に相対回転させられ、突起26とハブ部材14とが軸方向からみて重なり合う。従って、突起26の第2摺接面28とハブ部材14の第4摺接面30とが摺接するため、ヒステリシストルクH3が発生する。
ここで、突起26は、くさび状に形成されている。具体的には、周方向において時計方向側に向かうほどハブ部材14の第4摺接面30との摺接面積が大きくなるように、時計方向側に向かうほど径方向の寸法が増加している。これより、ディスクプレート12とハブ部材14との捩れ角θが増加し、その捩れ角θが所定角θaに到達すると、突起26の摺接面28とハブ部材14の摺接面30との摺接が開始されるが、その摺接面積が徐々に増加することで、急激なヒステリシストルクH3の増加が防止される。
図5は、上記のように構成されるダンパ装置10の捩り特性を示している。横軸が捩れ角θを示し、縦軸がダンパ装置10に伝達されるトルクを示している。図5に示すように、捩れ角θが−θa〜θaの所定角θaの範囲内では、ディスクプレート12の摺接面23とハブ部材(内側ハブ14a)の摺接面25とが摩擦材21を介して摺接(摺動)することで、小ヒステリシストルクH1が発生する。一方、捩れ角θが所定角θa以上となると、ディスクプレート12とハブ部材(外側ハブ14b)とが相対回転させられるため、ディスクプレート12と外側ハブ14bとが摩擦材20を介して摺接(摺動)することによるヒステリシストルクH2が発生するとともに、突起26の摺接面とハブ部材14の摺接面30とが摺接(摺動)することによるヒステリシストルクH3が発生する。なお、捩れ角θが所定角θa以上の領域においてもヒステリシストルクH1が発生するが、ヒステリシストルクH1はヒステリシストルクH2およびヒステリシストルクH3に比べて大幅に小さいため、図5では省略されている。
ここで、捩れ角θが所定角θaに到達しても急激にヒステリシストルクが増加しないのは、突起26の摺接面28とハブ部材14の摺接面30との摺接面積が徐々に増加するためである。すなわち、捩れ角θが増加するほど摺接面積が増加するので、ヒステリシストルクH2も徐々に増加する。従って、捩れ角θが所定角θaに到達するとヒステリシストルク(H2+H3)が徐々に増加し、所定角まで相加するとヒステリシストルクが略一定の値で推移する。
一方、捩れ角θが負方向(減速側、被駆動側)に捩られている領域では、捩れ角θが所定角-θaの範囲(-θa<θ<0)では、小ヒステリシストルクH1のみ発生し、捩れ角θが所定角-θa以下になると、小ヒステリシストルクH1(図5では省略)に加えてヒステリシストルクH2が発生する。すなわち、捩れ角θが負の領域では、ヒステリシストルクH3が発生することはない。
このように、ダンパ装置10では、ダンパ装置10に正方向側のトルクが伝達されて捩れ角θが所定角θa以上になると互いに摺接(摺動)する摺接面28および摺接面30が形成されることで、捩れ角θが正方向側と負方向側とで発生するヒステリシストルクが相違する。詳細には、正方向側に捩られた場合には、捩れ角θが所定角θa以上になるとヒステリシストルク(H2+H3)が発生する一方、負方向に捩られた場合には、捩れ角θが所定角-θa以下になると、ヒステリシストルクH2が発生する。ここで、一般に、加速時には大ヒステリシストルクが必要となり、減速時には、大ヒステリシストルクは不要となる。これと整合するように、ダンパ装置10にあっては、正方向側のトルクが伝達される加速時にヒステリシストルク(H2+H3)が発生し、負方向側のトルクが伝達される減速時に加速時に発生するヒステリシストルクよりも小さいヒステリシストルクH2が発生するため、ショックや異音(歯打ち音)が抑制される。
上述のように、本実施例によれば、ディスクプレート12とハブ部材14との捩れ角θが正方向側に所定角θa未満の領域では、摺接面23と摺接面25とが摩擦材21を介して摺接(摺動)することで、小ヒステリシストルクH1が発生する。さらに、捩れ角θが正方向側に所定角θaを超えると、小ヒステリシストルクH1に加えて摺接面22と摺接面24とが摩擦材20を介して摺接(摺動)することによるヒステリシストルクH2、ならびに摺接面28と摺接面30とが摺接(摺動)することによるヒステリシストルクH3が発生する。一方、捩れ角θが負方向側の所定角-θa以下になると、小ヒステリシストルクH1およびヒステリシストルクH2が発生するものの、ヒステリシストルクH3は発生しない。このように、ハブ部材14が正方向側に回転する場合にのみ、捩れ角θが所定角θa以上となるとヒステリシストルクH3が発生するため、ディスクプレート12とハブ部材14との捩れ角θが正方向側と負方向側とで、発生するヒステリシストルクを異ならせることができる。詳細には、ダンパ装置10が正方向に捩られる際に発生するヒステリシストルクが、ダンパ装置10が負方向に捩られる際に発生するヒステリシストルクよりも大きくなる。
また、本実施例によれば、摺接面28は、ディスクプレート12からハブ部材14側に向かって形成されている突起26の端面であり、突起26は、そのハブ部材14がディスクプレート12に対して正方向に所定角θaを超えると、ハブ部材14の摺接面30と摺接する位置に設けられている。このようにすれば、捩れ角θが所定角θa範囲内の領域では、摺接面28と摺接面30とが摺接することはないが、捩れ角θが所定角θa以上となると、摺接面28と摺接面30とが摺接させられる。
また、本実施例によれば、突起26が摩擦材20および摩擦材21の外周側に設けられることで、ハブ部材14の剛性を下げることなくヒステリシストルクH3を発生させることができ、結果として加速時の異音やショックを抑制することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、突起26がくさび状に形成されているが、必ずしもくさび状に形成されなくても構わない。
また、前述の実施例では、突起26が周方向に4個形成されているが、この突起26の個数は特に限定されない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:ダンパ装置
12:ディスクプレート(第1回転部材)
14:ハブ部材(第2回転部材)
16:スプリング(弾性部材)
21:摩擦材
22:摺接面
23:摺接面(第1摺接面)
24:摺接面
25:摺接面(第3摺接面)
26:突起
28:摺接面(第2摺接面)
30:摺接面(第4摺接面)
12:ディスクプレート(第1回転部材)
14:ハブ部材(第2回転部材)
16:スプリング(弾性部材)
21:摩擦材
22:摺接面
23:摺接面(第1摺接面)
24:摺接面
25:摺接面(第3摺接面)
26:突起
28:摺接面(第2摺接面)
30:摺接面(第4摺接面)
Claims (1)
- 第1回転部材と、該第1回転部材と共通の回転軸心上に相対回転可能に配置されている第2回転部材と、該第1回転部材と該第2回転部材との間に介挿されてこれらを作動的に連結する弾性部材とを、備える車両のダンパ装置であって、
前記第1回転部材は、該第1回転部材と前記第2回転部材との間に介挿されている摩擦材と摺接する第1摺接面と、該第1摺接面よりも前記回転軸心の径方向外側に形成され、前記第2回転部材と摺接する第2摺接面とを、含み、
前記第2回転部材は、前記摩擦材と摺接する第3摺接面と、該第3摺接面よりも前記回転軸心の径方向外側に形成され、前記第1回転部材と摺接する第4摺接面とを、含み、
前記第2回転部材が前記第1回転部材に対して正方向側に所定角未満の相対変位内では、前記第1摺接面と前記第3摺接面とが前記摩擦材を介して摺接し、
前記第2回転部材が前記第1回転部材に対して正方向側に前記所定角以上の相対変位範囲を超えると、前記第1摺接面と前記第3摺接面との摺接に加えて、前記第2摺接面と前記第4摺接面とが摺接する
ことを特徴とする車両のダンパ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014141824A JP2016017604A (ja) | 2014-07-09 | 2014-07-09 | 車両のダンパ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014141824A JP2016017604A (ja) | 2014-07-09 | 2014-07-09 | 車両のダンパ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016017604A true JP2016017604A (ja) | 2016-02-01 |
Family
ID=55232969
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014141824A Pending JP2016017604A (ja) | 2014-07-09 | 2014-07-09 | 車両のダンパ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016017604A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2023506901A (ja) * | 2020-02-27 | 2023-02-20 | シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー | 摩擦装置を備えるねじり振動ダンパ |
-
2014
- 2014-07-09 JP JP2014141824A patent/JP2016017604A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2023506901A (ja) * | 2020-02-27 | 2023-02-20 | シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー | 摩擦装置を備えるねじり振動ダンパ |
JP7379709B2 (ja) | 2020-02-27 | 2023-11-14 | シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー | 摩擦装置を備えるねじり振動ダンパ |
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