JP2016017479A - 揺動ピストン式圧縮機 - Google Patents

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Koichi Tanaka
孝一 田中
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和貴 堀
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Takashi Shimizu
孝志 清水
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隆造 外島
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Abstract

【課題】非円形式のピストンを有する揺動ピストン式圧縮機において、ピストンの内周面の摩耗を防止するとともに、微小隙間における油の滞留に起因する摺動部の焼き付きを防止する。
【解決手段】ピストン(60)の端面には、ピストン(60)の内周面から所定位置まで拡がる凹部(72,82)が形成される。圧縮機(10)は、ピストン(60)の内周面よりも軸方向長さが大きい環状に形成され、ピストン(60)の内部に固定され、クランク軸(32)の外周面が摺接するようにクランク軸(32)が内嵌されるメタル部材(59)を備える。駆動軸(30)は、クランク軸(32)とメタル部材(59)の間の微小隙間(S)に潤滑油を供給する油供給機構(34)を有する。ヘッド部材(52,53)の対向面(52d,53b)には、微小隙間(S)と凹部(72,82)とを連通する油溝(71,81)が形成される。
【選択図】図5

Description

本発明は、非円形状のピストンが揺動運動を行う揺動ピストン式圧縮機に関し、特にクランク軸の周囲の摺動部の焼き付きの対策に係るものである。
従来より、流体を圧縮する圧縮機が知られている。この圧縮機として、シリンダ室内で非円形状のピストンが揺動運動を行い流体を圧縮する揺動ピストン式圧縮機がある。
特許文献1には、この種の圧縮機が開示されている。この圧縮機の圧縮機構では、ピストンの外周面形状が非円形状をしている。具体的に、圧縮機構では、ピストンの外周面のうちブレードを挟んだ片側の部位が径方向外方に膨出している。これに対し、ピストンが収容されるシリンダ室の内周面形状は、揺動運動を行うピストンの外周面の包絡線に基づいて定められている。
この圧縮機では、電動機によって駆動軸が回転駆動されると、ピストンに内嵌されるクランク軸が偏心回転する。これに伴いピストンがシリンダ室内で揺動運動を行い、低圧室や高圧室の容積が拡縮され、流体が圧縮される。
また、特許文献1の圧縮機では、油貯留部の油(潤滑油)が駆動軸の内部の流路を通じて各摺動部へ供給される。具体的に、油貯留部の油は、駆動軸の下端に取り付けられた油ポンプによって搬送され、駆動軸の内部の流路を上方へ流れる。この油は、駆動軸の内部を径方向外方に延びる分岐流路より軸受やクランク軸の摺動部へ供給される。
クランク軸の周囲に供給された油は、ピストンと、該ピストンの軸方向の両側に形成されるヘッド部材(フロントヘッドやリヤヘッド)との間の微小な隙間を流れ、この隙間に油膜シールを形成する。この隙間の油は、ピストンの外周面に向かって径方向外方へと流れ、最終的にシリンダ室へ流出する。
ところで、特許文献1に記載の揺動ピストン式の圧縮機構では、上述したようにピストンの外周面が、所定方向に膨出している。このため、ピストンとヘッド部材との微小隙間は、このように膨出した部分において長くなる。つまり、非円形状のピストンでは、上述した油膜シールのシール長が比較的長い部分が必然的に生じることになる。
このようにピストンとヘッド部材とのシール長が長い部分では、隙間を流れる潤滑油の流路抵抗が大きくなり、潤滑油をシリンダ室まで十分に排出できない。このため、油供給機構によってクランク軸の周囲に供給された油が、この部位(クランク軸とピストンの間の微小隙間)に滞ることになり、油の温度が上昇し易くなる。油の温度が上昇すると、この油の粘度が低下する。従って、クランク軸の周囲の摺動部における油の潤滑が損なわれ、摺動損失の増大、ひいては摺動部の焼き付きの発生といった不具合を招いてしまう。
そこで、特許文献1の圧縮機では、ピストンの軸方向端面において、該ピストンの内周面から膨出部に向かう方向に凹部(空隙部)を形成している。これにより、ピストンでは、膨出部におけるシール長が短くなり、隙間を流れる潤滑油の流路抵抗が小さくなる。この結果、非円形式のピストンであっても、シリンダ室へ排出できる油の量を確保でき、クランク軸の周囲の微小隙間での油の滞りを抑制でき、ひいては摺動部の焼き付きの発生を防止している。
特開2003−269348号公報
ところで、特許文献1に記載のように、ピストンの軸方向端面に凹部を形成すると、ピストンの内周面の軸方向長さが短くなり、これに伴いピストンの内周面の面積も小さくなる。この結果、ピストンとクランク軸との間では、ピストンの内周面に作用する面圧が増大し、ピストンの内周面が摩耗し易くなってしまう。
そこで、本願の発明者は、ピストンの内周面に、該ピストンよりも軸方向長さの大きい環状のメタル部材を内嵌させる構成を考案した。これにより、メタル部材とクランク軸との間の摺動面積を拡大でき、メタル部材の内周面に作用する面圧を低減できるので、ピストン、あるいはメタル部材の摩耗を防止できる。
一方、このようにピストンの内周面に、該ピストンよりも軸方向長さの大きなメタル部材を内嵌させる構造を採用すると、クランク軸の周囲(上述した微小隙間)の油が、ピストンの凹部まで流入することが、メタル部材によって阻害されてしまう。即ち、メタル部材の軸方向端部は凹部の底面よりも軸方向外方へ突出しているため、微小隙間から凹部までの間の油の流路抵抗が大きくなってしまう。この結果、ピストンに凹部を形成したにも拘わらず、微小隙間からシリンダ室へ排出される油の排出量が減少してしまい、微小隙間の油の昇温、ひいては摺動部の焼き付きを招いてしまうという新たな問題が発生した。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、非円形式のピストンを有する揺動ピストン式圧縮機において、ピストンの内周面の摩耗を防止するとともに、微小隙間における油の滞留に起因する摺動部の焼き付きを防止することにある。
第1の発明は、電動機(20)と、クランク軸(32)を有し、上記電動機(20)に回転駆動される駆動軸(30)と、上記クランク軸(32)が内部に挿通され、上記クランク軸(32)の回転に伴い揺動運動を行うとともに、外周面が非円形状に形成された環状のピストン(60)と、上記ピストン(60)の外周面の包絡線に基づいた内周面形状を有するシリンダ室(55)が形成されたシリンダ(51)と、上記ピストン(60)と連結し上記シリンダ室(55)を低圧室(55a)と高圧室(55b)とに区画するブレード(62)と、上記シリンダ(51)の軸方向端部に積層され、上記駆動軸(30)を回転可能に支持する軸受(42,43)を有するヘッド部材(52,53)とを備えた揺動ピストン式圧縮機を対象とし、上記ピストン(60)の軸方向端面には、該ピストン(60)の内周面から、該ピストン(60)の内周面と外周面との間の所定位置まで拡がる凹部(72,82)が形成され、上記ピストン(60)の内周面よりも軸方向長さが大きい環状に形成され、上記ピストン(60)の内部に固定されるとともに、上記クランク軸(32)の外周面が摺接するように該クランク軸(32)が内嵌されるメタル部材(59)を備え、上記駆動軸(30)は、上記クランク軸(32)と上記メタル部材(59)との間の微小隙間(S)に潤滑油を供給する油供給機構(34)を有し、上記ヘッド部材(52,53)における上記ピストン(60)の対向面(52d,53b)には、上記微小隙間(S)と上記凹部(72,82)とを連通可能な油溝(71,81)が形成されていることを特徴とする。
第1の発明では、圧縮機が非円形式の揺動ピストン式圧縮機で構成される。電動機(20)によって駆動軸(30)が回転駆動されると、クランク軸(32)が偏心回転し、これに伴い非円形状のピストン(60)が揺動運動を行う。これにより、ピストン(60)の外周面とシリンダ室(55)の内周面との実質的な接触部がシリンダ室(55)の内周面に沿って変位し、低圧室(55a)と高圧室(55b)の容積が拡縮される。この結果、シリンダ室(55)で流体が圧縮される。
本発明のピストン(60)の軸方向端面には、ピストン(60)の内周面から、該ピストン(60)の内周面と外周面との間の所定位置まで拡がる凹部(72,82)が形成される。この凹部(72,82)により、ピストン(60)とヘッド部材(52,53)との間のシール長が短くなり、油供給機構(34)によって微小隙間(S)に供給された油が、シリンダ室(55)へ排出され易くなる。
本発明のピストン(60)の内部には、環状のメタル部材(59)が固定され、このメタル部材(59)の内部にクランク軸(32)が回転可能に挿通される。ピストン(60)の内周面は、凹部(72,82)により、軸方向長さが短くなる。しかし、メタル部材(59)は、ピストン(60)よりも軸方向長さが大きいので、クランク軸(32)とメタル部材(59)との間の摺動面積が拡大され、ピストン(60)ないしメタル部材(59)の摩耗を防止できる。
このようにピストン(60)の内部にメタル部材(59)を固定すると、このメタル部材(59)により微小隙間(S)から凹部(72,82)までの間の油の流路抵抗が大きくなってしまう。そこで、本発明では、ヘッド部材(52,53)に油溝(71,81)を形成している。この油溝(71,81)は、ヘッド部材(52,53)におけるピストン(60)の対向面(52d,53b)に形成され、微小隙間(S)と凹部(72,82)とを連通可能に構成される。このため、微小隙間(S)の油は、油溝(71,81)を介して凹部(72,82)内へ流入し、ピストン(60)とヘッド部材(52,53)との間の隙間を通じて、シリンダ室(55)へ排出される。この結果、微小隙間(S)における油の滞留が防止される。
第2の発明は、第1の発明において、上記ヘッド部材(52,53)の上記対向面(52d,53b)には、内周側に上記軸受(42,43)を構成する円筒状の弾性軸受部(70,80)が設けられ、上記油溝(71,81)は、上記弾性軸受部(70,80)の周囲に形成される弾性溝(71,81)で構成されていることを特徴とする。
第2の発明では、ヘッド部材(52,53)の対向面(52d,53b)に弾性軸受部(70,80)が設けられる。弾性軸受部(70,80)の内周面には、駆動軸(30)の軸受(42,43)が形成される。弾性軸受部(70,80)の外周側には、弾性溝(71,81)が形成される。このため、駆動軸(30)が遠心力によって径方向に撓んだ場合に、弾性軸受部(70,80)が駆動軸(30)に沿って弾性変形する。この結果、駆動軸(30)が軸受(42,43)に片当たりしてしまうことを回避でき、軸受(42,43)と駆動軸(30)との間での摩耗を防止できる。
第2の発明では、このように弾性軸受部(70,80)を弾性変形させるための弾性溝(71,81)が、油溝(71,81)を構成する。つまり、微小隙間(S)に供給された油は、弾性溝(71,81)を介してピストン(60)の凹部(72,82)へ流入し、その後、シリンダ室(55)へ排出される。この結果、微小隙間(S)における油の滞留が、弾性溝(71,81)によって防止される。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記油溝(71,81)は、上記クランク軸(32)が一回転する間に亘って、常に上記微小隙間(S)及び上記凹部(72,82)の双方と軸方向に重なるように構成されていることを特徴とする。
第3の発明では、クランク軸(32)が一回転する間に亘って、微小隙間(S)と凹部(72,82)とが常に連通する。これにより、圧縮機の運転中には、微小隙間(S)の油が油溝(71,81)を介して連続的に凹部(72,82)へ流入する。この結果、微小隙間(S)における油の滞留を更に確実に防止できる。
第4の発明は、ピストン(60)の外周面が、ブレード(62)を挟んで両側に膨出する非円形状に構成される。これに対し、凹部(72,82)の外周面は、このようなピストン(60)の外周面に対応するように、ブレード(62)を挟んで両側に膨出する非円形状に形成される。このため、本発明の圧縮機では、ピストン(60)とヘッド部材(52,53)との間のシール長が全周に亘って均一化される。この結果、凹部(72,82)内に流入した油は、ピストン(60)の全周からシリンダ室(55)へ排出され易くなる。
第5の発明は、第4の発明において、上記凹部(72,82)は、該凹部(72,82)の外側内周面(73,83)の全周が上記メタル部材(59)と離間する環状に形成されていることを特徴とする。
第5の発明では、凹部(72,82)の外側内周面(73,83)の全周がメタル部材(59)と離間し、メタル部材(59)の周囲に環状の凹部(72,82)が形成される。このため、微小隙間(S)、油溝(71,81)を経由して凹部(72,82)に油が流出すると、この油は凹部(72,82)内の全域に拡がることになる。この結果、凹部(72,82)内に流入した油は、ピストン(60)の全周からシリンダ室(55)へ排出され易くなる。
第6の発明は、第4の発明において、上記凹部(72,82)は、該凹部(72,82)の内部を第1空隙部(72a)と第2空隙部(72b)とに区画するように該凹部(72,82)の外側内周面(73,83)の2箇所が上記メタル部材(59)の外周面と接触するように構成され、上記ピストン(60)は、上記クランク軸(32)の回転に伴い、上記微小隙間(S)と上記第1空隙部(72a)とを上記油溝(71,81)を介して連通させる位置と、上記微小隙間(S)と上記第2空隙部(72b)とを上記油溝(71,81)を介して連通させる位置とに交互に変位するように構成されていることを特徴とする。
第6の発明では、凹部(72,82)の外側内周面(73,83)の2箇所がメタル部材(59)の外周面と接触することで、凹部(72,82)の内部が第1空隙部(72a)と第2空隙部(72b)とに区画される。クランク軸(32)の回転に伴いピストン(60)が揺動運動を行って変位すると、微小隙間(S)が油溝(71,81)を介して第1空隙部(72a)と連通する。この結果、微小隙間(S)の油は、油溝(71,81)、第1空隙部(72a)を経由してシリンダ室(55)へ排出される。その後、ピストン(60)が揺動運動を行って変位すると、微小隙間(S)が油溝(71,81)を介して第2空隙部(72b)と連通する。この結果、微小隙間(S)の油は、油溝(71,81)、第2空隙部(72b)を経由してシリンダ室(55)へ排出される。このような動作が交互に繰り返されることで、微小隙間(S)の油を連続的にシリンダ室(55)へ排出することができる。
第7の発明は、第1乃至第6のいずれか1つの発明において、上記メタル部材(59)は、軸方向外方端部に向かって該メタル部材(59)の厚みを小さくさせるテーパ面(59b,59c)を有していることを特徴とする。
第7の発明では、メタル部材(59)の軸方向外方端部にテーパ面(59b,59c)が形成され、メタル部材(59)の厚みが軸方向外方端部に向かって小さくなる。この結果、微小隙間(S)と凹部(72,82)との間に介在するメタル部材(59)の厚みが小さくなり、微小隙間(S)から凹部(72,82)までの間の油の流路抵抗が小さくなる。
第8の発明では、クランク軸(32)の硬度がメタル部材(59)の硬度より高くなるため、クランク軸(32)の摩耗を防止できる一方、メタル部材(59)が摩耗し易くなる。仮に、クランク軸(32)の角部(32c)がメタル部材(59)に接触すると、メタル部材(59)にV字状の摩耗が形成され、メタル部材(59)の信頼性が損なわれてしまう。これに対し、本発明では、メタル部材(59)の内周側のテーパ面(59b)の基端部(59d)がクランク軸(32)の角部(32c)よりも軸方向内方寄りに位置するため、角部(32c)がメタル部材(59)に摺接することを回避でき、角部(32c)によってメタル部材(59)が摩耗してしまうことを回避できる。
本発明によれば、ピストン(60)の内部に、該ピストン(60)よりも軸方向長さの大きいメタル部材(59)を固定し、クランク軸(32)と摺接させる構成としたので、メタル部材(59)に作用する面圧を低減でき、メタル部材(59)及びピストン(60)の摩耗を防止できる。この結果、この圧縮機の信頼性を向上できる。
また、ヘッド部材(52,53)には、クランク軸(32)の周囲の微小隙間(S)とピストン(60)の凹部(72,82)とを連通させる油溝(71,81)を形成したため、ピストン(60)の内部にメタル部材(59)を固定したとしても、微小隙間(S)の油を確実に凹部(72,82)へ送ることができる。この結果、微小隙間(S)の油が滞留して昇温することを回避でき、クランク軸(32)とメタル部材(59)との間での摺動抵抗の増大、焼き付きの発生を防止できる。
第2の発明によれば、ヘッド部材(52,53)に弾性軸受部(70,80)を形成したため、軸受(42,43)での駆動軸(30)の片当たりを回避でき、軸受(42,43)近傍での発熱を防止できる。この結果、微小隙間(S)の油の昇温を防止でき、摺動部での焼き付きをより確実に防止できる。
また、弾性軸受部(70,80)の周囲の弾性溝(71,81)が、微小隙間(S)の油を凹部(72,82)へ送るための油溝(71,81)を兼ねる構成としたため、加工工数や加工コストの低減を図ることができる。
第3の発明によれば、微小隙間(S)の油を凹部(72,82)へ連続的に排出でき、微小隙間(S)での油の昇温を一層確実に防止できる。
第4の発明によれば、ピストン(60)とヘッド部材(52,53)との間のシール長を全周に亘って均一化できるので、シリンダ室(55)への油の排出量を十分確保できる。また、シリンダ室(55)の全周に亘って油を排出でき、ピストン(60)とシリンダ室(55)の内周面との間の摺動部の潤滑を促すことができる。
第5の発明によれば、微小隙間(S)から油溝(71,81)を介して凹部(72,82)へ流出した油が、凹部(72,82)内の全域に拡がるため、シリンダ室(55)への油の排出量を十分確保できる。また、シリンダ室(55)の全周に亘って油を排出でき、ピストン(60)とシリンダ室(55)の内周面との間の摺動部の潤滑を促すことができる。
第6の発明によれば、微小隙間(S)の油を凹部(72,82)を介して第1空隙部(72a)へ送る動作と、微小隙間(S)の油を凹部(72,82)を介して第2空隙部(72b)へ送る動作とを交互に繰り返すことで、微小隙間(S)の油を連続的にシリンダ室(55)へ排出でき、摺動部の焼き付きを防止できる。
また、ピストン(60)の外側内周面の2箇所とメタル部材(59)とを接触させる構成とすることで、ピストン(60)とヘッド部材(52,53)との間のシール長が過剰に短くなってしまうことを回避できる。この結果、微小隙間(S)の油がシリンダ室(55)へ過剰に流出してしまうことを防止でき、微小隙間(S)や各摺動部へ供給される油が不足してしまうことを回避できる。また、シリンダ室(55)へ過剰に油が流出することに起因して圧縮機の動力の一部が油の昇圧に利用されてしまうことを回避でき、圧縮効率の低下を防止できる。
第7の発明によれば、メタル部材(59)の軸方向外方端部の厚みを小さくすることで、メタル部材(59)に起因する油の流路抵抗を低減でき、微小隙間(S)の油を凹部(72,82)へ直接的に流入させることが可能となる。
また、このようにピストン(60)の軸方向外方端部にテーパ面(59b,59c)を形成することで、メタル部材(59)をピストン(60)の内部に圧入し易くなり、ピストン(60)の内部にメタル部材(59)を容易に固定できる。
第8の発明によれば、クランク軸(32)の角部(32c)がピストン(60)の内周面に接触してしまうことを、ピストン(60)の内周側のテーパ面(59b)によって避けることができる。この結果、ピストン(60)の内周面の摩耗を防止できる。また、このようにすると、ピストン(60)の内周面の発熱も防止できるので、微小隙間(S)の油の昇温を一層効果的に防止できる。この結果、油の昇温に起因する摺動損失の増大や焼き付きの発生を更に確実に防止できる。
図1は、実施形態に係る圧縮機の縦断面図である。 図2は、実施形態に係る圧縮機構の要部を拡大した縦断面図である。 図3は、図2のX−X断面図である。 図4は、実施形態に係る圧縮機構のクランク軸、メタル部材、及びピストンの一部を拡大した縦断面図である。 図5は、ピストン、クランク軸、微小隙間、油溝、及び弾性溝の相対的な位置関係を示す図3相当図であり、図5(A)はピストンの回転角度が0°(360°)の状態を、図5(B)はピストンの回転角度が90°の状態を、図5(C)はピストンの回転角度が180°の状態を、図5(D)はピストンの回転角度が270°の状態をそれぞれ表している。 図6は、変形例に係る圧縮機の図3相当図である。 図7は、変形例に係る圧縮機の図5相当図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
〈圧縮機の全体構成〉
図1は、本実施形態に係る圧縮機(10)の縦断面図である。本実施形態に係る圧縮機(10)は、全密閉式の揺動ピストン式の圧縮機である。圧縮機(10)は、冷媒が充填された冷媒回路(図示省略)に接続されている。冷媒回路では、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。つまり、冷媒回路では、圧縮機(10)で圧縮された冷媒が、凝縮器で凝縮し、膨張弁で減圧された後、蒸発器で蒸発し、圧縮機(10)に吸入される。
圧縮機(10)は、ケーシング(11)と、ケーシング(11)の内部に収容される電動機(20)と、電動機(20)と連結する駆動軸(30)と、該駆動軸(30)によって駆動される圧縮機構(50)とを備えている。
〈ケーシング〉
ケーシング(11)は、縦長の円筒状の密閉容器で構成される。ケーシング(11)は、胴部(12)、下部鏡板(13)、及び上部鏡板(14)を有している。胴部(12)は、上下に延びる円筒状に形成され、軸方向の両端が開口している。下部鏡板(13)は、胴部(12)の下端に固定されている。上部鏡板(14)は、胴部(12)の上端に固定されている。
胴部(12)の下部には、吸入管(15)が貫通して固定されている。上部鏡板(14)には、吐出管(16)が貫通して固定されている。上部鏡板(14)には、電動機(20)へ電力を供給するためのターミナル(17)が取り付けられている。
ケーシング(11)の底部には、油貯留部(18)が形成されている。油貯留部(18)は、下部鏡板(13)及び胴部(12)の下部の内壁によって構成される。油貯留部(18)には、圧縮機構(50)や駆動軸(30)の摺動部を潤滑するための潤滑油(冷凍機油)が貯留される。
ケーシング(11)の内部は、圧縮機構(50)で圧縮された高圧冷媒で満たされる。つまり、圧縮機(10)は、ケーシング(11)の内圧が高圧冷媒の圧力と実質的に等しい、いわゆる高圧ドーム型に構成されている。
〈電動機〉
電動機(20)は、圧縮機構(50)の上方に配置されている。電動機(20)は、固定子(21)と回転子(22)とを有している。固定子(21)は、ケーシング(11)の胴部(12)の内周面に固定されている。回転子(22)は、固定子(21)の内部を上下方向に貫通している。回転子(22)の軸心内部には、駆動軸(30)が固定される。電動機(20)が通電されると、回転子(22)とともに駆動軸(30)が回転駆動される。
〈駆動軸〉
駆動軸(30)は、ケーシング(11)の胴部(12)の軸心(図1の一点鎖線C1)上に位置している。駆動軸(30)は、圧縮機構(50)の各軸受(41,42,43)(詳細は後述する)に回転可能に支持されている。
駆動軸(30)は、上側から下側に向かって順に、主軸(31)、クランク軸(32)、及び副軸(33)を有している。主軸(31)の上部は、電動機(20)の回転子(22)に固定される。クランク軸(32)は、主軸(31)の下端に連結している。副軸(33)は、クランク軸(32)の下端に連結している。主軸(31)と副軸(33)の軸心(図1のC1)は一致している。クランク軸(32)の軸心C2は、主軸(31)及び副軸(33)の軸心C1に対して所定量だけ偏心している。クランク軸(32)の外径は、主軸(31)及び副軸(33)の外径よりも大きい。
主軸(31)の上部は、電動機(20)の回転子(22)に固定される。主軸(31)の下部は、フロントヘッド(52)の主軸側貫通口(52c)の内部に位置している。主軸(31)の軸方向の中間部は、上部主軸受(41)に回転可能に支持されている。主軸(31)の下部は、下部主軸受(42)に回転可能に支持されている。副軸(33)の上部は、リアヘッド(53)の副軸側貫通口(53a)の内部に位置している。副軸(33)の軸方向の中間部は、副軸受(43)に回転可能に支持されている。
図2に示すように、駆動軸(30)は、クランク軸(32)の周囲に油を供給するための油供給機構(34)を備えている。油供給機構(34)は、副軸(33)の下端に取り付けられる油ポンプ(35)と、駆動軸(30)の内部を軸心に沿って延びる主流路(36)と、該主流路(36)から径方向外方へ分岐する3つの分岐流路(37,38,39)とを有している。
油ポンプ(35)は、油貯留部(18)に溜まった油を主流路(36)へ搬送するものである。油ポンプ(35)は、差圧式、遠心式、容積式等種々のポンプを採用することができる。主流路(36)は、流入端が油ポンプ(35)に接続し、油ポンプ(35)で搬送された潤滑油を上方へ導く。
3つの分岐流路(37,38,39)は、駆動軸(30)の下側から上側に向かって順に、下部分岐流路(37)、中間分岐流路(38)、及び上部分岐流路(39)で構成されている。下部分岐流路(37)は、副軸(33)の上端部の内部に形成されている。
下部分岐流路(37)の流入端は主流路(36)に接続し、下部分岐流路(37)の流出端は副軸受(43)に向かって開口している。
中間分岐流路(38)は、クランク軸(32)の内部に形成されている。下部分岐流路(37)の流入端は主流路(36)に接続し、下部分岐流路(37)の流出端はピストン(60)の内周面側(厳密には、詳細は後述する環状メタル(59)の内周面側)に向かって開口している。そして、中間分岐流路(38)の流出端は、クランク軸(32)と環状メタル(59)との間の形成される環状の微小隙間(S)に連通している(図2及び図4を参照)。
上部分岐流路(39)は、主軸(31)の下端部の内部に形成されている。上部分岐流路(39)の流入端は主流路(36)に接続し、上部分岐流路(39)の流出端は下部主軸受(42)に向かって開口している。
〈圧縮機構〉
図1及び図2に示すように、圧縮機構(50)は、電動機(20)の下方に配置されている。圧縮機構(50)は、非円形式の揺動ピストン式に構成されている。圧縮機構(50)は、シリンダ(51)と、フロントヘッド(52)と、リアヘッド(53)とを備えている。圧縮機構(50)では、シリンダ(51)の上端部(軸方向一端部)にフロントヘッド(52)が積層され、シリンダ(51)の下端部(軸方向他端部)にリアヘッド(53)が積層される。シリンダ(51)、フロントヘッド(52)、及びリアヘッド(53)は、締結部材(図示省略)を介して一体化されている。フロントヘッド(52)及びリアヘッド(53)は、ヘッド部材を構成している。
シリンダ(51)は、ケーシング(11)の胴部(12)の下部の内周面に固定されている。シリンダ(51)は、扁平な略環状のシリンダ本体(51a)と、シリンダ本体(51a)の外周面に取り付けられる接続部材(51b)とを有している。
シリンダ本体(51a)の中央部には、円柱状のシリンダ室(55)が形成されている。図1及び図3に示すように、シリンダ本体(51a)には、径方向に延びる吸入ポート(56)が形成されている。接続部材(51b)には、吸入管(15)の流出部が接続される接続ポート(51c)が形成されている。吸入管(15)は、接続ポート(51c)及び吸入ポート(56)を介してシリンダ室(55)と連通している。
フロントヘッド(52)では、環状プレート部(52a)及び筒状突出部(52b)の中央部に、主軸(31)が貫通する主軸側貫通口(52c)が形成されている。主軸側貫通口(52c)の上端部の内周面には、上部主軸受(41)が形成される。主軸側貫通口(52c)の下部には、下部主軸受(42)が形成される。また、フロントヘッド(52)には、ピストン(60)に対向する対向面(第1対向面(52d))に、詳細は後述する上部弾性軸受部(70)が設けられている。
リアヘッド(53)は、シリンダ(51)の内部空間を覆うようにシリンダ(51)の下方に配置されている。リアヘッド(53)の径方向中央部には、副軸(33)が貫通する副軸側貫通口(53a)が形成されている。副軸側貫通口(53a)の内周面には、副軸受(43)が形成される。また、リアヘッド(53)には、ピストン(60)に対向する対向面(第2対向面(53b))に、詳細は後述する下部弾性軸受部(80)が設けられている。
図3に示すように、本実施形態の圧縮機構(50)は、いわゆる非円形式の揺動ピストン式の圧縮機構を構成している。具体的に、圧縮機構(50)は、環状メタル(59)、ピストン(60)、ブッシュ(61)、及びブレード(62)を備えている。ピストン(60)は、シリンダ室(55)に収容されている。
環状メタル(59)は、ピストン(60)の内部に固定される円筒状のメタル部材で構成されている。環状メタル(59)は、その内周面がクランク軸(32)の外周面と摺接するように、クランク軸(32)に外嵌している。環状メタル(59)の詳細は後述する。
ピストン(60)は、その内部に環状メタル(59)を介してクランク軸(32)が内嵌している。ピストン(60)の軸方向端面、環状メタル(59)の軸方向端面、及びクランク軸(32)の軸方向端面は、それぞれ同一平面上に形成される。つまり、ピストン(60)、環状メタル(59)、及びクランク軸(32)の軸方向の最大長さ(高さ)は、概ね等しくなっている。
本実施形態のピストン(60)は、その外周面が非円形状に形成されている。具体的に、ピストン(60)の外周面は、ブレード(62)の長手方向の中心線を通過する仮想鉛直平面(図3のP)を挟んだ両側の部位が径方向外方へ膨出するような略楕円形状ないし略卵形状に形成されている。つまり、本実施形態のピストン(60)の外周面は、仮想鉛直平面Pを挟んだ両側(回転角度90°及び270°側)が径方向外方に膨出した非円形状に形成されている。また、ピストン(60)の軸方向の上端及び下端には、詳細は後述する上側凹部(72)と下側凹部(82)とがそれぞれ1つずつ対応して形成されている。
一方、シリンダ(51)のシリンダ室(55)の内周面形状は、ピストン(60)の外周面形状に対応するような非円形状に形成されている。即ち、シリンダ室(55)の内周面形状は、ブレード(62)を通過する仮想鉛直平面Pを挟んだ両側の部位が径方向外方に膨出するような非円形状に形成されている。つまり、シリンダ室(55)の内周面形状は、揺動運動を行うピストン(60)の外周面の包絡線に基づいた非円形状に形成されている。
シリンダ(51)には、シリンダ室(55)と隣接する位置に略円形のブッシュ溝(63)が形成される。このブッシュ溝(63)には、略半円形の一対のブッシュ(61,61)が嵌め込まれている。一対のブッシュ(61,61)は、各々の平坦な面が互いに対向するようにブッシュ溝(63)に配置される。一対のブッシュ(61,61)は、ブッシュ溝(63)の軸心を中心として揺動運動するように構成されている。
ブレード(62)は、径方向外方に延びる直方体状ないし板状に形成される。ブレード(62)の基端は、ピストン(60)の外周面に連結している。ブレード(62)は、一対のブッシュ(61,61)の間に形成されるブレード溝(64)に進退可能に収容される。
ブレード(62)は、シリンダ室(55)を低圧室(55a)と高圧室(55b)とに区画する仕切部を構成している。低圧室(55a)は、図3におけるブレード(62)の右側の空間であり、吸入ポート(56)と連通している。高圧室(55b)は、図3におけるブレード(62)の左側の空間であり、吐出ポート(57)と連通している。
〈凹部、環状メタル、及び弾性軸受部の詳細な構成〉
本実施形態の圧縮機構(50)には、上述したように、凹部(72,82)、環状メタル(59)、及び弾性軸受部(70,80)が設けられている。これらの構成について、図2〜図4を参照しながら詳細に説明する。
〔上側凹部〕
図2〜図4に示すように、ピストン(60)の軸方向上端には、上側凹部(72)が形成されている。上側凹部(72)は、ピストン(60)の内周面から該ピストン(60)の内周面と外周面との間の所定位置まで拡がっている。上側凹部(72)は、クランク軸(32)及び環状メタル(59)の周囲を囲んでいる。
図3に示すように、上側凹部(72)の外側内周面(73)は、非円形状に形成されている。具体的に、上側凹部(72)の外側内周面(73)は、ブレード(62)の長手方向の中心線を通過する仮想鉛直平面(図3のP)を挟んだ両側の部位が径方向外方へ膨出するような略楕円形状ないし略卵形状に形成されている。上側凹部(72)の外側内周面(73)は、ピストン(60)の外周面と中心が概ね一致し、且つピストン(60)の外周面と略相似形となっている。これにより、圧縮機構(50)では、ピストン(60)の上端面のうち上側凹部(72)が形成されていない部分(上側シール部(60a))の径方向の幅が全周に亘って略均一となっている。
図3に示すように、上側凹部(72)の外側内周面(73)は、その全周が環状メタル(59)から離間している。つまり、上側凹部(72)の外側内周面(73)の内部には、環状メタル(59)を囲んだ1つの非円形筒状の空間が形成されている。
図4に示すように、上側凹部(72)の底面(74)は、ピストン(60)の上端面(上側シール部(60a))よりもやや軸方向内方(下側)寄りに位置している。つまり、上側凹部(72)は、軸方向に扁平な形状に形成される。これにより、ピストン(60)は、その内周面の軸方向長さ(高さ)が、クランク軸(32)及び環状メタル(59)の軸方向の最大長さ(高さ)よりも小さく構成される。
〔下側凹部〕
図2、図3に示すように、ピストン(60)の軸方向下端には、下側凹部(82)が形成されている。下側凹部(82)は、ピストン(60)の内周面から該ピストン(60)の内周面と外周面との間の所定位置まで拡がっている。下側凹部(82)は、クランク軸(32)及び環状メタル(59)の周囲を囲んでいる。
下側凹部(82)の外側内周面(83)の形状や、該外側内周面(83)と、ピストン(60)の外周面、環状メタル(59)、及びクランク軸(32)との間の相対的な位置関係は、上側凹部(72)と同様である。そして、圧縮機構(50)では、ピストン(60)の下端面のうち下側凹部(82)が形成されていない部分(下側シール部(60b))の径方向の幅が全周に亘って略均一となっている(図示省略)。
図4に示すように、下側凹部(82)の底面(84)は、ピストン(60)の下端面(下側シール部(60b))よりもやや軸方向内方(上側)寄りに位置している。つまり、下側凹部(82)は、軸方向に扁平な形状に形成される。これにより、ピストン(60)は、その内周面の軸方向長さ(高さ)が、クランク軸(32)及び環状メタル(59)の軸方向の最大長さ(高さ)よりも小さく構成される。
〔環状メタル〕
図4に示すように、環状メタル(59)は、ピストン(60)の内周面に圧入されて固定される。環状メタル(59)の内部には、クランク軸(32)が摺接するように内嵌される。これにより、環状メタル(59)とクランク軸(32)との間には、微小隙間(S)が形成される。なお、図4では、この微小隙間(S)の幅を誇張している。
クランク軸(32)は、その硬度が環状メタル(59)の硬度より高く構成されている。環状メタル(59)は、その硬度がピストン(60)の硬度より高く構成されている。
環状メタル(59)は、その軸方向の各端面(59a)(上端面及び下端面)が、ピストン(60)及びクランク軸(32)の軸方向の各端面とそれぞれ同一平面上に位置している。環状メタル(59)は、ピストン(60)の内周面よりも軸方向の長さ(高さ)が大きく構成される。
環状メタル(59)の軸方向の両端部には、それぞれ内側テーパ面(59b)と外側テーパ面(59c)とが形成されている。これらのテーパ面(59b,59c)は、軸方向外方に向かうにつれて環状メタル(59)の厚みを徐々に小さくするように構成される。各内側テーパ面(59b)は、環状メタル(59)の内周側に形成され、各外側テーパ面(59c)は、環状メタル(59)の外周側に形成される。内側テーパ面(59b)の傾斜角は、外側テーパ面(59c)の傾斜角よりも大きい。
各内側テーパ面(59b)の各基端部(59d)は、クランク軸(32)の上部と下部とにそれぞれ形成される各角部(32c)よりも軸方向内方寄りに位置している。具体的に、クランク軸(32)の上端と下端とには、クランク軸(32)の本体(32a)からテーパ状に縮径した面取部(32b)がそれぞれ形成される。そして、クランク軸(32)では、本体(32a)と各面取部(32b)との境界に、全周に亘って角張った角部(32c)が形成される。圧縮機構(50)では、この角部(32c)よりも環状メタル(59)の各内側テーパ面(59b)の各基端部(59d)が、径方向内方に位置している。
環状メタル(59)では、2つの外側テーパ面(59c)の間に軸方向に沿った円形状の最外周面(59e)が形成される。環状メタル(59)の最外周面(59e)の軸方向長さは、ピストン(60)の内周面の軸方向長さと等しい。環状メタル(59)の最外周面(59e)は、ピストン(60)の内周面と同じ高さ位置にあり、ピストン(60)の内周面に圧入される。
〔上側弾性軸受部〕
図2及び図4に示すように、フロントヘッド(52)の環状プレート部(52a)のうちピストン(60)に対向する対向面(第1対向面(52d))には、上部弾性軸受部(70)が設けられている。上部弾性軸受部(70)は、主軸(31)の下端部の周囲に形成されている。上部弾性軸受部(70)は、円筒状に形成され、クランク軸(32)の上端面に向かって突出している。上部弾性軸受部(70)の内周面及び外周面の軸心は、主軸(31)の軸心C1と同軸となっている。上部弾性軸受部(70)の内周面には、上述した下部主軸受(42)が形成され、主軸(31)の下端部が摺接する。
上部弾性軸受部(70)の外周側には、上部弾性溝(71)が形成されている。つまり、上部弾性軸受部(70)は、外周側が上部弾性溝(71)によって囲まれている。上部弾性溝(71)は、下側が開放された真円形の環状の溝で構成される。上部弾性溝(71)の溝深さは、全域に亘って等しい。
上部弾性溝(71)は、微小隙間(S)と上側凹部(72)とを連通可能な上部油溝を構成している。本実施形態の上部弾性溝(71)は、クランク軸(32)が一回転する間に亘って常に微小隙間(S)及び上側凹部(72)の双方と軸方向に重なるように構成されている。つまり、上部弾性溝(71)は、クランク軸(32)が回転する間、常に微小隙間(S)と上側凹部(72)とを連通させるように構成される。
〔下側弾性軸受部〕
図2に示すように、リアヘッド(53)のうちピストン(60)に対向する対向面(第2対向面(53b))には、下部弾性軸受部(80)が設けられている。下部弾性軸受部(80)は、副軸(33)の上端部の周囲に形成されている。下部弾性軸受部(80)は、円筒状に形成され、クランク軸(32)の下端面に向かって突出している。下部弾性軸受部(80)の内周面及び外周面の軸心は、主軸(31)の軸心C1と同軸となっている。下部弾性軸受部(80)の内周面には、上述した副軸受(43)が形成され、副軸(33)の上端部が摺接する。
下部弾性軸受部(80)の外周側には、下部弾性溝(81)が形成されている。つまり、下部弾性軸受部(80)は、外周側が下部弾性溝(81)によって囲まれている。下部弾性溝(81)は、上側が開放された真円形の環状の溝で構成される。下部弾性溝(81)の溝深さは、全域に亘って等しい。
下部弾性溝(81)は、微小隙間(S)と下側凹部(82)とを連通可能な下部油溝を構成している。本実施形態の下部弾性溝(81)は、クランク軸(32)が一回転する間に亘って常に微小隙間(S)及び下側凹部(82)の双方と軸方向に重なるように構成されている。つまり、下部弾性溝(81)は、クランク軸(32)が回転する間、常に微小隙間(S)と下側凹部(82)とを連通させるように構成される。
−圧縮機の運転動作−
圧縮機(10)の基本的な運転動作について図1〜図3、図5を参照しながら説明する。ターミナル(17)から電動機(20)へ電力が供給されると、電動機(20)が作動し、駆動軸(30)が回転駆動される。すると、駆動軸(30)のクランク軸(32)が偏心回転し、これに伴いピストン(60)が揺動運動を行う。
圧縮機構(50)では、ピストン(60)の外周面が、シリンダ室(55)の内周面と油膜を介して線接触し、シール部を形成する。ピストン(60)がシリンダ室(55)の内部で揺動運動すると、ピストン(60)とシリンダ(51)との間のシール部が、シリンダ室(55)の内周面に沿って変位し、低圧室(55a)と高圧室(55b)の容積が変化する。この際、ブレード(62)は、ピストン(60)の揺動運動に伴いブレード溝(64)の内部を進退し、且つブッシュ溝(63)の軸心を中心として揺動する。
図5(A)→図5(B)→図5(C)→図5(D)→図5(A)の順にピストン(60)が揺動運動を行い、低圧室(55a)の容積が徐々に大きくなると、吸入管(15)を流れる流体(冷媒)が吸入ポート(56)から低圧室(55a)へ吸入されていく。次いで、この低圧室(55a)が吸入ポート(56)から遮断されると(例えば図5(B)の状態)、遮断された空間が高圧室(55b)を構成する。次いで、図5(B)→図5(C)→図5(D)の順にピストン(60)が更に揺動運動を行い、高圧室(55b)の容積が徐々に小さくなると、高圧室(55b)の内圧が上昇していく。高圧室(55b)の内圧が所定の圧力を超えると、吐出ポート(57)のリード弁が開放され、高圧室(55b)の冷媒が吐出ポート(57)を通じて、圧縮機構(50)の外部へ流出する。この高圧冷媒は、ケーシング(11)の内部空間を上方へ流れ、電動機(20)のコアカット(図示省略)等を通過する。電動機(20)の上方に流出した高圧冷媒は、吐出管(16)より冷媒回路へ送られる。
〈潤滑油の供給動作〉
圧縮機(10)の運転時に駆動軸(30)が回転駆動されると、油貯留部(18)に溜まった油が主流路(36)に搬送される(図2を参照)。この油は、駆動軸(30)の主流路(36)を上方へ流れていく。
主流路(36)の油は、各分岐流路(37,38,39)に分流する。具体的に、下部分岐流路(37)に分流した油は、副軸受(43)の摺動部に供給され、該摺動部の潤滑に利用される。上部分岐流路(39)に分流した油は、下部主軸受(42)の摺動部に供給され、該摺動部の潤滑に利用される。
中間分岐流路(38)に分流した油は、環状メタル(59)の内周面とクランク軸(32)の外周面との間の摺動部(微小隙間(S))に供給され、該摺動部の潤滑に利用される。
−凹部、環状メタル、弾性軸受部、及び弾性溝の作用及び効果−
次いで、上述した凹部(72,82)、環状メタル(59)、弾性軸受部(70,80)、及び弾性溝(71,81)の作用効果について、図2〜図5を参照しながら詳細に説明する。
ピストン(60)の上端面には、上側凹部(72)が形成される。これにより、ピストン(60)とフロントヘッド(52)との間のシール長が短くなり、微小隙間(S)からシリンダ室(55)までの間の油の流路抵抗が小さくなる。同様に、ピストン(60)の下端面には、下側凹部(82)が形成される。これにより、ピストン(60)とリアヘッド(53)との間のシール長が短くなり、微小隙間(S)からシリンダ室(55)までの間の流路抵抗が小さくなる。このため、本実施形態では、微小隙間(S)からシリンダ室(55)までの油の排出量が増大し、微小隙間(S)での油の滞留を防止できる。この結果、この油が昇温し、その粘性が低下してしまうことを防止でき、クランク軸(32)の周囲の摺動部での摺動損失の増大、焼き付きを抑制できる。
一方、このようにピストン(60)の上端面や下端面に凹部(72,82)を形成すると、図4に示すように、ピストン(60)の内周面の軸方向長さが小さくなり、ピストン(60)の内周面の面積も小さくなる。この結果、ピストン(60)に作用する面圧が増大し、ピストン(60)の摩耗の要因となる。そこで、本実施形態では、ピストン(60)の内部に、該ピストン(60)よりも軸方向長さの大きい環状メタル(59)を固定している。これにより、環状メタル(59)に作用する面圧を低減することができ、ピストン(60)及び環状メタル(59)の摩耗を防止できる。
ところが、図4に示すように、ピストン(60)の内部に環状メタル(59)を固定すると、微小隙間(S)と各凹部(72,82)とが環状メタル(59)によって遮断されてしまう。この結果、微小隙間(S)から各凹部(72,82)までの油の流路抵抗が増大してしまい、微小隙間(S)の油の排出量が低下してしまう。そこで、本実施形態では、微小隙間(S)の油を各弾性溝(71,81)を介して各凹部(72,82)へそれぞれ流入させるようにしている。この点について、図5を参照しながら説明する。なお、上部弾性溝(71)及び下部弾性溝(81)の作用効果は同様であるため、ここでは、上部弾性溝(71)の作用効果のみを代表して説明する。
図5(A)〜図5(D)に示すように、クランク軸(32)の回転中には、微小隙間(S)が常に上部弾性溝(71)と軸方向に重なる。図5(A)〜(D)の各状態では、微小隙間(S)と上部弾性溝(71)とが概ね2箇所において軸方向に重なり、互いに連通することになる。この結果、微小隙間(S)の油は、上部弾性溝(71)の全域に流入する。
図5(A)〜図5(D)に示すように、クランク軸(32)の回転中には、上部弾性溝(71)の一部が常に上側凹部(72)と軸方向に重なり、互いに連通することになる。この結果、上部弾性溝(71)の油は、上側凹部(72)に流入する。上側凹部(72)の外側内周面(73)は、環状メタル(59)と離間する環状に形成されるため、上側凹部(72)に流入した油は、その全域に亘って拡がることになる。
上側凹部(72)の油は、ピストン(60)の上側シール部(60a)とフロントヘッド(52)との間の隙間を通じて、シリンダ室(55)へ流出する。ピストン(60)の上側シール部(60a)は、その全周に亘って概ね厚さが均一となっている。このため、上側凹部(72)の油は、シリンダ室(55)の全周に亘って排出され易くなる。
以上のように、本実施形態では、微小隙間(S)の油を弾性溝(71,81)を介して連続的に凹部(72,82)へ送ることができるため、微小隙間(S)での油の滞留、昇温を確実に回避でき、クランク軸(32)の周囲の摺動部の摺動損失の増大、焼き付きを確実に防止できる。
また、本実施形態では、凹部(72,82)の油をシリンダ室(55)の全域に排出できるので、ピストン(60)とシリンダ(51)との摺動部の潤滑を促すことができる。
また、本実施形態では、各ヘッド部材(52,53)に弾性軸受部(70,80)を設けている。このため、駆動軸(30)が遠心力によって撓み変形したとしても、各弾性軸受部(70,80)は駆動軸(30)に沿うように弾性変形する。この結果、各軸受(42,43)での駆動軸(30)の片当たりを回避でき、各軸受(42,43)での発熱を防止できる。この結果、このような発熱に起因して微小隙間(S)の油が昇温してしまうことを回避でき、摺動部の焼き付きを一層確実に防止できる。
また、各弾性軸受部(70,80)の周囲に形成される弾性溝(71,81)は、上述したように、微小隙間(S)の油を凹部(72,82)へ送るための油溝を兼ねている。従って、複雑な加工を施さずとも、上述した作用効果を奏することができる。
更に、本実施形態の環状メタル(59)では、以下の作用効果を奏することができる。この点について図4を参照しながら説明する。
環状メタル(59)は、軸方向の両端にそれぞれテーパ面(59b,59c)が形成され、各端部の厚みが軸方向外方に向かって徐々に小さくなっている。この結果、環状メタル(59)の軸方向の端面(59a)の厚みが小さくなり、微小隙間(S)から各凹部(72,82)までの間の油の流路抵抗を低減できる。この結果、微小隙間(S)から各凹部(72,82)へ直に油を流入させることが可能となり、微小隙間(S)の油の排出量を更に増大できる。
加えて、環状メタル(59)にこのようなテーパ面(59b,59c)を形成すると、ピストン(60)の内部に環状メタル(59)を挿入し易くなる。この結果、ピストン(60)の内部への環状メタル(59)の圧入加工の容易化を図ることができる。
更に、環状メタル(59)の内側テーパ面(59b)の基端部(59d)は、クランク軸(32)の角部(32c)よりも軸方向内方に位置している。このため、クランク軸(32)の角部(32c)が環状メタル(59)に接触してしまうのを内側テーパ面(59b)により回避できる。従って、クランク軸(32)の角部(32c)が環状メタル(59)に接触することに起因して、環状メタル(59)の内周面にV字状の摩耗が生じることを防止できる。また、このような摩耗に起因する発熱を防止でき、微小隙間(S)の油が昇温してしまうことも防止できる。従って、本実施形態では、クランク軸(32)の周囲の摺動部での摺動損失の増大、焼き付きの発生をより効果的に防止することができる。
〈実施形態の変形例〉
図6に示す変形例は、ピストン(60)に形成される各凹部(72,82)の形状が上記実施形態と異なるものである。具体的に、変形例では、各凹部(72,82)の外側内周面(73,83)が、上記実施形態よりも小さく構成され、外側内周面(73,83)の2箇所(図6における上側の端部と下側の端部)が環状メタル(59)と接触している。これにより、上側凹部(72)の内部は、吸入ポート(56)寄りの第1空隙部(72a)と、吐出ポート(57)寄りの第2空隙部(72b)とに区画される。同様にして、下側凹部(82)の内部も第1空隙部と第2空隙部とに区画される(図示省略)。
変形例のピストン(60)は、クランク軸(32)の回転に伴い、微小隙間(S)と第1空隙部(72a)とを弾性溝(71)を介して連通させる位置と、微小隙間(S)と第2空隙部(72b)とを弾性溝(71)を介して連通させる位置とに交互に変位するように構成される。この点について、図7を参照しながら詳細に説明する。なお、上部弾性溝(71)と下部弾性溝(81)による油の排出動作は、基本的に同様であるため、ここでは、上部弾性溝(71)の動作のみを代表して説明する。
例えばピストン(60)が図7(A)の位置にある場合、微小隙間(S)と上部弾性溝(71)とが2箇所で連通する。この結果、微小隙間(S)の油が上部弾性溝(71)の全域に流入する。また、ピストン(60)が図7(A)の位置にある場合、上部弾性溝(71)が第1空隙部(72a)と第2空隙部(72b)との双方と連通する。従って、上部弾性溝(71)の油は、各空隙部(72a,72b)へ流入する。各空隙部(72a,72b)に流入した油は、ピストン(60)とフロントヘッド(52)の間の隙間を通じてシリンダ室(55)へ排出される。
次いで、ピストン(60)が図7(B)の位置にある場合、微小隙間(S)と上部弾性溝(71)とが2箇所で連通する。この結果、微小隙間(S)の油が上部弾性溝(71)の全域に流入する。また、ピストン(60)が図7(B)の位置にある場合、上部弾性溝(71)が第2空隙部(72b)と連通し、第1空隙部(72a)と遮断される。従って、上部弾性溝(71)の油は、第2空隙部(72b)へ流入する。第2空隙部(72b)に流入した油は、ピストン(60)とフロントヘッド(52)の間の隙間を通じてシリンダ室(55)へ排出される。
次いで、ピストン(60)が図7(C)の位置にある場合、微小隙間(S)と上部弾性溝(71)とが2箇所で連通する。この結果、微小隙間(S)の油が上部弾性溝(71)の全域に流入する。また、ピストン(60)が図7(C)の位置にある場合、上部弾性溝(71)が第1空隙部(72a)と第2空隙部(72b)との双方と連通する。従って、上部弾性溝(71)の油は、各空隙部(72a,72b)へ流入する。各空隙部(72a,72b)に流入した油は、ピストン(60)とフロントヘッド(52)の間の隙間を通じてシリンダ室(55)へ排出される。
次いで、ピストン(60)が図7(D)の位置にある場合、微小隙間(S)と上部弾性溝(71)とが2箇所で連通する。この結果、微小隙間(S)の油が上部弾性溝(71)の全域に流入する。また、ピストン(60)が図7(D)の位置にある場合、上部弾性溝(71)が第1空隙部(72a)と連通し、第2空隙部(72b)と遮断される。従って、上部弾性溝(71)の油は、第1空隙部(72a)へ流入する。第1空隙部(72a)に流入した油は、ピストン(60)とフロントヘッド(52)の間の隙間を通じてシリンダ室(55)へ排出される。
以上のように、この変形例では、ピストン(60)が図7(A)、(B)、(C)、(D)の順に揺動運動を行うことで、弾性溝(71,81)の油をシリンダ室(55)の全域に亘って排出することができる。この結果、微小隙間(S)での油の滞留及び昇温を防止でき、クランク軸(32)の周囲の摺動部の摺動損失の増大、焼き付きの発生を確実に防止できる。また、シリンダ室(55)の全域に油を排出することで、ピストン(60)とシリンダ(51)との間の摺動部の潤滑を促すことができる。
加えて、この変形例では、上記実施形態と比較してピストン(60)のシール部(60a,60b)の厚みが大きくなっている。各凹部(72,82)の外側内周面(73,83)が環状メタル(59)と接触するように構成されているからである。このため、変形例では、ピストン(60)のシール部(60a,60b)が過剰に短くなることを防止でき、潤滑油がシリンダ室(55)へ過剰に排出されてしまうことを防止できる。この結果、油貯留部(18)の油が不足して各軸受(42,43)等の潤滑が損なわれてしまうことを防止できる。また、シリンダ室(55)に過剰の油が排出されることに起因して、冷媒の圧縮効率が低下してしまうことも防止できる。
この変形例におけるそれ以外の作用及び効果は、上記実施形態と同様である。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態の弾性溝(71,81)の外側内周面(73,83)の形状は、図3や図5に示すように真円形状に形成されている。しかしながら、この弾性溝(71,81)を非円形状に形成してもよい。また、上記実施形態では、弾性溝(71,81)が、微小隙間(S)と凹部(72,82)とを連通させるための油溝を兼用している。しかしながら、例えば上記実施形態の弾性軸受部(70,80)を省略した構成とし、ヘッド部材(52,53)に微小隙間(S)と凹部(72,82)とを連通可能な専用の油溝を形成してもよい。この構成においても、環状メタル(59)を用いつつ、微小隙間(S)の油の排出量を十分に確保でき、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
以上説明したように、本発明は、非円形状のピストンが揺動運動を行う揺動ピストン式圧縮機に関し、特にクランク軸の周囲の摺動部の焼き付きの対策について有用である。
10 圧縮機(揺動ピストン式圧縮機)
20 電動機
30 駆動軸
32 クランク軸
32c 角部
34 油供給機構
42 下部軸受(軸受)
43 副軸受(軸受)
51 シリンダ
42 下部主軸受(軸受)
43 副軸受(軸受)
50 圧縮機構
51 シリンダ
52 フロントヘッド(ヘッド部材)
52d 第1対向面(対向面)
53 リアヘッド(ヘッド部材)
53b 第2対向面(対向面)
55 シリンダ室
59 環状メタル(メタル部材)
59b 内側テーパ面(テーパ面)
59c 外側テーパ面(テーパ面)
60 ピストン
62 ブレード
70 上部弾性軸受部
71 上部弾性溝(油溝)
72 上側凹部(凹部)
72a 第1空隙部
72b 第2空隙部
73 外側内周面
80 下部弾性軸受部
81 下部弾性溝(油溝)
82 下側凹部(凹部)
83 外側内周面

Claims (8)

  1. 電動機(20)と、
    クランク軸(32)を有し、上記電動機(20)に回転駆動される駆動軸(30)と、
    上記クランク軸(32)が内部に挿通され、上記クランク軸(32)の回転に伴い揺動運動を行うとともに、外周面が非円形状に形成された環状のピストン(60)と、
    上記ピストン(60)の外周面の包絡線に基づいた内周面形状を有するシリンダ室(55)が形成されたシリンダ(51)と、
    上記ピストン(60)と連結し上記シリンダ室(55)を低圧室(55a)と高圧室(55b)とに区画するブレード(62)と、
    上記シリンダ(51)の軸方向端部に積層され、上記駆動軸(30)を回転可能に支持する軸受(42,43)を有するヘッド部材(52,53)と
    を備えた揺動ピストン式圧縮機であって、
    上記ピストン(60)の軸方向端面には、該ピストン(60)の内周面から、該ピストン(60)の内周面と外周面との間の所定位置まで拡がる凹部(72,82)が形成され、
    上記ピストン(60)の内周面よりも軸方向長さが大きい環状に形成され、上記ピストン(60)の内部に固定されるとともに、上記クランク軸(32)の外周面が摺接するように該クランク軸(32)が内嵌されるメタル部材(59)を備え、
    上記駆動軸(30)は、上記クランク軸(32)と上記メタル部材(59)との間の微小隙間(S)に潤滑油を供給する油供給機構(34)を有し、
    上記ヘッド部材(52,53)における上記ピストン(60)の対向面(52d,53b)には、上記微小隙間(S)と上記凹部(72,82)とを連通可能な油溝(71,81)が形成されている
    ことを特徴とする揺動ピストン式圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記ヘッド部材(52,53)の上記対向面(52d,53b)には、内周側に上記軸受(42,43)を構成する円筒状の弾性軸受部(70,80)が設けられ、
    上記油溝(71,81)は、上記弾性軸受部(70,80)の周囲に形成される弾性溝(71,81)で構成されている
    ことを特徴とする揺動ピストン式圧縮機。
  3. 請求項1又は2において、
    上記油溝(71,81)は、上記クランク軸(32)が一回転する間に亘って、常に上記微小隙間(S)及び上記凹部(72,82)の双方と軸方向に重なるように構成されている
    ことを特徴とする揺動ピストン式圧縮機。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
    上記ピストン(60)の外周面形状は、上記ブレード(62)を挟んだ両側が径方向外方へ膨出するような非円形状に形成され、
    上記凹部(72,82)の外側内周面(73,83)の形状は、上記ブレード(62)を挟んだ両側が径方向外方へ膨出するような非円形状に形成されている
    ことを特徴とする揺動ピストン式圧縮機。
  5. 請求項4において、
    上記凹部(72,82)は、該凹部(72,82)の外側内周面(73,83)の全周が上記メタル部材(59)と離間する環状に形成されている
    ことを特徴とする揺動ピストン式圧縮機。
  6. 請求項4において、
    上記凹部(72,82)は、該凹部(72,82)の内部を第1空隙部(72a)と第2空隙部(72b)とに区画するように該凹部(72,82)の外側内周面(73,83)の2箇所が上記メタル部材(59)の外周面と接触するように構成され、
    上記ピストン(60)は、上記クランク軸(32)の回転に伴い、上記微小隙間(S)と上記第1空隙部(72a)とを上記油溝(71,81)を介して連通させる位置と、上記微小隙間(S)と上記第2空隙部(72b)とを上記油溝(71,81)を介して連通させる位置とに交互に変位するように構成されている
    ことを特徴とする揺動ピストン式圧縮機。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1つにおいて、
    上記メタル部材(59)は、軸方向外方端部に向かって該メタル部材(59)の厚みを小さくさせるテーパ面(59b,59c)を有している
    ことを特徴とする揺動ピストン式圧縮機。
  8. 請求項7において、
    上記クランク軸(32)は、該クランク軸(32)の硬度が上記メタル部材(59)の硬度より高く構成され、
    上記メタル部材(59)は、少なくとも内周側に上記テーパ面(59b)を有し、
    上記内周側のテーパ面(59b)の基端部(59d)が、上記クランク軸(32)の角部(32c)よりも軸方向内方寄りに位置している
    ことを特徴とする揺動ピストン式圧縮機。
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