JP2016017477A - 圧縮機 - Google Patents

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Ryuzo Toshima
隆造 外島
和貴 堀
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和貴 堀
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Takashi Shimizu
孝志 清水
孝一 田中
Koichi Tanaka
孝一 田中
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Abstract

【課題】ケーシングに吸入管を容易且つ確実に接続でき、しかも圧縮トルクの急上昇に起因する振動の低減を図ることのできる圧縮機を提供する。
【解決手段】圧縮機(10)は、ケーシング(11)の胴部(12)の中心軸に向かってケーシング(11)を径方向に貫通し、ケーシング(11)に固定される吸入管(15)を備える。シリンダ(51,51a,51b)には、吸入管(15)と連通し流出端がシリンダ室(55)に開口するとともに、吸入管(15)の軸心に対し仕切部(62)側に曲がった軸心を有する吸入ポート(72,72a,72b)が形成される。
【選択図】図3

Description

本発明は、流体を圧縮する圧縮機構を備えた圧縮機に関し、特に圧縮トルクの急上昇に起因する振動対策に係る。
従来より、流体を圧縮する圧縮機構を備えた圧縮機が知られている。例えば特許文献1に記載の圧縮機は、円筒形の胴部を有するケーシングと、該ケーシング内に固定される電動機と、電動機に駆動されて揺動運動を行うピストン、及び該ピストンを収容するシリンダとを有する揺動ピストン式の圧縮機構とを備えている。特許文献1の圧縮機構では、ピストンの外周面が非円形状に形成され、シリンダ内のシリンダ室の内周面が、このピストンの外周面の包絡線に基づいて定められている。ピストンの外周面には、シリンダ室を高圧室と低圧室とに区画するブレード(仕切部)が連結されている。
この圧縮機では、電動機によって駆動軸が回転駆動されると、シリンダ室内でピストンが揺動運動を行う。これにより、ピストンは、シリンダ室の内周面と線接触(シールポイント)を形成しながらシリンダ室内を回転(旋回)する。シリンダには、シリンダ室と連通する吸入ポートが形成され、この吸入ポートに吸入管が接続されている。ピストンの回転に伴い低圧室の容積が徐々に大きくなると、流体が吸入ポートより低圧室に吸入されていく。この状態から更にピストンが回転し、シールポイントが吸入ポートを通過すると、これまで低圧室であった空間が吸入ポートと遮断され、流体を圧縮するための高圧室となる。この状態から更にピストンが回転すると、高圧室の容積が徐々に小さくなり、高圧室の流体が圧縮される。このようにして、高圧室の流体の圧力が所定値を越えると、吐出弁が開放され、高圧まで圧縮された流体が、圧縮機構の外部へ吐出される。
特開2011−241804号公報
ところで、上述のような圧縮機では、吸入管をケーシングの胴部に貫通させ、この吸入管を吸入ポートに接続する構造となっている。ここで、吸入管は、ケーシングの胴部の中心軸に向かって該ケーシングを径方向に貫通させるのが好ましい。ケーシングの胴部の外周面と中心軸を結ぶ径方向線分に対して、吸入管を傾けてケーシングに差し込むと、ケーシングと吸入管との接合(例えばろう付け等)が困難となり、加工コストの増大や、接続部の破損(例えばろう付け割れ)等が生じやすいからである。
一方、このような課題を解消するために、吸入管をケーシングの胴部の中心軸に向かって径方向に貫通させる構成とすると、吸入管が接続される吸入ポートの位置が制約されてしまうという問題が生じる。
具体的には、このような制約により、シリンダにおける吸入ポートの流出口が比較的ブレード(仕切部)から遠い位置(例えば駆動軸の中心とブレードの揺動中心を通る仮想線と吸入ポートの軸心との狭角が比較的大きくなる位置)になると、ピストンのシールポイントが吸入ポートを通過する回転角度が比較的大きくなる。つまり、このような構成では、上述のように低圧室が吸入ポートと遮断されて高圧室となるタイミングが比較的遅くなる。従って、その後にピストンが回転することで、高圧室の容積が急激に減少変化し、圧縮トルクの急激な増大を招いてしまう。この結果、圧縮トルクの急上昇に起因して圧縮機の振動が大きくなってしまう、という問題が生じる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ケーシングに吸入管を容易且つ確実に接続でき、しかも圧縮トルクの急上昇に起因する振動の低減を図ることのできる圧縮機を提供することにある。
第1の発明は、円筒状の胴部(12)を有するケーシング(11)と、該ケーシング(11)の胴部(12)の内周面に固定される電動機(20)と、該電動機(20)に駆動されるピストン(60,60a,60b)と、該ピストン(60,60a,60b)を収容するシリンダ室(55)が形成されたシリンダ(51,51a,51b)と、該シリンダ(51,51a,51b)を低圧室(55a)と高圧室(55b)とに区画する仕切部(62)とを有する圧縮機構(50)とを備えた圧縮機を対象とし、上記ケーシング(11)の胴部(12)の中心軸に向かって該ケーシング(11)を径方向に貫通し、該ケーシング(11)に固定される吸入管(15)を備え、上記シリンダ(51,51a,51b)には、上記吸入管(15)と連通し流出端が上記シリンダ室(55)に開口するとともに、上記吸入管(15)の軸心に対し上記仕切部(62)側に向かって周方向に傾いた軸心を有する吸入ポート(72,72a,72b)が形成されていることを特徴とする。
第1の発明では、電動機(20)によって駆動されたピストン(60,60a,60b)がシリンダ室(55)内で回転駆動されることで、低圧室(55a)の容積が拡大すると同時に高圧室(55b)の容積が縮小し、圧縮機構(50)で流体が圧縮される。
吸入管(15)は、ケーシング(11)の胴部(12)の中心軸に向かってケーシング(11)を径方向に貫通する。このため、ケーシング(11)と吸入管(15)との接合が容易且つ確実に行われる。一方、このようにすると、上述のように、吸入ポート(72,72a,72b)の流出口が仕切部(62)から比較的遠い位置となり、低圧室(55a)が吸入ポート(72,72a,72b)から遮断されるタイミングが遅くなってしまう虞がある。
これに対し、本発明では、吸入ポート(72,72a,72b)の軸心が吸入管(15)の軸心に対して仕切部(62)側に向かって周方向に傾斜している。これにより、吸入ポート(72,72a,72b)の流出口の位置が仕切部(62)から近づき、低圧室(55a)が吸入ポート(72,72a,72b)から遮断されるタイミングが早くなる。この結果、高圧室(55b)の容積が急激に減少変化してしまうことを防止できる。
第2の発明は、第1の発明において、上記シリンダ(51,51a,51b)には、上記吸入管(15)が挿通される接続ポート(81,81a,81b)が形成され、上記吸入ポート(72,72a,72b)は、上記接続ポート(81,81a,81b)の流出端と連通するとともに、該吸入ポート(72,72a,72b)の軸心が上記接続ポート(81,81a,81b)の軸心に対し上記仕切部(62)側に向かって周方向に傾斜するように構成されていることを特徴とする。
第2の発明では、吸入管(15)が接続される接続ポート(81,81a,81b)の軸心が、吸入ポート(72,72a,72b)の軸心に対して仕切部(62)側に向かって周方向に傾斜している。これにより、吸入ポート(72,72a,72b)の流出口が仕切部(62)側に近づくことになる。
第3の発明は、第2の発明において、上記シリンダ(51,51a,51b)は、上記吸入ポート(72,72a,72b)が形成されるシリンダ本体(70,70a,70b)と、該シリンダ本体(70,70a,70b)に取り付けられ、上記接続ポート(81,81a,81b)が形成される接続部材(80)とを有していることを特徴とする。
第3の発明のシリンダ(51,51a,51b)には、互いに別体に構成されるシリンダ本体(70,70a,70b)及び接続部材(80)が設けられる。接続部材(80)には、吸入管(15)が接続される接続ポート(81,81a,81b)が形成され、シリンダ本体(70,70a,70b)には、吸入ポート(72,72a,72b)が形成される。これにより、接続ポート(81,81a,81b)の軸心に対し、吸入ポート(72,72a,72b)の軸心を容易に傾けることができる。
第4の発明は、第3の発明において、上記接続部材(80)には、流入端が上記接続ポート(81,81a,81b)に接続し、流出端が上記吸入ポート(72,72a,72b)に接続するとともに、上記接続ポート(81,81a,81b)の軸心に対して上記吸入ポート(72,72a,72b)と同軸になるように屈曲した曲げポート部(83)が形成されていることを特徴とする。
第4の発明では、吸入管(15)と吸入ポート(72,72a,72b)との軸心を傾けるための曲げポート部(83)が、接続部材(80)に形成される。
第5の発明は、第3の発明において、上記シリンダ本体(70,70a,70b)には、流入端が上記接続ポート(81,81a,81b)に接続し、流出端が上記吸入ポート(72,72a,72b)に接続するとともに、上記接続ポート(81,81a,81b)の軸心に対して上記吸入ポート(72,72a,72b)と同軸になるように屈曲した曲げポート部(73)が形成されていることを特徴とする。
第5の発明では、吸入管(15)と吸入ポート(72,72a,72b)との軸心を傾けるための曲げポート部(73)が、シリンダ本体(70,70a,70b)に形成される。
第6の発明は、第2乃至第5のいずれか1つの発明において、上記接続ポート(81,81a,81b)は、該接続ポート(81,81a,81b)の内径が上記吸入ポート(72,72a,72b)の内径よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする。
第6の発明では、接続ポート(81,81a,81b)の内径が、吸入ポート(72,72a,72b)の内径よりも大きいため、比較的大径の吸入管(15)を接続ポート(81,81a,81b)に接続できる一方、シリンダ(51,51a,51b)の厚さを小さく構成できる。
第7の発明は、 請求項6において、上記接続ポート(81,81a,81b)の長さをL、該接続ポート(81,81a,81b)の内径をD、上記吸入ポート(72,72a,72b)の内径をd、上記接続ポート(81,81a,81b)の軸心に対する上記吸入ポート(72,72a,72b)の軸心の傾き角度をαとすると、上記シリンダ(51,51a,51b)は、D≧(d/cosα)+(L×tanα)の関係式を満たすように構成されていることを特徴とする。
第7の発明では、上記の関係式を満たすことで、内径D及び長さLの接続ポート(81,81a,81b)を崩さずに形成しつつ、更に内径dの吸入ポート(72,72a,72b)をシリンダ(51,51a,51b)の内部に形成することができる。
第8の発明は、第1乃至第7のいずれか1つの発明において、上記吸入ポート(72,72a,72b)の内周形状は、上記シリンダ(51,51a,51b)の厚さ方向に扁平な楕円形状に形成されていることを特徴とする。
第8の発明では、吸入ポート(72,72a,72b)の内周形状が、シリンダ(51,51a,51b)の厚さ方向に扁平な楕円形状に形成される。このため、シリンダ(51,51a,51b)の厚さが比較的小さい構成であっても、吸入ポート(72,72a,72b)の流路断面積を確保できる。
第9の発明は、第1、第2、第4〜第8のいずれか1つの発明において、上記ピストン(60,60a,60b)は、外周面が非円形状に形成され、揺動運動を行うように構成され、上記シリンダ(51,51a,51b)は、上記シリンダ室(55)の内周面が、上記揺動運動を行う上記ピストン(60,60a,60b)の外周面の包絡線に基づいた非円形状に構成され、上記仕切部(62)は、上記ピストン(60,60a,60b)の外周面に連結するブレード(62)で構成されていることを特徴とする。
第9の発明では、ピストン(60,60a,60b)の外周面及びシリンダ室(55)の内周面が、非円形状に形成され、ピストン(60,60a,60b)がシリンダ室(55)に沿って揺動運動を行う。つまり、圧縮機構(50)は、非円形式の揺動ピストン型に構成される。
第10の発明は、第3の発明において、上記ピストン(60,60a,60b)は、外周面が非円形状に形成され、揺動運動を行うように構成され、上記シリンダ(51,51a,51b)は、上記シリンダ室(55)の内周面が、上記揺動運動を行う上記ピストン(60,60a,60b)の外周面の包絡線に基づいた非円形状に構成され、上記仕切部(62)は、上記ピストン(60,60a,60b)の外周面に連結するブレード(62)で構成され、上記シリンダ本体(70,70a,70b)は、該シリンダ本体(70,70a,70b)の軸方向長さが、上記接続部材(80)における該シリンダ本体(70,70a,70b)の軸方向長さより小さく構成され、上記接続ポート(81,81a,81b)は、該接続ポート(81,81a,81b)の内径が上記吸入ポート(72,72a,72b)の内径よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする。
第10の発明では、圧縮機構(50)が、非円形型の揺動ピストン式に構成される。非円形式の揺動ピストン型の圧縮機構(50)では、ピストン(60,60a,60b)及びシリンダ(51,51a,51b)が比較的幅広に形成される一方、ピストン(60,60a,60b)及びシリンダ(51,51a,51b)の軸方向長さ(厚さ)が比較的小さくなる。このため、シリンダ本体(70,70a,70b)に形成される吸入ポート(72,72a,72b)の内径も比較的小さくなり、比較的大きな外径の吸入管(15)を接続しにくい。これに対し、本発明では、シリンダ本体(70,70a,70b)と別体の接続部材(80)におけるシリンダ本体(70,70a,70b)の軸方向長さを、該シリンダ本体(70,70a,70b)の軸方向長さより大きくしている。そして、接続部材(80)に形成した接続ポート(81,81a,81b)の内径を吸入ポート(72,72a,72b)より大きくしている。このため、比較的大きな外径の吸入管(15)を接続部材(80)に接続することができ、且つシリンダ本体(70,70a,70b)には、比較的厚みの小さいシリンダ(51,51a,51b)に対応した比較的小径の吸入ポート(72,72a,72b)を形成することができる。
第1の発明によれば、吸入管(15)の軸心に対して吸入ポート(72,72a,72b)の軸心を仕切部(62)側に向かって傾斜するようにしたので、低圧室(55a)が吸入ポート(72,72a,72b)から遮断されるタイミングを早くすることができる。この結果、その後に高圧室(55b)の容積が急激に縮小されて圧縮トルクが急上昇することを回避でき、圧縮機の振動や騒音を低減できる。
また、吸入管(15)をケーシング(11)の軸心に向かって径方向に貫通させる構成としたので、吸入管(15)をケーシング(11)に容易に接続できる。従って、加工コストを低減できる。また、吸入管(15)とケーシング(11)の接続部の破損を防止でき、圧縮機の信頼性を向上できる。
第2の発明によれば、吸入管(15)が接続される接続ポート(81,81a,81b)の軸心を吸入ポート(72,72a,72b)に対して傾けることで、第1の発明の作用効果を奏することができる。
第3の発明では、シリンダ(51,51a,51b)が、吸入ポート(72,72a,72b)を有するシリンダ本体(70,70a,70b)と、接続ポート(81,81a,81b)を有する接続部材(80)とに別体に構成されるため、両者のポート(72,81)の軸心を容易に傾けることができる。
第6の発明によれば、比較的大きな外径ないし内径の吸入管(15)を用いることができ、圧力損失の低減を図ることができる。
第7の発明によれば、内径D及び長さLの接続ポート(81,81a,81b)の形状を崩すことなく、内径dの吸入ポート(72,72a,72b)をシリンダ(51,51a,51b)の内部に空けることができる。
第8の発明によれば、シリンダ(51,51a,51b)の厚さが比較的小さい構成であっても、吸入ポート(72,72a,72b)の流路断面積を確保でき、圧力損失を低減できる。
第9の発明によれば、非円形式の揺動ピストン型の圧縮機構(50)を用いた圧縮機において、上述した第1、第2、第4〜第8の発明の作用効果を奏することができる。
第10の発明によれば、比較的外径の配管を接続部材(80)の接続ポート(81,81a,81b)に接続しつつ、内径の小さな吸入ポート(72,72a,72b)を用いてシリンダ本体(70,70a,70b)の軸方向長さ(厚さ)を薄型化できる。
図1は、実施形態に係る圧縮機の縦断面図である。 図2は、実施形態に係る圧縮機構、及び駆動軸の要部を拡大した縦断面図である。 図3は、図2のX−X断面図である。 図4は、接続ポートと吸入ポートとの寸法及び相対的な位置関係を模式的に表した構成図である。 図5は、圧縮機の運転動作を説明するための図3相当図であり、図5(A)は、ピストンが上死点付近に位置する状態を、図5(B)は、低圧室が吸入ポートと遮断された直後の状態を、図5(C)は、ピストンが下死点付近に位置する状態を、図5(D)は、ピストンが回転角度270付近に位置する状態をそれぞれ示すものである。 図6は、変形例に係る圧縮機の図2相当図である。 図7は、変形例に係る圧縮機構の要部を拡大した斜視図である。 図8は、その他の実施形態に係る第1の例の図3相当図である。 図9は、吸入ポートの近傍をシリンダ室の内部から視た正面図である。 図10は、その他の実施形態に係る第2の例の図3相当図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
〈圧縮機の全体構成〉
図1は、本実施形態に係る圧縮機(10)の縦断面図である。本実施形態に係る圧縮機(10)は、全密閉式の揺動ピストン型の圧縮機である。圧縮機(10)は、冷媒が充填された冷媒回路(図示省略)に接続されている。冷媒回路では、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。つまり、冷媒回路では、圧縮機(10)で圧縮された冷媒が、凝縮器で凝縮し、膨張弁で減圧された後、蒸発器で蒸発し、圧縮機(10)に吸入される。
圧縮機(10)は、ケーシング(11)と、ケーシング(11)の内部に収容される電動機(20)と、電動機(20)と連結する駆動軸(30)と、該駆動軸(30)によって駆動される圧縮機構(50)とを備えている。
〈ケーシング〉
ケーシング(11)は、縦長の円筒状の密閉容器で構成される。ケーシング(11)は、胴部(12)、下部鏡板(13)、及び上部鏡板(14)を有している。胴部(12)は、上下に延びる円筒状に形成され、軸方向の両端が開口している。下部鏡板(13)は、胴部(12)の下端に固定されている。上部鏡板(14)は、胴部(12)の上端に固定されている。
胴部(12)の下部には、吸入管(15)が貫通して固定されている。上部鏡板(14)には、吐出管(16)が貫通して固定されている。上部鏡板(14)には、電動機(20)へ電力を供給するためのターミナル(17)が取り付けられている。
ケーシング(11)の底部には、油貯留部(18)が形成されている。油貯留部(18)は、下部鏡板(13)及び胴部(12)の下部の内壁によって構成される。油貯留部(18)には、圧縮機構(50)や駆動軸(30)の摺動部を潤滑するための潤滑油(冷凍機油)が貯留される。
ケーシング(11)の内部は、圧縮機構(50)で圧縮された高圧冷媒で満たされる。つまり、圧縮機(10)は、ケーシング(11)の内圧が高圧冷媒の圧力と実質的に等しい、いわゆる高圧ドーム型に構成されている。
〈電動機〉
電動機(20)は、圧縮機構(50)の上方に配置されている。電動機(20)は、固定子(21)と回転子(22)とを有している。固定子(21)は、ケーシング(11)の胴部(12)の内周面に固定されている。回転子(22)は、固定子(21)の内部を上下方向に貫通している。回転子(22)の軸心内部には、駆動軸(30)が固定される。電動機(20)が通電されると、回転子(22)とともに駆動軸(30)が回転駆動される。
〈駆動軸〉
駆動軸(30)は、ケーシング(11)の胴部(12)の軸心(図1の一点鎖線C1)上に位置している。駆動軸(30)は、圧縮機構(50)の各軸受(41,42,43)(詳細は後述する)に回転可能に支持されている。
駆動軸(30)は、上側から下側に向かって順に、主軸(31)、クランク軸(32)、及び副軸(33)を有している。主軸(31)の上部は、電動機(20)の回転子(22)に固定される。クランク軸(32)は、主軸(31)の下端に連結している。副軸(33)は、クランク軸(32)の下端に連結している。主軸(31)と副軸(33)の軸心(図1のC1)は一致している。クランク軸(32)の軸心C2は、主軸(31)及び副軸(33)の軸心C1に対して所定量だけ偏心している。クランク軸(32)の外径は、主軸(31)及び副軸(33)の外径よりも大きい。
主軸(31)の上部は、電動機(20)の回転子(22)に固定される。主軸(31)の下部は、フロントヘッド(52)の主軸側貫通口(52c)の内部に位置している。主軸(31)の軸方向の中間部は、上部主軸受(41)に回転可能に支持されている。主軸(31)の下部は、下部主軸受(42)に回転可能に支持されている。副軸(33)の上部は、リアヘッド(53)の副軸側貫通口(53a)の内部に位置している。副軸(33)の軸方向の中間部は、副軸受(43)に回転可能に支持されている。
図2に示すように、駆動軸(30)は、クランク軸(32)の周囲に油を供給するための油供給機構(34)を備えている。油供給機構(34)は、副軸(33)の下端に取り付けられる油ポンプ(35)と、駆動軸(30)の内部を軸心に沿って延びる主流路(36)と、該主流路(36)から径方向外方へ分岐する3つの分岐流路(37,38,39)とを有している。
油ポンプ(35)は、油貯留部(18)に溜まった油を主流路(36)へ搬送するものである。油ポンプ(35)は、差圧式、遠心式、容積式等種々のポンプを採用することができる。主流路(36)は、流入端が油ポンプ(35)に接続し、油ポンプ(35)で搬送された潤滑油を上方へ導く。
3つの分岐流路(37,38,39)は、駆動軸(30)の下側から上側に向かって順に、下部分岐流路(37)、中間分岐流路(38)、及び上部分岐流路(39)で構成されている。下部分岐流路(37)は、副軸(33)の上端部の内部に形成されている。
下部分岐流路(37)の流入端は主流路(36)に接続し、下部分岐流路(37)の流出端は副軸受(43)に向かって開口している。
中間分岐流路(38)は、クランク軸(32)の内部に形成されている。下部分岐流路(37)の流入端は主流路(36)に接続し、下部分岐流路(37)の流出端はピストン(60)の内周面側(厳密には、詳細は後述する環状メタル(59)の内周面側)に向かって開口している。
上部分岐流路(39)は、主軸(31)の下端部の内部に形成されている。上部分岐流路(39)の流入端は主流路(36)に接続し、上部分岐流路(39)の流出端は下部主軸受(42)に向かって開口している。
〈圧縮機構〉
図1及び図2に示すように、圧縮機構(50)は、電動機(20)の下方に配置されている。圧縮機構(50)は、非円形式の揺動ピストン型に構成されている。圧縮機構(50)は、シリンダ(51)と、フロントヘッド(52)と、リアヘッド(53)とを備えている。圧縮機構(50)では、シリンダ(51)の上端部(軸方向一端部)にフロントヘッド(52)が積層され、シリンダ(51)の下端部(軸方向他端部)にリアヘッド(53)が積層される。シリンダ(51)、フロントヘッド(52)、及びリアヘッド(53)は、締結部材(図示省略)を介して一体化されている。フロントヘッド(52)及びリアヘッド(53)は、ヘッド部材を構成している。
シリンダ(51)は、ケーシング(11)の胴部(12)の下部の内周面に固定されている。シリンダ(51)は、扁平な略環状のシリンダ本体(70)と、シリンダ本体(70)の外周面に取り付けられる接続部材(80)とを有している。
シリンダ本体(70)の中央部には、円柱状のシリンダ室(55)が形成されている。図1及び図3に示すように、シリンダ本体(70)には、径方向に延びる吸入ポート(72)が形成されている。接続部材(80)には、吸入管(15)の流出部が接続される接続ポート(81)が形成されている。吸入管(15)は、接続ポート(81)及び吸入ポート(72)を介してシリンダ室(55)と連通している。
フロントヘッド(52)は、シリンダ(51)の内部空間を覆うようにシリンダ(51)の上方に配置されている。フロントヘッド(52)は、シリンダ(51)に積層する扁平な環状プレート部(52a)と、該環状プレート部(52a)の径方向中央部から上方に突出する筒状突出部(52b)とを有している。フロントヘッド(52)には、環状プレート部(52a)を軸方向に貫通する吐出ポート(57)が形成されている(図3を参照)。吐出ポート(57)の流入端は、シリンダ室(55)(高圧室(55b))と連通している。吐出ポート(57)の流出端には、リード弁(図示省略)が設けられている。
フロントヘッド(52)では、環状プレート部(52a)及び筒状突出部(52b)の中央部に、主軸(31)が貫通する主軸側貫通口(52c)が形成されている。主軸側貫通口(52c)の上端部の内周面には、上部主軸受(41)が形成される。主軸側貫通口(52c)の下部には、下部主軸受(42)が形成される。
リアヘッド(53)は、シリンダ(51)の内部空間を覆うようにシリンダ(51)の下方に配置されている。リアヘッド(53)の径方向中央部には、副軸(33)が貫通する副軸側貫通口(53a)が形成されている。副軸側貫通口(53a)の内周面には、副軸受(43)が形成される。
図3に示すように、本実施形態の圧縮機構(50)は、いわゆる非円形式の揺動ピストン型の圧縮機構を構成している。具体的に、圧縮機構(50)は、環状メタル(59)、ピストン(60)、ブッシュ(61)、及びブレード(62)を備えている。ピストン(60)は、シリンダ室(55)に収容されている。
環状メタル(59)は、ピストン(60)の内部に圧入等により固定される円筒状のメタル部材で構成されている。環状メタル(59)は、その内周面がクランク軸(32)の外周面と摺接するように、クランク軸(32)に外嵌している。環状メタル(59)は、その硬度がピストン(60)の硬度より高く構成される。
ピストン(60)は、その内部に環状メタル(59)を介してクランク軸(32)が内嵌している。本実施形態のピストン(60)は、その外周面が非円形状に形成されている。具体的に、ピストン(60)の外周面は、ブレード(62)の長手方向の中心線を通過する仮想鉛直平面(図3のP)を挟んだ両側の部位が径方向外方へ膨出するような略楕円形状ないし略卵形状に形成されている。
一方、シリンダ(51)のシリンダ室(55)の内周面形状は、ピストン(60)の外周面形状に対応するような非円形状に形成されている。即ち、シリンダ室(55)の内周面形状は、ブレード(62)を通過する仮想鉛直平面Pを挟んだ両側の部位が径方向外方に膨出するような非円形状に形成されている。つまり、シリンダ室(55)の内周面形状は、揺動運動を行うピストン(60)の外周面の包絡線に基づいた非円形状に形成されている。
シリンダ(51)には、シリンダ室(55)と隣接する位置に略円形のブッシュ溝(63)が形成される。このブッシュ溝(63)には、略半円形の一対のブッシュ(61,61)が嵌め込まれている。一対のブッシュ(61,61)は、各々の平坦な面が互いに対向するようにブッシュ溝(63)に配置される。一対のブッシュ(61,61)は、ブッシュ溝(63)の軸心を中心として揺動運動するように構成されている。
ブレード(62)は、径方向外方に延びる直方体状ないし板状に形成される。ブレード(62)の基端は、ピストン(60)の外周面に連結している。ブレード(62)は、一対のブッシュ(61,61)の間に形成されるブレード溝(64)に進退可能に収容される。
ブレード(62)は、シリンダ室(55)を低圧室(55a)と高圧室(55b)とに区画する仕切部を構成している。低圧室(55a)は、図3におけるブレード(62)の右側の空間であり、吸入ポート(72)と連通している。高圧室(55b)は、図3におけるブレード(62)の左側の空間であり、吐出ポート(57)と連通している。
〈シリンダ及び吸入管、及びその周辺の詳細構造〉
図3に示すように、上記吸入管(15)は、ケーシング(11)の胴部(12)を径方向に貫通し、該ケーシング(11)に固定される。吸入管(15)は、該吸入管(15)の軸心C3が胴部(12)の中心(駆動軸の軸心C1)を通過するように構成される。つまり、吸入管(15)は、その軸心C3が、ケーシング(11)の胴部(12)の外周面に対する水平方向の接線と直交している。これにより、吸入管(15)をケーシング(11)に容易にろう付けできるとともに、吸入管(15)とケーシング(11)の取付強度が向上する。
また、本実施形態の吸入管(15)は、冷媒の流れの上流側から下流側に向かって順に、大径部(15a)、縮径部(15b)、及び小径部(15c)が連続して構成されている。大径部(15a)の内径は小径部(15c)の内径より大きく、且つ大径部(15a)の外径は小径部(15c)の外径より小さい。縮径部(15b)は、その外径及び内径を下流側に向かって徐々に縮小させるテーパ状に形成される。
図3に示すように、シリンダ本体(70)の外周面には、吸入管(15)の流出部の近傍に平面形状の平坦部(71)が形成されている。平坦部(71)には、締結部材(図示省略)を介して接続部材(80)が取り付けられる。
接続部材(80)は、平坦部(71)に接触する平板状の基板部(80a)と、該基板部(80a)の中間部からケーシング(11)の胴部(12)の内周面に向かって突出する接続部本体(80b)とを有している。接続部本体(80b)は、略直方体状に形成される。接続部本体(80b)の径方向外方側の面は、胴部(12)の内周面に沿うような円弧面を構成している。
接続部材(80)には、シリンダ(51)の径方向の外方から内方へ向かって順に、接続ポート(81)、中継ポート(82)、及び流出ポート(83)が連続して形成されている。吸入ポート(72)、中継ポート(82)、及び流出ポート(83)の流路断面形状は、それぞれ円形に構成されている。
接続ポート(81)の内径は、吸入管(15)の小径部(15c)の外径と概ね等しい。接続ポート(81)には、吸入管(15)の小径部(15c)が接続されている。中継ポート(82)は、その内径を下流側に向かって徐々に縮小させるテーパ状に形成されている。流出ポート(83)は、その軸心C4が吸入管(15)の軸心C3に対しブレード(62)側に向かって周方向(ピストン(60)の逆回転方向)に屈曲する曲げポート部を構成している。
吸入ポート(72)は、吸入管と連通し流出端がシリンダ室(55)に開口している。吸入ポート(72)の流路断面形状は、円形に構成されている。吸入ポート(72)は、流出ポート(83)と同軸の軸心C4を有している。つまり、吸入ポート(72)の軸心C4は、吸入管(15)の軸心C3(即ち、接続ポート(81)の軸心C3)に対しブレード(62)側に向かって周方向(ピストン(60)の逆回転方向)に傾斜している。
接続ポート(81)と吸入ポート(72)との関係について、図4の模式図を参照しながら更に詳細に説明する。本実施形態では、接続ポート(81)の内径Dが、吸入ポート(72)の内径dよりも大きい。ここで、シリンダ(51)は、内径D及び軸方向の長さLの接続ポート(81)の形状を崩さないように、内径dの吸入ポート(72)を形成できるように、次の関係式を満たすように構成されている。
まず、図4に示す長さD1は、以下の式で表される。
D1=d/cosα・・・(1)
ここで、αは接続ポート(81)の軸心C3と吸入ポート(72)の軸心C4との間の傾斜角である。
また、図4に示す長さD2は、以下の式で表される。
D2=L×tanα・・・(2)
このため、内径D、長さLを崩さずに接続ポート(81)を形成するためには、
D≧D1+D2=(d/cosα)+(L×tanα)・・・(3)の関係式を満たせばよい。これにより、シリンダ(51)では、内径D、長さLとなる円柱状の接続ポート(81)を形成しつつ、更に内径dの円柱状の吸入ポート(72)を形成することができる。
−圧縮機の運転動作−
〈圧縮機構の動作〉
圧縮機(10)の圧縮機構(50)の基本的な運転動作について図1〜図3、図5を参照しながら説明する。ターミナル(17)から電動機(20)へ電力が供給されると、電動機(20)が作動し、駆動軸(30)が回転駆動される。すると、駆動軸(30)のクランク軸(32)が偏心回転し、これに伴いピストン(60)もすると、駆動軸(30)のクランク軸(32)が偏心回転し、これに伴いピストン(60)が揺動運動を行う。
圧縮機構(50)では、ピストン(60)の外周面が、シリンダ室(55)の内周面と油膜を介して線接触し、シール部を形成する。ピストン(60)がシリンダ室(55)の内部で揺動運動すると、ピストン(60)とシリンダ(51)との間のシール部(例えば図5の点a、点b、点c、点d)が、シリンダ室(55)の内周面に沿って変位し、低圧室(55a)と高圧室(55b)の容積が変化する。この際、ブレード(62)は、ピストン(60)の偏心回転に伴いブレード溝(64)の内部を進退し、且つブッシュ溝(63)の軸心を中心として揺動する。
ピストン(60)の揺動運動に伴い低圧室(55a)の容積が徐々に大きくなると(図5(A)→図5(B)→図5(C)→図5(D))、吸入管(15)を流れる流体(冷媒)が吸入ポート(72)から低圧室(55a)へ吸入されていく。次いで、この低圧室(55a)が吸入ポート(72)から遮断されると(図5(B)の状態)、遮断された空間が高圧室(55b)を構成する。次いで、この高圧室(55b)の容積が徐々に小さくなると(図5(B)→図5(C)→図5(D))、高圧室(55b)の内圧が上昇していく。高圧室(55b)の内圧が所定の圧力を超えると、吐出ポート(57)のリード弁が開放され、高圧室(55b)の冷媒が吐出ポート(57)を通じて、圧縮機構(50)の外部へ流出する。この高圧冷媒は、ケーシング(11)の内部空間を上方へ流れ、電動機(20)のコアカット(図示省略)等を通過する。電動機(20)の上方に流出した高圧冷媒は、吐出管(16)より冷媒回路へ送られる。
〈潤滑油の供給動作〉
圧縮機(10)の運転時に駆動軸(30)が回転駆動されると、油貯留部(18)に溜まった油が主流路(36)に搬送される(図2を参照)。この油は、駆動軸(30)の主流路(36)を上方へ流れていく。
主流路(36)の油は、各分岐流路(37,38,39)に分流する。具体的に、下部分岐流路(37)に分流した油は、副軸受(43)の摺動部に供給され、該摺動部の潤滑に利用される。上部分岐流路(39)に分流した油は、下部主軸受(42)の摺動部に供給され、該摺動部の潤滑に利用される。
中間分岐流路(38)に分流した油は、環状メタル(59)の内周面とクランク軸(32)の外周面との間の摺動部に供給され、該摺動部の潤滑に利用される。この油は、更にピストン(60)の軸方向端面(ピストン(60)の上端面及び下端面)とヘッド部材(フロントヘッド(52)及びリアヘッド(53)との間の隙間に流入する。これにより、ピストン(60)とヘッド部材(51,53)との間の隙間に油膜シールが形成される。この油は、隙間を径方向外方へ流れてシリンダ室(55)に流出し、ピストン(60)とシリンダ(51)の接触部の油膜シール及び潤滑に利用され、吐出ポート(57)より冷媒とともに圧縮機構(50)の外部へ排出される。
−吸入ポートの作用及び効果−
本実施形態の圧縮機(10)では、図3に示すように、吸入管(15)の軸心C3がケーシング(11)の胴部(12)の中心軸C1を通過するように、吸入管(15)がケーシング(11)を径方向に貫通している。これにより、上述したように、吸入管(15)とケーシング(11)との間のろう付け加工が容易となり、且つ吸入管(15)とケーシング(11)との間でのろう付け割れに起因する接続部の破損も回避できる。
一方、このように吸入管(15)をケーシング(11)の中心軸C1に向かって径方向に貫通させ、吸入管(15)の軸心C3と吸入ポート(72)の軸心C4とを同軸に構成すると、吸入ポート(72)の流出口がブレード(62)ないしブッシュ(61)に対して比較的遠くに位置してしまう。そうすると、上述した圧縮機(10)の運転動作時においては、低圧室(55a)が吸入ポート(72)から遮断されるタイミングが比較的遅くなる(即ち、低圧室(55a)の閉じきりの回転角度が比較的大きくなる)。この場合、その後、吸入ポート(72)から遮断された高圧室(55b)の容積が急激に減少変化するため、圧縮トルクが増大し、圧縮機(10)の振動や騒音の発生を招くという問題が生じる。
そこで、本実施形態では、図3に示すように、吸入管(15)の軸心C3に対し、吸入ポート(72)の軸心C4を傾斜角αだけブレード(62)側に曲げている。このため、圧縮機構(50)では、低圧室(55a)が吸入ポート(72)から遮断されるタイミング(図5(B)の状態)が比較的早くなり、低圧室(55a)の閉じきりの回転角度が比較的小さくなる。この結果、吸入ポート(72)から遮断された高圧室(55b)の容積が急激に減少変化することを回避でき、ひいては圧縮トルクの低減できる。従って、上記のように吸入管(15)とケーシング(11)との接続加工を容易且つ確実に行うとともに、圧縮機(10)の振動や騒音の発生も防止できる。
また、本実施形態では、非円形式の揺動ピストン型の圧縮機構(50)を用いている。この圧縮機構(50)では、ピストン(60)やシリンダ(51)が水平に拡がりやすく、その分だけそれらの厚みは比較的小さくなる。従って、比較的大径の吸入管(15)をシリンダ(51)の吸入ポート(72)に直に接続することは困難となる。これに対し、本実施形態では、シリンダ(51)をシリンダ本体(70)と接続部材(80)とに別体化し、接続部材(80)の高さ(シリンダ(51)の軸方向における接続部材(80)の長さ)をシリンダ本体(70)の高さ(シリンダ(51)の軸方向の長さ)より大きくしている。そして、接続部材(80)には、吸入ポート(72)より内径の大きな接続ポート(81)を形成している。従って、シリンダ(51)の高さを必要最小限に抑えつつ、比較的大径の吸入管(15)を吸入ポート(72)に連通させることができる。
更に、本実施形態では、シリンダ(51)が上記(3)式を満たすように構成されている(図4を参照)。これにより、シリンダ(51)では、内径D、長さLとなる円柱状の接続ポート(81)を形成しつつ、更に内径dの円柱状の吸入ポート(72)を形成することができる。この結果、シリンダ(51)では、比較的大径の吸入管(15)を差込代Lでもって接続でき、且つ吸入管(15)に対して吸入ポート(72)をαだけ傾斜させた構成を得ることができる。
《実施形態の変形例》
上記実施形態に係る圧縮機構(50)は、1つのシリンダ(51)と、1つのピストン(60)とを有する1気筒式の圧縮機構(50)で構成されている。しかしながら、図6に示すように、圧縮機構(50)は、複数(本例では、2つ)のシリンダ(51a,51b)と、複数(本例では、2つ)のピストン(60a,60b)とを有する多気筒式の圧縮機構(50)であってもよい。
具体的に、変形例に係る圧縮機構(50)では、上側から下側に向かって順に、フロントヘッド(52)、第1シリンダ(51a)、環状のミドルプレート(58)、第2シリンダ(51b)、リアヘッド(53)が積層されている。第1シリンダ(51a)のシリンダ室(55)には、第1ピストン(60a)が収容され、第2シリンダ(51b)のシリンダ室(55)には、第2ピストン(60b)が収容されている。第1ピストン(60a)には、第1環状メタル(59a)を介して第1クランク軸(32a)が内嵌し、第2ピストン(60b)には、第2環状メタル(59b)を介して第2クランク軸(32b)が内嵌している。第1シリンダ(51a)や第2シリンダ(51b)の内部には、上記実施形態と同様にしてブッシュ(61)、ブレード(62)、ブッシュ溝(63)、及びブレード溝(64)が設けられている(図3を参照)。
図6及び図7に示すように、この変形例では、第1シリンダ(51a)と第2シリンダ(51b)との双方に接続部材(80)が共用されている。つまり、接続部材(80)は、第1シリンダ(51a)のシリンダ本体(70a)と、第2シリンダ(51b)のシリンダ本体(70b)との双方に跨がる縦長の接続部本体(80b)を有している。接続部本体(80b)の上部には、第1の吸入管(15)が接続される第1接続ポート(81a)が形成され、接続部本体(80b)の下部には、第2の吸入管(15)が接続される第2接続ポート(81b)が形成される。各吸入管(15)は、ケーシング(11)の胴部(12)の中心軸C1に向かって該ケーシング(11)の胴部(12)を径方向に貫通している。
第1シリンダ(51a)のシリンダ本体(70a)には、上記実施形態と同様、第1の吸入管(15)の軸心C3に対してブレード(62)側に曲がった軸心C4を有する第1吸入ポート(72a)が形成される。第2シリンダ(51b)のシリンダ本体(70b)には、上記実施形態と同様、第2の吸入管(15)の軸心C3に対してブレード(62)側に曲がった軸心C4を有する第2吸入ポート(72b)が形成される。
従って、この変形例においても、ケーシング(11)と各吸入管(15)との接合加工の容易化、接続強度の向上を図るとともに、低圧室(55a)の閉じきりタイミングを早めて振動や騒音の発生を防止できる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態では、曲げポート部を構成する流出ポート(83)を接続部材(80)の内部に形成し、吸入管(15)と吸入ポート(72)の軸心の角度をずらすようにしている。しかしながら、例えば図8に示すように、シリンダ本体(70)の内部に曲げポート部(流入ポート(73))を形成し、この流入ポート(73)の下流端に該流入ポート(73)と同軸の吸入ポート(72)を接続することで、吸入管(15)と吸入ポート(72)の軸心の角度をずらすようにしてもよい。
また、上記実施形態の吸入ポート(72)は、流路断面形状が円形に構成されている。しかしながら、例えば図9に示すように、吸入ポート(72)の流出端の形状を、シリンダ(51)の厚さ方向に扁平な楕円形状に形成してもよい。これにより、シリンダ(51)の高さを比較的小さく抑えつつ、吸入ポート(72)の流路断面積を比較的大きくできる。
また、上記実施形態に係る圧縮機構(50)では、ピストン(60)の外周面が、ブレード(62)を長手方向に通過する仮想鉛直平面Pを挟んだ両側の部位が径方向外方へ膨出するような非円形状をしている(図3を参照)。しかしながら、例えば図10に示すように、ピストン(60)の外周面は、仮想鉛直平面Pを挟んだ両側の部位のうち一方(図10の右側の部位)が径方向外方へ膨出し、他方が略円弧状となるような非円形状であってもよい。この場合にも、シリンダ室(55)の内周面は、該ピストン(60)の外周面の包絡線に基づく非円形状に形成される。
また、上記実施形態に係る圧縮機構(50)は、ピストン(60)の外周面が必ずしも非円形状でなくてもよく、真円形状の方式であってもよい。この場合、圧縮機構(50)は、真円形のピストン(60)が仕切部としてのブレード(62)に連結して揺動運動を行う円形式の揺動ピストン型(スイング型)であってもよい。また、圧縮機構(50)は、棒状ないし板状のベーン(仕切部)の先端部が円環状のピストン(60)の外周面に摺接し、ピストン(60)がクランク軸(32)の外側で自転しながら偏心回転運動を行う、ロータリベーン型(ローリングピストン型)であってもよい。
以上説明したように、本発明は、流体を圧縮する圧縮機構を備えた圧縮機に関し、特に圧縮トルクの急上昇に起因する振動対策について有用である。
10 圧縮機
11 ケーシング
12 胴部
15 吸入管
20 電動機
50 圧縮機構
51 シリンダ
51a 第1シリンダ(シリンダ)
51b 第2シリンダ(シリンダ)
60 ピストン
60a 第1ピストン(ピストン)
60b 第2ピストン(ピストン)
62 ブレード(仕切部)
70 シリンダ本体
70a シリンダ本体
70b シリンダ本体
72 吸入ポート
72a 第1吸入ポート(吸入ポート)
72b 第2吸入ポート(吸入ポート)
73 流入ポート(曲げポート)
80 接続部材
81 接続ポート
81a 第1接続ポート(接続ポート)
81b 第2接続ポート(接続ポート
83 流出ポート(曲げポート)

Claims (10)

  1. 円筒状の胴部(12)を有するケーシング(11)と、
    上記ケーシング(11)の胴部(12)の内周面に固定される電動機(20)と、
    上記電動機(20)に駆動されるピストン(60,60a,60b)と、該ピストン(60,60a,60b)を収容するシリンダ室(55)が形成されたシリンダ(51,51a,51b)と、該シリンダ(51,51a,51b)を低圧室(55a)と高圧室(55b)とに区画する仕切部(62)とを有する圧縮機構(50)とを備えた圧縮機であって、
    上記ケーシング(11)の胴部(12)の中心軸に向かって該ケーシング(11)を径方向に貫通し、該ケーシング(11)に固定される吸入管(15)を備え、
    上記シリンダ(51,51a,51b)には、上記吸入管(15)と連通し流出端が上記シリンダ室(55)に開口するとともに、上記吸入管(15)の軸心に対し上記仕切部(62)側に向かって周方向に傾いた軸心を有する吸入ポート(72,72a,72b)が形成されている
    ことを特徴とする圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記シリンダ(51,51a,51b)には、上記吸入管(15)が挿通される接続ポート(81,81a,81b)が形成され、
    上記吸入ポート(72,72a,72b)は、上記接続ポート(81,81a,81b)の流出端と連通するとともに、該吸入ポート(72,72a,72b)の軸心が上記接続ポート(81,81a,81b)の軸心に対し上記仕切部(62)側に向かって周方向に傾斜するように構成されている
    ことを特徴とする圧縮機。
  3. 請求項2において、
    上記シリンダ(51,51a,51b)は、
    上記吸入ポート(72,72a,72b)が形成されるシリンダ本体(70,70a,70b)と、
    上記シリンダ本体(70,70a,70b)に取り付けられ、上記接続ポート(81,81a,81b)が形成される接続部材(80)とを有している
    ことを特徴とする圧縮機。
  4. 請求項3において、
    上記接続部材(80)には、流入端が上記接続ポート(81,81a,81b)に接続し、流出端が上記吸入ポート(72,72a,72b)に接続するとともに、上記接続ポート(81,81a,81b)の軸心に対して上記吸入ポート(72,72a,72b)と同軸になるように屈曲した曲げポート部(83)が形成されている
    ことを特徴とする圧縮機。
  5. 請求項3において、
    上記シリンダ本体(70,70a,70b)には、流入端が上記接続ポート(81,81a,81b)に接続し、流出端が上記吸入ポート(72,72a,72b)に接続するとともに、上記接続ポート(81,81a,81b)の軸心に対して上記吸入ポート(72,72a,72b)と同軸になるように屈曲した曲げポート部(73)が形成されている
    ことを特徴とする圧縮機。
  6. 請求項2乃至5のいずれか1つにおいて、
    上記接続ポート(81,81a,81b)は、該接続ポート(81,81a,81b)の内径が上記吸入ポート(72,72a,72b)の内径よりも大きくなるように構成されている
    ことを特徴とする圧縮機。
  7. 請求項6において、
    上記接続ポート(81,81a,81b)の長さをL、該接続ポート(81,81a,81b)の内径をD、上記吸入ポート(72,72a,72b)の内径をd、上記接続ポート(81,81a,81b)の軸心に対する上記吸入ポート(72,72a,72b)の軸心の傾き角度をαとすると、
    上記シリンダ(51,51a,51b)は、D≧(d/cosα)+(L×tanα)の関係式を満たすように構成されている
    ことを特徴とする圧縮機。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1つにおいて、
    上記吸入ポート(72,72a,72b)の内周形状は、上記シリンダ(51,51a,51b)の厚さ方向に扁平な楕円形状に形成されている
    ことを特徴とする圧縮機。
  9. 請求項1、2、4〜8のいずれか1つにおいて、
    上記ピストン(60,60a,60b)は、外周面が非円形状に形成され、揺動運動を行うように構成され、
    上記シリンダ(51,51a,51b)は、上記シリンダ室(55)の内周面が、上記揺動運動を行う上記ピストン(60,60a,60b)の外周面の包絡線に基づいた非円形状に構成され、
    上記仕切部(62)は、上記ピストン(60,60a,60b)の外周面に連結するブレード(62)で構成されている
    ことを特徴とする圧縮機。
  10. 請求項3において、
    上記ピストン(60,60a,60b)は、外周面が非円形状に形成され、揺動運動を行うように構成され、
    上記シリンダ(51,51a,51b)は、上記シリンダ室(55)の内周面が、上記揺動運動を行う上記ピストン(60,60a,60b)の外周面の包絡線に基づいた非円形状に構成され、
    上記仕切部(62)は、上記ピストン(60,60a,60b)の外周面に連結するブレード(62)で構成され、
    上記シリンダ本体(70,70a,70b)は、該シリンダ本体(70,70a,70b)の軸方向長さが、上記接続部材(80)における該シリンダ本体(70,70a,70b)の軸方向長さより小さく構成され、
    上記接続ポート(81,81a,81b)は、該接続ポート(81,81a,81b)の内径が上記吸入ポート(72,72a,72b)の内径よりも大きくなるように構成されている
    ことを特徴とする圧縮機。
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