JP2016016338A - ハードコート層付き樹脂基板の製造方法 - Google Patents

ハードコート層付き樹脂基板の製造方法 Download PDF

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亮平 小口
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Abstract

【課題】ハードコート層付き樹脂基板の生産性を向上させることができ、かつ基板材料の選択の自由度も高めることができる方法を提供する
【解決手段】樹脂基板の少なくとも一方の面上にハードコート層を有する、ハードコート層付き樹脂基板の製造方法を提供する。この方法は、オルガノポリシロキサン、および濃度0.001質量%のアセトニトリル溶液について光路長1cmの条件で測定した波長220nmにおける吸光度が0.2以上の紫外線吸収剤を含むハードコート剤組成物を、前記樹脂基板の少なくとも一方の面上に塗布して前記組成物からなる塗膜を形成した後、前記塗膜に低酸素雰囲気下、Xeエキシマ光照射処理を施して硬化膜を形成する工程と、前記硬化膜を酸化処理した後、熱処理を施してハードコート層とする工程と、を具備する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハードコート層付き樹脂基板の製造方法に関する。
近年、自動車等の車輌用の窓材や家屋、ビル等の建物に取り付けられる建材用の窓材として、無機ガラス板に代わって透明樹脂板の需要が高まっている。特に、自動車等の車両では軽量化のために、窓材に透明樹脂板を用いることが提案されており、とりわけ芳香族ポリカーボネート系の透明樹脂板は、耐破壊性、透明性、軽量性、易加工性等に優れるため、有望な車両用窓材としてその使用が検討されている。しかしながら、このような透明樹脂板は、ガラス板の代わりに使用するには耐擦傷性の点で問題があった。
そこで、透明樹脂板の耐擦傷性を向上させる目的で、種々のハードコート剤を用いて透明樹脂板の表面に高硬度の被膜(ハードコート層)を形成することが提案されている。またその際、透明樹脂板とハードコート層との密着性を高めるために、透明樹脂板上にプライマー層を設けることも提案されている。
ところで、上記ハードコート剤には、高硬度の被膜を形成させるために、一般に、シラノール基の縮合反応によって硬化するオルガノポリシロキサンをベースとした組成物が使用されている。そして、ハードコート層は、このような組成物を透明樹脂板、またはプライマー層を形成した透明樹脂板上に塗布した後、この塗膜を硬化させるため、120℃前後の温度で1時間程度加熱するか、またはその後さらに塗膜に光を照射することにより形成している(例えば、特許文献1等参照)。
しかしながら、このような従来のハードコート剤、ハードコート層形成方法では、塗膜の硬化に120℃前後の温度で1時間程度という熱処理が必要であるために、連続塗工プロセスへの適用が困難であり、生産性を向上させることができないという問題があった。また、基材の透明樹脂板はそのような熱処理に耐え得るものでなければならないことから、その材料が限定されるという問題もあった。
国際公開第2009−110152号公報
本発明は、上記従来技術の課題に対処してなされたもので、樹脂基板上に十分な耐擦傷性を有するハードコート層が形成されたハードコート層付き樹脂基板の生産性を向上させることができ、かつ基板材料の選択の自由度も高めることができる、ハードコート層付き樹脂基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、樹脂基板の少なくとも一方の面上にハードコート層を有する、ハードコート層付き樹脂基板の製造方法であって、オルガノポリシロキサン、および濃度0.001質量%のアセトニトリル溶液について光路長1cmの条件で測定した波長220nmにおける吸光度が0.2以上の紫外線吸収剤を含むハードコート剤組成物を、前記樹脂基板の少なくとも一方の面上に塗布して前記組成物からなる塗膜を形成した後、前記塗膜に低酸素雰囲気下、Xeエキシマ光照射処理を施して硬化膜を形成する工程と、前記硬化膜を酸化処理した後、熱処理を施してハードコート層とする工程と、を具備することを特徴とするものである。
ここで、本明細書において用いる「硬化膜」とは、オルガノポリシロキサンを含むハードコート剤組成物が塗膜の形態で後述の説明の通り光により縮合硬化することで得られる硬化膜をいう。「ハードコート層」とは、表面保護のために樹脂基板に設けられる被膜の最終形態をいい、一般的には上記硬化膜をそのままハードコート層とすることもあるが、本発明に係るハードコート層においては、上記硬化膜にさらに表面処理(酸化処理/熱処理)を施して得られる表面保護被膜がハードコート層である。
本発明によれば、樹脂基板上に十分な耐擦傷性を有するハードコート層が形成されたハードコート層付き樹脂基板の生産性を向上させることができるとともに、基板に用いる材料選択の自由度を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
<本発明のハードコート層付き樹脂基板の製造方法>
本発明の製造方法が対象とするハードコート層付き樹脂基板は、樹脂基板の少なくとも一方の面上にハードコート層を有するものである。なお、本明細書において、「樹脂基板の面上にハードコート層を有する」とは、樹脂基板の面上に直接ハードコート層を有する場合に加えて、樹脂基板の面上に後述するプライマー層のような機能層を介してハードコート層を有する場合も含むものである。すなわち、樹脂基板上に、プライマー層等の機能層、ハードコート層が順に積層された構成のハードコート層付き樹脂基板も本発明の製造方法が適用可能である。
このようなハードコート層付き樹脂基板の製造において、本発明の製造方法は、以下に説明する(1)オルガノポリシロキサンおよび紫外線吸収剤を含むハードコート剤組成物の硬化膜を形成する工程(以下「硬化膜形成工程」という)と、(2)酸化処理/熱処理工程を有する。
(1)硬化膜形成工程
本発明の製造方法における硬化膜形成工程は、オルガノポリシロキサンおよび紫外線吸収剤を含むハードコート剤組成物を樹脂基板の少なくとも一方の面上に塗布して前記組成物からなる塗膜を形成した後、得られた塗膜にXeエキシマ光照射処理を施して硬化膜を形成する工程である。
(1−1)樹脂基板
本発明に用いる樹脂基板を構成する樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ハロゲン化ビスフェノールAとエチレングリコールとの重縮合物、アクリルウレタン樹脂、ハロゲン化アリール基含有アクリル樹脂等が挙げられる。
これらのなかでも芳香族系ポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート樹脂やポリメチルメタクリレート系アクリル樹脂等のアクリル樹脂が好ましく、ポリカーボネート樹脂がより好ましい。さらに、ポリカーボネート樹脂のなかでも特にビスフェノールA系ポリカーボネート樹脂が好ましい。なお、樹脂基板は、上記のような熱可塑性樹脂を2種以上含んでもよいし、これらの樹脂を用いて、2層以上積層された積層基板であってもよい。また、樹脂基板の形状は、特に限定されず、平板であってもよいし、湾曲していてもよい。さらに、樹脂基板の色調は無色透明または着色透明であることが好ましい。
(1−2)ハードコート剤組成物の調製
本発明の製造方法に用いるハードコート剤組成物は、必須成分としてオルガノポリシロキサンおよび紫外線吸収剤を含有し、さらに必要に応じて添加される任意成分を本発明の効果を損なわない範囲で含有する。以下、ハードコート剤組成物が含有する各成分について説明する。
(オルガノポリシロキサン)
本発明の製造方法に用いるハードコート剤組成物が含むオルガノポリシロキサンとしては、硬化性のオルガノポリシロキサンであれば、特に制限なく用いることができる。
オルガノポリシロキサンはM単位、D単位、T単位、Q単位と呼ばれる含ケイ素結合単位から構成される。このうち、硬化性のオルガノポリシロキサンは主としてT単位またはQ単位から構成されるオリゴマー状のポリマーであり、T単位のみから構成されるポリマー、Q単位のみから構成されるポリマー、T単位とQ単位から構成されるポリマーがある。またそれらポリマーはさらに少量のM単位やD単位を含むこともある。
硬化性のオルガノポリシロキサンにおいて、T単位は、1個のケイ素原子を有し、そのケイ素原子に結合した1個の水素原子または1価の有機基と、他のケイ素原子に結合した酸素原子(または他のケイ素原子に結合できる官能基)3個とを有する単位である。ケイ素原子に結合した1価の有機基はケイ素原子に結合する原子が炭素原子である1価の有機基である。他のケイ素原子に結合できる官能基は水酸基または加水分解により水酸基となる基(以下加水分解性基という)である。他のケイ素原子に結合した酸素原子と他のケイ素原子に結合できる官能基の合計は3個であり、他のケイ素原子に結合した酸素原子と他のケイ素原子に結合できる官能基の数の違いにより、T単位はT1、T2、T3と呼ばれる3種の単位に分類される。T1は他のケイ素原子に結合した酸素原子の数が1個、T2はその酸素原子の数が2個、T3はその酸素原子の数が3個である。本明細書等においては、他のケイ素原子に結合した酸素原子をOで表し、他のケイ素原子に結合できる1価の官能基をZで表す。
なお、他のケイ素原子に結合した酸素原子を表すOは、2個のケイ素原子間を結合する酸素原子であり、Si−O−Siで表される結合中の酸素原子である。したがって、Oは、2つの含ケイ素結合単位のケイ素原子間に1個存在する。言い換えれば、Oは、2つの含ケイ素結合単位の2つのケイ素原子に共有される酸素原子を表す。後述の含ケイ素結合単位の化学式において、1つのケイ素原子にOが結合している様に表現するが、このOは他の含ケイ素結合単位のケイ素原子と共有している酸素原子であり、2つの含ケイ素結合単位がSi−O−O−Siで表される結合で結合することを意味するものではない。
前記M単位は上記有機基3個とO1個を有する単位、D単位は上記有機基2個とO2個(またはO1個とZ基1個)を有する単位、Q単位は上記有機基0個とO4個(またはO1〜3個とZ基3〜1個の計4個)を有する単位である。それぞれの含ケイ素結合単位は、他のケイ素原子に結合した酸素原子(O)を有しない(Z基のみを有する)化合物(以下モノマーともいう)から形成される。T単位を形成するモノマーを以下Tモノマーという。M単位、D単位、Q単位を形成するモノマーも同様にMモノマー、Dモノマー、Qモノマーという。
モノマーは、(R’−)Si(−Z)4−aで表される。ただし、aは0〜3の整数、R’は水素原子または1価の有機基、Zは水酸基または他のケイ素原子に結合できる1価の官能基を表す。この化学式において、a=3の化合物がMモノマー、a=2の化合物がDモノマー、a=1の化合物がTモノマー、a=0の化合物がQモノマーである。モノマーにおいて、Z基は通常加水分解性基である。また、R’が2または3個存在する場合(aが2または3の場合)、複数のR’は異なっていてもよい。R’としては、後述の好ましいRと同じ範疇のものが好ましい。
硬化性オルガノポリシロキサンは、モノマーのZ基の一部をOに変換する反応により得られる。オルガノポリシロキサンが2種以上の含ケイ素結合単位を含むコポリマーの場合、通常、これらコポリマーはそれぞれ対応するモノマーの混合物から得られる。モノマーのZ基が加水分解性基の場合、Z基は加水分解反応により水酸基に変換され、次いで別々のケイ素原子に結合した2個の水酸基の間における脱水縮合反応により、2個のケイ素原子が酸素原子(O)を介して結合する。硬化性オルガノポリシロキサン中には水酸基(または加水分解しなかったZ基)が残存し、硬化性オルガノポリシロキサンの硬化の際にこれら水酸基やZ基が上記と同様に反応して硬化する。硬化性オルガノポリシロキサンの硬化物は3次元的に架橋したポリマーであり、T単位やQ単位の多い硬化性オルガノポリシロキサンの硬化物は架橋密度の高い硬化物となる。硬化の際、硬化性オルガノポリシロキサンのZ基がOに変換されるが、Z基(特に水酸基)の一部は残存し、水酸基を有する硬化物となると考えられる。硬化性オルガノポリシロキサンを高温で硬化させた場合は水酸基がほとんど残存しない硬化物となることもある。
モノマーのZ基が加水分解性基である場合、そのZ基としては、アルコキシ基、塩素原子、アシルオキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。多くの場合、モノマーとしてはZ基がアルコキシ基のモノマーが使用される。アルコキシ基は塩素原子等と比較すると反応性の比較的低い加水分解性基であり、Z基がアルコキシ基であるモノマーを使用して得られる硬化性オルガノポリシロキサン中にはZ基として水酸基とともに未反応のアルコキシ基が存在することが多い。モノマーのZ基が反応性の比較的高い加水分解性基(例えば塩素原子)の場合、そのモノマーを使用して得られる硬化性オルガノポリシロキサン中のZ基はそのほとんどが水酸基となる。したがって、通常の硬化性オルガノポリシロキサンにおいては、それを構成する各単位におけるZ基は、水酸基からなるかまたは水酸基とアルコキシ基からなることが多い。
本発明においては、これら硬化性のオルガノポリシロキサンのうちでも、T単位を主な含ケイ素結合単位として構成される硬化性のオルガノポリシロキサンが好ましく用いられる。以下、特に言及しない限り、硬化性のオルガノポリシロキサンを単にオルガノポリシロキサンという。ここで、本明細書において、T単位を主な構成単位とするオルガノポリシロキサン(以下、必要に応じて「オルガノポリシロキサン(T)」という。)とは、M単位、D単位、T単位およびQ単位の合計数に対するT単位数の割合が50〜100%のオルガノポリシロキサンをいうが、本発明においてより好ましくは、該T単位数の割合が70〜100%のオルガノポリシロキサンを、特に好ましくは該T単位数の割合が90〜100%のオルガノポリシロキサンを用いるものである。また、T単位以外に少量含まれる他の単位としてはD単位とQ単位が好ましく、特にQ単位が好ましい。
すなわち、本発明においては、これら硬化性のオルガノポリシロキサンのうちでも、T単位とQ単位のみで構成され、その個数の割合がT:Q=90〜100:10〜0であるオルガノポリシロキサンが特に好ましく用いられる。
なお、オルガノポリシロキサンにおけるM単位、D単位、T単位、Q単位の数の割合は、29Si−NMRによるピーク面積比の値から計算できる。
本発明に好ましく用いられるオルガノポリシロキサン(T)は、下記T1〜T3で表されるT単位を有するオルガノポリシロキサンである。
T1:R−Si(−OX)(−O−)
T2:R−Si(−OX)(−O−)
T3:R−Si(−O−)
(式中、Rは水素原子または炭素数が1〜10の置換または非置換の1価の有機基を表し、Xは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Oは2つのケイ素原子を連結する酸素原子を表す)
上記化学式におけるRは、1種に限定されず、T1、T2、T3はそれぞれ複数種のRを含んでいてもよい。また、上記化学式における−OXは水酸基またはアルコキシ基を表す。−OXはT1およびT2の間で同一であっても異なっていてもよい。T1における2つの−OXは異なっていてもよく、例えば、一方が水酸基で他方がアルコキシ基であってもよい。また、2つの−OXがいずれもアルコキシ基である場合、それらのアルコキシ基は異なるアルコキシ基であってもよい。ただし、後述のように、通常は2つのアルコキシ基は同一のアルコキシ基である。
なお、2個のケイ素原子を結合する酸素原子(O)を有しない、−OXのみを3個有するT単位を以下T0という。T0は、実際には、オルガノポリシロキサン中に含まれる未反応のTモノマーに相当し、含ケイ素結合単位ではない。このT0は、T1〜T3の単位の解析においてT1〜T3と同様に測定される。
オルガノポリシロキサン中のT0〜T3は、核磁気共鳴分析(29Si−NMR)によりオルガノポリシロキサン中のケイ素原子の結合状態を測定して解析できる。T0〜T3の数の比は、29Si−NMRのピーク面積比から求める。オルガノポリシロキサン分子中の−OXは、赤外吸光分析により解析できる。ケイ素原子に結合した水酸基とアルコキシ基の数の比は両者の赤外吸収ピークのピーク面積比から求める。オルガノポリシロキサンの質量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、および分散度Mw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレンを標準物質として測定した値をいう。このようなオルガノポリシロキサンの特性は、分子1個の特性をいうものではなく、各分子の平均の特性として求められるものである。
オルガノポリシロキサン(T)中には、1分子中に複数存在するT1、T2、T3はそれぞれ異なる2種以上が存在していてもよい。例えば、Rが異なる2種以上のT2が存在していてもよい。このようなオルガノポリシロキサンは2種以上のTモノマーの混合物から得られる。例えば、Rが異なる2種以上のTモノマーの混合物から得られるオルガノポリシロキサン中には、Rが異なるそれぞれ2種以上のT1、T2、T3が存在すると考えられる。Rが異なる複数のTモノマーの混合物から得られたオルガノポリシロキサン中の異なるRの数の比は、T単位全体として、Rが異なるTモノマー混合物の組成比を反映している。しかし、T1、T2、T3それぞれにおけるRが異なる単位の数の比は、Rが異なるTモノマー混合物の組成比を反映しているとは限らない。なぜならば、たとえTモノマーにおける3個の−OXが同一であっても、Tモノマー、T1、T2の反応性がRの相違によって異なる場合があるからである。
オルガノポリシロキサン(T)は、R−Si(−OY)で表されるTモノマーの少なくとも1種から製造されることが好ましい。この式において、Rは前記のRと同一であり、Yは炭素数1〜6のアルキル基を表す。Yは非置換のアルキル基以外に、アルコキシ置換アルキル基等の置換アルキル基であってもよい。1分子中の3個のYは異なっていてもよい。しかし、通常は3個のYは同一のアルキル基である。Yは、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、炭素数1または2であることがより好ましい。具体的なYとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−メトキシエチル基等が挙げられる。
Rは水素原子または炭素数が1〜10の置換または非置換の1価の有機基である。有機基とは、前記のようにケイ素原子に結合する原子が炭素原子である有機基をいう。
非置換の1価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルアルキル基等の炭化水素基が挙げられる。これら炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基やアルキニル基、炭素数5または6のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアルアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
置換の1価の有機基としては、シクロアルキル基、アリール基、アルアルキル基等の環の水素原子がアルキル基で置換された炭化水素基、前記炭化水素基の水素原子がハロゲン原子、官能基、官能基含有有機基等で置換された置換有機基等がある。官能基としては水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、シアノ基等が好ましい。ハロゲン原子置換有機基としては、クロロアルキル基、ポリフルオロアルキル基等の塩素原子またはフッ素原子を有するアルキル基が好ましい。官能基含有有機基としては、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、グリシジル基、エポキシシクロヘキシル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、N−アミノアルキル置換アミノアルキル基等が好ましい。特に、塩素原子、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、グリシジル基、アルキルアミノ基、N−アミノアルキル置換アミノアルキル基等が好ましい。官能基や官能基含有有機基等で置換された置換有機基を有するTモノマーはシランカップリング剤と呼ばれる範疇の化合物を含む。
置換有機基の具体例としては、以下の有機基が挙げられる。3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−メルカプトプロピル基、p−メルカプトメチルフェニルエチル基、3−アクリロイルオキシプロピル基、3−メタクリロイルオキシプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−アミノプロピル基、N−フェニル−3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、2−シアノエチル基。
上記Rとして特に好ましい1価有機基は、炭素数1〜4のアルキル基である。オルガノポリシロキサン(T)としては、炭素数1〜4のアルキル基を有するTモノマーの単独またはその2種以上を使用して得られるオルガノポリシロキサンが好ましい。また、オルガノポリシロキサン(T)として炭素数1〜4のアルキル基を有するTモノマーの1種以上と少量の他のTモノマーを使用して得られるオルガノポリシロキサンもまた好ましい。他のTモノマーの割合はTモノマー全量に対し30モル%以下、特に15モル%以下が好ましい。他のTモノマーとしては、シランカップリング剤と呼ばれる範疇の、官能基や官能基含有有機基等で置換された置換有機基を有するTモノマーが好ましい。
炭素数1〜4のアルキル基を有するTモノマーの具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランが挙げられる。特に、メチルトリメトキシシランとエチルトリメトキシシランが好ましい。置換有機基等を有するTモノマーの具体例としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−シアノエチルトリメトキシシラン。
R−Si(−OY)で表されるTモノマー以外の(R’−)Si(−Z)4−aで表されるTモノマー(a=1)としては、例えば、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、3−グリシドキシプロピルトリクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン等が挙げられる。
(R’−)Si(−Z)4−aで表されるDモノマー(a=2)において、2個のR’は同一であっても、異なっていてもよい。同一の場合は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。異なる場合は、一方のR’が炭素数1〜4のアルキル基であり、他方のR’が前記官能基や官能基含有有機基等で置換された置換有機基であることが好ましい。また、Z基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、アセトキシ基等が好ましい。Dモノマーとしては、例えば、下記の化合物が挙げられる。
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジアセトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−シアノエチルメチルジメトキシシラン。
(R’−)Si(−Z)4−aで表されるQモノマー(a=0)において、4個のZ基は異なっていてもよいが、通常は同一である。Z基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基またはエトキシ基であることが好ましい。Qモノマーとしては、例えば、下記の化合物が挙げられる。
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン。
本発明に用いるオルガノポリシロキサン(T)は、上記Tモノマー等を部分加水分解縮合させることによって得られる。通常、Tモノマー等と水とを溶媒中で加熱することによりこの反応を行う。反応系には触媒を存在させることが好ましい。モノマーの種類、水の量、加熱温度、触媒の種類や量、反応時間等の反応条件を調節して目的のオルガノポリシロキサンを製造することができる。また、場合によっては市販のオルガノポリシロキサンをそのまま目的のオルガノポリシロキサンとして使用することや、市販のオルガノポリシロキサンを使用して目的とするオルガノポリシロキサンを製造することも可能である。
上記触媒としては、酸触媒が好ましい。酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。特に、酢酸が好ましい。上記溶媒としては親水性の有機溶媒が好ましく、特にアルコール系溶媒が好ましい。アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−エトキシエタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ブトキシエタノール等が挙げられる。反応温度は、触媒が存在する場合、室温で反応させることができる。通常は、20〜80℃の反応温度から目的に応じて適切な温度を採用する。
加水分解縮合反応はT0(Tモノマー)からT1が生成し、T1からT2が生成し、T2からT3が生成する反応である。加水分解性基の1個以上が水酸基変換されたT0からT1が生成する縮合反応、2個の−OXの少なくとも一方が水酸基であるT1からT2が生成する縮合反応、−OXが水酸基であるT2からT3が生成する縮合反応、の反応速度はこの順に遅くなると考えられる。加水分解性基の加水分解反応を考慮しても、反応が進むにしたがって各単位の存在量のピークはT0からT3へ移動していくと考えられる。反応条件が比較的温和である場合には存在量のピークの移動は比較的整然と進行すると考えられる。一方、反応条件が比較的激しい場合には反応がランダムに進行し各単位の存在量の分布は平板なものになり、T2やT3の存在量に対しT0やT1の存在量が多くなりやすい。後述のように、本発明に用いるオルガノポリシロキサン(T)のうちでもオルガノポリシロキサン(a)は、T0やT1の存在量が少なく、かつT2とT3の存在量の比が特定の範囲にある比較的高分子量のオルガノポリシロキサンであり、このようなオルガノポリシロキサンは比較的温和な反応条件を選択することにより製造することができる。
上記縮合反応の反応性はRによって変化し、Rが異なると水酸基の反応性も変化する。通常Rが小さいほど(例えば、Rがアルキル基の場合、アルキル基の炭素数が少ないほど)、水酸基の反応性は高い。したがって、加水分解性基の反応性と水酸基の反応性の関係を考慮して、Tモノマーを選択することが好ましい。
さらに、加水分解性基の水酸基への加水分解反応の速度は、加水分解性基の種類により変化し、縮合反応の速度との関係を考慮することが好ましい。例えば、T2のOX基がアルコキシ基である場合、その加水分解反応の速度が遅すぎると、OX基が水酸基であるT2が少なくなる。同様に、加水分解反応の速度が遅すぎるとOX基が水酸基であるT1が少なくなる。このため、オルガノポリシロキサン中のアルコキシ基に対する水酸基の存在量の比が高いものを得ることが困難となる。このため、OX基であるアルコキシ基は反応性の高いアルコキシ基、すなわち炭素数の低いアルコキシ基が好ましく、メトキシ基がもっとも好ましい。加水分解性基の反応性が充分高い場合、加水分解性基の割合の高いオルガノポリシロキサンから、縮合反応をあまり進めることなく、水酸基の割合の高いオルガノポリシロキサンを得ることができる。
本発明に用いるハードコート剤組成物には、このようにして得られる硬化性のオルガノポリシロキサン(T)の1種を単独で配合することも、2種以上を併用して配合することも可能である。耐擦傷性の観点から特に好ましいオルガノポリシロキサン(T)の組み合わせとして、オルガノポリシロキサン(a)およびオルガノポリシロキサン(b)の組み合わせについて以下に説明するが、本発明に用いる硬化性オルガノポリシロキサンがこれらに限定されるものではない。また、オルガノポリシロキサン(a)およびオルガノポリシロキサン(b)が、それぞれ単独でオルガノポリシロキサン(T)として本発明に使用されることを妨げるものでもない。
(オルガノポリシロキサン(a))
オルガノポリシロキサン(a)は、T1〜T3の各単位を、T1:T2:T3=0〜5:15〜40:55〜85、かつT3/T2=1.5〜4.0の割合で含む。また、オルガノポリシロキサン(a)中のOX基について、それがアルコキシ基である個数(A)とそれが水酸基である個数(B)との割合、(B)/(A)が分子平均で12.0以上である。かつ、オルガノポリシロキサン(a)の質量平均分子量は800〜8000である。なお、オルガノポリシロキサン(a)は、TモノマーであるT0を実質的に含まない。
オルガノポリシロキサン(a)を構成するT1、T2およびT3の割合については、(T2+T3)/(T1+T2+T3)が0.85〜1.00の範囲にあることが好ましく、0.90以上1.00未満であることがより好ましい。また、T3/T2については、好ましい範囲は2.0〜4.0である。
オルガノポリシロキサン(a)を構成するT1、T2およびT3の割合を、各分子の平均組成でこのような範囲にすることで、オルガノポリシロキサン(a)と後述するオルガノポリシロキサン(b)とを組み合わせて本発明に係るハードコート剤組成物に用いた際に、最終的に得られるハードコート層の耐擦傷性を向上させることができる。
オルガノポリシロキサン(a)における(B)/(A)は、縮合反応性を示すパラメータであり、この値が大きいほど、つまりアルコキシ基に比べて水酸基の割合が多いほど、オルガノポリシロキサン(a)とオルガノポリシロキサン(b)とを組み合わせてハードコート剤組成物とした際に、硬化膜形成時の硬化反応が促進される。また、硬化膜形成時に未反応で残ったアルコキシ基は、最終的に得られるハードコート層の耐擦傷性の低下を招くおそれがあり、後硬化が進行すればマイクロクラックの原因ともなるため、アルコキシ基に比べて水酸基の割合が多いほどよい。オルガノポリシロキサン(a)における(B)/(A)は、12.0以上であるが、好ましくは16.0以上である。なお、(A)は0であってもよい。
(B)/(A)の値が12.0未満であると、アルコキシ基に比べて水酸基の割合が少なすぎて、硬化反応促進の効果が得られず、またアルコキシ基の影響により耐擦傷性の低下を招くおそれがあり、後硬化が進行してマイクロクラックの原因となる。つまり、(B)/(A)の値が12.0未満であると、硬化膜形成に際して、オルガノポリシロキサン(a)とオルガノポリシロキサン(b)の硬化反応により形成される3次元架橋構造(ネットワーク)に、オルガノポリシロキサン(a)の一部が組み込まれずブリードアウトしやすくなること等に起因して、架橋密度が低下し、耐摩耗性が得られない、硬化が十分に進行しにくくなる等の問題が発生する。
オルガノポリシロキサン(a)の質量平均分子量は800〜8000であり、好ましくは、1000〜6000である。オルガノポリシロキサン(a)の質量平均分子量がこの範囲にあることで、オルガノポリシロキサン(a)とオルガノポリシロキサン(b)とを組み合わせて本発明のハードコート剤組成物に用いた際に、最終的に得られるハードコート層の耐擦傷性を十分に向上させることができる。
本発明において、特に耐擦傷性に優れたハードコート層を形成するためのハードコート剤組成物に用いるオルガノポリシロキサン(a)を得るには、原料の加水分解性シラン化合物として、全Tモノマー中70質量%以上がメチルトリアルコキシシラン、好ましくはアルコキシ基の炭素数は1〜4を用いることが好ましい。ただし、密着性の改善、親水性、撥水性等の機能発現を目的として少量のメチルトリアルコキシシラン以外のTモノマーを併用することもできる。
オルガノポリシロキサン(a)を製造する方法としては、上記のように、溶媒中で酸触媒存在下にTモノマー等を加水分解縮合反応させる。ここで加水分解に必要な水は、モノマー1当量に対して通常、水1〜10当量、好ましくは1.5当量〜7当量、さらに好ましくは3〜5当量である。モノマーを加水分解および縮合する際に、コロイダルシリカ(後述する)が存在する反応系で行うこともでき、このコロイダルシリカとして水分散型のコロイダルシリカを使用した場合は、水はこの分散液から供給される。酸触媒の使用量は、モノマー100質量部に対して、0.1〜50質量部が好ましく、1〜20質量部が特に好ましい。溶媒としては、前記アルコール系溶媒が好ましく、得られるオルガノポリシロキサン(a)の溶解性が良好な点から、具体的には、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールが特に好ましい。
通常、反応温度は20〜40℃、反応時間は1時間〜数日間が採用される。モノマーの加水分解縮合反応は発熱反応であるが、系の温度は60℃を超えないことが好ましい。このような条件で十分に加水分解反応を進行させ、ついで、得られるオルガノポリシロキサンの安定化のため40〜80℃で1時間〜数日間縮合反応を進行させることも好ましく行われる。
オルガノポリシロキサン(a)は、また、市販のオルガノポリシロキサンから製造することができる。市販のオルガノポリシロキサンは通常水酸基に比較してアルコキシ基の割合が高いオルガノポリシロキサンであるので、特に、前記(B)/(A)以外は目的とするオルガノポリシロキサン(a)に類似した市販のオルガノポリシロキサンを使用して加水分解反応で水酸基の割合を高めて、オルガノポリシロキサン(a)を製造することが好ましい。
オルガノポリシロキサン(a)の原料として使用できる市販のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物である以下のオルガノポリシロキサンがある。なお、「ND」の表記は、核磁気共鳴分析装置、日本電子株式会社製、ECP400(商品名)を用いて29Si−NMRのピーク面積比を測定した際に、検出量以下であることを示す(以下同様)。
メチル系シリコーンレジンKR−220L(商品名、信越化学工業社製);T0:T1:T2:T3=ND:ND:28:72、Si−OH/SiO−CH=11.7、質量平均分子量Mw=4720、数平均分子量Mn=1200、Mw/Mn=3.93。
メチル系シリコーンレジンKR−500(商品名、信越化学工業社製);T0:T1:T2:T3=ND:15:58:27、Si−OH基由来のピークはFT−IRにより確認されず、実質SiO−CHのみ存在。Mw=1240、Mn=700、Mw/Mn=1.77。
上記のような市販のオルガノポリシロキサンからオルガノポリシロキサン(a)を製造する場合、市販のオルガノポリシロキサンを、酸触媒存在下で主にアルコキシ基の加水分解を行うことが好ましい。例えば、市販のオルガノポリシロキサンに0〜10倍量(質量)の溶媒を加え、よく撹拌し、次いで0.1〜70質量%程度の濃度の酸水溶液を添加して、15〜80℃、好ましくは20〜70℃の温度で1〜24時間撹拌する等の方法が挙げられる。用いる溶媒としては水溶媒が使用でき、そのほか水を添加した前記アルコール系溶媒も使用できる。
(オルガノポリシロキサン(b))
本発明に用いるハードコート剤組成物に上記オルガノポリシロキサン(a)と組み合わせて用いるオルガノポリシロキサン(b)は、オルガノポリシロキサン(a)の質量平均分子量の1/10〜1/1.5倍(すなわち(0.1〜0.67)倍)の質量平均分子量を有するオルガノポリシロキサンである。オルガノポリシロキサン(b)は、組み合わされるオルガノポリシロキサン(a)よりも質量平均分子量の小さいオルガノポリシロキサンであり、前記T1〜T3単位を有する。T1、T2、T3の数の比、T3/T2の割合、前記した(B)/(A)の比は特に限定されない。
オルガノポリシロキサン(b)の質量平均分子量は、好ましくは組み合わされるオルガノポリシロキサン(a)の1/8〜1/1.5倍(すなわち(0.125〜0.67)倍)である。オルガノポリシロキサン(b)の質量平均分子量がオルガノポリシロキサン(a)の質量平均分子量の1/1.5倍を超えると、言い換えれば、オルガノポリシロキサン(a)の質量平均分子量がオルガノポリシロキサン(b)の質量平均分子量の1.5倍未満では、最終的に得られるハードコート層の靱性が低下し、クラックの発生の要因となる。また、オルガノポリシロキサン(b)の質量平均分子量がオルガノポリシロキサン(a)の質量平均分子量の1/10倍未満では、言い換えれば、オルガノポリシロキサン(a)の質量平均分子量がオルガノポリシロキサン(b)の質量平均分子量の10倍を超えると、最終的に得られるハードコート層の耐擦傷性が低くなり、十分な耐擦傷性を有するハードコート層を得ることができない可能性がある。
より好ましいオルガノポリシロキサン(b)は、T0、T1、T2およびT3で示される各含ケイ素結合単位が、これらの単位の個数の割合で、T0:T1:T2:T3=0〜5:0〜50:5〜70:10〜90の範囲にあるオルガノポリシロキサンである。オルガノポリシロキサン(b)中のT0およびT1の割合が大きいということは、一般にそのオルガノポリシロキサンを製造する際に、原料モノマーの加水分解反応や縮合反応が不充分であったことを示す。オルガノポリシロキサン(b)において、T0およびT1の割合が大きいと、これとオルガノポリシロキサン(a)とを含有するハードコート剤組成物を用いて、硬化膜を形成させる際の熱硬化時に、クラックの発生が多くなる傾向となる。また、一般にオルガノポリシロキサンを製造する際に、原料モノマーの縮合反応を進行させすぎると得られるオルガノポリシロキサンのT3の割合が高くなる。オルガノポリシロキサン(b)において、T3の割合が必要以上に高くなると、これとオルガノポリシロキサン(a)を含むハードコート剤組成物を用いて、硬化膜を形成させる際の熱硬化時に、適切な架橋反応が困難になるため、硬化膜を形成できなくなるおそれがあり、また最終的に十分な耐擦傷性を有するハードコート層を得ることができないことがある。
オルガノポリシロキサン(b)としては、オルガノポリシロキサン(a)と同様にTモノマー等から製造することができる。また、市販のオルガノポリシロキサンをそのままオルガノポリシロキサン(b)として使用することができる。オルガノポリシロキサン(b)として使用することができる市販のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記のオルガノポリシロキサンがある。なお、「trace」の表記は、核磁気共鳴分析装置、日本電子株式会社製、ECP400(商品名)を用いて29Si−NMRのピーク面積比を測定した際に、0.01以上0.25以下であることを示す(以下同様)。
トスガード510(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製);分子量:Mn=1370、Mw=1380、Mw/Mn=1.01。T単位の個数:(M単位とD単位とQ単位のそれぞれの個数の総量)=99.9以上:ND。T0:T1:T2:T3=ND:2:36:62。
KP851(商品名、信越化学工業社製);分子量:Mn=1390、Mw=1400、Mw/Mn=1.01、T単位の個数:(M単位とD単位とQ単位のそれぞれの個数の総量)=99.9以上:ND。T0:T1:T2:T3=trace:21:58:21。
ここで、以下に説明する本発明に用いるハードコート剤組成物においては、上記オルガノポリシロキサン(a)に対するオルガノポリシロキサン(b)の含有量の割合は、質量比で、1.5〜30倍であることが好ましく、2〜15倍であることがより好ましい。本発明に用いるハードコート剤組成物において、このような割合で両者を含有すれば、硬化反応により形成されるオルガノポリシロキサン3次元架橋構造が、オルガノポリシロキサン(b)主体の3次元架橋構造中に(a)成分オルガノポリシロキサンが部分的に組み込まれた構成となり、最終的に得られるハードコート層の耐擦傷性を良好なものとすることができる。
本発明に用いるハードコート剤組成物は、上記硬化性のオルガノポリシロキサン、好ましくはオルガノポリシロキサン(T)を含有する。ハードコート剤組成物におけるオルガノポリシロキサンの含有量は、溶媒を除く組成物(以下、必要に応じて「不揮発成分」という)全量に対して、50〜100質量%であることが好ましく、60〜95質量%であることがより好ましい。本発明において、不揮発成分の量は、150℃で45分間保持した後の質量変化に基づいて測定している。
(紫外線吸収剤)
本発明の製造方法に用いるハードコート剤組成物が含む紫外線吸収剤としては、紫外線吸収剤濃度0.001質量%のアセトニトリル溶液について光路長1cmの条件で測定した波長220nmにおける吸光度が0.2以上という吸光特性を有するものであれば、特に制限なく用いることができる。樹脂基板の黄変を抑制するために、紫外線吸収剤は、上記と同様の方法で測定した波長350nmの吸光度が0.1以上という吸光特性を有するものであってもよい。紫外線吸収剤は、単独の化合物であっても、複数の化合物の組み合わせであってもよい。複数の化合物の組み合わせからなる場合、紫外線吸収剤混合物として上記の吸光特性を有していればよい。
なお、本明細書において、紫外線吸収剤の吸光度について、単に「波長λnmにおける吸光度」というときは、特に断らない限り、上記と同様の方法で測定した波長λnmにおける吸光度、すなわち、紫外線吸収剤濃度0.001質量%のアセトニトリル溶液について光路長1cmの条件で測定した波長λnmにおける吸光度をいう。
吸光特性を上記の範囲にするため、紫外線吸収剤は、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ヒドロキシベンゾエート系紫外線吸収剤、ベンゾイミダゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、ベンジリデンマロネート系紫外線吸収剤等の1種または2種以上を用いることができる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ビス[ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン 、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン 、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン 、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン −2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン −2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルと[(C10〜C16、主としてC12〜C13のアルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルとの反応生成物等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメトキシ−5,5'−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメトキシ−5,5'−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−3,3'−ジ(ヒドロキシメチル)−5,5'−ジメトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−3,3'−ジ(2−ヒドロキシエチル)−5,5'−ジメトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 としては、例えば、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−3'−メチル−5'−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−3'−メチル−5'−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−3'−メチル−5'−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−3'−t−オクチル−5'−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−3'−t−オクチル−5'−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−3'−t−オクチル−5'−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール等、あるいは2,2'−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(ヒドロキシメチル)フェノール〕、2,2’;−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2'−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2'−メチレンビス〔6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2'−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール〕、2,2'−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール〕、2,2'−メチレンビス〔6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール〕、2,2'−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール〕、2,2'−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール〕、2,2'−メチレンビス〔6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール〕、3,3−{2,2'−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−1−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕}プロパン、2,2−{2,2'−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−1−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕}ブタン、2,2'−オキシビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2'−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕スルフィド、2,2'−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕スルホキシド、2,2'−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕スルホン、2,2'−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕アミン等が挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシベンゾエート系紫外線吸収剤としては、フェニルサルシレート、4−t−ブチルフェニルサルシレート、2,5−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸n−ヘキサデシルエステル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
ベンゾイミダゾール系紫外線吸収剤としては、フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸およびその塩、フェニレン−ビス−ベンゾイミダゾール−テトラスルホン酸およびその塩等が挙げられる。
サリシレート系紫外線吸収剤としては、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等が挙げられる。
ベンジリデンマロネート系紫外線吸収剤としては、ジメチル−4−メトキシベンジリデンマロネート、テトラエチル−2,2’−(1,4−フェニレン−ジメチリデン)−ビスマロネート等が挙げられる。
本発明の製造方法に好適な紫外線吸収剤の具体例を、構造式、吸光度A220(株式会社島津製作所製 分光光度計 SolidSpec−3700DUVを用いて、濃度0.001質量%のアセトニトリル溶液について光路長1cmで測定した波長220nmにおける吸光度)、市販品の例とともに以下に示す。
まず、トリアジン系紫外線吸収剤として、下記構造式(1)で示される2−[4−(4,6−ビス−ビフェニル−4−イル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−フェノキシ]−プロピオン酸 6−メチル−ヘプチル エステル(吸光度A220:0.41、市販品:TINUVIN 479(商品名、チバ・ジャパン社製)等)、下記構造式(2)で示される2−[4−(4,6−ビス−{2−ヒドロキシ−4−[1−(6−メチル−ヘプチルオキシカルボニル)−エトキシ]−フェニル}−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−フェノキシ]−プロピオン酸 6−メチル−ヘプチル エステル(吸光度A220:0.27、市販品:CGL777(商品名、チバ・ジャパン社製)等)、下記構造式(3)で示される2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルとオキシランとの反応生成物(吸光度A220:0.25、市販品:TINUVIN 400(商品名、チバ・ジャパン社製)等)、下記構造式(4)で示される2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(吸光度A220:0.46、市販品:TINUVIN 460(商品名、チバ・ジャパン社製)等)、下記構造式(5)で示される2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルへキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物(吸光度A220:0.40、市販品:TINUVIN 405(商品名、チバ・ジャパン社製)等)が挙げられる。
Figure 2016016338
Figure 2016016338
また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、下記構造式(6)で示される4,6−ジベンゾイルレゾルシノール(DBR)(吸光度A220:0.36)、下記構造式(7)で示される2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)(吸光度A220:0.62)等が挙げられる。
Figure 2016016338
さらに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、下記構造式(8)で示されるオクチル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)プロピル]プロピオネート(吸光度A220:0.44、市販品:TINUVIN 109(商品名、チバ・ジャパン社製)等)、下記構造式(9)で示される2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(吸光度A220:0.58、市販品:TINUVIN 928(商品名、チバ・ジャパン社製)等)等が挙げられる。
Figure 2016016338
これらの紫外線吸収剤のなかでも、2−[4−(4,6−ビス−ビフェニル−4−イル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−フェノキシ]−プロピオン酸6−メチル−ヘプチル エステル、2−[4−(4,6−ビス−{2−ヒドロキシ−4−[1−(6−メチル−ヘプチルオキシカルボニル)−エトキシ]−フェニル}−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−フェノキシ]−プロピオン酸 6−メチル−ヘプチル エステル、4,6−ジベンゾイルレゾルシノール、オクチル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)プロピル]プロピオネート、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールが、吸光度A220が高い上、350nmの吸光度も高いため、より好ましく用いられる。
ハードコート剤組成物中の紫外線吸収剤の含有量は、特に制限はされないが、通常、オルガノポリシロキサン100質量部に対して、1〜15質量部である。Xeエキシマ光照射による硬化反応が速やかに、かつ十分に進行するよう、紫外線吸収剤は、オルガノポリシロキサン100質量部に対して、2〜5質量部が好ましく、3〜5質量部がより一層好ましい。
(任意成分)
本発明に用いるハードコート剤組成物には、上記オルガノポリシロキサンおよび紫外線吸収剤の他に、種々の添加剤が含まれていてもよい。例えば、本発明のハードコート層付き樹脂基板のハードコート層の耐擦傷性をさらに向上させるためには、シリカ微粒子が含まれるハードコート剤組成物が好ましい。このために、ハードコート剤組成物にコロイダルシリカを配合することが好ましい。コロイダルシリカとは、シリカ微粒子が、水またはメタノール、エタノール、イソブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の有機溶媒中に分散されたものをいう。
シリカ微粒子は、上記オルガノポリシロキサンの製造過程で、原料のモノマーに配合することもできる。コロイダルシリカを含む反応系中でオルガノポリシロキサンを製造することにより、シリカ微粒子を含むオルガノポリシロキサンが得られる。例えば、コロイダルシリカにTモノマーと必要により水や酸触媒を添加し、コロイダルシリカの分散媒中で前記のようにオルガノポリシロキサンを製造することができる。このようにして得られたオルガノポリシロキサンを使用して、シリカ微粒子を含む本発明に用いるハードコート剤組成物を製造することができる。
本発明に係るハードコート剤組成物に用いる上記シリカ微粒子は、平均粒径(BET法)が1〜100nmであることが好ましい。平均粒径が100nmを超えると、粒子が光を乱反射するため、得られるハードコート層の曇価の値が大きくなり、光学品質上好ましくない場合がある。平均粒径は5〜40nmであることがより好ましい。これは、ハードコート層に耐擦傷性を付与しつつ、ハードコート層の透明性を保持するためである。コロイダルシリカは水分散型および有機溶剤分散型のどちらも使用できるが、水分散型を使用することが好ましい。酸性水溶液中で分散させたコロイダルシリカを用いることがより好ましい。コロイダルシリカには、アルミナゾル、チタンゾル、セリアゾル等のシリカ微粒子以外の無機質微粒子を含有させることもできる。
本発明に用いるハードコート剤組成物におけるシリカ微粒子の含有量としては、溶媒を除く組成物(不揮発成分)全量に対して、1〜50質量%となる量が好ましく、5〜40質量%となる量がより好ましい。本発明に用いるハードコート剤組成物における不揮発成分中のシリカ微粒子の含有量が1質量%未満では、得られるハードコート層において十分な耐擦傷性を確保できないことがあり、前記含有量が50質量%を越えると、不揮発成分中の、オルガノポリシロキサンの割合が低くなりすぎて、オルガノポリシロキサンの硬化による硬化膜形成が困難になる、最終的に得られるハードコート層にクラックが発生する、シリカ微粒子同士の凝集が起こってハードコート層の透明性が低下する等のおそれがある。
また、本発明に用いるハードコート剤組成物は、塗工性向上の目的で、消泡剤や粘性調整剤等の添加剤を含んでいてもよく、プライマー層等への密着性向上の目的で密着性付与剤等の添加剤を含んでいてもよく、塗工性および得られる塗膜の平滑性を向上させる目的でレベリング剤を添加剤として含んでいてもよい。これらの添加剤の配合量は、オルガノポリシロキサン100質量部に対して、各添加剤成分毎に0.01〜2質量部となる量が好ましい。また、本発明に用いるハードコート剤組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、染料、顔料、フィラー等を含んでいてもよい。
本発明においては、常温でのハードコート剤組成物のゲル化を防止し、保存安定性を増すために、ハードコート剤組成物のpHを3.0〜6.0に調整することが好ましく、4.0〜5.5に調整することがより好ましい。pHが2.0以下または7.0以上の条件下では、ケイ素原子に結合した水酸基が極めて不安定であるため保存に適さない。pH調整の手法としては、酸の添加、硬化触媒の含有量の調整等が挙げられる。酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。
本発明に用いるハードコート剤組成物は、通常、必須成分であるオルガノポリシロキサンおよび紫外線硬化剤、ならびに任意成分である種々の添加剤等が溶媒中に溶解、分散した形態で調製される。前記ハードコート剤組成物中の全不揮発成分が溶媒に安定に溶解、分散することが必要であり、そのために溶媒は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上のアルコールを含有する。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、4−メチル−2−ペンタノール、および2−ブトキシエタノール等が好ましく、これらのなかでも、オルガノポリシロキサンの溶解性が良好な点、塗工性が良好な点から、沸点が80〜160℃のアルコールが好ましい。具体的には、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、4−メチル−2−ペンタノール、および2−ブトキシエタノールが好ましい。
また、本発明に係るハードコート剤組成物に用いる溶媒としては、オルガノポリシロキサンを製造する際に、原料モノマー、例えばアルキルトリアルコキシシランを加水分解することに伴って発生する低級アルコール等や、水分散型コロイダルシリカ中の水で加水分解反応に関与しない水分、有機溶媒分散系のコロイダルシリカを使用した場合にはその分散有機溶媒も含まれる。
さらに、本発明に用いるハードコート剤組成物においては、上記以外の溶媒として、水/アルコールと混和することができるアルコール以外の他の溶媒を併用してもよい。このような溶媒としては、アセトン、アセチルアセトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。
本発明に係るハードコート剤組成物において用いる溶媒の量は、ハードコート剤組成物中の全不揮発成分100質量部に対して、50〜3000質量部であることが好ましく、150〜2000質量部であることがより好ましい。
本発明に用いるハードコート剤組成物は、上記説明した各種成分を通常の方法で、均一に混合することで得られる。
(1−3)塗布・硬化
本発明の製造方法の(1)硬化膜形成工程においては、上記のようにして調製したハードコート剤組成物を上記の樹脂基板の少なくとも一方の面上に塗布してハードコート剤組成物の塗膜を形成し、得られる塗膜を硬化させる。ハードコート層付き樹脂基板が、樹脂基板とハードコート層の間にプライマー層等の各種機能層を有する場合は、プライマー層等の機能層上にハードコート剤組成物を塗布し、硬化させる。
上記ハードコート剤組成物を塗布する方法としては、特に限定されないが、スプレーコート法、ディップコート法、フローコート法等の通常の塗工方法が挙げられる。用いる塗工方法に応じて、ハードコート剤組成物の粘度、固形分濃度等を適宜調整することが好ましい。
ハードコート剤組成物を塗布後、必要に応じて乾燥操作を行ってもよい。乾燥は、上記のようにして樹脂基板上にハードコート剤組成物を塗布した後、この塗布層を、例えば、常温乃至50℃未満の温度条件下に一定時間、例えば1分〜0.5時間程度置くことで行われ、これにより塗布層中の溶媒の一部または全部除去される。溶媒の乾燥条件としては、連続塗工プロセスへの適用の観点からは、常温〜40℃の温度条件で1分〜10分が好ましい。溶媒の除去は、減圧度を調整しながら真空乾燥等により行ってもよい。
ハードコート剤組成物を樹脂基板等の表面に塗布して形成される塗膜の厚さ(硬化前の厚さ)は、組成物における固形分濃度による。硬化後の膜厚が所定の範囲内になるように、固形分濃度を勘案する等して、適宜調整することが好ましい。
樹脂基板上に施される硬化膜の膜厚は、以下に説明する硬化後の状態で、0.1μm以上20μm以下であることが好ましく、1μm以上10μm以下であることがより好ましく、2μm以上〜10μm以下であることが特に好ましい。本発明の製造方法においては、上記塗膜の硬化後、得られる硬化膜に対して、さらに施される(2)酸化処理/熱処理によって膜厚は変化することはない。したがって、以下の硬化後の膜厚、すなわち硬化膜の膜厚を、最終的に得られるハードコート層の最終膜厚として扱ってよい。ハードコート層の膜厚が小さすぎると、本発明の製造方法によっても、十分な耐擦傷性を確保することが困難である可能性がある。一方、ハードコート層の膜厚が大きすぎると、クラックや剥離が発生しやすくなるおそれがある。したがって、十分な耐擦傷性を確保しつつ、クラックや剥離の発生を抑制するためには、硬化膜の膜厚(すなわち、プライマー層等の機能層の膜厚を除いたハードコート層の膜厚)は、0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。
このようにして上記樹脂基板等の少なくとも一方の面上に形成されたハードコート剤組成物の塗膜に、次いで、Xeエキシマ光照射処理を施すことによって、上記オルガノポリシロキサンを硬化させる。なお、本明細書において、「ハードコート剤組成物が硬化する」という場合があるが、これはハードコート剤組成物に含まれるオルガノポリシロキサンが硬化することをいう。
本発明の製造方法においては、任意に行われる乾燥の後、ハードコート剤組成物の塗膜を硬化させるために従来行われていた熱処理を行わずに、Xeエキシマ光照射処理を施し、この処理のみによって硬化膜を形成する。
このXeエキシマ光照射処理で使用されるXeエキシマ光は、波長172nmの紫外線である。樹脂基板等の表面に形成された塗膜には、前述したように、波長220nmにおける吸光度が0.2以上である紫外線吸収剤を含むため、Xeエキシマ光を照射することにより、紫外線吸収剤とともに塗膜に含まれるオルガノポリシロキサンが縮合硬化し硬化膜が形成される。すなわち、ケイ素原子に結合する水酸基間で縮合反応が生じ、シロキサン結合による三次元構造が形成される。また、同時に、塗膜の表面及び内部に存在するケイ素原子と炭素原子の結合が特異的に切断され、Si・のようなラジカルが発生する。すなわち、塗膜には、原料のオルガノポリシロキサンに由来する、1価の有機基、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基がケイ素原子に結合した−SiCHや−SiC等が存在し、特に塗膜の表面には数多く存在する。Xeエキシマ光を照射することにより、これらのケイ素原子と炭素原子の結合の全部または一部が切断される。ここで発生したSiラジカルは、後述するように、この後の工程で酸化され、ケイ素原子に水酸基が結合した状態となり、さらにこれらの水酸基が縮合して、より高硬度の硬化膜となる。
なお、このように本発明の製造方法においては、塗膜を硬化させる手段として、Xeエキシマ光の照射を用いているが、これは、波長172nmのXeエキシマ光が、他の波長の紫外線に比べ、オルガノポリシロキサンを速やか、かつ十分に縮合硬化させるとともに、ケイ素原子と炭素原子の結合を効果的に切断することができることによる。
ここで、上記塗膜表面にXeエキシマ光を照射する際に、雰囲気中に酸素が存在すると、酸素がXeエキシマ光を選択的に吸収することから、塗膜表面に到達するXeエキシマ光の量が減少し、縮合反応が十分に進まず、ケイ素原子−炭素原子結合を切断する効率も低下する。また、酸素はXeエキシマ光の照射によりオゾンに変換され、この発生したオゾンが塗膜表面や、プライマー層、さらには樹脂基板の劣化を引き起こすことがある。したがって、樹脂基板上に形成されたハードコート剤組成物の塗膜へのXeエキシマ光照射は、低酸素濃度雰囲気下、好ましくは、酸素濃度が5体積%以下、より好ましく3体積%以下、より一層好ましくは1体積%以下の雰囲気下で行われる。具体的には、Xeエキシマ光を吸収せず、かつXeエキシマ光照射の影響を受けない不活性ガス、例えば、窒素、アルゴン等でガス置換された雰囲気中で行うことが好ましい。ここで、「酸素濃度(体積%)」とは、Xeエキシマ光照射を行う雰囲気における単位体積あたりに存在する酸素の量(容量)を、単位体積に対する百分率で表したものである。
上記ハードコート剤組成物の塗膜表面に対するXeエキシマ光照射処理においては、塗膜表面におけるXeエキシマ光照射エネルギーが、600〜18000mJ/cmとなる処理であることが好ましく、1800〜12000mJ/cmとなる処理であることがより好ましく、3000〜9000mJ/cmであることが特に好ましい。Xeエキシマ光照射エネルギーが600mJ/cm未満では、縮合反応が十分に進行せず、最終的に得られるハードコート層に十分な耐擦傷性を付与することができないことがある。また、Xeエキシマ光照射エネルギーが18000mJ/cmより大きいと、化収縮による収縮応力に起因するクラック等の発生が促進されることがある。
本発明の製造方法において、上記ハードコート剤組成物の塗膜表面に対するXeエキシマ光照射は、具体的には、XeエキシマUVランプを用いて行うことができる。XeエキシマUVランプは、特に制限されず、各種用途においてXeエキシマ光を照射するために用いられるXeエキシマUVランプを、本発明の製造方法に用いることができる。このようなXeエキシマUVランプとしては、市販品としてエキシマ照射装置があり、例えば、標準型エキシマ光照射ユニット(放射照度:10mW/cm、ウシオ電機社製)、分離型エキシマ紫外線照射装置(放射照度:35mW/cm、岩崎電気社製)、ランプハウス型エキシマUV光源(E500−172、放射照度:10mW/cm、エキシマ社製)等を用いることが可能であり、樹脂基板の形状に合わせて、適宜選択すればよい。
このようなXeエキシマUVランプを用いてXeエキシマ光照射を行うが、例えば、放射照度:10mW/cmのXeエキシマUVランプを用いて照射処理を行う場合に、硬化膜表面におけるXeエキシマ光照射エネルギーを上記好ましい範囲とするためには、密閉可能なチャンバー内に該ランプを設置し、該ランプから0.1〜10mm程度の距離に、所定の面積を有する上記ハードコート剤組成物の硬化膜を有する樹脂基板を、硬化膜の表面全体に均一にXeエキシマ光照射ができるように、該ランプに硬化膜を対向させて配置し、窒素ガス雰囲気下、1〜30分間のXeエキシマ光照射を行う等の方法が挙げられる。本発明の目的の一つである、連続塗工プロセスへの適用、またそれによる生産性の向上のためには、照射時間を1〜15分にすることが好ましい。
(2)酸化処理/熱処理工程
本発明の製造方法の(2)酸化処理/熱処理工程は、上記Xeエキシマ光照射工程で形成された硬化膜を酸化処理した後、熱処理を施してハードコート層とする工程である。
上記酸化処理は、通常、上記Xeエキシマ光照射工程後の硬化膜を、上記低酸素濃度の雰囲気下から、空気中に取り出すことで十分に行われる。ただし、必要に応じて、エキシマ光照射工程後、すぐに乾燥空気、酸素雰囲気、あるいは水蒸気雰囲気に曝す等の方法により、酸化処理を積極的に行うことも可能である。
この酸化処理により、上記Xeエキシマ光照射工程で発生した硬化膜表面のSiラジカルは酸化され、ケイ素原子に水酸基が結合した状態(−SiOH)となる。本発明の製造方法においては、この状態の硬化膜を熱処理に供することにより、硬化膜表面にシロキサン結合を形成させて高硬度の表面を作製することで、十分な耐擦傷性を有するハードコート層を得るものである。
この熱処理における温度条件としては、樹脂基板の熱変形温度以下であることが好ましい。但し、あまり温度が低すぎると硬化に時間がかかるうえ、十分な硬度が得られないおそれがある。したがって、下限は50℃以上であることが好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上がより一層好ましい。また、温度が高すぎると、急激にシロキサン結合ができてしまい、クラックの発生に繋がるおそれがある。この観点からは、上限は100℃未満であることが好ましい。具体的には、樹脂基板にビスフェノールA系ポリカーボネート樹脂を用いる場合、50〜140℃の範囲が好ましく、60〜130℃の範囲がより好ましく、80〜100℃の範囲がより一層好ましい。
また、加熱手段としては、自然対流型恒温器、定温型乾燥器、熱風循環式乾燥器、送風型乾燥器、真空乾燥装置等が用いられる。また、電気炉等も使用できる。さらに赤外線ランプを用いた加熱手段も適宜用いることが可能である。これらの加熱手段は、1種を使用してもよく2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明の製造方法における上記熱処理にかかる時間は、上記酸化処理後の硬化膜表面における−SiOH同士が十分に反応してシロキサン結合(−Si−O−Si−)を形成するような時間であれば特に制限されないが、連続塗工プロセスへの適用の観点からは、1〜30分が好ましく、1〜20分がより好ましく、1〜15分がより一層好ましい。
(プライマー層の形成)
本発明の製造方法が適用されるハードコート層付き樹脂基板においては、樹脂基板と上記ハードコート層の間にプライマー層を有していてもよく、樹脂基板とハードコート層との密着性向上のためには、プライマー層を有していることが好ましい。プライマー層は、特に限定されないが、本発明においては、アクリル系ポリマー、紫外線吸収剤、および溶媒を含むプライマー組成物を樹脂基板上に塗布し乾燥させることによって形成することが好ましい。
このようなアクリル系ポリマーとしては、アルキル基の炭素数が6以下のアルキル基を有するアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種を「主なモノマー」とするホモポリマーやそれらモノマー同士のコポリマーが好ましい。ここにおいて「主なモノマー」とは、具体的には、原料モノマー全体に対して90〜100モル%有するものを指し、以下同様とする。また、上記主なモノマーと、それ以外のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの少なくとも1種とのコポリマーも好ましい。前記したそれ以外のモノマーとしては、炭素数7以上のアルキル基や炭素数12以下のシクロアルキル基を有するアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルが挙げられる。また、これらモノマーとともに、官能基含有アルキル基(例えば、ヒドロキシアルキル基)を有するアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルを少量共重合させて得られるコポリマーも使用できる。上記シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニルオキシエチル基等が挙げられる。
これらの中でも、本発明に用いるアクリル系ポリマーとしては、メタクリル酸アルキルエステルから選ばれる1種または2種以上を主なモノマー単位として重合して得られるポリマーが好ましい。さらに、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル等から選ばれるアルキル基の炭素数が6以下のメタクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上を主なモノマーとして重合して得られるホモポリマーまたはコポリマーが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸エチル等のホモポリマー、メタクリル酸メチルと、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチルから選ばれる1種または2種以上とのコポリマーがより好ましい。
その他に、加水分解性シリル基及び/又はSiOH基がC−Si結合を介して結合したアクリル系単量体から選ばれる1種以上を重合/共重合して得られるアクリル系ポリマーも採用できる。
前記アクリル系単量体としては、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
また、プライマー層形成に用いられるこれらのアクリル系ポリマーは、質量平均分子量が20,000以上であることが好ましく、50,000以上がより好ましく、1百万以下のものが好ましく使用される。質量平均分子量がこの範囲にあるアクリル系ポリマーは、プライマー層としての密着性や強度の性能が十分に発揮され好ましい。
プライマー層には、樹脂基板の黄変を抑制するために、紫外線吸収剤が含まれていてもよい。紫外線吸収剤としては、波長350nmの吸光度が0.1以上という吸光特性を有するものが好ましい。紫外線吸収剤は、単独の化合物であっても、複数の化合物の組み合わせであってもよい。複数の化合物の組み合わせからなる場合、紫外線吸収剤混合物として上記の吸光特性を有していればよい。
吸光特性を上記の範囲にするため、紫外線吸収剤は、本発明のハードコート剤組成物に含まれる紫外線吸収剤と同様のもの、すなわち、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ヒドロキシベンゾエート系紫外線吸収剤、ベンゾイミダゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、ベンジリデンマロネート系紫外線吸収剤等の1種または2種以上を用いることができる。プライマー層中の紫外線吸収剤の含有量は、アクリル系ポリマー等の樹脂成分100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、1〜30質量部がより好ましい。
プライマー層は、さらに光安定剤等を含んでもよい。光安定剤としては、ヒンダードアミン類、;ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、ニッケルコンプレクス−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカーバメート等のニッケル錯体が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。プライマー層中の光安定剤の含有量は、アクリル系ポリマー等の樹脂成分100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部が特に好ましい。
プライマー層形成に用いるプライマー組成物には、通常、溶媒が含まれる。溶媒としては、前記アクリル系ポリマーを安定に溶解することが可能な溶媒であれば、特に限定されない。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等のエステル類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メトキシエタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ガソリン、軽油、灯油等の炭化水素類;アセトニトリル、ニトロメタン、水等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
溶媒の量は、アクリル系ポリマー等の樹脂成分100質量部に対して、50〜10000質量部であることが好ましく、100〜10000質量部が特に好ましい。なお、プライマー組成物中の不揮発成分(固形分)の含有量は、組成物全量に対して0.5〜75質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることが特に好ましい。
上記プライマー組成物は、レベリング剤、消泡剤、粘性調整剤等の添加剤をさらに含んでいてもよい。
プライマー組成物を樹脂基板上に塗布する方法としては、特に限定されないが、スプレーコート法、ディップコート法、フローコート法等が挙げられる。また、乾燥のための加熱条件は、特に限定されないが、50〜140℃で5分〜3時間であることが好ましい。
上記プライマー組成物を用いて樹脂基板上に形成されるプライマー層は、プライマー層の膜厚が小さすぎると、樹脂基板とハードコート層との密着性を向上させる効果が不十分となることがあるため、樹脂基板とハードコート層とを十分に接着し、前記添加剤の必要量を保持するのに必要な膜厚であればよい。このようなプライマー層の厚さとしては、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、2μm以上8μm以下であることが特に好ましい。
なお、本発明の製造方法の対象となるハードコート層付き樹脂基板が、上記プライマー層を有する場合には、このようにして形成されたプライマー層上に、上で述べたのと同様にしてハードコート層を形成することで、本発明によりハードコート層付き樹脂基板を製造することができる。
<ハードコート層付き樹脂基板>
上記本発明の製造方法により得られるハードコート層付き樹脂基板は、ハードコート層にシロキサン結合による3次元架橋構造(ネットワーク)が形成されるとともに、表面側にハードコート層内部と比較してシロキサン結合がより強固に形成された構造を有する。このような構造のハードコート層を有するハードコート層付き樹脂基板は、ハードコート層の深さ方向に硬さの傾斜をもち、かつ高硬度の表面を備えているため、全体として、優れた耐擦傷性を有している。
ここで、本発明のハードコート層付き樹脂基板のような薄膜材料の「硬さ」、すなわち、耐擦傷性といった機械的強度、を求める場合、一般的には微小硬度測定試験を用いて評価を行うことができる。微小硬度測定試験は、測定表面への一定の荷重条件のもとでの圧子の侵入深さから硬さを算出する試験方法であり、これにより、引っかき硬さに対応するマルテンス硬さを知ることができる。
この硬さは耐擦傷性を表す指針となるが、本発明の製造方法より得られるハードコート層付き樹脂基板においては、硬化膜の形成工程において、Xeエキシマ光照射処理のみを行い、熱処理を行っていないにもかかわらず、熱処理、あるいは熱処理後、Xeエキシマ光照射処理を行って硬化膜形成した従来のものと同等もしくはそれ以上のハードコート層表面のマルテンス硬さを有しており、従来のハードコート層付き樹脂基板に匹敵する耐擦傷性を有しているといえる。
なお、本発明の製造方法により得られるハードコート層付き樹脂基板においては、ハードコート層表面のマルテンス硬さは、表面から150nmまでの深さにおいて、200〜850N/mm程度の値を有していることが好ましい。
本発明の製造方法より得られるハードコート層付き樹脂基板は、Xeエキシマ光照射処理のみによって硬化膜が形成され、熱処理の必要がないため、その製造にあたって、連続プロセスへの適用が可能であり、その生産性を高めることができる。また、熱処理の必要がないため、硬化膜形成時の樹脂基板の熱変形を考慮する必要がなく、したがって、用いる樹脂基板の選択の自由度を高めることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、例1〜3が実施例であり、例4〜10が比較例である。また、オルガノポリシロキサンの分析を以下に示す方法によって行った。
(1)ケイ素原子結合水酸基の個数(B)/ケイ素原子結合アルコキシ基の個数(A)
以下、実施例において用いたオルガノポリシロキサンは、ケイ素原子結合アルコキシ基として、ケイ素原子結合メトキシ基(SiO−CH)を有するもののみであったため、上記(B)/(A)として、以下の方法により求めたSi−OH/SiO−CHの比を用いた。赤外吸光分析装置(FT−IR、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、型式:Avatar/Nicolet FT−IR360)を用い、2860cm−1付近のSiO−CHに由来する吸収と900cm−1付近のSi−OHに由来する吸収の面積比からSi−OH/SiO−CHの比を求めた。
(2)オルガノポリシロキサン中のケイ素原子の結合状態の解析
ハードコート剤組成物が含有するオルガノポリシロキサン中のケイ素原子の結合状態、具体的には、M単位、D単位、T単位、Q単位の存在の割合、およびT0〜T3の存在比を、核磁気共鳴分析装置(29Si−NMR:日本電子株式会社製、ECP400)を用いて、29Si−NMRのピーク面積比からそれぞれ求めた。測定条件等は以下の通りである。
・ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製10mmφ試料管使用、
・プローブ:T10、
・共鳴周波数79.42MHz、
・パルス幅10μsec、
・待ち時間20sec、
・積算回数1500回、
・緩和試薬:Cr(acac)を0.1質量%含有、
・外部標準試料:テトラメチルシラン。
また、各構造に由来する29Si−NMRの化学シフトは、メチル系オルガノポリシロキサンの場合、以下のとおりである。
(M単位〜Q単位)
・M単位:15〜5ppm、
・D単位:−15〜−25ppm、
・T単位:−35〜−75ppm、
・Q単位:−90〜−130ppm。
(T0〜T3)
・T0:−40〜−41ppm、
・T1:−49〜−50ppm、
・T2:−57〜−59ppm、
・T3:−66〜−70ppm。
(3)数平均分子量Mn、質量平均分子量Mw、および分散度Mw/Mn
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、Waters社製のWaters2695、RI検出、カラム:Styragel ガードカラム+HR1+HR4+HR5E、溶離液:クロロホルム)によって求めた。
[1]オルガノポリシロキサン(a)(MSi−1)の合成
0.2Lのフラスコに、メチル系シリコーンレジンKR−500(信越化学工業社製、Si−OH基由来のピークはFT−IRにより確認されず、実質SiO−CHのみである。各T単位の存在比はT0:T1:T2:T3=ND:15:58:27、Mn=700、Mw=1240、Mw/Mn=1.77)(10g)と1−ブタノール(10g)を加えよく撹拌し、酢酸(10g)、イオン交換水(10g)を加え、さらによく撹拌した。この溶液を40℃で1時間撹拌し、オルガノポリシロキサン(a)(MSi−1)を得た。このMSi−1を含有する溶液(MSi−1濃度:25質量%)をそのまま後述の[3]ハードコート剤組成物の調製に用いた。
得られたMSi−1について、FT−IRにより、原料であるKR−500との比較を行ったところ、SiO−CH基由来のピークの減少およびSi−OH基由来のピークの出現を確認した。FT−IRのピーク面積比から求めたMSi−1のSi−OH/SiO−CHの比は41.0であった。MSi−1はT単位のみからなり、29Si−NMRの化学シフトから求めた各T単位の存在比は、T0:T1:T2:T3=ND:1.1:30.1:68.8であった。MSi−1のMnは520、Mwは1150、Mw/Mnは2.22であった。
[2]オルガノポリシロキサン(b)(PSi−1)の合成およびオルガノポリシロキサン(b)(PSi−1)組成物溶液の調製
1Lのフラスコに、約15nmの平均粒子径をもつ水分散コロイダルシリカ(pH3.1、シリカ微粒子固形分35質量%)200gと酢酸0.2gを仕込み、メチルトリメトキシシラン138gを添加した。1時間撹拌した後、この組成物を25℃で4日間熟成してシリカ・メタノール−水分散液中で部分加水分解縮合物を確実に形成させた。
この組成物は不揮発成分が40質量%で、得られたオルガノポリシロキサン(オルガノポリシロキサン(b)(PSi−1))はT単位を主とした結合構造(T単位の個数:M単位とD単位とQ単位のそれぞれの個数の総量=100:0)をもち、29Si−NMRの化学シフトから求めた各T単位の存在比は、T0:T1:T2:T3=ND(検出されず):2:54:44であった。得られたオルガノポリシロキサンには、モノマー状のT0体[R−Si(OH)](Rは1価有機基)がほぼ存在せず、原料のメチルトリメトキシシランはオリゴマー状のオルガノポリシロキサンにほぼ完全に転換されていることが確認された。得られたオルガノポリシロキサン(b)(PSi−1)のMnは400、Mwは670、Mw/Mnは1.68であった。
上記で得られたオルガノポリシロキサン(b)(PSi−1)溶液(シリカ微粒子(c)含有)100質量部に、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(4,6−ジベンゾイルレゾルシノール(吸光度A220:0.36 吸光度A350:0.074))を加え、25℃で24時間以上熟成した。希釈溶媒として1−ブタノール、イソプロパノールを用いて、不揮発成分が25質量%(150℃、45分)、粘度が4.4mPa・sで、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の含有量0、5、10または15質量部のオルガノポリシロキサン(b)(PSi−1)組成物溶液を調製した。組成物のpHは5.0で安定化した。
[3]ハードコート剤組成物の調製
上記[2]で得られたオルガノポリシロキサン(b)(PSi−1)を含むオルガノポリシロキサン(b)組成物溶液80部、上記[1]で得られたオルガノポリシロキサン(a)(MSi−1)を含む溶液20部を混合して、ハードコート剤組成物(HC−1)(I)(紫外線吸収剤含有量4質量部)、同(II)(紫外線吸収剤含有量8質量部)、同(III)(紫外線吸収剤含有量12質量部)および同(IV)(紫外線吸収剤含有量0質量部)を得た。
[4]ハードコート層付き樹脂基板サンプルの作製
上記[3]で得られたハードコート剤組成物を用いて、以下のようにして各実施例、比較例のハードコート層付き樹脂基板サンプルを作製した。なお、以下のサンプル作製においては、加熱乾燥手段として、熱風循環式乾燥器(三洋電機社製、CONVECTION OVEN、 MOV−202F)を使用した。Xeエキシマ光照射手段としては、Xeエキシマランプ光源(エキシマ社製、E500−172)を用いた。
[例1]
ポリカーボネート樹脂板(50mm×50mm×3mm;カーボグラス(登録商標)ポリッシュ クリヤー(商品名、旭硝子社製))に、アクリル系プライマーSHP470(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、固形分10質量%溶液)をディップ方式で、乾燥後の膜厚が4〜5μmになるように塗工し、120℃に設定した熱風循環式乾燥器を用いて30分間の加熱乾燥を行い、プライマー層を形成させた。次に、このプライマー層上に、ハードコート剤組成物(HC−1)(I)をディップ方式でコーティングし、25℃で20分間保持して、HC−1塗膜を形成させた。
上記HC−1塗膜が形成された樹脂板を、密封装置内のXeエキシマランプ光源(放射照度:10mW/cm)から1mmの位置に上記塗膜の片方の面が対向するようにセットし、窒素雰囲気下(酸素濃度:1体積%以下)において、Xeエキシマ光照射処理として、上記ランプ光源と対向する塗膜全体に均一に、Xeエキシマランプ光を2分間照射し、塗膜を硬化させた。この例では、樹脂板に対し、Xeエキシマ光照射処理前の熱処理(第1の熱処理)は行わなかった。
その後、上記樹脂板を装置から取り出して大気雰囲気に曝して酸化処理を施すとともに、熱処理として、80℃に設定した熱風循環式乾燥器を用いて10分の熱処理(第2の熱処理)を行うことで、ハードコート層を有する樹脂基板サンプルを作製した。
なお、上記Xeエキシマ光照射処理における硬化膜表面でのXeエキシマ光照度を測定したところ照度は10mW/cmであり、硬化膜表面が受けたXeエキシマ光照射エネルギーは1200mJ/cmであった。
得られたハードコート層を有する樹脂基板のハードコート層の膜厚は、2.9μmであった。このサンプルは、ポリカーボネート板の両面にプライマー層とハードコート層が形成されているが、Xeエキシマ光を照射した片面側にのみ、本発明のXeエキシマ光照射により塗膜を硬化させて形成されたハードコート層が形成されている。
[例2〜3、10]
ハードコート剤組成物(HC−1)(I)に代えて、ハードコート剤組成物(HC−1)(II)(例2)、ハードコート剤組成物(HC−1)(III)(例3)またはハードコート剤組成物(HC−1)(IV)(例10)をプライマー層上にコーティングした以外は、例1と同様にして、膜厚2.9μmのハードコート層を有する樹脂基板サンプルを作製した。但し、例10ではHC−1塗膜は硬化せず、ハードコート層は形成されなかった。これらの各例においても、Xeエキシマ光照射処理前の熱処理(第1の熱処理)は行わなかった。
[例4]
ハードコート剤組成物(HC−1)(I)に代えて、ハードコート剤組成物(HC−1)(IV)を用いるとともに、HC−1塗膜が形成された樹脂板に、120℃に設定した熱風循環式乾燥器を用いて1時間の熱処理(第1の熱処理)を行い、塗膜を硬化させた後、Xeエキシマ光照射処理を行うようにした以外は、例1と同様にして、膜厚2.9μmのハードコート層を有する樹脂基板サンプルを作製した。
[例5〜9]
ハードコート剤組成物(HC−1)の種類および/または第1の熱処理条件を、以下のように変えた以外は、例4と同様にして、膜厚2.9μmのハードコート層を有する樹脂基板サンプルを作製した。
比較例5では、ハードコート剤組成物(HC−1)(I)を用いるとともに、第1の熱処理として、HC−1塗膜が形成された樹脂板に、120℃に設定した熱風循環式乾燥器を用いて1時間の熱処理を行った。
比較例6では、ハードコート剤組成物(HC−1)(I)を用いるとともに、第1の熱処理として、HC−1塗膜が形成された樹脂板に、120℃に設定した熱風循環式乾燥器を用いて0.25時間の熱処理を行った。
比較例7では、ハードコート剤組成物(HC−1)(I)を用いるとともに、第1の熱処理として、HC−1塗膜が形成された樹脂板に、120℃に設定した熱風循環式乾燥器を用いて0.5時間の熱処理を行った。
比較例8では、ハードコート剤組成物(HC−1)(II)を用いるとともに、第1の熱処理として、HC−1塗膜が形成された樹脂板に、120℃に設定した熱風循環式乾燥器を用いて1時間の熱処理を行った。
比較例9では、ハードコート剤組成物(HC−1)(III)を用いるとともに、第1の熱処理として、HC−1塗膜が形成された樹脂板に、120℃に設定した熱風循環式乾燥器を用いて1時間の熱処理を行った。
[5]ハードコート層付き樹脂基板サンプルの評価
上記[4]の各例で得られたハードコート層付き樹脂基板サンプルについて、下記項目の評価を行った。
<1>初期外観
上記[4]で得られた各サンプル(例10を除く)の初期の状態のハードコート層を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○(合 格):クラックなし
×(不合格):クラックあり
<2>耐擦傷性
上記[4]で得られた各サンプル(例10を除く)について、JIS K5600(5.9)に準拠し、テーバー磨耗試験機(東洋精機製作所社製、型式:ROTARY ABRASION TESTER)に磨耗輪 CALIBRASE(登録商標)CS−10F(TABER社製)を装着し、荷重500g下での500回転後のヘーズ(曇価)を測定し、試験後と試験前の曇価差ΔH500を算出した。ヘーズはJIS K7105(6.4)に準拠し、ヘーズメーター(スガ試験機株式会社製、型式:HGM−2)を用いて測定した。判定基準は以下の通りである。
○(合 格):ΔH500≦5
×(不合格):ΔH500>5
<3>ハードコート層の表面硬度(マルテンス硬さ)
上記[4]で得られた各サンプル(例10を除く)のハードコート層表面について、微小硬さ試験機(フィッシャーインスツルメンツ社製、ピコデンター HM500)にビッカース角錐圧子を装着し、負荷−除荷試験を行い、荷重/進入深さ曲線を測定した。ここで、負荷速度Fは、それぞれ0.5、0.1、0.01および0.005mN/5sとし、クリープCは5sとし、除荷速度Fは、負荷速度と同じとした。測定データをWIN−HCU(フィッシャーインスツルメンツ社製)により処理し、マルテンス硬さHM(N/mm)を求めた。
上記で得られた初期外観、耐擦傷性、ハードコート層の表面硬度の評価結果を、製造条件等とともに表1に示す。なお、表1には、各例のハードコート層形成工程の連続塗工プロセスへの適用の可能性の評価を併せ示した。
Figure 2016016338
表1から明らかなように、濃度0.001質量%のアセトニトリル溶液について光路長1cmの条件で測定した波長220nmにおける吸光度が0.2以上である紫外線吸収剤を含むハードコート剤組成物を用いるとともに、塗膜を硬化させるため第1の熱処理をせずに、Xeエキシマ光照射処理を行った例1〜3のサンプルでは、同紫外線吸収剤を含み、かつ第1の熱処理とXeエキシマ光照射処理の両処理を行った例5〜9のサンプルと、比較して、初期外観および耐擦傷性の評価結果に差はなく、表面硬度においても紫外線吸収剤の添加量が同じ例を比較した場合に略同等であった。そして、いずれも場合も紫外線吸収剤の添加量の増大に伴い表面硬度が増加した。また、紫外線吸収剤を含有させずに第1の熱処理とXeエキシマ光照射処理の両処理を行った例4のサンプルでは、例1〜3のサンプルより表面硬度が低く、また、紫外線吸収剤を含有させずにXeエキシマ光照射処理のみを行った例10のサンプルでは、塗膜は硬化しなかった。
以上の結果から、本発明のハードコート層付き樹脂基板の製造方法によれば、従来、必須とした第1の熱処理を行わずに、同等もしくはそれ以上の初期外観、耐擦傷性および表面硬度を有するハードコート層を備えた樹脂基板が得られることがわかる。第1の熱処理を必要としないため、連続塗工プロセスへの適用が可能であり、また、熱処理による樹脂基板の劣化のおそれもないため、基板材料の選択の自由度も高めることができる。
本発明のハードコート層付き樹脂基板の製造方法は、従来、必須とした熱処理工程を省略すでき、それによって、生産性や基板材料の選択の自由度を高めることができるため、自動車や各種交通機関に取り付けられる車輌用の窓材、家屋、ビル等の建物に取り付けられる建材用の窓材等に使用されるハードコート層付き樹脂基板の製造方法として有用である。

Claims (13)

  1. 樹脂基板の少なくとも一方の面上にハードコート層を有する、ハードコート層付き樹脂基板の製造方法であって、
    オルガノポリシロキサン、および濃度0.001質量%のアセトニトリル溶液について光路長1cmの条件で測定した波長220nmにおける吸光度が0.2以上の紫外線吸収剤を含むハードコート剤組成物を、前記樹脂基板の少なくとも一方の面上に塗布して前記組成物からなる塗膜を形成した後、前記塗膜に低酸素雰囲気下、Xeエキシマ光照射処理を施して硬化膜を形成する工程と、
    前記硬化膜を酸化処理した後、熱処理を施してハードコート層とする工程と、
    を具備することを特徴とする、ハードコート層付き樹脂基板の製造方法。
  2. 前記硬化膜形成工程において、前記Xeエキシマ光照射処理を施す前または後に前記塗膜に対し、熱処理を施さない、請求項1に記載のハードコート層付き樹脂基板の製造方法。
  3. 前記紫外線吸収剤が、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤を含む、請求項1または2に記載のハードコート層付き樹脂基板の製造方法。
  4. 前記紫外線吸収剤は、濃度0.001質量%のアセトニトリル溶液について光路長1cmの条件で測定した波長350nmにおける吸光度が0.1以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハードコート層付き樹脂基板の製造方法。
  5. 前記低酸素雰囲気下が5体積%以下の酸素濃度雰囲気下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハードコート層付き樹脂基板の製造方法。
  6. 前記ハードコート剤組成物が、前記オルガノポリシロキサン100質量部に対し、前記紫外線吸収剤を4〜20部含有するものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のハードコート層付き樹脂基板の製造方法。
  7. 前記酸化処理後の硬化膜に対する熱処理温度が、前記樹脂基板の熱変形温度以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のハードコート層付き樹脂基板の製造方法。
  8. 前記酸化処理後の硬化膜に対する熱処理温度が、50℃以上で、かつ前記樹脂基板の熱変形温度以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のハードコート層付き樹脂基板の製造方法。
  9. 前記Xeエキシマ光照射処理が、硬化膜表面におけるXeエキシマ光照射エネルギーが
    600〜18000mJ/cmとなる処理である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のハードコート層付き樹脂基板の製造方法。
  10. 前記オルガノポリシロキサンにおけるT単位数の割合が70〜100%である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のハードコート層付き樹脂基板の製造方法。
  11. 前記オルガノポリシロキサンが、T単位とQ単位のみで構成され、その個数の割合がT:Q=90〜100:10〜0である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のハードコート層付き樹脂基板の製造方法。
  12. 前記塗膜形成工程の前に、プライマー組成物を前記樹脂基板の少なくとも一方の面上に塗布し乾燥させてプライマー層を形成する工程をさらに具備し、前記塗膜形成工程において前記ハードコート剤組成物を前記プライマー層上に塗布する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のハードコート層付き樹脂基板の製造方法。
  13. 前記樹脂基板の材料がポリカーボネート樹脂である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のハードコート層付き樹脂基板の製造方法。
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