JP2016014593A - 接触角測定方法及び接触角測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】接触角測定方法は、内輪12を固定輪とし外輪11を回転輪とする準備工程と、測定開始の基準状態から外輪11を回転させ、外輪11の回転に伴って保持器14を遅れて回転させる回転工程と、この回転工程における外輪11の回転量と保持器14の回転量とに基づいて接触角を求める角度取得工程とを含む。回転工程では、保持器14を所要回転量について回転させる。前記所要回転量は、外輪11及び保持器14の双方の位相が前記基準状態に戻る回転量を考慮して得られる回転量である。
【選択図】 図2
Description
例えば、内輪92に対して外輪91を回転させると、玉93の転動と共に保持器94も回転するが、保持器94の回転は外輪91の回転よりも遅れ、保持器94の回転量は外輪91の回転量よりも少なくなる。また、この際、保持器94の回転量は、接触角θに応じて変化する。
そこで、外輪91の回転量及び保持器94の回転量等に基づいて接触角θを算出する。つまり、内輪92を固定し、外輪91を例えば10回転させた場合の保持器94の回転量を計測し、外輪91の回転量(10回転)、保持器94の回転量(計測値)、及び、アンギュラ玉軸受90の仕様に基づいて所定の式を用いて、接触角θを算出する。なお、この式は、特許文献1に記載されている式を採用することができる。
このように、外輪91の中心C1と、この外輪91を回転させる回転部材81の回転中心C0とが不一致であると、図11のイメージ図に示すように、外輪91の中心C1が、回転中心C0回りに回転し、さらに、この外輪91がモータ83aによって回転(自転)することで、外輪91及び保持器94は振れ回りすることとなる。
このような進みや遅れが生じていると、外輪91の回転量(回転数)をエンコーダ84aで制御し、この外輪91の回転量を基準にすると保持器94の回転量(回転数)が不正確となる。この結果、算出される接触角θの値も不正確となる。
(A)回転輪の中心と回転輪を回転させる回転中心とが一致していない状態にある測定開始時(基準状態)から、回転輪及び保持器がそれぞれ回転し、これら回転輪及び保持器の双方の位相が前記基準状態に戻ると、回転輪の前記中心と回転輪を回転させる前記回転中心とが一致してしない前記測定開始時の状態に戻ること。
(B)保持器の進み又は遅れについて周期性があること。
保持器の回転数としての前記「1」から「所定の整数」それぞれは、保持器が前記基準状態に戻る回転量に相当する。そして、この保持器の各回転数に対応して、回転輪の回転数を小数点以下の桁数まで算出し、このようにして得られた回転輪の各回転数のうち、整数に最も近いものは、回転輪が前記基準状態に近い状態となるものである。そこで、この整数に最も近い回転輪の回転数に対応する保持器の回転数を、前記所要回転量とする。このようにして、回転輪及び保持器の双方の位相が前記基準状態に戻る回転量を考慮し前記所要回転量を得ることができる。
本発明によれば、前記測定方法を実施することができ、正確な接触角を求めることが可能となる。
〔転がり軸受について〕
図1は、本発明の接触角測定装置による測定の対象となる転がり軸受の一例を示す断面図である。図1に示す転がり軸受は、アンギュラ玉軸受10であり、外輪11、内輪12、複数の転動体としての玉13、これら玉13を保持する環状の保持器14を備えている。玉13は、外輪11の内周面に設けられている外輪軌道15、及び、内輪12の外周面に設けられている内輪軌道16を転動する。
そこで、図2に示す接触角測定装置20(以下、単に測定装置20という。)によりアンギュラ玉軸受10の玉13の接触角θが測定される。
この測定装置20は、アンギュラ玉軸受10の外輪11と内輪12との内の一方を固定輪として固定する固定手段と、外輪11と内輪12との内の他方を回転輪として回転させる回転手段とを備えている。本実施形態では、内輪12が固定輪であり、前記固定手段として、内輪12を固定するための固定部材22を備えている。そして、外輪11が回転輪であり、前記回転手段として、外輪11を保持するとともに回転中心C0回りに回転可能となる回転部材21と、この回転部材21を回転させる駆動機構23とを備えている。
そして、固定部材22は、図外の装置フレームに対して回転不能として設けられている。固定部材22は、内輪12が回転しないように保持すると共に、この内輪12の端面12aを押す機能として、本実施形態ではエアシリンダ22aを有している。エアシリンダ22aが内輪12を当接面21a側へ押すことで、アンギュラ玉軸受10にアキシャル荷重を付与することが可能となる。このエアシリンダ22aによる押圧力(エア圧)を調整することで、使用状態と同等となる最適なアキシャル荷重(測定荷重)をアンギュラ玉軸受10に付与することができる。
本実施形態のセンサ26は、透過センサであり、発光部26aと受光部26bとを有する。被検出部材25が遮光することで、センサ26は被検出部材25を検出する。
以上のように構成された測定装置20によって行われる測定方法について説明する。この測定方法には、図3に示すように、準備工程St1、回転工程St2、及び角度取得工程St3が含まれる。
準備工程St1では、アンギュラ玉軸受10の外輪11と内輪12との内の一方を固定輪とし他方を回転輪とするための準備が行われる。図2に示す本実施形態では、外輪11を回転輪とし、内輪12を固定輪とする。このため、回転部材21の上にアンギュラ玉軸受10を載せ、保持部材29により外輪11を回転部材21に固定し、外輪11と回転部材21とが一体回転可能となる状態とする。また、このアンギュラ玉軸受10の内輪12に対して固定部材22が軸方向から接触し、エアシリンダ22aが所定の押圧力によって内輪12を玉13へ押し付ける。これにより、内輪12が、図外の装置フレームに対して静止状態となる固定輪となり、外輪11が、この内輪12に対して回転可能となる状態が得られる。
準備工程St1が完了すると、モータ23aを回転させ回転部材21を回転させる。これにより、外輪11は回転部材21(回転軸27)の中心線回りに回転する。回転部材21の回転中心がC0である。回転部材21が回転すると、この回転部材21と同じ回転速度(回転数)で外輪11は回転する。すると、各玉13は、内輪軌道16及び外輪軌道15を転動し回転移動(公転)する。この玉13の回転移動により保持器14も回転する。つまり、固定状態にある内輪12に対して外輪11を回転駆動すれば、この外輪11の回転に伴って保持器14も回転する。そして、センサ26が保持器14と一体回転する被検出部材25を検出した時点からの外輪11(回転部材21)の回転数が、計測器24により計測される。また、センサ26は、被検出部材25を検出することで、保持器14の回転数を計測する。保持器14と一体回転する被検出部材25をセンサ26が検出した時点を、測定開始としている。
演算手段30は、保持器14の回転量(回転数)及び外輪11の回転量(回転数)を、センサ26及び計測器24から取得する。前記のとおり、回転工程St2では、保持器14を所要回転量について回転させることから、演算手段30は、この所要回転量と、この所要回転量について保持器14が回転している間の外輪11の回転量を取得する。
これら回転量を取得した演算手段30は、前記所要回転量と、この所要回転量に対応する外輪11の回転量に基づいて接触角θを求める処理を行う。本実施形態では、保持器14の所要回転量としての「7回転」と、この保持器が7回転した場合の外輪11の回転数(測定値)とを用いて、接触角θを求める処理(演算)を、次の式(1)により行う。なお、この式(1)は、演算手段30の内部メモリに記憶されている。
本実施形態のアンギュラ玉軸受10の仕様(設計値)は次のとおりである。
・内径 : 65mm
・外径 : 100mm
・玉13の直径(Bd) : 7.1438mm
・玉13のピッチ円直径(DM): 82.523mm
保持器14の所要回転量は、以下のようにして求められる。
先ず、保持器14の回転量と外輪11の回転量との関係について求める。前記仕様のアンギュラ玉軸受10の場合、保持器14の1回転あたりの外輪11の回転量(回転角度)は、次のとおりである。
・保持器14 : 360度
・外輪11 : 665.84度
この外輪11の回転量(回転角度)は、次の式(2)によって求めることができる。なお、式(2)は前記式(1)から求められたものである。
なお、この外輪11の回転量の算出の他に、以下に示す各処理の主体は、特に説明がない場合、演算手段30である。
図6は、保持器14の回転数に対する外輪11の回転数の関係を示す表である。この図6の表の左欄に示すように、保持器14の回転数として、「1」から所定の整数(本実施形態では「10」)までが設定される。
また、外輪11の回転数「12.95」は、ほぼ13回転であり、測定開始の基準状態から外輪11が13回転すれば、この外輪11は前記基準状態に戻る。外輪11の回転数「12.95」は、前記基準状態に完全に戻るのではないが、前記基準状態にほぼ戻る状態である。保持器14が所要回転量(7回転)について回転した場合の外輪11の回転数(12.95に近い実測値)は、計測器24により計測することができる。
そこで、本実施形態では、この整数に最も近い外輪11の回転数に対応する保持器14の回転数を、前記所要回転量としている。本実施形態では、このようにして、外輪11及び保持器14の双方の位相が前記基準状態に戻る回転量を考慮し、前記所要回転量を求めている。なお、計算して得られた外輪11の回転数が、整数となる場合、これに対応する保持器14の回転数を、前記所要回転量とする。
(A)外輪11の中心C1と外輪11を回転させる回転中心C0とが一致していない状態にある測定開始時(基準状態)から、外輪11及び保持器14がそれぞれ回転し、これら外輪11及び保持器14の双方の位相が前記基準状態に戻ると、外輪11の前記中心C1と外輪11を回転させる前記回転中心C0とが一致してしない前記測定開始時の状態に戻ること。
(B)保持器14の進み又は遅れについても周期性があること。
このように、本実施形態の測定方法において、角度取得工程St3では、外輪11の回転量と保持器14の所要回転量とに基づいて接触角θを求めるが、保持器14の前記所要回転量は、外輪11及び保持器14の双方の位相が前記基準状態に戻る回転量を考慮して得られる回転量であり、外輪11の回転量は、前記のような保持器14の所要回転量に対応する回転量である。
しかし、本実施形態の場合、センサ26による被検出部材25の検知は、センサ26と被検出部材25との距離の影響を受けにくいため、保持器14の回転量を正確に検出することが可能となる。
また、本実施形態では、センサ26からの検知信号を入力し、これを処理する演算手段30は応答性の高い(応答時間が短い)ものが採用され、測定精度を高めている。
前記実施形態では、外輪11を回転させ、内輪12を固定状態とする場合における接触角θの測定について説明したが、これとは反対に、内輪12を回転させ、外輪11を固定状態としてもよい。ただし、この場合の接触角θを求めるための式は、前記式(1)ではなく、次の式(3)となる。なお、この式(3)中の各値は、前記説明と同じである。
13:玉(転動体) 14:保持器 20:接触角測定装置
21:回転部材(回転手段) 22:固定部材(固定手段)
23:駆動機構(回転手段) 24:計測器(第2取得手段)
25:被検出部材(第1取得手段) 26:センサ(第1取得手段)
30:演算手段 θ:接触角
Claims (3)
- 外輪、内輪、複数の転動体及び前記複数の転動体を保持する環状の保持器を備えている転がり軸受における当該転動体の接触角を測定する方法であって、
前記外輪と前記内輪との内の一方を固定輪とし他方を回転輪とする準備工程と、
測定開始の基準状態から前記回転輪を回転させ、当該回転輪の回転に伴って前記保持器を当該回転輪に遅れて回転させる回転工程と、
前記回転工程における前記回転輪の回転量と前記保持器の回転量とに基づいて前記接触角を求める角度取得工程と、
を含み、
前記回転工程では、前記保持器を所要回転量について回転させ、
前記所要回転量は、前記回転輪及び前記保持器の双方の位相が前記基準状態に戻る回転量を考慮して得られる回転量である
ことを特徴とする接触角測定方法。 - 前記保持器の回転数を1から所定の整数までとした場合に、前記回転輪の回転量として、当該保持器の各回転数に対応する前記外輪の回転数を小数点以下の桁数まで算出し、
算出した当該回転数のうち、整数に最も近いものに対応する前記保持器の回転数を、前記所要回転量とする請求項1に記載の接触角測定方法。 - 外輪、内輪、複数の転動体及び前記複数の転動体を保持する環状の保持器を備えている転がり軸受における当該転動体の接触角を測定する装置であって、
前記外輪と前記内輪との内の一方を固定輪として固定する固定手段と、
測定開始の基準状態から、前記外輪と前記内輪との内の他方を回転輪として回転させ、当該回転輪の回転に伴って前記保持器を所要回転量について回転させる回転手段と、
前記保持器の回転量を取得する第1取得手段と、
前記回転輪の回転量を取得する第2取得手段と、
前記回転輪及び前記保持器の双方の位相が前記基準状態に戻る回転量を考慮して前記所要回転量を求めると共に、当該所要回転量及び当該所要回転量に対応する前記回転輪の回転量に基づいて前記接触角を求める演算手段と、
を備えたことを特徴とする接触角測定装置。
Priority Applications (1)
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JP2014136861A JP6476612B2 (ja) | 2014-07-02 | 2014-07-02 | 接触角測定方法及び接触角測定装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020196089A1 (ja) * | 2019-03-25 | 2020-10-01 | 株式会社ジェイテクト | アンギュラ玉軸受の接触角取得方法及び車輪用軸受装置の製造方法 |
WO2021143965A1 (de) * | 2020-01-16 | 2021-07-22 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Verfahren und vorrichtung zur prüfung von wälzlagern mittels schwingungsanalyse |
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