JP2016014476A - 第１及び第２の材料から作られたギア - Google Patents

Abstract

【課題】軽量で耐久性のあるギアセットを提供すること。
【解決手段】ギアセットは、局所的な比強度及び摩耗特性を含むことにより作動性能が向上したギアを含むことができ、より具体的には、ギアは、第１の材料から作ることができるハブと、第２の材料から作られ、ハブに装着することができる複数のギア歯とを含むことができる。第１の材料は、前記第２の材料よりもより延性があるものとできる。第１の材料は、金属、金属マトリックス複合材、ポリママトリックス複合材、又はポリマプラスチックとすることができる。第２の材料は、セラミックマトリックス複合材、セラミック、金属、金属マトリックス、ポリママトリックス複合材、又はポリマプラスチックとすることができる。
【選択図】 図１

Description

本発明は、ハブ及びギア歯を有するギアに関する。

ギアは、別の歯付き部品と噛合してトルクを伝達することができる歯又は歯車を有する本体を含む。縦列形態で作動する２又はそれ以上ギアは、ギア比による機械的な利点をもたらすことができる。ギア付き装置は、動力源の速度、トルク、及び方向を変えることができる。

１つの実施形態において、本発明は、第１の材料から作られたハブと、第１の材料と異なる延性の第２の材料から作られ且つハブに装着された複数のギア歯とを含むギアに関する。

本発明の１つの実施形態による、ハブ及び歯を有するギアの斜視図。 本発明の別の実施形態による、ハブ及び歯を有するギアの斜視図。 図２のギアの複数の歯に関する斜視図。 図２のギアのハブの斜視図。 本発明の１つの実施形態による、更に別のギアの斜視図。 図４Ａのギアの断面図。 図１及び２におけるギアのハブを形成するのに用いることができるプライパターンを示す図。 図１及び２におけるギアのハブを形成するのに用いることができるプライパターンを示す図。 図１及び２におけるギア歯を形成するのに用いることができるプライパターンを示す図。 図１及び２におけるギア歯を形成するのに用いることができるプライパターンを示す図。

ギア、ギアトレーン、及び遊星ギアシステムは、航空電子機器において一般的である。例えば、ガスタービンエンジン単独で、ギアは、補機ギアボックスの内部ギアトレーンに含まれ、ノズルを作動させる作動リンク装置に含まれ、ファン駆動遊星ギアセットに含まれる、その他である。このようなギアは、局所的な比強度及び摩耗特性を向上させることによって動作性能を改善するよう熱処理がなされた金属から鍛造で形成されることが多い。金属ギアは、重量があり、金属歯接触面で十分なギア寿命を維持するために高レベルの潤滑を必要とする。より大きな金属ギアセットは、金属材料の熱キャパシタンスに起因して熱処理が困難であり、歯及びハブ領域において理想的な材料特性を実現するのに製造プロセス中に材料を急冷する能力が制限される。更に、熱処理を施した従来の金属ギアは極めて高価である。金属ギア歯に付加される摩耗コーティング（皮膜）を用いて歯の摩耗寿命を改善することができるが、ギアセット重量は低減されない。

本発明の実施形態は、軽量で、必要とされる構造上の比強度を提供するギアセットを提供するのに用いることができるギアを含む。上記の実施例は、本発明の実施形態における単なる１つの環境状況に過ぎず、航空電子機器においては重量節減が重要であるが、このようなギアは、自動車の変速ギアトレーン、ピストンエンジンのタイミングギア装置、風力タービンのギアボックス、電動機の駆動系、その他を含む様々な環境で利用することができる点は理解されるであろう。

図１は、本発明の１つの実施形態による、例示的なギア１０を示す。ギア１０は、第１の材料から作られたハブ１２と、第２の材料から作られた複数のギア歯１４とを含む。ハブ１２の第１の材料は、複数のギア歯１４の第２の材料とは異なる延性がある。複数のギア歯１４は、ハブ１２に装着されるギア歯リングを形成することができる。複数のギア歯１４は、何れかの好適な方法でハブ１２に装着することができる。図示の実施例において、複数のギア歯１４は、ハブ１２及び複数のギア歯１４を通って延びる幾つかのピン１６を用いてハブ１２に結合される。ピン１６は、何れかの好適な材料から形成することができる。このようにして、複数の材料から作られるギアは、望ましい構造上の比強度を提供するように形成することができる。

図２は、本発明の第２の実施形態による、別の例示的なギア１１０を示す。ギア１１０は、上述のギア１０と同様であり、従って、同じ部品には同じ数字に１００を加えた符号で識別され、別途記載のない限り、ギア１０の同じ部品の説明はギア１１０にも当てはまることは理解される。ギア１０と同様に、ハブ１１２は、第１の材料から作られ、複数のギア歯１１４は、第２の材料から作られることは理解されるであろう。

１つの相違点は、複数のギア歯１１４が、ハブ１１２に装着されたギア歯１２２の離散的セクションを含むものとして示されている点である。ギア歯１２２の離散的セクションは、ハブ１１２に装着されたギア歯リングを形成することができる。複数のギア歯１１４は、何れかの好適な方法でハブ１１２に装着することができる。例示の実施例において、複数のギア歯１１４は、何れかの好適な材料で形成できる幾つかのピン１２８を用いてハブ１１２に結合される。ギア歯１２２の離散的セクションの１つだけがピン１２８により結合されるように図示されているが、ギア歯１２２の離散的セクションの全てをこの方式で結合できることは理解されるであろう。図３Ａでより良好に示されるように、ギア歯１２２の離散的セクションは、ピン孔１３０を含み、図３Ｂでより良好に示されるように、ハブ１１２は、対応するピン孔１３４を含む。ボルトパック１２６（図２）は、開口１３６を貫通して挿入することができ、ハブ１１２をロータ組立体（図示せず）にボルト締結するのに使用することができる。

図４Ａは、本発明の第３の実施形態による、更に別の代替の例示的なギア２１０を示す。ギア２１０は、上述のギア１０と同様であり、従って、同じ部品には同じ数字に２００を加えた符号で識別され、別途記載のない限り、ギア１０の同じ部品の説明はギア２１０にも当てはまることは理解される。ギア１０と同様に、ハブ２１２は、第１の材料から作られ、複数のギア歯２１４は、第２の材料から作られることは理解されるであろう。

１つの相違点は、ハブ２１２及びギア歯２１４がギア１０とは異なるような形状にされている点である。より具体的には、図４Ｂでより明確に示されるように、ハブ２１２は、ギア歯２１４の一部に挿入される。図示のように、ハブ２１２は、ギア歯２１４と同一平面上にあることができる。更に、ハブ２１２をギア歯２１４内に保持すること及び／又はギア２１０をロータ組立体に結合することなどを可能にするために、ハブ２１２は、ピン孔２２０を含むように例示されており、ギア歯は、ピン孔２２２を有するように例示されている。例示の実施例において、ハブ２１２はまた、凹部２３２を含むように示されている。ギア歯２１４の突出部２３２は、凹部２３０内に受けることができる。このことは、ハブ２１２の一部とギア歯２１４との間にスペース２３４を設けることを可能にすることができる。

ギア歯が離散的セクションの状態にあるかどうかを含めて、ギアの一部がどのように形成されるかに関係なく、ハブ１２、１１２、２１２の延性の異なる第１の材料は、金属、金属マトリックス複合材、ポリママトリックス複合材、ポリマプラスチック、その他を含む、何れかの好適な材料を含むことができる。金属マトリックス複合材は、マトリックスとしてアルミニウムなどの金属を使用し、非限定的な実施例として、炭化ケイ素並びにＳＣＳ−６炭化ケイ素短繊維ベースの繊維を有する６−４又は６−２−４−２Ｔｉなどの繊維で強化した材料である。ポリママトリックス複合材はまた、マトリックスとしてポリマベース樹脂と、強化材として非限定的な実施例としてガラス、炭素、及びアラミドなどの様々な繊維とを使用する繊維強化ポリマ又は繊維強化プラスチックとして知られている。ギア１０，１１０，２１０において歯１４，１１４，２１４を形成するより硬質の第２の材料は、セラミックマトリックス複合材、セラミック、金属、金属マトリックス、ポリママトリックス複合材、ポリマプラスチックを含む何れかの好適な材料を含むことができる。セラミックマトリックス複合材は、マトリックスとしてセラミックを使用し、非限定的な実施例として炭化ケイ素及び窒化ホウ素から作られたような短繊維又はウィスカで強化される。或いは、セラミックマトリックスは、長繊維ベース強化材と組み合わせることができ、これには、例えば、様々な線形テープ又は２Ｄ及び３Ｄ織テープ又は織組などに組み込むことができるＨｉ−Ｎｉｃａｌｏｎセラミック繊維を含むことができる。ギア歯の材料性能は通常、表面ピッチング及び歯の破損を抑制するある範囲の特性内で機能する。表面ピッチングを抑制するために、表面疲労限界は３００〜８００ＭＰａの範囲であり、損耗及び表面浸食を制限するために、表面高度は１５０〜８００ＨＢの範囲であり、歯の破損を制限するために、曲げ疲労限界は、７５〜１０００ＭＰａの範囲であり、繰り返し荷重振幅は、３００〜２０００ＭＰａの範囲である。

非限定的な実施例として、ギア１０又はギア１１０は、ポリママトリックス複合材から形成されたハブ１２，１１２と、セラミックマトリックス複合材から形成された歯１４，１１４とを有することができる。ポリママトリックス複合材のハブ１２，１１２を有するこのようなギアは、半径方向で強く軽量とすることができ、他方、セラミックマトリックス複合材から形成されたギア歯１４，１１４は、軽量で且つ耐久性のある摩耗寿命機能の向上の両方とすることができる。追加の非限定的な実施例として、ギア１０又はギア１１０は、ポリママトリックス複合材から形成されたハブ１２，１１２と、金属マトリックス複合材から形成された歯１４，１１４とを有することができる。金属マトリックス複合材から形成された歯１４，１１４を有するこのようなギアは、摩耗機能及び内部構造強化が向上し、供用中のピッチング及び亀裂形成を軽減することができる。別の実施例として、表１は、使用できる様々な材料と形成されたギアの特性とを示している。
表１：ハブ及び歯の例示的な材料

上記の表において、自己修復材料を有することができる複数の材料の組み合わせがある。自己修復材料は、長期にわたる機械的使用により生じる損傷を修復する能力が構造的に組み込まれたスマート材料の部類である。通常の使用によって生じる損傷を本質的に補正することができる材料は、長い部品寿命にわたって多くの様々な産業的プロセスのコストを削減し、劣化によって生じる経時的な非効率性を緩和し、並びに材料破壊によって被るコストを排除することができる。亀裂進行の阻止につながる自己修復特性をもたらす機構を含むことができる、あらゆる好適な自己修復材料を用いることができることは理解されるであろう。自己修復材料は、亀裂発生及び／又は進展を抑制することができる。

表１において、ポリマプラスチック（非繊維強化）で形成されたハブ及び超硬質（セラミック又はセラミックマトリックス）材料のギア歯を有するギアについての情報は含まれていない。これは、このようなギアは、強化されていないプラスチックにおける高圧縮応力に起因してハブ領域で欠陥を生じる傾向が高いためである。セラミック（又はＣＭＣ）歯の硬度は、圧縮に極めて強く、更に、歯に作用する超高圧縮荷重を有することは、プラスチックハブ内のピン孔に高い軸受荷重がかかることにつながり、強化されていないプラスチック材料の圧縮限度を超えることになり、亀裂を生じる可能性がある。

ギア１０，１１０，２１０に複合材が利用される場合、繊維体積及び繊維配向の両方は、疲労亀裂を最小限にし、構造特性を強化するよう調整することができる。非限定的な実施例として、金属マトリックス複合材における繊維体積は、１７％〜２７％の範囲とすることができ、ポリママトリックス複合材における繊維体積は、２２％〜３２％の範囲とすることができ、セラミックマトリックス複合材における繊維体積は、６５％〜７５％の範囲とすることができる。ギア１０，１１０，２１０のハブ１２，１１２，２１２が、繊維又はプライを有する複合材から形成される場合、プライのタイプ及び配向は、所望の特性を達成するのを助けるように設計することができる。例えば、図５Ａは、本発明の１つの実施形態による、ギアのハブ３００に用いることができる１つの例示的な配向を示している。ハブ３００は、図１及び２におけるハブと同様の形状にされて示しているが、ハブは、あらゆる好適な形状を有することができることは理解されるであろう。より具体的には、フープベースの繊維巻回プライ３０２が例示されている。図５Ｂは、半径方向ベースの繊維プライテープ３０６を有する代替のハブ３０４を示している。更に、繊維又はプライを有する複合材から形成される場合、プライのタイプ及び配向は、硬度を含む所望の特性を達成するのを助けるように設計することができる。図６Ａは、フープベースの繊維プライ湾曲部３１２を有する例示的なギア歯セグメント３１０を示し、図６Ｂは、交差プライベースの繊維プライテープ３１６を有する別の例示的なギア歯セグメント３１４を示す。ギア歯セグメント３１０及び３１４は、図２の歯と同様の形状にされて示されているが、ギア歯及びギア歯リングは、あらゆる好適な形状を有することができることは理解されるであろう。

上述の実施形態は、特定構造特性を有するギアがギア重量の軽量化、良好なギア歯摩耗機能、及びギアセット作動能力を維持するのに必要な潤滑性の軽減をもたらすように形成できることを含む様々な利点を提供する。このようなギアを用いて、航空機で供用するのに十分な軽量さと耐久性があるギアセットを提供することができる。例えば、ポリママトリックス複合材のハブと、より硬質の材料から形成された歯とを有するギアは、全セラミック又はセラミックマトリックス複合材ベースのギア設計よりも堅牢なものとなる。追加の実施例として、ポリママトリックス複合材とセラミックマトリックス複合材の混合設計は、金属ギアよりも軽量となり、セラミックマトリックス複合材歯の摩耗性能の改善に起因して潤滑性をあまり必要とせず、ギアセットシステムの飛行重量の低減になる。上述の実施形態によるギアは、従来の金属ギアの重量の３分の１又は２分の１となる可能性があることも企図される。

上記で記載されていない範囲では、種々の実施形態の様々な特徴要素及び構造は、必要に応じて互いに組み合わせて用いることができる。実施形態の全てにおいてある特徴要素が例示されていない場合があることは、存在しなくてもよいとみなされることを意味するのではなく、説明を簡潔にするためになされたものである。従って、異なる実施形態の種々の特徴要素は、新しい実施形態が明示的に説明されているかどうかに関わらず、新しい実施形態を形成するために必要に応じて組み合わせて適合させることができる。本明細書で説明される特徴要素の組み合わせ又は並び換えの全ては本開示に含まれる。

本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、また、あらゆる当業者が、あらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること並びにあらゆる組み込み方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。

１０ ギア
１２ ハブ
１４ ギア歯
１６ ピン
１１０ ギア
１１２ ハブ
１１４ ギア歯
１２２ ギア歯の離散的セクション
１２６ ボルトパック
１２８ ピン
１３０ ピン孔
１３４ ピン孔
１３６ 開口
２１０ ギア
２１２ ハブ
２１４ ギア歯
２２０ ピン孔
２２２ ピン孔
２３０ 凹部
２３２ 突出部
２３４ スペース
３００ ハブ
３０２ フープベースの繊維巻回プライ
３０４ ハブ
３０６ 半径方向ベースの繊維プライテープ
３１０ ギア歯セグメント
３１２ フープベースの繊維プライ湾曲部
３１４ ギア歯セグメント
３１６ 交差プライベースの繊維プライテープ

Claims (12)

1. 第１の材料から作られたハブ（１２，１１２，２１２，３００，３０４）と、
   第２の材料から作られ且つ前記ハブ（１２，１１２，２１２，３００，３０４）に装着される複数のギア歯（１４，１１４，２１４，３１０，３１４）と、
   を備え、前記第１の材料が前記第２の材料よりもより延性がある、ギア（１０，１１０，２１０）。
2. 前記第１の材料が、金属、金属マトリックス複合材、ポリママトリックス複合材、又はポリマプラスチックのうちの少なくとも１つを含む、請求項１に記載のギア（１０，１１０，２１０）。
3. 前記第２の材料が、セラミックマトリックス複合材、セラミック、金属、金属マトリックス、ポリママトリックス複合材、又はポリマプラスチックを含む、請求項２に記載のギア（１０，１１０，２１０）。
4. 前記第１の材料がポリママトリックス複合材を含み、前記第２の材料がセラミックマトリックス複合材を含む、請求項３に記載のギア（１０，１１０，２１０）。
5. 前記第１の材料がポリママトリックス複合材を含み、前記第２の材料が金属マトリックス複合材を含む、請求項３に記載のギア（１０，１１０，２１０）。
6. 前記複数のギア歯（１１４）が、前記ハブ（１１２）に装着されたギア歯（１２２）の離散的セクションを含む、請求項１に記載のギア（１０，１１０，２１０）。
7. 前記複数のギア歯（１１４）が、前記ハブ（１１２）に装着されたギア歯リングを含む、請求項６に記載のギア（１０，１１０，２１０）。
8. 前記複数のギア歯（１４，１１４，２１４，３１０，３１４）が、前記ハブ（１２，１１２，２１２，３００，３０４）に装着されたギア歯リングを含む、請求項１に記載のギア（１０，１１０，２１０）。
9. 前記ギア歯リング及び前記ハブ（１２，１１２，２１２，３００，３０４）が、対応するピン孔（１３０，１３４，２２０，２２２）を含む、請求項８に記載のギア（１０，１１０，２１０）。
10. 前記ハブ（１２，１１２，２１２，３００，３０４）が、ロータ組立体に前記ハブ（１２，１１２，２１２，３００，３０４）をボルト締めするためのボルトパック（１２６）を含む、請求項８に記載のギア（１０，１１０，２１０）。
11. 前記第２の材料が、フープベースの繊維プライ湾曲部（３１２）又は交差プライベースの繊維プライテープ（３１６）を含む、請求項８に記載のギア（１０，１１０，２１０）。
12. 前記第１の材料が、フープベースの繊維巻回プライ（３０２）又は半径方向ベースの繊維プライテープ（３０６）を含む、請求項１に記載のギア（１０，１１０，２１０）。