JP2016014114A - 接着剤及びその使用方法並びに接着膜 - Google Patents

接着剤及びその使用方法並びに接着膜 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便に製造できるにも拘わらず、高い接着力を有し、薄肉の被着体であっても、破損させることなく、容易に剥離できる接着剤を提供する。【解決手段】下記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を含む接着剤を調製する。(式中、環Zは、置換基を有していてもよく、かつヘテロ原子として酸素原子を含む飽和ヘテロ環を示し、かつ環Zは、同一の前記飽和ヘテロ環であってもよく、異なる前記飽和ヘテロ環の組み合わせであってもよい)【選択図】なし

Description

本発明は、半導体集積回路を含むICチップなどの電気・電子デバイスの製造に利用される接着剤及びその使用方法並びに接着膜に関する。
ICチップは、通常、半導体単結晶(インゴット)をスライスして得られるウエハの表面に回路を形成した後、裏面を研磨してウエハを薄肉化するバックグラインド工程、薄肉化したウエハをチップ状に切断するダイシング工程を経て製造される。このような製造工程において、バックグラインド工程では、回路面を保護し、作業性を向上させるために、バックグラインドフィルム(又はテープ)が使用される。このバックグラインドフィルムは、粘着層(又は接着層)と基材フィルムとで構成されており、この粘着層とウエハの回路面とを接触させてウエハに貼着することにより、バックグラインド工程の間、主としてウエハの回路面を保護するために使用され、使用後は剥離除去される。詳しくは、バックグラインド工程において、回路面を異物による傷やチッピングクラック(割れ)などから防御し、かつ研磨粉などによる汚染から保護するとともに、基材フィルムの剛性を利用して研磨などの作業性を向上させている。
そのため、バックグラインドフィルムの粘着層は、バックグラインド工程においては、研磨時の衝撃に耐える接着強度を備えるとともに、使用後は容易に剥離除去できる必要がある。さらに、研磨などによりフィルムの温度が上昇するため、耐熱性も必要とされる。このような粘着層としては、硬化性アクリル系樹脂が汎用されており、使用後に硬化して粘着力を低下させることにより剥離するのが一般的であるが、硬化収縮や剥離作業による反りが生じ易い。一方、近年、携帯電話やスマートフォン、タブレット型PCなどの多機能型モバイル機器やICカードでは、半導体ウエハの薄肉化や大型化、高密度化などが進んでおり、従来よりもさらに割れ易い上に、反りも生じ易くなっている。特に、三次元積層半導体では、50μm以下まで薄肉化するため、従来のバックグラインドフィルムでは対応が困難となっている。そのため、従来の接着剤を有するバックグラインドフィルムでは、薄肉の半導体ウエハに用いると、剥離時に半導体ウエハの破損などのダメージが発生した。これに対して、使用後に粘着層を分解することにより剥離性を向上させるバックグラインドフィルム用接着剤が提案されている。
特開2012−126888号公報(特許文献1)には、下記式(A)で表されるユニットを有する環状アセタール化合物を含む接着剤が開示されている。
Figure 2016014114
(式中、R11はカルボニル化合物の残基、R12aおよびR12bは同一又は異なって水素原子又は置換基、R13〜R15は同一又は異なって水素原子又は置換基、R16は置換基を示し、R13又はR14とR16とは互いに結合して環を形成していてもよい)。
この文献には、前記化合物が、下記式(B)で表される化合物と、下記式(C)で表される化合物とを、エーテル系溶媒中、アルミニウム系触媒及び/又はスズ系触媒の存在下、−30℃〜50℃程度の温度で反応させて得られることが記載されている。
Figure 2016014114
(式中、R11、R12a、R12b及びR13〜R16は、前記に同じ)。
しかし、この多量体化合物は、カチオン重合で製造されるため、厳密な水分管理が必要である上に、高価な金属触媒を用いて低温で反応させる必要があり、分子量を向上させるのが困難であった。さらに、製造が困難であるため、生産性も低かった。
特開2012−126888号公報(特許請求の範囲、段落[0081]〜[0103]、実施例)
従って、本発明の目的は、簡便に製造できるにも拘わらず、高い接着力を有し、薄肉の被着体であっても、破損させることなく、容易に剥離できる接着剤並びにその使用方法及び接着膜を提供することにある。
本発明の他の目的は、シリコンウエハなどの無機材料に対する接着性が高く、剥離後に被着体に残存付着しても、容易に洗浄除去できる接着剤並びにその使用方法及び接着膜を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、主鎖に含酸素飽和ヘテロ環及びアセタール結合を有する特定の重合体が、簡便に製造できるにも拘わらず、高い接着力を有し、薄肉の被着体であっても、破損させることなく、容易に剥離できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の接着剤は、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を含む。
Figure 2016014114
(式中、環Zは、置換基を有していてもよく、かつヘテロ原子として酸素原子を含む飽和ヘテロ環を示し、かつ環Zは、同一の前記飽和ヘテロ環であってもよく、異なる前記飽和ヘテロ環の組み合わせであってもよい)。
前記繰り返し単位(1)は、下記式(1a)で表される繰り返し単位であってもよい。
Figure 2016014114
(式中、R〜Rは、水素原子又は置換基を示す)。
前記式(1a)において、R〜Rは水素原子であってもよい。前記式(1)又は(1a)で表される繰り返し単位を有する重合体の重量平均分子量は1000以上であってもよい。前記接着剤は、さらに酸発生剤を含んでいてもよい。本発明の接着剤は、被着体を互いに仮接着した後、分離するための仮止め接着剤であってもよい。
本発明には、接着剤を用いて被着体を互いに仮接着して複合体を形成する接着工程、得られた複合体を構成する接着剤の重合体を分解して接着力を低下させる分解工程と、仮接着した被着体を分離する分離工程を含む接着剤の使用方法も含まれる。この方法では、接着剤が酸発生剤を含み、分解工程において、活性エネルギー線を付与して重合体を分解してもよい。
本発明には、前記接着剤を支持体の上に塗布した後、加熱して得られる接着膜も含まれる。
本発明では、接着剤が主鎖に含酸素飽和ヘテロ環及びアセタール結合を有する重合体を含むため、高い接着力を有するとともに、仮接着後の接着剤を容易に分解できるため、薄肉の被着体であっても、破損させることなく、容易に分離できる。また、この接着剤は、厳密な水分及び温度管理や、高価な金属触媒が不要であり、簡便な方法で得られるため、接着剤の生産性にも優れている。さらに、前記重合体は、酸素原子を含む極性構造を有するため、シリコンウエハなどの無機材料に対する接着性が高い。しかも、剥離後に被着体に残存付着しても、溶媒を用いて容易に洗浄除去できる。
図1は、実施例で得られた重合体のNMRチャートである。
[含酸素飽和ヘテロ環を有する重合体]
本発明の接着剤は、前記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を含む。式(1)において、環Zは、ヘテロ原子として酸素原子を含む飽和ヘテロ環であればよい。本発明では、飽和ヘテロ環が酸素原子を含む極性構造を有するため、ガラスやシリコンウエハなどの無機材料の密着性にも優れている。
飽和ヘテロ環は飽和単環式ヘテロ環(ヘテロ単環)であってもよく、飽和縮合ヘテロ環であってもよい。
飽和ヘテロ単環としては、例えば、オキサシクロブタン、テトラヒドロフラン(オキサシクロペンタン)、テトラヒドロピラン(オキサシクロヘキサン)、オキサシクロヘプタン、オキサシクロオクタンなどが挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン(特に、テトラヒドロフラン)が好ましい。
飽和縮合ヘテロ環の縮合数(縮合している環の数)は、2環式以上であればよく、3環式以上(例えば、3〜4環式)であってもよいが、通常、2環式である。飽和縮合ヘテロ環の員数(縮合環全体の員数)は、例えば、6〜20員環、好ましくは7〜15員環、さらに好ましくは8〜12員環(特に8〜10員環)程度である。飽和縮合ヘテロ環に含まれる酸素原子の数は、2個以上であればよく、例えば、2〜6個、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3程度である。2個以上の酸素原子は、同一の環に含まれていてもよいが、通常、各環に1個以上含まれている。
飽和縮合ヘテロ環の基本骨格(縮合環を構成する各環の構造)は、例えば、前記飽和ヘテロ単環などが挙げられる。前記飽和ヘテロ単環のうち、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン(特に、テトラヒドロフラン)が好ましい。縮合環は、これらの単環の組み合わせで構成され、同一の単環の組み合わせであってもよく、異なる単環の組み合わせであってもよい。
これらの飽和ヘテロ環のうち、密着性などの点から、環Zとしては、飽和縮合ヘテロ環が好ましい。
環Zに含まれる置換基としては、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などのC1−10アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC5−8シクロアルキル基など)、アラルキル基(ベンジル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基などのC1−10アルコキシ基など)、カルボキシル基、アシル基(ホルミル基、アセチル基などのC1−4アシル基など)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)、ニトロ基、シアノ基、(置換)アミノ基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子など)などが挙げられる。
このような繰り返し単位(1)は、前記式(1a)で表される繰り返し単位であってもよい。前記式(1a)において、R〜Rは、これらの置換基及び水素原子から選択された単一の基であってもよく、二種以上を組み合わせた基であってもよい。R〜Rとしては、製造のし易さや原料の入手のしやすさなどの点から、水素原子、メチル基などのC1−4アルキル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
前記重合体は、含酸素飽和ヘテロ環骨格を有するジビニルエーテルと含酸素飽和ヘテロ環骨格を有するジオールとの反応により得られる。前記重合体は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。共重合体は、式(1)で表される繰り返し単位において、環Zが、異なる飽和ヘテロ環の組み合わせ、例えば、異なる飽和ヘテロ単環同士の組み合わせ、異なる飽和縮合ヘテロ環同士の組み合わせ、飽和ヘテロ単環と飽和縮合ヘテロ環との組み合わせなどの共重合体であってもよい。すなわち、式(1)において、環Zは、同一の前記飽和ヘテロ環であってもよく、異なる前記飽和ヘテロ環の組み合わせであってもよい。さらに、共重合体は、式(1)で表される繰り返し単位と、他の共重合性単量体(他のジビニルエーテル及び/又は他のジオール)で形成された単位との共重合体であってもよい。
前記重合体において、式(1)で表される繰り返し単位の割合は50モル%以上であってもよく、例えば、80モル%以上(例えば、80〜100モル%)、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上(特に99モル%以上)であってもよい。
前記重合体の末端基は、ビニルエーテル基、ヒドロキシル基のいずれかであり、いずれか単独であってもよく、両基の組み合わせであってもよい。このように、前記重合体は、末端にヒドロキシル基及び/又はビニル基を有するため、ヒドロキシル基によりガラスやシリコンウエハなどの無機材料に対する密着性を付与したり、ビニル基により他の重合性基と重合させて酸分解性の架橋構造を有する樹脂を得ることもできる。
前記重合体の重量平均分子量(Mw)は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したとき、ポリスチレン換算で、1000以上であってもよく、例えば、1000〜100000、好ましくは2000〜50000、さらに好ましくは3000〜30000(特に4000〜10000)程度であってもよい。本発明では、含酸素飽和ヘテロ環を有しているにも拘わらず、高分子量の重合体が得られる。
前記重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、1〜5、好ましくは1.1〜3、さらに好ましくは1.2〜2.8(特に1.5〜2.5)程度であってもよい。
前記重合体は、常温(例えば、15〜25℃)で固体であり、かつ所定の温度で粘稠性を発現するホットメルト接着性を有していてもよい。前記重合体の接着温度(ホットメルト接着が可能な温度)は、例えば、50〜200℃、好ましくは80〜150℃、さらに好ましくは100〜150℃程度である。
前記重合体は、主鎖にアセタール結合を有するため、酸により容易に分解される特性を有しており、例えば、塩酸や硫酸などの強酸を添加して加熱することにより分解できる。加熱温度は、例えば、35〜100℃、好ましくは40〜80℃、さらに好ましくは45〜60℃程度であってもよい。
[含酸素飽和ヘテロ環を有する重合体の製造方法]
前記重合体は、下記式(2)で表されるジビニルエーテルと下記式(3)で表されるジオールとを反応させる反応工程を含む製造方法により得られる。
Figure 2016014114
(式中、環Zは、置換基を有していてもよく、かつヘテロ原子として酸素原子を含む飽和ヘテロ環を示し、かつ環Zは、同一の前記飽和ヘテロ環であってもよく、異なる前記飽和ヘテロ環の組み合わせであってもよい)。
反応工程において、ジビニルエーテル(2)としては、前記繰り返し単位(1)で例示された環Zを基本骨格とするジビニルエーテルであればよく、下記式(2a)で表されるジビニルエーテル(特に前記繰り返し単位(1a)で例示された置換基を有するジビニルエーテル)が好ましい。ジオール(3)としても、前記繰り返し単位(1)で例示された環Zを基本骨格とするジオールであればよく、下記式(3a)で表されるジオール(特に前記繰り返し単位(1a)で例示された置換基を有するジオール)が好ましい。
Figure 2016014114
(式中、R〜Rは、水素原子又は置換基を示す)。
反応工程では、ジビニルエーテル(2)及びジオール(3)に加えて、共重合性単量体を加えてもよい。共重合性単量体としては、他のジビニルエーテル(例えば、ブチレンジビニルエーテル、シクロヘキサンジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、2,2−ノルボルナンジメタノールジビニルエーテルなど)、他のジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAなど)、ヒドロキシアルキルビニルエーテルなどが挙げられる。
これらのうち、ジビニルエーテル(2)とジオール(3)との交互重合体が好ましい。
ジビニルエーテル(2)とジオール(3)との割合(モル比)は、前者/後者=10/1〜1/10程度の範囲から選択できるが、重合性の点から、例えば、2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2(特に1.1/1〜1/1.1)程度であってもよく、通常、略等モルである。
反応は触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、慣用の触媒を利用できるが、反応促進性が高い点から、酸触媒が好ましい。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸などの強酸であってもよいが、生成する重合体の安定性も保持できる点から、酢酸、リン酸、アレーンスルホン酸(例えば、トルエンスルホン酸など)と塩基(例えば、ピリジンなどの弱塩基など)との塩などの弱酸が好ましく、重合体の安定性と反応性とのバランスに優れる点から、パラトルエンスルホン酸ピリジニウムなどのトルエンスルホン酸塩が好ましい。
触媒の割合は、重合成分の総モル数(例えば、ジビニルエーテル(2)及びジオール(3)の総モル数)100モルに対して、例えば、0.1〜20モル、好ましくは0.3〜15モル、さらに好ましくは0.5〜10モル(特に1〜5モル)程度である。触媒の割合が少なすぎると、反応性が低下し、多すぎると、重合体の物性に悪影響を及ぼす虞がある。
反応は、溶媒中で行ってもよく、溶媒としては、前記ジビニルエーテル及びジオールに対して非反応性の溶媒であれば特に限定されず、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルムなど)、エーテル類(ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、セロソルブアセテート類(エチルセロソルブアセテートなどのC1−4アルキルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールモノC1−4アルキルエーテルアセテートなど)などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの溶媒のうち、セロソルブアセテート類(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールモノC1−4アルキルエーテルアセテートなど)が汎用される。
溶媒の使用量は、重合成分の総量(例えば、ジビニルエーテル(2)及びジオール(3)の総量)100重量部に対して、例えば、10〜1000重量部、好ましくは50〜500重量部、さらに好ましくは100〜300重量部(特に150〜200重量部)程度であってもよい。
反応は、慣用の添加剤、例えば、重合促進剤、重合禁止剤などを添加して行ってもよい。さらに、反応系に水分が含まれていてもよく、原料などに由来して不可避に含有する水分存在下で反応を行ってもよい。
反応工程では、過度の加熱や冷却をすることなく、反応を進行させることができ、反応温度は、例えば、0〜60℃(例えば、0〜50℃)、好ましくは10〜50℃、さらに好ましくは20〜45℃(特に30〜40℃)程度であってもよい。
反応時間は、例えば、30分〜48時間、通常、1〜36時間、好ましくは2〜24時間程度であってもよい。なお、反応は、不活性雰囲気(窒素、ヘリウム、アルゴンなどの雰囲気)下で行ってもよい。
反応工程を経て得られた重合体は、さらに分離精製工程に供してもよい。分離精製工程では、慣用の分離精製処理、例えば、濾過、濃縮、再沈殿、抽出、晶析(再結晶など)などの手段より分離精製してもよい。さらに、酸触媒を用いた場合は、慣用の方法によりアルカリで中和してもよい。
[酸発生剤]
本発明の接着剤(又は接着剤組成物)は、前記重合体を含んでいればよいが、さらに酸発生剤を含んでいてもよい。酸発生剤を含有させると、接着性(例えば、ホットメルト接着性)と酸による分解性とを付与でき、熱分解性接着剤又は光分解性接着剤を形成できる。
酸発生剤としては、熱により酸を発生する熱酸発生剤[例えば、スルホン酸系熱酸発生剤(例えば、アレーンスルホン酸エステル(例えば、ベンゾイントシラート、ニトロベンジルトシラートなど)などのスルホン酸エステル)、カルボン酸系熱酸発生剤(例えば、脂肪酸(例えば、クエン酸、酢酸、マレイン酸など)又はその塩、芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸、フタル酸など)又はその塩など)、リン酸系熱酸発生剤(例えば、リン酸、有機リン酸エステルなど)など]、光酸発生剤などが挙げられる。酸発生剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、ホットメルト接着性重合体と熱酸発生剤とを組み合わせる場合、ホットメルト接着温度においては酸を発生しない熱酸発生剤が好適に使用される。好ましい酸発生剤は、光酸発生剤である。光酸発生剤を用いると、ホットメルト接着性を有する重合体であっても、被着体を仮接着した後、光照射により重合体を効率よく分解できる。
光酸発生剤は、熱によっても酸を発生する酸発生剤であってもよいが、代表的には、活性エネルギー線(例えば、可視光線、紫外線、電子線、X線など)の照射により酸を発生する酸発生剤である。代表的な活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線などが挙げられる。代表的な光酸発生剤としては、例えば、キノンジアジド化合物、オニウム塩(例えば、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、セレニウム塩)、フェノール類、スルホン酸又はそのエステル、カルボン酸又はそのエステルなどが例示できる。なお、オニウム塩の対イオンとしては、例えば、ボレート(例えば、BF 、B(C など)、ホスフェート(例えば、PF など)、スルホネート(例えば、CFSO 、CSO 、CSO など)、アンチモネート(例えば、SbF など)などのアニオンが挙げられる。
具体的な光酸発生剤としては、例えば、キノンジアジド化合物(例えば、ナフトキノンジアジド化合物など)、スルホニウム塩[例えば、アルキルスルホニウム塩(例えば、トリアルキルスルホニウム塩など)、アリールスルホニウム塩(例えば、ジアリールスルホニウム塩、トリアリールスルホニウム塩)など]、ホスホニウム塩[例えば、アリールホスホニウム塩(例えば、トリアリールホスホニウム塩など)など]、ジアゾニウム塩(例えば、アリールジアゾニウム塩)、ヨードニウム塩[例えば、アリールヨードニウム塩(例えば、ジアリールヨードニウム塩)など]、セレニウム塩[例えば、アリールセレニウム塩(例えば、トリアリールセレニウム塩など)]、フェノール類(例えば、フェノール、レゾルシノール、ピロガロール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレンなど)、スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸;ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのアレーンスルホン酸;カンファースルホン酸など)又はそのエステル(例えば、アレーンスルホン酸エステル)などが挙げられる。光酸発生剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
酸発生剤の割合は、前記重合体100重量部に対して、例えば、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部、さらに好ましくは0.3〜10重量部(特に0.5〜5重量部)程度であってもよい。
[接着剤の特性]
本発明の接着剤は、用途に応じて、溶媒を含まない無溶剤型接着剤であってもよく、溶媒を含む溶剤型接着剤であってもよい。前記重合体は溶剤溶解性に優れるため、コーティングが容易であり、取り扱い性に優れる。そのため、本発明の接着剤は溶媒を含む溶剤型接着剤であるのが好ましい。
前記重合体を溶解可能な溶媒としては、例えば、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類)、エーテル系溶媒(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、ケトン系溶媒(例えば、アセトンなどの鎖状ケトン類;シクロヘキサノンなどの環状ケトン類)、セロソルブ系溶媒(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのC1−4アルキルセロソルブ、プロピレングリコールモノC1−4アルキルエーテルなどのプロピレングリコールモノメチルエーテルなど)、セロソルブアセテート系溶媒(例えば、エチルセロソルブアセテートなどのC1−4アルキルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテートなどのプロピレングリコールモノC1−4アルキルエーテルアセテートなど)、カルビトール系溶媒(メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトールなどのC1−4アルキルカルビトール類など)、芳香族系溶媒(例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)、ハロゲン系溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロアルカン類)、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルカノール類)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、ニトロ系溶媒(例えば、ニトロベンゼンなど)などが挙げられる。
これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの溶媒のうち、溶解性が高く、高沸点などの取り扱い性に優れる点から、セロソルブ系溶媒、セロソルブアセテート系溶媒、カルビトール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒などが好ましく、プロピレングリコールモノC1−4アルキルエーテルアセテート、メチルブチルケトン、酢酸ブチルが特に好ましい。
溶媒の割合は、重合体100重量部に対して、例えば、10〜1000重量部、好ましくは50〜800重量部、さらに好ましくは100〜500重量部(特に200〜400重量部)程度である。
本発明の接着剤は、必要に応じて、慣用の添加剤、例えば、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤など)、着色剤(顔料など)、増粘剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、増感剤などを含んでいてもよい。また、接着剤は、重合開始剤(熱又は光重合開始剤)又は重合開始剤系を含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の接着剤は、固体状(粉末状、顆粒状、ペレット状、棒状、シート状など)の形態、又は液状の形態で使用でき、シート状接着剤は、通常、被着体に積層可能である。シート状接着剤の厚みは、例えば、1〜300μm(例えば、2〜200μm)、好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜80μm程度であってもよい。
[接着剤の使用方法]
本発明の接着剤に含有される重合体は、高い接着性(特に、ホットメルト接着性)を有しているとともに、重合体は酸により容易に分解するという特性を有する。すなわち、本発明の接着剤は、被着体を互いに強固に接着するだけでなく、酸により重合体が分解して接着力が低下し、容易に分離できる。そのため、本発明の接着剤は、一時的に被着体を互いに仮接着した後、分離するための仮止め接着剤として有用である。
すなわち、本発明の接着剤は、接着剤を用いて被着体を互いに仮接着して複合体を形成する接着工程、得られた複合体を構成する接着剤の重合体を分解して接着力を低下させる分解工程と、仮接着した被着体を分離する分離工程を含む方法で仮止め接着剤として使用できる。
本発明の接着剤は酸により分解する特性を有するため、前記分解工程では酸を用いて接着剤を分解するのが好ましい。前記分解工程と前記分離工程との順序は、特に限定されず、分離工程の後に分解工程に供する方法(例えば、酸発生剤を含まない接着剤で仮接着した被着体を加熱して分離した後、塩酸や硫酸などの酸を用いて接着剤を分解して洗浄する方法など)、分離工程と分解工程とを同時に行う方法(例えば、加熱した塩酸や硫酸などの酸又は酸を含む溶液を用いて、酸発生剤を含まない接着剤で仮接着した被着体を分解するとともに、分離する方法など)であってもよいが、生産性などの点から、分解工程の後に分離工程に供する方法が好ましく、酸発生剤を含む接着剤を用いて、酸発生剤から発生した酸により接着剤を分解した後、分離する方法が特に好ましい。
さらに、本発明の接着剤(仮止め接着剤又は仮接着剤)は、被加工部材の加工又は保護に適している。より具体的には、本発明の接着剤の使用方法は、例えば、被着体としての被加工部材の一方の面と、被固定部材とを酸発生剤を含む接着剤を用いて接着させる接着工程と、加工手段により被加工部材の他方の面を加工する加工工程と、少なくとも接着界面に活性エネルギー線を照射して重合体を分解する分解工程と、被固定部材と加工された被加工部材とを分離する分離工程とを含む方法であってもよい。
接着工程において、被加工部材は、特に限定されず、接着面を有する種々の成形体又は加工品、例えば、プラスチック成形品、ガラス基板、セラミックス基板、金属基板などであってもよく、電気絶縁体、半導体、導体のいずれであってもよい。また、被加工部材の形状は、ブロック状、シリコンウエハなどの板状又はシート状などであってもよい。
被固定部材も、特に限定されず、無機材料、有機材料のいずれで形成されていてもよいが、活性エネルギー線を透過できる透明材料で形成された透明シートであってもよい。透明シートとしては、例えば、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、クラウンガラス、バリウム含有ガラス、ストロンチウム含有ガラス、ホウ素含有ガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、シリカガラス、石英ガラス、耐熱ガラスなどで形成されたガラスシート;オレフィン系樹脂(鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体など)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド12など)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体など)、塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニルなど)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロースエステル系樹脂などで形成されたプラスチックシートなどが挙げられる。
透明シートの厚みは、用途に応じて適宜選択でき、例えば、5μm〜10mm、好ましくは10μm〜5mm、さらに好ましくは50μm〜3mm程度である。なお、透明シートには、慣用の表面処理、例えば、酸化処理[表面酸化処理、例えば、放電処理(コロナ放電処理、グロー放電など)、酸処理(クロム酸処理など)、紫外線照射処理、焔処理など]、表面凹凸処理(溶剤処理、サンドブラスト処理など)などの表面処理が施されていてもよい。
接着剤を用いた接着方法としては、例えば、被加工部材、被固定部材のいずれか一方(特に、接着面がより平坦な部材、例えば、被固定部材)の接着面に液状の接着剤をコーティングする方法、被加工部材、被固定部材のいずれか一方の接着面にシート状接着剤を熱ラミネートなどの方法で積層する方法などが挙げられる。これらのうち、生産性などの点から、コーティング法が好ましい。
コーティングの方法としては、例えば、キャスティング法、スピンコート法、スプレーコーティング法、バーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、ディッピング法などの慣用の方法を利用できる。
溶媒を含む接着剤では、コーティング後、必要に応じて、乾燥してもよい。乾燥は、加温下(例えば、50〜180℃、好ましくは100〜160℃程度)で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。
なお、本発明の接着剤は、このように、通常、透明シートなどの支持体の上に塗布した後、加熱して得られる接着膜の状態で利用される。例えば、支持体として、剥離性の支持体を用いて、本発明の接着剤単独で形成された接着膜として使用してもよい。接着膜(接着剤層)の厚みは、例えば、0.1〜300μm、好ましくは1〜200μm、さらに好ましくは2〜100μm(例えば、5〜50μm)程度であってもよい。
いずれか一方の部材に積層された接着剤層は、通常、加熱してホットメルト(熱融着)により他方の部材に接着できる。ホットメルト接着において、加熱温度(ホットメルト接着温度)は、例えば、50〜180℃、好ましくは80〜150℃、さらに好ましくは100〜140℃程度であってもよい。
加工工程では、被固定部材と加工手段とは、互いに相対的に運動又は移動可能であればよく、例えば、被固定部材及び加工手段のうち、一方が他方に対して近接又は離反可能であってもよく、双方が近接又は離反可能であってもよい。また、一方が他方に対して回転可能であってもよく、双方が回転可能(同一又は異なる方向に回転可能)であってもよい。
加工方法としては、種々の加工、例えば、塗布などによる耐蝕加工、エッチング液などによる腐食又はエッチング加工、メッキ加工(化学メッキ、電解メッキ加工など)などの化学的加工;プラズマエッチングなどの電気的加工;レーザー光などの光線による光学的加工(凹凸加工など);ポリッシング加工、切削又は研削、研磨などの機械的加工などが採用できる。特に、仮止め接着剤(シート状仮止め接着剤)は、保護テープ、例えば、バックグラインドテープ用の接着剤(又はバックグラインドテープの接着層を形成する接着剤)として適しているため、被加工部材は、半導体ウエハなどの被研磨部材であってもよい。なお、保護テープ(バックグラインドテープ)は、被加工部材の一方の面(例えば、半導体ウエハの回路面などの凹凸加工面など)に貼り合わせて表面を保護し、他方の面を加工(研磨加工など)する場合に使用できる。この保護テープでは、被加工部材の一方の面(保護面)を、外的異物、クラックの生成、粒子付着などから保護できる。
保護テープ(仮接着テープ)は、前記接着剤で形成された単層構造を有していてもよく、前述のように、透明シートと接着膜との積層構造を有していてもよい。また、接着膜の表面(単層構造のテープでは接着膜の両面、積層構造のテープでは、接着剤膜の表面)は、離型シートで被覆又は積層してよい。保護テープとしては、通常、離型面(接着面)に離型シートが積層された積層構造のテープが利用される。
なお、バックグラインド工程では、適当な固定手段で被固定部材を固定しつつ、被研磨部材の他方の面(接着面とは反対側の面)を研磨することにより、被研磨部材(ウエハなど)を研磨することができる。研磨後の被研磨部材(ウエハなど)の厚みは、例えば、1〜1000μm程度の範囲から選択できるが、好ましくは5〜700μm、さらに好ましくは10〜500μm(例えば、30〜400μm)程度であってもよい。
分解工程では、酸発生剤から酸を発生させるために、少なくとも接着界面に熱や活性エネルギー線を付与(照射)する。通常、熱酸発生剤では、少なくとも熱を付与(加熱)し、光酸発生剤では、少なくとも活性エネルギー線を付与(照射)する。
加熱温度は、例えば、60〜170℃、好ましくは80〜160℃、さらに好ましくは100〜150℃程度であってもよい。
活性エネルギー線は、放射線、紫外線、可視光線などが利用でき、通常、紫外線であってもよい。光源としては、例えば、紫外線の場合は、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザー光源などを用いることができる。なお、照射光量(照射エネルギー)は、例えば、10〜10000mJ/cm、好ましくは30〜7000mJ/cm、さらに好ましくは100〜5000mJ/cm程度であってもよい。照射時間は、特に限定されず、例えば、5秒以上(例えば、10秒〜10分)、好ましくは15秒以上(例えば、20秒〜5分)程度であってもよい。
好ましい方法では、光酸発生剤を含む接着剤を用い、分解工程で、活性エネルギー線を照射して、酸発生剤から酸を発生させる。特に、活性エネルギー線の照射後に加熱(アフターキュア又はポストベーク)してもよい。加熱処理の温度は、例えば、50〜180℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜120℃程度であってもよい。加熱処理時間は、例えば、3秒以上(例えば、5秒〜10分)、好ましくは5秒以上(例えば、7秒〜5分)程度であってもよい。
このような分解工程では、重合体が分解して、接着剤による接着力が大きく低下する。そのため、分離工程では、容易に被加工部材と被固定部材とを分離できる。
なお、通常の分離では、被着体及び接着剤層(接着膜)のうち、一方に対して他方を剥離させる(例えば、被着体に対して接着剤層の端部を斜め上方向に持ち上げて剥離する)ことにより行われるが、このような方法では、加工が施された強度の小さな被加工部材(研磨処理されたウエハなどの厚みの薄い被加工部材など)に応力が作用し、割れが生じる場合がある。これに対して、本発明の接着剤は、分解後においては極めて接着性が低下するため、被着体を接着剤層から容易に分離できる。例えば、被着体に応力が作用しない方向、例えば、被着体(ウエハなど)を接着面に対してスライドさせる(接着界面に沿って被着体をスライドさせる)だけで被着体を分離することができる。そのため、バックグラインド処理後のウエハなどのように被着体に過度の負荷を作用できない場合(例えば、被着体が破損するおそれがある場合など)、特に、被固定部材又は接着剤層に対してスライドさせて被着体を接着剤層から分離するのが好ましい。
なお、分解工程の後、分解した重合体を含む接着剤が被加工部材(例えば、ウエハなどの被研磨部材)上に残存している場合がある。そのため、本発明の方法は、分離工程後、被加工部材(例えば、ウエハなどの被研磨部材)の剥離面(接着剤との接着面)を洗浄する洗浄工程を含んでいてもよい。洗浄は、被加工部材の剥離面(接着面)の拭き取りなどにより行ってもよく、溶媒による洗浄であってもよい。溶媒としては、前記重合体を可溶な有機溶媒を使用でき、被加工部材の剥離面に残存する接着剤成分を容易に除去できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、得られた重合体の特性は以下の方法で測定した。
[重量平均分子量]
実施例で得られた重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン換算で、高速GPC装置(東ソー(株)製「HLC−8220GPC」)を用い、移動相はテトラヒドロフランを流速0.6mL/分で、カラム(東ソー(株)製「TSKgel−superHZM−M」)を3本連結して測定した。
[NMR測定]
H−NMRは、核磁気共鳴装置(日本電子(株)製「JNM−ECA500」)を用いて、500MHzで測定した。
[スピンコート]
スピンコートはスピンコーター((株)アクティブ製「ACT−400AII」)を用いた。
[引張強度]
引張り強度は、引張・圧縮試験機((株)オリエンテック製「RTF−1350」)を用いてJIS K 6850に準拠して測定した。
実施例1
(重合体の合成)
イソソルバイド(東京化成工業(株)製)5g及びピリジニウムパラトルエンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.43gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート((株)ダイセル製)20gに加え、30℃以下でイソソルバイドジビニルエーテル((株)ダイセル製)6.78gを滴下した。滴下後40℃で4時間攪拌した。反応開始時はイソソルバイドの未溶解分が存在していたが、反応終了時にはイソソルバイドの未溶解分は消失していた。反応終了後、5重量%炭酸水素ナトリム水溶液及び水で洗浄し、有機層を減圧濃縮することで重合体7gを得た。この重合体の重量平均分子量Mwは5200であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であった。得られた重合体のNMRデータを以下に示し、NMRチャートを図1に示す。
(NMRデータ)
H−NMR(CDCl):δ(ppm)1.334−1.344(d)、1.386−1.397(d)、3.858−4.006(m)4.029−4.063(m)、4.232−4.352(m)、4.410−4.419(m)、4.526−4.567(m)、5.045−5.091(m)、6.352−6.487(m)。
(接着剤の調製)
得られた重合体2g及び酸発生剤としてトリフェニルスルフォニウムパーフルオロ―1―ブタンスルフォネイト0.02gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート(PGMEA)6gに溶解し、液状の仮止め接着剤を調製した。
(接着剤の評価)
得られた接着剤組成液を2cm×5cmのシリコン板((株)SUMCO製、直径100mmのシリコンウエハをダイシングして作製した厚み700μmのシリコン板)の上に、スピンコーター((株)アクティブ製「ACT−400AII」)を用いて塗布し、140℃で4分加熱し接着剤付きシリコン板を得た。得られた接着膜の厚みは5μmであった。
このシリコン板に石英ガラス板2cm×5cm(厚み2mm)を4cm(2cm×2cm)の面積で重ね合わせて120℃に加熱したところ、ホットメルト性が発現し、貼り合わせすることができた。この複合体の室温での引張り強度を測定したところ30N/cmであった。同様の方法で複合体を作製し、スポットキュア(ウシオ電機(株)製「UIS−25102」)を用いて、紫外線を800mJ照射し100℃で2分間加熱したところ、接着膜が液状に変化した。この接着体の引張り強度は5N/cmであった。さらに、引張強度測定後の接着膜は酢酸エチルで容易に除去できた。
本発明の接着剤は、優れた接着性を有し、しかも、接着性と酸による優れた分解性とを両立できる。そのため、各種の仮止め用接着剤などとして好適である。特に、本発明の接着剤は、接着後の剥離容易性が要求される用途、例えば、バックグラインド工程を経て製造される電気・電子デバイス、例えば、SiやGeなどの単体や、GaAsやCdSなどの化合物で構成された半導体素子(特にシリコンウエハ)の製造に用いられるバックグラインド用接着剤として利用できる。さらに、本発明の接着剤は、薄肉の被着体であっても、破損させることなく、容易に剥離できるため、薄肉の被着体を仮止める用途、例えば、50μm以下にシリコンウエハが薄肉化される三次元積層半導体のバックグラインド用接着剤として特に有用である。

Claims (9)

  1. 下記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を含む接着剤。
    Figure 2016014114
    (式中、環Zは、置換基を有していてもよく、かつヘテロ原子として酸素原子を含む飽和ヘテロ環を示し、かつ環Zは、同一の前記飽和ヘテロ環であってもよく、異なる前記飽和ヘテロ環の組み合わせであってもよい)
  2. 繰り返し単位(1)が、下記式(1a)で表される繰り返し単位である請求項1記載の接着剤。
    Figure 2016014114
    (式中、R〜Rは、水素原子又は置換基を示す)
  3. 式(1a)において、R〜Rが水素原子である請求項2記載の接着剤。
  4. 式(1)又は(1a)で表される繰り返し単位を有する重合体の重量平均分子量が1000以上である請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤。
  5. さらに酸発生剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤。
  6. 被着体を互いに仮接着した後、分離するための仮止め接着剤である請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の接着剤を用いて被着体を互いに仮接着して複合体を形成する接着工程と、得られた複合体を構成する接着剤の重合体を分解して接着力を低下させる分解工程と、仮接着した被着体を分離する分離工程とを含む接着剤の使用方法。
  8. 接着剤が酸発生剤を含み、分解工程において、活性エネルギー線を付与して重合体を分解する請求項7記載の使用方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の接着剤を支持体の上に塗布した後、加熱して得られる接着膜。
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