JP2016013880A - シート供給装置および画像形成装置 - Google Patents

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佳孝 黒田
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Abstract

【課題】シートサイズによらずスキューを低減なシート供給装置を提供すること。
【解決手段】シート供給装置2は、矩形状のシートを載置可能な供給トレイ21と、供給トレイ21上のシートShが有する第一辺B1近傍で該シートShと当接可能に配置され、該第一辺B1と略平行な軸を中心に回転可能な供給ローラ対22と、供給トレイ21上のシートShにおいて第一辺B1と対向する第二辺B2から該第一辺B1に略垂直に向かう方向を所定方向A2とする場合、該シートShの所定方向A2への長さにより異なる押さえ位置で、該シートShを押さえる押さえ部材232と、を備えている。
【選択図】図2

Description

本発明は、供給トレイに載置されたシートを供給ローラにより搬送経路に送り出すシート供給装置及び画像形成装置に関する。
従来、この種のシート供給装置としては、例えば特許文献1に記載の記録装置の給紙装置がある。このシート供給装置は、大略的に、記録装置に取り付けられる給紙カセット(つまり、供給トレイ)と、給紙カセットに積載されたシート(例えば、用紙)を所定の搬送方向に送り出す給紙ローラ(つまり、供給ローラ)と、を備えている。
周知の通り、給紙ローラによって送り出されるシートはスキューする場合がある。かかるスキューを防止するため、従来のシート供給装置は、最上位のシートに、予め定められた押さえ位置で、自重により荷重を加える押さえローラを備えている。
特開平4−182234号公報
しかし、従来のシート供給装置では、シートサイズによらず押さえ位置が固定的であるため、シートサイズによってはスキューが発生する可能性があるという問題点があった。以下、この問題点について詳説する。
従来のシート供給装置において、押さえ位置は、最小サイズのシートに合わせて定められる。より具体的には、押さえ位置は、最小サイズのシートにおいて搬送方向の後端近傍に設定される。したがって、相対的に小さなシートに関しては、給紙ローラおよび押さえローラが、該シートを搬送方向の両端位置で押さえることになる。この場合、搬送方向以外の向きの外力がシートに加わっても、シートにスキューは生じ難い。
それに対して、相対的に大きなシートの場合、両ローラによる押さえ位置が、シートの搬送方向前寄りに偏ってしまう。この場合、搬送方向と異なる向きの外力(より具体的には、両ローラの押さえ位置間に向かわない外力)がシートに加わると、スキューが生じやすくなってしまう。
それゆえに、本発明は、シートサイズによらずスキューを低減なシート供給装置および画像形成装置を提供することである。
本発明の第一局面は、シート供給装置であって、矩形状のシートを載置可能な供給トレイと、前記供給トレイ上のシートが有する第一辺近傍で該シートと当接可能に配置され、該第一辺と略平行な軸を中心に回転可能な供給ローラと、前記供給トレイ上のシートにおいて前記第一辺と対向する第二辺から該第一辺に略垂直に向かう方向を所定方向とする場合、該シートの所定方向への長さにより異なる押さえ位置で、該シートを押さえる押さえ部材と、を備えている。
また、本発明の第二局面は、シート供給装置であって、矩形状のシートを載置可能な供給トレイと、前記供給トレイ上のシートが有する第一辺近傍で該シートと当接可能に配置され、該第一辺と略平行な軸を中心に回転可能な供給ローラと、前記供給トレイ上のシートを所定の押さえ位置で押さえる押さえ部材と、前記供給トレイ上のシートにおいて前記第一辺と対向する第二辺から該第一辺に略垂直に向かう方向を所定方向とする場合、前記供給トレイ上のシートの所定方向への長さにより異なる押さえ位置に前記押さえ部材を移動させる搬送機構と、を備えている。
また、本発明の第三局面は、上記シート供給装置を備えた画像形成装置である。
上記各局面によれば、シートサイズによらずスキューを低減なシート供給装置および画像形成装置を提供することが可能となる。
第一実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。 図1のシート供給装置をzx平面に平行な面で切断した時の縦断面である。 図1のシート供給装置の上面図である。 図3のシートをスキューさせるモーメントへの押さえ位置の影響を示す図である。 図2等のシート供給装置の効果を示すグラフである。 第一変形例に係るシート供給装置の構成を示す縦断面図である。 縦搬送ローラを備えた場合の搬送経路長を示す図である。 第二実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。 図8の搬送機構および押さえ部材の詳細な構成を示す図である。
以下、図面を参照して、各実施形態に係るシート供給装置と、それぞれを備えた画像形成装置について説明する。
《定義》
まず、いくつかの図面に示されるx軸、y軸およびz軸を定義する。x軸方向は画像形成装置1の左右方向を、y軸方向は同装置1の前後方向を、z軸方向は同装置1の上下方向を示す。
また、いくつかの図面において、参照番号の右側に添え字a,b,c,dが付加される場合がある。a,b,c,dは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)を意味する。例えば、作像ユニット51aは、イエローの作像ユニット51を意味する。また、添え字無しは、Y,M,C,Bkの各色を意味する。例えば、作像ユニット51は、Y,M,C,Bk各色の感光体ドラムを意味する。
《第一実施形態》
まず、図1を参照する。画像形成装置1は、例えば、複写機、プリンタまたはファクシミリ、もしくは、これらの機能を備えた複合機であって、フルカラー画像をシートSh(例えば、用紙またはOHP用フィルム)に印刷する。かかる画像形成装置1には、大略的に、給紙カセット装置2と、レジストローラ対4と、画像形成部5と、定着器7と、排出トレイ8と、制御回路基板9と、が備わる。
シート供給装置2は、少なくとも、供給トレイ21と供給ローラ対22とを含む。供給トレイ21には、未印刷のシートShが積載される。供給ローラ対22は、図示しないモータからの駆動力で回転し、積載されたシートShを上から一枚ずつピックアップして、図中破線で示す搬送経路FPに送り出す。
レジストローラ対4は、下流側ローラ対の第一例であって、互いに当接してレジストニップを形成する2個1対のローラである。レジストローラ対4が停止中、供給部2からのシートShはレジストニップに突き当たり一旦停止する。その後、レジストローラ対4は、図示しないモータからの駆動力により回転を開始して、シートShをレジストニップを通過させて、後述の二次転写領域にシートShを送り出す。
画像形成部5は、大略的に、作像ユニット51a〜51dと、露光装置52と、中間転写ベルト53と、駆動ローラ54と、従動ローラ55と、一次転写ローラ56a〜56dと、二次転写ローラ57と、を含む。
作像ユニット51a〜51dは、画像形成装置1のフレーム(図示せず)に左から右へと直線的に並ぶように取り付けられる。作像ユニット51aは、対応色の感光体ドラム61aを備える。感光体ドラム61aの周囲には、その回転方向の上流側から下流側に向かって、少なくとも、帯電器62aと、現像器63aと、がこの順番で設けられている。作像ユニット51b〜51dも、同様に、感光体ドラム61b〜61dと、帯電器62b〜62dと、現像器63b〜63dと、を備えている。
感光体ドラム61a〜61dは、図示しないモータで生成された駆動力によって回転する。帯電器62a〜61dは、回転する感光体ドラム61a〜61dを一様に帯電させる。
露光装置52は、各色の画像データを受信し、受信画像データに基づき各色の光ビームBa〜Bdを生成する。その後、露光装置52は、感光体ドラム61a〜61dに、対応色の光ビームBa〜Bdを主走査方向に一ライン毎に順次走査して、感光体ドラム61a〜61dの周面に対応色の静電潜像を形成する。
現像器63a〜63dは、対応色の静電潜像に対応色のトナーを供給する。これにより、トナー像が感光体ドラム61a〜61dの周面上に形成される。
中間転写ベルト53は、例えば、自身の外周面が感光体ドラム61a〜61dの上端部分と接するように配置される。この中間転写ベルト53は、図示しないモータからの駆動力で回転する駆動ローラ54と、それに従動する従動ローラ55との間に張り渡された無端状ベルトであって、矢印A1で示す方向に回転する。
一次転写ローラ56a〜56dは、中間転写ベルト53の外周面を押圧して、中間転写ベルト53と感光体ドラム61a〜61dとを接触させて、一次転写領域を形成する。一次転写ローラ56a〜56dは、図示しないモータからの駆動力で回転する。同時に、各一次転写ローラ56a〜56dには、トナーとは逆極性の一次転写電圧が印加される。これにより、感光体ドラム61a〜61d上のトナー像が中間転写ベルト53上に転写される。
ここで、中間転写ベルト53や感光体ドラム61a〜61dの回転速度および配置等は適切に調整され、各色のトナー像は中間転写ベルト53の外周面上の同一領域に順次転写され、これによって、フルカラーの合成トナー像が中間転写ベルト53上に形成される。かかる合成トナー像は、中間転写ベルト53の回転により、中間転写ベルト53に担持され、後述の二次転写領域まで搬送される。
二次転写ローラ57は、中間転写ベルト53を挟んで横方向から駆動ローラ54と対向するよう配置される。また、二次転写ローラ57は、搬送経路FP上で、中間転写ベルト53と当接し合って、二次転写領域を形成する。この二次転写領域には、レジストローラ対4からシートShが送り込まれる。二次転写ローラ57は回転すると共に、二次転写ローラ57には二次転写電圧が印加される。これにより、中間転写ベルト53上の合成トナー像は、二次転写領域に送り込まれたシートSh上に転写される。シートShは、二次転写ニップから定着器7に向けて送り出される。
定着器7は、シートSh上の合成トナー像を定着させる。定着済みのシートShは印刷物Shとして、定着器7を基準として搬送経路FPの下流側に設けられた排出トレイ8に排出される。
制御回路基板9には、CPU、不揮発性メモリ等を含む。CPUは、不揮発性メモリに格納されたプログラムに従って動作し、画像形成装置1の構成各部を制御する。
《シート供給装置の構成》
前述の通り、従来のシート供給装置では、シート送出中、相対的に大きなシートにスキューが生じる可能性が高い。かかる問題点に鑑み、本シート供給装置2は、図1に示すように、上記供給トレイ21および供給ローラ対22に加え、供給トレイ21上のシートShの所定方向A2(詳細は後述)への長さにより異なる押さえ位置にて、該シートShを押さえる押さえ部材23を備える。ここで、以下の説明では、所定方向A2への長さを、単に、所定方向長さという。
以下、本シート供給装置2の詳細な構成を、図2,図3を参照して説明する。なお、図2には、便宜上、供給ローラ対22からレジストローラ対4までの搬送経路FPも示される。
シート供給装置2の詳説に先立ち、まず、いくつかの用語を定義する。
所定方向A2は、上方からの平面視(つまり、供給トレイ21上のシートShの法線方向からの平面視)で、供給ローラ対22が該シートShを搬送経路FPに送り出す方向であって、x軸と略平行な方向である。
また、シート供給装置2に載置されたシートShにおいて、所定方向A2に向かって先端側の辺を第一辺B1とし、第一辺B1の対辺(つまり、所定方向A2に向かって後端側の辺)を第二辺B2とする。したがって、所定方向A2を第一辺B1および第二辺B2との関係で定義すると、所定方向A2は、第二辺B2上の任意の点から第一辺B1に略垂直に向かう方向となる。また、第一辺B1および第二辺B2の中点同士を結ぶ仮想的な線を、横中心線B3とする。
シート供給装置2において、供給トレイ21は、底部211と、この底部211に対し略垂直に設けられる右側壁212および左側壁213と、を備える。
底部211にはシートShが積載される。この底部211は、複数サイズ(例えば、A4〜A6およびB4〜B6)のシートShを載置可能な面積を有する。なお、A4〜A6,B4〜B6の具体的なサイズに関しては、後の表1を参照されたい。本実施形態では、シートShは、底部211上に、第一辺B1が右側壁212に沿うように載置される。
また、上記底部211にはさらに、一対のサイド規制部材214,215および後端規制部材216が設けられる。
サイド規制部材214,215は、横中心線B3を基準として対称な位置に配置され、底部211に載置されたシートShの幅方向位置(つまり、y軸方向位置)を規制する。
後端規制部材216は、底部211からz軸方向に突出する板状部材であって、底部211に載置されたシートShの後端位置(より具体的には、所定方向A2への後端位置)を規制する。
様々なサイズのシートShに対応すべく、サイド規制部材214,215はy軸方向に、後端規制部材216は、所定方向A2にスライド可能に構成される。
押さえ部材23は、後端規制部材216の上端に取り付けられ、大略的に、アーム231と、錘232と、を有する。
アーム231の一方端には回転軸233が設けられる。回転軸233は、アーム231からy軸の正負両方向に向かって突出する。ここで、後端規制部材216の上端には、アーム231の回転軸233の軸受が形成され、これによって、アーム231は、回転軸233を中心として回転可能に、後端規制部材216により支持される。また、後端規制部材216が所定方向A2にスライドすることで、押さえ部材23は、後端規制部材216と共に所定方向A2に移動する。
錘232は、例えば、円柱状のローラである。錘232の両底面の中心には回転軸234が設けられる。具体的には、回転軸234は、ローラ232からy軸の正負両方向に向かって突出する。ここで、アーム231の他方端(つまり、回転軸233が設けられていない端部)には、錘232の回転軸234の軸受けが設けられ、これによって、錘232は、回転軸233を中心として回転可能に、アーム231により支持される。
以上のような錘232は、底部211に積載された最上位のシートSh上に置かれる。ここで、錘232は、最上位のシートShにおいて横中心線B3を基準として略対称な位置に、上方から略同一の荷重を加える。以下の説明において、錘232とシートShとの当接位置を、押さえ位置C2という。
また、供給ローラ対22は、例えば、供給ローラ221および捌きローラ222を含む。供給ローラ221および捌きローラ222は、例えば、搬送経路FPの最上流位置にて互いに当接して供給ニップを形成する。
また、供給ローラ221は、底部211に載置されたシートShの第一辺B1近傍の当接位置C1にて、該シートShと当接するように配置される。かかる供給ローラ221は、図示しないモータの駆動力により、y軸方向と略平行に延在する中心軸周りに回転して、底部211に載置されたシートShを供給ニップに導入する。
捌きローラ222は、例えばトルクリミッタによりシートShの重送を防止する。かかる捌きローラ222により、供給ローラ対22からは、一枚のシートShのみを送り出す。このシートShは、供給ローラ対22の回転により、供給ローラ対22の搬送経路FPの下流側であって次に設けられたレジストローラ対4に向けて搬送される。
《押さえ位置の詳細について》
ここで、以下の説明の便宜のため、図3に示すように、距離dを、第二辺B2から押さえ位置C2までの所定方向A2への距離と定義する。なお、距離dは、アーム231および錘232の回転中心間の距離に近似される。
次に、図4を参照して、シートShをスキューさせるモーメントM1への押さえ位置C2の影響について説明する。供給ローラ対22の回転中、所定方向A2以外の向きの外力(より具体的には、当接位置C1および押さえ位置C2間に向かわない外力)がシートShに加わると、該シートShをスキューさせるモーメントM1が生じる場合がある。しかし、本シート供給装置2によれば、押さえ位置C2に錘232が載置されるため、スキューに抗う力fが生じる。ここで、スキューを生じさせないためには、次式(1)を満足する必要がある。
M1<f(X−d) …(1)
ここで、Xは、シートShの所定方向長さである。
また、fは、次式(2)で表される。
f=μmg …(2)
mは錘232の質量で、μはシートShの摩擦係数で、gは重力加速度である。
上式(2)から分かるように、力fは質量mに相関する。したがって、質量mを大きくすると、スキューを抑制可能であるが、シートShの供給不良が生じる可能性も高くなる。それゆえ、質量mは極力小さいことが好ましい。以上の観点から、X−dを大きくすることで(換言すると、dを小さくすることで)、上式(1)を満足させることが望ましい。
また、供給ローラ対22の回転中、第二辺B2が押さえ位置C2を通過するまでは、シートShは、供給ローラ221だけでなく錘232からも荷重を受ける。よって、シートShにスキューは生じ難い。しかし、押さえ位置C2の通過後、もし仮に、シートShが供給ローラ221だけから荷重を受ける場合、スキューが生じる可能性が高くなる。それゆえ、距離dは、図2に示す搬送経路長Dと実質的に同じ値か、それよりも大きい値に設定される。ここで、図2の例では、搬送経路長Dは、供給ニップから、供給ニップの次のニップ(本実施形態ではレジストニップ)までの搬送経路FPに沿う長さである。しかし、搬送経路長Dは、これに限らず、当接位置から、供給ニップの次のニップまでの搬送経路FPに沿う長さであっても構わない。
以上の観点から、上式(1)を満足させつつ、押さえ位置C2の通過後にシートShのスキューを抑制するには、距離dが搬送経路長Dと実質的に同じ値となるように、押さえ部材23は設計されることが好ましい。ここで、もし搬送経路長Dが大きいと、上式(1)を満足させにくくなる。しかし、近年の画像形成装置1(例えば、オフィス等で使用される複合機)では、省設置スペース化および小型化の観点から、供給ローラ対22からレジストローラ対4までの搬送経路長Dは例えば100mmというように小さくなる傾向にある。この場合、距離dは搬送経路長Dと同様に小さくなるため、上式(1)を満足させることは可能である。
《シート供給装置の作用・効果》
上記構成のシート供給装置2において、ユーザは、供給トレイ21の底部211に、自身が選択したサイズのシートShを積載し、その後、必要に応じて、サイド規制部材214,215および後端規制部材216を操作する。ユーザはさらに、後端規制部材216がシートShの第二辺B2に位置合わせされた状態で、錘232を最上位のシートSh上に載置する。このように後端規制部材216を位置合わせすることで、錘232の所定方向位置は移動する。
この後、画像形成装置1は、送られてきた印刷ジョブに応答して印刷物Shを作成する。この時、供給ローラ221は、図示しないモータからの駆動力で回転し、底部211に積載されたシートShを上から一枚ずつピックアップして、搬送経路FPに送り出す。
この時、本シート供給装置2では、シート送出時のスキュー抑制のために、上式(1)を満足するよう、距離dは相対的に小さな値に設定される。その結果、押さえ位置C2は、シートShの第二辺B2近傍となる。また、錘232の第一方向位置は後端規制部材216の移動により変化するが、距離dは後端規制部材216から所定方向に向かって固定値である。したがって、距離dは、シートサイズによらず概ね一定となる。よって、本シート供給装置2では、シートサイズによらず、供給トレイ21に載置されたシートShは、第一辺B1および第二辺B2の近傍で押さえられるため、供給ローラ対22が回転してもスキューの発生を抑制することが可能となる。
次に、図5を参照して、本シート供給装置2の技術的効果を、特許文献1の給紙装置のそれと比較する。図5には、シートShの所定方向長さ毎に、スキューが生じるモーメントM1が示される。このモーメントM1は、実質的に、シートShの所定方向長さに比例する。図5にはさらに、特許文献1に記載の技術によるスキューに抗う力のモーメントM2と、本実施形態によるスキューに抗う力のモーメントM3とが示される。このモーメントM2は、特許文献1の錘の位置は供給トレイ上で固定的であるため、シートサイズが大きくなると、押さえ位置および当接位置の双方がシートの前方に偏ってしまう。それに対し、本シート供給装置2では、第二辺B2からの所定方向への距離dがシートサイズによらず一定かつ小さな値であるため、各シートサイズで、モーメントM3は、M3>M1を満たす。このように、本シート供給装置2の押さえ部材23は、従来とは異なり、シートサイズによらずスキュー低減に寄与していることが分かる。
《第一変形例》
なお、第一実施形態では、図2等に示すように、アーム231は、後端規制部材216から、x軸正方向かつz軸負方向(つまり、右斜め下方)に向かって延在していた。しかし、これに限らず、アーム231は、図6に示すように、x軸負方向かつz軸負方向(つまり、左斜め下方)に向かって延在して、その下端に設けられた錘232によりシートShに荷重を与えるようにしても良い。
図6の構成では、錘232は、搬送中のシートShから所定方向A2への力を受ける。錘232が受ける力において、アーム231の延在方向に垂直な方向の成分は、x軸正方向かつz軸負方向(つまり、シートSh側)に向く。よって、錘232が、もし搬送中のシートShから所定方向A2に過剰な力を受けたとしても、上方に浮き上がることなく、シートShに対し確実に荷重を加えることが可能となる。
《付記1》
なお、上記シート供給装置2の下段には、別のシート供給装置2が増設されることも可能である。この場合、増設されたシート供給装置2の供給ローラ対22からレジストローラ対4までの搬送経路長Dが長くなってしまう。そこで、図7に示すように、搬送経路FP上であって供給ローラ22とレジストローラ対4の間に、下流側ローラ対の第二例として、縦搬送ローラ対4Aが設けられることが好ましい。なお、図7には、上段のシート供給装置2が破線の長方形により示されている。この場合、供給ローラ対22から縦搬送ローラ対4Aまでが搬送経路長Dとなり、この搬送経路長Dを極力小さい値にすることが可能となる。
《付記2》
また、図2のシート供給装置2において、もし、供給ローラ対22からレジストローラ対4までの搬送経路長があまりにも大きい場合にも、付記1と同様の縦搬送ローラを、搬送経路FP上であって供給ローラ22とレジストローラ対4の間に設けることが望ましい。なお、上記付記1,2に記載の内容は、下記の第二実施形態にも同様に当てはまる。
《第二実施形態》
次に、図8を参照する。画像形成装置1Aは、図1の画像形成装置1と比較すると、シート供給装置2に代えてシート供給装置3を備える点で相違する。シート供給装置3は、シート供給装置2と比較すると、押さえ部材23に代えて、搬送機構31および押さえ部材32を備える点で相違する。上記以外に、画像形成装置1,1Aの間に相違点は無い。それゆえ、図8において、図1に示す構成に相当するものには同一の参照符号を付け、それぞれの説明を省略する。以下、搬送機構31および押さえ部材32について詳説する。
図9において、搬送機構31は、画像形成装置1Aのフレーム(図示せず)に固定的に取り付けられ、大略的に、駆動ローラ311と、従動ローラ312と、無端ベルト313と、ステッピングモータ314と、軸受け315と、を備えている。
駆動ローラ311および従動ローラ312は、後端規制部材216の最上端からz軸正方向に離れた位置であって、かつ、所定方向A2に互いに離れた位置に設けられる。また、駆動ローラ311および従動ローラ312の回転軸はy軸と略平行に配置される。
また、無端ベルト313は、上記駆動ローラ311および従動ローラ312に張り渡されて、制御回路基板9上のCPUによる制御の下、ステッピングモータ314からの駆動力によって、矢印A3で示すいずれかの方向に回転する。
軸受け315は、上記無端ベルト313の外周面の下端部分に取り付けられ、後述のアーム321を回転可能に支持する。
また、押さえ部材32は、大略的には、前述のアーム231および錘232と同様のアーム321および錘322を有する。
アーム321の一方端には、軸受け315に挿通される回転軸323が設けられる。これによって、アーム321は、軸受け315によって、回転軸323を中心として回転可能に支持される。
錘322は、例えば、円柱状のローラである。錘322の両底面の中心からは、y軸の正負両方向に向かって回転軸324が突出する。ここで、アーム321の他方端には、錘322の回転軸324の軸受が形成され、これによって、錘322は、アーム321によって、回転軸324を中心として回転可能に支持される。
以上のような錘322は、底部211に載置された最上位のシートShを、所定の押さえ位置C2にて上方から押さえる。ここで、押さえ位置C2は、シートShの所定方向長さに応じて、距離dが搬送経路長Dと好ましくは同じ値になるように、制御回路基板9のCPUにより設定される。ここで、距離dおよび搬送経路長Dの定義は、第一実施形態と同様であるため、それぞれの説明を省略する。
押さえ位置C2の設定のために、制御回路基板9の不揮発性メモリには、シートShの所定方向長さ毎に、ステッピングモータ314のステップ数が記載されたテーブルが格納されている。このテーブルの内容は、以下の表1に示す通りである。なお、表1には、所定方向長さおよびステップ数以外にも、便宜上、シートShのサイズ、押さえ位置C2から当接位置C1までの距離が示される。また、このテーブルでは、所定方向長さが210mmの場合、ステップ数は0になっている。つまり、この位置がホームポジションとなっている。また、所定方向長さが148mmの場合、ステップ数は31になっている。これは、ホームポジションから所定方向A2に、31のステップ数分の距離だけ、錘322を搬送することを意味する。他のシートサイズに関しても、表1に記載の通りのステップ数分だけ所定方向A2またはその逆方向に、錘322は搬送される。
次に、上記の搬送機構31の制御について説明する。制御回路基板9において、CPUは、印刷ジョブを受け付けると、該印刷ジョブからシートサイズ(より具体的には、シート長)を取得し、その後、底部211に載置されるシートShの所定方向長さに対応するステップ数をテーブルから取得する。
次に、CPUは、取得したステップ数分だけステッピングモータ314を回転させて、無端ベルト313を、矢印A3のいずれかの方向に回転させる。その結果、錘322は、ホームポジションから、予め定められた押さえ位置C2まで移動する。その後、CPUは、印刷ジョブを実行して、印刷物Shを作成する。
《シート供給装置の作用・効果》
以上のシート供給装置3によっても、前述のシート供給装置2と同様の効果を得ることが可能である。
《付記3》
上記シート供給装置3においても、第一変形例と同様に、アーム321は、x軸負方向かつz軸負方向(つまり、左斜め下方)に向かって延在して、その下端に設けられた錘322によりシートShに荷重を与えるようにしても良い。
《付記4》
上記第二実施形態では、押さえ部材32は、無端ベルト313により搬送されていた。しかし、これに限らず、押さえ部材32は、ボールねじにより搬送されても良い。
本発明に係るシート供給装置および画像形成装置は、シートサイズによらずスキューを低減可能であり、複合機等に好適である。
1,1A 画像形成装置
2,3 シート供給装置
21 供給トレイ
216 後端規制部材
22 供給ローラ対
23 押さえ部材
31 搬送機構
32 押さえ部材
4 レジストローラ対
4A 縦搬送ローラ

Claims (7)

  1. 矩形状のシートを載置可能な供給トレイと、
    前記供給トレイ上のシートが有する第一辺近傍で該シートと当接可能に配置され、該第一辺と略平行な軸を中心に回転可能な供給ローラと、
    前記供給トレイ上のシートにおいて前記第一辺と対向する第二辺から該第一辺に略垂直に向かう方向を所定方向とする場合、該シートの所定方向への長さにより異なる押さえ位置で、該シートを押さえる押さえ部材と、を備えるシート供給装置。
  2. 前記シート供給装置は、前記供給トレイ上で前記所定方向に移動可能な後端規制部材であって、該供給トレイ上のシートの第二辺に当接することで、該シートの所定方向位置を規制する後端規制部材を、さらに備え、
    前記押さえ部材は、前記後端規制部材に取り付けられて、該後端規制部材の移動と共に前記所定方向に移動する、請求項1に記載のシート供給装置。
  3. 矩形状のシートを載置可能な供給トレイと、
    前記供給トレイ上のシートが有する第一辺近傍で該シートと当接可能に配置され、該第一辺と略平行な軸を中心に回転可能な供給ローラと、
    前記供給トレイ上のシートを所定の押さえ位置で押さえる押さえ部材と、
    前記供給トレイ上のシートにおいて前記第一辺と対向する第二辺から該第一辺に略垂直に向かう方向を所定方向とする場合、前記供給トレイ上のシートの所定方向への長さにより異なる押さえ位置に前記押さえ部材を移動させる搬送機構と、を備えるシート供給装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のシート供給装置を備えた画像形成装置。
  5. 前記供給ローラの回転中にシートをスキューさせるモーメントをM1とし、
    前記押さえ部材が前記シートを押さえることで生じる、スキューに抗う力をfとし、
    前記供給トレイ上のシートの前記所定方向長さをXとし、さらに、
    前記供給トレイ上のシートの第二辺から前記押さえ位置までの前記所定方向距離をdとするとき、
    前記dは、M1<f(X−d)を満たすように定められる、請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記画像形成装置はさらに、
    前記供給ローラが前記軸を中心に回転することで送り出されたシートを搬送する搬送経路と、
    前記供給ローラを基準として前記搬送経路の下流側でかつ次に設けられた下流側ローラ対であって、該供給ローラからのシートが該ニップに通過する下流側ローラ対と、を備え、
    前記供給トレイ上のシートの第二辺から前記押さえ位置までの距離は、前記供給ローラから前記下流側ローラ対までの搬送経路長に等しいか、該搬送経路長よりも大きい、請求項4または5に記載の画像形成装置。
  7. 前記第一辺および前記第二辺の中点同士を結ぶ仮想的な線を横中心線とする場合、前記押さえ部材は、前記供給トレイ上のシートに対し、該横中心線を基準として略対称な位置に略同一の荷重を加える、請求項4〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
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