JP2016011078A - 機械式ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シンプルな構成で小型化が可能となる機械式ブレーキ液圧制御装置を提供する。
【解決手段】本発明は、マスタシリンダ92と車輪ブレーキ96とを結ぶ配管Y、Z途中に挿入される二輪車用の機械式ブレーキ液圧制御装置97であって、機械的手段により二輪車の走行状態に応じた推力を発生させる上限値変更装置10と、上限値変更装置10が発生させる推力の作用を受けるとともに当該推力に応じた上限値を決定し、マスタシリンダ92の圧力が上限値以下の場合、車輪ブレーキ96の圧力をマスタシリンダ92の圧力と等しくし、マスタシリンダ92の圧力が上限値を超えている場合、車輪ブレーキ96の圧力を上限値に保つように構成されている制御弁装置6と、を備える。
【選択図】 図2
Description
本発明は、二輪車の車輪ブレーキに適用される機械式ブレーキ液圧制御装置に関する。
車両のブレーキには、アンチロックブレーキシステム(以下、ABSとも称する)などの液圧制御装置が装備されているものがある。例えば、自転車において、ブレーキ操作により前輪がロックしてグリップが失われて自転車が横転することや、前輪制動力が過大になり自転車が前転することを抑制するために、自転車にブレーキ液圧制御装置を装備することが考えられる。自転車の転倒を抑制するための液圧制御装置では、車体減速度を、ある水準以下、例えば重力加速度の0.5倍程度以下に保つことが望ましい。
昨今では、自動車(四輪)やオートバイに対する電子制御式のABSが普及している。しかしながら、二輪車、特に自転車に対して、電子制御式のABSは、構成が複雑で重量も増えるため、二輪車に適した形での適用が困難である。一方、機械式のABSとしては、例えば特公平1−27901号公報及び特開昭60−252055号公報に開示されている。上記機械式のABSでは、電子制御式のABSでの電動ポンプに代えて、車輪の回転エネルギーを用いてポンプを駆動させている。
しかしながら、上記機械式のABSでは、ポンプが必要となり、構造が複雑で大型化は避けられない。したがって、二輪車、特に自転車への適用については改良の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、シンプルな構成で小型化が可能となる機械式ブレーキ液圧制御装置を提供することを目的とする。
本発明の機械式ブレーキ液圧制御装置は、マスタシリンダと車輪ブレーキとを結ぶ配管途中に挿入される二輪車用の機械式ブレーキ液圧制御装置であって、機械的手段により二輪車の走行状態に応じた推力を発生させる上限値変更装置と、前記上限値変更装置が発生させる推力の作用を受けるとともに当該推力に応じた上限値を決定し、前記マスタシリンダの圧力が上限値以下の場合、前記車輪ブレーキの圧力を前記マスタシリンダの圧力と等しくし、前記マスタシリンダの圧力が上限値を超えている場合、前記車輪ブレーキの圧力を前記上限値に保つように構成されている制御弁装置と、を備える。
この構成によれば、機械的手段により発生する推力を利用してブレーキ圧が制御されるため、電子制御装置やポンプ等を必要とせず、シンプルな構成による小型化が可能となる。また、二輪車の走行状態に応じてブレーキ圧の上限値が決定され、ブレーキ圧が最大でも当該上限値に保たれるため、車輪のロック等による転倒が抑制される。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。また、説明に用いる各図は概念図であり、各部の形状は必ずしも厳密なものではない場合がある。特に図3については、各構成の関係を一図面で説明するために、複数の方向から見た図(断面図を含む)を合成したような図となっている。図2及び図8は、前輪部分を拡大した構成図である。
本実施形態では、機械式ブレーキ液圧制御装置を自転車の前輪に設置したものを例にしている。前輪のブレーキに関係する自転車の前輪部は、図1〜図3に示すように、主に、ブレーキ操作部材91と、マスタシリンダ92と、前輪93と、フォーク94と、ハブ95と、車輪ブレーキ96と、機械式ブレーキ液圧制御装置97と、を備えている。本実施形態の機械式ブレーキ液圧制御装置97以外の構成は、公知の構成であるため簡単に説明する。
ブレーキ操作部材91は、ハンドルグリップ90付近に配置されたブレーキレバーである。マスタシリンダ92は、内部にピストンを備え、ブレーキ操作部材91の操作に応じてピストンが押されて液圧(マスタ圧)を発生させる。フォーク94には、車軸941が固定されている。ハブ95は、前輪93をフォーク94の車軸941に固定する部材である。つまり、前輪93は、車軸941を中心軸として回転可能にフォーク94に固定されている。車輪ブレーキ96は、配管(例えば流体ホース)及び機械式ブレーキ液圧制御装置97を介して供給された液圧により駆動する。車輪ブレーキ96の液圧を、ブレーキ圧と称する。車輪ブレーキ96は、ブレーキキャリパ(96)を備えている。車輪ブレーキ96は、ブレーキキャリパによりブレーキディスク(第一実施形態では大歯車1)を挟み込み、前輪93に停止側のトルクを発生させる。
<第一実施形態>
第一実施形態の機械式ブレーキ液圧制御装置97は、図2及び図3に示すように、上限値変更装置10と、制御弁装置6と、を備えている。上限値変更装置10は、機械的手段により二輪車の走行状態に応じた推力(トルク)を発生させる装置である。具体的に、上限値変更装置10は、大歯車1と、レバー2と、小歯車3と、フライホイール4と、スプリング5と、を備えている。
第一実施形態の機械式ブレーキ液圧制御装置97は、図2及び図3に示すように、上限値変更装置10と、制御弁装置6と、を備えている。上限値変更装置10は、機械的手段により二輪車の走行状態に応じた推力(トルク)を発生させる装置である。具体的に、上限値変更装置10は、大歯車1と、レバー2と、小歯車3と、フライホイール4と、スプリング5と、を備えている。
大歯車1は、円盤の周面に歯が形成された歯車である。大歯車1は、ハブ95を介して車軸941に回転可能に固定され、前輪93と一体に回転する。大歯車1は、ブレーキ圧の上昇に伴い車輪ブレーキ96のブレーキキャリパにより挟み込まれるように配置されている。つまり、大歯車1は、ブレーキディスクを兼ねている。
レバー2は、棒状部材である。レバー2は、長手方向の中央部分で、車軸941を中心軸(揺動軸)として揺動可能に車軸941に固定されている。つまり、レバー2は、前輪93の周方向に揺動可能に車軸941に固定されている。小歯車3は、大歯車1よりも小さい歯車であって、レバー2の一端部(図2における左側)に回転自在に固定されている。小歯車3は、大歯車1と噛み合っている。小歯車3の移動に伴い、レバー2の一端部が車軸941を中心軸として周方向に揺動する。小歯車3は、レバー2の一端部から軸方向に延びる円柱の棒状部31と、棒状部31から車軸941の軸方向に延びて大歯車1と噛み合う歯車部32と、で構成されている。
フライホイール4は、円盤状の慣性体であって、小歯車3の棒状部31に固定されている。フライホイール4は、小歯車3と一体に回転する。スプリング5は、付勢部材であって、レバー2の他端部と制御弁装置6とに固定されている。スプリング5は、レバー2の他端部を一方向に付勢している。この「一方向」とは、制御弁装置6に接近する方向であって、前輪93の前進時の回転方向(周方向前進側:図2における反時計回り)である。レバー2の他端部は、初期位置において、後述するプランジャの他端(下端)に当接し、プランジャを周方向前進側に押し込んだ状態で停止している。
ここで、レバー2の揺動について説明する。ブレーキ操作により車輪ブレーキ96が作動し、前輪93に停止側の高いトルクが生じた場合、車輪93の回転減速度(車輪減速度)が大きくなる。この際、図2の時計回りに回転しているフライホイール4は、減速前の回転速度を維持しようとする。このため、フライホイール4と一体に回転する小歯車3は、噛合った大歯車1に対して周方向後退側(図2における時計回り)に移動する。これに伴い、小歯車3に固定されたレバー2の他端部は、周方向後退側に力を受けて、スプリング5の付勢力に抗して周方向後退側に揺動する。レバー2は、車軸941に垂直な平面上を揺動するともいえる。
このように、上限値変更装置10は、制御弁装置6に対して、前輪93の回転減速度(車輪減速度)に応じた周方向後退側の推力を発生させる。レバー2が後述するプランジャ62の他端に加える外力は、スプリング5の付勢力(及びプランジャ62の摺動抵抗)から上記推力を減算した値に相当する。
制御弁装置6は、マスタシリンダ92の圧力が上限値以下の場合、車輪ブレーキ96の圧力をマスタシリンダ92の圧力と等しくし、マスタシリンダ92の圧力が上限値を超えている場合、車輪ブレーキ96の圧力を上限値に保つように構成された開閉弁機構である。制御弁装置6は、上限値変更装置10が発生させた推力に応じて上限値を決定する。換言すると、制御弁装置6は、上限値が推力に応じて変化するように構成されている。上限値変更装置10は、制御弁装置6の上限値を変更する装置といえる。
制御弁装置6は、図4及び図5に示すように、弁部材61と、プランジャ62と、を備えている。弁部材61は、一方に底面61aを有し他方に開口部61bを有する有底円筒状の金属製シリンダと、シール部材と、で構成されている。具体的に、弁部材61は、シリンダの一方側の部位である一端部611と、シリンダの中間部分である中間部612と、シリンダの他方側の部位である他端部613と、シールバルブ614と、カップリング615と、で構成されている。
一端部611は、一端に底面61aを有する有底円筒形状に形成されている。一端部611の内部を「一端室611a」と称する。一端部611の周面には、配管Yを介して一端室611aと車輪ブレーキ96とを連通させるブレーキ流路611bが形成されている。一端室611aからブレーキ流路611bを介してブレーキ圧が車輪ブレーキ96に導入される。
中間部612の内径は、一端部611の内径よりも大きい。中間部612の内部を「中間室612a」と称する。中間部612の周面には、配管Zを介して中間室612aとマスタシリンダ92とを連通させるマスタ流路612bが形成されている。中間室612aには、マスタ流路612bを介してマスタ圧が導入される。
他端部613の他端には、開口部61bが形成されている。開口部61bの内径は、一端部611の内径及び中間部612の内径より小さい。他端部613の内周面には、一周に亘り溝613aが形成されている。
シールバルブ614は、弾性体で形成された円筒状のシール部材である。シールバルブ614は、中間部612の一端側に配置されている。シールバルブ614は、主に、一端から他端に向けて拡径した外周部614aと、外周部614aの一端部から径方向内側に突出した内周部614bと、を備えている。シールバルブ614の内周部614bの内径は、一端部611の内径より小さい。シールバルブ614の外周部614aの一端は、一端部611の他端に当接している。
カップリング615は、弾性体で形成された円筒状のシール部材である。カップリング615は、他端部613の溝613aに配置されている。カップリング615の内径は、他端部613の内径より僅かに小さい。
プランジャ62は、弁部材61内に配置され、弁部材61内を軸方向(図4における上下方向)に摺動可能な円柱状の部材である。具体的に、プランジャ62は、第一円柱部621と、第二円柱部622と、第三円柱部623と、第四円柱部624と、で構成されている。
第一円柱部621は、初期位置において、一端室611a内に収容され、且つ一端面が底面61aに当接している。第一円柱部621の軸方向の長さは、一端室611aの軸方向の長さよりも小さい。第一円柱部621の径は、一端部611の内径より小さく、シールバルブ614の内周部614bの内径よりも大きい。第一円柱部621の他端は、初期位置において、シールバルブ614の内周部614bから所定量だけ離間している。
第二円柱部622は、第一円柱部621の他端に同軸的に固定されている。第二円柱部622は、初期位置において、一方側が一端室611aに配置され、他方側が中間室612aに配置されている。第二円柱部622の径は、第一円柱部621の径及びシールバルブ614の内周部614bの内径よりも小さい。第二円柱部622は、初期位置において、シールバルブ614から離間し且つシールバルブ614に対向して配置されている。
第三円柱部623は、第二円柱部622の他端に同軸的に固定されている。第三円柱部623の径は、組立時にシールバルブ614の位置を確定させるため、第二円柱部622及び第一円柱部621の径よりも大きくされている。第三円柱部623は、中間室612a内に配置されている。第三円柱部623の一端は、初期位置において、シールバルブ614の内周部614bから離間している。つまり、プランジャ62は、初期位置において、シールバルブ614に当接しておらず、一端室611aと中間室612aとは連通している。第三円柱部623の他端は、初期位置においてマスタ流路612bより一方側に位置している。
第四円柱部624は、第三円柱部623の他端に同軸的に固定されている。第四円柱部624の径は、第三円柱部623の径より小さく、第一円柱部621の径と同じである。第四円柱部624は、カップリング615の内径に対して僅かに締め代を有し、カップリング615に対して液密的に摺動可能となっている。第四円柱部624の他端は、開口部61bを介して外部に突出している。つまり、第四円柱部624の他端は、開口部61bから大気に解放されている。第四円柱部624の他端は、初期位置においてレバー2に当接している。このように、プランジャ62は、一端が一端室611aに収容され、他端が開口部61bから大気に解放され、中間部分が中間室612aに収容されたピストン部材である。
制御弁装置6の動作について説明する。レバー2は、初期位置において、プランジャ62の他端に当接し、スプリング5の付勢力によりプランジャ62を一方側に押し込んでいる。プランジャ62の一端は、初期位置において底面61aに当接している。プランジャ62は、初期位置において、シールバルブ614と離間し、一端室611aと中間室612aとは連通している。
この開弁状態からブレーキ操作が行われると、マスタ圧Pmが上昇し、中間室612a及び一端室611aを介してブレーキ圧Pbも上昇する(Pm=Pb)。一端室611aでは、底面61aとプランジャ62の一端面との間にブレーキ液が入り込み、プランジャ62の一端面にブレーキ圧(マスタ圧)が働く。
プランジャ62の一端が受けるブレーキ圧と一端面の面積とを乗じて得られる液圧力F1が、プランジャ62の他端がレバー2から受ける外力F2よりも小さい場合は、第一円柱部621とシールバルブ614とは離間しており、一端室611aと中間室612aは連通状態となる。つまり、制御弁装置6は開弁状態であり、マスタ圧Pmとブレーキ圧Pbは等しくなる。プランジャ62の他端が受ける外力は、スプリング5の付勢力から、レバー2に働く周方向後退側の推力を引いた値に相当する。
プランジャ62の一端が受ける液圧力F1とプランジャ62の他端が受ける外力F2との差がプランジャ62の摺動抵抗を超えると、プランジャ62が他方側に変位し、第一円柱部621とシールバルブ614とが当接し、一端室611aと中間室612aとが遮断され、ブレーキ流路611bとマスタ流路612bとが遮断される。この閉弁状態では、ブレーキ圧は、レバー2に働く推力で定まる外力F2に応じた上限値で維持される。液圧力F1と外力F2が等しくなった際のブレーキ圧を、折点液圧Psとも称する。
ここで、第一円柱部621の軸直交断面積をAとし、第四円柱部624の軸直交断面積をBとする。換言すると、閉弁状態の中間室612aにおいてプランジャ62がブレーキ圧を液封する液封面積をAとし、中間室612aにおいてプランジャ62が大気を液封する液封面積をBとする。本実施形態では、A=Bであるが、まずは例示としてA>Bの場合を説明する。
A>Bの場合、閉弁状態において、マスタ圧が折点液圧Ps以上となると、面積Aから面積Bを引いた面積分に対してプランジャ62を一方側に押す力が働く。これにより、プランジャ62とシールバルブ614とが僅かに離れ、開弁状態となって中間室612aの液圧(マスタ圧)が一端室611a側に流入する。液圧が一端室611a側に流入することで、プランジャ62を他方側に押す力が発生し、上記折点液圧Ps発生時と同じ動きが行われて再び閉弁状態となる。なお、この折点液圧Ps以降のプランジャ62のつり合いの式は、Pb×A=Pm×(A−B)+F2となる。A>Bの場合のブレーキ圧とマスタ圧の関係は、図6に示すような関係となる。折点液圧Ps以降の勾配は、tanφ=1−(B/A)であり、マスタ圧の上昇に対してブレーキ圧が緩やかに上昇する。
一方、本実施形態では、A=Bであるため、折点液圧Ps以降の勾配は、上記式に基づき0(tanφ=0)となる。つまり、プランジャ62に働く摺動抵抗を無視すれば、図7に示すように、本実施形態の制御弁装置6では、閉弁状態においてブレーキ圧は、F1=F2となる液圧(上限値)に定まる。外力F2は、レバー2に働く力に応じて変化する。したがって、上限値は、レバー2に発生する推力に応じて決定される。
また、ブレーキ圧が上限値に達した後で、レバー2に生じる推力が大きくなり外力F2が減少した場合、図5に示すように、第一円柱部621はシールバルブ614に入り込んでさらに他端側に移動する。これにより、一端室611aの容積が拡大してブレーキ圧が減少し、ブレーキ圧(上限値)が外力F2に比例した値に保たれる。つまり、上限値は、レバー2の推力に応じて変更される。このように、制御弁装置6が閉弁した状態では、F1とF2はつり合っている。
また、レバー2に生じる推力が小さくなり外力F2がF1よりも大きくなると、プランジャ62は初期位置に戻り、マスタ流路612bとブレーキ流路611bは連通する。シールバルブ614は、閉弁状態においては、一端室611aから中間室612aへのブレーキ液の流入のみを許容する構成となっている。
第一実施形態の機械式ブレーキ液圧制御装置97によれば、レバー2の推力を利用した機械的手段によりブレーキ圧を制御することができるため、電子制御等を必要とせず、シンプルな構成による小型化が可能となる。また、上記実施形態のように、制御弁装置6がポンプを必要とせず、ポンプ設置による装置の大型化も防ぐことができる。また、レバー2に生じる推力、すなわち二輪車の走行状態に応じてブレーキ圧の上限値が決定され、ブレーキ圧が最大でも当該上限値に保たれるため、車輪のロック等による転倒が抑制される。
また、第一実施形態は、上限値変更装置10が車輪減速度に応じた推力を発生させる構成であるため、ABSのように車輪のロックを抑制することに適している。また、大歯車1がブレーキディスクの機能を兼ねているため、よりシンプルな構成が可能となる。
<第二実施形態>
第二実施形態の機械式ブレーキ液圧制御装置970は、主に上限値変更装置100が車体の減速度に応じて推力を発生させる構成である点で、第一実施形態と異なっている。第一実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明は省略する。なお、第二実施形態では、大歯車1に代えてブレーキディスク1Aを採用している。
第二実施形態の機械式ブレーキ液圧制御装置970は、主に上限値変更装置100が車体の減速度に応じて推力を発生させる構成である点で、第一実施形態と異なっている。第一実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明は省略する。なお、第二実施形態では、大歯車1に代えてブレーキディスク1Aを採用している。
図8に示すように、上限値変更装置100は、レバー20と、錘21と、スプリング50と、を備えている。レバー20は、棒状部材である。レバー20は、一端部で、車軸941を中心軸(揺動軸)として揺動可能に車軸941に固定されている。換言すると、レバー20は、前輪93の周方向に揺動可能に車軸941に固定されている。レバー20は、初期位置において、車軸941から鉛直方向に延びている。
錘21は、レバー20の他端に固定された錘部材である。スプリング50は、レバー20と制御弁装置6とに固定され、レバー20を制御弁装置6側(ここでは周方向後退側)に付勢している。レバー20は、第一実施形態同様、初期位置において、プランジャ62の他端に当接し、プランジャ62を一方側に押し込んだ状態で停止している。
錘21は、車体(二輪車)が減速すると、慣性の法則により、速度を維持しようとして、レバー20に対して周方向前方側への推力を発生させる。つまり、レバー20には、車体減速度に応じた推力が発生する。レバー20は、当該推力に応じて周方向前方側に揺動する。制御弁装置6の動作は、第一実施形態と同様である。これにより、第二実施形態によっても、第一実施形態同様、シンプルな構成で設計でき、小型化が可能となる。
また、走行面が下り坂(前下がり斜面)であれば、平面に比べて小さい前輪ブレーキ力で前転に至りやすい。ここで、第二実施形態では、レバー20が走行面に垂直になるように取り付けられている。このため、路面傾斜による重力の前後方向の分力もレバー20と錘21の質量で検出できるとともに、路面の荒れによる上下方向の加速度の影響がレバー20に及ばないようにすることができる。このように上限値変更装置100は、下り坂等の走行面に応じた推力を発生させることもできる。第二実施形態のように、車体減速度(加速度)に応じた推力が発生する構成としても、二輪車の転倒を抑制することができる。
<その他>
本発明は、上記実施形態に限られない。プランジャ62は、中空部材であっても良い。また、スプリング5、50の付勢力は、車輪減速度が周速換算で重力加速度の0.5倍程度になったときのレバー2、20に働く推力と、一般的な運転手の体重とが組み合わされた際に、上限値が重力加速度の0.5倍程度の車体減速度が実現されるようなブレーキ圧にほぼ一致するように決定されることが好ましい。
本発明は、上記実施形態に限られない。プランジャ62は、中空部材であっても良い。また、スプリング5、50の付勢力は、車輪減速度が周速換算で重力加速度の0.5倍程度になったときのレバー2、20に働く推力と、一般的な運転手の体重とが組み合わされた際に、上限値が重力加速度の0.5倍程度の車体減速度が実現されるようなブレーキ圧にほぼ一致するように決定されることが好ましい。
上記実施形態において、スプリング5、50(付勢部材)は、取り換え可能となっている。したがって、運転手の体重に応じてスプリングを変更し、付勢力及び上限値を調節することができる。
<まとめ>
本発明の機械式ブレーキ液圧制御装置は、第一実施形態のように、上限値変更装置10が車輪減速度に応じた推力を発生させる機械式ブレーキ液圧制御装置であっても良い。この構成は、ABSのように車輪のロックを抑制することに適している。
本発明の機械式ブレーキ液圧制御装置は、第一実施形態のように、上限値変更装置10が車輪減速度に応じた推力を発生させる機械式ブレーキ液圧制御装置であっても良い。この構成は、ABSのように車輪のロックを抑制することに適している。
また、本発明の機械式ブレーキ液圧制御装置は、第二実施形態のように、上限値変更装置100が車体減速度に応じた推力を発生させる機械式ブレーキ液圧制御装置であっても良い。この構成によれば、車体減速度に応じたブレーキ圧の制御が可能となる。
また、本発明の機械式ブレーキ液圧制御装置は、第一及び第二実施形態のように、制御弁装置6が、一端にブレーキ圧が導入される一端室611aが形成され、他端に開口部61bが形成され、中間部分にマスタ圧が導入される中間室612aが形成された弁部材61と、一端が一端室611aに収容され、他端が開口部61bから大気に解放され、中間部分が中間室612aに収容されたプランジャ62と、を備え、弁部材61は、プランジャ62の他端に加えられる外力でプランジャ62が一端側に押し込まれた初期位置の状態では、一端室611aと中間室612bとを連通させる開弁状態となり、プランジャ62が初期位置から他端側に所定量変位すると、一端室611aと中間室612aを遮断させる閉弁状態となり、中間室612aにおいてプランジャ62が大気を液封する液封面積Bは、閉弁状態の中間室612aにおいてプランジャ62がブレーキ圧を液封する液封面積Aと等しく、プランジャ62は、閉弁状態で弁部材61に対して他端側にさらに変位可能であるように構成され、上限値変更装置10、100は、推力により外力を変化させる機械式ブレーキ液圧制御装置であっても良い。
この構成によれば、プランジャ62の構造を上記構造とするだけで、ブレーキ操作量が大きい場合でも上限値を保持するブレーキ圧制御が可能となり、部品点数の増加が抑制される。つまり、よりシンプルな構成となるため、装置の小型化が可能となる。
10、100:上限値変更装置、 1:大歯車、 2、20:レバー、
3:小歯車、 4:フライホイール、 5、50:スプリング、 6:制御弁装置、
61:弁部材、 61b:開口部、 611a:一端室、 612a:中間室、
614:シールバルブ、 615:カップリング、 62:プランジャ、
91:ブレーキ操作部材、 92:マスタシリンダ、
93:前輪(車輪)、 94:フォーク、 95:ハブ、 96:車輪ブレーキ、
97、970:機械式ブレーキ液圧制御装置、 Y、Z:配管
3:小歯車、 4:フライホイール、 5、50:スプリング、 6:制御弁装置、
61:弁部材、 61b:開口部、 611a:一端室、 612a:中間室、
614:シールバルブ、 615:カップリング、 62:プランジャ、
91:ブレーキ操作部材、 92:マスタシリンダ、
93:前輪(車輪)、 94:フォーク、 95:ハブ、 96:車輪ブレーキ、
97、970:機械式ブレーキ液圧制御装置、 Y、Z:配管
Claims (4)
- マスタシリンダと車輪ブレーキとを結ぶ配管途中に挿入される二輪車用の機械式ブレーキ液圧制御装置であって、
機械的手段により二輪車の走行状態に応じた推力を発生させる上限値変更装置と、
前記上限値変更装置が発生させる推力の作用を受けるとともに当該推力に応じた上限値を決定し、前記マスタシリンダの圧力が上限値以下の場合、前記車輪ブレーキの圧力を前記マスタシリンダの圧力と等しくし、前記マスタシリンダの圧力が上限値を超えている場合、前記車輪ブレーキの圧力を前記上限値に保つように構成されている制御弁装置と、
を備える機械式ブレーキ液圧制御装置。 - 前記上限値変更装置は、車輪減速度に応じた推力を発生させる請求項1に記載の機械式ブレーキ液圧制御装置。
- 前記上限値変更装置は、車体減速度に応じた推力を発生させる請求項1に記載の機械式ブレーキ液圧制御装置。
- 前記制御弁装置は、
一端に前記車輪ブレーキの圧力が導入される一端室が形成され、他端に開口部が形成され、中間部分に前記マスタシリンダの圧力が導入される中間室が形成された弁部材と、
一端が前記一端室に収容され、他端が前記開口部から大気に解放され、中間部分が前記中間室に収容されたプランジャと、
を備え、
前記弁部材は、前記プランジャの他端に加えられる外力で前記プランジャが一端側に押し込まれた初期位置の状態では、前記一端室と前記中間室とを連通させる開弁状態となり、前記プランジャが前記初期位置から他端側に所定量変位すると、前記一端室と前記中間室を遮断させる閉弁状態となり、
前記中間室において前記プランジャが大気を液封する液封面積は、前記閉弁状態の前記中間室において前記プランジャが前記車輪ブレーキの圧力を液封する液封面積と等しく、
前記プランジャは、前記閉弁状態で前記弁部材に対して他端側にさらに変位可能であるように構成され、
前記上限値変更装置は、前記推力により前記外力を変化させる請求項1〜3の何れか一項に記載の機械式ブレーキ液圧制御装置。
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JP2023024616A (ja) * | 2018-01-30 | 2023-02-16 | 株式会社シマノ | 制御装置およびブレーキシステム |
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2014
- 2014-06-30 JP JP2014134316A patent/JP2016011078A/ja active Pending
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JP2023024616A (ja) * | 2018-01-30 | 2023-02-16 | 株式会社シマノ | 制御装置およびブレーキシステム |
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