本実施形態における水晶振動子は、図1〜図2に示されているように、パッケージ110と、パッケージ110の上面に接合された第一水晶素子120及び第二水晶素子130と、パッケージ110の下面に接合された感温素子150とを含んでいる。パッケージ110は、基板110aの上面と第一枠体110bの内側面によって囲まれた第一凹部K1が形成されている。また、基板110aの下面と第二枠体110cの内側面によって囲まれた第二凹部K2が形成されている。このような水晶振動子は、電子機器等で使用する基準信号を出力するのに用いられる。
基板110aは、矩形状であり、基板110aの上面に実装された第一水晶素子120及び第二水晶素子130と、基板110aの下面に実装された感温素子150を実装するための実装部材として機能するものである。基板110aの上面には、水晶素子120を実装するための電極パッド111が設けられており、基板110aの下面には、感温素子150を実装するための接続パッド115が設けられている。また、基板110aの上面には、第一水晶素子120が実装される第一実装領域Xと第二水晶素子130が実装される第二実装領域Yが設けられている。
基板110aは、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料である絶縁層からなる。基板110aは、絶縁層を一層用いたものであっても、絶縁層を複数層積層したものであってもよい。基板110aの表面及び内部には、上面に設けられた電極パッド111と、基板110aの下面に設けられた外部端子112とを電気的に接続するための配線パターン113及びビア導体114が設けられている。また、基板110aの表面には、下面に設けられた接続パッド115と、第二枠体110bの下面に設けられた外部端子112とを電気的に接続するための接続パターン116が設けられている。
第一実装領域Xは、図3に示すように、基板110aの中心を通る線分Lと、線分Lと向かい合う辺である第一枠体110bの一方の短辺と、第一枠体110bの二つの長辺とで囲まれる領域である。また、第一実装領域Xには、第一枠体110bの内周側の長辺に沿って、第二水晶素子130を実装するための第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bが設けられている。
また、第二実装領域Yは、図3に示すように、基板110aの中心を通る線分Lと、線分Lと向かい合う辺である第一枠体110bの他方の短辺と、第一枠体110bの二つの長辺とで囲まれる領域である。第二実装領域Yには、第一枠体110bの内周側の長辺で、第一電極パッド111a及び第二電極パッド110bが設けられている一辺と向かい合う一辺に沿って、第一水晶素子120を実装するための第三電極パッド111c及び第四電極パッド111d が設けられている。
第一枠体110bは、基板110aの上面の外周縁に沿って配置され、基板110aの上面に第一凹部K1を形成するためのものである。また、第二枠体110cは、基板110aの下面の外周縁に沿って配置され、基板110aの下面に第二凹部K2を形成するためのものである。第一枠体110b及び第二枠体110cは、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料からなり、基板110aと一体的に形成されている。第二枠体110cの下面には、外部端子112が設けられている。また、六つの外部端子112の内の二つは、第一水晶素子120と電気的に接続され、六つの外部端子112の内の他の二つは、第二水晶素子130と電気的に接続されている。また、六つの外部端子112の内の残りの二つは、感温素子150と電気的に接続されている。
電極パッド111は、第一水晶素子120及び第二水晶素子130を実装するためのものである。電極パッド111は、基板110aの上面に一対ずつ計四つで設けられており、基板110aの一辺に沿うように隣接して設けられている。電極パッド111は、図3に示されているように基板110aの上面に設けられた配線パターン113とビア導体114を介して、基板110aの下面に設けられた外部端子112と電気的に接続されている。
電極パッド111は、図3に示すように、第一電極パッド111a、第二電極パッド111b、第三電極パッド111c及び第四電極パッド111dによって構成されている。また、外部端子112は、図4(b)に示すように、第一外部端子112a、第二外部端子112b、第三外部端子112c、第四外部端子112d、第五外部端子112e及び第六外部端子112fによって構成されている。ビア導体114は、第一ビア導体114a及び第二ビア導体114b、第三ビア導体114c、第四ビア導体114d、第五ビア導体114e及び第六ビア導体114fによって構成されている。また、配線パターン113は、第一配線パターン113a、第二配線パターン113b、第三配線パターン113c、第四配線パターン113d、第五配線パターン113e、第六配線パターン113f、第七配線パターン113g及び第八配線パターン113hによって構成されている。導体部117は、第一導体部117a、第二導体部117b、第三導体部117c、第四導体部117dによって構成されている。
第一電極パッド111aは、基板110aに設けられた第一配線パターン113aの一端と電気的に接続されている。また、第一配線パターン113aの他端は、第一ビア導体114aを介して、第五配線パターン113eの一端と接続されている。第五配線パターン113eの他端は、第一導体部117aを介して、第一外部端子112aと電気的に接続されている。よって、第一電極パッド111aは、第一外部端子112aと電気的に接続されることになる。
第二電極パッド111bは、基板110aに設けられた第二配線パターン113bの一端と電気的に接続されている。また、第二配線パターン113bの他端は、第二ビア導体114bを介して、第六配線パターン113fの一端と接続されている。第六配線パターン113fの他端は、第二導体部117bを介して、第二外部端子112bと電気的に接続されている。よって、第二電極パッド111bは、第二外部端子112bと電気的に接続されることになる。
第三電極パッド111cは、基板110aに設けられた第三配線パターン113cの一端と電気的に接続されている。また、第三配線パターン113cの他端は、第三ビア導体114cを介して、第七配線パターン113gの一端と接続されている。第七配線パターン113gの他端は、第三導体部117cを介して、第三外部端子112cと電気的に接続されている。よって、第三電極パッド111cは、第三外部端子112cと電気的に接続されることになる。
第四電極パッド111dは、基板110aに設けられた第四配線パターン113dの一端と電気的に接続されている。また、第四配線パターン113dの他端は、第四ビア導体114dを介して、第八配線パターン113hの一端と接続されている。第八配線パターン113hの他端は、第四導体部117dを介して、第四外部端子112dと電気的に接続されている。よって、第四電極パッド111dは、第四外部端子112dと電気的に接続されることになる。
また、第一水晶素子120が実装された第三電極パッド111c及び第四電極パッド111dと、第二水晶素子130が実装された第一電極パッド111a及び第二電極パッド112bとが、第一枠体内の内周側の対向する辺に沿ってそれぞれ設けられている。このようにすることによって、後述する感温素子150が実装される接続パッド115に対して、基板110aの両側から挟みこむようにして熱が伝わるようになるため、第一水晶素子120及び第二水晶素子の温度と感温素子との温度との差をさらに低減することができる。
外部端子112は、電子機器等の実装基板(図示せず)と電気的に接合するために用いられる。外部端子112は、第二枠体110cの下面に六つで設けられている。六つの外部端子112の内の四つの端子は、基板110aの上面に設けられた四つの電極パッド111とそれぞれ電気的に接続されている。また、外部端子112の内の残りの2つの端子は、接続パッド115と電気的に接続されている。また、第六外部端子112fは、第五ビア導体114eを介して、封止用導体パターン118と電気的に接続されている。
配線パターン113は、基板110aの表面に設けられ、電極パッド111から近傍のビア導体114又は導体部117に向けて引き出されている。また、配線パターン113は、図4に示すように、第一配線パターン113a、第二配線パターン113b、第三配線パターン113c、第四配線パターン113d、第五配線パターン113e、第六配線パターン113f、第七配線パターン113g及び第八配線パターン113hによって構成されている。
ビア導体114は、基板110aの内部に設けられ、その両端は、配線パターン113、接続パターン116又は、封止用導体パターン118と電気的に接続されている。ビア導体114は、基板110aに設けられた貫通孔の内部に導体を充填することで設けられている。また、ビア導体114は、図3及び図4に示すように、第一ビア導体114a、第二ビア導体114b、第三ビア導体114c、第四ビア導体114d、第五ビア導体114e及び第六ビア導体114fによって構成されている。
接続パッド115は、矩形状であり、後述する感温素子150を実装するために用いられている。接続パッド115は、基板110aの下面の中心付近に隣接するようにして、一対で設けられている。また、接続パッド115は、図4に示すように、第一接続パッド115a及び第二接続パッド115bによって構成されている。導電性接合材170は、接続パッド115の下面と感温素子150の接続端子151との間に設けられている。また、導電性接合材170は、接続パッド115から感温素子150の接続端子151に向かって徐々に厚みが増すように傾斜が形成されている。つまり、接続パッド115には、導電性接合材170のフィレットが形成されることになる。このようにフィレットが形成されることにより、感温素子150は、接続パッド115との接合強度を向上させることができる。
第一接続パッド115aは、平面視して、第二水晶素子130と重なる位置に設けられている。このようにすることによって、第二水晶素子130から伝わる熱が、直下にある基板110aを介して第一接続パッド115aに伝わることになる。よって、このような水晶振動子は、熱伝導経路をさらに短くすることができるので、第二水晶素子130の温度と感温素子150の温度とが近似することになり、感温素子150から出力された電圧を換算することで得られた温度と、実際の第二水晶素子130の周囲の温度との差異をさらに低減することが可能となる。
また、第二接続パッド115bは、平面視して、第一水晶素子120と重なる位置に設けられている。このようにすることによって、第一水晶素子120から伝わる熱が、直下にある基板110aを介して第二接続パッド115bに伝わることになる。よって、このような水晶振動子は、熱伝導経路をさらに短くすることができるので、第一水晶素子120の温度と感温素子150の温度とが近似することになり、感温素子150から出力された電圧を換算することで得られた温度と、実際の第一水晶素子120の周囲の温度との差異をさらに低減することが可能となる。
第一接続パッド115aと第六外部端子112fとは、基板110aの下面に設けられた第一接続パターン116a及び第五ビア導体114eにより接続されている。この第六外部端子112fは、電子機器等の実装基板上の基準電位であるグランドと接続されている実装パッド(図示せず)と接続されることにより、グランド端子の役割を果たす。よって、感温素子150の第一接続端子151aは、基準電位であるグランドに接続されることになる。また、第二接続パッド115bと第五外部端子112eとは、基板110aの下面に設けられた第二接続パターン116b及び第六ビア導体114fにより接続されている。
接続パターン116は、基板110aの下面に設けられ、接続パッド115から近傍のビア導体114に向けて引き出されている。また、接続パターン116は、図4(a)に示すように、第一接続パターン116a及び第二接続パターン116bによって構成されている。第一接続パターン116aの長さと第二接続パターン116bの長さは、略等しい長さとなる。ここで、略等しい長さとは、基板110aの下面に設けられた第一接続パターン116aの長さと基板110aの下面に設けられた第二接続パターン116bの長さとの差が0〜200μm異なるものを含むものとする。接続パターン116の長さは、各接続パターン116の中心を通る直線の長さを測定したものとする。つまり、第一接続パターン116aの配線長と、第二接続パターン116bの配線長とが略等しい長さとなることによって、発生する抵抗値が等しくなり、感温素子150に付与される負荷抵抗も均一になるため、安定して電圧を出力することが可能となる。
導体部117は、基板110aの下面に設けられた配線パターン113と第二枠部110cの下面に設けられた外部端子112とを電気的に接続するためのものである。基板110の角部に設けられた切れ込みの内部に設けられている。導体部117の両端は、外部端子112及び配線パターン113と接続されている。導体部117は、第一導体部117a、第二導体部117b、第三導体部117c及び第四導体部117dによって構成されている。
封止用導体パターン118は、蓋体140と封止部材141を介して接合する際に、封止部材141の濡れ性をよくする役割を果たしている。封止用導体パターン118は、第一枠体110bの上面を囲むようにして設けられている。封止用導体パターン118は、図3及び図4に示すように、第五ビア導体114eを介して、第六外部端子112fと電気的に接続されている。封止用導体パターン118は、例えばタングステン又はモリブデン等から成る導体パターンの表面にニッケルメッキ及び金メッキを順次、第一枠体110bの上面を環状に囲む形態で施すことによって、例えば10〜25μmの厚みに形成されている。
ここで、基板110aの作製方法について説明する。基板110aがアルミナセラミックスから成る場合、まず所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得た複数のセラミックグリーンシートを準備する。また、セラミックグリーンシートの表面或いはセラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内に、従来周知のスクリーン印刷等によって所定の導体ペーストを塗布する。さらに、これらのグリーンシートを積層してプレス成形したものを、高温で焼成する。最後に、導体パターンの所定部位、具体的には、電極パッド111、外部端子112、配線パターン113、ビア導体114、接続パッド115、接続パターン116、導体部117及び封止用導体パターン118となる部位にニッケルメッキ又、金メッキ、銀パラジウム等を施すことにより作製される。また、導体ペーストは、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等から構成されている。
第一水晶素子120及び第二水晶素子130は、図1及び図2に示されているように、導電性接着剤140を介して電極パッド111上に接合されている。第一水晶素子120及び第二水晶素子120は、安定した機械振動と圧電効果により、電子装置等の基準信号を発振する役割を果たしている。
また、第一水晶素子120は、図1及び図2に示されているように、水晶素板121の上面及び下面のそれぞれに励振用電極122及び引き出し電極123を被着させた構造を有している。水晶素板121は、X軸とY軸とZ軸とからなり互いに直交する結晶軸を有しており、例えば、略矩形形状の平板状となっている。水晶素板121の主面は、X軸およびZ軸に平行となっている面を、X軸を中心に、X軸の負の方向を見て反時計回りに回転させた面と平行となっており、例えば、約37°回転させた面と平行となっている。水晶素板121の側面の一部には、Z軸と垂直なm面が形成されている。m面は、主面との角度が90°と回転角度とを合わせた角度をなしており、例えば、約123°となっている。つまり、第一水晶素子120が、ATカットした水晶素板121を用いたATカット型水晶素子である。
励振用電極122は、水晶素板121の上面及び下面のそれぞれに金属を所定のパターンで被着・形成したものである。励振用電極122は、上面に第一励振用電極122aと、下面に第二励振用電極122bを備えている。引き出し電極123は、励振用電極122から水晶素板121の一辺に向かってそれぞれ延出されている。引き出し電極123は、上面に第一引き出し電極123aと、下面に第二引き出し電極123bとを備えている。第一引き出し電極123aは、第一励振用電極122aから引き出されており、水晶素板121の一辺に向かって延出するように設けられている。第二引き出し電極123bは、第二励振用電極122bから引き出されており、水晶素板121の一辺に向かって延出するように設けられている。つまり、引き出し電極123は、水晶素板121の長辺又は短辺に沿った形状で設けられている。また、本実施形態においては、第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bと接続されている第一水晶素子120の一端を基板110aの上面と接続した固定端とし、他端を基板110aの上面と間を空けた自由端とした片持ち支持構造にて第一水晶素子120が基板110a上に固定されている。
ここで、第一水晶素子120の動作について説明する。第一水晶素子120は、外部からの交番電圧が引き出し電極123から励振用電極122を介して水晶素板121に印加されると、水晶素板121が所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
ここで、第一水晶素子120の作製方法について説明する。まず、第一水晶素子120は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し、水晶素板121の外周の厚みを薄くし、水晶素板121の外周部と比べて水晶素板121の中央部が厚くなるように設けるベベル加工を行う。そして、第一水晶素子120は、水晶素板121の両主面にフォトリソグラフィー技術、蒸着技術又はスパッタリング技術によって、金属膜を被着させることにより、励振用電極122、引き出し電極123を形成することにより作製される。
第二水晶素子130は、音叉型水晶素子であり、水晶片131と、その水晶片131の表面に設けられた励振電極134a、134b、135a及び135bと、引出用電極136a及び136bと、周波数調整用金属膜137a及び137bとにより構成されている。水晶片131は、図1に示すように、水晶基部133と水晶振動部132とからなり、水晶振動部132が第一水晶振動部132a及び第二水晶振動部132bとから成る。水晶基部133は、結晶の軸方向として電気軸がX軸、機械軸がY軸、及び光軸がZ軸となる直交座標系としたとき、X軸回りに−5°〜+5°の範囲内で回転させたZ′軸の方向が厚み方向となる平面視略四角形の平板である。第一水晶振動部132a及び第二水晶振動部132bは、水晶基部133の一辺からY′軸の方向に平行に延設されている。このような水晶片131は、水晶基部133と各水晶振動部132とが一体となって音叉形状を成しており、フォトリソグラフィー技術と化学エッチング技術により製造される。
励振電極134aは、図1に示すように、第一水晶振動部132aの表裏主面に設けられている。また、励振電極134bは、第一水晶振動部132aの対向する両側面に設けられている。周波数調整用金属膜137aは、第一水晶振動部132aの表主面及び側面の先端部に設けられている。また、引出電極136aは、水晶基部133の第一水晶振動部132a側であって、水晶基部133の表裏主面に設けられている。
また、励振電極135aは、図1に示すように、第二水晶振動部132bの表裏主面に設けられている。また、励振電極135bは、第二水晶振動部132bの対向する両側面に設けられている。周波数調整用金属膜137bは、第二水晶振動部132bの表主面及び両側面の先端部に設けられている。引出電極136bは、水晶基部133の第二水晶振動部132b側であって、水晶基部133の表裏主面に設けられている。
なお、第二水晶素子130は、周波数調整用金属膜137a、137bを構成する金属の量を増減させることにより、その周波数値を所望する値に調整することができる。励振電極134a及び135bと、周波数調整用金属膜137aとは、図1に示すように、水晶片321表面に設けられた引出電極136aにより電気的に接続している。また、励振電極134b及び135aと、周波数調整用金属膜137bとは、水晶片131表面に設けられた引出電極136bにより電気的に接続している。
第二水晶素子130の動作について説明する。この第二水晶素子130を振動させる場合、引出電極136a及び136bに交番電圧を印加する。印加後のある電気的状態を瞬間的にとらえると、第二水晶振動部132bの励振電極135bは+(プラス)電位となり、励振電極135aは−(マイナス)電位となり、+から−に電界が生じる。一方、このときの第一水晶振動部132aの励振電極は、第二水晶振動部132bの励振電極に生じた極性とは反対の極性となる。これらの印加された電界により、第一水晶振動部132a及び第二水晶振動部132bに伸縮現象が生じ、各水晶振動部132に設定した共振周波数の屈曲振動を得る。このような第二水晶素子130が音叉型水晶素子である水晶振動子が、GPS機能を有する電子機器に実装された場合には、感温素子150から得られた温度と、音叉型水晶素子130の温度との差異が小さくなり、GPSスリープクロックの精度が向上し、起動時の初期位置産出時間を向上させることができる。
第一水晶素子120及び第二水晶素子130の基板110aへの接合方法について説明する。まず、導電性接着剤150は、例えばディスペンサによって第一電極パッド111a、第二電極パッド111b、第三電極パッド111c及び第四電極パッド111d上に塗布される。第一水晶素子120及び第二水晶素子130は、導電性接着剤160上に搬送され、導電性接着剤160上に載置される。そして導電性接着剤160は、加熱硬化させることによって、硬化収縮される。第一水晶素子120及び第二水晶素子130は、電極パッド111に接合される。第二水晶素子130の第一引出電極136aは、第一電極パッド111aと接合され、第二引出電極136bは、第二電極パッド111bと接合される。これによって、第一外部端子112aと第二外部端子112bが第二水晶素子130と電気的に接続されることになる。また、第一水晶素子120の第一引き出し電極123aは、第三電極パッド111cと接合され、第二引き出し電極123bは、第四電極パッド111dと接合される。これによって、第三外部端子112cと第四外部端子112dが第一水晶素子120と電気的に接続されることになる。
導電性接着剤160は、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、銀、チタン、ニッケル又はニッケル鉄のうちのいずれか、或いはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。また、バインダーとしては、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はビスマレイミド樹脂が用いられる。
感温素子150は、サーミスタ、白金測温抵抗体又はダイオード等が用いられている。サーミスタ素子の場合、感温素子150には、直方体形状であり、両端に接続端子151が設けられている。感温素子150は、温度変化によって電気抵抗が顕著な変化を示すものであり、この抵抗値の変化から電圧が変化するため、抵抗値と電圧との関係及び電圧と温度との関係により、出力された電圧から温度情報を得ることができる。感温素子150は、後述する接続端子151間の電圧が、第五外部端子112e及び第六外部端子112fを介して水晶振動子の外へ出力されることにより、例えば、電子機器等のメインIC(図示せず)で出力された電圧を温度に換算することで温度情報を得ることができる。このような感温素子150を水晶振動子の近くに配置して、これによって得られた水晶振動子の温度情報に応じて、メインICにより水晶振動子を駆動する電圧を制御し、いわゆる温度補償をすることができる。
また、白金測温抵抗体が用いられている場合、感温素子150は、直方体形状のセラミック板上の中央に白金を蒸着し、白金電極が設けられている。また、セラミック板の両端には接続端子151が設けられている。白金電極と接続端子とは、セラミック板上面に設けられた引き出し電極により接続されている。白金電極の上面を被覆するようにして絶縁性樹脂が設けられている。
また、ダイオードが用いられている場合、感温素子150は、半導体素子を半導体素子用基板の上面に実装し、その半導体素子及び半導体素子用基板の上面を絶縁性樹脂で被覆された構造である。半導体素子用基板の下面から側面には、アノード端子及びカソード端子となる接続端子151が設けられている。感温素子150は、アノード端子からカソード端子へは電流を流すが、カソード端子からアノード端子へはほとんど電流を流さない順方向特性を有している。感温素子の順方向特性は、温度によって大きく変化する。感温素子に一定電流を流しておいて順方向電圧を測定することによって、電圧情報を得ることができる。その電圧情報から換算することで水晶素子の温度情報を得ることができる。ダイオードは、電圧と温度との関係が直線を示している。接続端子151のカソード端子及びアノード端子間の電圧が、第五外部端子112e及び第六外部端子112fを介して水晶振動子の外へ出力される。
感温素子150は、図2に示すように、基板110aの下面に設けられた接続パッド115に半田等の導電性接合材170を介して実装されている。また、感温素子150の第一接続端子151aは、第一接続パッド115aに接続され、第二接続端子151bは、第二接続パッド115bに接続されている。第一接続パッド115aは、基板110aの下面に設けられた第一接続パターン116a及び第五ビア導体114eを介して第六外部端子112fと接続されている。また、第六外部端子112fは、電子機器等の実装基板上の基準電位であるグランドと接続されている実装電極(図示せず)と接続されることにより、グランド端子の役割を果たす。よって、感温素子150の第一接続端子151aは、基準電位であるグランドに接続されることになる。
また、感温素子150は、平面視して、第一水晶素子120及び第二水晶素子130に重なるように配置されていることにより、第一水晶素子120及び第二水晶素子130から伝わる熱が、基板110aを介して、感温素子150に伝わることになる。よって、このような水晶振動子は、熱伝導経路をさらに短くすることにより、第一水晶素子120及び第二水晶素子130の温度と感温素子150の温度とが近似することになり、感温素子150から出力された電圧を換算することで得られた温度と、実際の第一水晶素子120及び第二水晶素子130の周囲の温度との差異をさらに低減することが可能となる。
感温素子150の基板110aへの接合方法について説明する。まず、導電性接合材170は、例えばディスペンサによって接続パッド115に塗布される。感温素子150は、導電性接合材170上に載置される。そして導電性接合材170は、加熱させることによって溶融接合され、接続端子151の下面と接続パッド115が接合され、実装パッド116から感温素子150の接続端子151の側面とが接合される。この際に、導電性接合材170は、接続パッド115から感温素子150の接続端子151の側面に向かって徐々に厚みが増すような傾斜であるフィレットを持って形成されている。よって、感温素子150は、一対の接続パッド115に接合される。
また、感温素子150がサーミスタ素子の場合には、図1に示すように、直方体形状の両端にそれぞれ一つずつ接続端子151が設けられている。第一接続端子151aは、感温素子150の一端面とその一端面を囲むように左右側面及び上下面に設けられている。第二接続端子151bは、感温素子150の他端面とその他端面を囲むように左右側面及び上下面に設けられている。感温素子150の長辺の長さは、0.4〜0.6mmであり、短辺の長さは、0.2〜0.3mmとなっている。感温素子150の厚み方向の長さは、0.1〜0.3mmとなっている。
導電性接合材170は、例えば、銀ペースト又は鉛フリー半田により構成されている。また、導電性接合材170には、塗布し易い粘度に調整するための添加した溶剤が含有されている。鉛フリー半田の成分比率は、錫が95〜97.5%、銀が2〜4%、銅が0.5〜1.0%のものが使用されている。
蓋体140は、例えば、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくともいずれかを含む合金からなる。このような蓋体140は、真空状態にある第一凹部K1又は窒素ガスなどが充填された第一凹部K1を気密的に封止するためのものである。具体的には、蓋体140は、所定雰囲気で、パッケージ110の第一枠体110b上に載置され、第一枠体110bの封止用導体パターン118と蓋体140の封止部材141とが溶接されるように所定電流を印加してシーム溶接を行うことにより、第一枠体110bに接合される。また、蓋体140は、封止用導体パターン118及び第五ビア導体114eを介して基板110aの下面の第六外部端子112fに電気的に接続されている。また、第六外部端子112fは、導電性接合材170を介して第一接続パッド115aと電気的に接続されている。よって、蓋体140は、感温素子150の接続端子151a及び基板110aの第六外部端子112fと電気的に接続されている。
封止部材141は、パッケージ110の第一枠体110b上面に設けられた封止用導体パターン118に相対する蓋体140の箇所に設けられている。封止部材141は、例えば、銀ロウ又は金錫によって設けられている。銀ロウの場合は、その厚みは、10〜20μmである。例えば、成分比率は、銀が72〜85%、銅が15〜28%のものが使用されている。金錫の場合は、その厚みは、10〜40μmである。例えば、成分比率が、金が78〜82%、錫が18〜22%のものが使用されている。
本発明の実施形態における水晶振動子は、矩形状の基板110aと、基板110aの上面に設けられた第一枠体110bと、基板110aの下面に設けられた第二枠体110cと、第一枠体110b内で基板110aの上面に設けられた電極パッド111と、第二枠体110b内で基板110aの下面に設けられた接続パッド115と、電極パッド111に実装された二つの水晶素子120、130と、接続パッド111に導電性接合材170で実装された感温素子150と、第一枠体110bの上面に接合された蓋体140と、を備えている。このようにすることによって、第一凹部K1内に二つの水晶素子120、130を実装させ、第二凹部K2内に感温素子150を実装させることで、二つの水晶素子120、130の実際の温度と感温素子150によって得られる温度情報に基づく温度との差を低減させることができ、二つの水晶素子120、130の発振周波数に関する温度補償の精度を向上させることができる。
また、本発明の実施形態における水晶振動子は、第一水晶素子120が、ATカットした水晶素板121を用いたATカット型水晶素子であり、第二水晶素子130が、水晶基部と、水晶基部133から延出するように設けられた水晶振動部132とを有している音叉型水晶素子である。このような第二水晶素子130が音叉型水晶素子である水晶振動子が、GPS機能を有する電子機器に実装された場合には、感温素子150から得られた温度と、音叉型水晶素子130の温度との差異が小さくなり、GPSスリープクロックの精度が向上し、起動時の初期位置産出時間を向上させることができる。
また、本発明の実施形態における水晶振動子は、第一水晶素子120が実装された第三電極パッド111c及び第四電極パッド111dと、第二水晶素子130が実装された第一電極パッド111a及び第二電極パッド112bとが、第一枠体110b内の内周側の対向する辺に沿ってそれぞれが一対となるように設けられている。このようにすることによって、後述する感温素子150が実装される接続パッド115に対して、基板110aの両側から挟みこむようにして熱が伝わるようになるため、第一水晶素子120及び第二水晶素子130の温度と感温素子150との温度とがさらに近似することになり、感温素子10から出力された電圧を換算することで得られた温度と、実際の水晶素子120の周囲の温度との差異をさらに低減することが可能となる。
また、本発明の実施形態における水晶振動子は、感温素子150が、基板110aに第一水晶素子120及び第二水晶素子130と感温素子150とを実装した状態で、平面視して、第一水晶素子120及び第二水晶素子130と重なる位置に配置されている。このようにすることによって、水晶素子120から伝わる熱が、電極パッド111からだけではなく、第一水晶素子120及び第二水晶素子130から直接基板110aを介しても感温素子150に熱が伝わることになる。よって、水晶振動子は、熱伝導経路をさらに短くすると共に熱伝導経路の数をさらに増やすことで、第一水晶素子120及び第二水晶素子130の温度と感温素子150の温度とがさらに近似することになり、感温素子150から出力された電圧を換算することで得られた温度と、実際の第一水晶素子120及び第二水晶素子130の周囲の温度との差異をさらに低減することが可能となる。
また、第一水晶素子120のベベル加工方法について説明する。所定の粒度のメディアと砥粒とを備えた研磨材と、所定の大きさに形成された水晶素板121とを用意する。円筒体に用意した研磨材と水晶素板121とを入れ、円筒体の開口した端部をカバーで塞ぐ。研磨材と水晶素板121とを入れた円筒体を、円筒体の中心軸線を回転軸として回転させる水晶素板121が研磨材で研磨されてベベル加工が行われる。
上記実施形態では、第一枠体110bが基板110aと同様にセラミック材で一体的に形成した場合を説明したが、第一枠体110bが金属製であっても構わない。この場合、枠体は、銀−銅等のロウ材を介して基板の導体膜に接合されている。