JP2016008721A - アキシアル転がり軸受を組み立てるためのツール - Google Patents

Abstract

【課題】スピンドル機上で複動式アキシアル軸受を組み立てる間に使用されるツールであって、軸受の損傷のリスクを増大させ且つ任意の場合においてスピンドルの取り付け時間を増大させる次の修正措置を必要としないように構成されたツール。
【解決手段】アキシアル転がり軸受３０を組み立てるためのツール２０であって、軸受には、一対のラジアル方向外側リング３１，３２と、一対のラジアル方向内側リング３３，３４と、複列の転動体３５，３６とが設けられ、ツール２０が、２つのシェルによって形成され、２つのシェルが、略半円筒状であり、互いに等しく、対応する直径面に沿って近づけられ、弾性手段により互いに安定して固定され、軸受３０の２つのラジアル方向外側リング３１，３２を取り囲み、ラジアル方向外側リングの間のラジアル方向の整列を保証する。
【選択図】図４

Description

本発明は、アキシアル転がり軸受を組み立てるためのツールに関する。特に、軸受は、玉のタイプの転動要素を備え、且つ複動式であり、言い換えれば、双方の方向においてアキシアル荷重を受ける。このような軸受の代表的であるが排他的ではない利用は、スピンドル機上での利用である。

アキシアル力、言い換えれば軸受の回転軸に平行な力を伝達するために使用される転がり軸受は、最先端の技術ですでに公知である。これら軸受には、玉又はころのような転動要素が設けられる。アキシアル軸受は、単一又は複動式であり、つまり、それら軸受は、回転軸における単一の方向又は双方の方向に従ってアキシアル荷重を伝達する。それら軸受は、アキシアル荷重のみを許可するように構成され、従って、ラジアル荷重を受けるべきではない。これら軸受は、分離可能であり、すなわち、内側リング、外側リング及び玉のグループとケージとが個別に嵌合される。

続く検討は、例として複動式アキシアル軸受を参照するが、それにより一般性を喪失することはない。

図１を参照すると、これら軸受１０は、ラジアル方向外側リング１１と、２つのラジアル方向内側リング１２，１３と、転動体の２つの冠１４，１５、例えば玉と、を含む。複動式アキシアル軸受の代表的な利用は、スピンドル機である。スピンドル機のための軸受は、高い剛性を保証するために６０°の接触角を有して、又は高速利用のために４０°又は３０°の接触角を有して利用可能である。スピンドル機で使用されるアキシアル軸受は、さまざまな方式で実現できる。軸受は、例えば、図１に示されるような単一のラジアル方向外側リングを有するか、又は図２に示されるような２つの別個のラジアル方向外側リングを有して作られる。図２のケースでは、スピンドル上での取り付け中における２つの外側リングの間のずれのリスクが極めて高く、これは、ラジアル荷重を伝達する必要のないこれら軸受が、十分に大きいラジアル方向のクリアランスを有してスピンドルに結合され、且つこの方向において過度に自由に動くことができるためである。

本発明の目的は、スピンドル機上で複動式アキシアル軸受を組み立てる間に使用されるツールであって、取り付けツールが、軸受の２つのラジアル方向外側リングの間のラジアル方向の整列を保証するか、又は任意の場合において最小限にまでずれを減少させ、これにより、一方では軸受の損傷のリスクを増大させ且つ任意の場合においてスピンドルの取り付け時間を増大させる次の修正措置を必要としないように構成された、ツールを実現することである。

従って、本発明によれば、ツールが開示され、ツールは、スピンドル機上での複動式アキシアル軸受の組み立て中に使用され、ツールは、添付される独立請求項のような特性を有する。

好ましい且つ／又は特に有利である本発明のさらなる実施形態は、添付される従属請求項のような特性に基づいて説明される。

本発明は、いくつかの非限定的な実施形態を示す添付の図面を参照してこれから説明されるであろう。

単一のラジアル方向外側リングを有する、アキシアル転がり軸受のアキシアル方向の対称な断面図である。 特に本発明によるツールの使用に適している、対のラジアル方向外側リングを有するアキシアル転がり軸受のアキシアル方向の対称な断面図である。 本発明の好ましい一実施形態による、アキシアル軸受を組み立てるためのツールの断面図及び正面図を示す。 アキシアル軸受上でのツールの組み立てのアキシアル方向の対称な断面図である。 アキシアル軸受を組み立てるためのツールの第２の実施形態の断面図である。

上記の図を参照すると、本発明の第１の実施形態による、スピンドル機上でアキシアル軸受を組み立てるためのツールは、全体として符号２０で表される。

ツール２０は、図２に示される軸受ユニット３０で使用することに特に適している。本明細書及び特許請求の範囲において、“ラジアル”及び“アキシアル”のように位置及び向きを示す用語及び表現は、軸受ユニット３０の回転軸線Ｘを参照して理解される。

軸受ユニット３０は、一対のラジアル方向外側リング３１，３２と、一対のラジアル方向内側リング３３，３４と、外側リング３１と内側リング３３との間及び外側リング３２と内側リング３４との間それぞれに介在された２セットの転動体３５，３６、この例では球と、を備えている。二倍の外側リングを有する軸受を実施するこの方式は、前記外側リングの製造プロセスを容易にする点で有利である。実際に、外側リングの幾何学的形状は、すでに熱処理された部品上での制度の高い旋削の機械化を行うための外側リングの接合をより安定させる。

ラジアル方向外側リング３１は、転動体３５のためのレースウェイ３７を内部に規定する一方で、ラジアル方向外側リング３２は、転動体３６のためのレースウェイ３８を内部に規定する。同様に、ラジアル方向内側リング３３は、転動体３５のためのレースウェイ３９を外部に規定する一方で、ラジアル方向内側リング３４は、転動体３６のためのレースウェイ４０を外部に規定する。

図３を参照すると、アキシアル軸受を取り付けるためのツール２０は、好ましくはプラスチックから作られた略半円筒状の２つのシェル２１，２２を備えている。２つのシェルは、互いに同一であり、それぞれの直径面２１’，２２’に沿ってともに押され、且つ弾性要素２３、好ましくはＯ−リングタイプの弾性リングによってともに保持されている。２つの半円筒状シェルのそれぞれには、アキシアル軸受３０へのツール２０の取り付け作業中に手での把持を容易にするラジアル方向外縁部２４が設けられている。

有利には、シェル２１，２２のラジアル方向の内径Ｄｔは、常にツールと軸受３０のラジアル方向外側リング３１，３２との間に小さいクリアランスを有して結合することを可能にするように、機械加工公差を有するべきである。このような小さいクリアランスは、据え付けを簡素にする。言い換えれば、
Ｄｔ≧Ｄｂ
の結果となる。
ここで、符号Ｄｂは、軸受３０の外側リング３１，３２のラジアル方向の外径である。ツールと外側リングとの間のラジアル方向のクリアランス、すなわち、直径Ｄｔ及びＤｂの間の差は、好ましくは、０．０５ｍｍを超えるべきではない。

さらなる利点は、ツール２０のアキシアル方向の長さＬｔが、長さＬｂ、すなわち２つのラジアル方向外側リング３１，３２のアキシアル方向の長さの合計よりも小さくない場合に達成される。このようにして、２つのラジアル方向外側リングの整列は改善される。言い換えれば、
Ｌｔ≧Ｌｂ
の結果となる。

本発明によるツールの使用が、図４を参照してこれから説明される。まず、ラジアル方向内側リング３４は、加熱されて（公知のタイプであり、従って図示されない）スピンドル機上のラジアル方向外側位置に取り付けられる。その後、内側リング３４上に、転動体の列３６及びラジアル方向外側リング３２が位置決めされる。続いて、マウントが、アキシアル方向においてラジアル方向外側リング３２、第２のラジアル方向外側リング３１及び転動体の列３５に近づけられ、取り付けられる。現時点では、ツール２０は、外側リング３１，３２に対してラジアル方向外側位置に挿入される。ツールの取り付けは、手での小さい力により弾性要素２３の抵抗を克服することによって２つのシェル２１，２２が互いから若干離れて動かされるという事実によって容易にされる。挿入されると、ツールの２つのシェルは、要素２３の弾性復帰により互いに近づけられる。シェル２１，２２の位置は、場合により、常に手の動作でより高い精度で調節され、これにより、外側リング３１，３２の整列を保証する。軸受３０の組み立てを完了するために、第２のラジアル方向内側リング３４が組み立てられ、軸受ユニット３０が適切な締結具、例えばネジによりロックされる。その後、ツール２０は取り除かれ、軸受３０の直角度及び同心性の通常の確認が行われる。

図５には、参照符号５０によって全体として示される取り付けツールを有する、本発明の第２の実施形態が示される。すでに述べた実施形態と比較すると、この実施形態は、シェル２１，２２それぞれにラジアル方向内縁部５５が存在する点で異なる。この縁部５５の目的は、ラジアル方向外側リング３１，３２周りでのシェル２１，２２の位置決めを改善することであり、これにより、外側リングの２つのリングの間のずれをさらに減少させる。この解決法のさらなる側面は、第１の実施形態について説明したものと一致する。特に、２つのシェル２１，２２は、弾性要素２３、好ましくはＯ−リングタイプの弾性リングによってともに保持される。さらに、２つの半円筒状シェルのそれぞれは、アキシアル軸受３０へのツール５０の取り付け動作中に手での把持を容易にするラジアル方向外縁部２４を備えている。

頻繁な実際の問題として、アキシアル軸受に、高い精度で互いに整列させられなければならない２つの外側リングが設けられる場合に、本発明の使用は特に有利である。本発明による組立ツールは、軸受の外側リングの間のずれを最小化し、これにより、一方では軸受の損傷のリスクを増大させ且つ任意の場合においてスピンドルの設置時間を増大させる次の修正措置を必要としない。

上述された本発明の実施形態以外に、多くの変形例が存在することが理解される。例示的な実施形態又は例示的な複数の実施形態は、単なる例であり、本発明の範囲、適用性又は任意の方式での形態を限定するよう意図するものではないことが理解されるべきである。むしろ、上述の要旨及び詳細な説明は、当業者に、少なくとも１つの例示的な実施形態を実施するための便利な指針を提供し、さまざまな変更が、添付の特許請求の範囲及び法の下でそれと等価なもので説明される範囲から逸脱することなく例示的な実施形態で説明された要素の機能及び構成になされてもよいことが理解される。

２０，５０ ツール、２１，２２ シェル、２１’，２２’ 直径面、２３ 弾性手段、２４ ラジアル方向外縁部、３０ アキシアル転がり軸受、３１，３２ ラジアル方向外側リング、３３，３４ ラジアル方向内側リング、３５，３６ 転動体、５５ ラジアル方向内縁部、Ｄｂ 外径、Ｄｔ 内径、Ｌｂ 全長、Ｌｔ 長さ

Claims (7)

1. アキシアル転がり軸受（３０）を組み立てるためのツール（２０，５０）であって、
   前記軸受が、ラジアル方向の所定の外径（Ｄｂ）及びアキシアル方向の所定の全長（Ｌｂ）を有する一対のラジアル方向外側リング（３１，３２）と、一対のラジアル方向内側リング（３３，３４）と、前記ラジアル方向外側リング（３１）と前記ラジアル方向内側リング（３３）との間及び前記ラジアル方向外側リング（３２）との前記ラジアル方向内側リング（３４）との間にそれぞれ介在された複列の転動体（３５，３６）と、を備え、
   前記ツール（２０，５０）が、
   − ２つのシェル（２１，２２）であって、略半円筒状であり、互いに等しく、対応する直径面（２１’，２２’）に沿って近づけられ、且つ弾性手段（２３）により互いに安定して固定される、２つのシェル（２１，２２）を備え、
   − 前記シェル（２１，２２）が、前記軸受（３０）の前記２つのラジアル方向外側リング（３１，３２）をラジアル方向外側から囲み、前記シェル（２１，２２）のラジアル方向の内径（Ｄｔ）が、前記ラジアル方向外側リングの間のラジアル方向の整列を保証するように、前記軸受（３０）の前記ラジアル方向外側リング（３１，３２）の前記ラジアル方向の外径（Ｄｂ）以上であることを特徴とするツール（２０，５０）。
2. 前記シェル（２１，２２）が、プラスチック材料から作られることを特徴とする請求項１に記載のツール（２０，５０）。
3. 各シェル（２１，２２）には、前記ツール（２０，５０）の手での把持をより容易にするためにラジアル方向外縁部（２４）が設けられていることを特徴とする請求項１又は２に記載のツール（２０，５０）。
4. 前記弾性手段（２３）が“Ｏ−リング”であることを特徴とする請求項１から３のいずれか一項に記載のツール（２０，５０）。
5. 前記シェル（２１，２２）の前記ラジアル方向の内径（Ｄｔ）と前記軸受（３０）の前記ラジアル方向外側リング（３１，３２）の前記ラジアル方向の外径（Ｄｂ）との間の差が、０．０５ｍｍ以下であることを特徴とする請求項１から４のいずれか一項に記載のツール（２０，５０）。
6. 前記ツール（２０，５０）のアキシアル方向の長さ（Ｌｔ）が、前記２つのラジアル方向外側リング（３１，３２）の前記アキシアル方向の全長（Ｌｂ）以上であることを特徴とする請求項１から５のいずれか一項に記載のツール（２０，５０）。
7. 各シェル（２１，２２）には、ラジアル方向内縁部（５５）が設けられていることを特徴とする請求項１から６のいずれか一項に記載のツール（５０）。

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